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2月20日 アレルギーの日【今日は何の日?】

【2月20日 アレルギーの日】〔由来〕1966(昭和41)年の今日、石坂 公成氏、石坂 照子氏がIgE(免疫グロブリン)を発見したことにちなみ、日本アレルギー協会により制定。同協会では今日を中心とした1週間を「アレルギー週間」と定め、この期間を中心にアレルギーに関する各種啓発活動を行っている。関連コンテンツアトピー性皮膚炎診療の最新知見【診療よろず相談TV】その症状もアナフィラキシーですよ!【Dr.山中の攻める!問診3step】じんましん【患者説明用スライド】IgEってなあに?【患者説明用スライド】アナフィラキシーなどの治療を非専門医向けに/アレルギー総合ガイドライン改訂

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患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版

患者さんの知りたい65の疑問について、Q&A形式でわかりやすく解説納得のいく医療を受けるためには、患者さんが標準治療(=最善の治療)や診療方法について正しく理解したうえで、医師と相談し、自身に合った治療を選択すること(Shared Decision Making)が重要です。本書では、現在の乳がんの標準治療や、乳がん患者さんやそのご家族がいま知りたいことについて、正しい情報をわかりやすく得られるよう、最新の情報をもとに、患者さんからの計65の質問(Q)に対する回答(A)と解説を掲載しています。巻末には、初期治療、転移・再発治療でそれぞれ使用される頻度の高い薬物療法の組み合わせや投与方法をまとめた表や、実際に患者さんから寄せられた質問をもとに作成した質問集も掲載しています。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版定価2,640円(税込)判型B5判頁数272頁(カラー図数:46枚)発行2023年2月編集日本乳学会電子版でご購入の場合はこちら

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検査時間帯で異なる大腸内視鏡の精度、解決策は?

 大腸内視鏡検査は、前がん性ポリープの発見・除去により、大腸がんの発生と死亡の減少に寄与する。大腸内視鏡検査において、腺腫発見率(ADR)が重要な指標であり、ADRが1%増加するごとに、大腸がんの発生リスクは3%低下するという報告がある1)。しかし、武漢大学人民病院のZihua Lu氏らの研究によると、大腸内視鏡検査の精度が時間と共に低下し、ADRが低下することが明らかになった。また、ADRの低下を抑制するためには、人工知能(AI)を用いた大腸内視鏡検査支援システムの導入が有用であることも示された。JAMA Network Open誌2023年1月31日掲載の報告。 本研究は、武漢大学人民病院における2つの前向きランダム化比較試験についての2次解析である。2019年6月18日~9月6日(試験1)、2020年7月1日~10月15日(試験2)において、大腸内視鏡検査を受けた患者をAI補助群または非補助群のいずれかに無作為に割り付けた。対象患者は、2試験合計で1,780例(年齢[平均値±SD]48.61±13.35歳、女性47.02%)であった。 本研究では、終日大腸内視鏡検査を実施した医師の検査を対象とした。午前を13時以前、午後を13時以降と定義し、大腸内視鏡検査の終了時間に基づいて検査を半日の「前半(8時~10時59分、13時~14時59分)」と「後半(11時~12時59分、15時~16時59分)」に分類し、ADRをAI補助の有無別に比較した。 主な結果は以下のとおり。・半日の前半に大腸内視鏡検査を受けたのは1,041例(58.48%)で、内訳は非補助群357例(34.29%)、AI補助群684例(65.71%)であった。後半に大腸内視鏡検査を受けたのは739例(41.52%)で、内訳は非補助群263例(35.59%)、AI補助群476例(64.41%)であった。・非補助群では、半日の前半のADRが13.73%であったのに対し、後半では5.70%と有意に低下した(オッズ比[OR]:2.42、95%信頼区間[CI]:1.31~4.47、p=0.005)。・AI補助群では、半日の前半と後半で統計学的有意差は認められなかった(22.95% vs.22.06%、OR:0.96、95%CI:0.71~1.29、p=0.78)。・非補助群では、時間の経過とともにADRが低下する傾向にあり、12時台、16時台のADRはそれぞれ2.99%、0%であった。一方、AI補助群の12時台、16時台のADRはそれぞれ20.22%、24.32%であった。・AI補助群は、非補助群と比べて半日の前半(22.95% vs.13.73%、OR:1.60、95%CI:1.10~2.34、p=0.01)と後半(22.06% vs.5.70%、OR:3.81、95%CI:2.10~6.91、p<0.001)のいずれにおいてもADRが有意に高かったが、半日の前半と比べて、後半においてADRの増加に関する良好な支援能力を示した。 本論文の著者らは、半日の後半においてAIがより良好な支援能力を発揮したことを指摘するとともに、「AIの活用により、時間による大腸内視鏡検査の精度低下を克服し、大腸内視鏡検査の精度と均質性を維持できることが示唆された」とまとめている。

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統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応の性差~メタ解析

 オランダ・アムステルダム大学のBram W. C. Storosum氏らは、統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応が、性別や閉経状態により影響を受けるかについて、調査を行った。その結果、統合失調症治療において女性のほうが男性よりも抗精神病薬に対する治療反応が得られやすく、この影響は閉経状態やベースライン時の症状重症度(陰性症状)による影響を受けていなかった。Psychiatry Research誌2023年2月号の報告。 統合失調症患者5,231例を対象とした抗精神病薬の短期プラセボ対照登録研究22件のデータを分析した。個々の患者データについて2段階のメタ回帰分析を行い、症状重症度の平均差と治療反応の差(30%超の症状改善)に対する性別および閉経状態の影響を調査した。ベースライン時の症状重症度(陰性症状)で補正した場合としない場合の両方で、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬による統合失調症治療は、女性において男性よりも、平均的な症状改善効果が高かった。・性別ごとのNNTは、女性で6.9、男性で9.4であった。・治療効果による性差は、閉経前の状態およびベースライン時の症状重症度(陰性症状)の影響を受けなかった。・急性期抗精神病薬治療のエフェクトサイズに対する性別および年齢の影響があるものの、すべてのサブグループにおいて臨床的有効性が認められた。

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オミクロン株XBB.1.5に対する治療薬と2価ワクチンの効果は?/東大

