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家族歴を有するCAD中等度リスク者、CACスコア併用の1次予防戦略が有用/JAMA

 家族歴を有する冠動脈疾患(CAD)中等度リスク者に対する1次予防戦略に、冠動脈カルシウム(CAC)スコアを組み合わせる利点を裏付けるデータが、オーストラリア・Baker Heart and Diabetes Research InstituteのNitesh Nerlekar氏らCAUGHT-CAD Investigatorsが行った無作為化試験の結果で示された。標準ケアのみと比較して、アテローム性脂質の減少とプラーク進展の制御が認められたという。CACスコアリングは、とくにCAD中等度リスクの患者において、予後情報を提供することが知られている。しかしながら、CACスコアと1次予防戦略の組み合わせの利点を検証する無作為化試験はこれまで行われていなかった。JAMA誌オンライン版2025年3月5日号掲載の報告。家族歴のある無症状の40~70歳を対象に無作為化試験 研究グループは、CACスコアと予防戦略を組み合わせることで、早発性CADの家族歴を有する中等度リスク患者のプラーク進展を制御可能かどうかについて評価する、前向きエンドポイント非盲検無作為化試験を、2013~20年にオーストラリアの7病院で実施した(最終追跡評価日は2021年6月5日)。 参加者を地域から募り、CADを60歳未満で発症した第1度近親者または50歳未満で発症した第2度近親者がいる、無症状の40~70歳を対象とした。 対象参加者にCACスコアリングを受けてもらい、スコアが0~400未満の場合は冠動脈CT血管造影(CCTA)を行い、CACスコアに基づく予防的介入(スタチンによる脂質低下療法を含む)を受けるCACスコア組み合わせ群または標準ケア群に無作為に割り付けた。 3年時点で行ったフォローアップCCTAと、独立中央検査施設で測定したプラーク量を入手。主要アウトカムは総プラーク量で、さらに石灰化および非石灰化プラーク量について解析した。3年時点でアテローム性脂質が有意に減少、プラーク進展が有意に低下 試験対象は365例(平均年齢58[SD 6]歳、男性57.5%)であった(CACスコア組み合わせ群179例、標準ケア群186例)。 標準ケア群と比較してCACスコア組み合わせ群は、3年時点で総コレステロール(平均[SD]-3[31]mg/dL vs.-56[38]mg/dL、p<0.001)およびLDLコレステロール(-2[31]mg/dL vs.-51[36]mg/dL、p<0.001)の持続的な低減が認められ、プールコホート計算式(心血管疾患の10年予測リスクツール)における変化量と関連していた(平均[SD]2.1[2.9]%vs.0.5[2.9]%、p<0.001)。 標準ケア群はCACスコア組み合わせ群と比べて、総プラーク量(平均[SD]24.9[37.7]mm3 vs.15.4[30.9]mm3、p=0.009)、非石灰化プラーク量(15.7[32.2]mm3 vs.5.6[28.5]mm3、p=0.002)、線維脂肪性および壊死性コアプラーク量(4.5[25.8]mm3 vs.-0.8[12.6]mm3、p=0.02)において、プラーク進展が大きかった。これらのプラーク量の変化は、その他のリスク因子(ベースラインのプラーク量、血圧および脂質のプロファイルなど)とは独立していた。

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既治療のHER2変異陽性NSCLC、zongertinibの有用性(Beamion LUNG-1)/日本臨床腫瘍学会

 HER2遺伝子変異はNSCLC患者の約2~4%に認められ、脳転移が生じることが多く、予後不良の場合が多い。zongertinibはHER2チロシンキナーゼドメイン選択的に共有結合し、不可逆的にHER2を阻害するチロシンキナーゼ阻害薬である。野生型のEGFRへの結合は非常に弱く、EGFR関連有害事象が抑制されることが期待されている。そこで、zongertinibの用量探索および安全性・有効性を検討する国際共同第Ia/Ib相試験「Beamion LUNG-1試験」が実施された。第Ib相の既治療のHER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性コホートにおける結果が、世界肺がん学会(WCLC2024)で報告されており、WCLC2024の報告では、zongertinib 1日1回120mgによる治療を受けた患者の66.7%に奏効が認められ、忍容性も高かったことが示された。その後、本試験のアップデート解析が実施され、その結果を葉 清隆氏(国立がん研究センター東病院)が第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)で報告した(本解析結果は、欧州臨床腫瘍学会アジア大会[ESMO Asia2024]でも報告されている)。 本試験は第Ia相と第Ib相で構成され、第Ia相の結果から1日1回120mg、240mgの用量が選択された。今回は、第Ib相においてプラチナ併用化学療法による治療歴のある(抗体薬物複合体による治療歴を有する患者は除外)HER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性NSCLC患者コホート(コホート1)の結果が報告された。コホート1では、zongertinibを 1日1回120mg投与する群(120mg群)、240mg投与する群(240mg群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。中間解析により1日1回120mgの用量が選択され、中間解析以降の組み入れ患者には、1日1回120mgの用量で投与した。有効性の主要評価項目は中央判定による奏効割合(ORR)とし、副次評価項目は病勢コントロール割合(DCR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)とした(いずれも中央判定)。 今回は120mg群の結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時点(2024年8月29日)において、zongertinib 1日1回120mgによる治療を受けたのは75例であり、年齢中央値は62歳(範囲:30~80)、女性の割合は68%、アジア人の割合は53%であった。前治療ライン数1/2/3以上の割合は56%/16%/28%であった。ベースライン時に脳転移を有していた割合は37%であった。・主な治療関連有害事象(TRAE)は下痢(51%)、皮疹(27%)、AST増加(21%)、ALT増加(20%)であり、多くがGrade1~2であった。死亡に至ったTRAEは認められず、間質性肺疾患(ILD)の発現もなかった。減量に至った有害事象(AE)の発現割合は5%、治療中止に至ったAEの発現割合は3%と低かった。・有効性の主要評価項目である中央判定によるORRは71%であり(期待値30%に対する片側p<0.0001)、主要評価項目を達成した。DCRは93%であった。・奏効が認められた患者(53例)のうち、データカットオフ時点で55%がzongertinibによる治療を継続していた。・6ヵ月PFS率は69%、6ヵ月DOR率は73%であった。 本結果について、葉氏は「zongertinibは、HER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性のNSCLC患者において、良好な抗腫瘍活性を示した。PFSやDORのデータから、zongertinibは持続的な効果を示すことが示唆された」とまとめた。HER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性のNSCLCに対する1次治療として、zongertinibと標準治療を比較する国際共同第III相無作為化比較試験「Beamion LUNG-2試験」が実施されており、現在患者を組み入れ中である。なお、zongertinibは米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック指定およびブレークスルーセラピー指定を受けている。

