サイト内検索|page:1601

検索結果 合計:35627件 表示位置:32001 - 32020

32012.

どうやって信頼性を確保するか! 臨床試験成績の読み方!?

7月14日(土)NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)が主催する「第3回 J-CLEARセミナー」が、東京大学医学部附属病院において開催された。当日は全国より会員、関係者など約60名が参加した。今回のテーマとして「臨床試験成績の読み方-信頼性の観点から-」が掲げられ、巷間で問題となっている医学論文の信頼性や研究データの解析手法の問題点など、テクニカルな面も含め講演が行われた。特別講演臨床研究のmisconduct特別講演として山崎茂明氏(愛知淑徳大学 人間情報学部 教授)を講師に迎え、「臨床研究のmisconduct」というテーマで講演が行われた。講演では、「misconduct(不正行為・違法行為)」をキーワードに、論文やトライアルの問題を「点」として捉えるのではなく、さまざまな要因に起因する「線」によるミスと捉え、理解していこうというものであった。Misconductといかに向き合うかについては、これを「病気」になぞらえ、防ぐためには個人や環境への介入と予防のための教育が重要だと述べた。次にmisconductの定義について、「科学におけるmisconduct」とは、「捏造、改ざん・偽造、盗用」のことを指し、その他の逸脱行為として「資金の不正流用、各種ハラスメント」等があると説明した。そして、misconductの発生率について、1997年には1万件あたり約5件(0.05%)であったが、2005年のある調査では、3,247名に調査した結果、うち33%がmisconductに何らかの関与をしたとのレポートを紹介した。次にmisconductを防止する鍵は、「発表倫理」を考えることであり、発表倫理はさらに2つに分けられると説明した。それは「オーサーシップ」と「レフェリーシステム」である。まず、「オーサーシップ」の種類4つとそれぞれ考え得るリスクを述べた。ギフトオーサーシップ:儀礼的に名前が共著として載るリスク→撤回論文になった場合、不名誉な記録が残る名誉オーサーシップ:慣例で名前が共著として載るリスク→撤回論文になった場合、不名誉な記録が残るゴーストオーサーシップ:著者資格があるのに著者に記載されないリスク→EBMの情報源でなくなるゲストオーサーシップ:著者資格はないがゲストの肩書などを利用して意図的に信頼性を高める。メーカの記事等で散見されるリスク→論文の信頼性の著しい低下その上で、たとえばこれからのオーサーシップは、貢献度に応じて、映画のエンドクレジットのように名前を表出させてはどうかと提案が行われた。次にレフェリーシステムについて、従来は“Peer Review”が信頼性を維持してきたことに触れ、最近ではこのやり方が揺らいできていること、そこで“Open Peer Review”が採用されるようになってきたと述べた。そこでは審査論文は親展文書として送られ、ライバル研究者への審査依頼禁止を要望できるなど、編集システムの段階でさらにmisconductを防止できるようにシステムが築かれていると説明し、講演を終えた。わが国の臨床試験の課題1)オープン試験における問題点はじめに、植田真一郎氏(琉球大学大学院 薬物作用制御分野 教授)が「オープン試験における問題点」と題して問題提起を行った。オープン試験は、元来、治療方針の比較(例.生活習慣指導の臨床試験)に適した試験であり、薬効の比較にはむかない試験である。薬剤の比較試験は二重盲検で行うべきであるが、わが国では治験を除いて、そのほとんどがオープン試験で行われているのが現状。また、本来エンドポイントは、試験の目的によって決まるはずであるが、現状は症例集積性と検出力から決まっている。その結果、複合エンドポイントが採用されることが多い。複合エンドポイントのコンポーネントとして、時に主観的なものが設定されることが多い。例えば、狭心症の発症、心不全による入院、経皮的冠動脈インターベーション(PCI)の施行などである。問題なのはオープン試験の複合エンドポイントのコンポーネントとして主観的なエンドポイントが含まれてしまっていることである。オープン試験では主治医は、患者がどちらの治療を受けているかを知っているので、対照群で主観的なエンドポイントがより多く発生することで結果に影響を及ぼすと指摘。また、イベント元(主治医)からデータセンターへの報告が担保されていないなど問題があると言及した。そこであるべき研究試験体制としての組織を説明後、OCTOPUS研究による質の保証を述べた。