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〔CLEAR! ジャーナル四天王(43)〕 もうひとつのeGFR算出式(CKD-EPI)を使った200万人規模のメタ解析が明らかにする『高齢者CKDはAgingに非ず』

今世紀になって、CKDが新たな心血管リスクとして注目されているのは周知のことである。CKD診療のゴールは、『健康長寿(healthy longevity)の実現』と『腎不全の回避』を両立させることにある。CKDの診断基準は、持続するeGFRの低下あるいは、アルブミン尿(蛋白尿)をはじめとする腎障害のいずれか(あるいは両方)を満たす場合とされたが、KDIGO Controversy Conferenceに代表される議論の末1)、eGFR・アルブミン尿(タンパク尿)・腎障害の原因を考慮したComposite Rankingが採用されることになった。 本論文はCKDクライテリアであるeGFRとアルブミン尿(蛋白尿)について、全死亡・末期腎不全(ESRD)に対するサロゲートマーカーとしての妥当性・正当性を、改めて検討することを主眼にしている。とくにeGFRの低下と加齢については、その独立性についての疑問が指摘されており、CKDの分類以前に、受容できる臨床リスクとしての性能や精度が問われていた背景がある。eGFRの低下は高齢者では加齢による結果であり、不可避な老化現象ではないかといった議論が根強く残っていた。本研究では、eGFRの算出にあたり、従来のModification of Diet in Renal Disease(MDRD)Study式に代わって、同じ変数を使いながら、よりリスク予測能が高いとして注目されている慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)式2)を用いていることも大きな特色である。 200万人を超える膨大なデータを解析した結果、eGFR(CKD-EPI)とアルブミン尿(蛋白尿)はともに、年齢とは独立したリスク(全死亡、ESRD)であった。一般集団・ハイリスク集団を対象とした解析から、全死亡に対するeGFRの相対リスクは、加齢とともに低下する傾向にあったが、絶対リスクは、加齢とともに増加する傾向が認められた(Figure1 A/C)。eGFRの低下は、加齢によるリスク上昇により相殺される傾向があるといえる。eGFRを標的にした治療には、年齢別にcost-effectivenessを考慮する必要がでてくるかもしれない。ESRDをエンドポイントとした解析では、アルブミン尿(蛋白尿)は、加齢に対する独立性は認められるものの、年代によるリスク差がほとんどないことが特徴であった(Figure2 B/D)。この結果は、CKDクライテリアに質的診断を加味したComposite Rankingの妥当性を裏付けているといえよう。 先行するCKD-EPI式とMDRD式によるeGFRの算出結果を比較検討した研究から、従来のMDRD式によって、低eGFRによるCKDが過大に評価されている可能性が示唆された3)。精度の足りない計測や測定法による数値に基づいた議論が、診療の最適化を目指すガイドラインを有名無実にすることがあってはならないのは、言うまでもないことであろう。

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減速バンプ通過時に感じる痛みは、急性虫垂炎の診断に有効か/BMJ

 急性虫垂炎の診断は難しく、さまざまな臨床的特徴(痛点の移動や反跳圧痛など)が評価に用いられている。なかには、痛みについて、「車道に埋め込まれた減速バンプの上を通過する際に感じた痛み」について質問する医師もいるが、この質問に関する科学的根拠は見つかっていない。英国・オックスフォード大学のHelen F Ashdown氏らは、減速バンプを通過する際に感じる痛みが、急性虫垂炎の診断精度向上に本当に役立つのかについて検証した。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月17日号)掲載「クリスマス特集」より。減速バンプ通過時の痛みの有無と虫垂炎の診断の関連 研究グループは、地域総合病院の2次医療外科診断ユニットで、当番外科医チームに虫垂炎の可能性について照会があった17~76歳の101例の患者を対象に、質問票を基にした前向き診断精度研究を行った。 主要評価項目は、標準サンプルとした虫垂炎の組織学的診断とともに、虫垂炎診断での減速バンプ通過時に感じた痛みに関する感度、特異度、陽性・陰性適中率、および陽性・陰性尤度比とした。減速バンプ通過時の痛みは有効な診断指標 解析は、病院に向かう途上で減速バンプを通過した64例を対象に行われた。 そのうち34例は虫垂炎の組織学的確定診断を受け、うち33例は減速バンプ通過時に痛みが増したと報告した。感度は97%(95%信頼区間:85~100%)、特異度は30%(同:15~49%)であり、陽性適中率は61%(同:47~74%)、陰性適中率は90%(同:56~100%)だった。陽性尤度比は1.4(同:1.1~1.8)、陰性尤度比は0.1(同:0.0~0.7)だった。 減速バンプは、痛点の移動や反跳圧痛などの他の臨床的特徴より、感度と陰性尤度比が良好であった。 Ashdown氏は、「減速バンプ上を通過した時の痛みは、急性虫垂炎の可能性が高いことと関連している。診断で一般に用いられる他の特徴的所見に匹敵する診断指標である。減速バンプ上の通過についての質問は、臨床評価に寄与する可能性があり、電話での患者評価には有用であろう」と報告した。

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長期アスピリン常用と加齢黄斑変性リスクとの関連/JAMA

 アスピリンの常用と加齢黄斑変性(AMD)発症との関連について調査した長期試験の結果、服用期間が5年では有意な関連はみられなかったが、10年では、わずかだが統計的に有意な発症遅延リスクの上昇が血管新生型AMDでみられたことを、米国・ウィスコンシン大学医学部眼科部門のBarbara E. K. Klein氏らが報告した。アスピリンは関節炎などの疼痛緩和や心保護効果があるとして広く使用されている。その使用は、眼科医にとっても関心が高いという。JAMA誌2012年12月17日号掲載報告より。5年ごと20年間の眼底検査結果とアスピリン服用有無との関連を評価Klein氏らは、アスピリンの常用とAMD発生との関連を調べる「Beaver Dam Eye Study」を行った。同試験は、ウィスコンシン州住民ベースの長期にわたる加齢性眼疾患について調査したもので、1988~1990年から2008~2010年の20年間に、検査受診が5年ごとに行われた(ベースラインを含め計5回)。 試験には、ベースライン時に43~86歳の4,926例が参加した。被験者は、その後の調査で、アスピリンを週2回以上、3ヵ月以上服用しているかを質問された。 主要評価項目は、AMD発症が早期(ターゲット受診日より6ヵ月以上前)、遅延期(ターゲット受診日後6ヵ月以降)、および遅延期の2タイプの発症(血管新生型AMD、萎縮型AMD)とした。評価は、Wisconsin Age-Related Maculopathy Grading Systemによる眼底検査に基づき行われた。10年常用とわずかだが有意な血管新生型AMD発症とが関連 平均追跡期間は14.8年だった。試験全体で、早期AMD発症は512例(6,243人・受診につき)、遅延期AMD発症は117例(8,621人・受診につき)であった。 眼底検査前のアスピリン常用が10年で、AMDの遅延期発症と有意な関連がみられた[ハザード比(HR):1.63、95%信頼区間(CI):1.01~2.63、p=0.05]。 また、アスピリン10年常用は、AMDのタイプ別にみると、血管新生型AMDとの有意な関連がみられたが(HR:2.20、95%CI:1.20~4.15、p=0.01)、萎縮型との関連はみられなかった(同:0.66、0.25~1.95、p=0.45)。 一方で、アスピリン10年常用と早期AMDとの関連はみられなかった(HR:0.86、95%CI:0.65~1.13、p=0.28)。また早期AMDは、アスピリン5年常用でも関連はみられなかった(同:0.86、0.71~1.05、p=0.13)。アスピリン5年常用は、遅延期AMDとの関連もみられなかった(同:0.91、0.57~1.46、p=0.69)。 上記の結果について著者は、確証のためのさらなる試験が必要だと述べるとともに、「もし、アスピリン常用と血管新生型AMD発症との関連が確認されたら、アスピリンを常用する、とくに心血管疾患を有する人での血管新生型AMDの予防あるいは遅延のために、原因メカニズムを明らかにし、アスピリンの影響を遮断するための手法を開発しなければならない」とまとめている。

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エパデール、スイッチOTC医薬品の製造販売承認を取得

 持田製薬は昨年12月28日、医療用医薬品として製造販売している高脂血症・閉塞性動脈硬化症治療剤「エパデール」(一般名:イコサペント酸エチル、EPA)について、同日付でスイッチOTC医薬品として製造販売承認を取得したと発表した。 今回承認されたスイッチOTC医薬品は、1包にイコサペント酸エチル600mgを含有し、健康診断等で指摘された、境界領域の中性脂肪値を改善させる内服薬である。同社が製造を行い、大正製薬株式会社が「エパデールT」、日水製薬が「エパアルテ」の製品名で販売する。 「エパデール」は、持田製薬が世界で初めて医療用医薬品として開発した高純度EPA製剤で、1990年に販売開始した。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.mochida.co.jp/news/2012/pdf/1228.pdf

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統合失調症患者の体重増加、遺伝子との関連を検証!

