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〔CLEAR! ジャーナル四天王(16)〕 早期介入の効果:真実は中庸にあり

初期認知症の患者に対する社会心理的介入は大変有意義であり、社会的にも注目されている。この報告を見て、なんだか釈然としない結果だな、認知症なら「認知機能の回復」をアウトカムにしてガツンと結果が出ないのか…と思われる方も多いかと思う。しかし専門外来をしている者としては、現時点では認知機能の回復では有意な結果はおそらく出ないため、本論文は臨床的には妥当な結果であると考える。 早期介入による認知機能の改善、さらに言えばアルツハイマーの神経病理の進行の予防は残念ながら現時点では困難が大きい。考えてみれば、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)も根本治療薬つまりdisease-modifying drugではなく、内服中も病理の進行は粛々と進んでいるというのが定説である。よって、社会心理的介入では厳しいことは容易に想像がつく。 しかしながら、「施設入所」などをアウトカムにとった場合は早期介入の効果がより明確である。本論文の参考文献でいくつか登場するMittelmanらは、配偶者への濃密な心理的サポートにより施設入所のハザード比が0.72に低下し、施設入所までの日数は557日伸ばせる、と報告している。(Neurology.2006 ;67:1592-1599.)さらに、介護者のうつが軽快することも示している。(ただし、この論文自体は本論文の参考文献に挙げられていない) 認知症においては介入や治療に関して、患者の家族の中には「きちんと治療すれば絶対に治る(治せる)」あるいは「医学が何をやっても何も変わらない」という両極端の意見がしばしば見られ、一般向けの書籍などもどちらかの立場が多い(そして、後者を主張する本などは利潤目的の民間療法へ誘導することが多い)。 しかし、現時点での真実は中庸にある。つまり、早期から標準的な介入や治療を受けていれば、進行を止められると確約はできないが、患者や家族をうつにしないようにすることや、なるべく長く住み慣れた地域で暮らすことなどに関してはかなりお手伝いできますよ、というところである。この論文は、そういった当たり前のことを思い出させてくれる論文である。

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第6回 過失相殺:患者の過失はどこまで相殺できるか?

