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2型糖尿病治療薬 リオベル(一般名:アログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩配合錠)

 2011年7月、アログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩配合錠(商品名:リオベル配合錠LD,同配合錠HD)が2型糖尿病を適応として製造販売承認を取得した。製剤は低用量のLD製剤と高用量のHD製剤の2規格。アログリプチン(商品名:ネシーナ)の含量(25mg)が一定で、ピオグリタゾン(商品名:アクトス)の含量(15mg、30mg)のみ差がある。糖尿病の2大病態を改善 アログリプチンとピオグリタゾンの組み合わせは、薬理学的作用から糖尿病の2大病態であるインスリン分泌不全とインスリン抵抗性を改善すると期待される。DPP-4阻害薬であるアログリプチンのインスリン分泌促進作用はブドウ糖濃度依存性であり単独投与では低血糖をおこしにくい。またアログリプチンは他のDPP-4阻害薬と比べ、DPP-4に対する選択性が高い1)という特徴をもつ。一方のピオグリタゾンはインスリン抵抗性の改善を介して血糖降下作用を発揮する薬剤であり、インスリン分泌促進作用がないため単独投与での低血糖の危険は少ないといわれる。また大血管障害既往例への心血管イベント発症抑制2)を示したPROactiveに代表される多数のエビデンスを有している。組み合わせにより期待される相乗効果 2剤の併用による血糖改善作用は承認時のデータで示されている。ピオグリタゾン単独療法で効果不十分例に対し、アログリプチン25mgを追加投与したところ、投与12週時点におけるHbA1c変化量は-0.97%3)であった。また血糖降下作用に加え、db/db マウスを用いた膵保護作用の検討では、アログリプチンならびにピオグリタゾン単独投与でも、膵のインスリン含量はプラセボ群よりも有意に増加したが、両剤の併用でさらに相乗的な膵インスリン含量の増加が認められた4)。アドヒアランスの向上は糖尿病治療に好影響を与える 糖尿病患者の多くは高血圧や脂質異常症などの他疾患を合併しているため、服薬錠数が多く服薬タイミングも様々である。リオベル配合錠は、1日1回1錠の服用で済むことから、服薬アドヒアランスの向上に有効である。アドヒアランスの向上は、より良好な血糖コントロールの達成につながるとの報告もあり、糖尿病治療ではアドヒアランスを意識した治療が重要といえる。使用にあたっての注意点 リオベル配合錠は、既に発売されている配合剤のソニアスやメタクト同様、「2型糖尿病の第一選択薬としないこと」と添付文書に記載されており、投与対象は、原則として両剤を併用し常態が安定している患者、もしくはピオグリタゾン単独で効果不十分な患者となる。承認時までの臨床試験では165例中の42例(25.5%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められており、これらを含め、各単剤で報告のある副作用にも十分な注意が必要である。ピオグリタゾンとアログリプチンでは、これまでに重大な副作用として、心不全の増悪あるいは発症、浮腫、肝機能障害、黄疸、低血糖症状、横紋筋融解症、間質性肺炎、胃潰瘍の再燃が報告されているので、使用に当たってはこれらの副作用にも十分に注意したい。ピオグリタゾンについては、海外の疫学研究5)において、主要解析である全体の解析では膀胱の発生リスクの増加はみられないものの、治療期間による層別解析ではピオグリタゾンの長期間の投与によりわずかなリスクの増加という注意喚起もあるため、本剤の有効性と膀胱のリスクを事前に説明し、投与後は血尿、頻尿、排尿痛等の症状を経過観察する等、適切に使用することが重要である。まとめ 糖尿病治療では患者さんの病態の多様性に応じて薬剤を使い分けることが多い。そのため、配合剤の選択が一様に普及しづらい一面もある。しかし、服薬錠数が減れば、患者さんにとっての負担が軽減されるのも事実だ。患者さんがインスリン分泌不全とインスリン抵抗性とを併せ持つ病態の場合、今後は、リオベル配合錠が有用な治療選択肢のひとつとなるだろう。

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電子カルテの自由記述から導出した患者安全指標、従来ツールより良好:米国

電子カルテシステム導入が進む中、その自由記述欄から自然言語処理にて導き出した患者安全指標の精度に関する検討が、米国・Tennessee Valley Healthcare SystemのHarvey J. Murff氏らにより行われた。術後合併症を特定するかどうかについて、現状ツールである退院コーディング情報をベースとした指標と比べた結果、感度では優れ、特異度は若干劣ったものの90%以上と非常に高い値が示されたという。電子カルテデータを活用した患者安全特定の方法は、現状では診療データコード(ICD)に依存している。研究グループは、それよりも自由記述から導き出した指標のほうが、高い検出力を示すのではないかと仮定し検討を行った。JAMA誌2011年8月24日号掲載報告より。術後合併症の特定力について、退院コーディング情報ベースの指標と比較Murff氏らは、1999~2006年の3州6ヵ所の退役軍人医療センターで外科的手術を受けた患者2,974例に関する断面調査を行った。電子カルテデータから特定された、透析を要した急性腎不全、深部静脈血栓症、肺塞栓症、敗血症、肺炎または心筋梗塞の術後発生を、VASQIP(VA Surgical Quality Improvement Program)で再評価し、それら合併症を特定する自然言語処理アプローチの感度と特異度を求め、退院コーディング情報をベースとした患者安全指標とのパフォーマンスを比較した。感度、特異度ともに優れる各合併症発生率は、透析を要した急性腎不全2%(39/1,924例)、肺塞栓症0.7%(18/2,327例)、深部静脈血栓症1%(29/2,327例)、敗血症7%(61/866例)、肺炎16%(222/1,405例)、心筋梗塞2%(35/1,822例)だった。急性腎不全例を正確に特定する感度は、従来患者安全指標が38%(95%信頼区間:25~54%)であったのに対し、自然言語処理アプローチは82%(同:67~91%)だった(p<0.001)。深部静脈血栓症(59%vs 46%、p=0.30)、敗血症(89%vs 34%、p<0.001)、肺炎(64%vs 5%、p<0.001)、心筋梗塞(91%vs 89%、p=0.67)についても同様の結果が得られた。特異度は、自然言語処理アプローチが従来患者安全指標よりも低値を示したが、いずれも90%以上と非常に高かった。急性腎不全(94%vs 100%)、深部静脈血栓症(91%vs 98%)、敗血症(94%vs 99%)、肺炎(95%vs 99%)、心筋梗塞(95%vs 99%)だった(すべてp<0.001)。(武藤まき:医療ライター)

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慢性疾患患者、入院やICU入室で薬物療法の中断1.18倍~1.86倍にわたる:カナダ

