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英国で進行中の患者治療記録のIT共有プロジェクトに対する人々の反応は?

英国では、NHS(National Health Service)のスタッフや患者が、電子化した患者の治療記録サマリーを共有できるよう大規模なITプロジェクトが進められている。SCR(summary care record)と呼ばれるサマリーは、一般開業医の診療記録から抽出・電子化されたもので、患者もHealthSpaceというWEBサイトを通じてアクセスすることができる。治療効率のアップ、それに伴う治療コスト削減が期待される本システムだが、一方で実用性、システムにかかるコスト、個人情報管理などに疑念を呈する声も絶えない。そこでロンドン大学のTrisha Greenhalgh氏らが、患者、スタッフが本システムをどう見ているのか質的研究を行った。BMJ誌2008年6月7日号(オンライン版2008年5月29日号)掲載より。システムを知っているか、記録の共有についてどう思うかを質問研究調査は103人への個別インタビューと7つのフォーカスグループ参加者に対して行われた。参加者は、プロジェクト初期からSCRやHealthSpaceに関わっている3つのプライマリ・ケア集団(生活レベルは3つとも同一)を通じて集められた。個別インタビュー対象者は、一般外科医院から、センター病院を時間外および入院、救急利用したことがある者が集められた。フォーカスグループ参加者は任意集団だが、HIV患者やメンタルヘルスケアサービス利用者、若者、高齢者、ドラッグ・リハビリ・プログラム参加者など社会的弱者と言われるような人々や英語が満足に話せない人々だった。それら参加者に、SCRとHealthSpaceを知っているか、電子媒体によるサマリー共有についてどう思うか意見を聞いた。認知度は低いがシステム自体には肯定的結果は、大半の人がSCRとHealthSpaceの存在を知らず、そこから情報をとれることを想起できなかった。またSCRに対する意見から利点と欠点があることがわかったが、それは個人的経験に基づくものであることが明らかとなった。意見を左右した主要な因子は、疾患の性質(特に緊急性が高い医療ニーズを必要とするかどうか)、ヘルスケアシステムやサーベイにより受けたこれまでの経験、健康教養レベル、主要なヘルスケアチームあるいはNHSそのものに対する信頼度などが挙げられた。全体として、薬害や医療ミス被害者が、社会的弱者と呼ばれる人々よりSCRに対して肯定的だった。SCRに関する誤解は、共通していた。特にそれがどんなデータを含んでいるのか、そして、誰がそれにアクセスできるかに関する混乱があった。大半の人は医療データを記録するかどうか、HealthSpaceを介して自分たちのSCRにアクセスするかどうかということには興味がない。しかし、持病を有する人々のセルフ・マネジメントおよび治療に、多少なりとも役立つ可能性もうかがえた。Greenhalgh氏は、「大規模な情報プログラムにもかかわらず、共有電子記録政策に関する公式見解は現時点は不明なままである。しかし、人々はこれを非常にポジティブに展開していくと見なしている」と結論。また、SCRにアクセスしやすくするためSCRデータ更新者や利用者が再訪問する際は「暗黙の同意」で済むようなシステム改善の必要性も提言している。 

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原発性高アルドステロン症、高血圧患者における有病率はそれほど高くない

治療抵抗性の高血圧患者では原発性高アルドステロン症の有病率が高いが、現在報告されているほどではなく、それゆえ高血圧患者一般の有病率も低いと推察されることが、20年以上をかけて集積した症例のレトロスペクティブな観察研究で明らかとなった。最近の報告では、一般的な高血圧患者の約10%が原発性高アルドステロン症(Conn症候群)に罹患しているとされるが、この高い有病率については疑問の声が上がっていた。アリストテレス大学Hippokration病院(ギリシャ、セサロニキ)のStella Douma氏らがLancet誌2008年6月7日号で報告した。ARRだけでなく、スピロノラクトン治療に対して反応した場合に確定診断研究グループは、治療抵抗性高血圧患者の大規模集団において原発性高アルドステロン症の有病率の評価を行った。外来通院中の治療抵抗性高血圧患者(利尿薬を含む3剤併用レジメンによる治療を行っても>140/90mmHgを示す患者)を対象に、血清アルドステロン濃度および血漿レニン活性を測定し、その比を算出した。陽性例[アルドステロン/レニン活性比(ARR)>65.16、アルドステロン濃度>416pmol/L]に対し、さらに塩分抑制検査(生理食塩水とフルドロコルチゾンを静注)を行い、原発性高アルドステロン症の診断はスピロノラクトン治療に対して反応した場合に確定診断とした。治療抵抗性高血圧における有病率は11.3%20年以上をかけて集積した治療抵抗性高血圧の1,616例について解析した。338例(20.9%)がARR>65.16、アルドステロン濃度>416 pmol/Lを満たした。塩分抑制検査に基づいて、183例(11.3%)が原発性高アルドステロン症と診断され、スピロノラクトン治療に反応したことから確定診断とした。このうち低カリウム血症が見られたのは83例(45.6%)のみであった。Douma氏は、「治療抵抗性高血圧患者では原発性高アルドステロン症の有病率が高いが、実質的に5つの既報のデータ(14~23%)よりは低い。それゆえ、一般の高血圧患者の有病率はずっと低いと推察される」と結論している。また、同氏は「5つの既報の研究の症例数は合計で418例にすぎない。これらの試験とわれわれのデータのプール解析では有病率は12.3%であり、試験間の不均一性を考慮した場合でも15.75%であった。したがって、一般的な高血圧患者における原発性高アルドステロン症のまん延を示唆する考え方は支持されない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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メタボの診断基準では心血管疾患や糖尿病を予測できない?

