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統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学

 富山大学の高橋 努氏らは、精神病発症危険状態(at-risk mental state:ARMS)の人においても、統合失調症患者でみられるような下垂体体積の増大が認められることを、MRIを用いた調査の結果、明らかにした。統合失調症で報告されている下垂体体積の増大は、視床下部-下垂体-副腎機能の亢進を示すものとされている。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号の掲載報告。 研究グループは、ARMSの22例(男性11例、女性11例)と初回エピソード統合失調症患者64例(FE統合失調症群:男性37例、女性27例)、健常対照86例について、MRIを用いて下垂体の体積を調べた。対照群の被験者は、年齢および性を適合させて、ARMS群(男性11例、女性11例)とFE統合失調症群(男性37例、女性27例)に分けられた。  主な結果は以下のとおり。・ARMS群とFE統合失調症群は、適合対照群と比較して、下垂体体積がより大きかった。・下垂体体積について、ARMS群とFE統合失調症群の間に差は認められなかった。・ARMS群とFE統合失調症群いずれにおいても、下垂体体積と臨床変数(スキャニング時の症状、抗精神病薬の1日投薬量または期間)との間に関連性はなかった。・下垂体体積は、その後に統合失調症を発症したARMS被験者(5例)と、発症しなかったARMS被験者(17例)の間に有意な差はなかった。・下垂体体積は、全被験者(ARMS群とFE統合失調症群)において、男性よりも女性のほうがより大きかった。・以上の結果から、ARMSとFE統合失調症の両者において認められる下垂体体積の増大は、精神疾患早期のストレスに対する一般的な脆弱性の指標となる可能性が示唆された。・大集団ARMSを対象としたさらなる検討を行い、下垂体体積と精神疾患発症との関連について調べる必要がある。関連医療ニュース 統合失調症、双極性障害の家族特性を検証! 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定

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前立腺がん診断後のスタチン使用でがん死亡率は低下するか?

 これまでに、前立腺がん診断前のスタチン使用が前立腺がんの死亡率低下に関連するという報告がなされている。カナダ・ジューイッシュ総合病院のOriana Yu氏らは、前立腺がん診断後のスタチン使用が、がん関連死亡率および全死因死亡率の低下と関連するのか、さらにこの関連が診断前のスタチン使用により変化するのかを検討した。その結果、診断後のスタチン使用は前立腺がんによる死亡リスクの低下と関連し、この効果は診断前からスタチンを使用していた患者でより強いことを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2013年11月4日号に掲載。 著者らは、イギリスでの大規模な人口ベースの電子データベースを用いて、1998年4月1日から2009年12月31日の間に新たに非転移性前立腺がんと診断され、2012年10月1日まで追跡された1万1,772例のコホートを同定した。前立腺がん診断後のスタチン使用に関連した死亡率の調整ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を、時間依存Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間4.4年(SD:2.9年)の間に、前立腺がんによる死亡1,791例を含め、3,499例が死亡した。・前立腺がん診断後のスタチンの使用が、前立腺がんによる死亡率の低下(HR:0.76、95%CI:0.66~0.88)および全死因死亡率の低下(HR:0.86、95%CI:0.78~0.95)と関連していた。・これらの前立腺がんによる死亡率と全死因死亡率の低下は、診断前もスタチンを使用していた患者でより顕著であり(前立腺がん死亡率でHR:0.55、95%CI:0.41~0.74、全死因死亡率でHR:0.66、95%CI:0.53~0.81)、診断後にスタチン治療を開始した患者では効果が弱かった(前立腺がん死亡率でHR:0.82、95%CI:0.71~0.96、全死因死亡率でHR:0.91、95%CI:0.82~1.01)。

