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エキスパートに聞く!「血栓症」Q&A Part1

CareNet.comでは特集「内科医のための血栓症エッセンス」を配信するにあたって、会員の先生方から血栓症診療に関する質問を募集しました。その中から、脳梗塞に対する質問に対し、北里大学 西山和利先生に回答いただきました。今回は、一般内科初診で血栓症を疑うべき注意すべき訴え、アテローム血栓性梗塞とラクナ梗塞の境界、アスピリンは心原性血栓症に対しては効果が弱い?について回答いただきます。一般内科初診で血栓症を疑うべき注意すべき訴えとして、どういったものがありますか?脳血栓症、即ち脳梗塞、を疑うべき注意点というご質問を拝聴しました。次のような症状が出現している場合に、脳梗塞を疑いましょう。片側半身の運動麻痺片側半身の感覚障害話にくさ(構音障害や失語)運動失調また脳梗塞の特徴は、症状が急性に発症するということです。ですので、上記のような症状が突然に出現したと患者さんが訴える場合には、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を疑い、専門医療機関を受診させる必要があります。専門医療機関としては、神経内科、脳神経外科、脳卒中科などを標榜している病院が望ましい受診先と考えられます。一方で、一般医家の先生にも誤解があるのが、めまいや頭痛を訴える患者で脳梗塞を考えるべきかどうかです。即ち、めまいという症状は、それ単独では脳梗塞の症状とは考えません。運動失調や構音障害などを合併する眩暈は脳梗塞の可能性がありますが、めまい単独の場合は耳鼻科疾患である可能性が高く、眩暈だけを生じる脳梗塞というものは稀と考えられています。また、頭痛も脳梗塞の症状としては頻度の低い症状です。頭痛を呈する脳血管障害はくも膜下出血や脳出血ですが、脳梗塞では頭痛を呈するものは、動脈解離に起因する脳梗塞など稀な病態ですし、動脈解離を伴う脳梗塞であっても頭痛だけ単独で生じることということは稀です。よって、頭痛や眩暈だけの患者では脳梗塞を積極的に疑う必要はありません。脳梗塞はアテローム性動脈硬化ですが、ラクナ梗塞との明確な境界はあるのですか?非心原性脳梗塞にはラクナ梗塞とアテローム血栓性梗塞があります。この二つはいずれも動脈硬化に伴う脳梗塞ですが、病態には明確な違いがあります。ラクナ梗塞は、脳実質をつらぬくように走行する穿通枝と呼ばれる細い動脈の閉塞で生じる脳梗塞です。ラクナ梗塞は閉塞する動脈が細いために、頭部MRI画像などの画像検査では直径15㎜以下のサイズとして検出されます。一方、アテローム血栓脳梗塞は、主幹動脈の狭窄や閉塞によって生じる脳梗塞であり、脳梗塞が生じる部位が穿通枝ではありません。脳梗塞巣は主幹動脈の走行にそって広範囲にわたり、脳梗塞のサイズもラクナ梗塞よりも大きくなることが多いです。このように脳梗塞の出現する部位、梗塞のサイズによって、ラクナとアテロームは区別することが可能です。またMRA(magnetic resonance imaging angiography)や脳血管撮影などで脳の主幹動脈の狭窄度を調べることで、ラクナ梗塞とアテローム血栓性梗塞を区別することができます。即ちラクナ梗塞では主幹動脈に狭窄が乏しいわけですが(穿通枝は血管撮影でも描出は困難)、アテローム血栓性脳梗塞では主幹動脈に狭窄が存在しているわけです。アスピリンは心原性血栓症に対しては効果が弱いのでしょうか?昨今の大規模研究の結果では、アスピリンは心原性脳塞栓の予防に関しては効果が弱いというよりも、効果がないというのが真実に近いと考えられています。大規模研究では、アスピリン投与群でもプラセボ群よりも脳梗塞発症率は減じているように見えます。が、これは対象症例が心原性脳塞栓以外の脳梗塞、即ちラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞を発症することもあり、アスピリンはこのような非心原性脳梗塞の部分に対しての予防効果があるため、一見するとアスピリンが心原性脳塞栓の予防においても一定の効果があるようにみえるだけです。最近の知見では、アスピリンは心房細動に起因する心原性脳塞栓症を予防する効果はないと考えるのが妥当なようです。そのため、心房細動に対する最近の治療ガイドラインでは、抗血栓療法の中からアスピリンは削除されて、抗凝固療法のみが推奨されるようになっています。

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てんかん発作をじっくり見られるビデオとは?

