サイト内検索|page:1559

検索結果 合計:35637件 表示位置:31161 - 31180

31161.

Association between the 21-gene recurrence score (RS) and benefit from adjuvant paclitaxel (Pac) in node-positive (N+), ER-positive breast cancer patients (pts): Results from NSABP B-28

リンパ節転移陽性、エストロゲン受容体陽性乳における21遺伝子再発スコア(RS)とパクリタキセルの追加効果との関連:NSABP B-28の結果からNSABP B-14/B-20、SWOG 9914およびTransATAC試験から、21遺伝子再発スコア(RS)分析はリンパ節転移陰性/陽性のエストロゲン受容体陽性乳における10年の遠隔転移および生存率を予測することが証明されている。また、NSABP B-14/B-20、SWOG 9914試験から化学療法の上乗せ効果を予測することも示されている。さらに、E2197試験から、内分泌療法と化学療法を行ったリンパ節転移0から3個陽性のホルモン受容体陽性乳の再発率と死亡率も予測する。本試験のプライマリーエンドポイントは、内分泌療法と化学療法を行ったリンパ節転移陽性、エストロゲン受容体陽性乳の、局所再発の予後因子としてのRSの意義を評価することである。セカンダリーエンドポイントは、ACにパクリタキセル(PAC、商品名:タキソール)を追加する効果を予測する因子としてのRSの意義を評価することである。今回の報告はセカンダリーエンドポイントの評価であった。 NSABP B-28はリンパ節転移陽性の3,060例においてACとAC→PACを比較した試験である。ホルモン受容体陽性ではタモキシフェンを化学療法と同時に服用していた。乳房部分切除術を受けた患者は術後に放射線治療を実施し、乳房切除術後は行われなかった。5年の時点で、AC→PACはAC単独と比べてDFSでの年間ハザード比が、6.6%から5.5%に減少した(HR=0.83、95% CI:0.72~ 0.95、p=0.006)。エストロゲン受容体陽性乳2,007例では、5.2%から3.9%に減少した(HR=0.78、95% CI:0.63~0.91、p=0.003)。OSの改善は小さく統計学的に有意ではなかった(HR=0.93、95% CI:0.78~1.12、p=0.46)。本試験の適格基準は、組織マイクロアレイにてエストロゲン受容体陽性、タモキシフェンで治療され、21遺伝子再発スコア分析が可能であることである。観察期間の中央値は11.2年であった。1,065例が解析可能であり、AC(519例)、AC→PAC(546例)であった。年齢は50歳未満が46%対46%、リンパ節転移1~3個は68%対71%、腫瘍径は2.0cm以下が57%対50%(p

31162.

Chemotherapy prolongs survival for isolated local or regional recurrence of breast cancer: The CALOR trial (Chemotherapy as Adjuvant for Locally Recurrent breast cancer; IBCSG 27-02, NSABP B-37, BIG 1-02)

化学療法は局所または領域リンパ節の単独再発に対して予後を延長する:CALOR試験乳における局所または領域リンパ節の単独再発(Isolated local or regional recurrence, ILRR)は、予後不良の予測因子である。しかしILRRに対する術後化学療法に関する前向き比較試験は過去30年間行われてこなかった。CALOR試験適格基準は、乳房内、胸壁、乳房切除創または皮膚、腋窩または胸骨傍リンパ節の初回再発であり、再発部位が病理学的に完全に切除され、鎖骨上リンパ節や遠隔再発が認められていないことである。原発性乳術後の化学療法の有無、ホルモン受容体、ILRRの部位で層別化し、再発巣切除後に化学療法の有無について無作為化比較試験を行った。化学療法後はホルモン受容体陽性については内分泌療法を行い、HER標的療法は選択可能とした。化学療法剤の種類は責任医師の選択としたが、3~6ヵ月で2剤以上使用することが推奨された。放射線治療は全例に40Gy以上が推奨された。プライマリーエンドポイントはDFS、セカンダリーエンドポイントはOSであり、ITT解析が行われた。最初に設定されたハザード比は0.74で、997例の登録と347例のDFSイベントが予想されたが、患者登録の割合が低く、より有効な化学療法が確立されてきたことから、2008年3月に修正され、ハザード比0.6でサンプルサイズが再設定され、265例に対して124のイベントが起こること(観察群の5年DFS 50%)が予想された。しかし2010年1月に試験がクローズされ、その時点で162例であり、中間解析は行われなかった。分析は少なくとも2.5年以上の経過観察を必要とした。国際的共同試験として行われ、BIG 89例、GEICAM 20例、BOOG 12例、NSABP 73例であった。ベースラインの背景は化学療法群と観察群で、化学療法歴58対68%、LRR時閉経後状態76対82%、年齢中央値56対56歳、再発部位は乳房55対53%、切開創/胸壁32対34%、領域リンパ節13対13%、再発創のエストロゲン受容体陽性66対62%、ILRRに対する治療は、放射線治療44対39%、内分泌療法(エストロゲン受容体陽性例)91対92%、HER2標的療法7対5%、化学療法は単独療法としてタキサン20%、カペシタビン11%、複合療法としてアンスラサイクリンベース48%、アンスラサイクリン+タキサンベース1%、タキサンベース16%であった。5年DFSは化学療法(CT)群69%、観察(no CT)群57%であり、 CT群で有意に予後良好であった(p=0.0455、 HR=0.59、95%CI:0.35~0.99)。エストロゲン受容体別にみると、陽性ではCT群70%、no CT群69%と差がなく(p=0.87、HR=0.94、95%CI:0.47~1.89)、陰性ではCT群67%、no CT群35%と有意差がみられた(p=0.007、HR=0.32、95%CI:0.14~0.73)。多変量解析ではエストロゲン受容体、再発部位、化学療法歴の有無、初回手術からの期間では差がなく、再発後の化学療法の有無でのみ有意差が認められた(p=0.01、HR=0.50)。5年OSでもCT群88%、no CT群76%であり、CT群で有意に予後良好であった(p=0.02、HR=0.41、95%CI:0.19~0.89)。多変量解析ではやはり再発後の化学療法の有無でのみ有意差が認められた(p=0.02、HR=0.37)。結論として、再発後の化学療法はDFSイベントを41%減少させ、死亡を59%減少させる。エストロゲン受容体陰性の再発においてより効果が高く、受容体陽性についてはより長期の経過観察が必要と考えられた。局所再発に対する全身化学療法の意義というクリニカルクエスチョンに対し、複数の国にまたがる臨床試験を施行し、局所再発時の治療について再考すべき話題を提供してくれたことの意義は大きい。従来は局所再発時の全身療法に対するエビデンスがないということで、全く行っていなかった施設もあったかと思う。それにしても、これだけ世界の臨床試験グループが集まっても患者登録が進まなかったのは、患者が試験への参加を望まなかったか、医師が組み入れをかなり選定した可能性があり、選択バイアスがかなり大きいのかもしれない。再発時の受容体の状況が異なっていれば、実際は再発ではなく新規原発かもしれないし、初発時に行われた化学療法のレジメンと再発時に行われたレジメンの違いについて言及されていないため、どのような状況においてどのような化学療法を用いることがよいのか、不明のままである。アンスラサイクリン+タキサンベースがわずか1%であったところをみると、初回化学療法と異なるレジメンが採用されたものと考える。したがって現時点では個人的な治療の選択には変更はない。個々の場面に応じて、有効かもしれない全身治療の選択を考えるのが妥当と考えている。以下に例を挙げてみる。StageIのルミナルタイプ乳で術後内分泌療法のみを行っていた、あるいはT1bN0M0のトリプルネガティブ乳で術後経過観察のみを行っていたとする。3年後胸壁に2cmの浸潤または腋窩リンパ節再発を来したとすれば、内分泌療法抵抗性であり、また局所再発の時点で化学療法の適応になったと考えることができる。初回術後CMF療法を行っていて、浸潤の局所再発を来した場合、ルミナルタイプであればCMFとACの治療効果に通常差がないので、化学療法を選択するとすればタキサンベースであろう。しかしHER2陽性やトリプルネガティブ乳であれば、そもそもCMFでは効果が不十分であった可能性もあり、アンスラサイクリンとタキサン(+/-トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン))を選択したい。StageIIのHer2陽性乳で、乳房部分切除術後にアンスラサイクリンおよびタキサン+トラスツズマブを行っていて、早期に局所再発した場合、術後補助療法として十分な治療を行ったうえでの再発であり、局所再発後にさらに別の化学療法とハーセプチンを上乗せすることは、過剰治療の可能性が高い。まずは局所治療を十分に行って、慎重な経過観察を行うことが妥当であろうと考えられる。ルミナルタイプでアンスラサイクリンとタキサンを行い、その後アロマターゼ阻害剤を服用している最中に局所再発した場合も、局所治療をまずはしっかり行って、経過観察を行っていくのがよいのではないかと思う。反対にタモキシフェン服用中の再発であれば、アロマターゼ阻害剤が予後を改善する可能性があり、局所再発後に内分泌療法の変更を考える余地がありうる。カペシタビンを行う根拠は非常に弱いと考えられ、11%に行われていたのはどのような意志決定があったのか知りたいところである。これらの考え方には異なった意見もあるかと思うが、心配だからなんとなく行うのではなく、前治療と後治療とのバランスや予後を改善しうるパワーを持ちうる治療であるのかを十分考慮して、過小または過剰治療にならないようチームで十分吟味して決めることが大切であろう。レポート一覧

