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HCV患者へのペグインターフェロンα-2a+リバビリン16週投与の効果

C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型が2型または3型に感染した患者に対し24週間、ペグインターフェロンとリバビリンを投与すると、約80%の患者でウイルス学的反応率が持続する。では投与期間を16週とした場合でも、この効果が持続するのだろうか。その効果を判定する大規模無作為化多国籍非劣性試験が、ACCELERATE研究グループによって行われた。NEJM誌7月12日号の報告から。16週投与群と24週投与群で無作為化非劣性試験を実施HCV遺伝子型2型または3型を有する患者1,469例に対してランダムに、16週または24週にわたって、リバビリン800mg(1日1回)とペグインターフェロンα-2a 180μg(週1回)を投与するよう割り付けた。持続的なウイルス学的反応とは、治療終了24週の時点で、血清HCV RNAが検出不能なレベル(<50 IU/mL)であることと定義された。16週投与群は24週投与群より持続的ウイルス学的反応率は有意に低かった結果は、16週群の持続的なウイルス学的反応率は、24週群と比べて有意に低かった(62%対70%、オッズ比0.67、95%信頼区間0.54-0.84、P<0.001)。また、再発(治療終了後にHCV RNAが検出不能であった患者で、フォローアップ中に検出可能なレベルになること)率は、16週群で有意に高かった(31%対18%、P<0.001)。しかし本研究で、16週投与が24週投与に対して非劣性であることは証明するには至らなかったともしている。治療前の血清HCV RNAレベルが400,000IU/mL以下の患者の持続的なウイルス学的反応率は、16週群で82%、24週群では81%だった。迅速な抗ウイルス効果(治療終了後第4週までHCV RNA検出不能)を示した患者では、持続的なウイルス学的反応率は16週群で79%、24週群では85%だった(P = 0.02)。これらから研究グループは、16週処方は、標準的な24週処方と比べ全体的に持続的ウイルス学的反応率は低いと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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食品への葉酸補強義務化で神経管欠損症が減少

1998年、さまざまな穀類製品に葉酸の補強が義務付けられたカナダでは、歴史的に神経管欠損症の有病率が、西部よりも東部で高い傾向を有するという。カナダ・ケベック州ラバル大学Philippe De Wals氏らの研究グループは、葉酸補強が義務付けられた前後の神経管欠損症有病率の変化について調査を行い、葉酸補強の効果を検証した。本報告はNEJM誌7月12日号に掲載された。補強前・部分的補強後・全面的補強後の3期間で2,446例を比較検証研究母集団には、1993年から2002年までカナダの7つの州(東からニューファンドランド・ラブラドール、ノバスコシア、プリンスエドワードアイランド、ケベック、マニトバ、アルバータ、ブリティッシュコロンビア)に在住していた妊婦(出生数190万)で、胎児性形成異常(奇形)を伴う生児出産・死産・妊娠中絶となったケース2,446例が含まれた。公表されている赤血球中の葉酸濃度の検査結果に基づき、研究期間は補強前期間、部分的補強期間、全面的補強期間の3つに分けられた。研究グループは、州ごとに神経管欠損症のベースライン有病率と、補強が実施された後の減少の規模との関係を評価した。神経管欠損症率は葉酸補強後で46%減少神経管欠損症の有病率は出生1,000件につき、補強前は1.58だったが、全面的補強期間後は0.86と46%の減少を示した(95%信頼区間40-51)。減少の規模は各州で補強前ベースライン有病率に比例し、補強後には地域差はほとんど解消されていた。観察された有病率の低下は、二分脊椎の低下(53%)が無脳症と脳ヘルニアの低下(各38%、31%)を上回っていた。研究グループは「食品への葉酸補強はカナダにおいて、神経管欠損症の有病率の減少に密接に関連していることが明らかになり、有病率が高い地域ほど減少の程度は大きかった」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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小児生存者は有害事象リスクの負荷に応じた医学的監視が必要

小児患者の生存率は、治療に付随する多発性の晩期障害を伴いながらも改善をみている。しかし、小児生存者に関する研究の大半は、1つの晩期障害にだけ着目されていた。そこでオランダ・Emma Children's Hospital/Academic Medical CenterのMaud M. Geenen氏らの研究グループは、生存者の大規模かつ長期的な医学的追跡調査を行い、小児治療後のすべての健康予後悪化のリスクを評価することを試みた。JAMA誌6月27日号の報告から。5年生存患者を専門クリニックで追跡調査研究グループは、1966年から1996年の間に1つの施設で治療を受けた小児患者のうち、5年生存者1,362例について後ろ向きコホート研究を実施した。治療後有害事象を医学的に評価するため、全生存者を晩期障害の専門クリニックに招き、2004年1月以前に出現した有害事象をすべて重症度に応じて等級分けした。主要評価項目は、調査終了時の重症度別有害事象の治療特異的有病率と、等級分けで「serve」あるいは「high」にスコアされた疾患と各治療法との相対リスク。この追跡調査の終了時の生存者は94.3%(追跡調査期間中央値17.0年)、年齢中央値は24.4歳だった。特に放射線療法受療生存者は「serve」「high」な晩期障害の負荷を有する生存者の75%に1つ以上の有害事象があり、24.6%に5つ以上の有害事象があった。加えて40%の生存者で、少なくとも1つの「重篤な」あるいは「致命的・障害を伴う」有害事象が見られた。「serve」あるいは「high」のスコア群には、放射線療法だけを受けた生存者が55%、化学療法だけを受けた生存者が15%観察された、これらの補正相対リスクは、手術療法だけを受けた生存者群(25%)と比較して、それぞれ2.18(95%信頼区間:1.62-2.95)、0.65(95%信頼区間:0.46-0.90)だった。また、骨腫瘍の生存者(64%)が最も多く観察され、最も少なかったのは白血病またはウィルムス腫瘍(各12%)だった。小児生存例のかなりの割合、特に放射線療法後のケースにおいて、青年期にはすでに「serve」あるいは「high」にスコアされる晩期障害に苦しんでいることが明らかになったことからGeenen氏らは、「小児生存者のリスクに応じた生涯にわたる医学的監視の必要性を強く意味づける結果だ」と結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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小児の反復性UTIに抗菌薬予防投与は効果なし