■今回のテーマのポイント1.医療従事者に過失があったとしても、患者自身の行為にも問題があり、その結果損害が生じた場合、または損害が拡大した場合には、過失相殺が適用され損害賠償額が減額される2.「法的な」療養指導義務の内容は、明確に示される必要がある3.されど、医療従事者には職業倫理上、「真摯(しんし)かつ丁寧な」説明、指導をする義務がある事件の概要患者(X)(72歳女性)は、2日前から左上下肢に脱力感があったため、平成13年5月7日にA病院を受診し、脳梗塞との診断にて、入院となりました。ただ、Xは、意識清明で、麻痺の程度も、MMT(徒手筋力テスト)上、左上下肢ともに“4”であり、独歩も可能でした。担当看護師は、入院時オリエンテーションを実施した際、転倒等による外傷の危険性があることを話し、トイレに行くときは必ずナースコールで看護師を呼ぶように注意しました。ところが、Xは、トイレに行く際、最初はナースコールを押していたものの、次第にナースコールをせずに一人でトイレに行くようになり、夜勤の担当看護師であるYが一人でトイレから帰るXを何回か目撃しました。Yは、その都度、トイレに行くときにはナースコールを押すよう指導しました。同月8日午前6時ごろ、Yが定時の見回りでXの病室に赴いたところ、Xがトイレに行くというのでトイレまで同行しましたが、トイレの前でXから「一人で帰れる。大丈夫」といわれたので、Yはトイレの前で別れ、別の患者の介護に向かいました。しかし、午前6時半頃、Yが定時の見回りでXの病室に赴いたところ、Xがベッドの脇で意識を消失し、倒れていました。Xは、急性硬膜下血腫にて緊急手術を行うも、意識が回復することなく、同月12日(入院6日目)に死亡しました。原審では、看護師Yに付き添いを怠った過失を認めつつも、当該過失とXの転倒に因果関係が認められないとして、Xの遺族の請求を棄却しました。これに対し、東京高裁は、看護師Yの不法行為の成立を認め、下記の通り判示しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過患者(X)(72歳女性)は、平成13年5月5日頃より左上下肢に脱力感が出現し、何とか家事はできたものの、体調がすぐれず、同月7日にA病院を受診しました。頭部CTを施行したところ、麻痺と一致する箇所に梗塞巣を認めたため、脳梗塞と診断されました。ただ、Xは、意識清明で、麻痺の程度も、MMT(徒手筋力テスト)上、左上下肢ともに“4”であり、独歩も可能であったことから、リハビリテーション目的にて14日の予定で同日入院となりました。担当看護師は、入院時オリエンテーションを実施した際、転倒等による外傷の危険性があることを話し、トイレに行くときは必ずナースコールで看護師を呼ぶように注意しました。A病院は2交代制を採っており、夜勤では、Xが入院したA病院2階の患者(約24名)を正看護師2名と准看護師2名の計4名で担当していました。同日の夜勤帯でXを担当する看護師Yは、同日午後6時、定時の見回りの際、「Xがトイレに行きたい」というので、病室から約15m離れたトイレに連れて行きました。午後7時、8日午前1時にもXよりナースコールがあったので、同様にYは、トイレまでの付添いをしました。しかし、午前3時にYが定時の見回りを行う際、Xが自力で歩行し、トイレから戻るところを発見しました。Yは、Xに対し、今後トイレに行くときにはナースコールを押すよう指導し、病室まで付き添いました。ところが、午前5時にもXが、トイレの前を自力歩行しているところをYは発見したため、同様の指導をしましたが、Xは「一人で何回か行っているので大丈夫」と答えました。午前6時頃、Yが定時の見回りでXの病室を訪れたところ、Xは起き上がろうとしており、トイレに行きたいといったため、Yは、トイレまで同行(直接介助はしていない)しました。そして、トイレの前でXから「一人で帰れる。大丈夫」といわれたため、Yは、Xとトイレの前で別れ、他の患者の介護に向いました。その後、午前6時半頃、Yが定時の見回りでXの病室を訪れたところ、Xがベッドの脇に倒れ、意識を消失しているのを発見しました。医師の指示で頭部CTを施行したところ、急性硬膜下血腫と診断され、同日緊急手術を行ったものの、同月12日(入院6日目)に死亡しました。事件の判決原審では、午前6時にXがトイレから帰室する際にYが付き添わなかったことに過失があるとしたものの、Xがいつ転倒したかは不明であり、当該帰室時に転倒したと認めることには、なお合理的な疑いがあるとして因果関係を否定しましたが、本判決では、因果関係を肯定し、Yの不法行為の成立を認めたうえで、下記のように判示し、過失相殺を適用して、損害額の8割を控除し、約470万円の損害賠償責任を認めました。「Xは、多発性脳梗塞により左上下肢に麻痺が認められ、医師及び看護師から、転倒等の危険性があるのでトイレに行く時は必ずナースコールで看護師を呼ぶよう再三指導されていたにもかかわらず、遅くとも平成13年5月8日の午前3時以降、その指導に従わずに何回か一人でトイレに行き来していた上、午前6時ころには、同行したY看護師に「一人で帰れる。大丈夫」といって付添いを断り、その後もナースコールはしなかったものであり、その結果、本件の転倒事故が発生して死亡するに至ったものである。Xがナースコールしなかった理由として、看護師への遠慮あるいは歩行能力の過信等も考えられるが、いずれにしてもナースコールをして看護師を呼ばない限り、看護師としては付き添うことはできない。Xは、老齢とはいえ、意識は清明であり、入院直前までは家族の中心ともいえる存在であったのであり、A病院の診断により多発性脳梗塞と診断され、医師らから転倒の危険性があることの説明を受けていたのであるから、自らも看護婦の介助、付添いによってのみ歩行するように心がけることが期待されていたというべきである。高齢者には、特に麻痺がある場合に限らず転倒事故が多いとされているが、こうした危険防止の具体策としては、まず、老人本人への指導・対応があげられている。・・・以上のほか、本件に顕れた一切の事情を勘案すると、被控訴人は損害額の2割の限度で損害賠償責任を負うものとするのが相当である」(東京高判平成15年9月29日判時1843号69頁)ポイント解説前回は、患者の疾病が損害発生(死亡等)に寄与していた場合、法的にどのように扱われるかについて説明しました。今回は、患者が医療従事者の指導に背く等患者の行為が損害の発生に寄与していた場合の法的取り扱いについて解説します。民法722条2項※1は過失相殺を定めております。すなわち、仮に不法行為が成立(加害者に過失が認められる等)した場合であっても、被害者にも結果発生または損害の拡大に対し因果関係を有する過失が存在した場合には、具体的な公平性をはかるために、それを斟酌して紛争の解決をはかることとなります。例えば、交通事故において、加害者にスピード超過の過失があったとしても、被害者にも信号無視という過失があった場合には、過失相殺を行い、被害者に生じた損害額の何割かを減額することとなります(図1)。したがって、医療者に不法行為責任が成立したとしても、患者にも問題行動があった場合には、過失相殺がなされ、損害額が減額されることとなります。人間は聖人君子ではありませんので、「わかってはいるけど」患者が医師の指示に従わないことが時々見られます。また、いわゆる問題患者もいます。しかし、交通事故と異なるのは、医師には患者に対する「療養指導義務」があり、医療機関には入院患者等院内にいる患者に対しては、転倒防止や入浴での事故を防止する等の「安全配慮義務」があることです。つまり、患者がしかるべき行動をとっていなかったとしても、それすなわち患者の過失となるのではなく、医師の療養指導義務や医療機関の安全配慮義務違反となることもあり得るのです。また、その一方で、あまりにも患者の行動に問題が強い場合には、「療養指導義務を尽くした(過失無)」または、「もはや医師が療養指導義務を尽くしても結果が発生していた」すなわち、因果関係がないということで不法行為責任が成立しないこともあります(図2~4)。図1画像を拡大する図2画像を拡大する図3画像を拡大する図4画像を拡大する本判決では、脳梗塞にて入院した日の深夜~早朝に付き添いをしなかった看護師に過失はあるものの、意識が清明な患者に対し、繰り返し指導していたにもかかわらず、独歩したことにも過失があるとして、看護師に不法行為の成立を認めた上で、過失相殺を適用し、2割の限度で看護師に賠償責任を負わせました(8割減額)。本事例以外で過失相殺に関する事例としては、(1)患者が頑なに腰椎穿刺検査の実施を拒絶したため、くも膜下出血の診断ができず死亡した事例においては、医師の検査に対する説明が足りなかったこと等を理由に過失相殺を適用しなかった判例(名古屋高判平成14年10月31日判タ1153号231頁)(2)帯状疱疹の患者に対し、持続硬膜外麻酔を行っていたところ、患者が外出時にカテーテル刺入部の被覆がはがれているにもかかわらず、医師の指示に反し、炎天下の中、肉体労働を行った結果、硬膜外膿瘍となった事例においては、医師の指導が十分ではなかったとして過失を認めつつも、患者にも自己管理に過失があるとして3割の過失相殺を認めた判例(高松地判平成8年4月22日判タ939号217頁)(3)アルコール性肝炎の患者が、医師の指導に従わず、通院も断続的で、飲酒を継続した結果、食道静脈瘤破裂及び肝硬変にて死亡した事例においては、医師の過失を認めつつも、8割の過失相殺を認めた判例(神戸地判平成6年3月24日判タ875号233頁)等があります。かつては、医師と患者の関係は、パターナリスティックな関係として捉えられていたこともあり、裁判所も患者の過失ある行動について、積極的に過失相殺を行ってきませんでした。しかし、インフォームド・コンセントの重要性が高まった現在、その当然の帰結として、医師から療養指導上の説明を受けた以上、その後、それに反する行動をとることは自己責任の問題であり、医師に「更なる(しばしば「真摯な」と表現される)」療養指導義務が課されることはないということになりますし、仮に医師に療養指導上の義務違反があったとしても、患者の行動に問題がある場合には、積極的に過失相殺を行うべきということとなります。医療従事者は、この結論に違和感を覚えるものと思われます。しかし、法的な理論構成だけでなく、法というツールを用いてインフォームド・コンセントや療養指導義務等を取り扱う場合には、誰から見ても明確な基準を持つことが必須となります。この10数年における萎縮医療・医療崩壊に司法が強く関与していることは、皆さんご存知の通りです。萎縮医療の原因は、一つには国際的にも異常なほど刑事責任を追及したことがあり、もう一つには、判例が変遷する上に、医療現場に不可能を強いるような基準で違法と断罪したことがあります。その結果、医療従事者が、目の前の患者に診療を行おうとするときに自らの行為が適法か違法かの判断ができないため、「疑わしきは回避」となり、萎縮医療、医療崩壊が生じたのです。法は万能のツールではありません。そればかりか、誤って使用すれば害悪となることは、歴史的にも、この10年をみれば明らかです。特に、すぐ後ろに刑事司法が控えているわが国においては、自らの行為が適法か違法か予見できることは必須といえます。したがって、あくまで「法的」に取り扱う場合においては、説明義務、療養指導義務の内容は「○○である」と明確に列挙されているべきであり、「そのことさえ患者に説明すれば後になってから違法と誹られることはない」ということが最も重要となるのです。そのうえで、医療従事者の職業倫理上の義務として、患者がしっかり理解できるまで懇切丁寧に、真摯に説明することが求められるのであり、この領域における不足は、あくまで、プロフェッション内における教育や自浄能力によって解決すべき問題であり、司法が介入するべき問題ではないのです。 ※1民法722条2項 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。なお本件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。リンクのある事件のみご覧いただけます。東京高等裁判所平成15年9月29日判時1843号69頁名古屋高判平成14年10月31日判タ1153号231頁高松地判平成8年4月22日判タ939号217頁神戸地判平成6年3月24日判タ875号233頁

