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高齢者のために開発された抗原量4倍のインフルワクチン「エフルエルダ筋注」【最新!DI情報】第35回

高齢者のために開発された抗原量4倍のインフルワクチン「エフルエルダ筋注」今回は、「高用量4価インフルエンザHAワクチン(商品名:エフルエルダ筋注、製造販売元:サノフィ)」を紹介します。本剤は、国内初の高用量4価インフルエンザHAワクチンであり、60歳以上の成人におけるインフルエンザの新たな予防選択肢として期待されています。<効能・効果>インフルエンザの予防の適応で、2024年12月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>60歳以上の人に1回、0.7mLを筋肉内接種します。なお、医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができます。<安全性>重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎、ギラン・バレー症候群、けいれん(熱性けいれんを含む)、肝機能障害、黄疸、喘息発作、血小板減少性紫斑病、血小板減少、血管炎(IgA血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、白血球破砕性血管炎など)、間質性肺炎、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症、ネフローゼ症候群(いずれも頻度不明)があります。その他の副反応は、疼痛(43.8%)、頭痛、筋肉痛、倦怠感(いずれも10%以上)、紅斑、腫脹、硬結、内出血、そう痒感(注射部位そう痒感、ワクチン接種部位そう痒感)、下痢、嘔吐、咳嗽、口腔咽頭痛、鼻炎、上咽頭炎、悪寒、発熱、疲労(いずれも0.1~10%未満)などがあります。<患者さんへの指導例>1.このワクチンは、60歳以上の人に対してインフルエンザの予防目的で接種されます。2.このワクチンの接種により、インフルエンザウイルスに対する抗体ができてかかりにくくなります。3.接種後一定時間は体調に変化がないか様子をみるため、背もたれや肘かけのある椅子など、体重を預けられるような場所で座るなどして待っていてください。4.待っている間は、なるべく立ち上がることを避け、座っていてください。5.接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ってください。<ここがポイント!>インフルエンザは、インフルエンザウイルスにより引き起こされる感染力の強い急性ウイルス性疾患です。流行するインフルエンザウイルスには、A型(H1N1亜型およびH3N2亜型)とB型(山形系統およびビクトリア系統)の4種類があります。インフルエンザは、すべての年齢層で感染して発症しますが、とくに65歳以上の高齢者が罹患すると、重症化するリスクが高くなり、死亡に至ることがあります。インフルエンザの発症や重症化の予防にはワクチン接種が効果的です。通常、4価インフルエンザHAワクチン(各インフルエンザウイルス株につき15μg)が接種されますが、高齢者では若年成人と比較して免疫応答が不十分なことがあります。エフルエルダ筋注は、60歳以上の高齢者に対する予防効果を高めるために、1株当たりの抗原量を60μgに増量した国内初の高用量4価インフルエンザHAワクチンです。65歳以上の成人を対象とした海外第III/IV相試験(FIM12試験)におけるインフルエンザ発症率について、高用量ワクチン群の標準用量ワクチン群に対する相対的有効性は24.24%であり、高用量ワクチンの優越性が検証されました。また、60歳以上の日本人健康成人を対象とした国内第III相試験において、赤血球凝集抑制(HAI)幾何平均抗体価(GMT)比およびHAI抗体陽転率から、標準用量4価インフルエンザHAワクチンに対する優越性が検証されました。

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Fusobacterium necrophorum【1分間で学べる感染症】第22回

画像を拡大するTake home messageFusobacterium necrophorumは、嫌気性のグラム陰性桿菌でLemierre症候群の原因菌として重要である。今回は、多彩な病状と重篤な病態を引き起こす可能性のあるFusobacterium necrophorumに関して一緒に学んでいきましょう。Fusobacterium necrophorumとはFusobacterium属は、偏性嫌気性のグラム陰性桿菌で、口腔内を中心に消化管や女性の生殖器に常在しています。グラム染色では長桿菌またはフィラメント状を呈することが多いです。Fusobacterium属の中でもFusobacterium necrophorumはとくに病原性が強く、壊死性・血栓形成性の感染症を引き起こしやすいとされています。どんな感染症を引き起こすかFusobacterium necrophorumは、咽頭炎を契機に内頸静脈血栓性静脈炎を引き起こすLemierre症候群の原因菌として知られていますが、それ以外にも歯周膿瘍や扁桃周囲膿瘍、肝膿瘍や脳膿瘍などの播種性転移性病変を合併することがあります。Lemierre症候群とはLemierre症候群とは、敗血症性内頸静脈血栓性静脈炎のことを指します。一般的に健康な成人に好発し、咽頭炎に続発して発症します。Fusobacterium necrophorumによる血流感染に伴い、両側化膿性肺塞栓症や時には化膿性関節炎、肝膿瘍、脳膿瘍などを合併することもあります。稀にFusobacterium necrophorum以外にA群β溶血性連鎖球菌やS. anginosus group、Porphyromonasなど、ほかの嫌気性菌や腸内細菌などが原因のこともあります。薬剤感受性・治療のポイントFusobacterium属は、β-ラクタマーゼを産生する株が4~23%と一定の割合で存在することが報告されています。また、メトロニダゾールには一般的に感受性を示し、マクロライド系(アジスロマイシンなど)やアミノグリコシド系には耐性を示すことが知られています。したがって、第1選択としては、アンピシリン・スルバクタム、タゾバクタム・ピペラシリン、またはカルバペネム系が推奨されます。またメトロニダゾールも検討されます。膿瘍形成の大きさによっては上記の抗菌薬に加え、外科的ドレナージ術を並行して行うことも重要です。Fusobacterium necrophorumは壊死性感染を引き起こすこともあります。健康な若年成人の咽頭炎後の頸部痛、敗血症を診たらLemierre症候群を疑い、血液培養を採取し、速やかに抗菌薬治療を開始することが重要です。1)Holm K, et al. Anaerobe. 2016;42:89-97.2)Nygren D, et al. Clin Microbiol Infect. 2020;26:1089.e7-1089.e12.

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第258回 献血は誰かを救うのみならず自身の健康も増進しうる

献血は誰かを救うのみならず自身の健康も増進しうる足しげく献血することはたくさんの誰かのためになるだけでなく、自身の血液も健康にするようです。私が足を運ぶ姫路の献血センターには、輸血を受けた患者さんやその近しい人からの手紙が掲示されています。よっぽど困難な状況にあるかあったであろう人たちからのそのような言葉の数々に触れると、血液検査目当てのおよそ健康診断のつもりの輸血もいくらかは役に立っていると感じることができて、なんだか前向きな気持ちになれます。献血する人は多かれ少なかれ似たような思いを経験されているかもしれません。血液学で最高峰のBlood誌に先週掲載された新たな観察試験結果1)によると、献血を頻繁にすることは自身にいくばくかの心の滋養になりうることのみならず、健康な血液細胞をより生み出せるようにする効果もあるようで、もしかすると血液がんを生じにくくする効果さえ担うかもしれません。英国のフランシスクリック研究所のチームは、ドイツの赤十字献血センターおよびドイツのがん研究所と協力し、生涯の献血回数が100回を超える頻回献血(frequent donor、以下「FD」)男性217人と献血回数がわずかな(10回未満)男性212人の血液検体を調べました。年齢はそろえられ、どちらもおよそ60歳代です。老化に伴って骨髄の造血幹細胞(HSC)に変異が蓄積することに伴い、遺伝配列が他とわずかに異なる血液細胞の一団が幅を利かせるようになるクローン性造血が生じるようになります。FD男性と非FD男性のクローン性造血の発生率に有意差はありませんでした。一方、クローン性造血との関連が知られるDNMT3A遺伝子の変化にはっきりとした差がありました。その差の意味を調べるべく、FD男性に多いDNMT3A遺伝子変化(FD変異)を導入したHSCがそうでないHSCとの共存の中でどう振る舞うかが検討されました。失血に応じて作られる造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)を与えることで献血に似せた環境にして培養したところ、FD変異細胞はそうでない細胞に比べてより早く増えました。その現象はEPOがあるときに限られ、EPOがないときの増える速さは似たりよったりでした。献血するたびに体内でEPOが突発することで、頻繁な献血者に多いDNMT3A変異細胞が増えるのに好都合になるようだ、と著者の1人Hector Huerga Encabo氏は言っています。研究はさらに続き、FD変異の取り柄が示唆されました。FD変異細胞と白血病を生じ易くする変異を有する細胞を一緒にしたところ、やはりEPOがある環境でFD変異細胞はより増え、赤血球をより生み出しました。すなわちFD変異はがん細胞の増殖を抑制する作用を担うかもしれません。今回の結果によると、献血はHSCの調子やその補充能力を向上するように仕向け、誰かの命を救うのみならず自身の血液系もより好調にするようです2)。とはいえ、検証がまだまだ必要です。たとえば、白血病を生じ易くする変異の発生を減らすと今回の結果をもって結論することは当然できず、異なる人種、女性、他の年齢層を含むより大人数でさらに検討しなければなりません2,3)。参考1)Karpova D, et al. Blood. 2025 Mar 11. [Epub ahead of print] 2)Giving blood frequently may make your blood cells healthier / NewScientist 3)Beneficial genetic changes observed in regular blood donors / Eurekalert

