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加齢黄斑変性、2つのVEGF阻害薬の効果は同等/Lancet

 滲出型加齢黄斑変性の治療において、ラニビズマブ(商品名:ルセンティス)とベバシズマブ(同:アバスチン、わが国では加齢黄斑変性に対しては未承認)の効果に差はないことが、IVAN試験の2年間の追跡結果により示された。英国・クイーンズ大学ベルファストのUsha Chakravarthy氏らが、Lancet誌オンライン版2013年7月19日号で報告した。本症の治療ではラニビズマブが標準とされるが、ベバシズマブも同等の効果を持つ可能性が示唆されている。ベバシズマブは医療コストの面で優れるが、安全性に課題が残るとされている。2×2ファクトリアル・デザインの非劣性試験の2年データ 英国で実施されたIVAN試験は、2つの血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬の、滲出型加齢黄斑変性に対する有用性を評価する2×2ファクトリアル・デザインの無作為化非劣性試験。米国でも同様の試験(CATT試験)が進行中で、すでに両試験の1年間の追跡データのプール解析の結果が報告されている。 対象は、50歳以上の未治療の滲出型加齢黄斑変性患者で、標準視力表で最高矯正視力(BCVA)が25文字以上の患者であった。参加者は、ラニビズマブ(0.5mg)またはベバシズマブ(1.25mg)を毎月1回、硝子体内投与する群(継続投与群)、それぞれ月1回の臨床評価に基づき必要に応じて随時頓用する群(随時投与群)の4群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要評価項目は2年時のBCVAで、非劣性の限界値を3.5文字とした。安全性の主要評価項目は動脈血栓イベントおよび心不全による入院であった。死亡率は継続投与群が良好 2008年3月27日~2010年10月15日までに、英国の23施設から610例が登録され、ラニビズマブ群に314例、ベバシズマブ群には296例が割り付けられた。このうち2年間の追跡を完遂したのは525例で、ラニビズマブ群271例(継続投与群134例、随時投与群137例)、ベバシズマブ群254例(継続投与群127例、随時投与群127例)であった。 ベバシズマブ群の有効性はラニビズマブ群に対し非劣性でも劣性でもなかった(BCVAの平均差:-1.37文字、95%信頼区間[CI]:-3.75~1.01、p=0.26)。また、随時投与群は継続投与群に対し非劣性でも劣性でもなかった(-1.63文字、-4.01~0.75、p=0.18)。 動脈血栓イベントおよび心不全による入院の発生率は、ラニビズマブ群が6%(20/314例)、ベバシズマブ群は4%(12/296例)であり、両群間に差はなかった(オッズ比[OR]:1.69、95%CI:0.80~3.57、p=0.16)。同様に、継続投与群での発生率は4%(12/308例)、随時投与群は7%(20/302例)であり、やはり有意な差は認めなかった(0.56、0.27~1.19、p=0.13)。 死亡率は継続投与群が随時投与群よりも低かった(OR:0.47、95%CI:0.22~1.03、p=0.05)が、薬剤間の差はみられなかった(0.96、0.46~2.02、p=0.91)。 これらの結果は、ラニビズマブとベバシズマブの効果の同等性を示唆するものであり、さらに、今回のIVAN試験とCATT試験の2年間のデータのプール解析を行ったところ、ベバシズマブの有用性はラニビズマブに劣らないことが示された。 著者は、「滲出型加齢黄斑変性の治療におけるVEGF阻害薬の選択はこれまで考えられていたほど単純ではない」と指摘し、「死亡率が低く、臨床評価を必要としない継続投与のほうが好ましいと考えられるが、ラニビズマブを選択した場合は、公的医療機関では医療費を負担しきれない可能性がある。また、継続投与は、死亡リスクは低いが地図状萎縮のリスクが高い。このトレードオフについて患者とよく話し合うべきである」と考察を加えている。

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腰椎手術では減圧術より固定術で心イベントの発現率が高い

 脊椎手術における周術期死亡の主たる原因は、心イベントである。米国・ラッシュ大学メディカルセンターのSteven J. Fineberg氏らは、大規模データベースを用いたレトロスペクティブ研究により、腰椎手術後の心合併症の発現頻度を調べた。その結果、心イベントの頻度は1,000例当たり6.7件であり、減圧術より固定術施行例において高く、リスク因子は「高齢」であることを明らかにした。これらの結果を踏まえて著者は、「心イベントは入院期間、医療費および死亡率の増加と関連していることから、リスク因子を有する患者では周術期の厳密なモニタリングと治療の最適化が重要である」とまとめている。Spine誌2013年7月15日号の掲載報告。 研究グループは、腰椎手術における心イベントの発現頻度、死亡率および危険因子について調査するため、米国の入院患者データベース(Nationwide Inpatient Sample)を用いて、2002~2009年の間に、退行性疾患のため腰椎減圧術または腰椎固定術が施行された患者57万8,457例を同定し、患者背景、心合併症、併存疾患および死亡を評価した。 主な結果は以下のとおり。・心合併症の発現頻度は、6.7件/1,000例であった。・心イベントの発現頻度は、腰椎固定術群9.3件/1,000例、減圧術群4.0件/1,000例で、前者が有意に高頻度であった(p<0.0005)。・心イベント発症例は、非発症例より、9.4歳有意に高齢であった(p<0.0005)。・心合併症発症例では心イベント発症により、入院期間、医療費および死亡率が有意に増加した(p<0.0005)。・心イベントの独立した予測因子は、年齢が65歳以上、急性失血性貧血や、いくつかの合併症などであった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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H.pylori、祖母の感染もリスク因子

 子どものヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)感染は、母だけでなく、祖母の感染も有意なリスク因子となることが、東邦大学医療センター大森病院 総合診療・急病センターの瓜田 純久氏らの研究により明らかになった。この研究結果により、3世代同居世帯のH.pylori感染拡大に関わる重要な感染経路が解明されたと考えられる。Journal of paediatrics and child health誌2013年5月号(オンライン版2013年4月5日号)の報告。 H.pyloriの有病率は年齢とともに増加している。主な感染時期は幼年期であるが、感染経路はいまだ明らかになっていない。本研究では、子どもと祖父母のH.pylori有病率の関連について評価した。 対象は、瓜田クリニックを受診し、血液を採取した子ども838人(平均12.4歳、男児449人、女児389人)。同居家族(父親448人、母親597人、祖父205人、祖母361人、兄弟姉妹589人)の血液を採取し、H.pylori感染の家族構成別クラスター分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・H.pylori陽性である子どもの母親、祖母、兄弟姉妹のH.pylori陽性率は、H.pylori陰性の子どものそれに比べて有意に高かった。・母親と祖母のH.pylori感染は、子どものH.pylori感染の際立ったリスク因子であった。・大家族であることは、H.pylori感染のリスク因子ではなかった。・父や祖父のH.pylori感染は、子どものH.pylori感染の独立した予測因子ではなかった。

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統合失調症の治療に伴う性機能障害、カベルゴリンにより改善