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ワンピース【チームワーク】

「職場の空気が悪い」みなさんは、「職場の空気が悪い」と感じることはありませんか?特に自分がその現場のリーダーだったら、どうでしょうか?自分のリーダーシップによって、現場の空気が生き生きとなる場合がある一方、逆にその空気が息苦しくなる場合もあります。リーダーとして現場の空気をよくするには、どうすればよいでしょう?今回、この疑問のヒントとなるチームワークをテーマに、人気アニメ「ワンピース」を取り上げます。主人公ルフィは、海賊王になるため、集めた仲間たちと共に「麦わらの一味」として、「ひとつなぎの秘宝(ワンピース)」を手に入れる冒険の旅をしています。これから、この「麦わらの一味」に加えて、彼らが出会う「世界政府の海軍」や「白ひげ海賊団」を、それぞれチームモデルとして、みなさんといっしょに考えていきたいと思います。「おれのやることは全て正しい」―ピラミッド型(1)特徴まずは、分かりやすいので、麦わらの一味などの海賊を取り締まる世界政府の海軍のチームモデルを見てみましょう。海軍の組織は、大佐などをリーダーとして、海兵を末端メンバーとするピラミッド型(階級構造)です。その特徴は、海賊を取り締まるという目的の達成(目標達成機能)のために規律が厳しいこと、そしてこの集団を維持(集団維持機能)するために上下関係(師弟関係)が絶対的であることです。(2)二面性プラス面としては、統率・統制がとれることで、マニュアル行動には長けていることが挙げられます。しかし、マイナス面として、その統率・統制により絶対服従が求められ、メンバーたちに自由がありません。そして、リーダーが横暴になり、パワーハラスメントのリスクが高まることです。例えば、モーガン大佐は「この基地で最高位の大佐であるこのおれは最高に優れた人間であるということだ」「だからおれのやることは全て正しい」と言っています。このピラミッド型のチームスタイルは、実際の私たちの社会でも、自衛隊、消防隊、官僚組織、公的組織、大企業などで多く見られます。決められたことを協力して成し遂げることができる一方、昨今は、情報化により多様化している私たちの価値観や激動する社会構造にそぐわなくなってきています。管理主義により順応さや従順さを求められたメンバーは、チームの現状の批判や新しいアイデアでチームをより良くしていこうという創造性を抑えられます。その結果、メンバーがその葛藤から次々と辞めてしまったり、チームが時代の流れに着いていけずに衰退するリスクがあります。また、メンバーは、チームの間違い(チームエラー)を指摘することを憚ってしまい、隠ぺい体質を生み出すリスクもあります。例えば、不良品の回収に時間がかかってしまった某化粧品会社の不祥事が挙げられます。表1 海軍(ピラミッド型)の二面性プラス面マイナス面統率・統制→マニュアル行動リーダーの横暴(パワーハラスメント)創造性の抑制メンバーの葛藤→チームの衰退、隠ぺい体質「おれが親父でよかったか・・・?」―ファミリー型(1)特徴次に、白ひげ海賊団のチームモデルを見てみましょう。白ひげ海賊団では、船長(リーダー)の白ひげは船員たちを息子と呼びます。そして、船員たちは白ひげをオヤジと呼んでいます。まるで家族のような人間関係(擬似家族)を築いており、ファミリー型と言えます。このチームの特徴は、強くて懐の深いリーダーシップによってメンバーたちとの人間関係(家族愛)を重視し、規律(ルール)がほとんどなく自由であることです(集団維持機能)。また、集団の目的の達成(目的達成機能)に、家族の結束があることです。これはピラミッド型と対極です。(2)二面性このファミリー型にも二面性があります。プラス面としては、何より家族の一員なので居心地が良い点が挙げられます。白ひげが死に際に船員のエースに問いかけるシーンが印象的です。「言葉はいらねえぞ・・・1つ聞かせろ、エース・・・おれが親父でよかったか・・・?」と。そして、エースは心の底から「勿論だ!」と答えています。一方、マイナス面としては、プラス面の裏返しで、規律の緩さや居心地の良さによってリーダーもメンバーたちも現状維持を望み、消極的になりがちです。そもそもチームの目標がチームの維持そのものとなってしまい、何かをチームとして成し遂げるという価値観が弱くなります。例えば、白ひげは、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)がある場所への行き方を聞けるチャンスがあった時でも、「聞いても行かねえ」「興味ねえからな」と答えています。白ひげの「興味」は、いっしょにいる船員たち、つまり家族そのもの(家族愛)だけなのです。このファミリー型は、実際の私たちの社会でも、家族経営だけでなく、中小企業、集団登山、護送船団、サークル、マフィアなどで多く見られます。かつて年功序列と終身雇用が維持されていた多くの企業では、このチームモデルが機能していました。しかし、国際的にも国内的にも競争力が求められる昨今の新たな社会構造の中で、このスタイルは限定的な職種(チーム)にしか生かせなくなってきています。家族のように「なあなあ」になってしまったチームのメンバーたちは、現状を批判しにくく、気を遣ってミスや怠けをかばい合い、うやむやにしてしまいます。それほど必死になってチームに貢献しなくなることで、チームとしての競争力を落とすリスクが高まります。さらには、家族的な関係ならではの心理的距離の近さや人間関係の固定化により、長期的には逆に、古株のメンバーが既得権を振りかざしたり、不仲なメンバー同士が足を引っ張り合うなど人間関係が煮詰まるリスクもあります。表2 白ひげ海賊団(ファミリー型)の二面性プラス面マイナス面居心地が良い消極性→チームの競争力の低下、人間関係の煮詰まり「海賊王に、おれはなる!」―フラット型(1)特徴いよいよ、ルフィが率いる麦わらの一味のチームモデルのご紹介です。麦わらの一味は、ルフィを船長(リーダー)として、彼が誘った数人の仲間たちをメンバーとするフラット型です。その特徴は、ルフィの目標(ビジョン)がメンバーに共有されていること(目標達成機能)、メンバーの役割がはっきりしていて役割意識があること、そして仲間意識(友情)があること(集団維持機能)です。ルフィの目標とは、「海賊王に、おれはなる!」との宣言通り、海賊王になることです。そして、そのためにワンピースを手に入れることです。さらに、そのためには仲間を集めて協力して航海することです。このルフィのビジョンを通して、それぞれのメンバーは、自分の目標を達成させようとしています。そして、その目標につながる自分たちの役割が、チームの中ではっきりしています(表3)。そのため、それぞれの状況で最も力を発揮できるメンバーが決定を任され、強い役割意識を求められます。ルフィを含むメンバーたちは、そのメンバーの決定を尊重します。つまり、チームへのそれぞれのメンバーの影響力(フォロワーシップ)がとても強いと言えます。裏を返せば、相対的にルフィによるリーダーシップは弱くなります。つまり、フラット型は、それぞれのメンバーの役割が違うだけで、立ち位置はリーダーもメンバーもフラット、つまり平らであるということです。実際に、ルフィは、メンバーを部下ではなく仲間であるといつも協調しています。また、コックのサンジが剣豪のゾロに彼の刀で料理を手伝わせるシーンでは、サンジはゾロに「黙ってやれ。コックに逆らうと餓死すんぞ」と言っています。このようなメンバーの決定への尊重が、仲間意識(友情)を強めていきます。表3 麦わらの一味のそれぞれの役割と目標役割目標ルフィ船長海賊王になるゾロ剣豪世界一の剣豪になるナミ航海士世界中を航海して自分で世界中の海図を書くウソップ狙撃手勇敢な海の戦士になるサンジコック伝説の海、オールブルーへ行くチョッパー船医何でも治せる医者になる(2)二面性このフラット型にも二面性があります。プラス面としては、目的のためのチームへの批判も含めて言いたいことを言い合える関係が築けることが挙げられます。ピリピリした関係のピラミッド型やベタベタした関係のファミリー型とは違って、リーダーのミスやチームエラーへの指摘に遠慮はありません。なぜなら、彼らは自分の夢や目的を叶えるために集まっているからです。これは、創造的でより強いチームワークを発揮します。一方、マイナス面としては、ルフィのもとに集まった仲間たちは、全員とてもユニークで、一筋縄ではいきません。いざという時には一致団結しますが、平素は性格が合わないので些細なことでしょっちゅうケンカをしています。リーダーやメンバーは批判に耐える図太さも必要です。さらには、リーダー(チーム)と自分の目標(ビジョン)に違いが分かった場合は、チームを去る必要があります。例えば、壊れたゴーイングメリー号(船)を乗り換えるかどうかで、ウソップは、ルフィとやり合い、言います。