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ジュースクレンズはたった3日間でも有害な可能性

 一定期間、固形物を取らずにジュースのみで必要な栄養素を補うジュースクレンズは、ファスティングの一種であり、健康的な生活を始める第一歩として多くの人に取り入れられている。しかし、たとえ短期間であっても、こうした食生活によりもたらされるのは効果よりも有害性の方が大きいかもしれない。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のMelinda Ring氏らの研究によると、野菜や果物のジュースのみの食事を3日間続けることで、炎症や記憶力および思考力の問題との関連が指摘されている腸内や口腔のマイクロバイオームに変化が起こることが明らかになったという。詳細は、「Nutrients」に1月27日掲載された。 ジュースクレンズがこのような変化を引き起こすメカニズムについては、正確には解明されていない。しかしRing氏らは、ジュースは食物繊維が不足していることが要因ではないかとの見方を示している。Ring氏は、「ほとんどの人はジュースクレンズを健康的なクレンズ(浄化)として捉えているが、この研究は現実を突きつけるものだ。食物繊維がほとんど含まれていないジュースを大量に摂取すると、マイクロバイオームのバランスが崩れ、炎症や腸の健康状態の悪化といった悪影響がもたらされる可能性がある」とニュースリリースの中で述べている。 果物や野菜をジュースにする際には、含まれていた食物繊維の多くが取り除かれてしまう。食物繊維は抗炎症物質を産生する善玉菌のエサになる。食物繊維が不足すると、糖類を好む悪玉菌が増殖し、腸内や口腔内のマイクロバイオームのバランスが崩れる。 Ring氏らは今回、健康な成人14人(男性7人、平均年齢22.7歳)を対象に、ジュースの摂取が腸内と口腔内のマイクロバイオームに与える影響について調べた。研究参加者は3日間、1)果物と野菜のコールドプレスジュースのみを摂取する群(ジュース摂取群、男性2人、女性3人)、2)コールドプレスジュースと通常の食事を摂取する群(通常食摂取群、男女2人ずつ)、3)植物性食品をベースにしたホールフードのみを摂取する群(植物性食品摂取群、男性3人、女性2人)の3群に分類された。対象者はまず、オーガニックの果物、野菜、グルテンフリーの全粒穀物、卵、8杯の水から成る除去食を3日間摂取したのち、3種類の介入食のいずれかを3日間摂取した。その後、3日間の再導入期間を経て通常の食事に戻った。Ring氏らは、ベースライン、除去食実施後、介入終了直後、および介入後14日目に研究参加者から採取した唾液検体、頬の内側の粘膜のぬぐい液、および便検体を用いてマイクロバイオームの変化を分析した。 その結果、ジュース摂取群では、唾液および口腔粘膜のマイクロバイオームに変化が見られ、ファーミキューテス門(2021年にBacillota門に改名)の細菌の減少と、炎症との関連が注目されているプロテオバクテリア門(2021年にPseudomonadota門に改名)の細菌の増加が認められた。これは、ジュースが高糖質・低食物繊維であることが影響している可能性が疑われた。腸内マイクロバイオームに大きな変化は見られなかったが、腸の透過性、炎症、認知機能低下に関連する細菌の増加が認められた。一方、通常食摂取群と植物性食品摂取群でも、口腔や腸内のマイクロバイオームにある程度の変化は観察されたが、ジュース摂取群での変化ほど顕著ではなかった。 Ring氏は、「本研究結果は、食事の選択がいかに短期間で健康に関連する細菌の集団に影響を与えるかを明確に示している。口腔のマイクロバイオームは、食事の影響を迅速に把握できるバロメーターになるようだ」との見方を示している。 Ring氏らは、「この研究結果から、ジュースやその他の食事がマイクロバイオームにどのような影響を与えるのか、特に果物を食べる代わりにジュースを飲むことが多い子どもにおける影響について、さらに詳細に調べる必要性が浮き彫りになった」と話している。

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たった1時間のスクリーンタイムの増加で近視リスクが上昇

 目を細めながらスマートフォン(以下、スマホ)を見つめたり、タブレットやテレビなどのスクリーンを凝視したりする時間が長くなるほど、近視になるリスクも高まることが、新たなエビデンスレビューで明らかになった。1日当たりのデジタル機器のスクリーンを見る時間(スクリーンタイム)が1時間増えるごとに近視のリスクが高まり、近視になりやすい傾向(近視のオッズ)が21%上昇する可能性が示されたという。ソウル国立大学校(韓国)医学部眼科学准教授のYoung Kook Kim氏らによるこのレビューの詳細は、「JAMA Network Open」に2月21日掲載された。 Kim氏らによると、2050年までに世界の人口の約半数が近視になると予測されているという。米国眼科学会(AAO)によると、近視とは、近くのものははっきり見えるが遠くのものはぼやけて見える状態のことを指し、例えば、手元の地図を確認することはできても車の運転では眼鏡やコンタクトが必要になる。同氏らは、「近視患者の急激な増加の予測は、都市化が進んだ社会でよく見られる環境要因に後押しされている可能性が高い。その主な要因として挙げられるのは、近くを見る活動(近見作業)の増加と屋外での活動の減少だ」と指摘する。 さらにKim氏らは、スマホやタブレットなどのスクリーンを伴う機器が、「近見作業の新たな形をもたらした」と述べる。その上で、「より低年齢でスマートデバイスを使用する子どもが増え、スクリーンタイムが長くなりつつあることを考慮すると、スクリーンタイムと近視の関連について理解を深めることは急務である」と主張している。 Kim氏らは今回、45件の先行研究の33万5,524人(平均年齢9.3歳)のデータを統合して解析した。その結果、1日当たりのスクリーンタイムが1時間増えるごとに近視のオッズが21%上昇するという、有意な線形の用量反応関係が示された(オッズ比1.21、95%信頼区間1.13〜1.30)。次に、非線形の用量反応メタアナリシスを行い、スクリーンタイムの増加と近視リスクとの関連を検討した。その結果、近視のオッズ比は、1日当たりのスクリーンタイムが1時間の場合で1.05(95%信頼区間1.01〜1.09)、2時間で1.29(同1.18〜1.41)、3時間で1.65(同1.39〜1.96)、4時間で1.97(同1.56〜2.40)、5時間で2.24(同1.67〜3.01)であった。Kim氏らは、「近視リスクはスクリーンタイムが1時間を超えると4時間まで顕著に上昇し、4時間を超えると上昇の仕方が鈍化することが示された」と述べている。 こうした結果を受けてKim氏らは、「このレビューでは、1日当たり1時間未満のスクリーンタイムが安全性の上限となる可能性があり、4時間の長さに至るまで近視のリスクが高まることが示された」と結論付けている。 このリスクは、読書をしたり何かを書いたりするなどの近見作業とは独立して存在するとKim氏らは述べている。同氏らは、「デジタル機器のスクリーンの使用と、他の近見作業がトータルで近視のリスクに寄与し、全体的な用量反応傾向に影響を及ぼしている可能性はある」と説明する。その上で、「このことは、単にスクリーンタイムを減らして従来の近見作業を優先するだけでは効果的な予防戦略にならない可能性を示唆している」と付け加えている。また、「全般的な近見作業を最小限に抑え、屋外で過ごす時間を増やすように促すことは、近視リスクを軽減するためのより効果的なアプローチになるだろう」と述べている。

