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腸内細菌叢代謝産物TMAO、心血管リスクの新たな予測因子に?/NEJM

 トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は、食事中のホスファチジルコリンが腸内細菌叢により代謝されて生成し、血中や尿中のTMAO値の上昇は主要な有害心血管イベントの予測因子となる可能性があることが、米国・クリーブランドクリニックのW.H. Wilson Tang氏らの検討で示唆された。リン脂質であるホスファチジルコリン(レシチン)は食事由来の主要なコリン供給源で、コリンは脂質代謝や細胞膜形成のほか、神経伝達物質アセチルコリン合成の前駆体など、代謝に関わるさまざまな役割を担う。同氏らは最近、動物実験で、食事由来ホスファチジルコリンのコリン部分の腸内細菌代謝と冠動脈疾患の間には、アテローム性動脈硬化を促進する代謝産物であるTMAOの産生を介する機構的な関連があることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2013年4月25日号掲載の報告。2つの前向き臨床試験で評価 研究グループは、ヒトにおける食事由来ホスファチジルコリンの腸内細菌依存性の代謝や、TMAO値と有害な心血管イベントの関連を2つのプロスペクティブな臨床試験で評価した。 第1の試験(ホスファチジルコリン負荷試験)は健常被験者40人を対象とした。ホスファチジルコリン負荷(固ゆで卵2個および重水素(d9)標識ホスファチジルコリンの摂取)を行ったのち、6人に対し広域スペクトルの経口抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシン)で腸内細菌叢を抑制する前後に、高速液体クロマトグラフィとオンラインエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法にて血漿中および尿中のTMAO値、血漿中のコリン値とベタイン値を測定した。 第2の試験(臨床転帰試験)では、待期的診断的心臓カテーテル検査を受けた患者4,007人[無イベント群:3,494人(平均年齢62歳、男性65%)、イベント発生群:513人(68歳、62%)]が対象となった。 心臓カテーテル検査時に採取した空腹時の血液サンプルを用いて血漿中TMAO値を測定し、3年のフォローアップ期間における主要な有害心血管イベント(死亡、心筋梗塞、脳卒中)の発生との関連について検討した。高TMAO値群は心血管リスクが2倍以上に ホスファチジルコリン負荷試験では、負荷後のTMAOおよびそのd9同位体置換体の濃度が、他のコリン代謝産物と同様、時間依存性に上昇した。血漿TMAO値は抗菌薬投与後、著明に抑制され、投与を中止すると再び検出された。 臨床転帰試験では、血漿TMAO値の上昇により主要な有害心血管イベントが増加した(TMAO値の最低四分位群に対する最高四分位群のハザード比:2.54、95%信頼区間:1.96~3.28、p<0.001)。 高TMAO値は、従来のリスク因子(年齢、性別、喫煙状況、収縮期血圧など)で調整済みの主要有害心血管イベントのリスク上昇に関する有意な予測因子であった(p<0.001)。また、65歳未満、女性、冠動脈心疾患の既往なし、脂質異常なし、正常血圧、非喫煙などの低リスクのサブグループにおいても、高TMAO値は心血管リスクの有意な予後予測因子であった。 著者は、「TMAOは、食事中のホスファチジルコリンが腸内細菌叢により代謝されて生成することが示された。TMAO値の上昇は主要な有害心血管イベントの発生リスクの増大と関連する」と結論している。

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妊娠中のバルプロ酸使用、子どもの自閉症リスクが増大/JAMA

