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【お知らせ】脳腫瘍啓発セミナー「もっと知りたい脳腫瘍のこと」 参加者募集

 NPO法人キャンサーネットジャパンは、7月25日(日)「もっと知りたい脳腫瘍のこと」と題し脳腫瘍啓発セミナーを開催する。脳腫瘍全般の解説、最新の治療方法、予後や闘病生活などについて、脳腫瘍治療の拠点病院の医師らを中心に、治療の現状と進歩について正しい知識と情報を提供する。医療者の参加も募集中とのこと。 以下キャンサーネットジャパンより。 脳腫瘍の発生頻度は腫瘍全体のわずか3%程度。しかし、発生部位や病態病理も多種多様で最近の脳腫瘍分類では診断名が約150種類とも言われています。神経膠腫、胚細胞腫、頭蓋内悪性リンパ腫、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、そして転移性脳腫瘍。これらは全て脳腫瘍の病名ですが、どれも初めて聴く患者にとっては俄かに理解が難しい病気です。さらに成人と発育途中の小児の脳腫瘍では、その診断や治療が大きく異なる場合があり、治療には成人とは別の知識と技術を必要とします。このセミナーでは、脳腫瘍全般の解説、最新の治療方法、予後や闘病生活などについて、脳腫瘍治療の拠点病院の医師らを中心に、治療の現状と進歩について正しい知識と情報を提供します。・開催日:2010年7月25日(日) 12:15(開場11:45)-16:20・場所:東京ウィメンズプラザ ホール・参加費:1,000(キャンサーネットジャパン会員は無料)プログラム12:15~12:25セミナー開会挨拶 NPO法人キャンサーネットジャパン 柳澤 昭浩12:25~12:45<基調講演1> 「脳腫瘍総論」講師:国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科 成田 善孝12:45~13:15<基調講演2>「脳腫瘍の手術とは?」講師:東京女子医科大学病院 脳神経外科 村垣 善浩13:30~13:55<基調講演3>「脳腫瘍の化学療法とは?」講師:成田 善孝13:55~14:25<基調講演4>「脳腫瘍の放射線療法とは?」講師:筑波大学附属病院 脳神経外科 山本 哲哉

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制酸薬服用は術後肺炎リスクを増大しない

術後高齢患者への制酸薬服用と肺炎リスク増大には、関連が認められないことが報告された。カナダ・トロント大学のDonald A Redelmeier氏らが行った住民ベースの後ろ向きコホート解析による。BMJ誌2010年7月1日号(オンライン版2010年6月21日号)に掲載された。これまでICU患者を対象とした二つの大規模試験で、制酸薬服用患者の肺炎発症率は2~3倍増大すると報告される一方、市中肺炎発症に関する調査では相反する結果が得られていた。制酸薬は世界中で最もポピュラーに処方されており、また処方なしで買い求められることもあり、刊行されているガイドラインでは、リスクについての大規模な調査が必要であると提言していた。手術入院歴の65歳超約59.3万人を分析、21%が制酸薬を服用研究グループは、制酸薬服用と術後肺炎リスク増大との関連を調べるため、1992年4月1日~2008年3月31日の間、カナダの急性期病院に待機的手術のため入院した65歳超の患者59万3,265例を対象とした。主要評価項目は、術後肺炎の記録だった。被験者のうち、制酸薬を服用していた人(ケース群)は約21%で、主としてオメプラゾール(商品名:オメプラールなど)やラニチジン(同:ザンタックなど)を服用していた。服薬群の非服薬群に対する補正後発症リスクは1.02倍術後肺炎を呈した人は全体で6,389例いた。発症頻度は、ケース群(13/1,000例)の方がコントロール群(制酸薬非服用群、10/1,000例)と比べて高かった。ケース群の頻度増大は30%増だった(オッズ比:1.30、95%信頼区間:1.23~1.38、P

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妊娠中の携帯電話基地局からの電磁波曝露、0~4歳小児がんとの関連は認められず

小児早期のがん発病と、母親が妊娠中に携帯電話基地局からの高周波電磁波に曝露されていたこととは関連が認められないことが報告された。イギリスのロンドン大学公衆衛生校のPaul Elliott氏らが行ったケースコントロール試験の結果によるもので、BMJ誌2010年7月1日号(オンライン版2010年6月22日号)に掲載された。がん・出産レジストリを用いケースコントロール試験試験は、イギリスのがんレジストリ、出産レジストリのデータを用いて行われた。がんレジストリからは、1999~2001年の間の0~4歳児1,397例を同定しケース群とした。そのケース群1例につき4例ずつ性・生年月日を適合させたコントロール群を、出産レジストリから5,588例抽出した。主要評価項目は、脳腫瘍・中枢神経系がん、白血病・非ホジキンリンパ腫、および全がんの発病率とした。分析では、教育レベル、生活レベル、人口密度、住民構成で補正が行われた。基地局からの距離、出力電力、電力密度の違いとがん発病の関連認められず1996~2001年のイギリス国内の携帯電話基地局は76,890局。その設置データに基づき、基地局から出生時に登録された住所地までの平均距離を算出した結果、ケース群とコントロール群は同程度だった。ケース群1,107(SD:1,131)m、コントロール群は1,073(SD:1,130)mだった(P=0.31)。また、住所地からの距離が700m以内の基地局のトータル出力電力は、それぞれ2.89(SD:5.9)kW、3.00(SD:6.0)kW(P=0.54)、電力密度(面積当たり電力)は、-30.3(SD:21.7)dBm、-29.7(SD:21.5)dBmで(P=0.41)、これらについても両群で同程度だった。分析では、距離、出力電力、電力密度についてそれぞれ3群に階層化し主要評価項目に関するリスクについての検討もされた。そのうち電力密度について(低曝露群:-70~−26.4659 dBm、中等度曝露群:−26.4658~−17.6966 dBm、高曝露群:≧−17.6965 dBm)、低曝露群と比較して、中等度曝露群の全がん発病リスクのオッズ比(補正後)は1.01、高曝露群の同オッズ比は1.02だった(傾向P=0.79)。脳腫瘍・中枢神経系がんのオッズ比は中等度曝露群0.97、高曝露群0.76だった(傾向P=0.33)。白血病・非ホジキンリンパ腫のオッズ比は中等度曝露群1.16、高曝露群1.03だった(傾向P=0.51)。

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主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」