31163.

サン・アントニオ乳シンポジウム2012 〔会員聴講レポート〕

2012年12月4日から8日まで米国テキサス州サン・アントニオにて第35回サン・アントニオ乳シンポジウム2012が開催された。ケアネットでは、幅広く、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネット会員の現役ドクターによるシンポジウム聴講レポートを企画した。乳がん診療に携わる医療者の先生方に、現在そして今後の乳診療トレンドを紹介する。レポーター2012年第35回サン・アントニオ乳シンポジウムは、12月4日(火)から8日(土)の5日間の会期で行われた。ここ数年は会期中いつも寒くコートが必要であったが、今年はとても暖かく日中は半袖でも過ごせるくらいの陽気であり、とても過ごしやすい天候であった。会期後は急に寒くなったと聞いている。初日の午後は教育的なレクチャーがあり、実際の演題発表は2日目からであった。また最終日の午前中は学会内容の総括であった。ここでは、分子生物学的な話題を最新の報告をもとにわかりやすくまとめていたが、逆に臨床的な話題の要約としては物足りないものであった。時間的な制約があったからかもしれない。演題は非常に多彩であり、分子生物学的手法を用いた予後因子、効果予測因子の検討やさまざまな分子標的療法、幹細胞、マイクロRNAの話題なども多くみられた。ここでは臨床に関わるものからピックアップして報告したい。レポート一覧

31164.

Meta-analysis Results from the Collaborative Trials in Neoadjuvant Breast Cancer (CTNeoBC)

術前化学療法を行った乳の共同試験からのメタアナリシスpCRはEFSやOSのような長期間の臨床的予後と関連している可能性があるが、意見が分かれているところである。本演題は無作為化比較試験における術前化学療法のメタアナリシスであり、 pCRの定義が明確で、すべての必要なデータがそろっている12の試験が選択された。GBG/AGO 7試験―6,377例、NSABP 2試験―3,171例、EORTC/BIG 1試験―1,856例、ITA 2試験―1,589例、計12,993名の解析である。pCRの定義は、ypT0ypN0:乳房/腋窩の浸潤部、非浸潤部すべてが消失、ypT0/TisN0:乳房/腋窩の浸潤部が消失、ypT0/Tis:乳房の浸潤部が消失とした。pCR対no pCRの割合は、ypT0ypN0:1,554(13%)対10,401(87%)、ypT0/TisN0:2,131(22%)対9,824(82%)、ypT0/Tis:2,599(22%)対9,356(78%)であった。ypT0/TisN0をpCRと定義したとき、 pCRとno pCRとでEFS、OSともに有意な差が認められた(HR=0.48、p

31165.

The role of sentinel lymph node surgery in patients presenting with node positive breast cancer (T0-T4, N1-2) who receive neoadjuvant chemotherapy - results from the ACOSOG Z1071 trial

リンパ節転移陽性(T0-T4)で術前化学療法を受けた乳患者でのセンチネルリンパ節生検の役割―ACOSOG Z1071試験本研究の適格基準は、18歳以上、経過観察可能、cT0-4/N1-2/M0、細胞診またはコア針生検で腋窩リンパ節転移陽性、浸潤性乳、術前化学療法(NAC)終了後12ヵ月以内の手術、インフォームドコンセントであり、除外基準は妊娠期/授乳期、鎖骨上/鎖骨下/胸骨傍リンパ節転移疑い、同側腋窩手術の既往、センチネルリンパ節生検/化学療法前の腋窩リンパ節生検の既往、炎症性乳である。センチネルリンパ節生検として推奨される方法は少なくとも2個のリンパ節摘出、RIと青い色素の2つの標識の使用である。病理学的評価はHE染色を用い、0.2mmより大きいものをリンパ節転移陽性とした。主目的は、センチネルリンパ節を2個以上摘出したcN1の乳女性で、偽陰性率が10%未満であるか決定することである。10%の偽陰性率を選択した理由は、NACを行っていない早期乳でのセンチネルリンパ節生検の偽陰性率がNSABP B-31で9.8%であったこと、NACではNSABP-B-27で10.7%、21試験のメタアナリシスで12%であったことからである。136施設から756例が登録され、除外基準となった53例を除く701例を対象とした。腋窩郭清が完全に行われなかった1例、腋窩郭清でリンパ節が1つもなかった1例、センチネルリンパ節生検が行われなかった12例を除くと687例となり、さらにセンチネルリンパ節が同定できなかった50例を除くと、637例(cN1:603例、cN2:34例)となった。701例の患者背景は、年齢49(23~93)歳、人種は白人が80.6%、腋窩診断はコア針生検61.2%、細胞診38.8%、cT2が54.9%、おおよそのサブタイプはHER2+が30.1%、トリプルネガティブが24.1%、HR+/HER2-が45.4%であった。センチネルリンパ節同定率は92.7%(639/689例)であった。637例中リンパ節転移陰性となったものが255例(40%)、センチネルリンパ節転移陽性が326例、センチネルリンパ節転移陰性で腋窩郭清時陽性が59名であり、センチネルリンパ節は転移状況を91.2%で正確に同定できた。cT1かつセンチネルリンパ節2個以上の患者では偽陰性率は12.6%であった。色素のみ22.2%、RIのみ20.0%、RIと色素の両方を使用10.8%(p=0.046)、センチネルリンパ節2個21.1%、3個9.0%、4個6.7%、5個以上11.0%(p=0.004)であった。cT1でセンチネルリンパ節1個のみでは偽陰性率31.5%であった。cT1かつセンチネルリンパ節2個以上で、リンパ節内にクリップを挿入した患者では、センチネルリンパ節内にクリップがあった96例のうち54例で転移が残存しており、偽陰性率は7.4%であった。サマリーとしてリンパ節の状態を正確に判定できたのは91.2%、pCRは40.0%、cT1かつセンチネルリンパ節2個以上での偽陰性率12.6%(RIと色素の併用で10.8%、センチネルリンパ節3個以上で9.1%)であった。これらのデータから、リンパ節転移陽性乳におけるNAC後のセンチネルリンパ節生検はリンパ節転移の状況を検出するのに有用な方法であり、手技としてRIと色素の併用、2個以上の摘出が重要であると結論づけている。また、リンパ節の診断時にクリップを挿入することや、治療効果をみるためのセンチネルリンパ節の病理学的検索をするなどのさらなる工夫で、より精度が上がるかもしれないとも述べている。患者数も多く非常に重要な試験ではあるが、後付けでさまざまなサブ解析をしたデータで結論づけるのは無理がある。T1かつセンチネルリンパ節2個以上かつRIと色素の併用と患者選択しても偽陰性率10.8%であり、本研究から、リンパ節転移陽性乳における化学療法後のセンチネルリンパ節生検は有用であるとはとても言い難い。これに引き続いて、ドイツからもセンチネルリンパ節と術前化学療法の関係について報告があった。 レポート一覧

