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認知症患者の抗精神病薬使用、複数の有害アウトカムと関連/BMJ

 50歳以上の認知症患者において、抗精神病薬の使用は非使用と比較し脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、骨折、肺炎および急性腎障害のリスク増加と関連していることが、英国・マンチェスター大学のPearl L. H. Mok氏らによるマッチドコホート研究で示された。有害アウトカムの範囲は、これまで規制当局が注意喚起を行っていたものより広く、リスクが最も高かったのは治療開始直後であったという。BMJ誌2024年4月17日号掲載の報告。50歳以上の認知症患者約17万4千例のデータを解析 検討には、英国のプライマリケア研究データベースのClinical Practice Research Datalink(CPRD)AurumおよびGOLDのデータが用いられた。これらのデータベースは、入院、死亡、社会的格差など他のデータと連携している。 1998年1月1日~2018年5月31日に、初回認知症診断日から1年以上CPRDに登録されている50歳以上の成人を対象とし(最初の認知症の診断コードが記録される以前に抗コリンエステラーゼ薬が処方されている患者、診断以前の1年間に抗精神病薬を処方されている患者は除外)、初回認知症診断日以降に抗精神病薬を使用した患者と、初回認知症診断日が同じ(または診断日から56日後まで)で抗精神病薬を使用していない患者(最大15例)を、incidence density samplingを用いてマッチさせた。 主要アウトカムは、脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、心室性不整脈、骨折、肺炎、急性腎障害とした。抗精神病薬使用期間で層別化し、抗精神病薬使用群と非使用群の累積発生率を用いて絶対リスクを算出。また、観察不能な交絡の可能性を検出するため、関連性のないアウトカム(陰性対照)として虫垂炎と胆嚢炎についても検討した。 計17万3,910例(女性63.0%)の認知症成人が適格条件を満たし、試験に組み入れられた。認知症診断時の年齢は平均82.1歳(SD 7.9)、中央値83歳であった。このうち、研究期間中に抗精神病薬を処方された患者は3万5,339例(女性62.5%)であった。肺炎、急性腎障害、静脈血栓塞栓症、脳卒中、骨折、心筋梗塞、心不全の順にリスクが高い 抗精神病薬使用群は非使用群と比較して、心室性不整脈を除くすべてのアウトカムのリスク増加と関連していた。現在の抗精神病薬使用(過去90日間の処方)に関する有害アウトカムのハザード比(逆確率治療重み付け[IPTW]で調整)は、肺炎2.19(95%信頼区間[CI]:2.10~2.28)、急性腎障害1.72(1.61~1.84)、静脈血栓塞栓症1.62(1.46~1.80)、脳卒中1.61(1.52~1.71)、骨折1.43(1.35~1.52)、心筋梗塞1.28(1.15~1.42)、心不全1.27(1.18~1.37)であった。陰性対照(虫垂炎と胆嚢炎)については、リスク増加は観察されなかった。 心室性不整脈と陰性対照を除くすべてのアウトカムの累積発生率は、抗精神病薬使用群において非使用群より高く、とくに肺炎の絶対リスクおよび群間リスク差が大きかった。抗精神病薬投与開始後90日間における肺炎の累積発生率は、抗精神病薬使用群で4.48%(95%CI:4.26~4.71)に対し、非使用群では1.49%(1.45~1.53)であり、群間リスク差は2.99%(2.77~3.22)であった。

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子宮頸がん、どの年齢層で多い?

子宮頸がん、どの年齢層で多い?⚫ 日本では20〜40代の女性を中心に毎年約1万人が新たに子宮頸がんと診断され、年間約3,000人が亡くなっています⚫ 主に性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が原因となります⚫ 多くの女性が人生で一度はHPVウイルスに感染する可能性があると言われており、感染したからといって必ずがんになるわけではありませんが、誰でもなる可能性のあるがんです3025罹患率(人口10万対)20151050出典:国立がん研究センター「知ってくださいヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がんのこと」国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)2019年データCopyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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ダニ咬傷【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第14回

ダニは主に野外に生息し、哺乳類(ヒトを含む)や鳥類、爬虫類から血を吸う節足動物です。農業や林業作業中だけでなく、山登りやハイキングといったレジャーでもダニにかまれることがあります。ダニは日本紅斑熱(JSF)やライム病(LD)などのリケッチア症やボレリア症などの感染症を伝播しますが、ダニ媒介感染症は特定の地域に比較的限定されていて、効果的な抗菌薬もあるため、日本ではダニによる咬害をそれほど恐れない傾向がありました。しかし、2013年に重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)が報告され、にわかに注目を集めています。結果として、ダニによる咬害治療のための来院が急速に増加しているため1)、皆さんの診療所や救急外来にダニにかまれた患者さんが突然受診するかもしれません。今回は、ダニ咬傷の対処法を説明します。日本では咬傷を生じるダニは6種類いて、地域によって異なります。SFTSなどを生じるマダニは主に西日本にいます。これらの詳細を書くととても長くなるので、今回はマダニにかまれて来院した患者さんの対処法を記載します。<症例>75歳男性主訴西日本在住。山菜を採りに山へ入った。当日の入浴時に右前腕に黒い脚が生えている動くダニを発見した。引っ張ってみたりしたが外れないため、救急外来を受診した。(1)ダニを確認するまずは、かんだダニを確認して吸血の有無を判断しましょう。血液を吸っていればお腹が大きく膨らんでいます。本症例は、さほど膨らんでいませんでした。(2)かまれてからの時間を確認かまれてからの時間を確認しましょう。ダニ咬傷はほとんど症状がなく、気付くまで2~3日、長いと1週間ほどかかることがあります。ダニがかみついてから24時間経過すると食いつきが強くなり、攝子では除去が困難になります2)。かまれてから3日以上経過した場合はマダニ媒介感染症のリスクが高くなるため、外科的除去がより強く推奨されます3,4)。本症例は、山に山菜取りに行ったのが久しぶりで、当日にかまれたことが想定されます。よって、24時間以内と判断しました。(3)ダニの除去方法はいくつかありますが、今回は非侵襲的方法2つと侵襲的方法1つを紹介します。a.非侵襲的除去基本的にダニの体には触らないことが理想です、なぜなら、体を押すと病原体や毒が体内に入ったり、体をつまんで除去をしようとするとダニの口が残ってしまったりします。よって1つ目の方法は「無鈎攝子でダニの口器をつかんで除去する」です(図1)。図1 攝子を用いたダニの除去方法2つ目の方法として、もし手元にあれば、Tick twisterという動物用のダニ除去器具を用いるのも手です(図2)。ダニの口は縦方向の力に強いため、攝子で引っ張るにはある程度力がいります。Tick twisterを皮膚とダニの間に挟んで軽く持ち上げながら回転させることで非常に簡便に除去できます。口器を意識せずに使用できるのも利点です。ダニ咬傷を診る機会があれば、1個1,000円程度ですので持っておいてもよいかもしれません。YouTubeで「Tick Twister」と検索すると複数の動画がヒットしますので使用の際は参考にしてください。本症例は攝子で口器をつまんで除去しました。図2 Tick Twisterb.侵襲的処置口が深く入って把持できなかったり、ダニ咬傷となってから3日以上経っていたりする場合は外科的切除が必要になります4)。まずキシロカインで鎮痛し、図3のようにダニの周囲を円錐状に切除して皮膚ごと除去します3)。図3 侵襲的処置(4)除去後の処置まずは創部を洗浄しましょう。抗菌薬はダニにかまれた場合には推奨されていません。というのも、そもそものマダニ媒介感染症のリスクが低いため、抗菌薬の使用によるリスクがベネフィットを上回るためです。しかし例外として、シュルツェマダニにかまれた場合は予防投与の適応となります。シュルツェマダニは北海道、本州中部が生息域と推定されています(参考文献5の図4を参考にしてください)。ダニがシュルツェマダニであり、血液を吸い肥大化している場合、ライム病のリスクが高いため200mgのドキシサイクリン単回投与が推奨されます4)。この場合はダニの種類の同定が必要であり、ダニを保存して専門家へ相談することも必要になります4)。本症例は西日本の患者さんであったため抗菌薬の予防投与は行いませんでした。帰宅時に、マダニ咬傷から4週間以内に発熱、嘔吐、下痢、感覚障害などの神経症状が出現した場合はマダニ媒介感染症を生じた可能性があるので、医療機関を受診するように指導しました。以上がダニ咬傷の対処法です。ダニはなるべく早く除くことが重要ですので、上記手技を使って素早く除去しましょう。1)Inoue Y, et al. 衛生動物. 2020;71:31-38.2)鵬図商事:マダニに刺されてしまったら3)Roupakias S, et al. Wilderness Environ Med. 2012;23:97-99.4)Natsuaki M. J Dermatol. 2021;48:423-430.5) 国立国際研究所:ライム病とは