メタボリックシンドローム(MetS)とその構成因子は高齢者の2型糖尿病とは相関するものの、血管リスクとの関連はないか、あるいは弱いため、心血管疾患(CVD)と糖尿病のリスクを同時に予測するMetSの判定規準を策定する試みは有益でないことが、2つのプロスペクティブ試験の予後データの解析から明らかとなった。MetS診断基準はインスリン抵抗性と血管疾患の関連をよりよく理解できるように策定されたが、その臨床的な役割には疑問の声もあるという。英国Glasgow大学医学部のNaveed Sattar氏らによる報告で、Lancet誌2008年6月7日号(オンライン版2008年5月22日号)に掲載された。PROSPERのデータを解析、BRHSで裏付け研究グループは、MetSおよびその5つの構成因子[BMIあるいはウエスト周囲長、トリグリセライド(TG)、HDLコレステロール、空腹時血糖、血圧]が高齢者におけるCVDと糖尿病のリスクをどの程度まで予測できるかを調査した。MetSは、National Cholesterol Education Program第3報の判定規準に基づいて定義した。Prospective Study of Pravastatin in the Elderly at Risk(PROSPER)に登録された70~82歳の非糖尿病患者4,612例において、MetSおよびその構成因子とCVDおよび2型糖尿病のイベント発生リスクの関連について解析した。次いで、得られた知見について、60~79歳の非糖尿病患者2,737例が参加したもうひとつのプロスペクティブ試験British Regional Heart Study(BRHS)のデータを用いて検証した。個々の疾患の至適なリスクアルゴリズムの確立を目指すべきPROSPERでは、3.2年間に772例がCVDをきたし、287例が糖尿病を発症した。MetSは、ベースライン時に疾患に罹患していない登録者のCVDリスクを上昇させなかったが(ハザード比:1.07 、95%信頼区間:0.86~1.32)、糖尿病のリスクは上昇させた(4.41、3.33~5.84)。糖尿病では、MetSのすべての構成因子のリスクが上昇したが、とくに空腹時血糖の異常が顕著であった(18.4、13.9~24.5)。CVDに罹患している参加者においても、同様の結果が得られた。BRHSでは、7年間に440例がCVDを、105例が糖尿病を発症した。MetSはCVDリスクを中等度にしか上昇させなかったが(相対リスク:1.27、1.04~1.56)、糖尿病リスクは顕著に上昇させた(7.47、4.90~11.46)。両試験ともに、BMIあるいはウエスト周囲長、TG、血糖のカットオフ値はCVDリスクと相関しなかったが、5つの構成因子はいずれも糖尿病の新規発症との関連を示した。Sattar氏は、「MetSとその構成因子は高齢者の2型糖尿病のリスクを上昇させるが、血管リスクとの関連はないか、あるいは弱いため、CVDと糖尿病のリスクを同時に予測するMetSの判定規準を策定する試みは有益でない」と結論し、「従来どおり、個々の疾患の至適なリスクアルゴリズムの確立に臨床的関心を向けるべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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小児の外傷性脳損傷後の低体温療法は死亡率上昇の危険性

低体温療法は外傷性脳損傷後の生存率と神経病学的転帰を改善することが、動物モデルでは知られているが、人間の子どもでは?これまで効果が明らかにされていなかった、重篤な外傷性脳損傷を受けた小児に対する低体温治療の、神経病学的転帰と死亡率についてカナダ・トロント小児病院のJames S. Hutchison氏らが調査を実施。「かえって死亡率を上昇させる危険性がある」と警告する報告を寄せた。NEJM誌2008年6月5日号より。小児225例を32.5℃ 24時間と37.0℃の群に割り付け本研究に参加したのは小児外傷性脳損傷低体温療法の研究者およびカナダ救命救急治験グループのメンバー。カナダ、アメリカ、イギリスの17医療センターによる多施設共同国際試験で、重篤な外傷性脳損傷を受けた小児225例を、受傷後8時間以内に低体温療法(32.5℃で24時間)を始める群と、正常体温(37.0℃)で治療する群に無作為に割り付け試験された。主要転帰は、Pediatric Cerebral Performance Category score(小児脳機能分類スコア)に基づき6ヵ月時点で評価した転帰不良(重度障害、遷延性植物状態、死亡)の小児の割合。死亡、低血圧、投薬とも低体温群が上回る平均到達体温は、低体温治療群33.1±1.2℃ 、正常体温治療群36.9±0.5℃ だった。6ヵ月時点で転帰不良と評価されたのは、低体温治療群31%に対して正常体温治療群22%だった(相対リスク:1.41、 相対リスク:0.89~2.22、 P=0.14)。このうち死亡は低体温治療群23例(21%)に対して正常体温治療群14例(12%)(相対リスク:1.40、相対リスク:0.90~2.27、P=0.06)。低体温治療群は復温期間中に正常体温治療群より低血圧症が多発し(P=0.047)、血管作用薬の投与も多く必要とした(P

