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CKDの進行予測モデル、eGFR、アルブミン尿に血清Caや血清リン値などの追加で精度向上

ステージ3~5の慢性腎臓病(CKD)の進行予測モデルとして、従来の推定糸球体濾過量(eGFR)やアルブミン尿に加え、血清カルシウム(Ca)、血清リン、血清重炭酸塩、血清アルブミン値を追加することで、精度が向上することが示された。米国・ボストンにあるタフツ医療センターのNavdeep Tangri氏らが、CKD患者8,000人超について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月20日号(オンライン版2011年4月11日号)で発表した。CKDステージ3~5の、開発コホート約3,500人、検証コホート約5,000人について検討研究グループは、2001年4月1日~2008年12月31日にかけて、腎臓病専門医に紹介されたステージ3~5のカナダ人のCKD患者(eGFR値:10~59mL/分/1.73m2)の2コホートについて試験を行った。開発コホートの被験者数は3,449人で、うち386人(11%)が腎不全、検証コホートの被験者数は4,942人で、うち1,177人(24%)が腎不全だった。Cox比例ハザードモデルを用いて予測モデルを作成し、C統計量、統合判別改善(IDI)、キャリブレーション・プロット、赤池情報量基準(AIC)などを用いてモデルを評価した。試験開始後1、3、5年の時点で、ネット再分類改善率(NRI)を調べた。最高精度モデルで、C統計量は0.84~0.92結果、最も精度が高かった予測モデルは、年齢、性別、eGFR、アルブミン尿、血清Ca、血清リン、血清重炭酸塩、血清アルブミン値を追加したものだった(開発コホートのC統計量:0.917、95%信頼区間:0.901~0.933、検証コホートのC統計量:0.841、同:0.825~0.857)。検証コホートにおいて、同予測モデルの予測精度は、年齢、性別、eGFR、アルブミン尿から成る簡素化モデルよりも高かった。IDIは3.2%(95%信頼区間:2.4~4.2%)、キャリブレーション(NamとD’Agostinoのχ2統計量)は簡素化モデル32に対し19、CKDステージ3へのNRIは8.0%(95%信頼区間:2.1~13.9%)、同ステージ4へのNRIは4.1%(同:-0.5~8.8)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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第8回 腎細胞がん薬物療法 実践クロストーク

従来、腎細胞がんは、抗がん薬の奏効率が低く選択肢が少ないといわれ、わが国ではサイトカイン療法を中心に治療が進められてきた。そのような腎細胞がんも、近年では病態解明と供に治療選択肢も増えつつある。しかしながら、臨床現場ではそれら新たな選択肢も十分に活用されているとはいえない。今後も増えていく薬物療法を実臨床でどう活かしていくべきか?3名のエキスパートに、それぞれの立場から解説いただいた。出演動画腎細胞がん薬物療法の現状をどう考える?サイトカイン療法中心から分子標的薬に移行していくべきか?実臨床で迷う症例にどう対応する?新薬の留意すべき副作用

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妊婦へのベタメタゾン投与、早産児の呼吸器障害を低減せず:ブラジルの調査

妊娠期間34~36週の妊婦に対する出産前のコルチコステロイド投与は、新生児の呼吸器障害の発生を抑制しないことが、ブラジルInstituto de Medicina Integral Professor Fernando FigueiraのAna Maria Feitosa Porto氏らの調査で示された。妊娠後期の早産児は呼吸器障害の頻度が満期出産児に比べて高く、酸素吸入や換気補助、集中治療のための入院を要するリスクが高い。そこで、特に妊娠期間34週以前の新生児肺の成熟促進を目的に、妊婦に対する出産前コルチコステロイド投与が行われてきたが、妊娠期間34~36週の早産児でも、特に一過性多呼吸の発生リスクが高いという。BMJ誌2011年4月16日号(オンライン版2011年4月12日号)掲載の報告。早産児呼吸器障害の予防効果を無作為化試験で評価研究グループは、妊娠期間34~36週で出生した早産児の呼吸器障害の予防における、出産前の妊婦に対するコルチコステロイド投与の有効性を検討する三重盲検無作為化試験を実施した。2008年4月~2010年6月までに、ブラジル北東部の大規模3次教育病院(Instituto de Medicina Integral Professor Fernando Figueira)を受診した切迫早産のリスクを有する妊娠34~36週の女性が登録された。これらの妊婦が、プラセボ群あるいはベタメタゾン(商品名:リンデロン)12mgを2日連続で筋注する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は新生児の呼吸器障害(呼吸窮迫症候群、一過性多呼吸)の発生率とし、副次的評価項目は換気補助、新生児罹病率、在院期間とした。いずれの評価項目も両群で同等320人の妊婦が登録され、ベタメタゾン群に163人が、プラセボ群には157例が無作為に割り付けられた。最終解析の対象となった新生児は、それぞれ143人、130人であった。呼吸窮迫症候群の頻度は両群ともに低く[ベタメタゾン群:1.4%(2/143人) vs. プラセボ群:0.8%(1/130人)、p=0.54]、一過性多呼吸は両群ともに高頻度であった[24%(34/143人) vs. 22%(29/130人)、p=0.77]が、いずれも有意差は認めなかった。妊娠期間の長さのサブグループで調整後も、ベタメタゾンの使用は呼吸器障害罹病率のリスクを低減しなかった(調整後リスク:1.12、95%信頼区間:0.74~1.70)。換気補助の施行率はベタメタゾン群が20%(28/143人)、プラセボ群は19%(24/130人)であり、両群で同等であった(p=0.81)。新生児罹病率はそれぞれ62%(88/143人)、72%(93/130人)であり(p=0.08)、在院期間は5.12日、5.22日(p=0.87)と、いずれも両群間に有意な差はみられなかった。光線療法を要する新生児黄疸の頻度は、ベタメタゾンの投与を受けた妊婦の子どものほうが有意に低かった(リスク比:0.63、95%信頼区間:0.44~0.91、p=0.01)。著者は、「妊娠期間34~36週の妊婦に対する出産前コルチコステロイド投与は、早産児の呼吸器障害の発生率を低減しない」と結論し、「現在、US National Institute of Child Health and Human Development (NICHD)により、2,800人の早産リスクのある妊婦を対象に出産前ステロイド投与の臨床試験が進行中で、2013年に最終解析が予定されており、この結果が報告されるまでは、早産児の呼吸器障害の予防を目的としたコルチコステロイドのルーチンな使用は正当化されない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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末期がん患者に対する化学療法、医療従事者の考え方の違いとは? オランダの調査

