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31003.

交通事故による高エネルギー外傷の死亡例

救急医療最終判決平成15年10月24日 大阪高等裁判所 判決概要38歳の男性、単独交通事故(乗用車運転席)のケース。来院時の意識レベルはJCS 30であり、頭蓋内疾患を疑って頭部CTを施行したが異常なし。体表面の外傷として頬からあごにかけて、および左鎖骨部から頸肋部にかけて打撲痕がみられた。バイタルサインや呼吸状態は安定し、胸腹部X線は異常なし。血液検査ではCPK上昇197mU/mL(正常値10~130mU/mL)を除いて貧血などもみられなかった。経過観察目的で一般病棟に入院としたが、来院から約2時間後に容態が急変し、心嚢穿刺を含む救急蘇生を行ったが改善せず、受傷から3時間半後に死亡確認となった。詳細な経過患者情報38歳男性経過平成5年10月8日16:23乗用車を運転中、民家のブロック塀に衝突する自損事故で受傷。現場にスリップ痕が認められないことから、通常走行する程度の速度で衝突した事故と考えられた。乗用車は前部が大破しハンドルは作動不能であり、シートベルトは装着しておらず、乗用車にはエアバッグ装置もなかった。救急隊到着時の意識レベルはJCS(ジャパンコーマスケール)で200(刺激で覚醒せず、少し手足を動かしたり、顔をしかめる状態)であった(なお助手席同乗者は当初意識清明であったが、外傷性心破裂のため容態急変し、三次救急医療機関へ転送され18:40死亡)。16:47救急車で搬送。脳神経外科専門医が担当し、救急隊員からブロック塀に自動車でぶつかって受傷したという報告を受けた。初診時不穏状態であり、意味不明の発語があり、両手足を活発に動かしており、呼びかけに対しては辛うじて名字がいえる状態で意識状態はJCS 30R(痛み刺激を加えつつ呼びかけをくり返すと辛うじて開眼する不穏状態)と判断された。血圧158/26mmHg。頬からあごにかけて、および左鎖骨部から頸肋部にかけて打撲痕を認めたものの、呼吸様式、胸部聴診では問題なし。明らかな腹部膨満や筋性防御はなく、腸雑音の消失、亢進はなかった。また、四肢の動きには異常なく、眼位や瞳孔に異常はみられなかったが、振り子状の眼振を認めた。17:00頭部CT検査:異常なし17:12血算:貧血なし生化学:CPK 197mU/mL(正常値10~130mU/mL)17:22頭部、胸部、腹部の単純X線撮影:異常なし以上の所見から、とくに緊急な措置を要する異常はないものと判断し、入院・経過観察を指示。18:00消化器外科専門医が診察。腹部は触診で軟、筋性防御などの所見はなく、貧血を認めず、X線写真とあわせて経過観察でよいと判断した。脳神経外科医は入院時指示票に病名を頭部外傷II型、バイタルサイン4時間(4時間毎に血圧などの測定や観察)と記載して看護師に手渡した。18:30一般病室へ入院。軽度意識障害は継続していたが、呼吸は安定。点滴が開始された。脳神経外科担当医は家族へ病状を説明し、家族はいったん帰宅した。19:00看護師から血圧測定不能との連絡あり。血液ガス分析のための採血中に突然呼吸停止となり、胸骨圧迫式(体外式)心マッサージ、気管内挿管などの蘇生術を施行。胸部ポータブルX線検査では明らかな異常を認めず。ここで外傷性急性心タンポナーデを疑い、超音波ガイドを使用せずに左胸骨弓の剣状突起起始部から心嚢穿刺を試みたが、液体を得ることはできなかった。その後も懸命の救急蘇生を続けるが効果なし。20:07死亡確認。死亡診断書には胸部打撲を原因とする心破裂の疑いと記載した。病理解剖を勧めたが家族は拒否した。被告病院の救急体制被告病院は院長ほか33名の医師を擁し、二次救急医療機関に指定されている(ただし常勤の救急認定医あるいは救急指導医はいない)。当直業務は医師2名(外科系、内科系各1名)、看護師2名でこなしていたが、時間外にも外科医、麻酔科医、看護師などに連絡し30分程度の準備時間をかければ手術をすることができる態勢を整えていた。なお県内の高度救命三次救急医療機関までは救急車で30分~1時間以上要する距離にあった。当事者の主張患者側(原告)の主張死亡原因は心筋挫傷などによる外傷性急性心タンポナーデのため、胸部超音波検査を実施すれば、心嚢内の血液の貯留を発見し、外傷性急性心タンポナーデによる容態急変を未然に防ぐことができた。病院側(被告)の主張死因を外傷性急性心タンポナーデであると推定するA鑑定がある一方で、腹腔内出血とするB鑑定もあり、わが国の代表的な救急医療専門家でも死因の判断が異なることは、死因を特定するのが難しいケースである。このうちA鑑定は特殊救急部での実践を基準とし、平均的な救命救急センターの実態をはるかに超える人的にも物的にも充実した専門施設を前提とした議論を展開しており、そのレベルの医療機関に適時にアクセスできる救急医療体制の実現を目指した理想論である。本件当時、当該病院周辺にはそのような施設はなく、他府県でも一般的に存在しなかったので、理想論を基準として病院側の過失や注意義務違反を判断することはできない。裁判所の判断患者はシートベルトを装着しない状態で、ブレーキ痕もなくブロック塀に衝突しており、いわゆる「高エネルギー外傷」と考えられる。そして、血液生化学検査によりCPK 197mU/mLと異常値を示していたこと、受傷後約2時間半は循環動態が安定していたにもかかわらず19:00頃に容態急変したこと、心肺蘇生術にもかかわらずまったく反応がなかったことなどは、A鑑定が推測したように外傷性急性心タンポナーデの病態と合致する。一方、腹腔内出血が死亡原因であるとするB鑑定は、胸部正面単純X線撮影で中心陰影が縮小していないことから、急速な腹腔内出血が死亡原因であるとは考えられず、採用することはできない。このような救急患者を担当する医師は、高エネルギー外傷を受けた可能性が高いことを前提として診察をする必要がある。まず着衣は全て取り去り、全身の体表を調べ、外力が及んだ部位を把握し、脈拍数の測定、呼吸に伴う胸壁運動の確認、呼吸音の左右差や心雑音の有無、冷汗やチアノーゼ、頸動脈怒張の有無、意識レベル、腹部所見、四肢の状態を確認する。その後、心嚢液の貯留、胸腔内出血、腹腔内出血に焦点を絞って、胸腹部の超音波検査をする(この検査は数分あれば可能である)。その他動脈血ガス分析、血液生化学検査、さらに胸部と腹部の単純X線撮影、頸椎の正・側面撮影をする。以上の診察および検査は、高エネルギー外傷患者については症状がない場合でも必須である。そして、診察および検査により特別な異常がない場合でも、高エネルギー外傷患者は入院経過観察が必要で、バイタルサインは連続モニターするか頻回に測定する。また、初回の検査で異常がなくても、胸腹部の超音波検査をはじめは1~2時間間隔でくり返し行う。本件の担当医師は、高エネルギー外傷による軽度の意識障害を伴った患者に対し胸腹部の単純X線撮影、頭部CT検査、血液検査は施行したが、高エネルギー外傷で起こりやすい緊急度の高い危険な病態(急性心タンポナーデ、緊張性気胸、腹腔内出血、頸椎損傷など)に対する検査を実施していない。しかも看護師に対しバイタルサイン4時間等チェックという一般的な注意をしただけで、連続モニターしなかったのは不適切である。本件は受傷から2時間半後に容態急変した外傷性急性心タンポナーデが疑われる症例なので、もし入院・経過観察とした時点で速やかに胸部超音波検査を実施していれば、心嚢内の出血に気づき、ただちに心嚢穿刺により血液を吸引除去し、あるいは手術的に心嚢を開放(心嚢切開または開窓術)することによって確実に救命できた可能性が高い。もし心嚢切開または開窓術を実施できなければ、すみやかに三次救急医療機関に搬送すれば救命することができたので、担当医師の過失・注意義務違反は明らかである。我が国では年間約2千万人の救急患者が全国の病院を受診するのに対し、日本救急医学会によって認定された救急認定医は2,000名程度にすぎず、救急認定医が全ての救急患者を診療することは現実には不可能である。救急専門医(救急認定医と救急指導医)は首都圏や阪神圏の大都市部、それも救命救急センターを中心とする三次救急医療施設に偏在しているのが実情である。そのため大都市圏以外の地方の救急医療は、救急専門医ではない外科や脳外科などの各診療科医師の手によって支えられているのが我が国の救急医療の現実である。したがって、本件病院が二次救急医療機関として、救急専門医ではない各診療科医師による救急医療体制をとっていたのは、全国的に共通の事情であること、一般的に、脳神経外科医は研修医の時を除けば心嚢穿刺に熟達できる機会はほとんどなく、胸腹部の超音波検査を日常的にすることもないことなどは、被告担当医師の主張の通りである。そのような条件下では、被告医師は自らの知識と経験に基づき、脳神経外科医としては最善の措置を講じたと考えられるため、脳神経外科医に一般に求められる医療水準は十分に実践したことになる。しかし救急医療機関は、「救急医療について相当の知識および経験を有する医師が常時診療に従事していること」とされ、その要件を満たす医療機関を救急病院などとして都道府県知事が認定することになっている(救急病院などを定める省令1条1項)。