 臨床的に安定している統合失調症患者に対するカベルゴリン(商品名:カバサールほか)の投与は、精神病理状態に悪影響を及ぼすことなく性機能を改善する可能性があることが、Christina S. Kalkavoura氏らによる検討の結果、示唆された。また本検討により、高プロラクチン血症の重症度に見合ったカベルゴリンの投与量も明らかになった。Experimental and Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。 抗精神病薬は、高プロラクチン血症を引き起こす可能性があり、それによりさまざまな程度の性機能障害と関連する。研究グループは、プロラクチン(PRL)の分泌は、主に視床下部のドパミン作動系により制御されていることを踏まえて、ドパミンアゴニストであるカベルゴリンの性機能障害への影響について調べる、6ヵ月間の並行群間前向き試験を実施した。対象者は、臨床的に安定している統合失調症(DSM-IV、AP194)で、高プロラクチン(PRL)血症(男性:PRL>20ng/mL、女性:PRL>25ng/mL)の患者80例であった。被験者は、PRLレベル(<50、50~99、>100ng/mL)に応じて、カベルゴリンを0.25mg/日(38例)、0.5mg/日(23例)または1mg/日(19例)を投与された。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)により精神病理を、Arizona Sexual Experiences Scale(ASEX)により性機能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者80例は、リスペリドン(33例)、ハロペリドール(17例)、アミスルプリド(11例、国内未発売)、リスペリドン持効性製剤(8例)の投与を受けていた。・カベルゴリン投与により、全患者でPRLレベルが減少した。ベースライン73.3(±46.8)ng/mLから3ヵ月後に42.0(±27.8)ng/mL、6ヵ月後に27.1(±20.4)ng/mLとなった(p<0.001)。・ASEXスコアは、ベースラインの19.1(±5.1)から3ヵ月後に17.6(±5.5)、6ヵ月後に15.0(±6.5)へと低下した(p<0.001)。・PANSSスコアは、3ヵ月および6ヵ月後ともに低下が認められた(6ヵ月後の対ベースラインp=0.001)。・PRLの減少について、患者群間における統計学的な差はなかった。関連医療ニュース 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は? 抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態 抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」

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無作為化試験の解析プラン、公表試験とレジストリ等での不一致は47%/BMJ

 無作為化試験の主要アウトカムの報告において、ベースラインや解析方法について広範で多様な補正(adjustment)が行われていることが、米国・スタンフォード大学のNazmus Saquib氏らによるメタ疫学研究の結果、明らかにされた。それら補正後の主要アウトカムを選択することで、名目上の結果の有意性が変わる可能性があり、著者は、「プロトコルにおいて、主要アウトカムについて補正プランがあることを明確にすべきであり、また解析は事前プランに準じて行われるべきである」と提言している。BMJ誌オンライン版2013年7月12日号掲載の報告。2009年に出版された200論文を解析 研究グループは、無作為化試験の主要アウトカムについて、補正が行われているかを調べるとともに、それら補正が結果に与える影響について評価することを目的とした。 Journal Citation Reports 2009でインパクトファクターが高いと評価された25のバイオメディカル雑誌を対象とし、2009年に出版され主要アウトカムを報告していた無作為化試験を検索した。 ヒットした適格論文684本のうち、200本を無作為に選択し、2名のリサーチャーがスタディ集団、介入、主要アウトカム、主要アウトカムの補正プランについてデータを抽出した。また、介入の影響の大きさと統計的有意性を、補正のあり・なしについて記録し、補正によって名目上の有意性に違いが生じるかを算出した。さらに、補正モデルの解析プランを公表試験と試験プロトコルにおいて比較した。プロトコルに関する情報は、レジストリ、試験デザインペーパー、およびすべての筆頭著者と連絡して収集した。ベースライン変数について補正を行っていた試験は42% 解析の結果、層別無作為化法を用いていた試験は54%だった。また96%の試験で、比較アームのベースライン特性が示されていた。46%はベースライン因子の格差について統計テストを用いて評価を行っていた。 主要アウトカムについて補正解析を行っていたのは半数を占めた。解析が単一であったのは29%、非補正解析のみであったのは21%だった。 層別化変数について補正を行っていた試験は39%(42/108本)、ベースライン変数について補正を行っていた試験は42%(84/199本)だった。 補正後と非補正の両解析を行っていた40試験において、両解析結果ともに統計的に有意な効果が得られていた試験は43%、有意ではなかった試験は40%、いずれか一方の解析結果だけで効果が有意であった試験は18%を占めていた。 モデル補正に関する解析プランの情報について、レジストリで入手できたのは6%(9/162本)、デザインペーパーでは78%(21/27本)、著者からの入手は74%(40/54本)だった。 解析プランが公表試験とレジストリ、プロトコルまたはデザインペーパーとで一致していなかったのは47%(28/60本)だった。

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プレゼンにおけるベストなCOI開示方法は?~AAOSを例に~

 プレゼンテーションの前にスライドを提示して潜在的な利益相反(COI)の開示を行うことは、聴衆が提示されたデータを批判的に評価するためにほとんどの整形外科学会で行われており、インターネットサイトやプログラム集でたびたび補完されている。これまで、このスライドのフォーマットの忠実性や有用性は調査されておらず、その方法で本来の目的が達成されているのかどうかは、明らかになっていなかった。今回、メイヨークリニックのSassoon AA氏らは、2012年アメリカ整形外科学会(AAOS)年次総会において潜在的利益相反の開示状況について調査した。 その結果、著者らは「潜在的利益相反開示において、タイミング、フォーマット、内容の不足があったため、スライド提示型開示を廃止し、標準化された客観的な開示方法に替えるべきである」と主張している(The Journal of Bone & Joint Surgery誌オンライン版2013年4月17日号の掲載報告)。 主な結果は以下のとおり。・多くの専門分野にわたり139の開示が見られ、そのうち125(90%)では規定通りの開示スライドが含まれていた。・125のうち95のスライドが多くの単語(平均19.6単語)を含んでいた一方で、30のスライドは表示時間が短すぎて単語数を認識できなかったり、撮影できなかったりした。・表示時間の平均は3.1秒であった。・著者の利益相反開示が提示されたデータと関連があるか言及したのは52%のみであり、59%の演者は口頭でこの事実に触れていなかった。・複数著者のいる発表のうち共著者をスライドで開示していたのは45%であった。・ほとんどのスライド(85%)では組織に関する開示が行われていなかった。

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PCV7ワクチン導入効果は10年後も持続、高齢者への間接効果も/NEJM

 2000年に米国で導入された7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の小児への接種の効果について、肺炎関連入院の減少効果が、10年後も持続していることが、米国・ヴァンダービルト大学のMarie R. Griffin氏らによる調査の結果、報告された。また直接接種をしていない成人についても減少が認められ、とくに85歳以上高齢者について大幅な減少が確認されたという。米国においてPCV7の導入は、接種対象の若年小児以外にも年長小児や成人における“ワクチン血清型”の侵襲性肺炎球菌疾患の発生率を大幅に低下させた。2004年時点の調査では、若年小児のあらゆる肺炎関連入院が顕著に減少したことが確認されていた。しかし一方で増加が報告されていた“非ワクチン血清型”の侵襲性肺炎球菌疾患についての懸念から、PCV7導入の長期的効果および高齢者への効果についての評価が待たれていた。NEJM誌2013年7月11日号掲載の報告より。PCV7ワクチン導入前1997~1999年と、導入後2007~2009年の年間肺炎入院率を比較 研究グループは、全米入院サンプルデータベースを用い、PCV7が小児ワクチンとして導入される前の1997~1999年と、導入後で十分に時間が経過した2007~2009年の、肺炎による入院の平均年間発生率を調べ、それを用いて肺炎による入院の年間減少率を推定し比較した。 肺炎が入院理由の第一診断名である場合と、第一診断名が敗血症、髄膜炎、膿胸で、それに次ぐ診断名が肺炎である場合の入院を、肺炎による入院と定義した。85歳以上で年間10万人当たり1,300件減少、年間7万3,000件の入院減少に結びつく その結果、2歳未満児の肺炎関連入院の年間発生率は、PCV7ワクチン導入前時期と比べて導入後10年時点では、10万人当たり551.1件(95%信頼区間:445.1~657.1)減少(1,274件から723件へ)、相対比で43.2%減少していた。導入前時期をベースに推算すると、年間約4万7,000件の入院減少に結びついていた。 また、85歳以上の肺炎関連入院の年間発生率も、10万人当たり1300.8件(同:984.0~1617.6)減少、相対比で22.8%減少し、年間7万3,000件の入院減少に結びついたと推計された。 さらに、18~39歳、65~74歳、75~84歳の3つの年齢グループではそれぞれ、10万人当たり8.4件、85.3件、359.8件減少した。 全体としては、PCV7導入後の肺炎関連入院の年間発生率は、年齢で補正後10万人当たり54.8件(同:41.0~68.5)減少し、年間16万8,000件の入院減少につながったと推計された。