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中国製原料使用のヘパリンが毒ヘパリンであるEBM

年明けの日本では毒ギョーザが話題となっていたが、米国では透析患者から相次いでいた静脈注射用ヘパリン投与後のアナフィラキシー様反応の報告が大きな関心事となっていた。死亡例も相次いだ本件に関して米国疾病管理センターは共通の症例報告からBaxter Healthcare社のヘパリン製剤を特定。1月17日にリコール開始、2月28日に回収を終了する。しかし3月6日、ドイツから他社製品での事例が報告。これを受け米食品医薬品局(FDA)はヘパリンの全製造業者に汚染物質混入の検査を命じた。そして混入が明らかになったのが、過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)。本論は、これまで立証されていなかったOSCSと臨床有害事象との生物学的関連を目的に、Momenta Pharmaceuticals社のTakashi Kei Kishimoto氏らが、FDAの協力を得て行った試験結果。NEJMオンライン版2008年4月23日に速報され、本誌では2008年6月5日号にて掲載された。ブタ体内で有害事象の再現実験試験はFDAから、有害事象との関連が疑われたヘパリン製剤ロットと比較対照用のロットの提供を受けて実施された。OSCSの有無、および汚染物質と観察された臨床有害事象(低血圧、顔面浮腫、頻脈、蕁麻疹、吐き気など)とを結び付ける可能性がある生物活性について盲検下でスクリーニング。in vitroで接触系活性化と補体カスケードを分析。さらにブタの生体内でOSCSが問題の臨床症状を再現するかどうかin vivoの試験も行われた。ブタもヒトもOSCSに同様の反応示す未分画へパリンの汚染ロットで見つかったOSCSは、標準試料の合成OSCSと同様に直接、ヒト血漿中のキニンカリクレイン経路を活性化したが、これは強力な血管作用を持つブラジキニン産生につながる可能性を示唆するものでもあった。加えてOSCSは、補体系タンパク由来の強力なアナフィラトキシンであるC3a、C5aの産生も誘導した。意外なことに、この2つの経路の活性化は連鎖しており、第XII因子の液相活性化に依存していた。また、さまざまな種の血漿サンプルのスクリーニングによって、ブタとヒトのOSCSの作用に対する感受性は同様なことがわかった。ブタの静脈に投与したOSCS汚染ヘパリンと合成OSCSは、いずれもカリクレイン活性化に関連する低血圧を引き起こした。これらからKishimoto氏は「本試験結果は、疑惑のヘパリン・ロットに混入しているOSCSが、観察された有害事象と生物学的な関連のあることを示す科学的根拠を提供するものだ」と結論。また、カリクレインのアミド溶解性の活性を評価する分析試験を行い、ヘパリンのOSCSや、その他の接触系を活性化する高度の過硫酸化多糖類の混入物質をスクリーニングすることで、ヘパリン供給経路を保護するための分析試験を補足できるとも報告した。(武藤まき:医療ライター)

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慢性心不全患者は余命を過大評価する傾向がある

長期生存が難しい慢性心不全患者の余命について、患者自身がどのように予想しているかは検討されてこなかった。そこで、心不全患者の生存に関する予想を定量化し、患者の予想をモデル予測と比較、さらに患者自身の予想と症例モデルによる余命予測の食い違いに関連する因子を検証する研究を、米国・デューク大学メディカルセンター臨床研究所のLarry A. Allen氏らが行った。結果、「患者は自分たちの余命を、モデル予測よりかなり過大評価する傾向がある」と報告している。JAMA誌2008年6月4日号より。122例を3年間追跡調査し患者予想の割合を数値化デューク大学が2004年7~12月に「Heart Failure Disease Management Program」で行った、患者に対する前向きの面接調査結果を、2008年2月に追跡調査した。コホートは患者122例(平均年齢62歳、アフリカ系アメリカ人47%、NYHA分類III度-IV度の患者42%)で構成されていた。患者予想余命は視覚的アナログ・スケールを用いて得た。モデル予測余命は、「Seattle Heart Failure Model」で算出。年齢と性別のみからの保険統計予測余命は、生命表から算出した。実際の生存期間は、診療記録のレビューと社会保障死亡記録を検索して確定した。主要評価項目は、モデル予測余命に対する患者予想余命の割合(LER)とした。患者はモデル予測より余命を3年長く予想結果、患者はおおむね、自らの余命をモデル予測余命よりも過大評価していることがわかった。患者予想余命の中央値は13.0年、モデル予測余命は10.0年。LERの中央値は1.4(四分位数間領域:0.8~2.5)で、LERが高くなる最も重要な予測因子は、若年齢、NYHA分類の進行、低い駆出率、抑うつ症状の少ないことであった。なお当初コホートの29%は、中央値3.1年の追跡期間中に死亡している。LERの高率と生存期間改善には何の関連性も見いだせなかった(LER一致と比較した過大評価の調整ハザード比:1.05、95%信頼区間:0.46~2.42)。Allen氏は「心不全の外来患者はモデル予測と比べて自分たちの余命を、かなり過大評価する傾向があった。生存期間に違いが生じることは、先進治療の方向と終末期の生き方に関する意思決定に影響を及ぼすため、こうした余命予測の不一致の原因は、さらに検証されなければならない」とまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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糖尿病臨床試験の多くは患者にとって重要な転帰と無関係

米国・メイヨー・クリニック医科大学(ミネソタ州)のGunjan Y. Gandhi氏らは、糖尿病治療の安全性や有効性への懸念が消えない理由の一つとして、糖尿病に関する無作為化対照臨床試験(randomized clinical trial=RCT)が、患者にとって重要な転帰(patient-important outcomes)、すなわち死あるいはQOL(疾患状態、疼痛、身体機能)を検証してこなかったことにあると指摘。現在進行中の多数の試験を検証し、「患者にとって重要な転帰を評価しているものは少ない」と報告した。JAMA誌2008年6月4日号より。データベースに登録された臨床研究436件を検証本研究の目的は、現在進行中か今後予定されている糖尿病RCTの範囲・限界を系統的に検証し、患者にとって重要な転帰が含まれているかどうかを確認すること。2007年11月10日時点で、主要なRCTが登録されている臨床研究データベースのClinicalTrials.gov(http://www.clinicaltrials.gov)、International Standard Randomized Controlled Trial Number Register(http://isrctn.org)、Australian New Zealand Clinical Trials Registry(http://www.anzctr.org.au)を検索した。条件に適合した第2相~第4相のRCT は2,019件中1,054件。無作為に50%(527件)のサンプルをとり、登録が義務化された2004年以降の登録研究436件を選定した。それら対象試験で測定される転帰と、それが(1)生理学的転帰、(2)代替転帰(患者にとって重要な転帰のリスク上昇を反映すると考えられる)、(3)患者にとって重要な転帰、のいずれに該当するかを決定した。「患者に重要」18%、「生理学的」16%、「代替」61%対象試験436件のうち24件(6%)は被験者登録をしていなかったが、109件(25%)は積極的に登録を行い、303件(69%)は登録を完了していた。試験の主要転帰が、患者にとって重要な転帰だったのは78件(18%、95%信頼区間:14~22%)で、生理学的転帰またはラボレベルの評価が69件(16%、13~20%)、代替転帰は268件(61%、57~66%)だった。患者にとって重要な転帰が主要またはそれに次ぐ転帰として報告されていたのは201件(46%、41~51%)。多変量解析の結果、患者100例以上の大規模試験(オッズ比:1.10、95%信頼区間:1.02~1.19)と30日以上の長期試験(1.03、1.01~1.06)は、患者にとって重要な転帰を評価する傾向があると言えたが、パラレルデザインのRCT(0.15、0.05~0.44)、2型糖尿病試験(0.23、0.09~0.61)はあまり測定されていない。この結果からGandhi氏らは「現在、登録され進行中の糖尿病RCTのうち、患者にとって重要な転帰を含んでいる試験は18%にすぎない」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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ゾメタ、早期乳がんの女性に対し無病生存・無再発生存を有意に改善