また、救急医療機関に勤務する医師は、「救急蘇生法、呼吸循環管理、意識障害の鑑別、救急手術要否の判断、緊急検査データの評価、救急医療品の使用などについての相当の知識および経験を有すること」が求められている(昭和62年1月14日厚生省通知)から、担当医の具体的な専門科目によって注意義務の内容、程度が異なるというわけではなく、二次救急医療機関の医師として、救急医療に求められる医療水準の注意義務をはたさなければならない。したがって、二次救急医療機関に勤務する医師である以上、本件のような高エネルギー外傷患者には初診時から胸部超音波検査を実施し、心嚢内出血と診断をしたうえで必要な措置を講じるべきであり、もし必要な検査や措置を講じることができない場合には、ただちにそれが可能な医師に連絡を取って援助を求めるか、三次救急医療機関に転送することが必要であった。以上のとおり、被告医師には明らかな注意義務違反を認めることができる。原告側6,645万円の請求に対し、4,139万円の判決考察この判決では、医療現場の実情がほとんど考慮されず、理想論ばかりが展開されて担当医師のミスと断言されたようにも思います。おそらく、救急専門医にとっては「preventable death」と考える余地があるケースでしょうけれども、日本の救急医療を支えている多くの外科医、脳神経外科医、整形外科医などからみれば、きわめて不条理な判断ではないかと思われます。なぜなら、この裁判が指摘したのは、「外傷患者に胸部超音波検査を施行できない医師は二次救急医療機関の外科系当直をするな」、ということにもつながるからです。症例は38歳の男性、単独交通事故のケースでした。来院時の意識レベル30、バイタルサインは異常なし、すぐに頭蓋内疾患を疑って頭部CTを施行したが異常なし。体表面の外傷として頬からあごにかけて、および左鎖骨部から頸肋部にかけて打撲痕がありました。その他、胸腹部X線、血算でも貧血などの異常はなく、CPKが197mU/mL(正常値10~130mU/mL)と上昇していました。緊急で処置するべき病態はなかったものの、意識障害がみられたためとりあえず経過観察の入院としたことは、妥当な判断と思われます。ところが、入院後の経過はきわめて急激でした。16:23交通事故16:47救急搬送17:00頭部CT検査:異常なし17:12血算:貧血なし、生化学:CPK 197mU/mL(正常値10~130mU/mL)17:22頭部、胸部、腹部の単純X線撮影:異常なし18:00消化器外科医の診察で腹部異常所見なし18:30一般病室へ入院、家族はいったん帰宅19:00血圧測定不能、呼吸停止20:07死亡確認、死体解剖せず脳神経外科担当医は、来院から約1時間10分で一通りの初期評価を行い、頭蓋内出血など緊急で対応しなければならない病態は除外し、バイタルサインや呼吸状態は安定していたため一般病棟に観察入院としました。ところが病棟へ上がった30分後に容態急変、外傷性急性心タンポナーデも考えて研修医時代に経験したことのある心嚢穿刺にもトライしましたが血液は得られず、蘇生への反応はなく死亡したという経過です。けっしてこのケースは見逃し、怠慢、不注意などといった、最近のマスコミがしきりに喧伝しているような事故状況ではありませんでした。しかも、結果からいえば救命できなかった残念なケースですが、死体解剖の同意は得られず死亡原因も確定しませんでした。もし当初から血圧が低いとか、呼吸状態が悪いなどの所見がみられたのであれば、胸腹部損傷を積極的に疑って急変前から精査を勧めていたと思います。しかし、胸部X線写真で肋骨骨折や血気胸はなかったし、頭部CTでも異常がなければ、それ以外の命に関わる病態を想定して(たとえ無症状でも)胸部超音波検査を積極的に施行したり、自分で検査できなければ容態が安定しているうちに高次医療機関へ転送するというのは、非常に難しい判断であったと思います。それにもかかわらず、裁判官は以下のように考えました。死亡原因は外傷性急性心タンポナーデがもっとも疑われる(注:確定されていない!)患者の受傷形態は高エネルギー外傷であった高エネルギー外傷であれば最初から胸腹部損傷を考えて、たとえ症状がなくても胸腹部超音波検査をしなければならない(数分でできる簡単な検査である)初回検査で異常なくても、胸腹部超音波検査をはじめは1~2時間間隔でくり返し行うそうしていれば心タンポナーデを診断できた心タンポナーデとわかれば心嚢穿刺または心嚢切開で確実に救命できた心タンポナーデの診断・治療ができないのなら、受傷から容態急変までの約2時間半は循環動態も安定していたので、はじめから三次救急医療機関に搬送していればよかったこのように、裁判官はすべて「仮定」を前提とした論理を展開しているのがわかると思います。そもそも、直接の死亡原因すら確定していない状況で、「外傷性急性心タンポナーデ」と診断を決めつけ、それならば数分でできる胸部超音波検査で診断できるはずだ、診断できれば心嚢穿刺で血を抜くだけで助かるはずだ、だから医者の判断ミスだ、とされました。しかし、今回担当したような脳神経外科を専門とする医師に、胸部超音波検査で外傷性急性心タンポナーデをきちんと診断しなさい、とまで要求するのは、現実的には不可能ではないでしょうか。ましてや、搬送直後には循環器系、呼吸器系の異常もはっきりしなかったのですから、専門医にコンサルトするといった考えもまったくといってよいほどなかったと思います。ところが裁判官は法令の記述を引用して、二次救急医療機関には「救急蘇生法、呼吸循環管理、意識障害の鑑別、救急手術要否の判断、緊急検査データの評価、救急医療品の使用などについての相当の知識および経験を有する」医師をおかなければいけないから、たとえ専門外とはいえ外傷性急性心タンポナーデを適切に診断する注意義務がある、と断言しました。となれば、高エネルギー外傷が疑われる交通事故患者には無症状であってもルーチンで胸部超音波検査を施行せよとなり、さらに胸部超音波検査に慣れていない一般的な脳神経外科医は二次救急医療機関の当直をするべきではない、という極論にまで発展しかねません。一方救急専門医は、外傷による死亡には多くの「preventable death」が含まれているという苦い教訓から、ことあるごとに警鐘を鳴らしています。とくに外傷急性期の「preventable death」の原因としては、以下の「TAFなXXX」が重要です。心嚢内出血(cardiactamponade)気道閉塞(airway obstruction)フレイルチェスト(flaii chest)緊張性気胸(tension pneumothorax)開放性気胸(open pneumothorax)大量血胸(massive hemothorax)本件では救急専門医による鑑定で心嚢内出血による死亡と推測されました。そのため救急医の立場では、交通事故で胸を打った患者が運ばれてきたならば、初診時にバイタルサインや呼吸状態は落ち着いていても、「頬からあごにかけて、および左鎖骨部から頸肋部にかけて打撲痕を認めた」のならば、すぐさまFAST(focused assessment with sonography for trauma)をするべきだという考え方となります。これは救急専門医だからこそ求められるのではなく、「外傷初期治療での必須の手技」、すなわち外傷医ならば救急室のエコー検査に習熟せよ、とまでいわれるようになりました(詳細は外傷初期診療の日本標準テキスト:JATEC Japan Advanced trauma Evaluation and Careを参照ください)。つまり医学の進歩に伴って、二次救急医療機関の当直医に求められる医療水準がかなり高くなってきているということがいえます。とはいうものの、二次救急医療機関で働く多くの外科医、脳神経外科医、整形外科医などに、当直帯で外傷性急性心タンポナーデを適切に診断し救命せよというのは、今の医療現場ではかなり厳しい要求ではないでしょうか。このあたりのニュアンスは、実際に医師免許を取得して二次救急医療機関で働かなければわからないと思われ、たとえこのような判決が出ようとも、同じような症例がこれからもくり返される可能性が高いと思います。しかし、たとえ救急医ではなくても「preventable death」とならないように配慮する義務がわれわれ医師にはありますので、やはり外科系当直を担当する立場では、超音波検査で出血の有無だけはわかるようにしておかなければならないと思います。そして、本件のように最初は状態が安定していても、あっという間に急変して死亡に至るケースがあることを想定しつつ、患者およびその家族へ「万が一」のことを事前に説明することが大事でしょう。本件では受傷から約2時間後に「検査の結果は大丈夫です」と説明して、家族へは帰宅を許可しました。ところがその30分後には容態急変しましたので、「誤診があったのではないか」と家族が不審に思うのも無理はないと思います。このように救急患者の場合には、できる限り「病態悪化を想定した対応」が望まれ、そうすることによって不毛な医事紛争を未然に防ぐことができるケースも数多くあると思います。救急医療