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診断時に過体重だったほうが生存率が高い?!-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫におけるレトロスペクティブ研究

 肥満は、非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む多くの悪性腫瘍による死亡リスクを増加させる。しかし、NHLのなかで最も多い「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」(DLBCL)において、診断時のbody mass index(BMI)と生存率との関連は不明である。 今回、ワシントン大学のKenneth R. Carson氏らは、米国退役軍人におけるレトロスペクティブ・コホート研究により、DLBCL診断時に過体重や肥満であった患者のほうが正常体重の患者より死亡率が低かったと報告した。Journal of Clinical Oncology誌2012年9月10日号に掲載。 著者らは、1998年10月1日から2008年12月31日までにDLBCLと診断された米国退役軍人2,534例について、診断時のBMIと全生存率との関連を評価した。なお、Coxモデルを用いて患者や疾患関連の予後因子の調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・診断時の平均年齢は68歳(範囲:20~100歳)であった。・患者の64%が過体重(BMI:25以上30未満)もしくは肥満(BMI:30以上)であった。・肥満患者は、他のBMIのグループと比較して、年齢は有意に若く、B症状は有意に少なく、Stageは低い傾向があった。・Cox分析によると、正常体重の患者(BMI:18.5以上25未満)と比較して、過体重や肥満患者では死亡率が低かった(過体重:ハザード比[HR] 0.73、95%信頼区間[CI] 0.65~0.83、肥満:HR 0.68、95%CI 0.58~0.80)。・“リツキシマブ時代”(2002年2月1日以降)に死亡リスクは減少した。しかしながら、この減少はBMIと生存率との関連性には影響しなかった。・患者の29%で疾患関連の体重減少がみられた(診断前1年間の体重データより)。

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自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム

近年、医療サービス統合への重要度が増している。そのような中、プライマリケア医による自殺予防への関わりも重要になっている。こころとからだの質問票(PHQ-9)は、プライマリケアに基づくメンタルヘルスプログラムであり、患者の特徴、管理およびうつ病アウトカムを評価することが可能であると言われている。ワシントン大学 Bauer氏らは患者レジストリーから得られたデータの観察分析を行い、PHQ-9の有用性を検証した。J Gen Intern Med誌オンライン版2012年8月31日号の報告。 対象は、ワシントン州全体の100以上の地域保健センターでメンタルヘルス統合プログラム(MHIP)に参加した11,015名。自殺念慮の独立変数はPHQ-9の9項目により評価し、うつ病の重症度はPHQ-8により評価した。評価項目には、うつ病治療プロセスの4つの指標(ケアマネージャーの介入、精神症状レビュー、向精神病薬、専門医への紹介)、2つのうつ病の指標(PHQ-9スコア50%減少、PHQ-スコア10未満)が用いられた。主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に自殺念慮を示した割合は45.2%であり、男性であること、および精神症状の重症度と有意に高い関係を示した。・自殺念慮を示した患者のうち5.4%は、現在の抑うつ症状が乏しかった。・年齢、性別、精神病理の重症度で調整後、自殺念慮を示した患者は、より早期のフォローアップを受けており[ ケアマネージャーの介入:HR=1.05(p

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抗がん剤Halaven、オーストラリアで承認取得

 エーザイ株式会社は7日、オーストラリアにおける医薬品販売会社「エーザイ・オーストラリア・プライベート・リミテッド」が、抗がん剤「Halaven(一般名:エリブリンメシル酸塩)」について、「アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種のがん化学療法による前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん」に係る効能・効果でオーストラリア保健・高齢化省(Department of Health and Aging)の承認を取得したと発表した。 Halavenは、同社が自社創製・開発した新規抗がん剤であり、前治療歴のある進行又は再発乳がんを対象とした臨床第III相試験(EMBRACE試験)において、単剤で統計学的に有意に全生存期間を延長した世界で初めてのがん化学療法剤である。現在、今回のオーストラリアでの承認を含めて世界39カ国で承認を取得している。 今回の承認によって、オーストラリアにおいてもアンメット・メディカル・ニーズの高い後期転移性乳がんの患者がこの革新的な治療薬にアクセスすることが可能となるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.eisai.co.jp/news/news201260.html

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(15)〕 軍配はあがった、DES対BMSの大一番、STEMIの土俵で!