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第210回  大病院で繰り返されるがん“見逃し”事故、名大病院が画像診断レポートの所見に担当医が対応せず肺がんが進行し、死亡した事例を公表

CTで肺がんの疑いが指摘されたにもかかわらず担当医が対応せず放置、患者は検査から約6年後に死亡こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。民間の有識者でつくる人口戦略会議(議長=三村 明夫・日本製鉄名誉会長)は4月24日、全国の市町村のうち4割超にあたる744自治体が「消滅する可能性がある」というショッキングな報告書を公表しました。これらの自治体では20〜39歳の女性人口が2050年にかけて50%以上減少し、いずれ消滅する可能性があるとのことです。人口減少については、本連載の「第161回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体。取り返しがつかなくなる前に決断すべきこととは…(前編)」などでも書いてきたことですが、医療関係者や、公立・公的病院の再編を担う自治体関係者は、地域の医療・介護リソースの集約などについて、早急に議論を進めていくべきだと思いました。さて今回は4月11日に名古屋大学医学部附属病院(名古屋市。以下、名大病院)が公表して全国ニュースにもなった、がん“見逃し”事故について書いてみたいと思います。名大病院は、CTで肺がんの疑いが指摘されたにもかかわらず、担当医が画像診断レポートに記載された所見に対応せず放置し、患者は検査から約6年後に死亡した事例を公表しました。同様の事故は全国各地で頻発しており、その都度の注意喚起が行われてきましたが、一向になくなっていないようです。また、今回の報告書概要で知ったのですが、名大病院では2015年以降、同様の“見逃し”による患者死亡事例が今回の例を含め、なんと6例もあったというのです。こんな事故が大学病院で頻発していたことに、本当に呆れるしかありません。報道では「肺がん疑い見逃し」などと書かれていますが、実際のところ”見逃し”ではなく、単なる職務怠慢だと言えるでしょう。「事案の重大性、他病院に対する警鐘、再発防止の必要性に鑑み」て報告書概要を公表名大病院は4月11日、泌尿器科外来で2016年3月に行った胸部CT検査の画像診断レポートを、主治医が確認はしたものの精査するなど適切な対応をしなかったために診断が遅れ、80代男性患者が約6年後の2022年3月に死亡した事例があったと公表しました。同病院は今年3月25日、遺族に対し説明と謝罪、賠償の約束を行い、遺族の承諾を得て、同病院のwebサイトで外部専門家を主体とする事例調査委員会の報告書概要を公表しました。あえて公表したのは、「事案の重大性、他病院に対する警鐘、再発防止の必要性に鑑み」てのことだそうです。泌尿器科の主治医が画像診断レポートの指摘を熟読できていなかったため肺野の所見への対応行われず公表された報告書概要1)によれば患者は80代男性(2022年3月時点)で、臨床経過は以下のようなものでした。患者は名大病院泌尿器科において2007年から前立腺がんの治療を受け、その後は同科に定期通院していました。2016年3月28日の受診の際、左下腹部痛の原因精査のために胸腹部単純CT検査を受けたところ、放射線科医から画像診断レポートにおいて肺右上葉にすりガラス影を伴った索状影を指摘され、肺がんの除外のための精査が推奨されました。しかし、泌尿器科の主治医が画像診断レポートの指摘を熟読できていなかったため、肺野の所見への対応等が行われなかったとのことです。2018年12月に患者の血液疾患に対する精査が開始されたところ、その最中に上述の肺の病変が認識され、2019年7月に肺がんと確定診断されました。その後、肺がんに対する治療が行われましたが根治には至らず、確定診断から33ヵ月後の2022年3月に死亡しました。3カ月後に再度CT検査を実施していれば、臨床病期IA期の末梢小型肺がんと診断・治療できた可能性が高い報告書概要の「事例検証」の項では、患者の死因は「肺及び肺転移による腫瘍死」とされ、2016年3月の3ヵ月後に再度CT検査を実施していれば、臨床病期IA期の末梢小型肺がんと診断・治療できた可能性が高い、としています。そして、「本患者は2016年3月のCT検査後及び2017年9月の血液検査実施時に適切な対応がなされなかったことにより、肺の診断がなされる機会を失い肺が進行したと言える。特に2016年3月については、患者は肺の進行により根治的治療を受ける機会を失い病態に差が生じ生命予後を損なったと考えられる」と結論付けています。「画像像診断レポートを熟読できておらず、悪性疾患を疑う所見としてその後のフォローがなされなかったことは、標準的な対応と言えない」「事故発生原因に対する検討」の項では、放射線科医が2016年3月28日(撮影当日)に患者を撮影したCT画像を読影し、「両肺下葉主体に1cm大までの多数の結節を認めます」、「肺転移が除外できません」、「肺の除外が必要」、「これらの肺の所見は3ヶ月程度のCT再検または、可能なら過去の画像との対比を推奨します」などと画像診断レポートに記載したにもかかわらず、外来担当医がまったく対応しなかったことが事故発生の原因としています。報告書は、「外来担当医は、4月4日に本患者の次回外来の予習を行った際に、CT画像診断レポートから放射線科医による指摘部分についてコピー&ペースト機能を利用し本患者の電子カルテに転記した。しかし、担当医は肺野の所見は第一に炎症性変化によるものと考えた。3カ月後に再度CT検査を行い評価することも考えていたが、最終的には良性疾患との意識が勝り、『肺を強く疑い、必ず3カ月後にCTを撮る』との明確な方針決定に至らず、専門診療科である呼吸器内科への相談、その後肺野の所見への対応等はしなかった。(中略)。担当医は外来診察の準備の段階で放射線科医の記載を熟読できておらず、自らの読影見解のみから判断を行った。担当医が放射線科医による画像診断レポートの記載を熟読できておらず、悪性疾患を疑う所見としてその後のフォローがなされなかったことは、標準的な対応とは言えない」と断じています。「熟読できておらず」という表現になっていますが、その後の対応を考えると、コピー&ペーストをしただけで「読んでいなかった」というのが実情と考えられます。「重要レポートにフラグをつけていなかったことは、当時の水準に照らし標準から逸脱したものではないが、現在の水準に照らせば改善の余地あり」「事故発生原因に対する検討」の項ではまた、名大病院における重要画像診断レポートのフォロー体制の不備についても言及しています。それによれば、「2016年当時、当院では、画像診断レポートの未読問題には着手をしていたが、重要所見を熟読できていないという問題については着手していなかった。また、放射線科医が重要画像診断レポートに目印(フラグ)をつけるといった取り組みは行っていなかった。この背景には、当時,当院では画像診断レポートの既読管理の導入に重点が置かれ、重要画像診断レポートのフォロー体制については検討が開始されたばかりであるという事情があった。また、当院放射線科においては放射線科医の読影所見にあえて軽重を付けることは画像診断業務の原則から好ましいことではなく、目印の付け忘れや主治医が目印の無い画像診断レポートに注意を払わなくなるといった別のリスクも生まれうることから、積極的に行っていなかったという事情もあった。2016年当時、当院が重要画像診断レポートに何らかの目印をつけていなかったことは、当時の水準に照らし標準から逸脱したものではない(ただし、現在の水準に照らせば改善の余地がある)」としています。2015年以降、今回の例を含めて6例も同様の見逃しによる患者死亡事例報告書は以上を踏まえ、1)画像診断レポートの対応漏れ対策、2)血液検査結果の対応漏れ対策、3)重要検査結果に対するフラグ付け機能と第三者モニターシステムの構築、4)患者情報の誤記載や誤伝達につながる可能性のあるコピー&ペースト機能に対する注意喚起――の4点の再発防止策の提言を行っています。冒頭でも書いたように、今回、名大病院が事故の概要を公表したのは、「事案の重大性、他病院に対する警鐘、再発防止の必要性に鑑み」て、ということで、それはそれで評価できます。しかし、驚いたのは、報告書概要の最後に添付されている「画像診断レポート見逃し事故経過表」です。この事故経過表には、今回の例を含めて実に6例も同様の見逃しによる患者死亡事例が記載されているのです。報告書概要によれば、最初の患者死亡は2015年4月で、耳鼻咽喉科にかかっていた患者でした。やはり肺がんの診断遅れで、読影リポートが2010年2月に提出されたものの、確認されたのはなんと37ヵ月後でした。その他の事例では、レポート確認が69ヵ月後というケースもありました。ちなみに6例中5例が肺がん、1例が大腸がんです。なお、今回の見逃しについて報告書概要には、「外来担当医のヒューマンエラーに加え、当時当院では未読画像診断レポート管理システムの導入に重点的に取り組んでいた時期であり、重要画像診断レポートのフォロー体制については検討が開始されたばかりであったことが挙げられる」と書かれています。どうやら今回の事故は、度重なる見逃し事故を背景に対策を徹底しようとした矢先に起こってしまったようです。なお、現在、名大病院では、一連の事故の反省から未読画像診断レポート管理システムを導入、45日以上の未読画像診断レポートのゼロ化を達成しているとのことです。デジタル化で便利になり過ぎたことが、逆にヒューマンエラーを招いているのでは今回のような、画像診断レポート見逃し事故については、2020年7月22日掲載の本連載「第16回 デジタル化が進んでも、繰り返される『CT見落とし』」でも取り上げました。このときは旭川医科大学病院での見逃しについて書いたのですが、同様の事故は千葉大学医学部附属病院、兵庫県立がんセンター、横浜市立大学附属病院でも起こっており、医療現場(とくに大病院)では頻繁に起こっていたインシデントだと言えるでしょう。事実、日本医療機能評価機構が定期的に報告している「医療安全情報」では、2012年2月と2018年5月の2回、「画像診断報告書の確認不足」をテーマに掲げ、「画像を確認した後、画像診断報告書を確認しなかったため、検査目的以外の所見に気付かず、治療が遅れた事例が報告されています」と注意喚起をしています。CTの読影を主治医ではなく放射線科医が担当する分業体制になっている、電子カルテ導入などによってデジタル化が進み過ぎた、などさまざまな要因、背景が考えられます。デジタル化で便利になった(報告書を熟読しなくても、コピー&ペーストでカルテ記載ができる、など)ことが、逆にヒューマンエラーを招いている可能性もあります。医療DX流行りで、画像診断などではAIも積極的に活用されているようですが、最終的に判断するのは生身の人間です。名大の“見逃し”事故の報告書を読んで、デジタルと人間(アナログ)のインターフェースの大切さを改めて感じた次第です。参考1)画像診断レポートに記載された所見に対応せず,肺が進行し死亡した事例