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脳保護薬nerinetideは血栓溶解療法を行わない血栓除去術施行患者に有効か?(解説:内山真一郎氏)

 nerinetideは、急性期虚血性脳卒中の前臨床モデルで多くの研究が行われてきたイコサペプチドであり、再灌流療法前の脳損傷の進行を阻止することによる転帰改善効果が期待されている。nerinetide投与前にアルテプラーゼ治療を受けなかった患者では効果があり、受けた患者では効果がなかったが、アルテプラーゼの先行投与により産生されるプラスミンがnerinetideを分解して不活化してしまうためであると考えられている。 ESCAPE-NEXT試験は、nerinetideが有効だったESCAPE-NA1試験のアルテプラーゼ無投与群の結果を再現するためにデザインされた。結果は、事前に血栓溶解療法を行わなかった、発症後12時間を過ぎた血管内血栓除去術を施行した患者においてnerinetideの効果は観察されなかった。中立的な結果に終わった理由としては、脳卒中ケアの経時的変貌、治療時間枠の遅さ、COVID-19流行の影響、年齢の高さ、薬剤投与と再灌流の間のインターバルの短さが挙げられている。 血管内治療は、脳保護療法の理想的な唯一の患者選択肢とはいえないのかもしれない。同時に行われたFRONTIER試験の統合解析が待たれるが、脳保護療法の未来には今後も多くの紆余曲折がありそうである。

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第253回 医療業界の賃上げは後手、その裏で25年春闘は満額回答続出

毎年この時期になると、無意識でも小耳にはさんでしまうキーワード「春闘」。今月に入って聞く関連ニュースによると、2025年の春闘は労働組合の賃上げ要求に対し、満額に近い回答を示す企業が続出しているという。昨今の物価高騰と人手不足が相まって、企業側が労働者側に事実上譲歩している結果とも言えそうだ。1960年代生まれの私にとって春闘の時期になると思い出すのが、幼少期の光景だ。労使交渉がまとまらなかった一部企業などがストライキ入りし、両親が「明日から○○がストだから…」と夜にヒソヒソ話をしていたのである。近年は労資協調主義の労働組合が増えたことに加え、労働組合の組織率が低下していることなどからか、ストライキに関するニュースはほとんど聞かなくなった。医療業界でついにストライキ決行さて、そのような中で今春、医療・介護業界でストライキ実施を公言する動きがあり、久々に驚いた。病院・診療所や介護・福祉施設などの労働組合が結集した国内唯一の医療・介護の産業別労働組合(産別)である日本医療労働組合連合会(通称・医労連)が3月13日に実施した「医療・介護を守る!3.13全国統一ストライキ」である。この話題に触れると、医労連が参加している全国中央組織「全国労働組合総連合(全労連)」が日本共産党支持色の強い団体であるため、やや眉をしかめる人もいるだろう。だからといって常に色眼鏡で見ることも、私にはやや抵抗がある。さて前述のように主要民間企業では満額回答の賃上げが話題だが、一年前の2024年春闘の結果は、全労連の対抗馬とも言える日本労働組合総連合会(通称・連合)の集計によると、全産業平均賃上げ率は5.1%で33年ぶりに5%台を超えた。これに対し、厚生労働省の調査による医療・福祉分野の2024年賃金上げ率はその半分未満の2.5%。医療・介護とも公定の診療報酬・介護報酬が主な収益源であり、この結果は国の政策に起因することが大きいのは当然である。そして2025年春闘では民間企業とは対照的に医療・介護分野でゼロ回答が目立つと報じられている。もちろん現在の社会保障費の増大ぶりを考えれば、診療報酬や介護報酬を半ば無制限に引き上げることが不可能なのは百も承知だ。しかし、昨今の物価事情は、スーパーで購入する主食の米は5kgで安くとも3,000円台半ばが多い。これが3年ほど前だったら1,000円は安かった。主食だけでも40%近く値上がり、そのほかの物価も軒並み上昇しているこのご時勢にゼロ回答はさすがにいかがなものか。これではどの政党を支持するかに関係なく、ストライキでもやりたくなるだろう。もっとも国も無策ではない。昨春の診療報酬改定は全体で0.88%のプラス改定だったが、これには病院、診療所、歯科診療所、訪問看護ステーションに勤務する看護職員、病院薬剤師、そのほかの医療関係職種の賃上げのための特例的対応分0.61%、40歳未満の勤務医師・歯科医師、薬局勤務薬剤師、事務職員、歯科技工士などの賃上げ分0.28%を含んだ結果である(これ以外に入院時の食費基準額の引き上げ対応分や生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料などの適正化による引き下げ分が含まれる)。また、介護報酬では、岸田政権以降の相次ぐ賃上げ対応により、これまで3種類の賃上げ関連加算が新設され、今春にはこれらを一本化した介護職員等処遇改善加算が創設された。算定要件は決して甘くはないが、やり方次第では従来よりも高いベースアップが可能になる。当然ながら、これらの施策が目指す賃上げ目標は2%台であり、民間には遠く及ばない。医療や介護が人の命や生活の質に直結する重大な責務を担っているにもかかわらずだ。医労連に過度に肩入れするつもりはないが、このままでは同組織の主張通り、現場から離職が相次ぎ、将来的な医療・介護の質の担保は困難になる。財源確保は後回しで自己主張を続ける国政では、どこからどう“カネ”を工面するのか? 残念ながら、これは既存の予算の効率化からねん出するしかない。「どこにそんなカネがあるのか?」と問われれば、「あるようでない」「ないようである」と言える。たとえば先日、与党の自民党と公明党が予算成立“だけ”を念頭に置いた日本維新の会との政策合意を見てほしい。あれは維新が主張する高校授業料無償化をのむ形で実現した。もっともその本質はより厳密に言えば「私立高校の授業料無償化」である。文部科学省の発表によれば、日本の高校進学率は2023年度で98.7%である。ほぼ全入状態である。確かに高校授業料無償化により、経済的に厳しい家庭でも私立高校を選択肢にできるようにはなるかもしれないが、前述の高校進学率を見れば、「おカネがないから高校に行けず悔しい思いをした」という現実はほとんどないと言ってよいのではないだろうか。あるとしてもその1.3%の中で経済的に高校進学が叶わない可能性がある家庭にピンポイントで支援をすれば済む。今回のように所得制限も取っ払って高校入学を控える子どもがいる全家庭にお金をばらまく必要はない。しかも、今回の無償化に必要な予算は2025年度が約1,000億円、2026年度以降は年間約4,000億円の追加予算が必要になるにもかかわらず、首相自ら「行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保する」と述べたように、実は予算の当てはこれから探すのである。医療・介護に関してみても、本連載でも過去に触れたOTC類似薬の保険給付の再検討や高齢者の3割負担対象拡大など、より財政効果が高く、かつより本質的とも言える問題は置き去りのまま、高額療養費制度に手を付けようとし、事実上の改正撤回というしっぺ返しを食らっている。もはや行き着くところまで行っているような状況だが、国そして医療・介護業界はこのままダラダラと現状維持を続けるつもりなのだろうか?