急性冠症候群の代表的な病態であるST上昇型心筋梗塞(STEMI)で再開通療法時に使用するステントに関して、ベアメタルステント(BMS)を使用するか薬剤溶出性ステント(DES)を使用するかについては議論が続いている。 今回、この領域に大きなエビデンスが登場した。それが、今回のCOMFORTABLE AMI試験と名付けられた研究である。バイオリムス溶出性ステント(BES)を用いた場合に、BMSを用いた場合と比べて、標的血管に関連する再梗塞などの複合イベント発生率がおよそ半減することが報告されている。 この報告とほぼ時を同じくして、STEMI患者においてエベロリムス溶出性ステント(EES)を用いてBMSに対する優位性を示したEXAMINATION試験の結果もLancet誌2012年9月3日オンライン版に掲載された(Sabate M et al. Lancet. 2012; 380: 1482-1490.)。このように質の高い無作為比較試験の結果が一貫性をもって報告されたことから、今後も国内においても、STEMIにDESを用いる施設が増えるのではないかと思われる。 だが、このCOMFORTABLE AMI試験ですべての疑問が解決したわけではない。本研究の追跡期間は1年間であり、1年以降のvery late stent thrombosis(VLST)については、ほとんど評価できていない。またCOMFORTABLE AMI試験で用いられたBESの特長は、薬剤が血管壁側にのみ溶出すること、ポリマーが生体吸収性でほぼ1年で消失することである。この観察期間では、それらの特長が活かされた結果とは考えにくい。本来の効果を知るには、より長期的な観察結果が待たれる。本邦においても、BESとBMS間で約1,400人のSTEMI患者を対象とする無作為比較試験であるNAUSICA AMI試験が、現在患者登録進行中である。日本人でのエビデンスの確立にも期待される。 COMFORTABLE AMI試験やEXAMINATION試験は、いずれもBMSに対する個々のDES優位性を示したものであり、DES間の明確な比較試験はない。新世代のDESの中での選択基準についてもエビデンスは不足している。

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チオトロピウムによる喘息患者の肺機能改善

 2012年欧州呼吸器学会(ERS)総会にて、ベーリンガーインゲルハイムは、喘息患者を対象とした包括的な第3相臨床試験PrimoTinA-asthma試験結果の一部を発表した。 PrimoTinA-asthma試験は2つの二重盲検並行群間比較試験からなる第3相臨床試験。高用量ICSとLABAの併用治療を受けており、気管支拡張剤投与後の1秒量が予測値の80%未満、喘息管理質問票(ACQ)スコアが1.5以上の喘息患者912人を、チオトロピウム(5μgレスピマットソフトミスト吸入器使用)または、プラセボ群に分け、それぞれ48週間上乗せ投与した。 主要評価項目である肺機能(投与24週間後のピークFEV1とトラフFEV1)は、プラセボ群と比べチオトロピウム投与群で有意に改善した。また、重度の喘息増悪については、プラセボ群に比べチオトロピウム投与群で初回の重度の喘息増悪までの期間を有意に遅らせ、そのリスクを抑制した(HR= 0.79、P=0.03)。さらに、チオトロピウム投与群は、すべての喘息増悪のリスクを抑制した(P

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CABGの静脈グラフトにおける内視鏡的採取、切開採取と長期アウトカムは同等

 冠動脈バイパス術(CABG)の静脈グラフトについて、内視鏡的採取と切開採取では、長期死亡率は同等であることが示された。米国・デューク大学メディカルセンターのJudson B. Williams氏らが、CABGを受けた23万人超を対象とした観察研究で明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。静脈グラフトの内視鏡的採取は1990年代半ばから使われているが、その安全性については、近年、疑問が持ち上がっていたという。メディケア加入の約23万5,000人を中央値3年で追跡研究グループは、メディケア加入者で、2003~2008年にかけて、全米934ヵ所の医療機関でCABGを行った患者、23万5,394人について観察研究を行った。静脈グラフトの内視鏡的採取と切開採取について、その長期アウトカムを比較。追跡期間中央値は3年で、主要アウトカムは全死亡率だった。また、副次アウトカムとして、合併症および死亡・心筋梗塞・血行再建の複合イベントについても検討した。全死亡率、死亡・心筋梗塞・血行再建の複合イベント発生率ともに両群で同等被験者のうち、静脈グラフトの内視鏡的採取を行ったのは52%だった。臨床的特徴について傾向スコアで補正を行った後、内視鏡群の全死亡率は13.2%(1万2,429人)に対し、切開群では13.4%(1万3,096人)と、両群で有意差はなかった。副次アウトカムの、死亡・心筋梗塞・血行再建の複合アウトカムについても、内視鏡群の発生率は19.5%(1万8,419件)、切開群19.7%(1万9,232件)と、両群で同等だった。また時間事象分析でも、内視鏡群の切開群に対するハザード比は、全死亡が1.00(95%信頼区間:0.97~1.04)、複合アウトカム発生も1.00(同:0.98~1.05)だった。一方、術部創合併症の発生率については、内視鏡群が3.0%と、切開群の3.6%に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。

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中程度リスクの冠動脈性心疾患リスク予測、冠動脈カルシウムの追加で予測能改善