慢性疾患で服薬中の患者について、入院やICU入室によってそれら薬物療法の、意図的ではないものの中断が起きる可能性が高いことが明らかにされた。そのリスクはICU入室後のほうが、より高いことも示された。カナダ・St Michael's HospitalのChaim M. Bell氏らが報告したもので、JAMA誌2011年8月24日号で発表した。「ICU入室群」「ICU入室なし・入院群」「非入院群」の5つの薬物療法中断について検証Bell氏らは、1997~2009年のカナダ・オンタリオ州の入院・外来全処方の管理記録を用いて、入院またはICU入室の結果、意図的ではない薬物療法の中断が起きた可能性の割合について評価する住民ベースコホート試験を行った。対象被験者は、66歳以上の39万6,380例。エビデンスベースがある5群の長期処方のうち1つ以上を服用していた患者であった。5群は、(1)スタチン、(2)抗血小板薬/抗凝固薬、(3)レボチロキシン、(4)呼吸器疾患吸入薬、(5)胃酸分泌抑制薬。薬物療法の中断発生率の検討は、「ICU入室群」「ICU入室なし・入院群」「非入院群(対照群)」の3群を対象とし、オッズ比を算出して人口統計学的因子・臨床因子・医療サービス利用で補正し評価を行った。主要評価項目は、薬物療法の中断発生で、退院後90日以内で処方の更新ができていなかったこととした。ICU入室群の中断は非入院群に比べ1.48倍~2.31倍にわたる結果、被験者のうち入院群(18万7,912例)のほうが対照群(20万8,468例)よりも、意図的ではない薬物療法の中断を受けやすいことが明らかになった。補正後オッズ比(AOR)をみると、レボチロキシン中断の1.18倍(95%信頼区間:1.14~1.23)[入院群(n=6,831)12.3%に対し対照群(n=7,114)11.0%]から、抗血小板薬/抗凝固薬中断の1.86倍(同:1.77~1.97)[入院群(n=5,564)19.4%に対し対照群(n=2,535)11.8%]までにわたっていた。またICU入室群のAORは、スタチン中断の1.48倍(同:1.39~1.57)[ICU入室群(n=1,484)14.6%]から、抗血小板薬/抗凝固薬中断の2.31倍(同:2.07~2.57)[ICU入室群(n=522)22.8%]までにわたっていた。ICU入室は、ICU入室なし・入院と比べると薬物療法群5群のうち4群で過剰リスクをもたらすことが認められた。薬物療法中断となった患者を1年間フォローアップした結果、副次複合評価項目とした死亡・ER受診・入院のAROが、スタチン療法群1.07倍(95%信頼区間:1.03~1.11)、抗血小板薬/抗凝固薬群1.10倍(同:1.03~1.16)であった。(武藤まき:医療ライター)

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新しく開発された静脈血栓塞栓症リスク予測モデルQThrombosis

英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、高リスクの静脈血栓塞栓症患者が特定可能な新しいリスク予測モデルQThrombosisを開発したことを報告した。同モデルのアルゴリズム変数は患者もよく知る、また一般開業医がルーチンに記録している簡易な臨床指標から成る。Hippisley-Cox氏は「アルゴリズムは一般診療所の臨床コンピュータシステムに組み込むことができ、入院や薬物療法開始以前に、患者が静脈血栓塞栓症リスク増大の可能性があるかを判断できるだろう」と結論している。BMJ誌2011年8月20日号(オンライン版2011年8月16日号)掲載報告より。イングランドとウェールズの診療データベースからリスク予測モデルを開発Hippisley-Cox氏らは、一般診療所からルーチンに収集されている臨床データを用い、前向きオープンコホート研究にて、新しい静脈血栓塞栓症のリスク予測モデルの開発に取り組んだ。具体的には、イングランドとウェールズの564の一般診療所から収集されているQResearchデータベースに登録されていた、過去12ヵ月以内に妊娠記録あるいは静脈血栓塞栓症の病歴がなく、経口抗凝固薬の処方歴のない25~84歳の患者のデータ(2004年1月1日~2010年4月30日分)で、リスク因子を導き出すためのコホート(導出コホート)231万4,701例、検証コホート124万602例を抽出し使用した。アウトカムは、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症または肺塞栓症)の発症が診療録に記載されていたか、死亡記録の原因とリンクしていた場合とした。導出コホートの検証では、Cox比例ハザードモデルにて導出されたリスク因子について1年時点と5年時点の評価が行われた。検証コホートでは、検定と識別力の検証が行われた。モデル、リスク因子の妥当性が認められる導出コホートでの静脈血栓塞栓症の発生は、同コホート総計1,009万5,199人・年で1万4,756例が認められた(1万人・年につき14.6)。検証コホートでは、同463万2,694人・年で6,913例が認められた(1万人・年につき14.9)。男女から成る最終モデルに含まれた独立予測因子は、年齢、BMI、喫煙状態、静脈瘤、うっ血性心不全、慢性腎臓病、がん、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、過去6ヵ月以内の入院、抗精神病薬を処方されているであった。著者らは女性の最終モデルには、さらに経口避妊薬、抗がん薬のタモキシフェン、ホルモン補充療法を含めた。それらリスク予測因子の妥当性検証を検証コホートにて行った結果、R2統計値は5年時点で女性33%、男性34%だった。同じく5年時点のD統計値は女性が1.43、男性が1.45。ROC統計の結果は、男女いずれも0.75であり、モデルは適切に調整されたものであることが示された。

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比較検討試験、直接比較と間接比較にみられる一貫性のなさ

効果を競い合うヘルスケア介入の比較検討をめぐって、直接的な比較と間接的な比較の結果の一致状況について、英国・イースト・アングリア大学ノーウィッチメディカルスクールのFujian Song氏らが調査した。結果、同氏らが以前に行った調査で認められた以上に、有意な不一致が広く認められる可能性があることが明らかになったという。介入比較の無作為化試験実施は不十分で、今後もその状況は好転しそうになく、また直接的な比較の代替として間接的な比較試験が増えている。そうした状況を踏まえてSong氏らは本調査を行った。BMJ誌オンライン版2011年8月16日号より。直接比較と間接比較のlogオッズ比の違いの不一致を検証調査は、無作為化試験のメタ解析抽出サンプルに基づくメタ疫学的研究にて行われた。Cochrane Database of Systematic Reviews、PubMedをデータソースとし、共通の比較ツールをベースとして、介入の直接的な比較と独立間接的な比較の十分なデータが提供されており、またオッズ比がアウトカム統計として使われていたシステマティックレビューもしくはメタ解析の無作為化試験を適格とした。主要評価項目は、直接比較と間接比較のlogオッズ比の違いにみられた結果の不一致とした。検証した112件のうち14%で不一致が認められる検討には、112件の独立した試験ネットワーク(1,552試験、被験者計47万8,775例)が含まれた。Cochraneレビューからは85試験ネットワークが含まれた。112件のうち39件(35%)は直接比較で統計的に有意な結果が示されたものだった。しかし間接比較でも同様の結果を支持していたのは13件のみだった。また、まったく反対の統計的に有意な結果を示していた間接比較も1件あった。直接比較と間接比較の不一致が統計的に有意(P