すなわち、「ランダム化は最小化法で、CRC(治験コーディネーター)を派遣し第三者によるデータ転記、独立したモニタリング委員会とイベント評価委員会、そして試験事務局の独立が担保されなければならない」と説明した。そして、わが国で多く実施されているオープン試験の質を担保する方策として、「研究目的の整合性、適正なモニタリング・監査、アウトカムの評価の厳密化、データ管理とトレーサビリティ、公的研究での資金サポートが重要だ」とのべ、発表を終えた。2)Spinについて桑島巌氏(東京都健康長寿医療センター 顧問)が、「Spinについて」と題して臨床試験の目的と結果の齟齬について説明した。「Spin」とは「回転させる」から転じた用語で、臨床試験において「主要なエンドポイントに関して統計学的には有意でなかったにも関わらず、試験薬が有効であったかのように印象付ける、あるいは有意でなかったことから注意を逸らせるような報告内容」であり、 2010年にJAMA誌に発表され、この報告によるとspin率は37.5%、本文の考察部分でのspin率は43.1%であったと紹介した(参考記事「RCT論文、『有意差なし』なのにタイトル曲解18%、要約結論曲解58%」)。次に2つの循環器系の臨床試験を例にspinの具体例を説明した。ある試験では、1次エンドポイントにおいて結果が出なかったために、2次エンドポイントを強調して発表した例や、別の試験では、有意差が得られなかった結果に対し、仮説が成立していた患者群だけの後付け解析を別の研究論文として発表された例等があると解説した。そして、「臨床研究論文は、プライマリエンドポイントを主眼に発表し、読者を惑わすことがあってはならない」と発表を終えた。3)オープン試験における信頼性保証の方策景山茂氏(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 薬物治療学研究室 教授)が、「オープン試験における信頼性保証の方策」と題して、わが国における心血管イベントを対象とした最近の自主臨床試験の特徴を中心に説明を行った。一つは、「複合エンドポイントの採用」で、利点として多重性を避け、サンプルサイズを小さくし、追跡期間を短くすることができる半面、結果の解釈が難しく、オープン試験に適さない情報が採用される場合もあると指摘した。もう一つは、「PROBEデザインの採用」であり、はじめにPROBEデザインで行われた欧米、日本の主な研究を例示。次に、PROBEデザインの課題として(1)適切なエンドポイントの選択、(2)エンドポイント委員会の機能強化、(3)第三者の介入(CRCのサポート)、(4)CONSORT声明の改善(オープン試験では責任医師の症例数を申告させるなど)、(5)モニタリングと監査の5つを挙げ、今後の改善すべき点を示した。また、医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)についても触れ、その目的は「被験者の人権、安全、福祉の保護」と「治験の科学的な質とデータの信頼性の確保」にある。両方を実現するためにも「臨床研究に関する倫理指針」へのデータの信頼性保証の方策の記載、試験機関でのモニタリングと監査部門の設置、ガイドラインに基づく不正行為告発等の受付体制の整備などを提起した。総合討論続いて総合討論となり、会場からさまざまな質問や問題提起が行われた。一例として「トライアル研究の問題点は何か」という質問に対して、「薬効の厳密評価と治療法の評価の方法は違う研究。前者は治験、後者は標準治療と厳格治療を比較したUKPDSに代表されるようなもの」という回答がなされた。また、「研究試験の外的妥当性を高める方策は?」と問われたところ「RCTそのものに制限があるので、例外を考える。現場で評価が出ない時は、それ以外で考えることも必要。検討される結果の事前確率を考えて、具体的には事前統計を見積もって、事後確率も考えていく」や「外的妥当性の向上として、サブブロック解析をした方がよい。層別解析で行う」など複数の回答が寄せられていた。最後に代表の桑島氏が「3時間半の盛り上がる研究会となった。今後も、今回の発表内容などを日ごろの研究試験の際に参考にしてもらいたい」と挨拶し、セミナーを終了した。※NPO法人 臨床研究適正評価教育機構とは、2010年に発足した臨床研究を適正に評価するために必要な啓発・教育活動を行い、我が国の臨床研究の健全な発展に寄与することをめざした組織。毎年セミナー、シンポジウムなどの勉強会が開催され、出版物の刊行も行っている。●詳しくはNPO法人 臨床研究適正評価教育機構まで http://j-clear.jp/

