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低所得者、腎機能低下・透析開始リスクが1.7倍に/京都大学

 これまでの研究により、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行には社会経済要因(所得、教育歴、居住地など)との関連がみられ、社会経済的地位の低い人ほどリスクが高いことが示されてきた。しかし、皆保険制度のある日本での状況はわかっていなかった。 京都大学の石村 奈々氏らは全国健康保険協会(協会けんぽ)の生活習慣病予防健診および医療レセプトのデータ(約560万人分)を用いて、収入と腎機能低下の関連を調査した。本研究の結果は、JAMA Health Forum誌オンライン版2024年3月1日号に掲載された。 本研究は、日本の現役世代人口の約40%(加入者数3,000万人)をカバーする協会けんぽに加入する、34~74歳の成人を対象とした全国規模の後ろ向きコホート研究だ。2015~22年に推定糸球体濾過量(eGFR)を2回以上測定した参加者を解析の対象とした。主なアウトカムは2015年度の月額収入を10分位に分けた所得水準別にみた、急速なCKD進行(年間eGFR低下量>5mL/分/1.73m2)のオッズ比、腎代替療法(透析・腎移植)開始のハザード比だった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となった559万1,060例は平均年齢49.2[SD 9.3]歳、33.4%が女性であった。女性は最も所得の低い群の71.1%を占め、男性は最も所得の高い群の90.7%を占めた。・潜在的交絡因子を調整後、所得が最も低い群(平均月収13万6,451円)は最も高い群(平均月収82万5,236円)と比較して、急速なCKD進行のリスクが高く(オッズ比:1.70、95%信頼区間[CI]:1.67~1.73)、腎代替療法開始のリスクも高かった(ハザード比:1.65、95%CI:1.47~1.86)。・急速なCKD進行との負の関連は、男性および糖尿病のない人でより顕著であった。 研究者らは「本研究は、健康保険や毎年の健康診断など手厚い医療制度がある日本においても、所得による腎機能低下リスクの差が男女ともに存在することを明らかにしたもので、低所得労働者に対する包括的なCKD予防・管理戦略の重要な役割を強調している」としている。

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統合失調症患者の脳容積の長期的な減少と認知機能との関連

 統合失調症の脳バイオマーカーを確立することは、精神科医による診断サポートに寄与するだけでなく、疾患経過に伴う脳の進行性変化をフォローするうえで重要となる。最近の研究報告では、統合失調症患者の脳の形態学的特徴が示されており、健常な人と比較し、脳容積が減少した脳領域クラスターにより定義されている。この兆候は、統合失調症患者と健康な人を鑑別するうえで有効であることが証明されており、統合失調症の脳バイオマーカーの有望な候補であることが示唆されている。しかし、長期的な特徴については、いまだ不明なままであった。東京慈恵会医科大学の山崎 龍一氏らは、統合失調症患者の脳容積の変化が時間経過とともにみられるのか、それが臨床アウトカムと関連しているのかについて調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌2024年3月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では、健康な人における年齢に伴う自然な脳容積の減少よりも、より大きな減少を伴う脳の形態学的に有意な変化がみられ、この変化が脳の進行性の形態学的変化を表していることが示唆された。・さらに、脳の形態学的特徴の変化とフルスケールIQの変化との間に有意な関連が認められた。・IQが改善した患者では、脳の形態学的特徴が維持されていたのに対し、IQの改善が認められなかった患者では、脳の形態学的特徴に進行性の変化がみられた。このことから、知的能力の回復の可能性と脳病変の進行速度との関連性が示唆された。 著者らは、「脳の形態学的特徴は、統合失調症患者の認知機能障害と関連する脳の進行性変化を評価するために使用可能な脳バイオマーカーである」と結論付けた。

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断酒から“減酒”へ、アルコール依存症の新たな治療戦略

 アルコール依存症やアルコールによる健康障害を回避するためには断酒・禁酒が推奨されてきたが、昨今の風潮ではアルコール依存症の治療でも重症度によっては「減酒」が第一歩となる。なぜ、断酒・禁酒ではなく減酒なのか。株式会社CureAppが主催した『減酒治療に関するメディアラウンドテーブル』では、治療法の時代変遷とそれに基づく減酒アプリ(現在、製造販売承認申請中)の実用化について、宋 龍平氏(減酒治療アプリプロジェクトリーダー/岡山県精神科医療センター臨床研究部 医師)が解説した。断酒から減酒、移行期の今 アルコール依存症の従来の治療目標は、お酒を止める断酒・禁酒が中心だったが、その一方で断酒への抵抗感を抱く患者が一定数存在すること、初期のアルコール依存症患者が治療を避けてしまうことが問題となっていた。しかし、減酒(飲酒量低減)を目標とした欧米の治療に基づき、新しい選択肢として、2019年に日本アルコール・アディクション医学会ほか4学会合同が「飲酒量低減治療マニュアル 第1版」1)を作成した。そのような国内での治療戦略の変化を踏まえ、株式会社CureAppは減酒治療に有用なアプリの開発に着手した。 本アプリがもたらす治療解決策について、宋氏らは「現時点で、アルコール依存症の診断名が付いた患者に利用できるような薬事承認や保険適用を受けた『減酒治療アプリ』はない。アルコール依存症患者のうち、診断を受ける患者は10%程度に過ぎず、アルコール依存症になってから深刻化するのには7~8年はかかると言われている。そのためにも早期から飲酒コントロールしていくことが治療の鍵になる。重症ではない症例においては、“減酒”が治療目標に加わることによって治療のハードルが下がる」と述べ、「アプリを導入することで患者の診察時間の短縮が目指せる」などのメリットを紹介した。その一方で、「重症例でも“減酒で良いだろう”というハレーションが起こっているのも事実。重症例では集学的な対応を求められることも多く、現状を確認して個々に向き合うことが必要」と、どのような患者に対しても減酒アプリを使うのではなく、アルコール依存症の重症度に応じた対応が重要であることも説明した。<減酒アプリに期待できること>・幅広い医療機関において、多量飲酒者への治療提供が実現できる・厚生労働省が推進するアルコール健康障害対策に貢献できる・飲酒の害を減らしたいが、断酒までは考えていない患者への治療の選択肢が増える(軽~中等症の場合のみ)・次の診察までの期間、患者も医師も飲酒量などを医師アプリで把握することができる アルコールは本人・他者への害の総量が嗜癖性物質のなかで最も大きく、本人の疾患リスク上昇2)はもとより、他者への害も大きい3)のが特徴だ。これまでにもアルコールに関連するガイドラインは存在したが、専門医向けであったため、多くの方に理解を得るために、先日、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」4)が発刊されるに至った。また、エビデンス不足により令和6年度の診療報酬改定における加算の新設には至らなかったが、減酒治療のために日本アルコール・アディクション学会が主体となって、適切な介入対象を拾い上げる目的で使用するスクリーニング検査「AUDIT(アルコール使用障害特定テスト)」や「アルコール関連疾患患者減酒指導料」などの提案がなされている。その足掛かりとしても本アプリの役割が期待されるところである。 なお、3月25日に本アプリの製造販売承認申請が行われたことが発表されたが、治験結果*の詳細については、国内外の学会や学術誌を通じて報告される予定である。*内科、精神科医療機関で実施されたランダム化比較試験。主要評価項目は登録時点から登録後12週時点までの多量飲酒日数の変化量で、通常診療と本アプリを併用する介入群は、通常診療と飲酒記録機能のみのアプリを併用する対照群に対し、統計的に有意な改善を認めた。