31166.

Sentinel lymph node biopsy before or after neoadjuvant chemotherapy - final results from the prospective German, multiinstitutional SENTINA-trial

術前化学療法前後のセンチネルリンパ節生検―ドイツにおける多施設前向きSENTINA試験の最終結果本試験は4アームの多施設前向き試験であり、術前化学療法前後でのセンチネルリンパ節同定率、cN1からcN0になった患者での偽陰性率、同定率と偽陰性率に影響する因子を見出すことが目的である。試験デザインは、アームA:cN0→センチネルリンパ節生検でpN0→術前化学療法→郭清なし、アームB:cN0→センチネルリンパ節生検pN1→術前化学療法→センチネルリンパ節生検+腋窩郭清、アームC:cN1→術前化学療法でycN0→センチネルリンパ節生検+腋窩郭清、アームD:cN1→術前化学療法でycN1→腋窩郭清である。cNの状況は触診で転移の確定ができない場合、超音波検査にて腋窩転移陰性と判定ならcN0、不明瞭なら臨床的に決定、疑いならcN1とした。不明瞭か疑いなら細胞診かコア針生検を推奨した。センチネルリンパ節生検はRIを必須とし、色素はオプションとした。リンフォシンチグラフィを行い、注射部位は自由とし、リンパ節はパラフィン包埋し、少なくとも500μm毎に切片を作成し、免疫染色は施行しないこととした。103施設から1,737例ごとの患者が登録され、アームA:662例(64.8%)、アームB:360例(35.2%)、アームC :592例(82.8%)、アームD:123例(17.2%)であった。センチネルリンパ節の同定率はアームBでは60.8%であり、センチネルリンパ節生検を繰り返した場合同定率は非常に低かった。アームCの同定率は80.1%であり、多変量解析でみても影響を及ぼす特定の因子を同定できなかった。偽陰性率はアームBでは51.6%と非常に高く、アームCでも14.2%(95%CI : 9.9 ~19.4%)であり、多変量解析にてセンチネルリンパ節の個数(1対2個以上)が影響を及ぼす因子であった(OR=0.505、 0.306~0.833、 p=0.008)。これらの結果から、術前化学療法後のセンチネルリンパ節生検の再試行は許容できないものであった。また術前化学療法でリンパ節転移部がダウンステージしても、化学療法前に行ったセンチネルリンパ節生検と比較して成績はよくないようである。先述の報告と比較して、こちらの方は解析に無理がなく、結論がより謙虚であった。現時点で、リンパ節転移陽性乳において術前化学療法にセンチネルリンパ節生検を行うことは、偽陰性率の面から推奨できない。ただし、いずれの試験においてもセンチネルリンパ節の個数が偽陰性率に影響しそうだということは言えそうなので、この要素を含めてもう少し異なった面から研究を進めることで、正確にリンパ節の状態を判断できる患者群を見出すことは可能かもしれない。レポート一覧

31167.

Ki67 levels in pretherapeutic core biopsies as predictive and prognostic parameters in the neoadjuvant GeparTrio trial

術前化学療法GeparTrio試験における予後因子、治療予測因子としての治療前コア針生検でのKi67の数値Ki67は腫瘍の増殖を評価する免疫組織化学的マーカーで、ルミナルAとルミナルBを分類するための指標と考えられている。しかしKi67のカットオフ値は未だ意見が一致しておらず、Ki67に関して3つの疑問点がある。1)カットオフの定義、2)Ki67分析をどのように標準化できるか、3)自動イメージ分析システムの妥当性についてである。本演題では1)について報告している。GeparTrioの研究コホートとして、TACで化学療法を開始した2072例のうちコア針生検にてKi67評価を行った1166例が対象である。Ki67ベンタナ社自動染色装置を使ってMIB-1抗体で染色し、計200の細胞を計測した。本研究は後ろ向きであり、単施設での研究である。pCRを予測するKi67の値をみてみると、94のうち93のカットオフ値で有意差を認めた。同様にDFSでは94のうち48で、OSでは94のうち58で有意であった。これら3つのパラメーターを組み合わせたとき、Ki67の値は10%から45%で有意差があり、カットオフ値の最適化はできなかった。次に15%以下をKi67低、15.1-35%をKi67中間、35%より大きいものをKi67高として再検討してみると、3つのパラメーターともにp

31168.