 妊娠中の母親が抗てんかん薬バルプロ酸(商品名:デパケンほか)を使用すると、子どもの自閉症スペクトラム障害および小児自閉症のリスクが上昇することが、デンマークAarhus大学病院のJakob Christensen氏らの検討で明らかとなった。妊娠中の抗てんかん薬の使用により子どもの先天性奇形や認知発達遅滞のリスクが上昇することが示されているが、他の重篤な神経心理学的異常のリスクについてはほとんど知られていないという。バルプロ酸は妊娠可能なてんかん女性にとって唯一の治療選択肢となる場合がある一方で、出生前の胎児が曝露すると自閉症のリスクが増大する可能性が指摘されていた。JAMA誌2013年4月24日号掲載の報告。出生前バルプロ酸曝露と自閉症リスクの関連をコホート試験で評価 研究グループは、出生前のバルプロ酸曝露が子どもの自閉症リスクに及ぼす影響を評価する地域住民ベースのコホート試験を実施した。 デンマークの住民登録システムのデータを用いて、1996年1月1日~2006年12月31日までにデンマークで生産児として出生したすべての新生児を調査した。母親の妊娠中にバルプロ酸に曝露した子どもおよび自閉症スペクトラム障害[小児自閉症(自閉性障害)、アスペルガー症候群、非定型自閉症、その他または特定不能の広汎性発達障害]と診断された子どもを同定した。 データはCox回帰モデルを用いて交絡因子(妊娠時の両親の年齢、両親の精神医学的病歴、妊娠期間、出生時体重、性別、先天性奇形、経産回数)の調整を行った。子どものフォローアップは出生から自閉症スペクトラム障害の診断、死亡、国外への転出、2010年12月31日のいずれかまで行った。自閉症スペクトラム障害のリスクが約3倍、小児自閉症は約5倍に 調査期間中に65万5,615例の生産児が確認され、2,067例の小児自閉症を含む5,437例の自閉症スペクトラム障害の子どもが同定された。フォローアップ終了時の子どもの平均年齢は8.84(4~14)歳だった。 14年のフォローアップが行われ、推定絶対リスクは自閉症スペクトラム障害が1.53%(95%信頼区間[CI]:1.47~1.58)、小児自閉症は0.48%(95%CI:0.46~0.51)であった。 バルプロ酸曝露小児508例における推定絶対リスクは自閉症スペクトラム障害が4.42%(95%CI:2.59~7.46)(調整ハザード比[HR]:2.9、95%CI:1.7~4.9)、小児自閉症は2.50%(95%CI:1.30~4.81)(調整HR:5.2、95%CI:2.7~10.0)であった。 てんかん女性から生まれた子ども6,584例のうち、バルプロ酸非曝露群(6,152例)の推定絶対リスクは自閉症スペクトラム障害が2.44%(95%CI:1.88~3.16)、小児自閉症は1.02%(95%CI:0.70~1.49)であったのに対し、バルプロ酸曝露群(432例)ではそれぞれ4.15%(95%CI:2.20~7.81)(調整HR:1.7、95%CI:0.9~3.2)、2.95%(95%CI:1.42~6.11)(調整HR:2.9、95%CI:1.4~6.0)と、有意な関連が認められた。 著者は、「妊娠中の母親のバルプロ酸の使用により、子どもの自閉症スペクトラム障害、小児自閉症のリスクが有意に上昇し、母親のてんかんで調整後もリスクの有意な上昇が維持されていた」とまとめ、「てんかんのコントロールにバルプロ酸を要する妊娠可能女性では、治療のベネフィットとリスクのバランスを十分に考慮する必要がある」と指摘している。

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血糖降下に影響が大きいのは?高用量BG薬 vs SU薬―DPP-4阻害薬との3剤併用療法

 シタグリプチン、高用量メトホルミン、グリメピリドの3剤併用療法のうち、血糖降下作用に大きな影響を及ぼすのはスルホニル尿素薬(SU薬)グリメピリドであるということが、あらいクリニック・新井桂子氏らにより明らかになった。著者は「このレジメンは、シタグリプチンと高用量メトホルミンの2剤併用療法では血糖コントロールが十分でない患者に有用だろう」としている。Diabetes Technology Therapy誌2013年4月15日号(オンライン版2013年3月12日号)の報告。 シタグリプチン(商品名:ジャヌビア/グラクティブ)と高用量メトホルミン(同:メトグルコほか)の承認後、SU薬との3剤併用レジメンが報告されることもあった。しかし、実臨床では、重篤な低血糖症例の発現を受けて日本糖尿病学会が発した勧告のため、SU薬の1日投与量を減量し、メトホルミンを増量することでHbA1c値を維持する傾向があった。 本研究は、オープンラベル単施設ランダム化比較試験。シタグリプチンを含む3剤併用療法において、低用量グリメピリドと高用量メトホルミンによるHbA1c値への影響を検討した。  対象は、HbA1c値7.4%未満を目標にシタグリプチン(50mg)、メトホルミン(1,000mg以上)、グリメピリド(1mg以下)の3剤併用療法を少なくとも3ヵ月間施行している2型糖尿病患者56例。対象を無作為にメトホルミン50%減量群(27例)、グリメピリド中止群(29例)に振り分け、HbA1c値への影響について比較した。 主な結果は以下のとおり。・メトホルミン減量群26例、グリメピリド中止群27例が治療を完遂した。・グリメピリド中止群のHbA1c値と血糖値は、メトホルミン減量群よりも有意に上昇した。・また、その上昇は1~3ヵ月の期間よりも2~3ヵ月間において有意であった。

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腰部脊柱管狭窄症患者のQOLと機能に及ぼす疼痛の影響が明らかに