32013.

医師900名が回答!「痛み」の診療に関する緊急アンケート その1

対象ケアネット会員の医師927名(内訳:内科45% 循環器19% 脳神経外科9% 神経内科8% 外科5% 消化器科3% 代謝内分泌3% その他9%)方法インターネット調査実施期間2012年7月31日~8月7日Q1.先生が診ていらっしゃる患者さんの中で、「何らかの痛み」を訴えて治療を行っている患者さんは月平均何名くらいいらっしゃいますか?Q2.Q1でお答えになった人数のうち、「神経障害性疼痛」だと思われる痛みをお持ちの患者さんはどのくらいいらっしゃいますか?

32014.

心不全患者への有酸素運動指導、うつ症状を軽減

慢性心不全患者に対し、有酸素運動指導を行うことで、うつ症状が有意に軽減することが示された。また長期の総死亡・入院リスクについても、わずかな低下が認められた。米国・デューク大学メディカルセンターのJames A. Blumenthal氏らが、約2,300人について行った無作為化比較試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。心不全患者でうつ症状が認められるのはその4割にも上り、またうつ症状がアウトカムの増悪につながることが、これまでの研究でわかっているという。運動群は週90~120分の有酸素運動研究グループは、2003年4月~2007年2月にかけて、米国、カナダ、フランスの82ヵ所の医療機関を通じて、2,322人の心不全患者について無作為化比較試験を開始した。被験者は、左室駆出率35%以下、NYHA心機能分類クラスI~IVだった。ベック抑うつ評価尺度II(BDI-II)で、うつ状態の評価も行い、同スコアが14以上を臨床的にうつ状態だとした。試験は被験者を無作為に2群に分け、一方の群には、1~3ヵ月後まで指導者による有酸素運動を90分/週、4~12ヵ月後まで自宅で週120分以上の運動を行った。もう一方の対照群には、患者教育とガイドラインに沿った心不全治療を行った。主要アウトカムは、全死因死亡とあらゆる入院の統合イベント、および3ヵ月、12ヵ月後のBDI-IIスコアとした。3ヵ月、12ヵ月後のうつスコア、運動群で有意に低値追跡期間の中央値は30ヵ月だった。またBDI-IIスコアの試験開始時の中央値は8で、同14以上は被験者の28%だった。追跡期間中の死亡または入院は、対照群が789人(68%)だったのに対し、運動群では759人(66%)と1割程度低かった(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.81~0.99、p=0.03)。また3ヵ月後のBDI-IIスコア平均値は、対照群が9.70に対し運動群が8.95と、0.75ポイント低かった(p=0.002)。12ヵ月後の同スコア平均値も、対照群が9.54に対し運動群が8.86と、0.68ポイント低かった(p=0.01)。Blumenthal氏らは「ガイドラインに沿った通常ケアと比較して、有酸素運動指導を行うことはうつ症状をわずかだが軽減した。しかし、その臨床的有意性は不明である」と結論している。

32015.