 いくつかの抗精神病薬による体重増加には、遺伝的要因が関与していると言われている。一般人における肥満に関連する遺伝子にFTO遺伝子がある。イギリス・クイーンズ大学ベルファストのGavin P. Reynolds氏らは、このFTO遺伝子における共通のリスク多型(rs9939609)が抗精神病薬誘発性の体重増加や肥満と関連があるかどうかを検討した。The international journal of neuropsychopharmacology / official scientific journal of the Collegium Internationale Neuropsychopharmacologicum (CINP).誌オンライン版2012年12月14日号の報告。 以下2つのサンプルを検討した。(1)初めて抗精神病薬の投与を受けた初回エピソード患者93例における体重の変動を最大12ヵ月間観察した。(2)慢性期統合失調症患者187例における肥満や代謝機能不全を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬にナイーブな患者の体重増加とFTO遺伝子との間に関連は認められなかった。・慢性期統合失調症患者では腹囲、ウエスト/ヒップ比、中心性肥満の頻度に関連づけられたBMIとFTO遺伝子との間に有意な関連が認められた。関連医療ニュース ・統合失調症患者における「多飲」その影響は? ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重を増加

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ドクター力丸の人工呼吸管理のオキテ

第1回 「その挿管、なんのため?人工呼吸管理の目的」第2回 「サチュレーション100%なら安心?酸素化の正しい評価」第3回 「PF比を使いこなせ!正しい吸入酸素濃度の設定」第4回 「PEEPを上げろ!酸素化を改善するもう一つの方法」第5回 「上げ下げ簡単、PaCO2…換気の調整の仕方」第6回 「すぐわかる動脈血ガス分析…酸塩基平衡を見極めろ!」第7回 「換気するべき?しないべき?PaCO2コントロールの考え方」コラム1 「先生、“逆転”しました!」第8回 「知れば簡単!気道内圧波形…呼吸仕事量過多を見極める(1)」第9回 「気道内圧波形に異常あり!呼吸仕事量過多を見極める(2)」コラム2 「カプノメーターを使おう!」第10回 「意外と少ない選択肢 …換気モードの設定」コラム3 「初期設定総まとめ」第11回 「特殊病態に気をつけろ! …プラトー圧とAutoPEEP」 欧米では原則トレーニングコースを修了しないと扱うことができない人工呼吸器。しかし日本では特にトレーニングを受けることもなく、「何となく」使っているのが現状なのだ。そんなお粗末な人工呼吸管理の実体に一石を投じるべく、古川力丸先生は各地で講演を行っている。そのレクチャーをアニメ化して、より理解しやすくした本番組では、分かりやすい酸素化、換気の考え方、あっという間に理解できる血ガスの読み方、他に例のない完全オリジナルな呼吸仕事量の見極め方などを、研修医とナースとの対話形式で解説している。数式だらけの呼吸生理学を学ぶ必要は一切なし!オリジナリティに溢れた講義は、初心者でも簡単に理解できる実用的な内容だが、ベテラン呼吸器科医もメモを取るほど斬新だ。人工呼吸管理に関わるすべての医療従事者必見!【収録タイトル】第1回 その挿管、なんのため?…人工呼吸管理の目的人工呼吸器をつけていた患者さんがよくなってきたんだけど、人工呼吸器から離脱していいのかどうか、よくわからない…。あるいは、人工呼吸器はずしたとたん患者さんの容体が悪化、再び挿管…。そんなことありませんか?どうしてそんなことが起るかと言えば、人工呼吸管理を始めた目的がはっきりしていないからです。人工呼吸器には4つの目的があります。どの目的で挿管され、その目的は達成されたのか?患者さんに悪化を来していた原因は除去されたのか、しっかり確認する必要があります。難しくはないけど、ついつい忘れがちなこの事実。ここでしっかり学んでください。第2回 サチュレーション100%なら安心?…酸素化の正しい評価SpO2が100%、血ガスでPaO2も十分高かった。と言うことで安心してたら、いつの間にか患者さんの容体が悪化していた…。なんてことありませんか?それは酸素化の評価が正しくできていないからです。SpO2は持続評価が可能ですがPaO2と相関するのは一定範囲内。PaO2は一日に何度も計れませんし、高濃度酸素を吸入している患者さんでは酸素化の指標になりません。それでは何を見ればいいのか? 酸素化の正しい評価の仕方を学んでください。第3回 PF比を使いこなせ!…正しい吸入酸素濃度の設定人工呼吸管理下の患者さんの酸素化に用いるPF比には、もうひとつ便利な使い方があります。FiO2を下げたときの、PaO2が予測できたり、目標のPaO2に近づけるためのFiO2を簡単に計算することができるのです。これにより、患者さんのPaO2やSpO2を適切な値に調整することができ、高濃度酸素による吸収性無気肺を避けることができるのです。計算と言っても超簡単 ! 電卓があれば数秒です。これを見て正しい吸入酸素濃度が設定できるようになってください。第4回 PEEPを上げろ!…酸素化を改善するもう一つの方法人工呼吸管理下の患者さんの酸素化を上げる方法は二つ。ひとつは吸入酸素濃度FiO2を上げる方法。そしてもうひとつが今回のお話、PEEPです。実はこのPEEP、日本の施設では、著しく低めに設定されている嫌いがあります。それは高いPEEPをかけることで、循環障害を起こす心配を考えてのことですが、しかし、不適切なPEEPにより、患者さんがARDSに陥ってしまうこともあるのです。PEEPにより、どんな効果が期待できるのか、どのくらいの値に設定すればいいのか、分かりやすく解説します。第5回 上げ下げ簡単、PaCO2…換気の調整の仕方酸素化を理解したら、今度は換気を考えられるようになりましょう。換気、つまりPaCO2を調整するだけなら難しいことはありません。しかし、異常なPaCO2の値を全て、正常値にしてしまっていいかと言うと、それはまた別の問題になります。患者さんの病態、病期、重症度など、さまざまな要素を考えなければいけないからです。まずは、換気の調整の仕方と、基本的な考え方を覚えておきましょう。第6回 すぐわかる動脈血ガス分析…酸塩基平衡を見極めろ!「ドクターだけでなく、看護師や理学療法士、人工呼吸管理に携わる全てのスタッフは、最低限の血ガスの知識を理解して欲しい」と力丸先生は力説します。そうでなければ、患者さんを危険な状態にしてしまう可能性があるからです。しかし、「血ガス」と聞いて、苦手意識に苛まれる方も多いはず。ご安心ください。力丸先生の方法なら3ステップで簡単に血ガスの酸塩基平衡を読むことができます。必須の知識を是非身に付けてください。第7回 換気するべき?しないべき?…PaCO2コントロールの考え方第5回で、「異常なPaCO2を全て正常値に戻していいわけではない」ことを学びましたが、第6回のお話で、血ガスの読み方をマスターしていれば、ほとんどの場合で、PaCO2のコントロールに迷うことはありません。実際の症例を元に、具体的にどう対応して行けばいいか、実践的な換気調整の考え方を解説します。コラム1 先生、“逆転”しました!当直の仮眠中に「先生、逆転しました!」と言ってドクターコールされた力丸先生はちょっと不機嫌。PaCO2がPaO2より大きくなってしまったことを、「逆転」と言って慌てているのですが、果たしてこの「逆転」に意味はあるのでしょうか? 酸素化と換気が分かってきた皆さんなら、もう分かりますね。「逆転」恐るるに足らず、です!   第8回 知れば簡単!気道内圧波形…呼吸仕事量過多を見極める①人工呼吸管理の4つの目的のうち、「呼吸仕事量の軽減」は、臨床現場でもっとも曖昧に捉えられています。「患者さんが苦しそうだから挿管しちゃったけど、何が問題だったの?」そんなことがないように、呼吸仕事量過多の原因をしっかり把握できるようになりましょう。そのために理解しなければいけないのが人工呼吸器の気道内圧波形。難しい理論はいりません、波形のパターンを覚えるだけですぐに呼吸仕事量過多の原因がわかります!第9回 気道内圧波形に異常あり!…呼吸仕事量過多を見極める②呼吸仕事量過多の原因は、気道内圧波形から、「気道抵抗の上昇」、「コンプライアンスの低下」、「呼吸回数の増加」の3つのいずれかであることがわかります。では、それぞれに、どのような対応をすればいいのでしょう。原因となる疾患、病態はたくさんあって覚えるのは大変ですが、分類して考えれば難しくありません。人工呼吸器を使いこなすだけでなく、患者さんを悪くしている原因をアセスメントして、除去することができて初めて一人前です!コラム2 カプノメーターを使おう!ICUや手術の現場ではよく使われるカプノメーター。これを一般的な人工呼吸管理で使うことで、いくつかのメリットがあります。ACLSでも推奨されているカプノメーターの使用について、詳しく解説します。第10回 意外と少ない選択肢…換気モードの設定古川先生が講演会などで一番よく受ける質問が「換気モードは何を使ったらいいんですか?」だそうです。確かに換気モードの選択には頭を悩ませることがありますが、実はそれほど選択肢は多くありません。考え方も至って簡単。アシストコントロールとSIMV、PCVとVCVの違いを理解して、モードをきちんと選択できるようになりましょう。コラム3 初期設定総まとめこれまでの学習で、基本的な知識は習得できたはず。でも、いざ、人工呼吸器を設定するとなると腰が引けちゃいますよね。今回は、人工呼吸器の初期設定から、その後の調整までの流れを解説。これだけ覚えておけば、人工呼吸管理がすぐに始められます。第11回 特殊病態に気をつけろ!…プラトー圧とAutoPEEP人工呼吸器は患者さんの呼吸を助け、その命をつなぎ止める重要な医療機器ですが、使い方を間違えると逆に患者さんを傷つけてしまうことがあります。そうならないように最後に二つの注意点を学んでください。拘束性肺障害での高いプラトー圧、閉塞性肺障害でのAutoPEEPは危険な病態ですが、きちんと学んでいれば恐れることはありません。

