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HR+/HER2-/PIK3CA変異型進行乳がん、gedatolisibベース治療でPFSが倍に延長(VIKTORIA-1 Study 2)/ASCO2026

 CDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬による治療後に進行したHR+/HER2-/PIK3CA変異型の進行乳がんを対象に、PI3K/AKT/mTOR(PAM)経路を包括的に阻害するgedatolisib+フルベストラント±パルボシクリブ併用療法と、α特異的PI3K阻害薬alpelisib+フルベストラント併用療法を比較した第III相VIKTORIA-1試験コホート2の結果を、米国・ワシントン大学のSara A. Hurvitz氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。gedatolisibベースの併用療法は無増悪生存期間(PFS)の中央値を2倍に延長し、かつ有害事象による治療中止率は低かったことが示された。 VIKTORIA-1試験は、CDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬投与中または投与後に進行したHR+/HER2-の進行乳がん患者を対象とした第III相ランダム化試験。PIK3CAの状態に基づいてコホート1(PIK3CA野生型)とコホート2(PIK3CA変異型)に分けられている。これまでのPIK3CA野生型コホートの報告では、フルベストラント単独群と比較して、gedatolisib+パルボシクリブ+フルベストラント併用群(ハザード比[HR]:0.24、95%信頼区間[CI]:0.17~0.35、p<0.0001)およびgedatolisib+フルベストラント併用群(HR:0.33、95%CI:0.24~0.48、p<0.0001)は、PFSにおいて統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらしたことが報告されている。 コホート2では、PIK3CA変異を有する患者(362例)は、gedatolisib+パルボシクリブ+フルベストラント併用群(gedatolisib3剤併用群、155例)、gedatolisib+フルベストラント併用群(gedatolisib2剤併用群、52例)、alpelisib+フルベストラント併用群(alpelisib併用群、155例)に3:1:3で無作為に割り付けられた。スケジュールは28日間サイクルで、gedatolisibは180mgを3週投与1週休薬(週1回静脈内投与)、パルボシクリブは125mgを3週投与1週休薬(連日経口投与)、フルベストラントは500mgを1・15日目、その後4週ごと(筋肉内投与)、alpelisibは300mg(連日経口投与)とした。 主要評価項目は、gedatolisib3剤併用群vs.alpelisib併用群の盲検下独立中央判定(BICR)によるPFSであった。重要な副次評価項目は全生存期間(OS)、その他の副次評価項目はgedatolisib2剤併用群vs.alpelisib併用群のPFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。データカットオフは2026年3月9日。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインの患者特性は3群間でバランスがとれていた。gedatolisib3剤併用群、gedatolisib2剤併用群、alpelisib併用群の年齢中央値は60歳/62歳/60歳、閉経後が81.3%/86.5%/81.3%、肝または肺転移ありが78.7%/76.9%/72.9%、前治療における病勢進行までの期間が6ヵ月以下だったのが14.2%/11.5%/17.4%であった。前治療のCDK4/6阻害薬は大部分がパルボシクリブまたはribociclibであった。・追跡期間中央値12.8ヵ月時点のPFSにおいて、gedatolisib3剤併用群vs.alpelisib併用群のHRは0.50(95%CI:0.37~0.68、p<0.0001)、gedatolisib2剤併用群vs.alpelisib併用群のHRは0.51(95%CI:0.33~0.79、p=0.0013)であり、gedatolisibベースの治療により統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらした。PFS中央値は下記のとおり。 -gedatolisib3剤併用群 11.1ヵ月(95%CI:9.0~16.7) -gedatolisib2剤併用群 11.3ヵ月(95%CI:9.1~22.1) -alpelisib併用群 5.6ヵ月(95%CI:5.2~7.4)・OSデータは未成熟であるものの(成熟度45.8%)、データカットオフ時点でOSイベントはgedatolisib3剤併用群30.4%、gedatolisib2剤併用群27.1%、alpelisib併用群34.6%に発生した。gedatolisib3剤併用群vs.alpelisib併用群のHRは0.76(95%CI:0.50~1.14、p=0.0908)、gedatolisib2剤併用群vs.alpelisib併用群のHRは0.93(95%CI:0.55~1.6、p=0.4026)であった。OS中央値は下記のとおり。 -gedatolisib3剤併用群 NR(95%CI:21.5~NE) -gedatolisib2剤併用群 22.8ヵ月(95%CI:17.6~NE) -alpelisib併用群 31.1ヵ月(95%CI:20.0~NE)・ORRは、gedatolisib3剤併用群48.9%、gedatolisib2剤併用群35.7%、alpelisib併用群26.0%であった。・DOR中央値は、gedatolisib3剤併用群15.7ヵ月(95%CI:9.2~20.6)、gedatolisib2剤併用群24.2ヵ月(95%CI:7.4~NE)、alpelisib併用群7.5ヵ月(95%CI:5.5~15.8)であった。・治療関連の有害事象(AE)による治療中止率は、gedatolisib3剤併用群2.6%、gedatolisib2剤併用群3.8%、alpelisib併用群7.1%であった。gedatolisib3剤併用群で多く認められたAEは、好中球減少症(63.4%[Grade3:47.7%、Grade4:11.1%])と口内炎(61.4%[Grade3:16.3%])であった。・全Gradeの高血糖は、gedatolisib3剤併用群15.0%(Grade3:2.6%)、gedatolisib2剤併用群11.5%(いずれもGrade1/2)、alpelisib併用群57.9%(Grade3:13.8%、Grade4:0.7%)に発現した。 これらの結果より、Hurvitz氏は「gedatolisib+フルベストラント±パルボシクリブ併用療法は、CDK4/6阻害薬とアロマターゼ阻害薬による治療後に進行したHR+/HER2-/PIK3CA変異型の進行乳がんの新たな標準治療となる可能性がある。コホート1の結果と組み合わせることで、VIKTORIA-1試験はPIK3CA変異の有無にかかわらずHR+/HER2-進行乳がんにおけるドライバー遺伝子としてのPAM経路の重要性を検証した」とまとめた。