閉経後女性における結腸がんの危険因子~15万912人の追跡データより

 閉経後女性における結腸がんの危険因子について、米国Women's Health Initiativeにおけるプロスペクティブデータから、関連する可能性がある800以上の因子を検討した結果が、Cancer Causes and Control誌オンライン版2012年8月2日版に発表された。Arthur Hartz氏らが報告。 著者らは、150,912人(50〜79歳)の閉経後女性のデータから、Cox比例ハザード回帰分析を用い、追跡期間中央値である8年において結腸がん発症に関連する独立危険因子を検討した。主な結果は以下のとおり。・1,210人の女性が結腸がん、282人の女性が直腸がんを発症した。・11の危険因子が、結腸がんリスク増加との独立した関連性が認められた(p

32016.

高齢者の白内障、手術で大腿骨頸部骨折リスク16%低下

白内障の診断を受けた高齢者は、白内障手術を受けたほうが受けない場合に比べ、1年間の大腿骨頸部骨折リスクは約16%低下するとの結果が報告された。米国・ブラウン大学のVictoria L. Tseng氏らが、メディケア受給者110万人超について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。視覚障害は骨折のリスク因子であることは明らかにされているが、白内障手術と骨折リスクとの関連についてはこれまでほとんど報告されていないという。白内障と診断されたメディケア加入者5%を無作為抽出研究グループは、65歳以上のメディケア・パートB受給者の中から、2002~2009年の間に白内障の診断を受けた人のうち、無作為に抽出した5%(111万3,640人)について後ろ向き追跡試験を行い、手術の有無による1年間の骨折罹患率を比較した。同罹患率については、年齢、性別、人種、居住地域などについて補正を行い、ロジスティック回帰モデルでオッズ比を求めた。白内障手術群、非手術群に比べ大腿骨頸部骨折リスクは0.84倍に被験者のうち、追跡期間中に白内障の手術を受けたのは、41万809人(36.9%)だった。また、大腿骨頸部骨折を発生したのは、1万3,976人(1.3%)だった。白内障手術を受けた人の、受けなかった人に対する、1年間の大腿骨頸部骨折に関する補正後オッズ比は、0.84(95%信頼区間:0.81~0.87)と、絶対リスク格差は0.20%だった。また、最も多い大腿骨頸部骨折関連の共存疾患は骨粗鬆症(13万4,335人、12.1%)で、最も多い共存眼疾患は緑内障だった(21万2382人、19.1%)。白内障手術を受けて大腿骨頸部骨折リスクが低下した人は、受けなかった適合グループ群との比較で、重症の白内障の人、傾向スコアに基づき手術を受けたと思われる人、75歳以上、Charlson併存疾患指数3以上の人であった。

32017.

高齢者のQOL低下に深く関わる「うつ」

 高齢になればなるほど、生活の質(QOL)が低下することがわかっている。とくに認知症患者では、顕著なQOL低下をきたす。Weiss氏らは各ステージのアルツハイマー型認知症(AD)患者、軽度認知障害(MCI)患者、健常高齢者のQOLを評価し、高齢者におけるQOLの予測因子についてうつ病など気分障害が関与していることを報告した。Neuropsychiatr誌オンライン版2012年7月27日号の報告。 対象は健常高齢者23名、MCIと診断された高齢者24名、軽度AD28名、中等度AD17名からなる高齢者92名。QOLはSF36(包括的QOL尺度)を用い評価した。主な結果は以下のとおり。・健常高齢者または中等度ADでは、MCI、軽度ADと比較し、良好なQOLを示した。SF36の尺度のうち、全体的健康感、活力、日常役割機能、心の健康の認知において有意な差が認められた。・うつ病とSF36のすべての尺度の間に、有意な負の相関が認められた。・気分は、認知機能低下の段階において、高齢者のQOLの強力な予測因子であると考えられる。関連医療ニュース ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか? ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり

32018.