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roflumilast外用薬、慢性尋常性乾癬の長期治療の有用性を確認

 慢性尋常性乾癬患者へのroflumilastクリーム0.3%(1日1回塗布)の長期投与を評価した試験において、忍容性は良好であり、64週までの有効性が確認された。米国・Henry Ford Medical CenterのLinda Stein Gold氏らが、海外第II相多施設共同非盲検シングルアーム長期投与試験の結果を報告した。PDE4阻害薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など炎症性疾患に対する治療効果が示されており、roflumilastはPDE4の強力かつ選択的な阻害薬である。roflumilastクリーム0.3%は、すでに米国食品医薬品局(FDA)より尋常性乾癬に対する承認を受けており、長期投与の評価が行われていた。結果を踏まえて著者は、「顔や間擦部などでも忍容性は良好であり、長期治療に適した外用薬であることが示唆された」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2024年3月29日号掲載の報告。 試験は米国とカナダの30施設で行われ、2つの登録コホート(12週間の早期試験を完了した患者または新規に登録された未治療患者)で構成された。主な適格基準は、18歳以上、乾癬の臨床的診断を受けてから6ヵ月以上、顔・四肢・体幹・間擦部に皮疹がある、皮疹がBody Surface Area(BSA)の2~20%(新規登録患者は2~25%)などであった。 roflumilastクリーム0.3%は、すべての皮疹に塗布することとし、試験中に発現した新たな皮疹にも頭皮を除くすべてに塗布した。 安全性のエンドポイントは、治験薬投与下で発現した有害事象、重篤な有害事象などであった。有効性のエンドポイントは、Investigator Global Assessment(IGA)0(消失)または1(ほぼ消失)を達成した患者の割合、IGA 0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合、間擦部のIGA(I-IGA)0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合、およびPsoriasis Area Severity Index(PASI)75(ベースラインから75%改善)を達成した患者の割合などであった。 主な結果は以下のとおり。・332例の患者が登録され、244例(73.5%)が試験を完了した。・13例(3.9%)が有害事象により中止し、3例(0.9%)は無効中止となった。・治療関連有害事象は12例(3.6%)に発現したが、重篤な有害事象は報告されなかった。・被験者の97%以上は塗布部位反応として刺激感が認められなかった。・タキフィラキシーは観察されず、52週時においてIGA 0/1を達成した患者の割合は44.8%であった。IGA 0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合は36.4%であった。・新規に登録された未治療患者のうち、ベースライン時に間擦部の皮疹が認められた集団において、I-IGA 0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合は66.7%であった。・52週時においてPASI 75を達成した患者の割合は37.6%であった。

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新年度、あなたの医局は増えたor減った?/医師1,000人アンケート