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優秀な医師は投資も上手くいく!? 投資と医療の共通点とは【医師のためのお金の話】第90回

資産形成は、多くの人々にとって重要なテーマです。もちろん医師も例外ではありません。そして資産形成を成功させるためには、適切な投資戦略が不可欠です。しかし、投資の世界は複雑で、多くの人が非合理的な行動を取ってしまいがちです。そして、投資における人間の非合理的な行動を理解することは、意外なほど重要です。たとえば、暴落や暴騰に対する過剰反応や、過去の成功体験に基づく過信などがあります。もう少し合理的に考えられれば、資産形成の効率は向上するでしょう。長期的な視点を持つことも重要です。具体的な例として、投資の目標を明確に設定して、それに基づいて計画を立てることが挙げられます。歴史的にみても、長期的な視点を持つ投資家は、短期的なトレーダーよりも高いリターンを得る傾向があります。実は、医師として患者さんを治療するときも、投資における判断と似たような考え方が働いていることに気付かされます。私は整形外科医なので、外傷の患者さんを日常的に治療しています。その治療プロセスを考えてみましょう。患者さんがケガをしたとき、メリットとデメリットを考えたうえで治療計画を立てます。目の前の患者さんの状況に舞い上がって場当たり的な治療を行うのはご法度です。同様に、投資においても短期的利益を追い求めるのではなく、長期的な視点を持つことが大切です。このように、投資と医療の考え方には似ている点が多いです。患者さんにとってベストの治療を心掛けている医師は、資産形成においても成功する可能性が高いのかもしれません。医師として興味深いテーマを考えてみましょう。投資における人間の非合理的な行動を理解して、それを克服する方法医師が治療を行う際の心構えと、成功する投資家の行動には多くの共通点があります。投資において、人間はしばしば非合理的な行動を取ります。『富の法則 一生「投資」で迷わない行動科学の超メソッド』(徳間書店)では、以下のような非合理的な行動を例示しています。表 非合理的な行動の例1.過剰反応2.過信3.損失回避4.アンカリング(初期の情報や価格に固執して、その後の判断に影響を与えること)5.確証バイアス6.群集心理7.短期志向8.フレーミング効果9.後悔回避過信と確証バイアスは、医師の心構えと共通していると思います。まず過信ですが、医療だけでなく投資でも望ましくありません。過去の成功体験に基づいて自分の能力を過信すると、本来のリスクを過小評価し、無謀な治療や投資行動を取ることになります。確証バイアスとは、自分の信念や予測を支持する情報だけを集めて、反対の情報を無視する傾向です。医療において思い込みによる診断と治療が危険であるのと同様に、投資においても確証バイアスによって偏った判断を下すのは危険です。これら以外にも、私たちが非合理的な行動を避けるためには、自己認識が重要だと思います。自己認識とは、自分の感情や行動パターンを理解することです。とくに投資では、自分がどのような状況で感情的になりやすいかを知ることで、冷静な判断を下しやすくなります。長期的な視点で医療や投資に向かい合おう!生活習慣病では、長期間にわたる治療が必要です。たとえば、高血圧や糖尿病の治療で、昨日の血圧や血糖値に一喜一憂することはありません。私の整形外科の領域でも、長期的に関節機能を温存するにはどうすれば良いかを常に考えて治療しています。投資においても、長期的な視点を持つことは非常に重要です。短期的な市場の変動に一喜一憂するのではなく、長期的にはどうなのかを問い続けることが成功への鍵となります。とくにコロナショックのような暴落が発生した時には有効でしょう。株式市場では短期的な変動が頻繁に起こりますが、長期的には上昇傾向にあることが多いです。このため、短期的な損失に対して過剰に反応せず、長期的な利益を見据えて投資を続けることが重要です。いわゆるBuy & Holdですね。また、長期的な視点を持つことで、投資家は複利効果を最大限に活用することができます。私の経験ですが、2008年に投資したJ-REITでは、すでに投下資金を分配金だけで全額回収済みです。さらに、分配金で株式を買い増ししており、大きな複利効果を得ています。最後に、長期的な視点を持つことで、私たちは冷静な判断を下しやすくなります。短期的な市場の変動に対して感情的にならず、長期的な目線で投資を続ける。いかがでしょう、医療と資産形成で成功するポイントは、意外と似ていると思いませんか?

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asthma(喘息)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第22回

言葉の由来「喘息」は英語で“asthma”ですが、この言葉の起源をたどると、古代ギリシャ語の“aazein”という動詞に由来するそうです。この動詞は、「激しく息をする」という意味合いを持つ言葉です。14世紀後半に英語に導入され、「息苦しい発作や胸の圧迫感を伴う呼吸障害」を表す医学用語として使用され始めました。この当時は、まだ現在のように病名として定義されておらず、呼吸困難がある患者全般に対する呼称として“asthma”あるいは、“asthmatic”という形容詞が使われてきたようです。なお、後者の“asthmatic”は、喘息患者をラベリングする(=患者を病気そのもので定義付けてしまう)使い方をされることが多いので、現在は使用を避けるのが好ましいといわれています。現代の医学では、喘息は慢性炎症性気道疾患の病名として用いられていますが、このような病気としての言葉の定義付けがされたのは、19世紀に入ってからのようです。併せて覚えよう! 周辺単語呼吸困難dyspnea喘鳴wheeze急性増悪acute exacerbation吸入ステロイドinhaled corticosteroids気管支拡張薬bronchodilatorsこの病気、英語で説明できますか?Asthma is a chronic inflammatory disease of the airways characterized by episodes of wheezing, shortness of breath, chest tightness, and coughing. These episodes can be triggered by allergens, physical activity, or respiratory infections.講師紹介

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週末2~3時間のキャッチアップ睡眠でCKDリスク低下

 中国・広西中医薬大学のSheng Chen氏らは、米国成人における週末のキャッチアップ睡眠と慢性腎臓病(CKD)との関連を調査した。Renal Failure誌2025年12月号の報告。 対象は、2017〜20年の国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した20歳以上の成人4,934人。週末のキャッチアップ睡眠と関連したCKDリスクを評価した。週末のキャチアップ睡眠時間に基づくCKDリスクを評価するため、対象者を睡眠時間に応じて4群に分類した。週末のキャチアップ睡眠時間が1時間未満を対照群とし、1〜2時間群、2〜3時間群、3時間以上群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・完全に調整した多変量ロジスティックモデルでは、CKDと週末のキャッチアップ睡眠のオッズ比(OR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.61〜1.22、p=0.31)であった。・2〜3時間群において、CKDとの有意な関連が認められた(OR:0.44、95%CI:0.21〜0.88、p=0.03)。・サブグループ解析では、キャッチアップ睡眠2〜3時間群の男女、2〜3時間群の60歳未満の成人、1時間未満群のBMI25〜29.9の人、2〜3時間群でBMIが25未満または30以上の人、平日の睡眠時間が7時間未満で週末のキャッチアップ睡眠時間が2〜3時間の人で、より強い負の相関が認められた(p<0.05)。・BMIとの相互作用は、統計学的に有意であった(p for interaction=0.04)。 著者らは「平日の睡眠時間が7時間未満の場合、週末に2〜3時間のキャッチアップ睡眠を行うことで、CKDリスクを低下させる可能性が示唆された」と結論付けている。