小児の反復性尿路感染(UTI)の危険因子と、抗菌薬の予防投与の有益性に関する十分な証拠は得られていない。そのためアメリカ・ペンシルベニア大学のPatrick H. Conway氏らのグループは、小児科プライマリ・ケア・コホートで反復性UTIの危険因子を同定すること、また抗菌薬の予防投与と反復性UTIとの関連性を評価すること、さらに反復性UTIに見られる耐性の危険因子を同定することを目的にtime-to-event解析を行った。本研究報告はJAMA誌7月11日号に掲載された。約7万5,000例を対象にtime-to-event解析を実施研究対象は、フィラデルフィア子供病院で管理されるelectronic health record(EHR)を共有する3つの州(デラウェア、ニュージャージー、ペンシルベニア)に分布する27の小児科プライマリ・ケア診療所のネットワークから集められた。診療所は都市部、郊外、準田園地帯と異なるエリアに点在している。反復性UTIの危険因子、抗菌薬の予防投与と反復性UTIの関連性を評価するためtime-to-event解析法が、また反復性UTI患児における耐性菌感染症の危険因子同定には、ネステッド・ケースコントロール研究が実施された。主要評価項目は、反復性UTIに至る時間と病原体の抗菌薬耐性。抗菌薬予防投与は反復性UTIに効果なく、耐性菌リスクを増大小児74,974例のうち、611例(0.007/人年)で初回UTIを、83例(初回UTI後、0.12%/人年)で反復性UTIが見られた。反復性UTIのリスク増加と関連する因子は、「白人」0.17/人年(ハザード比1.97、95%信頼区間1.22-3.16)、「3~4歳」0.22/人年(2.75、1.37-5.51)、「4~5歳」0.19/人年(2.47、1.19-5.12)、「膀胱尿管逆流(grade IV~V)」0.60/人年(4.38、1.26-15.29)で、「性別」および「膀胱尿管逆流(grade I~III)」は再発リスクとの関連は認められなかった。また抗菌薬の予防投与を行っても反復性UTIリスクは有意に低下せず(1.01、0.50-2.02)、むしろ抗菌薬耐性菌をもたらす危険因子の一つとなっていた(7.50、1.60-35.17)。このことからConway氏らは、「小児へのUTIに対する抗菌薬予防投与は、反復性UTIのリスクを減らすどころか、耐性菌感染症のリスクを増加させる」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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液状化細胞診(LBC)は子宮頸の検出に有用か:大規模無作為化試験の結果

液状化細胞診(liquid based cytology:LBC)は子宮頸のスクリーニング法として広く用いられている。しかし、その診断の正確度(accuracy)を検証した研究のほとんどが非無作為化試験あるいは1人の女性に2つの検査を実施して比較するものであり、無作為化試験は小規模な研究が1つあるのみだという。 イタリア・トリノ市の予防センター腫瘍疫学のGuglielmo Ronco氏らは、子宮頸のスクリーニングにおける従来法とLBCの正確度を比較する大規模な無作為化試験を実施した。BMJ誌5月21日付オンライン版、7月7日付本誌に掲載された報告。25~60歳の約45,000名の女性を対象とした無作為化試験対象は、2002~2003年にイタリアの9つのスクリーニングセンターに登録された25~60歳の女性。22,466名がスメアによる従来法に、22,708名がLBCおよびヒトパピローマウイルス(HPV)検査を実施する群に無作為に割り付けられた。LBCで異型細胞が見つかった場合はコルポスコピーを施行した。LBCが正常でHPV陽性のうち35~60歳の女性はコルポスコピーを、25~34歳の女性は1年後に再検査を行ったが、これらの結果は今回の解析には含めなかった。従来法群は、軽度以上の扁平上皮内病変を有する場合にコルポスコピーを施行。細胞診とHPV検査の結果を評価して病変が疑われる場合は生検を実施し、組織学的に子宮頸部上皮内腫瘍が確認された場合には盲検下に細胞診の結果の評価を行った。LBCの検出感度は従来法と同等、不適正スライドの頻度は有意に低下LBC群のgrade 2以上の子宮頸部上皮内腫瘍の検出感度(sensitibity)は従来法群と有意な差はなかったが、陽性予測値は有意に低下していた。LBC群ではgrade 1以上の病変が有意に多く検出され、特に25~34歳の女性における検出率が高かったが、grade 3以上の病変の検出率には有意差は見られなかった。不適正なスライドが少なくとも1つ以上作製された女性の頻度はLBC群で有意に少なかった。Ronco氏は、「LBCの主な利点は不適正スライドが少ないことである。さらに、LBCでは診断に要する時間が短縮され、1つの試料でHPVだけでなく他の分子の検索も可能である」としている。(菅野 守:医学ライター)

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液状化細胞診(LBC)は子宮頸の検出に有用か:非無作為化プロスペクティブ試験の結果