東邦大学医療センター大森病院 医学部産科婦人科学講座 主任教授を務める。子宮筋腫治療最前線の場で患者個々の生活環境へ対応することで定評がある。日本産科婦人科内視鏡学会常務理事、日本生殖医学会評議員などその他産科婦人科系で数多くの役員を兼務。分娩施設減少で医療従事者にもしわ寄せ社会的に今、産科医療に大きな問題点があります。それは分娩施設が少なくなっているということです。たとえば東邦大学医療センター大森病院がある大田区では、4カ所の分娩施設しかなく、妊婦はもとより医療従事者にもそのしわ寄せは来ています。分娩施設が少ないため、区内の施設で出産できるのは大田区民の妊婦の約半数です。大田区以外でもこの問題は大きく周産期医療の学会で問題になっています。この周産期医療の問題点は解決する糸口がみつかっていません。分娩施設は少なく、また産科医の不足がさらに問題点を大きくしています。生殖機能ハイリスク症例を受け入れる大きな拠点もできましたが、解決にはいたっていません。当医療センター大森病院でも40歳以上のハイリスク分娩の患者さんが増えています。現在、普通の分娩をする場所が減少しています。年間約1000例の分娩症例のうち20%は高年齢出産です。30代でも以前は高齢出産とされていましたが、今はそれをはるかに超えた年齢の方が多くなっているというのが最近の分娩事情です。これは女性をとりまく社会環境やライフスタイルの変化が大きな理由です。以前と比べ男性と同等に外で働いている女性が多くなったこと、また結婚時期の選択肢が広がっています。おそらく、これからもライフスタイルは変化し続けるでしょう。私たち産科婦人科医療は女性のライフスタイルの変化とともに対応を迫られています。興味のある診療科目から自分の専門領域へ社会的に問題にされやすい産科婦人科ですが、その診療科目を私が選択したのは、生命が生まれるという医療世界の中で唯一喜ばしい診療科目だと思ったからです。人間の生命が誕生する、生殖に大きく関わることに大変興味を持ち、今もなお奥深さを感じています。生殖機能を子どもが産める身体として温存・治療して改善するなど私にとって、治療方法を模索することは研究対象として大変深いものがあります。また私は大学4年生の授業を担当しているのですが、講義をすると産科婦人科の診療科目に対する興味関心を大きく持ってもらえます。そして、お産という太古の時代から何も変わらず人類は生まれてくるということに、この診療科目の深さを感じています。産科では、新しい命が生まれてくるという素晴らしい瞬間に立ち会えるのです。私たちが学生の頃と違い、今はインターネットなど調べる手段がたくさんあり、学生たちは多くの知識を身につけています。しかし、多くの知識が一につながらず苦慮している姿を時々見かけます。広い視野を持った一人の人間として患者さんに接してもらいたいですね。専門領域は知識だけでは極めることができませんから。お産はまだまだわからないことが多い世界でもあります。そこにいろいろな疑問を持って生殖機能に関する産科婦人科という診療科目に接していただきたいです。子宮温存希望患者のために最善を尽くす私のところへ初診に来る患者さんは、子宮筋腫だとすでにわかっている人たちが多く来院します。中でも筋腫からくる症状に常日頃から悩まされているようです。そして、特に最近多いのが、未婚で未妊の方たちです。日本は海外に比べて未婚で出産する人の割合が少なく、このような方々の来院は以前では考えられませんでした。私の場合は、年間350人の手術例のうち150人は子宮筋腫の患者さんです。手術侵襲の少ない方法をとって手術に臨んでいます。多くの患者さんは他の病院で子宮全摘出を言われ、温存を望んで来院しますが、本当に本人にとって温存がよいかどうか判断し、的確に伝えられるように努めています。子宮筋腫は良性であり、手術が絶対的に必要であると判断して勧めることはしません。患者さんそれぞれの症状のつらさや、年齢、将来の妊娠・出産の希望を総合して、自身に判断してもらいます。私は、子宮温存を望む方のためにあらゆる努力をしています。たとえば、子宮を残すためには開腹手術の必要性を説明し、こちらの治療方針に理解をしてもらう努力をしています。全てに最善を尽くし患者さんの理解を得ています。チーム医療で治療方針、一人ひとりの患者さんのために当医局内では、毎週カンファレンスを行っていますが、患者さんにどれだけのエビデンスに基づいた治療方法を提案できるか、意見を出し合い探っていきます。患者さんの困っている症状、お子さんが欲しいかどうか、カルテデータにとらわれずに患者さんの状況を踏まえた治療方針を打ち出すことを、私どものチーム医療で行っています。しかし、診察を決めかねるケースがあれば、毎週のカンファレンス以外でも症例を検討できるよう、チームの体制の強化には万全を尽くしています。東邦大学医療センター大森病院の産科婦人科では、子宮筋腫・卵巣腫瘍・子宮内膜症などに対して内視鏡技術認定医によるチーム医療が行われており全国から患者さんが来院します。まずは患者さんにお会いすることから始まります。病気だけを診る医療ではない診察を心がけているため、私どものチーム医療体制への信頼がここへ集約しているのです。医学はサイエンスですが、サイエンスだけでは治療できない部分が相当あり、患者さんは一人ひとり違う身体を持っているわけです。そこには決まりきった治療はないのです。同じ病気に対して同じ診察・治療の説明をするのではなく、患者さんに合った説明をすべきです。若い医師たちの診察方法をみていると、一つの症状に対して一通りの説明しかできない人が多いように感じます。それでは患者さんのための医療とはいえないでしょう。医師は治療方針をどれだけ患者さんに説明することができるかだと思います。カンファレンスではエビデンスに基づいた治療方針を打ち出すことができるか、一つでも満足してもらえる治療方針を提供することができるか、そういう医療を常に目指しています。これからも臨床・研究の場で産科婦人科を希望する学生が減り人材不足気味でしたが、最近は希望者が少しずつ増えてきましたね。3人に1人いるであろう子宮筋腫という一般的な病気ではありますが、まだ解明できていない部分が大きいのです。生殖の補助医療というのは約20年の歴史で発達してきました。しかし、子宮筋腫がなぜできるのかは未だわかっていません。私たち医師にはやるべきことがまだまだたくさんあります。私はこれからも研究してまいります。自分の診療について悩んでいる方も多いことでしょう。どうしたらよいのか?私は、自分の診療に対して疑問を持って臨むこと、また常に何に対しても興味を抱くことをモットーとしています。新しいことが正しいとも限りませんが、技術は進歩しているわけです。何事にも興味関心を持っておくべきでしょう。そして、自分の治療を振り返ることは必要でしょうね。まず、患者さんの話をよく聞くこと、その上で自分の患者さんへの治療方針を述べることができるように整理して伝えることができるようにしておくと良いですね。患者さんは最近の情報伝達の進歩により知識を多く持っていますから、その知識が正しいかどうかを判断し、間違っている知識だった場合はエビデンスに基づく正しい知識に置き換えられるような対応が必要です。診療の説明をするためには、正常で健康な身体のこと、つまり基礎医学が理解できていないと患者さんに説明はできないですね。病院に勤務すると病気の患者さんしか来院しませんから、健康体のことがわからず説明に困窮する場合もあります。だから、まずは基礎医学をしっかり極めてください。治療に対し理解を得られるような説明をすることができるかによってコミュニケーション能力が問われることでしょう。質問と回答を公開中!