31004.

既報試験のバイアスリスク評価はどうあるべきか?/BMJ

 英国・MRC臨床試験ユニットのClaire L Vale氏らは、既報試験をメタ解析に組み込む適切な方法論として、バイアスリスク評価を既報試験に基づき行う評価手法が信頼できるものであるかを検証した。現在、Cochraneシステマティックレビューの際にはCochraneバイアスリスクツールで評価を行うことが必須とされている。長じてその評価が、メタ解析への既報試験の包含判定方法として示唆されており、Vale氏らは同ツールによる評価が妥当なのかを検討した。BMJ誌オンライン版4月22日号掲載の報告より。Cochraneバイアスリスクツールと付属ガイダンスでバイアスリスクを評価し検証 バイアスリスク評価の信頼度を評価した本検討は、がん治験に関する被験者個人データ(IPD)に基づく13の公表されているメタ解析報告を対象とした。同報告は95の無作為化試験がソースとして用いられていた。 研究グループは、Cochraneバイアスリスクツール(RevMan5.1)および付随ガイダンスを用いてバイアスリスクの評価を行った。評価は、個別的なバイアスリスク分野と各試験全体について、(1)各試験報告単独に基づく情報、あるいは(2)IPDメタ解析で集約された追加情報を加味した試験報告の情報の2つのアプローチを用いて行った。 個別分野と試験全体それぞれについての評価の一致率を算出し、規定値(<66%:低い、≧66%:まあまあ、≧90%:良い)に基づき信頼度を評価した。一致率が「良い」場合にのみ、2つのアプローチはともに信頼できるとした。既報試験単独情報に基づくバイアスリスク評価は信頼できない可能性 結果、割り付け順番の作成についてのバイアスリスクを評価した2つのアプローチの評価の一致率は69.5%(95%信頼区間[CI]:60.2~78.7)であり、不完全なアウトカムデータに関する評価の一致率は80.0%(同:72.0~88.0)でいずれも「まあまあ」という信頼度であった。 さらに、割り付けの隠匿については48.4%(同:38.4~58.5)、アウトカム報告の選択は42.1%(同:32.2~52.0)、全体的なバイアスリスクについては54.7%(同:44.7~64.7)で、いずれも信頼度は「低い」という結果であった。 著者は結果を踏まえて、「既報のがん試験情報単独でのバイアスリスク評価は、信頼できない可能性があった。レビュワーは、それらを試験包含基準として、とくにリスクが不明である試験に用いることに慎重であるべきだろう」と述べている。そのうえで、「試験参加者からの補完的情報は適正な評価を可能とし、複数のバイアスリスクを減じるあるいは超越する可能性があると考えなくてはならない」と指摘し、さらに、「ガイダンスは、とくに主観的領域に関するバイアスリスクの構成に関して、もっと明快なものでなくてはならない」と提言した。

31005.

コクラン・レビューの著者、未公開データ入手を試みた人の半分強で有用データ入手/BMJ

 コクラン・レビューの著者で、未公開データを入手する努力をした人の多くが、主に治験責任者から、有用データを入手できたことが判明した。デンマーク・ノルディックコクランセンターのJeppe Bennekou Schroll氏らが、コクラン・レビューの著者6,000人弱を対象に行った横断研究の結果、報告した。一方で、今回の調査の回答率が37%と低かったことを挙げ、著者は「回答をしなかった著者は、未公開データの入手努力をしなかった可能性が高い」と指摘している。また、製薬企業や規制当局から新たに入手できた未公開データはわずかであったという。BMJ誌オンライン版2013年4月23日号掲載より。著者5,915人中、回答したのは2,184人のみ これまでの研究から、公開されている試験データは未公開データに比べ、結果がネガティブである傾向が強く、そのため公開データのみに基づくレビューは、その結果にバイアスを含む可能性があることがわかっていた。 研究グループは、コクラン・レビューの著者5,915人に対し、レビューの作成に当たっての未公開研究データの入手に関する質問を行った。2012年5月までに回答のあった2,184人(36.9%)について、データの入手元などの内容を分析した。回答者の76%が未公開データの入手を試み55%が実際に入手 結果、回答者の75.8%に当たる1,656人が、未公開データを入手する努力をしていた。そのうちの55.1%に当たる913人が、実際に未公開データを入手することができていた。そのうち794人の入手元について、詳細が明らかになった。データの入手元として最も多かったのは治験責任者だった(587件・73.9%)。 また、入手した未公開データ794件について尋ねた所、82.0%(651件)がレビューに用いられていた。また、半数以上の53.4%(424件)は、著者等に連絡をしてから1ヵ月以内に提供されたという。 そのようにして入手した未公開データ794件は、50.8%(403件)がサマリーデータで、20.5%(163件)が個々の患者についてのデータだった。 製薬企業から得られた未公開データは6.3%で、その入手にはより多くの時間と連絡を要したという。また規制当局からの同入手は3.0%だった。

31006.