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Dr.香坂の循環器診療 最前線

第1回「心房細動はどこを治療する?」第2回「狭心症の診断と治療」第3回「心不全は見た目ではない」 絶えず進歩し続けるダイナミックな循環器領域。その診断・治療法について最新の研究結果をカバーしながら、疾患概念の本質(コア)を押さえるお手伝いをします。様々な検査や治療方法がからんでくる循環器は一見複雑ですが、派手な所見や手技に目を奪われず、その患者さんにとって一番大事なポイントを押さえることが肝要です。豊富なエビデンスとリサーチをもとに、臨床の現場ですぐに役立つ情報を基本から分かりやすく解説。実際の処方例や検査のアプローチの仕方を見直しながら、視野を広げて、着実にステップアップしていきましょう!第1回「心房細動はどこを治療する?」心房細動のポイントはまず“やり過ぎない”こと。そして、リスクを知った上で最大限効果を挙げられる治療法を選ぶことです。「心房細動はすべて敵だ!」というような、一昔前の考え方を捨て、どの人にどのような手段を選んでいくのか、テーラーメードな治療の選択を目指しましょう。第2回「徹底的にエビデンスにこだわった狭心症の診断と治療」ダイナミック(動的)な疾患、安定狭心症。そのワークアップは安静時の症状や心電図だけで語ることはできません。負荷試験を組み合わせ、さらに診断と予後の情報を分けて考えていきましょう。その治療も PCI なのか CABG なのか、という二択ではなく、より立体的にとらえる必要があります。このセッションを通じて狭心症のマネジメントの枠を広げましょう。第3回「心不全は見た目ではない」治療は見た目ではない: ラシックスの一辺倒は時代遅れ?予後は見た目ではない: 心臓は全身から支えられている機能は見た目ではない: 心機能が落ちていないのに心不全?『EF』よりもだいじなもの

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【寄稿】トピックス「舌下免疫療法」

概説花粉症を含むアレルギー性鼻炎はI型アレルギーであり、その治療の基本はアレルゲンの除去、回避である。しかし完全に行うことは不可能であり、エビデンスも少なくARIA(Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma)ガイドラインでは推奨度Dである1)。このため、抗原特異的治療としてアレルゲン免疫療法(SCIT)が唯一、アレルギー疾患に対する根本的な治療法であり、治癒させうる治療法である。SCITは1911年にNoonが初めて行って以来2)、現在まで続いている。国際的にSCITはアレルギー専門医になくてはならない治療法であり、高い効果が示されている。しかし、アナフィラキシーをはじめとする種々の全身的副作用のため、本邦では一般的治療法にはなっていないのが現状である。このSCITの副作用を減少させるため、欧米では抗原投与ルートを変更させた代替免疫療法(局所アレルゲン免疫療法)がかなり以前より行われている。その中で最も注目を浴びているのが舌下免疫療法(SLIT)であり、1990年に初めてTariらによって報告された3)。日本では2000年より日本医科大学耳鼻咽喉科により臨床試験が行われ、2010年からスギ花粉症に対し、2012年からダニ通年性アレルギー性鼻炎、喘息に対して開発治験が始められた。理論・機序SLITの効果発現機序では局所の免疫誘導が最も考えやすいが、現在まで効果発現機序の検討は少ない。1999年のSLIT開始早期での末梢血単核細胞(PBMC)の活性化は、少なくとも舌下した抗原の免疫誘導が全身に生じたことを示している。またSCITでの報告と同じく、全身性の制御性T 細胞がその有効性を左右していると考えられている4)。現在まで千葉大学のグループのスギ花粉症に対する臨床効果もほぼ同等であるが、効果発現機序としてスギ特異的T細胞クローンの減少を報告している5)。また、日本医科大学と三重大学グループの試験では、SLITにおいても誘導性制御性T細胞Tr1が誘導され、SLITの効果発現機序の根幹であることが示唆された6)。今後、症例数を増加させた同様の検討あるいは局所リンパ節などの検討から、SLITの効果発現機序をさらに明らかにしなければならない。実際の方法・手技・対象1 SLITの方法国際的な報告を受け、日本特有のスギ花粉症に対してSLITを適応させるべく、2000年より日本医科大学倫理委員会の承認を受け、SLITをスギ花粉症患者に対して行った7)。2 投与スケジュール投与スケジュールは、1週目から4週目までは毎日、5週目では最高濃度20滴を1週間のうち2回、6週目以降は季節を通じて1週間に1回、抗原エキス2,000 JAU/mLを20滴舌下に投薬した(表1)。これは国際的に初めてSLITを開始したフランスのStallergenesの液剤プロトコールであり、当時としては標準的なものである。しかし、現在治験が行われているスギ花粉症に対するSLIT治験TO-194SLでは開始濃度は200JAU/mLであり、また投与は最後まで毎日行うスケジュールとなっている。表1 抗原エキス舌下投与スケジュール画像を拡大する成績および長期予後<スギ花粉症に対するSLITの効果>2005年には、スギ・ヒノキ花粉飛散は約12,000個/cm2/シーズンと大量飛散の年であった。今までのランダム化されていない比較研究ではなく、エビデンスの作成として56症例(実薬35症例、プラセボ21症例)でのプラセボ対照の二重盲検比較試験(RCT)を行った。今までの薬物療法との比較研究では、症状スコアではSLITは薬物療法と有意差がなかったが、症状薬物スコアではSLIT群が有意に低く、薬物療法より効果を示していた。2005年のRCTでは、国際的な評価を得ているSLITがスギ花粉症においてもプラセボより有意に症状スコア(図1)、QOLスコア(図2)を下げたことが示された8)。図1 症状スコアの推移画像を拡大する図2 QOLスコアの変化画像を拡大する長期予後はまだまだデータが少ないが、施行後3年の症状軽快を示すデータ、他の抗原感作を抑制するというSCITと同じようなデータが出つつある9)。今後、さらに長期予後のデータを収集しなければならない。注意事項副作用は少数であるが確認された。もちろん、重篤なアナフィラキシーや喘息発作はないが、抗原投与時の舌や口腔の痒み・しびれ感、鼻汁増加、皮膚の痒み、蕁麻疹が合わせて10%程度の頻度で認められた(図3)。また口腔底の腫脹は通常では認められない高度のものも存在し、その場合の施行継続/休止/停止などの決定にはアレルギー診療での対処が求められる。今回の症例数は少なく絶対的な安全性の根拠にはならないが、過去の国際的な報告も併せ、注射との実際的な関係を考えても高度な副作用は少ないことが示唆される。図3 口腔底の腫脹展望と今後の方向性欧米ではすでにこの舌下免疫療法が一般的な治療となっていて、フランスのStallergenes、デンマークのALK ABELLOなどすでに製剤としてのSLIT製品があり、その一般臨床への応用が各国で始まっている。日本における開発は、日本アレルギー学会の「アレルゲンと免疫療法専門部会」(部会長:増山敬祐)のもとで始まっている。日本での抗原製品の作成としては、先に述べたスギ花粉症に対する舌下用抗原エキスの開発が鳥居薬品により進められ、評価最終年が2012年であった。薬価収載は2013年秋以降になると予想されている(編集部注:2012年12月25日承認申請)。また、検討会でも海外での製材導入が検討されたが、StallergenesとALK ABELLOの舌下用ダニ抗原エキスが日本企業と連携し、開発を進めることが決定され、臨床試験が2012年秋から開始される予定である。日本ではまだまだ施行例が少なく、重篤な副作用はないが、施行にあたってはアレルギー学、免疫学の知識が不可欠であり、使用を試みる医師に対しての勉強会・講習会などの開催が必要だと考える。引用文献1) ARIA Workshop Group. A Allergy Clin Immunol. 2001;108:s147-s334.2)Noon L. Lancet. 1911;1:1572-1574.3)Tari MG, et al. Allergol Immunopathol (Madr). 1990;18:277-284.4)Ciprandi G, et al. Allergy Asthma Proc. 2007;28:574-577.5)Horiguchi S, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2008;146:76-84.6)Yamanaka K, et al. J Allergy Clin Immunol. 2009;124:842-845.7)Gotoh M, et al. Allergol Int. 2005;54:167-171.8)Okubo K, et al. Allergol Int. 2008;57:265-275.9)Di Rienzo V, et al. Clin Exp Allergy. 2003;33:206-210.