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NSCLCへの周術期ニボルマブ上乗せ、術前療法が未完了でも有効か(CheckMate 77T)/ELCC2024

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験(CheckMate 77T試験)において、周術期にニボルマブを用いるレジメンが良好な結果を示したことがすでに報告されている。本レジメンは、術前にニボルマブと化学療法の併用療法を4サイクル実施するが、有害事象などにより4サイクル実施できない患者も存在する。そこで、CheckMate 77T試験において術前薬物療法が4サイクル未満であった患者の治療成績が検討され、4サイクル未満の患者でも周術期にニボルマブを用いるレジメンが治療成績を向上させることが示された。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏が、欧州肺がん学会(ELCC2024)で報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験・対象:StageIIA〜IIIB(American Joint Committee on Cancer[AJCC]第8版)の切除可能NSCLC患者・試験群:ニボルマブ(360mg、3週ごと)+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→ニボルマブ(480mg、4週ごと)を最長1年(ニボルマブ群、229例)・対照群:プラセボ+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→プラセボを最長1年(プラセボ群、232例)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定に基づく無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]盲検下独立病理判定に基づく病理学的完全奏効(pCR)、病理学的奏効(MPR)、安全性など 今回報告された主な結果は以下のとおり。・ニボルマブ群の17%(38例)、プラセボ群の12%(27例)が術前薬物療法を3サイクル以下で中止した。このうち、有害事象による中止はそれぞれ55%(21例)、41%(11例)であった。・術前薬物療法のサイクル数別にみたEFS中央値は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群未到達、プラセボ群未到達(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.42~0.79) -4サイクル未満:それぞれ未到達、7.8ヵ月(同:0.51、0.23~1.11)・術前薬物療法のサイクル数と手術の有無別にみたpCR率は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群26.7%、プラセボ群5.4%(群間差:21.3%、95%CI:14.3~28.4) -4サイクル未満:それぞれ18.4%、0%(同:18.4%、2.9~33.4) -4サイクル完了かつ手術あり:それぞれ32.3%、6.5%(同:25.7%、17.4~33.9) -4サイクル未満かつ手術あり:それぞれ35.0%、0%(同:35.0%、2.5~56.7)・術前薬物療法のサイクル数と手術の有無別にみたMPR率は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群38.2%、プラセボ群13.7%(群間差:24.6%、95%CI:16.1~32.7) -4サイクル未満:それぞれ21.1%、0%(同:21.1%、5.1~36.3) -4サイクル完了かつ手術あり:それぞれ46.2%、16.7%(同:29.5%、19.6~38.7) -4サイクル未満かつ手術あり:それぞれ40.0%、0%(同:40.0%、6.9~61.3)・無作為化された全患者および術前薬物療法のサイクル数別にみた死亡または遠隔転移までの期間の中央値は以下のとおり。 -全患者:ニボルマブ群未到達、プラセボ群38.8ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.44~0.85) -4サイクル完了:それぞれ未到達、38.8ヵ月(同:0.61、0.42~0.88) -4サイクル未満:それぞれ未到達、10.9ヵ月(同:0.46、0.22~0.98)・術後薬物療法を受けた患者の割合は、術前薬物療法を4サイクル完了した集団ではニボルマブ群69%(131例)、プラセボ群71%(145例)であり、4サイクル未満の集団ではそれぞれ29%(11例)、26%(7例)であった。術後薬物療法のサイクル数中央値は、いずれの集団においても両群13サイクルであり、多くの患者が術後薬物療法を完了した。 Awad氏は、本結果について「CheckMate 77T試験の探索的解析において、切除可能NSCLC患者に対する周術期のニボルマブ上乗せは、術前薬物療法4サイクル完了の有無にかかわらず有効であった。手術を実施した患者集団において、4サイクル完了した患者集団と4サイクル未満の患者集団のpCR率とMPR率は同様であった」とまとめた。

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約20年ぶりの下部尿路症状の疫学調査、その結果は?