An international Ki67 reproducibility study

Ki67の再現に関する国際的な研究ASCOの腫瘍マーカーに関するガイドラインでは、どの増殖マーカーの使用も推奨されていないが、それは再現性が乏しく、臨床的な妥当性が不明であるからである。一方、J Natl Cancer Inst. 2011;103: 1656-1664 に掲載された論文「Assessment of Ki67 in Breast Cancer: Recommendation from the International Ki67 in Breast Cancer Working Group」では、解析前の設定、解析の設定、解釈とスコアリング、データの分析についての推奨が述べられている。本研究では、病理学者はKi67染色をどの程度再現性をもって確実に定量化できるか、という分析的妥当性を系統的に調べるため、観察者間および観察者自身のばらつきを同定することである。そのために、組織マイクロアレイスライドで各施設の方法で計測(第1相)→ウェブベースで補正後、標準的方法で計測(第2相)→針生検と組織全体の切片で計測、という順序で検討を行った。これにより期待される成果は、Ki67を評価するための解析の正当性、臨床的に意味のある方法の普及、そしてウェブベースの補正症例の標準的なセットの確立である。第1相は、十分な経験のある各施設での方法で、Ki67値が一致しているかを検討することである、そのため乳症例100例で3つの実験、1)観察者内でスコアリングを繰り返し評価、2)中央での染色で観察者間の評価、3)各施設での染色で施設間の評価を行った。施設はカナダ、フランス、英国、米国の大学、主要なセンター、国際関連施設である。6施設で50症例を3回繰り返した結果、1)観察者内での一致率は非常によく、overall ICC(intraclass correlation coefficient、級内相関係数:連続データにおける信頼性を示すもの)=0.94(95%CI=0.93~0.97)であった。しかし2)中央での染色で、観察者間でのばらつきはかなりあり、overall ICC=0.71(95%CI=0.47~0.78)であった。Ki67のカットオフ値を仮に13.5%としたとき、32%の症例において、ある施設で低値であったのものが他の施設で高値と判定されていた。染色法もある程度のばらつきを生じさせたが、主な原因はスコアリングの方法であった。すなわち、どの領域をカウントするのか、浸潤だけをカウントしているか、どの程度茶色に染まった細胞を陽性と判定するか、である。第2相では標準化したスコアリング法をウェブベースで各施設に提供し、9つのトレーニングと9つのテストで補正を行った。結果として9の施設中4施設でテストに合格しなかった、この原因は染色性の弱い細胞に対する判定の違いからきていた。トレーニングの成功率としてはICC>0.9以上が基準として求められ、トレーニングにより測定法は改善したものの、統計学的には有意ではなかった(サンプルサイズによるものと思われる)。ウェブベースのトレーニングが成功すれば、次にコア針生検標本に適用し、臨床的有用性を確定し、臨床的に最もよいスコアリングの方法においてばらつきの範囲がどの程度みられるかが明確になるだろう。反対にもし失敗すれば、自動の画像プラットフォームとアルゴリズムが安定した結果をもたらすかテストすることになる。これらの失敗から、免疫染色によるKi67インデックスは、臨床でもリサーチでも妥当性の確認を行ってから活用されるべきである、と結んでいる。レポート一覧

31170.

超早産児に対するCPAP対サーファクタント、長期アウトカムも有意差みられず/NEJM

 米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のYvonne E. Vaucher氏らは、超早産児に対する早期の持続的気道陽圧法(CPAP)とサーファクタント投与の比較について、長期の死亡や神経発達障害のアウトカム改善に有意差がみられなかったことを報告した。また、酸素飽和度目標値の違いによるアウトカムについても、低目標値(85~89%)と高目標値(91~95%)間の有意差がみられないこと、および死亡率が低目標値群で増大傾向がみられたことを報告した。同研究グループは既存報告で、上記比較の短期アウトカム(死亡または気管支肺異形成症)について、CPAP対サーファクタントでは有意差がみられなかったことを、また目標値の違いでは低目標値群で網膜症発症と死亡率が増大することを報告していた。NEJM誌2012年12月27日号掲載より。18~22ヵ月までの死亡または同時点での神経発達障害の発生率を比較 研究グループは、在胎24週0日~27週6日で生まれた超早産児1,316例を対象とする無作為化試験を行った。一方の群には早期CPAPと限定的な換気療法による治療戦略を適用し、もう一方の群には早期サーファクタント投与を行った。さらに、各群を無作為に2群に分け、酸素飽和度目標値を85~89%(低酸素群)と、91~95%(高酸素群)にそれぞれ設定した。 主要評価項目は、18~22ヵ月までの死亡または年齢補正後18~22ヵ月時点における神経発達障害の複合アウトカムとした。アウトカムの有意差認められず 被験者のうち1,234例(93.8%)について主要複合アウトカム評価を行い、18~22カ月時点で生存していた1,058例については、990例の評価が行われた。 結果、死亡または神経発達障害の発生は、CPAP群621児のうち173児(27.9%)、サーファクタント群613児のうち183児(29.9%)と、両群で有意な差は認められなかった(相対リスク:0.93、95%信頼区間:0.78~1.10、p=0.38)。 また、目標値を比較した検討においても、死亡または神経発達障害の発生は低酸素群612児のうち185児(30.2%)、高酸素群622児のうち171児(27.5%)と、両群間の有意差はみられなかった(相対リスク:1.12、95%信頼区間:0.94~1.32、p=0.21)。死亡率は、高酸素群で18.2%に対し、低酸素群では22.1%と増大傾向が認められた(相対リスク:1.25、同:1.00~1.55、p=0.046)。

31171.

長期ケア中の高齢者の転倒原因、現場ビデオ画像で解析/Lancet

 長期ケア中の高齢者の転倒原因として最も多いのは不適切な体重移動であり、前方歩行中の転倒が多いものの、既報に比べれば歩行中の転倒は少なかったとの調査結果が、カナダ・サイモンフレーザー大学のStephen N Robinovitch氏らによって報告された。高齢者の転倒は保健医療上の重大な負担であり、長期ケア環境ではとくに重要となるが、高齢者の転倒状況や原因に関するエビデンスはほとんどないという。Lancet誌2013年1月5日号(オンライン版2012年10月17日号)掲載の論考から。ビデオ画像の解析で転倒状況を評価する観察試験 研究グループは、高齢者の転倒に関するエビデンスの確立を目的とした観察試験として、長期的ケアを受けている高齢者の実生活における転倒現場を撮影したビデオ画像の解析を行った。 本試験は、2007年4月20日~2010年6月23日の間にカナダ・ブリティッシュコロンビア州の2施設(Delta View:312床、デルタ地区、New Vista:236床、バーナビー市)で実施された。 施設の共用部(食堂、休憩所、廊下)にデジタルビデオカメラを設置した。転倒が起きると施設職員が事故報告書を作成し、知らせを受けた研究チームがビデオ画像を回収した。 有効性が確証された質問票を用いて個々の転倒事例の画像をレビューし、転倒時の不安定性の原因や動作を精査した。引き続き、種々の原因別、動作別の転倒率を評価した。既報よりも歩行時の転倒は少ない 130人(平均年齢78歳)から227回の転倒画像が得られた。 最も高頻度の転倒原因は不適切な体重移動(41%、93件)で、次いでつまづき/よろめき(21%、48件)、衝突/ぶつかり(11%、25件)、支え物の喪失(11%、25件)、脆弱(11%、24件)の順であった。滑り転倒は3%(6件)のみだった。 最も転倒率が高かった動作は前方歩行(24%、54件)で、次いで静かな立ち上がり動作(13%、29件)、坐位動作(12%、28件)の順であった。 既報に比べると、立ち上がりや移動動作開始時の転倒が多く、歩行時の転倒は少なかった。すなわち、支持基底面(BOS)よりも身体質量中心(COM)の動揺に起因する転倒が多かった。 著者は、「今回の結果は、転倒原因に関するより深い洞察をもたらし、バランス評価におけるより適切で効果的なアプローチを導出し、長期ケア中の高齢者の転倒予防に寄与する可能性がある」としている。

31172.