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世界の疾病負担、死亡率は低下するも健康寿命は国によって大きな差:GBD2010/Lancet

 1990~2010年の20年間の世界の疾病負担の状況は、死亡率の抑制には実質的な進展がみられたものの、非致死的疾患や傷病の発生はほとんど低下しておらず、健康寿命(healthy life expectancy:HALE)は国によって大きな差があることが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のJoshua A Salomon氏らの検討で示された。疾病負担については、1)医学的介入によって疾患による致死率は低下するが発生率は抑制されないため有病率が上昇するとの説[有病状態の拡大(expansion of morbidity)]と、2)死亡率が低下すると予防により慢性疾患の発症年齢が上昇し身体機能障害をともなう罹病期間が短縮するとの説[有病状態の圧縮(compression of morbidity)]があるが、これらの仮説は将来の保健医療計画や医療コストに大きな影響を及ぼすとされる。そのため適切な評価が重要な課題とされ、HALEは有用な指標となる可能性があるという。Lancet誌2012年12月15・22・29日合併号掲載の報告。1990年、2010年のHELAおよび20年間の変動を評価 研究グループは、Global Burden of Disease Study 2010(GBD2010)のデータを用いて、世界187ヵ国の1990年および2010年のHALEと、20年間の変動を明らかにすることを目的に系統的な解析を行った。 HALEは、1971年にDaniel Sullivanが提唱した概念を発展的に継承した集団の健康状態に関する集約的な単一指標で、年齢階層別の死亡率、罹患率、身体機能障害を考慮した良好な健康状態での生存年数である。 GDB2010のデータには、年齢階層別の死亡率や1,160の非致死的疾患の有病率、これらの疾患に関連する220の健康状態について重み付けされた身体機能障害などに関する情報が含まれる。モンテカルロ・シミュレーション法で重複疾患を調整した年齢階層別の健康状態の平均値を算出し、Sullivan法による生命表を用いて性別、国別、年別のHALEの推定値を算定した。男女とも日本が最上位、「有病状態の拡大」仮説と一致する結果 2010年の世界の男性の出生時HALEは58.3歳、女性は61.8歳であった。1990~2010年の20年間において、平均余命に比べてHALEの延長は短く、出生時平均余命の1年の延長で予測されるHALEの延長は男性が0.84年、女性は0.81年だった。 2010年の国別の出生時HALEは、男性ではハイチの27.9歳が最も低く、最高は日本の68.8歳で、女性では同じくハイチが37.1歳と最低で、日本の71.7歳が最も高かった。1990~2010年までに出生時HALEが5歳以上延長した国は男性が42ヵ国、女性は37ヵ国で、逆にHALEが短縮した国は男性21ヵ国、女性11ヵ国だった。 国別および経時的な平均余命は、障害で失われた健康な生存年数と強い正の相関を示した。この関連性は、男性および女性、横断的解析、縦断的解析、出生時、50歳時にも一貫して認められた。身体機能の障害は、死亡に比べればHALEに及ぼす影響が小さかった。 著者は、「HALEには国によって大きな差がみられた。ほとんどの国では、平均余命の延長に伴い障害で失われた健康な生存年数も延長しており、『有病状態の拡大』仮説との一致が確認された。20年間で死亡率の抑制には実質的な進展がみられたものの、非致死的疾患や傷病の発生はほとんど低下していなかった」とまとめ、「HALEは、2015年以降の世界の健康状態のモニタリングにおいても興味深い指標である」としている。

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調理済み食品vs.鉄人レシピ、栄養価に優れ健康的なのは?/BMJ