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CRAFITYスコア2点の肝細胞がん1次治療、レンバチニブvs.免疫療法/日本臨床腫瘍学会

 CRAFITYスコア2点(AFP≧100ng/mLかつCRP≧1mg/dL)の肝細胞がん(HCC)患者に対する1次治療として、レンバチニブによる治療は免疫療法と比較して無増悪生存期間(PFS)が有意に良好で、同スコアが肝細胞がん1次治療のレジメン選択におけるバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。京都大学の上野 真行氏が後ろ向きコホート研究の結果を第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)で発表した。 これまでに同氏らが実施した、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法不応の予測マーカーを評価した多機関共同後ろ向き研究結果1)において、CRAFITYスコアが最も予測に適した因子であることが明らかになっていた。・対象:2018年3月~2023年12月に、日本国内の11施設において進行HCCに対しレンバチニブまたは免疫療法を1次治療として開始した789例のうち、ベースラインのCRAFITYスコア2点の患者・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効割合(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・1次治療開始時にCRAFITYスコア2点を有していた患者は92例(11.7%)で、レンバチニブによる治療を受けた患者が50例、免疫療法を受けた患者が42例(アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法が40例、デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法が2例)であった。・ベースラインの患者特性について、年齢中央値はレンバチニブ群73.5歳vs.免疫療法群74.5歳、男性が78%vs.81%、ECOG PS 0/1が94%vs.93%、ウイルス性肝炎(病因)が34%vs.38%、Child-Pugh分類Aが60%vs.69%、BCLC病期分類B/Cが96%vs.95%、ALBIスコアが-1.98 vs.-2.02で両群に統計学的な有意差は認められなかった。・PFS中央値はレンバチニブ群6.0ヵ月vs.免疫療法群2.3ヵ月であり、レンバチニブ群で有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.52、95%信頼区間[CI]:0.30~0.88、p=0.014)。・OS中央値はレンバチニブ群9.8ヵ月vs.免疫療法群5.5ヵ月であり、レンバチニブ群で良好な傾向がみられたが、統計学的な有意差は認められなかった(HR:0.68、95%CI:0.42~1.11、p=0.123)。・ORRはレンバチニブ群20.0%vs.免疫療法群11.9%(p=0.398)で統計学的有意差は認められなかった一方、DCRは62.0%vs.28.6%とレンバチニブ群で有意に良好であった。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)はレンバチニブ群46.0%vs.免疫療法群23.8%で発生し、レンバチニブ群で有意に多く認められた(p=0.031)。 上野氏は今後、より大きなコホートでバリデーション研究を行う予定として講演を締めくくった。

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プロテインS異常、血栓症と関連/JAMA

 遺伝性のPROS1機能欠損はまれであるが、一般集団ではこれまで考えられていたよりも静脈血栓塞栓症(VTE)の強いリスク因子であることが示された。また、PROS1コーディング変異よりも後天的環境的要因や他の遺伝的要因のほうが血漿プロテインS欠乏を引き起こす可能性が高く、血漿プロテインS低値はVTEと関連していたという。米国・The Broad Institute of MIT and HarvardのSharjeel A. Chaudhry氏らが、縦断的集団コホートを用いた横断研究の結果を報告した。血栓性疾患における臨床的意思決定は、これまでプロテインS低下に伴う静脈・動脈血栓症のリスクの大きさが明らかになっていなかったことで妨げられていた。JAMA誌オンライン版2025年3月3日号掲載の報告。UK BiobankとNIH All of Usバイオリポジトリの約63万例のデータを解析 研究グループは、UK Biobank(42万6,436例)、および米国国立衛生研究所All of Usバイオリポジトリ(20万4,006例)のデータを用いた。大規模なマルチオミクスデータセットは、プロテインS欠乏症の疫学と臨床的影響に関する疑問を解消する可能性がある。 UK Biobankは、2006~10年に参加者を登録し(最終追跡調査日2020年5月19日)、全エクソームシーケンスが行われた。一部(4万4,431例)は、ハイスループット血漿プロテオミクスによりプロテインS濃度を測定した。All of Usは2017年に登録が開始され(現在も継続中)、参加者は生殖細胞系列の全ゲノムシークエンスを受けた。両コホートには、人口統計学、臨床検査値、臨床アウトカムに関する個人レベルのデータが含まれている。 PROS1のまれな生殖細胞系遺伝子変異の有無と、遺伝子変異がタンパク質の活性を阻害する確率のin silico予測である機能的影響スコア(FIS)で分類し、血漿中プロテインS濃度の低下およびPROS1変異に関連する血栓症のリスクをFirthロジスティック回帰および線形回帰モデルを用いて評価した。PROS1変異がVTEリスクと関連 UK Biobankのコホートは、登録時の年齢中央値が58.3歳(四分位範囲:50.5~63.7)、女性が54.3%、ほとんど(95.6%)が欧州系人で、1万8,011例がVTEを発症していた。 このコホートでは、最高リスクのPROS1変異(FIS 1.0:ナンセンス変異、フレームシフト変異およびスプライス部位変異)のヘテロ接合体はまれであるが(補正後保有率は英国0.0091%、米国0.0178%)、VTEリスクは著しく高かった(オッズ比[OR]:14.01、95%信頼区間[CI]:6.98~27.14、p=9.09×10-11)。 血漿プロテオミクス解析(4万4,431例)では、これら変異保有者の総プロテインS濃度は正常値の48.0%(p=0.02 vs.非保有者)であることが示された。一方、軽微なミスセンス変異体(FIS≧0.7)は一般的にみられ(補正後保有率:英国0.22%、米国0.20%)、血漿プロテインS濃度のわずかな低下と関連しており、VTEリスクの点推定値は小さかった(OR:1.977、95%CI:1.552~2.483、p=1.95×10-7)。 All of Usコホートにおいても、両FISカットオフでのPROS1変異とVTEの関連は独立して検証され、同様のエフェクトサイズであった。 PROS1コーディング変異体の存在と、3つの動脈血栓症(心筋梗塞、末梢動脈疾患、非心原性虚血性脳卒中)との間には関連性は検出されなかった。 PROS1変異の有無と血漿中プロテインS濃度低値との相関性は低く、プロテインS欠乏はPROS1変異体の有無に関係なくVTEおよび末梢動脈疾患と有意に関連していた。 Kaplan-Meier生存分析において、PROS1の生殖細胞系列機能喪失変異によるVTEリスクの上昇が認められ、生涯にわたって持続すると考えられた(p=0.0005、log-rank検定)。