閉塞性肺疾患の増悪に対する新たな非侵襲性バイオマーカーとなるのは?

 閉塞性肺疾患の増悪の診断において、非侵襲性バイオマーカー、とくに喀痰中のインターフェロンγ誘導タンパク(IP-10)、ネオプテリン、呼気濃縮液(Exhaled breath condensate:EBC)のpHは有用な非侵襲性バイオマーカーとなりうることが、オーストラリア ・セントビンセント病院のGeoffrey Warwick氏らによって報告された。Respirology誌オンライン版2013年3月25日号の掲載報告。  現在の気管支喘息やCOPDにおける増悪の診断法は、それぞれの病因や病態生理にほとんど光を投じていない。こうした状況の下、非侵襲性バイオマーカーが有用となる可能性がある。  本試験では、気管支喘息の増悪の既往を有する患者28人、COPDの増悪の既往を有する患者29人、呼吸器感染症を有するコントロール患者28人を対象に、呼吸器症状、EBC、誘発喀痰、CRPの分析を行った。対象患者には回復後、再び同様の検査を実施した。EBCおよび誘発喀痰中のタンパク、過酸化水素、インターフェロンγ誘導タンパク(IP-10)、ネオプテリン、IL-6、IL-8、ロイコトリエンB4(LTB4)、TNF-αの分析に加え、誘発喀痰細胞数とEBCのpHも分析した。  主な結果は以下のとおり。・EBCのpHは、増悪期の患者では回復期と比較して有意に低かった(p<0.001)。・誘発喀痰の上澄み液中のインターフェロン誘導タンパク質10(IP-10)およびネオプテリンは増悪期で有意に増加していた(それぞれ、増悪期vs 安定期:188.6 ± 102.1 vs 5.40 ± 1.28 pg/ml, p=0.006、 15.81 ± 2.50 vs 5.38 ± 0.45 nmol/L, p<0.0001)。同様に、TNF-αも有意に増加していた(137.8 ± 49.64 vs 71.56 ± 45.03 pg/ml, p=0.018)。・その他のバイオマーカーについては、増悪期と回復期で有意な差が認められなかったが、増悪期では末梢血のCRPが上昇していた。

31007.

アルツハイマー病、46.8%で不適切な薬剤が処方

 フランス・トゥールーズ大学のFrancois Montastruc氏らは、アルツハイマー病(AD)患者における潜在的に不適切な医薬品(potentially inappropriate medication:PIM)の処方実態を調べた。その結果、AD患者の2人に1人がPIMを処方されていること、そのなかでも脳血管拡張薬の頻度が多いことを報告した。そのうえで著者は、「AD患者への処方に際し、疾患特性および処方薬の薬力学/薬物動態学的プロファイルが十分に考慮されていないことも示唆された」と結論している。これまで、AD患者におけるPIMの使用に関する研究はほとんどなかった。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年4月16日号の掲載報告。 本研究は、軽度~中等度のADと診断された地域住民における、PIM処方の頻度およびそれに関連する臨床的因子を明らかにすることを目的に実施した。解析対象としたのは、専門施設で治療を受けているフランス人のADコホートを対象とした4年間の多施設共同前向き試験「REAL.FR試験」に登録された患者データ。PIMについてはLaroche listで評価し、多変量ロジスティック解析により関連する因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。・AD患者684例が試験に登録された。平均年齢は77.9 ±6.8歳、女性が486例(71.0%)であった。・Laroche listに基づくと、PIMが1回以上処方されていた患者の割合は46.8%(95%CI:43.0~50.5%)であった。・処方されていたPIMは脳血管拡張薬が最も多く、全処方の24.0%(95%CI:20.9~27.3%)を占めていた。次いで、アトロピン製剤(17.0%、95%CI:14.1~19.8%)、長時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤(8.5%、95%CI:6.4~10.6%)の順であった。・アトロピン製剤投与患者の16%にコリンエステラーゼ阻害薬の使用がみられた。・多変量解析の結果、女性(オッズ比[OR]:1.5、95%CI:1.1~2.2)と、多剤服用(5種類以上、OR: 3.6、95%CI:2.6~4.5)の2つのみがPIM処方と関連する因子であった。関連医療ニュース ・抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か? ・日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは? ・入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学

31008.

専門職や技術職である妊婦の子どもは、アトピー性皮膚炎発症リスクが増大

 専門職や技術職に就く女性は、妊娠中の仕事のストレスが高まるほどに、生まれてくる子どものアトピー性皮膚炎発症リスクが増大することが、台湾・行政院衛生署台湾医院のI.J. Wang氏らによる前向きコホート研究の結果、明らかにされた。Wang氏らは、アトピー性皮膚炎は生後間もなく発症する頻度が高く、その問題を検討する際は生命を得た早期段階でのリスク因子について考えることが重要であるとして、これまで検討されていなかった、母体の職業的曝露と子どものアトピー性皮膚炎発症との関連について調べた。British Journal of Dermatology誌2013年4月号の掲載報告。 研究グループは、多段階層別化システマティックサンプリング法を用いて、台湾のバースレジストリから2万4,200組の母子を集めた。 出産後質問票を用いて、妊娠中の母親の職業、仕事上のストレス、勤務時間、勤務シフトおよび潜在的交絡因子の情報を集め、3歳時点で家庭面談を行い、アトピー性皮膚炎発症に関する情報を評価した。多変量ロジスティック回帰分析にて、母体の就労状況とアトピー性皮膚炎の関連について検討した。 主な結果は以下のとおり。・1万9,381例の母親のうち1万1,962例(61.7%)が、妊娠中も就労していた。・妊娠中も働いていた母親から生まれた子どもは、働いていなかった母親から生まれた子どもと比べてアトピー性皮膚炎発症のリスクが増大した(オッズ比[OR]:1.38、95%CI:1.25~1.53)。・同リスクは、専門職や技術職であった母親の子どもでは、より高かった(OR:1.64、95%CI:1.44~1.87)。・また同リスクは、妊娠中の仕事上のストレスが高まるほど上昇することが認められた(傾向のp<0.01)。・アトピー性皮膚炎を有した子どもの母親は、有さなかった子どもの母親と比べて勤務時間が有意に長かった(p<0.0001)。勤務シフトについては有意な関連はみられなかった。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(93)〕 すべての非心臓手術症例でのβ遮断薬投与は必須か?