末期がん患者に対する化学療法では、医師はこれを継続することで良好な健康状態を維持しようとするのに対し、看護師は継続に疑念を示し、余命の有効活用を優先する傾向があることが、オランダ・アムステルダム大学のHilde M Buiting氏らの調査で示された。がん治療の進歩により有効な治療法が増え、末期がん患者に対する化学療法薬投与の決定は繊細で複雑なプロセスとなっているが、最近の調査では末期がん患者への化学療法施行は増加し、「がん治療の積極傾向(a trend towards the aggressiveness in cancer care)」と呼ばれる状況にある。医療従事者は患者の利益となる治療を提供する義務があるが、患者の自律性に重きが置かれる社会では患者利益は先験的に明らかなわけではなく、化学療法の利益と負担に関する医療従事者の考え方もほとんど知られていないという。BMJ誌2011年4月16日号(オンライン版2011年4月4日号)掲載の報告。転移性がん治療に当たる医師と看護師への面接調査研究グループは、末期がん患者に対する化学療法施行時の医療従事者の経験およびその姿勢について、主に治療者としての考え方を引き出すことを目的に、面接に基づく質的調査を行った。2010年6~10月に、オランダの大学病院および一般病院の腫瘍科に所属し、転移性がんの治療に当たる医師14人(平均年齢41歳、女性8人)および看護師13人(同:40歳、11人)に対し半構造的面接を行った。生命予後とQOLのバランスの回復には、看護師の意見の導入が必要か医師と看護師は、不良な予後や治療選択肢について患者に十分な説明を試みたと述べた。また、化学療法の効果と有害事象を十分に考慮し、場合によっては治療を続けることが患者のQOLに寄与するか疑わしいこともあったと答えた。医師、看護師ともに、患者の健康状態を良好に保つことが重要と考えていた。医師は化学療法を継続することで患者の健康を維持しようとし、患者がそれに従うことが多い傾向がみられた。これに対し、看護師は化学療法の継続に疑念を表明する傾向が強く、患者が残された時間を最大限に活用できるように配慮するほうがよいと考えていた。治療上のジレンマや治療に対する患者の意向に直面した場合、医師は「では、もう1回だけ試してみませんか」などの妥協案を提示することを好んだ。化学療法施行中に、患者と死や臨終について語り合うことは、患者の希望を失わせる可能性があるとして、治療とは矛盾する行為と考えられていた。著者は、「末期がん患者に対し化学療法を継続する傾向は、患者と医師の『あきらめない』という態度の相互補強、および患者QOLに関する医師の広範な解釈の仕方で説明可能と考えられ、これは『治療を控えることで患者の希望を奪うのは危険』との考え方が元になっていると推察された」と結論し、「生命予後(quantity of life)とQOLのバランスを取り戻すには、医師以外の医療従事者、とりわけ看護師の意見の導入が必要と考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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食塩摂取や肥満などの環境因子が遺伝子を変え、塩分感受性高血圧を発症する ―東大 藤田氏らが世界に先駆けて解明―

食塩や肥満などの環境因子が食塩排泄性遺伝子WNK4遺伝子の転写活性を抑制し、高血圧を生じることを藤田敏郎氏らの研究チームが世界で初めて明らかにした。この研究結果は4月17日、米国の科学雑誌「Nature Medicine」のオンライン版に掲載された。本研究は「エピジェネティクス」と呼ばれる新しい研究分野で、「遺伝子配列は変えずに後天的な作用により遺伝子の形質変異によって疾病がもたらされる」という研究結果を、環境因子の影響が強い生活習慣病の発症においてエピジェネティクスとの関与を解明したのは世界で初めて。以下、藤田氏とディスカッションした内容より、今回の研究結果の科学的な意義をまとめる。ゲノムを解き明かせばすべてがわかる?2003年4月にヒトゲノムプロジェクトの終了が宣言された。ヒトゲノムプロジェクトは、DNAの台本をすべて読み解くという画期的な情報をもたらしたが、いざそれを疾病の遺伝的要因に関連づけようとすると、DNAの書き損じによって説明できる疾病はほんの一握りであった。「ゲノムを解き明かせばすべてがわかる」と思いきや、ヒトゲノムの解読はエピジェネティクスの入り口でしかなかった。環境因子による遺伝子の形質変化が疾病をもたらす! ―エピジェネティクス―米国ではヒトゲノムプロジェクト終了後、「エピジェネティクス」という遺伝学に研究費の使途がいち早くシフトした。エピジェネティクスとは、後天的な修飾により遺伝子発現が制御されることに起因する遺伝学あるいは分子生物学の研究分野である。すなわち、エピジェネティクスは「食塩摂取、肥満、ストレスなどの環境因子が、遺伝子の配列ではなく、形質変異をもたらすことで、疾病を発症する」という概念を基盤としている。現在、形質変異には次の2種が知られている。 1.DNA塩基のメチル化による遺伝子発現の変化2.ヒストンの化学修飾による遺伝子発現の変化(ヒストンのメチル化、アセチル化、リン酸化など)エピジェネティクスはがん研究分野で花盛り「エピジェネティクス」は、これまでがん治療においてさかんに研究され、すでに治療に応用されている疾患もある。骨髄異形性症候群は、がん抑制遺伝子がメチル化されその働きを失うというエピジェネテイックな異常によって生じる。5-アザシチジンはDNAメチルトランスフェラーゼの阻害因子であり、2011年3月にわが国でも発売された。また、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤ボリノスタットは2006年にFDAに認可され、皮膚T細胞性リンパ腫や他のがんの治療薬として使われている(本邦承認申請中)。塩分の過剰摂取によって発症する高血圧では、遺伝子レベルで何が起こっているのか?話は高血圧に戻る。塩分の過剰摂取が高血圧をきたすことは古くから知られている。しかし、塩分に対する血圧の反応性は個人差があり、塩分摂取によって血圧が鋭敏に上昇する塩分感受性者と、そうでない者が存在する。血圧の塩分感受性は遺伝的素因によって規定されるが、環境因子の影響も受ける。たとえば、肥満やメタボリックシンドロームを有する者は、塩分感受性者であることが多いと報告されている。これらの塩分感受性高血圧患者では食塩摂取によって交感神経活性が亢進し、ナトリウム排泄が低下し、ナトリウムが体内に貯留することで血圧が上昇すると考えられている。一方、治療抵抗性高血圧患者の腎交感神経アブレーションによって30mmHg以上の有意な降圧効果が認められた無作為化試験の結果が2010年12月にLancet誌に発表された。腎交感神経の活性化は本態性高血圧の重要な病因であり、その除神経によって治療効果が認められている。しかし、なぜ、腎臓における交感神経活性の亢進が、ナトリウム排泄を低下させ、血圧を上昇させるのかについての詳細は解き明かされていなかった。今回、藤田氏らの研究グループは、交感神経活性の亢進によって活性化されるβ2アドレナリン作動性受容体による刺激が、ヒストンのアセチル化を引き起こし、塩分排泄関連遺伝子「WNK4遺伝子」の発現を抑制することを発見した。WNK4遺伝子は腎臓の遠位尿細管のNa-Cl共輸送体(NCC)活性を抑制し、ナトリウム排泄を促すことは知られているため、WNK4遺伝子が抑制されることでナトリウムは体内に貯留する。藤田氏らの研究によると、下記のメカニズムによって、交感神経活性の亢進がWNK4遺伝子の発現を抑制すると説明できる。 1.食塩摂取によって交感神経活性が亢進すると、ノルアドレナリンが放出され、β2アドレナリン作動性受容体が活性化される。2.この刺激によってヒストン脱アセチル化酵素(HDAC8)がリン酸化し、ヒストンの脱アセチル化が阻害され、ヒストンアセチル化がもたらされる。3.ヒストンアセチル化によってネガティブ糖質コルチコイド認識配列(nGRE)が刺激されると、nGREに遺伝子調節蛋白が作用しやすくなり、WNK4遺伝子の転写を抑制する。通常、ヒストンアセチル化は遺伝子の転写活性を促進させるが、WNK4遺伝子の場合は抑制されていた。この謎を解明するのに研究グループは1.5年の歳月を費やしたという。研究グループはWNK4遺伝子の上流にあるプロモーター領域に、nGREが発現していることを発見した。nGREがヒストンアセチル化によって刺激されることで、nGREに遺伝子調節蛋白が作用しやすくなり、転写を抑制し、結果としてWNK4遺伝子を抑制することを見出した。この研究結果は、腎臓学の側面から塩分過剰摂取による高血圧発症の新たな分子機構を解明したことに新規性があるだけでなく、遺伝学的な側面において、生活習慣病において食塩や肥満などの環境因子が塩分排泄性遺伝子WNK4遺伝子の転写活性を変えるという「エピジェネティクス」が関与しているということを世界で初めて発見したことに大きな成果があるといえる。ヒストン修飾薬によって塩分感受性高血圧症の治癒も夢ではない「基礎と臨床を繋ぐことが私たちの役目の一つでもある」と藤田氏は言う。塩分感受性の高血圧症では遺伝子レベルでヒストンのアセチル化が起こり、それがナトリウム排泄を促進させるWNK4遺伝子を抑制するのであれば、ヒストンのアセチル化を阻害する「ヒストン修飾薬」を創薬のターゲットとすれば良い。既に藤田氏らは、ラットに同薬を投与したところ、WNK4遺伝子の発現が抑制され、動脈圧が有意に低下した結果を得ている。「このヒストン修飾が塩分貯留に特異的であるかはさらなる研究が必要であるが、ヒストン修飾薬によって塩分感受性高血圧症の治癒も夢ではない」と、藤田氏はヒストン修飾薬の開発によって高血圧治療を一変させることに大いなる期待を抱く。(ケアネット 藤原 健次)

