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認知症の修正可能な3大リスク因子

 認知症のリスク因子の中で修正可能なものとしては、糖尿病、大気汚染、飲酒という三つの因子の影響が特に大きいとする研究結果が報告された。英オックスフォード大学のGwenaelle Douaud氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に3月27日掲載された。 Douaud氏らは脳画像データを用いて行った以前の研究で、アルツハイマー病やパーキンソン病、および加齢変化などに対して特に脆弱な神経ネットワークを特定している。このネットワークは、脳のほかの部分よりも遅れて思春期に発達し始め、高齢期になると変性が加速するという。今回の研究では、この脆弱な神経ネットワークの変性に関与している因子の特定を試みた。 研究には、英国で行われている一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」の参加者のうち、脳画像データやさまざまなライフスタイル関連データがそろっている3万9,676人(平均年齢64±7歳)のデータを利用。認知症リスクに影響を及ぼし得る161の因子と、脆弱な神経ネットワークの変性との関連を検討した。161の因子のうち、遺伝的因子などの修正不能のもの以外は、食事、飲酒、喫煙、身体活動、睡眠、教育、社交性、大気汚染、体重、血圧、糖尿病、コレステロール、聴覚、炎症、抑うつという15種類に分類した。 年齢と性別の影響を調整後の解析により、脆弱な神経ネットワークの変性への影響が強い修正可能な因子として、医師により診断されている糖尿病(r=-0.054、P=1.13E-24)、2005年時点の居住環境の二酸化窒素濃度(r=-0.049、P=5.39E-20)、アルコール摂取頻度(r=-0.045、P=3.81E-17)という三つの因子が特定された。また、遺伝的背景は多かれ少なかれ、脆弱な神経ネットワークの変性に影響を与えていることも分かった。 Douaud氏は、「われわれは既に特定の脳領域が加齢変化の初期に変性することをつかんでいたが、今回の研究により、その領域は糖尿病と交通関連の大気汚染、および飲酒に対しても脆弱であることが示された。また、その領域の変性は心血管死、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病のリスクにも関連があるようだ」と述べている。 論文共著者の1人である米テキサス大学リオグランデバレー校のAnderson Winkler氏は、「今回の研究は、脳の『弱点』とも言える脆弱な神経ネットワークに生じる変性のリスク因子について、その寄与の程度を定量的かつ網羅的に評価し得たことに意義がある」としている。

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CVD患者のフレイルと「アクティブな趣味」の関係

 心血管疾患(CVD)で入院した患者のうち、入院前にアクティブな趣味を持っていた患者は、退院時のフレイルのリスクが低いという研究結果が発表された。一方で、入院前に趣味があったとしても、その趣味がアクティブなものでなければ、リスクの低下は見られなかったという。これは飯塚病院リハビリテーション部の横手翼氏らによる研究であり、「Progress in Rehabilitation Medicine」に2月22日掲載された。 趣味を持つことと死亡や要介護のリスク低下との関連を示す研究はこれまでに報告されており、入院中の運動不足で身体機能が低下しやすいCVD患者でも、趣味を持つことが身体機能の維持やフレイルの予防に役立つと考えられる。そこで著者らは、入院前に行っていた趣味と退院時のフレイルとの関連について、趣味の内容にも着目して検討した。 研究対象は、2019年1月~2023年6月に飯塚病院に入院し、その後自宅に退院したCVD患者のうち、入院前から日常生活の介助を要する患者などを除いた269人(平均年齢68.4±11.5歳、男性72.2%)。対象患者のCVD・手術には、心不全、心筋梗塞、狭心症、冠動脈バイパス術、大動脈弁置換術、僧帽弁形成術、大動脈グラフト置換術が含まれた。 患者の状態が安定した後、入院前の趣味に関する情報を入手し、身体活動を伴う趣味(スポーツ、買い物、旅行など)を「アクティブな趣味」、それ以外の趣味(テレビ・映画鑑賞、スポーツ観戦、楽器演奏など)を「非アクティブな趣味」、趣味のない場合は「無趣味」に分類した。フレイルについては退院前日に、日本語版フレイル基準(J-CHS基準)の5項目(筋力低下、歩行速度低下、疲労感、体重減少、身体活動低下)により評価。3項目以上に該当する人を「フレイル」、1~2項目に該当する人を「プレフレイル」に分類した。 その結果、無趣味群(77人)ではプレフレイルの割合が61.4%、フレイルの割合が22.9%、非アクティブな趣味群(64人)では同順に53.2%、37.1%、アクティブな趣味群(128人)では同順に57.4%、13.9%だった。 次に、患者背景の差(年齢、性別、BMI、疾患、入院期間、就労状況、入院時の左室駆出率、入院前のフレイル)を調整して解析すると、アクティブな趣味群は、プレフレイルまたはフレイルのオッズ低下と有意に関連していることが明らかとなった(無趣味群と比較したオッズ比0.41、95%信頼区間0.17~0.90)。一方、非アクティブな趣味群ではこの関連は認められなかった(同1.56、0.52~4.64)。また、アクティブな趣味群では無趣味群と比べて、J-CHS基準の5項目のうち、歩行速度低下、疲労感、身体活動低下のオッズが有意に低かった。 以上から著者らは、「入院前にアクティブな趣味を持っていた患者は、趣味のない患者と比べて退院時にフレイルとなるリスクが低かった。一方で、非アクティブな趣味を持っていた患者では、リスクの低下は認められなかった」と結論。また、アクティブな趣味と疲労感の低下が関連していたことの説明の一つとして、アクティブな趣味を持つことが、入院中のリハビリテーションや理学療法への動機付けとなり、身体機能の維持に寄与する可能性があるとしている。