これまで心筋梗塞患者におけるβ遮断薬の投与はClass Iとされてきたが、すべての患者に投与することによる有用性は無いという報告がされるようになった。また、降圧薬としてのβ遮断薬も欧州のガイドラインからは除外された。さらに、β遮断薬間でも、心不全患者の予後改善効果に差があることがメタ解析から報告されている。  このようにβ遮断薬をめぐる種々の問題があるなかで、非心臓手術患者周術期β遮断薬投与の有効性や安全性は、現在も結論が得られていない。メタ解析やコホート研究では、周術期のβ遮断薬の有効性を示した報告も数多くあるが、現行の非心臓手術周術期の評価と治療に関するAHA/ACC(米国心臓協会/米国心臓病学会)ガイドラインでは、すでに他の疾患のためにβ遮断薬が投与されている患者に限って、周術期も継続投与すべき、とされるにとどまっている。  本研究では、米国の104の退役軍人医療センターで非心臓手術を受けた患者13万6,745例を対象に、β遮断薬の投与の有無でみた30日全死因死亡、副次的評価項目である心合併症(非致死的な心停止、Q波心筋梗塞)の発生率を調べ、後ろ向きにβ遮断薬の有効性について検討された。β遮断薬の投与は、改訂版心リスク指標(Revised Cardiac Risk Index:RCRI)のリスク因子(うっ血性心不全、心血管疾患、糖尿病、虚血性心疾患、高リスク手術、慢性腎臓病)数が増えるに従ってリスクを低下させることが示され、今後ランダム化試験が必要とされるものの、術前にRCRIを評価したうえでβ遮断薬の投与を考慮すべき、と本論文では結論付けられている。  ただ、わが国では多くの施設で術前の心疾患のスクリーニングがなされ、かつ心機能を含めた評価のうえで手術が行われている。このようにRCRI以上のリスク評価のうえで手術が行われている現状を考慮すれば、β遮断薬投与の新たな必要性が問題となることは少ないであろう。ただ、β遮断薬の投与量や薬剤の選択を含め、β遮断薬の投与の是非を検討することは今後とも必要である。

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腸内細菌叢代謝産物TMAO、心血管リスクの新たな予測因子に?/NEJM

 トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は、食事中のホスファチジルコリンが腸内細菌叢により代謝されて生成し、血中や尿中のTMAO値の上昇は主要な有害心血管イベントの予測因子となる可能性があることが、米国・クリーブランドクリニックのW.H. Wilson Tang氏らの検討で示唆された。リン脂質であるホスファチジルコリン(レシチン)は食事由来の主要なコリン供給源で、コリンは脂質代謝や細胞膜形成のほか、神経伝達物質アセチルコリン合成の前駆体など、代謝に関わるさまざまな役割を担う。同氏らは最近、動物実験で、食事由来ホスファチジルコリンのコリン部分の腸内細菌代謝と冠動脈疾患の間には、アテローム性動脈硬化を促進する代謝産物であるTMAOの産生を介する機構的な関連があることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2013年4月25日号掲載の報告。2つの前向き臨床試験で評価 研究グループは、ヒトにおける食事由来ホスファチジルコリンの腸内細菌依存性の代謝や、TMAO値と有害な心血管イベントの関連を2つのプロスペクティブな臨床試験で評価した。 第1の試験(ホスファチジルコリン負荷試験)は健常被験者40人を対象とした。ホスファチジルコリン負荷(固ゆで卵2個および重水素(d9)標識ホスファチジルコリンの摂取)を行ったのち、6人に対し広域スペクトルの経口抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシン)で腸内細菌叢を抑制する前後に、高速液体クロマトグラフィとオンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法にて血漿中および尿中のTMAO値、血漿中のコリン値とベタイン値を測定した。 第2の試験(臨床転帰試験)では、待期的診断的心臓カテーテル検査を受けた患者4,007人[無イベント群:3,494人(平均年齢62歳、男性65%)、イベント発生群:513人(68歳、62%)]が対象となった。 心臓カテーテル検査時に採取した空腹時の血液サンプルを用いて血漿中TMAO値を測定し、3年のフォローアップ期間における主要な有害心血管イベント(死亡、心筋梗塞、脳卒中)の発生との関連について検討した。高TMAO値群は心血管リスクが2倍以上に ホスファチジルコリン負荷試験では、負荷後のTMAOおよびそのd9同位体置換体の濃度が、他のコリン代謝産物と同様、時間依存性に上昇した。血漿TMAO値は抗菌薬投与後、著明に抑制され、投与を中止すると再び検出された。 臨床転帰試験では、血漿TMAO値の上昇により主要な有害心血管イベントが増加した(TMAO値の最低四分位群に対する最高四分位群のハザード比:2.54、95%信頼区間:1.96~3.28、p<0.001)。 高TMAO値は、従来のリスク因子(年齢、性別、喫煙状況、収縮期血圧など)で調整済みの主要有害心血管イベントのリスク上昇に関する有意な予測因子であった(p<0.001)。また、65歳未満、女性、冠動脈心疾患の既往なし、脂質異常なし、正常血圧、非喫煙などの低リスクのサブグループにおいても、高TMAO値は心血管リスクの有意な予後予測因子であった。 著者は、「TMAOは、食事中のホスファチジルコリンが腸内細菌叢により代謝されて生成することが示された。TMAO値の上昇は主要な有害心血管イベントの発生リスクの増大と関連する」と結論している。

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妊娠中のバルプロ酸使用、子どもの自閉症リスクが増大/JAMA

 妊娠中の母親が抗てんかん薬バルプロ酸(商品名:デパケンほか)を使用すると、子どもの自閉症スペクトラム障害および小児自閉症のリスクが上昇することが、デンマークAarhus大学病院のJakob Christensen氏らの検討で明らかとなった。妊娠中の抗てんかん薬の使用により子どもの先天性奇形や認知発達遅滞のリスクが上昇することが示されているが、他の重篤な神経心理学的異常のリスクについてはほとんど知られていないという。バルプロ酸は妊娠可能なてんかん女性にとって唯一の治療選択肢となる場合がある一方で、出生前の胎児が曝露すると自閉症のリスクが増大する可能性が指摘されていた。JAMA誌2013年4月24日号掲載の報告。出生前バルプロ酸曝露と自閉症リスクの関連をコホート試験で評価 研究グループは、出生前のバルプロ酸曝露が子どもの自閉症リスクに及ぼす影響を評価する地域住民ベースのコホート試験を実施した。 デンマークの住民登録システムのデータを用いて、1996年1月1日~2006年12月31日までにデンマークで生産児として出生したすべての新生児を調査した。母親の妊娠中にバルプロ酸に曝露した子どもおよび自閉症スペクトラム障害[小児自閉症(自閉性障害)、アスペルガー症候群、非定型自閉症、その他または特定不能の広汎性発達障害]と診断された子どもを同定した。 データはCox回帰モデルを用いて交絡因子(妊娠時の両親の年齢、両親の精神医学的病歴、妊娠期間、出生時体重、性別、先天性奇形、経産回数)の調整を行った。子どものフォローアップは出生から自閉症スペクトラム障害の診断、死亡、国外への転出、2010年12月31日のいずれかまで行った。自閉症スペクトラム障害のリスクが約3倍、小児自閉症は約5倍に 調査期間中に65万5,615例の生産児が確認され、2,067例の小児自閉症を含む5,437例の自閉症スペクトラム障害の子どもが同定された。フォローアップ終了時の子どもの平均年齢は8.84(4~14)歳だった。 14年のフォローアップが行われ、推定絶対リスクは自閉症スペクトラム障害が1.53%(95%信頼区間[CI]:1.47~1.58)、小児自閉症は0.48%(95%CI:0.46~0.51)であった。 バルプロ酸曝露小児508例における推定絶対リスクは自閉症スペクトラム障害が4.42%(95%CI:2.59~7.46)(調整ハザード比[HR]:2.9、95%CI:1.7~4.9)、小児自閉症は2.50%(95%CI:1.30~4.81)(調整HR:5.2、95%CI:2.7~10.0)であった。 てんかん女性から生まれた子ども6,584例のうち、バルプロ酸非曝露群(6,152例)の推定絶対リスクは自閉症スペクトラム障害が2.44%(95%CI:1.88~3.16)、小児自閉症は1.02%(95%CI:0.70~1.49)であったのに対し、バルプロ酸曝露群(432例)ではそれぞれ4.15%(95%CI:2.20~7.81)(調整HR:1.7、95%CI:0.9~3.2)、2.95%(95%CI:1.42~6.11)(調整HR:2.9、95%CI:1.4~6.0)と、有意な関連が認められた。 著者は、「妊娠中の母親のバルプロ酸の使用により、子どもの自閉症スペクトラム障害、小児自閉症のリスクが有意に上昇し、母親のてんかんで調整後もリスクの有意な上昇が維持されていた」とまとめ、「てんかんのコントロールにバルプロ酸を要する妊娠可能女性では、治療のベネフィットとリスクのバランスを十分に考慮する必要がある」と指摘している。

