新型インフル、住民の13.5%が抗体陽転、施設入所者・職員は1.2%に留まる:シンガポール

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/27

 



シンガポールでは、2009年の新型(H1N1)インフルエンザ流行後に抗体陽転が起こっていたのは、一般住民の13.5%に上っていたという。一方で、長期ケア施設入所者・職員の同割合は、1.2%と低かった。シンガポールTan Tock Seng病院のMark I. C. Chen氏らが、一般住民や軍人など異なる集団の抗体陽転率について調査を行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年4月14日号で発表した。

流行前期の抗体価40以上は一般市民の2.6%




シンガポールでは、新型インフルの流行は2009年6月に始まり8月にそのピークを迎えた。同研究グループは、一般住民(838人)、軍人(1,213人)、急性期病院の職員(558人)、長期ケア施設職員と入所者(300人)の4つの異なるコホートについて、新型インフル流行前期から流行後の抗体陽転率について調査を行った。

血清サンプルの採取は、同流行前期、流行ピークの約4週間後、流行鎮静後4週間以降の3回行い、赤血球凝集抑制試験を実施した。いずれかの検査で、抗体価が4倍以上に増えた場合を、抗体陽転と定義した。

初回検査で抗体価が40以上だったのは、一般市民22人(2.6%)、軍人114人(9.4%)、病院職員37人(6.6%)、長期ケア施設者20人(6.7%)だった。

一般市民、年齢10歳上がるごとに抗体陽転リスクは0.77倍減少




血清サンプルを1回以上摂取した人のうち、抗体陽転がみられたのは、軍人が最も高率で312人(29.4%、95%信頼区間:26.8~32.2)、次いで一般市民が98人(13.5%、同:11.2~16.2)、病院職員が35人(6.5%、同:4.7~8.9)で、最も低率だったのは長期ケア施設者で3人(1.2%、同:0.4~3.5)だった。

抗体陽転リスクが高かったのは、一般市民で同居人1人以上が抗体陽転していた場合で、オッズ比は3.32(95%信頼区間:1.50~7.33)だった。一方で、一般市民のうち年齢が高いほど同リスクは低く、年齢が10歳高いことによるオッズ比は、0.77(同:0.64~0.93)だった。

初回検査時点の抗体価が高い人も、抗体陽転リスクが低く、同抗体価2倍増における同リスクの補正後オッズ比は、一般市民が0.48、軍人が0.71、病院職員が0.50だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)