 新年度がはじまり、新人を迎えた職場も多い。医師の就職を語るうえで欠かせないものに「医局」の存在がある。ケアネット会員医師を対象に、医局への所属状況や選択理由、最近の医局員数の増減などについて、30~50代・200床以上の医療機関の勤務者を対象とし、オンラインのアンケート形式で聞いた。 「Q1. 現在、医局に所属していますか?」の問いに、「はい」と答えたのは73%。200床以上という中規模以上の病院に勤務している医師であっても、3割近くが医局に所属していない現状が明らかになった。年代別にみると30代は8割近くが医局に所属しているが、年代が高くなるにつれ所属者の割合が減り、50代は7割だった。 「Q2. 所属医局を選んだ『一番の決め手』は何ですか?」(単一回答)との問いには、「専門医を取得しやすい」が31%と最多で、「研究時間・症例数など研鑽機会や実績が多い」(17%)、「医局の雰囲気が良い、尊敬する医師がいる」(15%)、「職場やキャリアに多様性がある」(10%)が続いた。「年収が高い」を選んだ人は4人(0.4%)のみだった。「その他」で挙げられた理由としては、「出身大学・地元だから」との回答が多かったほか、「当時は医局に入ることが当然だったから」「流れで/なんとなく」といった消極的な回答も目立った。 「Q3. 5年前と比較した、医局員総数の増減」を聞いたところ、「増えた」との答えが25%、「変わらない」が30%、「減った」が27%と、3分する結果となった。診療科ごとに見ると、内科・循環器内科・呼吸器内科などの「内科系」は「減った」が27%だったのに対し、外科・呼吸器外科・呼吸器外科などの「外科系」は「減った」が32%、多忙とされることの多い「救急科・産婦人科・小児科」は「減った」が30%と、いずれも内科系よりも減った割合が高かった。一方で、リハビリ科・眼科・皮膚科など「その他」の診療科では「減った」が23%と最も少なく、反対に「増えた」が26%と最も多かった(「内科系」も同率)。 「Q4. 近年の新規入局者が医局を選ぶにあたり、『最も重視すること』は何だと思いますか?」(単一回答)との問いに対し、1位は「専門医を取得しやすい」(24%)で、Q2で聞いた「自分が医局を選んだ理由」と同じだったが、その割合はQ2よりも低かった。2位は「医局の雰囲気が良い、尊敬する医師がいる」(18%)、3位が「研究時間・症例数など研鑽機会や実績が多い」(13%)と、Q2の回答と順位が入れ替わった。Q2の「自分が医局を選んだ理由」ではほとんど選ばれることのなかった「時間外労働や雑務が少ない」(7%)や「年収が高い」(3%)も一定数が選択しており、「若手医師は自分とは異なる価値観を持っている」と考える中堅医師が多いようだ。 年代別に見ると、新規入局者に年齢の近い30代では「専門医取得」や「医局の雰囲気」を選択した人が多かったのに対し、50代では「研究時間・症例数など研鑽機会や実績がある」を選択した人が多く、さらに年代が上がるにつれ「わからない」との回答者も増えており、ジェネレーションギャップを感じるベテラン医師の姿も浮かび上がった。 最後に自由回答で「Q5. 医局の思い出、入局者を増やす施策や若手育成の工夫など」を聞いたところ、医局に所属するメリットとして「論文執筆や後輩指導を学ぶことができた」「いろいろな施設で経験を積むことができた」といった回答が目立った。一方でデメリットしては「雑務が多い」「しがらみがあって自由に勤務先を選べない」という回答が多かった。現状の改善策としては、「育成制度の整備など、若手医師が魅力的に思うような環境をつくる」「医局運営に関する金銭面の透明性を確保」「ワークライフバランスや収入面の条件を、詳しく正確に情報開示する」といったさまざまな提言が寄せられた。―――――――――――――――アンケートの詳細は以下にて公開中『新年度、医局の動向は?』―――――――――――――――<アンケート概要>内容:新年度を迎えたタイミングで、医局への所属状況や選択理由、医局への思いなどについて聞いた。実施日 :2024年4月9日実施方法:インターネット対象  :ケアネット会員医師 1,013人(30~50代、200床以上の医療機関の勤務者)

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日本人不眠症患者におけるレンボレキサント切り替えの有効性と安全性

 慢性不眠症患者は、従来の治療法では必ずしも満足のいく有効性および安全性を得られているとはいえない。したがって、代替治療法への切り替えを考慮する必要があるものの、これらの有効性を評価したプロスペクティブ研究は不十分である。久留米大学の小曽根 基裕氏らは、慢性不眠症患者に対するレンボレキサントへの切り替えにより患者の満足度が向上するかを評価した。Advances in Therapy誌2024年4月号の報告。スボレキサントなどからレンボレキサントへの切り替え成功率は95.6% 対象は、現在の治療に満足していない日本人慢性不眠症患者90例。4つのコホート研究から、プロスペクティブ非ランダム化オープンラベル介入的多施設共同研究を実施した。コホート研究には、非ベンゾジアゼピン系鎮痛催眠薬(ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン)単剤療法、デュアルオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント)単剤療法、スボレキサントとベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用療法、スボレキサントとメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)からレンボレキサントへの切り替えの4つを含めた。主要エンドポイントは、2週間(漸増期終了)時点でのレンボレキサント切り替え成功率とした。切り替え成功の定義は、漸増期にレンボレキサントを服薬し、その後の維持期(2~14週目)においてレンボレキサントの継続使用意向を示した患者の割合とした。患者の満足度と安全性(治療中に発現した有害事象[TEAE]の発生率)の評価は、14週目(漸増期および維持期終了時)に実施した。 スボレキサントなどからレンボレキサントへの切り替えにより患者の満足度が向上するかを評価した主な結果は以下のとおり。・2週間のレンボレキサント切り替えに成功した患者の割合は、95.6%(95%信頼区間:89.0~98.8%)であった。・レンボレキサントの継続に成功した患者の割合は、漸増期(2週目)97.8%、維持期(14週目)で82.2%であった。・全体的なTEAEの発生率は47.8%であり、重篤なTEAEは認められなかった。・Patient Global Impression-Insomnia versionの3つの尺度による患者の満足度評価では、すべてのコホートにおいて、肯定的な反応を示す患者が否定的な反応よりも多かった。・維持期では、レンボレキサントに切り替え後、2週目、6週目、14週目において不眠重症度指数の改善が認められた。 著者らは「現在の治療に満足していない不眠症患者に対するレンボレキサント切り替えは、有効な選択肢となる可能性が示唆された」としている。

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olezarsen月1回投与、トリグリセライドを50%減/NEJM

 olezarsenは、開発中のアポリポ蛋白C-III(APOC3)mRNAを標的とするN-アセチルガラクトサミン結合型アンチセンス・オリゴヌクレオチド。米国・ハーバード大学医学大学院のBrian A. Bergmark氏らBridge-TIMI 73a Investigatorsは、「Bridge-TIMI 73a試験」において、主に中等度の高トリグリセライド(TG)血症を有し心血管リスクが高い患者集団では、本薬の月1回投与によりプラセボと比較して、TG値を有意に低下させ、安全性に関する重大な懸念は生じないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年4月7日号に掲載された。北米24施設の第IIb相無作為化プラセボ対照比較試験 Bridge-TIMI 73a試験は米国とカナダの24施設で実施した第IIb相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2022年6~9月に患者を募集した(Ionis Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 年齢18歳以上、中等度の高TG血症(TG値150~499mg/dL)で心血管リスクが高い患者、および重度の高TG血症(同500mg/dL以上)の患者を、olezarsen50mgまたは同80mgを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、次いでそれぞれの用量のコホート内でolezarsenまたはプラセボを1ヵ月に1回皮下投与する群に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、ベースラインから6ヵ月後までのTG値の変化率とし、2つの用量のolezarsen群とプラセボ群の差を算出した。副次アウトカムは、APOC3、アポリポ蛋白B(APOB)、non-HDLコレステロール、LDLコレステロールの値の変化などであった。APOB、non-HDL-Cも改善、LDL-Cには有意な変化なし 154例を登録し、olezarsen 50mg群に58例、同80mg群に57例、プラセボ群に39例を割り付けた。全体のベースラインの年齢中央値は62歳(四分位範囲[IQR]:55~70)、女性が42%で、中等度の高TG血症患者が90%を占めた。TG中央値は241.5 mg/dL(IQR:192~324)だった。 TG値は、ベースラインから6ヵ月後までにプラセボ群で7.8%低下したのに対し、olezarsen 50mg群では57.1%、同80mg群では60.9%低下した。TG値の低下率のプラセボ群との絶対差は、olezarsen 50mg群が-49.3ポイント、同80mg群は-53.1ポイントと、いずれも有意差を認めた(双方ともp<0.001)。 また、ベースラインから6ヵ月後までに、プラセボ群と比較して、2つのolezarsen群ともAPOC3(50mg群:-64.2ポイント[p<0.001]、80mg群:-73.2ポイント[p<0.001])、APOB(-18.2[p<0.001]、-18.5[p<0.001])、non-HDLコレステロール(-25.4[p<0.001]、-23.1[p<0.001])の値が有意に低下したが、LDLコレステロール値(-9.9[p=0.24]、-7.7[p=0.36])には有意な変化はみられなかった。TG値正常化の割合も良好 ベースライン時に中等度の高TG血症で、6ヵ月後のTG値を測定できた128例の解析では、TGが正常値(150mg/dL未満)であった患者は、プラセボ群の34例中4例(12%)に対し、olezarsen 50mg群は49例中42例(86%)、同80mg群は45例中42例(93%)と、いずれの用量も有意に良好であった(双方ともp<0.001)。 有害事象(プラセボ群74%、olezarsen 50mg群72%、同80mg群67%)および重篤な有害事象(5%、7%、12%)のリスクは3つの群で同程度であった。また、肝臓(5%、12%、9%)、腎臓(13%、3%、2%)、血小板減少(3%、0%、4%)に関する臨床的に重要な異常はまれで、3群でリスクに差はなかった。 著者は、「olezarsenは、現在利用可能な治療薬よりも高い水準までTG値を有意に低下させ、他剤とは異なり、アテローム性動脈硬化発生のリスクのマーカーであるAPOBおよびnon-HDLコレステロール値の有意な低下をももたらした」とまとめ、「6ヵ月の時点では、2つの用量でTG値に対する効果は同等であったが、12ヵ月時には80mg群でより大きな減少を示した。さらなる試験により、とくに重度の高TG血症患者において、高用量がTG値の低下およびその他の脂質値にどの程度の付加的な効果をもたらすかが明らかになるだろう」としている。