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高所得国の死産予防で優先すべきリスク因子が明らかに

高所得国の死産予防では、効果的な介入を優先すべき修正可能なリスク因子として妊婦の過体重/肥満、高齢出産、妊娠時の喫煙などが重要なことが、オーストラリアMater Medical Research InstituteのVicki Flenady氏らの調査で明らかにされた。高所得国では、1940年代以降、死産数が著明に減少したが、最近20年間はほとんど改善されていないことが示されている。死産のリスク因子の研究は増加しているものの、予防において優先すべき因子の同定には困難な問題も残るという。Lancet誌2011年4月16日号(オンライン版2011年4月14日号)掲載の報告。5つの高所得国のデータを解析研究グループは、高所得国の死産の予防において、有効な介入を優先的に進めるべき項目を同定するために系統的なレビューを行い、メタ解析を実施した。データベースを検索して、死産のリスク因子を検討した地域住民ベースの試験を選出した。ライフスタイルへの介入や医学的介入による改善の可能性を基準に、報告頻度の高い因子を同定した。高所得国の中でも死産数が多く、解析に要するデータをすべて備えた5ヵ国のデータを用いて、修正可能なリスク因子に起因する死産の数を算定し、人口寄与リスク(PAR)を算出した。効果的な介入法を認識してその実践を促進することが重要6,963試験中、13の高所得国から報告された96の地域住民ベースの試験(アメリカ29件、スウェーデン16件、カナダ9件、オーストラリア12件、イギリス9件、デンマーク6件、ベルギー5件、ノルウェー3件、イタリア2件、ドイツ2件、スコットランド1件、ニュージーランド1件、スペイン1件)が選出された。そのうち76試験がコホート試験(前向き試験6件、後ろ向き試験70件)、20試験が症例対照試験であった。文献のレビューにより、死産の修正可能なリスク因子として、妊婦の体重、喫煙、年齢、初産、胎内発育遅延、胎盤早期剥離、糖尿病、高血圧が示された。死産の修正可能リスク因子の最上位は妊婦の過体重/肥満(BMI>25kg/m2)であり、5ヵ国(オーストラリア、カナダ、アメリカ、イギリス、オランダ)のPARは7.7~17.6%、高所得国全体の妊娠期間≧22週の予防可能な年間死産数は8,064件であった。次いで、出産年齢≧35歳の高齢出産(5ヵ国のPAR:7.5~11.1%、全体の年間死産数:4,226件)、妊娠時の喫煙(同:3.9~7.1、2,852件)の順であった。5ヵ国の高所得国の中でも、先住民など恵まれない状況に置かれた集団では、死産した妊婦における喫煙のPARは約20%と高い値であった。また、5ヵ国の死産のPARの約15%を初産婦が占めた。胎内発育遅延のPARは23%、胎盤早期剥離のPARも15%と高値を示し、死産において胎盤の病理が重要な役割を担っていることが浮き彫りとなった。糖尿病と高血圧も死産の重要な原因であった。著者は、「高所得国における死産の予防では、過体重、肥満、出産年齢、喫煙などの修正可能なリスク因子に対する効果的な介入法を認識し、その実践を促進することが優先事項である」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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プライマリ・ケアにおける肥満に有効な薬物療法のエビデンス:CONQUER試験

診察室ベースのライフスタイル介入にphentermine+トピラマート療法を併用するアプローチは、プライマリ・ケア医が施行し得る肥満に有用な治療法となる可能性があることが、アメリカ・デューク大学医療センターのKishore M Gadde氏らの検討で示された。肥満は寿命を短縮し、心血管疾患やがんなどによる死亡率を上昇させるとともに、2型糖尿病の約90%が過体重に起因し、肥満者における高血圧の頻度は正常体重者の5~6倍に達するとされる。中枢性ノルエピネフリン放出薬であるphentermineはアメリカでは抗肥満薬として広く用いられ、抗てんかん薬トピラマートは単剤で2型糖尿病や高血圧を有する肥満者に対する体重減少効果が確認されているが、用量依存性に神経精神関連の有害事象がみられるという。Lancet誌2011年4月16日号(オンライン版2011年4月11日号)掲載の報告。2つの用量とプラセボを比較する第III相試験CONQUER試験の研究グループは、2つ以上のリスク因子を有する過体重あるいは肥満者を対象に、体重減少や代謝リスクの低減を目的とした食事療法やライフスタイル変容の補助療法としてのphentermine+トピラマート療法の有効性と安全性を評価するプラセボ対照無作為化第III相試験を実施した。2007年11月1日~2009年6月30日までにアメリカの93施設から、18~70歳の過体重あるいは肥満者(BMI 27~45kg/m2)で、高血圧、脂質異常、糖尿病/糖尿病前症、腹部肥満のうち2つ以上の併存症がみられる者が登録された。これらの患者が、プラセボ群、phentermine 7.5mg+トピラマート 46.0mgを1日1回経口投与する群(低用量群)、あるいはphentermine 15.0mg+トピラマート92.0mgを1日1回経口投与する群(高用量群)に、2:1:2の割合で無作為化に割り付けられ、56週の治療が行われた。主治医、患者、試験資金の出資者には治療割り付け情報はマスクされた。主要評価項目は、体重の変化率および5%以上の体重減少の達成者率とし、intention-to-treat解析を行った。体重減少:1.4 vs. 8.1 vs. 10.2kg、5%体重減少率:21 vs. 62 vs. 70%2007年11月1日~2009年6月30日までに2,487例が登録され、プラセボ群に994例、低用量群に498例、高用量群には995例が割り付けられた。解析の対象となったのは、それぞれ979例、488例、981例であった。治療56週の時点で、ベースラインからの体重の変化は、プラセボ群が-1.4kg(最小2乗平均:-1.2%、95%信頼区間:-1.8~-0.7)、低用量群が-8.1kg(同:-7.8、-8.5~-7.1、p<0.0001)、高用量群は-10.2kg(同:-9.8%、-10.4~-9.3、p<0.0001)であり、プラセボ群に比べ実薬群で有意な体重減少効果が認められた。5%以上の体重減少が得られた患者の割合は、プラセボ群が21%(204/994例)、低用量群が62%(303/498例)(オッズ比:6.3、95%信頼区間:4.9~8.0、p<0.0001)、高用量群は70%(687/995例)(同:9.0、7.3~11.1、p<0.0001)であり、プラセボ群に比し実薬群で有意に高かった。10%以上の体重減少は、それぞれ7%(72/994例)、37%(182/498例)(同:7.6、5.6~10.2、p<0.0001)、48%(467/995例)(同:11.7、8.9~15.4、p<0.0001)と、実薬群で有意に優れた。高頻度にみられた有害事象は、口渇(ドライマウス)[プラセボ群2%(24/994例)、低用量群13%(67/498例)、高用量群21%(207/995例)]、知覚異常[同:2%(20/994例)、14%(68/498例)、21%(204/995例)]、便秘[同:6%(59/994例)、15%(75/498例)、17%(173/995例)]、不眠[5%(47/994例)、6%(29/498例)、10%(102/995例)]、眩暈[3%(31/994例)、7%(36/498例)、10%(99/995例)]、味覚障害[1%(11/994例)、7%(37/498例)、10%(103/995例)]であった。うつ病関連の有害事象がそれぞれ4%(38/994例)、4%(19/498例)、7%(73/995例)に、不安関連有害事象は3%(28/994例)、5%(24/498例)、8%(77/995例)に認められた。著者は、「診察室ベースのライフスタイル介入にphentermine+トピラマート療法を併用するアプローチは、プライマリ・ケア医が施行し得る肥満に有用な治療法となる可能性がある」と結論し、本試験の利点として、1)51%が3つ以上の体重関連の併存症を有し、多くが複数の治療法を受けている患者集団で体重減少の効果を確認できたこと、2)軽度のうつ症状がみられ、多くが広範な抗うつ薬の使用で安定を維持している患者や、大うつ病発作の既往歴(1回のみ)のある患者も含まれること、3)自殺傾向のある患者もその企図がない場合は除外しなかったことを挙げている。(菅野守:医学ライター)