ノバルティスファーマ株式会社は、ゾメタ(ゾレドロン酸水和物)が閉経前のホルモン感受性早期乳がん患者に対して、有意な再発抑制効果を示すことが示唆されたと発表した。今回の研究から、術後のホルモン療法にゾメタを追加投与した場合、ホルモン療法単独の場合と比較して、がんの再発リスクが36%減少することが判明したという。この結果は、米国イリノイ州シカゴで開催された第44回米国臨床腫瘍学会(ASCO2008)で、オーストリアの乳房・結腸直腸がん研究グループ(Austrian Breast & Colorectal Cancer Study Group:ABCSG)の医師らが発表したもの。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2008/pr20080606_02.html

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直接的レニン阻害剤アリスキレン、2型糖尿病で腎保護作用示す

ノバルティスファーマ株式会社は、直接的レニン阻害剤アリスキレンが高血圧と腎障害を合併した2型糖尿病患者で腎保護作用を示すことを証明したと発表した。AVOID試験の結果によると、ARBロサルタンにアリスキレンを追加併用することで、高血圧と腎障害を合併している2型糖尿病の患者の尿中アルブミンを20%減少させた、という。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2008/pr20080606_03.html

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HPVワクチンのガーダシル、欧州にて膣部前がん病変の適応追加の推奨を受ける 

万有製薬株式会社は、子宮頸がんを予防する4価HPVワクチンGARDASILが、欧州医薬品庁の医薬品委員会より、腟部前がん病変の適応追加について推奨を受けたと発表した。GARDASILは米国など100カ国以上で承認されており、多くの国で接種の義務化や接種費用の公費助成が行われている。多くの国での現在の適応は、9~26歳の女性に対するHPV6,11,16,18型に起因する子宮頸がん、前がん病変、異形成、尖圭コンジローマの予防。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/merck_0606.html

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ひょっとして抗うつ薬のほうが禁煙補助薬より有効かも?

世界中で一般的に用いられている禁煙治療の薬剤は3つある。1つは経口禁煙補助薬バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス;2008年1月承認)、あとの2つは抗うつ薬で、bupropionとノルトリプチリン(ノリトレン)である。このうちノルトリプチリンをめぐる試験結果で、禁煙補助剤+ノルトリプチリンが、禁煙補助剤単独よりも有効とする報告があり、「それが事実なら、禁煙補助剤+ノルトリプチリンはバレニクリンよりも有効では」と、英国バーミンガム大学プライマリ・ケア/公衆衛生部門のPaul Aveyard氏らが、最適治療選択を目的とするプラセボ対照無作為化試験を実施した。BMJ誌2008年5月31日号(オンライン版2008年4月27日号)掲載より。禁煙補助剤+ノルトリプチリンをプラセボ対照無作為化試験試験は英国の国民健康保険NHS(National Health Service)対象の禁煙治療クリニックで行われた。1日10本以上喫煙する18歳以上の禁煙希望者を試験適格者として参加者を募集。ノルトリプチリン・禁煙補助剤禁忌や他の抗うつ薬を服用している者を除外し対象として901例が選定された。参加者は無作為で禁煙補助剤+ノルトリプチリン(445例)もしくはプラセボ服用群(456例)に割り付けられた。禁煙補助剤の選択は対象者に行ってもらい、服薬を厳守してもらえるよう書面での情報提供や看護師による電話相談サポートを提供して実施。服薬は、禁煙開始日の1~2週前から開始。最初の3日間は25mg/日、続く4日は50mg/日、以後最大投与量として75mg/日を最大6週間、その後1週間減量投与し、試験トータル8週間として行われた。主要評価項目は6ヵ月時点で禁煙が続いているか、副次評価項目は12ヵ月時点で禁煙が続いているか、薬物の使用状況、副作用重症度評価、ニコチン離脱症状と喫煙衝動。併用療法の有効性確認できず6ヵ月時点で禁煙できていたのは、ノルトリプチリン群72例(16%)、プラセボ群55例(12%)、相対リスクは1.34(95%信頼区間:0.97~1.86)だった。 12ヵ月時点では、ノルトリプチリン群49例(11%)、プラセボ群40例(9%)で、相対リスクは1.87(0.84~1.26)。禁煙開始日以降に禁煙補助剤+薬剤(両群中央値75mg/日)を行っていたのは、ノルトリプチリン群337例(79%)、プラセボ群325例(75%)で、服薬の割合はプラセボ群のほうがノルトリプチリン群よりも低かった。副作用に関しては、口渇や便秘を訴えたのはノルトリプチリン群のほうがプラセボ群よりも顕著に高かった。ただし発汗や薬物効果への疑念を呈した割合については僅差だった。喫煙衝動は両群ともほぼ変わらない。ただしノルトリプチリン群のほうが抑うつ感や不安が抑えられていたが、離脱症状のスコアは全体として相違はなかった。これらからAveyard氏は、「ノルトリプチリン、禁煙補助剤はいずれもそれぞれに禁煙治療に効果的である。しかし組み合わせての併用療法は単独療法ほどの効果はなく、併用療法が単独療法より効果的であるとのエビデンスは得られなかった」と結論づけた。

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静脈血栓塞栓症リスクを経口エストロゲンは増大するが経皮エストロゲンは安全