糖尿病に対する積極的な降圧はどの程度のベネフィットをもたらすか ーメタアナリシスよりー

 McBrien氏らは、2型糖尿病に対する積極的な降圧は、脳卒中発症のリスクをわずかに減少させることができるが、死亡リスク、心筋梗塞発症リスクを減少させられないことを、無作為化比較試験のメタアナリシスより示した。Arch Intern Med誌に発表されたこの解析結果は、8月6日よりONLINE FIRSTとして公開されている。 2型糖尿病の降圧治療は、厳格な目標を設定すべきか結論が得られていない。わが国では糖尿病を合併した高血圧患者の場合、130/80mmHg未満への積極的な降圧が推奨されている。拡張期血圧についてはHOT研究の糖尿病合併例のサブ解析で80mmHg未満群が85mmHg未満群、90mmHg未満群より心血管イベントが少なかったことに裏付けられている。しかし、収縮期血圧が130mmHg未満を推奨する根拠は観察研究によるもでのあり、むしろ2010年に発表されたACCORD試験の結果は、120mmHg未満を降圧目標とする超積極的降圧群と、140mmHg未満を降圧目標とする治療群と一次エンドポイントにおいて有意差がなかったことを示しており、糖尿病患者の積極的な降圧の意義については議論の余地がある。McBrien氏らは、成人の2型糖尿病の降圧目標を比較した無作為化比較試験のメタアナリシスを行い、積極的降圧治療によるリスク減少度を算出した。主な結果は下記のとおり。〔死亡〕相対リスク減少度=0.76 (95%信頼区間=0.55〜1.05)〔心筋梗塞〕相対リスク減少度=0.93(95%信頼区間=0.80〜1.08)〔脳卒中〕相対リスク減少度=0.65(95%信頼区間=0.48〜0.86)     絶対リスク減少度=-0.01(95%信頼区間=-0.02〜0.00)

32019.

第5回 損害の評価、素因減額:医師の責任を金銭にすると?