「おれは傷付いた仲間(船)を置き去りに、この先の海へだって進めねえ」「いいかルフィ、誰でもてめえみたいに前ばっかり向いて生きていけるわけじゃねえ」「お前は海賊王になる男だもんな。おれは何も(そこまで)高みへ行けなくていい」と。ウソップは麦わらの一味を一時期退きます。このようなビジョンの違いは、私たちの職場でも常に起こり得ます。例えば、病院の利益か患者の利益か、臨機応変かマニュアル化か、効率か後輩教育か、家族優先か仕事優先かなど様々にあります。このフラット型は、実際の私たちの社会で、職場のプロジェクトチーム、航空機のコクピットクルー、手術チーム、当直メンバー、チームスポーツなどで多く見られます。10人くらいまでの少人数で、比較的短期間のチームであることが多いです。麦わらの一味も9人で、一時的に2年間ほど航海を休止して、メンバーがそれぞれ修行をするというエピソードもありました。表4 麦わらの一味(フラット型)の二面性プラス面マイナス面言いたいことを言い合える→創造的で強いチームワーク平素は些細なことでケンカビジョンの違いで脱退表5 チームのタイプの違いピラミッド型ファミリー型フラット型モデル海軍白ひげ海賊団麦わらの一味目標達成機能厳しい規律家族の結束ビジョンの共有役割意識集団維持機能上下関係(師弟関係)家族愛仲間意識(友情)実際の例自衛隊消防隊官僚組織公的組織大企業家族経営中小企業集団登山護送船団サークルマフィアプロジェクトチーム航空機のコクピットクルー手術チーム当直メンバーチームスポーツなぜ麦わらの一味は強いのか?これまで、海軍、白ひげ海賊団、麦わらの一味のチームモデルをそれぞれ見てきました。それぞれのプラス面とマイナス面がある中、なぜ麦わらの一味は強いのでしょうか?その答えは、仲間意識(友情)、役割意識、仲間選びの3つです。それでは、これらの理解を深めるため、原始の時代の私たちヒトに遡ってみましょう。(1)仲間意識(友情)ヒトは、700万年前にチンパンジーと共通の祖先から分かれて、体だけでなく、実は心も進化させてきました。その最大の進化とは、アフリカの森から草原に出て以来、食糧を手に入れ猛獣から身を守るため、助け合い、力を合わせたことです(社会脳)。この時、血縁関係を超えて、これらの同じ目的のために協力することを心地良く思う種がより協力して生き残り、子孫を残してきました。この心地良く思う心理こそが、仲間意識(友情)の起源です。多くの人が、友情とは一緒にいる心地良さ(親近感)や好感などの純粋で情緒的なつながりであると思っているでしょう。そして、心地良いから協力して目的を達成するものだと思っているでしょう。しかし、現代の私たちに原始の時代のヒトたちの心理が受け継がれていると考えると、逆なのです。同じ目的(ビジョン)を持つという理性的なつながりがあるから、強い友情が生まれるのです。つまり、協力して目的を達成するからこそ心地良いのです。そして、この心地良さが仲間意識(友情)として麦わらの一味をより強くしていくのです。(2)役割意識友情は、単なる情的なつながりではなく、理性的なつながりがあって初めて強まることが分かりました。実際に、アメリカの大学の寮でルームメイトになった学生たちの友人関係の形成について調べた研究で確かめられています。学業成績の向上という目標に注意が向かう状況(目標あり)とそうでない状況(目標なし)で、それぞれ役に立つ友人と役に立たない友人に対しての親近感を評価しました。その結果、最初の目標なしの状況では親近感にほとんど差がなかったのに対して、その後に目標ありの状況に仕向けるとその親近感に大きな差が出てしまいました。つまり、助け合い(互恵関係)が成り立たない、つまり協力関係によってお互いに得られるものがなければ、友情は表面的なものになってしまうということです。だからと言って、損得勘定で意識的に友人を選んでいるのではありません。私たちヒトの進化の過程で得た心理は、同じ目標を持って協力をする必要がある状況であればあるほど、意識せず意図せずに心地良さ(親近感)がより沸き起こるように遺伝子にプログラムされていると言うことです。よって、友情による見返りというものは、短期的には期待されません。しかし、先の目標を見据えて長期的には期待されます。実際にルフィは、自分が強くなければ仲間から認められなくなると危機感を募らせているシーンが分かりやすいです。この時のルフィのように、仲間の関係(友情)を維持するためにチームに自分のできることをして貢献したいという心理が動機付けられます。この心理が役割意識です。そして、ルフィたちのそれぞれの役割意識が、麦わらの一味をより強くしています。(3)仲間選びルフィの仲間選びに注目してみましょう。最初に仲間になったのはゾロでした。ルフィは、自分よりも弱い者を守るゾロの姿を見て、「いいやつだ」と好感を持ち、自分の仲間になることを勧めています。しかし、ルフィはただ単に「いいやつ」という理由だけでゾロを仲間にしようとしたのでしょうか?ゾロは、もともと「海賊狩りのゾロ」という異名を持ち、魔獣と恐れられていました。そんな彼の剣豪としての腕前や戦闘員としての役割を見込んで、ルフィは仲間に誘ったのです。つまり、仲間としてチームにどう貢献できるかを見抜く目を持つことがリーダーには必要です。逆に先ほどの友情の心理の起源に照らし合わせれば、ルフィはゾロの能力に惚れ込んだからこそ好感を持ったとも言えそうです。ナミは、航海士としての技術を買われ、当初は「手を結ぶ」「手を組む」というビジネスライク(競争的共同)の関係で、仲間に入りました。しかし、その後は仲間意識をより強めて、麦わらの一味の陰のリーダーになっています。ウソップは、それほど能力が高くなかったのですが、仲間になりました。この理由は何でしょう?もちろん、彼は狙撃手としての役割があります。しかし、それ以上に、逆説的にも、彼がネガティブだからです。彼のネガティブさの裏返しでもある慎重さが、ルフィのボジティブ過ぎる暴走を止めるストッパーとしての役割を担っているからです。これは、役割分担と言うよりも、キャラ分担とも言えそうです。こうしてメンバーの性格(パーソナリティ)のバランスがとれ、チームがあまりにも偏った方向に流れる(集団的浅慮)のを防ぐことができます。実際に、メンバーはあまりにも似たり寄ったり(均質性)ではない方が、生産性が高まることが分かってきています。例えば、同性だけの集団より男女混合の集団の方が、集団としての業績が良いという実験結果が出ています。その理由は、同性の集団は競争的になりやすく、男女混合の集団は協調的になりやすいからです。この結果から、現在の男子校や女子校の効果や意義については検証をし直す必要があるかもしれません。某球団のように、他の球団の強打者ばかりを集めても、期待されるほど成績を上げられないことも一例です。また、テレビのお笑いバラエティ番組でも、ボケ役ばかりでも、突っ込み役ばかりでも、盛り上がりに欠けるでしょう。つまり、メンバー選びにおいて、役割だけでなくキャラクターも、チームのバランスを保つ上で大切な見極めのポイントであると言えます。このように、ルフィは誰でも仲間に入れていません。ルフィの適確な仲間選びが、麦わらの一味をより強くしています。ピラミッド型とファミリー型の限界それでは、実際の私たちの職場はどうでしょうか?もともと日本の文化は、儒教の影響を強く受けており、年齢の違いで敬語とタメ語を器用に使い分けるなど上下関係や師弟関係などの縦の関係を当然だと思う傾向が根強いです。とてもピラミッド的です。また、島国という地理的条件、300年近い江戸時代の鎖国、ほぼ単一民族という均質性により、人間関係はとても閉鎖的で集団同調的です。それは「出る釘は打たれる」ということわざが端的に示しています。とてもファミリー的でもあります。さらに、特に医療の現場は、本来、決まったやり方が重視され、医療ミスを起こさないという保守的な要素が強く、革新的なことはためらわれます。フラット的ではありません。このような要素から、今まではピラミッド+ファミリー型の職場が、うまく回っていました。しかし、情報化によって時代が大きく変わってきています。私たち医療者も患者も価値観がより多様化してきています。医療技術が日々進歩し業務が多様化・複雑化し、競争力や創造性が求められています。もはや純粋なピラミッド型やファミリー型の職場では、限界にきていることが分かります。つまり、このままでは、職場の機能が衰退し、現場の空気がどんどんと悪くなっていくことが分かります。職場のフラット化のポイント―表6それでは、最初の疑問に戻りましょう。リーダーとして職場の空気を良くして、活性化するには、どうすればよいでしょうか?それは、現在の職場をよりフラット型に寄せていくこと、つまりフラット化です。ルフィ率いる麦わらの一味から分かったフラット化のポイントをまとめてみましょう。それは、フラットな枠組みをつくること(構造化)、フラットな状態が目に見えること(客観化)、フラット化の限界を示すこと(限界設定)です。