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糖尿病ケトアシドーシスの輸液管理ミスで死亡したケース

糖尿病・代謝・内分泌最終判決平成15年4月11日 前橋地方裁判所 判決概要25歳、体重130kgの肥満男性。約2週間前から出現した体調不良で入院し、糖尿病ケトアシドーシス(初診時血糖値580mg/dL)と診断されてIVHによる輸液管理が始まった。ところが、IVH挿入から12時間後の深夜に不穏状態となってIVHを自己抜去。自宅で報告を受けた担当医師は「仕方ないでしょう」と看護師に話し、翌日午後に再度挿入を予定した。ところが、挿入直前に心肺停止状態となり、翌日他院へ転送されたが、3日後に多臓器不全で死亡した。詳細な経過患者情報昭和49年9月3日生まれの25歳、体重130kgの肥満男性経過平成12年3月16日胃部不快感と痛みが出現、その後徐々に固形物がのどを通らなくなる。3月28日動悸、呼吸困難、嘔気、嘔吐が出現。3月30日10:30被告病院受診。歩行困難のため車いす使用。ぐったりとして意識も明瞭でなく、顔面蒼白、ろれつが回らず、医師の診察に対してうまく言葉を発することができなかった。血糖値580mg/dL、「脱水、糖尿病ケトアシドーシス、消化管通過障害疑い」と診断、「持続点滴、インスリン投与」を行う必要があり、2週間程度の入院と説明。家族が看護師に対し付添いを申し入れたが、完全看護であるからその必要はないといわれた。11:15左鎖骨下静脈にIVHを挿入して輸液を開始。約12時間で2,000mLの輸液を行う方針で看護師に指示。18:00当直医への申し送りなく担当医師は帰宅。このとき患者には意識障害がみられ、看護師に対し「今日で入院して3日目になるんですけど、管は取ってもらえませんか」などと要領を得ない発言あり。20:30ひっきりなしに水を欲しがり、呼吸促迫が出現。ナースコール頻回。17:20水分摂取時に嘔吐あり。22:45膀胱カテーテル自己抜去。看護師の制止にもかかわらず、IVHも外しかけてベッドのわきに座っていた。22:55IVH自己抜去。不穏状態のため当直医はIVHを再挿入できず。看護師から電話報告を受けた担当医師は、「仕方ないでしょう」と回答。翌日3月31日14:00頃に出勤してからIVHの再挿入を予定し、輸液再開を指示しないまま鎮静目的でハロペリドール(商品名:セレネース)を筋注。3月31日03:00肩で大きく息をし、口を開けたまま舌が奥に入ってしまうような状態で、大きないびきをかいていた。11:00呼吸困難、のどの渇きを訴えたが、意識障害のため自力で水分摂取不能。家族の要望で看護師が末梢血管を確保し、点滴が再開された(約12時間輸液なし)。14:20担当医師が出勤。再びIVHを挿入しようとしたところで呼吸停止、心停止。ただちに気管内挿管して心肺蘇生を行ったところ、5分ほどで心拍は再開した。しかし糖尿病性昏睡による意識障害が持続。15:30膀胱カテーテル留置。17:20家族から無尿を指摘され、フロセミド(同:ラシックス)を投与。その後6時間で尿量は175cc。さらに明け方までの6時間で尿量はわずか20ccであった。4月1日10:25救急車で別の総合病院へ搬送。糖尿病ケトアシドーシスによる糖尿病性昏睡と診断され、急激なアシドーシスや脱水の進行により急性腎不全を発症していた。4月4日19:44多臓器不全により死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張糖尿病ケトアシドーシスで脱水状態改善の生理食塩水投与は、14~20mL/kg/hr程度が妥当なので、130kgの体重では1,820~2,600mL/hrの点滴が必要だった。ところが、入院してから47時間の輸液量は、入院注射指示簿によれば合計わずか2,000mLで必要量を大幅に下回った。しかも途中でIVHを外してしまったので、輸液量はさらに少なかったことになる。IVHを自己抜去するような状況であったのに、輸液もせずセレネース®投与を指示した(セレネース®は昏睡状態の患者に禁忌)だけであった。また、家族から無尿を指摘されて利尿薬を用いたが、脱水症状が原因で尿が出なくなっているのに利尿薬を用いた。糖尿病を早期に発見して適切な治療を続ければ、糖尿病患者が健康で長生きできることは公知の事実である。被告病院が適切な治療を施していれば、死亡することはなかった。病院側(被告)の主張入院時の血液検査により糖尿病ケトアシドーシスと診断し、高血糖状態に対する処置としてインスリンを適宜投与した。ただし急激な血糖値の改善を行うと脳浮腫を起こす危険があるので、当面は血糖値300mg/dLを目標とし、消化管通過障害も考えて内視鏡の検査も視野に入れた慎重な診療を行っていた。原告らは脱水治療の初期段階で1,820~2,600mL/hrもの輸液をする必要があると主張するが、そのような大量輸液は不適切で、500~1,000mLを最初の1時間で、その後3~4時間は200~500mL/hrで輸液を行うのが通常である。患者の心機能を考慮すると、体重が平均人の2倍あるから2倍の速度で輸液を行うことができるというものではない。しかもIVHを患者が自己抜去したため適切な治療ができなくなり、当時は不穏状態でIVHの再挿入は不可能であった。このような状況下でIVH挿入をくり返せば、気胸などの合併症が生じる可能性がありかえって危険。セレネース®の筋注を指示したのは不穏状態の鎮静化を目的としたものであり適正である。そもそも入院時に、糖尿病の急性合併症である重度の糖尿病ケトアシドーシスによる昏睡状態であったから、短期の治療では改善できないほどの重篤、手遅れの状態であった。心停止の原因は、高度のアシドーシスに感染が加わり、敗血症性ショックないしエンドトキシンショック、さらには横紋筋融解症を来し、これにより多臓器不全を併発したためと推測される。裁判所の判断平成12年当時の医療水準として各種文献によれば、糖尿病ケトアシドーシスの患者に症状の大幅な改善が認められない限り、通常成人で1日当たり少なくとも5,000mL程度の輸液量が必要であった。ところが本件では、3月30日11:15のIVH挿入から転院した4月1日10:25までの47時間余りで、多くても総輸液量は4,420mLにすぎず、130kgもの肥満を呈していた患者にとって必要輸液量に満たなかった。したがって、輸液量が大幅に不足していたという点で担当医師の判断および処置に誤りがあった。