検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響

 抗てんかん薬は免疫グロブリンに影響を与えると言われている。ノルウェー・オスロ大学病院のS. Svalheim氏らは、レベチラセタム、カルバマゼピン、ラモトリギンなどの抗てんかん薬がてんかん患者の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響を検討した。Acta neurologica Scandinavica誌2013年1月号の掲載報告。 被験者は、てんかん患者211例および対照80例(18~45歳の男女)であった。てんかん患者は抗てんかん薬単独による治療を最低6ヵ月施行されていた。治療薬の内訳はレベチラセタムが47例、カルバマゼピンが90例、ラモトリギンが74例であった。免疫グロブリンG (IgG)、IgG サブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、免疫グロブリンA(IgA)および免疫グロブリンM(IgM)の総濃度を測定し、患者群と対照群で比較した。なお、患者背景として喫煙、飲酒習慣、身体活動性の記録とともに、BMIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・ラモトリギンの治療を受けている男女、カルバマゼピンの治療を受けている男性において、IgG濃度およびIgG1濃度は有意に低値であった。・ラモトリギンの治療を受けている女性において、IgG2濃度およびIgG4濃度はより低値であった。・ラモトリギンの治療を受けている男性において、IgA濃度およびIgM濃度はより低値であった。・レベチラセタムの治療を受けている患者では、対照群との間で免疫グロブリン濃度に差はみられなかった。・以上の結果から、ラモトリギンおよびカルバマゼピンはてんかん患者の免疫グロブリン濃度を低下させることが示された。・本検討における対象患者が健康若年成人でなかったことを考えると、たとえば免疫不全症例などの特定の患者集団においては、抗てんかん薬が免疫グロブリン濃度に影響を及ぼしうることを特に認識しておく必要がある。そして、ラモトリギンやカルバマゼピンを服用中で感染症を繰り返しているような患者については、免疫グロブリン濃度を測定し、薬剤の変更を考慮すべきである。関連医療ニュース ・神経ステロイド減量が双極性障害患者の気分安定化につながる? ・側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに ・レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

31173.

鼻噴霧用ステロイド薬による花粉症初期療法の検討~日本アレルギー学会秋季学術大会

花粉症の初期療法に使用する薬剤として、「鼻アレルギー診療ガイドライン」では以下の5種類の薬剤が推奨されており、鼻噴霧用ステロイド薬は含まれていない。1) 第2世代抗ヒスタミン薬2) ケミカルメディエーター遊離抑制薬3) Th2サイトカイン阻害薬4) 抗ロイコトリエン薬5) 抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬しかしながら、海外の花粉症では鼻噴霧用ステロイド薬による季節前投与の有用性が報告され、スギ花粉症においてもプラセボ対照無作為化比較試験によるエビデンスの蓄積が待たれている。このような背景のもと、2012年11月29日~12月1日に開催された第62回日本アレルギー学会秋季学術大会では、鼻噴霧用ステロイド薬による初期療法の有用性を検討した複数のプラセボ対照無作為化比較試験のデータが報告された。スギ花粉飛散開始前または翌日から鼻噴霧用ステロイド薬を投与し、有用性を検討山梨大学大学院医学工学総合研究部耳鼻咽喉科・頭頸部外科の増山敬祐氏は、スギ花粉症に対する鼻噴霧用ステロイド薬(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)の初期療法の有用性を検討したプラセボ対照無作為化比較試験を報告した。増山氏らは、2011年の花粉症シーズンにおいて、適格性の評価を受けたスギ花粉症患者150例(うち妊娠と抗ヒスタミン薬使用の2例除外)を鼻噴霧用ステロイド薬群(75例)とプラセボ群(73例)の2群に無作為に割り付け、症状自覚時またはスギ花粉飛散開始翌日から投与を開始した。その結果、総鼻症状は、スギ花粉飛散開始後第2、第3、第4、第5週に、鼻噴霧用ステロイド薬群で有意に増悪が抑制され、くしゃみ、鼻漏、鼻閉の各症状についても同様であった。総眼症状は、第3、第4、第5週に鼻噴霧用ステロイド薬群で有意に増悪が抑制された。レスキュー薬の使用については、抗ヒスタミン薬の使用は鼻噴霧用ステロイド薬群で有意に少なかったが、点眼薬の使用は両群間で有意差はなかった。QOLスコアは、飛散ピーク時とシーズン後半に、鼻噴霧用ステロイド薬群で有意にスコアの悪化が抑制された。一方、副作用は両群とも軽微であり、有意差が認められなかった。これらの結果から、増山氏は、スギ花粉症に対する鼻噴霧用ステロイド薬による初期療法の有用性が示唆されると結んだ。スギ花粉飛散3週間前から鼻噴霧用ステロイド薬を投与し、有用性を検討岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学の岡野光博氏は、鼻噴霧用ステロイド薬を花粉飛散前から投与する群とプラセボ群の2群間における無作為化二重盲検比較試験と、鼻噴霧用ステロイド薬を花粉飛散前から投与開始する群、花粉飛散後にプラセボから鼻噴霧用ステロイド薬に切り替える群、プラセボ群の3群間による無作為化二重盲検比較試験を報告した。2群間における無作為化二重盲検比較試験は、スギ・ヒノキ花粉症患者50例を鼻噴霧用ステロイド薬(モメタゾンフランカルボン酸エステル)群(25例)とプラセボ群(25例)の2群に無作為に割り付け、スギ花粉飛散前(2010年2月1日)から投与開始し、スギ・ヒノキ花粉飛散期における有効性と安全性を検討した。なお、2010年のスギ花粉の本格飛散開始日は2月22日であったことから、スギ花粉飛散開始3週間前に投与を開始したことになる。その結果、鼻噴霧用ステロイド薬投与群では、鼻症状スコア、眼症状スコア、総鼻眼症状スコアにおいて抑制が認められた。QOLスコアも、スギ花粉飛散開始後、プラセボ群に比べて有意に良好であり、有害事象はプラセボ群と同等であった。この結果から、岡野氏は、鼻噴霧用ステロイド薬はスギ・ヒノキ花粉症に対する初期治療薬として有効かつ安全であることが示唆される、と述べた。次に、鼻噴霧用ステロイド薬による初期治療の開始時期を検討するために、スギ・ヒノキ花粉症患者75例を、鼻噴霧用ステロイド薬(モメタゾンフランカルボン酸エステル)をスギ花粉飛散前から投与開始する群(以下、飛散前投与開始群、25例)、スギ花粉飛散後にプラセボから鼻噴霧用ステロイド薬に切り替えた群(以下、飛散後投与開始群、25例)、プラセボ群(25例)の3群に無作為に割り付けた。3群ともスギ花粉飛散前(2011年2月1日)から投与開始し、飛散後投与開始群はその4週後にプラセボから鼻噴霧用ステロイド薬に切り替えた。2011年のスギ花粉の本格飛散開始日は2月23日であったことから、飛散前投与開始群では飛散開始のほぼ3週間前に投与開始、飛散後投与開始群では飛散開始からほぼ1週間後に投与開始したことになる。この結果、飛散前投与開始群、飛散後投与開始群ともにプラセボ群に比べて、スギ・ヒノキ花粉飛散期の鼻症状の増悪を有意に抑制した。眼症状については、スギ・ヒノキ花粉飛散期に、飛散前投与開始群がプラセボ群に比べ有意に増悪を抑制したが、飛散後投与開始群では有意な効果はみられなかった。総鼻眼症状は、スギ花粉飛散期に、飛散後投与開始群に比べて飛散前投与開始群が有意に増悪を抑制し、くしゃみと眼掻痒感について顕著であった。これらの結果から、岡野氏は、鼻噴霧用ステロイド薬によるスギ・ヒノキ花粉症に対する初期療法は、花粉飛散後より花粉飛散前に投与開始するほうが、より高い症状緩和効果が得られることが示唆されると述べた。

31174.