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第208回 先発品の選択による一部自己負担増、これって意味ある?

今年度の診療報酬改定で導入される「長期収載品の選定療養」に伴い、ジェネリック医薬品(GE)がある医薬品での先発品使用で一部自己負担増が発生するため、これに関連して、最近の報道で再び目にするようになったのが「ヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)」である。過去に美容目的にもかかわらず、保険診療を利用して処方を受けている人たちの存在が報道を賑わせたが、今回は10月から始まる前述の自己負担増対象の1,095品目が厚生労働省から公表され、その中にヒルドイドが含まれていたことで、また話題となっているようだ。ちょっと今回はこの件について徒然なるままに書いてみたいと思う。GE促進効果はあるの?私自身は、今回の新制度を施行することで、現在約80%と言われるGE使用率(あくまでGEがある医薬品での数量比率)を多少引き上げることにはなるかもしれないが、欧米並みのGE使用率の達成を指標に考えるならば、効果的な施策とはならないだろうと考えている。おそらく多くの医師も同様の考えではないだろうか?そもそも、先発品とGEとの薬価の差が縮小する中で、両者の差額の4分の1だけ自己負担が増えても患者にとって経済的“ペナルティ”の意義は小さい。これまで希望して先発品を選択している患者の多くは、もともと自己負担能力がある場合か、逆に自己負担がほとんど発生しない場合だからだ。一方で医師側の処方マインドには多少影響があるかもしれない。今回の制度では「医療上必要とする場合は(全額)保険給付」となったこともあり、レセプト審査は厳格化すると予想されるし、負担増となる患者に対して改めて説明の労力が必要になるからである。とはいえ、繰り返しになるが、やはり自己負担増が差額の4分の1に過ぎないという現実を考えれば、この方面からのGE使用促進効果も遠からず頭打ちになるだろう。ヒルドイドの汎用、悪いのは処方医かインフルエンサーかさて冒頭で挙げたヒルドイドの濫用に関連して、実は何件か同業者から問い合わせを受けた。主な問い合わせ内容は「自己負担増で美容目的の使用(濫用)は減るのか?」「そもそもこの問題は処方する医師が悪いのか? それとも美容目的で使えることを宣伝しているインフルエンサーが悪いのか?」の2つだ。この2つは別個のようで連環した問題である。この質問に対する私の答えは、読者の一部からは不興を買うだろうが、医師のほうとなる。医療の世界では医師の処方権はほぼ絶対権力であり、医師の処方なくして患者が医療用医薬品を手にすることはできないからだ。インフルエンサーはそうした濫用のほう助に過ぎない立場である。もちろん今後のレセプト審査の厳格化を考慮すれば、今回の措置は一定の効果はあるかもしれないが、ここにもご存じ「レセプト病名」という裏技が使えてしまう。結局、OTCにも同一成分があるヒルドイドに限定して言えば、最大の濫用抑止策は今回のような先発品とGEの差額の一部自己負担や全額負担ではなく、原則“保険給付対象外”しかないだろう。「医療用医薬品内のOTC類似成分の保険給付対象外化」は古くて新しい“ボール”と言える。従来から財務省は再三再四にわたり、このボールを厚生労働省に投げてきたが、かつては「届かないのは承知でとりあえず投げる」ボールでもあった。酷評すれば、大根役者同士の予定調和とも言えるかもしれない。しかし、団塊の世代がすべて後期高齢者になる2025年問題を控え、今や社会保障制度の再構築は待ったなしの状態。だからこそ、「OTC類似成分の保険給付対象外化」というボールを医療従事者と国民が意を決して拾わなければならない時が間近に迫っているのではないだろうか。

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肺がん診療ガイドラインのトリセツ【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第5回

第5回:肺がん診療ガイドラインのトリセツパーソナリティ日本鋼管病院 呼吸器内科 部長 田中 希宇人 氏ゲスト藤田医科大学病院 呼吸器内科・アレルギー科 大矢 由子 氏参考1)日本肺学会 肺診療ガイドライン2023(オンライン版)関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

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cirrhosis(肝硬変)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第4回

