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SSRIは月経前症候群の治療に有用か?

 ニュージーランド・オークランド大学のJane Marjoribanks氏らは、月経前症候群(PMS)に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の有効性と安全性を評価するため、これまでに実施された臨床試験をもとにレビューを行った。その結果、SSRIは服用方法にかかわらずPMSの症状軽減に有効であるが、用量依存的に有害事象が比較的高頻度に発現することを報告した。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年6月7日掲載の報告。 月経前症候群(PMS)は、出産可能年齢の女性においてしばしば身体的、精神的および社会的問題をもたらす一般的な要因となる。PMSの主な特徴は症状がみられるタイミングで、それは月経前2週間すなわち黄体期においてのみ生ずることである。 PMS治療のファーストラインとしてSSRIの使用機会が増えており、黄体期のみもしくは継続的(連日)に使用される。SSRIは一般に月経前症状の軽減に有効だと考えられているが、有害事象を惹起しうる。そこで、PMSの治療としてSSRIの有効性と安全性を評価することを目的にレビューを行った。Cochrane Library、MEDLINE、EMBASEなどをデータソースに、2013年2月時点において関連する無作為化比較試験(RCT)の検索を行った。報告内に不十分なデータがみられた際、詳細を確認するため原著者との連絡を試みた。プロスペクティブにPMSと診断され月経前不快気分障害(PMDD)または後期黄体期不快気分障害(LPDD)を呈する被験者が、SSRIまたはプラセボ群に無作為化された試験を選択した。 2名のレビュワーが自由に試験を選び、バイアスのリスクが適格とされる試験について評価を行い、月経前症状と有害事象のデータを抽出した。ランダム効果モデルを用いて試験を集積した。連続データ(最終スコアおよびスコアの変化)に対する別の解析により、月経前症状スコアにおける標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を算出した。2つのアウトカムについてオッズ比(OR)と95%CIを算出した。薬剤の服用方法(黄体期のみまたは連日)、投与量(低、中、高)により層別解析を行った。何人に中用量のSSRIを投与すれば1件の有害事象が発現するのか、その人数を算出した(number needed to harm:NNH)。主要な知見に対する全体的なエビデンスの質は、GRADE working group methodsにより評価した。 主な結果は以下のとおり。・31件のRCTについてレビューを行った。それらRCTでは、フルオキセチン(本邦未承認)、パロキセチン(商品名:パキシル)、セルトラリン(同:ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(同:レクサプロ)、シタロプラム(国内未承認)などとプラセボとの比較が行われていた。・SSRIはプラセボに比べ、自己評価による症状を有意に軽減させた。・最終スコアを報告している試験集団において、エフェクトサイズは中程度であった[中用量のSSRI、SMD:-0.65、95%CI:-0.46~-0.84、9試験、女性1,276例、不均質性は中(I2=58%)、エビデンスの質は低]。・スコア変化について報告している試験集団において、エフェクトサイズは小さかった[中用量のSSRI、SMD:-0.36、95%CI:-0.20~-0.51、4試験、女性657例、不均質性は低(I2=29%)、エビデンスの質は中]。・SSRIは、黄体期のみの使用あるいは連日使用のいずれにおいても症状の軽減に効果的で、これら服用方法による明らかな有効性の相違はみられなかった。しかし、黄体期のみの使用と連日使用のレジメンを直接比較した試験はほとんどないため、これに関する結論を得るにはさらなるエビデンスが必要である。・有害事象による脱落は、SSRI群で有意に多い傾向にあった[中用量、OR:2.55、95%CI:1.84~3.53、15試験、女性2,447例、不均質性なし(I2=0%)、エビデンスの質は中]。・中用量のSSRIに関連する主な副作用は、悪心(NNH=7)、無力症または活力減退(NNH=9)、傾眠(NNH=13)、疲労(NNH=14)、性欲減退(NNH=14)および発汗(NNH=14)であった。・二次解析において、SSRIは、精神的、身体的および機能的症状ならびにイライラ感などの特別な症状に有効であった。なお、有害な影響は用量依存性にみられた。・全体的に、各種試験の方法論に関する報告が不十分であったことを主因に、エビデンスの質は低~中程度であった。また、不均質性は初回解析の一つは中程度であったが、大半のアウトカムについては低い、あるいは認められなかった。・以上より、SSRIは服用方法にかかわらずPMSの症状軽減に有効であることが明らかとなった。ただし、用量依存性に有害事象が発現し、比較的高頻度であることに注意が必要である。関連医療ニュース 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態

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こどものみかた<上巻> ~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~

第1回「トリアージのABC」第2回「どうする?夜間の急な発熱」第3回「あわてない!熱性けいれん」 小児科医でなくても、日常診療や夜間救急・輪番で「こどもを診る」機会のある一般内科医や看護師も多いのではないでしょうか。そんな時、慌てずに対応できていますか?本DVDは、診療所に緊急度の高い小児救急患者が訪れた場面のシミュレーションをふまえ、適切なトリアージ、処置、診断、家族への病状説明、小児専門医への搬送などを身に付ける、小児救急の実践的プログラムです。 ポケットサイズでいつでも使える、T&A特製・小児救急オリジナルマニュアル付きです!!第1回「トリアージのABC」小児救急において、症候にかかわらず最初に必要となるのがトリアージ。「トリアージ」というと身構えてしまう方もいるかもしれませんが慌てる必要はありません。トリアージでは、「ABC」即ちAppearance(外見)、Breathing(呼吸)、Circulation to Skin(皮膚)の3点に注目すれば良いのです。呼吸に特徴がある患者やCapillary refill timeに特徴ある患者の実際の動画を見ながら臨床現場で意識せずに実行できるノウハウを学んでいきます。第2回「どうする?夜間の急な発熱」子どもの外来や救急外来で多いといえば「発熱」ではないでしょうか?しかし熱があるからといって単なる「カゼ」と診断してばかりもいられません。時には発熱の裏に致命的な病気が隠れていることがあるからです。今回は「発熱」の裏に隠れた髄膜炎、Occult bacteremia、尿路感染症を見極めるための発齢期、病歴、身体所見をロールプレイを交えながら学んでいきます。番組の終わりには、恒例のおさらいクイズもあり、学習度を確認できます。第3回「あわてない!熱性けいれん」小児救急外来でよくみかける熱性けいれん。子どもの10~20人に1人が経験すると言われている熱性けいれんの知識は小児救急診療には必須です。目の前の子どもがけいれんを起こしたら…パニックに陥っている親御さんを安心させながら適切に対応していきたいものです。まず優先すべきはけいれんを止めること。とはいっても、けいれんしている子どものルート確保は簡単ではありません。そんな時あなたならどう対応しますか?さらに、けいれんの原因を考える上で、救急外来で見逃してはならないのは脳炎・脳症や髄膜炎。では、その鑑別のポイントは何でしょうか?第3回は熱性けいれんの病態と対応をロールプレイ、質疑を通しながら学んでいきます。そして最後に恒例のおさらいクイズで学習度をチェックしましょう。