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左室駆出率が保たれた急性心筋梗塞、β遮断薬の長期投与は有効か/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が保たれている(≧50%)急性心筋梗塞患者では、長期のβ遮断薬投与は投与しなかった場合と比較して、全死因死亡と新たな心筋梗塞の発生の複合主要エンドポイントを改善せず、安全性のエンドポイントには差がないことが、スウェーデン・ルンド大学のTroels Yndigegn氏らが実施した「REDUCE-AMI試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年4月7日号で報告された。3ヵ国の無作為化試験 REDUCE-AMI試験は、3ヵ国(スウェーデン、エストニア、ニュージーランド)の45施設で実施したレジストリーベースの前向き非盲検無作為化並行群間比較試験であり、2017年9月~2023年5月に患者を登録した(Swedish Research Councilなどの助成を受けた)。 冠動脈造影と心エコー図検査を受けたLVEF 50%以上の急性心筋梗塞の成人患者5,020例(スウェーデン人95.4%)を登録し、β遮断薬(メトプロロールまたはビソプロロール)の長期経口投与を受ける群に2,508例、β遮断薬の投与を受けない群に2,512例を割り付けた。 主要エンドポイントは、全死因死亡と新規の心筋梗塞の複合とした。全死因死亡、心筋梗塞の個別の発生にも差がない 全体のベースラインの年齢中央値は65歳、女性が22.5%で、ST上昇型心筋梗塞が35.2%であった。リスク因子としては、46.2%で高血圧、14.0%で糖尿病、7.1%で心筋梗塞の既往歴、0.7%で心不全の既往歴を認めた。入院時に11.6%がβ遮断薬の投与を受けていた。 追跡期間中央値3.5年(四分位範囲[IQR]:2.2~4.7)の時点で、主要エンドポイントは投与群の2,508例中199例(7.9%、年間イベント発生率2.4%)、非投与群の2,512例中208例(8.3%、2.5%)で発生し、両群間に有意な差はなかった(ハザード比[HR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.79~1.16、p=0.64)。 また、投与群では副次エンドポイントの改善も得られなかった(全死因死亡[投与群3.9%、非投与群4.1%]、心血管死[1.5%、1.3%]、心筋梗塞[4.5%、4.7%]、心房細動による入院[1.1%、1.4%]、心不全による入院[0.8%、0.9%])。喘息/COPDによる入院、脳卒中による入院も同程度 安全性のエンドポイント(徐脈性不整脈による入院、第2度または第3度房室ブロック、低血圧、失神、ペースメーカー植込み)は、投与群で3.4%、非投与群で3.2%に発生した。また、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)による入院はそれぞれ0.6%、0.6%、脳卒中による入院は1.4%、1.8%にみられた。 著者は、「これらの知見は、いくつかの大規模な観察研究やそれらの研究のメタ解析の結果とも一致する」と述べ、「本試験で使用したβ遮断薬は先行研究に比べ低用量であったが、現在のβ遮断薬治療の実情を反映するものである」とまとめている。

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抗血小板療法を「軽くする」時代(解説:後藤信哉氏)

 筆者の循環器内科医としてのキャリアは1980年代に始まった。心筋梗塞は入院後も突然死リスクのある恐ろしい疾病であった。抗血小板薬としてアスピリンが標準治療と確立されつつある時代であった。PCIの適応は限局的で、基本的に急性冠症候群にはPCIの選択はなかった。t-PAが急性期予後を改善する薬剤として注目されていた。心筋梗塞発症後も血栓の再発による予後悪化が常に危惧されていた。 心筋梗塞急性期のPCIの普及により、発症後の生命予後は改善した。しかし、ステント血栓症などにより、急変が数週後に起こることがあった。薬剤溶出ステントでは、数ヵ月後のlate stent thrombosisも問題とされた。滅多に起きないけれど起こると重篤な合併症であるステント血栓症の予防のために、アスピリン・クロピドグレルの併用療法が普及した。標準量のクロピドグレルよりも強力なP2Y12阻害効果を有する用量のチカグレロル、プラスグレルも開発され普及した。抗血小板併用療法により重篤な出血合併症である頭蓋内出血も増えた。しかし、臨床医は血栓の予防に注目してきた。 冠動脈ステントの形状、材質、手技も改善した。ステント血栓症のリスクなどは低下してきた。重篤な血栓イベント以上に重篤な出血イベントの低減を目指す方向となった。アスピリンでも、アスピリン・クロピドグレルでも、アスピリン・チカグレロルでも、重篤な出血合併症が増加することは臨床試験の結果から明白であった。アスピリン、クロピドグレルは特許切れしているので、長期の使用を死守したいメーカーもいない。臨床医の方向は急性冠症候群の抗血小板療法を「軽くする」方向に向いた。本研究は、抗血小板療法を「軽くする」時代背景を反映したランダム化比較試験である。 急性冠動脈疾患でもIVUSを入れてしっかりと薬剤溶出ステントを入れた症例を対象として、ステント血栓症の懸念を減らした。90mg bidのチカグレロルは東アジアでは元々多すぎるとされた用量であった。過去の強い抗血小板薬が必要であった時代背景を踏まえて、本研究ではアスピリンを抜いても全体として大きな問題が起きないことを示した。抗血小板療法を「軽くする」時代に相応しい試験であった。

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旅先でも注意したいトコジラミ

トコジラミってどんな虫■トコジラミとは(右画像参照)・大きさ:成虫で5~8mm・体型・色:丸く、扁平でとても薄く褐色・生態:夜、部屋の隙間などから出て活動人や動物の血液だけがエサ吸血しなくても長期間(3~4ヵ月)生存可能家に持ち込まれると、比較的短期間で増殖、拡大する(WikipediaよりJiri Humpolicek氏提供)・生息場所:寝室、布団、ベッドの周りなどの狭い場所に潜伏し、暗く、温かい場所を好む生息場所には「血糞」という黒いしみがみられる■トコジラミによる症状夜間吸血されることが多く、人の手、足、首など露出している部分を吸血。刺されると非常に強い痒みが生じる(人によっては無症状のケースもある)。刺された場所に紅斑などが生じる。そのほか、強い痒みにより、寝不足などで精神的に被害を受けることもある。市販薬の痒み止めでは効果がないことが多く、皮膚科などの医療機関を受診する。家でトコジラミをみつけた場合、早急に駆除が必要であり、専門業者に駆除を依頼。東京都福祉保健局健康安全部環境保健衛生課より引用(2024年4月17日閲覧)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/eisei/yomimono/nezukon/tokojirami_leaf.files/hp_R4tokojirami.pdfCopyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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英語で「急ぎの用件」は?【1分★医療英語】第128回