言葉の由来肝硬変は英語で“cirrhosis”で、「サロースィス」というような発音になります。語源は、ギリシャ語で「褐色がかった黄色」を意味する“kirrhos”と、「状況」を表す“-osis”という接尾辞を組み合わせた単語です。“cirrhosis”という単語は、フランスのルネ・ラエンネック医師が1819年に発表した論文中で初めて使用されました。病気の肝臓が「褐色がかった黄色」に見えることから、この名前が付けられたとされています。それ以前から肝硬変の病態は認識されており、英国の病理学者たちはその100年ほど前からほかの病名を使用していましたが、かの有名なウィリアム・オスラー医師が1900年代に出版した教科書、“The Principles and Practice of Medicine”で“cirrhosis”の呼称を用いたことから、広く使われるようになったとされています。ちなみにこのラエンネック医師は、皆さんが毎日使っている「あるもの」を発明したことで有名です。それはなんと、聴診器です。当時は患者の身体に直接耳を押し当てる「直接聴診法」が一般的でしたが、ラエンネック医師は子供たちが長い中空の棒を使って遊ぶ様子からインスピレーションを得て、木製の中空の円筒を作成しました。それを患者の胸に押し当てて聴診する「間接聴診法」を開発したのです。彼はその円筒を“stethoscope”(聴診器)と名付け、現代の聴診器の先駆けとなりました。この聴診器の発明に関する論文を1819年に発表したのですが、その論文の中の脚注で使用したのが“cirrhosis”という病名だったのです。興味深い歴史ですね。併せて覚えよう! 周辺単語黄疸Jaundice腹水Ascites腹水穿刺Paracentesis低アルブミン血症Hypoalbuminemia女性化乳房Gynecomastiaこの病気、英語で説明できますか?Cirrhosis is a condition in which a liver is scarred and permanently damaged. Scar tissue replaces healthy liver tissue and prevents a liver from functioning normally.講師紹介

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必携 消化器・一般外科医のための外科解剖アトラス

良い手術を行うために必要な外科解剖をエキスパートが解説「手術」78巻4号(2024年3月臨時増刊号)ある疾患の手術に必要な外科解剖を熟知することは、執刀医たる者の責務である。しかも、外科解剖の正しい理解は刻々と変化するため、外科医はその生涯にわたり知識更新の義務を負う。本臨時増刊号特集では、消化器・一般外科医が扱うことの多い5領域(食道・胃、肝胆膵、大腸、肛門疾患・直腸脱、鼠径部・腹壁瘢痕ヘルニア)について、最新の外科解剖・局所解剖を詳細に解説。初学者からベテランまで幅広く活用できる内容とした。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する必携 消化器・一般外科医のための外科解剖アトラス定価8,860円(税込)判型B5判頁数368頁発行2024年3月企画石原 聡一郎ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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うつ病の第2選択治療、機械学習で最適化できるか

 標準的な第1選択治療である抗うつ薬単剤療法で寛解を達成する患者は、うつ病患者の3分の1未満である。適切な第2選択治療を決定するためのプロセスは、多くの場合、臨床的直観に基づいており、長期にわたる試行錯誤を伴い、患者に多大な負担を与え、最適な治療機会の提供遅延につながる。この問題に対処するため、米国・マサチューセッツ総合病院のJoshua Curtiss氏らは、第2選択治療に応じた寛解の予測精度向上を目指し、アンサンブル機械学習アプローチを用いた検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2024年3月27日号の報告。 データは、STAR*Dデータセットのレベル2ステージより抽出した。本データには、第1選択の抗うつ薬治療で寛解を達成できなかった患者に対し7つの異なる第2選択治療のいずれかにランダムに割り付けられた患者1,439例が含まれた。いくつかの個別のアルゴリズムで構成されるアンサンブル機械学習モデルは、臨床指標や人口統計学的指標を含む155の予測因子についてネストされた交差検証を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・アンサンブル機械学習アルゴリズムは、7つの第2選択治療全体で寛解を予測する際、分類パフォーマンスの違いを示した。・予測因子のフルセットでは、第2選択治療タイプに応じて、AUC値は0.51~0.82の範囲であった。・寛解の予測は、認知行動療法で最も成功率が高く(AUC:0.82)、他の薬剤および併用療法が最も低かった(AUC:0.51~0.66)。 著者らは、「アンサンブル機械学習は、うつ病の第2選択治療の効果を予測する可能性がある。本研究では、予測性能は治療タイプにより異なり、薬物療法よりも行動療法のほうが寛解の予測精度が高かった。今後、第2選択治療による治療反応をより正確に予測するためにも、より有益な予測モダリティの検討が求められる」としている。

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アレクチニブによるALK陽性肺がん術後補助療法をFDAが承認/中外

 中外製薬は2024年4月19日、ALK阻害薬アレクチニブ(商品名:アレセンサ)について、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する腫瘍切除後の補助療法として、FDAより承認を取得したと発表。 今回の承認は、完全切除ALK陽性NSCLCの術後補助療法を対象とした国際第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいている。 同試験では、完全切除したStageIB(腫瘍径4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性NSCLCにおいて、アレクチニブはプラチナベース化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを76%低下させることを示した(ハザード比[HR]:0.24、95%信頼区間[CI]:0.13~0.43、p<0.001)。探索的解析である中枢神経系(CNS)の無病生存期間についても、アレクチニブはプラチナベース化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを78%低下させた(HR:0.22、95%CI:0.08~0.58)。アレクチニブの安全性および忍容性は過去の試験と同様であり、予期せぬ所見は認められなかった。 これらのデータは、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2023)のLate Breaking oral演題として講演発表され、New England Journal of Medicine誌にも掲載された。