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心血管イベントリスクの予測、冠動脈カルシウムスコアが高感度CRPよりも有用

心臓CTで検出される冠動脈カルシウム(CAC)スコアが、高感度C反応性蛋白(CRP)値と比べて、スタチン治療のベネフィットが最大あるいは最小と予想される人を特定するのに有用であることが報告された。米国・ジョンズ・ホプキンスCiccarone心臓病予防センターのMichael J Blaha氏らが、多人種アテローム性動脈硬化症試験(MESA)から、JUPITER試験適格条件を満たした被験者950例を対象とした住民ベースコホート試験の結果による。Lancet誌2011年8月20日号掲載報告より。冠動脈カルシウムスコアと高感度CRPとの予測能を比較rosuvastatin治療を受けている人を対象としたJUPITER試験では、心血管イベントの絶対リスクが低下した人として示されたのは、LDL-C値130mg/dL(3.37mmol/L)未満、高感度CRP値2mg/L以上の人に限定されていた。Blaha氏らは、同条件の被験者を対象に、CACスコアのほうがリスク階層化に優れるかを検討。MESA被験者のうちJUPITER試験適格条件を満たした2,083例を試験ベースコホートとし(平均年齢67歳、女性40%)、そのうち高感度CRP値2mg/L以上の950例(MESA JUPITER population)を対象とした試験を行った。被験者をCACスコア(0、1~100、>100)にて階層化後、冠動脈心疾患と心血管疾患のイベント発生率、多変量補正ハザード比を比較し、また、JUPITER試験で示されたベネフィットを適用した各CAC階層群の5年NNT(治療必要数)を算出した。追跡期間は5.8年(IQR:5.7~5.9)。各CACスコア階層群は、0群444例(47%)、1~100群267例(28%)、>100群239例(25%)だった。心血管イベントの関連、冠動脈カルシウムスコアとは有意だが高感度CRPとは関連示さず結果、全心血管イベントの74%は、スコア>100群での発生だった。スコア0群での冠動脈心疾患発生率は1,000人・年当たり0.8、心血管疾患は同3.7、だったのに対し、スコア>100群ではそれぞれ20.2、26.4であった。5年NNTは、冠動脈心疾患についてはスコア0群549、スコア1~100群94、スコア>100群24、心血管疾患についてはそれぞれ124、54、19だった。高感度CRP値2mg/L未満群を含む試験ベースコホート(2,083例)において、CACスコア検出群の補正後ハザード比(高感度CRP値2mg/L未満群を1とする)は、冠動脈心疾患は4.29(95%信頼区間:1.99~9.25、p<0.0001)、心血管疾患は2.57(同:1.48~4.48、p=0.001)でスコアと疾患との関連が有意だった。一方高感度CRP値(2mg/L以上)の同値は、それぞれ0.90(p=0.69)、1.08(p=0.73)で関連が有意ではなかった。Blaha氏は、「測定可能なアテローム性動脈硬化症を有する人に治療をフォーカスすることで、医療資源のより適正な供給が可能となるだろう」と結論している。

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プライマリPCI前のエノキサパリン、未分画ヘパリンよりネット臨床ベネフィット提供

ST上昇型心筋梗塞を呈しプライマリ経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けた患者の前処置として、未分画ヘパリンに比べエノキサパリンを投与されていた患者のほうが、ネット臨床ベネフィットが有意であることが報告された。フランス・パリ大学Gilles Montalescot氏らが行った国際無作為化オープンラベル試験「ATOLL」の結果による。直接的な両者の比較はこれまで行われていなかった。Lancet誌2011年8月20日号掲載報告より。4ヵ国910例を対象に無作為化オープンラベル試験ATOLL試験は、ST上昇型心筋梗塞でプライマリPCIとエノキサパリンまたは未分画ヘパリンを受けた患者の、虚血性イベントおよび出血イベントの低下について短期的、長期的に追跡する試験。4ヵ国(オーストリア、フランス、ドイツ、アメリカ)64施設から、2008年7月~2010年1月の間にST上昇型心筋梗塞を呈した910例が登録され行われた。被験者はオープンラベルで無作為に、プライマリPCI前に、エノキサパリンか未分画ヘパリンの0.5mg/kg静脈内ボーラスを受ける群に割り付けられた。患者の選択、割付、治療は可能な限り搬送中に医療チームが、中央無作為化センターと音声連絡を取り合い行われた。無作為化前にすでに抗凝固療法を受けていた患者は試験から除外された。プライマリエンドポイントは、30日死亡率、心筋梗塞合併症、処置失敗または大出血。主要副次エンドポイントは、死亡・再発性急性冠症候群・緊急血管再生術の複合とされ、intention to treat解析にて評価が行われた。主なエンドポイントでエノキサパリン有意に低減プライマリエンドポイントは、エノキサパリン群(450例)126例(28%)、未分画ヘパリン群(460例)155例(34%)で発生した(相対リスク:0.83、95%信頼区間:0.68~1.01、p=0.06)。死亡発生は、エノキサパリン群17例(4%)vs. 未分画ヘパリン群29例(6%)(p=0.08)、心筋梗塞合併症は同20例(4%)vs. 29例(6%)(p=0.21)、処置失敗は同100例(26%)vs. 109例(28%)(p=0.61)、大出血は同20例(5%)vs. 22例(5%)(p=0.79)で、両群間で違いはなかった。一方、主なエンドポイントは、エノキサパリン群で有意な低減が認められた[30例(7%)vs. 52例(11%)、相対リスク:0.59、95%信頼区間:0.38~0.91、p=0.015]。また、死亡・心筋梗塞合併症・処置失敗・大出血[46例(10%)vs. 69例(15%)、p=0.03]、死亡・心筋梗塞合併症[35例(8%)vs. 57例(12%)、p=0.02]、死亡・心筋梗塞再発・緊急血管再生術[23例(5%)vs. 39例(8%)、p=0.04]のエンドポイントもすべてエノキサパリン群で低減が認められた。Montalescot氏は、「エノキサパリンは未分画ヘパリンと比べて、虚血性アウトカムを有意に減らした。大出血、処置的成功に違いはなかった。したがって、エノキサパリンは、プライマリPCIを受ける患者にネット臨床ベネフィットという点で改善をもたらした」と結論している。

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術中覚醒予防モニタリングでのBIS使用、優越性立証されず