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血糖降下に影響が大きいのは?高用量BG薬 vs SU薬―DPP-4阻害薬との3剤併用療法

 シタグリプチン、高用量メトホルミン、グリメピリドの3剤併用療法のうち、血糖降下作用に大きな影響を及ぼすのはスルホニル尿素薬(SU薬)グリメピリドであるということが、あらいクリニック・新井桂子氏らにより明らかになった。著者は「このレジメンは、シタグリプチンと高用量メトホルミンの2剤併用療法では血糖コントロールが十分でない患者に有用だろう」としている。Diabetes Technology Therapy誌2013年4月15日号(オンライン版2013年3月12日号)の報告。 シタグリプチン(商品名:ジャヌビア/グラクティブ)と高用量メトホルミン(同:メトグルコほか)の承認後、SU薬との3剤併用レジメンが報告されることもあった。しかし、実臨床では、重篤な低血糖症例の発現を受けて日本糖尿病学会が発した勧告のため、SU薬の1日投与量を減量し、メトホルミンを増量することでHbA1c値を維持する傾向があった。 本研究は、オープンラベル単施設ランダム化比較試験。シタグリプチンを含む3剤併用療法において、低用量グリメピリドと高用量メトホルミンによるHbA1c値への影響を検討した。  対象は、HbA1c値7.4%未満を目標にシタグリプチン(50mg)、メトホルミン(1,000mg以上)、グリメピリド(1mg以下)の3剤併用療法を少なくとも3ヵ月間施行している2型糖尿病患者56例。対象を無作為にメトホルミン50%減量群(27例)、グリメピリド中止群(29例)に振り分け、HbA1c値への影響について比較した。 主な結果は以下のとおり。・メトホルミン減量群26例、グリメピリド中止群27例が治療を完遂した。・グリメピリド中止群のHbA1c値と血糖値は、メトホルミン減量群よりも有意に上昇した。・また、その上昇は1~3ヵ月の期間よりも2~3ヵ月間において有意であった。

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腰部脊柱管狭窄症患者のQOLと機能に及ぼす疼痛の影響が明らかに

 変性腰部脊柱管狭窄症は「症候群」として定義されており、狭窄の形態学的タイプによりどのような臨床的特徴があるかなどは十分に明らかにはなっていない。スウェーデン・ルンド大学スコーネ大学病院のSigmundsson Freyr Gauti氏らは、全国脊椎レジスター(Spine Register)のデータを解析し特徴付けを試みた。その結果、腰痛と下肢痛のどちらが主であるかにかかわりなく、腰部脊柱管狭窄症の手術前の健康関連QOL(HRQoL)および機能は低いこと、また臨床的に重要な差ではないものの腰痛と下肢痛が同程度の患者ではHRQoLと機能が有意に低いことなどを明らかにした。Spine誌オンライン版2013年4月15日の掲載報告。 本研究では、腰部脊柱管狭窄症患者における術前の下肢痛および腰痛の程度と、形態学的タイプ別にみて疼痛がQOLならびに機能にどのように関連するかについて調査することが目的であった。 対象は、スウェーデン全国脊椎レジスター(Swedish Spine Register)に登録された腰部脊柱管狭窄症患者1万4,821例であった。 疼痛の違いにより、腰痛より下肢痛が強い(腰痛<下肢痛)群、腰痛が下肢痛より強い(腰痛>下肢痛)群、腰痛と下肢痛が同程度(腰痛=下肢痛)群に分け、「中心管狭窄症」「外側陥凹狭窄症」「脊椎すべり症を伴う脊柱管狭窄症」における疼痛の特性と、下肢痛または腰痛とHRQoLおよび機能との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・疼痛部位分類で最も多かったのは「腰痛<下肢痛」群(49%)で、次いで「腰痛>下肢痛」群(39%)、「腰痛=下肢痛」群(12%)の順であった。 ・腰痛が最も強かったのは脊柱管狭窄症群(比:0.93、95%CI:0.92~0.95)、次いで中心管狭窄症群(同:0.88、0.88~0.89)で、外側陥凹狭窄症群は最も低かった(同:0.85、0.83~0.87)。・HRQoLおよび機能が最も低かったのは、「脊柱管狭窄症」の「腰痛=下肢痛」群で、55%(95%CI:50~59)の患者は100m以上歩くことができなかった。・外側陥凹狭窄症群は、自己評価による歩行距離が良好であった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(92)〕 胃食道逆流症に対する外科的手術と薬物療法(REFLUX試験)

本論文は、胃食道逆流症(GERD)の治療における薬物療法と外科的治療の有用性を比較検討したものである。研究デザインが複雑であるのが特徴で、研究デザインはRCTであるが、試験の経過観察中に実際に行われた治療法は、被験者の希望を尊重したものとなっている。すなわち、実際に外科的治療を受けたのは、当初の外科的治療割り付け群の63%および薬物療法割り付け群の13%であり、通常のRCTと異なる『partially randomised preference design』となっている。日常診療の実態に即した対処を加味した成績という点では評価されるものともいえるが、当然ながら、結果の解釈において選択バイアスによる影響が大きいことを考慮すべきである。 欧米における両治療法の評価に関して、大規模なRCT(LOTUS試験:Galmiche JP, et al. JAMA. 2011; 305: 1969-1977.)では、外科的治療と薬物治療の有用性についてはどちらもほぼ満足できるもので、手術の合併症などを考慮すると薬物療法で良い、とする内容であった。 一方、ACG(American College of Gastroenterology)のガイドライン(Katz PO, et al. Am J Gastroenterol. 2013; 108: 308-328.)では、「外科手術の副事象として運動機能障害に伴う嚥下障害や膨満感があるが、両者の有用性は同等」とされており、Cochrane Reviewでは、「外科手術の方が薬物療法よりもQOLが良いが、少数の患者では術後に嚥下障害が生じる」と意見が異なっている。このように外科的手術の有用性を検討する場合、Methodに表現できない『手術という技術力の格差』に伴うバイアスや『非盲検試験における患者の希望』が研究結果に大きな影響を及ぼす可能性に注意が必要である。 なお、日本におけるGERDに対する治療は欧米と大きく異なっている。医療経済的観点が重要視される欧米では、外科的手術が盛んになっている一方、わが国では欧米に比べて胃酸分泌能が低いこともあり、プロトンポンプ阻害薬を中心とした薬物治療が主流であり、現時点で外科的治療との比較試験は皆無である。

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Vol. 1 No. 1 ACSの治療-2次予防を考えた長期治療