 本邦では、2002年に下部尿路症状(LUTS)に関する初めての疫学調査が実施され、過活動膀胱(OAB)の有病率などが報告された。当時の調査の結果では、40歳以上の男女のうち12.4%がOABに該当するとされ、加齢に伴いその割合は高くなったと報告されていた。また、40歳以上でOAB症状を有する人は、全国で約1,000万人と推計されていた。それ以降は本邦で大規模な疫学調査は行われていなかったが、日本排尿機能学会の前身である神経因性膀胱研究会が発足されてから50年の節目となる2023年において、現在の日本国内のLUTSの有病率と日常生活への影響を明らかにすることを目的として約20年ぶりの疫学調査が実施された。その結果は山梨大学の三井 貴彦氏らにより、International Journal of Urology誌オンライン版2024年3月21日号で報告された。 本調査には、国内のオンライン調査会社に匿名で登録された20~99歳の個人を対象に日本人の人口構成に基づいてサンプリングした計6,210人(女性3,088人、男性3,122人)が参加した。調査はインターネットを通じて実施され、アンケート内容はLUTSと日常生活に関する計48の質問で構成された。 主な結果は以下のとおり。・LUTSの全体的な有病率は、20歳以上の参加者では77.9%、40歳以上では82.5%であった。・LUTSの有病率は男女間で異なっており、ほぼすべてのLUTSで有症状率が年齢とともに大幅に増加する傾向が見られた。・OABの有病率は20歳以上の参加者では11.9%、40歳以上では13.8%であり、40歳以上の有病率は2002年の調査と比較して増加した。・「LUTSが日常生活に影響を与える」と回答した参加者の割合は12.4%であり、最も多く影響を与えていた症状は夜間頻尿であった。・LUTSの症状を有する参加者のうち、治療を受けているのは4.9%であった。また、OABの症状を有する参加者のうち、治療を受けているのは16.0%であった。・LUTSの治療を受けていない参加者の医療機関を受診していない理由としては、「症状に困っていない(86.4%)」「LUTSを病気だと思っていない(16.9%)」「LUTSを老化の結果だと思っている(15.0%)」などが挙げられた。

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進行滑膜肉腫、T細胞受容体療法が有効/Lancet

 既治療のHLA-A*02およびMAGE-A4発現滑膜肉腫患者において、afamitresgene autoleucel(afami-cel)治療は持続的な奏効をもたらしたことが示された。米国・スローンケターリング記念がんセンターのSandra P. D'Angelo氏らが、カナダ、米国、欧州の23施設で実施された非無作為化非盲検第II相試験「SPEARHEAD-1試験」の3つのコホートのうち、主たる治験コホートであるコホート1の結果を報告した。afami-celは第I相試験において、忍容性および安全性が確認され有望な有効性が示されていた。著者は、「本研究は、T細胞受容体療法を用いて効果的に固形腫瘍を標的とした治療が可能であることを示し、このアプローチを他の固形悪性腫瘍にも広げる根拠を提供するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年3月27日号掲載の報告。afami-celを単回投与、主要評価項目は奏効率 研究グループは、HLA-A*02を有しMAGE-A4を発現する転移のあるまたは切除不能の滑膜肉腫または粘液型円形細胞型脂肪肉腫(細胞遺伝学的に確認)の16~75歳患者で、少なくとも1ラインのアントラサイクリンまたはイホスファミドを含む化学療法歴がある患者をコホート1として登録し、リンパ球除去後にafami-cel(導入用量範囲:1.0×109~10.0×109T細胞)を単回静脈内投与した。 主要評価項目は、修正ITT集団(afami-celの投与を受けた全患者)における奏効率(ORR)で、RECIST version1.1に基づき盲検下独立評価委員会によって評価された。また、とくに注目される有害事象(サイトカイン放出症候群、遷延性血球減少症、神経毒性)を含む有害事象がモニタリングされ、修正ITT集団について報告された。 なお、本試験のコホート1および2は追跡調査が現在も進行中であり、コホート3は募集中である。奏効率は全体で37%、滑膜肉腫39%、粘液型円形細胞型脂肪肉腫25% 2019年12月17日~2021年7月27日に、細胞遺伝学的に確認された滑膜肉腫(44例)および粘液型円形細胞型脂肪肉腫(8例)を有する患者52例がコホート1に登録され、afami-celが投与された。患者の化学療法歴は、中央値が3(四分位範囲[IQR]:2~4)であった。 追跡期間中央値32.6ヵ月(IQR:29.4~36.1)において、ORRは全体で37%(19/52例、95%信頼区間:24~51)、滑膜肉腫患者39%(17/44例、24~55)、粘液型円形細胞型脂肪肉腫患者25%(2/8例、3~65)であった。 サイトカイン放出症候群が、52例中37例(71%)に発現し、うち1例がGrade3であった。主なGrade3以上の有害事象は血球減少症で、52例中、リンパ球減少症が50例(96%)、好中球減少症が44例(85%)、白血球減少症が42例(81%)であった。治療に関連した死亡は報告されなかった。

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早産児の鼠径ヘルニア手術の重篤AE、NICU退室前vs.退室後/JAMA

 早産児の鼠径ヘルニア修復術を、新生児集中治療室(NICU)退室後に行うことで、重篤な有害事象(AE)を発現した乳児が減少したことが示された。米国・テキサス大学健康科学センターのMartin L. Blakely氏らHIP Trial Investigatorsが、同国の39施設で実施した多施設共同無作為化臨床試験の結果を報告した。早産児は鼠径ヘルニアの罹患率が高く、修復術は一般的に行われるが、手術をNICU退室前にすべきか退室後にすべきかについては議論の余地があった。著者は、「今回の結果は、NICUからの初回退室まで鼠径ヘルニア修復術を遅らせることを支持するものである」とまとめている。JAMA誌2024年3月26日号掲載の報告。NICU退室前vs.退室後で、10ヵ月間の重篤AEの発現リスクを比較 研究グループは2013年9月~2021年4月に、初回入院中に鼠径ヘルニアと診断された早産児を、NICU退室前に鼠径ヘルニア修復術を施行する早期修復群と、NICU退室後に乳児が最終月経後年齢(postmenstrual age)55週を超えた時点で修復術を行う後期修復群に無作為に割り付けた。最終追跡調査日は2023年1月3日である。 主要アウトカムは、10ヵ月の観察期間中における事前に規定された重篤AEの発現(盲検下判定委員会による評価)、副次アウトカムは、同期間中の総入院日数などであった。重篤AE発現率、退室前(早期修復群)28%、退室後(後期修復群)18% 無作為化された早産児338例(早期修復群172例、後期修復群166例)のうち、320例が外科的修復術を受けた。患児背景は、男児が86%で、アジア系2%、黒人30%、ヒスパニック系16%、白人59%、人種不明9%、民族不明4%であった。また、出生時の平均在胎週数は26.6週(SD 2.8)、登録時の平均出生後週数は12週(5)であった。 338例中完全なデータが得られたのは308例(91%)(早期修復群159例、後期修復群149例)で、このうち1件以上の重篤AEが発現したのは早期修復群44例(28%)、後期修復群27例(18%)であった。群間リスク差は-7.9%(95%信頼区間:-16.9~0)であり、ベイズ事後確率97%で後期修復が有益であることが示された。 10ヵ月の観察期間中の総入院日数中央値は、早期修復群19.0日(四分位範囲[IQR]:9.8~35.0)だったのに対し、後期修復群では16.0日(7.0~38.0)であった(後期修復術の有益性のベイズ事後確率82%)。 事前に規定されたサブグループ解析では、後期修復により1件以上の重篤AEが発現する乳児の数が減少する確率は、在胎週数28週未満の乳児および気管支肺異形成症の乳児で高かった(各サブグループの有益性の確率は99%)。