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高齢の市中肺炎、セフトリアキソンvs.スルバクタム・アンピシリン

 高齢者の市中肺炎の初期対応として、嫌気性菌をカバーするスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)などが用いられることがある。しかし、カナダの市中誤嚥性肺炎患者を対象とした多施設後ろ向きコホート研究では、嫌気性菌カバーは院内死亡リスクを低下させず、C. difficile大腸炎リスクを上昇させたことが報告されている1)。そこで、山本 舜悟氏(大阪大学)らの研究グループは、市中肺炎により入院した65歳以上の患者を対象としたデータベース研究を実施し、セフトリアキソン(CTRX)とSBT/ABPCを比較した。その結果、SBT/ABPCのほうがCTRXよりも院内死亡率が高かった。本研究結果は、Open Forum Infectious Diseases誌2025年3月5日号に掲載された。 研究グループは、健康・医療・教育情報評価推進機構が管理するデータベースを用いて、2010~23年に市中肺炎により入院した65歳以上の患者のうち、初期治療としてCTRXまたはSBT/ABPCを用いた患者2万6,633例を抽出した。CTRX群とSBT/ABPC群の比較にはtarget trial emulationのデザインを用いた。主要評価項目は院内死亡率とし、副次評価項目はC. difficile感染症(CDI)の発生率とした。逆確率重み付け法を用いて、両群の調整リスク差(aRD)、調整オッズ比(aOR)、それらの95%信頼区間(CI)を推定することで評価した。 主な結果は以下のとおり。・CTRX群は1万1,727例、SBT/ABPC群は1万4,906例であった。・院内死亡率はCTRX群9.0%、SBT/ABPC群10.5%であり、SBT/ABPC群が高かった(aRD[95%CI]:1.5%[0.7~2.4]、aOR[95%CI]:1.19[1.08~1.31])。・CDIの発生率はCTRX群0.4%、SBT/ABPC群0.6%であり、SBT/ABPC群が高い傾向にあった(aRD[95%CI]:0.2%[0.0~0.4]、aOR[95%CI]:1.45[0.99~2.11])。・誤嚥リスク因子を1つ以上有する集団を対象としたサブグループ解析において、院内死亡率はCTRX群11.5%、SBT/ABPC群14.2%であり、SBT/ABPC群が高かった(aOR[95%CI]:1.27[1.14~1.40])。・同様に、誤嚥リスク因子を1つ以上有する集団のCDIの発生率はCTRX群0.5%、SBT/ABPC群0.8%であり、SBT/ABPC群が高い傾向にあった(aOR[95%CI]:1.52[1.00~2.31])。 本研究結果について、著者らは「膿胸や肺膿瘍などの嫌気性菌の関与が明らかな場合を除き、高齢の市中肺炎患者に対する初期治療として、嫌気性菌カバーする抗菌薬の使用は避けるべきである可能性が示された」とまとめた。

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認知症の臨床診療ガイドライン―韓国認知症協会の推奨事項

 韓国・江原大学校のYeshin Kim氏らが、エビデンスに基づく推奨事項をまとめた韓国認知症協会の臨床診療ガイドラインについて、アルツハイマー病およびその他のタイプの認知症に対するコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)およびN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬に関する推奨事項に焦点を当て、Dementia and Neurocognitive Disorders誌2025年1月号に発表した。また同誌にて、同国・カトリック大学校のGihwan Byeon氏らは本ガイドラインについて、患者のQOLや介護者の負担に影響を及ぼす認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する、抗精神病薬、抗うつ薬、抗認知症薬など薬理学的治療に関する臨床実践ガイドラインとして提示した。 PICOフレームワークを用いて主要な臨床上の疑問を作成し、システマティックに文献レビューを実施した。韓国認知症協会が組織した多分野の専門医パネルにより、ランダム化比較試験および観察研究の評価を行った。推奨事項には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment Development and Evaluation)ツールを用いて、エビデンスの質および強度に基づき等級付けを行った。 ChEIおよびNMDA受容体拮抗薬に関する主な推奨事項は以下のとおり。・アルツハイマー病では、認知機能および日常機能の改善にChEI(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン)が強く推奨される(エビデンスの質:中)。・ChEIは、血管性認知症およびパーキンソン病性認知症に条件付きで推奨され、レビー小体型認知症には強く推奨される。・中等度~重度のアルツハイマー病には、NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)が強く推奨され、認知機能および日常機能の有意な改善が実証されている。・いずれの薬剤クラスにおいても副作用のマネジメントは可能であり、良好な安全性プロファイルが認められた。 BPSDに対する薬理学的治療に関する主な推奨事項は以下のとおり。・薬剤の種類および症状の重症度により推奨事項は異なる。・リスペリドンやブレクスピプラゾールなどの抗精神病薬は、認知症の攻撃性や精神症状のコントロールに条件付きで推奨され、抗うつ薬、とくにcitalopramはアルツハイマー病の興奮に推奨される。・ChEIおよびNMDA受容体拮抗薬などの抗認知症薬は、レビー小体型認知症の一般的なBPSDの改善および急速眼球運動睡眠行動障害に中程度の有効性を示した。・pimavanserinなどの特定の薬剤は、アルツハイマー病患者の精神症状に対する有効性が認められた。 著者らは本ガイドラインについて、「ChEIおよびNMDA受容体拮抗薬に関する具体的なガイダンスと共に、認知症マネジメントに関する標準化されたエビデンスに基づく推奨事項を提案している」「認知症のBPSDに対する薬理学的マネジメントにおける構造化されたアプローチを提供している」「リスクを最小限にしながら治療アウトカムを最適化するための個別化された治療計画を強調している」とし、「本ガイドラインは認知症ケアにおける患者アウトカムの改善を目的としている。認知症マネジメントの進歩を反映し、アミロイド標準療法などの新たな治療法について、さらに更新されるだろう」とまとめている。

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新たな時代に向けた白血病診療の在り方と展開/日本臨床腫瘍学会