2014年9月3日、都内にて開催された、大塚製薬株式会社・ユーシービージャパン株式会社主催のてんかんプレスセミナーにおいて、東北大学大学院 医学系研究科てんかん学分野教授 中里 信和氏が「てんかん『発作』を『見て』学ぶ」と題して講演を行った。100人に1人が罹患するといわれている「てんかん」。しかしその多様性については、医療従事者の認識が浅い現状がある。この現状を改善するために中里氏は「てんかん発作ビデオ集」の制作に携わった。この「てんかん発作ビデオ集」はどのように利用され、どう役立つのだろうか。てんかん発作を見ることで学ぶ、てんかんの多様性について紹介していく。てんかんの発作というと、意識喪失、全身硬直、激しいけいれんといったイメージが強いのではないだろうか。しかし中里氏は「そのイメージは間違いであり、大きな偏見のスタートだ」と語る。なかには、意識を失わない発作、匂い、味を感じるだけの発作、何かが見える、音が聞こえる、皮膚がしびれるといった発作など、実に多くの種類が存在している。つまり5感のすべて、脳で起こるすべての感覚がてんかん発作になりうるのだ。さらに第6感ともいうべき精神症状のてんかん発作も存在する。その代表的なものが「恐怖感の発作」であり、この場合しばしば誤診され精神科の強い薬を処方されてしまうこともある。また、てんかんとわかっていても、種類に応じた正しい薬の選び方、手術の有無、生活指導を選択できていない場合もある。このような現状から、精神科患者の中に多くのてんかん患者が埋もれているのではないかと、てんかん専門医は考えている。てんかん発作はその多様性から、「誤診されても仕方がない病気」(中里氏)であるといえる。そこで用いられるのが「長時間ビデオ脳波モニタリング」という診断方法である。この方法は、患者を脳波測定とビデオモニタリングによって長時間観察し、てんかんの診断の精度を上げるものである。この方法であれば脳波測定で異常があった瞬間の症状を見ることができる。このような自然の発作を「見る」ことがてんかんの確実な診断につながるのだ。現在、日本のてんかん患者を100万人と想定すると、ビデオ脳波モニタリングの受診が推奨される患者は少なくとも30万人いると考えられている。しかし診療報酬点数が低いといった医療経済的理由からその1/100程度しか受けられていないのが実際の状況だ。つまり、回復する可能性のある約30万人が、検査の必要性を十分に理解していない世の中のシステムの影に埋もれているのである。「このように埋もれている患者さんをどうにかして引っ張り込み、もっとビデオ脳波モニタリングをしなければと多くの方に思ってもらいたい」(中里氏)との思いで制作されたのが、この「てんかん発作ビデオ集」である。動画で紹介されている症例は代表的な強直間代発作(大発作)をはじめ、小児欠神発作(小発作)、焦点性運動発作、ミオクロニー発作など種類は多彩で、てんかん発作の9割の症例を網羅するのだという。動画は、短いドラマ仕立てのようになっている。動画が開始すると、画面下側には時間のバーが表示され、時間がバーの赤色部に達すると発作がスタートとなる。バーの上にはテロップが表示され、発作の自覚が始まったことや、どの部位に何が起こっているのかがわかりやすく解説されている。動画イメージ画像(クリックできません) 実際の患者の発作ビデオでは、顔(表情)が見せられない、映像が暗い、また視聴者の精神的負担が大きいといった問題があり、てんかん発作の教育ビデオとしては質が悪かった。しかし今回は役者を起用し医師監修の下、撮影を行うことで、それらの問題を克服した。現在、中里氏は講演会などを通し「てんかん発作ビデオ集」の上映を行い、大きな反響を集めている。今後は、てんかんに対する誤解や偏見が生じさせないため、ビデオ利用については、まずてんかんに対してある程度知識を持つ人が教育の目的で使用することから始めていく予定だ。てんかん発作を「見る」ことができるこのビデオは、てんかんの正しい理解に大きく貢献するだろう。