大倉 宏之 氏川崎医科大学循環器内科はじめに急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)の慢性期治療には、責任病変での再発防止と非責任病変の新規発症防止、すなわち2次予防が含まれる。責任病変の再発予防には、薬剤溶出ステント(DES)による再狭窄抑制と、適切な抗血小板療法によるステント血栓症の予防が重要である。一方、非責任病変の新規発症を防ぐには、抗血小板薬を含むさまざまな薬物による長期にわたる2次予防が必要である。ACSの予後:欧米と日本の違いACS患者の予後は不良である。欧米のデータでは、その20%は1年以内に再入院し、男性の18%、40歳以上の女性の23%が死亡するとの報告がある1)。また、心筋梗塞(AMI)後の患者は退院後1年以内にその8~10%がAMIを再発するとも報告されている2)。ただ、その再発率は保有するリスクによって異なる。Finnish studyでは、糖尿病例(年率7.8%)は非糖尿病例(年率3%)と比較して心筋梗塞再発が高率であることが示されている3)。ランダム化試験のデータでは、AMIの再発率は1~5%程度とおおむねレジストリーよりも低めである。AMIに対するDESと金属ステント(BMS)を比較したランダム化試験のメタ解析によると、AMI再発はDES留置例で3.1%、BMS留置例で3.3%であった4)。日本のデータでも非ACS症例と比較すると、ACS例の予後は不良であるが(図:本誌p21参照)5, 6)、ACS発症後のAMI再発率は、日本や韓国では1%以下と欧米と比較すると低率である7, 8)。もともとAMIの発症自体が少ないことに加えて、急性期に速やかに経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)による治療がなされていることと、その後も主治医によるきめ細やかな2次予防が行われていることがその理由かもしれない。至適薬物療法によるACSの2次予防欧米では、ACSの予後は経年的に改善していることが示されている。The Global Registry of Acute Coronary Events(GRACE)レジストリーに登録されたACS患者約4万例のデータ(図:本誌p21参照)において、入院中の死亡や心不全、6か月後のAMI新規発症が2000年から2005年にかけて有意に減少していることが示された9)。これは、エビデンスに基づいた薬物治療の浸透と、急性期のPCI施行率が高くなってきた結果である(図:本誌p22参照)。ACS後の2次予防を目指した薬物療法についてはガイドラインに詳細に述べられており10-15)、β遮断薬、ACE阻害薬(またはARB)、アルドステロン阻害薬、スタチン等の有用性が示されている。これらの薬物療法が、日本の臨床の現場にどの程度浸透しており、その結果、日本人のACS患者の予後が実際に改善しているのかどうかについては今後検証すべき課題である。ACS患者では、非責任病変の血管内超音波所見によって、ハイリスク病変を予測可能との報告がなされている16)。もともとイベント発生率の低い日本人でも、同様の予測が可能であるのかについても明らかにすべきである。抗血小板薬によるACSの2次予防薬物による2次予防のうちでも、特に重要な役割を果たしているのが抗血小板療法である。表に日本、米国、欧州の各ガイドライン10-15)に記載されている抗血栓療法の推奨をまとめた(Class I、Class IIaのみ記載)(表:本誌p23参照)。アスピリンが第1選択である点はすべてのガイドラインに共通である。欧州、米国のガイドラインでは、アスピリンに加えてクロピドグレル(または他のP2Y12阻害薬)を12か月間投与することが推奨されている。日本のガイドラインにはその期間は特定されていない11)。抗血小板薬2剤併用療法の至適期間抗血小板薬2剤併用療法(dual anti-platelet therapy: DAPT)の至適投与期間は、ステントの種類(BMSかDESか)と病型(安定狭心症かACSか)により異なる。一般に、DESの場合は12か月間以上のDAPTが推奨されているが20)、至適期間についてのエビデンスは十分ではない。j-Cypherレジストリーでは、ACS例において6か月以上DAPTを継続していた例と、DAPTを6か月時点で中止していた例との間には、その後2年間のイベント発生率に差を認めなかったことが示されている5)。日本では、患者背景や病変背景を考慮した至適な抗血小板薬療法が行われていることが反映されているのかもしれない。ACSの研究ではないが、韓国からはステント留置後12か月以上イベントのなかった2,701例を、DAPT群とアスピリン単剤群にランダム化した試験が報告されている18)。2年間の観察期間中、両群間に心筋梗塞+心臓死の頻度に差はなく、ステント血栓症にも差はなかった(図:本誌p24参照)。EXCELLENT試験は、CypherもしくはXience/Promusステント留置例1,443例のDAPT期間を、6か月間と12か月間にランダム化したものである19)。12か月後のTVF(target vessel failure)や死亡もしくは心筋梗塞の発生には両群間に差を認めなかったが、ステント血栓症はDAPT6か月間群で多い傾向にあった。ただし、6か月間群のステント血栓症発症例6例中5例は6か月以内の発生であり、DAPTの期間が影響した可能性は低い。Prolonging Dual Antiplatelet Treatment after Grading Stent-induced Intimal Hyperplasia study(PRODIGY)では、ステント留置例約2,000例を対象にランダム化し、DAPTの期間を6か月間と24か月間で比較したものである。2年間の追跡期間中に全死亡+心筋梗塞+脳血管障害+ステント血栓症の頻度は6か月間群と24か月間群は同等であったが(10.0% vs. 10.1%, p=0.91)、出血は6か月間群で少なかったとの結果であった(ESC2011で報告)。The Dual Antiplatelet Therapy(DAPT)study20)は、15,000例のDES留置例と5,400例のBMS留置例を登録し、DAPTの投与期間を12か月間と30か月間にランダム化して両者を比較する大規模臨床試験である。すでに患者登録は終了し、現在フォローアップが進行中である。本邦においても、Optimal Duration of DAPT Following Treatment with Endeavor in Real-world Japanese Patients: A Prospective Multicenter Registry (OPERA) studyやNobori Dual antiplatelet therapy as appropriate duration (NIPPON) studyが現在進行中である。これらの研究にはACSも含まれており、日本人独自のエビデンスが得られるものと期待される。抗血小板薬投与と出血性合併症抗血小板薬投与に関連した問題点には出血性合併症がある。ACSに出血性合併症を発生した場合には、その長期予後は不良である21)。DAPT継続にあたっては、そのベネフィットのみならず出血のリスクも考慮せねばならない。ACSにおいて、出血のリスクが特に問題となるのが心房細動合併例である。欧州心臓病学会の心房細動ガイドライン22)では、心房細動合併例に対するステント留置術後の抗血栓療法は表のごとく推奨されている(Class IIa)(表:本誌p25参照)。注目すべき点は、塞栓症のリスクを有する心房細動例では最後的には抗血小板薬は中止し、ワルファリンのみを一生継続することが推奨されている点である。日本でも、心房細動合併ACS例に対する至適抗血栓療法をいかにすべきかは重要な検討課題である。おわりにACSの予後改善には、急性期治療に加えて、抗血小板薬を中心とした長期にわたる2次予防が重要な役割を演じている。ただし、これら多くは欧米のデータに基づいたものであるため、今後、日本人における検証はぜひとも行われるべきである。文献1)Menzin J et al. 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31017.