インターフェロン治療SVR達成の慢性C型肝炎患者は全死因死亡が有意に低下/JAMA

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症・進行性肝線維症患者の全死因死亡率について、インターフェロン治療により持続的ウイルス学的著効(SVR)がみられる人では有意な低下がみられたことが、オランダ・エラスムス大学のAdriaan J. van der Meer氏らによる評価の結果、明らかにされた。JAMA誌2012年12月26日号掲載より。530例を中央値8.4年追跡、全死因死亡率などを評価 研究グループは、慢性HCV・進行性肝線維症患者におけるSVRと全死因死亡率との関連を評価することを目的に、国際多施設長期フォローアップ研究を行った。 被験者は、ヨーロッパおよびカナダの5つの病院から登録された慢性HCV患者530例で、1990~2003年の間にインターフェロンをベースとした治療を開始し、肝線維症または肝硬変症の進行(Ishakスコア4~6)について組織学的検査に基づき追跡された。 フォローアップは、2010年1月~2011年10月にわたって行われ、全死因死亡率を主要評価項目に、また肝不全、肝細胞がん(HCC)、肝臓関連の死亡または肝移植を副次評価項目として評価が行われた。 530例の被験者の追跡期間中央値は8.4年(IQR:6.4~11.4)だった。ベースラインでの年齢中央値は48歳(同:42~56)で、369例(70%)が男性だった。 肝線維症のIshakスコアは、143例(27%)が4、101例(19%)が5、6は286例(54%)だった。SVR達成・非達成で、10年累積全死因死亡、肝細胞がん、移植などに有意な差 SVRを達成したのは192例(36%)だった。 死亡したのは、SVR患者13例、非SVR患者100例で、10年累積全死因死亡率はSVR患者8.9%[95%信頼区間(CI):3.3~14.5]、非SVR患者26.0%(同:20.2~28.4)で有意な差がみられた(p<0.001)。 時間依存的多変量Cox回帰分析の結果、SVRと全死因死亡低下との有意な関連が認められた[ハザード比(HR):0.26、95%CI:0.14~0.49、p<0.001]。また、肝関連死亡または肝移植の有意な低下(SVR患者3例、非SVR患者103例)も認められた(HR:0.06、95%CI:0.02~0.19、p<0.001)。10年累積肝関連死亡-肝移植発生率は、SVR患者1.9%(95%CI:0.0~4.1)、非SVR患者27.4%(同:22.0~32.8)だった(p<0.001)。 HCCを発症したのはSVR患者7例、非SVR患者76例だった。10年累積発生率はSVR患者5.1%(95%CI:1.3~8.9)、非SVR患者21.8%(同:16.6~27.0)で有意な差が認められた(p<0.001)。 肝不全の発症は、SVR患者4例、非SVR患者111例だった。10年累積発生率はSVR患者2.1%(95%CI:0.0~4.5)、非SVR患者29.9%(同:24.3~35.5)で有意な差が認められた(p<0.001)。

31175.

新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

 新規抗うつ薬として注目されるノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(NDDI)であるアゴメラチン。オーストリア・ウィーン医科大学のSiegfried Kasper氏らは、アゴメラチンの有効性および忍容性を評価するため、SSRIやSNRIとの各種比較試験より解析を行った。International clinical psychopharmacology誌2013年1月号の報告。 患者データのプール解析によりアゴメラチンの抗うつ効果をSSRIやSNRIと比較した。適応用量内で実施されたベンラファキシン、セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラムを用いた6試験無作為化二重盲検比較試験より解析を行った。一次評価にはHAM-D17を用いた。治療間の差の推定については、最終観察時点(6、8、12週目)の値に基づいて算出した。 主な結果は以下のとおり。・各試験で無作為化された対象患者は2,034例(年齢:47.6±14.9歳、男女比:27:73、HAM-D17トータルスコア:29.6±3.0)。・解析対象患者は最大で1,997例(アゴメラチン群:1,001例、SSRI/SNRI群:996例)。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、HAM-D17トータルスコア(E[SE]=0.86[0.35]、95%CI=0.18~1.53、p=0.013)、HAM-D17におけるレスポンダーレート(p=0.012)、CGI-I(CGI-Improvement)スコア(p=0.032)の有意な改善が認められた。・重度なうつ病患者においても同様な結果が得られた。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、優れた忍容性が認められた。関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

31176.

重症外傷性脳損傷への頭蓋内圧モニタリング、アウトカム改善につながらず/NEJM

 重症外傷性脳損傷に対する頭蓋内圧モニタリングによる治療を行っても、アウトカムは画像・臨床診断に基づく治療を行った場合と同等であることが示された。米国・ワシントン大学のRandall M. Chesnut氏らが、300人超について行った無作為化試験の結果、明らかにした。頭蓋内圧モニタリングは、重症外傷性脳損傷への標準的治療とされ頻繁に用いられているが、アウトカムの改善については厳密な評価はされていなかったという。NEJM誌12月27日号(オンライン版2012年12月12日号)掲載より。生存期間や意識障害などを21項目で統合評価 研究グループは、ボリビアとエクアドルの医療機関で、13歳以上で重症外傷性脳損傷を受けICUで治療中の324人を対象とし無作為化試験を行った。一方の群には、頭蓋内圧モニタリングを行い、もう一方の群には、画像・臨床診断に基づく治療を行った。 主要アウトカムは、生存期間、意識障害、3・6ヵ月後の機能状態、6ヵ月後の神経心理学的状態に関する、21項目から成る統合評価指標とした。なお、神経心理学的状態の評価者は、患者の受けている治療プロトコルについて、知らされていなかった。統合アウトカム、6ヵ月死亡率、ICU滞在日数は両群で同等 結果、主要アウトカムについては、頭蓋内圧モニタリング群のスコアが56に対し、画像・臨床診断群は53と、両群で有意差はなかった(p=0.49)。 また6ヵ月死亡率も、頭蓋内圧モニタリング群39%に対し、画像・臨床診断群は41%と両群で同等だった(p=0.60)。ICUでの脳に特化した治療日数は、画像・臨床診断群が頭蓋内圧モニタリング群に比べ有意に長かったものの(4.8日対3.4日、p=0.002)、ICU滞在日数の中央値は頭蓋内圧モニタリング群が12日間、画像・臨床診断群が9日間と、有意差はなかった(p=0.25)。 重度有害事象の発症率についても、両群で同等だった。

31177.

今、話題の糖質制限食は寿命を延ばすことができるのか?