 中程度リスクの人に対する冠動脈性心疾患などの予測モデルについて、フラミンガム・リスクスコアに冠動脈カルシウム値などを加えることで予測能が改善することが示された。米国・Wake Forest University School of MedicineのJoseph Yeboah氏らが、1,300人超を約8年追跡して明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月22・29日号で発表した。これまで、フラミンガム・リスクスコアに冠動脈カルシウムや冠動脈性心疾患の家族歴などを追加した場合の冠動脈性心疾患の予測能改善については、単一コホートで直接比較した研究はなかったという。フラミンガム・スコアに6つのリスクマーカーを加え、予測能を比較研究グループは、試験開始時点で心血管疾患のない6,814人を対象に、心血管疾患の発症率などを調べる前向きコホート試験、「Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)」の被験者で、フラミンガム・リスクスコアでリスクが中程度の1,330人について試験を行った。リスク中程度の同被験者には、糖尿病は認められなかった。冠動脈カルシウム、頸動脈内膜中膜厚(CIMT)、足関節上腕血圧比、上腕血管拡張反応、高感度C反応性蛋白質(CRP)、冠動脈性心疾患(CHD)の家族歴の6つのリスクマーカーを加えることで、心血管リスクの予測能が改善するかどうかを調べた。中央値7.6年間の追跡後、冠動脈性心疾患は94人、心血管イベントは123件発生した。多変量解析の結果、6つのリスクマーカーのうち、冠動脈カルシウム、足関節上腕血圧比、高感度CRP、CHD家族歴は、冠動脈性心疾患の独立リスク因子で、ハザード比はそれぞれ、2.60(95%信頼区間:1.94~3.50)、0.79(同:0.66~0.95)、1.28(同:1.00~1.64)、2.18(同:1.38~3.42)だった。一方、CIMTと上腕血管拡張反応は、冠動脈性心疾患の独立リスク因子ではなかった。CHDの純再分類改善度、冠動脈カルシウムは0.659なかでも、フラミンガム・リスクスコアに冠動脈カルシウムを加えることで、冠動脈性心疾患や心血管疾患発症に関するROC曲線下面積の増加幅は最も大きく、冠動脈性心疾患では、0.623から0.784に増加した。最も増加幅が少なかったのは、上腕血管拡張反応で、0.623から0.639への増加に留まった。冠動脈性心疾患について、純再分類改善度は、冠動脈カルシウムが0.659、上腕血管拡張反応が0.024、足関節上腕血圧比が0.036、CIMTが0.102、CHD家族歴が0.160、高感度CRPが0.079だった。心血管疾患についても、同様な結果が得られた。

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治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」

 統合失調症治療薬クロザピンは治療抵抗性を示す患者に対して有用であるものの、安全性の観点から使用が制限されている。では、クロザピンはどのような患者に対し、とくに有効なのだろうか? Nielsen氏らは、過去のクロザピン使用症例データをもとに反応予測因子を解析した結果、3つの要因を導き出した。J Clin Psychopharmacol誌2012年10月号の報告。 対象は、デンマーク精神中央研究所および全国処方データベースより抽出した、1997年~2006年までにクロザピンの投与を開始した統合失調症患者633例。クロザピン処方後の入院までの期間や中止原因の予測因子を明らかにするため、Cox回帰分析を行った。精神科入院の予測因子を明らかにするため、2年間のミラーイメージ法による多重ロジスティック回帰分析を行った。主な結果は以下のとおり。・入院に至る期間を短縮させる予測因子は、クロザピン処方前の他の抗精神病薬処方数(ハザード比 [HR]: 1.08/trial、信頼区間[Cl]:1.01-1.15/trial)や入院(HR:1.04/入院、Cl:1.03-1.05/入院)、統合失調症発症早期から初回クロザピン処方までの期間(HR:0.98/年、Cl:0.96-0.99/年)、クロザピンの低用量投与(HR:0.07/100mg、Cl:0.03-0.13/100mg)であった。・クロザピン治療中2年間のミラーイメージ法では、入院延べ日数(269.9日[Cl:238.3-287.8日] ~64.2日[Cl:53.0-79.3日]、p

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うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」

 近年、うつ病に対するn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)の影響に関するさまざまな報告が行われている。しかし、n-3系脂肪酸の中でもEPA(イコサペント酸エチル)またはDHA(ドコサヘキサエン酸エチル)がどのような影響を及ぼすかは不明なままである。イランのMozaffari-Khosravi氏らは、軽度から中等度のうつ病患者に対する補助薬物療法としてn-3系脂肪酸の投与が有用であるかを検討するため、EPAとDHAの有用性を比較する単施設ランダム化プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。Eur Neuropsychopharmacol誌オンライン版2012年8月18日号の報告。 対象は軽度から中等度のうつ病外来患者81例。EPA群(1g/日)、DHA群(1g/日)、プラセボ群(ヤシ油)の3群に無作為に割り付け、12週間継続投与を行った。解析対象は、少なくとも1回以上、ランダム化後の観察が実施された患者とした(解析対象者数:62例、女性比:61.3%、平均年齢:35.1±1.2歳)。主要評価項目はHDRS(17項目のハミルトンうつ病評価尺度)最終スコアとし、intention-to-treat分析を行った。ベースライン時における各群のHDRSスコアに有意な差は認められなかった。主な結果は以下のとおり。・EPA群は、DHD群またはプラセボ群と比較して、HDRS最終スコアの有意な低下が認められた(それぞれp

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(14)〕 喫煙率0%の世の中は幸福か?

この論文をざっくり要約すれば、喫煙率は国ごとで大きな差があり、男性では、低い国で20%、高い国では60%。女性では0.5%から24.4%である。 ただ男性で喫煙率が高く、女性の喫煙開始年齢が若い年代ほど早くなっているのは各国に共通した事実である。この結果を次なる活動へつなげるとしたら、男性の禁煙をさらに進め、女性がタバコを吸い始めないように若い世代に介入することが重要、ということだろうか。 そしていつの日かタバコを吸う人がゼロになれば最高だ。 しかし本当にそうか。 私は以前Twitterで喫煙者を擁護するような書き込みをしたところ、タイムラインが炎上した。そのときに思ったのは、タバコよりも、タイムラインに「死ね」とか書く人のほうがよほど怖いということだ。喫煙率0%の世界とは、ひょっとしたらそういう恐ろしい人に支配される世界かもしれない。 そんな世界ならば私は喫煙率50%の世界の方に住みたいと思うのだが、またそんなことをいうと大変なことになるのだろうか。

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認知症治療にいま必要とされていること~症状改善のカギは?