被告らは治療当初に500~1,000mL/hrもの輸液を行うと急性心不全や肺水腫を起こす可能性もあり危険であると主張するが、その程度の輸液を行っても急性心不全や肺水腫を起こす可能性はほとんどないし、実際に治療初日の30日においても輸液を160mL/hr程度しか試みていないのであるから、急性心不全や肺水腫を起こす危険性を考慮に入れても、担当医師の試みた輸液量は明らかに少なかった。さらに看護師からIVHを自己抜去したという電話連絡を受けた時点で、意識障害がみられていて、その原因は糖尿病ケトアシドーシスによるものと判断していたにもかかわらず、「仕方ないでしょう」などといって当直医ないし看護師に対し輸液を再開するよう指示せず、そのまま放置したのは明らかな過失である。これに対し担当医師は、不穏状態の患者にIVH再挿入をくり返せば気胸が生じる可能性があり、かえって危険であったと主張するが、IVHの抜去後セレネース®によって鎮静されていることから、入眠しておとなしくなった時点でIVHを挿入することは可能であった。しかもそのまま放置すれば糖尿病性昏睡や急性腎不全、急性心不全により死亡する危険性があったことから、気胸が生じる可能性を考慮に入れても、IVHによる輸液再開を優先して行うべきであった。本件では入院時から腹痛、嘔気、嘔吐などがみられ、意識が明瞭でないなど、すでに糖尿病性昏睡への予兆が現れていた。一方で入院時の血液生化学検査は血糖値以外ほぼ正常であり、当初は腎機能にも問題はなく、いまだ糖尿病性昏睡の初期症状の段階にとどまっていた。ところが輸液が中断された後で意識レベルが悪化し、やがて呼吸停止、心停止状態となった。そして、転院時には、もはや糖尿病性昏睡の症状は治癒不可能な状態まで悪化し、死亡が避けられない状況にあった。担当医師の輸液に関する過失、とりわけIVHの抜去後看護師らに対しIVHの再挿入を指示せずに放置した過失と死亡との間には明らかな因果関係が認められる。原告側合計8,267万円の請求に対し、合計7,672万円の判決考察夜中に不穏状態となってIVHを自己抜去した患者に対し、どのような指示を出しますでしょうか。今回のケースでは、内科医にとってかなり厳しい判断が下されました。体重が130kgにも及ぶ超肥満男性が、糖尿病・脱水で入院してきて、苦労して鎖骨下静脈穿刺を行い、やっとの思いでIVHを挿入しました。とりあえず輸液の指示を出したところで、ひととおりの診断と治療方針決定は終了し、あとは治療への反応を期待してその日は帰宅しました。ところが当日深夜に看護師から電話があり、「本日入院の患者さんですが、IVHを自己抜去し、当直の先生にお願いしましたが、患者さんが暴れていて挿入できません。どうしましょうか」と連絡がありました。そのような時、深夜にもかかわらずすぐに病院に駆けつけ、鎮静薬を投与したうえで再度IVHを挿入するというような判断はできますでしょうか。このように自分から治療拒否するような患者を前にした場合、「仕方ないでしょう」と考える気持ちは十分に理解できます。こちらが誠意を尽くして血管確保を行い、そのままいけば無事回復するものが、「どうして命綱でもある大事なIVHを抜いてしまうのか!」と考えたくなるのも十分に理解できます。ところが本件では、糖尿病ケトアシドーシスの病態が担当医師の予想以上に悪化していて、結果的には不適切な治療となってしまいました。まず第一に、IVHを自己抜去したという異常行動自体が糖尿病性昏睡の始まりだったにもかかわらず、「せっかく入れたIVHなのに、本当にしょうがない患者だ」と考えて、輸液開始・IVH再挿入を翌日午後まで延期してしまったことが最大の問題点であったと思います。担当医師は翌日午前中にほかの用事があり、午後になるまで出勤できませんでした。そのような特別な事情があれば、とりあえずはIVHではなく末梢の血管を確保するよう当直スタッフに指示してIVH再挿入まで何とか輸液を維持するとか、場合によってはほかの医師に依頼して、早めにIVHを挿入しておくべきだったと考えられます。また、担当医師が不在時のバックアップ体制についても再考が必要でしょう。そして、第二に、そもそもの輸液オーダーが少なすぎ、糖尿病ケトアシドーシスの治療としては不十分であった点は、標準治療から外れているといわれても抗弁するのは難しくなります。「日本糖尿病学会編:糖尿病治療ガイド2000」によれば、糖尿病ケトアシドーシス(インスリン依存状態)の輸液として、「ただちに生理食塩水を1,000mL/hr(14~20mL/kg/hr)の速度で点滴静注を開始」と明記されているので、体重が130kgにも及ぶ肥満男性であった患者に対しては、1時間に500mLのボトルで少なくとも2本は投与すべきであったことになります。ところが本件では、当初の輸液オーダーが少なすぎ、3時間で500mLのボトル1本のペースでした。1時間に500mLの点滴を2本も投与するという輸液量は、かなりのハイペースとなりますので、一般的な感触では「ここまで多くしなくても良いのでは」という印象です。しかし、数々のエビデンスをもとに推奨されている治療ガイドラインで「ただちに生理食塩水を1,000mL/hr(14~20mL/kg/hr)の速度で点滴静注を開始」とされている以上、今回の少なすぎる輸液量では標準から大きく外れていることになります。本件では入院当初から糖尿病性ケトアシドーシス、脱水という診断がついていたのですから、「インスリンによる血糖値管理」と「多めの輸液」という治療方針を立てるのが医学的常識でしょう。しかし、経験的な感覚で治療を行っていると、今回の輸液のように、結果的には最近の知見から外れた治療となってしまう危険性が潜んでいるので注意が必要です。本件でも、ひととおりの処置が終了した後で、治療方針や点滴内容が正しかったのかどうか、成書を参照したり同僚に聞いてみるといった時間的余裕はあったと思われます。最近の傾向として、各種医療行為の結果が思わしくなく、患者本人または家族がその事実を受け入れられないと、ほとんどのケースで紛争へ発展するような印象があります。その場合には、医学書、論文、各種ガイドラインなどの記述をもとに、その時の医療行為が正しかったかどうか細かな検証が行われ、「医師の裁量範囲内」という考え方はなかなか採用されません。そのため、日頃から学会での話題や治療ガイドラインを確認して知識をアップデートしておくことが望まれます。糖尿病・代謝・内分泌