 東京大学医科学研究所の河岡 義裕氏らの研究グループは、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5系統に対して、既存の抗体薬、抗ウイルス薬、並びにmRNAワクチンの有効性をin vitroで検証した。その結果、患者から分離したXBB.1.5に対して、4種類の抗体薬はいずれも効果が見られなかったが、4種類の抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示したことが明らかとなった。また、2価ワクチン接種者の血漿が、XBB.1.5に対する中和活性を有していることが確認された。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月8日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 試験薬剤は、4種類の抗体薬のソトロビマブ、bebtelovimab、カシリビマブ/イムデビマブ、チキサゲビマブ/シルガビマブ、および4種類の抗ウイルス薬のレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビル、エンシトレルビルである。抗体薬について、FRNT50(ライブウイルス焦点減少中和アッセイで50%のウイルスを中和する血清希釈)を用いて感染阻害効果を評価した。また、抗ウイルス薬について、ウイルスの増殖を阻害するかどうかを、IC50(50%阻害濃度)を用いて評価した。 mRNAワクチンの効果については、1価ワクチン4回接種者(4回目接種から33~57日経過)17例、1価ワクチン4回接種+BA.4/5対応2価ワクチン1回接種者(5回目接種から18~59日経過)18例、1価ワクチン3回接種後にBA.2に感染した人(感染から29~89日後)10例の3群において、被験者から採取された血漿のXBB.1.5に対する中和活性を評価した。接種したワクチンは、ファイザー製もしくはモデルナ製である。 主な結果は以下のとおり。【抗体薬・抗ウイルス薬】・XBB.1.5に対して、4種類のいずれの抗体薬も、本試験におけるFRNT50最大値(>5万ng/mL)で中和活性しなかった。・4種類のすべての抗ウイルス薬が、XBB.1.5に対して高い増殖抑制効果を示し、従来株(武漢由来の株)やBA.2、XBBに対する効果と同程度の効果を維持していた。【ワクチン】・1価ワクチン4回接種者のXBB.1.5に対する中和活性は、従来株やBA.2に対する中和活性より著しく低下していた。17検体中9検体(53%)が検出限界以下であった。・5回目にBA.4/5対応2価ワクチンを接種した人のXBB.1.5に対する中和活性は、従来株やBA.2に対する中和活性より著しく低下していたが、低いながらも中和活性を有していた。・1価ワクチン3回接種後にBA.2にブレークスルー感染した人のXBB.1.5に対する中和活性は、従来株やBA.2に対する中和活性より著しく低下していたが、低いながらも中和活性を有していた。・3群ともに、XBB.1.5に対する中和活性の低下は、XBBに対する中和活性と同程度であった。 本研究により、XBB.1.5は、抗ウイルス薬が有効であり、ワクチンや感染によって誘導される免疫を効果的に回避するが、BA.4/5対応2価ワクチンによって免疫応答を改善できることが示唆された。研究チームによると、XBB.1.5の受容体結合ドメインはACE2に対して高い親和性を有するが、XBBとXBB.1.5は同様の免疫回避能力を示しているため、ACE2結合親和性が、高い感染性と米国における急速な拡大の要因である可能性があると述べている。米国疾病予防管理センター(CDC)が発表したデータによると、2023年2月11日時点での米国におけるXBB.1.5の割合は74.7%で、前週から約10%上昇している。

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ペグIFN-λ、高リスクCOVID-19の重症化を半減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種者を含むCOVID-19外来患者において、ペグインターフェロンラムダ(IFN-λ)単回皮下投与は、COVID-19進行による入院または救急外来受診の発生率をプラセボ投与よりも有意に減少させた。ブラジル・ミナスジェライスカトリック大学のGilmar Reis氏らTOGETHER試験グループが報告した。NEJM誌2023年2月9日号掲載の報告。ブラジルとカナダで、入院/救急外来受診の発生を比較 TOGETHER試験は、ブラジルとカナダで実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照アダプティブプラットフォーム試験である。研究グループは、ブラジルの12施設およびカナダの5施設において、SARS-CoV-2迅速抗原検査が陽性でCOVID-19の症状発現後7日以内の18歳以上の外来患者のうち、50歳以上、糖尿病、降圧療法を要する高血圧、心血管疾患、肺疾患、喫煙、BMI>30などのリスク因子のうち少なくとも1つを有する患者を、ペグIFN-λ(180μg/kgを単回皮下投与)群、プラセボ群(単回皮下投与または経口投与)または他の介入群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、無作為化後28日以内のCOVID-19による入院(または三次病院への転院)または救急外来受診(救急外来での>6時間の経過観察と定義)の複合とした。主要評価のイベント発生率、ペグIFN-λ群2.7% vs.プラセボ群5.6%、有意に半減 2021年6月24日~2022年2月7日の期間に、計2,617例がペグIFN-λ群、プラセボ群および他の介入群に割り付けられ、ペグIFN-λ群のプロトコール逸脱2例を除外したペグIFN-λ群931例およびプラセボ群1,018例が今回のintention-to-treat集団に含まれた。患者の83%はワクチンを接種していた。 主要アウトカムのイベントは、ペグIFN-λ群で931例中25例(2.7%)に、プラセボ群で1,018例中57例(5.6%)に発生した。相対リスクは0.49(95%ベイズ信用区間[CrI]:0.30~0.76、プラセボに対する優越性の事後確率>99.9%)であり、プラセボ群と比較してペグIFN-λ群で、主要アウトカムのイベントが51%減少した。 副次アウトカムの解析結果も概して一貫していた。COVID-19による入院までの期間はプラセボ群と比較しペグIFN-λ群で短く(ハザード比[HR]:0.57、95%ベイズCrI:0.33~0.95)、COVID-19による入院または死亡までの期間もペグIFN-λ群で短い(0.59、0.35~0.97)など、ほとんどの項目でペグIFN-λの有効性が示された。また、主な変異株の間で、およびワクチン接種の有無で有効性に差はなかった。 ベースラインのウイルス量が多かった患者では、ペグIFN-λ群のほうがプラセボ群より、7日目までのウイルス量減少が大きかった。 有害事象の発現率は、全GradeでペグIFN-λ群15.1%、プラセボ群16.9%であり、両群で同程度であった。

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糖尿病網膜症、アフリベルセプトの早期投与で長期の視力改善は?/JAMA