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主任教授 森田峰人先生の答え

子宮内膜症と低用量ピルについて子宮内膜症の治療で低用量ピルを使用することもあるかと思いますが、副作用の発現はどうでしょうか?私自身は内膜症を診るわけではないのですが、患者さんから相談を受けることがあるので、症例数が多いであろう大学病院臨床現場での状況を知りたいです。宜しくお願いします。OC(ピル)はエストロゲン+プロゲストーゲンの配合剤であることはご存じと思います。これらのホルモン依存性に副作用が発生すると考えられます。一般的にエストロゲンとしてエチニルエストラジオールが、プロゲストーゲンとしてノルエチステロン、デソゲストレル、レボノルゲストレルがあり、OCの種類によってこれらの組み合わせや1相性、2相性、3相性が存在します。一般的にエストロゲン依存性の副作用としては、悪心・嘔吐、頭痛、水分貯留、帯下増加などが、プロゲストーゲン依存性の副作用としては、倦怠感、抑うつ感、乳房緊満感などが、アンドロゲン依存性(プロゲストーゲンには男性ホルモン活性があります)の副作用として、体重増加、ニキビ、食欲亢進、性欲亢進、男性化兆候などがあります。これらの副作用発現率は各種プロゲストーゲンの種類により異なるとは思いますが、全体的な副作用発現率として、悪心・嘔吐は1.2~29.2%、頭痛は3.4~15.7%、体重増加は0.8~2.2%、乳房緊満感は0.1~20%等となっており、これらのマイナートラブルは、通常、3か月以内で消失するともいわれています。子宮内膜症患者さんの月経痛改善のための効果ですが、ほとんどの場合効果はあると感じています。しかしながら、OCの各種副作用の発現により、継続しての服用が困難になる場合もあります。そのような場合には、OCの種類を変更することで継続服用が可能になる場合が多々あり、1種類のOCがダメであってもあきらめる必要はありません。子宮頸がんワクチンの効果・副反応について最近、子宮頸がんワクチン接種に関して助成金が出るとか出さないとか、何かと話題になっていますが、そもそもこのワクチン、実際の効果は如何なものなのでしょうか?「日本人には合わない」などおっしゃっている先生もいるようです。また、副反応についても現場の見解を知りたいと思っています。差し支えない範囲で結構ですのでご教授お願いします。現在使われているワクチンはHPVの遺伝子型が16と18に対するものです。日本人の子宮頸がんに関連するHPV遺伝子型が16と18であるものは58.8%(16型44.8%+18型14.0%)と報告されています。海外の報告では16/18が70.7%(16型53.5%+18型17.2%)で、その他31,33,35,51,52,53,56,58,59,68の10の型が31.2%に検出され、その他の型が9.0%であったとなっています。日本人の統計で、このワクチンでHPV16/18型の感染による子宮頸がんの発生を予防できる全体に占める割合は60%弱ということになります。よって、16/18による子宮頸がん発生を100%抑制できるとして、ハイリスクHPV感染者の0.15%ががんになるのを防げる場合の、費用対効果がどうなるのかは現在のところはっきりしていません。さらに大切な事として、日本における子宮頸がん検診率は23%程度であり、この健診率を先進国並みの60~82%に持って行く方法を考える必要があると思います。副反応に関しましては、全てのワクチンに言えることですが、何らかの重篤な合併症が引き起こされる可能性は否定できません。一般的な副反応として、局所の疼痛や発赤は90%程度に認められておりますが、当院での接種に際しては、幸いなことに重篤な副反応には遭遇しておりません。今後、これらの副反応に関しましても日本におけるデータが集積されてくるものと思います。研修について産婦人科医を目指している医学生です。産婦人科医になるにあたり、小児科(NICU)を経験した方が良いと聞きます。また、病院によっては一定期間NICUへ行かせてくれるところもあると聞きます。大森病院さんでも、このように小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりする機会はあるのでしょうか?ホームページを拝見しましたが、その辺の情報がなかったので教えて頂ければと思います。東邦大学医療センター大森病院でも小児科(NICU)のことを勉強したり、経験したりすることになります。産婦人科のホームページで「入局希望の方へ」を見て頂くと「後期研修プログラム」として1年目に「産科・周産期」と記載してありますが、この期間に3か月間、新生児科(NICU/GCU)の研修を行うことになります。また、後期研修期間中に、「腫瘍」「生殖内分泌」を専門医レベルまで習得してもらうために、2年目「腫瘍」、3年目「生殖内分泌」を主な研修期間としてトータルで3年間での研修計画をたてています。その後に、さらに新生児科での研修を希望される場合には、適時相談により、更に高度な新生児科での研修を行うことも可能です。産科婦人科の専門領域について初期研修中の者です。最近、産婦人科医に興味を持つようになりました。産婦人科の専門領域を大きく分けると、周産期、婦人科腫瘍、生殖医学の3つと教わりましたが、どれを専門にするのか?を決めるのは、通常どの位のタイミングなのでしょうか?また、森田先生はいつ頃、どんな理由で今の専門(婦人科腫瘍でしょうか?)に決めたのでしょうか?場違いな質問でしたら申し訳ありません。宜しくお願いします。後期研修として産婦人科に進んだ場合、まず目指していただくのは産婦人科専門医です。当院でもまずはそれを第1目標にしています。通常、後期研修3年間(初期研修2年とあわせて卒後5年)が終了した時点で専門医の受験資格ができます。それまでは、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」の3本の柱をしっかりと研修し、専門医取得を目指します。通常は、その後に専門性のあるサブスペシャリティの各種指導医や認定医取得、および研究などを行うことになります。自分自身の場合は、卒業が27年前ですので、現在のような初期研修、後期研修制度はなく、卒業して直ちに医局に入局し、2年間の研修医、その後2年間の関連病院での研修の後に、卒後5年目に大学に帰局して研究を始めるとともに、当時、黎明期であった婦人科内視鏡に興味を持ち、臨床では生殖医療や関連する子宮内膜症、子宮筋腫などの診療に携わってきました。自身のおかれている環境によっても、これら専門領域選択に適切な時期や場所が大きく異なる可能性もあります。まずは、興味を持ち、かつ、その領域にすすむ事ができる環境にあるかどうかの見極めは大切なことでないかと思います。また、産婦人科としてのジェネラリストを目指すという道もあります。妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけること妊娠糖尿病患者を診るときに気をつけていることがありましたらご教授下さい。特に糖尿病専門医との連携方法で気をつけていることや、こうすると上手く行く!といったノウハウをお聞きしたいと思っております。私の病院には糖尿を診れる医師はいないため、いつも他院の先生方との連携になってしまいます。どのように連携するのが良いのか毎日模索している日々です。ご教授お願いします。ご質問いただきました内容に関して、的確にお応えできる回答を持ち合わせておりませんが、他院の先生と連携をとって妊娠糖尿病患者を診ておられるご苦労は大変かと思います。ご存じの対応であるとは思いますが、妊娠糖尿病患者に対しては、食事指導、運動療法からはじまり、妊娠中の運動療法は比較的制限を受けることから、食事療法のみで血糖コントロールが目標に到達しない場合には、迷うことなくインスリン療法を開始する、ということに尽きると思います。男性産婦人科医が気をつけること産婦人科は、女性医師と違って男性医師は色々と気を遣わないといけない科だと思います。先生が男性産婦人科医として気をつけている点を教えてください。産婦人科の診察対象は女性生殖器であることから、最近は、女性医師の診察を希望する患者さんも増加しています。まず、大切なことは、不安を抱いている患者さんに対して、出来るだけその不安を取り除き、適切な診療ができる環境を作り出すことにあります。一言で言い表すのは難しいですが、常に、そのような気持ちで患者さんと接するよう心がけています。また、男性医師は、診察の場面では必ず女性の看護師を同席させることも忘れてはならない事です。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルについて海外に比べた時、日本の産婦人科領域の臨床研究はどの位の位置にいるのでしょうか?また、海外への留学は必要なのでしょうか?僕はまだ医学生なのですが、将来は先生のように研究も臨床もでき、多くの患者さんのライフスタイルにあった治療提案ができるドクターになりたいと思っています。日本の産婦人科領域の臨床研究レベルは決して諸外国に劣っているとは思いません。しかし、日本人であるが故の不利な点があります。世界で研究に対する評価を得るためには英文論文の執筆は不可欠です。しかしながら、日本ではやはり主に日本語による論文執筆が先になり、英文は後回しになる傾向があるように思えます。もちろん、英文の論文を多数輩出している優れた日本人研究者もたくさんいらっしゃいますが、大変な努力が必要であることは事実です。海外への留学に関する事ですが、この留学は研究留学のことと理解してコメントします。留学には、研究留学と臨床留学がありますが、現在、大多数を占めるのは大学医局からの研究留学です。しかし、研究留学は目的意識を高く持たないと得るものは少ないと思われます。必ずしも留学が必要である理由は存在しないと思います。臨床遺伝について大森病院さんのホームページで、臨床遺伝についての記載がありますがもう少し教えて頂けないでしょうか?今大学病院では、具体的にどんな研究や取り組みが行われているのか?どのような成果を上げているのか興味あります。是非宜しくお願いします。近年、疾患に限らず生命現象ほとんどが遺伝子によって制御されていることが解明され、注目を浴びています。臨床遺伝学は、基礎遺伝学(いわゆる遺伝学)と臨床をつなぐ重要な分野として発展してきています。さらに最近では、生活習慣病などの多因子疾患も、遺伝子が関与している事が判明しています。しかし、遺伝学的検査を行うときに、十分な説明がなされず、施行されたり、結果を適切に判断することが出来ず、誤った説明などがなされ、時に、患者、その家族に誤解を招く場合があります。大森病院には、日本人類遺伝学会、遺伝カウンセリング学会認定の、臨床遺伝専門医が2名(いすれも産婦人科医)がおり、専門医研修施設に認定されています。産婦人科領域、生殖遺伝(挙児希望、習慣流産など)、周産期遺伝(出生前診断、高齢妊娠など)を中心に、火曜日午後、遺伝相談外来として対応しています。また、内科、外科など他科の担当医と協力し、横断的に、遺伝学的検査施行時、結果説明時など患者、その家族と話し合う機会を設けています。窓口は、産婦人科外来となっており、電話にて担当医と受診の予約についてお話しいただけます。妊娠を控えている慢性腎臓病実臨床にて妊娠を控えている慢性腎臓病の患者に対してどのような降圧剤を選択するのがベストか、臨床研究などの結果があれば教えていただければ幸いです.まず、慢性腎臓病合併妊婦では早期に妊娠高血圧症候群をおこして、母児共に予後が悪い事はよく知られております。したがいまして、妊娠前に十分に腎機能検査を行い、GFR 50ml/分以下、血清クレアチニン1.5mg/dl以上、血清尿酸値6.0ng/ml以上、降圧剤投与での血圧160/110mmHg以上、あるいは腎生検にて活動性病変のある者には妊娠を許可すべきではありません。これらの条件をクリアして、血圧の管理を行い、拡張期血圧を90~100mmHgの範囲に、収縮期血圧155~160mmHgを超えない事を目標に、妊娠が成立しても継続して投与が可能な薬剤を選択する事が望まれます。第1選択はヒドララジンもしくはメチルドパになります。また、妊婦に対してはACE阻害剤、アンギオテンシン受容体拮抗薬は禁忌であり、妊娠前にこれらの薬剤によりコントロールされている場合には薬剤の変更が必要になります。したがいまして、妊娠を目指して降圧剤を使用する場合にはヒドララジンもしくはメチルドパによる良好なコントロールがその後の管理が行いやすい状況にすると思われます。月経か否か性器出血が主訴の患者さんで性成熟期で子宮がある場合、どれが月経なのか不正性器出血なのか分からないと言われます。まず頚部・内膜の細胞診はとり、経膣エコーを見るかと思いますが、産婦人科として出血が月経かどうかを判断する術はあるでしょうか。産後の不正出血などでも(明らかな遺残ではなく)それが月経なのか何なのか判断に迷うことがあります。お教えいただけないでしょうか。 性器出血の様子だけから判断することは困難です。出血の様子に加え経腟超音波所見は重要で、特に子宮内膜の状態は評価に大きく役立ちます。患者さんのもともとの月経周期や体型なども判断材料になる機会は少なくありません。総合的に評価することとなります。総括たくさんの、また様々な内容のご質問をいただきありがとうございました。産婦人科の3本柱は、「周産期」「腫瘍」「生殖内分泌」であり、まだまだ伝えきれないほどの魅力ある診療および研究分野がたくさんあります。少しでも興味を持って、産婦人科の世界に入ってきてくれる人たちが増えてくれることを願っています。主任教授 森田峰人先生「産科婦人科最先端治療は患者個々への対応が決め手」