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若年乳がんサバイバーにおける2次原発性乳がんのリスク因子/JAMA Oncol

 40歳以下の原発性乳がんの女性は、それ以降に発症した女性よりも2次原発性乳がんのリスクが高いことが、過去のデータから示唆されている。今回、米国・Harvard T. H. Chan School of Public HealthのKristen D. Brantley氏らが、片側乳房切除術または乳房温存術を受けた40歳以下の乳がん患者を対象に検討したところ、生殖細胞系列遺伝子に病的変異がない女性では2次原発性乳がんの10年発症リスクが約2%であったのに対し、病的変異がある女性では約9%と高かったことが示された。JAMA Oncology誌オンライン版2024年4月11日号に掲載。 前向きコホート研究のYoung Women's Breast Cancer Studyには、2006年8月~2015年6月にStage0~III乳がんと診断された40歳以下の女性1,297例が登録された。そのうち、片側乳房切除術または乳房温存術を受けた685例(初回診断時の平均年齢:36歳)について、2次原発性乳がんの累積発症率とそのリスク因子を検討した。人口統計学的データ、遺伝子検査データ、治療データ、転帰データは、患者調査および診療記録から収集した。主要評価項目は 2次原発性乳がんの5年および10年累積発症率だった。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値10.0年(四分位範囲:7.4~12.1)で17例(2.5%)が2次原発性乳がんを発症した。うち2例は乳房温存術後に同側乳房で発症した。・原発性乳がんの診断から2次原発性乳がん発症までの期間の中央値は4.2年(四分位範囲:3.3~5.6)であった。・遺伝子検査を受けた577例において、2次原発性乳がんの10年発症リスクは、生殖細胞系列遺伝子に病的変異のない女性では2.2%、病的変異がある女性では8.9%であった。・多変量解析では、2次原発性乳がん発症リスクは病的変異がある患者はない患者に比べて高く(部分分布ハザード比[sHR]:5.27、95%信頼区間[CI]:1.43~19.43)、初発乳がんが非浸潤性乳がんの場合は浸潤性乳がんに比べて高かった(sHR:5.61、95%CI:1.52~20.70)。 本研究の結果、生殖細胞系列遺伝子の病的変異のない若年乳がん患者は、診断後最初の10年間に2次原発性乳がんの発症リスクが低いことが示唆された。著者らは「若年乳がん患者において、生殖細胞系列遺伝子検査で2次原発性乳がん発症リスクが予測され、治療の意思決定やフォローアップケアに役立てるために重要であることを示している」としている。

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狭小弁輪を伴う大動脈弁狭窄症へのTAVR、自己拡張型弁vs.バルーン拡張型弁/NEJM

 狭小弁輪を伴う重症大動脈弁狭窄症患者において、バルーン拡張型弁を使用した経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)に対する自己拡張型弁を使用したTAVRの12ヵ月時点の臨床アウトカムに関する非劣性、および生体弁機能不全に関する優越性が検証された。米国・ペンシルベニア大学のHoward C. Herrmann氏らSMART Trial Investigatorsが、13ヵ国83施設で実施した無作為化試験「SMall Annuli Randomized To Evolut or SAPIEN Trial:SMART試験」の結果を報告した。狭小弁輪を伴う重症大動脈弁狭窄症患者は、TAVR後に弁の血行動態が低下し、心血管系臨床アウトカムが不良となるリスクが報告されていた。NEJM誌オンライン版2024年4月7日号掲載の報告。2つの主要複合エンドポイントを評価 研究グループは、症候性重症大動脈弁狭窄症で大動脈弁輪面積が430mm2以下の患者を、自己拡張型弁(Evolut PRO/PRO+/FX、Medtronic製)を用いるTAVR群、またはバルーン拡張型弁(SAPIEN 3/3 Ultra、Edwards Lifesciences製)を用いるTAVR群に、1対1の割合で無作為に割り付け、5年間追跡した。 主要エンドポイントは、12ヵ月時の死亡、後遺障害を伴う脳卒中または心不全による再入院の複合(非劣性を評価、非劣性マージン8%)、ならびに12ヵ月時の生体弁機能不全(大動脈弁平均圧較差20mmHg以上、重症prosthesis-patient mismatch[PPM]または中等症以上の大動脈弁逆流症、臨床的弁血栓症、心内膜炎、大動脈弁の再インターベンション)を測定する複合エンドポイント(優越性を評価、片側α=0.025)とした。 2021年4月~2022年9月に737例が無作為化され、このうち716例がTAVRを受け(as-treated集団)、解析対象集団に組み込まれた。患者背景は、平均年齢80歳、女性が87%、米国胸部外科医学会予測死亡リスク(STS-PROM)スコアの平均値は3.3%であった。自己拡張型弁のバルーン拡張型弁に対する非劣性および優越性を検証 第1の主要エンドポイントである12ヵ月時の死亡、後遺障害を伴う脳卒中または心不全による再入院の複合イベントの発生率(Kaplan-Meier推定値)は、自己拡張型弁群9.4%、バルーン拡張型弁群10.6%であった(群間差:-1.2%、90%信頼区間[CI]:-4.9~2.5、非劣性のp<0.001)。 第2の主要エンドポイントである12ヵ月時の生体弁機能不全の発生率(Kaplan-Meier推定値)は、自己拡張型弁群9.4%、バルーン拡張型弁群41.6%であった(群間差:-32.2%、95%CI:-38.7~-25.6、優越性のp<0.001)。 副次エンドポイントについては、12ヵ月時の大動脈弁平均圧較差が自己拡張型弁群で7.7mmHg、バルーン拡張型弁群で15.7mmHg、平均有効弁口面積がそれぞれ1.99cm2および1.50cm2、血行動態的構造的弁機能不全の発生率が3.5%および32.8%、女性における生体弁機能不全の発生率は10.2%および43.3%であった(すべてp<0.001)。また、30日時点の中等度または重症PPMは、自己拡張型弁群で11.2%、バルーン拡張型弁群で35.3%に認められた(p<0.001)。 主な安全性エンドポイントは、両群で類似していた。