第128回 英語で「急ぎの用件」は?《例文1》This medication is time sensitive and must be taken every four hours without delay.(このお薬は時間どおりに、4時間ごとに遅れずに服用してください)《例文2》Your next appointment is time sensitive due to the prep required, so please arrive 15 minutes early.(次の予約は準備が必要になるため、時間厳守で15分前には来てください)《解説》「急ぎ」であることを伝える際、さまざまな言い方があります。カジュアルな言い回しでは、“This is urgent. Can you handle this ASAP?”(ASAP:as soon as possibleの略で発音は「エイサップ」)や、“Can you make it a high priority?”(優先させてもらえますか?)などと表現することもできます。“sensitive”は、「敏感な」という形容詞で、“sensitive skin”(敏感肌)、“hypersensitivity”(過敏症)といった病名のほか、片頭痛(migraine)の症状として“sensitive to light, sound and odor”(光、音、においに対する過敏反応)と表現するなど、医療現場でもさまざまな使われ方があります。“time”(時間)と組み合わせた“time sensitive”で、「時間に敏感な=時間厳守、急ぐ必要がある」という意味になります。相手を急かすときや、時間どおりにやる必要があり念を押したいときに、“This is time sensitive!”と言うことで、“urgent”(緊急)のニュアンスが伝わりやすくなります。「今すぐ」という意味だけでなく、「時間に限定的(時間どおりに)」と伝えるときも、例文のように使うことができます。ちなみに、詐欺メール(scam email)のタイトルにも、“TIME SENSITIVE”や“IMMEDIATE ACTION REQUIRED”と急かす言葉を入れ、「今すぐこのリンクをクリックしてください」と仕掛けてくる場合も多いので、だまされないよう気を付けてください。講師紹介

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きちんと診察したのに、後日見逃しを疑われてしまった【もったいない患者対応】第5回

きちんと診察したのに、後日見逃しを疑われてしまった登場人物<今回の症例>20代男性自転車で走行中に自己転倒両下肢に複数の擦過傷、右膝に3cm程度の裂創あり、来院<負傷したときの状況を聞き出します>どんなふうに転びましたか?前を走っていた車が急に曲がったので慌ててブレーキをかけたんですが、その拍子に転んで溝にはまってしまって…。そんなにスピードは出ていなかったので大したことはないと思います。そうでしたか。右膝の怪我は縫わないといけませんが、それ以外の傷は、洗って軟膏を塗るだけで大丈夫そうですよ。膝だけですか、よかったです。(全身を診察しながら)他に痛いところはありませんか?ありません。大丈夫です。~3日後~昨日出張中にどうしても右手が痛くなって近くのクリニックに行ったら、骨折していました。先生、見逃したんですか?全身診察してくれましたよね?骨折ですか!?いや、痛いところはないとおっしゃっていたので…。ちゃんと診てくださいよ。クリニックの先生にも「なんで最初に診た先生がこの骨折を処置していないんだ」って言われましたよ!【POINT】唐廻先生は、外傷患者に対してきちんと全身診察をして「他に痛いところはないか」と聞いていました。「大したことはない」「他に痛いところはない」と言われ、唐廻先生も半ば油断していたようです。ところが、別の病院で骨折を指摘され、患者さんから不信感を抱かれてしまいました。初診時の対応のどこに問題があったのでしょうか?とっさの事故では、正確な情報が得づらい外傷患者に対する問診では受傷機転の確認が最も大切です。しかし、交通外傷などはとくにそうですが、患者さん本人の受傷時の記憶があいまいなことはよくあります。頭部打撲による逆行性健忘がありうる、という意味ではありません。単に“とっさのことで、どんな姿勢で転んだか、どこを打撲したか、が自分でもよくわからない”という意味です。つまり、患者さんの受傷機転に関する報告からは得られない情報があるかもしれない、ということに注意が必要なのです。本人から受傷したとの訴えがなかった部位に、後から外傷が判明することもあります。初診時に全身を診察し、こうした隠れた外傷を見抜くことができればベストですが、本人の訴えがまったくなく、かつ体表面に所見が乏しいときはそう簡単ではありません。後から悪化するケースがあることを伝えようそこで、患者さんには「突然のことで、どこを怪我したか自分でもわからないのが普通です。後から思いもよらぬ場所が痛くなってくるかもしれません。そのときは再度受診してください」と、あらかじめきちんと伝えておくことが肝要です。場合によっては「最初はなんともなかったのに、翌日になって腕が痛くなって検査したら骨折が見つかったケースもありますからね」と、具体例を提示してみるのもいいでしょう。こうした説明があるだけで、後から検査をして別の外傷が見つかっても「初診医が見逃した」と考える可能性は低くなります。重度の外傷が潜んでいることも外傷診療では“distracting pain”という概念があります。直訳すると“気をそらすような痛み”です。痛みの大きな部位に気を取られ、痛みは軽いものの、本来は治療を優先すべき重度の外傷を見逃してしまうことを意味します。今回のケースとは少し異なりますが、患者さんの痛みの訴えだけに頼りすぎると重要な情報を見逃す危険性があるため、注意が必要です。これでワンランクアップ!どんなふうに転びましたか?前を走っていた車が急に曲がったので慌ててブレーキをかけたんですが、その拍子に転んで溝にはまってしまって…。そんなにスピードは出ていなかったので大したことはないと思います。そうでしたか。でも、突然のことでどこをどんなふうに怪我したか、ご自身でもあまりよくわからないですよね。後から思いもよらぬ場所が痛くなってくるかもしれません※1ので、そのときは再度受診してくださいね。場合によっては、数日後に初めて骨折がわかる、なんてこともあるんです※2。※1:今後起こり得る可能性を伝える。※2:具体例をあげると、より理解してもらいやすい。そういうこともあるんですね。いまのところ大丈夫そうですが、気をつけておきます。

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第212回 三つ子の騒音百まで

三つ子の騒音百までヒトも動物もまったく静かに過ごせることなどなく、自然やヒトの営みで生じるありとあらゆる音と共にあります。催し物の喧騒、工事、交通騒音などでますます騒々しくなる世界の音環境は心配の種の1つです。どうやら騒音の害は生まれる前から始まるらしく、オーストラリアのチームが同国の固有の鳥であるキンカチョウ(zebra finch)を使って調べたところ、孵化前(すなわち卵のとき)と孵化後を交通騒音と共に過ごすこととその後の生涯に及ぶ健康の害との関連が示されました1-3)。キンカチョウは孵化してから巣立つまでしばらく親の世話を必要とする晩成鳥の一種で、交通騒音がほとんどないオーストラリアの砂漠地帯に生息します4)。同国のディーキン大学の生態学者Mylene Mariette氏とそのチームは許可を得て構内の鳥小屋で飼うキンカチョウの卵を夜間のみ拝借して、キンカチョウの鳴き声(以下、鳴き声)か交通騒音または静寂(silence)の中で過ごさせ、朝には親鳥がいる巣に戻しました。交通騒音か鳴き声で夜間を過ごした卵の雛は、羽化後4~13日目に卵のときと同様に夜間のみ拝借してそれら2つの音環境のいずれかの中で過ごさせ、朝に親のもとに戻しました。騒音の影響は早くも孵化前に生じるらしく、夜間を騒音と共に過ごした卵の孵化率は鳴き声と共に過ごした卵を下回りました。夜間を静寂の中で過ごした卵の孵化率はそれらの中間に位置していました。騒音は生まれた雛の経過にも影響し、発達の遅れと関連しました。卵のときと孵化後のどちらも交通騒音と共に過ごしたキンカチョウの孵化後12日時点での体重は、卵のときと孵化後のどちらも鳴き声と共に過ごしたキンカチョウを有意に下回りました。また、成鳥になってからの生殖への影響もあり、交通騒音と共に過ごしたキンカチョウは産み育てた仔の数が鳴き声と共に過ごしたキンカチョウの4割ほどでしかありませんでした。体内の生理的変化も観察され、卵や雛のときの交通騒音は染色体末端部のテロメア短縮と関連しました。テロメア短縮は細胞損傷を反映します。今回の研究で示唆されたような騒音の健康への害はヒトにも当てはまるかもしれません。騒々しい保育器や新生児棟での騒音が赤ちゃんに害を及ぼしている恐れがあります。妊婦やその赤ちゃんが病院で音に煩わされず過ごせるようにとくに配慮するに越したことはないようです4)。また、妊婦や赤ちゃんに限らず世間一般に蔓延する騒音をどこまでどう減らすかを見出すことにも今回の研究成果はやがて役立つでしょう2)。参考1)Meillere A, et al. Science. 2024;384:475-480.2)Traffic noise causes lifelong harm to baby birds / Science3)Noise pollution can harm birds even before they hatch / ScienceNews4)Slabbekoorn H. Science. 2024;384:380-382.