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医療介護多職種交流会 第2回MLB+(メディカルラーニングバープラス)のご案内

 一般社団法人LINKは、8月25日に医療・介護現場で働く方々を対象に、学びのイベント「医療介護多職種交流会 第2回MLB+(メディカルラーニングバープラス)」を開催する。 開催概要は以下のとおり。【日時】2013年8月25日(日)10:00~13:00(受付9:45~)【プレゼンター①】島袋 豊子 氏(歯科衛生士)テーマ:お口から伝える身体の元気【プレゼンター②】兼次 眞貴子 氏(看護師)テーマ :医療従事者の心得 ~老人看・介護編~【プレゼンター③】仲里 航 氏(スポーツ)テーマ:夢実現のためのプロアスリート思考術(仮)【場所】グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル7F ナレッジサロン大阪市北区大深町3-1http://kc-i.jp/access/【対象者】医療介護に関わる方【定員】先着30名(限定)【参加費】1,000円(飲食はサロン内で別途実費でご購入いただけます)【参加申し込み方法】下記URLの「チケットを申し込む」からご登録くださいhttp://the2ndmlbplus.peatix.com【Medical Learning Barについて】MLB公式Facebookページ:https://www.facebook.com/MedicalLearningBar一般社団法人LINKウェブサイト:http://www.link-japan.coプロモーションビデオ:http://goo.gl/apaEU【お問い合わせ】E-mail : info@link-japan.co専用フォーム:http://goo.gl/Bj9w3

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円形脱毛症患者は酸化ストレスや過酸化脂質が有意に増大

 円形脱毛症の人は、そうでない人と比較して、活性酸素(ROC)の増大に伴う酸化ストレスや過酸化脂質が有意に増大していることが、エジプト・ミヌーフィーヤ大学病院のOla Ahmed Bakry氏らによるケースコントロール試験の結果、明らかにされた。ROCや過酸化脂質の増大は、多くの皮膚障害(アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬・白斑症・ざ瘡・天疱瘡、扁平苔癬など)で認められる。円形脱毛症においては、ROCの産生が毛包周囲の炎症性細胞で増大することが知られていた。American Journal of Clinical Dermatology誌オンライン版2013年7月10日号の掲載報告。 研究グループは、円形脱毛症患者における酸化ストレス指数(OSI)、ならびに血清総値の酸化物質活性(TOC)および抗酸化物質活性(TAC)とマロンジアルデヒド(MDA)でみた過酸化脂質について評価することを目的とした。 円形脱毛症患者と、年齢・性を適合させた健常ボランティア対照群について、血清TOC、同TAC、同MDAの値を測定し、OSIを算出し、両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、円形脱毛症(AA)患者群35例、対照群30例であった。・TOC、MDAの各血清平均値およびOSIはいずれも、対照群よりもAA患者群で有意に高値であった(いずれもp<0.001)。・血清平均TAC値は、対照群よりもAA患者群で有意に低値であった(p<0.05)。・軽症~中等症AA患者よりも重症AA患者のほうが、MDA(p<0.001)、TOC(p<0.001)、OSI(p<0.001)が有意に高値であり、TAC(p<0.01)は有意に低値であった。・以上の結果を踏まえて著者は、「AA患者では酸化ストレスおよび過酸化脂質が認められることが確認された。これらの変化が、病因や炎症性プロセスに果たす役割については、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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下肢の創傷処置後に発症したガス壊疽は医療ミスであると判断されたケース