32909.

ICUにおける耐性菌伝播を減らすには?

 MRSAとバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は、医療施設における感染症の主要な要因であり、これら細菌に起因する感染症は通常、患者の粘膜や皮膚などへの保菌(colonization)後に発症がみられ、保菌は医療従事者の手指や汚染媒介物などを介した患者から患者への間接的な伝播や、保菌医療従事者からのダイレクトな伝播によって発生することが知られる。米国・メイヨークリニックのW. Charles Huskins氏らICUにおける耐性菌伝播を減らす戦略研究グループは、MRSA、VREの伝播リスクが最も大きいICUにおいては、積極的監視培養やバリア・プリコーション(ガウン、手袋着用による)の徹底により、ICUにおけるMRSA、VREの保菌・感染発生率を低下すると仮定し、それら介入効果を検討する無作為化試験を実施した。NEJM誌2011年4月14日号掲載より。MRSA、VREの保菌および感染発生率を介入群と対照群で比較 研究グループは、MRSAやVREの保菌に対する監視培養とバリア・プリコーション徹底(介入)の効果について、ICU成人患者におけるMRSA、VREの保菌・感染発生率を通常実践(対照)との比較で検討することで評価するクラスター無作為化試験を行った。 介入群に割り付けられたのは10ヵ所のICUで、対照群には8ヵ所のICUが割り付けられた。 監視培養(MRSAは鼻腔内検査、VREは便・肛囲スワブ)は、被験者全員に行った。ただしその結果報告は、介入ICU群にのみ行われた。 また介入ICU群で、MRSAやVREの保菌または感染が認められた患者は、コンタクト・プリコーション(接触感染に注意する)・ケア群に割り付け、その他すべての患者は、退院もしくは入院時に獲得した監視培養の結果が陰性と報告されるまで、ユニバーサル・グロービング(手袋着用の徹底)群に割り付けた。 介入による伝播減少の効果は認められず、医療従事者のプリコーション実行が低い 介入は6ヵ月間行われた。その間に、介入ICU群には5,434例が、対照ICU群には3,705例が入院した。 ICU入室患者にMRSA、VREの保菌または感染を認めバリア・プリコーションに割り付けた頻度は、対照ICU群(中央値38%)よりも介入ICU群(中央値92%)のほうが高かった(P<0.001)。しかし、介入ICU群の保菌または感染患者が、コンタクト・プリコーションに割り付けられた頻度は51%、ユニバーサル・グロービングに割り付けられた頻度は43%だった。 また介入ICU群における医療従事者の、滅菌手袋・ガウンテクニック・手指衛生の実行頻度は、要求レベルよりも低いものだった。コンタクト・プリコーション群に割り付けられた患者への滅菌手袋の実行頻度は中央値82%、ガウンテクニックは同77%、手指衛生は同69%で、またユニバーサル・グロービング群患者への滅菌手袋実行は同72%、手指衛生は同62%だった。 介入ICU群と対照ICU群で、MRSAまたはVREの保菌または感染イベント発生リスクに有意差は認められなかった。基線補正後の、MRSAまたはVREの保菌・感染イベントの平均(±SE)発生率は、1,000患者・日当たり、介入ICU群40.4±3.3、対照ICU群35.6±3.7だった(P=0.35)。 Huskins氏は、「介入による伝播減少の効果は認められなかった。そもそも医療従事者によるバリア・プリコーションの実行が要求されたものよりも低かった」と結論。医療施設における伝播減少を確実のものとするには、隔離プリコーションの徹底が重要であり、身体部位の保菌密度を減らしたり環境汚染を減らす追加介入が必要かもしれないとまとめている。

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急性期病院におけるMRSA伝播・感染の減少に「MRSA bundle」プログラムが寄与

米国・ピッツバーグ退役軍人病院は2001年より、同地方当局およびCDCとともに、米国の退役軍人病院およびその他で懸念が高まっていたMRSA施設感染を排除するため「MRSA bundle」プログラムに取り組み始めた。パイロット試験としての本取り組みは、4年間で外科病棟のMRSA感染を60%に、ICUは同75%に減少させた。その成功を踏まえ、2007年10月より全米の急性期退役軍人病院にプログラムは順次導入された。本論は、導入が完遂した2010年6月までの間の導入効果をまとめたもので、ピッツバーグ退役軍人病院MRSAプログラム事務局のRajiv Jain氏らが報告した。NEJM誌2011年4月14日号掲載より。「MRSA bundle」プログラムの導入効果を評価「MRSA bundle」は、鼻腔内検査によるユニバーサル・サーベイランス、MRSA保菌・感染患者に対するコンタクト・プリコーション、手指衛生、対応する全患者に対し感染管理を責務とする組織的文化の醸成から構成され、毎月、各施設の担当者により、中央データベースに、サーベイランス実行の厳守状況、MRSA保菌・感染の有病率、施設内伝播・感染率のデータが集積されていった。研究グループは、そのデータを基に、「MRSA bundle」プログラムのMRSA施設関連感染に関する導入効果を評価した。ICUにおける感染は62%減少、非ICUでは45%減少2007年10月~2010年6月に報告された入院・転院・退院は193万4,598件(ICU:36万5,139件、非ICU:156万9,459件)、患者総数は831万8,675人・日(ICU:131万2,840人・日、非ICU:700万5,835人・日)だった。期間中、入院時にスクリーニングが実施された患者の割合は82%から96%に上昇した。転院・退院時の実施は72%から93%へと上昇した。入院時MRSAの保菌・感染の平均(±SD)有病率は13.6±3.7%だった。ICUにおけるMRSA施設関連感染は、2007年10月より以前の2年間に変化はみられなかったが(傾向P=0.50)、プログラムの実施後は減少し、1,000人・日当たりの感染率は1.64(2007年10月)から同0.62(2010年6月)、62%減少した(傾向P<0.001)。非ICUにおいては、同0.47から0.26、45%の減少であった(傾向P<0.001)。Jain氏は、「退役軍人省が先導し全米の関連急性期病院に導入した『MRSA bundle』プログラムは医療施設関連のMRSA伝播や感染の減少に関連していた」と結論。本研究では費用対効果の評価は行われなかったが、他の研究者により積極的監視の費用対効果の有効性は示されていることに触れ、プログラムの長期にわたる実行、さらに外来導入の必要性についても言及している。(武藤まき:医療ライター)

