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手の手術後の複合性局所疼痛症候群(CRPS)が明らかに

 CRPSの研究は、利用可能な試験コホートにおける不均一性により難しいとされている。米国・スタンフォード大学のAlison Pepper氏らは、手の手術を受けた患者における、早期にみられる複合性局所疼痛症候群(CRPS)様症状の特色を特徴づけることを試みた。その結果、共通してみられることとして、点刺激や圧刺激、寒冷刺激に対する感度が高いことなどを明らかにした。The Journal of Pain誌2013年5月号(オンライン版2013年2月28日号)の掲載報告。 研究グループは、手の外科クリニックにおいて選択的手術とキャスト固定法を受けた43例の患者を集めた。 キャスト除去日に、患者は定量的感覚テスト(quantitative sensory testing:QST)によって、血管運動、発汗促進、栄養変化および水腫、疼痛感度について評価を受けた。疼痛強度は、キャスト除去時とさらに1ヵ月後に評価を行った。Leeds Assessment of Neuropathic Symptoms and Signs(LANSS)スケールを用いて痛みの特徴を評価した。また、皮膚生検を行い、炎症性メディエーターの発現を分析した。 主な結果は以下のとおり。・大半の患者の手術を受けた手における、血管性および栄養的変化を同定した。・概して同様に、点状、圧、寒冷の刺激に対する感度の増大が観察された。・さらに、手術を受けた側の手の皮膚において、IL-6値、TNF-α、肥満細胞マーカーのトリプターゼの上昇が認められた。・中等度から重度の疼痛は、手術を受けた側の手についてはキャスト除去後1ヵ月時点においても持続していた。・探索的解析の結果、身体、QSTと遺伝子発現の変化および疼痛関連アウトカムの間における相互関係が示唆された。・本研究は、手術とその後に固定術を受けた患者の四肢におけるCRPS様症状の特色を同定した。今回の被験者を対象としたさらなる研究は、CRPSメカニズムの理解を深め、同状態における治療に役立つ可能性がある。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる

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飲酒による大腸がんリスクへの影響、葉酸強化政策により減弱~米国の前向きコホート研究

 米国の医療従事者における前向きコホート研究で、葉酸強化政策前後の大腸がんリスクにおける飲酒の影響を評価したところ、多量飲酒による大腸がんリスクへの影響が葉酸摂取により減弱する可能性が示された。米国メリーランド大学のHongmei Nan氏らによる報告。Annals of epidemiology誌オンライン版2013年5月29日号に掲載された。  米国ではFDA(米国食品医薬品局)により、1998 年から現在まで葉酸強化食として穀物製品に対して葉酸を添加(強化)することが義務付けられている。著者らは、飲酒と大腸がんの関連について、女性は看護師健康調査(NHS)、男性は医療従事者フォローアップ研究(HPFS)における前向きコホート研究で、葉酸強化政策前後の期間(1998年以前vs.1998年以降)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・飲酒は大腸がんのリスク増加に関連していた。・マルチビタミンや葉酸サプリメント(両方またはどちらか)を使用していない人において、飲酒者(30g/日以上)の非飲酒者に対する合併多変量相対リスクは1.36(95%信頼区間[CI]:1.09~1.70、傾向のp=0.02)であった。・飲酒者(30g/日以上)の非飲酒者に対する合併多変量相対リスクは、葉酸強化以前(NHS1980/ HPFS1986~1998年)が1.31(95%CI:1.00~1.71、傾向のp=0.10)、強化以降(1998~2008年)が1.07(95%CI:0.69~1.65、傾向のp=0.67)と、強化以前のほうが強化以降に比べ飲酒の影響が若干大きかった。

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病院側の指示に従わず狭心症発作で死亡した症例をめぐって、医師の責任が問われたケース