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アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

 カナダ・ダルハウジ大学のAutumn R. Meek氏らは、ヒト脳内に存在する内因性分子の特定を試み、それらのβ-アミロイド領域への親和性ならびにβ-アミロイド凝集抑制作用を検討した。その結果、L-PSと3-HAAという2種類の内因性脳内分子を特定し、それらがβ-アミロイド領域に結合し、凝集を抑制することを報告した。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌2013年7月号の掲載報告。 アルツハイマー病は神経細胞が破壊される疾患で、顕著な個体内変動がみられる。本研究は、ヒト脳内に内因性分子が存在し、アルツハイマー病の進行を抑制あるいは緩徐にする凝集抑制活性を発揮しているのではないかという仮定の下、実施された。in silico(コンピュータ上の実験)において、内因性小分子であるL-ホスホセリン(L-PS)および3-ヒドロキシアントラニル酸(3-HAA)の、タンパク質misfoldingの責任領域であるβ-アミロイド標的部位への親和性を検討した。さらに、in vitroにおいてこれら分子の各種濃度での凝集抑制作用を検討した。  主な結果は以下のとおり。・in silicoの検討により、L-PSと3-HAAはmisfolding が惹起されているβ-アミロイドのhistidine13-histidine-glutamine-lysine16(HHQK)領域に結合できることが示された。・これらの相互作用は強力であった。・in vitroの検討により、L-PSと3-HAAともに用量依存的にβ-アミロイドの凝集を抑制し、その作用はL-PSよりも3-HAAのほうが強力であった。 ・本研究は、in vivoではなくin silicoおよびin vitroであるという点で限界がある。・本研究から、L-PSおよび3-HAAという2種類の内因性の脳内分子が、タンパク質misfoldingにより神経毒性を惹起するβ-アミロイドの領域に結合しうることがわかった。・また、L-PSと3-HAAは、各種濃度でβ-アミロイドの凝集を抑制した。脳内におけるこれら分子の濃度がβ-アミロイドの凝集を抑制あるいは緩徐にする効果に影響を及ぼす可能性がある。関連医療ニュース アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか? Aβ沈着は認知機能にどのような影響を与えるか 治療介入により認知症発症率はどこまで減らせるか?

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高齢者の高額医療費、外来サービス充実による医療費削減には限界がある/JAMA

 米国・ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らが、米国高齢者向け公的医療保険メディケアの高額医療費受給者について、予防可能な急性期医療サービスにかかる費用の占める割合を調べたところ、病院救急部門医療費では約4割、入院医療費では約1割と推定された。そのため著者は「外来医療サービスを充実しても、高齢者の高額医療費を削減するには限界があるようだ」と述べている。JAMA誌2013年6月26日号掲載の報告より。メディケア高額受給者上位十分位群を特定し、予防可能な医療費の割合を算出 研究グループは、65歳以上でメディケア出来高払いプランの受給者111万4,469例の医療費について、未然に防ぐことができたと考えられる、病院の救急部門受診や急性期医療を受けるための入院分を調べた。 また、2009~2010年のメディケア支払いデータから、2010年のみ、または2009、2010年共に、高額受給者だった上位十分位群をそれぞれ特定。それら高額受給者について、予防可能な急性期医療サービスにかかるコストの割合を算出した。高額受給者による病院救急部門医療費の41%、入院費用の9.6%が予防可能な医療費 高額受給者上位十分位群は、その他の非高額受給者上位十分位群と比べると、高齢で、男性、黒人が多く、共存症を有する患者が多かった。 2010年の病院救急部門に支払われた総医療費のうち、32.9%が同年の高額受給者上位十分位群によるものだった。こうした高額受給者上位十分位群による病院救急部門医療費のうち、予防可能だったものの割合は41.0%だった。一方で、高額受給者上位十分位群以外の人の同医療費のうち、予防可能だったのは42.6%だった。 また、高額受給者上位十分位群の医療費の、入院医療費全体に占める割合は79.0%で、そのうち予防可能な医療費は9.6%だった。高額受給者上位十分位群以外の人の予防可能な入院医療費は16.8%と推定された。 2009年、2010年共に高額受給者上位十分位群だった人の、病院救急部門の医療費のうち43.3%が、また入院医療費のうち13.5%が、それぞれ予防可能な医療費だった。