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退職しました!【Dr. 中島の 新・徒然草】(523)

五百二十三の段 退職しました!4月といえば桜です。今年は例年に比べて桜の開花が早いのだとか。近所の桜も咲き始めています。とはいえ、あっという間に満開になり、そして散ってしまうわけですね。さて、私事になりますが、ついに22年間勤めた大阪医療センターを定年退職しました。3月末には引き継ぎやら引っ越しやらでバタバタしましたが、4月からは非常勤として週2回の外来をしております。これまではひっきりなしにかかってきていた電話に煩わされることもなくなり、本来業務に専念できるようになりました。さて、医師人生40年を振り返った率直な感想を述べたいと思います。若い先生方の参考になれば幸いです。(1)60歳を過ぎたら急激に体力が落ちる親の世代は55歳がサラリーマンの定年でした。でも、これはいささか早過ぎるような気がします。とはいえ、自分の経験からすると60歳くらいから体力が落ちてきました。もう週5日働くなどということは考えられません。週2日か3日くらい働くのが適正ではないでしょうか。そのくらいであれば、いろいろな雑事を自分のペースで片付ける体力も残っていそうです。(2)記憶力も落ちる新しいことを覚える力がなくなるどころか、古いことを覚えておくのも難しくなりました。なので、スマホをフル活用して、写真や録音で自らの記憶力低下を補っています。(3)それでも勉強は続けたいやはり勉強は最後に残る道楽!看護学校で神経解剖を教えることになり、ランビエ絞輪やIb抑制やらを勉強し直しています。今まで曖昧だった知識が明確になる瞬間は気持ちがいいですね。また、英語についても、もう少し話せるようになりたいと努力を続けています。(4)自らの経験を通じて患者さんにアドバイスすることができる物忘れ、ふらつきなど、自分で工夫した対策を伝授しています。自分が年を取ったからこそできることですね。(5)目が疲れやすい当然ですが小さな字を読むのが難しく、本を読む気力が湧いてきません。だから漫画を読むことが多くなりました。また、耳は目ほど疲れないのでYouTubeを聴くことが多いです。(6)患者さんとの距離感を取りやすくなった自分自身がいろいろな不調を抱えているせいか、高齢の患者さんとの心理的距離が近くなり、ニーズを捉えやすくなった気がします。共感的対応を心掛けるまでもなく、同病相憐れむという状態になってしまったのかもしれません。(7)宿題や締切がなくなった小学生の頃から苦しめられてきた宿題や締切が極端に減りました。これが一番嬉しい!というわけで「人間の幸せとは何か?」ということを思索しながら暮らしております。皆さま、令和6年度もよろしくお願いいたします。最後に1句新年度 宿題・締切 もう無しだ!

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第91回 紅麹コレステヘルプ関連腎障害の臨床データ

illustACより使用前回に引き続き「紅麹問題」の続編です。発酵食品に使われている麹や、添加物としての紅麹色素について、各企業に問い合わせが殺到しているそうです。この間、某牛丼店に行ったとき、「紅ショウガにも紅麹が入っているらしい」と近くの客が話しているのを耳にしました。たとえば、私の手元にあるものでは、カップラーメンやスナック菓子にも入っていますが、着色料としての使用が腎障害を起こすことは現時点ではないと考えられます。基本的に小林製薬関連以外の紅麹については安全です。前回書いたように、紅麹は「シトリニン」というマイコトキシンを産生する可能性が指摘されていましたが、小林製薬が使用している紅麹は、このトキシンを産生しない株であることが示されています。そのため、「別の成分」が腎障害の原因になったのではないかとされています。被疑成分として厚労省は「プベルル酸」を挙げていますが、腎障害の原因が同成分であることは確定しておらず、あくまで可能性の1つとして提示されたに過ぎません。さて、日本腎臓学会の紅麹コレステヘルプに関連した腎障害のアンケート調査結果(中間報告)が公開されています1)。これによると以下のような特徴があるとされています。(1)患者は30~70代まで認められるが、40~69歳が約9割を占める。(2)服用開始は約4割の人が1年以上前(服用開始時期2023年3月以前)だが、服用期間が短期間の人(開始時期2023年12月、2024年1月、2月)も発症している。(3)Fanconi症候群様の所見(表)。(4)腎生検(34例)では尿細管間質性腎炎、尿細管壊死、急性尿細管障害が主な病変。(5)透析療法を必要としたのは2症例のみで、ステロイド治療を行ったのが4分の1、被疑剤の中止のみが4分の3程度。画像を拡大する表. 紅麹コレステヘルプに関連した腎障害(参考文献1より筆者作成)報道では死亡例がドラスティックに取り上げられていますが、どこまで紅麹に関連しているかはコメントが難しいところかと思います。日本腎臓学会のレポートでは、透析治療を要した2症例のうち、1症例は透析から離脱しており、維持透析に移行した症例については糸球体腎炎の経過に矛盾しないことから、コレステヘルプとの関連性は低いとされています。紅麹がヨーロッパで規制されていることから、「紅麹を使うなんてそもそもおかしい」という論調もありますが、アジア諸国やアメリカでも紅麹はサプリメントとして売られていますので、紅麹そのものが悪というのは少し言い過ぎだと思います。拡大解釈されて、紅麹色素が使用されている他社製品にも風評被害が出ていますが、冒頭で書いた紅ショウガなどで使われているものと今回の紅麹は、まったく製造方法が異なるものです。過熱報道の側面が強いように思いますので、曇りなき眼で見定めたいところです。参考文献・参考サイト1)日本腎臓学会. 「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケート調査(中間報告)