 糖尿病の食事療法は、カロリー制限が標準的な治療として実践されている。しかし、継続できない患者が少なからずいることも事実だ。そこで、カロリー摂取量は無制限にして、糖質(炭水化物)だけを制限する『糖質制限食』が提唱され、昨今わが国でも話題となっている。糖質制限食は、短期的(数週間~数年間)な減量や動脈硬化リスクファクター改善に有効であることが臨床的に示されているが、長期的なアウトカムや安全性についてはこれまで明らかではなかった。 今回、国立国際医療研究センター病院 糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らは、糖質制限食による死亡・心血管疾患イベントのメタアナリシスを行った。この結果が第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表される事前に、ケアネットでは単独インタビューを実施した。糖質制限食により総死亡リスクが有意に増加する 能登氏はMedline、EMBASE、ISI Web of Science、Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、医中誌を用いて2012年9月12日までの検索を行い、その該当文献中の引用文献から適切な研究を選択し、システマティックレビューを実施した。その結果、492報が該当し、メタアナリシスに9報を精選した。 総死亡については4つのコホート研究(6サブグループ)が解析対象となった(追跡期間5~26年)。227,216人(女性66%)のうち、総死亡者数は15,981人であり、糖質制限食の遵守は、総死亡に対する有意なリスクファクターであった〔調整リスク比 1.31(95%信頼区間:1.08~1.59)、p=0.007〕。 また、心血管疾患死については3つのコホート研究(5サブグループ)が解析対象となった(追跡期間10~26年間)。249,272人(女性67%)のうち、心血管疾患死亡者数は3,214人であり、心血管疾患死に対して、糖質制限食遵守は有意なリスクファクターとして認められなかった〔調整リスク比 1.10(95%信頼区間:0.98~1.24)、p=0.12〕。同様に、心血管疾患発症に対しても有意なリスクファクターではなかった〔調整リスク比 0.98(95%信頼区間:0.78~1.24)、p=0.87〕。 能登氏らの研究結果は、糖尿病患者への影響は不明であるものの、糖質制限食の長期的な有用性は認められず、むしろ死亡リスクが有意に増加することを示唆した。米国糖尿病協会(ADA)のガイドラインにおいては「糖質制限食、低脂肪食、カロリー制限食、地中海食は短期間(2年まで)の減量には有効」と記述されており、能登氏は「短期間(2年まで)」と表記されていることが重要だと述べる。これは最近発表された2013年版においても変わっていない。すなわち、継続性や減量効果の持続性や長期アウトカムについては不明であったからだ。したがって、患者さんには「糖質制限食は短期的な(2年まで)減量効果や動脈硬化リスクファクターの改善効果があるものの、続けやすい食事療法ではなく、長期的には体重も戻りやすく生命の危険性の可能性もある」ことを伝えることが大事だとし、薬物治療を実施している糖尿病患者さんでは低血糖を回避するためにも、糖質制限食だけでなく、どのような食生活をしているかについて尋ねることも重要だと述べた。患者さんは食生活について(とくに遵守できていない場合)、主治医に自ら話したがらないことも多いので、医療スタッフが患者さんに尋ねることが、患者さんの食生活の把握には有効だとしている。

31178.

第10回 療養指導義務:「何かあったら受診ください」ではダメ!どうする患者指導!!