 自己複製能と多分化能を備える造血幹細胞は、複数の過程を経てさまざまな血液細胞に分化し、体内の造血系を恒常的に維持している。一方、この分化過程の各段階で生じるがん化は、白血病やリンパ腫、骨髄腫を引き起こす。 2025年3月6〜8日に開催された第22回日本臨床腫瘍学会学術集会では、教育講演の1つとして「本邦における白血病診療」と題した講演が行われた。演者の藥師神 公和氏(神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科)は、「白血病に特異的な症状はない。多くの場合、血液検査で異常が指摘されると、造血の場である骨髄の検査が実施され、診断に至る」と説明し、白血病が急性または慢性、ならびに骨髄性またはリンパ性の違いで一般的に急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)および慢性リンパ性白血病(CLL)の4つに分類されることから、「本講演では、日本血液学会より2024年に公開された『造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版』に沿って、各白血病の総論やアルゴリズム、クリニカルクエスチョン(CQ)の改訂点を紹介するとともに、今後の展望にも触れたい」とした。AMLの治療指針や戦略、主なCQの改訂点について 従来のAMLの診断は、骨髄における白血病細胞がFAB分類では30%以上、WHO分類では20%以上とされてきたが、今回のガイドライン改訂版ではEuropean Leukemia Net(ELN)が2022年の改訂で採用した分類を引用している。すなわち、AMLを定義付けるような遺伝子異常(PML::RARA、CBFB::MYH11、RUNX1::RUNX1T1など)があれば、芽球比率が10%以上でAMLと診断することになった。ただし、BCR::ABL1については、CML移行期との混乱を避けるため20%以上とされた。 分類に関するほかの重要な変更点の1つとして、病歴よりも遺伝学的特徴のほうが生物学的AMLの分類に関連していることから、従来のAML-MRC(骨髄異形成関連変化を伴うAML)と治療関連骨髄性腫瘍の病型が削除された。 なお、遺伝子変異と染色体核型に基づく予後因子を組み合わせた予後層別化システムについては、2022年のELN改訂版でFLT3-ITD変異がアレル比やNPM1変異の有無にかかわらず、すべてIntermediate群に分類された点が今回のガイドライン改訂版に記載された(ただし、FLT3阻害薬が初回治療から使用できることが前提)。このほかにも、細かい遺伝子異常が予後層別化に追加された。 急性前骨髄球性白血病(APL)以外の若年者AMLにおける治療アルゴリズムとして、今回のガイドライン改訂版ではFLT3遺伝子変異の情報を診断時に取得することが明記された。また、高齢者AMLにおいてもFLT3遺伝子変異情報の取得が記載され、藥師神氏は「基本的に初発時からFLT3遺伝子変異検査を行うことになる。なお、強力化学療法非適応症例への寛解導入療法は、CQ8『強力化学療法が適応とならない高齢者(65歳以上)AMLに対してどのような治療が勧められるか』(推奨グレード・カテゴリー1)を参照すること」と述べた。 これ以外の注目すべきCQとして、同氏はCQ3『若年者(65歳未満)初発AMLに対する寛解導入療法としてどのような治療が勧められるか』(推奨グレード・カテゴリー1)、CQ13『治療関連・二次性AMLに対してどのような治療が勧められるか』(推奨グレード・カテゴリー2Aおよび2B)を挙げた。一方、APLにおいては、CQ2『初発APLの寛解導入療法におけるDIC(播種性血管内凝固)対策として何が勧められるか』で、遺伝子組換えトロンボモジュリンによる治療が推奨グレード・カテゴリー3からカテゴリー2Bにアップグレードされた点を挙げた。CMLの治療指針や戦略、主なCQの改訂点について CMLの診断時に評価すべき予後スコアは、SokalスコアやELTS(EUTOS long-term survival)スコアを使用し、治療効果はELN 2020の判定規準に従い、血液学的奏効(血液・骨髄検査所見および臨床所見で判定)、細胞遺伝学的奏効(骨髄細胞中のPhiladelphia[Ph]染色体割合で判定)、分子遺伝学的奏効(PCRによる血液細胞中のBCR::ABL1遺伝子発現量で判定)の3つのレベルで判定する。加えて、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療効果のモニタリングと戦略が、同氏より解説された。 また、注目すべきCQとして、CQ1『初発CML-CP(慢性期)に対する治療として何が勧められるか』で、TKI阻害薬が新たに1剤追加されたこと(推奨グレード・カテゴリー1)、CQ3『ELNの効果判定規準によりWarningやFailureとされた症例に対する二次治療、三次治療以降は何が勧められるか』で、三次治療以降にSTAMP(specifically targeting the ABL myristoyl pocket)阻害薬が追記されたこと(推奨グレード・カテゴリー2A)、CQ5『同種造血幹細胞移植はCMLの治療中どのようなときに考慮すべきか』で、さまざまな状況に応じた移植の検討が推奨されること(推奨グレード・カテゴリー2A)を挙げた。 さらに、CQ6『DMR(分子遺伝学的に深い奏効)を達成しMRD(微小残存病変)が検出されなければTKI中止は勧められるか』(推奨グレード・カテゴリー2A)、CQ7『CMLに対するTKI治療中にTKIの減量は勧められるか』(推奨グレード・カテゴリー1、2Aおよび2B)、CQ8『CML患者もしくはそのパートナーの妊娠にはどのような対応が勧められるか』(推奨グレード・カテゴリー2B)の改訂点が紹介された。ALLおよびCLLの主なCQの改訂点について ALLの注目すべきCQとして、CQ4『寛解期成人ALLにおけるMRDは、どのような評価方法、評価時期、閾値の判定が勧められるか』で、定量PCRによる白血病特異的融合遺伝子測定および免疫グロブリン重鎖(Ig)/T細胞受容体(TCR)遺伝子再構成測定が推奨されたこと(推奨グレード・カテゴリー1)、ならびに1回目のMRD測定は寛解導入療法後が推奨されたこと(推奨グレード・カテゴリー2A)が紹介された。同氏は、そのほかにCQ6『第一寛解期ALLの同種造血幹細胞移植には骨髄破壊的前処置と減弱前処置のどちらが勧められるか』で、適切な前処置に関する推奨(推奨グレード・カテゴリー2B)が明記された点や、CQ7『Ph陽性ALLに対する移植後TKIの維持療法は勧められるか』で、MRD陰性の時点で開始する予防的なTKI維持療法は推奨されない(推奨グレード・カテゴリー2A)ことが記載された点を紹介。CQ9『再発ALLに対する再寛解導入療法の選択肢としてどのような治療が勧められるか、CAR-T細胞療法はどのようなときに考慮すべきか』で、新たな治療選択肢(推奨グレード・カテゴリー1)やCAR-T細胞療法(推奨グレード・カテゴリー2A)が追記された点についても言及した。 CLLの注目すべきCQとして、初回治療としてBTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)阻害薬が推奨され(CQ2『CLL初回治療としてBTK阻害薬療法は勧められるか』[推奨グレード・カテゴリー1])、免疫化学療法は初回治療として推奨されない(CQ3『CLL初回治療として免疫化学療法は勧められるか』[推奨グレード・カテゴリー1])ことが紹介された。二次治療における治療方針の推奨(CQ4『イブルチニブ初回治療に治療抵抗性もしくは再発CLLに対する二次治療としてどのような治療が勧められるか』およびCQ5『イブルチニブ初回治療に治療不耐容のCLLに対する二次治療としてどのような治療が勧められるか』)が、ともにカテゴリー1として明記された点も紹介し、CQ7『自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症を合併したCLLに対してステロイド治療は勧められるか』では、無症候性・非活動性CLLであればステロイド治療が推奨される(推奨グレード・カテゴリー2A)ことが説明された。これからの白血病診療の展望 造血器腫瘍の診断および治療について、ゲノム情報に基づく診療がWHOなどから提唱される中、つい最近、わが国においても造血器腫瘍を対象とした遺伝子パネル検査が登場した。「本邦での造血器腫瘍におけるがんゲノム医療の導入は喫緊の課題」と語る藥師神氏は、「日本血液学会が発行する『造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン2023年度版』で遺伝子パネル検査の基盤となる情報が提供されている。そのため、新規治療薬の導入とともに、白血病診療が今後さらに前進していくことが期待される」と締めくくった。

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抗ヒスタミン薬投与後も症状持続の慢性特発性蕁麻疹、remibrutinibが有効/NEJM

 第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬を投与しても症状が持続する慢性特発性蕁麻疹患者の治療において、プラセボと比較して経口ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬remibrutinibは、12週時のかゆみと蕁麻疹の複合評価尺度が有意に改善し、重篤な有害事象の発現は同程度だが点状出血の頻度は高かったことが、ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のMartin Metz氏らが実施した「REMIX-1試験」および「REMIX-2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年3月6日号で報告された。同一デザインの2つの第III相無作為化プラセボ対照比較試験 REMIX-1試験(日本の施設が参加)とREMIX-2試験は、慢性特発性蕁麻疹の治療におけるremibrutinibの安全性と有効性の評価を目的とする同一デザインの第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(Novartis Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 年齢18歳以上、スクリーニングの6ヵ月以上前に慢性特発性蕁麻疹と診断され、第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬の投与でも症状が持続する患者を対象とした。症状の持続は、スクリーニング前に6週間以上連続でかゆみと蕁麻疹がみられ、無作為化前の7日間に、蕁麻疹活動性スコア(UAS7、0~42点、点数が高いほど重症度が高い)が16点以上、かゆみ重症度スコア(ISS7、0~21点、点数が高いほど重症度が高い)が6点以上、蕁麻疹重症度スコア(HSS7、0~21点、点数が高いほど重症度が高い)が6点以上のすべてを満たすことと定義した。 被験者を、remibrutinib(25mg、1日2回)またはプラセボを経口投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、UAS7のベースラインから12週目までの変化量であった。UAS7で6点以下達成、同0点も達成と2試験で有意に良好 REMIX-1試験に470例(平均[±SD]年齢45.0±14.0歳、女性68.3%)、REMIX-2試験に455例(41.7±14.5歳、65.3%)を登録した。remibrutinib群に613例(REMIX-1試験313例、REMIX-2試験300例)、プラセボ群に312例(157例、155例)を割り付けた。ベースラインで重症の慢性特発性蕁麻疹(UAS7≧28点)であったのは、REMIX-1試験が63.4%、REMIX-2試験は59.1%で、UAS7の平均値はそれぞれ30.3点および30.0点、無作為化の時点での平均罹患期間は6.7±8.6年および5.2±7.2年だった。 ベースラインから12週目までのUAS7の低下は、プラセボ群に比べremibrutinib群で有意に大きく、変化量の最小二乗平均(±SE)は、REMIX-1試験でremibrutinib群が-20.0±0.7点、プラセボ群が-13.8±1.0点(p<0.001)、REMIX-2試験ではそれぞれ-19.4±0.7点および-11.7±0.9点(p<0.001)であった。この効果は24週目まで持続した。 12週目に、UAS7が6点以下であった患者の割合は、プラセボ群よりもremibrutinib群で有意に高く、REMIX-1試験でremibrutinib群が49.8%、プラセボ群が24.8%(p<0.001)、REMIX-2試験でそれぞれ46.8%および19.6%(p<0.001)であり、UAS7において0点を達成した患者の割合も、REMIX-1試験で31.1%および10.5%(p<0.001)、REMIX-2試験で27.9%および6.5%(p<0.001)と有意に優れた。重篤な有害事象の頻度は同程度だが、点状出血が多い 2つの試験を合わせた有害事象の頻度は両群同程度で、ほとんどが軽度または中等度であった(remibrutinib群64.9%vs.プラセボ群64.7%)。重篤な有害事象(3.3%vs.2.3%)および試験薬の投与中止に至った有害事象(2.8%vs.2.9%)の割合も両群に大きな差はなかった。 最も頻度の高い有害事象は、新型コロナウイルス感染症(remibrutinib群10.7%vs.プラセボ群11.4%)、鼻咽頭炎(6.6%vs.4.6%)、頭痛(6.3%vs.6.2%)であり、点状出血(3.8%vs.0.3%)がremibrutinib群で多くみられた。 著者は、「remibrutinibの効果は早期に現れ、投与1週目には症状(かゆみと蕁麻疹)が減少した」「24週目には、remibrutinib群の半数の患者で慢性特発性蕁麻疹の良好なコントロールが得られ、3分の1の患者でかゆみと蕁麻疹が完全に消失した」としている。