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加算導入後1年超、半数以上の医師は現在も”一般名処方”を行っていない

2012年4月に新設された“一般名処方加算”。導入後1年以上が経過した今、実施率はどんな状況なのでしょうか?行わない先生、その理由は?「一般名は長い!覚えられない!書けない!」「後発品の銘柄をいちいち覚えられない、いっそ全て一般名で」といった“名前問題“から、「成分が同じでも効果はどうなの?」「どの製品が出されるのかわからないのに責任持てないよ」などの“後発品って…問題”まで、一般名処方をめぐるあれこれを伺ってみました!コメントはこちら結果概要昨年より比率は高まったものの、半数以上の医師は現在も一般名処方を行っていない一般名処方の実施有無について前回調査(2012年6月)と同様に尋ねたところ、『行っている』との回答が17.4%(前回15.1%)、『一部行っている』が25.4%(同19.3%)であり、何らかの形で行っている医師は全体で42.8%(同34.4%)。診療報酬改定前後で17.2%→34.4%と倍増した前回結果と比較すると実施率はゆるやかな伸びに留まった。『行っていない』とした医師を施設別に見ると、診療所・クリニックでは39.4%、一般病院では62.9%、大学病院では71.4%に上った。(回答医師単位の集計であり、処方箋枚数および金額は加味していません)行っていない医師、最大の理由は「一般名を調べるのが手間」。煩雑さに加え、処方ミスを不安視『行っていない』とした医師に理由を尋ねると、『一般名を調べる手間がかかるため』で42.1%、『電子カルテに一般名処方のサポート機能がなく煩雑』29.7%、『紙カルテで煩雑』10.1%と、一般名の長さ・複雑さによる処方(事務作業含む)の手間を挙げた回答が多く見られた。その点に関連して『処方ミスを起こす不安がある』も24.0%に上り、「一般名は"うろ覚え"が現実。いつでも・どこでも事故が起こる可能性がある」「専門外では覚える余裕はない」などのコメントが寄せられた。「後発品の効果・供給体制に懸念」、「処方はするがどれでも良いわけではない」後発品に対して懸念点がある医師からは『後発品の効果に疑問があるため』24.0%、『供給体制に不安があるため』8.2%といった回答が挙がった。その他『後発品も銘柄指定で処方するため』21.0%との意見があり、「後発品にも良いものや粗悪なもの、作用の強いもの弱いもの様々で、成分では怖くて(処方箋を)書けない」といったコメントが寄せられるなど、既に後発品を処方している医師にとっても、製品を指定できない一般名処方へのハードルは高いことが明らかとなった。設問詳細一般名処方についてお尋ねします。2012年4月の診療報酬改定で“一般名処方加算”が新設されるなど、医療費削減策の一環として、後発医薬品の使用促進策がさまざまな形で検討・実施されています。厚労省は今年4月5日、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を公表。普及に関する目標値の算出方法をこれまでの“全ての医療用医薬品に占める後発品のシェア”から“後発品に置き換え可能な医薬品(長期収載品と後発品を含める)に占める後発品のシェア”に変更し、2018年3月末までにシェア60%(現在約45%)を達成するという数値目標を掲げました。そこで先生にお尋ねします。Q1.先生は一般名処方を行っていますか?行っている一部行っている行っていないQ2.Q1で「行っていない」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方を行わない理由として当てはまるものを全てお選びください。(複数回答可)後発品に関しても銘柄指定で処方するため後発品の効果に疑問があるため後発品の供給体制に不安があるため後発品を患者が嫌がるため慣れた薬が変更となるのを患者が嫌がるため一般名を調べる手間がかかるため処方ミスを起こす不安があるため紙カルテで処方が煩雑なため電子カルテだが一般名処方のサポート機能がなく煩雑なため院内処方のためその他Q3.コメントをお願いします。2013年6月6日(木)~7日(金)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「専門外領域の一般名処方は、調べることが多く面倒だ。」(一般病院,内科,60代)「後発薬には、明らかに効果に疑問符のつくものがある。思いもかけない副作用が出ることもあり、 後発薬なら何でもOKというわけにはいかないのが実情。一般名とする場合、慣れるまで相当に処方に余計な時間を要し、診療にも支障が出る。事務・薬局の混乱も避けられない。何が何でも後発薬に・・という風潮はいただけない。」(診療所・クリニック,内科,40代)「間違いのない処方をおこなうためには、慣れた、性質、データの良くわかった先発品が優先になります。後発品はやはりばらつきがあり、副作用データもよくわからず使いにくいです。」(診療所・クリニック,内科,40代)「ジェネリックの場合はジェネリック可としてその薬剤名を書いています」(診療所・クリニック,耳鼻咽喉科,50代)「まだコンピューターのシステムが対応していないので難しい。個人的には一般名でかまわないが・・・」(診療所・クリニック,精神科,40代)「一般名処方が基本だと思う。同じ薬剤で異なる商品名を覚えること、同じ薬剤で違った名前があることは安全管理の面から好ましくない。しかし、当院では一般名処方がサポートされておらず残念」(大学病院,麻酔科,60代)「一般名が多すぎて、他院で処方されている薬の手帳を 見せてもらっても、何の薬か分からない。調べる手間がかかり迷惑以外のなにものでもない。いかにも現場のわかっていない役人が考えた事だというのがよくわかります」(診療所・クリニック,皮膚科,70代以上)「一般名で処方することは医師の義務と考えており、厚労省の方針は妥当と思う。」(一般病院,消化器内科,50代)「一般名にすると、胃腸薬など処方ごとに薬が変わり患者に不信感を与えたことがある。効果に私自身も疑問がある。」