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小児扁桃腺摘出術中のデキサメタゾン投与、術後の有意な出血イベントとは関連しない

 小児扁桃腺摘出術における術中のデキサメタゾン(商品名:デカドロンほか)投与は、過度の臨床的に有意な出血イベント(レベルII、III)とは関連しないことが明らかにされた。米国・ポーツマス海軍医療センターのThomas Q. Gallagher氏らによる、プラセボと比較した非劣性試験の結果で、事前に設定した5%閾値を超えなかった。ただし、自覚的な出血(レベルI)については5%閾値を超え、デキサメタゾンによる増大が除外できなかったと結論している。試験は、コルチコステロイドを投与された扁桃腺摘出術を受けた小児では、術後の悪心嘔吐が減少する頻度は高いが、術中または術後の出血リスクを増大する可能性が示唆されていたことを受けて行われた。JAMA誌2012年9月26日号掲載の報告。デキサメタゾン群とプラセボ群に無作為化し、扁桃腺摘出術後14日間追跡研究グループは、小児扁桃腺摘出術後の出血について、デキサメタゾンの影響を調べる多施設前向き無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。2010年7月15日~2011年12月20日に、3次医療センター2施設で扁桃腺摘出術を受けた、出血障害歴がなく直近でのコルチコステロイド服用歴のない3~18歳の314例を試験に登録。デキサメタゾン群のプラセボ群に対する出血イベントの非劣性マージンを5%と設定し、検証試験を行った。被験者を2群(各群157例、年齢中央値6歳)に分け、介入群には、デキサメタゾン0.5mg/kg(最大量20mg)を術中1回投与し、プラセボ群には同量の0.9%生理食塩水を投与し、14日間追跡した。主要評価は、術後14日間の術後出血の発生率と重症度で、評価には出血重症度スケール(レベルI:自己または保護者による術後出血の報告、II:入院を要した術後出血、III:入院で再手術を要した術後出血)を用いた。出血発生率、レベルIIとIIIはデキサメタゾン群の非劣性を確認出血イベントは、デキサメタゾン群17例(10.8%)、プラセボ群13例(8.2%)で発生した。intention-to-treat解析の結果、レベルIの出血発生率は、デキサメタゾン群7.0%(11例)、プラセボ群4.5%(7例)で、両群の差は2.6%、97.5%信頼区間上限値7.7%であり、デキサメタゾン群の非劣性は認められなかった(p=0.17)。一方、レベルIIの出血発生率は、デキサメタゾン群1.9%(3例)、プラセボ群3.2%(5例)で、両群の差は-1.3%、97.5%信頼区間上限値2.2%であり、デキサメタゾン群の非劣性が認められた(p<0.001)。レベルIIIの出血発生率も、デキサメタゾン群の非劣性が認められた(p=0.002)。各群発生率は1.9%(3例)、0.6%(1例)、両群の差は1.3%、97.5%信頼区間上限値3.8%だった。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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FFRCT+CT、CT単独よりも冠動脈疾患の診断精度を改善/JAMA

 心臓CT検査による血流予備量比(FFR)の測定+CT所見の診断能は、CT単独よりも、血行動態的に有意な冠動脈疾患(CAD)の診断精度および識別能を改善することが、米国・カリフォルニア大学デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のJames K. Min氏らの検討の結果、報告された。心臓CTは非侵襲的な冠動脈狭窄検査だが、狭窄が虚血を生じるかは判定しない。一方、FFRは冠動脈狭窄の生理学的指標だが侵襲的手技を要する。FFRCTは生理学的有意性を判定する斬新な方法であるが、これまでその診断能については十分に調べられていなかった。JAMA誌2012年9月26日号の掲載報告。FFRCT+CTの冠動脈狭窄の診断能を検証研究グループは、FFRCT+CTの血行動態的有意な冠動脈狭窄の診断能について調べた。2010年10月~2011年10月に、CT、侵襲的冠動脈造影(ICA)、FFR、FFRCTを受けた、5ヵ国17施設から登録した安定性のCAD(疑いまたは既知)を有する患者252例を組み込んだ多施設共同診断能試験を行った。CT、ICA、FFR、FFRCTは、独立した中央ラボで盲検下で読影された。FFRCT+CTの虚血診断能を、標準試料とした侵襲的FFRと比較した。FFRまたはFFRCTが0.80未満を虚血とし、CTまたはICAで50%以上狭窄が認められる場合は、閉塞性のCADとした。主要試験アウトカムは、FFRCT+CTのper-patient診断精度の改善とし、95%信頼区間(CI)の下限値が70%超を上回った場合とした。閉塞性CADの診断、FFRCT+CTはCT単独よりも有意に改善137例(54.4%)が、ICAによる判定でFFRが異常であると評価された。per-patient分析に基づくFFRCT+CTの、診断精度は73%(95%CI:67~78%)、感度90%(同:84~95%)、特異度54%(同:46~83%)、陽性適中率67%(同:60~74%)、陰性適中率84%(同:74~90%)であった。閉塞性CADの診断について、CT単独[受信者動作特性曲線(AUC):0.68、95%CI:0.62~0.74]と比べて、FFRCT+CTは識別能の有意な改善が認められた(同:0.81、0.75~0.86、p<0.001)。著者は、「事前に規定した主要アウトカムには達しなかったが、CT単独と比べて、per-patientな診断精度の改善が認められた」と結論した。

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災害廃棄物を抱える自治体に朗報:慈恵医大、焼却飛灰からの放射性セシウム除去技術を開発