 英国・ニューカッスル大学のSimon Howard氏らは、テレビで人気シェフが考案し提案する家庭料理レシピと、スーパーマーケットで売られている調理済み食品(レディーミール)について、エネルギー量や各栄養素の含有量などを調べ、WHOと英国食品基準庁(FSA)が推奨している栄養ガイドラインと照らし合わせ比較する横断研究を行った。テレビで紹介される家庭料理は、各種スタディの被験者も「料理の参考にしている」と回答し、次々とレシピ本がつくられ売れていることからも、多くの人の食生活に影響を与えていると思われる。しかし、その影響の程度は明らかとはなっていない。また、スーパーマーケットで売られている調理済み食品も、食事の選択肢として多くの人が利用するが、その定義は曖昧であり、包括的な栄養学的調査は行われていなかったという。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月17日号)掲載「クリスマス特集」より。人気シェフのレシピ100とスーパーの調理済み食品100を比較 研究は、英国食料品市場シェアの大部分を占める3つのスーパーマーケットの自社ブランド・調理済み食品100品目(2010年)と、著名シェフ4人による5冊のベストセラー料理本から主要レシピ100を選び行われた。 主要評価項目は、栄養成分がWHO勧告(慢性疾患を食事で予防することを目的とした内容)に準じているメニューの数、およびFSAが食品表示(フードラベル)に用いている「トラフィック・ライト」[食品の脂肪、飽和脂肪、糖質、塩分の含有量を“交通信号”の赤(高い)、黄(中程度)、緑(低い)で表示]で階層化した栄養成分の比率とした。シェフのレシピのほうが不健康、エネルギー、蛋白質、脂肪、飽和脂肪酸が多い シェフのレシピも調理済み食品も、WHO勧告にはまったく準じていなかった。それでも調理済み食品では、炭水化物由来のエネルギー量(18%対6%、p=0.01)、糖質(83%対81%、p=0.05)、食物繊維(56%対14%、p<0.01)について、推奨値により近かった。シェフのレシピは、塩分(36%対4%、p<0.01)について推奨値に近かったが、調味料に用いられている塩分は評価に含まれなかった。 FSAのフードラベルによる分類の結果は両者で大きく異なった。シェフのレシピでは、貼られたラベルのうち赤信号ラベルだった割合が47%を、調理済み食品では緑信号ラベルが42%を占めた。 全体的には、シェフのレシピは調理済み食品より、エネルギー量(2,530kJ対2,067kJ)、蛋白質(37.5g対27.9g)、脂肪(27.1g対17.2g)、飽和脂肪(9.2g対6.8g)が有意に多く(すべてp<0.01)、食物繊維は有意に少なかった(3.3g対6.5g、p<0.01)(比較はすべて1人前当たり量)。 英国では、「脂肪」「糖質」「塩分」が高い食品CMは、子ども向けテレビ番組中での放送が禁止されており、午後9時まですべてを禁止とすべきとの意見もあるという。著者は、シェフのレシピ本の大半には栄養成分表示がなされておらず、テレビで実演する場合もすべて表示をするというような規制が必要なのではないかと提案。また、「医師が患者に食生活改善の指示をする場合は注意が必要である。きめ細かな栄養面のアドバイスでは、レディミールではなく食事は一からつくるという推奨が必要である」とまとめている。

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家族性のがんリスクに関する検討/BMJ

 がんの家族性リスクが早期発症例に限定されるかどうかを判断するため、ドイツがん研究センターのE Kharazmi氏らは、全国規模のSwedish Family-Cancer Databaseを用いて前向きコホート研究を実施した。その結果、「子」のがんリスクが最も高くなるのは「親」が若い年齢で同一がんが診断された場合だが、「親」が高齢で診断された場合においてもリスクが増加することが認められた。著者は、「家族性のがんは、高齢でがんに罹患した家族を持つ人々における早期発症をいうのではなく、早期発症と遅発性発症という別個の構成要素があるのかもしれない」と考察している。BMJ誌2012年12月20日号に掲載。 本研究の対象は、1931年以降に生まれたすべてのスウェーデン人とその両親の計1,220万人で、主なアウトカムは診断時の年齢による同一がんの家族性リスクであった。 主な結果は以下のとおり。・「親」が若い(40歳未満)ときにがんと診断された場合に、家族性リスクが最も高かった。・「親」が高齢(70~79歳、80~89歳)で診断された場合でも、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、黒色腫、皮膚扁平上皮がん、非ホジキンリンパ腫では、家族性リスクが有意に増加した。・「親」がより高齢(90歳以上)で診断された場合でも、「子」における同一がんのリスクは、皮膚扁平上皮がん(ハザード比:1.9、95%信頼区間:1.4~2.7)、大腸がん(同1.6、同1.2~2.0)、乳がん(同1.3、同1.0~1.6)、前立腺がん(同1.3、同1.1~1.6)で有意に増加した。・「親」が50歳未満でがんに罹患し、「子」が60~76歳でがんと診断された場合は、ほぼすべてのがんで家族性リスクの有意な増加はみられなかった。

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いち早く欧米化が進んだ沖縄県。今、脳卒中発生率は増加?減少?日本の未来を暗示!?:宮古島研究

 沖縄県宮古島において、2002~2005年の血圧値が1988~1991年より有意に低値であったにもかかわらず、初発脳卒中およびすべての脳卒中病型の発生率に有意な変化を認めなかったことが、琉球大学大学院 洲鎌 千賀子氏らにより報告された。また、脳梗塞発生率の上昇傾向には、代謝異常が関連していると推測した。Journal of stroke and cerebrovascular diseases誌オンライン版2012年11月2日付の報告。 沖縄では、心血管疾患リスク因子のコントロールが急速に悪化している。とくに肥満の悪化は顕著である。このことが、脳卒中を含む心血管疾患の発生率に影響を及ぼす可能性がある。 宮古島の住民を対象に、1988年から1991年を第1期、2002年から2005年を第2期として、横断的研究が実施された。対象者の心血管リスク因子は、1987年時と2001年時の健康診断データを用いて評価された。 主な結果は以下のとおり。・初発脳卒中は、第1期で257人、第2期で370人に認めた。・日本の標準人口10万人あたりの初発脳卒中の年齢調整年間発生率は、第1期で124人、第2期で144人であった。・脳梗塞の年齢調整年間発生率は上昇傾向(第1期:50、第2期:73)、脳出血は減少傾向(第1期:61、第2期:54)を認めたが、有意ではなかった。・血圧値は、全年齢層において第2期の方が低かった。・50歳以上のBMI値は、第2期の方が高かった。・30~79歳の空腹時血糖値と、50~79歳のnon-HDLコレステロール値は第2期で有意に上昇した。

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有棘細胞がん、ケラトアカントーマをダーモスコピーで見分けるコツ

 有棘細胞がん(SCC)とケラトアカントーマを、ダーモスコピーによって他の非着色皮膚病変と見分けるには、ホワイトサークル、ケラチン、出血斑が手掛かりとなることを、Cliff Rosendahl氏らがオーストラリアのプライマリ・ケア設定での試験の結果、報告した。Archives of Dermatology誌2012年12月号(オンライン版2012年9月21日号)の掲載報告。 研究グループは、有棘細胞がん、ケラトアカントーマを、他の病変と比較し、ダーモスコピーによる診断基準の特徴を明らかにすることを目的とした。オーストラリア・ブリスベンのプライマリ・ケアにおける皮膚がん診療において、2011年3月1日~12月31日の間、連続病変の診断試験を観察者非盲検にて行った。主要評価項目は、感度、特異度、適中率、オッズ比とした。 主な結果は以下のとおり。・患者186例、206病変を対象とした。・浸潤性SCC60例とケラトアカントーマ43例のレトロスペクティブな解析の結果、両病変タイプでは、ケラチン、皮膚表面スケール、出血斑、白色領域、ホワイトサークル、コイル状の血管(coiled vessels)が、共通して認められた。・これらの診断的特徴の有意性について、206例の非着色隆起病変(SCC 32例、ケラトアカントーマ29例、その他145例)で再評価した。・中心部ケラチンは、SCCよりもケラトアカントーマのほうが、より共通してみられた(51.2%vs. 30.0%、p=0.03)。・ケラトアカントーマとSCCについて、最も感度が高かったのはケラチンであった(79%)。また特異度が最も高かったのはホワイトサークルであった(87%)。・ケラトアカントーマとSCCを基底細胞がんと対比させた場合、ケラチンによる陽性適中率は92%、ホワイトサークルでは89%であった。・日光角化症とボーエン病と対比させた場合、陽性適中率は、ケラチンは50%、ホワイトサークルは92%であった。・多変量モデルにおいて、ホワイトサークル、ケラチン、出血斑は、SCCとケラトアカントーマの独立予測因子であった。・SCCとケラトアカントーマであることを支持する最も高いオッズ比を示したのは、ホワイトサークルであった。観察者間のホワイトサークルについての合意は良好であった(0.55:95%CI:0.44~0.65)。・本試験で得られた診断の有意性は、臨床に依拠したものである。

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雪下ろしによる転落外傷、記録的な大雪に見舞われた2010年冬からの教訓