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日本人中年男性の飲酒量と糸球体過剰濾過の関係~関西ヘルスケアスタディ

 糸球体濾過量(GFR)は低値だけでなく、その数値が著しく高い糸球体過剰濾過についてもその後の腎機能低下や心血管疾患との関連が報告されている。大阪公立大学の柴田 幹子氏らは、健康な中年男性における飲酒パターンと糸球体過剰濾過リスクとの関連を評価した前向きコホート研究の結果を、Journal of Epidemiology誌2024年3月5日号に報告した。 本研究では、腎機能が正常で蛋白尿や糖尿病がなく、登録時に降圧薬使用のない日本人中年(40~55歳)男性8,640人を前向きに6年間追跡調査。飲酒量に関するデータはアンケートによって収集され、週当たりの飲酒頻度(1~3日、4~7日)および1日当たりの飲酒量(エタノール量0.1~23.0g、23.1~46.0g、46.1~69.0g、≧69.1g)で層別化された。糸球体過剰濾過は推定糸球体濾過量(eGFR)≧117mL/min/1.73m2と定義され、この値はコホート全体における上位2.5thパーセンタイル値に相当した。 主な結果は以下のとおり。・4万6,186人年の追跡期間中に、330人が糸球体過剰濾過に該当した。・多変量モデルにおける非飲酒者との比較で、週に1~3日飲酒する男性では、エタノール量≧69.1g/日(参考:アルコール度数5%のビール500mL缶のエタノール量が約20g)の摂取が糸球体過剰濾過のリスクと有意に関連していた(ハザード比[HR]:2.37、95%信頼区間[CI]:1.18~4.74、p=0.015)。・週に4~7日飲酒する男性では、飲酒日当たりの摂取エタノール量が多いほど、糸球体過剰濾過のリスクが高くなった(46.1~69.0g/日のHR:1.55[95%CI:1.01~2.38、p=0.046]、≧69.1g/日のHR:1.78[95%CI:1.02~3.12、p=0.042])。 著者らは、週に4~7日飲酒する中年男性においては1日当たりの飲酒量が多いほど糸球体過剰濾過のリスク増加と関連していたが、週に1~3日飲酒する中年男性では1日当たりの飲酒量が≧69.1gと非常に多い場合にのみ糸球体過剰濾過のリスク増加と関連していたと結論付けている。

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dostarlimab+化学療法+ニラパリブが進行子宮体がんの生存改善(RUBY)/SGO2024

 抗PD-1抗体dostarlimab+化学療法からdostarlimab+PARP阻害薬ニラパリブのシークエンス治療は進行・再発子宮体がんの全集団およびミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団の生存を改善した。 dostarlimabと化学療法の併用は第III相RUBY試験Part1で進行子宮体がんの無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示している1)。免疫療法へのPARP阻害薬の追加は、pMMR集団も含めた進行子宮体がんに対してさらなる生存改善が期待されている。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、デンマーク・コペンハーゲン大学のMansoor Raza Mirza氏がRUBY試験Part2の初回中間解析の結果を発表した。・対象:未治療または再発進行子宮体がん・試験群:dostarlimab+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→dostarlimab 6週ごと+ニラパリブ 毎日 3年以内(Dostar+Nira+CP群、245例)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル 3週ごと6サイクル→プラセボIV 6週ごと+プラセボPO 毎日 3年以内(プラセボ+CP群、249例)・評価項目[主要評価項目]治験担当医評価のPFS→pMMR集団のPFS[副次評価項目]OS、盲検下独立中央判定(BICR)評価のPFS、PFS2、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全集団のPFS中央値はDostar+Nira+CP群14.5ヵ月、プラセボ+CP群8.3ヵ月とDostar+Nira+CP群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.43~0.82、p=0.0007)・pMMR集団のPFS中央値はDostar+Nira+CP群14.3ヵ月、プラセボ+CP群8.3ヵ月とDostar+Nira+CP群で有意に改善した(HR:0.63、95%CI:0.44~0.91、p=0.0060)。・ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)集団のPFS中央値はDostar+Nira+CP群未到達、プラセボ+CP群7.9ヵ月とDostar+Nira+CP群で臨床的に意義のある差を示した(HR:0.48、95%CI:0.24~0.96、名目上p=0.0174)。・Grade3以上の治療関連有害事象はDostar+Nira+CP群の84.8%、プラセボ+CP群の49.0%で発現した。

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医師数統計公表、増えた診療科・減った診療科-厚労省調査

 厚生労働省は「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、3月19日に公表した。それによると、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)に比べ1.1%増加。人口10万対医師数は274.7人で、前回に比べ5.5人増加している。医療施設(病院・診療所)に従事する医師のうち女性は7万7,380人となり、前回よりも4.8%増と大きく数字を伸ばした。年齢階級別にみるとすべての階級で男性が多くなっているが、年齢階級が低くなるほど女性の割合が増え、29歳以下では36.2%を占めている。 「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、厚労省が2年おきに実施しており、今回は2022年12月31日時点の届け出を集計したもの。医師数を主に従事している施設の別にみると、医療施設の従事者は32万7,444人(総数の95.4%)で、前回に比べ3,744人(1.2%)増加。介護老人保健施設の従事者は3,298人(同1.0%)で前回に比べ107人(3.1%)減少している。対前回比で医師数が最も増えたのは美容外科、減ったのは気管食道外科 従事する主たる診療科別にみると、臨床研修医を除き、内科が6万1,149人(18.7%)と最も多く、次いで整形外科2万2,506人(6.9%)、小児科1万7,781人(5.4%)と続いた。診療科別の平均年齢をみると、肛門外科が60.5歳と最も高く、内科(59.1歳)、臨床検査科(58.7歳)と続いた。臨床研修医を除くと救急科が41.9歳と最も低く、美容外科(42歳)、集中治療科(42.8歳)と続いた。 前回調査時(2020年)と比較して医師数が増えた診療科は、美容外科(対前回比で132.4%)、アレルギー科(同110.7%)、産科(同108.3%)、形成外科(同106.8%)など。一方で医師数の減少が大きかったのは気管食道外科(同95.4%)、小児外科(同95.7%)、外科(同96.7%)、心療内科(同97.5%)、耳鼻咽喉科(同97.7%)などであった。なお、本稿で紹介した診療科別の統計結果については「臨床研修医」や「主たる診療科不詳」および「その他」の回答はいずれも除外している。人口10万対医師数が最も多いのは徳島県 医療施設に従事する人口10万対医師数は262.1人で、前回(256.6人)に比べ5.5人増加している。これを都道府県(従業地)別にみると、徳島県が335.7人と最も多く、次いで高知県335.2人、京都府334.3人。一方で埼玉県が180.2人と最も少なく、次いで、茨城県202.0 人、千葉県209.0人となっている。 主たる診療科が小児科の医師数(15歳未満人口10万対)を都道府県(従業地)別にみると、鳥取県が184.8人と最も多く、山口県が91.2人と最も少ない。小児科専門医は鳥取県が148.5人と最も多く、千葉県が66.1人と最も少なかった。 主たる診療科が産婦人科・産科の医師数(15~49歳女性人口10万対)を都道府県(従業地)別にみると、鳥取県が68.4人と最も多く、埼玉県が32.8人と最も少ない。産婦人科専門医は徳島県が66.7人と最も多く、埼玉県が32.4人と最も少なかった。 主たる診療科が外科(外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、気管食道外科、消化器外科[胃腸外科]、肛門外科、小児外科)の医師数を都道府県(従業地)別にみると、岡山県が32.2人と最も多く、埼玉県が15.1人と最も少ない。外科の専門医(外科専門医、呼吸器外科専門医、心臓血管外科専門医、消化器外科専門医、小児外科専門医のうちいずれかを取得)は、岡山県が24.3人と最も多く、新潟県が12.6人と最も少なかった。