 東京慈恵会医科大学(研究代表者 並木禎尚氏;臨床医学研究所 講師)は9月24日、DOWAホールディングス株式会社と子会社のDOWAエコシステム株式会社および、DOWAエレクトロニクス株式会社との共同研究において、焼却飛灰から水溶性の放射性セシウムを除去する材料およびプロセス(以下「本技術」)を開発したと発表した。 これにより、東日本大震災以降各自治体が一時保管している、セシウム含量が規定値を超えた飛灰を埋め立て処理できる可能性が広がるという。 生活ゴミを焼却すると、燃やした後に残る「主灰」と、排ガスに含まれるダストを集塵機で集めた「飛灰」の2つが発生する。特に飛灰は、主灰以上に放射性セシウムが濃縮されやすい。 環境省が関係都県廃棄物行政主管部(局)宛に出した事務連絡(平成23年6月28日)の中では、「8,000Bq/kgを超える主灰又は飛灰については、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)に場所を定めて、一時保管する」とされている。また、一時保管の方法は、「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」(平成23年6月23日)に準拠(*1)するよう求めている。 本技術の実証実験では、灰に含まれる放射性セシウム濃度を3,800Bq/kg から1,500Bq/kgへ低減させることに成功したという。 また、本技術では、磁性粒子の表面をフェロシアン化物で被覆した「磁性除染剤」を、水と混合した焼却飛灰に加えて、水に溶け出したセシウムを除染剤に捕集させた後、磁力を用いてセシウムを吸着した除染剤のみを回収することができる。1tの灰を処理した場合、セシウムを吸着した除染剤はわずか1kgのため、ほぼ全ての灰を埋立可能な状態にすることができる計算になる。 並木氏は昨年「水溶性薬剤の局所送達を磁力で制御できるがん治療用ドラッグデリバリーシステム」を開発した。イノベーションジャパン2011で発表した「磁性セシウム除去剤」はこの理論を応用したもの。 今回は、DOWAテクノファンドからの助成や、DOWOエレクトロニクスとDOWOエコシステムとの共同開発により、固液分離と固々分離の双方への対応や、除染剤に飛灰が強く結合する問題の解決、短時間の処理で飛灰の放射線量を埋め立て可能なレベルにまで低減させる技術の確立を図ることができた。 また、並木氏はこの他にも「ストロンチウムとセシウムを同時に除去できる磁性ナノ粒子」の開発にも成功。特許出願済みだという。 今後は、これらの技術を放射性物質の除染に活用されるよう、各自治体に呼びかけていく予定とのこと。(*1) 「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」に定める一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)での一時保管の基準1)埋め立て場所を他の廃棄物と分け、埋め立て場所を記録する。2)土壌(ベントナイト等)で 30cm 程度の隔離層を設けたうえで、耐水性材料で梱包等した飛灰を置く。3)雨水浸入防止のための遮水シート等で覆う、あるいはテントや屋根等で被覆する。4)即日覆土を行う。(ケアネット 戸田敏治)

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国内初の2.25mm径を含む薬物溶出型ステントが発売

 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社は1日、プラチナ合金を採用した薬剤溶出型ステント「プロマス エレメント プラス ステントシステム」を発売した。 プロマス エレメント プラス ステントシステムは、冠動脈疾患治療における冠動脈ステント留置術において通過性に優れた現行のプロマス エレメント ステントシステムの性能をさらに向上させたもので、日本でも国内初となる2.25mm径をはじめ、長さも32mm、38mmのバリエーションが導入される。 プロマス エレメント プラス ステントシステムは、同社が開発したプラチナ合金製プラットフォームにエベロリムスを薬剤として塗布している。通過性をさらに向上させるため、バルーンカテーテルの薄さはそのままに、より柔軟な素材を追加した二重構造のバルーンカテーテル素材を採用した。同社によると、柔軟性の高いエレメントプラットフォームはどんな血管にも馴染み、血管内でのステント破損(フラクチャー)のリスクをさらに低減することが期待できるという。海外での臨床試験では、長い冠動脈病変を有する患者において、1年目の時点で、再血行再健率が極めて低く、心臓死、心筋梗塞またはステント血栓症の発生はなかったことが実証されたとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.bostonscientific.jp/NewsEvents/NewsRelease.bsci?method=DETAIL&id=10174842&navRelId=1006.1017

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SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測

 大分大学医学部精神神経医学講座の花田氏らは、大うつ病性障害(MDD)高齢者のSSRI効果を事前に予測可能か、SSRIに対する反応とSPECT画像診断の結果との関連を評価した。その結果、SSRIに非反応であったMMD高齢者では、主として内側前頭前皮質に低灌流がみられるなど、有意な関連が認められた。著者は「ベースラインでの前頭部の局所脳血流(rCBF)高値が、SSRIの治療効果が期待できる人であることを示す可能性はある」と結論している。Int J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月25日号の掲載報告。 MDD高齢者における局所脳血流(rCBF)の低下が、SSRI治療の特異的なパラメーターに依存しているのかを検討し、SSRI治療の有効性についても調べた。 中等度のMMD患者45例に対しSSRI治療を8週間行い追跡した。12例はSSRIに有効反応を示したが、33例はSSRIに反応がみられなかった。30例のボランティア健常者も比較対象群として検討に加え、全被験者の年齢は50歳超であった。 評価は、年齢、性、ハミルトンうつ病評価スコアを調べ、SSRI治療後に99mTc-ECD SPECTを用いてrCBFを評価した。主な結果は以下のとおり。・SSRIに反応しなかったMMD患者の右内側前頭前皮質のrCBFは、反応がみられたMDD患者群よりも低値であった。・健常者群と比較して非反応群は、両内側前頭前皮質と島のrCBFが有意に低値であり、両下位前頭前皮質のrCBFと左内側前頭前皮質のrCBFは有意に高値であった。・一方で反応群では、治療前と治療後でSPECTにおける変化は認められなかった。関連医療ニュース ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」 ・他SSRI切替、どの程度の効果? ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム

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2型糖尿病患者に対する厳格な降圧、全死因死亡のリスクを低下させない

 新規診断2型糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、心血管疾患合併の有無にかかわらず全死因死亡のリスクを低下させず、低血圧は不良な予後のリスクを増大させることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのEszter Panna Vamos氏らの検討で確認された。欧米のガイドラインでは、心血管疾患のリスクが高い患者の血圧は<130/85mmHgに維持することが推奨されている。一方、糖尿病患者における正常血圧の維持が、心血管リスクにベネフィットをもたらすことを示す信頼性の高いエビデンスはなく、積極的な降圧の有害性を示唆する知見もあるという。BMJ誌2012年9月22日号(オンライン版8月30日号)掲載の報告。全死因死亡に及ぼす血圧の影響を後ろ向きコホート試験で評価研究グループは、新規に診断された2型糖尿病患者において血圧が全死因死亡に及ぼす影響を評価するために、レトロスペクティブなコホート試験を行った。1990~2005年にUnited Kingdom General Practice Research Databaseに登録された治療期間1年以上の新規診断2型糖尿病患者(18歳以上)12万6,092例を対象とした。“the lower the better”の指針は適用されない可能性が2型糖尿病の診断時に、1万2,379例(9.8%)が心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)を合併していた。フォローアップ期間中央値3.5年の時点における全体の死亡率は20.2%(2万5,495例)で、心血管疾患合併患者の死亡率は28.6%(3,535例)、非合併患者は19.3%(2万1,960例)だった。心血管疾患合併糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、ベースラインの背景因子(診断時年齢、性別、BMI、喫煙状況、HbA1c、コレステロール値、血圧など)で調整すると生存を改善しなかった。低血圧は全死因死亡のリスクを増大させた。すなわち、収縮期血圧を130~139mmHgでコントロールされた患者に比べ、110mmHgで維持された患者の全死因死亡のハザード比(HR)は2.79(95%信頼区間[CI]:1.74~4.48、p<0.001)であった。また、拡張期血圧を80~84mmHgでコントロールされた患者に比し、70~74mmHgに維持された患者のHRは1.32(95%CI:1.02~1.78、p=0.04)、70mmHg未満に維持された患者のHRは1.89(95%CI:1.40~2.56、p<0.001)と、やはり有意な差を認めた。同様の関連が、心血管疾患を合併していない2型糖尿病患者にもみられた。ベースライン時に高血圧と診断され、降圧治療を受けている患者においても同様の関連を認めた。著者は、「新規診断2型糖尿病患者に対する<130/80mmHgの降圧治療は、心血管疾患合併の有無にかかわらず、全死因死亡のリスクを低下させなかった。低血圧(とくに、<110/75mmHg)は不良な予後のリスクを増大させた」と結論し、「これらの知見により、高リスク患者の血圧コントロールでは“the lower the better”の指針は適用されない可能性が示唆される。現時点では、糖尿病患者における<130/80mmHgの降圧治療を支持する頑健なエビデンスが存在しないため、血圧を130~139/80~85mmHgにコントロールしつつ、他の治療法やライフスタイル介入を併用するアプローチが、糖尿病患者の心血管疾患アウトカムの改善につながると考えられる」と指摘する。

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糖尿病患者の冠動脈病変、どのステントが最も有効か?

 冠動脈病変を有する糖尿病患者に対する冠動脈ステント留置術では、現時点で使用可能なすべての薬剤溶出ステントがベアメタルステントよりも有効で、安全性も良好なことが、米国・ニューヨーク大学医学部のSripal Bangalore氏らの検討で示された。糖尿病は経皮的冠動脈インターベンション施行後の転帰を増悪させることが知られている。長期的な有効性や安全性につき、現時点で使用可能な4つの薬剤溶出ステント同士あるいはベアメタルステントとの比較試験が数多く行われているが、どのステントが最も優れるかは明らかでないという。BMJ誌2012年9月22日号(オンライン版2012年8月10日号)掲載の報告。糖尿病患者に対する各種ステントの有効性をメタ解析で評価研究グループは、糖尿病患者の冠動脈病変の治療における現行の薬剤溶出ステントおよびベアメタルステントの有効性と安全性を評価するために、混合治療比較法によるメタ解析を行った。PubMed、Embase、CENTRALを検索し、新規冠動脈病変を対象に4つの恒久的な薬剤溶出ポリマーステント(シロリムス、パクリタキセル、エベロリムス、ゾタロリムスの各溶出ステント)およびベアメタルステントを比較した無作為化臨床試験(2012年4月までに発表、糖尿病患者50例以上を含む)の論文を抽出した。有効性の主要評価項目は標的血管に対する血行再建術の施行とし、安全性の主要評価項目は死亡、心筋梗塞、ステント血栓症の発生とした。エベロリムス溶出ステントが最も有効かつ安全な可能性42試験(2万2,844人・年のフォローアップ)が解析の対象となった。いずれの薬剤溶出ステントも、ベアメタルステントに比べ標的血管血行再建術の施行率を有意に低減したが、各薬剤溶出ステントの有効性には差が認められた。すなわち、ベアメタルステントよりも、シロリムス溶出ステントは血管再建術施行率を62%(率比:0.38、95%信頼区間[CI]:0.29~0.48)、パクリタキセル溶出ステントは53%(同:0.47、0.35~0.61)、エベロリムス溶出ステントは69%(同:0.31、0.19~0.47)、ゾタロリムス溶出ステントは37%(同:0.63、0.42~0.96)抑制した。エベロリムス溶出ステントの有効性が最も高い確率は87%であった。一方、糖尿病患者におけるResoluteゾタロリムス溶出ステントのデータは限定的だった。薬剤溶出ステントは、超遅発性血栓症を含む安全性についても、ベアメタルステントに比べリスクを増大させることはなく、良好だった。ステント血栓症に関する安全性がエベロリムス溶出ステントで最も高い確率は62%に達していた。著者は、「冠動脈病変を有する糖尿病患者に対する冠動脈ステント留置術では、現時点で使用可能なすべての薬剤溶出ステントがベアメタルステントよりも有効で、安全性が劣ることもなかった」と結論し、「エベロリムス溶出ステントが、有効性、安全性のいずれにおいても相対的に優れることが示唆された」としている。