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テレモニタリング+薬剤師による管理で血圧改善/JAMA

 患者の自宅からの家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による血圧管理を組み合わせた降圧治療の有用性が、米国・HealthPartners Institute for Education and Research(ミネアポリス市)のKaren L Margolis氏らが行ったHyperLink試験で確認された。多くの有効な治療薬が開発されているにもかかわらず、米国では血圧が推奨値以下に管理されている成人高血圧患者は約半数にとどまる。最近の系統的レビューは、血圧の改善には診療体制を再編し、医師以外の医療従事者の主導で降圧治療の調整を行う必要があると結論づけており、遠隔治療と看護師、薬剤師主導のチーム医療を組み合わせた介入の有効性を示唆する研究結果もあるという。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。多彩な患者に対する効果をクラスター無作為化試験で評価 HyperLink試験は、降圧治療における家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による患者管理を組み合わせた介入の有用性を検証するクラスター無作為化試験。ミネアポリス市およびセントポール市の16のプライマリ・ケア施設が、介入を行う群(8施設)または通常治療を行う群(8施設)に無作為に割り付けられた。 患者選択基準は収縮期血圧(SBP)≧140mmHgもしくは拡張期血圧(DBP)≧90mmHgとし、糖尿病や慢性腎臓病を併発する患者(基準値:SBP≧130mmHgもしくはDBP≧80mmHg)も含めた。介入群の患者は自宅で測定した家庭血圧のデータを薬剤師に送信し、薬剤師はデータに基づいて降圧治療の調整を行った。治療期間は1年であった。 主要アウトカムは、治療開始から6ヵ月、12ヵ月時のSBP<140/DBP<90mmHg(糖尿病、慢性腎臓病を併発する場合はSBP<130/DBP<80mmHg)の達成とし、18ヵ月時(治療終了後6ヵ月)の血圧管理、患者満足度などの評価も行った。塩分摂取制限や患者満足度も良好 2009年3月~2011年4月までに介入群に228例、通常治療群には222例が登録された。全体の平均年齢は61.1歳、女性が44.7%、白人が81.8%で、平均SBPは147.9mmHg、平均DBPは84.7mmHgだった。また、このうち糖尿病が19.1%、慢性腎臓病は18.6%にみられた。 主要アウトカムの治療開始6ヵ月時の達成率は、介入群71.8%、通常治療群45.2%(p<0.001)、12ヵ月時はそれぞれ71.2%、52.8%(p=0.005)、18ヵ月時は71.8%、57.1%(p=0.003)であり、いずれも介入群で有意に良好であった。 6ヵ月と12ヵ月の両時点で主要アウトカムが達成された患者は介入群57.2%、通常治療群30.0%(p=0.001)、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月のすべてで達成された患者はそれぞれ50.9%、21.3%(p=0.002)であり、有意な差が認められた。 介入群のSBPは、ベースラインから治療開始6ヵ月時までに21.5mmHg低下し、12ヵ月時には22.5mmHg、18ヵ月時には21.3mmHg低下した。DBPの低下はそれぞれ9.4、9.3、9.3mmHgであった。通常治療群のSBPはそれぞれ10.8、12.9、14.7mmHg低下し、DBPは3.4、4.3、6.4mmHg低下した。 SBPの低下は、いずれの時点でも介入群が有意に良好で、両群間の降圧の差は6ヵ月時が10.7mmHg(p<0.001)、12ヵ月時が9.7mmHg(p<0.001)、18ヵ月時は6.6mmHg(p=0.004)であった。DBPの低下も介入群が良好で、それぞれ6.0(p<0.001)、5.1(p<0.001)、3.0mmHg(p=0.07)の差が認められた。 介入群では、降圧薬の種類の増加、服薬遵守、塩分摂取制限、患者満足度なども良好で、安全性も許容可能なものであった。 著者は、「家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による血圧管理を組み合わせた降圧治療は、通常治療に比べ降圧達成率が良好であり、効果は治療終了6ヵ月後も持続していた」とまとめ、「今後、費用対効果や長期効果が確かめられれば、このモデルは高血圧や他の慢性疾患の管理法として普及すると考えられる」と指摘している。

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複合性局所疼痛症候群患者では広範痛についても評価が必要

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者では、10%を超える患者が広範痛(widespread pain)を有していることが明らかとなった。英国・エンツリー大学病院のThomas Birley氏らによる後ろ向き研究からの報告で、結果を踏まえて著者は、「CRPS患者の臨床評価においては日常的に、さらなる痛みについて問診をすることが支持される」とまとめている。Pain Practice誌オンライン版2013年6月24日号の掲載報告。 CRPS患者における広範痛の有病率を調べる目的で、2007年7月~2012年9月の間に第3次疼痛医療センターに紹介されブダペスト基準に従いCRPSと診断された連続症例について、紹介状や医療記録を後ろ向きに評価した。 対象は、CRPS患者190例(うち149例は女性)および特定不能のCRPS患者26例であった(平均年齢44歳、罹病期間中央値18ヵ月)。 主な結果は以下のとおり。・3分の1の患者は、CRPSに先行する事象が起こる前にすでに、現在CRPSに罹患した肢に日常的な痛みとは違う痛みを経験していた。・21例(11.1%)が広範痛の経験を有していたが、医療機関からの紹介状にはほとんど記載されていなかった。・CRPSの誘因となった外傷のタイプや、ブダペスト基準の他覚所見および自覚症状の頻度は、広範痛の有無による差がみられなかった。・すべての患者は広範痛を日常生活の質に影響を与える重要な要素と考えており、ほとんどの患者にとって広範痛の重症度はCRPSの痛みと同程度であった。・CRPSに併発する局所的な痛み(多くは頭痛/片頭痛、腰痛、過敏性腸症候群)を有する患者もいた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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鳥インフルエンザA(H7N9)感染、それほど重大ではなかった?/Lancet

