妊婦の喘息コントロール、FeNO濃度ベースのアルゴリズムが増悪を有意に減少

提供元:ケアネット

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公開日:2011/09/22

 



妊娠中の喘息コントロールについて、呼気一酸化窒素(FeNO)濃度ベースの治療アルゴリズムが、増悪を有意に減少する可能性があることが示された。オーストラリア・ニューカッスル大学喘息・呼吸器疾患センターのHeather Powell氏らが行った二重盲検無作為化試験の結果による。妊娠中は喘息増悪が起きやすく、母体や胎児の重大疾患と関連する可能性が高い。これまでの研究で、妊娠していない女性での、喀痰中好酸球に基づく治療決定が喘息増悪を減らすことは知られるが、FeNO濃度に基づく治療アルゴリズムの成果に
ついては不確かであった。Lancet誌2011年9月10日号掲載報告より。

220例の非喫煙喘息妊婦を、臨床症状もしくはFeNO濃度で管理する群に無作為化




Powell氏らは、妊娠中の喘息管理アルゴリズムについて、FeNOと症状に基づくものが喘息増悪を減少するとの仮説を検証するため、2007年6月~2010年12月にオーストラリアの2つのマタニティクリニック(antenatal clinics)で被験者を募り、無作為化二重盲検平行群間コントロール試験を行った。

220例の非喫煙、喘息を有する妊婦が、妊娠22週までに、月1回の外来受診の際にコンピュータにて作成した乱数表に基づき、臨床症状によるか(対照群)、FeNO濃度により吸入コルチコステロイド投与を行う群(FeNO値が>29ppbでは増量、<16ppbでは減量)のいずれかに無作為化された。

割り付けについて、被験者、ケア担当者、アウトカム評価者には知らされなかった。

FeNO値が上昇しない場合、長時間作用型吸入β2刺激薬と低用量吸入コルチコステロイドによる治療が行われた。

主要評価項目は、喘息増悪(中等度または高度)の総数とされ、intention to treat解析にて行われた。

FeNO群と対照群の発生率比0.496、FeNO群ではQOL改善、新生児入院も減少




被験者220例のうち、111例がFeNO群に(試験完了は100例)、109例が対照群に(同103例)無作為化された。
 
増悪率は、FeNO群のほうが対照群より低かった。妊婦当たり0.288対0.615、発生率比0.496(95%信頼区間:0.325~0.755、p=0.001)であった。治療必要数(NNT)は6であった。
 
またFeNO群では、QOLが改善し[SF-12メンタルサマリーのスコアが、FeNO群
56.9(95%信頼区間:50.2~59.3) vs. 対照群54.2(同:46.1~57.6)、p=0.037]、新生児入院が減少していた[8(8%) vs. 18(17%)、p=0.046)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)