外科最終判決判例タイムズ 495号167-176頁概要交通事故によって右脛骨・腓骨複雑骨折、約30cmの右下腿挫創を受傷した44歳女性。来院後直ぐに生理食塩水2,500mLを用いてデブリドマンを行い、ドレーン2本を留置して縫合後、下腿の鋼線牽引を行った。ところが、受傷後1週間目の抜糸時に強烈な悪臭を発し、ガス壊疽を発症していることが判明。右下腿切断を余儀なくされた。詳細な経過患者情報とくに既往症のない44歳女性経過1973年10月22日16:00自転車に乗って交差点を直進中、出会い頭に貨物自動車と衝突し、道路端の溝に落ちて受傷。16:20救急病院に到着。意識は清明で、血圧110/70mmHg、脈拍88/分。右脛骨・腓骨複雑骨折、右下腿部挫創と診断。とくに右下腿の挫創はひどく、長さ約30cm、筋肉、骨に達する不整形の傷口であり、内部は泥や土砂で著しく汚染されていた。ただちに創部に対し生理食塩水2,500mLを用いたデブリドマン(所要時間約30~40分)を行い、ドレーンを2本残して創傷を縫合した。下腿骨折に対しては鋼線牽引を行い、感染予防の抗菌薬、破傷風トキソイドを投与した。10月24日ドレーンからは排液がなかったので抜去。10月29日縫合部位の抜糸を行ったところ、傷口から特異かつ強烈な悪臭がみられガス壊疽と診断。生命の危険があると判断し、右大腿の切断手術を行った。当事者の主張患者側(原告)の主張ひどく汚染された骨折であったのだから、ガス壊疽発症を予防する注意義務があるのに、病院側は十分なデブリドマンを行わず、しかも創傷を開放性に処置しなかったためにガス壊疽を発症し、右大腿切断を余儀なくさせた。病院側(被告)の主張下肢挫創に対し30~40分もの時間を費やして十分なデブリドマンを行っているので医師に落ち度はない。本件のようなガス壊疽は相当の注意を払っても防ぎようがない。裁判所の判断事故直後からひどく汚染されていた右下腿挫創は、通常の医師がみればガス壊疽の危険性がきわめて高い状態であったことを容易に予見できた。そのため、まず創傷部位の徹底したデブリドマンを行うべきであり、デブリドマンの徹底さに自信がなければ創傷を開放性に処置すべき注意義務があるのに、担当医師はガス壊疽が発症する割合は低いものと軽信し、適切な初期診療を行わず右大腿切断へ至ったのは過失である。原告側4,660万円の請求に対し、2,937万円の判決考察外傷を扱う第一線の医師にとりまして、このケースはとても厳しい判決内容だと思います。汚染された創部に対し、通常の創傷処置を施してはいるものの、「ガス壊疽発症・下腿切断」という最悪の結果だけに注目して医療過誤と判定されたようなものだと思います。そもそも、医療技術の進歩や抗菌薬の発達にともなって、ベテランの整形外科医でさえもガス壊疽に遭遇するチャンスは少なくなったようですが、ひとたびガス壊疽を発症すると、医事紛争へと発展する危険があるということを考えておく必要があります。本件のように交通事故で運ばれた患者さんの右下腿に、長さが30cmにも及ぶざっくりと割れたような挫創があり、しかも土や砂がこびりついて汚染がひどければ、誰でも感染予防を第一に考えて徹底的なデブリドマンを行い、とりあえずは傷を縫合して抗菌薬、破傷風トキソイドなどを投与する、というのが普通の考え方だと思います。今回の担当医師は、生理食塩水2,500mLを用いてブラシによる創部洗浄を行い、土砂をできる限り取り除き、ドレーンを2本留置して創部を縫合しました。もちろん、感染症予防のために抗菌薬を投与し、破傷風トキソイドも注射し、毎日包帯交換を行って創部の確認をきちんとしていたはずです。そして、ドレーンからの排液はみられなかったため、受傷後2日目にはドレーンを抜去、創部に感染傾向はないことを確認しながら受傷7日目の抜糸へと至りました。その後、抜糸の時にはじめてガス壊疽発症に気付いたことになります。裁判官は、「デブリドマンの徹底さに自信がなければ創傷を開放性に処置すべき注意義務がある」と判断しましたが、はたして、ざっくりと口を開けた30cmにも及ぶ筋肉や骨にまで達した下腿の傷を、「ガス壊疽が心配だ」という理由で最初から縫合しないで開放創にするということができるでしょうか。もし最初から開放創とした場合には、創部の乾燥による2次的な神経損傷や筋肉の障害が引き起こされ、長期的にみた予後として下肢の筋力低下、尖足などが予想されるため、ほとんどの医師はまず縫合を試みると思います。すなわち、受傷直後のひどく汚染された創をみて、のちのち感染症のおそれはあるけれども、あえて開放創として下肢の筋力低下や尖足を招くよりも、いったんは縫合して様子をみる、という治療方法を選択するのが一般的だと思います。しかも、500mLの生理食塩水を5本も使って洗浄・デブリドマンを施していますので、処置としては十分といえるレベルではないでしょうか。「デブリドマンの徹底さに自信がなければ・・・」と裁判官はいいますが、自分の処置に完璧な自信を持つというのはとても難しく、結果が悪かったことに注目して医師にすべての責任を求めるという考え方にはどうしても納得がいきません。このように、本件は医師の立場では到底承服できない点が多々ありますが、一方で判決が確定した背景には、もう一つきわめて重要な要素がありました。それはこのコーナーでもたびたび取り上げている、「カルテの記載不備」です。担当医師のカルテには、受傷1週間後のガス壊疽発症に気付くまで、創部を観察した記載はほとんどありませんでした。本件は日本でも一流とされている総合病院で発生した事故でしたので、おそらく、毎日創部の消毒・包帯交換を行っていたと推測されます。ところが、抜糸するまで創部の感染傾向はみられなかったことをきちんとカルテに記載していなかったために、「ひどく汚染された創なのにきちんと経過観察をしていないではないか」という判断につながったと思われます。日頃の臨床では、何か陽性所見があれば必ずカルテに記載すると思いますが、異常がみられなければ(陰性所見は)あえてカルテには記載はしない、という先生方が多いと思います。本件でも担当医師は、「毎日傷をみて異常がないことを確認していた。カルテに何も書かないということは異常はないことと同じである」と主張しましたが、そのことを裏付ける書面は一切存在しないため、裁判では採用されませんでした。もし、抜糸に至るまでのカルテ記載のなかで、「創部に発赤・腫脹なし。感染傾向なし」という記載があれば、「毎日の診療の中でガス壊疽を含む創部感染に注意を払っていた」ということが証明され、「ガス壊疽発症は不可抗力である」という考え方にも説得力があることになり、「デブリドマンの徹底さに自信がなければ創傷を開放性に処置すべき注意義務がある」などという理不尽な判決には至らなかった可能性が高いと思います。あらためて、日々のカルテ記載はきわめて重要であることを痛感しますし、もし医事紛争へと発展した場合には、自分の身を守る唯一無二の証拠は「カルテ」であることを再認識させられる貴重なケースです。外科

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トップアスリートは、うつ病の頻度が高い

 オーストラリア・ディーキン大学のHammond Thomas氏らは、競泳の精鋭選手(エリートアスリート)におけるうつ病の発生状況を評価した。その結果、上位25%にいる選手集団はうつ病の頻度が2倍高く、成績不良がうつ病と有意に関連していることを報告した。結果を踏まえて著者は、「エリートアスリートは、とくに成績不良がきっかけとなり、うつ状態に陥りやすい。選手のメンタルヘルスを考慮し、適切なタイミングで的確なサポートをすることが重要である」と結論している。Clinical Journal of Sport Medicine誌2013年7月号の掲載報告。 カナダのオリンピックおよび世界チャンピオンチームのエリートアスリートにおける、成績不良に関連するうつ病と自己報告によるうつ症状の発生状況を評価するため、横断研究を行った。対象は、カナダの大学に籍を置き、カナダ代表選手権に出場した水泳選手50例(男性28例、女性22例)であった。うつ病の診断は、事前に大まかな質問事項を決めておき、回答者の答えによってさらに詳細に質問を重ねる半構造化インタビューにて行った。うつ症状は、ベックうつ病調査票IIにより評価し、成績は、タイムとランキングの変動により評価した。これらは、予選試合が終了した後に実施した。 主な結果は以下のとおり。・試合前、選手の68%が大うつ病エピソードを呈し、その割合は男性に比べ女性選手のほうが多かった(p=0.01)。・試合後、選手の34%がうつ病と診断され、26%が自己報告による軽度~中等度のうつ症状を認めた。・上位25%にいる選手集団はうつ病の頻度が2倍高く、この集団では成績不良がうつ病と有意に関連していた。・エリートアスリートにおけるうつ病の頻度は、既報告よりも高いことが示された。関連医療ニュース アスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させる 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 統合失調症に「サッカー療法」その効果は?