 2013年3月に第1例が特定されヒトへの感染が明らかとなった、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症について、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが5月28日時点で行った臨床的重症度の評価結果を発表した。入院となった感染患者は123例で、そのうち37例(30%)が死亡、17例はなお入院中であり、回復したのは69例(56%)であったことなどを報告している。Lancet誌オンライン版2013年6月21日号掲載の報告より。2013年5月28日時点の入院患者は123例 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の臨床的重症度の評価は、2013年5月28日時点で報告された、検査によって確定した症例の情報を、中国CDC統合データベースから入手して行われた。 医学上の理由で入院が必要となった患者について、死亡、人工呼吸器装着、ICU入室のリスクを調べた。また、インフルエンザ様疾患サーベイランスによって検出した感染確定症例の情報を用いて、症候性感染死亡リスクを推定した。 その結果2013年5月28日時点において、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症による入院患者は123例だった(60歳以上58%、男性71%)。症候性感染死亡リスクは10万症例当たり160~2,800例 123例のうち37例(30%)が死亡、69例(56%)が回復していた。回復までの期間中央値は18日(95%信頼区間[CI]:14~29)だった。また17例がいまだ入院中だった。それらを加味した全年齢入院患者の死亡リスクは36%(95%CI:26~45)と推定された。年齢別では、60歳未満患者では18%(同:6~29)、60歳以上患者は49%(同:36~63)だった。 人工呼吸器装着あるいは死亡のリスクは69%(95%CI:60~77)、ICU入室・人工呼吸器装着・死亡のリスクは83%(同:76~90)と高率であった。それぞれの60歳未満と60歳以上のリスクは、前者が53%、80%、後者が75%、89%だった。 症候性感染の死亡リスクは、10万症例当たり160例(95%CI:63~460)~2,800例(同:1,000~9,400)と推定された。 上記の結果を踏まえて著者は「鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染は、以前に報告したほど重大ではないようである。すでに軽症例が発生している可能性がある」と結論。そのうえで「ヒトへの感染リスクを最小とするために、引き続き警戒と継続的な介入コントールは必要である」とまとめている。

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抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

 ノルウェー・ベルゲン大学のJorunn Drageset氏らは、介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者を対象に、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した。その結果、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることを報告した。Cancer Nursing誌2013年7-8月号の掲載報告。 介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者において、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した研究は少ない。本研究は、不安または抑うつが生存率と関連しており、がんに罹患していない者に比べがんに罹患している者に対して、より大きな影響を及ぼすのではないかという仮定の下で実施された。介護施設30施設の、認知機能低下を認めない(Clinical Dementia Rating scale score≦0.5)高齢入居者コホート227例(がん罹患60例、がん非罹患167例)について、2004~2005年から2010年まで追跡調査を行った。データは面談により収集した。不安および抑うつは、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)サブスケールを用いて評価し、診療録を基に社会人口統計学的背景ならびに既往歴を特定した。 主な結果は以下のとおり。・5年後の全生存率は、がん罹患者が17%、がん非罹患者が22%であった。・抑うつは、がん罹患と独立して生存不良と有意に関連していた。・がんに罹患していて不安症状のある者(サブスコア最低値8)は、不安症状のない者に比べ生存率が不良であったが(p=0.02)、この傾向はがん非罹患者では認められなかった。・以上のことから、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることが明らかになった。また、がんに罹患しており不安症状を有する場合は、生存期間がより短くなることが予測された。関連医療ニュース 皮膚がんとの関連研究で判明!アルツハイマー病に特異的な神経保護作用 がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる?

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アスピリンの定期的服用、BRAF野生型の大腸がんリスクを低下/JAMA

 アスピリンの定期的な服用は、BRAF野生型の大腸がんリスクを3~5割ほど減少する一方、BRAF変異の大腸がんリスクについては減少しなかったことが明らかにされた。米国・ダナファーバーがん研究所のReiko Nishihara氏らが、米国看護師健康調査などの参加被験者13万例弱を対象とした調査で明らかにしたもので、JAMA誌2013年6月26日号で発表した。総数約317万人・年、大腸がん患者1,226例について分析 研究グループは、1980年以降の看護師健康調査と1986年以降の医療従事者追跡調査の被験者について、隔年の質問票を基に、大腸がんリスクがアスピリン服用の有無およびBRAFがん遺伝子の変異により異なるかどうかを調べた。被験者のがん罹患率については2006年7月1日まで、がん死亡率については2012年1月1日まで追跡した。 被験者数は12万7,865例、総数316万5,985人・年だった。その間に大腸がんを発症し、その分子情報が得られたのは1,226例だった。アスピリン定期服用者、BRAF野生型の大腸がんリスクは0.73倍 結果、アスピリンの定期的服用者は、非服用者に比べ、BRAF野生型の大腸がんリスクが3割弱低下した(多変量ハザード比:0.73、95%信頼区間[CI]:0.64~0.83/年齢補正後の罹患率格差:-9.7/10万人・年、95%CI:-12.6~-6.7)。同関連は、腫瘍PTGS2発現型、PIK3CAあるいはKRASの変異型にかかわらず、同様に認められた。 一方、アスピリンの定期的服用は、BRAF変異の大腸がんリスク減少との関連はなかった(多変量ハザード比:1.03、95%CI:0.76~1.38/年齢補正後の罹患率格差:0.7/10万人・年、95%CI:-0.3~1.7)。 さらに毎週14錠超のアスピリンを服用する人は、非服用者に比べ、BRAF野生型の大腸がんリスクが半分以下に減少した(多変量ハザード比:0.43、95%CI:0.25~0.75/年齢補正後の罹患率格差:-19.8/10万人・年、95%CI:-26.3~-13.3)。