 小野薬品工業株式会社は、認知症の啓発活動の一環として、アルツハイマー型認知症の“バアちゃん”とその家族を描いたヒューマンドラマ「バアちゃんの世界」を制作し、インターネット上に公開した。http://www.egaotokokoro.jp/ba-chan/  このドラマの公開を機に、2012年9月3日にプレスセミナーが開催され、京都大学医学部附属病院 老年内科 診療科長の武地 一氏と、山形厚生病院 理事長/東北大学老年内科 臨床教授の藤井昌彦氏が、「認知症治療にいま必要とされていること」をテーマに講演した。その内容をレポートする。薬剤の処方だけではなく、周囲との関係性修復も欠かせない 武地氏は「認知症治療の地域連携とトータルケア」について、その重要性を紹介した。 ある試算によると、2人に1人は生涯の間に認知症に罹患すると推定されており、誰もが身近に経験する可能性がある。認知症では、知的障害、精神障害、身体障害という3つの障害をすべて併せ持つ可能性があり、かかりつけ医、サポート医、専門医、介護関係者、地域包括支援センターなど多くの連携が求められる。しかし、それらの関係づくりは難しく、今後は地域連携が重要である、と武地氏は述べた。 一方、認知症の治療では、単に薬剤を処方するだけではなく、患者と周囲との関係性の破壊の予防やすでに壊れた関係性の修復、きめ細かな知識の普及により偏見に陥らないように支援することが欠かせない。認知症という疾患の特性から、「診断→治療」という従来の医学モデルだけでは対応できないこと、周囲の人々との関係性に障害が生じやすいこと、日常生活のさまざまな動作・場面や意思能力も含め、生活全般に関わってくることなどから、トータルケアが必要となる。 認知症治療薬については、ドネペジルに加えて、昨年、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチンが発売され、この4剤を1日投与回数、剤形、薬理作用などで使い分けることができるようになった。武地氏は、平成17年度国内基盤技術調査報告書ではアルツハイマー型認知症の治療満足度は5%ほどであったことを紹介し、今後は、4剤の登場、地域連携、トータルケアによって大いに向上するのではないか、と期待を示した。抗認知症薬と身柱マッサージの併用でBPSDが改善 次いで藤井氏が、「ふれる優しさ:介護負担軽減~リバスタッチとスキンシップの相乗効果~」と題し、BPSD(認知症の行動・心理症状)をスキンシップによって軽減させる取り組みを紹介した。 藤井氏によると、BPSDはその出現以前に、介護者に自分の要求をきいてもらえないなどの些細なストレスの積み重ねがあり、ついにはそれがコントロールできなくなって引き起こされるという。また、介護者の行動精神異常状態を指すBPSC(behavioral and psychological symptoms of the caregiver)とBPSDは相関関係にあり、介護者が否定・拒否するとBPSDが増大し、寄り添うことによりBPSDは軽減される。介護者の態度がBPSDを誘発しているため、介護者が患者とよりよい関わりを持つことが重要である、と藤井氏は述べた。  認知症患者には「知」よりも「情」に語りかけることが重要である。「情」を活性化するには、大脳辺縁系に心地よい刺激を与える必要があるが、触るという刺激が最もよい。患者は介護者に触れられることで、心地よい、大切にされていると感じ、BPSDが軽減する。藤井氏は、自施設において足浴療法、抱擁療法により、良好な効果が得られていることを紹介した。 さらに藤井氏は、薬物療法と非薬物療法を組み合わせた「ハイブリッド療法」の有効性について自験例を紹介した。施設入所者を対象に、リバスチグミンを貼付するのみの群(10例)と、介護従事者が「身柱」(正中線上の第3胸椎棘突起と第4胸椎棘突起の間)と言われる背中のツボを1~2分マッサージした後にリバスチグミンを貼付する群(10例)に分け、BPSDをNPIスコアで評価したところ、身柱マッサージを組み合わせた群でNPIスコアが有意に改善し(p<0.05、Wilcoxon検定)、スタッフの印象もよくなったとのことである。 このことから、藤井氏は、薬物療法と身柱マッサージのような非薬物療法を組み合わせたハイブリッド医療により、BPSDについても効率的に解決し得るのではないかと述べ、今後、さまざまなハイブリッド療法の組み合わせを行い、実際の臨床の場に活かしていきたい、と締めくくった。

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精神的苦痛で死亡リスクが20%上昇、重症例では約2倍に

 うつ、不安などの精神的苦痛が重症化するほど死亡リスクが増大し、通常は治療の対象とはならない軽度の精神的苦痛でも、がん死以外の死亡リスクが有意に上昇することが、英国・Murray Royal病院のTom C Russ氏らの検討で明らかとなった。精神的な苦痛として一般的に取り上げられることが多いうつや不安が、さまざまな原因による死亡と関連することを示唆するエビデンスがある。しかし、これまでに行われた試験は、リスクの閾値を確定するには統計学的に十分な検出力がなく、信頼性は低いという。BMJ誌2012年8月25日号(オンライン版2012年7月31日号)掲載の報告。精神的苦痛と死亡の定量的な関連をメタ解析で評価研究グループは、軽度~重度の精神的苦痛と種々の原因特異的死亡の関連を定量的に評価するために、プロスペクティブな地域住民ベースのコホート試験の個々の患者データを用いてメタ解析を行った。解析には、イングランドの住民を対象とした横断的な年次調査である「イングランド健康調査」の1994~2004年の10回分(精神的苦痛の調査が行われなかった1996年を除く)のデータを用いた。ベースラインの精神的苦痛は12項目から成る一般健康質問票(GHQ-12)のスコア(0:無症状、1~3:不顕性、4~6:症候性、7~12:著明な症状)で評価した。死因は死亡診断書で確認した。ベースライン時に心血管疾患およびがんを認めなかった35歳以上の住民6万8,222人(平均年齢55.1歳、女性55.2%)が解析の対象となった。主要評価項目は、平均8.2年の追跡期間中に発生した全死因死亡(8,365人)および脳血管疾患を含む心血管疾患死(3,382人)、がん死(2,552人)、外因死(386人)とした。重症度と死亡リスクには用量反応性の関係が精神的苦痛の重症度と死亡リスクには用量反応性の関係が認められた。すなわち、年齢と性別で調整したハザード比(HR、GHQ-12スコア0を参照群とする)は、GHQ-12スコア1~3が1.20(95%信頼区間[CI]:1.13~1.27)、スコア4~6が1.43(同:1.31~1.56)、スコア7~12が1.94(同:1.66~2.26)であり(傾向性検定:p<0.001)、精神的苦痛が重症化するほど死亡リスクが上昇した。このような関連は、身体的併存症(糖尿病、BMI、収縮期血圧)や行動因子(身体活動、喫煙、過度の飲酒)、社会経済的因子(職業の社会的地位)で調整後も確認された(傾向性検定:p<0.001)。同様に、心血管疾患死のHRはスコア1~3が1.29(95%CI:1.17~1.43)、スコア4~6が1.44(同:1.27~1.62)、スコア7~12が2.05(同:1.57~2.70)(傾向性検定:p<0.001)、外因死のHRはそれぞれ1.29(同:1.01~1.65)、1.93(同:1.31~2.83)、2.34(同:1.52~3.60)(傾向性検定:p<0.001)であり、精神的苦痛の重症化に伴い死亡リスクが増大した。がん死のHRはそれぞれ0.92(同:0.84~1.01)、1.07(同:0.89~1.29)、1.41(同:1.22~1.64)(傾向性検定:p<0.001)と、苦痛が重度の場合にのみ死亡リスクとの関連がみられた。著者は、「精神的苦痛により、主な死因による死亡のリスクが用量反応性に増大した。通常は治療の対象とはならない軽度の精神的苦痛でも、がん以外の死亡リスクは上昇する」と結論し、「うつ病などの精神的苦痛に対する治療が、このような死亡リスクの改善に有効か否かを評価する研究が求められる」と指摘する。