循環器最終判決平成16年10月25日 千葉地方裁判所 判決概要動悸と失神発作で発症した64歳女性。冠動脈造影検査で異型狭心症と診断され、入院中はニトログリセリン(商品名:ミリスロール)の持続点滴でコントロールし、退院後はアムロジピン(同:ノルバスク)、ニコランジル(同:シグマート)、ジルチアゼム(同:ヘルベッサー)、ニトログリセリン(同:ミリステープ、ミオコールスプレー)などを処方されていた。発症から5ヵ月後、再び動悸と気絶感が出現して、安静加療目的で入院となった。担当医師はミリスロール®の点滴を勧めたが、前回投与時に頭痛がみられたこと、点滴に伴う行動の制限や入院長期化につながることを嫌がる患者は、「またあの点滴ですか」と拒否的な態度を示した。仕方なくミリスロール®の点滴を見合わせていたが、患者が看護師の制止を聞かずトイレ歩行をしたところ、再び強い狭心症発作が出現し、さまざまな救命措置にもかかわらず約2時間後に死亡確認となった。詳細な経過患者情報64歳女性経過平成11(1999)年2月10日起床時に動悸が出現し、排尿後に意識を消失したため、当該総合病院を受診。胸部X線、心電図上は異常なし。3月17日~3月24日失神発作の精査目的で入院、異型狭心症と診断。3月24日~3月27日別病院に紹介入院となって冠動脈造影検査を受け、冠攣縮性狭心症と診断された。6月2日早朝、動悸とともに失神発作を起こし、当該病院に入院。ミリスロール®の持続点滴と、内服薬ノルバスク®1錠、シグマート®3錠にて症状は改善。6月9日失神や胸痛などの胸部症状は消失したため、ミリスロール®の点滴からミリステープ®2枚に変更。入院当初は頭痛を訴えていたが、ミリステープ®に変更してから頭痛は消失。6月22日状態は安定し退院。退院処方:ノルバスク®1錠、ミリステープ®2枚、チクロピジン(同:パナルジン)1錠、シグマート®3錠、ロキサチジン(同:アルタット)1カプセル。7月2日起床時に動悸が出現、ミオコールスプレー®により症状は改善。7月5日起床時に動悸が出現、ミオコールスプレー®により症状は改善。7月7日起床時立ち上がった途端に動悸、気絶感が出現したとの申告を受け、ノルバスク®を中止しヘルベッサー®を処方。7月12日05:30起床してトイレに行った際に動悸、気絶感が出現。トイレに腰掛けてミオコールスプレー®を使用した直後に数分間の意識消失がみられた。06:50救急車で搬送入院。安静度「ベッド上安静」、排泄「尿・便器」使用、酸素吸入(1分間当たり1L)、ミリステープ®2枚(朝、夕)、心電図モニター使用、胸痛時ミオコールスプレー®を2回まで使用と指示。09:30入室直後に尿意を訴えた。担当看護師は医師の指示通り尿器の使用を勧めたが、患者は尿器では出ないのでトイレに行くことに固執したため、看護師長を呼び、ベッドを個室トイレの側まで動かし、トイレで排尿させた。排尿後に呼吸苦がみられたので、酸素吸入を開始し、ミリステープ®を貼用したところ2~3分で落ちついてきた。担当看護師は定時のシグマート®、ヘルベッサー®を内服させ、今後は尿器を使用することを促した。担当医師も訪室して安静にすべきことを説明し、ミリスロール®の点滴を勧めたが、患者は「またあの点滴ですか」と拒否的な態度を示したため、やむを得ずミリスロール®の点滴をしないことにした。その後、胸部症状は消失。15:00見舞いにきた家族が「点滴していなかったんだね」といったところ、患者は「軽かったのかな」と答えたとのこと(病院側はその事実を確認していない)。18:30尿意がありトイレでの排尿を希望。担当看護師は尿器の使用を勧めたが、トイレへ行きたいと強く希望したため、看護師は医師に確認するといって病室を離れた(このとき担当医師とは連絡取れず)。18:43トイレで倒れている患者を看護師が発見。ただちにミオコールスプレー®を1回噴霧したが、「胸苦しい、苦しい」と状態は改善せず。18:50ミオコールスプレー®を再度噴霧したが状態は変わらず、四肢冷感、冷汗が認められ、駆けつけた医師の指示でニトログリセリン(同:ニトロペン)1錠を舌下するが、心拍数は60台に低下、血圧測定不能、意識低下、自発呼吸も消失した。19:00乳酸リンゲル液(同:ラクテック)にて血管確保、心拍数30~40台。19:10イソプレナリン(同:プロタノール)1A、アドレナリン(同:ボスミン)1Aを静注するとともに、心臓マッサージを開始し、心拍数はいったん60台へと回復。19:33気管内挿管に続き、心肺蘇生を続行するが効果なし。20:22死亡確認。死因は致死性の狭心症発作と診断した。死亡後、担当医師は「点滴(ミリスロール®)をすべきでした。しなかったのは当方のミスです」と述べたと患者側は主張するが、その真偽は不明。当事者の主張1. 担当医師が硝酸薬の点滴をしなかった点に過失があるか患者側(原告)の主張平成11年から発作が頻発し、入院に至るまでの経緯や入院時の症状から判断して、ミリスロール®など硝酸薬の点滴をすべきであった。これに対し担当医師は、患者に対してミリスロール®の点滴の必要性を伝えたが拒絶されたと主張するが、診療録などにはそのような記載はない。過去の入院では数日間にわたってミリスロール®の点滴治療を受け、その結果一応の回復を得て退院したため、担当医師からミリスロール®の必要性、投与しない場合の危険性などを十分聞いていれば、ミリスロール®点滴に同意したはずである。病院側(被告)の主張動悸、失神は狭心症発作の再発であり、入院安静が必要であること、2回目入院時に行ったミリスロール®の点滴が再度必要であることを説明したが、患者は「またあの点滴ですか」といい、行動が不自由になること、頭痛がすることなどを理由に点滴を拒絶したため、安静指示と内服薬などの投与によって様子をみることにした。つまり、ミリスロール®の点滴が必要であるにもかかわらず、患者の拒絶により点滴をすることができなかったのであり、診療録上も「希望によりミリスロール®点滴をしなかった」ことが明記されている。医師は、患者に対する治療につき最適と判断する内容を患者に示す義務はあるが、この義務は患者の自己決定権に優越するものではないし、患者の意向を無視して専断的な治療をすることは許されない。2. 硝酸薬点滴を行った場合の発作の回避可能性患者側(原告)の主張入院時にミリスロール®の点滴をしていれば発作を防げた可能性は大きく、死亡との間には濃厚な因果関係がある。さらに死亡後担当医師は、「点滴をすべきでした。しなかったのは当方のミスです」と述べ、ミリスロール®の点滴をしなかったことが死亡原因であることを認めていた。病院側(被告)の主張7月12日9:30、ミリステープ®を貼用し、シグマート®、ヘルベッサー®を内服し、午後には症状が消失して容態が安定していたため、ミリスロール®の点滴をしなかったことだけが発作の原因とはいえない。3. 患者が安静指示に違反したのか患者側(原告)の主張看護師や患者に対する担当医師の安静指示があいまいかつ不徹底であり、結果としてトイレでの排尿を許す状況とした。担当医師が「ベッド上安静」を指示したと主張するが、入院経過用紙によれば「ベッド上安静」が明確に指示されていない。当日午後2:00の段階では、「トイレは夕方までの様子で決めるとのこと」と看護師が記載しているが、夕方までに決められて伝えられた形跡はない。18:30にも「Drに安静度カクニンのためTELつながらず」との記載があり、看護師は夕方になってもトイレについて明確な指示を受けていない。病院側(被告)の主張入院時指示には、安静度は「ベッド上安静」、排泄は「尿・便器」と明記している。これはベッド上で仰臥(あおむけ)または側臥(横向き)でいなければならず、排泄もベッド上で尿・便器をあててしなければならないという意味であり、トイレでの排尿を許したことはない。「トイレは夕方までの様子で決めるとのこと」という記載の意味は、トイレについての指示がいまだ無かったのではなく、明日の夕方までの様子をみて、それ以降トイレに立って良いかどうかを決めるという意味である。当日9:30尿意を訴えたため、医師から指示を受けていた看護師は尿器の使用を勧めたが、看護師の説得にもかかわらず尿器では出ないと言い張り、トイレに行くと譲らなかったので、やむを得ず看護師長を呼び、二人がかりでベッドを個室内のトイレ脇まで運び、トイレで排尿させたという経緯がある。そして、今回倒れる直前、看護師は患者から「トイレに行きたい」といわれたが、尿器で排泄するように説得した。それでも患者はあくまでトイレに行きたいと言い張ったため、担当医師に確認してくるから待つようにと伝えナースステーションへ行ったものの、担当医師に電話がつながらず、すぐに病室に戻ると同室内のトイレで倒れていたのである。4. 発作に対する医師の処置は不適切であったか患者側(原告)の主張狭心症の発作時には、速効性硝酸薬の舌下を行うべきものとされてはいるが、硝酸薬を用いると血圧が低下するので、昇圧剤を投与して血圧を確保してから速効性硝酸薬などにより症状の改善を図るべきであった。被告医師は、ミオコールスプレー®を2回使用して、その副作用で血圧低下に伴う血流量の減少を招いたにもかかわらず、さらに昇圧剤を投与したり、血圧を確保することなくニトロペン®を舌下させた点に過失がある。その結果、狭心症の悪化・心停止を招来し、患者を死に至らしめた。病院側(被告)の主張異型狭心症においては、冠攣縮発作が長引くと心室細動や高度房室ブロックなどの致死性不整脈が出現しやすくなるので、発作時は速やかにニトログリセリンを服用させるべきである。ニトログリセリンの副作用として血圧の低下を招くことがあるが、狭心症発作が寛解すれば血圧が回復することになるから、まず第一にニトログリセリンを投与(合計0.9mg)したことに問題はなく、発作を寛解させるべくニトロペン®1錠を舌下させた判断にも誤りはない。本件においては、致死的な狭心症発作が起きていたのであり、脈拍低下、血圧測定不能、自発呼吸なしなどの重篤な状態に陥ったのは狭心症発作によるものであって、ニトロペン®1錠を舌下したことが心停止の原因となったのではない。裁判所の判断1. 担当医師が硝酸薬の点滴をしなかった点に過失があるか鑑定A患者は狭心症発作が頻発および増悪したために入院したものであり、不安定狭心症の治療を目的としている。狭心症予防薬としてカルシウム拮抗薬の内服と硝酸薬貼付がすでに施行されており、この状態で不安定化した狭心症の治療としては、硝酸薬あるいはこれと同様の効果が期待される薬剤の持続静注が必要と考える。また、過去の入院で硝酸薬の点滴静注が有効であったことから、硝酸薬は、本件患者に対し比較的安心して使用できる薬剤と思われる。さらに、心電図モニターならびに患者の状態を常時監視できる医療状況が望ましく、狭心症発作が安定するまでの期間は、冠動脈疾患管理病棟(CCU)あるいは集中治療室(ICU)での管理が適当と考えられ、本件患者の入院初期の治療としてミリスロール®などの硝酸薬点滴を行わなかったのは不適切であった。不安定狭心症患者は急性心筋梗塞に移行する可能性が高いため、この病態を患者に十分説明し、硝酸薬点滴を使用すべきであったと考える。以前も同薬剤の使用により、本件患者の狭心症発作をコントロールしており、軽度の副作用は認められたものの、比較的安全に使用した経緯がある。患者が硝酸薬点滴を好まないケースもあるが、病状の説明、とりわけ急性心筋梗塞に進展した場合のデメリットを説明した後に施行すべきものであると考えられ、仮に本件患者がミリスロール®などの点滴に拒否的であった場合でも、その必要性を十分説明して、本件患者の初期治療として、ミリスロール®などの硝酸薬あるいは同等の効果が期待できる薬剤の点滴を行うべきであった。鑑定B狭心症の場合、硝酸薬は重要な治療薬である。また、冠動脈攣縮性狭心症においては、カルシウム拮抗薬も重要な治療薬である。本症例ではミリステープ®とカルシウム拮抗薬が投与されており、ミリスロール®などの硝酸薬点滴を行わなかったことだけをもって不適切な治療と判断することは難しい。仮に本件患者がミリスロール®などの点滴に拒否的であった場合についても、ミリスロール®などの点滴を行わなければならない状態であったかどうかについては判断が難しい。また、基本的に患者の了承のもとに治療を行うわけであるから、了承を得られない限りはその治療を行うことはできないのであって、拒否する場合において点滴を強制的に行うことが妥当であるかどうかは疑問である。鑑定C本症例は、失神発作をくり返していることからハイリスク群に該当する。発作の回数が頻回である活動期の場合は、硝酸薬、カルシウム拮抗薬、ニコランジルなどの持続点滴を行うことが望ましいとされており、実際に前回の入院の際には発作が安定化するまで硝酸薬の持続点滴が行われている。本件では、十分な量の抗狭心症薬が投与されており、慢性期の発作予防の治療としては適切であったといえるが、ハイリスク群に対する活動期の治療としては、硝酸薬点滴を行わなかった点は不適切であったといえる。発作の活動期における治療の基本は、冠拡張薬の持続点滴であり、純粋医学的には本件の場合、必要性を十分に説明して行うべきであり、仮に本件患者がミリスロール®などの点滴に拒否的であった場合であっても、その必要性を十分説明して、ミリスロール®などの硝酸薬点滴を行うべき状態であったといえる。ただし、必要性を十分に説明したにもかかわらず、患者側が点滴を拒否したのであれば、医師側には非は認められないこととなるが、どの程度の必要性をもって説明したかが問題となろう。裁判所の見解不安定狭心症は急性心筋梗塞や突然死に移行しやすく、早期に確実な治療が必要である。本件では前回の入院時にミリスロール®の点滴を行って症状が軽快しているという治療実績があり、入院時の病状は前回よりけっして軽くないから、硝酸薬点滴を必要とする状態であったといえる。もっとも担当医師の立場では、治療方法に関する患者の自己決定権を最大限尊重すべきであるから、医師が治療行為に関する説明義務を尽くしたにもかかわらず、患者が当該治療を受けることを拒絶した場合には、当該治療行為をとらなかったことにつき、医師に過失があると認めることはできない。そうすると、本件入院時にミリスロール®など硝酸薬点滴をしなかったことについて、被告医師に過失がないといえるのは、硝酸薬点滴の必要性などについて十分な説明義務を果たしたにもかかわらず、患者が拒否した場合に限られる。担当医師が入院時にミリスロール®点滴を行わなかったのは、必要性を十分に説明したにもかかわらず、「またあの点滴ですか」と点滴を嫌がる態度を示し、ミリスロール®の副作用により頭痛がすること、点滴をすることによって行動の自由が制限されること、点滴をすることによって入院が長くなることの3点を嫌がって、点滴を拒絶したと供述する。