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5~24歳の肥満者数、この30年で3倍に/Lancet

 1990~2021年にかけて世界のあらゆる地域で過体重と肥満が大幅に増加しており、増加を抑制するための現行の対策が小児期・青年期の世代で失敗していることが、オーストラリア・Murdoch Children 's Research InstituteのJessica A. Kerr氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2021 Adolescent BMI Collaboratorsの解析で明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「2021年以降も、小児期・青年期の過体重の有病率は高いままで、将来的に肥満集団はさらに増加すると予測される。世界のすべての地域、すべての人口集団で増加が続き、2022~30年に大きな変化が起こると予測されるため、この公衆衛生上の危機に対処するため早急な行動が必要である」と述べている。Lancet誌2025年3月8日号掲載の報告。1990~2021年の180の国と地域5~24歳のデータを解析 研究グループは、GBD 2021の確立された方法論を用い、1990~2021年の小児期・青年期における過体重と肥満の推移をモデル化し、2050年までの予測を行った。モデルの主要データには、180の国と地域から収集された1,321件の測定データが含まれた。 これらのデータを用い、1990~2021年における204の国と地域での過体重と肥満の年齢標準化有病率を、性別、年齢層別、国・地域別に推定した。年齢層は、学童期(5~14歳、通常学校に通い児童保健サービスを受ける)と学生期(15~24歳、徐々に学校を離れ、成人向けサービスを受ける)に分けた。 1990~2021年の推定有病率は時空間ガウス過程回帰モデルを用いて、2022~50年の予測有病率は現在の傾向が継続すると仮定した一般化アンサンブルモデリング法を用いてそれぞれ算出し、1990~2050年の各年齢、性別、地域の人口集団について、肥満の割合と過体重の割合の対数比から肥満の過体重に対する優位性を推定した。2050年までに世界的に過体重と肥満の有病率が増加 1990~2021年にかけて、小児期・青年期における過体重と肥満の合計有病率は2倍、肥満のみの有病率は3倍となった。2021年までに、肥満者数は5~14歳で9,310万人(95%不確実性区間[UI]:8,960万~9,660万)、15~24歳で8,060万人(7,820万~8,330万)と推定された。 2021年の過体重および肥満の有病率は、GBD super-regionの中で北アフリカ・中東(アラブ首長国連邦、クウェートなど)で最も高く、1990~2021年にかけて増加率が最も高かったのは東南アジア・東アジア・オセアニア(台湾、モルディブ、中国など)であった。 2021年までに、両年齢層の女性は、オーストララシア(オーストラリアなど)および北米の高所得地域(カナダなど)の多くの国で肥満優位状態であり、北アフリカ・中東(アラブ首長国連邦やカタールなど)およびオセアニア(クック諸島やサモアなど)の多くの国でも、男女ともに肥満優位状態に移行していた。 2022~50年にかけて、過体重(肥満ではない)の有病率は世界的に安定すると予測されたが、世界人口に対する肥満人口の絶対割合の増加は1990~2021年の間より大きくなり、2022~30年にかけて大幅に増加し、この増加は2031~50年の間も続くと予測された。 2050年までに、肥満有病率は北アフリカ・中東(アラブ首長国連邦、クウェートなど)で最も高くなると予測され、肥満の増加は依然として東南アジア・東アジア・オセアニア(東ティモール、北朝鮮など)に加え、南アジア(ネパール、バングラデシュなど)でも増加すると予想された。 15~24歳と比較して5~14歳のほうが、ほとんどの地域(中南米・カリブ海地域および高所得地域を除く)で2050年までに過体重より肥満の有病率が高くなると予測された。 世界的には、2050年までに5~14歳のうち15.6%(95%UI:12.7~17.2、1億8,600万人[1億4,100万~2億2,100万])、15~24歳のうち14.2%(11.4~15.7、1億7,500万人[1億3,600万~2億300万])が肥満になると予測された。 また、2050年までに、5~14歳の男性では、肥満(16.5%[95%UI:13.3~18.3])が過体重(12.9%[12.2~13.6])を上回り、5~24歳の女性および15~24歳の男性では過体重が肥満を上回ると予測された。 地域別では、北アフリカ・中東および熱帯中南米の5~24歳の男女、東アジア、サハラ以南のアフリカ中央部と南部、中南米の中央部の5~14歳の男性、オーストララシアの5~14歳の女性、オーストララシア、北米の高所得地域、サハラ以南のアフリカ南部の15~24歳の女性、北米の高所得地域の15~24歳の男性で、2041~50年までに肥満優位状態に移行すると予測された。

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病院の6割超が赤字、2026年度改定に向け合同声明を公表/日医ほか

 診療報酬は公定価格であるため、昨今の急激な物価や人件費の高騰を価格転嫁することができず、病院は深刻な経営難に陥っている。そこで、日本病院会などの6病院団体は、2024年6月の診療報酬改定後の病院の経営状況に関して緊急調査を実施し、その結果を3月12日の日本医師会との合同記者会見で報告した。 主な結果は以下のとおり。・調査は6病院団体の会員が対象で、1,816病院から回答を得た(回答率:30.8%)。・2024年の診療報酬改定後、病床利用率は上昇傾向にあるものの、医業利益率と経常利益率は悪化傾向が認められた。 ・医業利益の赤字病院割合は69.0%まで増加、経常利益の赤字病院割合は61.2%まで増加した。・2023年と2024年の比較では、給与費とその他の経費が増加しており、その他の経費ではすべての費目(委託費、診療材料費、水道光熱費など)が増加していた。改定後の医業収益の増加率(1.9%)よりも、医薬品費以外のすべてのその他の経費の増加率が上回っていた。・2023年度の福祉医療機構のデータの債務償還年数の分析では、半数の病院が破綻懸念先と判断される30年を超えていた。  日本医療法人協会副会長の太田 圭洋氏は、これらの結果より「全国の病院経営は危機的状況に陥っていることから、地域の病院医療を維持していくため、また医療者の適切な処遇改善を進めていくために、物価・賃金の上昇に適切に対応した診療報酬の仕組みが必要」とまとめた。 なお、日本医師会と6病院団体は同日に合同で声明を発表し、(1)「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という社会保障予算の目安対応の廃止、(2)診療報酬などについて、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入を求めた。

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標準治療+アニフロルマブが全身性エリテマトーデス患者の臓器障害の進行を抑制