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トラネキサム酸が、出血性外傷患者の死亡リスクを低減:2万例の無作為化試験

出血性外傷患者に対して、トラネキサム酸(商品名:トランサミンなど)短期治療を早期に開始すると、安全性を保持しつつ死亡リスクが有意に改善されることが、イギリスLondon School of Hygiene & Tropical MedicineのHaleema Shakur氏らが実施した「CRASH-2試験」(http://www.crash2.lshtm.ac.uk/)の結果から明らかとなった。外傷による院内死亡の約3分の1は出血が原因であり、多臓器不全による死亡にも出血が関与している。トラネキサム酸は、待機的手術を施行された患者の出血を低減させる可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年7月3日号(オンライン版2010年6月15日号)掲載の報告。40ヵ国、2万例の外傷患者のプラセボ対照無作為化試験CRASH-2試験の研究グループは、外傷患者に対する短期的トラネキサム酸治療の早期投与が、死亡、血管閉塞性イベント、輸血の費用に及ぼす効果を評価するためにプラセボ対照無作為化試験を実施した。40ヵ国274施設から重篤な出血あるいはそのリスクを有する2万211例の外傷患者が登録され、8時間以内にトラネキサム酸を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。トラネキサム酸は、10分以上かけて1gを負荷投与したのち、8時間で1gを静注投与することとした。患者および試験関係者(各施設の担当医師、試験運営センターのスタッフ)には、治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は受傷後4週以内の院内死亡とし、死亡原因を出血、血管閉塞(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓)、多臓器不全、頭部外傷、その他のカテゴリーに分けて解析した。全死亡が有意に9%低下、出血による死亡リスクも有意に15%改善トラネキサム酸群に1万96例が、プラセボ群には1万115例が割り付けられ、それぞれ1万60例、1万67例が解析の対象となった。全死亡率は、プラセボ群の16.0%(1,613/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は14.5%(1,463/1万60例)と有意に抑制された(相対リスク:0.91、95%信頼区間:0.85~0.97、p=0.0035)。出血による死亡リスクも、プラセボ群の5.7%(574/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は4.9%(489/1万60例)と有意に低下した(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.76~0.96、p=0.0077)。著者は、「トラネキサム酸は、出血性外傷患者の死亡リスクを安全に低減する。これらの結果に基づき、出血性外傷患者ではトラネキサム酸の使用を考慮すべきである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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HIV患者の併用抗レトロウイルス治療を看護師に任せてよいか?

併用抗レトロウイルス療法(ART)を受けているHIV患者の管理を、訓練を受けた看護師が行っても、医師よる治療と同等の効果が得られることが、南アフリカWitwatersrand大学のIan Sanne氏らが行った無作為化試験(CIPRA-SA試験)で示された。併用ARTはAIDS関連疾患や関連死を著明に低減することが示されている。先進国では、耐性検査を含む頻回の検査のサポートのもとで、専門医があらゆる薬剤を駆使してHIV治療を行っている。しかし、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国など医療資源が乏しい環境において併用ARTの使用を拡大するには、医師から他のケア提供者へ職務を移行する必要があるという。Lancet誌2010年7月3日号(オンライン版6月16日号)掲載の報告。看護師と医師によるART治療を比較する非劣性試験CIPRA-SA試験の研究グループは、HIV患者のART治療の管理を医師が行う場合と、これを看護師が行う場合のアウトカムを比較する無作為化非劣性試験を実施した。南アフリカの二つのプライマリ・ケア施設から、CD4細胞<350個/μL、WHO stage 3/4のHIV陽性患者が登録され、看護師によるART治療群と医師によるART治療群に無作為に割り付けられた。治療割り付け情報は患者にも、データ解析者にも知らされなかった。主要評価項目は、治療失敗に関する複合エンドポイント(治療を制限するイベント、全死亡、ウイルス学的失敗、治療を制限する毒性、受診予約に対するアドヒアランス)とした。治療失敗のハザード比の95%信頼区間上限値が<1.40の場合に、医師の治療に対して看護師による治療は非劣性であるとした。エンドポイントは看護師48%、医師44%、ハザード比1.09、95%信頼区間0.89~1.33医師によるART治療群に408例が、看護師によるART治療群には404例が割り付けられ、全例が解析の対象となった。治療失敗のエンドポイントは46%(371/812例)に認められ、そのうち看護師群は48%(192/404例)、医師群は44%(179/408例)であった。治療失敗の複合エンドポイントのハザード比は1.09、95%信頼区間は0.89~1.33であり、非劣性の上限以内であった。フォローアップ期間中央値120週における死亡は看護師群が10例、医師群が11例、ウイルス学的失敗はそれぞれ44例、39例、毒性が68例、66例、非受診が70例、63例であり、両群間で同等であった。著者は、「看護師によるART治療は、これを医師が施行した場合に比べ劣ることはなかった。この知見は、ART治療を適切な訓練を受けた看護師へ移行することを支持するものである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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頸動脈狭窄に対する内膜切除 vs. ステント留置、4年転帰有意差認められず:CREST試験