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HER2+乳がんへのtucatinib、日本人集団でも良好な有効性(HER2CLIMB-03)/日本臨床腫瘍学会

 前治療歴のある切除不能な局所進行または転移を有するHER2+乳がん患者に対し、トラスツズマブとカペシタビンに加えて経口チロシンキナーゼ阻害薬tucatinibを追加投与した第II相HER2CLIMB-03試験の結果、日本人集団においても良好な有効性と安全性を示したことを、大阪国際がんセンターの中山 貴寛氏が22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)で発表した。 グローバルなHER2CLIMB試験において、複数の前治療歴があり、局所進行/転移を有するHER2+乳がん患者に対するトラスツズマブ+カペシタビン+tucatinib併用療法は、臨床的に有意な有効性を示し、忍容性も良好であったことが報告されている。今回は、主に日本から患者を登録したHER2CLIMB-03試験の有効性と安全性が報告された。・試験デザイン:第II相単群試験・対象:タキサン、トラスツズマブ、ペルツズマブ、T-DM1による治療後に病勢進行が認められた局所進行/転移を有するHER2+乳がん患者(ECOG PS 0/1)・スケジュール:tucatinib(1日2回300mg、経口投与)+トラスツズマブ(21日ごとに6mg/kg[1サイクル目の1日目は8mg/kg]、静脈内投与)+カペシタビン(21日ごとの1~14日まで1日2回1,000mg/m2、経口投与)・評価項目:[主要評価項目]日本人集団における独立中央判定(ICR)による確定奏効率(cORR)[副次評価項目]全体集団におけるICRによるcORR、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性・データカットオフ:2023年7月17日 主な結果は以下のとおり。・合計66例(日本53例、韓国10例、台湾3例)が1サイクル以上の治療を受けた。全例が女性で、年齢中央値は53歳(範囲:31~84)、ECOG PS 0は77%、HR+は42.4%、HR-は48.5%、Stage IVは47.0%、内臓疾患を有したのは63.6%、転移に対する前治療ライン数中央値は3であった。・データカットオフ時に評価可能であった日本人集団(48例)のcORR率は35.4%(90%信頼区間[CI]:24.0~48.3)、全体集団(60例)では40.0%(29.3~51.4)であった。・DOR中央値は、日本人集団8.3カ月(90%CI:6.2~8.5)、全体集団8.5ヵ月(6.2~12.4)であった。・PFS中央値は、日本人集団7.4カ月(90%CI:5.3~7.6)、全体集団6.4ヵ月(5.3~7.5)であった。・12ヵ月OS率は、日本人集団80.2%、全体集団82.5%であった。・試験治療下における有害事象(TEAE)は全例で認められた(投与期間中央値7.6ヵ月)。Grade≧3のTEAEは日本人集団49.1%および全体集団43.9%に発現し、重篤なTEAEは11.3%および9.1%に発現した。Grade≧3のTEAEで多かったのは、ALT増加(15.2%)、好中球数減少(10.6%)、AST増加(9.1%)、貧血(7.6%)であった。 これらの結果より、中山氏は「トラスツズマブとカペシタビンへのtucatinib追加は、前治療歴があり、局所進行/転移を有するHER2+乳がんの日本人、韓国人、台湾人の集団において良好な有効性と安全性を示した。HER2CLIMB-03試験の結果はグローバルなHER2CLIMB試験と一貫したものであり、tucatinib+トラスツズマブ+カペシタビンはアジア人においても今後の治療選択肢として支持されるものである」とまとめた。

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免疫チェックポイント阻害薬治療中の生存率にインスリン分泌能が独立して関連

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療を受けているがん患者において、インスリン分泌能が良好であることが、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)の延長に独立して関連しているとする研究結果が報告された。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科の渡邉真由氏、江口潤氏らが行った前向きコホート研究によるもので、詳細は「Frontiers in Endocrinology」に12月11日掲載された。 ICIは種々のがんに対してしばしば著効を示すが、従来の抗がん剤とは異なる副作用があり、糖尿病を有する場合はインスリン分泌能低下リスクのあることが知られている。ただし、糖尿病でないがん患者に関しては、まれに劇症1型糖尿病を引き起こすリスクがあることを除き、糖代謝へどのような影響が生じるのかという点の知見は限られている。 渡邉氏らはこの点について、同大学病院の患者を対象とする前向きコホート研究により検討した。解析対象は、2017年6月~2019年8月に進行がんと診断され、ICIによる初回治療が行われた87人。ベースライン以前および研究期間中に糖尿病と診断・治療された患者、および糖代謝に影響を及ぼし得るステロイドが処方された患者などは除外されている。 主な特徴は、年齢中央値(以下、連続変数は全て中央値)が65歳(四分位範囲56~72)、男性67.8%、BMI19.2。がん種は頭頸部がん52人、胃がん19人、その他16人であり、全身状態を0~4で表すECOG PSは0~1(比較的良好なパフォーマンス)が80.5%を占めていた。糖代謝に関しては、HbA1c5.6%、空腹時血糖値97mg/dL、インスリン分泌能を表すHOMA-βが59.4(四分位範囲37.1~85.3)、Cペプチドが1.52ng/dL(同1.01~2.24)、インスリン抵抗性を表すHOMA-IRが1.11(0.72~2.34)であり、腎機能(eGFR)は70.9mL/分/1.73m2(63.5~87.2)と良好だった。投与されたICIは、ニボルマブが78人、ペムブロリズマブが10人、イピリムマブが1人だった(2人は2剤併用)。 ICI投与開始1カ月後、HbA1cの有意な低下(P=0.018)とCペプチドの有意な上昇(P=0.022)が観察され、ICIは非糖尿病患者の糖代謝にも影響を及ぼし得ることが示唆された。 観察期間中に82人(94.3%)が死亡し、OSは中央値7カ月、PFSは同3カ月だった。OSの中央値で2群に分けて比較すると、HOMA-βはベースラインおよび投与1カ月後の両時点で有意差があり、OSが7カ月以上の群のほうが高値だった。その他の糖代謝関連指標の群間差は非有意だった。ROC解析により、OSが7カ月以上であることを予測するHOMA-βの最適なカットオフ値は64.24と計算され、AUCは0.665だった。また、PFSが3カ月以上であることを予測するHOMA-βの最適なカットオフ値は66.43、AUCは0.582だった。 次に、年齢、性別、BMI(最適なカットオフ値である18.58以上)、eGFRおよびHOMA-β(64.24以上)を独立変数、OSの短縮(中央値である7カ月未満)を従属変数とする多変量ロジスティック回帰分析を施行。その結果、BMI(ハザード比〔HR〕0.481〔95%信頼区間0.299~0.772〕)とHOMA-β(HR0.623〔同0.393~0.989〕)の2項目が、OS延長に独立して関連していることが明らかになった。続いて行ったPFSの短縮(中央値である3カ月未満)を従属変数とする解析からは、HOMA-β(66.43以上の場合にHR0.557〔0.339~0.916〕)のみが、PFS延長に独立して関連していることが明らかになった。 著者らは本研究が単施設の患者データに基づく解析であり、サンプルサイズも十分でないことなどを限界点として挙げた上で、「得られた結果は、ICI治療を受ける非糖尿病患者において、インスリン分泌能の高さがOSやPFSの延長に独立して関連することを示している。HOMA-βは、ICI投与が予定されるがん患者の予後予測指標となり得るのではないか」と結論。また、「ICIが膵β細胞機能に影響を及ぼすメカニズムの解明が期待される」と付け加えている。

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帝王切開は子どもの成長に影響しない?