(一般病院,小児科,60代)「後発品のエビデンスがはっきりしないのにそっちへ強引に切り替えさせようとする厚労省の方針には呆れます」(診療所・クリニック,循環器内科,40代)「専門領域では商品名と一般名の両方を憶えられますが、専門外ではそんな余裕はありません」(一般病院,糖尿病・代謝・内分泌内科,30代以下)「ただでさえ忙しい中、いちいち一般名を調べていたら堪りません」(診療所・クリニック,内科,70代以上)「一般名で処方しても薬局から先発品が出ることもある。意味がないような気がする」(診療所・クリニック,皮膚科,50代)「後発品も先発品と同じPK/PDの試験が義務付けられ、同等と判断できれば積極的に使います。最大の欠陥はこれが行われていないこと。試薬ではないので、同一成分同一効果ではない。有効成分に添加剤や賦形剤などを加えている。例えるなら、同じ材料で料理を作っても、味も栄養の吸収も料理人の腕で変わるということと同じ」(一般病院,呼吸器内科,40代)「商品名で入力して、自動的に一般名になるようなシステムがあれば一番良いのでは」(診療所・クリニック,呼吸器内科,40代)「後発薬の名前が長すぎて処方箋に記載するのが大変。(当院は手書きのため)また、覚えていないものもある」(一般病院,泌尿器科,30代以下)「当初は行っていたが、薬局が患者さんの希望を聞かず処方し、大混乱になり中止した。また、処方した薬をきちんと報告する薬局としない薬局まちまちで カルテがメチャメチャになってしまった」(診療所・クリニック,心療内科,50代)「後発品の臨床成績を、先発品から独立して示してほしい」(診療所・クリニック,内科,50代)「一般名のほうが判りやすいし、迷わない」(一般病院,麻酔科,50代)「後発品にも良いもの、粗悪なものと様々で、mgをそろえても作用の強いものや弱いものもある。処方に関して責任を医師に求めるならば成分では怖くて書けない。副作用が出てから動いても遅い。チェックは厚労省主導でないと何も始まらないので粗悪なジェネリックを締め出してほしい」(診療所・クリニック,内科,50代)「先発品は純度99.5~99.9%に対して、後発品の純度は98%前後です。不純物の比較だと、4~20倍 の差があります。私自身も、ある日突然、病院の方針で抗生剤が後発品に変わっていて、心肺停止を起こした症例を経験しています。余程患者が望まない限り、後発品は使用しません」(診療所・クリニック,糖尿病・代謝・内分泌内科,50代)「後発薬の名前が、他の成分の先発品などと似ていた為 誤処方、誤薬が起きかけたことが何度かある。後発品の商品名はリスク要因である」(診療所・クリニック,内科,40代)「電子カルテに一般名処方の機能がなくできません」(大学病院,呼吸器内科,50代)「レセコン(電カル)なので、設定すればストレスなし」(診療所・クリニック,内科,60代)「ジェネリックを積極的に採用、使用している」(大学病院,泌尿器科,40代)「医師免許を取得した20年以上前には今ほど後発品は無く、当時の厚生省としても、一般名処方に関しては何の方針も有していなかったと思うが、先発品の一部は複数社から異なる薬品名で販売されており、『同一成分なのに複数の製品名を知っておかねばならない」ことに煩わしさを感じていたので、当時から『処方は一般名で良い」と思っていた。その考えは今も変わらないが、後発品の中には薬効が不確かな製品もあり、流通する製品の効果・副作用や安全性に対する保証が不十分なまま、医療費削減を動機に政策を推進しようとする厚労省の姿勢はいただけない。」(一般病院,整形外科,50代)「後発品の選択については患者が望むならそうすべき。効果の同等性については一般医が結論づけることは困難。厚労省が推進するかぎり、齟齬が生じた場合には厚労省が責任をとるのだろう」(一般病院,麻酔科,50代)「後発品はメーカーにより品質がまちまちで、全く先発品に劣ってしまっているものも多い。でも薬局は後発品比率を上げるために必死で質の良くない後発品を勧めてしまっている。患者が迷惑だと思う」(診療所・クリニック,内科,40代)「一般名処方は考え方としては妥当であろうが、医療現場で実際に対応するには甚だしく準備不足であると考えます。実務上、最大の障害は電子カルテの対応が追いつかないことにありますが、そもそも後発薬一般について、基剤成分が先発薬と違うのか否か等の情報が不十分であると感じてもいます」(診療所・クリニック,放射線科,40代)「薬局でジェネリックに変更された際にこちらに届く、処方変更の書類の束の処理が困る」(大学病院,血液内科,50代)「やらなければいけないのか、やらなくても良いのか、中途半端な方針が多すぎる。監督省庁として適切な方針を責任を持って立てて頂きたい。明確に出されないと、システム更新のための予算手配もできない」(大学病院,その他,40代)「一般名処方をしても院外薬局に先発薬を出されるケースが多く困っています」(診療所・クリニック,内科,40代)「医師も混乱するが、看護師はほとんど一般名を知らないので全銘柄覚えられるとは思えない。外来時は先発品を、入院後は後発品を投与していた患者がいたが、同一成分薬とは知らず重複投与していたということに。」(一般病院,泌尿器科,50代)「成分が同じだけで、効果は明らかに違うように実感している。目先の安さに飛びつき、効果不十分であれば結局医療費は長期的には増大するし、また先発の製薬会社を窮地に追いやることで新薬の開発が鈍ると危惧している。ジェネリックが素晴らしいように煽るCMなど、やめてほしい」(大学病院,精神科,30代以下)「電子カルテで、商品名を入力すれば、一般名に変換できるシステムがあれば、先発品・後発品にはこだわらない。手書き処方箋の場合は厳しい」(一般病院,精神科,40代)「一時期混乱致しましたが、現在ではもう慣れました」(一般病院,整形外科,40代)「商品名:エコリシン点眼液 一般名:エリスロマイシンラクトビオン酸塩・コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム点眼液。こんな長い薬名、処方箋に書けるわけがない」(診療所・クリニック,皮膚科,60代)「抗アレルギー薬の後発品にアレルギーを起こした症例を見ました。他の薬に対するアレルギーならまだしも、抗アレルギーに対するアレルギーは少し後発品の怖さを感じます」(一般病院,呼吸器内科,30代以下)「後発品を使うことで後発品の品質向上がもたらされることはいいことです。先発メーカーの利益が損なわれることによる創薬へのマイナス面が気になります」(診療所・クリニック,小児科,50代)「後でどこの会社の薬を処方したか確認しないといけないから大変!」