術中覚醒予防のモニタリングについて、前向き無作為化試験の結果、脳波から派生するバイスペクトラル・インデックス(BIS)を組み込んだプロトコルは、呼気終末麻酔薬濃度(ETAC)を組み込んだ標準的モニタリングプロトコルよりも優れていることは立証されなかったとの報告がNEJM誌2011年8月18日号に掲載された。米国・ワシントン大学医学部麻酔学科のMichael S. Avidan氏らによる。「予想に反して、BIS群よりもETAC群のほうが覚醒した患者は少なかった」と結論している。予期せず起こる術中覚醒は、全身麻酔が得られないか維持されない場合に起こり、そうした患者における覚醒発生率は1%近く、米国では毎年推定2~4万人が術中覚醒を経験している。また術中覚醒患者の約70%がPTSDになる可能性があるという。6,041例をBISプロトコルとETACプロトコルに無作為割り付け研究グループは2008年5月~2010年5月の25ヵ月間にわたり全米3ヵ所の医療センターから、覚醒リスクが高い18歳以上の患者6,041例を登録し、BIS指標麻酔群またはETAC指標麻酔群に割り付け前向き無作為化評価者盲検試験を行った。BISは、検出可能な脳電気的活性を指標とし、0~100のスケールで示され0は抑制された状態、100は覚醒した状態を示し、モニタリングでは<40または>60になると警告音が鳴るようになっていた。一方ETACは、最小肺胞内濃度を指標とし、<0.7または>1.3になると警告音が鳴るようになっていた。これらの警告音に加えてプロトコルには、モニタリングに関する教育およびチェックリストが組み込まれた。術中覚醒の評価は術後72時間以内と抜管後30日に患者への面接調査にて行われた。いずれかの面接調査を完了した5,713例(98.3%)が解析対象に含まれ、BISプロトコルの優位性について、Fisherの正確確率検定の片側検定を用いて評価された。覚醒可能性例を含んでもBISプロトコルの優越性示されず明確な術中覚醒を経験したのは、ETAC群2,852例中2例(0.07%)、BIS群2,861例中7例(0.24%)だった。両群差は0.17ポイント(95%信頼区間:-0.03~0.38、P=0.98)で、BISプロトコルの優越性は示されなかった。明確な術中覚醒が起きた可能性があった例も含んでも、BIS群19例(0.66%)、ETAC8例(0.28%)であり、この場合もBISプロトコルの優越性は示されなかった(差:0.38ポイント、同:0.03~0.74、P=0.99)。麻酔投与量や重大な術後有害転帰の発生率において群間差は認められなかった。(朝田哲明:医療ライター)

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米国でピーナッツバターが原因の集団食中毒を契機に、国内外に強制力を持つ食品安全システムが始動

米国CDC人畜共通感染症センターのElizabeth Cavallaro氏らは、2008年11月以降に全米各地で報告されたサルモネラ菌食中毒について、調査の結果、1ブランドのピーナッツバターとそれを原料としたピーナッツ製品の摂取が原因であり、3,918製品が回収されたことを報告した。報告によると、米国ではこの食中毒発生を契機に食品安全システムへの議論が再浮上、2009年3月に食品汚染事案を24時間以内に報告するFDA’s Reportable Food Registryが始動し、2011年1月4日のFood Safety Modernization Act制定により、FDAが国内外の食品供給元に対し、回収および安全計画提出を命じることができるようになったという。NEJM誌2011年8月18日号より。トレースバック調査と摂取環境調査にて、1企業のピーナッツバターが特定研究グループは、2008年9月1日から2009年4月20日の間にネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)集団発生株への感染が検査で確認された食中毒報告例を症例と定義。マッチ対照群とによる2つの症例対照研究(研究1:摂取製品のトレースバック調査、研究2:摂取環境調査)を行った。全米46州で同定された症例患者は714例、そのうち入院が166例(23%)、死亡が9例(1%)だった。研究1(症例群65例、対照群174例)の結果、疾患との関連が認められたのは、何らかのピーナッツバターを摂取(一致オッズ比:2.5、95%信頼区間:1.3~5.3)、ピーナッツバターを含んだ製品を摂取(同:2.2、1.1~4.7)だった。冷凍チキン製品の摂取も関連が認められたが(同:4.6、1.7~14.7)特定製品を食べたわけではなかった。一方でピーナッツバターについては、9企業に関連した限局的集団発生と単発症例の調査から、これら企業に供給していたピーナッツバター1企業のブランド製品(ここではブランドXと呼ぶ)が特定された。研究2(症例群95例、対照群362例)では、外出先でのピーナッツバター摂取(一致オッズ比:3.9、95%信頼区間:1.6~10.0)、2つのブランドのピーナッツバター・クラッカーを摂取(ブランドAの一致オッズ比:17.2、95%信頼区間:6.9~51.5、ブランドB:3.6、1.3~9.8)と疾患との関連が明らかになった。そして2つのブランドのクラッカーはいずれもブランドXのピーナッツペーストから作られていた。食品安全システムの今後は、予算確保と関係当事者の継続的な協力次第結果として集団発生株は、ブランドXのピーナッツバター、ブランドAのクラッカー、その他15の製品から分離され、2009年1月10日から4月29日までの間に合計3,918のピーナッツバター含有製品がリコールされた。研究グループは、「汚染されたピーナッツバターとそのピーナッツ製品が全国規模のサルモネラ症集団発生を引き起こした。成分由来の集団発生は検出が難しく、多数の食品を広範にわたって汚染する可能性がある」と警告。この事案を契機に食品安全システムが強化されたことを報告したうえで、最後に「システム成功のカギは十分な予算確保と、規制当局と州、保健担当者、企業担当者との継続的な協力による」とまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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甲状腺がん患者における放射性ヨウ素使用、病院特性が大きな理由

米国・ミシガン大学のMegan R. Haymart氏らは、臨床現場における甲状腺がん患者の全摘後の放射性ヨウ素使用の傾向について調査を行った。甲状腺全摘後の放射性ヨウ素使用については確定しておらず、使用の期間や重症度と使用との関連性などが明らかになっていない。術後使用の議論は熱いが無作為化試験は行われておらず、そのためガイドラインでは医師の裁量とされており、臨床現場は使用の支持派と反対派に二分されている。Haymart氏らは、最近の臨床での使用パターンを調べ、病院間で使用程度の格差があるか、あるとしたらどのような因子が関連しているのかを調査した。JAMA誌2011年8月17日号掲載より。18年間で使用は有意に増大調査は、1990~2008年に米国国立がんセンターデータベースにデータを提供していた981施設で治療を受けた分化型甲状腺がん患者18万9,219例を対象とし、放射性ヨウ素の使用について時間傾向分析を行った。また、2004~2008年に治療を受けた患者コホートにて、放射性ヨウ素使用と患者特性や病院特性などの関連を評価する多平面解析を行った。結果、1990年と2008年とでは、腫瘍サイズにかかわらず、放射性ヨウ素使用は有意に増大していた。患者の割合でみると、40.4%(1,373/3,397例)から56.0%(11,539/20,620例)への有意な増大が認められた(P<0.001)。患者特性と腫瘍特性が21.1%、病院タイプと治療件数が17.1%多平面解析の結果からは、放射性ヨウ素使用についてステージ間(米国がん病期分類合同委員会に基づく)での格差が認められた。ただし認められたのはステージIとIVの格差で、オッズ比0.34(95%信頼区間:0.31~0.37)だったが、ステージIIまたはIIIと、IVとの間には関連が認められず、IIとIVのオッズ比は0.97(同:0.88~1.07)、IIIとIVのオッズ比は1.06(0.95~1.17)だった。放射性ヨウ素使用の因子としては、患者特性、腫瘍特性に加えて、病院特性があることが認められた。使用有無の格差は大きく、その因子として、患者特性と腫瘍特性が21.1%を占めたが、病院タイプと治療件数も17.1%を占めていた。また患者特性、腫瘍特性、病院特性で補正後は、不明瞭だが病院特性に類する因子が29.1%を占めていた。Haymart氏は、「分化型甲状腺がん患者の治療における放射性ヨウ素使用は有意に増えていた。使用格差の背景には病院特性が大きな理由としてあることが明らかとなった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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若年時の無症候性顕微鏡的血尿、長期的な末期腎不全リスクを増大