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『鼻炎合併喘息』 その実態と対策とは

 2014年9月18日(木)、MSD株式会社により、「喘息シーズンに向けた鼻炎合併喘息の実態と対策」をテーマに、都内で予防医療プレスセミナーが開催され、3つの講演が行われた。●患者と医師、アレルギー性鼻炎合併の認識に乖離 はじめに、瀬野 恵修氏(MSD株式会社 マーケティング本部プライマリーケアグループ 呼吸器・アレルギー疾患ブランドリーダー)が「喘息と鼻炎に関する意識調査結果」について報告した。 昨今、アレルギー性鼻炎と喘息の関係について取りざたされ、アレルギー性鼻炎によって、喘息が悪化することが報告されている1)。そこで同社は、喘息の発作原因が増える秋口に先駆けて、喘息患者と医師に対して意識調査を行った。その結果、喘息患者のうち62.5%が、花粉症もしくはアレルギー性鼻炎を合併していることがわかった。 本調査ではさらに、喘息患者の63.7%、医師の72.6%は、アレルギー性鼻炎が喘息の悪化原因であると認識していることから、双方の高い意識が確認できた。しかし、喘息患者の62.5%がアレルギー性鼻炎を合併しているにもかかわらず、主治医がそれを認識している割合は26.2%と乖離がみられた。このことについて、瀬野氏は、今後診療の中で改善していく余地があるのではないか、との見解を示した。●鼻炎の合併により、喘息コントロール不良に 次に、大田 健氏(独立行政法人国立病院機構東京病院 院長)により「わが国における鼻炎合併喘息の実態について」の講演が行われた。 喘息とアレルギー性鼻炎は、下気道と上気道とのつながったパイプの中で起きる。両者は危険因子(アレルゲン)や炎症過程などが共通しており、気道粘膜構造も類似しているなど関連性が強い。大田氏によると、アレルギー性鼻炎の合併により、喘息発症リスクが約3倍高くなるだけでなく2)、喘息発作の発現率も高くなるという3)。さらに、喘息とアレルギー性鼻炎の重症度には相関がみられることも特徴である4)。 このたび、大田氏により、ガイドラインに基づいた質問票を活用した、「喘息における鼻炎の実態」について、初の全国規模調査が行われた。その結果、日本の喘息患者におけるアレルギー性鼻炎合併率は67.3%にも上り、さらに喘息患者がアレルギー性鼻炎を合併すると、喘息コントロール不良となることでQOLが低下することも明らかとなった5)。以上の結果からも、喘息とアレルギー性鼻炎は密接に関係していることがあらためて証明された。したがって、喘息患者では、アレルギー性鼻炎を視野に入れた診察・診断を行い、必要に応じて積極的に治療を行うことが大切であるといえるだろう。●長引く咳はアレルギー性鼻炎の可能性 続いて、田中 裕士氏(NPO法人 札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンター 理事長)により「鼻炎合併喘息患者さんのQOL向上を目指した治療」と題した講演が行われた。 これから秋口にかけては、花粉症がみられるとともに、喘息やアレルギー性鼻炎が悪化しやすい時期だと言われている。花粉症のシーズン中、アレルギー性鼻炎の患者では気道過敏性の亢進がみられ6)、6.4%の患者に高度の、21.6%に軽度の気道過敏性が亢進しているとの報告もある7)。 また、罹病期間が長いほど気道過敏性も亢進することが報告されている7)。田中氏によると、アレルギー性鼻炎を治療せず放置すると、好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる複雑な病態となり、味覚障害や鼻閉といった症状を発現し、気管支喘息、好酸球性中耳炎と経過をたどり、難聴や耳閉感を患うケースもあるという。つまり、アレルギー性鼻炎を放置することは喘息発症の危険因子といえる。 さらに、「咳喘息による咳なのか、アレルギー性鼻炎による咳なのかの鑑別が重要である」と田中氏は言う。咳喘息であれば、ICS/LABAを使用すると、よほどの重症でない限り1週間程度で咳は治まるが、アレルギー性鼻炎による慢性咳嗽の場合は2~3週間かかることがあるためである。 喘息の診断では、発作性の呼吸困難や、喘鳴、スパイロメトリー、他の心肺疾患の除外を行う。一方、アレルギー性鼻炎の診断では、発作性反復性のくしゃみ、鼻閉、皮内テスト、鼻汁中好酸球の存在を確認する。さらに、大田氏監修のSACRA質問票などの補助診断を用いることは、喘息症状とアレルギー性鼻炎症状の状態を把握するうえで有用である。 鑑別後の治療の基本的な考え方は、(1)気管支喘息のみの悪化でアレルギー性鼻炎が安定している場合は、気管支喘息の治療をする、(2)アレルギー性鼻炎のみの悪化で気管支喘息は安定している場合は、アレルギー性鼻炎の治療をする、(3)気管支喘息とアレルギー性鼻炎ともに悪化している場合は、双方を同時に治療する、ということであると田中氏は訴えた。そのうえで、このような治療方針をとることで、過剰な薬剤服用を防止し、早期の症状改善を図ることにつながる、と述べた。 これまでは、アレルギーは各疾患別に複数の科で診察されてきた。しかし、近年、アレルギー全般を診る総合アレルギー科医(Total Allergist)という概念が広がりつつある。これにより、今後さまざまなアレルギーを一人の医師が診断する時代がくるのかもしれない。(ケアネット 佐藤 駿介)【参考文献はこちら】1)Ohta K, et al. Allergy. 2011; 66: 1287-1295.2)Settipane RJ, et al. Allergy Proc. 1994; 15: 21-25.3)Bousquet J, et al. Clin Exp Allergy. 2005; 35: 723-727.4)Togias A. J Allergy Clin Immunol. 2003; 111: 1171-1183.5)Ohta K, et al. Allergy. 2011; 66: 1287-1295.6)Madonini E, et al. J Allergy Clin Immunol. 1987; 79: 358-363.7)Cirillo I, et al. Allergy. 2009; 64: 439-444.