頸動脈アテローム硬化症は、虚血性脳卒中の重大原因である。治療は頸動脈ステント術と頸動脈内膜切除術の二つがあるが、症候性患者を対象とした、両手技を比較するこれまでの無作為化試験の結果は、相反し議論が続いている。米国メイヨークリニックのThomas G. Brott氏らは、症候性あるいは無症候性の頭蓋外頸動脈狭窄患者を対象に、両手技を比較検討する試験「CREST」を行った。脳卒中・心筋梗塞・死亡の複合をエンドポイントとした結果、両群で有意差は認められなかったという。NEJM誌2010年7月1日号(オンライン版2010年5月26日号)掲載より。2,500例超を中央値2.5年追跡CREST試験は、アメリカ108施設、カナダ9施設から症候性あるいは無症候性頸動脈狭窄患者が登録して行われた無作為化試験で、2000年12月から2008年7月までに2,522例が登録された。被験者は、頸動脈ステント術を受ける群、または頸動脈内膜切除術を受ける群に無作為化され、主要エンドポイントは、周術期の脳卒中・心筋梗塞・全死因死亡と、無作為化後4年以内の同側性脳卒中の複合だった。中央値2.5年追跡の2,502例の、4年推定主要エンドポイント発生率は、ステント群7.2%、内膜切除群6.8%で、両群に有意差は認められなかった(ハザード比:1.11、95%信頼区間:0.81~1.51、P=0.51)。主要エンドポイントに関する治療効果は、症候性であること(P=0.84)や、性差(P=0.34)による違いは認められなかった。周術期において、ステント群は脳卒中が、内膜切除群は心筋梗塞がハイリスク4年推定脳卒中・死亡の発生率は、ステント群6.4%、内膜切除群4.7%だった(ハザード比:1.50、P=0.03)。症候性有無別にみると、症候性グループではステント群8.0%、内膜切除群6.4%でハザード比1.37(P=0.14)、無症候性グループではステント群4.5%、内膜切除群2.7%でハザード比は1.86(P=0.07)だった。周術期の各エンドポイント発生率は、ステント群と内膜切除群とで違いが認められ、死亡は0.7%対0.3%(P=0.18)、脳卒中はステント群で有意に高く(4.1%対2.3%、P=0.01)、心筋梗塞は内膜切除群で有意に高かった(1.1%対2.3%、P=0.03)。周術期以後の同側性脳卒中の発生率は、ステント群2.0%、内膜切除群2.4%でいずれも低かった(P=0.85)。(医療ライター:武藤まき)

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中咽頭がん患者の死亡リスク、HPV腫瘍陽性群は陰性群より58%低い

ヒトパピローマウイルス(HPV)腫瘍陽性は、中咽頭がん患者生存の強い独立した予後因子であることが明らかにされた。HPVに起因する中咽頭扁平上皮がんの生存率は良好だが、HPV腫瘍が有意な独立予後因子であるかどうかはわかっていなかった。テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのK. Kian Ang氏らが、ステージIII、IVの中咽頭がん患者を対象にHPV腫瘍と生存率との関連を後ろ向きに分析した結果による。NEJM誌2010年7月1日号(オンライン版2010年6月7日号)掲載より。放射線療法の違いによる死亡リスクの有意差は認められなかった被験者は、放射線療法に関する加速分割照射法(360例)と通常分割照射法(361例)を比較する無作為化試験「RTOG 0129」の参加者[両群ともシスプラチン(商品名:ブリプラチンなど)併用]で、頭頸部に扁平上皮がんを有していた。そのうち、中咽頭がん患者でHPV腫瘍の状態が判明した323例を、HPV陽性がん(206例、63.8%)とHPV陰性がん(117例)に分類し、比例ハザードモデルを用いて両群間の死亡リスクを比較した。被験者登録は2002年7月から2005年5月に行われ、追跡期間の中央値は4.8年だった。試験全体の3年生存率は、加速分割照射法群(70.3%)と、通常分割照射法群(64.3%)で同等だった(P=0.18)。加速分割照射法群の死亡ハザード比は0.90(95%信頼区間:0.72~1.13)、有意差は認められなかった。グレードの高い急性(P=0.21)あるいは後発性(P=0.18)の毒性の発生率も両群で有意差はみられなかった。4つの因子で患者を、死亡リスク低~高の各群に分類中咽頭がんでHPV腫瘍陽性患者の3年生存率は、同陰性患者より良好だった(82.4%対57.1%、log-rank検定P<0.001)。年齢、人種、腫瘍・リンパ節転移ステージ、喫煙曝露、治療割り付けについて補正後、陽性群の死亡リスクは陰性群より58%低かった(ハザード比:0.42、P<0.001)。また死亡リスクは、喫煙曝露(箱-年)が増えるほど有意に増大した。さらに研究グループは、喫煙曝露の状況も判明していた被験者(266例)のデータを解析することで、「HPV腫瘍の状態(陽性か陰性か)」「喫煙曝露(10箱-年超か以下か)」「腫瘍ステージ(HPV陰性・10箱-年以下の患者でT2–T3かT4か)」「リンパ節転移ステージ(HPV陽性・10箱-年超の患者でN0–N2aかN2b–N3か)」の4つの因子で患者の死亡リスクを、低リスク群、中等度リスク群、ハイリスク群に分類できたことも報告している。(医療ライター:武藤まき)

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ピオグリタゾン対rosiglitazoneのイベントリスク:米国FDA報告

2型糖尿病治療薬のrosiglitazone(国内未承認)は、ピオグリタゾン(商品名:アクトス)他米国内で販売されているチアゾリジン系薬に比べ、脳卒中リスクを1.27倍、心不全リスクを1.25倍に増加するなど、心血管疾患イベントリスクを増大することが報告された。米国食品医薬品局(FDA)のDavid J. Graham氏らが、約23万人のチアゾリジン系薬の服用者を追跡して明らかにしたもので、JAMA誌オンライン版2010年6月28日号で発表された。被験者の平均年齢は74歳、最長3年間追跡研究グループは、米国の高齢者向け公的医療保険メディケアの被保険者で、2006年7月から2009年6月の間に、メディケアのパートD処方プランでrosiglitazoneまたはピオグリタゾンの服用を開始した22万7,571人について、後ろ向き発端コホート研究を行った。被験者は65歳以上で、平均年齢は74.4歳だった。追跡期間は、服用開始から最長で3年だった。エンドポイントは、急性心筋梗塞、脳卒中、心不全、原因を問わない死亡と、それらすべてを合わせた複合イベントだった。rosiglitazoneの複合イベント発生は1.68/100人・治療年その結果、追跡期間中にいずれかのエンドポイントが発生したのは、8,667人だった。rosiglitazoneのピオグリタゾンに対するイベント発生に関するハザード比は、脳卒中が1.27(95%信頼区間:1.12~1.45)、心不全が1.25(同:1.16~1.34)、死亡が1.14(同:1.05~1.24)、複合イベントが1.18(同:1.12~1.23)だった。なお、急性心筋梗塞については、1.06(同:0.96~1.18)で両群で有意差はみられなかった。また、複合イベント発生に関するrosiglitazoneの寄与危険度は、1.68/100人・治療年(同:1.27~2.08)だった。有害必要数(NNH)は、60人(同:48~79)への1年間投与だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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術後合併症予防キャンペーンSCIP順守の効果は?