数十年にわたり、子宮頸および前病変のスクリーニングには子宮頸部のスメアによるマニュアル式の検査が行われてきたが、多くの国ではコンピュータを用いた液状化細胞診(liquid based cytology:LBC)へ移行しつつある。LBCはヒトパピローマウイルス(HPV)を検出でき、診断の迅速化、自動化によるコストの削減が可能とされるが、従来法よりも正確度(accuracy)が優れることを示すエビデンスは十分ではない。 オーストラリア・シドニー大学環境衛生学部のElizabeth Davey氏らは、子宮頸の指標としての子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の診断の正確度について、従来法とLBCを比較するためのプロスペクティブな検討を行った。BMJ誌6月29日付オンライン版、7月7日付本誌掲載の報告から。1検体から従来法とLBCのスライドを作製し、診断の正確度を比較2004年8月~2005年6月の間に、55,164検体についてLBCおよび従来法による検査を行い、診断の正確度を評価した。1回の採取で得られた検体から、まず従来法でスライドを作製し、次いでLBCによるスライド作製を行い、それぞれ診断を実施した。主要評価項目は子宮頸部の扁平上皮病変検出の正確度とし、副次評価項目は不適正なスライドが作製される割合などとした。LBCは高度CIN病変の診断正確度が高く、不適正スライドの割合も低い不適正なスライドは従来法に比べLBCで有意に少なかった(p<0.001)。LBCによって異常と診断されたスライドは、全体(7.4% vs 6.0%)およびgrade 1以上のCIN(2.8% vs 2.2%)の双方ともに多い傾向が見られた。LBCでgrade 1以上のCIN、従来法ではgrade 1以下とされ診断が一致しない550検体のうち、380の生検検体を組織学的に評価したところ、133検体が組織学的にgrade 2以上の高度CINと診断された。一方、LBCでgrade 1以下、従来法ではgrade 1以上とされた294検体のうち、210の生検検体の組織学的評価でgrade 2以上の高度CINと診断されたのは62検体であった。したがって、LBCは従来法よりも組織学的に高度な病変を71例も多く検出したことになる。Davey氏は、これらの知見をまとめ、「コンピュータを用いたLBCで作製されたスライドを診断する方法は、従来のマニュアル式の診断法に比べ1,000名当たりの高度病変の検出率が1.29倍高く、正確度に優れることが明らかとなった」としている。(菅野 守:医学ライター)

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従来療法に劣らぬ効果が報告された新・抗HIV療法

HIV感染症の治療は、抗HIV薬の多剤併用療法(HAART)の導入により劇的な進歩を遂げた。しかし、初回の抗HIV療法に失敗した感染者に対して、いかにウイルスを抑制し、その効果を長期間持続させていくかはいまだに大きな課題となっている。そのような中で開発された新規プロテアーゼ阻害薬(PI)のdarunavir(DRV:日本では申請中)について、 7月7日付のLancet誌に興味深い報告が発表された。ブラジル・サンパウロのCentro de Referência e Treinamento DST/AIDSのMadruga氏らが行った第III相無作為臨床試験「TITAN」の結果、darunavirとリトナビルの配合剤(DRV/r)が、現在繁用されているPI配合剤のロピナビル・リトナビル配合剤(LPV/r)に劣らぬ抗ウイルス効果を示すことが明らかにされたのだ。48週投与で抗HIV療法経験者の77%に抗ウイルス効果Madruga氏らは、これまでLPV/rが安全性と抗ウイルス効果の両面から、抗HIV療法経験者に対する治療法として最も有望視されてきたことから、 DRV/rをLPV/rと比較することとした。対象は、すでに抗HIV療法を経験しているが、ロピナビルの使用経験はない18歳以上のHIV感染者(血中HIV RNA量>1,000コピー/mL)とし、これらをDRV/r群(298例)とLPV/r群(297例)に無作為化して、48週間のウイルス抑制効果を検討した。その結果、 治療48週後にウイルス抑制効果(血中HIV RNA量<400コピー/mLの達成)が認められたのは、DRV/r群が77%、LPV /r群が68%で、9%の差が見られた(per-protocol 解析)。DRV/r群でいずれも小さかった変異発現率またPI耐性につながる変異の発現率は、DRV/r群が21%、LPV/r群が36%。核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)耐性関連の変異発現率は、DRV/r群14%、LPV/r群27%と、いずれもDRV/r群のほうが小さかった。安全性に関する結果は、両群同等だった。以上よりMadruga氏らは、ロピナビル未使用の抗HIV療法経験者に対し、DRV/rはLPV/rに劣らぬ抗ウイルス効果を示したとして、DRV/rをこれらのHIV感染者にする治療選択肢として考慮すべきだと結論づけている。

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メタ解析で明らかになったHIV/AIDSにおける発リスク

HIV治療の進歩により、HIV感染後の生命予後は以前に比べだいぶ長くなった。そこで近年、関心の高まりを見せているのが、「発リスク」などHIVの長期感染に伴う合併症の問題だ。元来、免疫低下が直接関係するとしてHIV感染者やAIDS患者で指摘されてきたのは、カポジ肉腫、非ホジキン性リンパ腫、子宮の3種のみだが、臓器移植後の免疫低下患者では、広範囲の種の発症増加が報告されている。 このような中、7月7日付Lancet誌で報告されたオーストラリアにあるニュー・サウス・ウェールズ大学のGrulich氏らの研究では、HIV/AIDSを対象にしたコホート試験と、臓器移植のレシピアントを対象にしたコホート試験とをメタ解析した結果、臓器移植レシピアント群だけでなくHIV/AIDS群においても、免疫低下が主因と考えられる多種の感染症由来の発症リスクが増大していることが明らかにされた。HIV/AIDS群でも20種類のが増加、多くの主因は免疫低下同研究では、これまでに報告されている文献の中から、HIV/AIDSを対象にしたコホート研究7件(合計444,172例)と、臓器移植のレシピアントを対象にしたコホート研究5件(合計31,977例)を抽出し、ともに免疫低下を有する双方の集団において、種や発状況に関するメタ解析を行った。その結果、HIV/AIDS群においても臓器移植レシピアント群においても、検討した28種類の種のうち20種類の発症率が、対照群より有意に高いことが明らかになった。HIV感染症の長期合併症として危惧される感染症関連の各種これら発症増加の見られたのほとんどは、epstein-Barrウイルス(EBV)が関連するホジキン性リンパ腫や非ホジキン性リンパ腫、ヒト・ヘルペスウイルスが関連するカポジ肉腫、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが関連する肝、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)が関係する胃など、何らかの感染症が関与すると考えられるだったという。以上のように、HIV/AIDS群と臓器移植レシピアント群という異なる免疫低下集団において同様の発パターンが見られたことから、Grulich氏らは「これらの増加の主要リスクファクターは、『免疫低下』だと考えられる」と考察しており、HIV感染症の長期的合併症として今後、感染症関連のの重要性が増大していくだろうと喚起している。

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飛行中の旅客機内でも急性高山病は起きる?