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肺結核患者へは、4種固定用量合剤が個別投与よりも好ましい

新たに肺結核の診断を受けた患者に対する、リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エタンブトールを含む固定用量合剤(FDC)の投与と、各薬剤の個別投与とを比較するオープンラベル非劣性無作為化試験「Study C」が、WHOのChristian Lienhardt氏ら研究グループにより、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの9ヵ国11ヵ所で行われた。FDCは薬剤耐性の出現を防ぐ方法として提唱されたものだが、これまで有効性や安全性の評価に関する無作為化試験はほとんど行われていなかった。JAMA誌2011年4月13日号掲載より。4種FDC投与か個別薬剤投与を8週間毎日投与、18ヵ月後の細菌培養陰性率を比較研究グループは、2003~2008年にかけて、新たに診断を受けた塗抹陽性肺結核の成人1,585人について試験を行った。研究グループは被験者を無作為に二群に分け、一方の群(798人)には4種FDCを、もう一方の群(787人)には4種の薬剤を個別に、それぞれ8週間毎日投与した。両群ともに、投与量はWHOの勧告に従って、被験者の体重により調整した。その後18ヵ月は、両群ともに、2種(リファンピシン、イソニアジド)FDCを週3回投与した。主要アウトカムは、治療開始18ヵ月後の細菌培養陰性の割合だった。プロトコルに沿った被験者のみを分析したPPB分析と、治療を試みた全員を分析したITT分析2種の合わせて3種の分析を行い、非劣性マージンは4%と定義した。3分析中2分析で、FDCの非劣性を示す結果、PPB分析において18ヵ月後に細菌培養が陰性であったのは、FDC群は591人中555人(93.9%)に対し、個別投与群は579人中548人(94.6%)だった(リスク差:-0.7%、90%信頼区間:-3.0~1.5)。ITT分析の一つ目の分析方法では、細菌培養が陰性だったのは、FDC群684人中570人(83.3%)、個別投与群664人中563人(84.8%)だった(リスク格差:-1.5%、90%信頼区間:-4.7~1.8)。二つ目のITT分析では、同陰性は、FDC群658人中591人(89.8%)に対し個別投与群647人中589人(91.0%)だった(同:-1.2%、-3.9~1.5)。研究グループは、「3つの分析結果のうち2つで、FDCの個別投与に対する非劣性が示された。非劣性の証明は完全ではなかったが、FDC投与のほうが優位である可能性が示されたことにより、FDC投与のほうが好ましく優先される」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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HPVワクチン接種スケジュール、0・3・9ヵ月または0・6・12ヵ月でも

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチン接種について、3回の接種を標準スケジュールの初回接種0・2・6ヵ月ばかりでなく、0・3・9ヵ月や0・6・12ヵ月で行っても、効果は非劣性であることが確認された。米国・ワシントン州シアトルのPATHに所属するKathleen M. Neuzil氏らが行った無作為化非劣性試験によるもので、JAMA誌2011年4月13日号で発表した。ベトナム21ヵ所の学校に通う11~13歳903人を対象に試験研究グループは、2007年10月~2010年1月にかけて、ベトナム21ヵ所の学校に通う11~13歳の女生徒903人について、オープンラベルクラスター無作為化試験を行った。研究グループは被験者を無作為に、HPVワクチンを「標準接種(0・2・6ヵ月)」「0・3・9ヵ月」「0・6・12ヵ月」「0・12・24ヵ月」のスケジュールで接種する4群に割り付けた。3回目接種後1ヵ月に血清抗HPVの幾何平均抗体価(GMT)を調べ、標準接種に対する非劣性試験を行った。各接種群GMT値の標準接種群GMT値に対する割合を調べ、95%信頼区間の下限値が0.5以上であれば非劣性が認められると定義した。被験者のうち、HPVワクチン接種を1回以上受け、3回接種後1ヵ月の時点で血清検査を行ったのは809人だった。0・12・24ヵ月の接種スケジュールでは非劣性は認められず結果、標準接種群の3回接種後のGMT値は、HPV-16が5808.0(95%信頼区間:4961.4~6799.0)、HPV-18が1729.9(同:1504.0~1989.7)だった。それに対し、9ヵ月スケジュール群のGMT値はそれぞれ5368.5(同:4632.4~6221.5)と1502.3(同:1302.1~1733.2)、12ヵ月スケジュール群はそれぞれ5716.4(同:4876.7~6700.6)と1581.5(同:1363.4~1834.6)と、いずれも標準スケジュール群に対する非劣性が認められた。一方で、24ヵ月スケジュール群については、3692.5(同:3145.3~4334.9)と1335.7(同:1191.6~1497.3)で、標準スケジュール群に対する非劣性は認められなかった。Neuzil氏は「このベトナムの青年期女児において、HPVワクチン投与は標準または選択スケジュールにおいても、免疫原性、忍容性ともに良好であった。標準接種法(0・2・6ヵ月)と比較して、2つのスケジュール法(0・3・9ヵ月、0・6・12ヵ月)は、抗体濃度について非劣性であった」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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スタチンによる血管疾患の1次予防の費用対効果:オランダの調査