■今回のテーマのポイント1.身体損害の金銭への評価は、〔1〕治療費等積極的損害 +〔2〕逸失利益(消極的損害) + 〔3〕慰謝料で求められる2.不法行為の被害者が疾患を有する場合の損害額の減額方法として、逸失利益の減額(損害額の算定)と素因減額の方法がある3.良性疾患等回復可能な疾患においては、素因減額の方法をとる必要がある事件の概要患者(X)(48歳男性)は、平成12年5月23日、勤務中に右膝を負傷し、A病院にて局所麻酔下で異物(右膝の皮下組織と筋膜間に針金と砂様の異物、脛骨粗面付近の皮下組織内に鉛筆の芯用の異物)を除去しました。創部の痛みが強かったため、2日後の同月25日にXは、A病院に入院することとなりました。右膝の経過は順調であったものの、同月30日頃より、胸部不快感が生じるようになり、6月1日午前5時半頃、トイレから帰室する際に意識消失。すぐに意識を取り戻したものの、胸部不快感及び呼吸苦を訴えたことから、酸素投与及びニトロ舌下を行ったところ、胸部不快感及び呼吸苦は改善しましたが、心電図上、「II,III,aVF,V1,2 negative T,V3,4,5軽度ST上昇」を認めたため、Y1医師は、急性冠不全症又は急性心筋梗塞疑いと診断して精査加療のため、B病院に転院を指示しました。B病院転院後、医師Y2は、午前11時20分頃に冠動脈造影検査を施行したところ、器質的狭窄は認めなかったものの、エルゴノビン負荷テストにおいて、左前下行枝に90%狭窄を認め、同日朝の胸部不快感と同様の症状を認めたこと、ニトロール注入にて症状及び狭窄が改善したことから、冠攣縮性狭心症と診断しました。しかし、Xは、同日夜10時頃と翌午前3時頃に胸部不快感を訴え、翌朝午前6時50分頃、再び意識消失しました。同時点での血圧は80台、心拍数が48回/分、心電図上、右脚ブロック及びV2~4でST上昇を認めました。Y2医師は、心エコーを施行したところ、著明な右室の拡張及び心室中隔の奇異性運動を認めたことから、肺塞栓症を疑い、肺動脈造影検査を施行しようとXをベッド移動したところ、Xは、呼吸停止、高度除脈となりました。Y2医師は、心肺蘇生を行うと同時に、肺動脈造影を行ったところ、肺動脈内に血栓を認めたことから、肺塞栓症と診断し、血栓溶解剤の投与を行いましたが、6月4日午前6時24分に死亡確認となりました。原審(熊本地裁)では、Y1医師、Y2医師が肺塞栓症を疑わなかったことに過失は認められないとして、Xの遺族の請求を棄却しました。これに対し、福岡高裁は、Y1医師、Y2医師の過失を認め、下記の通り判示しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過患者(X)(48歳男性)は、平成12年5月23日、勤務中に右膝を負傷したため、同日勤務終了後、近医を受診しました。レントゲン写真上、右膝に異物が認められたことから、異物の摘出を試みるも、うまくいかなかったため、A病院に紹介しました。同日夕方、A病院にて局所麻酔下で異物(右膝の皮下組織と筋膜間に針金と砂様の異物、脛骨粗面付近の皮下組織内に鉛筆の芯用の異物)を除去し、ペンローズドレーンを留置し、外来フォローアップとしました。しかし、創部の痛みが強く、2日後の同月25日に患者X希望にてA病院に入院することとなりました。右膝の経過は順調であったものの、同月30日頃より、胸部不快感が生じるようになり、6月1日午前5時半頃、トイレから帰室する際に意識消失。すぐに意識を取り戻したものの、胸部不快感及び呼吸苦を訴えたことから、心電図を施行し、酸素投与及びニトロ舌下を行ったところ、胸部不快感及び呼吸苦は改善しました。同日午前9時頃に内科(医師Y1)紹介受診したところ、先に施行した心電図上、「II,III,aVF,V1,2 negative T,V3,4,5軽度ST上昇」を認めたことから、急性冠不全症又は急性心筋梗塞疑いにて精査加療のため、B病院に転院することとなりました。同日午前10時頃にB病院に到着。医師Y2は、午前11時20分頃に冠動脈造影検査を施行したところ、器質的狭窄は認めなかったものの、エルゴノビン負荷テストにおいて、左前下行枝に90%狭窄を認め、同日朝の胸部不快感と同様の症状を認めたこと、ニトロール注入にて症状及び狭窄が改善したことから、冠攣縮性狭心症と診断しました。しかし、Xは、同日夜10時頃と翌午前3時頃に胸部不快感を訴え、翌朝午前6時50分頃、再び意識消失しました。同時点での血圧は80台、心拍数が48回/分、心電図上、右脚ブロック及びV2~4でST上昇を認めました。Y2医師は、心エコーを施行したところ、著明な右室の拡張及び心室中隔の奇異性運動を認めたことから、肺塞栓症を疑い、肺動脈造影検査を施行しようとXをベッド移動したところ、Xは、呼吸停止、高度除脈となりました。Y2医師は、心肺蘇生を行うと同時に、肺動脈造影を行ったところ、肺動脈内に血栓を認めたことから、肺塞栓症と診断し、血栓溶解剤の投与を行いましたが、6月4日午前6時24分に死亡確認となりました。事件の判決判決では、遅くとも6月1日午前5時半頃の意識消失時(前医であるA病院入院時)には、Xが肺塞栓症を発症していたと認定し、「Y1医師が、Xの6月1日の意識消失等を虚血性心疾患によるものであると診断したのは、客観的には誤りであったものといわなければならない」とした上で、「もっとも、症状や心電図のみでは、肺塞栓症とその他の疾患、特に心疾患と鑑別診断することは極めて困難であるというのであるから、Y1医師が、6月1日午前9時ころまでにXにかかる上記のような所見を得ていたからといっても、Xが肺塞栓症に罹患していると診断することまで期待するのは無理である。とはいえ、急性肺血栓塞栓症においては、診断がつかず適切な治療が行われない場合には死亡の確率が高いこと、他方で、適切な治療がなされれば死亡率が顕著に低下することが知られていたのであるから、Y1医師としては、上記時点で、少なくとも肺塞栓症に罹患しているのではないかとの疑いを持つことが必要であり、それは十分可能であったといわなければならない」として、Y1が肺塞栓症を疑わず、その結果B病院転院時の診療情報提供書に肺塞栓症疑いと記載しなかったことを過失としました。