 中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(CI-DME)を伴わない非増殖糖尿病網膜症(NPDR)患者において、アフリベルセプトを予防投与し視力を脅かす合併症が生じた場合にアフリベルセプトによる治療を開始しても、予防投与なし(シャム投与)で同合併症発生時に治療を開始した場合と比較し、4年後に増殖糖尿病網膜症(PDR)またはCI-DMEの発生率は有意に低下したが視力の改善は認められなかった。米国・インディアナ大学のRaj K. Maturi氏らが、米国およびカナダの64施設で実施した無作為化比較試験「DRCR Retina Network Protocol W試験」の結果を報告した。本試験では、少なくとも2年間は糖尿病による視力を脅かす合併症の発生を抑制できることが示されていたが、早期投与が長期的な視力改善につながるかどうかは不明であった。著者は、「本試験で用いられた予防戦略としてのアフリベルセプトは、CI-DMEを伴わないNPDR患者には通常不要だろう」とまとめている。JAMA誌2023年2月7日号掲載の報告。中等度~重度の増殖糖尿病網膜症399眼、アフリベルセプト予防投与vs.シャム 研究グループは、1型または2型糖尿病を有する成人で、CI-DMEを伴わない中等度~重度のNPDR(糖尿病網膜症重症度尺度[DRSS]レベル43~53)を少なくとも1眼有し、最高矯正視力が79文字以上(スネレン換算20/25以上)の患者を対象に試験を実施した。 患者をアフリベルセプト(2.0mg硝子体内投与)群またはシャム群に1対1の割合に無作為に割り付け、ベースライン、1、2および4ヵ月目、その後2年目までは4ヵ月ごとに投与。3~4年目は、軽度以下のNPDR(DRSSレベル≦35)と判定された場合に4ヵ月ごとの予防投与を延期できることとし、視力低下(1回の診察で10文字以上、または連続した2回の診察で5文字以上)を伴う高リスクPDR(DRSSレベル≧71)またはCI-DMEが生じた場合には、両群ともDRCR Retina Networkのアルゴリズムに従ってアフリベルセプトによる治療を開始することとした(PDRはプロトコルS、CI-DMEはプロトコルT)。 主要アウトカムは、視力低下を伴うPDRまたはCI-DMEの発生、およびベースラインから4年後までの最高矯正視力(ETDRS文字数)の平均変化量とした。 2016年1月~2018年3月に計399眼(328例)が登録され、最終追跡調査日は2022年5月11日であった。患者背景は、平均年齢56歳、女性が42.4%、アジア人5%、黒人15%、ヒスパニック系32%、白人45%であった。PDR/CI-DMEの4年累積発生率は有意に低下も、4年後の視力は両群で差はなし 視力低下を伴うPDRまたはCI-DMEの4年累積発生率(Kaplan-Meier法による推定)は、アフリベルセプト群33.9%、シャム群56.9%であった(補正後ハザード比[HR]:0.40、97.5%信頼区間[CI]:0.28~0.57、p<0.001)。 ベースラインから4年後までの最高矯正視力の平均変化量(±SD)は、アフリベルセプト群-2.7±6.5文字、シャム群-2.4±5.8文字であった(補正後群間平均差:-0.5文字、97.5%CI:-2.3~1.3、p=0.52)。 Antiplatelet Trialists' Collaborationによる心血管/脳血管イベントの発生率は、アフリベルセプト群の両眼被験者で9.9%(71例中7例)、片眼被験者で10.9%(129例中14例)、シャム群の片眼被験者で7.8%(128例中10例)であった。

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血友病A治療は新時代へ、スーパーイロクテイトの発売間近(解説:長尾梓氏)

 BIVV001の名前で知られているefanesoctocog alfa(エフアネソクトコグ アルファ、国内で承認申請中)の第III相試験であるXTEND-1試験の結果がNEJM誌2023年1月26日号に掲載された。 注目ポイントは、50 IU/kg週1回の定期投与で投与から約4日間は第VIII因子活性が40%を上回っており、7日目のトラフも15%(平均)と非常に高いこと。その結果、もちろんABRは低く抑えられ、試験開始前の定期補充療法への優越性が示されたこと(p<0.001)。さらに、出血イベントは74%がオンデマンド群でみられたが、出血の97%がefanesoctocog alfa(50 IU/kg)の1回の注射により消失したことである。 第VIII因子製剤は何の加工もないと半減期が12時間程度で、2日に1回の注射でもトラフを1%保つことが困難だった。それを克服するためpegやFcといった結合タンパクで半減期を延長するよう設計されたのが半減期延長製剤(EHL)で4種類が発売中であるが、半減期は一律1.5倍程度である。第VIII因子の半減期はvon Willebrand因子(VWF)の半減期に規定されており、第VIII因子をいくら加工しても半減期の上限があった。同薬は、VWFによる半減期の上限を克服するためVWFの一部を第VIII因子に結合させるという発想のもと設計された新たなクラスの第VIII因子製剤である。 本論文の筆頭著者は米国・UCサンディエゴ校のDr. Annette von Drygalskiであり、筆者は本コメント記載中、ちょうどDr. von Drygalskiのセンターに臨床留学中。同薬のベースがイロクテイト(一般名:エフラロクトコグ アルファ、Sanofi、フランス)であることから、当センターでは“スーパーイロクテイト”と呼ばれている。

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小児の点滴ルート確保時の疼痛を減らすまさかの方法【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第228回

小児の点滴ルート確保時の疼痛を減らすまさかの方法Pixabayより使用奇抜なタイトルの論文だったので、まさかトップジャーナルとは思っていませんでした。読んだ後に気付きました、すいません。この連載では、私もあえて「誰も知らないマイナー医学雑誌」の論文を読みあさっているワケではないので、誤解なきよう。Lee HN, et al.Effect of a Virtual Reality Environment Using a Domed Ceiling Screen on Procedural Pain During Intravenous Placement in Young Children A Randomized Clinical Trial.JAMA Pediatr. 2023;177(1):25-31.VRゴーグルのゲームってやったことあります? 私は一度、家電量販店でVRゴーグルをかけて崖の上に立ったことがあるのですが、後ろから妻に押されて「殺す気か!」と思ってしまいました。没入感がすごいですよね。そんなVRの世界に入っているタイミングで小児の点滴ルートを確保したら、疼痛が少なくなるんじゃないか、あわよくばバレないんじゃないか、という研究立案をしたのがこの研究です。実際に、小児の気をそらすということが効果的であることは示されていて、VRはその最有力候補だったのです1)。かといって、小児にVRゴーグルを着用してもらうことは困難なので、ドーム型の天井スクリーンを使ったVR環境を実現するというなかなか大掛かりなランダム化比較試験です。対象となったのは、静脈ルート確保が必要な生後6ヵ月~4歳の小児です。主要評価項目は、ベッドに寝かせた後から針が皮膚を貫通するまでの4時点における疼痛スコアとしました。スケールはFLACCという小児用の疼痛スコアを用いました。88人の小児のうち、44人がVR環境、44人が非VR環境にランダム化されました。針を貫通した時点のFLACCスコアの中央値は介入群6.0(四分位範囲:1.8~7.5)、対照群7.0(5.5~7.8)という結果でした。中央値にはさほど差がないように見えますが、順序ロジスティック回帰モデルではVR介入群のほうが疼痛が少ないことが示されました(オッズ比:0.53、95%信頼区間:0.28~0.99、p=0.046)。SNSなどで、子供の気をそらしながらワクチンを一瞬で接種する小児科医の動画を見かけますが、これも同じロジックです。というわけで、小児救急でどんどんVR環境を広めていきましょう!1)Litwin SP, et al. Virtual Reality to Reduce Procedural Pain During IV Insertion in the Pediatric Emergency Department: A Pilot Randomized Controlled Trial. Clin J Pain. 2021 Feb 1;37(2):94-101.

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第147回 インフル流行、ウイルス干渉説は間違いだった?