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認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は?

 認知症患者の治療では、問題行動や精神症状をコントロールするために抗精神病薬が処方されることもある。英国における認知症患者の死亡数に関する報告によると、抗精神病薬の処方と関連付けられた認知症患者の年間死亡数は約1,800名といわれている。英国のChild氏らは、認知症患者に対する抗精神病薬処方を制限することの意義について検討を行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年9月25日号の報告。 本研究は、メドウェイのプライマリケアトラスト(PCT)におけるプライマリケア施設で実施された。2つのステージによる介入を行った。まず、抗精神病薬が処方されている認知症患者を特定するため、薬剤師がプライマリケア情報システム(認知症登録を含む)を検索した。次に、プライマリケア医により抗精神病薬が処方された認知症患者の対象薬剤のレビューを行うため、専門薬剤師がデータ検索で特定した。主な結果は以下のとおり。・59施設の認知症登録患者1,051例のうち、低用量の抗精神病薬が処方されていた患者は161例(15.3%)であった。・グループホームなどに入居している認知症患者は、自宅で生活している方と比較し、抗精神病薬の処方率が約3.5倍高かった(25.5%[118/462] vs 7.3%[43/589]、p<0.0001[Fisherの正確確率検定])。・認知症患者に対し低用量の抗精神病薬処方を行っていなかった施設は26件だった。・低用量の抗精神病薬が処方されていた161例のうち、91例は治療中に精神保健サービス等に参加していた。残りの70例について、薬局主導で抗精神病薬の処方を見直した結果、43例(61.4%)で中止または減量することができた。関連医療ニュース ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・AD患者におけるパッチ剤切替のメリットは?

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「認知症」診療に関するアンケート第1弾~病名の告知~

対象ケアネット会員の内科医師648名方法インターネット調査実施期間2012年9月13日~9月19日Q1.先生が診ている患者さんの中で、認知症の方は何人くらいいらっしゃいますか?Q2.初期または軽度の認知症の患者さんご本人への病名の告知について、どのようにお考えですか?Q3.初期または軽度の認知症患者さんご本人へ、どのくらいの割合で病名の告知をされていますか? 必ず告知する場合を100%としてお答えください。認知症診療について、先生のお考えをお聞かせください。(自由記入、一部抜粋)認知症の告知については、確定診断はできないとの前提で説明しています。(勤務医・内科・50歳代)認知症が一定以上進行している患者では、患者本人に病状説明を行っても理解できないことが多いので、そういう場合は最初に家族に病状説明を行う際に認知症であることを伝えています。 (勤務医・内科・30歳代)認知症の病態を理解して「今の生活」を納得して受容して生きて行けるかどうかは、診断時点だけでは判断が困難なことが多い。(開業医・内科・60歳代)人生を左右する重大な病気だからこそ、本人に真実を隠すべきではないと考えます。 (開業医・内科・50歳代)超高齢者が多いので、告知しても「?」という感じで理解してもらえないことが多い。若年性認知症は、その後の人生設計に関わるから、精神的ショックに配慮しつつ告知すべきでしょう。 (開業医・内科・50歳代)認知症診療では、医療、介護が連携して薬物療法、非薬物療法にケアを加えた総合的な対応が必要である。 (開業医・内科・70歳代)認知症への薬物療法が本当に必要なのか、疑問に思う例がある。デイケアなどもっと人間らしい対処の整備が本来の方法ではないか? (開業医・内科・50歳代)認知症治療の主眼はもちろん患者の症状増悪の阻止であるが、家族支援も忘れてはならない。日頃、家族が認知症の患者の対応にいかに疲弊しているかを理解し、ねぎらうことを忘れてはならない。 (勤務医・内科・60歳代)認知症の診断に、年齢を考慮しないと、効果のない投薬がなされ過ぎていて、無駄が多すぎる。 (勤務医・内科・60歳代)

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新規ワクチン導入後の安全性を適正に検討するには?