(1)フラットな枠組みをつくる―構造化ルフィは、仲間たちと力を合わせて航海し、ワンピースを手に入れ、海賊王になるという未来(ビジョン)を仲間たちに示しています。このように、フラットな枠組みをつくるポイントとして、まず、リーダーがこういう職場にしたいというビジョンを具体的に示すことです。そして、メンバーがそのビジョンに納得することです。例えば、リーダーがメンバーに「あなたには何ができる?」「何が期待されているか?」「リーダーに何を求める?」と確認することです。こうしてビジョンが共有されることで、協力して目標に向かう心地良さである仲間意識(友情)、さらには信頼関係が生まれます。仲間意識の高まりから、メンバーは自分のできることをして貢献したいという役割意識が生まれます。その役割意識によって細かいことはメンバーの裁量に委ねられることで、メンバーは、もはや「やらされてる感」がなくなり、自分の行動に責任を持つようになります。仕事は、単なるノルマやデューティ(義務)などのやらなければならないことではなく(外発的動機付け)、やりたくてやっていること(内発的動機付け)に変わっていきます。例えば、すでに多くの医療機関で取り入れられている受け持ち患者担当制では、この患者のことは一番自分がよく知っている自信や責任感が沸き起こってきます。気持ちの持ち方が違います。また、業務の多様化や専門化が進んでいる中、はっきりとした役割分担は、メンバー同士の仕事の奪い合いや押し付け合いなどの縄張り意識の葛藤を回避することにもつながります。メンバーだけでなく、リーダーも目標に向かって役割を果たしているという姿勢を見せることで、もはやリーダーもメンバーも人としては対等で、職場においての決められた役割が違うだけになります。逆に、最悪なのは、「とにかくリーダーである私の言うことを聞きなさい」という関係です。これは、共有すべきビジョンもメンバーの役割も曖昧です。(2)フラットな状態が目に見える―客観化ルフィたちは言いたいことを言い合い、しょっちゅうケンカをしています。このように、フラットな状態が目に見えるポイントとして、まず、トラブルはオープンにすることです。ただし、主観的で抽象的で感情的にはならず、あくまで客観的で具体的で理性的に伝えることです。例えば、「あなたのやり方はムカつく」と主観的に言えば、感情的に巻き込まれてドロドロになるでしょう。とても、破壊的です。そうではなく、「あなたの○○のやり方は、私の□□の考えとはズレている」「だから△△のやり方にはできない?」と客観的に具体的に、そして建設的に代替案も提案するのです。また、「そんなこともできないの(分からないの)!」と言い放つのではなく、「○○まではやってくれて(理解してくれて)ありがとう」「□□がまだできていない(分からない)理由やその必要性をいっしょに整理しようか?」と持ち掛け、リーダーは状況を整理して、常にメンバーとの妥協点や着地点を見据えることが大切です。さらに、コミュニケーションの風通しを良くしてチームの創造性を活性化させるために、会議では、リーダーを含むメンバーが違う意見や反対意見、間違った質問をわざと言う役割をつくる取り組みがあります。これは「悪魔の擁護者」と呼ばれ、ディベート用語から来ています。根回しによって同調を促す「さくら」とは真逆の役割です。そうすることで、他のメンバーたちも違った意見を言いやすくなり、チームエラーの早期の共有につながります。オープンで透明性の高いチームにするには、メンバーにも公正な判断材料が十分にあり、お互いが客観的にチェックできることが必要です。そのために、例えば、チーム内でのメールは公開し、それぞれの指示などもメンバーがチェックできるようにすることです。また、仕事の評価は、リーダーからメンバーたちだけでなく、メンバーたちからリーダー、メンバーからメンバーにも行うことです(360度査定)。このように、お互いの能力や責任を評価し合うことで、自分は評価しているし評価されているという意識が高まり、他のメンバーだけでなく、自分自身への客観的な視点を得やすくなります。逆に、よくありがちな最悪な例をご紹介しましょう。チームにいる2人の個の強いメンバーが、お互いの批判を他のメンバーに言う場合です。本人には直接は言いません。板挟みとなった他のメンバーに葛藤が生まれ、職場の空気が重苦しくなっています。最悪なのは、この時にリーダーが、この2人に気を使い、批判(=問題点)の解決については、その2人を除いた会議で決定したことにして、うやむやにすることです。これでは「臭い物にふた」で、メンバーたちの葛藤は募る一方です。(3)フラットの限界を示す―限界設定ウソップは、船長(リーダー)のルフィとの妥協できないビジョンの違いを知り、麦わらの一味を一時脱退します。このように、フラットの限界を示すポイントとして、ビジョンが違えばチームを脱退する潔さや割り切りが求められるということです。リーダーは、ピラミッド型のように抑え込んだりしないことです。また、ファミリー型のように、うやむやにしたり、主張の強いメンバーに気を使ったりしないことです。つまり、リーダーはブレないことです。麦わらの一味は、新しいメンバーの加入はあっても、基本的なメンバーは減っていません。そのためか、2年間ほど航海を休止して、メンバーがそれぞれ修行をする時期があります。このように、メンバーの入れ替え(流動化)を定期的にしたり、チームを一時解散することで、リーダーを含むメンバーがチームにいる期間を限定させることが必要です。その理由は、時が経つにつれて、チームがファミリー化して、煮詰まり(硬直化)、老いる(衰退)のを防ぐためです。個人の老いがあるのと同じように、チーム(集団)にも老いがあります。もっと言えば、集団にも、幼い時(小児期)、盛りの時(成人期)、そして老いの時(老年期)というそれぞれの発達段階を経る発達モデルがあります(グラフ)。小児期はピラミッド的、成人期はフラット的、そして老年期はファミリー的と言えそうです。リーダーシップがリーダーからメンバーへの影響力であるのに対して、フォロワーシップはフォロワー(メンバー)からリーダーへの影響力であると言えます。老年期のフォロワーシップの高まりは、一見チームワークが高まるように思われがちですが、実際は、メンバーのそれぞれのフォロワーシップがぶつかり合い、チームとしては収集がつかなくなり、チームワークを低めます。つまり、たとえその時にどんなにチームワークがうまくいっているように思えても、やがてチームの老い(老年期)が訪れることを予測し、チームを定期的に一新していくこと(変革のタイミング)が必要です。例えば、リーダーもメンバーも、3年から5年でチーム(職場)を順番に変えることです。先ほどの例の不仲な2人への限界設定は、構造化や客観化をしても改善が見られなければ、その時こそ2人が職場を移動する変革のタイミングであるということです。表6 フラット化のポイント例構造化リーダーがビジョンを具体的に示すメンバーがビジョンへの取り決めに納得する細かいことはメンバーの裁量に委ねる客観化トラブルが起きたらオープンにする客観的で具体的で理性的に伝える違う意見や反対意見、間違った質問をわざと言う役割をつくるリーダーを含むメンバーがお互いをチェックし評価する限界設定ビジョンが違えばチームを脱退するリーダーを含むメンバーがチームにいる期間を限定させる「ひとつなぎの秘宝(ワンピース)」とは?ワンピースは、かつての海賊王ゴールド・ロジャーが遺した「ひとつなぎの秘宝(ワンピース)」を探し求める冒険の旅物語です。最後にルフィたちが手に入れるその秘宝とは、冒険の先々で出会った仲間たちとの「つながり」でもあるような気がしてきます。また、ワンピースのストーリーでは、海賊王ゴールド・ロジャーは次の世代に夢を託していますし、子どもの時のルフィを救い左腕を失った赤髪のシャンクスはルフィに自分の麦わら帽子を託しています。つまり、その秘宝とは、描いた同じ未来(ビジョン)を託すことのできる次世代との「つながり」そのものでもあるような気がします。私たちも人生という冒険の旅の主人公です。人生の大きな部分を占める職場においても、このつながりを意識してこそ良い仕事ができます。ルフィから学ぶことは、より良いチームワークのためには、現在の自分の属する職場のあり方を見つめ直し、3つのチームモデルのどの要素を重視すればよいかを見極めていくことではないでしょうか。1)山口裕幸:チームワークの心理学、サイエンス社、2008年2)釘原直樹:グループ・ダイナミックス、有斐閣、2011年3)北村英哉・大坪康介:進化と感情から解き明かす社会心理学、有斐閣アルマ、2012年4)安田雪:ルフィの仲間力、アスコム、2011年5)安田雪:ルフィと白ひげ、アスコム、2012年5)富田英太、藤岡良亮:「ワンピース」はなぜ人の心をつかむのか、ベストブック、2011年