ホルモン補充療法は静脈血栓塞栓症のリスクを増大するのか。フランス国立保健医学研究所(INSERM)心血管疫学部門のMarianne Canonico氏らによるシステマティックレビュー&メタ解析が行われ、「経口エストロゲンはリスクを増大する。経皮エストロゲンは安全なようだ」と報告された。BMJ誌2008年5月31日号(オンライン版2008年5月20日号)掲載より。経口エストロゲンはリスクを増大、しかも服薬初期ほどリスク高Medlineから選定されたレビュー対象は8つの観察研究と9つの無作為化試験。いずれも静脈血栓塞栓症が報告されたホルモン補充療法に関するスタディである。解析はχ二乗検定、I二乗検定を用いて行われた。静脈血栓塞栓症の全リスクは、固定効果モデルもしくは変量効果モデルで評価された。まず8つの観察研究のメタ解析では、経口エストロゲンはリスクを増大するが、経皮エストロゲンは増大しないとの結果が得られた。エストロゲン非服用者との比較による、静脈血栓塞栓症の初回発症オッズ比は、経口エストロゲン服用中の者の場合は2.5 (95%信頼区間:1.9~3.4)に対し、経皮エストロゲン服用中の者は1.2(0.9~1.7)だった。また現在は経口エストロゲンを服用していない者のリスクを一度も服用したことのない者のリスクと比較した場合、程度は同じではなかった。経口エストロゲン服用中の女性の静脈血栓塞栓症リスクは、服薬期間が1年以上の場合のオッズ比は2.1(1.3~3.8)、これに対して最初の1年は4.0(2.9~5.7)で、より高かった(P

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痛風性関節炎に対するプレドニゾロンの効果はナプロキセンと同等

痛風性関節炎の導入治療としての経口プレドニゾロンとナプロキセンの効果は同等であることが、オランダRadboud大学Nijmegen医療センター一般診療科のHein JEM Janssens氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。痛風性関節炎に使用されるナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンには、消化管、腎、心血管系に対する有害事象が見られる。その一方で、全身コルチコステロイド療法が有用な治療選択肢となる可能性が指摘されていた。Lancet誌2008年5月31日号掲載の報告。2剤の同等性を検証する二重盲検無作為化試験研究グループは、プライマリ・ケアでの単関節痛風の治療におけるプレドニゾロンとナプロキセンの効果の同等性を検証する目的で二重盲検無作為化試験を行った。尿酸一ナトリウム結晶の発現が確認された痛風患者120例が、プレドニゾロン群(35mg/日、5日間投与、60例)あるいはナプロキセン群(500mg×2回/日、5日間投与、60例)に無作為に割り付けられた。治療法は患者および医師の双方ともに知らされなかった。主要評価項目は100mm視覚アナログスケールで測定された疼痛の程度とした。プレドニゾロンも痛風治療の第一選択薬のひとつとみなすべき両群とも1例ずつが治療を完遂できず、それぞれ59例がper protocol解析の対象となった。90時間後の疼痛スコアはプレドニゾロン群が44.7mm、ナプロキセン群が46.0mm低減し(群間差:1.3mm、95%信頼区間:-9.8~7.1)、両群の効果の同等性が示唆された。疼痛の変化の大きさの差は1.57mmであった(95%信頼区間:-8.65~11.78)。有害事象は両群で類似しており、全般に軽度で3週間のフォローアップで軽快した。Janssens氏は、「痛風性関節炎の導入治療としての経口プレドニゾロンの投与4日後における効果は、NSAIDsであるナプロキセンと同等である」と結論し、「プレドニゾロンは、痛風に対する第一選択の治療法のひとつとみなすべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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乳幼児の予期せぬ突然死、感染症が原因の可能性は低いが…

生後1年以内の乳幼児の予期せぬ突然死(SUDI)は感染症との関連性が低いことが、London大学ユニバーシティ・カレッジGreat Ormond Street小児病院のM A Weber氏らの系統的な症例レビューで明らかとなった。乳幼児突然死[揺りかご死(cot death)]は英国における最も頻度の高い乳幼児の死亡原因であるという。生後1年以内に発生した乳幼児突然死がSUDIと定義されるが、その多くは専門医による剖検でも死因や発症機序は不明なままである。Lancet誌2008年5月31日号掲載の報告。 剖検で得た細菌分離株を用いてSUDIの病因を検証研究グループは、SUDIの原因が感染症であるかを検証するために、1996~2005年に単一の専門施設で実施された突然に予期し得ずに死亡した乳幼児546例(生後7~365日)の剖検結果に関して、レトロスペクティブな系統的症例レビューを行った。SUDI例は、「死因不明」「組織学的に細菌感染のエビデンスがある死因」「非感染性の死因」の3つのカテゴリーに分類した。剖検で得た細菌分離株は、「非病原性」「病原菌群1(特定可能な感染病巣と通常は関連のある微生物)」「病原菌群2(明確な感染病巣はないが敗血症の原因となることが知られる微生物)」に分類した。死因不明のSUDIでは黄色ブドウ球菌、大腸菌が病因の可能性もSUDI 546例のうち、ウイルスあるいはニューモシスティス感染、虚脱および蘇生後の2次的細菌感染の39例が除外された。残り507の剖検例のうち470例(93%)で細菌サンプルが採取された。2,079の細菌サンプルが採取され、そのうち571サンプル(27%)が無菌であった。2,871の分離株が培養陽性で、484株(32%)が単一増殖、1,024株(68%)混合増殖を示した。病因菌群2の細菌検出率は、死因が細菌感染(78/322、24%)や死因不明(440/2,306、19%)の乳幼児のほうが、非感染性の死因(27/243、11%)の乳幼児に比べ有意に高かった(それぞれ、p<0.0001、p=0.001)。死因不明の乳幼児で黄色ブドウ球菌(262/1,628、16%)あるいは大腸菌(93/1,628、6%)が分離された割合は、非感染性の死因の乳幼児における黄色ブドウ球菌(19/211、9%)、大腸菌(3/211、1%)の分離率よりも、それぞれ有意に高かった(それぞれ、p=0.005、p=0.003)。Weber氏は、「SUDI例の死後細菌培養の多くで微生物がみつかったが、ほとんどが死因とは関連がないと推察される」と結論し、「感染病巣のない細菌のなかでも、とくに黄色ブドウ球菌と大腸菌の検出率が高かったが、死因不明のSUDI例ではこれらの細菌が病因の可能性もある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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(第51回日本糖尿病学会年次学術集会から) -2型糖尿病治療の新たな戦略- インクレチン治療(2) DPP-IV阻害薬