 デンマーク・Aarhus大学病院のRasmussen TA氏らは、ワクチン接種と時間的関連はあるが起因とはなっていない背景疾患の発生数を予想し、小児の大規模ワクチン接種後に発生する有害事象の因果関係評価を補足するため、全デンマーク集団ベースのコホート研究を行った。同種の検討はこれまで行われていなかったという。結果を踏まえて著者は、「年齢、性、季節分布に基づく正確な背景疾患の発生率を組み込むことは、ワクチンの安全性評価を強化することにつながる。また新規ワクチン導入後に増大するリスクを議論するうえで、エビデンスベースの論点を提供することにもなる」と述べている。BMJ誌オンライン版9月17日号の掲載報告。 1980年1月1日以降出生の全新生児を対象とし、出生日から開始して、アウトカム設定した疾患で入院した日まで、または死亡、移住、18歳時点あるいは2009年12月31日まで追跡した。ワクチン接種率は82~93%であった。 急性伝染性または感染後多発性神経炎(ギラン・バレー症候群)、急性横断性脊髄炎、多発性視神経炎、顔面神経麻痺、アナフィラキシーショック、けいれん発作、多発性硬化症、自己免疫性血小板減少症、1型糖尿病、若年性関節炎または関節リウマチ、ナルコレプシー、原因不明の死亡の各発生率をアウトカムとして設定した(性、年齢、季節性で階層化)。 主な結果は以下のとおり。・新生児230万227人を追跡した。フォローアップ総計3,726万2,404人・年、追跡期間中央値16.8人・年であった。・アウトカム設定疾患の発生率は、自己免疫性血小板減少症0.32/100万人・年から、けいれん発作189.82/100万人・年までと、かなりの差があった。・最も頻度の高かったけいれん発作の発生率は、100万人・年当たり、1歳未満児475.43、1~3歳が593.49とピークで、その後は低下した(4~9歳47.24、10~17歳30.83)。・季節的な変動が最も顕著であったのは、アナフィラキシーショック(第1四半期と比べて第3四半期がほぼ3倍)、けいれん発作および多発性硬化症(冬に高率に発生)であった。・発生が稀なアウトカムおよびワクチンとの因果関係がないアウトカムも、仮定的ワクチンコホートにおいて多くのイベントを予想した。・たとえば、ワクチン接種後42日以内に起こる可能性として、100万児につき、1型糖尿病20例、若年性関節炎または関節リウマチ19例、顔面神経麻痺8例、多発性硬化症5例を予測した。

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グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性

 統合失調症の新たな創薬の可能性を示唆する、グルタミン酸作動経路を有するドパミンD3受容体の直接的および間接的相互作用について、フランス・Pierre Fabre Research CenterのSokoloff P氏らが報告した。側坐核中型有棘ニューロンの非対称性シナプスでグルタミン酸作動性とみられるドパミンD3受容体の免疫活性を描出したというもので、著者は「本知見は、新たなドパミンD3受容体選択的作動薬の開発コンセプトのフレームワークを提供するもので、統合失調症におけるグルタミン酸を直接的にターゲットとした、オリジナルの有効性、安全性を有する創薬出現の可能性がある」と述べている。Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol誌オンライン版2012年9月22日号の掲載報告。 オリジナルデータおよび既報の前臨床・臨床試験データに基づき、NMDAシグナルを有するドパミンD3受容体の直接的および間接的相互作用と、統合失調症に対するその機能的影響、治療上の影響を報告した。主な知見は以下のとおり。・電子顕微鏡による超微細構造レベルで、側坐核中型有棘ニューロンの非対称性シナプスでグルタミン酸作動性とみられるドパミンD3受容体の免疫活性を描出した。・この所見は、グルタミン酸ドパミンD3受容体の直接的相互作用の存在を支持するもので、以前に報告されたシナプス後肥厚部でのNMDAシグナル(Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIに関与)との相互作用の報告(Liu et al. 2009)と一致するものであった。・グルタミン酸ドパミンD3受容体の直接的相互作用は、中脳皮質ドパミン神経D3受容体による陰性の制御に関与する可能性があった。また、前頭前皮質ドパミンによるグルタミン酸作動性錐体細胞の複雑な制御に関与する可能性があった。このことは、ジゾシルピン(MK-801)による長期NMDA受容体遮断という錐体細胞活性の制御により例証可能であった。・ドパミンD3受容体選択的部分作動薬であるBP897は、皮質c-fos mRNA発現の調節不全、錐体細胞の過興奮性を改善する。・ドパミンD3受容体の遮断(既知のドパミンD3受容体拮抗薬や斬新なドパミンD3受容体選択拮抗薬F17141)は、行動面において、マウス実験でのMK-801のNMDA受容体遮断によって引き起こされる多動や社会的相互作用障害を改善するという抗精神病薬のような効果をもたらす。関連医療ニュース ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・「統合失調症リスク因子」海馬における働きが判明 ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム