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低線量CT検診、高リスク者の肺がん死予防に有効/NEJM

 肺がんの低線量CT検診は、リスクが最も高い集団における肺がん死の予防に有効だが、低リスク集団では予防効果が低いことが、全米肺検診試験(NLST)で示された。米国・国立がん研究所のStephanie A Kovalchik氏らが、NEJM誌オンライン版2013年7月18日号で報告した。NLSTではすでに、低線量CTは胸部X線による検診に比べ、喫煙経験のある中高年者における肺がん死を20%抑制することが示されているが、肺がん死のリスク別の検討は行われていなかった。リスク別の死亡率を五分位法で解析 NLSTの研究グループは、今回、肺がん死のリスク別の低線量CT検診の有用性を、従来の胸部X線検診と比較する無作為化試験を実施した。対象は、年齢55~74歳で、30 pack-years以上の喫煙者および禁煙後15年以内の元喫煙者であった。 5年肺がん死の推定リスクを五分位法で以下のように層別化し、各群における2002年8月~2009年1月15日の肺がんによる死亡率を解析した。第1五分位群(Q1、最低リスク群):0.15~0.55%、第2五分位群(Q2):0.56~0.84%、第3五分位群(Q3):0.85~1.23%、第4五分位群(Q4):1.24~2.00%、第5五分位群(Q5、最高リスク群):>2.00%。1万人年当たりの予防数、最低リスク群0.2 vs 最高リスク群12.0 5万3,158例が登録され、低線量CT検診群に2万6,604例、胸部X線検診群には2万6,554例が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は5.5年。 肺がん死数は低線量CT検診群が354例、胸部X線検診群は442例で、1万人年当たりの死亡数はそれぞれ24.6、30.9(率比:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.001)、低線量CT検診群における肺がん死の減少数は6.3/1万人年(95%CI:2.4~10.1、p=0.001)であった。 胸部X線検診群との比較における低線量CT検診群の1万人年当たりの肺がん死予防数は、肺がん死リスクが高くなるに従って上昇した(Q1:0.2、Q2:3.5、Q3:5.1、Q4:11.0、Q5:12.0、傾向p=0.01)。 検診で予防された肺がん死の偽陽性数(利益・不利益比)は、肺がん死リスクが高い群ほど低下した(Q1:1,648、Q2:181、Q3:147、Q4:64、Q5:65、傾向p<0.001)。 肺がん死リスクが高い上位60%(Q3~Q 5)が、検診で予防された肺がん死の88%を占め、偽陽性の64%を占めた。肺がん死リスクが最も低い20%(Q1)では、検診による肺がん死予防率は1%にすぎなかった。 著者は、「これらの知見は、リスク評価に基づいて喫煙者に的を絞った肺がん検診法の有用性を実証的に支持するもの」と指摘している。

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心肺蘇生でのVSEコンビネーション療法、神経学的に良好な生存退院率を改善/JAMA

 心停止患者の蘇生処置について、心肺蘇生(CPR)中のバソプレシン+エピネフリンとメチルプレドニゾロンの組み合わせ投与および蘇生後ショックに対するヒドロコルチゾン投与は、プラセボ(エピネフリン+生理食塩水)との比較で、神経学的に良好な状態で生存退院率を改善することが明らかにされた。ギリシャ・アテネ大学のSpyros D. Mentzelopoulos氏らが無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験の結果、報告した。先行研究において、バソプレシン-ステロイド-エピネフリン(VSE)のコンビネーション療法により、自発的な血液循環および生存退院率が改善することが示唆されていたが、VSEの神経学的アウトカムへの効果については明らかではなかった。JAMA誌2013年7月17日号掲載の報告より。20分以上の自発的な血液循環、CPCスコア1もしくは2での生存退院率を評価 研究グループは、昇圧薬を必要とした院内心停止患者について、CPR中のバソプレシン+エピネフリン投与と、CPR中またはCPR後にコルチコステロイドを投与する組み合わせが、生存退院率を改善するかを、脳機能カテゴリー(Cerebral Performance Category:CPC)スコアを用いて評価を行った。同スコアの1、2を改善の指標とした。 試験は2008年9月1日~2010年10月1日の間に、ギリシャの3次医療センター3施設(病床数計2,400床)を対象に行われた。被験者は、蘇生ガイドラインに従いエピネフリン投与を必要とした院内心停止患者で、364例が試験適格について評価を受け、そのうち268例が解析に組み込まれた。 被験者は、バソプレシン(CPRサイクル当たり20 IU)+エピネフリン(同1mg;約3分間隔で)投与群(VSE群、130例)か、生理食塩水+エピネフリン(同1mg;約3分間隔で)投与群(対照群、138例)に無作為化され、初回CPRを5サイクル受けた。必要に応じてエピネフリンの追加投与を受けた。無作為化後の初回CPR中、VSE群はメチルプレドニゾロン(40mg)も受けた。対照群は生理食塩水を受けた。 また、蘇生後ショックに対しては、VSE群(76例)に対してはヒドロコルチゾンをストレス用量で投与し(最大量300mg/日を7日間投与したあと漸減)、対照群(73例)には生理食塩水を投与した。 主要評価項目は、20分以上の自発的な血液循環(ROSC)、CPCスコア1もしくは2での生存退院率とした。CPCスコア1もしくは2での生存退院率改善は、VSE群が対照群の3.28倍 全蘇生患者についてフォローアップは完遂された。 VSE群の患者は対照群と比べて、20分以上のROSCの達成患者が有意に高率だった(83.9%対65.9%、オッズ比[OR]:2.98、95%信頼区間[CI]:1.39~6.40、p=0.005)。 CPCスコア1もしくは2で生存退院した患者の割合も有意に高率だった(13.9%対5.1%、OR:3.28、95%CI:1.17~9.20、p=0.02)。 蘇生後ショックの処置について、ヒドロコルチゾン投与を受けたVSE群のほうが、プラセボ投与を受けた対照群と比べて、CPCスコア1もしくは2で生存退院した患者の割合が有意に高率だった(21.1%対8.2%、OR:3.74、95%CI:1.20~11.62、p=0.02)。 有害イベントの発現率は、両群で同程度だった。

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慢性腰痛に対するタネズマブの有効性および安全性

 神経成長因子(NGF)を阻害するヒト化モノクローナル抗体であるタネズマブ(tanezumab、国内未発売)について、慢性腰痛に対する有効性と安全性をプラセボおよびナプロキセンと比較した後期第II相臨床試験の結果が発表された。米国・アルトゥーナクリニカルリサーチセンターのAlan J. Kivitz氏らによる報告で、タネズマブはプラセボおよびナプロキセンと比較して、疼痛、機能および全般評価を有意に改善したという。Pain誌2013年7月号(オンライン版2013年3月14日号)の掲載報告。 慢性腰痛患者1,347例を対象に、タネズマブ(5、10または20mgを8週ごとに1回)、ナプロキセン(500mgを1日2回)、またはプラセボを静脈内投与した。  有効性の主要評価項目は、腰痛強度のベースラインからの変化量(16週目までの平均値)であった。副次的評価項目は、ローランド・モリス障害質問票(RMDQ)スコアならびに患者による全般評価(PGA)スコアのベースラインからの変化量(16週目までの平均値)であった。 主な結果は以下のとおり。・タネズマブ10mg群と20mg群の有効性は類似しており、プラセボ群およびナプロキセン群と比較して、腰痛強度、RMDQスコアおよびPGAスコアが有意に改善した(p≦0.05)。・タネズマブ5mg群は、プラセボ群に比べ、PGAスコアが有意に改善した(p≦0.05)。・ナプロキセン群は、プラセボ群に比べ、腰痛強度が有意に改善した(p≦0.05)。・有害事象の発現率は、タネズマブの各投与量群間で同程度であったが、プラセボ群、ナプロキセン群より高かった。・タネズマブ群で最もよくみられた有害事象は、関節痛、四肢痛、頭痛および感覚異常であった。・タネズマブの投与中止に至った有害事象で最もよくみられたのは、関節痛および感覚異常であり、20mg群において高頻度であった(いずれも1.4%)。・重篤な有害事象の発現率は、治療群間で類似していた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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泣かないと決めた日【フレネミー(操作性)】 