 2010年冬にフィンランドでは記録的な大雪に見舞われ、とくに南部地方で雪下ろしのために屋根に上った人の転落外傷が例年にない規模で発生したという。ヘルシンキ大学病院のM. Aulanko氏らは、その発生状況と大学病院で行われた処置およびコストなどについて解析した。Scandinavian Journal of Surgery誌2012年第4号12月15日号の掲載報告。 本研究は、ヘルシンキ大学病院外傷診療部門で治療を受けた、突発的な転落により外傷を負った患者の外傷パターン、院内治療、外科手術、および主要な入院総コストを調べることを目的とした。 同部門で2010年1月1日~3月31日の間に治療を受けた、雪下ろしで転落し外傷を負った患者をすべ登録した。年齢、性別、可能な限り飲酒の影響、安全ベルトの有無、転落した高さ、職業などが記録された。また、外傷発生の時間帯、場所、入院遅延、外傷状態、手術、ICU入室期間および入院期間もレトロスペクティブに調べた。 コストについては、6月末までのアフターケアも含めた分について検証した(仕事への影響、リハビリテーション治療などのコストは除外した)。 主な結果は以下のとおり。・屋根から転落したのは30例(65%)であり、12例ははしごからの転落であった。・屋根から転落したが、安全ベルトで地面への激突を免れた人は3例であった。・アルコールの影響が認められた人は2例であった。・調査期間の3ヵ月間に入院した患者は、46例であった。そのうち41例(89%)は2月に起きた事故であった。・大半は男性(43例、93%)であり、平均年齢は52.9歳(範囲:22~82歳)であった。・ICUに入院となったのは7例であった。平均入室期間は7日であった。・平均入院期間は4.7日であった。30日死亡率は0%であった。・46例の外傷総数は97件であり、そのうち骨折は65件(63%)であった。最も頻度の高い外傷は、上下肢と脊柱の骨折であった。・調査対象となった大学病院での治療コストは、総計約54万ユーロであり、患者1人当たり約1万2,300ユーロであった。・結果を踏まえて著者は、「同様の不必要な転落を防止するためには、外傷リスクを理解するとともに除雪の必要性についてプロフェッショナルの意見を求めることが重要である。必要であれば、適切な安全ベルトを着用すること、専門業者の助けを借りることが望ましい」とまとめている。

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抗精神病薬投与前に予後予測は可能か?

 抗精神病薬処方に際し、効果や副作用を事前に予測することができるのであろうか。Eric D A Hermes氏らは、第二世代抗精神病薬の選択時に、医療関係者が心血管疾患のリスクを予測できるかを検証した。Psychiatric services (Washington, D.C.)誌オンライン版2012年12月15日号の報告。 本試験はアカデミック・ディテーリングの一環として、2007年10月~2009年5月に行われた。単一の退役軍人医療センターのすべての精神科医療関係者を対象に、第二世代抗精神病薬による新規処方を行ったすべての患者について調査を完了した。調査では、処方薬、患者の社会人口学的データ、精神疾患および併存疾患の診断、処方理由を記述した。肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病と心血管疾患や心血管代謝レベルに応じた抗精神病薬の選択との関係を評価した。 主な結果は以下のとおり。・259名の医療関係者から2,613件のデータが集積された。・心血管代謝リスクの高いオランザピン、中等度のクエチアピン、リスペリドン、これら3剤の処方箋は全体の79%を占めた。・第二世代抗精神病薬の処方は肥満、脂質異常症、糖尿病との間に有意な相関が認められたが(p<0.001)、高血圧、心血管疾患との相関は認められなかった。・オランザピンの投与は、心血管疾患の既往がない患者より、既往のある患者において処方割合がわずかに少なかった(平均4%)。・心血管代謝リスクが低いかほとんどないアリピプラゾールを投与された患者の割合は、心血管代謝疾患既往患者で一貫して高かった(平均2%)。 ・医療関係者による統計学的に有意な心血管代謝リスクについてのセンシティビティの存在が明らかになったが、このセンシティビティは強力ではなく統計学的に一様に有意でもなかった。・治療決定を行う際、薬剤のリスクに関する多くの情報を収集しておくことで、ケアの質を向上させることができると考えられる。関連医療ニュース ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用

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聖路加GENERAL 【Dr.石松の帰してはいけない患者症例】

1.「頭痛篇」2.「胸痛篇」 1.「頭痛篇」さまざまな症状で救急に来る患者さん。最も重要なのは、緊急性の判断です。緊急性の高い疾患を見逃して、帰してしまうようなことだけは避けなければなりません。問診、身体所見、必要な検査を迅速に行い、疾患の鑑別を行いますが、判断の難しいケース、ときには緊急性なしと判断されてしまう場合もあります。比較的よくみられる症例をとおして「帰してはいけない」緊急性が高い疾患の見分け方を解説します。【症例1】3カ月前から、バンドで締め付けるような頭痛が徐々に発生した55歳の女性。【症例2】会議中に突然頭痛が発症し、嘔吐を伴い痛みが持続している52歳女性。この2つの症例から緊急性の有無を見極めるには、まず"OPQRST"チェックを行います。その結果、2例目はとても危険度の高い症例であることがわかり、無事に治療を受けることができました。その極意をお伝えします。【症例3】ランニング中に頭痛と嘔気を催した34歳の男性。頭痛は改善せず6日間持続し、さらに増悪したため来院しました。まずは前回お伝えした"OPQRST"でチェックすると、「頭痛が6日間継続し、かなり激しい痛みにまで増悪した」ことから、危険な疾患が予測されました。しかし、身体所見をみると、ほとんど異常がみられません。どうやら、典型的なものではないようですが、どのようにアプローチするのでしょうか?【症例4】嘔吐、羞明、右半身筋力低下という随伴症状のある25歳女性。これは、もちろん片頭痛として帰すわけにはいきません。しかしCTとMRIを施行しましたが、異常な所見はありませんでした。この症例、どのように診断したのでしょうか?頭痛の診断に役に立つチェックリスト"OPQRST"について、さらに詳しく解説します。2.「胸痛篇」胸痛で救急対応といえば、ACSなど危険な疾患を迅速に鑑別しなければなりません。【症例1】一週間前から胸痛が断続的に続く79歳の女性。早速痛みのチェックリスト“OPQRST”でチェックすると、「ACSなどの危険な疾患はない」と判断されました。また血液、心電図、CXRを検査しても異常は認められません。さて、どんな診断がくだされるのでしょうか。【症例2】ビールを飲んで締め付けられるような胸痛を発症した50歳の男性。肥満、高血圧、不整脈、脂質異常、喫煙とリスクファクターがずらりと揃っています。前例のGERDにもあてはまりそうですが、まずはリスクの高いところから評価をしていきます。ところが、血液、心電図とも特にACSを疑う所見は出てきません。さて、危険な疾患がみつかりそうなこの患者にどのようにアプローチしたのでしょうか。聖路加GENERALでお伝えした、「狭心症3つの質問」などを交えて展開します。【症例3】仕事中に、突然胸が苦しくなり意識を失った54歳の男性。またもやACS ? しかし、血液検査でも心電図でも異常がみつかりません。次に局所症状があったことから、頭部CTを撮りましたが、こちらも異常所見はありませんでした。異常が見つかったのは胸部単純写真からでした。左第一弓が突出していることから、大動脈造影CTを撮影したところ、明らかな解離がみられました。【症例4】背部痛と嘔気のある56歳の女性。夜中に痛みを発症し、痛み止めを飲んでも効果がないため救急来院。身体所見では、既往の高血圧以外は特に異常はみられませんでした。このような場合はOPQRSTで病歴を再度チェック!その結果、先ほどと同じ大動脈解離も鑑別にあがります。さて、この背部痛はどうだったのでしょうか。

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聖路加GENERAL【Dr.衛藤の皮膚科疾患アーカイブ】(上巻)