術後合併症の予防を目的として、米国の主な医療機関が参加・展開するキャンペーン「Surgical Care Improvement Project」(SCIP)で定められた予防措置を守ることで、術後合併症リスクは15%減らせることが明らかにされた。ただし順守と術後合併症予防に有意な関連は認められなかったとも報告している。米国オハイオ州のケース・ウエスタン・リザーブ大学のJonah J. Stulberg氏らが、40万人超の患者について調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月23/30日号で発表した。感染予防措置の3項目順守率、2~6項目順守率をそれぞれ評価同氏らは、SCIPに参加し、予防措置の順守率について「Hospital Compare Web」で、「Premier Inc's Perspective Database」に基づき報告・公開している医療機関398ヵ所で手術を受け、2006年7月1日から2008年3月31日までに退院した40万5,720人について、後ろ向きコホート試験を行った。被験者のうち、白人は69%、黒人は11%で、高齢者向け公的医療保険メディケアの患者が46%、68%が選択的外科手術例だった。SCIPは7つの評価項目(INF-1~INF-7)と、2つの複合評価方法(S-INFコア、S-INF)から成る。複合評価方法「S-INFコア」は、評価項目の中心であるINF-1~INF-3の3項目から構成され、「S-INF」はINF-5を除く6項目から成る。研究グループは、複合評価方法でSCIP項目を順守することの術後感染に対する効果を評価するため、S-INFコア指標について3項目すべてを順守した群と順守しなかった群とで術後感染との関連を調べ、またS-INF指標については2項目以上を順守していた群と順守項目がなかった群とで順守状況と術後感染について調べた。評価に際しては、病院特性(規模、位置、教育病院かなど)を加味している。2項目以上順守の術後感染率0.85倍、中核の3項目順守で0.86倍結果、追跡期間中に発生した術後感染は、3,996件だった。S-INF評価で2項目以上を順守した群の術後感染率は、1,000退院当たり6.8、非順守群は同14.2で、順守群の方が低かった(補正後オッズ比:0.85、95%信頼区間:0.76~0.95)。S-INFコアについても、順守群の術後感染率は1,000退院当たり5.3、非順守群は11.5と順守群が低かったが、統計学的有意差は認められなかった(補正後オッズ比:0.86、同:0.74~1.01)。またSCIPの6項目のうち、順守したか否かで術後感染率の低下につながり他の項目と有意な差がついたという項目はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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電子化された診療記録の共有化のベネフィットとは?

イギリスで国家プロジェクトとして進められている電子化された診療記録の共有化は、そのベネフィットが当初の予想よりも小さく、実際に利用する臨床医は少ないことが、Barts and The London School of Medicine and DentistryのTrisha Greenhalgh氏らの調査で明らかとなった。電子化された診療記録が共有されれば、多彩なケアの利用を可能にする核心的な情報の発信が可能となり、医療の質、安全性、有効性の改善につながるとの期待があるが、500万人以上の人口を抱える国で、国レベルの電子患者記録の共有化に成功した例はないという。2007年、イギリス保健省は診療概要記録(SCR)の国レベルでの共有化を推進するプログラムを開始し、さしあたり救急と予約外診療での運用が始まっている。BMJ誌2010年6月26日号(オンライン版2010年6月16日号)掲載の報告。SCRの集積を進める国家プラグラムを評価研究グループは、電子化された診療概要の記録の集積を進める国家プログラム(English National Health Service 2007-10.)の評価を行った。SCRは、“National Programme for Information Technology”の一環として導入された。SCRの評価は国の政策との関連で第一線で遂行されるものとみなされ、3地域で実施された。国レベルで集めたデータおよび時間外や予約なしの受診が可能なプライマリ・ケア施設から収集された、41万6,325例のデータが集積され解析された。政策立案者、管理者、臨床医、ソフトウェア供給者などへの140のインタビュー、214の診療の観察記録を含む2,000ページの民族誌的現場記録、3,000ページにおよぶ文書が、テーマ別および解釈的に解析された。SCRの効果は当初の予測より小さく、利用頻度も低い2007~2010年に、SCRプログラムは社会的、技術的に膨大な課題に直面し、これを遂行するには高度な作業負荷を要し、複雑な相互依存が存在することが判明した。予約なしのプライマリ・ケア施設でSCRが利用できる環境を構築しても、これにアクセスして実際に使用する臨床医は多くないことが示された。SCR関連のベネフィットは、当初の予測に比べると小さく、確実性が低かった。プログラムの技術的側面や運営上の問題は、SCR導入の政治的、職業的、臨床的、個人的な意図などの主観的で状況的な論点と切り離せないことが示された。著者は、「電子化された患者の診療概要の記録の導入には一定の進展がみられるが、重大な社会的、技術的障壁がその広範な採用を阻んでいる。現時点でのベネフィットは当初の予想よりも小さく、不確実であった」とまとめている。(菅野守:医学ライター)

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歯磨きしないと心血管疾患になる?

劣悪な口腔衛生状態は心血管疾患のリスクを増大させ、軽度炎症のマーカーとも関連することが、イギリスUniversity College London疫学・公衆衛生学科のCesar de Oliveira氏らによるScottish Health Surveyの結果から明らかとなった。過去20年以上にわたり歯科疾患と心血管疾患の関連に対する関心が高まっている。炎症は動脈硬化の病因として重要であり、軽度炎症のマーカーが、高い心血管疾患リスクと関連することが示されており、口腔衛生が劣悪な状態は慢性的な炎症状態である歯周病を起こしやすいという。BMJ誌2010年6月26日号(オンライン版2010年5月27日号)掲載の報告。歯磨きの回数と心血管イベントのリスクの関連を評価研究グループは、自己申告による歯磨きの状況と心血管疾患との関連、および炎症マーカー(C反応性蛋白:CRP)、凝固(フィブリノゲン)との関連について検討した。スコットランドに居住する一般家庭を対象としたScottish Health Surveyに登録された平均年齢50歳の1万1,869人について解析を行った。口腔衛生状態は自己申告による歯磨きの回数で評価した。調査は病院の臨床記録とプロスペクティブに連動させ、Cox比例ハザードモデルを用いて口腔衛生状態に応じた心血管疾患イベントや死亡のリスクを推定した。口腔衛生と炎症、凝固との関連は4,830人において評価した。口腔衛生が劣悪だと心血管疾患イベントのリスクが1.7倍にフォローアップ期間平均8.1年において心血管疾患イベントは555件発生し、そのうち170件が致死的であった。心血管疾患イベントを来した患者の74%(411例)が冠動脈心疾患と診断されていた。完全に補正されたモデルでは、口腔衛生が劣悪な集団(歯を磨かない、または磨くことはまれ)では心血管疾患イベントのリスクが有意に増大していた(ハザード比:1.7、95%信頼区間:1.3~2.3、p<0.001)。これらの集団では、CRPやフィブリノゲンの濃度も上昇していた。著者は、「劣悪な口腔衛生状態は心血管疾患のリスクを増大させ、軽度炎症のマーカーとも関連することが示された。しかし、その因果関係は明らかではない」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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Rosiglitazone Associated with Increased Stroke, Heart Failure, and Death Compared to Pioglitazone in Elderly Patients