若い時に持続性単独の無症候性顕微鏡的血尿が認められた人は、末期腎不全(ESRD)に至るリスクが有意に増大することが、イスラエルで行われたコホート研究から報告された。ただしその発生率および絶対リスクは非常に低いままではあった。報告は、同国シバメディカルセンターのAsaf Vivante氏らが約22年間の長期にわたるリスクを追跡したもので、JAMA誌2011年8月17日号で発表された。これまで、同リスクに関する長期アウトカムを検証したデータは有効なものがほとんどなかった。イスラエル16~25歳120万人超を約22年追跡調査は、イスラエル全国民ベース後ろ向きコホート研究として行われた。対象となったのは、1975~1997年に兵役検査を受けた16~25歳(男性60%)の120万3,626人で、その医療データとイスラエルESRDレジストリデータとをリンクして検証された。検証データに含まれたのは、1980年1月1日から2010年5月31日までに治療を受けたESRDインシデント症例で、Cox比例ハザード・モデルを用いて、持続性単独の無症候性顕微鏡的血尿と診断された被験者におけるESRD治療発生のハザード比(HR)が推定された。主要評価項目は、ESRD治療開始日(初めての透析治療開始日または腎移植を受けた日)。追跡期間は21.88(SD 6.74)年だった。ESRD発生リスク、血尿診断あり群がなし群の19.5倍被験者120万3,626人のうち、持続性単独の無症候性顕微鏡的血尿と診断されたのは3,690人(0.3%)だった。そのうち、ESRD治療となったのは26人で0.70%だった。これに対し、同診断なし群(119万9,936人)でESRD治療となったのは0.045%(539人)だった。発生率は10万人・年につき、診断あり群34.0、診断なし群2.05で、粗ハザード比は19.5(95%信頼区間:13.1~28.9)だった。年齢、性、父親の出身国、登録年、BMI、基線血圧で補正した多変量モデルにおいても、同ハザード比は18.5(同:12.4~27.6)で、リスクの大きさは変わらなかった。なおESRD治療リスクが特に大きかったのは、一次性糸球体疾患を原因とした場合で、発生率は10万人・年につき、診断あり群19.6、診断なし群0.55で、ハザード比は32.4(同:18.9~55.7)だった。無症候性顕微鏡的血尿が原因と考えられたESRD治療者の割合は、4.3%(95%信頼区間:2.9~6.4%)であった。(武藤まき:医療ライター)

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双極性障害治療薬 ラモトリギン(商品名:ラミクタール)

 抗てんかん薬であるラモトリギン(商品名:ラミクタール)は、2011年7月、国内初となる「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」を効能・効果とする適応追加の承認を取得した。双極性障害とは 双極性障害は、躁状態または軽躁状態とうつ状態が反復して現れる疾患である。躁状態とうつ状態が反復して現れる双極I型障害と、軽躁状態とうつ状態が反復して現れる双極II型障害とに分類される。また、双極性障害は再発を繰り返す疾患であり、その再発率は1年間で48~60%、5年間で81~91%であると報告されている1)。 わが国における双極性障害の患者数は約40万人、潜在患者数は100万人を超えるともいわれている。双極性障害の診断・治療における課題 双極性障害の診断では、躁状態または軽躁状態を見逃さないことが重要となる。過去に明確な躁状態がみられる双極I型障害の診断は比較的容易だが、双極II型障害の軽躁状態は患者本人が自覚していないことが多く、診断が難しいケースも少なくない。実際、うつ病外来受診者の約60%が双極II型障害であると報告されている2)。このように、双極性障害、とくに双極II型障害の患者は見逃されている可能性が高く、適切に診断することが求められる。 また、気分エピソードの再発・再燃を予防することも非常に重要となる。双極性障害は再発率が高く、再発を繰り返すことで患者の社会的予後および生命予後は悪化する。そのため、治療の際は、長期的な視点から生涯にわたる維持療法を行う必要がある3)。その一方、わが国における双極性障害の治療選択肢は限られており、新しい選択肢の登場が待ち望まれていた。ラモトリギンが日本初「気分エピソードの再発・再燃抑制」の適応 そのような中、海外での豊富な使用実績を持つラモトリギンが適応追加の承認を取得した。「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」を効能・効果とした、国内初となる本適応症は、双極性障害という疾患の本質を突くものであり、双極性障害の治療概念に変化をもたらすことが期待されている。ラモトリギンは気分エピソードの再発・再燃までの期間を延長 ラモトリギンの再発・再燃抑制効果は、国内臨床試験においても示されている。DSM-IV-TRで双極I型障害と診断され、最も新しい気分エピソードが大うつ病、軽躁病、あるいは躁病エピソードである20歳以上の患者229例を対象としたプラセボ対照多施設共同二重盲検比較試験において、試験を中止・脱落するまでの期間(Time to withdrawal from study : TWS)の中央値は、ラモトリギン群(1日1回200mg)で169.0日(95%信頼区間:111.0-)、プラセボ群で67.5日(同:32.0-127.0)と、ラモトリギン群が有意に長く(p=0.010、Log-rank検定)4)、ラモトリギンが双極性障害における気分エピソードの再発・再燃までの期間(すなわち寛解状態でいられる期間とほぼ同義)を延長することが示された。ラモトリギンは長期にわたり双極性障害患者の予後を改善 双極性障害はうつ状態で過ごす期間のほうが長いため、うつ病と診断されるケースも少なくない。とくに、双極II型障害は診断までに長い期間を必要とすることも多い。新たな治療薬の登場により、双極性障害への関心が高まり、早期診断の浸透が望まれる。また、治療の際は、再発予防を念頭に置いた長期的な視点が望まれる。 双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に適応を有するラモトリギンは、長期にわたり双極性障害患者の予後を改善する薬剤といえ、今後、双極性障害の早期診断・再発予防の浸透への貢献が期待される薬剤である。

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国民への心血管疾患予防プログラム、適度の達成で年間医療費3,000万ポンド削減可能