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細菌性髄膜炎・HSV脳炎GL改訂、経験的治療の薬剤選択を見直し/日本神経学会

 2026年3月、『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』と『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』を統合した『細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026』(日本神経学会・日本神経感染症学会監修、南江堂)が発刊された1)。今回の改訂では、ワクチン定期接種化による起炎菌の変遷、薬剤耐性菌の動向、FilmArray髄膜炎・脳炎パネルに代表される遺伝子検査の普及などを反映し、初期治療から退院後のフォローアップに至る一連の流れが大幅に刷新されている。 5月20~23日に開催された第67回日本神経学会学術大会の生涯教育セミナーにおいて、本ガイドライン作成委員会委員長を務めた中嶋 秀人氏(日本大学医学部内科学系神経内科学分野 主任教授)が「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026の改訂のポイント」と題して講演を行った。講演レポートとして、前編では「細菌性髄膜炎」、後編では「単純ヘルペス脳炎」について、2回にわたって紹介する。ガイドライン改訂の主なポイント【細菌性髄膜炎】初期の経験的治療(エンピリックセラピー)のレジメン変更と迅速性 今回の改訂では、経験的治療の薬剤選択が見直された。髄液由来肺炎球菌では第3世代セフェム耐性率・メロペネム(MEPM)耐性率がともに上昇傾向にあり、2023年のJANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)データではMEPM耐性率が18.2%に上昇している。一方でバンコマイシン(VCM)は感性を維持している。そのため、第3世代セフェム(セフォタキシム[CTX]/セフトリアキソン[CTRX])またはMEPMのいずれを用いる場合もVCMを併用することが推奨され、年齢・免疫状態に応じた迅速な薬剤選択が求められる。年齢・免疫状態別のレジメン例・免疫正常(16〜49歳):肺炎球菌(60%以上)、髄膜炎菌 第3世代セフェム(CTXまたはCTRX)+VCM MEPM+VCM ・免疫正常(50歳以上):肺炎球菌が最多。リスクの高まるリステリア菌をカバーするためABPCを追加 アンピシリン(ABPC)+第3世代セフェム(CTXまたはCTRX)+VCM MEPM+VCM ・慢性消耗疾患・免疫不全:肺炎球菌・リステリア菌に加え、グラム陰性桿菌(GNR)やMRSAも考慮 ABPC+セフタジジム(CAZ)+VCM MEPM+VCM ・頭部外傷後・外科手術後:ブドウ球菌に加え、緑膿菌を含むGNRを考慮 MEPM+VCM CAZ+VCMTime is Brainの原則 細菌性髄膜炎は「Time is Brain」の病態であり、病院到着から1時間以内の抗菌薬投与開始を目標とする。頭部CTや腰椎穿刺によって投与が遅れる場合は、検査の完了を待たずに抗菌薬を先行投与する。なお、古典的三徴(発熱・項部硬直・意識障害)が揃う例は成人全体でも33%にすぎず、とくに高齢者では発熱が目立たないことや、意識障害が認知症・せん妄と誤認されやすいことから、厳重な警戒を要する。デキサメタゾン併用による炎症反応の抑制 炎症抑制による予後改善のため、すべての成人患者にデキサメタゾンの併用(最初の抗菌薬投与の前または同時開始、4日間)が推奨される。死亡率・神経学的後遺症・聴力障害の減少が期待できる。ただし、起炎菌が肺炎球菌・インフルエンザ菌以外なら中止し、とくにリステリアが起炎菌として判明した場合は死亡率悪化のエビデンスがあるため直ちに中止する。診断技術のアップデート:FilmArray髄膜炎・脳炎パネル 約1時間で主要病原体14種を同定できるマルチプレックスPCR遺伝子検査「FilmArray髄膜炎・脳炎パネル」が2022年10月に保険収載され、診断フローに位置づけられた。従来は培養検査やグラム染色の結果判明まで数日を要していたが、本検査による迅速な病原体同定は、経験的に開始したアシクロビル(ACV)の投与期間短縮など医療資源の適正使用に寄与する。起炎菌・感受性が判明した後は、速やかに狭域スペクトラムの抗菌薬へ変更する(De-escalation)。FilmArray検査のピットフォール 一方で、FilmArray検査には実臨床上の限界(ピットフォール)があり、結果は臨床症状・髄液所見と合わせて総合的に判断する必要がある。細菌性髄膜炎では、本検査で薬剤感受性(耐性菌の有無)が判別できないため、培養検査・グラム染色を省略せず必ず並行して実施しなければならない。また、結核菌はパネルに含まれず、院内感染や基礎疾患を有する例、脳外科術後の髄膜炎例には不向きである点にも注意を要する。抗補体薬を使用する患者への対応 重症筋無力症や視神経脊髄炎スペクトラム障害など神経疾患への抗補体薬(C5阻害薬:エクリズマブ、ラブリズマブ、ジルコプランなど)の適応拡大を反映し、抗補体薬使用患者への対応が新設された。抗補体薬使用患者では侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)のリスクが1,000〜2,000倍に上昇し、劇症型を呈しうる。本邦のIMD致命率は10〜12%と高く、発症から24〜48時間で致命的合併症を来しうるため、予防と早期対応がきわめて重要である。投与開始の2週間前までに4価髄膜炎菌ワクチン(販売名:メンクアッドフィ)を接種する(B群髄膜炎菌は本ワクチンの対象外で、B群ワクチンは国内未承認)。発熱時には髄膜炎症状がなくてもIMDを念頭に血液培養2セットを採取し、結果を待たずに第3世代セフェム(CTRXなど)を直ちに開始する。(後編「単純ヘルペス脳炎」に続く)