そして、入院診療録の「退院時総括」には「本人の希望もあり、ミリスロール®DIV(点滴)せずに安静で様子をみていた」との記載があるので、担当医師はミリスロール®の点滴静注を提案したものの、患者はミリスロール®の点滴を希望しなかったことがわかる。ところが、医師や看護師が患者の状態などをその都度記録する「入院経過用紙」には、入院時におけるミリスロール®の点滴に関するやりとりの記載はなく、担当医師から行われたミリスロール®点滴の説明やそれに対する患者の態度について具体的な内容はわからない。それよりも、午後3:00頃見舞にきた家族が、「点滴していなかったんだね」といったことに対し、「軽かったのかな」と答えたという家族の証言から、患者は自分の病状についてやや楽観的な見方をしていたことがわかり、担当医師からミリスロール®点滴の必要性について十分な説明をされたものとは思われない。担当医師は患者の印象について、「医療に対する協力、その他治療に難渋した」、「潔癖な方です。頑固な方です」と述べているように、十分な意思の疎通が図れていなかった。そのため、入院時にミリスロール®の点滴に患者が拒否的な態度を示した場合に、担当医師があえて患者を説得して、ミリスロール®の点滴を勧めようとしなかったことは十分考えられる状況であった。そして、当時の患者が不安定狭心症のハイリスク群に該当し、硝酸薬点滴をしないと危険な状況にあることを医師から説明されていれば、点滴を拒絶する理由になるとは通常考え難いので、十分に説明したという担当医師の供述は信用できない。つまり、自己の病状についてきわめて関心を抱いていた患者であるので、医師から十分な説明を受けていれば、医師の提案する治療を受け入れていたであろうと推測される。したがって、担当医師は当時の病状ならびにミリスロール®点滴の必要性について十分に説明したとは認められず、説明義務が果たされていたとはいえない。2. 硝酸薬点滴を行った場合の発作の回避可能性鑑定A不安定狭心症の治療としてミリスロール®の効果は約80%と報告されている。不安定狭心症の病態によりその効果に差はあるが、硝酸薬などの薬剤が不安定狭心症を完全に安定化させるわけではない。また、急激な冠動脈血栓形成に対しては硝酸薬の効果は低いと考える。そうするとミリスロール®点滴を実施することで発作を回避できたとは限らないが、回避できる可能性は約70%と考える。鑑定B冠動脈攣縮性狭心症の場合、ミリスロール®などの硝酸薬の点滴が冠動脈の攣縮を軽減させる可能性がある。本件発作が冠動脈攣縮性狭心症発作であった可能性は十分考えられることではあるが、最終的な本件発作の原因がほかにあるとすれば、ミリスロール®点滴を行っても回避は難しい。したがって、回避可能性について判断することはできない。鑑定C一般論からすると、持続点滴の方が経口や経皮的投与よりも有効であることは論をまたないが、持続点滴そのものの有効性自体は100%ではないため、持続点滴をしていればどの程度発作が抑えられたかについては、判断しようがない。また、本件では十分な量の冠拡張薬が投与されていたにもかかわらず、結果的に重篤な狭心症発作が起こっており、発作の活動性がかなり高く発作自体が薬剤抵抗性であったと捉えることもでき、持続点滴をしていたとしても発作が起こった可能性も否定できない。以上のように、持続点滴によって発作が抑えられた可能性と持続点滴によっても発作が抑えられなかった可能性のどちらの可能性が高いかについては、仮定の多い話で答えようがない。裁判所の見解冠動脈攣縮性狭心症の発作に対してはミリスロール®の点滴が有効である点において、各鑑定は一致していることに加え、回避可能性をむしろ肯定していると評価できること、そもそも不作為の過失における回避可能性の判断にあたっては、100%回避が可能であったことの立証を要求するものではないのであって、前回入院時にミリスロール®の点滴治療が奏効していることも併せ考慮すると、今回もミリスロール®の点滴を行っていれば発作を回避できたと考えられる。3. 患者に対する安静指示について担当医師の指示した安静度は「ベッド上安静」、排泄は「尿・便器」使用であることは明らかであり、この点において被告医師に過失は認められない。4. 発作に対する処置について鑑定Aニトログリセリン舌下投与を低血圧時に行うと、さらに血圧が低下することが予想される。しかし、狭心症発作寛解のためのニトログリセリン舌下投与に際し、禁忌となるのは重篤な低血圧と心原性ショックであり、本件発作時はこれに該当しない。さらに本件発作時は、静脈ラインが確保されていないと思われ、点滴のための留置針を穿刺する必要がある。この処置により心筋虚血の時間が延長することになるため、即座にニトログリセリンを舌下させることは適切と考える。鑑定Bニトロペン®そのものの投与は血圧が低いことだけをもって禁忌とすることはできない。本件発作時の状況下でニトロペン®舌下に先立ち、昇圧剤の点滴投与を行うかどうかの判断は難しい。しかし、まず輸液ルートを確保し、酸素吸入の開始が望ましい処置といえ、必ずしも適切とはいえない部分がある。鑑定C冠攣縮性狭心症の発作時の処置としては、血圧の程度いかんにかかわらず、まずは攣縮により閉塞した冠動脈を拡張させることが重要であるため、ニトロペン®をまず投与したこと自体は問題がない。しかしながら、昇圧剤の投与時期、呼吸循環状態の維持、ボスミン®投与の方法に問題があり、急変後の処置全般について注意義務違反が認められる。裁判所の見解ニトログリセリンの舌下については、各鑑定の結果からみて問題はない。なお、鑑定の結果によれば、発作の誘因は発作の直前のトイレ歩行ないし排尿である。担当医師からベッド上安静、尿便器使用の指示がなされ、担当看護師からも尿器の使用を勧められたにもかかわらずトイレでの排尿を希望し、さらに看護師から医師に確認するので待っているように指示されたにもかかわらず、その指示に反して無断でベッドから降りて、トイレでの排尿を敢行したものであり、さらに拒否的な態度が被告医師の治療方法の選択を誤らせた面がないとはいえないことを考慮すると、患者自身の責任割合は5割と考えられる。原告(患者)側合計5,532万円の請求に対し、2,204万円の判決考察拒否的な態度の患者についていくら説明しても医師のアドバイスに従わない患者さん、病院内の規則を無視して身勝手に振る舞う患者さん、さらに、まるで自分が主治医になったかのごとく「あの薬はだめだ、この薬がよい」などと要求する患者さんなどは、普段の臨床でも少なからず遭遇することがあります。本件もまさにそのような症例だと思います。冠動脈造影などから異型狭心症と診断され、投薬治療を行っていましたが、再び動悸や失神発作に襲われて入院治療が開始されました。前回入院時には、内服薬や貼布剤、噴霧剤などに加えてミリスロール®の持続点滴により症状改善がみられていたので、今回もミリスロール®の点滴を開始しようと提案しました。ところが患者からは、「またあの点滴ですか」「あの薬を使うと頭痛がする」「点滴につながれると行動が制限される」「点滴が始まると入院が長くなる」というクレームがきて、点滴は嫌だと言い出しました。このような場合、どのような治療方針とするのが適切でしょうか。多くの医師は、「そこまでいうのなら、点滴はしないで様子を見ましょう」と判断すると思います。たとえミリスロール®の点滴を行わなくても、それ以外のカルシウム拮抗薬や硝酸薬によってもある程度の効果は期待できると思われるからです。それでもなおミリスロール®の点滴を強行して、ひどい頭痛に悩まされたような場合には、首尾よく狭心症の発作が沈静化しても別な意味でのクレームに発展しかねません。そして、ミリスロール®の点滴なしでいったんは症状が改善したのですから、病院側の主張通り適切な治療方針であったと思います。そして、再度の発作を予防するために、患者にはベッド上の安静(トイレもベッド上)を命じましたが、「どうしてもトイレに行きたい」と患者は譲らず、勝手に離床して、致命的な発作へとつながってしまいました。このような症例を「医療ミス」と判断し、病院側へ2,200万円にも上る賠償金の支払いを命じる裁判官の考え方には、臨床医として到底納得することができません。もし、大事なミリスロール®の点滴を医師の方が失念していたとか、看護師へ安静の指示を出すのを忘れて患者が歩行してしまったということであれば、医師の過失は免れないと思います。ところが、患者の異型狭心症をコントロールしようとさまざまな治療方針を考えて、適切な指示を出したにもかかわらず、患者は拒否しました。「もっと詳しく説明していればミリスロール®の点滴を拒否するはずはなかったであろう」というような判断は、結果を知ったあとのあまりにも一方的な考え方ではないでしょうか。患者の言い分、医師の言い分極論するならば、このような拒否的態度を示す患者の同意を求めるためには、「あなたはミリスロール®の点滴を嫌がりますが、もしミリスロール®の点滴をしないと命に関わるかもしれませんよ、それでもいいのですか」とまで説明しなければなりません。そして、理屈からいうと「命に関わることになってもいいから、ミリスロール®の点滴はしないでくれ」と患者が考えない限り、医師の責任は免れないことになります。しかし、このような説明はとても非現実的であり、患者を脅しながら治療に誘導することになりかねません。本件でもミリスロール®の点滴を強行していれば、確かに狭心症の発作が出現せず無事退院できたかもしれませんが、患者側に残る感情は、「医師に脅かされてひどい頭痛のする点滴を打たれたうえに、病室で身動きができない状態を長く強要された」という思いでしょう。そして、鑑定書でも示されたように、本件はたとえミリスロール®を点滴しても本当に助かったかどうかは不明としかいえず、死亡という最悪の結果の原因は「異型狭心症」という病気にあることは間違いありません。ところが裁判官の立場は、明らかに患者性善説、医師性悪説に傾いていると思われます。なぜなら、「退院時総括」の記述「本人の希望もあり、ミリスロール®DIV(点滴)せずに安静で様子をみていた」というきわめて重大な記述を無視していることその理由として、「入院経過用紙」には入院時におけるミリスロール®の点滴に関するやりとりの記載がないことを挙げている裁判になってから提出された家族からの申告:当日午後3:00頃見舞にきた家族が、「点滴していなかったんだね」といったことに対し、「軽かったのかな」と患者が答えたという陳述書を全面的に採用し、患者側には病態の重大性、ミリスロール®の必要性が伝わっていなかったと断定つまり、診療録にはっきりと記載された「患者の希望でミリスロール®を点滴しなかった」という事実をことさら軽視し、紛争になってから提出された患者側のいい分(本当にこのような会話があったのかは確かめられない)を全面的に信頼して、医師の説明がまずかったから患者が点滴を拒否したと言わんばかりに、医師の説明義務違反と結論づけました。さらにもう一つの問題は、本件で百歩譲って医師の説明義務違反を認めるとしても、十分な説明によって死亡が避けられたかどうかは「判断できない」という鑑定書がありながら、それをも裁判官は無視しているという点です。従来までは、説明が足りず不幸な結果になった症例には、300万円程度の賠償金を認めることが多いのですが、本件では(患者側の責任は5割としながらも)説明義務違反=死亡に直結、と判断し、総額2,200万円にも及ぶ高額な判決金額となりました。本症例からの教訓これまで述べてきたように、今回の裁判例はとうてい医療ミスとはいえない症例であるにもかかわらず、患者側の立場に偏り過ぎた裁判官が無理なこじつけを行って、死亡した責任を病院に押し付けたようなものだと思います。ぜひとも上級審では常識的な司法の判断を期待したいところですが、その一方で、医師側にも教訓となることがいくつか含まれていると思います。まず第一に、医師や看護師のアドバイスを聞き入れない患者の場合には、さまざまな意味でトラブルに発展する可能性があるので、できるだけ詳しく患者の言動を診療録に記載することが重要です(本件のような最低限の記載では裁判官が取り上げないこともあります)。具体的には、患者の理解力にもよりますが、医師側が提案した治療計画を拒否する患者には、代替可能な選択肢とそのデメリットを提示したうえで、はっきりと診療録に記載することです。本件でも、患者がミリスロール®の点滴を拒否したところで、(退院時総括ではなく)その日の診療録にそのことを記載しておけば、(今回のような不可解な裁判官にあたったとしても)医療ミスと判断する余地がなくなります。第二に、その真偽はともかく、死亡後に担当医師から、「(ミリスロール®)点滴をすべきでした。しなかったのは当方のミスです」という発言があったと患者側が主張した点です。前述したように、診療録に残されていない会話内容として、裁判官は患者側の言い分をそのまま採用することはあっても、記録に残っていない医師側の言い分はよほどのことがない限り取り上げないため、とくに本件のように急死に至った症例では、「○○○をしておけばよかった」という趣旨の発言はするべきではないと思います。おそらく非常にまじめな担当医師で、自らが関わった患者の死亡に際し、前向きな考え方から「こうしておけばよかったのに」という思いが自然に出てしまったのでしょう。ところが、これを聞いた患者側は、「そうとわかっているのなら、なぜミリスロール®を点滴しなかったのか」となり、いくら「実は患者さんに聞いてもらえなかったのです」と弁解しても、「そんなはずはない」となってしまいます。そして、第三に、担当医師の供述に対する裁判官への心証は、かなり重要な意味を持ちます。判決文には、「担当医師は当公判廷において、患者が『またあの点滴ですか』といったことは強烈に覚えている旨供述するものの、患者に対しミリスロール®点滴の必要性についてどのように説明を行ったかについては、必ずしも判然としない供述をしている」と記載されました。つまり、患者に行った説明内容についてあやふやな印象を与える証言をしてしまったために、そもそもきちんとした説明をしなかったのだろう、と裁判官が思い込んでしまったということです。医事紛争へ発展するような症例は、医療事故発生から数年が経過していますので、事故当時患者に口頭で説明した内容まで細かく覚えていることは少ないと思います。そして、がんの告知や手術術式の説明のように、ある一定の緊張感のもとに行われ承諾書という書面に残るようなインフォームドコンセントに対し、本件のように(おそらく)ベッドサイドで簡単にすませる治療説明の場合には、曖昧な記憶になることもあるでしょう。しかし、ある程度の経験を積めば自ずと説明内容も均一化してくるものと思いますので、紛争へと発展した場合には十分な注意を払いながら、明確な意思に基づく主張を心がけるべきではないかと思います。循環器