 急性高山病は気圧の低い高地を旅行した際、順応性が弱い一部の人に出現する。この「気圧の低い高地」の条件は飛行中の旅客機でも生じるが、乗客に高山病が出現するかどうかは明らかではない。 ボーイング・メディカル社のJ. Michael Muhm氏らは、飛行中の旅客機と同様の環境を用意し、不快感がどのようなメカニズムで、どの程度の頻度で現れるのかを調査した。NEJM誌7月5日号掲載の報告から。飛行機の気圧低下が急性高山病に及ぼす影響を判定する模擬飛行試験 Muhm氏らは、海抜650、4,000、6,000、7,000、8,000フィート(各198、1,219、1,829、2,134、2,438m)相当における飛行中の旅客機と同様の気圧低下が動脈血酸素飽和度、急性高山病、不快の発生に及ぼす影響を判定するため、成人ボランティアを対象に、20時間の模擬飛行試験を実施した。測定には自覚症状質問表(Environmental Symptoms Questionnaire IV)への回答が用いられ、前向き単盲検対照低圧室研究として実施された。飛行機の気圧低下で急性高山病は全体で7.4%出現 飛行中の旅客機と同様の気圧低下が急性高山病の出現に及ぼす影響を調べた試験で、参加者502人の平均酸素飽和度が8,000フィートの最高高度で最大4.4パーセンテージ・ポイント(95%信頼区間:3.9~4.9)が低下した。 急性高山病は全体で7.4%出現したが、今回研究対象となった高度間での頻度に有意差は見られなかったという。 不快の訴えは、高度が増し酸素飽和度が低下するとともに増加し、7,000~8,000フィートの場合で一番多く、その差異は3~9時間の曝露後に明らかになった。年齢的には若い人よりも60歳以上の人が、また女性よりも男性のほうが、不快を訴えるケースが少なかった。 重篤な有害事象は4例で、その1つは今回の研究での曝露との関連の可能性が指摘された。それ以外の15例のうち9例は今回の研究での曝露との関連が認められた。 以上から、地上7,000~8,000フィートという環境への飛行機の上昇は、酸素飽和度を約4パーセンテージ・ポイント低下させること、この高度では低酸素血症による急性高山病とまではならないものの、順応性が弱い人では3~9時間後に不快を訴える頻度が増すことが明らかになったと報告している。

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意外にも着床前遺伝子検査は高齢女性の体外受精成功率を低下

体外受精(IVF)を受けた母体年齢の高い女性の妊娠率は、強い期待にもかかわらず低いという現実がある。一方で、流産の可能性が極めて高い異数性を対象に行われる卵割段階の胚への着床前遺伝子検査が、これら女性のIVFの成功率を高める可能性が示唆されている。 オランダ・アムステルダム大学生殖医療センターのSebastiaan Mastenbroek氏らのグループは、着床前遺伝子検査を行ったIVF群と行わなかったIVF群の妊娠率等の比較調査を行い、その可能性について検証した。NEJM誌7月5日号掲載(7月4日オンライン版で初公開)の報告から。35~41歳のIVF希望者対象に無作為化二重盲検試験研究グループは、35~41歳の女性を対象に、着床前遺伝子検査実施群と実施しない対照群それぞれで3サイクルのIVFを実施比較する多施設共同無作為化二重盲検対照試験を行った。主要評価項目は、着床後12週の時点で妊娠が継続しているかであり、副次評価項目は、生化学的妊娠、臨床妊娠、流産と生児出生。検証は、女性408例(全836サイクルのIVFを受けた)が、着床前遺伝子検査実施群206例(434サイクル)と、実施しない対照群202例(402サイクル)にランダムに割り付けられ行われた。妊娠継続率、生児出生率とも有意に低下着床後12週での妊娠継続率は、着床前遺伝子検査実施群は52例(25%)で、対照群の74例(37%)より有意に低かった(率比0.69、95%信頼区間0.51-0.93)。生児出生率も着床前遺伝子検査実施群が有意に低かった[実施群49例(24%)、対照群71例(35%)、率比0.68、95%信頼区間0.50-0.92]。これらから、着床前遺伝子検査は母体年齢の高い女性のIVF後の妊娠継続率と生児出生率を高めるものではなく、逆に有意に低下させていると結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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毎日少量のチョコレート摂取で血圧が低下