第1回「蕁麻疹」第2回「アトピー性皮膚炎」第3回「痛い皮膚疾患①-感染症-」第4回「痛い皮膚疾患②-炎症-」 第1回「蕁麻疹」皮膚疾患は“痒い”“痛い”“症状がない”のどれかに分類されますが、「蕁麻疹」や「アトピー性皮膚炎」には日常診療でよく遭遇する反面、専門医でないと鑑別の難しい、一見症状が似ている重症疾患が隠れている場合があり、それらを見分けることが重要になります。豊富な症例をとおして、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎と重症疾患との見分け方、診断と治療、ステロイド等薬剤の使い方、専門医へ送る判断基準などを解説します。最初の症例は、仕事が忙しく、数ヶ月寝不足が続いている32歳の女性。全身に瘙痒性皮疹が出現。蕁麻疹の原因は、ストレス、疲労、物理的な刺激など、非アレルギー性の因子によるものが多いことがわかっています。蕁麻疹は、マスト細胞がなんらかの刺激によりヒスタミンを出すことで発症します。なにがその刺激の原因になるのか、またそのヒスタミンによってどのような症状として現れるかはさまざまです。急性のもの、皮膚描記症、薬剤性蕁麻疹、蕁麻疹様血管炎などについて、具体的な症例を提示しながら紹介します。また、近年話題になった茶のしずく石鹸による小麦アレルギーについても解説します。第2回「アトピー性皮膚炎」アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下することで発症すると考えられています。近年、そのバリア機能に関係するタンパク質として、フィラグリンが注目されています。また、症状の程度を表す指標として、最近用いられるようになったTARC検査について紹介します。アトピー性皮膚炎の中には、バリア機能が正常なものもあります。また、治療に使うステロイド薬が原因で皮膚炎を起こすようなケースもあります。他に、類似した痒い疾患として、小児にみられる脂漏性皮膚炎、疥癬や、菌状息肉症などの怖い疾患との鑑別についても解説します。また、ステロイド軟膏の塗り方など基本的なことについても紹介します。第3回「痛い皮膚疾患①-感染症-」今回から「痛い」疾患について解説します。痛い皮膚疾患は、まず感染症を考えます。最初の症例は、38歳の男性。毎年夏になると趾間がじくじくして痒いという症状がありましたが、ずっと放置していました。ゴルフに行った翌日、足背が腫れて熱を持ち、痛くなってきたため受診しました。発熱もあることから感染症を疑い検査した結果、水虫から二次感染を起こした蜂巣炎であることがわかりました。足の水虫は万病の元と言われているように、水虫が原因でさまざまな疾患を発症することがあるので、要注意です。他にも、歯磨きから感染することなどもあります。更に、もっと重度な壊死性筋膜炎やうっ滞性皮膚炎などについて、具体的な症例を提示しながら詳しく解説します。第4回「痛い皮膚疾患②-炎症-」今回は炎症性のものを見ていきます。最初の症例は40歳女性。一週間前から誘因なく右腋窩に痛みと鶏卵大の紅班が出現し、受診しました。全身症状としては倦怠感と軽い発熱があり、病歴をとっていくと潰瘍性大腸炎にて治療中ということで、この方はSweet病と診断されました。最近では炎症性腸炎に伴うSweet病も増えています。痛い発疹で明らかな感染が見られなかったり結節性紅班にも当てはまらない場合に考えたい病気の一つであり、重い内臓疾患を合併する場合もあるので、注意が必要です。他にも見落としてはならない結節性紅班や血管炎の診断のポイントや、軽視してはならない重症薬疹について詳しく解説していきます。

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聖路加GENERAL 【Dr.小林の消化器内科】

第1回「海外で ""生肉""は要注意?」第2回「黄疸は 急いで診断 よい治療」第3回「つっかえ感? まず内視鏡」第4回「先生、胸のあたりが痛むのですが・・・」 第1回「海外で ""生肉""は要注意 ? 」絶対に聞いておきたい4つのポイントや腹部診察のコツを紹介します。【CASE1:72歳女性 急性下痢】倦怠感や嘔気を感じ、徐々に腹痛と下痢も出始めた症状が持続したため外来を受診。急性下痢症の鑑別では、まず小腸型か大腸型かを見分けることが必要です。正しい鑑別のために、絶対に聞いておきたい4つのポイントを紹介します。また、病歴聴取の際は、最近の渡航歴や服薬歴、生肉などの十分加熱されていない食物を口にしていないかといった点についても注意します。これらのポイントに沿って診察を進めた結果、腸管出血性大腸炎と判明しました。さて、ここからどのように原因を探っていけばよいでしょうか。また、どのような場合に直腸診や便培養を行うのか、適切なフォローアップについても見ていきます。【CASE2:21歳女性 慢性下痢】1ヵ月前から下腹部痛、1日3〜4回の下痢が生じ、熱も出始めて外来を受診。発熱と体重減少があったことから、機能性ではなく器質的なものを疑いました。体重の変化など、鑑別で注意すべき病歴から診断の検索をしていきます。このケースでは、腹部診察で索状の腫瘤を触知したので、悪性腫瘍や炎症性腸疾患で壁肥大になっている可能性を疑い、血液検査をした結果、慢性下痢症ということになりました。ではそこからどのように診断を進めていけばよいでしょうか。慢性下痢症の特徴、どのような場合に内視鏡検査を行えばよいか、内視鏡検査で異常が見られなかった場合についても、次に行うべき検査を項目別に分かりやすくお伝えします。また、知っておきたい腹部診察のコツを紹介します。第2回「黄疸は 急いで診断 よい治療」外来でも出くわすことの多い黄疸について紹介します。【CASE1:40歳男性 倦怠感発熱と黄疸症状】1週間ほど前から熱や倦怠感を自覚していたが、市販薬を飲んで仕事をしていた。しかし、数日前から食欲が低下し、尿の濃染や眼球の黄染に気づいて外来を受診。黄疸は外見に出やすく患者自身も気づきやすい症状ですが、鑑別していく上で注意すべき病歴を細かく見ていきます。特に、問診では魚介類の生食の既往を聞くことが多いですが、生肉生食の既往についても、期間は1ヵ月以上と長期的に見ることが重要です。また、黄疸は特にウィルス感染も疑われる疾患ですので、ウィルス性肝炎や評価に役立つ検査方法について分かりやすく解説します。【CASE2:63歳男性 上腹部痛と黄疸症状】1ヵ月ほど前から上腹部の軽い痛みを感じながらも、市販の胃薬で様子をみていたが、最近眼球の黄染が出始め、便が灰白色になったため外来を受診。常用薬はありましたが、黄疸を誘発するようなものではなく、海外渡航歴もないため、ウィルス性肝炎の可能性はあまり考えられません。診察を進め、腹部でやや腫大した胆嚢が触知されましたが、痛みはないということで、急性ではなく別の症状を疑いました。そこで検査所見や腹部超音波検査を行うと、膵がんによる閉塞性黄疸だということがわかりました。発見が遅れると予後の悪い本疾患について、アメリカの例と比較したスクリーニング法や効果的な検査方法など、早期発見のポイントを紹介します。また、最新の治療方法とその成績についてお伝えします。第3回「つっかえ感? まず内視鏡」嚥下障害について、ポイントを押さえ、わかりやすく解説します。【CASE1:64歳男性 嚥下困難(固形物で)】食べ物のつかえ感と胸やけの症状が続いたため、外来を受診。持続する嚥下困難の症状があり、食道の炎症なども考えられるため、詳しく病歴を聞くことにしました。嚥下困難の問診のポイントとなる嚥下痛や体重減少があり、喫煙が1日に20本、飲酒も仕事上機会が多いということから、悪性疾患が疑われます。さらなる精査のため、内視鏡検査を行った結果、食道がんという診断に至りました。早期発見が治療の鍵となる食道がんを鑑別するための効果的な内視鏡検査・治療について最新の情報を紹介します。また、嚥下困難をきたす原因は多岐にわたるため、その鑑別方法について、ポイントを解説します。【CASE2:52歳女性 嚥下困難(液体でも)】数年前から食べ物のつっかえ感を自覚、固形物だけでなく液体でも症状が見られます。症状が持続し体重減少があるものの、既往歴はなく身体所見でも異常はありません。このようなケースで医療面接で聞いておくべきポイント、嚥下障害の非消化管疾患について詳しく紹介します。本症例では液体でも嚥下障害が見られるということで、機能的疾患を疑い内視鏡検査を行いましたが、腫瘤性病変は認められず、更なる精査として食道内圧測定を行った結果、アカラシアと診断しました。アカラシアは比較的まれな症例ですが、早期発見が重要な疾患です。アカラシアに関する効果的な検査、最新の治療方法を紹介します。第4回「先生、胸のあたりが痛むのですが・・・」患者が痛みを訴える部位とは異なる場所が原因ということもあります。腹痛の部位によってカテゴライズした鑑別診断について詳しく説明します。【CASE1:45歳男性 高血圧の既往のある心窩部痛】来院当日に心窩部痛を発症し来院。ACSが疑われたため、心電図をとったところ不整が見られましたが、フォローの心電図、トロポニンともに異常なかったことから別の原因が考えられます。血液検査でも白血球がわずかに増多していた他は異常なし。来院前に嘔吐や下痢があり、改善していないこと、急性発症という点、そして他の疾患の特徴にあてはまらないことから腹部CTを行った結果、腫脹した虫垂を認め、急性虫垂炎の診断に至りました。腹痛は日常診療で頻繁に遭遇する疾患ですが、原因が患者が痛みを訴える部位とは異なる関連痛もあり、その鑑別は多岐に渡ります。腹痛について分かりやすく、診察でつかえるポイントを詳しく紹介します。【CASE2:47歳女性 腹部膨満感を伴う心窩部痛】半年前から心窩部痛を自覚していた。最近になって腹部膨満感を感じるようになったため外来を受診 。しかし、食事との関連や体重減少もなく、検査でも異常ありません。そこで、鑑別診断として機能性ディスペプシアを疑いました。機能性疾患の診断に必要な器質的疾患の除外のために行う検査について、ポイントを押さえてわかりやすく紹介します。また、腹痛の部位によってカテゴライズした鑑別診断について詳しく説明します。最近のホットトピックでもあるヘリコバクター・ピロリについても、検査に役立つ注意事項など、最新の情報をお伝えします。