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アトピー性皮膚炎は小児の学習・記憶に影響するか?

 米国で行われた横断研究において、アトピー性皮膚炎を有する小児は、学習障害と記憶障害が報告される割合が高いことが示唆された。ただし、その関連性は、主に注意欠如・多動症(ADHD)や限局性学習症といった神経発達症を併存する子供に限定されることも示された。米国・メリーランド大学医学校のEmily Z. Ma氏らが、JAMA Dermatology誌オンライン版2024年3月6日号で報告した。先行研究でアトピー性皮膚炎は小児の認知機能障害と関連することが示唆されているが、それらの研究では認知機能の評価を、症状ではなく神経発達の診断で代用している。したがって、アトピー性皮膚炎の小児が、認知機能障害のリスクが高いかは不明であった。著者は、「今回の結果から、アトピー性皮膚炎を有する小児の認知機能障害に関するリスク分類を改善できる可能性があり、アトピー性皮膚炎と神経発達症がある小児では認知機能障害の評価を優先すべきであることが示唆された」と述べている。 研究グループは、米国の小児を対象とした横断研究を実施し、アトピー性皮膚炎と認知機能に関する症状(学習障害や記憶障害)との関連性を評価した。また、その関連性が神経発達症の併存(ADHD、発達遅延、限局性学習症)の有無によって異なるか調べた。対象は知的障害または自閉症を有さない17歳以下の小児とし、US National Health Interview Survey 2021のデータを用いた。 アトピー性皮膚炎の定義は、現在診断されているか、以前に医療の専門家によって医学的に確認されたことがある場合とした。学習や記憶の障害は、小児の保護者の報告に基づき評価した。 主な結果は以下のとおり。・加重合計6,973万2,807例のうち、922万3,013例(13.2%)がアトピー性皮膚炎であった。・アトピー性皮膚炎を有する小児は、アトピー性皮膚炎を有さない小児と比べて学習障害(10.8%[95%信頼区間[CI]:7.8~15.8]vs.5.9%[5.1~6.9]、p<0.001)、記憶障害(11.1%[8.0~15.9]vs.5.8%[4.9~6.9]、p<0.001)がより多くみられる傾向があった。・多変量ロジスティック回帰モデル(社会人口学的要因、喘息、食物アレルギー、季節性アレルギーや花粉症で調整)において、アトピー性皮膚炎を有する場合、学習障害(調整オッズ比[aOR]:1.77、95%CI:1.28~2.45)、記憶障害(1.69、1.19~2.41)がみられる割合が高かった。・神経発達症の有無による層別解析では、アトピー性皮膚炎は、何らかの神経発達症がある小児の記憶障害がみられる割合が2~3倍高く(aOR:2.26、95%CI:1.43~3.57)、ADHD(2.90、1.60~5.24)、限局性学習症(2.04、1.04~4.00)がある小児でも記憶障害がみられる割合が高かった。・一方で、神経発達症のない小児においては、アトピー性皮膚炎は学習障害や記憶障害との関連は認められなかった。

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筋力パラメータは不安・抑うつの予測因子となりうるか

 うつ病や不安症は、主要な公衆衛生上の問題の1つである。そのため、うつ病や不安症の症状予測因子を特定することは、症状悪化を避けるうえで重要となる。筋力や筋機能(握力、timed-stands testなど)は、健康アウトカムの予測因子として広く知られているが、うつ病や不安症との関連性は、十分にわかっていない。ブラジル・Santo Amaro UniversityのGabriella Mayumi Tanaka氏らは、握力やtimed-stands testスコアとうつ病および不安症の症状との関連を調査するため、コミュニティベースの横断研究を実施した。また、筋力レベルの高い人は、低い人と比較し、不安や抑うつ症状が軽減されるかについても調査した。その結果、筋力パラメータは、不安および抑うつ症状に関連する重要な予測因子である可能性を報告した。Clinical Nursing Research誌2024年3月号の報告。 対象者は、ソーシャルメディアを通じて募集し、半構造化面接を実施し、社会人口学的特徴、併存疾患、タバコおよび薬物使用、不安症状(Beck's Anxiety Inventory[BAI])、抑うつ症状(Beck's Depressive Inventory[BDI])を評価した。その後、身体的特徴、握力、機能性(timed-stands test)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・評価対象者は216人。・調整済み回帰モデルでは、握力と不安症状(β=-0.22、95%CI:-0.38~-0.07、R2=0.07、p=0.005)および抑うつ症状(β=-0.25、95%CI:-0.42~-0.07、R2=0.05、p=0.006)との間に逆相関が認められた。・timed-stands testスコアと不安症状(β=-0.33、95%CI:-0.54~-0.13、R2=0.09、p=0.002)および抑うつ症状(β=-0.32、95%CI:-0.56~-0.09、R2=0.06、p=0.008)との間にも同様の関連が認められた。・筋力レベルが低い人は、高い人と比較し、BAI(9.5 vs.5.9、p=0.0008)およびBDI(10.8 vs. 7.9、p=0.0214)が高値であった。・timed-stands testスコアで層別化した場合、低スコア群は、高スコア群と比較し、BAI(9.9 vs.5.5、p=0.0030)およびBDI(11.2 vs.7.5、p<0.0001)が高値であった。