Y2についても、「6月1日午後10時ころに至り、再び胸痛を訴えるに及び、また、その際行われた心電図検査の結果は、搬送された際に実施したものと同様に、肺塞栓症と考えても矛盾しないものであったということからすれば、遅くともこの時点では肺塞栓症を疑うべきであったといわなければならない」「しかるに、Y2医師は、上記Y1医師の診断結果を認識した後、もっぱらその疑いを念頭に置いて冠動脈造影検査、エルゴノビン負荷テストを施行したものであり、また、胸痛が持続する場合にはニトロペンを舌下投与すべき旨を指示しただけで、肺塞栓症を鑑別対象に入れることは6月2日朝に至るまでなかったというのであるから、この点につき、Y2医師には上記注意義務に違反した過失があるというべきである」として過失を認めました。その上で、「このような事情を考慮するならば、上記のとおり、Y1医師及びY2医師がともに過失責任を免れないとしても、直ちに全責任を負わしめるのはいかにも酷というべきである。そうであれば、結果に寄与したXの素因ないしは被害者(患者)側の事情として上記の諸事情を考慮し、上記不法行為と相当因果関係を有する損害額を一定の割合で減額するのが相当である」と判示し、過失相殺の法理を類推適用し、損害額の4割を控除し、約4,080万円の損害賠償責任を認めました。(福岡高裁平成18年7月13日判タ1227号303頁)ポイント解説不法行為責任が成立した場合、加害者は、当該過失によって生じた損害を金銭に評価した額を賠償する責任を負います。(1) 過失(2) 損害(3) (1)と(2)の間の因果関係↓不法行為責任成立↓生じた損害を金銭に評価↓当該評価額を賠償する責任を負う医療過誤訴訟においては、通常、「患者の死傷」が損害となります。この「人の死傷」という損害の金銭的評価は難しく、各国によって異なっているのですが、わが国においては、〔1〕積極的損害:入院・治療費、看護費用、交通費、葬祭費、弁護士費用等〔2〕消極的損害:逸失利益(被害者が生存していれば得たであろう利益(収入))〔3〕精神的損害:慰謝料の3つが認められることとなっています。この中で、最も高額となりがちなのが〔2〕の逸失利益であり、産科医療訴訟の賠償額が高額化する原因はここにあります(被害者の就労可能期間が最も長いため)。しかし、病院に治療に来る患者は、何らかの疾患を抱えています。したがって、たとえ医療過誤が発生し、患者が死亡した場合であっても、当該疾患により、就労不能であった場合には、逸失利益は“0”になります(損害額の算定の問題)。また、交通事故と被害者の疾患が競合して死亡という結果が生じた事案において、裁判所は、「被害者に対する加害行為と被害者のり患していた疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項の過失相殺の規定※1を類推適用して、被害者の当該疾患を斟酌することができるものと解するのが相当である。けだし、このような場合においてもなお、被害者に生じた損害の全部を加害者に賠償させるのは、損害の公平な分担を図る損害賠償法の理念に反するものといわなければならないからである」(最判平成4年6月25日民集46巻4号400頁)と判示しています。これは、「素因減額」と言われている考え方です。被害者が疾患を有していた場合の損害額の減額方法はこれら2つの方法がありますが、医療過誤訴訟においては、多くの場合、損害額の算定の方法で処理されています。たとえば、がん患者が医療過誤によって死亡した場合には、損害額の算定による方法では、「医療過誤がなかったとしても余命は○年であり、その間、就労することは不可能であるので逸失利益は認められない」となり、素因減額の方法では、「医療過誤とがんがともに原因となって死亡という損害を発生させており、加害者に損害の全部(健康な同年代と同額の逸失利益等損害)を賠償させることは公平を失するので、過失相殺の規定を類推適用して、損害額を減額する」となり、どちらの方法をとっても、結果として、同程度の損害額の減額が認められることとなります。しかし、進行がんなどの治療困難な疾患については、どちらの方法でも同程度の結果となりますが、本件のように、うまく治療がなされれば根治可能な良性疾患等に関しては結果が異なってきます。すなわち、「医療過誤がない」=「肺塞栓症と早期に診断」ができていれば、健康な状態で長期就労可能となりますので、損害額の算定の方法では、減額ができないからです。本判決では、Y1、Y2に過失があるといえるかはともかく、このような場合には、素因減額の方法をとり、損害額を減額することができるということを示した判決です。世界中で、民事医療訴訟を原因とした医療崩壊が生じており、その対応のため、無過失補償制度を各国が導入してきています。無過失補償制度を導入するにあたり、最大の鍵となるのが、補償額の多寡であり、訴訟を行った場合に得られる金額に近い額の補償額を給付しなければ、結局、訴訟が選択されてしまいます。逆相続※2を認めるわが国においては、損害賠償額が高額となるため、無過失補償制度の運営が困難といわれています。また、そもそも、医療提供体制においては、低額の皆保険制度をとっているにもかかわらず、紛争が生じると、他の一般民事事件と同様に高額な損害賠償額となるのは公平を失するといえます。今後、医療過誤訴訟は増加の一途をたどることが予想されます。訴訟による医療崩壊が生ずる前に速やかに無過失補償制度を作る必要があり、その前提として、素因減額の適用拡大が必要となるものと思われます。 ※1民法第722条2項:被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。※2子供が不法行為により死亡した場合に、子供の逸失利益を親に相続させること。子供が生存していた場合、親が子の財産を相続することは通常ないこと等から、EU諸国では認められていない。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)福岡高裁平成18年7月13日判タ1227号303頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。最判平成4年6月25日民集46巻4号400頁