 全身性エリテマトーデス(SLE)は、炎症を通じて肺、腎臓、心臓、肝臓、その他の重要な臓器にさまざまな障害を起こす疾患であり、臓器障害が不可逆的となることもある。しかし、新たな研究で、標準治療へのSLE治療薬アニフロルマブ(商品名サフネロー)の追加が、中等症から重症の活動性SLE患者での臓器障害の発症予防や進行抑制に寄与する可能性のあることが示された。サフネローを製造販売するアストラゼネカ社の資金提供を受けてトロント大学(カナダ)医学部のZahi Touma氏らが実施したこの研究は、「Annals of the Rheumatic Diseases」に2月1日掲載された。 SLEの標準治療は、ステロイド薬、抗マラリア薬、免疫抑制薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などを組み合わせて炎症を抑制するのが一般的である。しかし、このような標準治療でSLEによる臓器障害を防ぐことは難しく、場合によっては障害を悪化させる可能性もあると研究グループは指摘する。 アニフロルマブは、炎症亢進に重要な役割を果たす1型インターフェロン(IFN-1)受容体を標的とするモノクローナル抗体であり、2021年に米食品医薬品局(FDA)によりSLE治療薬として承認された。今回の研究では、標準治療にアニフロルマブを追加することで、標準治療単独の場合と比べて中等症から重症の活動性SLE患者での臓器障害発生を抑制できるのかが検討された。対象者は、標準治療(糖質コルチコイド、抗マラリア薬、免疫抑制薬)に加え、アニフロルマブ300mgの4週間ごとの静脈内投与を受けたTULIP試験参加者354人(アニフロルマブ群)と、トロント大学ループスクリニックで標準治療のみを受けた外部コホート561人(対照群)とした。 主要評価項目は、ベースラインから208週目までのSLE蓄積障害指数(Systemic Lupus International Collaborating Clinics/American College of Rheumatology Damage Index;SDI)の変化量、副次評価項目は、最初にSDIが上昇するまでの期間であった。SDIは0〜46点で算出され、スコアが高いほど臓器障害が進行していることを意味する。なお、過去の研究では、SDIの1点の上昇は死亡リスクの34%の上昇と関連付けられているという。 その結果、ベースラインから208週目までのSDIの平均変化量はアニフロルマブ群で対照群に比べて0.416点有意に低いことが明らかになった(P<0.001)。また、208週目までにSDIが上昇するリスクは、アニフロルマブ群で対照群よりも59.9%低いことも示された(ハザード比0.401、P=0.005)。 こうした結果を受けてTouma氏は、「アニフロルマブと標準治療の併用は、4年間にわたって標準治療のみを行う場合と比較して、臓器障害の蓄積を抑制し、臓器障害の進行までの時間を延ばすのに効果的である」と結論付けている。

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炎症性関節炎患者に対するメンタルヘルスケアには課題あり

 乾癬性関節炎や関節リウマチなどの炎症性関節炎患者は、うつ病や不安障害などの気分障害のリスクが大幅に高いにもかかわらず、こうしたメンタルヘルス上の懸念に対する医師の対応は十分ではないことが、新たな研究により明らかになった。ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)のMary De Vera氏らによるこの研究結果は、「Arthritis Research & Therapy」に1月21日掲載された。 この研究でDe Vera氏らは、ブリティッシュコロンビア州の行政保険データ(2000年1月2日〜2018年3月31日)を用いて、うつ病と不安障害のいずれかまたは両方を発症した炎症性関節炎(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ)患者に対する最小限の適切な薬物療法や心理療法の実施について評価した。最小限の適切な薬物療法は「84日分以上の抗うつ薬の処方」、最小限の適切な心理療法は「4回以上のカウンセリング/心理療法サービスの実施」と定義された。 うつ病を発症した炎症性関節炎患者6,951人(平均年齢54.8±18.3歳、女性65.5%)と不安障害を発症した炎症性関節炎患者3,701人(平均年齢52.9±16.8歳、女性74.3%)が特定された。炎症性関節炎のない患者を対照群とし、炎症性関節炎患者と年齢、性別、うつ病または不安障害の発症日(±5年)を基準に1対1の割合でマッチングさせた。 分析の結果、うつ病に対する最小限の適切な薬物療法と心理療法を受けた患者の割合は、炎症性関節炎患者群で50.5%と19.6%、対照群で48.0%と19.7%であった。炎症性関節炎患者がうつ病に対する最小限の適切な薬物療法と心理療法を受ける調整オッズ比(aOR)は、それぞれ1.09(95%信頼区間1.02〜1.17)と0.99(同0.90〜1.08)であり、薬物療法に関してのみ統計学的に有意であった。 一方、不安障害に対する最小限の適切な薬物療法と心理療法を受けた患者の割合は、炎症性関節炎患者群で46.9%と20.2%、対照群で44.1%と19.0%であった。炎症性関節炎患者が不安障害に対する最小限の適切な薬物療法と心理療法を受けるaORは、それぞれ1.10(95%信頼区間1.00〜1.21)と1.07(同0.94〜1.21)であり、薬物療法に関しては対照群に比べてやや高い傾向が認められたが、心理療法については対照群との間に有意な差は認められなかった。 De Vera氏は、「メンタルヘルスはあまり注目されないことが多く、メンタルヘルスの問題に対する治療が不十分であることが十分に立証されているため、これらの結果は必ずしも驚きではなかった。しかし、炎症性関節炎患者と炎症性関節炎を持たない患者との間に、うつ病と不安障害に対する最小限の適切な治療に関して有意な差がなかったことには、多少驚かされた。なぜなら、炎症性関節炎患者は医療機関を受診することも多いため、うつ病や不安障害に対する治療を受ける機会も多いはずだと考えていたからだ」と話す。その上で同氏は、「炎症性関節炎と精神疾患は複雑な関係にあり、特に、炎症は根本原因として重要な役割を果たしていることを考えると、このギャップは解決すべきだ」と述べている。

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第2回 鳥インフルエンザ:米国で高まる懸念、政府の対応は?

米政府が鳥インフルエンザ(H5型)に対応するワクチン開発のため、製薬企業大手のモデルナに5億9,000万ドルを支援する計画を見直し、停止する方向で調整を進めていることがBloombergなどの報道により明らかになりました1)。この影響でモデルナの株価は一時的に6.6%下落したと報道されています。米国で警戒が強まる鳥インフルエンザの現状米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、2025年2月末時点で米国内の家禽(飼育された鳥)感染は51の地域に及び、過去1年間で約1億6千万羽以上の鳥が影響を受け、過去最大規模となっています2)。野鳥や家禽に加えて、乳牛にも感染が広がっており、2025年3月3日時点で米国17州の乳牛978頭に影響が確認されました。また、CDCによれば、家禽や乳牛といった動物と密接に接触する農業従事者や畜産業従事者の間でヒト感染例が報告されています。過去約1年間で動物への曝露後に検査を受けた約840人中64例の感染が確認され、一般的なインフルエンザ監視体制でも6件のヒト感染が報告されています。ヒトからヒトへの感染は現在のところ確認されておらず、ヒトへの感染リスクは低いと評価されていますが、すでに哺乳類には感染が拡大しており、感染の広がり次第では状況が急速に変化する可能性があります。求められる国際協力と将来への懸念こうした状況を背景に、鳥インフルエンザの新たなパンデミックのリスクが高まっているとして、以前のバイデン政権下ではワクチン供給体制の強化が進められてきました。その一環として行われたのがモデルナへの支援でした。政権交代によりワクチン供給支援が縮小される懸念があるとして、政権交代間近にモデルナの臨床試験に対する支援が発表されていたのです3)。しかし今回、その支援を停止するという報道が出されました。専門家からは、鳥インフルエンザのヒト感染が増加するリスクが高まっているとして、依然としてワクチン製造体制や監視体制の強化を求める声があがっている中、それとは逆行するようなニュースです。もちろんバイデン政権下の政策見直しということ自体は、総じて妥当なプロセスであるとも考えられます。ただし、COVID-19のパンデミックで米国のワクチン開発が世界をリードする形で大きく貢献してきたように、鳥インフルエンザ対策でも米国の果たすべき役割は少なくないと思われます。そんな中、米政府の今回の支援停止の判断は、それとは逆行するような動きです。実際、モデルナは別の資金源を見つけられなければ、臨床試験は暗礁に乗り上げる可能性も生まれています。このような動きが続けば、パンデミックへの準備には困難が生じる可能性があります。日本も含め、世界的な対策強化の重要性が一層明確となる一方、以前からCOVID-19のmRNAワクチンを強く批判してきた米国保健福祉省の新リーダーのもと、米国がどのような方向を進むのかに今後も注視していくべきでしょう。COVID-19で学んできたことが生かされず、再度の混乱が生まれるような事態は避けなければなりません。参考文献・参考サイト1)Muller M, et al. Trump Team Weighs Pulling Funds for Moderna Bird Flu Vaccine. Bloomberg. 2025 Feb 27.日本語版:モデルナの鳥インフルワクチン開発への支援、米保健当局が停止を検討2)CDC. H5 Bird Flu: Current Situation. 2025 Mar 6.3)Smith G. Moderna Gets $590 Million from US to Study Bird Flu Vaccine. Bloomberg. 2025 Jan 18.日本語版:モデルナに米政府が追加支援-ヒトへの鳥インフル感染防ぐ研究開発