ココアを含む食品の日常的な摂取が、心血管系の死亡率低下に寄与することは観察研究で明らかにされている。またココアの高用量摂取が、2週間ほどの短期介入でも血管内皮機能を高め、ココア・ポリフェノールの作用で血圧を低下させることが示唆されてもいる。しかし習慣的なココア摂取が血圧に及ぼす臨床的効果とそのメカニズムは不明だ。そこで、ドイツ・ケルン大学のDirk Taubert氏らは、ポリフェノールの豊富なチョコレートを低用量摂取した場合の、血圧変化について判定した。JAMA誌7月4日号に掲載。ポリフェノール含有・非含有チョコレート摂取を無作為盲検治験は2005年1月から2006年12月にかけてドイツのプライマリ・ケア・クリニックで行われた。高血圧前症または第I期高血圧症で、付随的な危険因子を持たず薬物投与も受けていない56歳から73歳までの44例(女性24例、男性20例)を対象に、無作為盲検並行群方式で実施。対象者には18週間、30mgのポリフェノールを含んだ糖分・脂肪分の少ないダークチョコレートを毎日6.3g(30kcal)、もしくはポリフェノールを含まないホワイトチョコレートを無作為に割り当て摂取させた。主要評価項目は18週後の血圧値の変化。第2評価項目は、血管拡張作用のあるS-ニトロソグルタチオンと、酸化ストレスマーカー8-isoprostaneの血漿中濃度変化とココア・ポリフェノールのバイオアベイラビリティ(生物学的利用性)とした。高血圧有病率は86%から68%まで減少18週間で、ダークチョコレート摂取群の収縮期血圧が平均2.9(1.6)mmHg、拡張期血圧も1.9(1.0)mmHg下がり(P<0.001)、体重、血漿中の脂質、ブドウ糖、8-isoprostaneのレベルに変化はなかった(P<0.001)。高血圧有病率は86%から68%まで減少した。また、血圧低下とともにS-ニトロソグルタチオンが持続的に増加し[0.23(0.12)nmol/L(P<0.001)]、血漿中でのココア・フェノール出現に結びついていた。一方、ホワイトチョコレートの摂取群では血圧、血漿中マーカーとも変化は見られなかった。標本数は小さいが、至適血圧より高値である以外は健常な人が、食事の際にポリフェノールが豊富に含まれるチョコレートを少量摂取すると、体重増加などを伴わずに血圧が効果的に低下するとともに、S-ニトロソグルタチオン形成も改善されたと報告した。(朝田哲明:医療ライター)

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内リンパ嚢腫瘍の聴覚障害発生メカニズム

内リンパ嚢腫瘍(ELSTs)はフォン・ヒッペル‐リンダウ病(網膜小脳血管腫症:VHL)と関連しており、不可逆性の感音難聴(SNHL)や前庭障害の原因になると言われている。しかしその基本的なメカニズムは依然として不明であり、治療の最適なタイミングもわかっていない。アメリカ国立衛生研究所(NIH)のJohn A. Butman氏らのグループは ELSTs と関連する聴覚前庭障害の発生メカニズムを明らかにするため、1990年5月から2006年12月にかけてNIHでVHL患者とELSTs患者を対象に、前向き連続評価を実施。判明した発生メカニズムについて、JAMA誌7月4日号に報告された。VHL患者の87%で不可逆性感音難聴を確認この研究では聴覚前庭機能障害の基礎的なメカニズムを明らかにするため、臨床所見と言語病理学的データに、連続磁気共鳴画像法とCT画像法による調査データが関連づけられた。その結果、VHLで継続治療中の患者35例の38耳(3例の両側性を含む)でELSTs が確認された。7耳(18%)で迷路骨包の腫瘍浸潤で大きな腫瘍を伴っており(P=0.01)、SNHLが確認された(100%)。残りの31耳(82%)では迷路骨包浸潤が確認できなかったが、31耳のうち27耳(87%)で、急激に(14耳; 52%)、あるいは徐々に(13耳; 48%)SNHLが発現していた。残りの4耳は正常聴力だった。迷路骨包浸潤に関連しない小腫瘍からも病的難聴は起こる急激にSNHLが発現した14耳のうち11耳(79%;P<0.001)では内迷路出血があったが、徐々にSNHLが現れたおよび正常聴力だった17耳では内迷路出血は見られなかった。また腫瘍サイズとSNHL(P=0.23)および前庭障害(P=0.83)には関連性が見られなかった。Butman氏らは、ELSTsと関連のあるSNHLや前庭障害は、腫瘍に関連した内迷路出血による場合は急激に起き臨床所見も見いだされるが、内リンパ水腫症による場合もあり知らないうちに起きている場合もあると結論。これら発生メカニズムからすると、迷路骨包浸潤と関係しない小さな腫瘍でもSNHLは起こり得ると警告した。(朝田哲明:医療ライター)

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英国の電子カルテ普及など国民医療保健サービスIT化の課題

2002年以降、英国の国民医療保健サービス(NHS)は、電子カルテの普及を基盤とする大規模なIT化推進プログラムに取り組んでいる。NHSのIT化は現在どこまで進行しているのか。2003年以来、同IT化プログラムの推進状況とその成果について調査を続けているロンドン・Imperial 大学のJ. Hendy氏らは、急性期病院トラストの管理職がIT化プログラムの導入に関してどのような危惧を抱いているかについての最新調査結果を、BMJ誌5月17日付オンライン版(本誌では6月30日号)に報告した。その中で迅速なプログラム開発と、現場への情報提供の必要性を指摘している。現場は患者の安全性を危惧同研究では、規模や立地条件などタイプの異なる4件の急性期病院トラストを選択し、最高責任者、IT部門、財務部門のマネージャー、医学部長や看護部長など、各トラストの管理職が、 NHSのIT化プログラム導入についてどのような危惧を抱いているかを、面談調査した。2004年9~12月に1回目の調査を実施したのち、約18ヵ月を経た2006年1~4月に、2回目の調査を実施している。その結果、2004年当時に比べ、2006年の調査では、同IT化プログラムの目的に賛同するトラスト職員は増えていた。しかし一方で、多くの現場責任者が、以前の調査では聞かれなかった新たな危惧を抱いていることもわかった。2004年当時にプログラム導入の歯止めとなっていたのは、財政的理由や、同プログラムに即した患者管理システムの整備遅延、IT化プログラムの実施団体である「Connecting for Health」と現場責任者とのコミュニケーション不足などだったが、 2006年の調査では、これらの問題に加え、プログラムに対する不安感から導入を危惧する現場責任者の多いことが明らかになった。彼らは、新しいITシステムへの切り替えが依然遅れていること、NHS全体でのシステム統一ができていないことなどから、患者の安全性を危険に曝すリスクが高いと感じており、また限られた予算内で他の懸案に優先してIT化に乗り出すための援助を必要としていた。具体的な実施スケジュールの設定と、暫定的ITシステムの購入が必要以上の結果を踏まえて、Hendy氏らは「今回面談した職員はITの近代化に好意的であったが、今後、システム整備が進まなければ、急速に支持されなくなるだろう」と結論づけている。現場の責任者は、明確な実施スケジュールや長期的目標、経済的利点についての情報を求めているとし、「プログラムの提供者であるConnecting for Health は、個々のトラストに対して具体的な実施スケジュールを設定し、システム開発の遅延対策として暫定的なITシステム購入の必要性があることを進言していく責任がある」と提言している。このようなNHSの経験は、今後、医療システムの大規模なIT化を目指す他国にとっても参考になるだろうとの見解だ。