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モデルナのコロナワクチン、通常承認を取得し、引き続き供給

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナは、2024年3月29日付のプレスリリースで、特例承認を受けていた「スパイクバックス筋注」の通常承認を3月27日付で取得したと発表した。 なお厚生労働省によると、2024年4月1日以降、65歳以上の人および60~64歳で対象となる人※には、新型コロナウイルス感染症の重症化予防を目的として秋冬に自治体による定期接種が行われ、費用は原則有料となる。ただし、定期接種以外の時期であっても接種を希望するすべての人が、自費による任意接種が可能である。※60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な人。 これについてモデルナは、「さまざまな理由で4月以降に任意接種を希望する方に対しても十分なワクチンを供給すべく体制を整えており、引き続き日本の国民の皆さまを新型コロナウイルスの脅威から守るため邁進していく」としている。

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シスプラチン投与後の重篤AKI、簡易リスクスコアを開発/BMJ

 シスプラチン静脈内投与後の重篤な急性腎障害(CP-AKI)を予測する、新たなリスクスコアが開発された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShruti Gupta氏らによる検討で、投与患者から容易に取得できる9つの共変量を用いた簡易リスクスコアが、従来モデルと比べて、死亡と強く関連する重篤なCP-AKIのリスクを高精度に予測可能であることが検証できたという。BMJ誌2024年3月27日号掲載の報告。CP-AKI定義は14日以内の血清クレアチニン値2倍以上、腎代替療法の実施 研究グループは、全米6ヵ所の主要ながんセンターを通じて、2006~22年に初回シスプラチン静脈内投与を受けた18歳以上の成人患者を対象に、重篤なCP-AKI発症に関する予測モデルの開発とその評価を行った。 主要アウトカムはCP-AKIで、初回シスプラチン静脈内投与から14日以内に血清クレアチニン値が2倍以上に増加、または腎代替療法の実施と定義した。CP-AKIの独立予測因子については、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて特定し、それを基に予測モデルを開発コホートにより作成、外部検証コホートで精度を確認した。 主要モデルでは、連続変数は制限付き3次スプラインを用いて検証した。主要モデルのオッズ比をリスクポイントに変換し、簡易リスクモデルを作成。最終的に多変量Coxモデルを用いて、CP-AKI重症度と90日生存率の関連を調べた。モデルのC統計量は0.75、従来より高い識別能 合計2万4,717例の成人被験者が対象に含まれた。開発コホートは1万1,766例(年齢中央値59歳、四分位範囲[IQR]:50~67)、検証コホートは1万2,951例(60歳、50~67)だった。CP-AKI発症率は、開発コホート5.2%(608例)、検証コホート3.3%(421例)だった。 開発コホートから得られたCP-AKIの独立予測因子は、年齢、高血圧、糖尿病、血清クレアチニン値、ヘモグロビン値、白血球数、血小板数、血清アルブミン値、血清マグネシウム値、シスプラチン投与量だった。 9つの共変量(年齢、高血圧、糖尿病、現在/元喫煙者、ヘモグロビン値、白血球数、血清アルブミン値、血清マグネシウム値、シスプラチン投与量)からなる簡易リスクスコアは、開発コホートと検証コホートの両者で、CP-AKIリスクを予測することが示された。最低リスクカテゴリーの患者と比べた最高リスクカテゴリーの患者のCP-AKI発症オッズは、開発コホートで24.00倍(95%信頼区間[CI]:13.49~42.78)、検証コホートで17.87倍(10.56~29.60)だった。 主要モデルのC統計量は0.75であり、これまでに発表されたモデルの0.60~0.68に比べ高く、CP-AKI発症の識別が優れていた(それぞれの比較でDeLong P<0.001)。また、CP-AKI重症度が高いほど90日生存率が低い傾向が一貫して認められた(ステージ3のCP-AKI vs.CP-AKIなしの補正後ハザード比:4.63、95%CI:3.56~6.02)。

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糖尿病黄斑浮腫へのアフリベルセプト、高用量も安全・有効/Lancet

 糖尿病黄斑浮腫(DMO)患者へのアフリベルセプト8mgを12週ごとおよび16週ごとの硝子体内投与について、標準対照の2mgを8週ごとに投与との比較において、有効性および安全性は非劣性であることが示された。米国・Retina Consultants of AmericaのDavid M. Brown氏らが、第II/III相無作為化二重盲検非劣性試験「PHOTON試験」の48週時点の結果を報告した。アフリベルセプト8mgは同2mgと比べて、投与頻度を減少し治療アウトカムを改善できる可能性が示されていた。Lancet誌2024年3月23日号掲載の報告。7ヵ国、138医療機関でDMO成人患者を対象に試験 PHOTON試験は、7ヵ国、138の病院・網膜専門クリニックを通じ、1・2型糖尿病で中心窩を含むDMOが認められる18歳以上の患者を対象に行われた。 被験者は1対2対1の割合で、アフリベルセプト2mgを8週ごと(2q8群)、同8mgを12週ごと(8q12群)、同8mgを16週ごと(8q16群)に硝子体内投与を受ける群に無作為に割り付けられた。いずれの群も導入期投与(4週に1回)後にそれぞれアフリベルセプトの硝子体内投与を受け、16週目以降、同8q12群および8q16群は、事前に規定した疾患活動性に基づく用量レジメン修正基準を満たした場合には投与間隔が短縮された。 主要エンドポイントは、48週時点での最高矯正視力(BCVA)のベースラインからの変化で、非劣性マージンは4文字とした。有効性・安全性の分析は、無作為化後、試験薬を1回以上投与した全患者を対象に行った。8mgを12/16週ごと投与、2mgを8週ごと投与とBCVA改善は同等 2020年6月29日~2021年6月28日に970例がスクリーニングを受け、660例が登録・無作為化された。無作為化に誤りがあった2例を除く658例(99.7%)が対象の治療を受けた(アフリベルセプト2q8群167例、8q12群328例、8q16群163例)。患者の平均年齢は62.3歳(SD 10.4)で、61%(401例)が男性、72%(471例)が白人だった。 アフリベルセプト8q12群・8q16群はいずれも、2q8群に対しBCVA改善について非劣性を示した。BCVAのベースラインからの平均変化は8q12群8.8文字(SD 9.0)、8q16群7.9文字(8.4)、2q8群9.2文字(9.0)だった。最小二乗平均差は、8q12群と2q8群で-0.57文字(95%信頼区間:-2.26~1.13、非劣性のp<0.0001)、8q16群と2q8群で-1.44文字(-3.27~0.39、非劣性のp=0.0031)だった。 眼に関する有害事象の割合は、群間で類似していた(2q8群28%、8q12群32%、8q16群29%)。