 変性腰部脊柱管狭窄症は「症候群」として定義されており、狭窄の形態学的タイプによりどのような臨床的特徴があるかなどは十分に明らかにはなっていない。スウェーデン・ルンド大学スコーネ大学病院のSigmundsson Freyr Gauti氏らは、全国脊椎レジスター(Spine Register)のデータを解析し特徴付けを試みた。その結果、腰痛と下肢痛のどちらが主であるかにかかわりなく、腰部脊柱管狭窄症の手術前の健康関連QOL(HRQoL)および機能は低いこと、また臨床的に重要な差ではないものの腰痛と下肢痛が同程度の患者ではHRQoLと機能が有意に低いことなどを明らかにした。Spine誌オンライン版2013年4月15日の掲載報告。 本研究では、腰部脊柱管狭窄症患者における術前の下肢痛および腰痛の程度と、形態学的タイプ別にみて疼痛がQOLならびに機能にどのように関連するかについて調査することが目的であった。 対象は、スウェーデン全国脊椎レジスター(Swedish Spine Register)に登録された腰部脊柱管狭窄症患者1万4,821例であった。 疼痛の違いにより、腰痛より下肢痛が強い(腰痛<下肢痛)群、腰痛が下肢痛より強い(腰痛>下肢痛)群、腰痛と下肢痛が同程度(腰痛=下肢痛)群に分け、「中心管狭窄症」「外側陥凹狭窄症」「脊椎すべり症を伴う脊柱管狭窄症」における疼痛の特性と、下肢痛または腰痛とHRQoLおよび機能との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・疼痛部位分類で最も多かったのは「腰痛<下肢痛」群(49%)で、次いで「腰痛>下肢痛」群(39%)、「腰痛=下肢痛」群(12%)の順であった。 ・腰痛が最も強かったのは脊柱管狭窄症群(比:0.93、95%CI:0.92~0.95)、次いで中心管狭窄症群(同:0.88、0.88~0.89)で、外側陥凹狭窄症群は最も低かった(同:0.85、0.83~0.87)。・HRQoLおよび機能が最も低かったのは、「脊柱管狭窄症」の「腰痛=下肢痛」群で、55%(95%CI:50~59)の患者は100m以上歩くことができなかった。・外側陥凹狭窄症群は、自己評価による歩行距離が良好であった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(92)〕 胃食道逆流症に対する外科的手術と薬物療法(REFLUX試験)

本論文は、胃食道逆流症(GERD)の治療における薬物療法と外科的治療の有用性を比較検討したものである。研究デザインが複雑であるのが特徴で、研究デザインはRCTであるが、試験の経過観察中に実際に行われた治療法は、被験者の希望を尊重したものとなっている。すなわち、実際に外科的治療を受けたのは、当初の外科的治療割り付け群の63%および薬物療法割り付け群の13%であり、通常のRCTと異なる『partially randomised preference design』となっている。日常診療の実態に即した対処を加味した成績という点では評価されるものともいえるが、当然ながら、結果の解釈において選択バイアスによる影響が大きいことを考慮すべきである。 欧米における両治療法の評価に関して、大規模なRCT(LOTUS試験:Galmiche JP, et al. JAMA. 2011; 305: 1969-1977.)では、外科的治療と薬物治療の有用性についてはどちらもほぼ満足できるもので、手術の合併症などを考慮すると薬物療法で良い、とする内容であった。 一方、ACG(American College of Gastroenterology)のガイドライン(Katz PO, et al. Am J Gastroenterol. 2013; 108: 308-328.)では、「外科手術の副事象として運動機能障害に伴う嚥下障害や膨満感があるが、両者の有用性は同等」とされており、Cochrane Reviewでは、「外科手術の方が薬物療法よりもQOLが良いが、少数の患者では術後に嚥下障害が生じる」と意見が異なっている。このように外科的手術の有用性を検討する場合、Methodに表現できない『手術という技術力の格差』に伴うバイアスや『非盲検試験における患者の希望』が研究結果に大きな影響を及ぼす可能性に注意が必要である。 なお、日本におけるGERDに対する治療は欧米と大きく異なっている。医療経済的観点が重要視される欧米では、外科的手術が盛んになっている一方、わが国では欧米に比べて胃酸分泌能が低いこともあり、プロトンポンプ阻害薬を中心とした薬物治療が主流であり、現時点で外科的治療との比較試験は皆無である。

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Vol. 1 No. 1 ACSの治療-2次予防を考えた長期治療