(診療所・クリニック,消化器内科,40代)「厚労省がジェネリックや一般名処方を強力に推進する意図は、唯一「医療費の削減」ですが、それによって果たして医療費の削減がなされているかのしっかりしたデータはあるのでしょうか?その処方をする事により、病状がかえって改善するのに時間が掛かり服薬期間が長くなったり、本来なされない検査が追加される事になったり、本来の効能が十分発揮されなかったりした事例が数多く臨床現場で発生しているのを聞きますし、それで来院した症例も数多く経験しています」(診療所・クリニック,循環器内科,60代)「医療費が0割の方には、後発薬がある薬剤に関してはその使用を義務化して頂きたい」(大学病院,神経内科,30代以下)「レセコンの性能の問題かもしれませんが、一般名処方も覚えなくてはならないのが困ります。後でカルテを見る時に、この薬は何の薬?と思ってしまう事が多々あり、いずれ医療事故を招きかねない感じがします」(診療所・クリニック,内科,50代)「どんな後発品でも良いから変更させて医療費削減しか考えない厚労省、突然『その薬剤はうちでは生産中止になりました』という製薬会社、自分に都合の良いように処方を変える調剤薬局。病院(医師)側だけが面倒な一般名処方をする必要はない」(一般病院,内科,50代)「処方箋に一般名を書くのは、調べるのと書くのに手間がかかる。また覚えにくいので歓迎できない。仕方なく実施している」(診療所・クリニック,内科,60代)「推進したいのであれば『自己負担のない方は、原則的に後発品処方』くらいの姿勢が必要と思います」(一般病院,循環器内科,30代以下)「一般名の管理番号(厚労省のコード)が振り当てられていないものが多く、一般名処方が適宜、状況に応じてになってしまっている」(診療所・クリニック,耳鼻咽喉科,50代)「門前薬局と事前に打ち合わせて、一般名だが先発品を使うもの、後発品でも構わないものを分けている。何が出されているか分からないのは避けるようにしている。降圧剤等循環器系の薬は出来るだけ先発を使っているが、痛み止め、胃薬などはゾロでも構わないかもと考えている」(診療所・クリニック,腎臓内科,40代)「後発品は多くの会社が生産しているが、調剤薬局では一般名だとどこの会社が選ばれているのかが分からない。後発品の一般名がまだ手書き処方をしているため、一診察に時間がかかっている」(診療所・クリニック,内科,40代)「長い名前を書くのが大変なので最初の4文字だけにして欲しい。錠とかの材形は省略可にして欲しい。余計な手間がかかって診療に集中できない」(一般病院,整形外科,40代)「合剤やらいろいろ出ている中、一般名で全て済ませるのは無理がある」(大学病院,膠原病・リウマチ科,40代)「医療費抑制のため後発品を推進するのは仕方ないとしても、生活保護受給者が『どうせお金がかからないから先発品で』と言ったり、生活保護こそ後発品にすべきだという意見に『差別するのか』と言うのはけしからんと思う。厚労省は強い態度で臨んでほしい」(一般病院,外科,50代)「後発品は使用したくないが、点数のためにしています。やむをえず・・・」(診療所・クリニック,皮膚科,30代以下)「後発品使用についてはやむをえないと思うが、ころころ政策を変えすぎで混乱しやすい」(診療所・クリニック,整形外科,40代)「厚労省の方針や後発薬について思うこと 1)抗痙攣薬では、先発品と後発品の間で明らかに効果に差があります。2)医師のみならず、レセコン入力の事務職員、薬局のレベルでも仕事が煩雑となり、ミスが起きやすくなります。3)医療費の削減に際しては、根幹の、終末期医療をどうするのか、先端医療の費用は、国民皆保険制度はどうするのかを議論せず、後発薬の普及は枝葉末節の話だと思っています」(診療所・クリニック,小児科,50代)「このたびの一般名処方加算は、なんとも下らないものである。後発品への移行を促すならば、もっと抜本的なインセンティブを考えるべきである」(診療所・クリニック,糖尿病・代謝・内分泌内科,40代)「後発品の名称は、先発品名の後ろに後発品であることがわかる記号や製造会社名を付加する形式にすれば良かったのです。なぜこんなに単純なことが素直にできなかったのか。また後発品メーカーには、医薬品費低減目的のためにも広告は一切禁止すべき」(一般病院,内科,50代)「すべて一般名処方とするのがふさわしいと思う」(一般病院,精神科,30代以下)「院内で先発薬を処方するのと、処方箋を出し後発薬を薬局で処方してもらうのとでは、患者からみたトータルコストはほぼ変わらない。こんな薬局寄りの保険点数配分はおかしい」(診療所・クリニック,内科,40代)「ほとんどの医師は一般名は"うる覚え"が現実です。いつでも・どこでも事故が起こる可能性があります、が、事故が起こっても厚労省は隠す(積極的な公表はしない)でしょうが…」(一般病院,小児科,30代以下)「今後発売する後発品はいわゆる商品名はつけず、すべて一般名での発売としてもらいたい。先発品ならいざ知らず、売れなければいつ撤退し手に入らなくなるかも知れない後発品にまで商品名がつけられ、それをその都度覚え直すという全く価値のない作業にこれまでどれほどの労力を割いたことか」(一般病院,整形外科,50代)「①後発品使用を推進するのは、財政上もっともかと思います。一部の循環器系薬などは、後発品が先発品と同等の効果を持っていないようですが、私が関係する領域では概ね『後発品で効かなくなった』『効き方が先発品と違う』等のクレームは経験していません。②そもそも日本では先発品の薬価が高すぎるのが問題。日本の薬剤費の高さは異常です」(一般病院,精神科,50代)「医療費削減のために後発品を推奨するなら、先発品の特許が切れたのち先発品の値段を後発品並みに下げればよいと思う」(一般病院,消化器内科,60代)「後発薬の有無が分かりにくいときがある」(一般病院,呼吸器内科,40代)「後発品の中にはいまだ品質などが安定しないものも多く、基本的には先発品の使用を行いたいが、受けてくれている薬局などに対し後発品の使用割合による支払額の差などがつくため『やむを得ず』一般名処方を行っているのが本心である」(診療所・クリニック,小児科,50代)「しくみをよくわからず、電子カルテのなすがままに任せています。今のところ、トラブルはないようですが・・・」(大学病院,産婦人科,30代以下)「先発品と後発品の保険適応を一致させるべき」(一般病院,内科,40代)