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「出来高制」の医療報酬制度は医師のモチベーション低下につながらない

近年、臨床現場における医療の質の向上を図るために、医師や看護師などの医療提供者に対し、「出来高制」の報酬制度を取り入れるなど、報酬面での動機付け(Financial Incentives)を利用することに関心が高まっている。しかし一方で、このような報酬制度の採用による悪影響はないのだろうか。マンチェスター大学のR. McDonald氏らは、初期医療を行う英国の一般診療所において、このような報酬制度の導入が、医師や看護師の提供する医療の質とともに、診療の自主性、内面的なモチベーションにどのような影響を及ぼすかを検討した結果、「医師の内面的なモチベーションに悪影響は見られなかった」と報告した。BMJ誌5月17日付オンライン版、本誌6月30日号より。QOF導入が自主性やモチベーションに与える影響を検討McDonald氏らは、英国の2件の一般診療所において、臨床医12名、看護師9名、診療アシスタント4名、事務スタッフ4名を対象に検討を行った。報酬面の動機付けは、英国の一般臨床医に対する報酬体系のひとつであるQuality and Outcome Framework(QOF)を用いて行った。QOFとは、10の疾病グループごとに標準的な目標を設定し、目標を達成すれば成果報酬が支払われるというシステムだ。同検討では、QOFを導入したのち5ヵ月間の、診療現場での仕事ぶりや態度を観察・評価するとともに、個々との面談アンケートを実施し、QOF導入による影響を検討した。看護師は変化に対する危惧とともに、責任を与えられることへの喜びを指摘その結果、QOF導入後は医療の質に対するデータ収集への関心が高まり、医師も看護師も、一般的にQOFは、質の高い医療を提供するのに役立つと感じていることがわかった。医師に比べ看護師は、QOF導入後に生じる変化を危惧するケースが多かったが、同時に、特定の領域で責任を与えられたことを喜んでいた。これに対し医師の多くは、質的目標が、自身の診療の自主性に影響するとは考えていなかった。このような結果からMcDonald氏らは、「医療の質の向上を目指した出来高性の報酬制度を採用しても、一般臨床医の内面的なモチベーションに悪影響はないと思われる」と結論づけた。ただし、医師に比べ看護師では、導入に伴う変化を危惧する声が多く聞かれたとしている。

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HPVワクチンの子宮頸予防効果を確認、PATRICIA studyの中間解析から

子宮頸の主要な原因としてヒトパピローマウイルス(HPV)感染が注目を集め、その対策としてHPVワクチンの予防投与への期待が高まっている。子宮頸の発症率が高いアフリカ、南アジア、南米の途上国における普及が急がれる一方で、先進国では女児への予防投与によって若者の性道徳が乱れるのではないかとの懸念の声が上がるなど、一般市民レベルの議論もさかんだ。 発性を有するHPVは15のタイプが確認されており、そのうちHPV16およびHPV18が子宮頸の70%以上に関連することが国際的な調査で示されている。フィンランド・ヘルシンキ大学産婦人科のPaavonen氏らは、子宮頸の予防法としてのHPV16/18 L1ウイルス様粒子ワクチン投与の有用性を評価するための国際的な無作為化第III相試験(PATRICIA study)を実施しており、6月30日付Lancet誌上でその中間解析の結果を報告した。途上国を含む14ヵ国が参加する大規模臨床試験2004年5月~2005年6月の間に、途上国を含む14ヵ国において15~25歳の若年女性18,525名が、HPV16/18ワクチン群(9,258名)あるいは対照群(A型肝炎ワクチン、9,267名)に無作為に割り付けられた。これらの対象には、すでに軽度の細胞学的異常でワクチン投与を受けているものや、HPV16、HPV18以外の発性HPVに感染(多くの症例が複数種のウイルスに感染)しているものが含まれた。子宮頸部の細胞診および生検を行い、PCR法にて14の発性HPVタイプの有無を評価した。子宮頸の予防の指標は、HPV16あるいはHPV18を伴うgrade 2~3の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN2+)に対する抑制効果とした。今回の中間解析は、病変部にHPV16あるいはHPV18が確認されたCIN2+の患者が23例に達した時点で開始した。平均フォローアップ期間は14.8ヵ月であった。HPV16/18ワクチンはCIN2+の発症を有意に抑制23例のCIN2+のうち、2例はHPV16/18ワクチン群であったが、21例は対照群であった。複数のHPV タイプに感染していた症例は14例であり、2例がHPV16/18ワクチン群、12例が対照群であった。これらのデータを解析したところ、CIN2+に対するHPV16/18ワクチンの有効性は90.4%(97.9%信頼区間:53.4-99.3、p<0.0001)であった。安全性については、両群間に臨床的に意味のある差は認めなかった。Paavonen氏は、「HPV16/18ワクチンを用いた補助療法は、HPV16あるいはHPV18感染によるCIN2+の発症に対して有意な予防効果を示したことから、子宮頸の予防法として有用と考えられる」と結論している。(菅野 守:医学ライター)

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自家細胞注入法は女性の腹圧性尿失禁の標準的治療法となるか