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末梢静脈カテーテルの交換は臨床的な必要時に

 末梢静脈カテーテルの交換は、臨床的な必要性に応じてその都度行っても、従来のルーチンな交換に比べ静脈炎や感染症などの合併症の発生に差はないことが、オーストラリア・Griffith大学のClaire M Rickard氏らの検討で示された。末梢血管カテーテルは、毎年の世界的な使用量が数百万に及び、成人では一般に72~96時間ごとの交換が推奨されている。このようなルーチンの交換が医療費を増大させ、医療スタッフの作業量を増やし、患者には侵襲的な処置を繰り返し受けるよう求めることになるが、その有効性は十分には確立されていないという。Lancet誌2012年9月22日号掲載の報告。必要時交換のベネフィットの同等性を無作為化試験で評価研究グループは、臨床的な必要に応じて行うカテーテル交換はルーチンの交換とベネフィットに差はないとの仮説を立て、これを検証する目的で多施設共同非盲検無作為化同等性試験を実施した。2008年5月20日~2009年9月9日までに、オーストラリア・クイーンズランド州の3つの病院から、4日間以上の静脈カテーテル留置を要すると予測される18歳以上の成人患者が登録された。これらの患者が、臨床的な必要が発生した際にカテーテル交換を行う群または3日に1回のルーチンな交換を行う群に無作為に割り付けられた。患者、臨床スタッフ、リサーチ・ナースには治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、カテーテル留置中または抜去後48時間以内の静脈炎の発生とし、同等性許容範囲(equivalence margin)は3%に設定した。副次的評価項目として、局所感染、カテーテル関連血流感染、カテーテル先端部の細菌コロニー形成などの評価を行った。静脈炎発生の絶対リスク差は0.41%3,283例(カテーテル 5,907本)が解析の対象となり、臨床的必要時交換群に1,593例(平均年齢55.1歳、男性64%)、ルーチン交換群(55.0歳、61%)には1,690例が割り付けられた。3日目までの平均カテーテル留置時間は、臨床的必要時交換群が99時間(SD 54)、ルーチン交換群は70時間(SD 13)であった。静脈炎の発生率は、臨床的必要時交換群が7%(114/1,593例)、ルーチン交換群も7%(114/1,690例)であった。絶対リスク差は0.41%(95%信頼区間:-1.33~2.15)で、これは事前に規定された同等性許容範囲(3%)以内であった。静脈炎発症後の生存分析でも両群間に差はなかった(p=0.96)。局所感染は両群ともまったく認めず、カテーテル関連血流感染はルーチン交換群の1例にみられた。血液培養で13例が陽性と判定され、臨床的必要時交換群が4例、ルーチン交換群は9例だった。介入に関連した重篤な有害事象は認めなかった。著者は、「末梢静脈カテーテルは臨床的な必要性に応じて留置、抜去が可能である。この方針に基づけば膨大なカテーテル交換件数を抑制でき、患者の不快感の低減や医療費の削減とともに医療スタッフの作業量の軽減にもつながる」と結論し、「緊密なモニタリングについては、合併症発症時の適切な治療中止や迅速なカテーテル抜去のために、今後も続ける必要がある」と指摘している。

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非心臓手術後の院内死亡率は予想以上に高い:EuSOS試験

 欧州で非心臓手術を受けた患者の院内死亡率は4%と予想以上に高く、各国間に大きなばらつきがみられることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリーのRupert M Pearse氏らが行ったEuSOS試験(http://eusos.esicm.org/)で示された。毎年、世界で2億3,000万件以上の大手術が行われ、術後の最大の死因は合併症であり、これまでに国レベルで実施された数少ない調査では術後の死亡率は1.3~2.0%と報告されている。術後の転帰には施設間や医療システム間に異質性が存在するとのエビデンスが示されており、これは患者ケアに改善の余地があることを示唆するという(たとえば、合併症リスクが高い患者の集中治療室への入院の普及)。Lancet誌2012年9月22日号掲載の報告。非心臓手術後の転帰を7日間コホート試験で評価EuSOS(European Surgical Outcomes Study)試験は、ヨーロッパにおける非心臓手術後の転帰を評価する国際的な7日間コホート試験。2011年4月4~11日の7日間に、ヨーロッパの28ヵ国498施設から16歳以上の非心臓手術を受けた入院患者のデータが収集された。その後、患者は最長で60日間のフォローアップを受けた。主要評価項目は院内死亡率とし、副次的評価項目は入院期間および集中治療室入院とした。各国間の死亡率の差はマルチレベル・ロジスティック回帰モデルで調整した。死亡例の73%が術後に集中治療室に入院せず登録された4万6,539例のうち、1,855例(4%)が退院前に死亡した。術後に集中治療室に入院したのは3,599例(8%)だった(入院日数中央値1.2日)。院内死亡例のうち1,358例(73%)が、術後に集中治療室に入院していなかった。粗死亡率は、アイスランドの1.2%からラトビアの21.5%まで、ばらつきがみられた。交絡因子を調整後に、データセットが最大の英国(1万630例)と比較したところ、オッズ比でフィンランドの0.44からポーランドの6.92まで大きな差が認められた(p=0.0004)。著者は、「非心臓手術を受けた患者の院内死亡率は予想以上に高かった。各国の死亡率にばらつきがみられたことから、これらの患者に対する治療を改善するには、国レベルおよび国際的な戦略を要することが示唆される」とまとめ、「本試験は非選択的な非心臓手術患者の転帰に関する初めてのプロスペクティブな大規模疫学研究である。リスク調整後の国別の死亡率のばらつきは、死亡リスクの高い患者に適切な集中治療の医療資源が割り当てられていないことを示唆しており、保健医療上、重大な関心を呼び起こすだろう」と指摘している。

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細胞培養インフルエンザワクチンの製造販売承認を申請

 バクスター株式会社は2日、細胞培養H5N1インフルエンザワクチンおよび細胞培養プロトタイプワクチンについて、9月19日付で厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。これは、武田薬品工業株式会社との細胞培養法によるインフルエンザワクチンの日本における共同開発と、同社による国内生産・供給に向けた取り組みの一環とのこと。 今回の製造販売承認申請は、国内において実施した第II/III相試験および世界11ヵ国において実施した臨床試験の結果に基づいて行われた。これらの試験では、細胞培養H5N1インフルエンザワクチンの安全性および免疫原性が評価されたという。 今回申請された細胞培養H5N1インフルエンザワクチンおよび細胞培養プロトタイプワクチンは、いずれも希少疾病用医薬品に指定されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.baxter.co.jp/news_room/news_releases/2012/20121002.html