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性的暴力被害者への集団療法の有効性/NEJM

 性的暴力の被害者は、抑うつや不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を呈する割合が高い。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のJudith K. Bass氏らは、高所得国では、性的暴力による関連症状に対する効果的な治療があるが、専門医療職がほとんどいない紛争地帯の低所得国での、関連症状に対する治療のエビデンス(集団療法vs.個別サポート)について調べた。その結果、集団療法によって、抑うつや不安の軽減と同時に機能改善も図れたことを報告した。NEJM誌2013年6月6日号より。被害女性を認知処理療法と個別サポートに無作為化 検討は、コンゴ民主共和国で行われた。性的暴力を受け、強いPTSD・抑うつ・不安症状を有する生存女性被害者がいる16村を、認知処理療法(個人セッション1回と集団セッション11回:集団療法群)を提供する村と、個別サポートを提供する村(心理社会的補助者がいつでも相談に応じ、心理社会的支援や医療、経済、法的なサポートサービス利用を支援:個別サポート群)とに無作為に割り付けた。そのうち1つの村は、心理社会的支援者の能力に懸念があり除外され、認知処理療法は7村(157例)に、個別サポートは8村(248例)に行われた。 ベースライン、治療終了時、治療終了6ヵ月後に、(1)抑うつ・不安症状の複合をホプキンス症状チェックリストの平均スコア(範囲:0~3、高スコアほど重症)で、また(2)PTSD症状をPTSDチェックリストの平均スコア(範囲:0~3、高スコアほど重症)で評価し、さらに(3)機能障害について20項目の平均スコア(範囲0~4:高スコアほど障害が重度)の評価を行った。PTSD、抑うつ・不安、機能障害とも集団療法で改善 3つの評価が完了したのは、集団療法群では参加者の65%、個別サポート群は52%であった。 抑うつ・不安症状の平均スコアは、個別サポート群でも改善したが(ベースライン:2.2、治療終了時:1.7、治療後6ヵ月:1.5)、集団療法群の改善のほうが有意に大きかった(ベースライン:2.0、治療終了時:0.8、治療後6ヵ月:0.7、全比較のp<0.001)。PTSDと機能障害についても同様の変化のパターンが観察された。 治療後6ヵ月で抑うつ・不安症の基準を満たしている可能性が高い人の割合は、集団療法群9%、個別サポート群42%だった(p<0.001)。PTSDも同様の結果が示された。 これらの結果を踏まえて著者は、「今回検討した紛争地帯の低所得国における性的暴力被害者は、集団心理療法によってPTSD症状と抑うつ・不安症状が軽減し、機能改善も図れた」と報告している。

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MTX無効の関節リウマチへのDMARDs 3剤併用、MTX+エタネルセプトに非劣性/NEJM

 メトトレキサート(MTX)単剤療法の効果が十分でない関節リウマチ(RA)患者に対し、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の3剤併用療法(MTX+サラゾスルファピリジン+ヒドロキシクロロキン)の効果は、MTX+エタネルセプトの2剤併用療法に対し非劣性であることが、米国・ネブラスカ大学医療センターのJames R. O’Dell氏らが実施したCSP 551 RACAT試験で示された。本試験は、欧州リウマチ学会(EULAR、スペイン・マドリード市)で報告され、NEJM誌オンライン版2013年6月11日号に掲載された。RAの治療はMTXで開始されることが多いが、MTX単剤で疾患活動性が低下する患者は約30%にすぎない。MTXの効果が不十分な場合に使用可能な生物学的製剤やDMARDsはいくつかあるが、RAは現在、糖尿病よりも治療コストの高い疾患となっており、その費用の大部分を生物学的製剤が占めるという。(※ヒドロキシクロロキンは国内未承認)非劣性を二重盲検無作為化試験で検証 CSP 551 RACAT試験は、MTX単剤療法が無効なRAの治療における、MTXへのサラゾスルファピリジン+ヒドロキシクロロキン追加3剤併用療法の、MTXへのエタネルセプト追加2剤併用療法に対する非劣性を検証する二重盲検無作為化試験。 MTX単剤療法の効果が不十分であったRA患者が3剤併用群または2剤併用群に無作為に割り付けられ、48週の治療が行われた。治療24週の時点で効果が得られなかった患者は、二重盲検下にもう一方の治療群へ切り替えられた。 主要評価項目は、48週後の疾患活動性スコア(DAS28)の変化とした。3剤から2剤併用への切り替えが費用対効果に優れる可能性 2007年7月~2010年12月までに353例が登録され、3剤併用群に178例(平均年齢:57.8歳、女性:43.3%、平均DAS28スコア:5.8)、2剤併用群には175例(56.0歳、48.6%、5.9)が割り付けられた。 両群ともに、治療24週時にDAS28の有意な改善効果が認められ(いずれもベースラインとの比較でp=0.001)、治療の切り替えを要した患者はいずれの群も27%であった。 両群ともに、治療切り替え例は切り替え後にDAS28が有意に改善し(いずれもp<0.001)、切り替え後の効果に群間差はみられなかった(p=0.08)。 ベースラインから治療48週までに、DAS28は3剤併用群で2.1低下し、2剤併用群では2.3低下した(p=0.26)。DAS28の変化の差の95%信頼区間[CI]上限値は0.41であり、非劣性のマージンである0.60よりも低かったことから、3剤併用群は2剤併用群に対し非劣性であることが示された(非劣性検定:p=0.002)。 X線画像上の疾患進行、疼痛、健康関連QOLなどの副次的評価項目や、主な治療関連有害事象の発現頻度に群間差は認めなかった。 著者は、「3剤併用療法の臨床的ベネフィットは2剤併用療法に対し非劣性であることが示された」と結論し、「MTXが無効なRAでは、まずMTXに従来のDMARDs 2剤を追加した3剤併用療法を施行し、効果が十分でない場合にMTX+エタネルセプトによる2剤併用療法に切り替える戦略が、費用対効果に優れる治療法となる可能性がある」と指摘している。

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高齢者の腰痛、予後を予測する因子は?