尿失禁のうち、急迫性尿失禁は排尿筋の過活動によって起き、腹圧性尿失禁は尿道括約筋複合体の機能障害を原因とする。女性の尿失禁の8割近くが腹圧性あるいは混合性であることから、尿道括約筋複合体(尿道、横紋筋性括約筋)を治療ターゲットとしたアプローチは有望と考えられている。 前臨床試験では、自家筋芽細胞の経尿道的注入により横紋筋性括約筋の再生が促進され、線維芽細胞は尿道粘膜下層の再建に有効なことが示されている。オーストリア・インスブルック医科大学泌尿器科のStrasser氏らは、腹圧性尿失禁に対する経尿道的超音波ガイド下自家筋芽細胞/線維芽細胞注入法と従来の内視鏡的コラーゲン注入法の有効性と認容性を比較する無作為化試験を実施、その結果を6月30日付Lancet誌上で報告した。尿失禁スコア、横紋筋性括約筋の収縮性などを従来法と比較2002~04年の間に、腹圧性尿失禁の女性患者63例が登録された。42例が経尿道的超音波ガイド下自家筋芽細胞/線維芽細胞注入法(自家細胞注入群)に、21例が内視鏡的コラーゲン注入法(従来法群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、24時間排尿日誌、24時間パッドテスト、患者質問票に基づく尿失禁スコア(0~6点)および横紋筋性括約筋の収縮性、尿道と横紋筋性括約筋の厚さとした。自家細胞注入群で尿失禁スコアが著明に改善フォローアップ期間12ヵ月の時点で尿失禁が完全に解消された症例は、自家細胞注入群が38例(90%)であったのに対し、従来法群は2例(10%)にすぎなかった。尿失禁スコア(中央値)は、ベースラインの6点から自家細胞注入群は0点へと著明な改善を示したのに対し、従来法群は6点のままであり、有意な差が認められた(p<0.0001)。横紋筋性括約筋の平均厚は、ベースラインの2.13mm(全症例の平均)から自家細胞注入群が3.38mmへと増加したのに対し、従来法群は2.32mmにとどまった(p<0.0001)。また、横紋筋性括約筋の収縮性はベースラインの0.58mmから自家細胞注入群は1.56mmへ増加したが、従来法群は0.67mmにすぎず、有意差が見られた(p<0.0001)。治療後の尿道厚の変化は両群で同等であった。フォローアップ期間3年の時点においても、自家細胞注入法による重篤な有害事象や瘢痕の報告はなく、術後の有効性に変化は見られないという。Strasser氏は、「自家細胞の経尿道的注入法を尿失禁の標準的治療法として確立するには、多くの症例を対象とした長期にわたるプロスペクティブな多施設共同比較試験を実施する必要がある」としている。(菅野 守:医学ライター)

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妊婦のSSRI使用と先天異常リスク増加に関連性は見られなかった

6月中旬に厚労省から「若年成人で自殺行動リスクが高くなる恐れがある」と注意喚起が促されたパキシル(塩酸パロキセチン水和物)を含む、うつ病治療薬として最も頻繁に使用されるSSRIの妊婦服用リスクに関する報告が、NEJM誌6月28日号に寄せられた。先天異常9,622例の母親に電話インタビュー妊娠可能な年齢にある女性の大うつ病の有病率はピーク時で10~25%に達するが、SSRIの妊婦服用に関する安全性情報は乏しい。カナダ、バンクーバーにあるBritish Columbia大学のSura Alwan氏らは、妊婦のSSRIをめぐって懸念が示されている先天異常、特に先天性心欠損との関連性について調査を行った。研究対象はNational Birth Defects Prevention Study(全米先天異常予防研究:NBDPS)から、重い先天異常を有する乳児9,622例のデータを使用。症例児は8つの州で奇形児サーベイランスシステムを通じて確認された1997年から2002年の間の誕生児。対照群として同じ地区からランダムに4,092例が選択された。各母親に電話で妊娠前後の服薬を含む危険因子に曝された可能性に関してインタビューを行い、SSRI治療[プロザック(フルオキセチン)、 ゾロフト(セルトラリン)、パキシル(塩酸パロキセチン水和物)]が受胎前1ヵ月から受胎3ヵ月後の間に行われていた場合をSSRI曝露と定義した。先天異常の分類は26のカテゴリーとサブカテゴリーで行った。先天性心欠損ほか大半の先天異常との関連性に有意差見られず結果は、無脳症[214例、曝露9例、補正オッズ比2.4(95%信頼区間1.1-5.1)]、頭蓋骨癒合症[432例、曝露24例、補正オッズ比2.5(95%信頼区間1.5-4.0)]、臍ヘルニア[181例、曝露11例、補正オッズ比2.8(95%信頼区間1.3-5.7)]の3種類で関連性が見られたが、先天性心欠損ほか大半の先天異常については有意な関連性は見られなかった。また、前記3種類についても絶対危険度は低く、Alwan氏らは「これらについてはさらなる研究で確認をする必要がある」と提言した。なおNEJM同日号で、Carol Louik氏らによる同様のSlone Epidemiology Center先天異常研究を対照とした研究報告が寄せられている。合わせて参照するとより興味深いだろう。(武藤まき:医療ライター)