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KRAS G12C陽性NSCLCの1次治療、divarasib+ペムブロリズマブが有望(Krascendo-170)/ASCO2026

 KRAS G12C変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、免疫チェックポイント阻害薬単剤または化学療法との併用が標準治療として用いられている。しかし、全生存期間中央値は約1.5年であり、アンメットニーズが存在する。KRAS G12C阻害薬としてはソトラシブが臨床応用されているが、2次治療以降での使用が適応となっている。 そこで、1次治療において経口KRAS G12C阻害薬divarasibとペムブロリズマブの併用療法の安全性・有効性を検討する国際共同第Ib/II相試験「Krascendo-170試験」が実施されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、本試験の解析結果が報告され、PD-L1≧1%コホート、PD-L1<1%コホートのいずれにおいても良好な奏効が得られ、管理可能な安全性プロファイルが示された。Ferdinandos Skoulidis氏(米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)が、本解析結果を報告した。 Krascendo-170試験は、未治療のKRAS G12C変異陽性進行・転移非扁平上皮NSCLC患者を対象とした国際共同第Ib/II相非盲検用量探索・用量拡大試験である。今回は、PD-L1≧1%コホート(コホートA1)におけるdivarasib 400mg 1日1回+ペムブロリズマブ200mg 3週ごと投与の主要解析、PD-L1<1%コホート(コホートA2)における同用量の予備的解析の結果が報告された。主要評価項目は安全性であり、主要な副次評価項目として奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、患者報告アウトカム、薬物動態、推奨用量が評価された。 主な結果は以下のとおり。【PD-L1≧1%コホート】・divarasib 400mg+ペムブロリズマブによる治療を受ける群に59例が組み入れられた。年齢中央値は67歳で、男性の割合は62.7%であった。PD-L1 1~49%が37.3%、≧50%が61.0%であった。追跡期間中央値は12.2ヵ月。・確定ORRは72.9%(CR 10.2%、PR 62.7%)で、DOR中央値は未到達であった。・PFS中央値は19.3ヵ月で、6ヵ月PFS率は83.5%であった。なお、PFSのデータは未成熟であった。【PD-L1<1%コホート】・登録された23例の年齢中央値は72歳で、男性の割合は69.6%であった。追跡期間中央値は3.4ヵ月。・ORRは69.6%(すべてPR)で、初回奏効までの期間中央値は40.5日であった。・PFSデータは未成熟であった。【PD-L1≧1%コホート+PD-L1<1%コホート】・安全性は、PD-L1≧1%コホートおよびPD-L1<1%コホートを併合した安全性解析対象78例で評価された。有害事象は全例に認められ、Grade3以上の有害事象は76.9%、重篤な有害事象は50.0%に発現した。・治療関連有害事象(TRAE)は98.7%に認められ、Grade3/4のTRAEは65.4%、重篤なTRAEは28.2%に発現した。Grade5のTRAEは0例であった。・divarasibの減量に至ったTRAEは52.6%、中断に至ったTRAEは69.2%、試験治療中止に至ったTRAEは12.8%に認められた。・主なTRAE(40%以上に発現)は、下痢(74.4%)、悪心(64.1%)、ALT上昇(52.6%)、AST上昇(48.7%)であった。Grade3/4の下痢、ALT上昇、AST上昇はそれぞれ17.9%、23.1%、17.9%に認められた。 本試験結果について、Skoulidis氏は「KRAS G12C変異陽性の進行NSCLC患者において、1次治療としてのdivarasib+ペムブロリズマブは良好な臨床活性を示した。頻度の高いTRAEは、低Gradeが多く可逆的であり、管理可能であった。なお、有害事象の予防レジメン、有害事象管理アルゴリズム、忍容性に応じた用量調整方法が本試験中に段階的に開発されており、第III相Krascendo-2試験では患者の臨床アウトカムを最適化するために、試験開始時から導入されている」とまとめた。 なお、未治療のKRAS G12C変異陽性の進行・転移NSCLC患者を対象とする国際共同第III相試験「Krascendo-2試験」が進行中であり、KRAS G12C変異陽性のStageIIIA/IIIBの完全切除NSCLC患者を対象として、術後療法におけるdivarasibの有用性を検証する国際共同第III相試験「Krascendo-3試験」が計画されている。