 高齢者の腰痛の回復について、罹病期間、重症度、腰痛の既往歴、膝下への放散痛の有無、合併症の数、患者自身の回復予想、Timed Up and Go(TUG)テストの結果が予後因子となることが明らかになった。報告したオランダ・エラスムスMC大学医療センターのJantine Scheele氏らは、この情報は一般開業医が3ヵ月で回復する見込みのない高齢の腰痛患者を識別するのに役立つとまとめている。Pain誌2013年6月号(オンライン版2013年3月14日号)の掲載報告。 研究グループは高齢者の腰痛の経過を調べ、3ヵ月では回復しない予後因子を同定する目的で前向きコホート研究(BACE研究)を実施した。 対象は、新たに腰痛を発症し一般開業医を受診した55歳超の腰痛患者675例(平均年齢66.4±7.6歳)であった。 6週後および3ヵ月後に、腰痛回復の自己評価、痛みの重症度、機能障害、鎮痛薬の使用について調査し、回復の予後因子について多変量ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・6週後、64%の患者は腰痛が回復しないと報告した。・3ヵ月後、依然として61%の患者は腰痛が回復しないと報告したが、これらの患者のうち再受診したのは26%であった。・長期間の腰痛、腰痛の重症度、腰痛の既往歴あり、膝下への放散痛なし、合併症の数、回復しないという患者自身による予想、TUGテストにかかる時間が長いことが、3ヵ月後における非回復と有意に関連していた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる

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「寄り道」呼吸器診療 ―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス

ひそかな人気ブログ「呼吸器内科医」を書籍化!! 呼吸器診療において多くの医師が悩んでいる、でも成書を調べても答えが見つからない―77の疑問。本書では、この疑問に真正面から取り組み、関連するエビデンス、著者の思い、診療で役立つポイントが示されています。著者は人気ブログ「呼吸器内科医」の倉原優先生(近畿中央胸部疾患センター呼吸器内科)。ブログ「呼吸器内科医」:http://pulmonary.exblog.jp内容例(詳しくは目次をご参照ください):気管支鏡時の抗菌薬にエビデンスはあるのか?結核患者さんとどのくらい接触したら自分にも感染してしまうのか?気管支喘息発作に対する全身性ステロイドの最適量は?胸腔ドレーン抜去前のクランプテストにエビデンスはあるのか?以外の呼吸困難感にモルヒネを使用してよいか?鎮咳薬で最も効果的なものは?吃逆の治療のエビデンスは?―など計77の疑問を解説!画像をクリックすると、一部がPDFでご覧いただけます。 「寄り道」呼吸器診療―呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス 定価 本体4,500円+税判型 A5判頁数 415頁発行 2013年5月編集 倉原 優(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)Amazonでご購入の場合はこちら