プライマリ・ケアにおける血管疾患の1次予防としてのスタチン治療は、低リスク集団では費用対効果がよくないことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJP Greving氏らの検討で示された。スタチンは、心血管疾患のない集団における心血管/脳血管イベントのリスクを低減することが示されているが、スタチン治療の絶対的なベネフィットを規定するのは、個々のリスク因子よりもむしろ全体としての血管疾患イベントのリスクと考えられている。また、日常診療におけるスタチン服用のアドヒアランスは十分とは言えず、これが費用対効果を損なっている可能性もあるという。BMJ誌2011年4月9日号(オンライン版2011年3月30日号)掲載の報告。低用量スタチンの費用対効果をMarkovモデルで検討研究グループは、血管疾患の1次予防における低用量スタチンの費用対効果を、直近の薬価、服薬アドヒアランス不良(臨床効果は低いがコストは維持)、JUPITER試験(スタチンの1次予防効果に関する最新の大規模臨床試験)の結果を踏まえて検討した。オランダのプライマリ・ケアのデータを用い、血管疾患の既往歴のない45~75歳の健常者の仮説母集団において、10年以内に血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)を発症するリスク(10年血管リスク)を、低用量スタチン(連日)群と無治療群で比較した。費用対効果の解析にはMarkovモデルを用いた。パラメータの不確実性については、Monte Carloシミュレーション(1,000回反復)を用いた確率的感度分析を行った。主要評価項目は、10年間の致死的および非致死的な血管疾患の発生、質調整生存年(QALY)、コスト、増分費用対効果比であった。10年血管リスクが低くなるにしたがって費用対効果が低下する傾向無治療に比べ10年間のスタチン治療のコスト/QALYは、10年血管リスクが10%の55歳男性では約3万5,000ユーロ(ほぼ3万ポンド、4万9,000ドルに相当)であった。全般に、増分費用対効果比は血管疾患リスクの増大とともに改善し、55歳男性では、10年血管リスクが25%の場合の約5,000ユーロから、リスク5%の場合の約12万5,000ユーロまでの幅が認められた。また、増分費用対効果比は加齢とともにわずかに低下する傾向がみられた。感度分析では、得られた結果はスタチン治療のコスト、スタチンの有効性、アドヒアランス不良、連日服用の不効用性、モデルの計画対象期間(time horizon)に対し高い感度を示した。著者は、「日常診療では、血管疾患のリスクが低い集団(10年血管リスク<5%)に対する1次予防としてのスタチン治療は、ジェネリック薬のコストが低いにもかかわらず費用対効果がよくないと考えられた」と結論し、「1次予防におけるスタチン使用の費用対効果のいっそうの改善には、スタチン服用のアドヒアランスの向上が求められる」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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乳幼児の急性細気管支炎、アドレナリン単剤の有効性示すエビデンス

2歳以下の乳幼児の急性細気管支炎に救急部外来で対処する場合、第1日の入院リスクを最も低減する治療法はアドレナリン(エピネフリン)単剤であることが、カナダAlberta大学小児科のLisa Hartling氏らの検討で示された。急性細気管支炎の治療法は世界中で大きなばらつきがみられ、それぞれの事情に基づいて異なる気管支拡張薬やステロイド薬が使用されている。系統的なレビューがいくつか実施されているが、個々の治療選択肢に関する信頼性の高いエビデンスはいまだに確立されていないという。BMJ誌2011年4月9日号(オンライン版2011年4月6日号)掲載の報告。乳幼児の急性細気管支炎の至適治療法に関するメタ解析研究グループは、2歳以下の乳幼児の細気管支炎の急性期管理における気管支拡張薬とステロイド薬の単剤あるいは併用療法の有効性と安全性について系統的にレビューし、メタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Scopus、PubMed、LILACS、IranMedEx)、関連学会プロシーディング、臨床試験登録を検索して、喘鳴を伴う細気管支炎を初めて発症した生後24ヵ月以下の乳幼児を対象に、気管支拡張薬とステロイド薬の単剤あるいは併用療法を、プラセボあるいは他の介入法(別の気管支拡張薬やステロイド薬、標準治療)と比較した無作為化対照比較試験を抽出した。2名のレビューワーが、患者選択基準やバイアスのリスクなどに関して各試験の評価を行った。主要評価項目は、外来患者の入院(第1日、第7日まで)および入院患者の入院期間であった。メタ解析には変量効果モデル(random effects model)を用い、全介入法を同時に比較するためにベイジアン・ネットワーク・モデル(Bayesian network model)による混合治療比較法(mixed treatment comparison)を使用した。1週間までの入院リスクの低減にはアドレナリン+デキサメタゾン併用療法が有用48試験(4,897例)が解析の対象となった。バイアスのリスクは、「低い」が17%(8試験)、「高い」が31%(15試験)、「不明」が52%(25試験)であった。プラセボとの比較において第1日の入院を有意に低減したのはアドレナリン単剤のみであった[920例のプール解析によるリスク比:0.67、95%信頼区間(CI):0.50~0.89、ベースラインの入院リスクが20%の場合に1例の入院を回避するのに要する治療例数(NNT):15、95%CI:10~45]。第7日までの入院の有意な低減効果を認めたのは、バイアスのリスクが低いと判定された1つの大規模試験(400例)で示されたアドレナリン+デキサメタゾン併用療法であった(リスク比:0.65、95%CI:0.44~0.95、ベースラインの入院リスクが26%の場合のNNT:11、95%CI:7~76)。混合治療比較法による解析では、外来患者に対する好ましい治療法としてアドレナリン単剤(第1日の入院を基準とした場合に最良の治療法である確率:45%)およびアドレナリン+ステロイド薬併用療法(同:39%)が示された。有害事象の報告に治療法による差は認めなかった。入院患者の入院期間については、明確な効果を示した介入法は確認されなかった。著者は、「急性細気管支炎の乳幼児に救急部外来で対処する場合、第1日の入院リスクを最も低減する治療法はアドレナリン単剤であり、アドレナリン+デキサメタゾン併用療法は第7日までの入院リスク低減に有用であることを示すエビデンスが得られた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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2つの新世代薬剤溶出性ステントの臨床転帰は2年後も同等:RESOLUTE All Comers試験

新世代の薬剤溶出性ステントであるzotarolimus溶出ステント(Resolute)とエベロリムス溶出ステント(Xience V)の安全性と有効性は、2年後もその同等性が維持されていることが、ドイツ・Isar心臓センターのSigmund Silber氏らが進めているRESOLUTE All Comers試験で明らかとなった。本試験は、冠動脈病変を有する患者におけるzotarolimus溶出ステントのエベロリムス溶出ステントに対する非劣性を検証するプロスペクティブな無作為化試験。すでに、フォローアップ期間1年におけるステント関連の標的病変不全発生の同等性が確かめられている。Lancet誌2011年4月9日号(オンライン版2011年4月3日号)掲載の報告。2年間の臨床転帰の報告RESOLUTE All Comers試験の研究グループは、今回、事前に規定された2年間のフォローアップの臨床転帰について報告を行った。2008年4月30日~10月28日までに、ヨーロッパとイスラエルの17施設から、1つ以上の冠動脈病変(直径2.25~4.0mm)を有し、50%以上の狭窄がみられる患者が登録され、zotarolimus溶出ステントを留置する群あるいはエベロリムス溶出ステントを留置する群に無作為に割り付けられた。主治医には治療割り付け情報が知らされたが、データの管理や解析を行うスタッフ、および患者にはマスクされた。治療病変数や血管数、および留置するステント数には制限を設けなかった。2年後のステント関連の複合アウトカム(心臓死、標的血管に起因する心筋梗塞、虚血に基づく標的病変の血行再建術)および患者関連の複合アウトカム(全死亡、全心筋梗塞、全血行再建術)について評価した。ステント関連複合アウトカム:11.2% vs. 10.7%、患者関連複合アウトカム:20.6% vs. 20.5%2,292例が登録され、zotarolimus溶出ステント群に1,140例が、エベロリムス溶出ステント群には1,152例が割り付けられ、2年間のフォローアップを完遂したのはそれぞれ1,121例、1,128例であった。ステント関連および患者関連の複合アウトカムの発生率はいずれも両群間に有意な差を認めなかったが、ステント関連複合アウトカムは患者関連複合アウトカムよりも実質的に発生率が低かった。すなわち、ステント関連複合アウトカムはzotarolimus溶出ステント群が11.2%(126/1,121例)、エベロリムス溶出ステント群は10.7%(121/1,128例)であり(群間差:0.5%、95%信頼区間:-2.1~3.1、p=0.736)、患者関連複合アウトカムはそれぞれ20.6%(231/1,121例)、20.5%(231/1,128例)であった(群間差:0.1%、95%信頼区間:-3.2~3.5、p=0.958)。1年以上が経過した後に発現した超遅発性(very late)のステント血栓症は、両群とも3例ずつに認められた。著者は、「2つの新世代の薬剤溶出性ステントの安全性と有効性の同等性は2年後も維持されていた」と結論し、「病変の臨床的背景が複雑な患者において、ステント関連イベントよりも患者関連イベントが高率に発生したことは、長期のフォローアップ期間中には、特定の病変に対していずれのステントを選択するかという問題と少なくとも同程度に、より強力な2次予防や総合的な治療の最適化が重要であることを強く示唆する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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移植患者へのサイトメガロウイルス糖蛋白Bワクチン接種でウイルス血症が減少