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急性脳内出血後の降圧治療、積極的降圧vs.ガイドライン推奨/NEJM

 発症6時間以内の急性脳内出血患者に対して、1時間以内の収縮期血圧目標値<140mmHgとした積極的降圧治療と、ガイドラインで推奨されている同<180mmHgの場合を比較した、オーストラリア・シドニー大学のCraig S. Anderson氏らによるINTERACT2試験の結果が報告された。死亡および重度身体障害発生の主要転帰について、積極的降圧治療の有意な低下は示されなかったが、試験課程で脳卒中試験に認められたRankinスコアの順序尺度解析(ordinal analysis)では、機能的転帰の改善が示されたという。NEJM誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。目標<140mmHgとガイドライン推奨<180mmHgを比較 INTERACT2(Intensive Blood Pressure Reduction in Acute Cerebral Hemorrhage Trial 2)は、脳内出血患者への早期の積極的降圧治療の有効性と安全性を評価することを目的に、2008年10月~2012年8月に21ヵ国144病院から被験者を募り行われた国際多施設共同前向き無作為化非盲検試験だった。 被験者は、発症6時間以内の脳内出血患者は2,839例(平均年齢63.5歳、男性62.9%)で、無作為に、積極的降圧治療を受ける群(1時間以内の収縮期血圧目標値<140mmHg、1,403例)またはガイドライン推奨治療(1時間以内の収縮期血圧目標値<180mmHg、1,436例)に割り付けられた。使用する降圧治療は医師の選択にて行われた。 主要転帰は90日時点での、修正Rankinスケールのスコア3~6で定義される死亡(スコア6)または重大な身体障害(スコア5)とした。また、修正Rankinスコアの事前規定順序尺度解析も行い副次アウトカムとして評価した(スコア0~6の全7段階の身体的機能評価)。その他に重度有害事象イベントの発生率について両群間で比較した。順序解析で積極的降圧治療による機能的転帰の改善が示される 主要転帰の判定を受けたのは2,794例だった。<140mmHg群での主要転帰発生は、719/1,382例(52.0%)、ガイドライン推奨治療群は785/1,412例(55.6%)で、<140mmHg群のオッズ比は0.87(95%信頼区間[CI]:0.75~1.01、p=0.06)で有意差はみられなかった。 一方で、順序解析の結果、修正Rankinスコアの低下は、<140mmHg群が有意であった(より重大な障害に関するオッズ比:0.87、95%CI:0.77~1.00、p=0.04)。 死亡率は、<140mmHg群11.9%、ガイドライン推奨治療群12.0%だった(p=0.96)。 また、非致死的重大有害事象の発生は、それぞれ23.3%、23.6%だった(p=0.92)。 これらの結果から著者は、「積極的降圧治療は、主要転帰を有意に減少しなかった。修正Rankinスコアによる順序解析では、積極的降圧治療による機能的転帰の改善が示された」と結論している。

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抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学

 うつ病に対し、実臨床でどの抗うつ薬を第一選択薬として処方すべきかを検討した報告はいくつか行われているが、その後の継続的な治療効果などに関する研究はほとんどない。京都大学の古川 壽亮氏らは、日本における抗うつ薬による治療実態について健康保険データベースを用い調査した。Journal of affective disorders誌オンライン版2013年5月27日号の報告。 対象は、2009年~2010年の日本の健康保険データベースより抽出された、新規抗うつ薬で治療を開始した初発の非精神病性うつ病患者1,592例。調査項目は第一選択薬の継続と効果、第二選択薬の時期と種類、抗うつ薬治療の合計期間である。 主な結果は以下のとおり。・第一選択薬の開始用量および最大用量は、おおむねガイドラインで推奨されるとおりであった。しかし最大用量に関しては、推奨範囲の最小値に近い傾向が認められた。・第一選択薬の処方継続性は、ガイドラインの推奨を大きく下回っていた(初回処方での脱落率25%、3ヵ月以内の脱落率55%)。・第一選択薬にほかの向精神薬を追加投与した割合は14%(中央期間3ヵ月)、第一選択薬から他の抗うつ薬へ切り替えた割合は17%(中央期間2ヵ月)であった。・第二選択薬の選択は多岐にわたった。・抗うつ薬治療の合計時間は、中央期間4ヵ月と短かった。また、68%が6ヵ月で治療を中止していた。・健康保険データベースにおける非精神病性単極性うつ病の診断は、おおよそのものであるという点で、本研究には限界がある。・現在のガイドラインは、実臨床とは大いにかけ離れたものとなっている。こうしたなか、ガイドラインは実際の臨床の経験を反映する必要がある。・また、医療者は治療オプションを制限し、より効果的な治療を見極めて実践できるよう、エビデンスに基づいた比較効果研究が許されるべきである。関連医療ニュース SSRI+非定型抗精神病薬の併用、抗うつ作用増強の可能性が示唆 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき 統合失調症患者の服薬状況を検証

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NSAIDsは血管・消化管イベントリスクを増大、心不全は約2倍に/Lancet