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手術低~中等度リスク重症大動脈弁狭窄症、TAVI vs.SAVRの1年成績/NEJM

 手術リスクが低~中等度の症候性重症大動脈弁狭窄症患者において、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は外科的大動脈弁置換術(SAVR)に対して、1年時の全死因死亡または脳卒中の複合アウトカムに関して非劣性であることが示された。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのStefan Blankenberg氏らが、同国の38施設で実施した医師主導の無作為化非劣性試験「DEDICATE-DZHK6試験」の結果を報告した。TAVIとSAVRの両方が適応となる手術リスクが低い症候性重症大動脈弁狭窄症患者では、日常診療における適切な治療戦略に関するデータが不足していた。NEJM誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。1,414例を無作為化、1年時の死亡・致死的/非致死的脳卒中の複合を比較 研究グループは、65歳以上の症候性重症大動脈弁狭窄症で、各施設の学際的なハートチームの臨床評価に基づく手術リスクが低~中等度、かつTAVIまたはSAVRの両方に適格であると判断された患者を、TAVI群またはSAVR群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 TAVIでは経大腿動脈アクセスが推奨されたが、代替アクセスも可能であった。また、SAVRでは、術者の裁量で外科的アクセス(胸骨切開または低侵襲アプローチ)が選択された。 主要アウトカムは、1年時の全死因死亡、致死的または非致死的脳卒中の複合とし、ITT解析を行った。 2017年5月~2022年9月に計1,414例が無作為化された(TAVI群701例、SAVR群713例)。患者の平均(±SD)年齢は74±4歳で、男性が790例(57%)、米国胸部外科医学会予測死亡リスク(STS-PROM)スコア中央値は1.8%(外科的低リスク)であった。1年時の主要アウトカム、TAVIはSAVRに対して非劣性 主要アウトカムである1年時の複合イベントの発生率(Kaplan-Meier推定値)は、TAVI群5.4%、SAVR群10.0%であり、死亡または脳卒中のハザード比(HR)は0.53(95%信頼区間[CI]:0.35~0.79、非劣性のp<0.001)であった。 副次アウトカムについては、全死因死亡の発生率がTAVI群2.6%、SAVR群6.2%(HR:0.43、95%CI:0.24~0.73)、脳卒中の発生率がそれぞれ2.9%、4.7%(0.61、0.35~1.06)であった。 治療直後処置合併症は、TAVI群で1.5%、SAVR群で1.0%にみられた。大出血または生命を脅かす出血の発生率はそれぞれ4.3%、17.2%であった(HR:0.24、95%CI:0.16~0.35)。