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重症患者における低血糖、死亡リスクを1.4~2.1倍に増大

 重症患者において、低血糖は死亡リスクを1.4~2.1倍増大することが明らかにされた。死亡リスクは中等症低血糖よりも重症低血糖のほうがさらに増大し、血液分布異常性ショックによる死亡との関連が最も強かった。オーストラリア・シドニー大学のSimon Finfer氏らにより行われたNormoglycemia in Intensive Care Evaluation-Survival Using Glucose Algorithm Regulation(NICE-SUGAR)試験の結果で、これまで重症患者における低血糖が死亡に結びつくのかどうかは明らかではなかった。なお、同関連の因果関係については、この試験では明らかにはならなかった。NEJM誌2012年9月20日号掲載より。強化血糖コントロール群の8割が、中程度以上の低血糖研究グループは、集中治療室(ICU)で治療を受けていた6,026例を無作為に2群に分け、一方には強化血糖コントロールを、もう一方には標準血糖コントロールを行った。被験者のうち、中等症低血糖(41~70mg/dL)と重症低血糖(40mg/dL以下)を発症した人について、それぞれ死亡リスクを調べ、低血糖を発症しなかった人と比較した。その結果、中等症低血糖が認められたのは被験者の45%にあたる2,714例で、そのうち2,237例(82.4%)が強化血糖コントロール群(同群全体の74.2%)であり、477例が標準血糖コントロール群(同群全体の15.8%)だった。被験者のうち重症低血糖だったのは、3.7%にあたる223例で、そのうち208例(93.3%)が強化血糖コントロール群(同群全体の6.9%)、15例が標準血糖コントロール群(同群全体の0.5%)だった。死亡リスク、中等症低血糖で1.4倍、重症低血糖で2.1倍に低血糖が認められなかった3,089例のうち、死亡したのは726例(23.5%)だった。一方で、中等症低血糖を有した死亡は774例(28.5%)、重症低血糖を有した死亡は79例(35.4%)だった。中等症または重症低血糖の認められた人の低血糖が認められなかった人に対する死亡に関するハザード比は、それぞれ1.41(95%信頼区間:1.21~1.62、p<0.001)、2.10(同:1.59~2.77、p<0.001)だった。なかでも、中等症低血糖が1日超認められた人は、1日の人に比べ、死亡リスクは有意に高くなる関連がみられた(p=0.01)。また、インスリン非投与で重症低血糖の認められた人の死亡リスクも高く、低血糖の認められなかった人に対する死亡に関するハザード比は3.84(同:2.37~6.23、p

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多発性硬化症に対する新規経口薬BG-12、年間再発リスクを低下

 再発寛解型多発性硬化症に対し、新規開発中の経口薬BG-12(フマル酸ジメチル)は、プラセボと比較して長期の年間再発リスクを低下し、神経放射線学的転帰が有意に改善したことが示された。BG-12に関する第3相無作為化プラセボ対照試験「Comparator and an Oral Fumarate in Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis:CONFIRM」の結果、報告されたもので、米国・クリーブランドクリニックのRobert J. Fox氏らが、NEJM誌2012年9月20日号で発表した。再発寛解型多発性硬化症は、一般に非経口薬(インターフェロンやグラチラマー酢酸塩)で治療されている。1,400例超を4群に分け2年間追跡、年間再発率を比較試験は28ヵ国、200ヵ所の医療機関で、再発寛解型多発性硬化症の患者1,417例を登録して行われた。研究グループは被験者を4群に分け、1群にはBG-12 240mgを1日2回投与、別の群には同1日3回投与、さらに別の群にはグラチラマー酢酸塩20mgを1日1回皮下注射、もう一群にはプラセボをそれぞれ投与した。被験者の平均年齢は、36~37歳、女性被験者の割合が約7割だった。主要エンドポイントは、2年時点の年間再発率だった。試験は、グラチラマー酢酸塩に対するBG-12の優位性や非劣性を検証するようにはデザインされなかった。240mgを1日2回投与で再発の相対リスクは44%減、3回投与で51%減その結果、2年時点の年間再発率は、BG-12 1日2回投与群が0.22、同1日3回投与群が0.20、グラチラマー酢酸塩群が0.29、プラセボ群が0.40であり、試験薬および実薬群はいずれもプラセボより有意に低下した。相対リスク減少率はそれぞれ、44%(p<0.001)、51%(p<0.001)、29%(p=0.01)だった。MRI診断では、BG-12 1日2回群、同1日3回群、グラチラマー酢酸塩群ともに、プラセボと比較してT2強調画像による高信号部の新たな出現または増大(3群ともp<0.001)が有意に少なかった。T1強調画像による低信号部の新たな病変(各群p<0.001、p<0.001、p=0.002)の数も有意に減少した。有害事象としてプラセボ群に比べ高率に認められたのは、顔面紅潮、BG-12群での胃腸症状などだった。一方、BG-12群での悪性新生物や日和見感染は認められなかった。