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与により、血管・消化管イベントリスクは増大することが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のColin Baigent氏らCoxib and traditional NSAID Trialists’(CNT)共同研究グループが、メタ解析の結果、報告した。これまでCOX-2選択的阻害薬や従来型NSAIDs(tNSAIDs)を含むNSAIDsの血管・消化管への影響は、とくに血管疾患を有する患者において明らかではなかった。Lancet誌2013年5月30日号掲載の報告より。合計754件のプラセボ対照試験とNSAIDs間比較試験についてメタ解析 研究グループは、NSAIDsとプラセボについて行った無作為化プラセボ対照比較試験280件(被験者総数12万4,513例)と、NSAIDs間(1種類対その他種類)について行った無作為化比較試験474件(同22万9,296例)について、メタ解析を行い、NSAIDsの血管・消化管イベントリスクへの影響について分析した。 主要アウトカムは、重大血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致的死脳卒中、血管死)、重大冠動脈イベント(非致死的心筋梗塞または冠動脈死)、脳卒中、死亡、心不全、上部消化管合併症(穿孔、閉塞、出血)とした。ナプロキセンは重大血管イベントが増加せず 解析の結果、重大血管イベント発生率は、プラセボとの比較で、COX-2とジクロフェナクで3割増しと増大が大きく、率比はそれぞれ1.37(95%信頼区間[CI]:1.14~1.66、p=0.0009)と1.41(同:1.12~1.78、p=0.0036)だった。同リスクの増加は主に、重大冠動脈イベントリスクの増大によるもので、COX-2とジクロフェナクの同イベント率比は1.76(p=0.0001)と1.70(p=0.0032)だった。 プラセボとの比較で、COX-2とジクロフェナクに割り付けられた被験者1,000例のうち、年間で3例以上が重大血管イベントを発症し、うち1例は致死的であった。 イブプロフェンは、重大冠動脈イベントの発生リスクは有意に増大したが(率比:2.22、95%CI:1.10~4.48、p=0.0253)、重大血管イベント発生リスクは有意な増大は認められなかった(同:1.44、95%CI:0.89~2.33)。ナプロキセンも、重大血管イベント発生リスクについて、有意な増大はみられなかった(同:0.93、0.69~1.27)。 血管死リスクは、COX-2(率比1.58、99%CI:1.00~2.49、p=0.0103)とジクロフェナク(同:1.65、0.95~2.85、p=0.0187)で有意な増大がみられた。イブプロフェンでは有意差はみられず(同:1.90、0.56~6.41、p=0.17)、ナプロキセンでは、同リスクが増大しなかった(同:1.08、0.48~2.47、p=0.80)。 なお、重大血管イベントへの影響の割合は、ベースラインでの特性(血管リスクを含む)とは関連していなかった。 心不全発症リスクについては、すべてのNSAIDsでおよそ2倍に増大した。 またすべてのNSAIDsで、上部消化管合併症リスクの増大がみられた。各率比はそれぞれCOX-2が1.81(p=0.0070)、ジクロフェナク1.89(p=0.0106)、イブプロフェン3.97(p<0.0001)、ナプロキセン4.22(p<0.0001)だった。 著者は「高用量のジクロフェナクとおそらくイブプロフェンは、COX-2と比べて血管リスクが高いこと、一方で高用量ナプロキセンはその他のNSAIDsと比べて血管リスクは低いことが示された。NSAIDsは血管・消化管イベントリスクを増大する。しかしそのリスクの大きさは予測可能であり、臨床意思決定に役立つだろう」と報告をまとめている。

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世界初のFD治療剤が登場 ~今後のFD治療に与える影響は?~

 2013年6月7日(金)、千代田区丸の内にて、島根大学医学部 内科学講座第二 教授 木下芳一氏による「機能性ディスペプシア(FD)」のメディアセミナーが開催された(主催:ゼリア新薬工業株式会社/アステラス製薬株式会社)。機能性ディスペプシア(FD:functional dyspepsia)とは? FDは、機能性消化器疾患の国際的診断基準であるRome III基準で「食後のもたれ感・膨満感、早期満腹感(飽満感)、心窩部痛(みぞおちの痛み)などの消化器症状を訴えるが、原因となる器質的疾患が見当たらない疾患」と定義されている。これまでFDは「慢性胃炎」と診断されることが多かった。日本国際消化管運動研究会2006では、上腹部症状を有する症例のうち、9割以上の症例では器質的疾患が無かったと報告されている。FDの原因は? FDは以下のようなさまざまな原因が考えられている。1) 胃排出能異常、胃の適応性弛緩障害2) 胃酸分泌過剰、分泌異常3)ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)の感染などによる胃粘膜の炎症4) 消化管知覚過敏5) 心理的要因同じFD患者でも、それぞれの病態・病因が異なっているのが現状のようだ。世界初のFD治療剤アコチアミド新発売 これまでFDに対して適応を有する薬剤はなかったが、2013年6月6日(木)、世界初となる機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド錠100mg」(一般名:アコチアミド塩酸塩水和物)が発売された。アコファイドは消化管運動に重要な役割を果たす神経伝達物資アセチルコリンの分解酵素である末梢のアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより、上記1)に該当する胃排出能異常、胃の適応性弛緩障害を改善させ、胃もたれや早期飽満感に効果が期待される。アコファイドの臨床試験結果 食後の膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感を有するFD(Rome III)例(892例)を対象としてアコチアミド100mg×3/日、28日間の投与とプラセボ投与の大規模多施設ランダム化二重盲検試験(第3相)が行われ、治療効果についての全体的な印象(overall treatment efficacy)と3症状(食後の膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感)の消失率の2つの主要エンドポイントにおいて、アコチアミド投与群で有意に改善したことが報告されている。また、本試験における有害事象発現率と副作用発現率については、プラセボ投与群との間に統計的な有意差は認められていない。FDに対する診断と治療 胃がんなど他疾患の可能性を除外した上で、FDと診断した場合にはH.pyloriの検査が推奨される。感染が認められる際は除菌治療を行い、感染が認められない場合、または除菌後も症状が持続する場合には、低脂肪のものを少量食べるなどの食事療法を実施する。さらに患者さんの愁訴があれば、胃痛が中心の場合には胃酸分泌抑制剤などを投与し、胃もたれが中心となる場合には、アコチアミドなどの消化管運動機能改善薬を投与するというのがひとつのフローとなる(場合によっては両薬剤の併用を考慮し、それでも症状改善が十分でない場合には抗うつ薬や抗不安薬を検討する)。 先述のようにFDの原因はさまざまであるが、以前に比べ、多様な治療が可能になりつつあると木下氏は述べている。アコファイドの発売によりFD患者の自覚症状の改善やQOL向上が期待されるとともに、FD治療の幅が広がることは多くの医療関係者にとってベネフィットになると言えよう。

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第54回日本神経学会学術大会レポート -パーキンソン病-

 2013年5月29日(水)~6月1日(土)の4日間、東京国際フォーラム(千代田区)において「第54回日本神経学会学術大会」が開催された。今回はとくに、パーキンソン病にフォーカスしてレポートする。【パーキンソン病治療を再考する時が来た!?】 パーキンソン病に関する複数の講演会場で、話題に挙がったキーワードは「パーキンソン病治療再考」であった。その背景には、現在のパーキンソン病治療ガイドラインのあり方と、近年、新たなパーキンソン病治療薬が登場したことで治療選択肢が増えたことなどが挙げられる。 パーキンソン病の代表的な治療薬であるL-ドパ製剤は、その症状改善効果から第一選択薬として位置づけられ、現在も広く処方されている。しかしながら、ジスキネジアが出現するという理由でL-ドパ製剤を増量せず、十分な治療効果が得られていない例が散見され、ガイドラインやエビデンスが周知されていない実態が明らかとなった。また、2012年以降ドパミンアゴニストの徐放錠や貼付剤、注射剤など新たな剤形や、非ドパミン系治療薬などが登場した。治療の選択肢が広がった一方で、臨床医が迷う場面が増えたことも現実だろう。 治療ガイドライン作成から10年が経過した。今、あらためてガイドラインに立ち返り、パーキンソン病治療との向き合い方を再考する時なのかもしれない。【運転すると知りながら、突発性睡眠の副作用がある抗パーキンソン病治療薬を処方した医師は罪に問われるのか?】 道路交通法の改正により、眠気を催す恐れのある薬剤を服用して交通事故を起こした場合、その薬剤を処方した医師も罪に問われる可能性がある。この話題は、複数のセミナーで議論となりフロアからも活発な質問が相次いでいた。(この改正案は現在、参議院を通過しており、衆議院で可決されれば改正されるだろう、とのこと)※現在、道路交通法第66条では、薬の副作用等によって正常な運転ができない状態で運転することを禁止している。 多くの抗パーキンソン病治療薬の副作用として突発性睡眠が報告されており、該当薬剤の添付文書上で、「本剤服用中には、自動車の運転等危険を伴う作業に従事させないよう注意する」旨が記載されている。とくにドパミンアゴニストは、非高齢者で、認知機能障害もしくは精神症状が無く、当面の症状改善を優先させる特別な事情がないパーキンソン病患者の第一選択薬となっており、自動車等の運転をする機会の多い非高齢者に処方する可能性が高い。 職業ドライバーの患者や、車が無くては生活できない患者に対して、どのように治療を行えばいいのか。医師は、この法律に矛盾を感じずにはいられないだろう。「この改正が現実となれば、患者とのコミュニケーションを十分に取り、降りかかる火の粉を回避するほかない」とは演者の言葉である。