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1型糖尿病患者の血糖変動の認知機能への影響

 血糖値の変動が1型糖尿病患者の認知機能に影響を与える可能性のあることは古くから知られていたが、新たな研究によって、血糖値の変動パターンや患者の状態によって、認知機能への影響が異なることが明らかになった。血糖値が正常よりもわずかに高い時には、認知機能が高くなる傾向も見つかった。米マクリーン病院のLaura Germine氏らの研究によるもので、詳細は「npj Digital Medicine」に3月18日掲載された。 論文の上席著者であるGermine氏は、「われわれの研究結果は、血糖値が脳に与える影響が人によって大きく異なる可能性があることを示している。また脳の情報処理速度を最適化するには、日常生活において血糖値の変動を最小限に抑えることが重要であることが分かった。これは特に、高齢者、または糖尿病関連の何らかの問題がある人により強く当てはまる」と話している。 研究グループによると、血糖値の極端な低下や急速な上昇が、1型糖尿病患者の認知機能を損なう可能性があることは、以前から知られていたという。しかし、それがどの程度の頻度で起きるのか、あるいは人によって影響が異なるのかは不明だった。これらの不明点を明らかにするためにGermine氏らは、連続血糖測定システムを用いて200人の1型糖尿病患者(平均年齢45.7±15.6歳、HbA1c7.5±1.3%)の血糖値を15日間にわたって5分ごとに測定。その間、スマートフォンベースの認知機能テストを1日3回行った。 解析結果は予想通り、血糖値が非常に低いか非常に高い場合に、認知機能が低下することが確認された。ただし、機能の低下が観察されたのは情報処理速度のみであって、注意力に関しては関連が認められなかった。研究グループでは、情報処理速度は血糖値の瞬間的な変動に反応するのに対し、注意力はより長時間の変動が影響を及ぼすのではないかと考察している。 研究グループはまた、高齢者および、細小血管合併症を有するまたは倦怠感が強いなどの健康上の問題を抱えている1型糖尿病患者は、ほかの患者に比べて血糖変動による認知機能への影響という点で、脆弱である可能性も見いだした。論文の筆頭著者である同院のZoë Hawks氏は、「われわれの研究は、糖尿病が脳にどのような影響を与えるかを理解しようとする際に、1型糖尿病患者という集団としてだけでなく、個々の患者の違いを考慮することも重要であることを示している」と話している。 研究では驚くべき発見もあり、1型糖尿病患者では、血糖値が正常範囲よりわずかに高いときに、認知機能が最高になる傾向が認められた。「糖尿病患者は、健康と考えられる血糖値よりも高い血糖値の時に、気分が良いと報告することがあるため、これは重要な発見だった」と、論文の共著者の1人で米ワシントン州立大学のNaomi Chaytor氏は語っている。同氏は、「この現象は、脳が少し高い血糖値に慣れてしまった結果である可能性がある。よって、研究の次のステップでは、血糖値が高い時間帯を減少させ得る血糖管理を続けた後に、認知機能がピークとなる値が正常範囲にシフトするか否かを確認することだ」と付け加えている。

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ChatGPTは医師の10倍の速さで事務作業をこなす

 医師の事務作業負担は、診察する患者の数を増やす上で妨げとなっているが、人工知能(AI)プログラムのChatGPT-4(以下、ChatGPT)を活用することで、その負担を効果的に軽減できる可能性が新たな研究で示唆された。ChatGPTは医師の10倍の速さで患者の退院時報告書を作成し、両者の作成した報告書の記述内容の質は専門家パネルにより同等と判断されたという。ウプサラ大学病院(スウェーデン)の整形外科医であるCyrus Broden氏らによるこの研究結果は、「ActaOrthopaedica」に3月21日掲載された。 この研究では、実際の症例に近い架空の整形外科症例の診療録を基に、整形外科医(若手の整形外科医と経験やスキルが高度な整形外科レジデント)とChatGPTにそれぞれの症例の退院時報告書を作成させ、その内容の質と効率性を15人の専門家パネルに評価してもらった。 その結果、整形外科医が作成した退院時報告書とChatGPTが作成した退院時報告書は、質の上では同等であると評価された。しかし、ChatGPTは整形外科医の10倍のスピードで報告書を作成していた。また、報告書の中のハルシネーション(事実とは異なる情報)の数は、ChatGPTが作成した報告書の中で4つ、整形外科医が作成した報告書の中では6つ見受けられた。 Broden氏らは、「これらの結果は、人間の整形外科医とChatGPTが作る退院時報告書は質の上では同等であるが、ChatGPTは人間の10倍の速さで書類を作成できることを明示するものだ」と話している。 研究グループは今後、1,000人の本物の患者の医療記録を用いたより大規模な研究で、医師の事務作業負担をAIが軽減できるかを検証する予定である。Broden氏は、「これは、多くの協力者を巻き込む、興味深く、多大なリソースを必要とするプロジェクトになるだろう。われわれはすでに、研究開始に必要な全てのデータ管理と機密保持の要件を満たすために精力的に取り組んでいるところだ」と話している。 Broden氏は、「事務作業は医師にとって悩みの種であり、患者を診る時間を奪い、医師のストレスレベルを高める原因となっている」と指摘する。そして、「何年もの間、医療の効率化をいかに図るかが議論の的となってきたが、生成AIとモデリング言語の進歩のおかげで、医療従事者の管理負担が軽減される可能性が芽生えた。これにより、医師は患者により多くの時間を割くことができるようになるだろう」と話している。