「裏切られた!」みなさんは、友達だと思っていた人に、「裏切られた!」と思ったことはありませんか?そして、残念で悔しくて、怒りがこみ上げてきたことはありませんか?昔から、そういう偽りの友達はいました。そういう人たちは、最近ではフレネミーと呼ばれています。これは、フレンド(友達)とエナミー(敵)を重ね合わせた英語の造語から来ています。今回は、このフレネミーをテーマに、2010年のテレビドラマ「泣かないと決めた日」を取り上げます。主人公は、新入社員として夢と希望に胸を膨らませて、憧れの大企業に入社します。ところが、その職場では、理不尽ないじめが彼女を待ち構えていました。さらに追い打ちをかけたのは、最初に助けてくれていた同期の友達の裏切りです。次々と可哀想すぎるシーンが続き、見ている私たちまでも辛くなります。しかし、彼女は最初にくじけそうになりましたが、やがて持ち前の強さで這い上がります。そして、彼女が職場の雰囲気を変えていくのです。このドラマでは、様々な人の心の動きが描かれています。そして、根本的な疑問が湧いてきます。それは、「なぜ人は信じるのか?」、そして「なぜ人は裏切るのか?」です。これから、これらの心理を、新しい科学の分野である進化心理学の視点から解き明かします。そして、私たちはフレネミーからどう身を守ればよいのかをいっしょに考えていきましょう。助ける心理―協力(利他性)主人公の美樹は、入社式から同期の万里香と仲良しになり、信頼します。同じ携帯のストラップを見せ合い、友情を確認し合います。同じ境遇を分かり合い、助け合おうとしています。実際に、その後、美樹が同僚からの嫌がらせで残業を押し付けられた時は、万里香は同情し手伝ってくれていました。私たちは、このような助け合いの精神を当たり前のことだと思っています。しかし、そもそもこのような助ける心理(利他性)は、なぜ沸いてくるのでしょうか?1つは、私たちは子どもの頃からそう教えられてきたという文化の要素があげられます(環境因子)。もう1つは、私たちはそういうふうに振る舞うように遺伝子にプログラムされている、つまり心の進化の要素です(個体因子)。ヒトは、700万年前にチンパンジーと共通の祖先と別れて進化してきました。そして、3、400万年前にアフリカの森から草原へ出て、その後に100人くらいの閉鎖的な集団をそれぞれ作り、長期間、協力して生き延びてきました。つながろうと強く思う種の多い共同体が子孫を残してきたわけです。つまり、ヒトの心の進化の最大の特徴は、つながりの心理(社会性)です。ここから、さらに様々な心理が芽生え、つながるための動機付けが起こりました(表1)。例えば、「好き」という好意や「かわいそうに」という同情は、助ける心理を動機付けます。「ありがとう」という感謝は、その言葉を伝えることや実際のお返しを動機づけます。だからこそ、つながりの心理が、理性的な単なる損得勘定だけではなく、情緒的なつながりの強さをもとにしていると私たちが実感できるのです。こうして、助け合い、伝え合い、文化や文明を進歩させてもきたのでした。そして、現在まで、この心理は、私たちが普遍的に直感する正しさとしての道徳心(モラル)や倫理観の土台になっています。表1 様々な心理とつながりの動機付け心理動機付け好意(友情)「好き」助ける(協力)同情「かわいそうに」感謝「ありがとう」お返し、恩返し(協力)裏切り「いただき」騙し(非協力)噂好き「あの人どう?」裏切りのあぶり出しや抑止自尊心「よく思われたい」「なめんなよ」協力のアピール裏切り(非協力)の否定騙しの心理―非協力、裏切り(1)フレネミー(偽りの友達)とは?その後、美樹が職場の嫌がらせにけなげに耐えている中、万里香は、裏で変わってしまいます。その理由は、万里香は、美樹が付き合い始めた他の部署の男性社員に目を付けたのです。その男性が載っている社内誌を見ながら浮かべる彼女の笑みが不気味です。そして、恋敵をつぶすために手段を選びません。裏で美樹を貶(おとし)めようと、同僚たちに巧みな悪口を吹き込みます。美樹のニセブログを立ち上げて、美樹になりすまし、同僚の悪口を次々と掲載します。一方、企てがばれそうになると、良いタイミングで、「間違い」を打ち明け、徹底的に無邪気な良い人を演じます。自分に思い通りになるように周りを動かすその立ち振る舞いは実に見事です。この万里香のような行動パターンを取る人は、特に女性に多いのですが、昔から「魔性の女」「悪女」と呼ばれていました。最近では、より的確なワードとして、フレネミーと呼ばれることが増えてきています。表面的には仲良しの友達を装いつつ(演技性)、裏では周りを操作します(操作性)。(2)なぜフレネミーになるのか?1.生い立ち(環境因子)どうして、このような人が昔からいるのでしょうか?2つの要素が考えられます。1つは、ドラマでも少し触れられていますが、万里香の生い立ちです(環境因子)。彼女は、裕福な家庭の一人娘として大事に育てられました。際立って恵まれています。そこで余計に育まれてしまったものは、自分が有利であることへの敏感さ(優越感)です。「今まで欲しいものは全部、手に入れてきたの」という彼女のセリフが全てを物語っています。一方、際立って恵まれなかった人が育むものは、自分が不利であることへの敏感さ(劣等感)ですが、この2人には共通する価値観があります。それは、自分が有利か不利か、つまり大切にされているかどうかに敏感になる点です(自己愛)。そこから、「自分は特別である」「だから裏技(不正)を使っても良い」という発想に陥りやすくなります。つまり、生い立ち(生育環境)が際立って恵まれていたり、逆に際立って恵まれていない場合、つまり生育環境の偏りがある場合は、フレネミーのリスクが高まるということが分かります。2.ただ乗り遺伝子(個体因子)もう1つは、「ただ乗り遺伝子」です(個体因子)。この遺伝子は、みんながお金を払って乗り物に乗っているのに、1人だけただで乗ろうとするような心理を駆り立てます。つまり、騙しの心理、裏切りです。私たちは、助ける心理を進化させる中で、実は、この困った心理も進化させてしまったのです。みんなが信頼し合い、助け合いのルールを守り、公平(公正)を保っている中で、1人だけ抜け駆けして、食料や繁殖のパートナーなどの資源を横取りする種が、「生きるか死ぬか」の過酷な生存競争の中で、生き残ったからでした。進化の本来の姿は、競争です。私たちの祖先は、信頼による協力と騙しによる競争の心理を器用に使い分けて、バランスを取りながら進化してきたのでした。つまり、私たちの心の中には、信頼の心と同時に、常に裏切りの心が潜んでいるわけです。美樹の恋人を寝取った万里香は言います。「私、謝らないから」「恋愛にルールなんてないもの」と。実際に、世の中で振り込め詐欺などの騙しの犯罪はなくなりません。この騙しの心は、つながりの心を進化させてしまった代償と言えるかもしれません。噂好きの心理―裏切り者のあぶり出し万里香は、食堂で、美樹の同僚たちのテーブルにあえて座り、さり気なく漏らします。「寿退社するまでは、(いじめを上層部に言い付けるのを)我慢するって言ってました」と。この言葉に、美樹に対しておもしろく思っていない同僚たちは食い付きます。このように、私たちは、噂、特に葛藤を抱えている集団のメンバーについての噂に敏感です。そう私たちを駆り立てるのは、何なのでしょうか?進化論的には、噂好きの心理の役割は、他人とつながる際のリスクである騙し、つまり裏切りをあぶり出すことです。