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植物油と糖代謝異常の関連~日本人での検討

 脂肪酸は、糖尿病の発症に関与することが示唆されている。しかし、n-3系多価不飽和脂肪酸の豊富な魚を大量に消費する日本人において、その関連性は不明である。国立国際医療センター臨床研究センターの黒谷佳代氏らは、18~69歳の日本人勤労者1,065人における横断的研究により、個々の食餌脂肪酸および食餌脂肪酸パターンと糖代謝異常との関連を検討した。その結果、植物由来の脂肪酸が日本人成人の糖尿病発症を防ぐ可能性が示唆された。PLoS One誌2013年5月31日版に掲載。 糖代謝異常の定義は、糖尿病歴があり、糖尿病治療薬を使用中で、空腹時血糖110mg/dL (6.1mmol/L)以上もしくはヘモグロビンA1c 6.0%(42mmol/mol)以上の人とした。食事の摂取は自記式食事歴法質問票で評価した。食餌脂肪酸パターンは主成分を分析し、その特徴から3パターンに識別した(植物油パターン、魚油パターン、肉由来パターン)。個々の脂肪酸および食餌脂肪酸パターンの三分位カテゴリーによる糖代謝異常のオッズ比は、潜在的交絡因子を調整しロジスティック回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・多価不飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、リノール酸、オレイン酸について、それぞれ摂取量が多いほど、糖代謝異常の有病率が有意に低かった(それぞれ、傾向のp=0.03、0.01、0.02、0.04)。α-リノレン酸の摂取は、糖代謝異常の有病率減少と若干関連していた(傾向のp=0.12)。・3つの脂肪酸パターンのうち、植物油パターン(α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸の摂取が多いことが特徴)は、スコアが高いほど糖代謝異常の有病率が低かった(傾向のp=0.03)。ほかのパターンではこの関連は認められなかった。

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重篤な職業性接触皮膚炎1,000例を検証、多発しやすい職業などが明らかに

 職業性接触皮膚炎は頻度が高いことが知られるが、重篤例の頻度も高いことが、デンマーク・コペンハーゲン大学ゲントフテ病院のJakob Ferlov Schwensen氏らによる調査の結果、明らかになった。また、刺激性接触皮膚炎のほうがアレルギー性接触皮膚炎よりも発症年齢が有意に低いことや、男女別にみた発症頻度の高い職業なども明らかになった。著者は「本研究は、職業性接触皮膚炎について、普遍的かつ特異的な予防のための新たなアプローチを示唆するものとなった」と結論している。Contact Dermatitis誌2013年5月号の掲載報告。 Schwensen氏らは、職業性接触皮膚炎は疫学的な解明が、その予防の基本的素地の改善につながる可能性があるとして、重篤な職業性接触皮膚炎のリスクがある職業を特定することを目的に、同院のナショナルアレルギー研究センターで治療が行われた1,000例について検証した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象群は、女性618人、男性382人であった。・平均発症年齢は、男女ともアレルギー性接触皮膚炎よりも刺激性接触皮膚炎のほうが、アトピー性皮膚炎の併存の有無にかかわらず、有意に低かった。・女性でリスクの高い職業は、料理人、肉屋、美容師、パン屋で、発症例は年間1万人当たり23.3~96.8例であった。・男性でリスクの高い職業は、塗装工、料理人、機械工、錠前屋、パン屋で、発症例は年間1万人当たり16.5~32.3例であった。・以上の結果から職業性接触皮膚炎の重篤例は頻度が高いことが明らかになった。著者は、「長年にわたる問題として文書化され、職業リスクとリスク因子が明らかになっているにもかかわらず、ヨーロッパでは効果的で組織的な介入および予防の計画が手つかずであることが懸念される」と指摘したうえで、「本研究が、職業性接触皮膚炎の普遍的かつ具体的な予防のための新たなアプローチを示唆するものとなった」とまとめている。

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エキスパートに聞く!「内科医がおさえるべき皮膚診療ポイント」Q&A part1

CareNet.comでは『内科で診る皮膚疾患特集』を配信するにあたり、事前に会員の先生より質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、三橋善比古先生にご回答いただきましたので、全2回でお届けします。皮膚科専門医に紹介すべき疾患の見分け方、緊急性のある皮膚疾患の見分け方のポイントがあれば教えてください。発熱がある場合は緊急性があることが多いと思います。皮膚所見では、全身が赤い紅皮症状態、水疱形成や粘膜症状がある例が重症疾患のことが多いと思います。数日間観察して悪化傾向があれば、その後も悪化することが考えられるので紹介すべきです。この悪化傾向は必ずしも面積の拡大を意味しません。中毒疹は体幹に始まり、軽快するときに四肢に拡大していくことが多いのです。面積が拡大しているので悪化していると解釈されることが多いですが、実際は軽快していることもあります。この場合、色調や浸潤に注意すると、面積は拡大しても赤みが薄くなって浸潤が改善していることがあります。これは軽快の徴候です。プライマリ・ケアで注意すべき皮膚疾患はどのようなものがあるでしょうか?湿疹・皮膚炎群、蕁麻疹、表在性白癬で、全皮膚疾患患者の半分程度を占めるとされています。これらの疾患に対応できればかなりの部分をカバーできると思われます。白癬を疑うケース:内科外来では顕微鏡やKOH検査ができません。そのような場合、どのように対処すべきでしょうか? まず抗真菌薬を処方すべきか、ステロイド外用薬を処方すべきかなど悩みます。皮膚科でKOH検査を行っても湿疹か白癬か判別できないことがあります。このような場合は、必ず後日再来する約束をしてステロイド薬の外用を行い、再度、真菌鏡検を行って診断を確定することがあります。この場合、ステロイド薬外用は、湿疹性病変を治療することで白癬病変を明瞭化すること、かゆみを取り除くという意味があります。真菌鏡検ができないときはこの手は使えませんので、まず抗真菌薬を外用する方がよいと思います。ステロイド外用で真菌病変が悪化してしまうことを避けるためです。蕁麻疹について:受診時には皮疹が消失している症例にはどのように対処したらよいでしょうか?蕁麻疹は膨疹を特徴とする疾患です。膨疹は短時間で出没することが特徴です。出たり消えたりしているわけです。全体としては続いていることもあるし、全体が消えてしまうこともあります。従って、診察の時に発疹がまったくないことは珍しくありません。むしろこれが、他の疾患ではみられない蕁麻疹の特徴です。蕁麻疹はアレルギー性のほか、運動誘発性、寒冷、温熱、コリン性など原因は多彩です。蕁麻疹の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服が第一選択です。ステロイド外用はあまり意味がありません。もし外用薬を処方する場合は、ジフェンヒドラミン(商品名:レスタミンコーワクリーム)などのステロイドを含まないものがよいでしょう。複数の皮膚病変が合併している場合の対処法について教えてください。複数の皮膚病変の合併と聞いて、真っ先に、水虫(足白癬)に細菌の二次感染が合併している状態を思い出しました。このような患者は、これから暑くなってくると毎日のように来院されます。また、足白癬の治療のための外用薬による接触皮膚炎を合併している患者もおられます。これら3疾患を併発していることもあります。このようなときの治療は、後で生じたものから治療するという原則があります。白癬に細菌感染では、細菌感染から治療します。接触皮膚炎を合併していたら、まず接触皮膚炎を治療します。原則にこだわるよりも、急を要するものから治療すると考えるのがいいかも知れません。いずれにしても、白癬の治療は最後でよいのです。

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第15回 診療ガイドライン その1:ガイドラインから外れた医療行為は違法か!?