この3年間、一般的には感染症と言えば新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のことばかりが取り上げられ、切り口によっては世論が分断するかのようなやり取りがあちこちで繰り広げられてきた。そうした中で私が友人などからよく「医療関係者の言うことはオオカミ少年」と何度か指摘されてきたテーマがある。それは「新型コロナ・インフルエンザ同時流行予測」である。確かにこれは新型コロナ・パンデミックが始まった2020年から言われてきたことだが、少なくとも2022年春までは杞憂に終わっている。しかし、国立感染症研究所の発表によれば、季節性インフルエンザの2023年第4週の定点当たり報告数は10.36人と注意報レベルとなり、第5週はさらに12.66人まで上昇している。第5週時点で都道府県レベルでは沖縄県が47.18人、福井県が35.46人とすでに警報レベルに達しており、大阪府も29.91人と警報レベル目前である。一方、新型コロナの第8波はすでにピークを越え、ここ数日の全国の新規陽性者報告数が3万人を切る状況になっている。とはいえ、この数字が第5波のピークよりも多いことを考えれば、現在の状況は「新型コロナ・インフルエンザ同時流行」と言っていいだろう。では、なぜここに来て同時流行状態となったのだろう?以前よく語られていた新型コロナ・パンデミック後のインフルエンザ流行下火の原因は、ある種のウイルスが流行すると他のウイルスが流行しない、いわば宿主の争奪戦で勝ったものが流行する「ウイルス干渉説」である。しかし、現状を見ればこの説が正しかったとは言えない。また、アメリカでは一足先に昨年10月くらいからインフルエンザが流行し始めた。12月上旬には新型コロナの流行も相まって、米・保健福祉省が「全米の病床使用率が80%超となった」と発表。同月下旬には米政府が抗インフルエンザ治療薬オセルタミビル(商品名:タミフル)の国家備蓄分を各地に配布し始めたほどである。このことをどのように考えれば良いのだろうかと思っていたが、先日ある専門家があくまで私見として次のように語ってくれた。「もし事実だとすれば教科書を書き換えなければならない話ともいえるが、実は日本にとってインフルエンザは土着感染症ではなく、輸入感染症だったのかもしれない」この専門家の話を聞いてから、私も改めていろいろと調べてみた。まず参照したのは世界保健機関(WHO)が公表している全世界的インフルエンザ・サーベイランスデータ「Flunet」である。これを見ると、2019~20年秋冬シーズン以降、最近までインフルエンザが定期的に流行している地域があった。インド、ネパール、バングラデシュなどのいわゆる南アジア地域である。これらの国の中でも若干流行の度合いは異なり、バングラデシュはほぼコロナ以前と同様の流行の波があり、インド、ネパールは2020年夏から2021年冬にかけてはほとんど流行が認められなかったが、それ以外の時期はほぼコロナ禍以前と同様の流行が起きている。ちなみにこれらの国はネパールやインド北部などを除くと、気候上は熱帯に属するため、冬という季節がない。このためインフルエンザの流行は雨季で人が屋内で密集しやすい6~10月くらいに起こる。それを踏まえて出入国管理統計を見ると、2019年はこれらの3ヵ国からの日本入国者は約26万人。これが2020年には約5万4,000人、2021年には約2万7,000人程度まで減少している。2022年6月に岸田 文雄首相は、水際対策としてそれまで停止していた外国人観光客の受け入れを段階的に緩和し始め、最新の2022年11月の出入国管理統計月報を見ると、この南アジア3ヵ国からの入国者はこの月だけで2万人を超えている。ちなみに前述のように、これらの国々では6月ごろからインフルエンザ報告数が増加するのが常だが、やはり2022年もこれは同様だった。日本が入国緩和策を取り始めた6月というのも同時期であったことを考えると、確かに状況的には相関があるし、少なくとも「ウイルス干渉説」よりは説得力があると言えそうである。もっともそれでも現状では「インフルエンザ輸入感染症説」は仮説の域を出てはいない。しかし、もしこの仮説が証明されたとしても、私たちは何らかの具体的な防衛策を立てようもないという現実も悩ましい。だからと言って、こうした地域からの入国者に対する検疫の強化や入国制限はとても合理的とは言えないことは、ほぼ衆目の一致することではないだろうか?結局のところ、われわれには、これまで新型コロナ対策を通じて明らかになった、手指消毒、ワクチン接種、状況に応じたマスク着用を淡々とかつ着実に実行するしかないという着地点しか見いだせない。自分を含む浮気な大衆に、これらの地味で時には鬱陶しいと思う努力を日常生活にどれだけ自然に定着させるか、という課題がより難易度を高めるだけかもしれない。そう思うと、この仮説が証明されることはこれまでの日常的な感染対策に飽き飽きしている今の社会にさらなる分断を生み出すだけかもしれないと、やや暗澹たる気持ちにさえなってしまう。

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血管外漏出ガイドライン発刊、抗がん剤治療時の最新知見

 がん薬物療法を行ううえで、点滴の血管外漏出の予防、早期発見、対処・管理は重要な課題である。2022年12月、日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会(3学会合同)が『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版(改訂3版)』を発刊した。血管外漏出の対策を日常的に実施するも、実は推奨されていなかった…ということも無きにしもあらず。ぜひこの機会に抗がん剤をオーダーする医師にも薬剤の血管漏出時対応の最新知見を確認いただきたい。血管外漏出ガイドライン2023年版は新たな医療機器や薬剤が色濃く反映 血管外漏出ガイドライン改訂では、血管外漏出(EV:extravasation)が問題となる抗がん剤のリストに大きな変更はないが、それらをマネジメントするための新たな医療機器(PICCカテーテル)や薬剤(デクスラゾキサン)の登場が色濃く反映されている。また、がん薬物療法時の制吐薬に用いられるホスアプレピタントは注射部位反応の増加が報告されているが、それとEVとの関連についても触れられている。 『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版』で押さえておきたい変更点は以下のとおり。CQ3「がん患者に対して中心静脈デバイスを留置する際、CVとPICCどちらが推奨されるか」-CQ2で「中心静脈デバイスを留置するかしないか」を検討し、ここではデバイスの選択について検討されている。各論文ではデバイス3種の比較がなされていたことから、CQ3a(CV vs. PICC、推奨の強さ:弱い・方向:行うこと)、CQ3b(CV vs.ポート、同:弱い・同:行うこと)、CQ3c(PICC vs.ポート、同:強い・同:行うこと)とそれぞれのCQが設けられている。なお、検討に対して最も重要なアウトカムとしてデバイスfailure(閉塞、感染、血栓、抜去など)を設定して可能な場合にメタアナリシスを行っている。CQ7「EVリスクを考慮した場合、ホスアプレピタント投与を行うことは推奨されるか」(同:弱い・同:行うこと) ホスアプレピタントの投与はアプレピタントの内服困難症例などに限定し、注射部位反応に注意しながら使用することを弱く推奨する。ホスアプレピタントによりEVリスクが高まるエビデンスはないが、併用したがん薬物療法の種類によってはそのリスクが増加するという報告があるため、併用時には注意が必要となる可能性がある。CQ9「皮膚障害の悪化予防としてEVが起こったときに残留薬液または血液の吸引は推奨されるか」(推奨なし) 実際に吸引を行っても残留薬液または血液を吸引できることはまれであり、この有用性を検討する必要があると判断された。CQ10「EVによる皮膚障害・炎症の悪化・進行を防ぐために局所療法として冷罨法(冷却)は推奨されるか」(同:弱い・同:行うこと) 冷罨法を用いることで痛みの軽減、安心感や満足感が得られる面から優先される対応であるが、施行時期や期間、温度については定まっておらず、悪化の抑制などに有効であるかは不確かである。CQ11「アントラサイクリン系がん薬物療法薬のEVにデクスラゾキサンの使用は推奨されるか」(同:弱い・同:行うこと) デクスラゾキサン(商品名:サビーン)は2014年に“アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤のEV”を効能効果として承認された薬剤であり、医療ニーズの高い医薬品である。しかし、費用対効果(薬価:4万6,437円/瓶)※や投与日数(3日間連続投与)などから患者の不利益になる可能性もあるため、本CQで明らかにすることとした。※2023年2月時点