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気管支喘息の診察中に容態急変し10日後に脳死と判定された高校生のケース

自己免疫疾患最終判決判例時報 1166号116-131頁概要約10年来気管支喘息と診断されて不定期に大学病院などへ通院していた男子高校生の症例。しばらく喘息発作は落ち着いていたが、早朝から喘息発作が出現したため、知人から入手した吸入器を用いて気管支拡張薬を吸入した。ところがあまり改善がみられないため某大学病院小児科を受診。診察時チアノーゼ、肩呼吸がみられたため、酸素投与、サルブタモール(商品名:ベネトリン)の吸入を行った。さらにヒドロコルチゾン(同:ソル・コーテフ)の静注を行おうとした矢先に突然心停止・呼吸停止となり、ただちに救急蘇生を行ったが低酸素脳症となり、約10日後に脳死と判定された。詳細な経過患者情報約10年来気管支喘息と診断されて不定期に大学病院などへ通院していた男子高校生経過1978年(4歳)頃 気管支喘息を発症し、病院を転々として発作が起きるたびに投薬を受けていた。1988年(14歳)8月19日某大学病院小児科受診。8月20日~8月27日ステロイド剤からの離脱と発作軽減の目的で入院。診断は気管支喘息、アトピー性皮膚炎。IgE RAST検査にて、ハウスダスト(3+)、ダニ(3+)、カモガヤ(3+)、小麦(1+)、大豆(1+)であったため、食事指導(小麦・大豆除去食)、アミノフィリン(同:ネオフィリン)静注により発作はみられなくなり、ネオフィリン®、オキサトミド(同:セルテクト(抗アレルギー剤))経口投与にて発作はコントロールされた。なお、経過中に呼吸機能検査は一度も施行せず。また、簡易ピークフローメーターも使用しなかった。10月20日喘息発作のため2日間入院。11月20日喘息発作のため救急外来受診。吸入用クロモグリク(同:インタール)の処方を受ける(途中で中止)。12月14日テオフィリン(同テオドール)の処方開始(ただし患者側のコンプライアンスが悪く不規則な服用)。1989年4月22日喘息発作のため4日間入院。6月6日プロカテロール(同:メプチン)キッドエアーを処方。1990年3月9日メプチン®キッドエアーの使用法に問題があったので中止。4月高校に入学と同時に発作の回数が徐々に少なくなり、同病院への通院回数・投薬回数は減少。母親は別病院で入手した吸入器を用いて発作をコントロールしていた。1991年6月7日同病院を受診し小発作のみであることを申告。ベネトリン®、ネオフィリン®、インタール®点鼻用などを処方された。8月17日07:30「喘息っぽい」といって苦しそうであったため知人から入手していた吸入器を用いて気管支拡張薬を吸入。同時に病院からもらっていた薬がなくなったため、大学病院小児科を受診することにした。09:00小児科外来受付に独歩にて到着。09:10顔色が悪く肩呼吸をしていたため、順番を繰り上げて担当医師が診察。診察時、喘息発作にあえぎながらも意識清明、自発呼吸も十分であったが、肺野には著明なラ音が聴取された。軽度のチアノーゼが認められたため、酸素投与、ベネトリン®の吸入を開始。09:12遅れて到着した母親が「大丈夫でしょうか?」と尋ねたところ、担当医師は「大丈夫、大丈夫」と答えた。09:15突然顔面蒼白、発汗著明となり、呼吸停止・心停止。ただちにベッドに運び、アンビューバック、酸素投与、心臓マッサージなどの蘇生開始。09:20駆けつけた救急部の医師らによって気管内挿管。アドレナリン(同:ボスミン)静注。09:35心拍再開。10:15人工呼吸を続けながら救急部外来へ搬送し、胸部X線写真撮影。10:38左肺緊張性気胸が確認されたため胸腔穿刺を施行したところ、再び心停止。ただちにボスミン®などを投与。11:20ICUに収容したが、低酸素脳症となり意識は回復せず。8月27日心停止から10日後に脳死と判定。10月10日11:19死亡確認。当事者の主張患者側(原告)の主張1.大学病院小児科外来に3年間も通院していたのだから、その間に呼吸機能検査をしたり、簡易ピークフローメーターを使用していれば、気管支喘息の潜在的重症度を知り、呼吸機能を良好に維持して今回のような重症発作は予防できたはずである2.発作当日も自分で歩いて受診し、医師の目前で容態急変して心停止・呼吸停止となったのだから、けっして手遅れの状態で受診したのではない。呼吸停止や心停止を起こしても適切な救急処置が迅速に実施されれば救命できたはずである病院側(被告)の主張1.日常の療養指導が十分であったからこそ、今回事故前の1年半に喘息発作で来院したのは1度だけであった。このようにほとんど喘息発作のない患者に呼吸機能検査をしたり、簡易型ピークフローメーターを使用する必要性は必ずしもなく、また、困難でもある2.小児科外来での治療中に急激に症状が増悪し、来院後わずか5分で心停止を起こしたのは、到底予測不可能な事態の展開である。呼吸停止、心停止に対する救急処置としては時間的にも内容的にも適切であり、また、心拍動が再開するまでに長時間を要したのは心衰弱が原因として考えられる裁判所の判断1.当時喘息発作は軽快状態にあり、ほとんど来院しなくなっていた不定期受診患者に対し呼吸機能検査の必要性を改めて説明したうえで、発作のない良好な時期に受診するよう指導するのは実際上困難である。簡易型ピークフローメーターにしても、不定期に受診したり薬剤コンプライアンスの悪い患者に自己管理を期待し得たかはかなり疑問であるので、慢性期治療・療養指導に過失はない2.小児科外来のカルテ、看護記録をみると、容態急変後の各処置の順序、時刻なども不明かつ雑然とした点が多く、混乱がみられる点は適切とはいえない。しかし、急な心停止・呼吸停止など救急の現場では、まったく無為無能の呆然たる状態で空費されているものではないので、必ずしも血管ルート確保や気道確保の遅延があったとはいえない患者側7,080万円の請求を棄却(病院側無責)考察このケースは結果的には「病院側にはまったく責任がない」という判決となりましたが、いろいろと考えさせられるケースだと思います。そもそも、喘息発作を起こしながらも歩いて診察室まできた高校生が、医師や看護師の目の前で容態急変して救命することができなかったのですから、患者側としては「なぜなんだ」と考えるのは十分に理解できますし、同じ医師として「どうして救えなかったのか、もしやむを得ないケースであったとしても、当時を振り返ってみてどのような対処をしていれば命を助けることができたのか?」と考えざるを得ません。そもそも、外来受診時に喘息重積発作まで至らなかった患者さんが、なぜこのように急激な容態急変となったのでしょうか。その医学的な説明としては、paradoxical bronchoconstrictionという病態を想定すればとりあえずは納得できると思います。これは気管支拡張薬の吸入によって通常は軽減するはずの喘息発作が、かえって死亡または瀕死の状態を招くことがあるという概念です。実際に喘息死に至ったケースを調べた統計では、むしろ重症の喘息とは限らず軽・中等症として経過していた症例に突然発症した大発作を契機として死亡したものが多く、死亡場所についても救急外来を含む病院における死亡例は全体の62.9%にも達しています(喘息死委員会レポート1995 日本小児アレルギー学会)。したがって、初診からわずか5分程度で容態が急変し、結果的に救命できなかったケースに対し「しょうがなかった」という判断に至ったのは、(同じケースを担当した場合に救命できたかどうかはかなり心配であるので)ある意味ではほっと胸をなで下ろすことができると思います。しかし、この症例を振り返ってみて次に述べるような問題点を指摘できると思います。1. 発作が起きた時にだけ来院する喘息患者への指導方針気管支喘息で通院している患者さんのなかには、決まったドクターを主治医とすることなく発作が起きた時だけ(言葉を換えると困った時にだけ)救急外来を受診するケースがあると思います。とくに夜間・深夜に来院し、吸入や点滴でとりあえずよくなってしまう患者さんに対しては、その場限りの対応に終始して昼間の外来受診がなおざりになることがあると思います。本来であればきちんとした治療方針に基づいて、適宜呼吸機能検査(本ケースでは経過中一度も行われず)をしたり、定期的な投薬や生活指導をしつつ発作のコントロールを徹底するべきであると思います。本件では、勝手に吸入器を入手して主治医の知らないところで気管支拡張薬を使用したり、処方した薬をきちんと飲まないで薬剤コンプライアンスがきわめて悪かったなど、割といい加減な受療態度で通院していた患者さんであったことが、医療側無責に至る判断に相当な影響を与えたと思います。しかし、もしきちんと外来受診を行って医師の指導をしっかり守っていた患者さんであったのならば、まったく別の判決に至った可能性も十分に考えられます(往々にして裁判官が患者に同情すると医師側はきわめて不利な状況になります)。したがって、都合が悪くなった時にだけ外来受診するような患者さんに対しては、「きちんと昼間の通常外来を受診し、病態評価目的の検査をするべきである」ことを明言し、かつそのことをカルテに記載するべきであると思います。そうすれば、病院側はきちんと患者の管理を行っていたとみなされて、たとえ結果が悪くとも責任を追及されるリスクは軽減されると思います。2. 喘息患者を診察する時には、常に容態急変を念頭におくべきである本件のように医師の目前で容態急変し、為すすべもなく死の転帰をとるような患者さんが存在することは、大変残念なことだと思います。判決文によれば心肺停止から蘇生に成功するまで、病院側の主張では20~25分程度、患者側主張(カルテの記載をもとに判断)では30~35分と大きな隔たりがありました。このどちらが正しいのか真相はわかりませんが(カルテには患者側主張に沿う記載があるものの、担当医は否定し裁判官も担当医を支持)、少なくとも10分以上は脳血流が停止していたか、もしくは不十分であった可能性が高いと思います。したがってもう少し早く蘇生に成功して心拍が再開していれば、低酸素脳症やその後の脳死状態を回避できた可能性は十分に考えられると思います。病院側が「その間懸命な蘇生努力を行ったが、不可抗力であった。時間を要したのは心衰弱が重篤だったからだ」と主張する気持ちは十分に理解できますが、本件では容態急変時に外来担当医がそばにいて(患者側主張では放置されたとなっていますが)速やかな気管内挿管が行われただけに、やりようによってはもう少し早期の心拍再開は可能であったのではないでしょうか。本件を突き詰めると、心臓停止の間も十分な換気と心臓マッサージによって何とか脳血流が保たれていれば、最悪の結果を免れることができたのではないかと思います。また、判決文のなかには触れられていませんが、本件で2回目の心停止を起こしたのは緊張性気胸に対する穿刺を行った直後でした。そもそも、なぜこのような緊張性気胸が発生したのかという点はとくに問題視されていません。もしかすると来院直後から気胸を起こしていたのかも知れませんし、その後の蘇生処置に伴う医原性の気胸(心臓マッサージによる損傷か、もしくはカテラン針によるボスミン®心腔内投与の際に誤って肺を穿刺したというような可能性)が考えられると思います。当時の担当医師らは、目の前で容態急変した患者さんに対して懸命の蘇生を行っていたこともあって、心拍再開から緊張性気胸に気付くまで約60分も要しています。後方視的にみれば、この緊張性気胸の状態にあった60分間をもう少し短縮することができれば、2回目の心停止は回避できたかもしれませんし、脳死に至るほどの低酸素状態にも陥らなかった可能性があると思います。病院側は最初の心停止から心拍再開まで20~25分要した原因もいったん再開した心拍動が再度停止した原因も「心衰弱の程度が重篤であったからだ」としていますが、それまでたまに喘息発作がみられたもののまったく普通に生活していた高校生にそのような「重篤な心衰弱」が潜在していたとは到底思えませんので、やはり緊張性気胸の影響は相当あったように思われます。3. 医師の発言裁判では病院側と患者側で「言った言わない」というレベルのやりとりが随所にみられました。たとえば、母親(顔色がいつもとまったく違うのに気付いたので担当医師に)「大丈夫でしょうか」医師「大丈夫、大丈夫」(そのわずか3分後に心停止となっている)母親(吸入でも改善しないため)「先生、もう吸入ではだめじゃないですか、点滴をしないと」医師「点滴をしようにも、血管が細くなっているので入りません」母親「先生、この子死んでしまいます。何とかしてください」(その直後に心停止)このような会話はどこまでが本当かはわかりませんが、これに近い内容のやりとりがあったことは否めないと思います。担当医は、患者およびその家族を安心させるために「大丈夫、大丈夫」と答えたといいますが、そのわずか数分後に心停止となっていますので、結果的には不適切な発言といわれても仕方がないと思います。医事紛争に至る過程には、このような医師の発言が相当影響しているケースが多々見受けられますので、普段の言葉使いには十分注意しなければならないと痛感させられるケースだと思います。自己免疫疾患