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交代勤務で血管イベントが増加、200万人以上の国際的メタ解析

 交代勤務制の労働形態により、血管イベントが有意に増加することが、カナダ・ウェスタン大学のManav V Vyas氏らの検討で示された。交代勤務は、一般に規則的な日中勤務(おおよそ9~17時の時間帯)以外の勤務時間での雇用と定義され、高血圧、メタボリック症候群、脂質異常症、糖尿病のリスクを増大させることが知られている。さらに、概日リズムの乱れにより血管イベントを起こしやすいとの指摘があるが、相反するデータもあるという。BMJ誌2012年8月25日号(オンライン版2012年7月26日号)掲載の報告。交代勤務と血管イベントの関連をメタ解析で評価研究グループは、交代勤務と主要な血管イベントの関連を文献的に検討するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。主な文献データベースを検索し、主要論文、レビュー論文、ガイドラインの文献リストに当たった。解析の対象は、非交代勤務者または一般住民を対照群とし、交代勤務に関連する血管疾患、血管死、全死因死亡のリスク比について検討している観察試験とした。試験の質はDowns and Blackスケールで評価し、主要評価項目は心筋梗塞、虚血性脳卒中、冠動脈イベントとした。試験の異質性はI2統計量で評価し、メタ解析にはランダム効果モデルを用いた。心筋梗塞23%、虚血性脳卒中5%、冠動脈イベント24%増加、死亡率との関連はない日本の4試験を含む34試験(前向きコホート試験11件、後ろ向きコホート試験13件、症例対照試験10件)に参加した201万1,935人が解析の対象となった。交代時間は早期夜間が4件、不規則で不特定な時間が6件、混合勤務時間が11件、夜間が9件、ローテーション制が10件で、7件は複数のカテゴリーを比較していた。30件は非交代の日中勤務を、4件は一般住民を対照群としていた。心筋梗塞の発生数は6,598件(10試験)、虚血性脳卒中は1,854件(2試験)、冠動脈イベントは1万7,359件(28試験)だった。交代勤務は心筋梗塞[リスク比:1.23、95%信頼区間(CI):1.15~1.31、I2=0%]および虚血性脳卒中(同:1.05、1.01~1.09、I2=0%)と有意な関連があり、試験間に有意な異質性(I2=85%)を認めたものの冠動脈イベント(同:1.24、1.10~1.39)も有意な関連を示した。統合リスク比は、未調整解析およびリスク因子で調整後の解析の双方で有意差を認めた。早期夜間の交代勤務以外の勤務形態はいずれも冠動脈イベントのリスクが有意に高かった。死亡率の上昇と交代勤務には関連はなかった。成人勤労者の有病者の32.8%を交代勤務者が占めるカナダのデータに基づき、交代勤務の人口寄与リスクを算出したところ、心筋梗塞が7.0%、虚血性脳卒中が1.6%、冠動脈イベントは7.3%であった。著者は、「交代勤務は血管イベントを増加させる。これらの知見は社会政策や職業医学に示唆を与えるものだ」と結論し、「交代勤務者には心血管疾患の予防のために最初期の症状に関する教育が行われるべきである。今後、最も罹病しやすいサブグループを同定し、交代時間の改善戦略が全般的な血管の健康に及ぼす効果を検討する研究が求められる」と指摘する。

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t-PA療法後の早期アスピリン静注追加は急性虚血性脳卒中の予後を改善するか?

 アルテプラーゼ(商品名:グルトパ、アクチバシン)静注療法を施行された急性虚血性脳卒中患者に対し、再閉塞予防の目的で早期にアスピリン静注を行うアプローチは有効ではないことが、オランダ・アムステルダム大学のSanne M Zinkstok氏らが行ったARTIS試験で示された。欧米ではt-PAであるアルテプラーゼによる血栓溶解療法は、急性虚血性脳卒中に対する唯一の承認された治療法である。アルテプラーゼによる再疎通の達成後に、患者の14~34%が血小板の活性化によると考えられる再閉塞を来すが、早期に抗血小板療法を行えば再閉塞のリスクが低減し、予後も改善する可能性があるという。Lancet誌2012年8月25日号(オンライン版2012年6月28日号)掲載の報告。早期アスピリン静注追加の再閉塞予防効果を無作為化試験で評価ARTIS(Antiplatelet therapy in combination with Rt-PA Thrombolysis in Ischemic Stroke)試験は、アルテプラーゼ静注療法を受けた急性虚血性脳卒中患者に対する早期アスピリン静注の、再閉塞の予防における有用性を評価する多施設共同非盲検無作為化試験。対象は、症状発症から4.5時間以内に標準的なアルテプラーゼ静注(0.9mg/kg)療法が施行された18歳以上の急性虚血性脳卒中患者とした。これらの患者が、アルテプラーゼ投与開始から90分以内にアスピリン300mgを静脈内投与する群あるいは追加治療は行わない標準治療群に無作為に割り付けられた。国際ガイドラインに従い、全例にアルテプラーゼ投与24時間後から経口薬による抗血小板療法が開始された。担当医と患者には治療割り付け情報が知らされたが、フォローアップを行ったリサーチ看護師にはマスクされた。主要評価項目は3ヵ月後の良好なアウトカム(修正Rankinスケール:0~2点)とした。症候性頭蓋内出血が高発現し、試験は早期中止に2008年7月29日~2011年4月20日までに、オランダの37施設から642例が登録され、アスピリン静注追加群に322例、標準治療群には320例が割り付けられた。当初、800例の登録が目標であったが、症候性頭蓋内出血(SICH)の過度の発現と、アスピリン静注追加群でベネフィットのエビデンスが得られなかったことから試験は早期中止となった。3ヵ月後の良好なアウトカムの達成率は、アスピリン静注追加群が54.0%(174/322例)、標準治療群は57.2%(183/320例)であり、両群間で同等であった(絶対差:-3.2%、95%信頼区間[CI]:-10.8~4.2、粗相対リスク:0.94、95%CI:0.82~1.09、p=0.42)。調整後のオッズ比は0.91(95%CI:0.66~1.26、p=0.58)だった。SICHの頻度は、アスピリン静注追加群が4.3%(14/322例)と、標準治療群の1.6%(5/320例)に比べ有意に高かった(絶対差:2.8%、95%CI:0.2~5.4、p=0.04)。SICHが不良なアウトカムの原因となった患者は、アスピリン静注追加群が11例、標準治療群は1例であり有意差を認めた(p=0.006)。著者は、「アルテプラーゼ静注療法を施行された急性虚血性脳卒中患者に対する早期のアスピリン静注療法は、3ヵ月後のアウトカムを改善せず、SICHのリスクを増大させた」と結論し、「本試験の知見は、現行のガイドライン(アルテプラーゼ療法施行後の抗血小板療法は24時間が経過してから開始すべき)の変更を支持しない」と指摘している。