 帝王切開(CD)で生まれた子どもと、長期的な健康や発達における悪影響との間には有意な関連はないとする研究結果が報告された。0.5~9歳までの全原因入院、肥満、発達マイルストーン(発達がどこまで進んでいるかという指標)といったさまざまな評価項目で有意な関連は認められなかったという。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野の松本尚美氏らによるこの研究結果は、「Scientific Reports」に1月20日掲載された。 出産方法は長期的に見た場合、子どもの健康と発達に影響を及ぼすことが示唆されてきた。CDは、母子の安全確保のため、ある特定の臨床的状態のときに実施される。しかしながら、この外科的介入が子どもの身体的成長、認知発達、慢性疾患のリスクなどさまざまな側面に及ぼす潜在的な影響については現在も議論が続いている。松本氏らは、「日本産科婦人科学会周産期登録(PRN)データベース」にリンクされた「21世紀出生児縦断調査」を利用して、CDと子どもの健康および発達との関連を調査した。 本研究では、出生日、性別、出生時体重、出生時の母親の年齢、在胎週数の情報を使用し、PRNデータベースと21世紀出生児縦断調査を組み合わせた独自のデータセットを作成した。最終的に、2010年5月10日から5月24日に出生した2,114人(正常分娩群;1,351人、CD群;763人)を研究に含め、0.5~9歳までに発生した複数の転帰を評価した。 入院(呼吸器感染症と胃腸疾患による入院、および呼吸器感染症と胃腸疾患を含む全原因入院)は1.5~5.5歳までの調査で報告された0.5~5.5歳までの入院経験と定義。過体重・肥満は、世界保健機関(WHO)の基準に基づいたBMIスコアを用いて5.5歳と9歳で評価された。発達のマイルストーン(運動、言語、認知、自己制御、社会情緒、注意、適応能力、素行など)は2.5歳、5.5歳、8歳で評価された。 潜在的な交絡因子を調整して解析した結果、CDは全原因入院(調整リスク比1.25〔95%信頼区間0.997~1.56〕)、5.5歳(同1.05〔0.68~1.62〕)および9歳(0.83〔0.52~1.32〕)での過体重・肥満、およびさまざまな発達マイルストーンを含むほとんどの転帰と有意な関連は認められなかった。また、多胎出産および早産の状態別に層別化したサブグループ解析を行った結果、多胎出産ではいくつかの発達マイルストーンと、早産では胃腸疾患による入院といくつかの発達マイルストーンに、それぞれCDとの関連が高い傾向が認められたが、いずれも有意ではなかった。 本研究の結果について、研究グループは、「今回の研究で得られた知見は、子どもの親や医療従事者に安心感を与えるものではあるが、統計的に有意でないからといって、必ずしも臨床的に関連する影響がないことを意味するわけではない。今後の研究では、より長期間の追跡調査、サブグループ解析のためのサンプルサイズの拡大、腸内細菌叢の活性化など潜在的な媒介因子のより詳細な評価を検討すべきである」と総括した。なお、本研究の限界については、比較的小規模のサンプルサイズで日本の子どものみを対象としていること、高リスク妊娠の症例が多いデータセットであることから一般化できない点などを挙げている。

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米国で4例目の豚由来腎臓移植を受けた患者が退院

 米マサチューセッツ総合病院で、同国で4例目となる、遺伝子編集された豚の腎臓を移植された、66歳の男性腎不全患者が退院した。この移植手術は、遺伝子編集された豚の臓器をヒトに用い得るかを調査するという、米食品医薬品局(FDA)が承認した新たな臨床試験の一環として実施された。同様の手術は、1月下旬にアラバマ州の女性に対しても行われ成功していて、その直後に行われた今回の手術も成功したことで、深刻なドナー不足の解決に向けて大きな一歩を踏み出した。 ニューヨークタイムズ紙によると、今回移植を受けた患者はニューハンプシャー州在住のTim Andrewsさん。彼は過去2年以上にわたり透析治療を受けていたが、透析開始後に心臓発作を起こし、吐き気と倦怠感にも悩まされていた。移植治療について医師と相談し始めた昨年8月ごろからは、車椅子に頼る生活だった。ところが、豚の腎臓を得てからわずか1週間後には、退院できるほどに回復した。「まるで新しいエンジンを手に入れたようだった。術後回復室から集中治療室に移動しベッドに移る際に、タップダンスをしたくらいだ。信じられないほど幸せだ」とAndrewsさんは語っている。 米国では現在、10万人以上が臓器移植を待っており、その患者の多くは腎臓を必要としている。ドナー不足のために、待機期間中に亡くなる人も少なくない。このギャップを埋めるために、複数のバイオテクノロジー企業が、豚の臓器のヒトに対する拒絶反応を抑制するための遺伝子編集技術を開発してきた。Andrewsさんに移植された腎臓は、59箇所の変更を含む、69箇所の遺伝子編集が施されたものだと、ニューヨークタイムズ紙が報じている。 これまでに米国内で4人がこのような技術の下、豚の腎臓の移植を受けている。その中の1人、アラバマ州のTowana Looneyさんは順調に回復している。しかしその一方で、ほかの2人の患者は移植手術後に死亡した。このような困難にもかかわらず、今回の移植手術を主導した、マサチューセッツ総合病院の移植外科医の1人である河合達郎氏によると、医師たちは常に学び続けているという。 では、移植外科医は何を目指しているのだろうか? ニューヨークタイムズ紙の取材に対して河合氏は、「遺伝子編集された豚の臓器を用いた移植医療を、より多くの患者に適用可能な治療法として、臓器不足の解決策を確立することだ。その実現にはまだ長い道のりが残されているが、今回の移植もそのための重要な一歩である」と答えている。 ただし、これらの症例の積み重ねによって、豚由来の臓器移植が安全かつ効果的であることが証明されたとしても、その費用や保険適用の課題がまだ不確定要素として残っている。腎不全患者の多くは働くことができずにメディケアに頼っているが、将来的にメディケアや民間保険が、このような移植医療をカバーするかどうかは現段階では不明だ。

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救急隊員によるnerinetideの入院前静注は脳虚血患者に有効か?(解説:内山真一郎氏)

 ESCAPE-NA1試験では、nerinetideが血栓溶解療法後の患者には効果がなかったのは、血栓溶解薬により産生されたプラスミンがnerinetideを分解して不活化してしまうためと考えられたことから、ESCAPE-NEXT試験では血栓溶解療法との併用は検討されなかった。 一方、FRONTIER試験では、病院に到着して血栓溶解療法が行われる前にnerinetideが投与されたので、神経保護と血栓溶解による再灌流の相乗効果が期待された。このアプローチは、発症から治療開始までの時間が短い利点があるが、脳梗塞以外に脳出血、TIA、脳卒中と紛らわしい疾患が混入する欠点もある。 nerinetideは、脳卒中が疑われるすべての患者に有効であるとはいえなかったが、最も効果があったのは血栓溶解療法を受けた症例であり、ターゲットとなる急性期脳梗塞患者には再灌流治療との併用療法として有益であると思われる。今後の臨床試験では、神経保護薬は動脈再開通前の虚血進行中の早期投与がとくに効果があるという仮説を検証すべきである。FRONTIER試験の結果は、血管内治療が可能な脳卒中センターの近くにいない患者に有用な戦略であることを支持している。

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第234回 乳腺外科医事件で無罪判決、医師は司法とメディアに憤りを表明/東京高裁