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内科医と精神科医との連携が、通院患者の健康不安を改善/Lancet

 慢性疾患で通院中の患者の健康不安に対する認知行動療法は、不安症やうつ病への持続的な効果があることが多施設無作為化試験の結果、示された。コストへの有意な影響はなかったという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのPeter Tyrer氏らが報告した。これまで、健康不安を訴え精神科部門に紹介受診する患者について、セラピストによる専門的な認知行動療法により、一部ではあるが特異的なベネフィットがあることが報告されていた。しかし通院治療中の患者に対する効果については、きちんと検討されたことはなかったという。Lancet誌オンライン版2013年10月18日号掲載の報告より。1年時点の健康不安改善状況と、2年間のコスト面について評価 本検討は、有効性が示されたパイロット試験を踏まえて行われた。試験は、2次機能を有する医療機関において循環器、内分泌・代謝、消化器、脳神経、呼吸器の部門に通院中の健康不安を有する16~75歳の患者を対象とした多施設無作為化試験であった。被験者は、病院周辺の地域住民で、慢性疾患で通院中の、病状が安定している患者を対象とした。 適格患者となった患者はコンピュータで無作為に、通院先の病院のセラピストによる認知行動療法(5~10回のセッション)を受ける群と通常の治療のみを受ける群に割り付けられ追跡を受けた。 主要アウトカムは、1年時点の健康不安症状の変化(Health Anxiety Inventory[HAI]で評価)であった。また主要副次仮説として、2年間の健康・社会的ケアコストの総額に差異がないこと(同等性マージン:150ポンド)についても評価した。健康不安の標準レベルへの改善達成、認知行動療法群が通常ケア群の約2倍 21ヵ月間(2008年10月~2020年7月)に2万8,991例の患者がスクリーニングを受け、444例が無作為化された(認知行動療法群219例、通常ケア群225例)。このうち主要評価には、認知行動療法群205例、通常ケア群212例が組み込まれた。 結果、1年時点の健康不安の改善は、認知行動療法群のほうが通常ケア群よりも2.98ポイント高かった(95%信頼区間[CI]:1.64~4.33、p<0.0001)。健康不安が標準レベルに改善した人の割合は、認知行動療法群のほうが通常ケア群より約2倍多かった(13.9%vs. 7.3%、オッズ比[OR]:2.15、95%CI:1.09~4.23、p=0.0273)。同様の差は、6ヵ月時点、また2年時点でもみられた。 また全般的不安(HADS-Aで評価)も改善がみられ、うつ病も健康不安でみられたほどの差はないが認知行動療法群での改善がみられた。 死亡は9例で、6例が通常ケア群であった。死亡は全例、既往の疾患によるものであった。 社会的機能や健康関連QOLについては、両群で有意な差はみられなかった。 2年間の総コストについて同等性は得られなかったが、有意差はなかった(補正後平均差156ポンド、p=0.848)。

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汚染メチルプレドニゾロン注射による真菌感染症、詳細が明らかに/NEJM

 米国で発生した汚染されたメチルプレドニゾロン酢酸エステル注射が原因の真菌感染症集団発生の患者について詳細が報告された。末梢関節感染が認められない人のうち、中枢神経系感染症は81%であり、また、E. rostratum(エクセロヒルム・ロストラツム)が検出されたのは36%だったことなどが明らかにされた。米国疾病管理予防センター(CDC)のTom M. Chiller氏らが、症例数が最も多かった6州の患者の診療記録を調査し明らかにしたもので、NEJM誌2013年10月24日号で発表した。なお、主な集団発生関連病原体のE. rostratumが原因の感染症については、その詳細はあまり明らかになっていないのが現状だという。症例数が多かった、フロリダ、インディアナなど6州の患者診療記録を調査 研究グループは、報告された真菌感染症の症例数が最も多かった、フロリダ、インディアナ、ミシガン、ニュージャージー、テネシー、バージニアの6州について、2012年11月19日までにCDCに報告された集団発生に関する診療記録を調査した。末梢関節の感染がある人は除外した。 臨床分離株と組織検体について、ポリメラーゼ連鎖反応法と免疫組織化学的検査を行い、病原菌の同定を行った。硬膜外膿瘍などの非CNS感染症、集団発生の後期に発生頻度増加 その結果、被験者328例のうち、中枢神経系(CNS)感染症が認められたのは81%にあたる265例で、非CNS感染症のみが認められたのは63例(19%)だった。 検体が入手可能だった268例のうち、96例(36%)でE. rostratumが検出された。 CNS感染症が認められた人において、脳卒中の発症は、脳脊髄液中の白血球数値が高く、グルコース値が低いことと関連していた。(p<0.001)。 非CNS感染症は、メチルプレドニゾロン注射の最終投与から診断までの日数中央値が、硬膜外膿瘍が39日、脳卒中が21日と、集団発生の後期に発生頻度が高かった。また、こうした非CNS感染症は、髄膜炎を伴う場合と伴わない場合があった。

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洗口剤や歯周病治療の併用で胃内H.pylori除菌率UP

 アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン3剤併用療法による胃内ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori、以下HP)除菌療法は、洗口剤や歯周病治療を併用し、口腔内HP感染率を減少させることで、胃内HP除菌率が有意に高まることが、中国医科大学附属盛京医院のHan-Yi Song氏らによる研究で明らかになった。World journal of gastroenterology誌2013年10月21日号の報告。 本研究の目的は、胃内HP除菌成功に口腔内HPが及ぼす影響について検討することである。 対象は、消化不良を訴える患者391人。HP感染の診断には、唾液HP抗原検査(HPS)、13C尿素呼気試験(UBT)を用いた。胃内HP感染を認めた233人を、口腔内HP感染の有無と治療内容により以下の4群に割り付けた。 <口腔内HP(-) 胃内HP(+)>   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン           : A群(53人) <口腔内HP(+) 胃内HP(+)>   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン           : B群(53人)   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン+洗口剤       : C群(65人)   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン+洗口剤+歯周病治療 : D群(62人)治療終了から4週後に再度HPSおよびUBTを行い、各群の胃内HP除菌率と口腔内HP感染率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・各群の胃内HP除菌率は、以下のとおりであった(p値は対B群)。   A群:93.3%(p=0.039)   B群:78.4%   C群:90.0%(p=0.092)   D群:94.7%(p=0.012)・胃内HP除菌率は、内用薬のみの群よりも、内用薬に洗口液や歯周病治療を併用した群のほうが有意に高かった。・治療後の口腔内HP感染率は、以下のとおりであった(p値は対B群)。   A群:0%  (p<0.0001)   B群:76.5%   C群:53.3%(p=0.011)   D群:50.9%(p=0.006)・口腔内HP感染率は、内用薬に洗口剤のみ併用した群、内用薬に洗口剤と歯周病治療を併用した群で有意に減少した。