■今回のテーマのポイント1.ガイドラインに反する診療は、紛争化のリスクを上げることから注意する必要がある2.裁判所はおおむねガイドラインに沿った判断をする3.ガイドラインに反する診療であっても、直ちに違法とはならないが、少なくとも「相応の医学的根拠」は必要である事件の概要患者X(死亡時79歳)は、昭和43年より糖尿病にてY病院糖尿病代謝科(主治医A医師)に外来通院していました。平成12年に上部内視鏡検査を行ったところ、食道静脈瘤が認められたことから精査した結果、HBV、HCV感染は認められないものの、初期の肝硬変と診断されました。その後、A医師は、外来で定期的に採血にて肝機能及び血小板数を測定していましたが、いずれも正常範囲内で推移しており、上部内視鏡検査上も食道静脈瘤に著変なく、経過観察をしていました。しかし、A医師は、その間、腫瘍マーカーの測定及び腹部超音波検査、CTなどの画像検査は行っていませんでした。Xは、平成18年8月7日21時頃、自宅トイレで倒れ、意識レベルが低下していたことからY病院に入院しました。その際、撮影した胸部CTにて肝臓に腫瘍性病変が認められたことから精査したところ、多発性肝細胞がんと診断され、同年10月23日に死亡しました。これに対し、Xの遺族は、肝硬変があったXに対し、肝細胞がん発見を目的とした検査を長期にわたり行わなかったとして、Y病院に対し、2,350万円の損害賠償を請求しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過患者X(死亡時79歳)は、糖尿病にてY病院糖尿病代謝科(主治医A医師)に外来通院していました。昭和61年12月に採血検査にて肝機能障害が認められたことから腹部超音波検査を行ったところ、慢性肝疾患及び脂肪肝の疑いと診断されました。平成12年7月に、糖尿病代謝科入院中に上部内視鏡検査を行ったところ、食道静脈瘤が認められたことから精査した結果、HBV、HCV感染は認められないものの、初期の肝硬変と診断されました。その後、A医師は、外来で定期的に採血にて肝機能及び血小板数を測定していましたが、いずれも正常範囲内で推移しており、上部内視鏡検査上も食道静脈瘤に著変なく経過観察をしていました。しかし、A医師は、その間、腫瘍マーカーの測定及び腹部超音波検査、CTなどの画像検査は行っていませんでした。Xは、平成18年8月7日21時頃、心不全のため自宅トイレで倒れ、意識レベルが低下していたことからY病院に入院しました。その際、撮影した胸部CTにて肝臓に腫瘍性病変が認められたことから精査したところ、AFP 30ng/mL、PIVKA-Ⅱ 7,000mAU/mL以上であり、多発性肝細胞がんと診断されました。Xは高齢であり、全身状態も悪かったため、積極的な治療は行われず、同年10月23日に死亡しました。事件の判決診療ガイドラインは、その時点における標準的な知見を集約したものであるから、それに沿うことによって当該治療方法が合理的であると評価される場合が多くなるのはもとより当然である。もっとも、診療ガイドラインはあらゆる症例に適応する絶対的なものとまではいえないから、個々の患者の具体的症状が診療ガイドラインにおいて前提とされる症状と必ずしも一致しないような場合や、患者固有の特殊事情がある場合において、相応の医学的根拠に基づいて個々の患者の状態に応じた治療方法を選択した場合には、それが診療ガイドラインと異なる治療方法であったとしても、直ちに医療機関に期待される合理的行動を逸脱したとは評価できない。そして、上記認定のとおり肝診療ガイドラインにおいてサーベイランス(*肝細胞早期発見のための定期的な検査(筆者注))の至適間隔に関する明確なエビデンスはないとされており、推奨の強さはグレードC1(行うことを考慮してもよいが十分な科学的根拠がない)と位置づけられていることからすれば、サーベイランスの間隔については一義的に標準化されているとまでは認めがたいのであるから、上記間隔については医師の裁量が認められる余地は相対的に大きくなるものと解される。・・・・・・・(中略)・・・・・・・そこで、被告医師がどの程度の間隔でサーベイランスを行うべきであったかを検討するに、上記認定のとおり肝診療ガイドラインにおいて非ウイルス性の肝硬変は肝細胞の高危険群とされ、6か月に一回の超音波検査及び腫瘍マーカーの測定が推奨されている。そして、上記認定説示したとおりXの肝硬変は発リスクが否定されるものではなかったことに加え、上記で認定のとおり肝硬変の前段階とされる慢性肝炎であっても発リスクが相当程度認められることからすれば、Xの肝硬変が初期のものであったとしても、被告A医師がXに対して肝硬変と診断してから一度も超音波検査等を実施しなかったことが相応の医学的根拠に基づくものとは評価しがたい。なお、後記で認定説示した本件での検査結果から、被告A医師においてXの肝硬変がさほど進行していなかったと判断すること自体は不合理であるとはいえない。したがって、これらの検査結果を根拠として、肝診療ガイドラインとは異なるサーベイランスを実施していたとしても、上記で説示したとおりサーベイランスの間隔について医師の裁量を認める余地があることを併せ考慮すれば、直ちに不合理であると断定することができないとの見方もあり得ないではない。しかしながら、本件においては、そもそもサーベイランスそれ自体が全く実施されていないことに加え、被告医師において肝診療ガイドラインとは異なるサーベイランスを実施することが相当であるとした場合には具体的なサーベイランスの間隔及び方法をどのようなものにするのが妥当であったかという点や、それを裏付ける医学的根拠はどのようなものかという点について何ら被告における主張立証がない。以上の検討によれば、上記で説示したように医療行為において医師の裁量を尊重する必要があること及び肝診療ガイドラインが絶対的な基準ではないことを考慮してもなお、被告は、Xに対し、肝発見を目的として6か月間隔で腫瘍マーカー及び超音波検査を実施し、腫瘍マーカーの上昇や結節性病変が疑われた場合には造影CT検査等を実施すべきであったというべきである。(* 判決文中、下線は筆者による加筆)(仙台地判平成22年6月30日)ポイント解説今回は、ガイドラインについて解説いたします。ガイドラインは、添付文書同様、裁判所が個別具体的な事例における「医療水準」を判断するにあたり用いられる文書であり、特に、作成当時の多数の専門家間における合意事項が文書化されていることから、訴訟においては重視される傾向があり、民事医療訴訟において重要な文書であるといえます。ただ、ガイドラインは法的に作成が義務付けられた文書ではないこともあり、第12回で紹介した添付文書のように、「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである」(最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁)といった過失の推定効は認められていません。しかし、患者・家族が弁護士に相談した際に、弁護士が当該診療が適切か否か、すなわち事件を受任して裁判をするか否かを判断するにあたり、必ず参照する文書でもあることから、ガイドラインは紛争化するか否かを決定する上でも非常に重要な文書であるといえます。■ガイドラインに対する裁判所の傾向それでは、裁判所のガイドラインに対する姿勢はどのようなものかみてみましょう。本事例のような肝硬変の患者に対しては、肝細胞がんの早期発見のため定期的に腫瘍マーカーや腹部超音波検査等によるサーベイランスを行う必要があると考えられています。したがって、肝硬変の患者に対して、適切な検査を行わなかった結果、肝細胞がんの発見が遅れ、死亡してしまった場合には、医療過誤として訴えられることとなります。そして、このサーベイランスの方法や間隔については、平成11年に作成された「日本医師会生涯教育シリーズ 肝疾患診療マニュアル」と平成17年に第1版が作成された「肝診療ガイドライン」(平成21年改訂)の2つのガイドラインがあります。これらのガイドライン作成後に患者が死亡し、肝細胞がんに対するサーベイランスを争点として争われた判決は、民間判例データベースから検索すると6つあります(表1)。画像を拡大する表1をご覧いただけれるとわかるように、サーベイランスに関する判決では、ほとんどが原告勝訴となっています。一般に民事医療訴訟の原告勝訴率が20~40%であることを考えると、その差は明らかといえます。なお、唯一、原告が敗訴している(4)の事例は、患者の受診コンプライアンスが悪く、適切なフォローが困難であった事例であり、それでも、おおむね年2回程度は検査が行われていたことから、このような判断となっています。それではこれらの訴訟において、ガイドラインはどのように使われていたのでしょうか。表2にそれぞれの判決において、裁判所が示した適切なサーベイランス頻度を示します。画像を拡大するそして、平成11年に作成された「日本医師会生涯教育シリーズ 肝疾患診療マニュアル」においては、「肝硬変を超高危険群、ウイルス性の慢性肝炎及び非肝硬変のアルコール性肝障害を高危険群、その他の肝障害を危険群と設定し、これらの患者に対して、それぞれ定期的に諸検査を行うよう指針を定めています。同指針は、超高危険群患者に対しては、AFP検査を月に1回、腹部超音波検査を2、3か月に1回、腹部CT検査を6か月に1回、高危険群患者に対しては、AFP検査を2、3か月に1回、腹部超音波検査を4ないし6か月に1回、腹部CT検査を6か月ないし1年に1回並びに危険群に対しては、AFP検査を6か月に1回、腹部超音波検査及び腹部CT検査を1年に1回行う」と記載されています。また、平成17年に作成された「肝診療ガイドライン」においては、「一つの案として、超高危険群に対しては、3~4カ月に 1 回の超音波検査、高危険群に対しては、6カ月に 1回の超音波検査を行うことを提案する。腫瘍マーカー検査については、AFP およびPIVKA-Ⅱを超高危険群では 3~4カ月に 1回、高危険群では 6カ月に 1回の測定を推奨する」と記載されています。表2と比較していただければわかるように、(2)と原告敗訴となった(4)を除いた判決においては、裁判所は、判決文中にガイドラインを引用した上で、ガイドラインに沿った判断をしています。このようにしてみると、ガイドラインに違反した結果、患者に損害が生じた場合には、紛争化しやすいと同時に、裁判においても、ガイドラインに沿った判断がなされやすいということがいえます。■ガイドラインは「不磨の大典」ではないこのようなガイドラインに対する裁判所の傾向をみると、皆さんは違和感を覚えるでしょうし、批判もあるかと思います。ただ、添付文書の時にも説明しましたが、現在の裁判所は、添付文書やガイドラインを不磨の大典としてとらえているわけではありません。本判決においても、「もっとも、診療ガイドラインはあらゆる症例に適応する絶対的なものとまではいえないから、個々の患者の具体的症状が診療ガイドラインにおいて前提とされる症状と必ずしも一致しないような場合や、患者固有の特殊事情がある場合において、相応の医学的根拠に基づいて個々の患者の状態に応じた治療方法を選択した場合には、それが診療ガイドラインと異なる治療方法であったとしても、直ちに医療機関に期待される合理的行動を逸脱したとは評価できない。そして、上記認定のとおり肝診療ガイドラインにおいてサーベイランスの至適間隔に関する明確なエビデンスはないとされており、推奨の強さはグレードC1(行うことを考慮してもよいが十分な科学的根拠がない)と位置づけられていることからすれば、サーベイランスの間隔については一義的に標準化されているとまでは認めがたいのであるから、上記間隔については医師の裁量が認められる余地は相対的に大きくなるものと解される」と判示されているように、杓子定規に判断するのではなく一定程度の裁量の幅(グレーゾーン)が認められていると考えられます。ただ、その場合においても、「相応の医学的根拠」は必要であり、肝細胞がんのサーベイランスにおいては、単に「気が付いたらずいぶん期間が開いてしまった」ということでは許されませんので、注意する必要があります。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)仙台地判平成22年6月30日最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁

