ロタウイルスワクチンの接種効果:アフリカからの報告

提供元:ケアネット

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公開日:2010/02/10

 



ロタウイルスは、世界的に乳幼児における重症胃腸炎の最も頻度が高い原因として知られる。世界保健機構(WHO)によれば、ロタウイルス感染による年間の小児死亡例は推定52万7,000例で、そのうち23万例以上は、サハラ以南のアフリカで起きているという。南アフリカのWitwatersrand大学疾病ワクチン予防研究部門のShabir A. Madhi氏らは、アフリカの1歳未満児におけるロタウイルスワクチンの有効性に関する臨床試験を実施。その結果、1歳未満での重症ロタウイルス胃腸炎発生の有意な低下が確認できたと報告した。同地域は貧困が深刻で医療資源が限られており、ワクチン接種による重症化予防が期待されている。NEJM誌2010年1月28日号より。

乳児約5,000例を、3回or2回接種群、プラセボ群に無作為化し追跡




Madhi氏らは、南アフリカ共和国とマラウイ共和国両国の複数施設から健康な乳児を登録し、重症ロタウイルス胃腸炎予防に関する、経口ロタウイルス生ワクチンの有効性を評価する無作為化プラセボ対照試験を行った。

試験に登録された乳児は、南アフリカから3,166児(全体の64.1%)、マラウイから1,773児(同:35.9%)の計4,939児で、1:1:1の比率で無作為に、ワクチン2回投与群(プラセボ投与1回を含む3回投与群も含む、1,647例)、ワクチン3回投与群(1,651例)、プラセボ3回投与群(1,641例)に割り付けられ追跡された。ワクチン接種は、生後6週目、10週目、14週間目に行われた。

積極的な追跡サーベイランスで、1歳未満に起きた野生型ロタウイルスによる胃腸炎症状エピソードの評価を行い、Vesikariスケールで類型化した。

重症ロタウイルス胃腸炎に対するワクチン有効性は61.2%




有効性解析に含まれたのは4,417児。そのうち重症ロタウイルス胃腸炎の発生は、プラセボ群で4.9%、ワクチン接種群は1.9%で、ワクチンの有効性は61.2%(95%信頼区間:44.0~73.2)だった。

ワクチン有効性は、マラウイ(49.4%)の方が、南アフリカ(76.9%)より低かった。しかし重症ロタウイルス胃腸炎が予防された症例数は、マラウイ(6.7例/ワクチン接種100児年)の方が、南アフリカ(4.2例/ワクチン接種100児・年)より多かった。

原因を問わない重症胃腸炎に対するワクチン有効性は、30.2%だった。

一つ以上の重篤な有害事象は、ワクチン接種群は9.7%、プラセボ群では11.5%報告された。

(医療ライター:朝田哲明)