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コロナ禍以降、自宅での脳卒中・心血管死が急増/日本内科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行期において、自宅や介護施設での脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患による死亡が増加し、2023年末時点でも循環器疾患による死亡のトレンドが減少していないことが、白十字会白十字病院 脳血管内科の入江 克実氏らの研究グループによる解析で明らかになった。本研究は、4月12~14日に開催された第121回日本内科学会総会・講演会の一般演題プレナリーセッションにて、入江氏が発表した。コロナ拡大後は自宅での脳梗塞による死亡が顕著に増加 入江氏によると、国内での総死亡数の推移データにおいて、2023年末時点でもCOVID-19流行前と比べて超過死亡は増加しているという。COVID-19の5類移行後はピークアウトしつつあるが、2023年では12万人ほどの超過死亡が見込まれ、その主な死因としてCOVID-19や脳卒中などの循環器疾患の増加が認められる。しかし、2017~22年度のDPC対象病院における脳卒中などの循環器疾患死亡数の推移データによると、死亡数が大きく増加している傾向は認められない。そのため本研究では、同時期の病院外での循環器疾患による死亡の推移を検討した。 本研究では、政府統計e-Stat人口動態統計を用い、死亡場所別に2013~22年の総死亡数と循環器疾患死亡数を抽出した。死亡場所は、病院/診療所、介護施設/老人ホーム、自宅に分類した。主な疾患ごとにCOVID-19拡大前(2013~19年)の死亡数から回帰直線を求め、2020年以降の推計値を算出し、実測値との差分を超過死亡とした。都道府県別にも同様の抽出を行い、COVID-19前後で自宅死亡数とその増減率を比較検討した。 コロナ前後で死亡場所別に総死亡数と脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患死亡数を抽出した主な結果は以下のとおり。・総死亡の死亡場所について、2013~19年までは病院/診療所、介護施設/老人ホーム、自宅のいずれも±3%内で、死亡数の推移に大きな変化はみられない。しかし、コロナ拡大後、病院外では死亡数が増加し続け、2022年の超過死亡率は、自宅では35%、介護施設/老人ホームでは23%に増加していた。一方、病院/診療所では、2020~21年に-5%まで一過性の減少を示したが、2022年には元のトレンドに戻った。・脳梗塞による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±6%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅ではとくに顕著に48%に増加し、介護施設では13%、病院では7%に増加していた。・脳出血による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±5%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅では13%、介護施設では17%に増加していた。一方、病院では2020~21年では-5%まで減少し、2022年では-2%であった。・心筋梗塞による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±3%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、病院で16%まで増加し、他の疾患とは異なる傾向が認められた。介護施設では23%、自宅では12%と病院外の死亡も増加している。・心不全による死亡では、2013~19年ではいずれの場所でも±7%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅では33%、介護施設では12%に増加していた。病院では2020~21年に一過性の減少を示し、2022年には元のトレンドに戻った。・都道府県別にみた脳卒中による自宅死亡数では、コロナ前後の変化に地域差が見られ、とくに大阪府(30%増)と群馬県(30%増)での自宅死亡率が増加していた。・都道府県別にみた心疾患による自宅死亡数では、とくに福岡県(61%増)と神奈川県(38%増)での自宅死亡率がコロナ前後で増加していた。 入江氏は本結果について、「コロナ流行期における循環器疾患による病院外死亡数の増加は、サージキャパシティの不足によるものなのか、病院との連携による在宅看取りが進んでいるためなのか、地域ごとに医療逼迫の振り返りをする必要がある。なお、本研究は2022年までのデータを示しているが、2023年11月までのデータから推計しても、死亡率はいまだに高いと予想されている。コロナに関連するフレイルへの対応に加えて、脳梗塞に対しては頭打ちとなっているDOAC処方への対策、心筋梗塞に対してはPCI介入の遅れについての検証など、コロナ禍での診療抑制の影響が残っていないか再検討が望ましい」と述べた。

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PD-L1高発現NSCLCに対するネシツムマブ+ペムブロリズマブの可能性(K-TAIL-202)/AACR2024

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療となっている。KEYNOTE-024試験でみられるように、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブはPD-L1発現≧50%の進行NSCLCにおいてPFS(無増悪生存期間)とOS(全生存期間)を有意に延長している1,2)。しかし、PD-L1陽性であってもICIが奏効しない症例は依然として存在する。 EGFRの発現はPD-L1のグリコシル化を介しPD-L1の発現を安定化させ、PD-1とPD-L1の結合を強化することが報告されており3)、抗EGFR抗体ネシツムマブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法は新しい治療コンセプトとして期待されている。K-TAIL-202試験はPD-L1高発現NSCLCの初回治療として、ネシツムマブとペムブロリズマブの併用を評価した第II相試験。昭和大学の堀池 篤氏が米国がん研究協会年次総会(AACR2024)で結果を発表した。・対象:未治療のPD-L1発現≧50%の進行NSCLC(EGFR、ALK変異なし)・介入:ネシツムマブ+ペムブロリズマブ 3週ごと2年間または35サイクル(n=50)・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]PFS、OSORR期待値の設定はKEYNOTE-024試験のORR44.8%1)を10ポイント上回る54.8%とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は14.2ヵ月であった。・患者の年齢中央値は72歳、男性が76%、現・過去喫煙者が88%、腺がんが60%であった。・ORRは76.0%で、病勢コントロール率は86.0%(CR2%、PR74%、SD10%)であった。・58%の患者が50%以上の標的病変縮小を示した。・PFS中央値は15.7ヵ月、OS中央値は未到達であった。・ネシツムマブによる試験治療下における有害事象(TEAE)発現は全Gradeで98%、Grade≧3は40%で、頻度の高いTEAEは、ざ瘡様皮疹、低マグネシウム血症などであった。・治療中止に至ったTEAEは26%、死亡に至ったTEAEは2%(1例)に発現した。・Grade3の間質性肺疾患が10%(5例)で発現したが、ステロイド治療により改善した。 今回のK-TAIL-202試験結果から、PD-L1高発現進行NSCLC初回治療におけるネシツムマブとペムブロリズマブ併用の可能性が示唆される。

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家族内での治療抵抗性うつ病の発生率

 抗うつ薬に対する治療反応と治療抵抗性うつ病のフェノタイプは、遺伝的根拠があると考えられる。治療抵抗性うつ病のフェノタイプと他の精神疾患との遺伝的感受性は、これまでの遺伝的研究でも確立されているが、これらの結果を裏付ける集団ベースのコホート研究は、これまでなかった。台湾・台北栄民総医院のChih-Ming Cheng氏らは、治療抵抗性うつ病の感受性および家族内での治療抵抗性うつ病と他の精神疾患との感受性を推定するため、台湾全国コホート研究を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2024年4月3日号の報告。 2003~17年の台湾全人口(2,655万4,001人)を対象に、台湾国民健康保険データベースのデータを評価した。データ分析は、2021年8月~2023年4月に実施した。治療抵抗性うつ病は、現在のエピソードが3種類以上の抗うつ薬治療を経験し、それぞれ適切な用量および治療期間で行われていた場合と定義し、レセプトデータに基づき特定した。次に、治療抵抗性うつ病患者の1親等の特定を行った(3万4,467人)。対照群として、治療抵抗性うつ病患者を1親等に持たない人を1:4で指定し、誕生年、性別、親族関係を収集した。主要アウトカムは、治療抵抗性うつ病リスク、他の精神疾患リスク、さまざまな原因による死亡リスクとし、調整済み相対リスク(aRR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、修正ポアソン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・本研究の参加者は、17万2,335人(男性:8万8,330人、女性:8万4,005人、フォローアップ開始時の平均年齢:22.9±18.1歳)であった。・治療抵抗性うつ病患者の1親等は、対照群と比較し、収入が低く、身体的併存疾患が多く、自殺死亡率が高く、治療抵抗性うつ病発症リスクが高く(aRR:9.16、95%CI:7.21~11.63)、他の精神疾患発症リスクが高かった。・治療抵抗性うつ病患者の1親等の各精神疾患別のaRRは、以下のとおりであった。【統合失調症】aRR:2.36、95%CI:2.10~2.65【双極性障害】aRR:3.74、95%CI:3.39~4.13【うつ病】aRR:3.65、95%CI:3.44~3.87【注意欠如多動症】aRR:2.38、95%CI:2.20~2.58【自閉スペクトラム症】aRR:2.26、95%CI:1.86~2.74【不安症】aRR:2.71、95%CI:2.59~2.84【強迫症】aRR:3.14、95%CI:2.70~3.66・感度分析とサブグループ解析により、アウトカムのロバストが検証された。 著者らは、「治療抵抗性うつ病の家族歴を有する患者は、自殺死亡リスクが高く、抗うつ薬治療に耐性傾向を示している。したがって抗うつ薬単独療法に固執せず、より集中的な治療を早期に検討される可能性がある」としている。