The thiazolidinediones rosiglitazone (Avandia) and pioglitazone (Actos) have become popular drugs for type 2 diabetes in recent years for their potential to improve glycemic control by increasing insulin sensitivity. Concern over the safety of rosiglitazone was raised by a 2007 meta-analysis of 42 trials associating the drug with increased risk of myocardial infarction (MI) and cardiovascular death (N Engl J Med 2007 Jun 14;356(24):2457).A new, large cohort study compared the safety of rosiglitazone vs. pioglitazone in 227,571 elderly patients (mean age 74 years) with diabetes who began taking 1 of the 2 drugs between July 2006 and June 2009. During a follow-up period of up to 3 years, there were 8,667 events of MI, stroke, heart failure, or death. The incidence rate per 100 person-years for the composite of these outcomes was significantly higher for rosiglitazone than for pioglitazone (9.1 vs. 7.42, p < 0.05) (level 2 [mid-level] evidence). The number needed to harm (NNH), calculated as the number of patients treated for 1 year to generate 1 excess event, was 60 for the composite outcome. Rosiglitazone was also associated with increased incidence rates of stroke (1.27 vs. 0.95, p < 0.05, NNH 313), heart failure (3.94 vs. 3, p < 0.05, NNH 106), and death (2.85 vs. 2.4, p < 0.05, NNH 222). Incidence rates of acute MI were not significantly different (1.83 vs. 1.63) (JAMA 2010 Jun 28 early online).Also recently published was an update of the 2007 meta-analysis with 14 additional trials comparing treatment with vs. without rosiglitazone. Rosiglitazone was associated with increased risk of MI (odds ratio 1.28, 95% CI 1.02-1.63), but there was no significant difference in cardiovascular death (Arch Intern Med 2010 Jun 28 early online).For more information, see the Rosiglitazone topic in DynaMed. Published by DynaMedCopyright(c) 2010 EBSCO Publishing. All rights reserved.DynaMedは、信用できる最新エビデンスを簡潔にまとめた診療サポート・EBM実践ツールです。DynaMed Weekly Updateは、毎週DynaMedに採用される記事の中から、医師にとって重要で臨床上の判断に影響を与え得ると思われる1~5つの記事を集めたニュースレターです。●問合せ先EBSCO Publishing (エブスコ・パブリッシング)〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-6-2 高円寺センタービル8FTEL: 03-5327-5321, FAX: 03-5327-5323, E-MAIL: medical@ebsco.co.jpHP: http://www.ebsco.co.jp/medical/dynamed

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エパデールが末梢動脈疾患患者の冠動脈イベントを抑制する ―JELIS試験のサブ解析結果より

持田製薬株式会社は5日、高脂血症、閉塞性動脈硬化症治療剤「エパデール」(一般名:イコサペント酸エチル、EPA)の高脂血症患者を対象とした大規模臨床試験「JELIS」において、エパデールが末梢動脈疾患を有する患者の冠動脈イベントを有意に抑制するとの結果が得られたと発表した。解析結果は日本循環器学会の機関誌『Circulation Journal』7月号に掲載されるとのこと。JELISのコントロール群(エパデール非投与群)について末梢動脈疾患の有無による冠動脈イベントの発症率を調べた結果、末梢動脈疾患を有していないグループでは7.2人/千人・年、試験登録時に末梢動脈疾患を合併しているグループでは38.6人/千人・年、また試験期間に末梢動脈疾患を新たに発症したグループでは55.2人/千人・年であった。末梢動脈疾患を合併しているグループの冠動脈イベント発症リスクは、末梢動脈疾患を有していないグループに比べて1.97倍高く、また新たに末梢動脈疾患を発症したグループでは2.88倍高いことが示されたという。また、末梢動脈疾患を有していたグループ(合併+新規発症)をエパデール投与群と非投与群とに分けて解析した結果、冠動脈イベント発症はエパデール投与群では17.3人/千人・年、エパデール非投与群では42.9人/千人・年となり、エパデール投与により冠動脈イベントの発症が56%有意に抑制されることもわかったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.mochida.co.jp/news/2010/0705.html

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糖尿病の血管疾患リスクはどの程度? 70万人のメタ解析

糖尿病の存在は、肥満、脂質異常、高血圧など従来のリスク因子とは別個に、血管疾患リスクを約2倍に高めることが、Emerging Risk Factors Collaborationが実施した102もの試験のメタ解析で明らかとなった。糖尿病は冠動脈心疾患や脳卒中のリスク因子として確立されているが、年齢、性別、従来のリスク因子の有無などでリスクの程度はどれくらい変化するのか、致死的心筋梗塞と非致死的心筋梗塞、虚血性脳卒中と出血性脳卒中とでは糖尿病の影響はどの程度は異なるのかという問題は未解決のままだ。さらに、非糖尿病患者における血糖異常の意義についても同様の問題が残されているという。Lancet誌2010年6月26日号掲載の報告。糖尿病の血管疾患リスクを定量的に評価するメタ解析研究グループは、血管疾患リスクに及ぼす糖尿病の影響を定量的に評価することを目的に102のプロスペクティブ試験のメタ解析を行った。Emerging Risk Factors Collaborationが実施した試験から血管疾患の既往のない患者を抽出し、個々の患者の糖尿病、空腹時血糖値およびその他のリスク因子の記録について解析した。個々の試験を年齢、性別、喫煙状況、収縮期血圧、BMIで補正して回帰分析を行い、これらのデータを統合して血管疾患に対するハザード比(HR)を算出した。糖尿病の血管疾患に対するHRは1.73~2.27、空腹時血糖値の関連はわずか102のプロスペクティブ試験から抽出された69万8,782人(5万2,765人が非致死的あるいは致死的血管疾患を発症、849万人・年)が解析の対象となった。糖尿病の冠動脈心疾患に対する補正HRは2.00(95%信頼区間:1.83~2.19)、虚血性脳卒中に対する補正HRは2.27(同:1.95~2.65)、出血性脳卒中は1.56(1.19~2.05)、分類不能の脳卒中は1.84(同:1.59~2.13)、その他の血管死の合計が1.73(同:1.51~1.98)であった。脂質、炎症、腎機能のマーカーでさらに補正しても、HRに明確な変化は認めなかった。冠動脈心疾患に対するHRは男性よりも女性で高く、70歳以上よりも40~59歳で、非致死的疾患よりも致死的疾患で高かった。成人の糖尿病有病率を10%とすると、血管疾患の11%が糖尿病関連と推算された。空腹時血糖値は血管リスクと直線的な関連はなく、3.90mmol/Lと5.59mmol/Lで有意な差はみられなかった。空腹時血糖値3.90~5.59mmol/Lの場合と比較して、空腹時血糖値≦3.90mmol/Lの場合の冠動脈心疾患に対するHRは1.07(95%信頼区間:0.97~1.18)、5.60~6.09mmol/Lの冠動脈心疾患に対するHRは1.11(同:1.04~1.18)、6.10~6.99mmol/Lでは1.17(同:1.08~1.26)であった。糖尿病歴のない集団では、従来のリスク因子のほかに、空腹時血糖値や空腹時血糖異常に関する情報を付加しても、血管疾患の検出基準が改善されることはなかった。著者は、「糖尿病は、他の従来のリスク因子とは別個に、広範な血管疾患のリスクを約2倍に上昇させる。非糖尿病集団では、空腹時血糖値の血管疾患リスクとの関連はわずかであった」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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新規SGLT2阻害薬dapagliflozin、血糖コントロールが不良な2型糖尿病に有効