<先週の動き>1.乳腺外科医事件で無罪判決、医師は司法とメディアに憤りを表明/東京高裁2.全国6割の病院が赤字経営、病院団体が診療報酬改定の見直しを要請3.医師国試合格率92.3%、女性割合が過去最高-新卒100%は4校/厚労省4.電子カルテ情報共有サービス始動、2025年度本格運用へ/厚労省5.急増する訪問看護、請求適正化へ指導体制を強化/厚労省6.病床適正化進む長崎、大学病院が1割削減しハイケアユニットを新設/長崎大1.乳腺外科医事件で無罪判決、医師は司法とメディアに憤りを表明/東京高裁2025年3月12日、東京高裁は、手術後に女性患者に対する準強制わいせつ罪を問う事件で、被告である乳腺外科医師に対し、2度目の無罪判決を言い渡した。この判決は、同医師が2016年に女性の胸をなめたとされる事件に関するもので、東京地裁と高裁の1・2審判決を踏襲し、検察の控訴を棄却した。同医師は、逮捕から6年以上を経て、ようやく無罪判決を得た。事件の背景には、女性患者が麻酔から覚醒する際に発生したせん妄による幻覚の可能性が指摘されている。東京高裁は、この幻覚が被害を訴える証拠として否定できないことを認めた。また、DNA鑑定に関しても、唾液の付着に関する疑念があり、医師がわいせつ行為を行った証明は不十分とされた。これにより、無罪判決が支持された。同医師は、判決後に記者会見を開き、警察や検察の過剰な信頼と誤った決定が、自らの生活と家族に与えた影響を強く批判した。弁護団は、無罪判決が遅すぎることを指摘し、医師の無罪確定までの苦悩を強調した。また、医師の間で職業的な萎縮が広がり、とくに乳腺外科を避ける傾向が強まる中、患者への影響を懸念する意見も出された。今回の法的な遅延は、裁判所が適切に判断を下さなかったことが原因であり、無罪判決を再度上訴できる現行制度に対する疑問も提起された。とくに、無罪判決後の検察の控訴が理不尽であり、米英のように無罪判決に対して控訴を許可しない制度の導入が必要だとする意見もみられた。参考1)乳腺外科医に再び無罪判決 「患者の胸なめたと断定できず」 東京高裁、差し戻し審(産経新聞)2)無罪の乳腺外科医「長かった」「強い憤り」 事件で「医師萎縮」の指摘も(産経新聞)3)ふたたび「無罪」になった乳腺外科医、捜査機関やマスコミに憤り「生活や仕事そして家族を奪われた」(弁護士ドットコム)4)乳腺外科医事件に再び無罪判決 弁護団は「遅すぎる」と批判 「長くて辛い日々だった」と医師(ジャーナリスト・江川紹子)2.全国6割の病院が赤字経営、病院団体が診療報酬改定の見直しを要請昨年春の診療報酬改定後、全国の病院の経営が急速に悪化し、6割以上が赤字に陥っていることが明らかになった。日本医師会と6つの病院団体が実施した調査によると、2024年6~11月までの経常利益が赤字の病院は61.2%に達し、前年同期比で10.4ポイント増加。補助金を除いた医業利益でも69.0%が赤字となり、前年から4.2ポイント悪化した。経営悪化の主因は、物価や人件費の上昇に診療報酬が追いついていないことだ。調査では、水道光熱費が前年同期比3.1%増、院内清掃などの委託費が4.2%増と報告された。給与費も2.7%増加しており、多くの病院が経費の増加に対応しきれず、経営難に陥っている。とくに、病床利用率が90%を超えなければ黒字化できない病院もあり、持続的な医療提供が困難な状況。この危機的状況を受け、日本医師会と6つの病院団体は3月12日、合同声明を発表し、診療報酬の見直しを政府に求めた。2026年度の診療報酬改定に向けて、物価や賃金の上昇を反映できる仕組みを導入する必要があると主張。補助金による短期的な支援にとどまらず、中長期的な医療費の適正配分を求めた。日本医療法人協会の太田 圭洋副会長は「病床を満床にしなければ経営が成り立たないのは異常な状況。地域の病院が突然閉鎖する危機が迫っている」と警鐘を鳴らした。また、全国自治体病院協議会の野村 幸博副会長は「公立病院では人事院勧告による賃上げが求められ、さらに経営が厳しくなっている」と述べ、自治体病院の窮状を訴えた。調査では、2024年6~11月の医業収益が前年同期比1.9%増加している一方で、給与費や光熱費の増加がそれを上回り、多くの病院が赤字に転落していることが判明。このままでは、地域医療の維持が困難になると懸念されている。病院団体は、診療報酬を適正に改定し、賃金や物価の変動に即応できる仕組みを導入することが不可欠だと指摘。日本医師会の松本 吉郎会長は「このままでは、ある日突然病院が地域から消えてしまう。国民の命と健康を守るため、診療報酬の見直しは急務だ」と強調した。今回の調査結果を受け、政府・与党内でも支援策の検討が進むとみられるが、財政的な制約の中でどのような対策を講じるかが課題である。地域医療崩壊を防ぐため、迅速かつ具体的な対応が求められている。参考1)【緊急調査】2024年度診療報酬改定後の病院経営状況調査の結果等について(日本医師会)2)“全国6割以上の病院が赤字” 調査団体「地域医療は崩壊寸前」(NHK)3)「地域から医療機関なくなる」と医師会が危機感…病院の6割超が赤字、診療報酬改定で経営難(読売新聞)4)2024年度改定後、病床利用率上昇も医業利益率と経常利益率は悪化(日経ヘルスケア)5)日医と6病院団体が声明 26年度診療報酬改定「物価・賃金上昇対応の仕組みを」地域医療崩壊に危機感(ミクスオンライン)3.医師国試合格率92.3%、女性割合が過去最高-新卒100%は4校/厚労省厚生労働省は3月14日、第119回医師国家試験の合格状況を発表した。受験者1万282人に対し、合格者は9,486人で、合格率は92.3%だった。前年の92.4%から0.1ポイント減少したものの、過去10年で2番目に高い合格率となった。新卒者の合格者数は9,029人、合格率は95.0%で、2年連続で9,000人を上回った。男女別の合格率は、男性が91.8%、女性が93.1%と、女性の合格率が上回った。合格者に占める女性の割合は36.3%と過去最多を記録した。学校別では、国際医療福祉大学医学部が新卒・既卒ともに合格率100.0%を達成した。新卒合格率100.0%は、同大学のほか、福井大学医学部、金沢大学医薬保健学域、三重大学医学部の計4校だった。一方、同日に発表された第118回歯科医師国家試験の合格率は70.3%で、前年の66.1%から4.2ポイント増加した。参考1)第119回医師国家試験の合格発表について(厚労省)2)医師国家試験、合格率92.3% 新卒合格者は2年連続で9千人上回る(CB news)3)医師国家試験2025、国際医療福祉大100%合格…学校別合格率(リセマム)4.電子カルテ情報共有サービス始動、2025年度本格運用へ/厚労省厚生労働省は健康・医療・介護情報利活用検討会の「医療等情報利活用ワーキンググループ」を3月13日に開催し、電子カルテ情報共有サービスについて2025年度中の本格運用を目指し、モデル事業が開始することとした。まず、愛知県の藤田医科大学病院を中心に試験運用が始まり、全国の医療機関や患者が電子カルテ情報を共有できる仕組みが構築される。モデル事業では、運用上の課題を明確化し、とくに「病名」情報の取り扱いについて慎重にルールを策定する必要がある。患者が自身のカルテ情報を閲覧できる一方で、未告知や診断過程の誤解を防ぐための設定が求められている。これに伴い、医療現場の負担や患者との信頼関係の維持を考慮し、慎重な運用が必要とされる。また、患者の同意に関する法的根拠が未確立であるため、現段階では個人情報保護法に基づき、医療機関と支払基金間の委託契約を通じて対応することになった。さらに、情報共有の推進と並行し、サイバーセキュリティ対策の強化も求められており、来年度の対策チェックリストが策定された。モデル事業の結果を踏まえた運用ルールの確立が、全国展開の成功の鍵となる。拙速な導入は、医療現場や患者の不安を招き、DX推進の障害になりかねないため、慎重かつ丁寧な議論が求められる。参考1)第24回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ(厚労省)2)電子カルテ情報共有サービスの検討事項について(同)3)電子カルテ情報共有サービスのモデル事業、まず藤田医大病院中心に開始、「病名」の取り扱いルールなども検討-医療等情報利活用ワーキング(Gem Med)5.急増する訪問看護、請求適正化へ指導体制を強化/厚労省厚生労働省は、3月12日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)において、訪問看護ステーションの監視体制を強化する方針を発表した。広域で運営する事業者や診療報酬の高額請求を行う事業所を対象に指導を強化し、4月以降に新たな指導の枠組みを導入する。背景には、訪問看護の急増と、それに伴う高額請求の増加がある。厚労省によると、訪問看護ステーションの数は直近5年間で約1.5倍に増加。とくに、年間請求額が2億5千万円以上の事業所は12.8倍に急増した。また、1件当たりの請求額が50万円以上の事業所も7倍に増えている。これらの増加に対し、厚労省は「不適切な請求が行われている可能性がある」とし、監査体制の強化に踏み切った。新たな指導体制では、地方厚生局と都道府県に加え、厚労省本省も関与。これにより、複数都道府県で運営される大規模事業者への監査を強化する。さらに、請求額の多い事業所を選定し、適正な請求方法を指導する。また、eラーニングによる集団指導を検討し、訪問看護ステーション全体の適正化を図る。訪問看護は、重度患者の在宅療養支援など重要な役割を担う。その一方で、末期がん患者向けの高額報酬を悪用し、必要以上の訪問回数を請求するケースも指摘されている。厚労省は「利用者の状態に応じた適正なサービス提供を促すため、新たな監査体制を整備する」としている。参考1)訪問看護ステーションの指導監査について(厚労省)2)厚労省、訪問看護の指導監査強化 広域や高額請求の事業者が対象(共同通信)3)訪問看護の「指導」を強化へ 高額請求、不適切なケースも 厚労省(朝日新聞)4)高額請求の訪看事業所に「教育的指導」へ 来年度の早期から 厚労省(CB news)6.病床適正化進む長崎、大学病院が1割削減しハイケアユニットを新設/長崎大長崎大学病院(長崎市)は、4月1日より一般病床を現在の827床から98床削減し、729床とする方針を発表した。新型コロナウイルス感染症拡大以降、同院の入院患者数は4年間で2万5千人以上減少し、病床の稼働率も低下。さらに、県の地域医療構想では2025年度における長崎地区の高度急性期病床数が651床と推計され、同病院を含む5医療機関の予定病床数908床を大幅に上回ることから、病床数の適正化が求められていた。また、病院経営の効率化も背景にある。文部科学省によると、大学病院が100床規模で病床を削減するのは全国的にも極めて珍しいが、病床削減による補助金の活用により経営改善も視野に入れている。病床削減と同時に、同院では集中治療室(ICU)と一般病床の中間に位置する「ハイケアユニット(HCU)」8床を新設。急変のリスクが高い患者を受け入れ、より手厚い医療提供を行う体制を整える。また、削減後のスペースを活用し、理学療法士らを増員し、超急性期のリハビリテーション強化を進める方針だ。長崎市内では、長崎みなとメディカルセンターも、2月に30床の削減を実施するなど、地域の医療機関で病床適正化が進んでいる。県医療政策課は「地域の病床数は十分に確保されており、大きな問題はない」としているが、今後も少子高齢化による医療需要の変化に応じた病院経営の見直しが求められる。参考1)長崎大学病院 需要の低下で98床削減へ 経営改善の狙いも(NHK)2)長崎大学病院 一般病床を1割削減…来月から「機能適正化」、患者数減少など背景(長崎新聞)3)長崎大学病院も来月から病床を1割超削減 メディカルセンターに続き…原因は?(長崎文化放送)

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第83回 「中間解析」のメリット、デメリットは【統計のそこが知りたい!】