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腎細胞がん1次治療、ミヤBM併用でICIの有効性高まる可能性/ASCO2026

 転移を有する腎細胞がん(mRCC)の1次治療において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を含むレジメンに生菌製剤であるCBM588(ミヤBM)を追加することで、臨床的活性が高まる可能性が示唆された。さらに、便のメタゲノム解析により、腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)を有する患者においてCBM588追加の恩恵がより大きいことが明らかになった。米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのRahul Winayak氏が、2つの第I相無作為化比較試験(NCT038291111)、NCT051225462))の統合解析結果を米国臨床腫瘍学会(ASCO 2026)で報告した。・対象:未治療のmRCC患者・試験群(CBM588群):標準治療(ニボルマブ+イピリムマブまたはニボルマブ+カボザンチニブ)+CBM588 39例・対照群:標準治療のみ 20例・評価方法および評価項目:メタゲノム ショットガン・シーケンス(全ゲノムシーケンス)データを用いて、TOPOSCOREとS-SCOREを算出。SIG1+(特定の細菌叢の異常[ディスバイオシス]がみられる)vs.SIG2+(腸内細菌叢が正常)について解析を実施。無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)などを比較した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は、年齢中央値がCBM588群67歳vs.対照群61.5歳、淡明細胞型腎細胞がんが89.7%vs.85.0%、IMDC分類中/高リスクが76.9%vs.82.4%、転移部位として最も多かったのは肺で74.4%vs.65.0%であった。・ORRはCBM588群69.2%vs.対照群20.0%(p=0.001)、DCRは79.5%vs.45.0%(p=0.0095)であった。・コホート全体におけるPFS中央値は、CBM588群32.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.6~未到達)vs.対照群3.7ヵ月(95%CI:2.6~17.0)であり、CBM588の追加により進行リスクが有意に低下した(調整ハザード比[aHR]:0.31、95%CI:0.16~0.62、p=0.001)。・SIG1+の患者におけるPFS中央値は、CBM588群24.9ヵ月vs.対照群2.8ヵ月と、CBM588追加による顕著なPFSの改善が認められた(aHR:0.17、95%CI:0.05~0.54、p=0.003)。・一方で、SIG2+の患者におけるPFS中央値は、CBM588群32.0ヵ月vs.対照群10.9ヵ月であり、CBM588追加による統計学的に有意な改善は認められなかった(aHR:0.58、95%CI:0.19~1.73、p=0.328)。・Grade3~4の有害事象はCBM588群56.4%vs.対照群50.0%で発現した。Grade3~4の下痢は10.3%vs.5.0%であったが、全体としてCBM588追加による新たな安全性上の懸念は認められなかった。 Winayak氏は、「mRCCの1次治療において、ICIレジメンにCBM588を追加することで臨床成績が改善し、新たな安全性上の懸念も認められなかった。とくにディスバイオシスを有する患者(SIG1+)でCBM588の恩恵がより大きいことが示唆された」とまとめた。現在、mRCCにおけるCBM588の臨床的活性を評価する第III相無作為化比較試験(SWOG BIOFRONT試験3))が進行中である。

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食道がんに腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン」承認、CRT不適患者の新たな選択肢に/オンコリスバイオファーマ

 岡山大学発の創薬ベンチャー・オンコリスバイオファーマは6月8日、同社の開発した腫瘍溶解ウイルス製剤テロメライシン注(一般名:スラタデノツレブ)が、厚生労働省の製造販売の承認を受けたことを発表した。適応は「根治切除および化学放射線療法の適応とならない食道がん」。「条件及び期限付承認」ではなく通常承認となり、再生医療等製品としては異例のケースとなった。 テロメライシンは、テロメラーゼ活性を利用してがん細胞内で選択的に増殖するよう設計された5型アデノウイルス製剤。hTERTプロモーター制御下でウイルス複製関連遺伝子を発現し、正常細胞では増殖せず、がん細胞のみで複製・細胞破壊を引き起こす。岡山大学の藤原 俊義教授らが基礎研究を主導し、長年にわたり臨床開発が進められてきた。 今回の承認の根拠となったのは、国内17施設で行われた第II相OBP101JP試験。手術および化学放射線療法(CRT)不適のStageII~III食道がん患者を対象に、テロメライシン腫瘍内投与と放射線療法(RT)の併用を評価した。登録37例中、約76%が80歳以上で、ほぼ全例が扁平上皮がんだった。18ヵ月時点の局所完全奏効率は50.0%で、事前設定閾値を上回った。18ヵ月全生存率は56.6%、がん特異的生存率は70.1%で、RTを上回る可能性が示唆された。有害事象はリンパ球減少や発熱が中心で、多くは管理可能だった。テロメライシンはPMDAの「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されており、本結果をもって昨年末に承認申請が行われていた。 食道がんでは免疫療法の導入が進む一方、高齢者や併存疾患を有する患者では標準治療が困難なケースも多く、テロメライシンは新たな選択肢として期待される。今後、薬価収載を経て上市される見通しで、市販後には全例調査が予定されている。