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聖路加GENERAL 【Dr.仁多の呼吸器内科】

第1回「息が苦しいのはどういう時ですか?」第2回「胸が痛いのは、心臓のせいだけではありません」第3回「慢性の咳にはまずCXRから」第4回「先生、痰に血が混じっているのですが・・・」 第1回「息が苦しいのはどういう時ですか?」鑑別の難しい呼吸器疾患へのアプローチのポイントについて、役立つ情報が満載です。【CASE1:軽い咳と白色痰が続くために来院した65歳の男性】身体所見は特に問題ありません。しかし、よくよく聞いてみると、数年前から駅の階段を昇る時に息苦しさがあり、最近強くなってきたことがわかりました。また、この患者は40本/日の喫煙を45年間続けていました。労作時呼吸困難は、医師から尋ねないとわからないことが多いため、詳細な問診が重要なポイントになります。検査の結果、労作時呼吸困難の原因は重度のCOPDでした。他に考えられる労作時呼吸困難を引き起こす症例としては間質性肺炎があります。その診断方法、病期分類、治療について詳しく解説します。【CASE2:3ヶ月前から駅の階段を昇るときに息苦しさを感じ始め、増悪傾向の60歳女性】この方は、ペットとしてチンチラを飼っています。肺疾患の場合、ペット飼育歴や住環境を必ず確認します。診察の結果、聴診で両下肺野でfine cracklesを聴取しました。呼吸副雑音を聴取したときは、その音の性質とフェーズを確認することで、その原因をある程度絞り込むことができます。その方法について、詳しく解説します。そして、びまん性肺疾患の場合、症状がない場合でも専門医に送ることが勧められています。必要な検査を実施し、治療方針を立てて、協力しながら治療を進めることが重要です。この患者の場合も、検査の結果、意外なところに原因がありました !第2回「胸が痛いのは、心臓のせいだけではありません」気胸の鑑別、画像による診断、治療などについて詳しく解説します。【CASE1:突然刺されるような胸痛を訴えた42歳の男性】胸痛といえば、循環器疾患を思い浮かべますが、今回は呼吸器による胸痛の症例です。労作時に呼吸困難があったことから、胸部X線写真を撮った結果、気胸であることがわかりました。気胸は、つい見逃しがちな疾患といえますが、まずは、「胸痛の鑑別診断に必ず含める」ということを気を付けたいところです。若年に多いとされる自然気胸ですが、40代でも発症する例はあります。気胸には緊急性を要するものがあるため、この患者のように突然発症した場合は、まず救急車で搬送するのが原則です。【CASE2:3ヵ月前から慢性的に右胸痛を訴える58歳の女性】労作時呼吸困難を伴うため、胸膜炎などによる胸水が疑われます。単純エックス線写真を撮影したところ、右肺にかなりの胸水が貯留していることが確認されました。CTも撮影してよく確認してみると、胸水の貯留している右肺ではなく、比較的健康に見えた左肺にその原因につながる影が確認されました。胸痛の診断のポイントは、ずばり問診です。痛みの性状にくわえて、突然発症したか、持続するか断続的かなどの時相的な要素も重要なポイントになります。胸痛には、解離性大動脈瘤など、緊急性の高い疾患も含まれますので、しっかり問診をして鑑別することが重要です。これらのポイントについて、具体的にわかりやすく解説します。第3回「慢性の咳にはまずCXRから」慢性咳嗽についてポイントを詳しく解説します。【CASE1:15本/日の喫煙を40年間続けてきた62歳男性】咳嗽の出現をきっかけに救急室を受診し、気管支炎の疑いで抗菌薬を処方されましたが、改善しませんでした。その後、抗菌薬を変えたところ効果があったかにみえましたが、またすぐに咳嗽が再燃してしまいました。このように、長引く咳をみたときには、まず胸部単純写真(CXR)を撮ることが、診断のポイントになります。本症例では、CXRから結核を疑い、検査の結果結核と診断されました。初動が遅れることで結果的に治療が遅れ、感染の可能性が高まってしまいました。このような事例を防ぐためには、常に疑いをもち、問診の時点から結核を発症しやすい患者を見ぬくことがコツです。また、多剤併用が原則の治療についても、詳しく解説します。【CASE2:乳がん術後、化学療法中の65歳女性】数カ月前から乾性の咳が続くため、咳喘息の疑いで吸入ステロイド治療を開始しましたが、改善はあるものの軽快しません。胸部単純写真を撮影したところ、正面では問題がないように見えましたが、側面では、ちょうど心臓の裏側に隠れるように浸潤影が確認されました。咳の鑑別において重要なことは、まず腫瘍、結核などの器質的疾患を除外することです。そのためには、胸部単純写真は正面だけでなく、側面も撮ること、必要があればCTを撮って確認することが重要です。どのような場合にCTを撮ればよいのか、ポイントをお伝えします。また、遷延する咳の鑑別について詳しく解説します。第4回「先生、痰に血が混じっているのですが・・・」血痰の鑑別について、詳しく解説します。【CASE1:半年ほど前から、週に2〜3回、断続的に痰に血が混じるようになった77歳の女性】60歳ごろから検診などで胸部異常陰影を指摘されていましたが、経過観察となっていました。血痰をみると、まず結核、肺がん、気管支拡張症などを疑いますが、最初に考えなくてはいけないことは、「本当に血痰なのかどうか」です。もしかすると、口腔内の出血や、吐血の可能性もあります。この患者の場合は、以前より胸部異常陰影があることと、喫煙歴などから肺病変の疑いが強いと考え、検査をしたところ、非結核性抗酸菌症であることがわかりました。非結核性抗酸菌症においては、最終的な診断が出るまで、必ず結核の疑いを持つことが重要です。【CASE2:若い頃から気管支拡張症を指摘されていた66歳の女性】3日前から発熱、喀痰が増加し、近医で肺炎と診断されて、抗菌薬治療を開始していました。ところが、入院当日に持続する喀血があり、救急車で搬送。画像検査では、気管支拡張症と肺の病変が認められました。喀血において、最も重要なことは、その量です。出血の原因より、喀血による窒息のほうが重要な問題を引き起こすためです。本症例においても、大量の喀血とされる600ml/24hrを超えると思われる出血がありました。このような場合、まず気道確保が重要です。気管支鏡検査をしたところ、出血部位を下方にしても両側に血液が流れこむほどの出血があったため、気管支ブロッカーを使用して気道を確保しました。その後、原因とみられる気管支動脈をBAEによって塞栓しました。このように、大量喀血は緊急性の高い場合が多く、その検査の流れなどを詳しく解説します。

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