第83回 「中間解析」のメリット、デメリットは臨床試験における中間解析とは、試験の途中で行う解析のことであり、試験の早期中止が必要かを判断するためです。たとえば、想定していたよりも早い段階で新薬の有効性が判明するようなことがあります。これ以上、試験を継続する必要がないほどのデータが取れた場合は、試験を早期に中止するようなケースも少なくありません。今回は、臨床試験における「中間解析のメリット、デメリット」について解説します。■中間解析とは臨床試験における中間解析とは、試験の途中で行う解析のことであり、試験の早期中止が必要かを判断するために実施します。たとえば、想定していたよりも早い段階で新薬の有効性が判明するようなことがあります。これ以上、試験を継続する必要がないほどのデータが取れた場合は、臨床試験を早期に中止するようなケースも少なくありません。この反対についても同様で、これ以上、試験を継続したとしても有効性が期待できないような場合に中間解析が行われ、継続するか判断することになります。早期の段階で判断することにより、被験者の負担を抑えることが可能です。また、効率よく試験結果を判断することにより、新薬の開発をスムーズに行っていくことができ、時間の節約になります。つまり、中間解析を実施することで、試験途中で試験の継続可否や試験計画の変更が検討できるようになることから、数多くの臨床試験で中間解析が実施されています。しかし、臨床試験で中間解析を実施するためには、単に集めたデータを適宜解析すればよいというわけではありません。試験の関係者が中間解析結果を知ってしまうと、試験にさまざまなバイアスを混入させる可能性があるため、試験関係者に中間解析結果を開示しないようにするため、適切な試験実施体制を整えることが重要です。統計的にも、中間解析で通常の仮説検定を繰り返し行えば、いわゆる多重性の問題が生じてαエラー(第1種の過誤)の確率は名義的な有意水準よりも増大してしまいます。また、試験を早期に中止した場合には、その時点で算出した治療効果などの推定値にはバイアスが入ることもわかっています。このため、中間解析を実施する場合は、αエラーの確率の調整や治療効果の推定値のバイアス修正など、中間解析に対応した統計解析手法を適用する必要があります。■中間解析のメリットすでに上述していますが、中間解析のメリットを整理してみます。1)早期終了の可能性有効性が非常に高い場合や、逆に有害な影響が明らかな場合、試験を早期に終了できる。2)資源の効率的使用不必要な試験の継続を避け、資源をより有効な研究に振り向けることができる。■中間解析のデメリット1)統計的な誤解釈中間解析を適切に設計しないと、誤った結論を導く可能性がある。2)漏洩のリスク中間結果が外部に漏れると、試験の完全性が損なわれる可能性がある。3)頻繁な中間解析が統計的有意差に与える影響統計学では、データを繰り返し解析することはαエラーを膨張させる可能性があります。これは「多重比較問題」として知られており、偶然に有意な結果を得る確率が高まります。この問題に対処するためには、統計的方法(たとえばボンフェローニ補正やその他の調整法)を用いて、有意水準を厳格に管理する必要があります。このような調整を行うことで、多数の比較による誤った有意差の検出リスクを減少させることができます。臨床試験の事例としては、とくにがん治療や新薬開発の分野で中間解析が頻繁に用いられます。たとえば、特定のがん治療薬の試験では、中間解析がその有効性を早期に示し、治療法の変更をもたらした事例が存在します。しかし、個別の試験結果やデータは公開されている専門文献を参照する必要があります。■中間解析において試験終了を考慮する場合の対応たとえば、がんの治療薬に関する臨床試験の中間解析で臨床試験の中止が決まった場合、適切な形で進めていく必要があります。まず行われるのが、効果安全性評価委員会から研究者に対する研究の中止勧告です。そして、試験結果の公表が推奨されることになります。その後、登録期間中の中間解析については日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)データセンターなどが患者登録システムの一時停止を行います。研究事務局側の対応としては、患者登録システムの一時停止についてグループに通知し、研究結果に対する「無効中止」「有効中止」「その他の中止」を伝える流れとなります。臨床試験参加患者や候補患者に対しては、不利益が生じないように配慮することも欠かせません。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第5回 臨床試験で必要なn数(サンプルサイズ)第23回 仮説検定における2つの間違い 第一種の誤りとは?第24回 仮説検定における2つの間違い 第ニ種の誤りとは?第25回 仮説検定における検出力とは?第26回 2群比較ではなく、3群以上の仮説検定とは?第29回 多重比較法の使い分けは?

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認知症の急速悪化、服用中の薬剤が引き金に?【外来で役立つ!認知症Topics】第27回

認知症の急速進行性患者(Rapid Decliner)少なからぬ認知症の患者さん、とくにアルツハイマー病(AD)患者の外来治療は長期にわたりがちで、2年や3年はざら、時には10年ということもある。そうした中で、この病気が進行していくスピード感というものがだんだんとわかってくる。ところが、「なぜこんなにも急速に悪化するのか」という驚きと、主治医としての後ろめたさを感じてしまうような症例を少なからず経験する。こうした患者さんは、医学的には急速進行性患者(Rapid Decliner:RD)と呼ばれる。急速進行性認知症とは、本来プリオン病をプロトタイプとするが、プリオン病との鑑別で最も多いのは急速進行性のADだとされる。このようなケースでは、本人というよりも主たる介護者が、そのことを嘆かれ、治療の変更や転医などを相談されることもある。しかし担当医として容易にはお答えができず、忸怩たる思いを経験する。また新薬の治験のようにADの経過を評価する際にもRDはしばしば問題になる。というのは、こうした新薬の効果は、多くの場合、わずかなものである。そこに一般的な患者の経過から飛び抜けて悪化を示すケースがあると、「結果解析ではこうしたRDを例外として対象から除外するのか?」などの統計解析上の取り扱いが問題になると聞く。急速進行性アルツハイマー病(RD AD)の定義さて急速進行性AD(RD AD)の定義では、MMSEのような認知機能評価尺度の点数悪化や発症から死亡に至るまでの時間により示されることが多い。RD ADの定義として、MMSEの年間点の得点低下が6点以上とするものが多い1)。一般的には年間低下率は、2~3点とされるから、その倍以上である。また普通は7~8年とされるADの生存期間だが、RD ADでは、それが2年以内とされることも多い2)。つまり約3~4分の1程度も短命である。このようなRD ADを予測する要因としては、合併症として、血管性要因、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などがある。また慢性的な心不全や閉塞性肺疾患の関与も注目されてきた。しかしいずれも確立していない。さらに一般的には若年性が悪いと思われがちだが、必ずしもそうではない。バイオマーカーでは、脳脊髄液中の総タウ、リン酸化タウの高値は予測要因の可能性があるとされる。多くの遺伝子多型も研究報告されてきた。最もよく知られた遺伝子多型のAPOEだが、この役割については賛否両論ある。以上をまとめると、RD ADの予測要因として確立したものはなさそうである。RD ADの症状:体力低下、BPSD、IADLの障害もっとも実臨床の場面でRD ADが持つ意味は上記のような医学的な定義とは少し異なる。つまり体力低下、認知症にみられる行動および神経心理学的な症状(BPSD)や道具的ADL(Instrumental Activity of Daily Living:IADL)の障害などが急速に進んで日常生活の維持が困難になって、急速進行が事例化するケースが多いと思う。たとえば、大腿骨頸部骨折や各種の肺炎後に衰弱が急に進むという訴えがある。IADLでは、排泄の後始末ができない・汚れたおむつで便器を詰まらせる、着衣失行など衣類が着られなくなった、などが多い。またBPSDでは、多くの介護者にとって、幻視や幻聴、そして妄想の出現はショックが大きい。つまり家族介護者は、認知機能の低下というよりは、衰弱やIADLの低下、衰弱や幻覚妄想による言動のように、目に見える変化が急速な悪化と感じやすい。服用中の薬剤が急速悪化の引き金にさて問題は、こうしたケースへの対応である。これには2つのポイントがある。まず診断の見直しという基本の確認である。ここでは必要に応じてセカンドピニオンも考慮すべきである。次にRDの危険因子とされた要因を点検することである。とくに注目すべきは、服用薬剤の副作用だろう。診断の見直しでは、まずビタミンB群、梅毒やHIVを含む血液検査はしておきたい。新たな脳血管障害などが加わった可能性もあるからCTやMRI等の脳画像の再検査も考慮する。また脳脊髄液検査や脳波検査も、感染症やプリオン病などの可能性を踏まえてやっておきたい。高度検査では、遺伝学的な検査、また悪性腫瘍の合併を考慮してWhole body PET-CTが必要になるケースもあるだろう。さらに炎症系の関りも視野に入れて、専門医との相談に基づいて、抗炎症治療による治療的診断として、イムノグロブリン、高用量ステロイドなどの投与もありうる。いずれにせよこれらでは、躊躇なくセカンドオピニオンが求められる。危険視の中でも、服用薬剤が重要である。まず向精神薬がある程以上に長期間にわたって投与されていれば、これらが心身の機能にも生命予後にも悪影響を及ぼす可能性がある。なお向精神薬には、抗精神病薬、抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬のほかに、抗てんかん薬、抗パーキンソン薬などが含まれる。とりわけ、他科から処方されている薬剤は案外盲点かもしれない。他科の担当医はご自分の領域の治療薬に精通されていても、それが認知症に及ぼす影響まではあまり注意されていないかもしれない。それだけに「おくすり手帳」などを見せてもらう必要がある。さまざまな薬剤の中でも、とくに抗コリン薬は要注意である。これは過活動性膀胱の治療薬など泌尿器科用薬剤、循環器用薬剤に多い。またヒスタミンH2受容体拮抗薬、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、循環器系治療薬、抗菌薬などにも目配りが求められる。参考1)Soto ME, et al. Rapid cognitive decline in Alzheimer's disease. Consensus paper. J Nutr Health Aging. 2008;12:703-713. 2)Harmann P, Zerr I. Rapidly progressive dementias – aetiologies, diagnosis. Nat Rev Neurol. 2022;18:363-376.