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HER2+胃食道腺がん1次治療、zanidatamab+化学療法±チスレリズマブがPFS延長(HERIZON-GEA-01)/NEJM

 HER2陽性胃食道腺がんの1次治療において、従来の標準治療であるトラスツズマブと化学療法の併用と比較して、zanidatamab(HER2の細胞外ドメイン2および4に結合する二重特異性IgG1様抗体)と化学療法の併用は、チスレリズマブ(抗PD-1抗体)の併用、非併用のいずれの場合でも、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、チスレリズマブとの併用では全生存期間(OS)に関しても有意な有益性をもたらすことが、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らHERIZON-GEA-01 Investigatorsが実施した「HERIZON-GEA-01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2026年5月28日号で報告された。日本を含む33ヵ国の無作為化第III相試験 研究グループは、zanidatamabの補体依存性細胞傷害作用を含む免疫介在性効果と、チスレリズマブによるPD-1阻害作用を併用することで、HER2陽性胃食道腺がんにおける抗腫瘍免疫がさらに増強するとの仮説を立て、これを検証する目的で非盲検無作為化実薬対照第III相試験を行った(Jazz Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、未治療で切除不能な局所進行または転移・再発のあるHER2陽性胃・胃食道接合部・食道腺がんの患者であった。 被験者を、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法、zanidatamab+化学療法、トラスツズマブ+化学療法のいずれかを受ける群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。化学療法は、カペシタビン+オキサリプラチンまたはフルオロウラシル+シスプラチンのいずれかを選択した。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるPFSとOSの2つとした。 2021年12月~2025年2月に、日本を含む33ヵ国の225施設で914例を登録した。zanidatamab+チスレリズマブ群に302例(年齢中央値63歳[範囲:22~81]、女性58例[19.2%])、zanidatamab群に304例(62.5歳[25~87]、60例[19.7%])、トラスツズマブ群に308例(64歳[21~84]、70例[22.7%])を割り付けた。奏効率、奏効期間も良好 追跡期間中央値25.9ヵ月の時点における中間解析で、PFS中央値は、トラスツズマブ群が8.1ヵ月であったのに対し、zanidatamab+チスレリズマブ群は12.4ヵ月(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.51~0.78、p<0.001)、zanidatamab群は12.4ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.52~0.81、p<0.001)と、いずれも有意に延長した。 OS中央値は、トラスツズマブ群の19.2ヵ月に比べ、zanidatamab+チスレリズマブ群は26.4ヵ月と有意に長かった(HR:0.72、95%CI:0.57~0.90、p=0.004)。一方、zanidatamab群のOS中央値は24.4ヵ月であり、この初回中間解析時にはトラスツズマブ群との間に有意差を認めなかった(HR:0.80、95%CI:0.64~1.01、p=0.06)。 奏効率は、zanidatamab+チスレリズマブ群が70.7%、zanidatamab群が69.6%、トラスツズマブ群は65.7%であり、このうち完全奏効を達成した患者の割合はそれぞれ19.6%、17.1%、11.0%であった。また、奏効例における奏効期間中央値は、それぞれ20.7ヵ月、14.3ヵ月、8.3ヵ月だった。下痢の頻度が高い Grade3以上の有害事象はzanidatamab+チスレリズマブ群で83.3%、zanidatamab群で73.8%、トラスツズマブ群で74.5%に発現した。このうち下痢の頻度が最も高く、それぞれ24.8%、20.0%、12.9%の患者に認めた。薬剤関連の下痢によるHER2標的療法(zanidatamab、トラスツズマブ)の中止は、zanidatamab+チスレリズマブ群の4.1%とzanidatamab群の1.3%で生じた。 重篤な有害事象は、zanidatamab+チスレリズマブ群の58.5%、zanidatamab群の49.2%、トラスツズマブ群の42.4%に発現し、HER2標的療法の中止に至った有害事象は、それぞれ13.3%、10.5%、5.6%に認めた。免疫介在性有害事象は、zanidatamab+チスレリズマブ群の37.8%で報告され、発疹(14.3%)の頻度が最も高かった。Grade5の薬剤関連有害事象(死亡)は、zanidatamab+チスレリズマブ群で多かった(それぞれ2.4%、0.3%、1.3%)。 著者は、これらの結果について、「チスレリズマブの併用の有無にかかわらず、zanidatamabはHER2陽性胃食道腺がん患者にとって、有望な標的治療の選択肢であることを裏付けている」「単一のHER2ドメインにのみ結合するトラスツズマブよりも、zanidatamab独自の二重のHER2標的化メカニズムが、大きな臨床的利益をもたらすことが示唆される」としている。