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4年ぶりの改訂『小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版』発売

 日本耳科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会、日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会は、『小児急性中耳炎診療ガイドライン』を4年ぶりに改訂し、同2013年版を7月12日より発売する。 今回の改訂は、急性中耳炎に関連する起炎菌や難治化などの病態の変化、予防を含めた治療法の発展など、多岐にわたる要因を考慮している。 具体的には、起炎菌サーベイランスデータの更新、重症度判定基準・治療アルゴリズムの見直しを行い、さらに肺炎球菌迅速検査キット、肺炎球菌ワクチン、新たな推奨薬剤や漢方補剤による診療、遷延性・難治性中耳炎等に関して、最新のデータに基づいて記述が修正、加筆された。 ガイドラインは、全国の書店、Amazonなどで7月12日より発売。定価は2,415円(本体2,300円+税5%)。詳しくは、金原出版まで

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アトピー性皮膚炎児、喘息リスクは全員が一律に高いわけではない

 アトピー性皮膚炎と喘息との関連について、アレルゲンを多く有する子どものほうが喘息リスクが有意に高いことが明らかにされた。英国・Microsoft Research CambridgeのN. Lazic氏らが機械的に任意に抽出した2つの出生コホートを分析して報告した。従来定義の小児アトピー性皮膚炎患児のうち、喘息リスクが高いと判明したのは、3分の1以下であったという。アトピー性皮膚炎は喘息との関連が強いリスク因子の一つだが、その関連性はほとんど明らかになっていなかった。Lazic氏らは、アトピーといっても多様なサブタイプがあり、それぞれ喘息との関連は異なるのではないかと仮定し本検討を行った。Allergy誌2013年6月号(オンライン版2013年4月29日号)の掲載報告。 本研究は、英国の2つの異なる地域ベースの出生小児コホート(マンチェスターとワイト島)を対象に、機械学習法にて行われた。小児期および思春期を通じて実施したプリックテストとアレルゲン特異的IgE検査に基づき、教師なし学習を用いてアトピー性感作によりそれぞれクラス分類し、各群の質的特性と喘息および肺機能との関連性を調べた。 主な結果は以下のとおり。・両コホートのデータは、それぞれ5クラスに分類できた。それら分類クラスの内容は両コホートで非常に類似していた。・非感作群と比較して、多様なアレルゲン感作を有するクラスの子どものほう(従来定義の小児アトピー性皮膚炎児の3分の1以下)が喘息を有する傾向が認められた[補正後オッズ比aOR(95%信頼区間[CI]) マンチェスター:20.1(10.9~40.2)、ワイト島:11.9(7.3~19.4)]。・喘息と従来定義のアトピー性皮膚炎との関連は弱かった[同 マンチェスター:5.5(3.4~8.8)、ワイト島:5.8(4.1~8.3)]。・両コホートにおいて、これらのクラスの子どもの肺機能は有意に低く(FEV1/FVC低下はマンチェスター群4.4%、ワイト島群2.6%、p<0.001)、気道感作、呼気NO値(FeNO)高値、喘息による入院が有意に多かった(p<0.001)。

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慢性リンパ性白血病に対して国内初の分子標的薬

 白血病の1つである慢性リンパ性白血病(CLL)は、わが国の患者数が約2,000人と推計されている希少疾病である。治療はフルダラビンやシクロホスファミドを用いた化学療法が第一選択であるが、これらに効果がない場合や再発した場合の新たな治療選択肢として、分子標的薬であるアーゼラ(一般名:オファツムマブ)が今年5月24日に発売された(適応は「再発または難治性のCD20陽性のCLL」)。  7月9日に東京都内で開催された記者発表会では、CLL治療の現状と課題についてがん研有明病院血液腫瘍科 部長 畠 清彦氏が、また、アーゼラの試験成績について東海大学医学部内科学系血液・腫瘍内科 准教授・診療科長 小川 吉明氏が講演した(主催:グラクソ・スミスクライン株式会社)。■白血病は分子標的治療薬で治療成績が飛躍的に向上しつつある 畠氏はまず、白血病は死に至るイメージが強いが、近年、移植療法の進歩や分子標的治療薬の登場により、治療成績が飛躍的に向上しつつあることを紹介した。白血病は、骨髄性とリンパ性、慢性と急性により4つのタイプに分けられる。患者数の割合は、急性骨髄性白血病(AML)が約6割と最も多く、慢性骨髄性白血病(CML)と急性リンパ性白血病(ALL)が約2割ずつ、CLLは約3%と少ない。また、日本人におけるCLL罹患率は10万人に約0.5人と、欧米の約4.4人に比べてきわめて少ないことから、わが国では他のタイプの白血病に比べて、新たな治療法の研究・開発が遅れていた。実際、AML、CML、ALLではすでに分子標的治療薬が使用されているが、CLLではアーゼラが日本で初の分子標的治療薬となる。■CLLの治療と課題 CLLの初期は自覚症状がなく、健康診断でみつかる場合が多い。症状の進行に伴ってリンパ節腫脹、易疲労感、盗汗、発熱、体重減少、易感染性、貧血、血小板減少などが認められる。症状のない低リスク(Rai病期分類0やBinet病期分類A)の場合は経過観察を行い、貧血/血小板減少の進行・増悪、脾腫、リンパ節腫脹、リンパ球増加、自己免疫性貧血・血小板減少症、全身症状が発現した場合に治療を開始する。 日本における薬物治療の第一選択は、フルダラビン単剤療法、フルダラビンを中心とした多剤併用療法、シクロホスファミドと他の薬剤の併用療法であるが、今回、再発または難治性のCD20陽性のCLLに対してアーゼラが承認された。 日本におけるCLL治療の課題として、畠氏は、CLLは薬物療法では治癒が難しく再発することの多い難治性の血液腫瘍であること、CLLに適応を有する薬剤が少なく治療選択肢が限られていること、再発または難治性のCLLに対する標準的な治療法が確立していないことを挙げ、「標準治療の確立のため、ガイドラインの作成が急がれる」と結んだ。■再発・難治性のCLLの新たな治療選択肢として期待 続いて、アーゼラの作用機序と臨床成績について小川氏が紹介した。 アーゼラは、CLLの腫瘍性B細胞の表面に発現しているCD20抗原を標的とした、完全ヒト型のモノクローナル抗体である。CD20は大ループと小ループの2つのループから成るが、アーゼラは両ループに結合することにより補体依存性細胞傷害作用を示す(in vitro)。 日韓共同で実施された第I/II相試験では、過去に1レジメン以上のCLL治療を受けた経験のある、再発または難治性のCLL患者10例(日本人9例、韓国人1例)に対して、アーゼラを単剤で投与(点滴静注、全12回)したところ、10例中7例に奏効を認めた(部分寛解7例、安定3例)。また、10例中8例は病勢進行が認められなかった。主な副作用は、血球減少症、インフュージョンリアクションであった。インフュージョンリアクションについては、多くは1回目と2回目の投与時に認められたが、5~7回目にも発現していることに注意が必要、と小川氏は指摘した。 最後に小川氏は、「再発・難治性のCLL患者さんに対して、アーゼラ単独療法で高い効果が期待できる。有効な治療選択肢がなく、無治療や現状維持を目指していたCLL患者さんに対しても積極的に治療が検討できる新たな治療選択肢となる」と期待を示した。