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子育て世代の日本人女性のうつ症状スクリーニング尺度MDPS-M

 産後うつ病は、出産後の女性にとって重要な問題の1つである。産後うつ病の早期発見と適切な治療には、うつ病リスクの高い女性を迅速かつ簡便に特定することが必要である。大阪大学の竹内 麻里子氏らは、子育て世代の女性の身体症状からうつ症状をスクリーニングする尺度を開発し、検証の結果を報告した。今回、著者らが開発した子育て世代の女性のうつ症状スクリーニング尺度「MDPS-M」は、プライマリケアにおいてうつ病リスクが高い母親の早期の特定に有用かつ簡便な臨床尺度である可能性が示唆されたという。Frontiers in Psychiatry誌2022年12月1日号の報告。 漢方医学の概念に基づいた身体症状に関する17項目の質問(0、1、2点の3段階スコア)からなる、軽症以上のうつ症状をスクリーニングする簡便な自己記入式の尺度Multidimensional Physical Scale(MDPS)を開発した。子育て世代(産後0~6年)の女性1,135人のうち、学習用データとして偏りなくランダムに抽出した785人、検証用データとして350人を対象に解析を行った。うつ病の判定には、ベック抑うつ質問票(BDI-II)を用いた。学習用データの多変量ロジスティック回帰分析を行い、最終モデルを作成した。 主な結果は以下のとおり。・MDPS合計スコア(0~34点)に月経再開の有無(-3、0点)を加えたMDPS for mothers(MDPS-M)を作成した。・うつ病リスク特定のためのROC分析では、MDPS-M(-3~34点)の良好な鑑別が示唆された(AUC:0.74、95%信頼区間[CI]:0.70~0.78)。・MDPS-Mのカットオフ値(9/10)における軽症以上のうつ病検出精度は、感度84.9%、特異度45.7%、陽性的中率36.7%、陰性的中率89.2%であった。・MDPS-Mの外部検証では、開発コホートと同様の分析において良好な鑑別が確認された(AUC:0.74、95%CI:0.68~0.79)。

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高齢者・小児のマネジメントを追加、COVID-19診療の手引き9.0版/厚労省

 2月10日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第9.0版」を公開し、全国の自治体や関係機関に通知を行った。 今版の主な改訂点は以下のとおり。■診療の手引き9.0版の主な改訂点【1 病原体・疫学】・病原体/国内発生状況/海外発生状況の内容を更新【2 臨床像】・臨床像/重症化リスク因子/合併症/小児例の特徴/妊婦例の特徴の内容を更新【3 症例定義・診断・届出】・症例定義/血清診断/届出の内容を更新【4 重症度分類とマネジメント】・序文/軽症/中等症/重症/ECMO/血液浄化療法/妊産婦の管理・図の内容を更新・薬物療法のポイントをレイアウト上新設・高齢者の管理/小児の管理を独立して追加【5 薬物療法】・抗ウイルス薬/中和抗体薬/免疫抑制/調節薬/妊婦に対する薬物療法/日本国内で開発中の主な薬剤の内容を更新【6 院内感染対策】・序文/個人防護具/環境整備/廃棄物/死後のケア・職員の健康管理/医療従事者が濃厚接触者となった場合の考え方・感染予防策を実施する期間/妊婦および新生児への対応の内容を更新【7 退院基準・解除基準】・退院基準/宿泊療養等の解除基準の表をわかりやすく修正※これらのほか個々の文献情報なども更新。

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リブレの使用パターンと臨床的特徴が明らかに/京都医療センターほか

 先進糖尿病デバイスの進歩により、血糖変動を点から線で計測できる時代となった。おかげで糖尿病を持つ人は自分では気付かない低血糖への対応ができるようになった。では、血糖自己測定(SMBG)のアドヒアランスについて何らかの傾向はあるのだろうか。 坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(9施設)は、日本人の1型糖尿病(T1D)を持つ人を対象に、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いたSMBGのアドヒアランスと、FreeStyleリブレシステム(以下「リブレ」)とSMBGの使用パターンと臨床的特徴がクラスター分析で明らかとなった。Internal Medicine誌オンライン版2023年1月12日号の報告。 わが国でリブレを使用しているT1Dを持つ成人209例を登録。登録基準は、T1D、リブレ使用期間3ヵ月以上、年齢20歳以上、研究協力施設に定期的に通院。3つの変数(1日当たりのSMBG回数、高血糖または低血糖時にリブレデータを参考にする割合)を用いて階層型クラスター分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・医師が推奨するSMBGの良好なアドヒアランス率は85.0%だった。・次の3つのクラスターが確認された。(1)クラスター1(SMBGの頻度は低いがリブレのデータを参照している割合が高い)は17.7%。(2)クラスター2(SMBGの頻度は高いがリブレのデータを参照している割合は低い)は34.0%。(3)クラスター3(SMBGの頻度は高く、かつリブレのデータを参照している割合も高い)は48.3%。・他のクラスターと比較し、クラスター1は若年で、クラスター2はリブレの使用期間が短く、クラスター3は血糖値が70~180mg/dLの治療閾にあるTime in Range(TIR)が少なく、スナック菓子や甘い飲料を飲む者の割合が多く、重度の糖尿病ストレスを感じている者の割合が多かった。・糖尿病合併症の発症率およびリブレ装着率にはクラスター間で顕著な差はなかった。 本研究について、共同研究者の廣田 勇士氏(神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門)は、「大半の患者が医師の推奨するSMBGを実践していた。リブレの使用パターンにより臨床的特徴が異なっており、リブレを用いた糖尿病治療支援を行う際に大いに役立つと考えられる」と述べている。

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妊娠中のコロナワクチン接種、出生児の感染/入院を予防/BMJ

