人工股関節全置換、長期耐久性はセメント固定が一番/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/30

 

 65歳以上高齢者に対する人工股関節全置換術の実施においては、セメント固定のほうが、非セメント固定やハイブリッド固定、逆ハイブリッド固定に比べ、10年インプラント生存率は高いことが明らかにされた。フィンランド・トゥルク大学病院のKeijo T Makela氏らが、北欧4ヵ国のレジストリ「Nordic Arthroplasty Register Association database」を基に分析し報告した。BMJ誌オンライン版2014年1月13日号掲載の報告より。

4種の固定法でインプラント生存率を比較
 研究グループは、1995~2011年にスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドで人工股関節全置換術を受けた55歳以上、合わせて34万7,899例について、セメント固定、非セメント固定、ハイブリッド固定、逆ハイブリッド固定の違いによる耐久性を比較した。

 主要アウトカムは、Kaplan-Meier生存分析によるインプラント生存率だった。分析にあたっては、年齢、性別、診断時年齢群(55~64歳、65~74歳、75歳以上)で補正を行った。

セメント固定術の術後6ヵ月再置換リスク、全年齢で他固定術に比べ低率
 その結果、65~74歳、75歳以上の患者の、セメント固定インプラント10年生存率は、それぞれ93.8%(95%信頼区間:93.6~94.0)、95.9%(同:95.8~96.1)だった。それに比べて、非セメント固定、ハイブリッド固定、逆ハイブリッド固定のインプラント生存率は有意に低かった。具体的には、非セメント固定インプラント生存率は、それぞれ92.9%と93.0%、ハイブリッド固定は91.6%と93.9%、逆ハイブリッド固定は90.7%と93.2%だった。

 一方、55~64歳の患者については、セメント固定インプラント生存率92.2%に対し、非セメント固定は91.8%、ハイブリッド固定は91.8%と同等だった。

 また、術後6ヵ月再置換リスクも、すべての年齢群で、セメント固定は他の3種の固定法に比べて低かった。

 研究グループは、「今回の試験結果は、65歳以上の患者には非セメント固定術の実施を支持しないものであった。ただし、分析データには、各国に共通の基本的なレジストリ情報だけを含んだので、残余交絡が存在している可能性はある」とまとめている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)