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テレビや動画の視聴時間の長さは夜間頻尿リスクに関連

 テレビや動画の視聴時間が長い成人では、夜間頻尿のリスクが高いとする研究結果が、「Neurourology and Urodynamics」に2月21日掲載された。 温州医科大学付属温嶺病院(中国)のJunwei Wang氏らは、2011~2016年の国民健康栄養調査(NHANES)から、20歳以上の成人1万3,294人のデータを分析。テレビや動画の視聴時間と、夜間頻尿(一晩に2回以上の排尿の必要性)の発生との相関関係について分析した。 多変量解析の結果、テレビや動画の視聴時間が最も長い群では、最も短い群に比べて夜間頻尿のリスクに48%の有意な上昇が認められた。サブグループ解析では、テレビや動画の視聴時間と夜間頻尿の関連に対し、ベースラインの特徴による有意な交互作用は認められなかった。 著者らは「この潜在的な健康リスクに対する社会的な認識が高まれば、人々はテレビや動画の視聴時間にもっと注意を払うようになる。テレビや動画を長時間視聴する人に対し、医療提供者は行動介入の助言を提供し、スクリーン時間を適切に管理するよう促すことができる」と述べている。

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薬剤溶出性バルーンがもたらす新たな世界(解説:山地杏平氏)

 パクリタキセルを用いた薬剤溶出性バルーン(商品名:Agent、 ボストン・サイエンティフィックジャパン)が、再狭窄に対する治療においてFDAで認可を受けるに当たり、通常のバルーンと比較するRCTが行われた。1次エンドポイントは、1年のIschemia-driven target lesion failureであり、予想通り、通常のバルーンでの28.6%のイベント発生率と比較し、Agentバルーンは17.9%と有意にイベント発生率は低く、これを受けて米国においてFDAで認可が得られた。 本邦では、2013年以降ビー・ブラウンのSeQuent Pleaseシリーズが、薬剤溶出性バルーンとして広く使われてきたが、こちらとAgentとを直接比較したAGENT Japan SV試験において、いずれの群もイベント発生率が低く、非劣性が示されることで、承認を受けている。 より新しい世代のバルーンを用いたボストン・サイエンティフィックジャパンのAgentは、通過性も良く、今まで治療が困難であった高度屈曲病変や、高度石灰化病変などにも使用が可能となることが予想される。一方で臨床研究に登録されるような症例は、そのような高リスク病変での治療は含まれておらず、その有用性については今後の知見が待たれる。さらには、これらのような薬剤溶出性バルーンを用いることで、その安全性が確認されれば、ステント留置に伴う遠隔期リスクが懸念される若年症例や、塞栓症リスクが高い症例において、ステント植え込みを行わないstrategyが可能となるかもしれない。

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準備万端、講義上々!【Dr. 中島の 新・徒然草】(526)

五百二十六の段 準備万端、講義上々!日本は筍を食べる数少ない国なのだとか。この季節、筍や蕗を食べると五体に染み渡る気がします。自分も同じ土から生まれてきたんだと感じるのはこんな時ですね。さて新年度から、看護学校で神経解剖を教えることになりました。これまで神経解剖を担当していた先生が「そろそろ終わりにしたい」と引退したからです。一方、私のほうは、昨年度まであまり得意でもない神経内科を教えていました。これを新任の神経内科医にバトンタッチしてホッとしていたところだったのですが……実際、脳神経外科と神経内科は似ているようで違っています。認知症やてんかんは脳外科でもよく遭遇しますが、筋萎縮性側索硬化症とか筋ジストロフィーに出くわしたことはほとんどありません。見たことのない疾患をあたかも知っているかのように教えるのは、内心忸怩たるものがありました。ついにその思いから解放される時が来たわけです。引き継いでくれた神経内科医は熱心な人で「何か先生から受け取っておくスライドとかはありますか」とか「準備には何時間くらいかけるものでしょうか」とかいろいろと尋ねられました。素人スライドなんかをお渡ししても迷惑をかけるだけなので「とくにありません」と答えておきます。講義の準備にかける時間については「最初に手間暇かけてスライドを作っておけば、次年度から楽ですよ」とアドバイスし「手抜きするとなぜか学生にバレてしまいますよ」と付け加えました。かの神経内科医は「聞いておいて良かったです」と喜んでおられたのですが、どこまでも真面目な人のようです。さて、看護学校の講義について自分が心掛けていることを、ちょっと述べておきましょう。読者の皆さんの中には、私と同じような立場の先生もおられることと思います。1. 全体の中のどの部分を講義しているかを明確に示す神経解剖といってもいろいろな階層があります。情報の入出力を担うシステムとしての神経系なのか、上位・下位ニューロンの話なのか、最小単位にあたる細胞体と軸索について述べているのか。講義で論じているのがどの階層なのかを学生に示しておけば、見通しよく話ができるというもの。2. できるだけ教科書に沿って教える私自身は教科書に出て来る図や表の見方を中心に教えています。結局、講義というのは学生が教科書を理解するための手ほどきではないでしょうか。3. 神経解剖の知識が実際にどう役立つのかを示す単に神経の名前や伝達物質の名前を暗記するだけでは面白くありません。まさに自分が医学生の時がそうでした。だから個々の知識が臨床のどの場面で役立つのかを示すことが大切です。とはいえ、必ずしもピッタリの例を思いつくわけではありません。そんな時は、国家試験にどういう形で出題されるかを示すと良いかと思います。そうすれば学生にとっても現世利益になるというもの。ただし、看護師国家試験だけだと神経解剖の過去問の数は限られています。なので薬剤師とか理学療法士など、他の医療職の国家試験から引用するといいですね。活動電位とか跳躍伝導だけでも、たくさんの問題があります。しかもありがたいことには、解剖なんてものは変わりません。多分1,000年先でも人体の構造は同じはず。病気の治療法が目まぐるしく変わるのとは大違いです。というわけで最初の講義。準備に何時間かけたかわかりません。多分、合計で12時間とか24時間とか。その甲斐あってか学生のレスポンスは非常に良く、講義が終わってからも質問の列が……案外、学生の質問が共通だったのには驚かされました。シナプス伝達と跳躍伝導の違い、脱分極と再分極の違い、などです。次の講義の冒頭はFAQに対する回答から始めるべきかもしれない、と思わされました。それにしても学生を相手にしていると、こちらも気を若く保つことができそうで、ありがたいことです。最後に1句解剖を 筍パワーで 講義する