英国・バーミンガム大学医療経済学教室のPelham Barton氏らは、「国民への心血管疾患予防を目的としたリスク因子低減の各種プログラムは、適度でも達成さえすれば国民の健康増進とともに、医療制度財源の正味のコスト削減にも結びつく」ことを、イングランドとウェールズ全住民を対象としたモデル研究の結果、報告した。英国での心血管疾患死亡は年間15万人以上、罹患者は500万人以上、医療コストは年間300億ポンド以上に上るという。BMJ誌2011年8月13日号(オンライン版2011年7月28日号)掲載報告より。モデル分析で、降圧、減塩など各種プログラムの10年効果を試算Barton氏らは経済モデル分析法にて、心血管疾患リスク因子を減らす各種国民啓発・介入プログラムの疾患予防効果および費用対効果を評価した。10年間にわたる心血管疾患低下のためのプログラム効果を測定する表計算式を作成し、ベネフィットが男女、全年齢、全リスク群に適用され続けた場合と仮定したモデルを作成。同モデルを、血圧と総コレステロールを少しでも減らすことを目的とした2つの一般向け啓発プログラムと、塩分とトランス脂肪酸の摂取減を定めた2つの法的介入プログラムに適用して試算した。主要評価項目は、介入効果によって回避された心血管イベント数、獲得されたQALYs(質調整生存年)、削減された医療コストとした。目標アウトカム達成のために費やされた対価についても推定された。コレステロール、血圧の平均値5%低下で8,000万~1億ポンド以上の医療費削減結果、プログラム1つの介入で、何も介入がされなかった場合と比較して、心血管イベントは年間、イングランドとウェールズ全住民(約5,000万人)の1%までに減少し、医療コストは3,000万ポンド以上削減されると試算された。また、コレステロールと収縮期血圧の平均値低下5%が達成となれば(5%は他国ではすでに達成されている)、医療コスト削減は8,000万~1億ポンド以上と試算された。塩分摂取を3g/日とする(現状では約8.5g/日)法的およびその他の対策による効果は、年間で約3万例の心血管イベント回避と、4,000万ポンド以上の医療コスト削減をもたらすと試算された。トランス脂肪酸については、摂取量を総エネルギー量の約0.5%までに減らし続ければ、約57万生存・年の獲得と、英国の国民健康保険制度であるNHSに年間2億3,000万ポンドのコスト削減効果をもたらす可能性が試算されたという。

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バルセロナ市の通勤・通学自転車シェアシステム「ビシング」、死亡低下しCO2減少

世界各国の主要都市で、主に交通渋滞緩和を目的に導入が進んでいる、公共の自転車共有システムについて、スペイン・環境疫学研究センターのDavid Rojas-Rueda氏らは、同国バルセロナ市で2007年3月に導入された「Bicing(ビシング)」(http://www.cycle-info.bpaj.or.jp/japanese/report/jpg/h20_8/h20_8_1top.html)と呼ばれる同システムの、健康に及ぼすベネフィットとリスクについて調査を行った。その結果、「交通事故や大気汚染などのリスクよりも、ベネフィット(死亡減、CO2減)が大きく、また二酸化炭素排出量を減らすなど公衆衛生上の改善効果も期待できる」と報告している。BMJ誌2011年8月13日号(オンライン版2011年8月4日号)掲載報告より。バルセロナの自転車共有システム利用者18万人余りを対象に調査Rojas-Rueda氏らは、都市部での自転車ユーザーと自動車ユーザーを比較して、それぞれの健康に及ぼすリスクとベネフィットを推定する健康影響評価研究を行った。自転車ユーザーは、18万1,982人のBicing契約者が調査対象となった。主要評価項目は、身体活動レベル、大気汚染物質の吸入(2.5μm以下の粒子状物質への曝露)、交通事故の3領域の全死因死亡率とした。副次評価項目は、二酸化炭素排出レベルの変化とした。交通事故や大気汚染物質吸入のリスクをベネフィットが上回る結果、自動車ユーザーと比較してBicing利用者の推定死亡率は、年間で交通事故による死亡が0.03、大気汚染物質の吸入による死亡が0.13増加しただけだった。一方、Bicing利用で身体活動が促進された結果として、死亡が12.46減少し(ベネフィット対リスク比:77)、年間死亡数では12.28が回避された。また、Bicingを用いた結果として、1年間の二酸化炭素排出量は約9,062,344kg減少すると推計された。

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葉酸摂取量が、MTHFR遺伝子変異によるホモシステイン濃度増加に影響

脳卒中の予防におけるホモシステイン低下療法は、葉酸摂取量が多い地域ではベネフィットがないことが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMichael V Holmes氏らの検討で確認された。MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)遺伝子の677C→T変異は血清ホモシステイン濃度の増加や脳卒中リスクの上昇と関連を示す。その影響は低葉酸食を摂取する地域で高いことが報告されているが、葉酸の効果と小規模試験バイアスを区別するのは難しいとされる。無作為化試験のメタ解析では、ホモシステイン低下療法による冠動脈心疾患や脳卒中の抑制効果は確認されていないが、これらの試験は一般に葉酸摂取量の多い集団を対象にしているという。Lancet誌2011年8月13日号(オンライン版2011年8月1日号)掲載の報告。葉酸摂取の影響を、遺伝子解析と無作為化試験のメタ解析で評価研究グループは、葉酸の摂取状況がMTHFR遺伝子677C→T多型と脳卒中の関連に及ぼす影響を、遺伝子解析および無作為化対照比較試験のメタ解析によって検討した。5万9,995人のホモシステインのデータと2万885件の脳卒中イベントを含む237のデータセットについて遺伝子解析を行った。得られた知見を、ホモシステイン低下療法と脳卒中リスクに関する13の無作為化試験のメタ解析(4万5,549人、脳卒中イベント2,314件、一過性脳虚血発作269件)の結果と比較した。MTHFR遺伝子変異がホモシステイン濃度に及ぼす影響は、葉酸低摂取地域のアジアで大きいMTHFR遺伝子677C→T変異が血清ホモシステイン濃度に及ぼす影響は、葉酸摂取量の少ないアジア地域[common alleleのホモ接合体(CC型)に対するrare alleleのホモ接合体(TT型)の血清ホモシステイン濃度の増分:3.12μmol/L、95%信頼区間:2.23~4.01]のほうが、摂取量の多いアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア地域(同:0.13μmol/L、-0.85~1.11)に比べて大きかった。脳卒中リスクのオッズ比も、アジア地域は1.68(95%信頼区間:1.44~1.97)であり、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア地域の1.03(同:0.84~1.25)に比べて高かった。無作為化試験のほとんどが、葉酸濃度が高い集団あるいは上昇傾向にある集団の居住地域で実施されていた。ホモシステイン低下療法を検討した試験における脳卒中の相対リスク(0.94、95%信頼区間:0.85~1.04)は、葉酸摂取状況が類似する集団を対象とした大規模な遺伝子解析でホモシステイン低下の程度から予測された相対リスク(1.00、同:0.90~1.11)と同等であった。これに比べ、葉酸低摂取地域(アジア)における大規模な遺伝子解析から予測されたホモシステイン低下療法の脳卒中予防効果はより大きかった(相対リスク:0.78、95%信頼区間:0.68~0.90)が、ホモシステイン低下療法が脳卒中のリスクに及ぼす影響を葉酸低摂取地域に限定して評価した試験はなかった。著者は、「遺伝子解析の結果は、葉酸摂取量が多い地域では脳卒中の予防におけるホモシステイン低下療法のベネフィットはないとするメタ解析の知見と一致した」と結論し、「葉酸の効果を確立するには、より大規模な遺伝子解析において葉酸低摂取状態でのMTHFR遺伝子677C→T変異と脳卒中の関係を評価する必要があり、ホモシステイン低下療法の脳卒中予防効果を葉酸低摂取地域で検討する無作為化試験を行うべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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デュシェンヌ型筋ジストロフィー、PMOによるエクソン読み飛ばし誘導療法が有望

