346.
60歳以上の高齢者に対する呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価RSV融合前Fタンパク(RSVpreF)ワクチン接種は、同ワクチンを接種しなかった場合と比較し、RSV関連呼吸器疾患による入院が減少したことが示された。デンマーク・Copenhagen University HospitalのMats C. Hojbjerg Lassen氏らが、研究者主導のプラグマティックな第IV相無作為化非盲検並行群間比較試験の結果を報告した。RSVは、高齢者において重篤な疾患を引き起こす可能性がある。RSVpreFは、RSV関連呼吸器疾患を予防することが示されているが、入院に関連するアウトカムへの有効性に関する無作為化試験のデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。デンマークの60歳以上、約13万例をRSVpreFワクチン接種群と未接種群に無作為化 研究グループは、2024~25年冬季シーズンにデンマーク在住で市民登録番号を有する60歳以上の高齢者を募集し、参加者を1対1の割合でRSVpreFワクチン接種群(RSVpreF群、単回筋肉内投与)またはワクチン未接種群(対照群)に無作為に割り付け追跡評価した。 ベースラインデータおよびアウトカムデータは、デンマーク登録番号を介して各種の全国医療レジストリーから収集した。追跡調査期間は、初回試験来院予定日(接種日の変更にかかわらず)の14日後から2025年5月31日までとした。 主要エンドポイントはRSV関連呼吸器疾患による入院、主な副次エンドポイントはRSV関連下気道疾患による入院、およびあらゆる原因による呼吸器疾患による入院であった。解析はITT集団を対象とし、主要エンドポイントおよびRSV関連の副次エンドポイントの成功基準は「ワクチン有効率>20%」と事前に規定した。 2024年11月18日~12月28日に、本試験に招待された139万9,220例のうち13万1,379例(60歳以上のデンマーク人口の約8.6%)が無作為化され、このうち13万1,276例がITT集団に組み込まれた。RSV関連呼吸器疾患による入院の発生率は0.11 vs.0.66、有効率は83.3% 追跡調査期間中のRSV関連呼吸器疾患による入院はRSVpreF群で6万5,642例中3例、対照群で6万5,634例中18例に発生し、発生率は1,000人年当たり0.11 vs.0.66であった。ワクチン有効率は83.3%(95%信頼区間[CI]:42.9~96.9)であり、事前に規定された基準(最小有効率>20%)を満たした(p=0.007)。 RSVpreF群では、対照群と比較しRSV関連下気道疾患による入院も少なく(1件vs.12件、ワクチン有効率:91.7%、95%CI:43.7~99.8、最小有効率>20%のp=0.009)、あらゆる原因による呼吸器疾患による入院も少なかった(284件vs.335件、有効率:15.2%、95%CI:0.5~27.9、有効率>0%のp=0.04)。 重篤な有害事象の発現率は、RSVpreF群2.1%(1,341/6万3,045例)、対照群2.4%(1,669/6万8,326例)であり、両群で同程度であった。