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ERCP検査で十二指腸穿孔を来し死亡したケース

消化器最終判決判例タイムズ 579号26-51頁概要胆嚢の精査目的でERCP検査を施行した67歳男性。10回前後にわたる胆管へのカニューレ挿管がうまくいかず、途中で強い嘔吐反射や蠕動運動の亢進がみられたため検査終了となった。検査後まもなくして腹痛が出現、当初は急性膵炎を疑って保存的治療を行ったが、検査翌日になって腹腔内遊離ガスが確認され緊急開腹手術が行われた。ところが手術翌日から急性腎不全となり、さらに縫合不全、腹壁創離開、敗血症などを合併し、検査から約2ヵ月後に死亡した。詳細な経過患者情報某大学附属病院で数回にわたり健康診断を行い、肥満症(身長165cm、体重81.5kg)、動脈硬化症、高尿酸血症、左上肢筋萎縮症と診断された67歳男性。過去の健康診断でも胆嚢を精査するよう指摘されていた経過1979年4月10日腹部超音波検査では高度の肥満により鮮明な画像が得られなかった。テレパーク経口投与による胆嚢造影検査でも不造影となり、胆石や胆嚢がんなどの異常が疑われた。4月24日静注法による胆嚢造影検査を追加したが、やはり不造影に終わった。4月27日11:40ERCP開始。左側臥位とし側視鏡型式ファイバースコープを経口挿入、十二指腸下行部までは順調に到達した。この時点で蠕動運動が始まったため、鎮痙剤ブトロピウム(商品名:コリオパン1A)を静注。蠕動が治まったところで乳頭開口部を確認し、胆管造影を試みたが失敗、カニューレは膵管にしか進められなかった。2名の担当医師により前後約10回にわたって胆管への挿管が試みられたがいずれもうまくいかず、そうしているうちに再び蠕動運動の亢進が出現した。さらに、強い嘔吐反射が2度にわたって生じたことや、検査担当医自身も疲労を感じたことから胆管造影を断念。12:30スコープを抜管して検査終了となった(検査時間約50分)。担当医によれば、検査中穿孔の発生を疑わせる特段の異常はなく、造影剤が十二指腸から漏れ出た形跡や検査器具による損傷を思わせる感触もなかった。13:00患者は検査後の絶飲食および安静の指示を守らず、自家用車を運転して勝手に離院。13:30その帰途で腹痛を覚え、タクシーで帰院。腹部に圧痛・自発痛がみられたが腹膜刺激症状は認められず、検査後の膵炎を考慮してガベキサートメシル(商品名:エフオーワイ)、コリオパン®を投与。14:00腹痛が治まらなかったので、ペンタゾシン(商品名:ペンタジン)、コリオパン®を筋注し、約10分後にようやく腹痛は治まった。16:00担当医師は病院にとどまるように説得したが、患者は聞き入れず、「腹痛が再発したら来院すること」を指示して帰宅を許可した。19:00腹痛が再発したため帰院。当直医によりペンタジン®筋注、エフオーワイ®の点滴が開始された。20:00腹部X線写真にて上腹部付近に異常な帯状のガス影がみつかったが、その原因判断は困難であった。22:00担当医師らが協議した結果、消化管穿孔による腹膜炎で生じるはずの横隔膜下遊離ガス像が明確でないこと、検査担当医には腸管穿孔の感触がなかったこと、腹膜炎の徴候であるデファンスやブルンベルグ徴候がなかったことから、急性膵炎の可能性が高いと考えた(この時アミラーゼを測定せず)。4月28日翌日になっても腹痛が持続。10:40再度腹部X線撮影を実施したところ、横隔膜下に遊離ガス像を確認。11:00下腹部試験穿刺にて膿を確認。13:50緊急開腹手術施行。十二指腸第2部と第3部の移行部(尾側屈曲部)に直径1cmの穿孔があり、十二指腸液が漏出していた。穿孔部は比較的フレッシュで12~24時間以内に形成されたものと思われ、腹腔内の洗浄に加えて穿孔部の縫合閉鎖を行った。また、膵頭部は腫大しており、周囲の脂肪組織や横行結腸間膜に膵液による壊死性変化がみられた。胆嚢は異常に拡張し、内腔には3個の結石が確認され、胆嚢摘除術が追加された。なお、体表には打撲、皮下出血などの外傷所見はみられなかった。16:40手術終了。4月29日手術翌日から急性腎不全を発症。4月30日BUN 47.3、K 6.3と上昇がみられたためシャント作成、血液透析開始。5月5日縫合不全を併発。5月13日腹壁開腹創全離開、感染症増悪、敗血症を併発。5月22日頭蓋内出血および数回にわたる腹腔内出血を起こす。6月16日各種治療の効果なく多臓器不全に進行し、肺機能不全により死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張1.ERCP検査に際しスコープ操作に細心の注意を払う義務を怠った2.漫然と長時間にわたってERCP検査を施行し、ついには操作を誤って十二指腸を穿孔させた。その結果、急性腎不全、敗血症、頭蓋内出血などを起こし、汎発性腹膜炎により死亡した病院側(被告)の主張1.スコープの操作にあたっては確立された手技にしたがって慎重に実行し、不必要、不用意あるいは乱暴な操作を行ったことはなく、器具損傷の感触もなかったまた、スコープ自体は十二指腸の湾曲に沿った形で滑り易くなっていて、さらに腸管の柔軟性、弾力性、および腸管内面の粘滑性に照らすと、スコープの挿入によって腸管穿孔を生じるほどの強い力が働くことはないし、嘔吐反射によって腸管穿孔が生じるとも考えがたい2.十二指腸穿孔の原因は、穿孔部位の解剖学的関係から交通事故などによる外的鈍力の作用によるものである(ただし外傷所見は確認されていない)3.そして、十二指腸穿孔はただちに死に結びつくものではなく、予後を悪化させて死の転帰に至らしめた最大かつ根本的な要因は急性腎不全であり、その原因は本人の腎不全に陥りやすいという身体的理由と、医師の指示を無視した患者自身の自由勝手な行動にある裁判所の判断1.ERCP検査中に、蠕動亢進、嘔吐反射の反覆がみられたにもかかわらず穿孔を生じうるスコープ操作を継続したため、十二指腸が穿孔したと推認される2.患者には交通事故その他鈍的外傷を受けたと認めるに足る事実(体表の打撲傷、十二指腸周辺の合併損傷など)がなく、万一交通事故に遭遇していたのであれば検査や診療に当たった医師などに告知するはずである3.担当医らは腹痛が出現した後も、事態に対する重大な認識をまったくもっておらず、十分な経過観察をしようとする姿勢がみられなかった。仮に患者の自由勝手な行動がなかったとしても、適切な診断や早急な開腹手術が実施された可能性はきわめて低い担当医はERCP検査の危険性などを十分に認識していたにもかかわらず、必ずしも慎重、冷静な心身の状態なくして胆管へのカニューレ挿入を10回も試み、老齢で薄い十二指腸壁をこすり、過進展させ、また、蠕動運動の亢進や嘔吐反射の反覆にもかかわらず検査を続行し、結果回避義務を違反して穿孔を生じさせた結果死亡した。ただし、医療に対する協力を怠り不注意な問題行動をとった点は患者側の過失であり、損害額の2割は過失相殺するのが相当である。原告側合計5億1,963万円の請求に対し、3億1,175万円の判決考察本件は医療過誤裁判史上、過去最高の賠償額ということで注目を集めたケースです(なお2審判決では1億4,000万円とかなり減額され、現在も最高裁で係争中です)。病院側は本件で生じた十二指腸の穿孔部位が、スコープなどの器具で発生することの多い「腹腔側穿孔」ではなく、交通事故などの鈍的外力の時によくみられる「後腹膜腔穿孔」であったことを強調し、スコープ操作が原因の十二指腸穿孔ではなく、「患者が検査後の医師の指示を守らず、自由勝手な行動をとって病院から離れた時に、きっと交通事故でも起こして腹部を打撲した結果十二指腸が穿孔したのだろう」と主張しました。しかし、患者さんは検査後に交通事故などでケガをしたとは申告していませんし、開腹手術時にも外傷所見は認められませんでしたので、未確認の鈍的外力が原因とするのは少々無理な主張ではないかと思います。それ以外にも病院側の対応にはさまざまな問題点があり、それらを総合して最終判断に至ったと思われます。たとえば、開腹手術後には「若い者がやったことだから大目にみてくれ」と上司から説明があったり、検査担当医も「穿孔を生じさせ申し訳ない」と謝意を述べていながら、訴訟へ発展した後になって「交通事故など鈍的外傷による穿孔である」とERCP検査による穿孔を真っ向から否定し始めました。また、腹痛発症当初は「急性膵炎」と診断してエフオーワイ®などの投与を行っていましたが、検査当日にアミラーゼ検査をまったく実施しなかったことや、2回目の帰院時には、ほかの関連病院へ入院させる途中で容態が悪化し、やむなく大学附属病院に入院処置をとった点も、「事態に対する重大な認識の欠如」という判断を加速させたようです。そもそも本件では本当に無理な内視鏡操作が行われていたのでしょうか。その点については担当医にしかわからないことだと思いますが、胆管へのカニューレ挿入がなかなかうまくいかず、試行錯誤しながらも10回挿管を試みたのは事実です。その間に十二指腸の蠕動運動が始まったり、強い嘔吐反射が反覆したことも確認されていますので、やはり腸管が穿孔してしまうほどの外力が加わったと認定されてもやむを得ないように思います。担当医らは「無理な操作はしていない」とくり返し主張しましたが、胆管へ10回も挿管を試みたということは多少意地になって検査を遂行したという側面もあるのではなかと推測されます。裁判記録によれば、担当医は消化器内科の若手医師でERCPを当時約200例以上こなしていましたので、この検査にかけてはベテランの域に達していたと思います。そして、検査がうまくなるにつれ、難しい病気を診断したり、同僚の医師がうまくいかないような検査をやり遂げることができれば、ある意味での満足感や達成感が得られることは、多くの先生方が経験されていると思います。しかし、いくら検査に習熟していたといっても、自らが行った医療行為によって患者さんが不幸な転帰をとるような事態は何としても避けなければなりませんので、検査中は常に細心の注意を払う必要があると思います。と同時に、たとえ検査の目的が達成されなくても、けっして意地を張らずに途中で検査を中止する勇気を持たなければならないと痛感しました。最近の統計(日本消化器内視鏡学会雑誌 Vol.42 308-313, 2000)によると、1993~1997年のERCP検査の偶発症は189,987件中190例(0.112%)であり、急性膵炎がもっとも多く、穿孔、急性胆道炎などがつづきます。そのうち死亡は12例(0.0063%)で、急性膵炎による死亡6名、穿孔による死亡3名という内訳です。このような統計的数字をみると、過去3回の大規模調査でも偶発症発生頻度はほとんど変化はないため、偶発症というのは(検査担当医にかかわらず)一定の確率で発生するものだという印象を受けます。しかし、昨今の社会情勢をみる限り、検査前までは健康であった患者さんに内視鏡偶発症が発生した場合、けっして医療側が無責ということにはならないと思います。このような場合、裁判所の判決に至るよりも和解、あるいは示談で解決する場合が多いのですが、本件のように当初は謝意を示していながら裁判となったとたんに前言を翻したりすると、交渉が相当こじれてしまうと思われますので、医療側としては終始一貫した態度で臨むことが重要であると思います。なお、ここ数年はMRIを用いた膵胆管造影(MRCP)の解像度がかなり向上したため、スクリーニングの目的ではまずMRCPを考えるべきであると思います。消化器