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アルツハイマー病にビタミンD不足が関連

 認知症の予防に食生活や栄養が関連していることが、多くの研究より報告されている。Balion氏らはビタミンDの摂取が認知機能や認知症発症に与える影響をメタアナリシスにより検討した。Neurology誌2012年9月25日号の報告。 2010年8月までに公表された英語文献を5つのデータベースから検索した(すべての報告は比較群を有する)。認知機能、認知機能障害は全体または領域の認知機能テストにより定義し、認知症は定められた基準に従って診断された。ビタミンDの測定は必須とした。2名のレビュアーによりデータ抽出後、事前に定義された基準を用い研究の質を評価した。異質性の評価にはQ検定、I(2)統計量を用いた。加重平均差(WMD)、Hedge's gによるランダム効果モデルを用いたメタアナリシスを行った。主な結果は以下のとおり。・37報が基準を満たし、8報はビタミンDが50nmol/L未満/50nmol/L以上によって比較可能な平均MMSE(ミニメンタルステート検査)スコアを含んでいた。・MMSEの加重平均差を比較した研究では有意な異質性が認められたが、高ビタミンD群では全体的に肯定的な結果であった(1.2、95%CI=0.5 ~1.9、I(2)=0.65、p=0.002)。・複数の感度分析の結果、肯定的な効果は小さいながらも持続した。・アルツハイマー病をコントロール群と比較した報告は6報。そのうち、商用的利用のため排除した2報を除いた4報では、アルツハイマー病群ではコントロール群と比較しビタミンD濃度が低かった(WMD= -6.2nmol/L、95%CI= -10.6 ~ -1.8)。また、異質性は認められなかった(I(2)

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理学療法士が足りない

相馬中央病院整形外科石井 武彰2012年10月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 私は平成24年4月より相馬市にある相馬中央病院で整形外科医として勤務しています。初期臨床研修後に九州大学整形外科に入局し、3年間の関連病院での研修後、昨年は大学院で病理の仕事をしていました。震災後の川内村で行われた健康診断に参加したことより、福島県浜通りに関心を持っていたところ、相双地区で整形外科医が不足し求められているとの話を聞き、縁があって相馬中央病院で働く事となりました。 半年の診療を振り返ると、理学療法士不在によるもどかしさを強く感じます。相馬中央病院には理学療法士がいません。よく患者さんより「入院してちょっとリハビリさせてもらえないだろうか?」と聞かれます。他院で急性期の治療が終了して当院に転院する事を希望される方からは「相馬中央さんで、リハビリしてもう少し歩けるようになって(家に)帰りたい」との希望をうけます。入院をうけることはできても理学療法士による専門的なリハビリを提供する事はできません。看護師が看護業務の中から時間を捻出して、歩く練習、立つ練習を手伝ってもらっているのが現状です。ただでさえ病床あたりの看護師数が少ない地域です。患者さんのニーズを満たせているかはわかりません。 事務に聞いてみると募集はかけているが、なかなか理学療法士が見つからないとの事でした。関連施設から週に数回作業療法士が応援に来てくれます。ようやく見つかったリハビリスタッフとのことでした。調べてみて驚いたのですが日本理学療法士協会ホームページによると福島県(人口203万人)には理学療法士養成校が1校あります。一方、私の地元である福岡県(同507万人)には理学療法士養成が14校あるようです。相馬地区に理学療法士が不足しても無理はありません。実際に、東大国際保健の杉本さんのまとめをみると東北、東日本で理学療法士が少ないのが一目瞭然です。≪参照≫理学療法士数 人口1,000人あたり【県別】 http://expres.umin.jp/mric/mric.vol.603.jpg 言うまでもありませんが、リハビリスタッフも現在の医療には欠かす事のできない存在です。整形外科のように運動機能の落ちた方の治療だけにとどまらず、内科入院した方でも高齢者などの入院によるADL低下のリスクが高い方には理学療法士の介入が効果的です。体調に不安のある中、積極的に動こうという人は少なく、上げ膳据え膳でベッド上生活をすると、明らかに筋力が低下していきます。理学療法士が介入することで、少なくとも毎日20分程度は個別に訓練します。場合によっては1日数回訓練が行われます。看護師がリハビリのために捻出できる時間はあまりありません。患者さんの回復、ADL低下予防には大きな違いとなります。 他にも、理学療法士不在の病院には問題があります。入院中の患者さんが院内で転倒事故を起こすと、医療スタッフは責任を感じます。そのため、なんとかつたい歩きで移動していた方など歩行に不安のある方には、一人では歩かないようにお願いする事があります。しかし24時間一人の患者さんのそばにいる事は不可能です。結果として入院する事による活動度の制限が増えてしまいます。ここに理学療法士が介入できると、入院生活中に過度の活動制限を避ける事が出来るばかりか、退院後の自宅での生活について専門的なアドバイスをする事も出来ます。 最近、腰が痛くて動けないと入院を希望して受診してきた高齢の男性がいます。約3週間にわたって食事・排せつをベッド上で行う寝たきりの生活を送っていたそうです。レントゲンでは骨折はありませんでしたが、家族にも疲れがみられ、出来る限りのサポートをと思い入院して頂く事としました。話を聞くと仮設住宅暮らしで、つかまる所がなくて立つことができなかった、同じく高齢の奥さんとの二人暮らしで、奥さんに支えてもらう訳にもいかなかったとのことです。病院の環境で確認するとつかまり立ちは自立しており、歩行器歩行も可能でした。本人には動くきっかけと環境が必要だったのかもしれません。仮設住宅、そして地域には潜在的なリハビリ難民がいることが示唆されます。 仮設住宅から復興住宅に移る時に足腰が立たなくなっていては意味がありません。地域高齢者のADL維持を図るには明らかに運動器疾患をサポートする医療スタッフが不足していると感じられます。被災地にはこれらの人材も求められています。

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