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4月25日 小児がんゴールドリボンの日【今日は何の日?】

【4月25日 小児がんゴールドリボンの日】〔由来〕「し(4)ょうに(2)がん」と「ゴ(5)-ルド」の語呂合わせからゴールドリボン・ネットワークが制定。ゴールドの由来は「子どもは、最も貴重な宝物である」という考えから金(ゴールド)にたとえ、シンボルマークに決定した。この日前後の土曜日には、「ゴールドリボン・ウォーキング」を開催し、小児がん経験者の体験談を通して、がん啓発などが行われている。関連コンテンツ医療者向け『学校がん教育.com』図解で見える!医療者が行う”がん教育”の現状小児がんの薬剤開発、何が進んだか、次に何をすべきか/日本小児血液・がん学会なぜ日本は遅れをとっているのか?小児抗がん剤ドラッグラグの現状医療者が小学生に「がん教育」を行ううえでの“Tips”

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第94回 Googleマップの無法地帯に医師らが立ち上がった

Googleマップの口コミに医師らが提訴地図サイトで有名な「Googleマップ」では、コメントを付けることができます。多くの人がこの口コミを参考にして病院を受診したり、飲食店を訪れたりします。Googleマップは、有料グルメサイトのホットペッパーや食べログを利用率で上回っており、多くの人がGoogleマップの口コミを参照しています。しかし、批判的なコメントを付けてくるユーザーも結構多いようです。皆さんの勤務している病院や開業しているクリニックはどうでしょうか。星1つのコメントも書き込まれている医療機関が多いのではないかと思います。現在、Googleマップは昔の食べログのような状態になっており、規制がかかっていないため投稿したい放題の状況にあります。辛辣なコメントも多ければ、誹謗中傷や嘘もはびこっています。この不当な口コミや間違った内容を投稿されることに対して、営業権を侵害されたとして、医師など63人が4月18日に、アメリカのGoogle社に計約145万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。賠償金目的ではなく、Google社側に認識してもらうことで、変化を引き出すことが狙いとしています。提訴した医師らの有志たちが立ち上げたウェブサイトがあるので、ぜひご覧ください。Googleマップクチコミ被害訴訟Google口コミの問題2021年まではGoogleマップの口コミに関する相談件数は100件程度でしたが、2022年は180件と急増しています1)。それほど、口コミというのは経営者にとっては死活問題であり、問題視されつつあるということです。私の住んでいる地域の周辺の口コミを見てみましたが、時折攻撃的な口コミが目に付きます。とくに精神科や外科系を標榜している医療機関は、すぐによくならないことに不満を感じて、星1つを付けて辛辣なコメントが書き込まれています。都市部に行くと、人口に比例してコメント数は増えてきますが、支離滅裂な星1つコメントも散見されます。ある医療機関では、弁護士を通じてGoogleに情報開示を請求してみると、書き込んでいるのが同業者だったという話もあります。こうなってくると、もうホラーですね。人間不信に陥りそうになります。参考文献・参考サイト1)総務省:令和4年度インターネット上の違法・有害情報対応相談業務等請負業務報告書(概要版)

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二項対比で鑑別する【国試のトリセツ】第37回

§2 診断推論二項対比で鑑別するQuestion〈109E47〉12歳の女児。間欠的腹痛と下痢とを主訴に来院した。生来健康であったが、3カ月前から間欠性の腹痛と1日数回の下痢とが出現した。2カ月前から体重が2kg減少し、腹痛と下痢とが改善しないため受診した。痔瘻を認める。粘血便を認めない。血液所見赤血球400万、Hb9.8g/dL、Ht33 %、白血球6,000、血小板35万。血液生化学所見総蛋白6.3g/dL、アルブミン3.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST30 IU/L、ALT35IU/L。CRP2.5mg/dL。下部消化管内視鏡検査で予想されるのはどれか。(a)偽膜(b)憩室(c)敷石像(d)ポリープ(e)輪状潰瘍

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