 2008年5月21日~24日(土)まで、東京国際フォーラムにおいて、これまでで最多である11,623名が参加した「第51回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:東京大学大学院医学系研究科 門脇 孝氏)」が、開催された。GLP-1の分解を阻害するDPP-IV阻害薬 経口血糖降下薬として利用されたインクレチンGLP-1および現在経口血糖降下薬として研究段階であるGIPは、小腸で栄養素が消化吸収されることにより分泌され、膵β細胞のGLP-1受容体およびGIP受容体に結合し、インスリン分泌を促進させる。しかし、体内の酵素であるDPP-IVにより、すぐに分解され、失活してしまう(半減期は2、3分)。このDPP-IVの作用を阻害することで、GLP-1およびGIPの効果を持続させるのがDPP-IV阻害薬である。すなわち、DPP-IV阻害薬を投与することにより、インスリン分泌促進作用を持つGLP-1およびGIPの分解が抑制され、間接的にインスリン分泌を促進させることになる。わが国で発売が待たれるDPP-IV阻害薬 現在、わが国では、シダグリプチン(万有製薬・小野薬品/既に欧米で使用中)、ビルダグリプチン(ノバルティスファーマ/米国で承認申請中・欧州で既に使用中)ともに承認申請中であり、近い将来、わが国でも使用できるようになる。GLP-1誘導体?DPP-IV阻害薬? 既に海外で多くの2型糖尿病患者に用いられているGLP-1誘導体は、生理的なインスリン分泌促進作用により血糖を低下させるが、それだけではなく、低血糖をきたしにくく、体重を減少させる作用を持つことも明らかになっている。さらに、同じインスリン分泌促進作用を有するSU薬でしばしば問題となる膵β細胞の疲弊がなく、むしろ膵β細胞を回復させることが示唆されている。DPP-IV阻害薬も、生理的なインスリン分泌促進作用、低血糖をきたしにくいという点については同じであるが、体重については、増加はさせないものの、減少させるという作用は、残念ながらない。またDPP-IV阻害薬は、単独投与よりもむしろ、他剤と併用することにより、他の経口血糖降下薬より優れた効果が望めると報告されている。 安全性については、GLP-1誘導体は嘔気や嘔吐が報告されているが、特に重篤となるものでもない。DPP-IV阻害薬は体内の至るところに存在する酵素であるため、その安全性―これらを阻害することで起こり得る全身に及ぼすさまざまな影響については、今後検討する必要があるということである。しかし、GLP-1誘導体は注射剤であり、DPP-IV阻害薬は経口薬であるため、DPP-IV阻害薬はGLP-1誘導体よりも患者に受け入れられやすいかもしれない。インクレチンは日本人で特に有用 大会最終日に行われたシンポジウム「インクレチン治療の将来展望」で、わが国におけるインクレチン療法の第一人者である清野 裕氏(関西電力病院 院長)は、「インクレチン療法は欧米人より、日本人でより効果がある」と述べた。その理由として、日本人では、インスリン分泌能の低下が主な病態となる2型糖尿病が多いこと、そして、増加しているとはいえ、欧米に比べると日本人では、肥満が少ないことを挙げた。実際に、臨床試験において、日本人でより効果的であることが示唆されるデータも蓄積されており、本大会で報告された。 近い将来、わが国でも多くの2型糖尿病患者に使用できるようになるGLP-1誘導体とDPP-IV阻害薬。最終日のシンポジウムでは、これら2種類のどちらを優先して使用すべきかが話題となっていた。海外で既に多くの2型糖尿病患者に使用されているとはいえ、まだまだ世界でのエビデンスも蓄積されつつある段階で、日本人におけるエビデンスも少なく、実際の臨床でどのように使っていけるのか、検討する余地がある。インクレチンは、糖尿病治療を大きく変えると期待されているが、世界中で、糖尿病患者を増やさない取り組みが積極的にされていても、世界中で肥満が爆発的に増え、糖尿病患者も増加の一途をたどっているという現実がある。

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オピオイド誘発性便秘にmethylnaltrexoneは有効

モルヒネなどオピオイド鎮痛薬の治療はなど進行疾患の疼痛緩和に有効な半面、患者を苦しめる副作用として便秘を伴う。本論は、そうしたオピオイド誘発性便秘を改善するために開発されたmethylnaltrexoneの、第III相試験の報告。皮下投与の安全性と効果を検証した米国サンディエゴ・ホスピス・緩和医療研究所のJay Thomas氏らは、「methylnaltrexoneは速やかに排便を誘発し、オピオイドの鎮痛作用への影響もないようだ」としている。NEJM誌2008年5月29日号より。末期患者133例を対象にプラセボ対照試験methylnaltrexoneは末梢のμオピオイド受容体拮抗剤で、血液脳関門を通過しにくいため、中枢神経でのオピオイドの鎮痛効果に影響しないとされている。試験では、オピオイドを2週以上投与されてオピオイド誘発性便秘となり、安定用量オピオイドと応急的な緩下薬服用を3日以上続けても便通のない末期患者133例を、2週間にわたり1日おきにmethylnaltrexone(0.15mg/kg)皮下投与またはプラセボを投与するよう無作為に割り付けた。共通主要転帰は、試験薬の第1回服用後4時間以内の便通(排便)と、初回服用から4回のうち2回以上で4時間以内に便通があったこととした。この段階を完了した患者は、その後3ヵ月の非盲検延長試験に進んだ。初回投与で4時間以内に48%が便通再開第1回服用後4時間以内に便通があったのは、methylnaltrexone群の48%に対してプラセボ群では15%だった。また最初の4回の服用のうち2回以上で、4時間以内に応急的な緩下薬なしで便通があったのは、methylnaltrexone群の52%に対してプラセボ群は8%だった(両群間比較のP