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不安定プラーク、至適薬物療法+予防的PCI追加で予後改善/Lancet

 冠動脈に血流を阻害しない不安定プラークを有する患者において、予防的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の追加は至適薬物療法のみと比較し、高リスクの不安定プラークに起因する主要有害心血管イベントが減少したことを、韓国・蔚山大学のSeung-Jung Park氏らが、韓国、日本、台湾およびニュージーランドの計15施設で実施した医師主導の無作為化非盲検比較試験「PREVENT試験」の結果を報告した。著者は、「PREVENT試験は不安定プラークに対する局所治療の効果を示した最初の大規模臨床試験であり、今回の知見はPCIの適応を、血流を阻害しない高リスクの不安定プラークに拡大することを支持するものである」とまとめている。急性冠症候群や心臓死は不安定プラークの破裂および血栓症によって引き起こされることが多く、その多くは冠血流を阻害しない。不安定プラークに対するPCIによる予防的治療の安全性と心臓有害事象の減少に対する有効性は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。狭窄率>50%、FFR>0.80の不安定プラークを有する患者が対象 研究グループは、心臓カテーテル検査を受けた18歳以上の安定冠動脈疾患または急性冠症候群の患者のうち、造影上の狭窄率>50%、冠血流予備量比(FFR)>0.80の病変を有し不安定プラークが確認された患者を対象とした。Webシステム(置換ブロック法、ブロックサイズ4または6)により糖尿病の有無および非標的血管への同時PCIの有無で層別化し、PCI+至適薬物療法群(PCI併用群)または至適薬物療法単独群(薬物療法群)に1対1の割合で無作為に割り付け、最後の登録患者が無作為化後2年に達するまで毎年追跡調査を行った。 不安定プラークは、(1)最小内腔面積<4.0mm2、(2)プラーク負荷>70%(血管内超音波検査)、(3)脂質に富むプラーク(近赤外分光法、4mm以内の最大脂質コア負荷指数が>315)、(4)TCFA(thin-cap fibroatheroma)(高周波血管内超音波検査または光干渉断層法)の4つの特徴のうち2つ以上を満たすプラークと定義された。 主要アウトカムは、2年間の心臓死・標的血管の心筋梗塞・虚血による標的血管血行再建術・不安定狭心症または進行性狭心症による入院の複合とした。ITT集団で評価し、初発までの期間はKaplan-Meier法で算出し、log-rank検定で比較した。PCI併用群で薬物療法群より2年複合イベントが有意に減少 2015年9月23日~2021年9月29日に、5,627例がスクリーニングされ、適格基準を満たした1,606例がPCI併用群(803例)または薬物療法群(803例)に無作為化された。1,177例(73%)が男性、429例(27%)が女性で、1,556例(97%)が2年間の追跡を完了した(PCI併用群780例、薬物療法群776例)。 主要アウトカムの2年複合イベントは、PCI併用群で3例(0.4%)、薬物療法群で27例(3.4%)に発生し、絶対群間差は-3.0%(95%信頼区間[CI]:-4.4~-1.8、p=0.0003)であった。予防的PCIの効果は、主要アウトカムの各要素において一貫していた。 重篤な臨床的有害事象は、PCI併用群と薬物療法群で差はなかった。2年以内の死亡は4例(0.5%)vs.10例(1.3%)であり(絶対群間差:-0.8%、95%CI:-1.7~0.2)、心筋梗塞は9例(1.1%)vs.13例(1.7%)であった(-0.5%、95%CI:-1.7~0.6)。

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難治性狭心症、冠静脈洞へのデバイス留置で症状改善/Lancet

 冠静脈洞狭窄デバイス(coronary-sinus reducer:CSR)は、狭心症患者の心筋血流を改善しなかったが、狭心症エピソード数を減少した。英国・Imperial College Healthcare NHS TrustのMichael J. Foley氏らが、英国の6施設で実施した医師主導の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ORBITA-COSMIC試験」の結果を報告した。CSRは、心筋血流を改善することにより、安定冠動脈疾患患者の狭心症を軽減することが示唆されていた。著者は、「今回の結果は、CSRが安定冠動脈疾患患者に対するさらなる抗狭心症治療の選択肢となりうるエビデンスを提供するものである」としている。Lancet誌2024年4月20日号掲載の報告。処置後6ヵ月間追跡、心筋血流と狭心症エピソード数を比較 研究グループは、抗狭心症治療(薬物療法、経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術など)のさらなる選択肢がない、18歳以上の狭心症、心外膜冠動脈疾患、虚血を有する患者を登録し、心臓MRによる定量的な心筋灌流マッピング(アデノシン負荷時および安静時)、症状およびQOLに関する質問(シアトル狭心症質問票、EQ-5D-5Lなど)、トレッドミル運動負荷試験を行った。その後、2週間の症状評価期にスマートフォンの専用アプリ(ORBITA-app)を用いた症状報告を完遂した患者を、CSR群と対照群に1対1の割合に無作為に割り付け追跡評価した。 二重盲検下で、CSR群ではCSR(商品名:Neovasc Reducer、Shockwave Medical)の植込み術を行い、対照群では患者に少なくとも15分間(CSRの植込みに要するおおよその時間)心臓カテーテルの検査台の上で鎮静状態を保持させた。処置後は、6ヵ月間の二重盲検下追跡調査期に、ORBITA-appで患者に日々の症状を報告してもらった。 主要アウトカムは、登録時にアデノシン負荷灌流心臓MRスキャンで虚血と判定されたセグメントにおける心筋血流、症状の主要アウトカムは1日の狭心症エピソード数とし、ITT解析を行った。CSR群で狭心症エピソード数が減少 2021年5月26日~2023年6月28日に447例がスクリーニングされ、61例が登録された。このうち51例(男性44例[86%]、女性7例[14%])がCSR群(25例)およびプラセボ群(26例)に無作為化され、CSR群の1例(無作為化手順の途中でデバイス塞栓事象が発現し適切な管理のため盲検を解除)を除く50例がITT解析に組み入れられた。 登録時の虚血セグメントは、画像化された800セグメント中454セグメント(57%)で、虚血セグメントにおける負荷心筋血流量の中央値は1.08mL/分/g(四分位範囲[IQR]:0.77~1.41)であった。 虚血セグメントにおいて、対照群と比較しCSR群で心筋血流量の改善は示されなかった(群間差:0.06mL/分/g、95%信用区間[CrI]:-0.09~0.20]、有益性の確率:78.8%)。一方、報告された1日の狭心症エピソード数は、対照群と比較してCSR群で減少した(オッズ比:1.40、95%CrI:1.08~1.83、有益性の確率:99.4%)。 安全性については、CSR群でデバイス塞栓イベントが2件発生し、両群とも急性冠症候群イベントおよび死亡の発生は報告されなかった。

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