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IgA腎症の病態に根差したtelitaciceptの治療効果(解説:浦信行氏)

 IgA腎症に対するtelitaciceptの治療効果に関してはこれまでもいくつかの報告があり、若年者IgA腎症、6ヵ月の後ろ向き研究、高リスクIgA腎症、また、ごく最近では腎移植後再発IgA腎症などで尿蛋白減少効果が逐次報告されてきた。IgA腎症発症の機序に関わるB細胞活性化因子(BAFF)および増殖誘導リガンド(APRIL)の両者を標的として中和する融合タンパク質製剤であるtelitaciceptの臨床効果には大きな期待が寄せられていた。 このtelitaciceptの第III相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験(TELIGAN試験)の39週時点での中間解析結果である尿蛋白低減効果が報告され、2026年5月21日掲載のジャーナル四天王にその概要が示されている。BAFFとAPRILの二重阻害薬はtelitaciceptに先行するかたちで2025年11月にataciceptでの報告があり、42%の尿蛋白低減効果が示されている。多少の有効率の違いはあるが、ほぼ同様の成績であると考えられる。両試験のいずれにおいても、その効果は試験開始後4週目で有意な低減効果であり、この点でも差異はなさそうである。ベースラインと比較したeGFRの変化率は-1.0%と、プラセボ群の-7.7%に比較しても良好であったが、最終104週でのeGFR変化率が報告される予定である。現在まで、腸管限定作用ステロイドのブデソニドや補体第二経路を阻害するイプタコパンが2年間のeGFRの変化率を有意に抑制したと報告されているが、いずれも-3%程度である。このtelitaciceptのeGFRの変化率が長期投与でも-1.0%であれば、腎保護の大きな手段となる。

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あっけらかんとしている患者さんへの対応【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第50回

■外来NGワード「そんなに気にしなくても大丈夫ですよ」(患者のリスク認知や損失回避性に配慮していない)「このまま放っておくと大変なことになりますよ」(具体性に欠ける“脅し”であり、行動変容につながりにくい)「前より悪くなっていますね」(感応度逓減性を考慮せず、小さな変化の意味付けが不十分)■解説血糖コントロール指標であるHbA1cが6%台と良好であっても、わずかな変動に強く反応する人がいる一方で、8~10%と不良な状態であっても、1%程度の変化に無関心な患者さんも存在します。このような反応の違いは、行動経済学のプロスペクト理論によって説明することができます。プロスペクト理論では、人は結果を絶対値ではなく「参照点からの変化」として評価し、その価値は利得と損失で非対称なS字型の関数で表されます。すなわち、「人は同程度の利得よりも損失を強く評価する(損失回避性)一方で、損失が大きくなるにつれて感情の変化は次第に鈍くなる(感応度逓減性)」という特徴があります。そのため、慢性的にHbA1cが高い状態にある患者さんでは、血糖の悪化が日常化し、小さな変化に対する心理的反応が弱くなっている可能性があります。しかし、2型糖尿病においてHbA1cを1%低下させることにより、足病変は43%、腎症や網膜症などの合併症は37%、糖尿病関連死は21%、心血管イベントは14%減少することが報告されています。このような患者さんに対しては、単に数値の変化を指摘するのではなく、目標値を適切に再設定し、具体的かつ達成可能な短期目標を提示することが重要です。さらに、あいまいな医学的おどしではなく、将来のリスクを日常生活のイメージと結びつけて共有することで、行動変容を促せます。■患者さんとの会話でロールプレイ医師血糖コントロールの指標であるHbA1cの値が8.6%から9.1%まで上がっていますね。(具体的に数値の変化を伝え、患者の反応をうかがう)患者うーん、HbA1cが9%と言われても、とくに困ってないし、あまり気にしていません。(正直な気持ちを吐露)医師確かに、0.5%増えたと言われても、「たった、それだけ」と思うかもしれませんね。患者そうなんです。たった、0.5%だし…。それに、症状も何もなくて元気だし…。(感応度逓減性が疑われる言動)医師なるほど。今は、疲れやすいとか、のどがよく渇くとか、トイレの回数が多いなどで症状は感じておられないんですね。(尋ねながら、高血糖症状のポイントを説明)患者…あっ、そういえば仕事が忙しくて疲れていると思っていました。それに、お茶をよく飲むから、トイレの回数が多いと思っていました。(高血糖の症状を誤解していたことに気付く発言)医師確かに、そういった症状が高血糖によるものだと知らない人も多いですね。ただ…。患者ただ?医師ただ、今の状態が続くと、10年、いや数年後に眼や腎臓に高血糖の影響が出る可能性があります。患者えっ、そうなんですか。それなら、どうしたら?医師そんなに、大きく変える必要はありません。たとえば、今の状態からHbA1cを1%だけ下げるだけでも、足の切断リスクは43%、腎臓や眼の合併症は37%、糖尿病関連死は21%、心臓の合併症リスクは14%と、しっかり減りますよ。患者えっ、そうなんですか…1%くらいなら、できそうな気もします。医師いいですね。では、まずは無理のない範囲で、取り組めそうなことを一緒に決めてみましょうか。患者よろしくお願いします。■医師へのお勧めの言葉「今のHbA1cは目標よりも2%も高いです。1%というとちょっとの違いに感じますが、HbA1cを1%減らすだけで、足病変は43%、腎臓や眼の合併症は37%、心臓の合併症は14%もリスクが下がるんですよ!」 1)Stratton IM, et al. BMJ. 2000;321:405-412.2)Holman RR, et al. N Engl J Med. 2008;359:1577-1589.