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リチウムが気分障害患者の自殺リスクを低減/BMJ

 リチウムは気分障害患者における自殺リスクの抑制に有効な治療法であることが、イタリア・ベローナ大学のAndrea Cipriani氏らの検討で示された。精神疾患の中でも、単極性障害(うつ病エピソード)および双極性障害(躁病もしくは軽躁病で、通常、中等度のうつ病エピソードを伴う)からなる気分障害は自殺リスクが最も高いとされる。自殺予防戦略における薬物療法の役割は相対的に小さいが、抗精神病薬の効果は過小評価されている可能性があるという。気分障害患者におけるリチウムの自殺や自傷の予防効果は、これまで知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。自殺、自傷行為の予防効果をメタ解析で評価 研究グループは、単極性および双極性の気分障害患者におけるリチウムによる自殺、自傷行為の予防効果を評価するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。 文献の収集には、医学文献データベース、ウェブベースの臨床試験レジストリー、主要教科書、製薬会社のウェブサイトなどを利用し、重要論文の著者や専門家にも問い合わせた。対象は、2013年1月までに発表された、気分障害の長期治療においてリチウムとプラセボまたは実薬を比較した無作為化対照比較試験とした。 主要評価項目は、自殺完遂、意図的自傷行為の実行、全死因死亡であった。全般的に実薬より良好な傾向も 1968~2013年までに発表された48件の無作為化対照比較試験の論文から抽出された6,674例が解析の対象となった。対照は、プラセボ(24件)のほか、アミトリプチリン、カルバマゼピン、バルプロ酸など14の実薬(24件)であった。フォローアップ期間中央値は19.1ヵ月。 プラセボ対照試験の解析では、自殺者数はリチウム群が244例中0例と、プラセボ群の241例中6例に比べ有意に低下した(Peto法によるオッズ比[OR]:0.13、95%信頼区間[CI]:0.03~0.66、p=0.01)。 全死因死亡数もリチウム群が392例中5例と、プラセボ群の390例中14例よりも有意に良好であった(OR:0.38、95%CI:0.15~0.95、p=0.04)が、自傷行為者数はそれぞれ623例中10例、608例中16例で、リチウムによる明確な予防効果は認めなかった(同:0.60、0.27~1.32、p=0.21)。 単極性障害に限定した解析では、自殺者数はリチウム群が143例中0例、プラセボ群は137例中5例(OR:0.13、95%CI:0.02~0.76、p=0.02)、全死因死亡数はそれぞれ291例中4例、286例中12例(同:0.36、0.13~0.98、p=0.04)であり、いずれもリチウム群で有意に良好であった。 実薬対照試験の解析では、全般的にリチウム群は他の実薬よりも有用性が良好な傾向が認められたが、リチウムが統計学的に有意に優れたのはカルバマゼピンと比較した試験の自傷行為数のみであった(139例中0例 vs 146例中5例、OR:0.14、95%CI:0.02~0.83、p=0.03)。 著者は、「リチウムは気分障害患者における自殺リスクの低減に有効な治療法である」と結論づけ、「リチウムは、気分障害の再発を抑制することで抗自殺作用を発揮する可能性があるが、攻撃性や衝動性を低下させるとのエビデンスがあることから、抗自殺作用を誘導する他の付加的メカニズムも考慮すべき」と指摘している。

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中断機能が付いたインスリンポンプ、夜間低血糖イベントを37.5%減少/NEJM