このあぶり出しにより、次の裏切りによる被害を未然に防ぐことができますし、さらには裏切りに対しての抑止も働きます。噂は、20万年前に言葉を話すようになった私たちの祖先(ホモ・サピエンス)の時代から、表情を読み取ることと並んで、裏切りの有力な判断材料であったと言えます。かつては、共同体のあるメンバーの裏切りが成功したら、残りのメンバーたちの生存が脅かされる状況があったのでしょう。だからこそ、現代の私たちは良い噂よりも悪い噂に敏感で、例えば事件、ゴシップ、ワイドショーが大好きになってしまったと言えそうです。さらに、噂は、単にその時の共同体の間だけでなく、世代を超えて続くこともありました。もはやその噂は、語り継ぎ(物語)や言い伝え(伝説、神話、宗教)として、共通の意識を持つことでもあり、共同体への帰属意識を高める役割も果たしています。また、同時に、それは、共通の生きる知識や知恵(文化)として、共同体の生存の確率を高める役割も果たしていたでしょう。この噂から語り継ぎや言い伝えを好む遺伝子を持つ種の末裔は私たちです。だからこそ、私たちは、映画、ドラマ、小説などのストーリーを好むのでしょう。自尊心―裏切り者だと思われたくない万里香が成りすました美樹のブログには、同僚たちの悪口がこれでもかと書き込まれていました。それを発見した同僚たちは、美樹に激怒します。一方、美樹は、正体不明の犯人の悪意に、もはや怒りを通り越して打ちひしがれます。このように、私たちは、他人の噂以上に、自分の噂にとても敏感です。都合の悪い自分の噂、ましてや自分が裏切り者に仕立て上げられるデマなどには、怒りがこみ上げ、傷付きます。このように揺さ振られる心の動きは何なのでしょうか?それは自尊心(誇り、プライド)です。自尊心は、自らを尊ぶ心、つまり自分を大切にする気持ちです。これは、集団の中で期待に応えたい、そしてより良い評価を得たいという欲求(承認欲求)に支えられています。よって、この大きさの物差しになるのは、周りからの評判です。つまり、私たちの自尊心は、噂を含む評判によって、揺れ動いていると言えます。だからこそ、私たちは裏切り者だと思われることが最も苦痛なのです。原始の時代、集団での狩りの際、道具を作る役、追い立てる役、仕留める役などそれぞれの役割がありました。そのどの役割が自分にできるか主張することこそが、自尊心の源です。そして、この自尊心は、「認められたい」「よく思われたい」という心理から「軽くみられたくない」「なめんなよ」という心理に置き換えられます。これは、威嚇や牽制としての怒りでもあります(ディスプレイ)。このように、言われっぱなしで好き勝手にさせない、そして、はめられないようにする心の働き、つまり自尊心を持つ種が生き延びました。私たちにとって、自尊心は、集団に貢献するだけでなく、裏切り者に仕立て上げられないためにもなくてはならない心理と言えます。フレネミーから身を守るには?万里香のようなフレネミーは、集団に潜んでいます。そして、同時に、実は、フレネミーの心は、私たちのそれぞれの心の中にも潜んでいます。知らずに、フレネミーに振り回され、そして、うっかり自分が噂を流してしまいフレネミーのように振り回しているかもしれません。大事なことは、フレネミーの特徴と接し方を具体的によく知っておくことです。(1)フレネミーの特徴まず、万里香が神出鬼没であったように、フレネミーは、情報収集の能力が高く、常に嗅ぎ回り、詮索好きです。そして、フレネミーの口癖は、それほど近い間柄ではないのに連発するワード、「ここだけの話」です。これは、親密さを装うワードで(演技性)、要注意です。なぜなら、実際には「ここ」だけの話ではないからです。そして続く言葉は、「師長(リーダー)が、あなたのこと、むかつくって言ってたよ」です。あなたが知りたくないことをあえて伝えてくるのです(操作性)。聞いたあなたとしては、心を揺さ振られます。(2)フレネミーへの接し方ここでまず大事なことは、まず、この「伝言ゲーム」の罠、つまりフレネミーの意図に気付くことです。「なぜこの人はそれほど親しくないのに、私の悪い噂をあえて伝えに来たのだろうか?」と疑うことで、フレネミーであることが特定できます。そして、他人に関してでもあなたに関してでも、それほど親しくないのに悪口を言う人には手の内を見せないことです。間違っても、「教えてくれてありがとう」と感謝しないことです。ましてや、フレネミーに師長への不満をぶちまけないことです。これでは、フレネミーの思うつぼになってしまいます。安全なかわし方としては、「ええ、そうなの?」と話は聞きつつ、「私、鈍くて分からない」と言います。また、可能な限り、1対1にならないことです。あやしいと思ったら、複数で対応することが得策です。また、日々の心掛けとして、フレネミーには、噂話だけでなく自慢話もしないことです。当たり障りのない話だけにとどめ、心の間合いを取ることです(心理的距離)。特に、自慢話は、フレネミーの最も勘に触ることです。自慢話は、味付けを変えれば、いとも簡単に悪い噂に化けてしまいます。つまり、噂や自慢はそれ自体は楽しいのですが、その話をする時は、相手を慎重に選ぶ必要があります。ドラマの後半、噂を利用した万里香の悪事は、繰り返されるうちに、逆にその噂によってばれていきます。結局、繰り返す不正はやがて明るみになるものです。こうして、彼女は、職場に居づらくなってしまったのでした。このように、フレネミーは、程度にもよりますが、時間が経てば、やがていなくなることが分かります。なぜなら、噂の本来の役目である不正(裏切り者)のあぶり出しは常に働いているからです。私たち日本人は、トラブルで目立つことは迷惑になり恥ずかしいと思いがちです。しかし、万里香の悪事から学ぶことは、職場でフレネミーとトラブルが起きた時は、客観的な事実をオープンにする、つまり泣き寝入りしないことです。少なくとも、管理者に報告することです。また、注意点は、主観的な感情まではオープンにしないことです。なぜなら、そうすると自分もフレネミーになってしまうリスクがあるからです。こうすることで、フレネミーのあぶり出しや抑止がより有効になっていきます。表2 フレネミーの特徴と接し方特徴常に嗅ぎ回り、詮索好き親密さを装う(演技性)知りたくないことをあえて伝えてくる(操作性)接し方意図に気付く手の内をみせない複数で対応する噂話や自慢話はしないトラブル時は、客観的な事実をオープンにするまとめ原始の時代、私たちの祖先は、明日の食糧の確保に不安を抱えながらも、助け合い、そして裏切りを牽制し、たいした情報のない中、生きるか死ぬかの過酷な環境を生き抜いてきました。それに比べると、現代の社会は、法律によって権利が守られ、衣食住が満たされ、情報もオープンで確かなものになってきています。原始の時代の心を引き継いでいる現代の私たちの心は、時に万里香のような心になってしまうことがあります。つまり、裏切りの心は、助ける心と同じくらい人間の本質的なものだということです。この心の働きに気付き、見つめ直すことで、私たちの中に潜むこの操作性の心をコントロールし、乗り越えていくことができるのではないでしょうか。1)北村英哉・大坪康介:進化と感情から解き明かす社会心理学、有斐閣アルマ、20122)長谷川寿一・長谷川眞理子:進化と人間行動、東京大学出版会、20003)ロビン・ダンバー:友達の数は何人?、インターシフト、2011