■今回のテーマのポイント1.療養指導義務は説明義務の一類型であるが、治療そのものである2.「重大な結果が生ずる可能性がある」場合には、たとえ当該可能性が低くとも、療養に関する指導をしなければならない3.「何か変わったことがあれば医師の診察を受けるように」といったような一般的、抽象的な指導では足りず、しっかりと症状等を説明し、どのような場合に医師の診察が要するか等具体的に指導しなければならない事件の概要母X2は、Y産婦人科医院にて、妊娠34週に2200gの第3子(児X1)を出産(吸引分娩)しました。低出生体重児ではありましたが、出生時に児の異状は認められませんでした。しかし、出生後、X1には早期黄疸が認められるようになり、徐々に黄疸は増強してきました。第一子、第二子出産の際にも新生児期に黄疸が出ていたことから、母X2の依頼によりX1の血液型検査をしたところ、母X2と同じO型と判定されました(後に再検査したところX1の血液型はO型ではなくA型と判明しました)。そのため、医師Yは、母X2に対し、黄疸について、「大丈夫だ。心配はいらない」と伝え、退院時(出生より10日目)にも母X2に対し「血液型不適合もなく、黄疸が遷延しているのは未熟児だからであり、心配はない」、「何か変わったことがあったらすぐに当院あるいは近所の小児科の診察を受けるように」とだけ説明をしました。ところが、退院3日後(出生より13日目)より黄疸の増強と哺乳力の減退が現れました。母X2は、医師Yの退院時説明や、受診を急ぐことはないとの夫からの意見もあり、様子をみることとし、結局、外来受診したのは退院から8日後となりました。その結果、X1は核黄疸が進行し、治療を受けたものの、強度の運動障害のため寝たきりとなりました。X1及び両親は、医師Yに対し、X1に対する処置及び退院時の療養指導に不備があったとして約1億円の損害賠償請求を行いました。第1審では「X1に対する処置及び療養指導について過失はない」として原告の請求を棄却しました。同様に控訴審においても、「新生児特に未熟児の場合は、核黄疸に限らず様々な致命的疾患に侵される危険を常に有しており、医師が新生児の看護者にそれら全部につき専門的な知識を与えることは不可能というべきところ、新生児がこのような疾患に罹患すれば普通食欲の不振等が現れ全身状態が悪くなるのであるから、退院時において特に核黄疸の危険性について注意を喚起し、退院後の療養方法について詳細な説明、指導をするまでの必要はなく、新生児の全身状態に注意し、何かあれば来院するか他の医師の診察を受けるよう指導すれば足りる」として原告の請求を棄却しました。これに対し原告が上告したところ、最高裁は、療養指導義務につき過失を認め、原判決を破棄差し戻しとし、下記の通り判示しました(差し戻し審後の認容額約6400万円)。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過母X2は、Y産婦人科医院にて、妊娠34週に2200gの第3子(児X1)を出産(吸引分娩)しました。低出生体重児ではありましたが、出生時に児の異状は認められませんでした。しかし、出生後、X1には早期黄疸が認められるようになり、徐々に黄疸は増強してきました。母X2は、第一子、第二子出産の際にも新生児期に黄疸が出ており、知人からこのような場合には、黄疸が強くなると児が死ぬかもしれないと聞かされていたことから不安に思い、医師YにX1の血液型検査を依頼しました。検査の結果、X1の血液型は、母X2と同じO型と判定されました(後に再検査したところX1の血液型はO型ではなくA型と判明しました)。X1の黄疸は、生後4日目には肉眼的に認められるようになり、生後6日目に測定した総ビリルビン値は 2.5mg/dLでしたが、その後、X1が退院するまで肉眼的には黄疸が増強することはありませんでした。医師Yは、母X2に対し、血液型不適合はなく、黄疸が遷延するのは未熟児だからであり心配はないと伝えました。そして、退院時(出生より10日目)にも母X2に対し「血液型不適合もなく、黄疸が遷延しているのは未熟児だからであり、心配はない」、「何か変わったことがあったらすぐに当院あるいは近所の小児科の診察を受けるように」とだけ説明をしました。ところが、退院3日後(出生より13日目)より黄疸の増強と哺乳力の減退が現れました。母X2は、医師Yの退院時説明や、受診を急ぐことはないとの夫からの意見もあり、様子をみることとし、結局、A病院の小児科外来を受診したのは退院から8日後となりました。A病院受診時のX1は、体重2040gで顕著な肉眼的黄疸が認められ、自発運動は弱く、診察上、軽度の落葉現象が認められ、モロー反射は認められるものの反射速度は遅くなっており、総ビリルビン値は 34.1mg/dL(間接ビリルビン値 32.2mg/dL)でした。直ちに交換輸血が行われたものの、X1は強度の運動障害のため寝たきりとなりました。事件の判決「新生児の疾患である核黄疸は、これに罹患すると死に至る危険が大きく、救命されても治癒不能の脳性麻痺等の後遺症を残すものであり、生後間もない新生児にとって最も注意を要する疾患の一つということができるが、核黄疸は、血液中の間接ビリルビンが増加することによって起こるものであり、間接ビリルビンの増加は、外形的症状としては黄疸の増強として現れるものであるから、新生児に黄疸が認められる場合には、それが生理的黄疸か、あるいは核黄疸の原因となり得るものかを見極めるために注意深く全身状態とその経過を観察し、必要に応じて母子間の血液型の検査、血清ビリルビン値の測定などを実施し、生理的黄疸とはいえない疑いがあるときは、観察をより一層慎重かつ頻繁にし、核黄疸についてのプラハの第一期症状が認められたら時機を逸ずることなく交換輸血実施の措置を執る必要があり、未熟児の場合には成熟児に比較して特に慎重な対応が必要であるが、このような核黄疸についての予防、治療方法は、上告人X1が出生した当時既に臨床医学の実践における医療水準となっていたものである。・・・・(中略)・・・・そうすると、本件において上告人X1を同月30日の時点で退院させることが相当でなかったとは直ちにいい難いとしても、産婦人科の専門医である被上告人Yとしては、退院させることによって自らは上告人X1の黄疸を観察することができなくなるのであるから、上告人X1を退院させるに当たって、これを看護する上告人母X2らに対し、黄疸が増強することがあり得ること、及び黄疸が増強して哺乳力の減退などの症状が現れたときは重篤な疾患に至る危険があることを説明し、黄疸症状を含む全身状態の観察に注意を払い、黄疸の増強や哺乳力の減退などの症状が現れたときは速やかに医師の診察を受けるよう指導すべき注意義務を負っていたというべきところ,被上告人Yは、上告人X1の黄疸について特段の言及もしないまま、何か変わったことがあれば医師の診察を受けるようにとの一般的な注意を与えたのみで退院させているのであって、かかる被上告人Yの措置は、不適切なものであったというほかはない」(最判平成7年5月30日民集175号319頁)ポイント解説今回は「療養指導義務」がテーマとなります。前回までのテーマであった説明義務には、大きく分類して2種類あり、一つはインフォームド・コンセントのための説明義務、もう一つが今回のテーマである療養指導義務です。糖尿病における食事療法、運動療法に代表されるように、疾患の治療は、医師のみが行うのではなく、患者自身が療養に努めることで、功を奏します。しかし、医療は高度に専門的な知識を必要としますので、患者自らが適切な療養をするために、専門家である医師が、患者がなすべき療養の方法等を指導しなければなりません。インフォームド・コンセントのための説明義務が患者の自己決定のために行われるのに対し、療養指導義務は、患者の疾病に対する治療そのものであることに大きな違いがあります。すなわち、インフォームド・コンセントのための説明義務違反があったとしても、通常は、自己決定権の侵害として、精神的慰謝料(数十~数百万円程度)が認められるにとどまりますが、療養指導義務違反においては、患者の身体に生じた損害(死傷)として場合によっては数千万~数億円単位の損害賠償責任を負うこととなります。療養指導義務が民事訴訟において争われる類型としては、(1)退院時の療養指導(2)経過観察時の療養指導(3)外来通院時の療養指導があります。特に注意が必要となるのが、本事例のように医師の管理が行き届きやすい入院から目の届かない外来へと変わる退院時の療養指導(1)及び、頭部外傷等で救急外来を受診した患者を帰宅させる際に行う療養指導(2)です。本事例以外に退院時の療養指導義務が争われた事例としては、退院時に処方された薬剤により中毒性表皮壊死症(TEN)を発症し死亡した事例で、「薬剤の投与に際しては、時間的な余裕のない緊急時等特別の場合を除いて、少なくとも薬剤を投与する目的やその具体的な効果とその副作用がもたらす危険性についての説明をすべきことは、診療を依頼された医師としての義務に含まれるというべきである。この説明によって、患者は自己の症状と薬剤の関係を理解し、投薬についても検討することが可能になると考えられる。・・・(中略)・・・患者の退院に際しては、医師の観察が及ばないところで服薬することになるのであるから、その副作用の結果が重大であれば、発症の可能性が極めて少ない場合であっても、もし副作用が生じたときには早期に治療することによって重大な結果を未然に防ぐことができるように、服薬上の留意点を具体的に指導すべき義務があるといわなくてはならない。即ち、投薬による副作用の重大な結果を回避するために、服薬中どのような場合に医師の診察を受けるべきか患者自身で判断できるように、具体的に情報を提供し、説明指導すべきである」(高松高判平成8年2月27日判タ908号232頁)と判示したものがあります。また、救急外来において頭部打撲(飲酒後階段から転落)患者の帰宅時の療養指導が争われた事例(患者は急性硬膜下血腫等により死亡)では、「このような自宅での経過観察に委ねる場合、診療義務を負担する医師としては、患者自身及び看護者に対して、十全な経過観察を尽くし、かつ病態の変化に適切に対処できるように、患者の受傷状況及び現症状から、発症の危険が想定される疾病、その発症のメルクマールとなる症状ないし病態の変化、右症状ないし病態変化が生起した場合に、患者及び看護者が取るべき措置の内容、とりわけ一刻も早く十分な診療能力を持つ病院へ搬送すべきことを具体的に説明し、かつ了知させる義務を負うと解するのが相当である」(神戸地判平成2年10月8日判時1394号128頁)と判示されています。本判決を含めた判例の傾向としては、1)「重大な結果が生ずる可能性がある」場合には、たとえ当該可能性が低くとも、療養に関する指導をしなければならないとしていること2)「何か変わったことがあれば医師の診察を受けるように」といったような一般的、抽象的な指導では足りず、しっかりと症状等を説明し、どのような場合に医師の診察が要するか等、具体的に指導することが求められています。患者の生命、身体に関する必要な情報は提供されるべきであることは当然ですが、この医師不足の中で医師は多忙を極めており、すべての患者に対し、上記内容を医師が直接、口頭で説明することは、残念ながら現実的には非常に困難であるといえます。だからといって、医師による直接、口頭にこだわる余り、説明、指導の内容を縮減することは患者のためになりません。したがって、療養指導義務の主体や方法については、第8回「説明義務 その2」で解説したように、書面による指導や他の医療従事者による指導を適宜用いることで、柔軟に対応すべきです。もちろん、このような方法により法的な療養指導義務や説明義務を果たした上で、医師患者関係の形成のための医師による直接、口頭の説明、指導を行うことは、法的責任とは離れた「医師のプロフェッションとしての責任」として、果たすべきであることも忘れてはなりません。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)最判平成7年5月30日民集175号319頁高松高判平成8年2月27日判タ908号232頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。神戸地判平成2年10月8日判時1394号128頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

検索結果 合計:35637件 表示位置:31161 - 31180