 妊娠中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン2回接種は、出生児の生後6ヵ月間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株への感染と入院に対し高い有効率を示し、オミクロン株の感染と入院に対しても中等度の予防効果が認められた。また、3回目のワクチン接種によりオミクロン株に対する有効率が上昇したこと、ワクチン2回接種の有効率は、母親の妊娠第3期での接種で最も高く、生後8週を過ぎると低下していた。カナダ・トロント大学のSarah C. J. Jorgensen氏らが、オンタリオ州の地域住民を対象とした検査陰性デザイン研究の結果を報告した。SARS-CoV-2中和抗体は、妊娠中の感染やワクチン接種により臍帯血、母乳、乳児血清に存在することが明らかになっており、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が、乳児のSARS-CoV-2感染および入院リスクを低下する可能性を示唆する新たなエビデンスが示されていた。BMJ誌2023年2月8日号掲載の報告。生後6ヵ月未満児約8,800例について、母親の妊娠中のワクチン接種との関連を解析 研究グループは、ICES(旧名称:Institute for Clinical Evaluative Sciences)のデータベースを用い、カナダで最も人口の多いオンタリオ州において2021年5月7日~2022年3月31日の期間に生まれ、2021年5月7日~2022年9月5日の期間にSARS-CoV-2の検査を受けた生後6ヵ月未満児を特定し解析を行った。COVID-19ワクチン接種データベース(COVaxON)を用いて母親の妊娠中のワクチン接種状況を調べ、デルタ株またはオミクロン株の感染が検査で確認された乳児を症例群、検査が陰性であった乳児を対照群として、乳児のデルタ株またはオミクロン株の感染または入院に対するワクチン有効率を多変量ロジスティック回帰モデルにより解析した。 乳児8,809例が適格基準を満たし、症例群はデルタ株99例、オミクロン株1,501例、対照群はそれぞれ4,365例、4,847例が含まれた。妊娠中の2回接種、乳児のオミクロン株感染/入院に対する有効率は45~53% 母親が妊娠中にワクチンを2回接種した場合の有効率は、乳児のデルタ株感染に対して95%(95%信頼区間[CI]:88~98)、デルタ株感染による入院に対して97%(73~100)であり、オミクロン株感染に対しては45%(37~53)、オミクロン株感染による入院に対しては53%(39~64)であった。 また、妊娠中のワクチン3回接種の有効率は、オミクロン株感染に対して73%(95%CI:61~80)、オミクロン株感染による入院に対して80%(64~89)であった。 乳児のオミクロン株感染に対するワクチン2回接種の有効率は、妊娠第1期(47%、95%CI:31~59)または第2期(37%、24~47)と比較して、妊娠第3期で最も高かった(53%、42~62)。また、出生~生後8週までは57%(44~66)であったが、生後16週以降には40%(21~54)へ低下していた。

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中等症~重症の化膿性汗腺炎、セクキヌマブ2週に1回投与が有効/Lancet

 中等症~重症の化膿性汗腺炎患者において、セクキヌマブの2週ごとの投与は安全性プロファイルが良好で、化膿性汗腺炎を速やかに改善し、投与52週後まで有効性が維持されることが示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAlexa B. Kimball氏らが、日本を含む40ヵ国219施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SUNSHINE試験」および「SUNRISE試験」の結果を報告した。中等症~重症の化膿性汗腺炎に対して利用可能な治療選択肢は、わずかしかないのが現状である。Lancet誌オンライン版2023年2月3日号掲載の報告。セクキヌマブ300mgを2週ごとまたは4週ごと皮下投与vs.プラセボ SUNSHINE試験およびSUNRISE試験の対象は、1年以上、中等症~重症の化膿性汗腺炎(2ヵ所以上の解剖学的部位に、合計5つ以上の炎症性病変)を有する18歳以上で、試験期間中、市販の外用消毒剤を化膿性汗腺炎病変部位に毎日使用することに同意した患者を適格とした。ベースラインで20以上の瘻孔がある患者、併用禁止薬(全身性生物学的免疫調整薬、生ワクチン、または他の治験薬)による治療が必要な活動性皮膚疾患を有する患者などは除外した。 両試験において適格患者を、セクキヌマブ300mgを2週ごと皮下投与する群(2週ごと群)、同4週ごと皮下投与する群(4週ごと群)、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、投与16週後のHiSCR(ベースラインと比較して膿瘍および炎症性結節の数が50%以上減少し、かつ膿瘍数の増加がなく、かつ排膿性瘻孔数も増加がない場合と定義)を達成した患者の割合とした。両試験ともプラセボと比較しセクキヌマブ2週ごと投与で有意に改善 2019年1月31日~2021年6月7日の期間に、SUNSHINE試験では676例がスクリーニングされ、うち541例(80%、女性304例[56%]、男性237例[44%]、平均年齢36.1±11.7歳)が解析対象となった。2週ごと群が181例(33%)、4週ごと群180例(33%)、プラセボ群180例(33%)である。 同期間にSUNRISE試験では687例がスクリーニングされ、543例(79%、女性306例[56%]、男性237例[44%]、平均年齢36.3±11.4歳)が解析対象となった。2週ごと群180例(33%)、4週ごと群180例(33%)、プラセボ群183例(34%)。 HiSCR達成患者の割合は、SUNSHINE試験ではプラセボ群34%(多重代入法でのHiSCR達成患者数平均値は60.7/180例)に対し、2週ごと群で45%(81.5/181例)(オッズ比[OR]:1.8、95%信頼区間[CI]:1.1~2.7、p=0.0070)と有意に高率であったが、4週ごと群は42%(75.2/180例)(1.5、1.0~2.3、p=0.042、有意水準はp=0.025)でありプラセボ群との間に有意差は認められなかった。 一方、SUNRISE試験では、プラセボ群31%(183例中57.1例)に対し、2週ごと群42%(76.2/180例)(OR:1.6、95%CI:1.1~2.6、p=0.015)、4週ごと群46%(83.1/180例)(1.9、1.2~3.0、p=0.0022)で、両群とも有意に高率であった。 HiSCRを達成した患者の割合は、52週時の試験終了まで維持された。 投与16週後までの主な有害事象は両試験とも頭痛であり、発現率はSUNSHINE試験で2週ごと群9%(17例)、4週ごと群11%(20例)、プラセボ群8%(14例)、SUNRISE試験でそれぞれ12%(21例)、9%(17例)、8%(15例)であった。両試験とも、試験に関連した死亡は報告されなかった。両試験におけるセクキヌマブの安全性プロファイルは、これまでの報告と一貫しており、新たな、または予期しない安全性上の所見は認められなかった。