大倉 宏之 氏川崎医科大学循環器内科はじめに急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)の慢性期治療には、責任病変での再発防止と非責任病変の新規発症防止、すなわち2次予防が含まれる。責任病変の再発予防には、薬剤溶出ステント(DES)による再狭窄抑制と、適切な抗血小板療法によるステント血栓症の予防が重要である。一方、非責任病変の新規発症を防ぐには、抗血小板薬を含むさまざまな薬物による長期にわたる2次予防が必要である。ACSの予後:欧米と日本の違いACS患者の予後は不良である。欧米のデータでは、その20%は1年以内に再入院し、男性の18%、40歳以上の女性の23%が死亡するとの報告がある1)。また、心筋梗塞(AMI)後の患者は退院後1年以内にその8~10%がAMIを再発するとも報告されている2)。ただ、その再発率は保有するリスクによって異なる。Finnish studyでは、糖尿病例(年率7.8%)は非糖尿病例(年率3%)と比較して心筋梗塞再発が高率であることが示されている3)。ランダム化試験のデータでは、AMIの再発率は1~5%程度とおおむねレジストリーよりも低めである。AMIに対するDESと金属ステント(BMS)を比較したランダム化試験のメタ解析によると、AMI再発はDES留置例で3.1%、BMS留置例で3.3%であった4)。日本のデータでも非ACS症例と比較すると、ACS例の予後は不良であるが(図:本誌p21参照)5, 6)、ACS発症後のAMI再発率は、日本や韓国では1%以下と欧米と比較すると低率である7, 8)。もともとAMIの発症自体が少ないことに加えて、急性期に速やかに経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)による治療がなされていることと、その後も主治医によるきめ細やかな2次予防が行われていることがその理由かもしれない。至適薬物療法によるACSの2次予防欧米では、ACSの予後は経年的に改善していることが示されている。The Global Registry of Acute Coronary Events(GRACE)レジストリーに登録されたACS患者約4万例のデータ(図:本誌p21参照)において、入院中の死亡や心不全、6か月後のAMI新規発症が2000年から2005年にかけて有意に減少していることが示された9)。これは、エビデンスに基づいた薬物治療の浸透と、急性期のPCI施行率が高くなってきた結果である(図:本誌p22参照)。ACS後の2次予防を目指した薬物療法についてはガイドラインに詳細に述べられており10-15)、β遮断薬、ACE阻害薬(またはARB)、アルドステロン阻害薬、スタチン等の有用性が示されている。これらの薬物療法が、日本の臨床の現場にどの程度浸透しており、その結果、日本人のACS患者の予後が実際に改善しているのかどうかについては今後検証すべき課題である。ACS患者では、非責任病変の血管内超音波所見によって、ハイリスク病変を予測可能との報告がなされている16)。もともとイベント発生率の低い日本人でも、同様の予測が可能であるのかについても明らかにすべきである。抗血小板薬によるACSの2次予防薬物による2次予防のうちでも、特に重要な役割を果たしているのが抗血小板療法である。表に日本、米国、欧州の各ガイドライン10-15)に記載されている抗血栓療法の推奨をまとめた(Class I、Class IIaのみ記載)(表:本誌p23参照)。アスピリンが第1選択である点はすべてのガイドラインに共通である。欧州、米国のガイドラインでは、アスピリンに加えてクロピドグレル(または他のP2Y12阻害薬)を12か月間投与することが推奨されている。日本のガイドラインにはその期間は特定されていない11)。抗血小板薬2剤併用療法の至適期間抗血小板薬2剤併用療法(dual anti-platelet therapy: DAPT)の至適投与期間は、ステントの種類(BMSかDESか)と病型(安定狭心症かACSか)により異なる。一般に、DESの場合は12か月間以上のDAPTが推奨されているが20)、至適期間についてのエビデンスは十分ではない。j-Cypherレジストリーでは、ACS例において6か月以上DAPTを継続していた例と、DAPTを6か月時点で中止していた例との間には、その後2年間のイベント発生率に差を認めなかったことが示されている5)。日本では、患者背景や病変背景を考慮した至適な抗血小板薬療法が行われていることが反映されているのかもしれない。ACSの研究ではないが、韓国からはステント留置後12か月以上イベントのなかった2,701例を、DAPT群とアスピリン単剤群にランダム化した試験が報告されている18)。2年間の観察期間中、両群間に心筋梗塞+心臓死の頻度に差はなく、ステント血栓症にも差はなかった(図:本誌p24参照)。EXCELLENT試験は、CypherもしくはXience/Promusステント留置例1,443例のDAPT期間を、6か月間と12か月間にランダム化したものである19)。12か月後のTVF(target vessel failure)や死亡もしくは心筋梗塞の発生には両群間に差を認めなかったが、ステント血栓症はDAPT6か月間群で多い傾向にあった。ただし、6か月間群のステント血栓症発症例6例中5例は6か月以内の発生であり、DAPTの期間が影響した可能性は低い。Prolonging Dual Antiplatelet Treatment after Grading Stent-induced Intimal Hyperplasia study(PRODIGY)では、ステント留置例約2,000例を対象にランダム化し、DAPTの期間を6か月間と24か月間で比較したものである。2年間の追跡期間中に全死亡+心筋梗塞+脳血管障害+ステント血栓症の頻度は6か月間群と24か月間群は同等であったが(10.0% vs. 10.1%, p=0.91)、出血は6か月間群で少なかったとの結果であった(ESC2011で報告)。The Dual Antiplatelet Therapy(DAPT)study20)は、15,000例のDES留置例と5,400例のBMS留置例を登録し、DAPTの投与期間を12か月間と30か月間にランダム化して両者を比較する大規模臨床試験である。すでに患者登録は終了し、現在フォローアップが進行中である。本邦においても、Optimal Duration of DAPT Following Treatment with Endeavor in Real-world Japanese Patients: A Prospective Multicenter Registry (OPERA) studyやNobori Dual antiplatelet therapy as appropriate duration (NIPPON) studyが現在進行中である。これらの研究にはACSも含まれており、日本人独自のエビデンスが得られるものと期待される。抗血小板薬投与と出血性合併症抗血小板薬投与に関連した問題点には出血性合併症がある。ACSに出血性合併症を発生した場合には、その長期予後は不良である21)。DAPT継続にあたっては、そのベネフィットのみならず出血のリスクも考慮せねばならない。ACSにおいて、出血のリスクが特に問題となるのが心房細動合併例である。欧州心臓病学会の心房細動ガイドライン22)では、心房細動合併例に対するステント留置術後の抗血栓療法は表のごとく推奨されている(Class IIa)(表:本誌p25参照)。注目すべき点は、塞栓症のリスクを有する心房細動例では最後的には抗血小板薬は中止し、ワルファリンのみを一生継続することが推奨されている点である。日本でも、心房細動合併ACS例に対する至適抗血栓療法をいかにすべきかは重要な検討課題である。おわりにACSの予後改善には、急性期治療に加えて、抗血小板薬を中心とした長期にわたる2次予防が重要な役割を演じている。ただし、これら多くは欧米のデータに基づいたものであるため、今後、日本人における検証はぜひとも行われるべきである。文献1)Menzin J et al. One-year costs of ischemic heart disease among patients with acute coronary syndromes: findings from a multi-employer claims database. Curr Med Res Opin 2008; 24 (2): 461-4682)Buch P et al. Temporal decline in the prognostic impact of a recurrent acute myocardial infarction 1985 to 2002. Heart 2007; 93 (2): 210-2153)Haffner SM et al. Mortality from coronary heart disease in subjects with type 2 diabetes and in nondiabetic subjects with and without prior myocardial infarction. N Engl J Med 1998; 339 (4): 229-2344)De Luca G et al. Efficacy and safety of drug-eluting stents in ST-segment elevation myocardial infarction: a meta-analysis of randomized trials. Int J Cardiol 2009; 133 (2): 213-2225)Kimura T et al. j-Cypher Registry Investigators. Antiplatelet therapy and stent thrombosis after sirolimus-eluting stent implantation. Circulation 2009; 119 (7): 987-9956)Kawaguchi R et al. 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MTX治療乾癬患者には葉酸補充を考慮すべき