 低血糖の閾値を感知する機能が付いたインスリンポンプは、毎日複数回を要するインスリン注射に匹敵する血糖管理の利点を有するが、重篤な夜間低血糖リスクを有意に低下するかについては明らかではなかった。そこで米国・Park Nicollet国際糖尿病センターのRichard M. Bergenstal氏ら研究グループは、あらかじめ設定した血糖値でインスリン注入が一時的に停止する中断機能(最長2時間)を加えて、その有用性を検証する無作為化試験を行った。その結果、同機能を加えることで、夜間低血糖が有意に低下したことを報告した。NEJM誌オンライン版2013年6月22日号掲載の報告より。インスリンポンプ中断機能あり群となし群で安全性、有効性を比較 閾値感知機能付きインスリンポンプについて、中断機能有無別にみた低血糖リスク低下の有用性を検証した多施設共同無作為化対照オープンラベル試験は、夜間低血糖記録のある1型糖尿病患者(適格条件:16~70歳、罹病期間2年以上、HbA1c値5.8~10.0%)を対象に行われた。試験期間は3ヵ月間だった。 被験者247例が無作為に、中断機能あり群(121例)と中断機能なし(対照)群(126例)に割り付けられた。主要安全性アウトカムは、HbA1c値の変化であり、主要有効性アウトカムは、平均曲線下面積(AUC)で評価した夜間低血糖イベント発生の有無であった。インスリンポンプ中断機能あり群の平均感知血糖値は92.6±40.7mg/dL 主要安全性アウトカムは両群で同程度だった。 夜間低血糖イベントに関する平均AUCは、中断機能あり群(980±1,200mg/dL×分)が対照群(1,568±1,995mg/dL×分)より、有意に37.5%小さかった(p<0.001)。 夜間低血糖イベントの発生は、中断機能あり群(1.5±1.0回/患者・週)が対照群(2.2±1.3回/患者・週)より、有意に31.8%低かった(p<0.001)。 中断機能あり群の夜間血糖感知の割合は、50mg/dL未満で57.1%、50~60mg/dL未満で41.9%、60~70mg/dL未満は26.8%、それぞれ有意に低かった(いずれもp<0.001)。 夜間2時間のポンプ中断中に示された1,438例の感知血糖値の平均値は、92.6±40.7mg/dLだった。 試験期間中に重篤な低血糖イベントは4例で発生したが、すべて対照群だった。糖尿病性ケトアシドーシスを呈した被験者はいなかった。

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変形性脊椎関節症による慢性腰痛に対するグルコサミンの効果は確立されていない

 変形性脊椎関節症による慢性腰痛患者の症状や機能に対する、グルコサミン経口投与の効果を確認するシステマティックレビューを、英国・イーストアングリア大学のReena Sodha氏らが行った。既存の報告は、データが不十分かつ研究の質が低いため、慢性腰痛患者に対し経口グルコサミンは臨床的に有用であるともないとも証明できなかった。BMJ Open誌オンライン版6月14日号の掲載報告。 Medline、AMED、CINHAL、Cochrane LibraryおよびEMBASEにて、2011年3月までに発表された無作為化比較試験の論文ならびに参考論文を検索した。灰色文献(the grey literature)についてもOpenSIGLEで検索した。 コクラン腰痛レビューグループの評価項目を1つ以上用いて評価した試験で、12週以上の腰痛を有する18歳以上の患者を対象とし、変形性脊椎関節症の画像所見の変化についても記載がある試験を適格とした。 検索にて同定された148件のうち、3件の無作為化比較試験(309例)がレビューに組み込まれた。 主な結果は以下のとおり。・3件すべての試験において、ローランド-・モリス障害質問票スコア(RMDQ)に変化はなく、機能に対するグルコサミンの効果は認められなかった。・バイアスリスクが高いと判定された1件の試験では、グルコサミン投与により疼痛スコアが有意に改善したが、2件の試験はグルコサミン投与群と対照群とで差はみられなかった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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アルツハイマー病およびその他の認知症疾患が中国社会に及ぼす影響は甚大である(コメンテーター:粟田 主一 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(110)より-

厚生労働省より示される介護保険 要介護認定調査(認知症高齢者の日常生活自立度II以上)に基づく認知症高齢者数推計値は、2010年の段階では280万人(65歳以上の9.5%)であったが、このほど、厚生労働科学研究の調査結果に基づき、439万人(15%)に上方修正された。認知症疾患がわが国の社会に及ぼす影響は、従来の予想をはるかに上回るものである。 しかし、急速な経済発展、平均寿命の延伸、一人っ子政策などによって高齢化が急速に進む中国においては、認知症疾患が社会経済に及ぼす影響はさらに甚大である。このことはインド、ブラジル、南アフリカなどの低~中所得国においてもあてはまる。 本研究は、急速に高齢化が進む中国の今後の保健政策決定の基礎資料を得ることを目的に、1990年~2010年までの中国のアルツハイマー病および他の認知症疾患に関する疫学調査をレビューしたものである。採用基準に適合した89文献、対象者数34万247例(うちアルツハイマー病患者3,543例)のデータを系統的に分析した結果、中国における認知症患者数は 1990年で368万人、2000年で562万人、2010年で919万人、アルツハイマー病患者数は1990年で193万人、2000年で371万人、2010年で569万人、認知症発症率は1,000人・年当たり9.87、アルツハイマー病発症率は同6.25、血管性認知症発症率は同2.42であり、認知症患者の標準化死亡率の中央値は健常者の1.94倍であった。 本研究では、この数値が従来の国家予測をはるかに上回るものであり、政府の迅速かつ効果的な対応が必要であることを強調している。人口14億人、高齢化率9%の中国において、この数値は決して驚くべきものではない。しかし、中国の高齢化率は2050年には約30%に達する。21世紀の前半に、認知症は、確実に、国家を超えた保健医療福祉施策の最大の課題となる。

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