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99%の外科医が研修中に針刺し事故を経験

研修中の外科医が針刺し事故を被るリスクは高く、事故の報告を適切に行うことが、早めの予防処置あるいは治療開始に重要なステップとなる。米国ジョンズ・ホプキンズ大学のMartin A. Makary氏らは、その実態調査を行った。NEJM誌6月28日号からの報告。アンケート回答率は95%調査は17の医療センターで研修中の外科医に、これまでに被った針刺し事故について、回答用紙を郵送で返送してもらう方法で行われた。調査内容は、最新の事故が被雇用者保健サービス(employee health service)に報告されていたかどうか、およびハイリスク患者(すなわちHIV・B型肝炎・C型肝炎ウイルスの感染既往歴がある、あるいは注射薬使用のいずれか1つに該当する)に関与したかどうかについて。また、事故原因と周囲の状況についても調べられた。回答率は95%だった。卒後年数が増すほど事故件数が増加回答者699人のうち582人(83%)が針刺し事故を被っていた。また平均事故件数が、卒後1年目では1.5件、2年目では3.7件、3年目では4.1件、5年目では7.7件と、卒後年数(PGY)が増すほど増える傾向にあることが明らかとなった。研修期間の最終年までに研修医の99%が事故を被り、そのうち53%はハイリスク患者に関与するものだった。半数以上が未報告一方、報告状況については、最新の578件中297件(51%)が被雇用者保健サービスに報告されていなかった。その理由として最も多かったのが「時間がない」(42%)。未報告の事故について本人以外で誰が知っているかについては、最も多かったのは指導医(51%)、最も少なかったのは配偶者や恋人などの身内(13%)だった。以上の結果を踏まえMakary氏らは、「針刺し事故は研修中の外科医の間でごく普通のことで、報告されていないことが多い。予防・報告ストラテジーを改善することが、外科医療提供者の職業安全を向上するために必要である」とした。(武藤まき:医療ライター)

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肥満児への体重管理プログラム介入の成果

米国では小児肥満が「蔓延」している状況にあり、2型糖尿病を含む共存症の原因となっている。肥満児の大半は肥満したまま成人になるため、若年で重篤な代謝性疾患を来すことも懸念される。この重大な健康問題に対処するため効果的な小児科学的介入が欠かせなくなっている。 エール大学医学部臨床研究センターのMary Savoye氏らは、肥満児に対する体重管理プログラムの介入を集中的に行った結果、体重、BMI、体脂肪、HOMA-IRなどで改善効果が得られたとする発表を行った。JAMA誌6月27日号からの報告。 体重管理プログラムと臨床的カウンセリングを無作為割り付けMary Savoye氏らは、体重管理プログラム(Bright Bodies)介入が肥満児の体脂肪蓄積と代謝性疾患に及ぼす影響を、対照群と比較しながら無作為化臨床試験を行った。参加者の募集と追跡調査はコネチカット州ニューヘーヴン市にあるエール小児肥満クリニックが担当、運動プログラムには日本製のダンスゲームが使われた。対象は、8歳から16歳までの様々な人種から、年齢・性別でBMI値が 95パーセンタイル値以上の者が選ばれ、体重管理群と対照群に割り付けられた。トータルで135例(60%)が6ヵ月間、119例(53%)が12ヵ月間の介入・追跡調査を受けた。介入は、体重管理群(n=105)は運動、栄養改善と行動変容を目的とした家族ぐるみの集中的なプログラムを、対照群(n=69)は従来型の臨床的体重管理カウンセリングを受けた。最初の6ヵ月は隔週で、その後は隔月に実施された。12ヵ月継続で体成分、インスリン抵抗性など改善の有効性を確認体重管理群と対照群の体重、BMI、体脂肪、HOMA-IRの変化を12ヵ月時点で測定した結果は次の通りで(平均値、[95%信頼区間])、Savoye氏らは、「Bright Bodies体重管理プログラムを12ヵ月継続した肥満児で、体成分やインスリン抵抗性の改善効果が得られた」と報告した。・体重(+0.3kg[-1.4~2.0]対+7.7kg[5.3~10.0])・BMI(-1.7[-2.3~-1.1]対+1.6[0.8~2.3])・体脂肪(-3.7kg[5.4~-2.1]対+5.5kg[3.2~7.8])・HOMA-IR(-1.52[-1.93~-1.01]対+0.90[-0.07~2.05])(朝田哲明:医療ライター)

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30年間にわたる超早産児の脳性麻痺出現率の変化

超早産児においては極めて高率で脳性麻痺(CP)が見られることは報告されてきたが、公表されているCP有病率は、出生年代が異なるさまざまな臨床現場からの報告で、その点での比較に限界が指摘されていた。カナダ・アルバータ大学のCharlene M. T. Robertson氏らは、30年間にわたる超早産児のCP有病率の変化を、域内人口動態および在胎月齢に着目して評価を試みた。JAMA誌6月27日号に掲載。域内人口動態に基づく前向き縦断アウトカム研究を実施カナダ・アルバータ州北部では、1974年から2003年までの30年間に、在胎齢20~27週で出生時体重500~1249gの超早産児2,318例の生産があった。そのうち1,437例(62%)は2歳までに死亡、23例(1%)は追跡不能、858例(37%)が神経発達面での集学的評価を受けている。そこで、域内人口動態をベースとしたCP有病率を主要評価項目とし、CP有病率の経年変化の評価を、スプライン平滑化ロジスティック回帰分析で行った。生存率上昇とCP有病率の関連性に疑問を提示生存2歳児858例のうち122例(14.2%)がCPで、診断は3歳あるいはそれ以上の年齢になってから確定されていた。在胎月齢20~25週グループでは、2年生存率は4%から31%まで向上した(P<0.001)が、生産1000対CP有病率は1974-1976年から1992-1994年にかけては0から110まで単調に増加し(P<0.001)、その後2001-2003年に22に減少(P<0.001)していた。一方、在胎月齢26~27週グループの2年生存率は23%から75-80%の間で増加し(P<0.001)、CP有病率も1992-1994年まで15~155まで単調に増加(P<0.001)、その後2001-2003年には16に減少した(P<0.001)。2001-2003年に生まれた全生存例のCP有病率は生産1000対19であった。直近の10年間における在胎月齢20~27週、出生時体重500~1249gの超早産児におけるCP有病率は、確実な減少傾向を示しており、また死亡率も1992-1994年をピークに安定もしくは減少に転じていた。これらからRobertson氏らは、低体重児の生存率上昇とCP有病率を結びつけた従来の報告には限界があり、NICUにおける積極的な治療の功罪を踏まえた新生児学の進展など重要なファクターを見落としている可能性があると注意を促している。(朝田哲明:医療ライター)

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