 米国・ウェイクフォレスト大学皮膚科研究センターのAmir Al-Dabagh氏らは、メトトレキサート(MTX、商品名:リウマトレックスほか)治療を受ける患者(とくに乾癬患者)の葉酸使用について検討した文献をレビューし、葉酸使用の傾向を検証した。その結果、皮膚科医による処方が少ない傾向や、葉酸の使用は文献的にはMTXの有害事象を減少させることが確認されたが、MTXの有効性を低下させるかについては不明であることなどを報告した。そのうえで「葉酸がMTXの有効性を減じる可能性を心に留めつつ、MTX治療を受ける患者には葉酸補充を考慮すべきである」と報告した。American Journal of Clinical Dermatology誌オンライン版2013年4月11日号の掲載報告 MTXは乾癬治療に効果を示すが、毒性のために使用は制限される。このMTXの有害事象減少を目的に葉酸の補充が行われており、効果を示す可能性も示唆されているが、その特徴はほとんど明らかになっていない。よって、研究グループは本検討を行った。 1989年5月1日~2012年4月1日のPubMedにて、「葉酸(folic acid、folinic acid、folate)」「補充(supplementation)」「メトトレキサート」をキーワードに文献を検索した。また、1993~2009年の全米外来医療調査(NAMCS)データベースを用いて医師のMTX使用と葉酸補充の傾向に関するデータを収集した。 解析には、MTX治療の受療者数、葉酸使用率、診断、医師の専門科、患者の人口統計学的特性などを組み込み、線形回帰分析を用いて葉酸使用の経年変化を調べた。 主な結果は以下のとおり。・解析には26試験が組み込まれた。・大半の試験が葉酸補充について多くのベネフィットを認めていたが、乾癬治療試験については7試験のみであった。・皮膚科医は、MTXを処方する最も多い専門医の一員であった。また、乾癬患者はMTX治療を受けている頻度が高かった。・葉酸補充は、本試験対象期間中に有意に増加していた(p<0.0001)。・しかし、皮膚科医の葉酸使用率は最も低く、MTX治療を受けている患者の9.1%にしか葉酸を処方していなかった。・本検討については次の限界がある。第一に、関節リウマチとは対照的に、乾癬患者におけるMTXの毒性および有効性に対する葉酸の効果を検証した文献が少ない。また、NAMCSデータは、連邦政府に雇用されていない医師の外来患者のみを対象としており、OTCの葉酸使用を記載していない医療供給者を含んでいる可能性がある。またMTXと葉酸の投与量はデータベースに記録されていない。

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統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学

 これまで、統合失調症患者に対するフルボキサミン(本疾患には未承認)併用療法に関する発表がいくつか行われている。藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、抗精神病薬で治療中の統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法のメタ解析結果の更新を行った。European archives of psychiatry and clinical neuroscience誌オンライン版2013年4月21日号の報告。 著者は、これまでSepehry氏らやSingh氏らによって行われた統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法のメタ解析結果を更新した。2013年1月までのPubMed、コクランライブラリデータベース、PsycINFOを検索し、フルボキサミン併用療法群とプラセボ群を比較したランダム化試験より抽出した患者データを用い、系統的レビューとメタ解析を行った。リスク比(RR)、95%CI、標準化平均差(SMD)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・7件の研究(クロザピン研究2件、オランザピン研究1件、第二世代抗精神病薬単剤研究1件、第一世代抗精神病薬単剤研究3件)が同定され、対象患者272例が抽出された。・フルボキサミン併用療法は、全体的(SMD=-0.46、95%CI=-0.75~-0.16、p=0.003、I2=0%、5試験、180例)および陰性症状(SMD=-0.44、95%CI=-0.74~-0.14、p=0.004、I2=0%、5試験、180例)に対し有意な効果が認められた。・しかしながら、陽性症状、抑うつ症状、何らかの原因や有害事象による中止への有意な効果は認められなかった。・主に第二世代抗精神病薬による治療を受けていた患者において、フルボキサミン併用療法は、全体的な改善は認められたが(p=0.02)、陰性症状の改善は認められなかった(p=0.31)。・一方、主に第一世代抗精神病薬による治療を受けていた患者では、プラセボ群と比較して、全体的および陰性症状の改善が認められた(各々p=0.04、p=0.004)。関連医療ニュース ・陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は? ・統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか? ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(91)〕 IL-1の阻害は1型糖尿病患者のβ細胞機能の低下を遅らせることができるか?