 AVI-4658(phosphorodiamidate morpholino oligomer:PMO)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対し安全に投与可能で、ジストロフィン蛋白の正常化をもたらすことが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSebahattin Cirak氏らの検討で示された。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、約3,500人に1人の頻度で男児にのみ発生する進行性の重度な神経筋疾患で、X染色体短腕のジストロフィン遺伝子の読み取り枠(open reading frame)のずれに起因するジストロフィン産生の障害が原因とされる。AVI-4658はエクソン51のスキッピング(読み飛ばし)を誘導するPMOで、動物やヒトにおいてジストロフィン蛋白を回復させることが確認されている。Lancet誌2011年8月13日号(オンライン版2011年7月25日号)掲載の報告。用量漸増法による非盲検第II相試験 研究グループは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するAVI-4658治療の臨床的な安全性および生化学的効果を用量漸増法で評価する非盲検の第II相試験を行った。 対象は5~15歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの外来患者で、治療開始前と12週のAVI-4658治療(静注投与、0.5、1.0、2.0、4.0、10.0、20.0mg/kg)を施行後に筋生検が行われた。 主要評価項目はAVI-4658の安全性と耐用性とした。副次評価項目は、エクソン51のスキッピングとジストロフィン蛋白の回復を誘導するAVI-4658の薬物動態学的活性とし、RT-PCR法、免疫組織化学検査、免疫ブロット法で測定した。耐用性は良好、19例中7例で奏効 英国内2施設から19例(平均年齢8.7歳、6~13歳)が登録された(0.5mg/kg群:4例、1.0mg/kg群:2例、2.0mg/kg群:2例、4.0mg/kg群:3例、10.0mg/kg群:4例、20.0mg/kg群:4例)。 有害事象は軽度(63%)から中等度(32%)がほとんどで、用量に依存して頻度や重症度が上昇することはなかった。いずれの用量でもAVI-4658関連の重篤な有害事象は認められず、耐用性は良好であった。 すべての用量群でエクソン51のスキッピングが確認され、用量依存性に新たなジストロフィン蛋白の発現が認められた(p=0.0203)。7例で治療が奏効し(2.0mg/kg群の1例、10.0mg/kg群の3例、20.0mg/kg群の3例)、ジストロフィンの平均蛍光強度が治療前の8.9%(95%信頼区間:7.1~10.6)から治療後は正常対照と同等の16.4%(同:10.8~22.0)まで増加した(p=0.0287)。 最も治療効果の高かった3例(2.0、10.0、20.0mg/kgの各群1例ずつ)の治療後のジストロフィン陽性筋線維の割合はそれぞれ21、15、55%であった。これらの知見をウェスタンブロット法で確認したところ、ジストロフィン蛋白の発現が治療後には正常レベルにまで回復していた(それぞれ治療前の2%から治療後は18%に、治療前0.9%から治療後17%に、0%から7.7%に)。 著者は、「デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するAVI-4658の安全性と生化学的効果が確認され、本剤はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの疾患修飾性治療薬となる可能性が示された」と結論し、「今後、臨床的な有効性に関する試験を実施する必要がある」としている。

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ICU重症成人患者への静脈栄養法は8日目以降開始のほうがアウトカム良好

重症疾患でICUに入室となった成人患者への静脈栄養法の開始は、早期開始(48時間以内)するよりも後期開始(8日目以降)のほうが、回復が早く合併症が少ないことが明らかにされた。ベルギー・ルヴェン大学病院集中ケア内科学のMichael P. Casaer氏ら研究グループが行った4,640例を対象とする多施設共同無作為化試験の結果による。重症疾患は、摂食障害を来し重度の栄養障害、筋消耗、虚弱をもたらし回復を遅らせるため栄養療法が開始されるが、アウトカム改善については明らかになっていなかった。Casaer氏らは、投与ルート、タイミング、目標カロリー、栄養療法のタイプに着目し、特に議論となっている経腸栄養法単独では目標カロリーが達成できないICU重症成人患者への静脈栄養法開始のタイミングについて試験を行った。NEJM誌2011年8月11日号(オンライン版2011年6月29日号)掲載報告より。静脈栄養法開始について早期開始群と後期開始群とに無作為化し検討試験は、2007年8月1日~2010年11月8日の間にベルギー国内7つのICUから登録された、経腸栄養法では栄養不十分(栄養リスクスコア7段階で3以上)のICU成人患者4,640例を対象とし、静脈栄養法の早期開始(ヨーロッパのガイドラインに基づく)と後期開始(米国・カナダのガイドラインに基づく)とについて比較された。早期開始群(2,312例)は、ICU入室後48時間以内に静脈栄養が開始され、後期開始群(2,328例)は7日目においても栄養不十分な場合で8日目に開始された。経腸栄養の早期開始のプロトコルは両群同一に適用され、正常血糖達成にはインスリンが注入された。後期開始群の生存退室率・生存退院率が相対的に6.3%上回る結果、後期開始群の患者は、ICUからの早期生存退室率(ハザード比:1.06、95%信頼区間:1.00~1.13、P=0.04)と病院からの生存退院率(同1.06、1.00~1.13、P=0.04)が相対的に6.3%上回り、退院時の機能状態の低下を示す所見は認められなかった。ICU内死亡率、病院内死亡率、90日生存率は、両群で同程度だった。また後期開始群の患者は早期開始群患者と比較して、ICU感染症(22.8%対26.2%、P=0.008)、胆汁うっ滞発生率(P

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胸膜感染患者、t-PA+DNase併用療法によりアウトカム改善