腎/肝移植患者では、サイトメガロウイルス糖蛋白Bワクチンの接種で誘導された液性免疫によってウイルス血症が減少することが、イギリス・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのPaul D Griffiths氏らの検討で示された。サイトメガロウイルスによるウイルス血症がみられる同種移植患者では、ガンシクロビル(商品名:デノシン)あるいはそのプロドラッグであるバルガンシクロビル(同:バリキサ)の投与によりウイルスに起因する肝炎、肺炎、胃腸炎、網膜炎などの末梢臓器障害の予防が可能である。末梢臓器障害の発現はウイルス量と関連し、ウイルス量は既存の自然免疫の影響を受けるが、ワクチンで誘導された免疫にも同様の作用を認めるかは不明だという。Lancet誌2011年4月9日号掲載の報告。糖蛋白Bワクチンの免疫原性を評価する無作為化第II相試験研究グループは、イギリス・ロンドンのRoyal Free Hospitalの腎臓あるいは肝臓の移植術待機患者を対象に、MF59アジュバント添加サイトメガロウイルス糖蛋白Bワクチンの、安全性と免疫原性を評価する無作為化プラセボ対照第II相試験を実施した。妊婦、直近3ヵ月以内に血液製剤(アルブミンを除く)の投与を受けた患者、多臓器の同時移植患者は除外した。サイトメガロウイルス血清反応陰性の70例と陽性の70例が、MF59アジュバント添加サイトメガロウイルス糖蛋白Bワクチンあるいはプラセボを接種する群に無作為に割り付けられた。接種はベースライン、1ヵ月後、6ヵ月後に行い、移植が実施された場合はそれ以上の接種は行わないこととし、定量的real-time PCR法で血液サンプル中のウイルスDNAを解析した。サイトメガロウイルスのゲノムが200/mL以上(全血)の場合にウイルス血症と定義し、3,000/mL以上に達した患者にガンシクロビル5mg/kgの1日2回静注投与(あるいはバルガンシクロビル900mg 1日2回経口投与)を行い、2回の血液サンプルの検査でウイルスDNAが測定限界以下になるまで継続することとした。安全性と免疫原性の2つを主要エンドポイント(coprimary endpoints)とし、両群とも1回以上の接種を受けた患者についてintention-to-treat解析を行った。ワクチン群で、糖蛋白B抗体価が有意に上昇ワクチン群に67例(血清反応陽性例32例、陰性例35例)が、プラセボ群には73例(38例、35例)が割り付けられ、全例が評価可能であった。実際に移植を受けたのはワクチン群が41例(18例、23例)、プラセボ群は37例(22例、15例)であった。ワクチン群では、血清反応陰性例、陽性例ともに糖蛋白B抗体価がプラセボ群に比べ有意に上昇した。すなわち、血清反応陰性例の幾何平均抗体価(GMT)は、ワクチン群12,537(95%信頼区間:6,593~23,840)、プラセボ群86(同:63~118)、陽性例のGMTはそれぞれ118,395(同:64,503~217,272)、24,682(同:17,909~34,017)であり、いずれも有意差を認めた(いずれもp<0.0001)。移植後にウイルス血症を発症した患者では、糖蛋白B抗体価がウイルス血症の期間と逆相関を示した(p=0.0022)。血清反応陽性ドナーから移植を受けた血清反応陰性の移植患者では、ワクチン群がプラセボ群よりも、ウイルス血症の期間(p=0.0480)、ガンシクロビル治療日数(p=0.0287)が有意に短かった。著者は、「移植後の細胞性免疫の抑制を背景にサイトメガロウイルス症が起きるが、サイトメガロウイルス糖蛋白Bワクチンで誘導された液性免疫によってウイルス血症が減少することが示された」と結論し、「ワクチン群で有意に増加した有害事象は、事前に健常ボランティアで確認したとおり、注射部位の疼痛のみであった。それゆえ、本ワクチンは移植患者においてさらなる検討を進める価値がある」としている。(菅野守:医学ライター)

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急性呼吸促迫症候群(ARDS)生存患者の長期5年アウトカム

急性呼吸促迫症候群(ARDS)生存患者の長期5年アウトカムの追跡調査結果が、カナダ・トロント大学のMargaret S. Herridge氏らにより報告された。これまでの長期追跡調査は2年が最長で、患者本人へのインタビューや評価に基づく総合的・長期データ(肺機能、身体機能、健康関連のQOL、医療・介護サービス利用、費用)は集約されていなかった。報告は1998~2001年の間に登録された「TORONTO ARDS」追跡調査からの結果で、被験者は重度の肺障害を有するものの合併症はほとんどない比較的若い患者であった。NEJM誌2011年4月7日号掲載より。ARDS後の障害状況、医療・介護サービス利用増大の関連因子などを調査5年追跡調査は、ARDS後の身体的、精神的、QOLの障害状況を分類、定量化、描出し、不良アウトカムや医療・介護サービス利用増大と関連する因子を調べることを主要な目的に行われた。追跡された被験者はトロントの4つの大学病院のICUで登録された109例のARDS生存患者(ARDS発症時年齢中央値44歳)で、ICU退室後から3、6、12ヵ月時点および2、3、4、5年時点の外来受診時に、インタビューと検査を受け評価された。インタビューおよび検査の内容は、肺機能検査、6分間歩行テスト、安静時および運動時の酸素飽和度測定、胸部画像診断、QOL評価(SF-36;スコア0~100、よりスコアが高いほど良好)であった。若く合併症のない患者でも完全な回復は望めない5年時点の評価の結果、6分間歩行テストの結果は436m(年齢・性でマッチさせた対照群から算出した予測値の76%)で、QOL評価(特に身体的評価)スコアは41(年齢・性でマッチさせた対照群からの平均標準スコアは50)であった。これらスコアに関して、若い患者のほうが高齢の患者よりも回復の度合いが大きかったが、いずれも5年時点の身体機能レベルは標準予測値には達していなかった。一方で5年の間に、その他身体的、精神的な一連の問題が患者または家族介護者に発生したり、持続していた。また合併症が多い患者ほど5年間の費用負担が大きかった。Herridge氏は、「重度の肺障害後には、運動制限や身体的・精神的後遺症、身体的QOL低下、医療サービスの利用・費用の増大が重大な“遺産”として存在する」と結論し、若く合併症のない患者でも完全な回復は望めないことなどから、ICUで入手した虚弱状況を理解し、個別に家族にも目を向けた評価を行い、長期視点でのリハビリプログラムの調査を優先すべきとまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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青年期のBMI高値は糖尿病、冠動脈心疾患の有意な予測因子