この研究は、発症して間もない1型糖尿病における免疫学的機序によるβ細胞の破壊を、IL-1を阻害する2つの薬剤で防止できるかどうかを、プラセボを用いたRCT研究で検討したものである。 1つはヒト抗IL-1モノクローナル抗体のカナキヌマブ(canakinumab)の1ヵ月毎、12ヵ月の皮下注射であり、もう1つはIL-1拮抗薬であるアナキンラ(anakinra)の9ヵ月間、毎日の注射である。 いずれも、食事負荷によるインスリン反応で評価したβ細胞機能の減少を抑制することはできなかった。アナキンラの方はプラセボと比べて注射部位の皮膚反応の増加が認められている。 1型糖尿病患者は、病気の発症後もβ細胞機能、すなわちインスリン分泌が減少し、頻回のインスリン注射やインスリンポンプ治療を行っても、最終的には枯渇状態になることが多い。インスリンが枯渇すると、高血糖と低血糖を繰り返し、血糖変動が大きくなり、血糖コントロールが困難になることが多く、合併症もより起こりやすくなる。このβ細胞の破壊と機能の減少にIL-1が関与していることが考えられている。IL-1は高血糖の時に放出され、直接にインスリンの合成、放出を阻害し、β細胞のアポトーシスを誘導する。 この1型糖尿病患のβ細胞機能の減少を、抗IL-1抗体でも、IL-1拮抗薬でも防ぐことができなかったことは、β細胞の破壊の機序がIL-1などのinnate immunityだけではなく、もっと複雑であることを示していると考えられる。この研究はネガティブな結果であるが、次に進むべき2つのステップを示してくれる重要な論文である。 1つはもっと早い段階、1型糖尿病が臨床的に発症する以前、自己抗体のみが陽性の段階でIL-1阻害の治療を試みる必要があることである。もう1つは抗CD-3抗体やT細胞選択的共刺激調整薬のabetaceptが1型糖尿病患者のインスリン分泌低下を遅延させたという報告や、動物実験では抗CD-3抗体とIL-1阻害の併用により糖尿病の寛解が得られたという報告より、抗CD-3抗体と抗IL-1抗体の併用を試みる価値があることである。 2型糖尿病患者はアナキンラを投与すると血糖が改善し、インスリン分泌が増加し、β細胞機能が改善することが報告されている。したがって、1型糖尿病におけるβ細胞機能の低下には、2型糖尿病とは異なり、もっと複雑で重篤な機序が関与してことがわかる。また、最近は1型糖尿病も、劇症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病とヘテロであることがわかっている。したがって、それらの1型糖尿病の発症機序も異なっている可能性があり、将来はそれぞれ異なった免疫療法が必要となるのかもしれない。

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入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学

 認知症患者の長期入院では、しばしば重篤な周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、以下BPSD)の治療が必要となる。また、重篤なBPSD患者は、長期間の入院を必要とする。大阪大学の杉山 博通氏らは、認知症病棟のよりよいリソース管理のため長期入院に関連する因子の同定を試みた。International psychogeriatrics誌オンライン版2013年4月23日号の報告。 対象は、2009年5月11日から2010年11月30日までにBPSDの治療のために、精神科病院3施設に入院した患者150例。信頼性のある親族がいる患者のみを調査に組み込んだ。著者らは、患者データ(人口統計、認知障害、日常生活活動、認知症の原因疾患、認知症の重症度、年金額)、主な介護者(人口統計、介護負担)、認知症治療年数を評価した。長期入院に関連する因子の影響を180日間フォローアップし、評価した。 主な結果は以下のとおり。・150例のうち、104例は180日以内に退院し、46例は180日以上入院した。・平均入院期間は110.4±58.1日だった。・年金の少ない患者、医師による認知症の治療年数が短い患者において入院期間が長かった(単変量および多変量Coxハザード解析)。また、その他の変数との関連は認められなかった。関連医療ニュース ・アルツハイマー病治療、学歴により疾患への対処に違いあり? ・認知症患者の興奮症状に対し、抗精神病薬をどう使う? ・抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?