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「神経ブロック」、どう患者に提供するか【非専門医のための緩和ケアTips】第125回

「神経ブロック」、どう患者に提供するか局所麻酔薬や抗炎症薬を注射し、痛みの伝達を遮断する「神経ブロック」。緩和ケア領域でも注目されている治療法ですが、専門とする医師は非常に少なく、地域によってはなかなかアクセスできない症状緩和の方法かもしれません。私の施設では神経ブロックの提供体制を構築してきたので、その経験も含めてお話ししたいと思います。今日の質問私の外来に通っているがん患者さん、がん疼痛が強くなってきました。膵臓がんで、ガイドラインには「神経ブロックが有効」と書かれています。神経ブロック目的で紹介したいのですが、地域の基幹病院では実施されていないようです。神経ブロックの提供体制などを教えてもらえますか?神経ブロックは、疼痛コントロールを改善し、鎮痛薬の副作用や生活機能低下を減らせる可能性があります。その一方で、「どこに頼めばよいかわからない」「適応の見極めが難しい」「紹介手順が整っていない」といったさまざまな要因から、アクセスが難しい地域もある状況です。最初に私の経験を共有します。私が所属する施設は、地域の高度急性期病院・地域がん診療連携拠点病院です。多くのがん患者が集約しており、がん治療および緩和ケアを提供する役割を担っています。しかし、神経ブロックは対応ができず、どうしても必要な患者は他院に紹介したり、対応可能な先生に外部から来てもらったりしていました。ハイボリュームながん拠点病院ですので、神経ブロックを提供する体制が必要だと考えていました。ちょうど、麻酔科出身の医師が緩和ケア病棟の配属になったため、神経ブロックの手技習得を目的に国内留学をしてもらいました。留学後、その医師が中心となり神経ブロックの提供体制が構築されました。さらにペインクリニック科も創設され、現在は神経ブロックを学びたい医師の研修体制を整備する段階になっています。このように、ゼロから体制を構築したわけですが、同様に、神経ブロックの提供には体制構築から始める必要がある施設・地域は多いでしょう。これはややハードルが高いため、ここからは地域の基幹病院が神経ブロックを提供している、という前提で連携の在り方についてお話ししたいと思います。連携に当たり、私が最も重要だと考えるのは、神経ブロックの適応を自分だけで見立てようとせず、早め早めに連携先に相談する、という点です。この理由は「神経ブロックは全身状態が悪化すると実施が難しくなってしまう」ためです。よくあるパターンが「痛みのコントロールがうまくいかず、オピオイドを増量したり鎮痛補助薬を追加したりしている間に全身状態が悪化してしまう」というものです。そして、「確実に適応があるケースを厳選しなければ」「どういった神経ブロックをしてほしいかを明確にしなければ」と考え、紹介元が選別し過ぎることもあります。そもそも非常に専門性が高い治療なので、「まずは相談」が良いと思います。以上を踏まえて、神経ブロックは提供体制と手技を実施できる医師が必要であり、基幹病院を中心に行われる医療なので、自施設で実施が難しい場合は、普段から連携体制をつくることが重要です。神経ブロックを実施する医師へのお願いとしては、「電話での気軽な相談をOKにしてほしい」かつ「相談窓口を明確にしてほしい」という2点です。私も訪問診療をしていたころ、基幹病院へのアクセスの難しさをよく経験しました。これは、病院にいる側にはわかりにくいものです。神経ブロックは難治性がん疼痛で悩む多くのがん患者に重要な手段です。ぜひ、1人でも多くの方に届くよう、提供体制の構築に取り組んでください。今日のTips今日のTipsがん疼痛に有効な神経ブロック、自分の地域の提供体制を確認しよう。

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シンポジウム座長インタビュー:名古屋市立大学 飯田 真介 氏【第51回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー】

名古屋市立大学 飯田 真介 氏:シンポジウム座長インタビュー(インタビュアー:獨協医科大学埼玉医療センター 田村 秀人 氏)出演名古屋市立大学医薬学総合研究院 生体総合医療学講座 血液・腫瘍内科学分野飯田 真介 氏

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シンポジウム座長インタビュー:日本赤十字社医療センター 塚田 信弘 氏【第51回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー】