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COPDの配合薬治療、肺炎リスクに薬剤クラス内差を確認/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の配合薬による治療の肺炎リスクは、フルチカゾン/サルメテロール配合薬がブデソニド/ホルモテロール配合薬よりも高いことが、スウェーデン・ウプサラ大学のChrister Janson氏らが行ったPATHOS試験で示された。肺炎はCOPDで高頻度にみられる合併症であり、罹病率や死亡率の上昇、医療費の増大をもたらす。COPDに対する吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の固定用量配合薬による治療は肺炎のリスクを増加させる可能性があるが、個々の配合薬のリスクの違いは知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告。2つの配合薬の肺炎リスクを後ろ向きコホート試験で評価 PATHOS試験は、傾向スコアでマッチさせたコホートを用いたレトロスペクティブな観察コホート試験で、2種類の吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の配合薬による治療を受けたCOPD患者における肺炎または肺炎関連イベントの発生状況の評価を目的とした。 1999~2009年のスウェーデンの病院、薬剤、死因の登録データと関連づけられたプライマリ・ケア診療記録のデータを用いた。 COPDの診断でブデソニド/ホルモテロール配合薬またはフルチカゾン/サルメテロール配合薬を処方された患者を解析の対象とし、主要評価項目は年間肺炎イベント発症率、肺炎による入院、死亡とした。肺炎発症の率比1.73、入院の率比1.74、肺炎関連死のHR 1.76 9,893例(フルチカゾン/サルメテロール配合薬群:2,738例、ブデソニド/ホルモテロール配合薬群:7,155例)がマッチングの対象となり、マッチさせた2つのコホートはフルチカゾン/サルメテロール配合薬群が2,734例(平均年齢67.6歳、女性53%、喫煙者48%)、ブデソニド/ホルモテロール配合薬群も2,734例(67.6歳、53%、49%)であった。これらの患者のうち、試験期間中に2,115例(39%)に肺炎エピソードが認められた。 肺炎の発症(率比:1.73、95%信頼区間[CI]:1.57~1.90、p<0.001)および入院(同:1.74、1.56~1.94、p<0.001)のリスクは、いずれもフルチカゾン/サルメテロール配合薬群がブデソニド/ホルモテロール配合薬群に比べ有意に高かった。 100人年当たりの肺炎イベント発症率は、フルチカゾン/サルメテロール配合薬群が11.0(95%CI:10.4~11.8)、ブデソニド/ホルモテロール配合薬群は6.4(同:6.0~6.9)であり、入院率はそれぞれ7.4(同:6.9~8.0)、4.3(同:3.9~4.6)であった。 肺炎関連の平均入院期間は両群で同等であったが、肺炎関連死はフルチカゾン/サルメテロール配合薬がブデソニド/ホルモテロール配合薬群よりも有意に多かった(97 vs 52例、ハザード比[HR]:1.76、95%CI:1.22~2.53、p=0.003)。全死因死亡は、両群間に有意な差を認めなかった(HR:1.08、95%CI:0.93~1.14、p=0.59)。 著者は、「COPD患者の治療における肺炎および肺炎関連イベントのリスクに関し、吸入副腎皮質ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬の固定用量配合薬には、薬剤クラス内の差が認められた」と結論し、「フルチカゾン/サルメテロール配合薬の高い肺炎リスクは、ブデソニドとフルチカゾンの免疫抑制能および薬物動態学/薬力学(PK/PD)の違いに関連する可能性がある」と指摘している。

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ICU内の感染症対策、標的患者除菌よりも全患者除菌が有効/NEJM

 ICU内における標的患者除菌または全患者除菌は、いずれも院内感染症の予防において、とくにMRSAに対しては有望な戦略である。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のSusan S. Huang氏らは、プラグマティックなクラスター無作為化試験を行い、いずれの方法がルーチンなICUケアとして有効であるかを検討した。その結果、全患者除菌が、より有効であったことを報告した。NEJM誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。3つの予防戦略法についてクラスター無作為化試験で比較 研究グループは、ICU内感染予防戦略策定のために、次の3群を設定し試験を行った。グループ1はMRSAスクリーニングと隔離を実施する群、グループ2は標的患者除菌を実施する群(スクリーニングと隔離、MRSAキャリア患者の除菌の実施など)、グループ3は全患者を一律に除菌する群(スクリーニングをせず全患者の除菌の実施など)で、成人患者を被験者とし、病院ICU単位で無作為化を行った。 比例ハザードモデルを用いて3グループの病院単位での感染症減少の差異を評価した。ルーチンの全患者除菌が、MRSAの臨床発生およびあらゆる血流感染の減少に有効 16地点45病院のうち43病院(ICU 74室)が無作為化を完了した。介入期間中(2010年4月8日~2011年9月30日の18ヵ月間)の被験患者は7万4,256例だった。 ベースライン期間(2009年1月1日~12月31日の12ヵ月間)と比べた介入期間中の、MRSA臨床分離株のモデル化ハザード比は、グループ1(スクリーニング&隔離群)は0.92(介入期間vs. ベースライン期間の粗率:3.2vs.3.4分離株/1,000日)、グループ2(MRSA患者除菌)は0.75(同:3.2vs. 4.3分離株/1,000日)、グループ3(全患者除菌)は0.63(同:2.1vs. 3.4分離株/1,000日)だった(全グループ同等性検定のp=0.01)。 また、同比較による、あらゆる病原体の血流感染のハザード比は、グループ1は0.99(粗率:4.1vs. 4.2件/1,000日)、グループ2は0.78(同:3.7vs. 4.8件/1,000日)、グループ3は0.56(同:3.6 vs.6.1件/1,000日)だった(全グループ同等性検定のp<0.001)。 全患者除菌はあらゆる血流感染の発生率を、標的患者除菌やスクリーニング&隔離よりも有意に大きく減少した。 1例の血流感染予防のために必要な全患者除菌件数は54例だった。 MRSA血流感染の発生率の減少と全血流感染の発生率減少は同程度で有意差はみられなかった。 有害事象は7例でみられたが軽度であり、クロルヘキシジン(商品名:ヒビテンほか)に関連するものであった。 これらの結果を踏まえて著者は、「ICUのルーチンケアにおいて、全患者除菌は、標的患者除菌やスクリーニング&隔離よりも、MRSA臨床分離株発生率の減少やあらゆる血流感染の減少において、より有効であった」と結論した。

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【ご案内】ITヘルスケア学会 第7回年次学術集会のお知らせ

 ITヘルスケア学会は、平成25年6月29日に第7回年次学術集会を東京医科歯科大学M&Dタワーにて開催する。第7回学術大会は、いわゆる2025年問題である超高齢社会下の社会システムの再構築へ向けて、急性疾患から慢性疾患への疾病構造が大きく変化していく中での医療ケア・介護ケアの基盤は、生活圏を基本とした在宅医療+地域コミュニティーを中心に再形成されるべきと「在宅医療+地域コミュニティーの創意工夫を活かす」をテーマに行う。《開催概要》【テーマ】 在宅医療+地域コミュニティーの創意工夫を活かす【大会長】 高瀬 義昌 氏(医療法人社団至高会 理事長)【会 期】 平成25年6月29日(土)【会 場】 東京医科歯科大学M&Dタワー2階 共用講義室1 共用講義室2      東京医科歯科大学3号館18階 保健学科講義室1【受 付】 M&Dタワー2階 共用講義室1【交 通】 JR「御茶ノ水」駅 東京メトロ「御茶ノ水」駅 下車【事前登録】 会員=4,000円 非会員=6,000円 学生会員=無料 学生非会員=無料【当日登録】 会員=5,000円 非会員=7,000円 学生会員=無料 学生非会員=1,000円※学生の場合は、受付にて、学生証の提示をお願いします。懇親会費:3,000円【演題プログラム】◆A会場(M&Dタワー2階 共用講義室2)PDF版参照 http://ithealthcare.jp/docs/130629programs_A.pdf・08:50~09:55 大会長 開会のご挨拶  高瀬 義昌 氏(医療法人社団至高会)・09:00~12:00 モバイルヘルスシンポジウム2013  座長:水島 洋 氏(国立保健医療科学院)  「患者参加型医療を実現する~誰のためのヘルスレコードか~」  基調講演:「患者参加による創薬支援プロジェクトをはじめとするICTの今後」/水島 洋 氏(国立保健医療科学院)  講演:「患者参加型医療を実現する革新的ICT技術」/宮川 一郎 氏(習志野台整形外科内科)  講演:「電子カルテを基盤とした社会システムデザイン」/亀田 隆明 氏(医療法人鉄蕉会亀田総合病院)・12:05~12:20 大会長講演  高瀬 義昌 氏(医療法人社団至高会)・12:20~13:10 ランチョンセミナー(提供:日本マイクロソフト株式会社)  講演:「周産期医療における地域連携とPHR」/尾形 優子 氏(株式ミトラ)・13:10~13:20 平成25年度総会(会員限定)・13:20~16:00 健康ビックデータがつなぐ街づくり  座長:高瀬 義昌 氏(医療法人社団至高会)  講演:「ケアサイクルの考え方」/長谷川 敏彦 氏(日本医科大学医療管理学科)  講演:「医療介護の質の向上が果たす使命・社会づくり・街づくり」/田原 一 氏(株式会社イニシア)  講演:「ケアタウンナカノ構想 ~在宅医療連携拠点事業成果報告~」/中野 一司 氏(医療法人ナカノ会ナカノ在宅医療クリニック)  講演:「つくば市健康サポート事業報告 コンティニュアヘルスが繋げる地域と世界」/守田 典宏 氏(NTTレゾナント株式会社)・16:00~18:00 在宅医療におけるIT技術の活用と医療ソフトウェアの薬事法  五十嵐 中 氏(東京大学大学院薬学系研究科)  遠藤 直哉 氏(フェアネス法律事務所)  遠矢 純一郎 氏(医療法人社団プラタナス桜新町アーバンクリニック)  山下 和彦 氏(東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科)・18:00~18:05 閉会挨拶◆B会場(M&Dタワー2階 共用講義室1)PDF版参照 http://ithealthcare.jp/docs/130629programs_BC.pdf・09:00~11:20 病院・在宅管理1・13:30~15:50 病院・在宅管理2◆C会場(3号館18階 保健学科講義室1)PDF版参照 http://ithealthcare.jp/docs/130629programs_BC.pdf・09:00~11:40 モニタリング・センサ技術・13:30~15:50 アプリ開発・シュミレーション技術予定は変更になる場合があります。詳細は公式Webサイトへhttp://ithealthcare.jp/docs/130629ithc.html参加事前登録はこちらからhttp://ithealthcare.mobi/registration学術大会+モバイルヘルスシンポジウム合同実行委員会お問い合わせ先:office@ithealthcare.jp

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