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オーストラリア・モナシュ大学のRebecca F. Goldstein氏らは、世界のさまざまな地域および所得水準の妊産婦を対象とした観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を行い、米国医学研究所(IOM)の推奨値を超える妊娠中の体重増加(GWG)は、アウトカムが不良となるリスクの増加と関連していることを示した。著者は、「今回の結果は、WHOが推進している世界各地の周産期アウトカムの改善に向けたGWG基準の最適化プロセスに役立つだろう」としている。BMJ誌2025年11月19日号掲載の報告。コホート研究40件、妊婦約161万人についてレビュー&解析 研究グループは、Embase、EBM Reviews、Medline、Medline In-Process、その他のデータベースを用い、2009年~2024年5月1日に発表された論文を検索した。適格基準は、18歳超の単胎妊娠の女性300例超を対象とし、妊娠前BMIカテゴリー別の総GWG、ならびに研究で定義されたBMIおよびGWG別のアウトカムが報告されている観察研究とした。言語は問わなかった。 主要アウトカムは、出生体重、帝王切開率、妊娠高血圧症候群、早産、在胎不当過小/過大児、低出生体重、巨大児、新生児集中治療室(NICU)入室、呼吸窮迫症候群、高ビリルビン血症、および妊娠糖尿病とした。 検索の結果、2万1,729件の研究が同定され、適格と判定された計40件のコホート研究(妊産婦計160万8,711例)がレビューに包含された。体重増加がIOM推奨値を下回ると、早産、低出生体重児などが増加 コホート全体で、低体重が6%(6万5,114例)、正常体重が53%(60万7,258例)、過体重が19%(21万5,183例)、肥満が22%(25万2,970例)であった(データ入手は114万252例、WHO分類およびアジア人のBMI分類の両方を含む研究で定義されたBMI分類に基づく)。妊娠終了時、GWGがIOM推奨値を下回っていたのは23%、上回ったのは45%であった。 WHOのBMI基準を用いたところ、IOM推奨値を下回るGWGは、出生体重の低下(平均差:-184.54、95%信頼区間[CI]:-278.03~-91.06)、帝王切開分娩(オッズ比[OR]:0.90、95%CI:0.84~0.97)、在胎不当過大児(0.67、0.61~0.74)、巨大児(0.68、0.58~0.80)の低いリスク、早産(1.63、1.33~1.90)、在胎不当過小児(1.49、1.37~1.61)、低出生体重児(1.78、1.48~2.13)、呼吸窮迫症候群(1.29、1.01~1.63)の高いリスクと関連していた。上回ると、帝王切開、妊娠高血圧症候群、在胎不当過大児などが増加 一方、IOM推奨値を上回るGWGは、出生体重の増加(平均差:118.33、95%CI:53.80~182.85)、帝王切開分娩(OR:1.37、95%CI:1.30~1.44)、妊娠高血圧症候群(1.37、1.28~1.48)、在胎不当過大児(1.77、1.62~1.94)、巨大児(1.78、1.60~1.99)、およびNICU入室(1.26、1.09~1.45)の高いリスク、早産(0.71、0.64~0.79)および在胎不当過小児(0.69、0.64~0.75)の低いリスクと関連していた。 アジア人のBMI基準では、GWGが推奨値を下回ると、妊娠高血圧症候群(OR:3.58、95%CI:1.37~9.39)および早産(1.69、1.25~2.30)の高いリスク、在胎不当過大児(0.80、0.72~0.89)の低いリスクと関連し、GWGが推奨値を上回ると帝王切開(1.37、1.29~1.46)および在胎不当過大児(1.76、1.42~2.18)の高いリスク、在胎不当過小児(0.62、0.53~0.74)および低出生体重(0.44、0.31~0.6)の低いリスクと関連した。