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腰痛患者にダイエットシューズはお薦めできない

 この10年、ロッカーソール(ロッキングチェアのように揺れる不安定な靴底)シューズは腰痛を軽減すると宣伝され続けているが、その強力なエビデンスはない。フラットソールシューズと比較した無作為化臨床試験の結果、慢性腰痛患者の障害と痛みに対するロッカーソールシューズの有用性は示されなかった。英国・チェルシー&ウェストミンスター病院のCatharine Sian Macrae氏らは、起立または歩行によって悪化する腰痛にはフラットソールシューズのほうがより有益である、と結論づけている。Spine誌2013年10月15日の掲載報告。 研究グループは、腰痛患者の治療の一部としてのロッカーソールシューズと従来のフラットソールシューズの有効性を比較する多施設共同の無作為化比較試験を行った。 対象は慢性腰痛患者115例で、ロッカーソール群(58例)とフラットソール群(57例)に無作為に割付け(主任研究者は盲検)、毎日最低2時間起立または歩行中にそれぞれのシューズを履いてもらった。最初の4週間は、週に1回、運動および教育プログラムに参加し、その活動中にも履くこととした。 主要評価項目は、1年後のローランド・モリス障害質問票(RMDQ)スコアであった。  主な結果は以下のとおり。・1年間のRMDQスコア変化量平均値は、ロッカーソール群-3.1(95%信頼区間[CI]:-4.5~-1.6)、フラットソール群-4.4(同:-5.8~-3.1)であった。・最小限の臨床的に重要な障害の改善が得られたと報告した患者の割合は、6ヵ月時点でフラットソール群がロッカーソール群に比べ有意に高かった(53.2% vs 31.1%、p=0.03)。 ・上記以外のRMDQスコアおよび疼痛などの副次的評価項目は、どの評価時点においても両群間で有意差は認められなかった。・試験開始前に起立時や歩行時の疼痛を有していた患者を対象とした解析では、1年間のRMDQスコア変化量平均値は、フラットソール群(-4.4、95%CI:-6.0~-2.8、29例)がロッカーソール群(-2.0、同:-3.6~-0.4、30例)より有意に大きかった(p<0.05)。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する

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日本の高齢者てんかん新規発症、半数以上が原因不明:産業医大

 新規発症の日本人高齢者てんかんは、側頭葉てんかん例が最も多いが、病因が不明な非損傷性患者は52.8%に上ることが明らかにされた。治療については、抗てんかん薬1年以上服用者の96.3%で発作抑制が認められたという。産業医科大学の田中 章浩氏らが、過去6年間の電子カルテデータから特定した70例について分析した結果、報告した。Seizure誌2013年11月号の掲載報告。 疫学研究において、てんかんの罹患率が高齢者集団で最も高いことが示されている。研究グループは、急速に高齢化社会が進む中、高齢者てんかんは世界的に重要な健康問題であるとして本検討を行った。3次医療機関である同大学関連病院におけるてんかん治療部門の過去6年間にわたる電子カルテデータを検索し、高齢者(65歳以上)のてんかん患者を特定した。患者は全員、病歴聴取と身体診察、3T-MRIもしくはCT(またはその両方)、脳波(EEG)の検査を受けていた。てんかんの診断名、発症年齢、病因、抗てんかん薬投与の記録について分析した。 主な結果は以下のとおり。・過去6年で、65歳以降に新規てんかんを発症した患者は70例であった。・新規発症例の平均年齢は73.1歳であり、52.9%が男性であった。・二次性全般化発作を伴わない複雑部分発作(CPS)の頻度が最も高かった(33例、47.1%)。・側頭葉てんかんと診断された例が最も多かった(50例、71.4%)。・病因学的診断が、脳血管障害のある患者を含む50%近くの患者について可能であった。・52.8%の患者については、てんかんの明らかな原因が不明(非損傷性てんかんなど)であった。・72.9%(51例)の患者において、発作間欠期の脳波に焦点性てんかん様発射が認められた。・1年超の追跡が可能であった54例の患者のうち、42例(77.8%)が抗てんかん薬の単独療法を受けていた。そして52例(96.3%)は発作が1年以上起きていなかった。関連医療ニュース 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は? レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院 てんかんにVNSは有効、長期発作抑制効果も

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災害時にツイッターは有用か【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第6回

災害時にツイッターは有用か2011年3月11日に起こった東日本大震災の爪痕は2年以上経過した今もまだ深く残っており、当時のことを思い返すだけでつらい思いをされる方もたくさんいることでしょう。決して忘れてはならない災害だと切に思います。災害と最近普及しているソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の関連についての論文をご紹介します。私もFacebookは使用しておりますが、ツイッターやLINEなどは使ったことがありません。何を隠そう、私はまだガラケー(ガラパゴス携帯)なのです。最近は病棟でもスマートフォンやタブレットを出して医療用アプリケーションを起動させている医師も増えましたが、私は全部手書きのメモ帳という恐るべきアナログ派でもあります。羨ましいと思う一方で、「オレはまだまだガラケーだ!」と意気込んでいる自分もいます。Umihara J, et al.Emergent Use of Twitter in the 2011 Tohoku Earthquake.Prehosp Disaster Med. 2013;28:434-440. Epub 2013 Jul 24.東日本大震災で被害を受けた人が使用したツイッターについて調べた最近の論文があります。これは、1,144人のボランティアに質問した内容に基づいた報告です。ツイッターの心理学的な効果を検証しました。その結果、当然ですが非被災者と比較して被災者はツイッターから災害の確かな情報を得ていた人が多いことがわかりました。また女性の場合、非被災者と比較してツイッターによる心理学的な影響(安心感やストレスなど)が大きかったと報告されています。ただし、男性に限ってはツイッターの使用によってストレスのみを感じることが多かったという結果でした。すなわち、性別を問わず災害時にツイッターを使用することで精神的な影響が伝播する可能性が高いと考えられました。この論文では男女で多少の差があったものの、ツイッターが心理学的にこうした影響を与えることはとても興味深いですね。最近はツイッターだけでなくFacebookやLINEなどの他者とのつながりが“カスタマイズ”できるSNSが普及しているため、青少年への影響も少なからず社会問題視されています。しかし、災害時にいち早く情報を受け取ることができるのがツイッターの強みだと思います。テレビやラジオでは一回線ずつの情報しか得ることができませんが、ツイッターの場合は情報の信頼性には差はありこそすれ、複数からの情報を得ることができます。私の患者さんでツイッターを最も使っているのはの患者さんだと思います。悪性疾患や慢性疾患などの場合、ツイッターを通して同じ境遇の患者さんや専門家とつながることのメリットもあるかもしれません(BMC Res Notes. 2012 Dec 27;5:699.)。

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骨粗鬆症でない一般住民へのビタミンD補充/Lancet

 骨粗鬆症でない一般住民へのビタミンD補充はベネフィットが少ないことが、ニュージーランド・オークランド大学のIan R Reid氏らのシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。著者は「ビタミンD欠乏症に対する特異的なリスク因子のない一般住民は、骨粗鬆症予防目的でビタミンDを常用する必要がないことが示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年10月10日号掲載の報告より。一般住民に対するビタミンD補充が骨密度に及ぼす影響をメタ解析 レビューは、Web of Science、Embase、Cochrane Databaseをソースに、2012年7月8日までに公表された、ビタミンD(D3またはD2、ビタミンD代謝物は除く)の骨密度への影響について評価した無作為化試験を対象とした。試験は、異なるビタミンD含有量を比較している試験、被験者が骨粗鬆症などの代謝性骨疾患を有していない成人(平均年齢20歳超)を含む試験のみを対象とした。 主要エンドポイントは、ベースライン時からの骨密度の変化(%)。ベネフィットが示されたのは大腿骨頸部のみ 3,930試験が検索でヒットし、そのうち23試験(平均試験期間23.5ヵ月、被験者4,082例、女性92%、平均年齢59歳)が適格基準を満たし解析に組み込まれた。19試験は、主に白人集団を対象とした試験だった。 8試験・1,791例の被験者の、ベースライン時の平均血清25-ヒドロキシビタミンD値は50nmol/L未満だった。また、10試験・2,294例の被験者は、ビタミンDの1日投与量が800 IU未満だった。 各試験の骨密度の測定は、5部位(腰椎、大腿骨頸部、股関節、転子、全身、前腕)のいずれか1部位で行われていた。統計的有意差の検証試験は70種類にわたっていた。 結果、骨密度に有意なベネフィットがあることが示されていたのは6試験(うち複数部位でのベネフィットが示されていたのは1試験のみ)で、有意な有害性(全身、p≦0.05)が2試験で示され、残りの試験は有意性が示されていなかった。 部位別の解析では、大腿骨頸部でわずかなベネフィットが示された(13試験、加重平均差:0.8%、95%信頼区間[CI]:0.2~1.4、試験間の異質性:I2=67%、p<0.00027)。ただし著者は、本結果にはプラスのバイアスがかかっているとしている。同様のバイアスは股関節部位の解析においてもみられたが、同部位を含め、その他の部位ではベネフィットがあることは示されなかった。 また、良好なアウトカムを示していた5試験のうち3試験は、被験者のベースライン時の25-ヒドロキシビタミンD値が低値だった(26、29、36nmol/L)。

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脳卒中の国別発症率:貧富の差が発症率の差に/Lancet