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prucaloprideは重度の慢性便秘に有効で心血管作用も見られない

本論は、重度の慢性便秘に対し開発された選択的高親和性5-hydroxytryptamine4(5-HT4)受容体作動薬prucaloprideの有効性を検証していた、米国・メイヨー・クリニックのMichael Camilleri氏らによる第III相試験の報告。「prucaloprideは腸機能を高め、重度慢性便秘症状を軽減した。心配されていた重大な心血管への影響はなかった」としている。NEJM誌2008年5月29日号より。12週間にわたり620例対象にプラセボ対照試験prucalopride の有効性は、重度の慢性便秘(自発的な完全排便が週2回以下)の患者620例を対象に12週間にわたり検討された。多施設共同無作為化プラセボ対照試験検討並行群間第3相試験。患者は1日1回、プラセボまたはprucalopride 2mgないしprucalopride 4mgを投与。主要有効性エンドポイントは、12週間で、平均して週3回以上の自発的な完全排便があった患者の割合。副次的有効性エンドポイントは、患者記入による日記とアンケートの結果とした。また有害事象と臨床検査数値、心血管作用についてもモニタリングされた。排便回数も重症度の実感も有意に改善週3回以上の自初的な完全排便があった患者の割合は、prucalopride 2mg群では30.9%、prucalopride4mg群は28.4%だったが、プラセボ群は12.0%だった(両群間比較のP

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脳卒中後うつ病予防の効果はescitalopram投与>問題解決療法

脳卒中経験者の半数以上がうつ病となり、それが日常生活動作の回復を妨げ、死亡率増加にも関与していることは、これまで多くの研究で示されている。米国アイオワ大学医学部のRobert G. Robinson氏らは、そうしたうつ病予防に対するSSRIの抗うつ薬escitalopramの効果を、問題解決療法(PST:problem-solving therapy)との比較で無作為化試験。どちらも効果があるが、escitalopram投与のほうが優位と報告した。JAMA誌2008年5月28日号掲載より。脳卒中発症後3ヵ月以内の患者176例を1年間追跡2003年7月9日から2007年10月1日にかけて複数施設から登録された、急性脳卒中後3ヵ月以内のうつ病ではない患者176例を対象に行われた。対象者は、二重盲検によるescitalopram投与群(n=59)およびプラセボ投与群(n=58)、非盲検によるPST群(n=59)の3群に無作為に割り付けられ、12ヵ月間にわたり介入が行われた。主要評価項目は、脳卒中後の大うつ病もしくは小うつ病の発症を、精神疾患構造化面接(SCID-IV)、DSM-IVの診断基準に基づき判定した調査結果。うつ病発症率がescitalopram投与群で有意に低下うつ病発症率は、プラセボ投与群がescitalopram投与群、PST群いずれよりも有意にたかった。プラセボ投与群の発症率は22.4%(大うつ病11例、小うつ病2例)で、escitalopram投与群は8.5%(同3例、2例)、両群間の補正後ハザード比(HR)は4.5(95%信頼区間:2.4~8.2、P<0.001)。またPST群は11.9%(同5例、2例)で、HRは2.2(1.4~3.5、P<0.001)。気分障害の既往歴で調整し、年齢、性、治療施設、モデル欠陥などを考慮しても、なお有意差があった。無作為化をせずに患者27例全員がうつ病を呈したと仮定して、ITT解析(Intention-to-Treat)を用い気分障害の既往歴を加味しても、escitalopramの優位性(対プラセボ)は変わらない(発症率23.1%対34.5%、HR:2.2、95%信頼区間:1.2~3.9、P=0.007)。しかし対PSTでは対プラセボほど有意に良好であると言える結果ではなかった(同30.5%対34.5%、HR:1.1、95%信頼区間:0.8~1.5、P=0.51)。有害事象については、各群間に有意差はなかった。以上の結果Robinson氏は、「脳卒中患者へのescitalopram投与とPSTによる治療は、いずれもうつ病予防に有効だが、効果はPSTのほうがやや小さい」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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高BMIの子どもは増えているのか?

米国においては1980年~2004年の間に、過体重(overweight)の子どもが増加したことが知られている。そこで米国国立保健統計センター(NCHS)のCynthia L. Ogden氏らは、2003年から2006年にかけての子供たち(2~19歳)のBMI値の変化を調査した。JAMA誌2008年5月28日号より。全米の2~19歳8,165例を調査調査は、2003~2004年および2005~2006年の国民健康栄養調査研究(NHANES)の一部から、2~19歳8,165例の身長と体重の測定値を得て行われた。NHANESは米国市民を対象とした代表的な全国調査である。得られた数値を、米国疾病管理センター(CDC)が出した米国児童の年齢・性別・民族/人種別に基づくBMI成長曲線にあてはめて、85パーセンタイル以上(過体重)、95パーセンタイル以上(肥満)、97パーセンタイル以上に該当する者の各割合を比較した。結果、2003~2004年および2005~2006年の各年間では統計学的な有意差が見出されなかった。そこで4年間のデータを結合して検討が行われた。 2003~2006年に、2~19歳でBMI成長曲線値が97パーセンタイル以上だった者は11.3%(95%信頼区間:9.7~12.9%)、95パーセンタイル以上は16.3%(14.5~18.1%)、85パーセンタイル以上は31.9%(29.4~34.4%)だった。高BMIの子どもの割合に有意な経年変化は見られず高BMIの割合傾向は年齢、民族/人種による違いはみられたが、4つの期間(1999~2000年、2001~2002年、2003~2004年、2005~2006年)を通して、男女間では統計的に有意な傾向はみられなかった(P値傾向0.07~0.41)。高BMIの子どもの割合は、2003~2004年および2005~2006年の各間で有意な変化はみられず、1999~2006年の間でも有意な傾向は見られなかったと結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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(第51回日本糖尿病学会年次学術集会から) -2型糖尿病治療の新たな戦略- インクレチン治療(1) GLP-1誘導体