日本赤十字社医療センター 塚田 信弘 氏:シンポジウム座長インタビュー(インタビュアー:獨協医科大学埼玉医療センター 田村 秀人 氏)出演日本赤十字社医療センター塚田 信弘 氏

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現地特別インタビュー 中堅・若手メンバーインタビュー:北里大学 堀米 佑一 氏、藤田医科大学 服部 裕次 氏【第51回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー】

北里大学 堀米 佑一 氏、藤田医科大学 服部 裕次 氏現地特別インタビュー 中堅・若手メンバーインタビュー出演北里大学 堀米 佑一 氏藤田医科大学 服部 裕次 氏

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第322回 拒食症患者の7割ほどに脂質中心のケトン食が有効

脂質中心で炭水化物を極力控えるケトン食が神経性やせ症(拒食症)に有益らしいことが、少人数の試験で示されました1-3)。拒食症は摂食を極端に制限してやせ細ることを特徴とする重度精神疾患です。たとえ体重が回復しても容姿への不満、食べることをひどく恐れる、体型や体重に執着するなどの根本症状がしばしば続くことが拒食症の再発の多さに寄与しています。ケトン食は1920年代に始まり、てんかん発作を減らすか止めることが知られる絶食に代わる治療手段として使われるようになりました3)。エネルギー源のほとんどを摂取した脂肪で賄うことを原理とするケトン食は、脳でのエネルギー代謝を大きく変えます4)。脳はそもそもケトン体をあまり使いませんが、ケトン食を実践すると脳はエネルギー源の糖の一部をケトン体に置き換えて利用するようになります。それに、ケトン食は拒食症と関係するらしい神経伝達物質の働きを調節するらしく、てんかん小児の試験でケトン食が脳脊髄液のGABAを増やすことが示唆されています5)。GABAは拒食症に付きもののうつや不安症状を減らすことが知られる抑制性神経伝達物質であり、全身のケトン体を増やすことはうつや不安と関連する振る舞いを減じることが動物実験で示されています6,7)。加えて、全身のケトン体増加は拒食症の回復に寄与するらしい炎症抑制にも一役買うようです8)。カリフォルニア大学サンディエゴ校のGuido Frank氏らによる先立つ小規模試験で、ケトン食を4~8週間続けた後に強迫症状改善効果が示唆されているケタミンを投与する拒食症治療の効果が示唆されています9)。試験には拒食症から回復して体重が戻ったとはいえ摂食障害の思考や振る舞いが続く成人5例が参加しました。ケトン食開始後の病状は日増しに上向き、食べることに関する悩みや体重の心配、体の不自由さを含む拒食症関連症状一揃いがだいぶ改善しました。ケトン食で体重が減る恐れがあることから試験では体重が回復した被験者を選びましたが、幸い被験者の体重は一定で安定していました。Frank氏はその結果に励まされ、より多くを募ってケタミン投与なしのケトン食の効果を調べる新たな試験に着手しました。新たな試験も、先立つ試験と同様に体重が回復したかわずかに低体重の拒食症女性22例が参加し、栄養士、精神科医、それに拒食症の経験があるいわば被験者と気心通じた相談員(peer counselor)の監督の下でケトン食に臨みました。14週間のケトン食を完遂した18例もやはり拒食症症状や不安、うつ症状の改善を示しました。それら18例中13例(72%)は拒食症やうつ病の診断基準を外れるほどに回復していました。その回復のほどは他の拒食症治療のはるか上をいくものだとFrank氏は述べています3)。試験期間中の被験者の体重に有意な変化はなく、程よいかいくらか低い体重を維持しました。再発もみられませんでした。また、試験を完遂した18例のその後の追跡で、ケトン食の継続が症状を抑える効果が示唆されました。3ヵ月後に摂食障害評価質問表(EDE-Q)のスコアが上昇していた患者の割合は、ケトン食を続けていた7例では3割弱の28%(2例)で済んでいましたが、ケトン食を止めた11例では6割超の64%(7例)がEDE-Q上昇を示しました。Frank氏らのチームはケトン食による拒食症治療はさらなる検討の価値があると言っています。現在、拒食症のみならず過食症の患者も募っている今回の試験の延長(extension)が進行中です2,10)。 1) Frank GKW, et al. Commun Med(Lond). 2026;6:315. 2) New evidence offers hope for ketogenic therapy in treatment of anorexia nervosa / Eurekalert 3) Keto diet shows real promise for anorexia recovery / NewScientist 4) Hartman AL, et al. Pediatr Neurol. 2007;36:281-292. 5) Dahlin M, et al. Epilepsy Res. 2005;64:115-125. 6) Yamanashi T, et al. Sci Rep. 2020;10:21629. 7) Gumus H, et al. Neurosci Lett. 2022;770:136443. 8) Yamanashi T, et al. Sci Rep. 2017;7:7677. 9) Calabrese L, et al. Eat Weight Disord. 2022;27:3751-3757. 10) Therapeutic Ketogenic Diet in Anorexia Nervosa(ClinicalTrials.gov)

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