MTX治療乾癬患者には葉酸補充を考慮すべき

 米国・ウェイクフォレスト大学皮膚科研究センターのAmir Al-Dabagh氏らは、メトトレキサート(MTX、商品名:リウマトレックスほか)治療を受ける患者(とくに乾癬患者)の葉酸使用について検討した文献をレビューし、葉酸使用の傾向を検証した。その結果、皮膚科医による処方が少ない傾向や、葉酸の使用は文献的にはMTXの有害事象を減少させることが確認されたが、MTXの有効性を低下させるかについては不明であることなどを報告した。そのうえで「葉酸がMTXの有効性を減じる可能性を心に留めつつ、MTX治療を受ける患者には葉酸補充を考慮すべきである」と報告した。American Journal of Clinical Dermatology誌オンライン版2013年4月11日号の掲載報告 MTXは乾癬治療に効果を示すが、毒性のために使用は制限される。このMTXの有害事象減少を目的に葉酸の補充が行われており、効果を示す可能性も示唆されているが、その特徴はほとんど明らかになっていない。よって、研究グループは本検討を行った。 1989年5月1日~2012年4月1日のPubMedにて、「葉酸(folic acid、folinic acid、folate)」「補充(supplementation)」「メトトレキサート」をキーワードに文献を検索した。また、1993~2009年の全米外来医療調査(NAMCS)データベースを用いて医師のMTX使用と葉酸補充の傾向に関するデータを収集した。 解析には、MTX治療の受療者数、葉酸使用率、診断、医師の専門科、患者の人口統計学的特性などを組み込み、線形回帰分析を用いて葉酸使用の経年変化を調べた。 主な結果は以下のとおり。・解析には26試験が組み込まれた。・大半の試験が葉酸補充について多くのベネフィットを認めていたが、乾癬治療試験については7試験のみであった。・皮膚科医は、MTXを処方する最も多い専門医の一員であった。また、乾癬患者はMTX治療を受けている頻度が高かった。・葉酸補充は、本試験対象期間中に有意に増加していた(p<0.0001)。・しかし、皮膚科医の葉酸使用率は最も低く、MTX治療を受けている患者の9.1%にしか葉酸を処方していなかった。・本検討については次の限界がある。第一に、関節リウマチとは対照的に、乾癬患者におけるMTXの毒性および有効性に対する葉酸の効果を検証した文献が少ない。また、NAMCSデータは、連邦政府に雇用されていない医師の外来患者のみを対象としており、OTCの葉酸使用を記載していない医療供給者を含んでいる可能性がある。またMTXと葉酸の投与量はデータベースに記録されていない。

31018.

統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学

 これまで、統合失調症患者に対するフルボキサミン(本疾患には未承認)併用療法に関する発表がいくつか行われている。藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗精神病薬で治療中の統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法のメタ解析結果の更新を行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2013年4月21日号の報告。 著者は、これまでSepehry氏らやSingh氏らによって行われた統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法のメタ解析結果を更新した。2013年1月までのPubMed、コクランライブラリデータベース、PsycINFOを検索し、フルボキサミン併用療法群とプラセボ群を比較したランダム化試験より抽出した患者データを用い、系統的レビューとメタ解析を行った。リスク比(RR)、95%CI、標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・7件の研究(クロザピン研究2件、オランザピン研究1件、第二世代抗精神病薬単剤研究1件、第一世代抗精神病薬単剤研究3件)が同定され、対象患者272例が抽出された。・フルボキサミン併用療法は、全体的(SMD=-0.46、95%CI=-0.75~-0.16、p=0.003、I2=0%、5試験、180例)および陰性症状(SMD=-0.44、95%CI=-0.74~-0.14、p=0.004、I2=0%、5試験、180例)に対し有意な効果が認められた。・しかしながら、陽性症状、抑うつ症状、何らかの原因や有害事象による中止への有意な効果は認められなかった。・主に第二世代抗精神病薬による治療を受けていた患者において、フルボキサミン併用療法は、全体的な改善は認められたが(p=0.02)、陰性症状の改善は認められなかった(p=0.31)。・一方、主に第一世代抗精神病薬による治療を受けていた患者では、プラセボ群と比較して、全体的および陰性症状の改善が認められた(各々p=0.04、p=0.004)。関連医療ニュース ・陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は? ・統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか? ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か?

31019.

〔CLEAR! ジャーナル四天王(91)〕 IL-1の阻害は1型糖尿病患者のβ細胞機能の低下を遅らせることができるか?

この研究は、発症して間もない1型糖尿病における免疫学的機序によるβ細胞の破壊を、IL-1を阻害する2つの薬剤で防止できるかどうかを、プラセボを用いたRCT研究で検討したものである。 1つはヒト抗IL-1モノクローナル抗体のカナキヌマブ(canakinumab)の1ヵ月毎、12ヵ月の皮下注射であり、もう1つはIL-1拮抗薬であるアナキンラ(anakinra)の9ヵ月間、毎日の注射である。 いずれも、食事負荷によるインスリン反応で評価したβ細胞機能の減少を抑制することはできなかった。アナキンラの方はプラセボと比べて注射部位の皮膚反応の増加が認められている。 1型糖尿病患者は、病気の発症後もβ細胞機能、すなわちインスリン分泌が減少し、頻回のインスリン注射やインスリンポンプ治療を行っても、最終的には枯渇状態になることが多い。インスリンが枯渇すると、高血糖と低血糖を繰り返し、血糖変動が大きくなり、血糖コントロールが困難になることが多く、合併症もより起こりやすくなる。このβ細胞の破壊と機能の減少にIL-1が関与していることが考えられている。IL-1は高血糖の時に放出され、直接にインスリンの合成、放出を阻害し、β細胞のアポトーシスを誘導する。 この1型糖尿病患のβ細胞機能の減少を、抗IL-1抗体でも、IL-1拮抗薬でも防ぐことができなかったことは、β細胞の破壊の機序がIL-1などのinnate immunityだけではなく、もっと複雑であることを示していると考えられる。この研究はネガティブな結果であるが、次に進むべき2つのステップを示してくれる重要な論文である。 1つはもっと早い段階、1型糖尿病が臨床的に発症する以前、自己抗体のみが陽性の段階でIL-1阻害の治療を試みる必要があることである。もう1つは抗CD-3抗体やT細胞選択的共刺激調整薬のabetaceptが1型糖尿病患者のインスリン分泌低下を遅延させたという報告や、動物実験では抗CD-3抗体とIL-1阻害の併用により糖尿病の寛解が得られたという報告より、抗CD-3抗体と抗IL-1抗体の併用を試みる価値があることである。 2型糖尿病患者はアナキンラを投与すると血糖が改善し、インスリン分泌が増加し、β細胞機能が改善することが報告されている。したがって、1型糖尿病におけるβ細胞機能の低下には、2型糖尿病とは異なり、もっと複雑で重篤な機序が関与してことがわかる。また、最近は1型糖尿病も、劇症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病とヘテロであることがわかっている。したがって、それらの1型糖尿病の発症機序も異なっている可能性があり、将来はそれぞれ異なった免疫療法が必要となるのかもしれない。

31020.

入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学

 認知症患者の長期入院では、しばしば重篤な周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、以下BPSD)の治療が必要となる。また、重篤なBPSD患者は、長期間の入院を必要とする。大阪大学の杉山 博通氏らは、認知症病棟のよりよいリソース管理のため長期入院に関連する因子の同定を試みた。International psychogeriatrics誌オンライン版2013年4月23日号の報告。 対象は、2009年5月11日から2010年11月30日までにBPSDの治療のために、精神科病院3施設に入院した患者150例。信頼性のある親族がいる患者のみを調査に組み込んだ。著者らは、患者データ(人口統計、認知障害、日常生活活動、認知症の原因疾患、認知症の重症度、年金額)、主な介護者(人口統計、介護負担)、認知症治療年数を評価した。長期入院に関連する因子の影響を180日間フォローアップし、評価した。 主な結果は以下のとおり。・150例のうち、104例は180日以内に退院し、46例は180日以上入院した。・平均入院期間は110.4±58.1日だった。・年金の少ない患者、医師による認知症の治療年数が短い患者において入院期間が長かった(単変量および多変量Coxハザード解析)。また、その他の変数との関連は認められなかった。関連医療ニュース ・アルツハイマー病治療、学歴により疾患への対処に違いあり? ・認知症患者の興奮症状に対し、抗精神病薬をどう使う? ・抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?

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