青年期のBMI高値は、中年となった現在の値が標準とみなされる範囲の値であっても、中年期の肥満関連の疾患の予測因子となるなど、これまで明確にされていなかった青年期から成人期のBMI値と若年成人期の肥満関連の疾患との関連が明らかにされた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院内分泌学・糖尿病・高血圧部門のAmir Tirosh氏らが、イスラエル軍医療部隊の定期健診センターを通じて得られたデータを前向きに調査した「MELANY試験」の結果による。NEJM誌2011年4月7日号掲載報告より。3万7,674例のBMI値の17歳時からの推移と糖尿病、冠動脈心疾患発症を前向きに追跡MELANY(Metabolic, Lifestyle, and Nutrition Assessment in Young Adults)試験は、イスラエル軍医療部隊の定期健診センターを通じて得られた3万7,674例の外見上は健康な若い男性を対象としたのもので、血管造影で確認された冠動脈心疾患および糖尿病の発症について前向きに追跡された。部隊で最初に健診が行われたのは被験者が17歳時で、身長および体重が測定され、その後定期的に同測定が行われた。冠動脈心疾患発症プロセスは糖尿病発症プロセスよりも緩徐であるとの仮説が支持される平均追跡期間17.4年、約65万人・年追跡において、2型糖尿病発症は1,173例、心血管疾患発症は327例であった。年齢、家族歴、血圧、生活習慣因子、血中バイオマーカーで補正後の多変量モデル解析の結果、青年期のBMI値(被験者の十分位平均値範囲:17.3~27.6)が高いことは、糖尿病の有意な予測因子となり(最高十分位範囲 vs. 最低十分位のハザード比:2.76、95%信頼区間2.11~3.58)、また心血管疾患の有意な予測因子となる(同:5.43、同2.77~10.62)ことが示された。さらに成人期のBMIで補正すると、青年期BMIと糖尿病との関連は完全に断ち切られたが(ハザード比:1.01、95%信頼区間:0.75~1.37)、冠動脈心疾患との関連は継続した(同:6.85、3.30~14.21)。BMI値を多変量モデルにおける連続変数として補正すると、糖尿病と有意な関連は成人期BMI高値のみに認められた(β=1.115、P=0.003、交互作用のP=0.89)。対照的に冠動脈心疾患は、青年期(β=1.355、P=0.004)と成人期(β=1.207、P=0.03)の両時期のBMI高値との独立した関連が認められた(交互作用のP=0.048)。研究グループは、「青年期のBMI高値は、中年となった現在のBMI値が標準とみなされる値であっても、中年期の肥満関連の疾患の予測因子となる」と結論。また、「糖尿病のリスクは主として診断された時期に近いBMI高値と関連するが、冠動脈心疾患のリスクは青年期と成人期の両時期のBMI高値と関連しており、冠動脈心疾患、特にアテローム性動脈硬化の発症プロセスは糖尿病の発症プロセスよりも緩徐であるという仮説を支持するものである」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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子宮摘出歴のある閉経後女性、エストロゲン投与中止後のアウトカム

子宮摘出歴のある閉経後女性で、エストロゲンを服用(5.9年)し、その後服用を中止した人の追跡10.7年時点における冠動脈心疾患や深部静脈血栓症(DVT)、股関節骨折の年間発生リスク増大との関連は、いずれも認められないことが明らかにされた。米国・Fred Hutchinsonがん研究センターのAndrea Z. LaCroix氏らが、被験者1万人超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験で、予定より早期にエストロゲン投与を中止した人についての、その後のアウトカムを追跡した結果による。JAMA誌2011年4月6日号で発表した。エストロゲン投与中止後、約7,600人について3年超追跡LaCroix氏らは、1993~2004年にかけて、1万739人の子宮摘出歴のある、50~79歳の閉経後女性を無作為に2群に分け、一方には結合型ウマエストロゲン0.625mg/日を、もう一方にはプラセボを投与するWHIエストロゲン単独療法試験(Women's Health Initiative Estrogen-Alone Trial)を開始した。追跡期間中、エストロゲン群の脳卒中リスク増加が認められたため、試験開始後平均7.1年の時点で投与は中止となった。エストロゲン服用期間の中央値は、5.9年だった。その後、被験者のうち7,645人について、2009年8月まで試験開始から平均10.7年追跡した。試験期間全体の乳がんリスク、エストロゲン群はプラセボ群の0.77倍結果、エストロゲン投与中止後の冠動脈心疾患の年間発症リスクは、エストロゲン群が0.64%に対し、プラセボ群が0.67%と、両群で有意差はなかった(ハザード比:0.97、95%信頼区間:0.75~1.25)。乳がんの年間発症リスクも、エストロゲン群が0.26%、プラセボ群が0.34%(同:0.75、同:0.51~1.09)と有意差はなく、年間総死亡リスクも各群1.47%、1.48%(同:1.00、同:0.84~1.18)と有意差は認められなかった。服用中止後の脳卒中リスクについても、エストロゲン群0.36%に対しプラセボ群0.41%、DVTリスクも各群0.17%と0.27%、股関節骨折リスクも0.36%と0.28%と、いずれも両群で有意差はみられなかった。試験期間全体では、乳がんリスクはプラセボ群が0.35%に対しエストロゲン群が0.27%と、有意に低率だった(ハザード比:0.77、同:0.62~0.95)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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1日100mg以上のオピオイド処方、過剰摂取による死亡リスクを4.5~12倍に増大

オピオイドの処方量と過剰摂取による死亡リスクとには関連があり、1日100mg以上処方した場合は、1日1~20mg未満処方した場合と比べて、過剰摂取による死亡リスクが4.5~12倍に増大することが明らかになった。投与の指示(「定期的に服用」と「必要に応じて服用」)と死亡リスクに関しては、差は認められなかったという。米国・ミシガン大学のAmy S. B. Bohnert氏らが明らかにしたもので、JAMA誌2011年4月6日号で発表した。米国ではここ10年ほどの処方オピオイドの過剰摂取による死亡が増大しており(1999~2007年で124%)、処方パターンと死亡リスクとの関連の可能性が指摘されていた。オピオイド過剰摂取による死亡率、0.04%と推定Bohnert氏らは、がん、慢性疼痛、急性疼痛、物質使用障害(substance use disorders)でオピオイドを使用していた患者において、1日の処方量や服薬スケジュール(必要に応じて服用、定期的に服用、両者)と過剰摂取による死亡リスクとの関連を評価することを目的に試験を行った。退役軍人健康庁(Veterans Health Administration;VHA)のデータを基に、2004~2008年までに故意ではなく過剰摂取により死亡した750人と、2004~2005年に診察を受けたオピオイド服用者から無作為に抽出した15万4,684人について検討した。主要評価項目は、年齢、性、人種、共存症で補正後の、処方量・スケジュールと死亡との関連とした。結果、オピオイド過剰摂取による死亡率は0.04%と推定された。がん患者への1日100mg以上投与、過剰摂取による死亡リスクは12倍故意ではないオピオイド過剰摂取による死亡リスクは、1日の最大処方量と直接的な関連が認められた。1日1~20mg未満投与に比べ、1日100mg以上投与のオピオイド過剰摂取による死亡に関する補正後ハザード比は、物質使用障害患者で4.54(95%信頼区間:2.46~8.37、絶対リスク差:0.14%)、慢性疼痛患者で7.18(同:4.85~10.65、同:0.25%)、急性疼痛患者で6.64(同:3.31~13.31、同:0.23%)、がん患者で11.99(同:4.42~32.56、同:0.45%)だった。服用に関する指示については、「定期的服用」と「必要に応じて服用」との補正後リスクに有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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