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部位別がんの5年相対生存率

がんの5年相対生存率(部位別・男女別)34.1脳・中枢神経系甲状腺(%)37.491.360.7口腔・咽頭69.481.881.7喉頭40.6食道45.967.564.6胃72.470.1大腸肝および肝内胆管胆のう・胆管膵臓肺22.18.98.126.836.235.129.5男性94.494.692.3乳房子宮頸部76.5子宮体部81.3卵巣60.099.1前立腺膀胱63.0腎・尿路悪性リンパ腫白血病女性46.8皮膚多発性骨髄腫95.841.976.570.464.866.468.643.643.444.95年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.がんの5年相対生存率(部位別・進行度別)口腔・咽頭13.953.514.554.0喉頭食道胃胆のう・胆管膵臓肺80.451.661.028.52.995.773.292.559.323.9前立腺甲状腺95.766.820.153.49.599.390.022.5卵巣腎・尿路98.139.3子宮体部遠隔65.816.5子宮頸部領域83.531.16.4乳房膀胱限局42.112.4皮膚97.375.317.315.43.11.896.751.96.6大腸肝および肝内胆管93.733.710.0(%)86.638.053.612.447.0100.099.287.394.395.7100.05年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値※限局:最初にがんが発生した臓器(原発臓器)にがんが限局/領域:所属リンパ節(原発臓器と関連するリンパ節)転移または隣接臓器への浸潤(がんの広がり)あり/遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤あり全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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幸せになる方法【Dr. 中島の 新・徒然草】(464)

四百六十四の段 幸せになる方法冬の寒さも幾分緩んできたような気がします。出勤前に、車のフロントガラスにお湯をかける頻度も減ってきました。また、コロナ第8波も収まりつつあります。皆で集まってのカンファレンスを再開することにしました。さて、最近よく考えるのは「幸福とは何か、不幸とは何か?」ということです。もちろん絶対的な基準はありません。収入は1つの基準ではありますが、不幸な金持ちは大勢いることでしょう。私が思うには、自分の人生をコントロールできているか否かが1つの指標になるのではないか、ということです。その目で物事を見ると「なるほど!」と思うことが沢山あります。夏休みの初日がなぜ幸せか。それは、自由に使える膨大な時間が目の前に横たわっているからです。逆に、2学期が迫ってくると何故悲しいのか。残り少ない日々を宿題に支配されてしまうからだと思います。どうして貧乏だと不幸なのか。それは、生活のいろいろな場面で経済的制限を受けるからです。空腹を我慢したり、疲れていても徒歩で移動したり。休日に自分の意思で職場に行っても不幸な気がしません。すべての時間を自分が好きに使え、途中で帰るのも勝手だからです。患者さんの急変で深夜休日に呼び出されるのとはまったく違っています。年を取るのがつらいのは、自分の体を自分でコントロールできないからでしょう。夜中に3回もトイレに行くとか、2階に上がるのにエレベーターを使ってしまうとか。若い時には想像すら出来ませんでした。では、どうすれば幸福度を上げることができるのか?1日の生活の中で、自分がコントロールできる部分を増やす、というのが1つの方法ではないかと思います。たとえば部屋の中の物を減らすと幸福感が増すのではないでしょうか。逆に、物が溢れ返ってコントロールできていない状況は、考えただけでも憂鬱になります。また、自分の貯金や借金の量を把握できていなければ、これも辛いですね。宝くじが当たっても「今は忙しいから後にしてくれ!」と言いたくなるかも。知らんけど。ということで、私自身、時間や仕事量をできるだけコントロールしよう、と頑張っております。そうすれば、自分自身の幸福感がアップするのではなかろうかと期待してのことですが。仕事については、溜め込まずにすぐに取り掛かるのが有効な方法かと思います。読者の皆さんはどのようにお考えでしょうか?ということで最後に1句立春に 幸せ何かと 考える

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サブスペフェロー面接本番!日本人カテーテル医の魅力をどう売り込むか【臨床留学通信 from NY】第44回

第44回:サブスペフェロー面接本番!日本人カテーテル医の魅力をどう売り込むかさて、今回はマサチューセッツ総合病院(MGH)の面接当日の様子を紹介します。フェローシップ申請サイトのERASが12月7日にオープンする前にさっさと決めてしまいたいという思いもあって、先行して行われるMGHの面接に全力で臨みました。オンライン面接となれば、普通は部屋を明るくして自分の印象を良くするものですが、私は家の中が騒々しいため、やむなく病院の当直室で、やや暗めの光の中で行いました。Program Director、Associate Program Directorと呼ばれる2人との同時面接で、開始時間は先方が空いてる時間帯をいくつか提示され、その中から選ぶ形でした。多くのかしこまった面接はコーディネーターにあたる方から連絡が来て、何人かの候補者と同時に面接をするのが普通なのですが、今回はそれと異なり私1人だけであり時間もフレキシブルでした。おそらく内部候補者でスポットが埋まらず、ERASがオープンする前では私以外に候補者がいなかったのでしょう。逆にこれを大きなチャンスと捉え、少し気楽に、誰かとの比較ではなく自分自身の今までの日本での経験や、なぜ米国に来たのかということ、これから先何をしたいかということを純粋に伝えればいいという風に考えました。レジデントや通常のフェローの場合は、「なぜ内科なの? なぜ循環器なの? 循環器の何がしたいの?」とかいう質問も多いですし、“What are your strength and weakness?” “Why our program?”といった質問もあります。しかし、フェローシップのサブスペシャルティともなると、そのような細かいことは聞かれません。また、もし初めて米国に来るために内科の面接を受けるならば、経験がないため英語力も見られているでしょう。私の英語も問題はないとは言えませんが、そこはいわゆる“Tell me about yourself.”に対して、事前に用意して繰り返し練習した内容をスラスラと伝えました。Zoomのため、カンペのようにいくつかのポイントをPCのキーボードの上に置いておき、たとえば“What questions do you have?”といったよくある質問にも、焦らずいくつか答えられるようにしておきました。もちろん「バケーションはどれくらいですか?」とか、「夜終わるの遅いんですか?」といった質問は禁忌です。日本国内の医師はほぼ面接は皆無、どこの病院に行っても基本はウェルカムであることから、こういった就職面接というのは日本語でもやっていないのにどうしたもんだ、という心境でしたが何とか乗り切りました。今回は循環器の中のサブスペシャルティのカテーテル治療であり、一般のフェローとは違ったスキル、かつ日本的な丁寧なカテーテル治療ができる、というのも魅力的に思わせるようにしました。いかに自分を売り込むか、魅力的な候補者か、プログラム側がその候補者を取った場合にどんなメリットがあるかを伝える必要があり、日本人にはなかなか難しいところとも言えます。おおむねプログラム側も通常は和やかな雰囲気にしてくれますので、雰囲気が良かったかどうかで出来は決まりませんが、日本でのカテーテル治療、臨床研究の経験を活かし、米国に来たのはさらなるアカデミックキャリアを築くため、という一本道を伝えきりました。面接を終えると、その直後はサンクスギビングで連絡は途絶え、その間は次の面接の準備をしていました。そしてついに、休み明けの月曜に、“I would like to offer you the position of the interventional cardiology fellowship at MGH beginning 7/2024”というメールが来た時は、4年半の米国での苦労が少し報われたような、張り詰めていた緊張も少し和らいだ気がしました。Column5~11歳を対象としたCOVID-19のワクチンの有効性を述べた論文が、JAMA Pediatrics誌に掲載されたため紹介させていただきます。本誌には昨年にも2本掲載され、今回3本目になります。Reviewerもしっかりしていて、いろいろ学ぶことができました。この論文について、米国のトップニュースメディアの1つであるABCからも取材を受けました。Watanabe A, Kuno T, et al. Assessment of Efficacy and Safety of mRNA COVID-19 Vaccines in Children Aged 5 to 11 Years: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2023;e226243.ABC News:COVID-19 vaccines are safe and effective for kids, according to new data