2008年5月21日~24日(土)まで、東京国際フォーラムにおいて、これまでで最多である11,623名が参加した「第51回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:東京大学大学院医学系研究科 門脇 孝氏)」が、開催された。数多くのシンポジウムやワークショップ、共催セミナーが開催され、さらには過去最多の一般演題が発表、海外から第一線で活躍する50名以上の先生方が参加した本集会において、最も多くの参加者を集めたのは、「インクレチン治療」をテーマとしたプログラムであった。わが国では現在、インクレチンを利用したいくつかのGLP-1受容体作動薬(皮下注射剤)およびDPPⅣ阻害薬(経口薬)が、申請中、あるいは臨床試験中であり、発売が待たれているが、欧米では、これら薬剤は、既に数年前から、多くの2型糖尿病患者に用いられている。古くて新しい“インクレチン”インクレチンは、小腸から分泌されるホルモンの総称で、栄養素の消化吸収とともに、消化管から分泌され、膵β細胞からのインスリン分泌を促進させる作用を有する。100年くらい前には既に小腸から抽出した因子に、血糖降下作用があることがわかっていたが、その実態については、しばらく明らかにされていなかった。しかし、血中の血糖上昇を同程度になるよう調整したブドウ糖を経静脈により流入させたときと、経口で摂取させたときの血糖降下程度に差があり、後者の方がより低下し、より血中のインスリン濃度が高くなることが明らかになったことから、それら因子は、糖が消化管を通過することで、インスリン分泌を促進させる作用を持つことが示された。その後の研究により、それが小腸から分泌されるいくつかのホルモンであることが明らかとなり、それらは総称して、その働きである「Secreti(o)n of insulin(インスリン分泌)」から、「incretin」と名づけられた。インクレチンの中で、膵β細胞に結合し、インスリン分泌を促進させる作用があることがわかっているのは、小腸上部のK細胞から分泌されるGIP(Gastric inhibitory polypeptide)と、小腸下部のL細胞から分泌されるGLP-1(Glucagon-like peptide-1)であり、GLP-1は、その機能を保ちつつ、体内で分解されにくい構造にしたGLP-1誘導体として、欧米では既に多くの2型糖尿病患者に用いられている。GLP-1は、SU薬とは異なる機序でインスリン分泌を促進元来、インスリン分泌能の低い日本人では、糖尿病を発症すると、インスリン分泌の低下が主体となる病態になることが多いため、インスリン分泌を促進する薬剤は非常に有用となる。現在、インスリン分泌を促進する薬剤としては、スルホニル尿素(SU)薬と速効型インスリン分泌促進薬がある。SU薬は、古くから使われており、確実に血糖を低下させることから、非常に多くの2型糖尿病患者に使われているが、しばしば、膵β細胞の疲弊による効果の減弱(二次無効)や低血糖の発現、体重の増加が問題となる。GLP-1は小腸で栄養素が消化吸収されることにより分泌され、膵β細胞のGLP-1受容体に結合し、インスリン分泌を促進させる。つまり、投与されたGLP-1誘導体のインスリン分泌促進作用は血中グルカゴン濃度依存性であるため、GLP-1誘導体は、絶え間なく膵臓を刺激し、インスリン分泌を促進し続けるSU薬と異なり、生理的なインスリン分泌促進作用(食後のインスリン分泌作用)を持ち、低血糖を来たしにくいという利点を有する。GLP-1は膵β細胞の機能を回復?GLP-1は膵β細胞のアポトーシスを抑制させる(in vitro)との報告や、糖尿病モデルラットにおいて、膵β細胞の数を増加させたとの報告などから、GLP-1誘導体は膵β細胞の機能を回復させる可能性があることが示唆されている。GLP-1は食欲を抑制し、体重を減少させる-GLP-1の膵外作用-膵外作用として、GLP-1は中枢神経に作用し、食欲を抑制することが、ラットおよびヒトで明らかになっており、実際にGLP-1誘導体を服用した2型糖尿病患者において、体重が減少することが報告されている。強力な血糖低下作用を持つSU薬を服用すると、空腹感から食欲が増し、体重が増加、さらに血糖が悪化するという悪循環に陥ることがあるが、この点からも、GLP-1誘導体が有用であると考えられている。わが国で発売が待たれるGLP-1誘導体現在、わが国では、GLP-1誘導体として、エクセナチド(イーライリリー/既に米国と欧米で使用中)が第2相試験中、リラグルチド(ノボノルディスク/米国と欧米で承認申請中)が第3相試験中である(ともに1日1回投与)。これらについては、本集会においても、海外における数多くのエビデンスが報告され、多くはないが日本人のエビデンスも発表された。生理的なインスリン分泌促進作用を持つGLP-1誘導体。さらに、低血糖が発現しにくく、体重増加がなく、むしろ体重を減少させ、その上、膵β細胞の機能を回復させる可能性が示唆されている。このように非常に期待できる有用な治療薬であり、わが国でもその使用が待たれているが、唯一の弱点は、皮下注射剤であるということである。インスリン注射と同様に、注射剤は、診療する医師にとっても、患者にとっても、なかなか導入が困難であるが、エクセナチドについては、週1回製剤も開発段階にあり、将来的には、週1回の注射のみで、良好な血糖コントロールが可能になる時代も期待できるかもしれない。次回は「(第51回日本糖尿病学会年次学術集会から)-2型糖尿病治療の新たな戦略-インクレチン治療(2) DPP-IV阻害薬」を紹介する。(ケアネット 栗林 千賀)

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