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非心臓手術の周術期β遮断薬投与、死亡率を抑制/JAMA

 心リスクが高い非心臓/非血管手術患者では、周術期早期のβ遮断薬投与により全死因死亡や心合併症の発生率が低下することが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMartin J London氏らの検討で示された。非心臓手術患者における周術期β遮断薬投与の有効性や安全性は現在も結論が得られておらず、現行の非心臓手術周術期の評価と治療に関するAHA/ACCガイドラインでは、他の疾患のためにすでにβ遮断薬が投与されている患者に限って周術期も継続投与すべきとされる(class I)。JAMA誌2013年4月24日号掲載の報告。周術期β遮断薬投与と術後転帰の関連を後ろ向きコホート試験で評価 研究グループは、非心臓手術を施行された患者における周術期早期のβ遮断薬投与と術後の転帰の関連について評価するレトロスペクティブなコホート試験を行った。 2005年1月~2010年8月までに米国の104の退役軍人医療センターで非心臓手術を受けた患者13万6,745例[手術当日または術後にβ遮断薬を投与された患者5万5,138例(40.3%)、非投与患者8万1,607例]および傾向スコアをマッチさせたコホート7万5,610例(β遮断薬投与患者、非投与患者それぞれ3万7,805例)を解析の対象とした。 主要評価項目は30日全死因死亡、副次的評価項目は心合併症(非致死的な心停止、Q波心筋梗塞)の発生率とした。無作為化試験による妥当性の検証が必要 β遮断薬は、血管手術を施行された患者(1万3,863例)の66.7%に投与され、非血管手術患者(12万2,882例)の37.4%に比べると有意に高かった(p<0.001)。 β遮断薬投与率は、改訂版心リスク指標(Revised Cardiac Risk Index:RCRI)のリスク因子数が増えるに従って上昇し、リスク因子なしの患者は25.3%、4つ以上の場合は71.3%であった(p<0.001)。 全体で術後30日までに1,568例(1.1%)が死亡し、心合併症は1,196例(0.9%)に認められた。 傾向スコアをマッチさせた群では、β遮断薬の投与により死亡率が有意に低下した(相対リスク(RR):0.73、95%信頼区間(CI):0.65~0.83、p<0.001、治療必要数(NNT):241、95%CI:173~397)。 RCRIのリスク因子数で層別化すると、リスク因子が2つ以上の患者でβ遮断薬による死亡率の有意な低下が認められ、リスク因子数が増えるほど死亡抑制効果が高い傾向がみられた。リスク因子2つはRR:0.63(95%CI:0.50~0.80、p<0.001)、NNT:105(同:69~212)、同3つではRR:0.54(同:0.39~0.73、p<0.001)、NNT:41(同:28~80)、4つ以上ではRR:0.40(同:0.25~0.73、p<0.001)、NNT:18(同:12~34)であった。ただし、この関連は非血管手術患者に限定された。 β遮断薬の投与は非致死的なQ波心筋梗塞または心停止も有意に抑制した(RR:0.67、95%CI:0.57~0.79、p<0.001、NNT:339、95%CI:240~582)。この関連も非血管手術患者に限られた。 著者は、「ベースラインの心リスクが高い非心臓/非血管手術施行患者では、周術期早期のβ遮断薬投与により30日全死因死亡や心合併症の発生率が有意に低下した」とまとめ、「RCRIのリスク因子数の評価は周術期β遮断薬の使用の意思決定に有用な可能性があるが、これらの観察的知見の妥当性を検証するために、RCRIで低~中等度のリスクの患者を対象に周術期β遮断薬投与の多施設共同無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。

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キーンベック病の長期予後、血管柄付き骨移植術は良好

 血管柄付き骨移植術(VBG)は、進行期のキーンベック病に対する治療法の一つであるが、この治療法の長期予後に関する報告はほとんどなかった。日本・京都府立医科大学講師の藤原浩芳氏らは、VBGを施行したキーンベック病患者を10年以上追跡し、長期予後は良好であることを報告した。The Journal of Hand Surgery誌2013年5月号(オンライン版2013年4月2日号)の掲載報告。キーンベック病予後の平均追跡期間は12年3ヵ月 本研究の目的は、Lichtman分類StageIIIのキーンベック病患者をVBG後10年追跡し、長期予後を評価することであった。 対象は、1996年から2001年の間にVBGを施行した進行期キーンベック病患者18例(Lichtman分類Stage III A 10例、Stage III B 8例)で、少なくとも10年間追跡調査した。 中手骨基部からの移植が11例、橈骨遠位部からの移植が7例であり、StageIII Bの8例のうち、5例に橈骨短縮術を、2例に有頭骨短縮術を併用した。 VBGを施行したキーンベック病患者の長期予後を評価した主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間は、12年3ヵ月であった。・治療成績はMayo Modified Wrist Scoreで、「excellent」8例、「good」7例、「fair」3例であった。・Stahl indexおよびcarpal height ratioは、血管柄付き骨移植術単独のStageIII A患者では改善しなかったが、短縮術を併用したStageIII B患者では、有意な改善が認められた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる

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新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染、82例の疫学的特性/NEJM