 過去20年間の脳卒中の疾患負荷について世界的および各国の状況を調べた結果、年齢標準化した死亡率は世界的に減少した一方で、脳卒中の発症者数、生存者数、関連死、および全身的な疾患負荷(障害調整生命年[DALY]損失)は大きく増大していることが報告された。国別では、高所得国で発生が減少した一方、低・中所得国では発生が増大し、とくに同国では小児~中高年(65歳未満)の増大が顕著であることも明らかにされた。ニュージーランド・オークランド工科大学のValery L Feigin氏らが、世界疾病負担研究(GBD)2010のデータおよび解析手法を基に1990~2010年に発表された研究調査論文119本のデータを分析して明らかにした。GBD 2010では、脳卒中が世界の死亡原因の第2位であることが明らかにされたが、大半の地域の発生率、有病率、死亡率、障害や疫学的傾向については評価されなかった。Lancet誌オンライン版2013年10月24日号掲載の報告より。1990年から2010年の世界各国の脳卒中の動向を分析 分析は、Medline、Embase、LILACS、Scopus、PubMed、Science Direct、Global Health Database、WHO libraryとWHOの関連地域データベース(1990~2012年)を検索し、1990~2010年に発表された関連研究を特定して行われた。GBD 2010の解析手法(DisMod-MR)を適用して、1990年、2005年、2010年時点の、地域および特定の国の脳卒中の発生率、有病率、死亡率、年齢ごと(75歳未満、75歳以上、全体)にみたDALYの損失、また国の所得レベル(高所得国、低・中所得国)について調べた。 解析には119本の研究報告が組み込まれた(高所得国報告58本、低・中所得国報告61本)。死亡率は低下、しかし疾患負荷は増大し、とくに低・中所得国の負荷が大きい 1990~2010年の間の脳卒中の年齢標準化発生率は、高額所得国では有意に12%(95%CI:6~17)減少した一方、低・中所得国では、有意ではなかったが12%(同:-3~22)増大していた。 死亡率は、全体で有意に25%低下し、高所得国(37%)、低・中所得国(20%)共に有意に低下していた。 しかし、1990年と比べて2010年では、初発脳卒中発症者(1,690万例、40%増)、脳卒中生存者(3,300万例、46%増)、脳卒中関連死(590万例、20%増)、DALY損失者(1億200万例、16%増)がいずれも有意に増大していた。また低・中所得国での負荷が大きい(脳卒中発生の68.6%、脳卒中罹患者の52.2%、脳卒中死の70.9%、DALY損失の77.7%)ことも明らかになった。 また、2010年における、小児(20歳未満)と若者・中高年(20~64歳)の脳卒中例は520万(31%)で、低・中所得国がその大半を占めていた。同国の小児発生例は7万4,000例(89%)、若者・中高年では400万例(78%)であった。 さらに、GBDでみた地域および国の間には、脳卒中の負荷に関する3~10倍の有意な地理的相違があることも認められた。 脳卒中新規発症者(62%)、脳卒中罹患者(69.8%)、脳卒中死(45.5%)、脳卒中によるDALY損失者(71.7%)は、75年未満者のほうが多かった。 今回の結果を踏まえて著者は「脳卒中の原因と負荷の理解を世界的に向上させること、また所得レベルが異なる国の間における脳卒中負荷の格差の原因と改善の要因を明らかにするために、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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日焼けマシーン、体内がんリスクとは無関係

 日焼けマシーンと体内がんリスクとは無関係であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMingfeng Zhang氏らが20年間、7万人以上の看護師コホートを追跡調査した結果、報告した。屋内での日焼けが皮膚がんリスクを増大するという知見は人々の注目を集めたが、一方で日焼けマシーンの使用はビタミンD産生を増大することが実証され、体内がんを予防する可能性もあった。Cancer Epidemiology, Biomarkers& Prevention誌オンライン版2013年10月15日号の掲載報告。 研究グループは、看護師健康調査IIの20年間(1989~2009年)の女性被験者7万3,358例を追跡し、高校・大学時代と25~35歳時の日焼けマシーン使用の頻度を調べ、すべてのがん(皮膚がんは除く)の発生との関連を調べた。 多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、すべてのがんおよび100例以上を認めた主要がんについて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡調査期間中、4,271例が体内がんを診断されていた。・日焼けマシーン使用と全がんリスクとの関連はみられなかった(多変量補正後HR:0.99、95%CI:0.95~1.04/高校・大学時代と25~35歳時の日焼けマシーン使用の頻度は年平均4回)。・主要ながん(乳がん、甲状腺がん、大腸がん、非ホジキンリンパ腫、子宮体がんなど)との関連もみられなかった。・結果を踏まえて著者は、「日焼けマシーン使用による、皮膚がんリスク増大の強いエビデンスと体内がんリスク減少のエビデンスはないという結果に基づいて、屋内での日焼けに対する警告を市民にすることが重要である」と述べている。

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非定型うつ病ではメタボ合併頻度が高い:帝京大学

 抑うつ症状とメタボリックシンドローム(MetS)との関連については依然議論のあるところである。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座の竹内 武昭氏らは、日本人男性における抑うつ症状とMetSの関連について、非定型うつ病またはそれ以外の大うつ病性障害(MDD)に分けて検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号(オンライン版2013年10月23日号)の掲載報告。 本研究は、MetSと抑うつとの関連を明らかにし、非定型うつ病の特徴を考察することを目的とした。対象は、20~59歳の日本人男性1,011例。Metは、International Diabetes Federation (IDF)の基準に従い診断した。MDDは、DSM-IVに基づく面接で診断し、非定型とそれ以外に分類した。MDDなし群、非定型うつ病群、非定型以外のMDD群におけるMetSの頻度を傾向解析により比較検討した。多重ロジスティック回帰解析により、MetSと非定型うつ病との関連ならびにその特徴を検討した。 主な結果は以下のとおり。・141例(14.0%)がMetS、57例(5.6%)がMDD(非定型うつ病群14例、非定型以外のMDD群43例)と診断された。・MetSの頻度は非定型うつ病群で最も高く、次いで非定型以外のMDD群、MDDなし群の順であり、わずかに有意な傾向がみられた(p=0.07)。・MetSが抑うつに関連する補正後オッズ比は、非定型うつ病群では3.8(95%信頼区間[CI]:1.1~13.2)、非定型以外のMDD群では1.6(95%CI:0.7~3.6)であった。・非定型うつ病の5つの特徴の中で、MetSと関連が認められたのは過食のみであった(オッズ比:2.7、95%CI:1.8~4.1)。・以上より、MetSと非定型うつ病の間に正の関連が認められたが、非定型以外のMDDとの間には関連がみられなかった。過食は、MetSと非定型うつ病の関連に影響を及ぼす明らかに重要な因子だと思われた。関連医療ニュース うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学

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直接的レニン阻害薬に、降圧を超えたプラーク進展予防効果認めず(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(142)より-

 高血圧前症(prehypertension、血圧125~139/90mmHg未満)で、かつ心血管リスクを1つ以上有している冠動脈疾患症例において、直接的レニン阻害薬アリスキレンのプラーク進展予防効果をIVUSを用いて検討した試験である。 レニン-アンジオテンシン系を上流で直接的に阻害するアリスキレンは、RA系の究極の阻害薬として期待をもって登場したが、残念ながら臨床試験ではことごとくその有用性は否定されている。 本報告もその1つであり、血圧はプラセボ群に比べて若干下げているものの、プラークの退縮はまったく認めれなかった。ただし糖尿病患者以外では、RAS阻害薬(ACE阻害薬/ARB)を服用中であることも考慮すると、RAS阻害薬に直接的レニン阻害薬の併用は動脈硬化の進展予防をもたらさないと解釈すべきかもしれない。RAS阻害薬治療を受けている2型糖尿病患者において、直接的レニン阻害薬追加は心血管イベントや腎イベントの抑制に繋がらず、むしろ高カリウム血症などの有害事象を生じるとの結果が最近ALTITUDE試験の結果で示されているが、本試験では、RAS阻害薬治療中の糖尿病症例は除外されている。 本試験では、IVUSを用いてプラークの退縮効果を観察することで、降圧以外の抗炎症効果によるプラーク退縮の可能性を検討したが、血圧が若干下がったにも関わらず進展予防効果が認められなかったことは、降圧以外の心血管系へのベネフィットは否定されたと考えるべきであろう。

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