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映画「アバター」【私たちの心はどうやって生まれたの?(進化心理学)】Part 1

今回のキーワード社会脳進化的適応環境(EEA)プレゼント仮説ダンバー数クッキング仮説人間関係の量と質映画「アバター」の舞台は、近未来の地球からやや離れた惑星パンドラ。そこに侵略しようとする地球人と先住民族との戦いを描いています。CGによる実写を超えた大自然の映像美とシンプルなストーリーで、私たちは時間を忘れてその世界観にどっぷり浸かることができます。今回の記事では、この映画に登場する先住民族たち同士のやり取りを通して、私たち人類の心がどうやって生まれたのかという心の起源に迫ります。そして、進化心理学そのものについて解説します。私たちの心とは?主人公は、先住民族ナヴィの森の民の長であるジェイク。もともと人間でしたが、アバターに完全に乗り移ることによって先住民族の一員になり、地球人から村を守ろうとします。しかし、彼だけが裏切り者として地球人のターゲットになってしまっていたため、彼は森の民を守るために自分の家族だけを引き連れて、遠い海の民の村に身を潜めます。ここから、その後の3つのシーンを通して、私たちの心の本質を説明します。(1)助けるか迷う1つ目は、ジェイク一家が海の民の村にやってくるシーン。出迎えた海の民の長トノワリは、他の海の民たちが見守るなか、そして妻ロナルが拒む様子を見せるなか、ジェイクたちを受け入れるか一時迷います。そのわけは、個人的には同じ長として助けたいと思いつつ、助ければ自分の部族が危険にさらされる恐れがあったからでした。(2)気を遣う2つ目は、ジェイクの息子ロークがトノワリの息子アオノンからよそ者として馬鹿にされたことに腹を立てるシーン。ロークはアオノンについ手を出してしまいます。ロークは父親ジェイクから「相手は長の息子だぞ。トラブルを起こすな」と叱られます。ジェイクは海の民たちに気を遣っていたのでした。こうして、ロークはアオノンに渋々謝りに行きます。(3)かばう3つ目は、アオノンがロークを危険な海に無理やり連れ出すシーン。なんと、アオノンはロークを置いてけぼりにして、仕返しをします。ロークは1人で何とか危険を脱して夜遅くに帰ってきます。アオノンが父親トノワリから叱られるなか、ロークは「いや、自分が行きたいって頼んだんだ」とアオノンをかばうのです。不思議に思ったアオノンは「なんでかばったんだ?」とあとで聞きます。すると、ロークは「部族の長の息子の気持ちはよくわかるから」と答えて、2人は仲直りをするのです。このように、助けるか迷ったり、気を遣ったり、かばったりするのは、私たちがどこかで見たことがあるような、よくあるシーンです。彼らは地球とは違う惑星の、人類とは違う生物種族でありながら、その心は私たちとまったく同じように描かれています。この心のあり方とは、常に相手の気持ちを推し量り、周り(集団)とうまくやっていくことです。これは、社会脳と呼ばれています。私たちの心の進化を促した環境とは?この私たちの社会脳は、いつ生まれたのでしょうか? それは、まさにナヴィ族が生きているような部族社会をつくっていた原始の時代であったと考えられています。それは、どんな環境でしょうか? ナヴィ族を通して、その特徴を大きく3つ挙げてみましょう1)。(1)その日暮らしで助け合うナヴィ族の森の民も海の民も他の動物を狩ったり、木の実や海藻を採ったりするなどの狩猟採集生活をしています。しかし、これらの食料は、基本的に蓄えることができません。そのため、誰かの食料が尽きれば、部族の別の誰かの食料を分けてもらいます。1つ目の特徴は、その日暮らしで助け合うことです。周りにある資源は部族全員のもので、所有の概念がありません。人口密度が低いため、資源がなくなれば、部族全員で別の場所に移住します。もちろん、他の部族の縄張りを侵せば、争いに発展します。なお、獲物を捕まえる心理の進化の詳細ついては、ギャンブル脳として関連記事1をご覧ください。(2)みんな顔なじみでわかり合うジェイク一家を出迎えた時に集まった海の民の数は、100人程度でした。そして、ロークが行方不明になった時、トノワリの指示のもと、部族全員がすぐに結束して、みんなで捜索をしていました。部族全員がお互いのことをよく知っており、通じ合っています。2つ目の特徴は、みんな顔なじみでわかり合うことです。そのために、部族の規模はそれぞれの家族や親族を中心としてつながった100人程度の小規模な集団になります。なお、一致団結する心の進化の詳細については、同調の心理として関連記事2をご覧ください。(3)いつも死と隣り合うジェイクはロークに「トラブルを起こすな」と叱りました。しかし、もしもそうしなかったら海の民からひんしゅくを買って追い出されたでしょう。そして、他にどこの部族も入れてくれなければ、それは死を意味します。なぜなら、彼らは集団になって食べ物を分け合い、猛獣から自分や子供たちを守り合って、何とか助け合って生きているからです。また、ロークは危険な海に置いてけぼりにされて、危うくサメのような魚に食べられて死ぬところでした。ジェイクの娘のキリがてんかん発作を起こした時、治療のためにやっていたことは、ロナル(トノワリの妻)の祈祷だけでした。3つ目の特徴は、いつも死と隣り合うことです。仲間外れにされたら死を待つだけです。それだけでなく、そもそも医療が発展していないため、乳幼児の死亡率は高いです。その日暮らしであるため若くして死ぬことも珍しくなく、平均寿命も低いです。だからこそ、人口密度が低いのです。なお、いつも死と隣り合う心の進化の詳細については、不安の心理として関連記事3をご覧ください。私たちの心の進化を促したこのような環境は、進化的適応環境(EEA)と呼ばれています。この映画では、ナヴィ族を通して、実は原始の時代の人類の生活環境をわかりやすく描いています。言い換えれば、ナヴィ族の暮らす森や海は、私たち人類の心の進化を考えるうえで、うってつけのモデル環境であるといえます。次のページへ >>

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