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耳に虫が入った【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第13回

今回は成人の耳異物の対処法についてお話しします。小児では耳にビーズやBB弾を自発的に入れてしまったというケースが多いですが、成人であれば虫が入ってしまったケースが多いです1)。虫とそのほかの異物は対処法がまったく異なります。私は外耳道内での処置に慣れていないようであれば、虫以外の異物であれば耳鼻科医以外はあまり手を出さないほうがよいと思っています。というのも、そもそも緊急性はなく、無理をするとより奥に押し込んでしまい、耳鼻科医でも取ることが困難になってしまうからです。では、虫の場合は緊急性があるのでしょうか? 実はこちらも緊急性はないのですが、小さな虫だと鼓膜近くで動くので、とてつもない不快感と疼痛が生じます。また、比較的大きな蛾なども入ることがあり、患者は一刻も早い症状改善を望んで受診します。患者は日中であれば耳鼻科を受診し、夜間であれば救急外来を受診します。診る機会は多くないとは思いますが、今回は耳に虫が入った場合の応急処置を紹介します。<症例>28歳男性主訴耳に虫が入った。夜道を散歩していたところ、突然左耳に何かが入り、強い違和感が生じたため受診した。アレルギー歴、既往歴なし上記の患者が受診したときの対処法をみていきましょう。(1)虫を確認するまずは虫を確認しましょう。比較的大型の虫であれば、お尻や頭が外耳道の入り口に見えることがあります。その際は、そのままつまんで出してしまうことも可能です。しかし、引っ張り出すと大暴れするので、虫が苦手な人はある程度覚悟してください。小型の昆虫で奥に入り込んでいる場合は耳鏡を使って確認することをお勧めします。耳鏡がないようでしたら、外耳を斜め後ろにけん引しペンライトでのぞくのもお勧めです。本症例は耳鏡でのぞいたところ小さなハエがいました。(2)殺虫するこの虫はどのように対処すればよいでしょうか? 外耳道という狭い空間で動く小さな虫を攝子などを用いて掴むにはよほど熟練した技が必要です。昔、耳の中にいた小さな蜘蛛を生きたままアリゲーター鉗子でつまんでいる動画がありましたが不可能です。こういった場合は、殺虫する必要があります。医療機関で耳に入った虫の殺虫に使用されるのはオイルかキシロカインで、多くの施設ですぐ手に入るのはキシロカインではないでしょうか。オイルかキシロカイン(濃度は0.5~4%のいずれも可)を5mLのシリンジを用いて、外耳道に沿わして外耳道内を満たしてください(外耳道の長さは約3cm、平均容積は1.34mLだそうです2))。というのも、この方法を用いないと外耳道内に空気の塊、つまり空気だまりが生じてしまう可能性があります。空気だまりができると、外耳道内全体を液体で満たすことができなくなり、虫まで液体が届かない可能性があります(図1)。とある研究者が実験室で、キシロカインとオイルがゴキブリを無動化させるまでの時間を比較したところ、オイルが27.2秒、キシロカインが42.4秒とオイルのほうが早かったようです3)。いずれにせよ、耳に薬剤を入れたあと1分くらいは待ったほうがよさそうです。ちなみに、耳に液体を入れたときも苦しくなった虫が飛び出してくることがあるので、心構えをしましょう。研修医に指導していたときに、耳にキシロカインを入れたらムカデが出てきて、すぐに掴むものがなく、患者から離れてしまったことがあります…。本患者はキシロカインを流し込んで数分待ったところ、その後は患者からの耳の強い訴えは消失しました。図1(3)虫の除去虫が死んだと判断したら、最後は虫の除去です。まず、耳にたまった薬液を除去してください。方法は、液体がたまっている耳を下向きにして頭を傾けたり、綿棒でぬぐい取ったりします。私は救急外来で除去する際に、耳鏡とアリゲーター鉗子を用いて除去することが多いです。しかしながら先述したとおり、外耳道内で処置をするには経験が必要です。死んだ虫であればもう強い症状は起こさないので、翌日の耳鼻科受診でも構わないと私は思っています。とくに昆虫はむやみにつかむとバラバラになって除去が困難になってしまいます。今回は、成人の耳異物の対応を紹介しました。耳に虫が入ったときは強い症状が出るため主に殺虫をメインに書きました。私が強調したいことは、「慣れていないのであれば無理に動かない異物は触らない」です。数日以内に耳鼻科受診ができるのであれば無理はせず、さらに困難になるリスクを説明してください。<豆知識>外耳道が解剖学的に狭い人がいます。そういう人にオイルを入れようとすると、外耳道に沿わせるだけでは表面張力で、入り口以降入らないときがあります。そのときは、耳鏡のスペキュラを漏斗のように使って入れるか、シリンジ(針なし)にオイルを入れて少し奥までガイドしてあげると効果的に外耳道内を満たすことができます。1)Heim SW, et al. Am Fam Physician. 2007;76:1185-1189.2)片山 雄. 昭和医学会雑誌. 1990;50:197-204.3)Leffler S, et al. Ann Emerg Med. 1993;22:1795-1798.

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