32020.

太り過ぎの乳がん患者の二次原発がんリスクは有意に高い!肥満による大腸がん発症の相対リスクは1.89

 乳がん患者における二次原発がん発生率とBMI(Body Mass Index)との関連が、いくつかの観察研究で検討されている。この関連の強さを評価するために、フランスのDruesne-Pecollo N氏らがエビデンスの系統的レビューとメタ解析を行った。解析の結果、肥満により二次原発がんのリスクは有意に増加することが認められ、太り過ぎや肥満の患者を減少させるための予防対策が重要であることが示唆された。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2012年8月5日号における報告。 著者らは、PubMedとEMBASEで2012年5月まで検索を行い、解析に含まれている研究の参考文献リストを調査した(前向き研究13報、コホート研究5報、ケースコントロール研究8報)。 BMIのメタ解析の結果、肥満は、対側乳房(相対リスク(RR):1.37、95%信頼区間(CI):1.20~1.57)、乳房(RR:1.40、95%CI:1.24~1.58)、子宮内膜(RR:1.96、95%CI:1.43~2.70)、大腸(RR:1.89、95%CI:1.28~2.79)における二次原発がんの有意なリスクの増加に関連していた。 また、用量反応メタ解析によると、BMIが5kg/m2増加することにより、対側二次原発乳がんのRRが1.12(95%CI:1.06~1.20)、二次原発乳がんのRRが1.14(95%CI:1.07~1.21)と、それぞれ有意に二次原発がんのリスクが増加した。子宮内膜の二次原発がんでは、5kg/m2増加による要約RRは、1.46(95%CI:1.17~1.83)であった。 今後、体重過多の乳がん患者において、正常体重への減量による二次原発がん発生率への効果を評価するための臨床試験が必要である、と著者らは述べている。

検索結果 合計:35627件 表示位置:32001 - 32020