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抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか

 統合失調症の治療において、異なる抗精神病薬の比較や切り替えを行う場合、等価換算が重要となる。この等価換算の方法は、比較試験のデザインでも重要となるが、現時点ではゴールドスタンダードと呼べる方法はないことを、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMaxine X. Patel氏らが、システマティックレビューの結果、報告した。そのため、抗精神病薬の直接比較試験では過大評価も過小評価も起こりうる可能性があるとして、著者は「臨床試験では必ず、等価換算についてその方法を選択した理由を明記すべきである」と述べている。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。 システマティックレビューは、抗精神病薬の等価換算の方法について入手可能であった方法を同定し、批判的に評価することを目的とした。文献検索は、Medline、PubMedおよび製薬会社に依頼した追加情報を用いて行われた。同定された方法は、科学的な厳密さ、その方法を支持するソースデータの質、臨床的適用性、有用性に関して特定の基準に照らし合わせて評価された。 主な結果は以下のとおり。・11論文が、抗精神病薬の等価換算の方法論について記載をしていた。・そのうち7論文が、クロルプロマジンの等価量、最大用量、常用量などの算出方法を紹介していた。それらは、固定および非固定用量の両方のデータからのエビデンスベースに基づいていた。・残る4論文は、専門家の知識と経験に基づいたコンセンサスメソッドについて記載していた。・同等性試験の大部分では、クロルプロマジンが一般的な比較薬として用いられていた。一方、コンセンサスメソッドではリスペリドンが最も多かった。・著者は、「抗精神病薬の等価用量を算出する方法の比較の結果、方法が異なると等価量が異なることが示された。また、それらの方法のいずれもゴールドスタンダードとみなすのに十分なほど強力なエビデンスはなかった」とまとめている。・そのため、抗精神病薬の直接比較の固定用量試験をデザインする際に、選択する方法によって、用量について過大および過小の両方のバイアスが生じる可能性があることを指摘し、「臨床試験報告では常に、等価換算についてその方法を選択した理由を明記すべきである」と述べている。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証 アリピプラゾールvsその他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー 抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

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わきが治療としての経皮的エタノール注入療法

 わきが(腋臭症)治療として、経皮的エタノール注入療法(PEI)が有効かつ安全であることが報告された。中国医学科学院 中国協和医科大学のX. Han氏らが、PEI治療者165例に対して行った調査の結果で、術後の追跡調査(中央値14.5ヵ月)で、9割を超える人が治療成果に満足していることが示されたという。結果を踏まえて著者は、「PEIは手術に代わる治療の選択肢になると思われた。PEI治療には回復と術後の固定を最小化できるという利点があり、また安価で、相対的に安全、かつ外来手術で行える可能性もある」と報告をまとめている。Clinical and Experimental Dermatology誌2013年7月号の掲載報告。 わきがに対しては、アポクリン腺切除が頼みの治療となっており、そのほかのさまざまな治療法が試されてきたが、いずれも侵襲性の高い手術療法や治療であり、合併症の可能性も高い。 研究グループは、わきがに対する治療法としてのPEIの有効性と安全性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、両側性のわきが患者165例であった。・局所麻酔後、90%エタノール(片側につき平均8.9mL)を皮膚表面近くの汗腺がある皮下層に注射した。・フォローアップは、中央値14.5ヵ月(範囲:10~28)であった。・アウトカムについて、165例のうち80例(48.5%)が「非常によい」、72例(43.6%)が「よい」、10例(6.1%)が「普通」、3例(1.8%)が「不良」と評価した。・患者の大半(152/165例、92.1%)が治療結果を高く評価し、満足していた。・患者2例において、腋窩の皮膚に壊死が起こり、修復手術が行われた。・表在性表皮融解あるいは局所的皮膚壊死は15例で発生した。それらに対しては抗菌薬塗布による保存的治療を行い、後遺症を伴うことなく治癒した。

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細菌性のCOPD急性増悪では好中球中の活性酸素が増加

 細菌性のCOPDの急性増悪では、非細菌性の急性増悪に比べ、好中球中の活性酸素が著しく増加することが、リトアニア大学病院呼吸器・免疫学科のMindaugas Vaitkus氏らにより報告された。さらに、これらは局所炎症が強く引き起こされたことによる炎症反応とみられ、細菌性のコロナイゼーションが原因である可能性にも言及している。Inflammation誌オンライン版2013年7月20日号の掲載報告。 慢性的な気道炎症は、好中球中の活性酸素が増えることで引き起こされる可能性がある。しかしながら、COPDの増悪発症に細菌がどう関わっているのかについては、これまでしばしば議論の的となってきた。  本研究の目的はCOPDの急性増悪について細菌性および非細菌性、それぞれの増悪における、末梢血と喀痰中の好中球の活性酸素を調べることにある。対象は急性増悪を起こしたCOPD患者40例、健康な非喫煙者10例、非COPDの喫煙者10例であった。 末梢血と喀痰のサンプルは増悪中と回復後に採取した。好中球の分離は高密度勾配遠心分離と磁気分離により行った。好中球中の活性酸素はフローサイトメトリーを用いて平均蛍光強度を測定し、血清中と誘発喀痰中のインターロイキン-8(IL-8)の値はELISA法により測定した。 主な結果は以下のとおり。・細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者の好中球中の自発的活性酸素は、非細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者や安定期COPD患者と比べて、有意に高かった(p<0.05)。・ホルボールミリステートアセテート(PMA)や黄色ブドウ球菌により刺激を加えた際の、好中球中の活性酸素についても同様の傾向が認められた(p<0.05)。・細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者の血清中、誘発喀痰中のインターロイキン-8(IL-8)は、非細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者、安定期COPD患者、健康な喫煙者・非喫煙者のいずれと比べても高いことが示された(p<0.05)。とくに、誘発喀痰中のインターロイキン-8(IL-8)は、すべての群と比較して細菌性の急性増悪を起こしたCOPD患者で高かった(p<0.05)。・また、急性増悪を起こしたCOPD患者群では、ほかのすべての群と比較して、CRPも高かった(p<0.05)。

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再発・難治性B細胞リンパ増殖性腫瘍に対する新規分子標的薬イブルチニブ(コメンテーター:大田 雅嗣 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(120)より-

Bruton's Tyrosine Kinase(BTK) 阻害薬イブルチニブは、B細胞受容体シグナル伝達系阻害薬で、B細胞性慢性リンパ増殖性疾患に対する有望な治療薬である。 本論文は、再発・難治性CLLに対するPhase 1b-2多施設研究である。用量にかかわらず有害事象の低さ、26ヵ月時点での無増悪生存率(PFS) 75%、全生存率(OS) 83%と、良好な長期有効率が報告されている。 また、NEJM誌オンライン版には同時に、再発難治性マントル細胞リンパ腫に対するイブルチニブの有用性に関するPhase 2研究が発表されている(Wang ML et al. Targeting BTK with ibrutinib in relapsed or refractory mantle-cell lymphoma. N Engl J Med. 2013 June 19.)。この臨床研究でも、有害事象の低さ、有効率68%という高い数字が報告された。 イブルチニブは、現在臨床試験中であり国内では未承認であるが、将来速やかに認可されることが望まれる薬剤であり、難治性B細胞性リンパ増殖性疾患に対する治療選択の拡大が図られると考えられる。願わくば、次々と登場する分子標的薬の薬価が低く押さえられ、広く恩恵を受けられる薬剤として使用できればと思う。

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