胸膜感染患者には、t-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)+DNase(デオキシリボヌクレアーゼ)併用療法が有効であることが明らかにされた。t-PA療法、DNase療法それぞれ単独では効果が認められなかった。英国・オックスフォード大学のNajib M. Rahman氏らが、210例を対象に多施設共同無作為化二重盲検ダブルダミー試験「MIST2」を行った結果で、併用療法群のみドレナージが改善し、手術処置の減少、入院期間の短縮が認められたという。胸膜感染は30%以上が死亡もしくは手術照会となる。感染体液のドレナージが治療の鍵となるが、初の多施設共同大規模無作為化試験であった胸腔内線維素溶解療法(ストレプトキナーゼ注入)を検討した試験「MIST1」ではドレナージの改善はみられなかった。NEJM誌2011年8月11日号掲載報告より。210例をプラセボ、併用、各単独の4治療群に無作為化し有効性を検討Rahman氏らは、胸腔内線維素溶解療法の有効性について、t-PA、DNaseを用いた試験を行った。t-PAの使用は症例シリーズ研究から支持されるもので、DNaseは小規模動物実験で胸膜感染症への可能性が示されていた。試験は、2005年12月~2008年11月に英国内11施設から登録された210例を対象とし、ダブルプラセボ群、t-PA+DNase併用群、t-PA+プラセボ群、DNase+プラセボ群の、4つの3日間の治療群に無作為に割り付けられた。主要アウトカムは、胸膜不透明度の変化とされた。測定は、半胸郭における浸出液が占める割合を胸部X線で撮影して測定し、1日目と7日目を比較した。副次アウトカムは、手術照会、入院期間、有害事象などが含まれた。胸膜不透明度変化、手術照会、入院期間ともプラセボと比べ有意に改善結果、胸膜不透明度変化の平均値(±SD)は、プラセボ群の-17.2±19.6%に比べ、t-PA+DNase併用群は-29.5±23.3%、併用群の変化が7.9%大きかった(差異:-7.9%、95%信頼区間:-13.4~-2.4、P=0.005)。一方、t-PA単独群の変化は-17.2±24.3%、DNase単独群は-14.7±16.4%で、プラセボ群との差は有意ではなかった(それぞれP=0.55、P=0.14)。また3ヵ月時点の手術照会発生率は、プラセボ群16%であったのに対し併用群は4%で有意に少なかった(オッズ比:0.17、95%信頼区間:0.03~0.87、P=0.03)。一方で、DNase単独群の発生率は39%で、プラセボ群よりも約3.5倍有意な手術照会率の増大が認められた(オッズ比:3.56、95%信頼区間:1.30~9.75、P=0.01)。入院期間は、併用群がプラセボ群よりも6.7日短縮した(差:-6.7、-12.0~-1.9、P=0.006)。単独群ではいずれもプラセボ群と有意な差は認められなかった。有害事象については、4群間で有意な差が認められなかった。(朝田哲明:医療ライター)

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linaclotideが慢性便秘症状を有意に改善:2つの無作為化試験の結果より

 米国で新規開発された便秘型過敏性腸症候群および慢性便秘の経口治療薬である、C型グアニリル酸シクラーゼ受容体作動薬のlinaclotideについて、有効性と安全性を検討した2つの無作為化試験の結果が報告された。米国・ベス・イスラエル医療センターのAnthony J. Lembo氏らが、約1,300人の慢性便秘患者について行ったもので、NEJM誌2011年8月11日号で発表した。linaclotide 145μg/日と290μg/日を12週間投与 研究グループは、慢性便秘患者1,276人について、12週間にわたり、2つの多施設協同無作為化プラセボ対照二重盲検試験(試験303と試験01)を行った。研究グループは被験者を無作為に3群に分け、linaclotide 145μg/日、linaclotide 290μg/日、プラセボを、それぞれ1日1回、12週にわたり投与した。 主要有効性エンドポイントは、週3回以上の自発的な排便(CSBM)と、12週のうち9週以上で試験開始時点よりも自発的排便回数が週1回以上増加したことが認められた、の2つとした。有害事象についてもモニタリングされた。主要有効性エンドポイント達成、linaclotide群16~21%に対しプラセボ群は6%以下 その結果、主要有効性エンドポイントに達したのは、試験303と試験01それぞれで、linaclotide 145μg群については21.2%と16.0%、linaclotide 290μg群は19.4%と21.3%だった。これに対しプラセボ群は3.3%と6.0%であり有意に低率だった(linaclotide群とプラセボ群の全比較についてP<0.01)。 1週間の排便回数、腹部不快感、鼓脹などを評価した副次エンドポイントについては、いずれのlinaclotide群とも、その割合はプラセボ群より有意に高率だった。 なお、有害事象については下痢を除き全試験群で同程度であった。両linaclotide群で下痢による試験中止は4.2%だった。 研究グループは、「これら2つの大規模な第III相試験において、linaclotideは慢性便秘患者の腸・腹部症状を改善し、重度の便秘を有意に軽減した。さらなる試験により、linaclotideの潜在的な長期リスクおよびベネフィットを評価する必要がある」と結論している。

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睡眠呼吸障害がある高齢女性、認知障害・認知症の発症リスク1.85倍に

高齢女性の睡眠呼吸障害は、軽度認知障害や認知症の発症リスクを1.85倍に増大することが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のKristine Yaffe氏らが、認知症の認められない高齢女性約300人を対象とする前向き観察試験を行った結果によるもので、JAMA誌2011年8月10日号で発表した。反復性覚醒や間欠性低酸素血症を特徴とした睡眠呼吸障害は高齢者によくみられ、これまでの断面調査で、低い認知能力との関連が示唆されているものの、認知障害発症につながるかどうかについては明らかにされていなかった。認知症のない高齢女性298人を、平均4.7年追跡研究グループは、2002年1月~2004年4月にかけて、認知症の認められない高齢女性298人[平均年齢82.3歳(SD 3.2)]について、終夜睡眠ポリグラフィを行い、2006年11月~2008年9月に測定された認知状態(正常、認知症、軽度認知障害)との評価を行った。睡眠呼吸障害の定義は、睡眠中1時間につき無呼吸・低呼吸指数15以上とし、多変量解析にて、年齢、人種、ボディマス指数、教育レベル、喫煙の有無、糖尿病・高血圧症の有無、薬物療法の有無(抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、非ベンゾジアゼピン系抗不安薬)、基線での認知スコアについて補正を行い、低酸素症、睡眠の分断および持続が、軽度認知障害や認知症の発症リスクと関連しているかを調べた。追跡期間の平均値は4.7年だった。認知障害などの発症、睡眠障害のない人では約31%、ある人では約45%その結果、睡眠呼吸障害の認められない193人では、軽度認知障害や認知症を発症したのは60人(31.1%)だったのに対し、同障害が認められた105人では47人(44.8%)であり有意に高率だった(補正後オッズ比:1.85、95%信頼区間:1.11~3.08)。また、酸素脱飽和指数の上昇(15回/時以上)や無呼吸・低呼吸時間が睡眠時間の7%超の場合も、いずれも軽度認知障害や認知症の発症リスク増大との関連が認められた。それぞれ補正後オッズ比は1.71(95%信頼区間:1.04~2.83)、2.04(同:1.10~3.78)だった。一方で、睡眠の分断(覚醒回数/時、覚醒時間を低中高に分類し評価)および睡眠持続時間(総睡眠時間を低中高に分類し評価)についてはいずれも関連が認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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