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カルシウム摂取が多いほど大腸がんリスク低下

 カルシウム摂取が大腸がんのリスク低下と関連するとの報告があるが、この関連がカルシウム源や腫瘍部位によって異なるかは明らかではない。さらに、人種や民族によるカルシウム摂取量の差が大腸がんリスクに与える影響も不明である。米国・Division of Cancer Epidemiology and Genetics, National Cancer InstituteのSemi Zouiouich氏らはカルシウムの摂取源と腫瘍部位を考慮し、人種や民族を超えたカルシウム摂取と大腸がんリスクとの関連を調査した。本研究の結果はJAMA Network Open誌2025年2月17日号に掲載された。 米国国立衛生研究所の「NIH-AARP食事と健康研究」のデータを分析した。参加者はベースライン(1995年10月~1996年5月)時点での年齢が50~71歳、自己申告による健康状態が良好で、カロリーやカルシウム摂取量が極端に多過ぎず少な過ぎない人であり、最初の原発がん診断、死亡、追跡不能、または終了日(2018年12月31日)まで追跡調査された。データは2022年4月~2024年4月に分析された。カルシウム摂取量は、アンケート回答による摂取源(乳製品および非乳製品)、サプリメントの総摂取量から推定し、主要アウトカムは大腸がんの発生率だった。 主な結果は以下のとおり。・参加者はベースライン時点でがんのない47万1,396例で、平均年齢62.0(SD 5.4)歳、59.5%が男性だった。733万9,055人年の追跡調査(中央値18.4年[IQR:9.2~22.5年])中に1万618例の初発大腸がんが確認された。・総カルシウム摂取量について、最低五分位(Q1)の平均は女性401mg/日(SD 104mg/日)、男性407mg/日(95mg/日)であり、最高五分位(Q5)では女性2,056mg/日(412mg/日)、男性1,773mg/日(444mg/日)だった。・総カルシウム摂取源の平均の内訳は、乳製品42.1%、非乳製品34.2%、サプリメント23.7%だった。・総カルシウム摂取量の増加(Q5 vs.Q1)は大腸がんリスクの低下と関連しており(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.65~0.78、p<0.001)、摂取源および腫瘍部位(近位大腸、遠位大腸、直腸)にかかわらず、一貫した結果が得られた。・カルシウム摂取量が1日当たり300mg増えるごとに、大腸がんリスクは総摂取量で8%、食事由来で10%、サプリメント由来で5%減少した。とくに黒人ではそれぞれ32%、36%、19%減少した。 研究者らは「本コホート研究では、カルシウム摂取量の増加は、腫瘍部位および摂取源にかかわらず、大腸がんリスクの低下と一貫して関連していた。とくに摂取量が少ないグループにおいてカルシウム摂取量を増やすことで、回避可能な大腸がんリスクを低減できる可能性がある」としている。

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統合失調症の精神症状自己モニタリングアプリは再発の早期発見に有効

 精神疾患に対するデジタル技術を活用した研究は増加している。しかし、統合失調症患者自身によるスマートフォンアプリケーションを用いた症状の自己モニタリングシステムに関して、具体的に調査した研究は限られている。韓国・全南大学のSung-Wan Kim氏らは、コミュニティベースの早期介入センターであるMindlinkの統合失調症患者に対するスマートフォンアプリケーションを用いた症状の自己モニタリングシステムの妥当性および信頼性を評価した。Digital Health誌2025年1月31日号の報告。 対象は、統合失調症スペクトラム症の若年患者53例。対象患者の5つの精神症状領域(妄想、幻覚、不安、抑うつ、知覚ストレス)について、11段階リッカート尺度を用いて評価した。精神症状の評価は、ベースライン時、1週目、8週目、16週目に行った。再テストの信頼性は、ベースラインと1週目の評価における級内相関係数(ICC)により評価した。妥当性は、アプリベースの評価を、Eppendorf Schizophrenia Inventory、ハミルトン統合失調症プログラム幻聴尺度、ベックうつ病評価尺度、7項目一般化不安障害質問票、知覚ストレス尺度などの確立された自己報告尺度および臨床医尺度と相関させることで評価した。アプリのうつ病評価精度は、ROC分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・再テストの信頼性のICCは、すべての症状領域において高く、その範囲は0.741〜0.876であった(p<0.001)。・すべての評価時点において、アプリベースの評価と標準的な評価尺度による評価との間に、有意な相関が確認された。・アプリを用いた単一項目の自己評価についてのROC分析では、AUCが0.829であり(p=0.002)、良好な精度が示唆された。 著者らは「統合失調症患者の主要な症状やストレスを自己モニタリングするためのスマートフォンアプリケーションは、有効かつ信頼できるツールであることが示唆された。統合失調症患者の症状マネジメントを強化し、再発の早期検出を可能にするうえで、アプリの可能性を支持するものである」と結論付けている。

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鼻茸を伴う難治性慢性副鼻腔炎、テゼペルマブ追加が有効/NEJM

 鼻茸を伴う重症の難治性慢性副鼻腔炎の成人患者において、ヒト抗TSLPモノクローナル抗体テゼペルマブ(本邦適応は気管支喘息のみ)による治療はプラセボと比較して、鼻茸サイズ、鼻閉および副鼻腔症状の重症度、鼻茸切除および全身性グルココルチコイド治療を有意に減少したことが示された。英国・ダンディー大学のBrian J. Lipworth氏らWAYPOINT Study Investigatorsらが第III相の「WAYPOINT試験」の結果を報告した。テゼペルマブ治療は、重症の難治性気管支喘息で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎既往の患者の副鼻腔症状に対する有効性は示されていたが、鼻茸を伴う重症の難治性慢性副鼻腔炎の成人患者に対する有効性および安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年3月1日号掲載の報告。日本を含む10ヵ国112施設で、成人患者を対象に第III相試験を実施 第III相WAYPOINT試験は、多施設共同並行群間二重盲検無作為化比較試験で、2021年4月22日~2023年8月23日に日本を含む10ヵ国112施設で行われた。 研究グループは、医師の診断を受けた症候性の鼻茸を伴う重症の慢性副鼻腔炎の成人(18歳以上)患者を、標準治療(鼻腔内グルココルチコイド療法)に加えてテゼペルマブ(用量210mg)またはプラセボを受ける群に無作為に割り付け、4週ごと52週間にわたり皮下投与した。 主要エンドポイントは2つで、52週時点の総鼻茸スコア(範囲:0~4[各鼻孔について]、高スコアほど重症度が高いことを示す)と平均鼻閉スコア(範囲:0~3、高スコアほど重症度が高いことを示す)のベースラインからの変化とした。 全集団で評価した重要な副次エンドポイントは、嗅覚喪失スコア、Sinonasal Outcome Testの総スコア(SNOT-22、範囲:0~110、高スコアほど重症度が高いことを示す)、Lund-Mackayスコア(範囲:0~24、高スコアほど重症度が高いことを示す)、総症状スコア(範囲:0~24、高スコアほど重症度が高いことを示す)、および鼻茸切除または全身性グルココルチコイド治療(あるいはその複合治療)の最初の決定(time-to-event解析で個別的および複合的に評価)であった。テゼペルマブ治療の有効性、安全性を確認 410例が無作為化を受け、408例(テゼペルマブ群203例、プラセボ群205例)が有効性および安全性のエンドポイント解析に包含された。両群の試験薬中止の理由で最も多かったのは鼻茸切除であった。被験者の人口統計学的およびベースラインの臨床的特徴は両群間でおおむねバランスが取れており、408例の平均年齢は49.7±13.6歳、男性が65.2%、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と診断されてからの期間は12.75±10.37年などであった。 52週時点で、テゼペルマブ群は総鼻茸スコア(対プラセボとの平均群間差:-2.07、95%信頼区間[CI]:-2.39~-1.74)、平均鼻閉スコア(-1.03、-1.20~-0.86)が有意に改善した(両スコアp<0.001)。 また、テゼペルマブ群は、嗅覚喪失スコア(対プラセボとの平均群間差:-1.00、95%CI:-1.18~-0.83)、SNOT-22総スコア(-27.26、-32.32~-22.21)、Lund-Mackayスコア(-5.72、-6.39~-5.06)、総症状スコア(-6.89、-8.02~-5.76)も有意に改善した(全スコアp<0.001)。 鼻茸切除が適応された患者は、テゼペルマブ群(0.5%)がプラセボ群(22.1%)と比べて有意に少なかった(ハザード比:0.02、95%CI:0.00~0.09)。全身性グルココルチコイド治療もテゼペルマブ群(5.2%)がプラセボ群(18.3%)と比べて有意に少なかった(0.12、0.04~0.27)(両方のtime-to-event解析p<0.001)。

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