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「内科で遭遇する皮膚疾患」に関するアンケート結果 part 2

Q1皮膚疾患を診療する上で困っていることがありましたら教えてください<診断・治療について>「このほくろは大丈夫ですか」と聞かれることが多いが、皮膚科医へわざわざ紹介すべきか、経過観察でよいかの判断がつかない。 患者さんとしては、受診したついでに質問されていることなので、それを全例「皮膚科へ行ってください」では患者さんのニーズにこたえていないと思う。しかし実際のところ判断がつかないので「大丈夫です」とも言えない。(勤務医・内科)ステロイドを使用するかどうか迷う時がある。(勤務医・内科)どういう湿疹や病状なら皮膚科に紹介すべきか悩む。(開業医・内科)患者さんから皮膚科医の処方の継続を依頼されるが、薬剤の中止や変更の判断が困る。(開業医・内科)感染性の皮膚疾患が診断できなくて、困っている。(勤務医・内科)緊急性の有無がよく分からない。(開業医・内科)黒色の色素斑が、悪性なのかどうか聞かれることがあるが、難しい。かといって、すべてを紹介するわけにもいかず、悩むことが多い。(開業医・内科)初期の病状は何とかなるが、しばらくたってからの皮膚病変をどのようしたらよいかわからない。(開業医・内科)他の医師で比較的安易にステロイド含有剤を内服処方しているので、離脱が大変である。(開業医・内科)皮膚科と違い、内科では、外来でKOHなど迅速に検査することができず、白癬として抗真菌薬を処方すべきか、ステロイド外用薬を処方すべきなのか、悩むことがある。(勤務医・内科)風疹などの感染症との鑑別。とくにウィルス性のカゼや溶連菌などで出てくる皮疹との鑑別。また、薬疹が疑われる場合の原因物質の究明。(開業医・内科)薬疹の原因薬剤が最終的に絞りきれない症例がある。(勤務医・内科)蕁麻疹と思われるが長期化している症例や受診時には皮疹が消失している症例がある。(勤務医・内科)<患者さんについて>あきらかに皮膚科的専門性のある疾患で、皮膚科受診を勧めるも、行きたがらないこと。(開業医・内科)皮膚に関して相談されたときは基本的に皮膚科に紹介している。ところがなぜか患者は”皮膚が悪いのは内臓から来ているのではないか”と内科を先に受診されることがままあり、困っている。(勤務医・内科)皮膚科受診を勧めても、当方での治療を希望される方が少なからずいる。今のところ大きなミスはないが、やはり専門医に行ってほしい。(開業医・内科)<その他>気軽に相談できる皮膚科医がそばにいない。(開業医・内科)当院は、総合病院でないため皮膚科医が在籍しない。外来患者で診断に困る場合や難治性の場合には他院の皮膚科専門医に紹介できるが、入院の場合には紹介しにくい。出来るだけ自分自身の診断能力の向上に努めているが限界がある。(勤務医・内科)疥癬など、急いで診断治療しないといけない疾患や薬疹を疑った時など、皮膚科にすぐコンサルトできる時は良いが、できないときに困る。(勤務医・内科)

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松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会

東京大学高齢社会総合研究機構が開発した研修教材に基づき、松戸市医師会の主催で2012年12月1-2日に開催された、『在宅医療推進のための地域における多職種研修会』の模様をお届けします。松戸市で従事する多職種の医療職の方が一同に会し、在宅医療総論、地域資源の活用、診療報酬・制度などの在宅医療導入時に気になる点から、認知症・がん緩和ケアにおける診療やIPW連携など、より地域に密着した、実践的な、ワークショップ主体のプログラムです。対象者は、開業医、病院医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、病院看護師、介護支援専門員、病院ソーシャルワーカー等です。2日目 番組一覧 【全7回】番組6 在宅医療の導入番組7 認知症の基本的理解とマネジメント番組8 事例検討:認知症患者のBPSDへの対応と意思決定支援(前半)番組9 事例検討:認知症患者のBPSDへの対応と意思決定支援(後半)番組10 在宅ケアにおいて何故IPW(専門職連携協働)が必要なのか?番組11 グループ討論:在宅医療を推進する上での課題とその解決策番組12 在宅医が知っておくべき報酬や制度1日目 番組一覧 【全5回】番組1 在宅医療が果たすべき役割番組2 在宅療養を支える医療・介護資源/グループ作業:医療介護資源マップの作成番組3 がんの症状緩和に必要な知識番組4 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(前半)番組5 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(後半)講師

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