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肺移植、喫煙ドナー肺はレシピエントの予後を改善するか?

 喫煙ドナー肺の移植を受けた患者の移植後3年間の生存率は、非喫煙ドナー肺の移植を受けた患者に比べ不良だが、非喫煙ドナー肺の提供を待ち続けるよりは良好なことが、英国・バーミンガム大学病院のRobert S Bonser氏らの検討で示された。肺移植の臓器選択基準では、当初、ガス交換機能がほぼ完全な若いドナー肺のみが適応とされたが、移植治療の進歩に伴い基準が見直され、喫煙歴のあるドナー肺の移植も行われている。喫煙ドナー肺はレシピエントの生存に有害な影響を及ぼすことが懸念されるが、喫煙ドナーを除外するとドナー数が減り、移植を待つ患者の生命を脅かす可能性があるため、喫煙ドナー肺のリスクの正確な評価が求められている。Lancet誌2012年8月25日号(オンライン版5月29日号)掲載の報告。喫煙ドナー肺移植のリスクを前向きコホート試験で評価研究グループは、喫煙歴のあるドナーからの肺移植を受けたレシピエントの3年生存率を検討し、ドナーの喫煙歴を理由に移植をせずに非喫煙ドナー肺の提供を待った場合の死亡リスクを評価する目的で、プロスペクティブなコホート試験を実施した。1999年7月1日~2010年12月31日までに、脳死ドナーからの初回肺移植を受けた成人患者を対象とした。英国の臓器移植登録のデータを用いて、喫煙ドナー肺が3年生存率に及ぼす影響をCox回帰モデルで解析した。次いで、喫煙ドナー肺を移植した患者と、喫煙ドナー肺の移植を受けずに非喫煙ドナー肺の待機リストに登録した患者の生存率を比較した。肺移植を受ける患者には十分に説明を 肺移植を受けた1,295例(両側肺880例、片側肺415例)のうち、510例(39%)が喫煙ドナー、712例(55%)が非喫煙ドナーからで、73例(6%)のドナーは喫煙状況が不明であった。移植後の生存期間中央値は、喫煙ドナー肺移植患者が4.9年、非喫煙ドナー肺移植患者は6.5年だった。3年生存率の未調整ハザード比(HR)は1.46[95%信頼区間(CI):1.20~1.78]で、喫煙ドナー肺の移植患者は非喫煙ドナー肺移植患者に比べ不良であった。生存に影響を及ぼす独立のリスク因子として、レシピエントの年齢、ドナー・レシピエントのサイトメガロウイルス感染状況、ドナー・レシピエントの身長の差、ドナーの性別、総虚血時間が挙げられた。これらの因子で調整後のHRは1.36(同:1.11~1.67、p=0.003)で、3年生存率は喫煙ドナー肺移植患者が57.3%、非喫煙ドナー肺移植患者は65.7%だった。待機リストに登録された2,181例のうち、802例(37%)が移植を受けることなく死亡または待機リストから登録を解除していた。喫煙ドナー肺移植患者は待機リスト登録患者に比べ生存率が良好で、未調整HRは0.79であった(95%CI:0.70~0.91、p=0.0004)。著者は、「喫煙ドナー肺の移植は不良なアウトカムと関連したが、生存率は喫煙ドナー肺移植を受けた患者のほうが、これを拒否して非喫煙ドナー肺の待機リストに登録した患者よりも優れていた」と結論し、「英国では、喫煙歴のあるドナーの肺を移植に使用するという臓器選択指針により、肺移植を望む患者の生存が全般的に改善されており、これを継続すべきと考えられる。肺移植を受ける患者には、このような状況を十分に説明し、話し合う必要がある」と指摘する。

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難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」

 強迫性障害(OCD)は強迫観念や強迫行為を主訴とする原因不明の精神疾患であり、有病率は約2%といわれている。治療においてはSSRIを用いた薬物療法が有効であるが、治療抵抗性を示す症例も存在する。Sayyah氏らは、このような治療抵抗性OCDに対する治療選択肢としてアリピプラゾールの追加投与が有効であるかを、二重盲検ランダム化臨床試験にて検討した。Depress Anxiety誌オンライン版2012年8月29日号の報告。 対象はDSM-IV-TRでOCDと診断され、治療抵抗性を示した成人外来患者39例。アリピプラゾール群(アリピプラゾール10㎎/日)またはプラセボ群に無作為に割り付け、12週間継続して追加投与を行った。試験終了後、Intention-to-treat解析にて分析した。すべての統計的検定は両側検定であり、p

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