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避妊法による脳卒中や心筋梗塞のリスクをどのように回避することができるのか?(解説:三浦伸一郎氏)

 避妊法の条件は、確実であり、方法が簡便で長期間使用できること、経費が少なくて済み、副作用が少ないことなどが挙げられる。経口避妊薬には、ホルモン剤としてプロゲスチンとエストロゲンの混合型とプロゲスチン単独のものがある。ホルモン避妊法による深部静脈血栓症や肺塞栓症の発生率は、エストロゲン投与量が増加すると上昇することが知られている。エストロゲンやプロゲステロンの投与では、フィブリノゲンなどの凝固因子が増加し、凝固抑制因子が減少することにより凝固系が亢進する。 最近、ホルモン避妊法による虚血性脳卒中や心筋梗塞のリスクに関する前向きコホート研究の結果が報告された1)。これまで、ホルモン避妊法が心血管疾患リスクに悪影響を与えるとの報告はあったが、このコホート研究では、避妊法の違いによりリスクが異なっていることが検証され、従来の複合経口避妊薬やプロゲスチン単剤避妊法ではリスクが高かった。一方、レボノルゲストレル放出子宮内避妊具は、リスク増加と関連しておらず、今後の安全な避妊法として期待されるものであった。 現在、日本では、ホルモン避妊法が多く使用されている。しかし避妊教育が少なく、避妊のリスクとベネフィットを理解できる機会を増やし、多くの選択肢を知ってもらう必要がある。このYonisらの研究は、レボノルゲストレル放出子宮内避妊具という新たな選択肢をもたらした。安全な方法をより普及させる必要があるとともに、ホルモン避妊法についての再教育も必要と思われる。

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あの男が帰ってきた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(571)

五百七十一の段 あの男が帰ってきた!徐々に日が長くなってきました。気持ちのいい季節が来たと思っていたら鼻がグズグズ……また花粉の季節になってしまったのですね。これまでは寒くて外に出れませんでしたが、これからは花粉のせいで引きこもることになりそうです。ところで。ついにあの男が帰ってきました!そう、ショーンKです。かつて一世を風靡したあの低く落ち着いた声、流暢な英語、そして渋いルックス。ショーンKは、自称ニューヨーク生まれの日米ハーフで、11歳のときに日本に帰国。日本語の習得に苦労しながらも勉強に励み、ついにはハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得したとのこと。その経歴を引っ提げて、ラジオパーソナリティとしてキャリアをスタートさせ、やがてテレビに進出。英語講師、経済評論家、コンサルタントとして、八面六臂の大活躍を見せました。さらには、中央官庁での講演を依頼されるまでに!まさに完璧なキャリアでした。ところが2016年、そんな彼の華やかな経歴は『週刊文春』によって粉々に砕かれたのです。ハーバード・ビジネス・スクールのMBAはおろか、そもそもニューヨーク生まれですらなく、実は熊本県生まれの純日本人でした。それでも、あの落ち着いた低音ボイスと堂々とした態度から、多くの人がショーンKの経歴を信じ込んでいたのです。このスキャンダルが発覚した直後、ショーンKは涙ながらに謝罪し、メディアの前から完全に姿を消しました。それから9年、ショーンKは完全に過去の人となったかに思われていたのですが……再びわれわれの前に登場してくれました。なんと千葉県君津市の商工会議所で講演を行うというニュースが飛び込んできたのです。そのニュースは瞬く間に広まり、講演のチケットは即完売。まさに「みんな大好き、ショーンK!」というわけです。「今度はどんなキャラで登場するのだろう?」と期待しながら、彼の公式サイトを覗いてみました。そこにあったのは、以前のプロフィールから「事実無根」の部分を抜いただけの、相変わらずハッタリの利いたもの。開き直って何か自虐ネタでも披露してくれたら面白かったのに。それにしても、彼の英語力はやはりすごいものがあります。かつて英語講師に扮していただけあって、YouTubeには彼のレッスン動画が公開されています。その内容がまた、日本人の苦手な部分に気を配った「痒いところに手の届く」ものです。とくに興味を引いたのは「こう尋ねられたらこう切り抜けよう」とか「この場面はこうやって突破しよう」といった教え方。まるで彼自身の人生を象徴するような表現です。それにしても、どうやったらあれほど流暢な英語を身に付けられるのでしょうか。彼が「こうすればネイティブを装うことができる」といったノウハウを披露するだけで、十分にビジネスとして成立しそうです。YouTubeで公開されている彼の英語教材は非常に完成度が高く、最後のほうには思わず「上手い!」と笑ってしまうギャグも披露されていました。実際、彼の英語を聴いたアメリカ人がYouTubeのコメントで「細かい修正をいくつか加えれば、ニューヨーク生まれと言っても通用するレベルだ!」と絶賛しています。整形疑惑や学歴詐称はともかく、語学力だけは誤魔化せないわけですから感心せざるを得ません。さて、9年間の沈黙を経て再登場したショーンK。今度はどんなパフォーマンスをわれわれに見せてくれるのか。期待せずにはいられませんね。最後に1句春霞 ショーンKが 復活だ!

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Nature著者に聞く!ミトコンドリアを介したがんの免疫逃避機構【Oncologyインタビュー】第48回

出演:岡山大学学術研究院医歯薬学域 腫瘍微小環境学分野 教授  冨樫 庸介氏「がん細胞の異常なミトコンドリアがT細胞に伝播し、抗腫瘍免疫応答を低下させる」という驚きの研究結果が、2025年1月にNature誌で報告された。本研究を主導した岡山大学の冨樫 庸介氏が、本研究の背景や結果を解説。研究の裏話や、研究を志す若手医師へのメッセージなどもお話しいただいた。参考Ikeda H, et al. Nature. 2025;638:225-236.岡山大学ほか. がん細胞が自らの異常なミトコンドリアで免疫系を乗っ取り、生き残りをはかっている

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