メトホルミンだけでは十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対し、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)の選択的阻害薬であるdapagliflozinを追加投与すると、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が有意に改善することが、英国Aston大学のClifford J Bailey氏らが行った無作為化試験で示された。高血糖の是正や糖毒性の発現予防は2型糖尿病の管理における重要な目標とされる。dapagliflozinは、SGLT2を選択的に阻害することで、インスリン非依存性に腎臓でのグルコースの再吸収を抑制するという。Lancet誌2010年6月26日号掲載の報告。dapagliflozinの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照第III相試験研究グループは、メトホルミンだけでは血糖コントロールが不十分な患者においてdapagliflozinの有効性と安全性を評価する多施設共同二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。メトホルミン≧1,500mg/日で十分な血糖コントロールが達成されない2型糖尿病患者546例が、3つの用量のdapagliflozin(2.5mg群:137例、5mg群:137例、10mg群:135例)あるいはプラセボ群(137例)に無作為に割り付けられた(いずれも1日1回経口投与)。メトホルミンは、試験開始前と同一の用量を継続投与した。主要評価項目は、24週におけるHbA1cのベースラインからの変化とした。二重盲検下で1回以上の投薬を受け、ベースラインとその後に少なくとも1回の検査を受けた全症例が解析の対象となった。用量依存性にHbA1cが有意に低下、ウエスト周囲長の短縮を伴う体重減少効果も主要評価項目の解析は、534例(dapagliflozin 2.5mg群:135例、5mg群:133例、10mg群:132例、プラセボ群:134例)で行われた。24週の時点で、プラセボ群の平均HbA1cが0.30%低下したのに対し、dapagliflozin 2.5mg群は0.67%(p=0.0002)、5mg群は0.70%(p<0.0001)、10mg群は0.84%(p<0.0001)と用量依存性に低下しており、いずれも有意差を認めた。dapagliflozin群では治療早期から体重減少を認め、この効果は治療期間を通じて持続した。24週には、プラセボ群の体重が平均0.9kg低下したのに対し、2.5mg群が2.2kg、5mg群が3.0kg、10mg群は2.9kg減少した(いずれも、p<0.0001)。ウエスト周囲長も、プラセボ群が平均1.3cm短縮したのに対し、2.5mg群が1.7cm、5mg群が2.7cm、10mg群は2.5cm減少していた。低血糖症状の発現率は、dapagliflozin群が2~4%、プラセボ群は3%と同等であった。性器感染を示唆する徴候、症状などの報告は、プラセボ群の5%(7例)に比べ、dapagliflozin 2.5mg群が8%(11例)、5mg群が13%(18例)、10mg群は9%(12例)と頻度が高い傾向がみられた。重篤な有害事象は17例(dapagliflozinの各用量群が4例ずつ、プラセボ群が5例)に認められた。著者は、「メトホルミン単剤では血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者の治療において、メトホルミンへのdapagliflozin追加療法は新たな選択肢となる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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静脈瘤出血の中等度以上肝硬変、早期TIPSが治療失敗と死亡率を低下

急性静脈瘤出血で入院した治療失敗の可能性が高いChild-Pugh分類C(重度)、B(中等度)の肝硬変患者に対し、経頸静脈性肝内門脈大循環短絡術(TIPS)を早期に行うことで、治療の失敗または死亡率を有意に低下することが明らかになった。スペイン・バルセロナ大学病院のJuan Carlos Garcia-Pagan氏ら研究グループによる報告で、NEJM誌2010年6月24日号に掲載された。early-TIPS群と薬物療法-EBL群に無作為化し追跡研究グループは、急性静脈瘤出血の肝硬変患者で血管作用薬+内視鏡治療を受けた63例を、入院後24時間以内に2群に無作為化した。一方は、ポリテトラフルオロエチレン被膜ステントを用いた処置を、無作為化後72時間以内に行う群(early-TIPS群、32例)、もう一方は、血管作用薬を投与しながら3~5日後にプロプラノロール(商品名:インデラル)またはナドロール(同:ナディック)投与と、長期内視鏡的結紮術(EBL)を施行し、レスキュー療法が必要な時にTIPSを行う群(薬物療法-EBL群、31例)に割り付け追跡された。主要エンドポイントは、割り付け1年以内の急性出血コントロール失敗または臨床的に有意な静脈瘤の再出血予防の失敗からなる複合アウトカムとした。治療失敗の未発生、薬物療法-EBL群50%に対しearly-TIPS群97%追跡期間中央値16ヵ月の間に、再出血または出血コントロールの失敗は、薬物療法-EBL群では14例起きていたが、early-TIPS群は1例だった(P=0.001)。1年間主要エンドポイントが起きない確率は、薬物療法-EBL群は50%だったが、early-TIPS群は97%だった(P

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EGFR変異の進行性肺がん、ゲフィチニブのファーストラインで無増悪生存期間が倍に

EGFR遺伝子変異を有した非小細胞肺がんに対し、分子標的治療薬ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)による治療は、従来の抗がん剤治療と比べ、再増悪までの期間が約2倍に改善することが明らかにされた。東北大学はじめ日本国内50施設が参加した北東日本研究機構(North East Japan Study Group:NEJSG)による報告で、NEJM誌2010年6月24日号で発表された。抗がん剤未治療患者230例を、ゲフィチニブ群と標準抗がん剤治療に無作為化し追跡北東日本研究機構は、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんに対しゲフィチニブが有効であるとの先行研究を受けて、EGFR遺伝子突然変異型を検出する高感度法を開発した。本試験では、その手法で事前特定した患者に対し、ファーストラインとしての、標準抗がん剤治療とゲフィチニブ治療を比較することを目的に行われた。被験者は、転移性非小細胞肺がんを有した抗がん剤未治療の230例。ゲフィチニブ投与群とカルボプラチン(商品名:パラプラチン)+パクリタキセル(同:タキソール)投与群(標準治療)に無作為化し追跡した。主要エンドポイントは、無増悪生存期間とした。副次エンドポイントは、総生存率、奏効率と毒性作用とした。増悪までの期間、奏効率がゲフィチニブ群で有意に、毒性も許容範囲内予定中間解析(最初の200例)の結果、増悪までの期間が、標準療法よりもゲフィチニブ投与群で、有意に延長していた。ゲフィチニブ群の死亡・疾患進行ハザード比は、0.36だった(P

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血中ホモシステインの低減、主要冠動脈イベントや脳卒中リスク減少につながらず

血中ホモシステインの低減は、主要な血管・冠動脈イベント、脳卒中や非冠動脈血管再生のリスク減少には、結びつかないようだ。がん発症との関連も認められなかったという。これまでの観察研究から、血管疾患を発症した人の血中ホモシステイン値は、そうでない人に比べ、高いことは知られていたが、この点が心血管疾患の原因となるかどうかは不明だった。英国オクスフォード大学のJane M. Armitage氏ら研究グループが、心筋梗塞歴のある1万2,000人超について、二重盲無作為化プラセボ対照試験を行って明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月23/30日号で発表した。葉酸2mg+ビタミンB12 1mgを毎日投与研究グループSEARCH(Study of the Effectiveness of Additional Reductions in Cholesterol and Homocysteine)は1998~2008年にかけて、英国の病院を通じ、非致死の心筋梗塞を発症した1万2,064人を対象に試験を行った。同グループは被験者を無作為に二群に分け、一方には葉酸2mgとビタミンB12 1mgを毎日(ビタミン群)、もう一方にはプラセボを投与した。主要評価項目は、初回主血管イベントの発生、主冠動脈イベントの発生(冠動脈死、心筋梗塞、冠動脈血管再生のいずれか)、致死・非致死の脳卒中、非冠動脈血管再生だった。追跡期間の平均値は、6.7年(標準偏差:1.5)だった。イベント発生、死亡率、がん発症率などいずれも両群で有意差なしビタミン群のホモシステイン減少幅の平均値は、3.8μmol/L(28%)だった。追跡期間中の主血管イベント発生は、ビタミン群が6,033人中1,537人(25.5%)、プラセボ群が6,031人中1,493人(24.8%)と、有意差はみられなかった(リスク比:1.04、95%信頼区間:0.97~1.12、p=0.28)。主冠動脈イベントについても、ビタミン群が1,229人(20.4%)に対しプラセボ群が1,185人(19.6%)と、有意差はなかった(リスク比:1.05、同:0.97~1.13)。さらに脳卒中についても、それぞれ269人(4.5%)と265人(4.4%)でリスク比は1.02(同:0.86~1.21)、非冠動脈血管再生もそれぞれ178人(3.0%)と152人(2.5%)でリスク比は1.18(同:0.95~1.46)と、両群で有意差はなかった。さらに、血管疾患が原因の死亡[ビタミン群578人(9.6%)対プラセボ群559人(9.3%)]、非血管疾患が原因の死亡[同405人(6.7%)対392人(6.5%)]、がん発症率[同678人(11.2%)対639人(10.6%)]についても、それぞれ両群で有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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