 中国疾病予防管理センター(CDC)・公衆衛生緊急センターのQun Li氏らは、2013年4月17日時点で入手できた新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染に関する情報を基に解析した疫学的特性についてまとめ、NEJM誌オンライン版2013年4月24日号に予備報告として発表した。その中で著者らは「H7N9ウイルス感染は中国内6地点で確認され、感染確認患者の多くが非常に重篤であった。疫学的な関連性はなかった」と述べたうえで、「ヒト-ヒト感染について2家族集団でルールアウトはできなかったが、7日間の疾患モニタリングで呼吸器症状を呈した患者の濃厚接触者(1.5%)からウイルスは検出されなかった」と報告している。H7N9感染者の疫学情報を分析、患者の濃厚接触者についても7日間モニタリング 新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染事例の疫学的特徴をまとめるためのフィールド調査は、H7N9感染が確認された症例(リアルタイムRT-PCR法、ウイルス分離、血清学的検査による)を対象とした。特定された患者の人口統計学的特性、曝露歴、病状変化の情報を入手した。 また、患者の濃厚接触者について7日間にわたり疾患症状についてモニタリングした。症状を発現した人には咽頭スワブを行い、H7N9ウイルスの有無をリアルタイムRT-PCR法にて調べた。入院81例の死亡率は21%、発症から死亡までの中央値は11日 3月25日以降4月17日現在までにH7N9ウイルス感染が確認されたのは82例であった(原因不明の肺炎による入院患者664例のうち)。症例患者は、平均年齢63歳(範囲:2~89)、男性が73%、84%が中心都市の住民だった。 症例が確認されたのは6地点で、上海市(確定31例、疑い1例)、浙江省(確定25)、江蘇省(確定20、疑い1)、安徽省(確定3)、河南省(確定2)、北京市(確定1)であった。 解析データを入手できた77例のうち、4例が鶏肉を扱う労働者であった。また77%(59例)が生きた動物との接触歴があり、そのうち鳥との接触歴があったのは76%(45例)だった。次いでイヌが20%(12例)、ブタは7%(4例)だった。 症例患者の発症から初診までの期間中央値は1日で、入院までは同4.5日だった。 入院例は、小児1例を除く81例で、そのうち4月17日現在、17例(21%)が死亡、発症から死亡までの期間中央値は11日であった。また、60例は予断の許さない状況が続いている。退院例は4例でいずれも症状が軽度であった。2家族集団のヒト-ヒト感染はルールアウトできず 家族集団の検討は4月17日現在、2行政区3家族で行われ、そのうち2家族のデータが解析可能であった。この2家族について、H7N9ウイルスのヒト-ヒト感染はルールアウトできなかった。 一方で、7日間の疾患モニタリングが完了したのは、患者の濃厚接触者1,689例のうち1,251例で、そのうち呼吸器症状の発症がみられたのは19例(1.5%)であったが、H7N9ウイルスは検出されなかった。

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双極性障害の自殺予防に求められるのは・・・

 双極性障害患者では自殺行動の頻度は高い。英国・オックスフォード大学ウォーンフォード病院のKate EA Saunders氏らは、双極性障害患者の自殺予防の臨床的評価と危機介入戦略を見直すため、これまでの研究成果の注目すべき所見を明確にし、今後の研究で重点を置くべき分野を特定するために文献レビューを行った。その結果、双極性障害患者の自殺行動の要因は多岐にわたり、患者に積極的に働きかける危機介入プラン作成とマネジメントが求められることを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年4月9日号の掲載報告。 文献レビューは、PubMed、PsychINFOデータベースを介して、双極性障害患者の自殺行動のリスク因子およびマネジメントについて検討していた公表論文を検索して行われた。レビューは可能な限り、システマティックレビューを抽出した。 明確になった主な所見は以下のとおり。・自殺は通常、うつ状態の時期と関連しているが、混合状態の時期にも増大したリスクが続く。・すべての双極性障害患者は、自殺行動出現の際に取るべき行動を概説した最新の危機マネジメントプランを有するべきである。・タイムリーな臨床評価は、ハイリスク状態の特定を確実にするうえで基本となるものである。評価には精神状態検査、リスク因子の考察を含み、また自殺手段へのアクセス、徴候的な自殺前行動、保護因子などの問題も含むべきである。・薬物療法によるアプローチは、マネジメントの“頼みの綱”であり、急性症状における安全を確保するうえでも重要だが、自殺手段へのアクセス回避といった特異的な手段にはなりえない。・マネジメントにおける基本は、患者と家族の両者に対する臨床的サポートを強化すること、また他の医療機関とリスク情報を共有することである。・特異的な精神科治療は、危機の予防に有用な可能性はあるが、エビデンスは限られている。・以上のように、双極性障害の自殺行動の要因は多岐にわたり、積極的な危機介入プランとマネジメントが必要とされる。また、リスクにさらされている患者の評価において、問題の範囲を検討する必要がある。いずれにせよ双極性障害における自殺傾向を減じるための特異的な介入の有効性の評価は、優先すべき研究事項である。関連医療ニュース ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関 ・難治性双極性障害患者への併用療法は? ・双極性障害、再入院を減らすには専門外来での治療が必要

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