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レスベラトロールがにきび治療のオプションに?

 過酸化ベンゾイルとの比較において、レスベラトロールの持続的な抗菌活性と細胞毒性の減少が認められたことが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEmma J. M. Taylor氏らによる検討の結果、示された。著者は、「今回示された結果は、レスベラトロールが、にきび治療の新たな治療オプションまたは補助療法として可能性があることを示唆するものである」とまとめている。抗酸化物質のレスベラトロール(3,5,4’-trihydroxystilbene)には、抗菌特性を含む多様な生物学的効果が含まれていることが知られている。Dermatology and Therapy誌オンライン版2014年9月17日号の掲載報告。 にきびは毛包脂腺系の疾患で、アクネ桿菌(P. acnes)に対する炎症性宿主免疫反応を特徴とする。 研究グループは、レスベラトロールのにきび治療薬としての可能性を明らかにするため、レスベラトロールもしくは過酸化ベンゾイルで治療したアクネ桿菌について、コロニー形成ユニット(CFU)アッセイと透過型電子顕微鏡を用いた、抗菌効果の評価を行った。また、ヒト健康ボランティアから血液の提供を受け、MTSアッセイで単球とケラチノサイトの細胞毒性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・レスベラトロールは、アクネ桿菌に対して持続的な抗菌活性を示した。一方、にきびの抗菌治療に一般的に用いられる過酸化ベンゾイルの殺菌効果は短期的であった。・レスベラトロールと過酸化ベンゾイルの組み合わせは、初期の抗菌活性が高く、細菌の発育を持続的に抑制した。・レスベラトロールで治療されたアクネ桿菌の電子顕微鏡による観察で、細菌形態の変化(膜の消失、細胞外の線毛構造の崩壊)が確認された。・レスベラトロールの細胞毒性は、過酸化ベンゾイルより少なかった。

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HPVスクリーニングに尿検査が有用/BMJ

 尿検査による子宮頸部ヒトパピローマウイルス(HPV)検出の精度は良好と思われ、初尿サンプルを用いるのがランダム尿や中間尿を用いるよりも正確であることが判明した。英国・ロンドン大学のNeha Pathak氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。細胞診検査による子宮頸部HPV検出は精度の高いスクリーニング法とされるが、侵襲的な検査のため現行スクリーニングプログラムの大きな障壁となっている。今回の結果を踏まえて著者は、「サブグループで子宮頸部細胞診検査が困難であるときは、受け入れ可能な選択肢として尿中HPV検出を検討すべきであろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年9月16日号掲載の報告より。尿中HPV DNA検出と子宮頸部HPV DNA検出の比較試験をメタ解析 研究グループは、2013年12月時点で電子データベースなどを用いて、女性を対象とした尿中HPV DNA検出と子宮頸部HPV DNA検出の精度を比較した試験論文を検索した。特定した論文から、患者特性、試験背景、バイアスリスク、検査精度に関するデータを抽出し、2×2分割表解析と、二変量混合効果モデルのメタ解析を行った。HPV16、18の検出感度は73%、特異度98%、初尿サンプルが有用 検索により発表論文16件を特定し、14試験、1,443例のデータをメタ解析に組み込んだ。 大半の試験で、初尿サンプルを用いたPCR法が採用されていた。 尿検査によるあらゆるHPV検出のプール感度は87%(95%信頼区間[CI]:78~92%)、同特異度は94%(同:82~98%)であった。また高リスクHPV検出のプール感度は77%(同:68~84%)、同特異度は88%(同:58~97%)であった。また、HPV16、18検出のプール感度は73%(同:56~86%)、同特異度は98%(同:91~100%)であった。 メタ回帰分析により、尿サンプルは初尿サンプルを用いたほうが、ランダムまたは中間尿サンプルを用いた場合よりも、感度が増大することが明らかになった(相対的感度:1.2、95%CI:1.06~1.37、p=0.004)。特異度は、尿サンプルによる有意な違いは認められなかった(p=0.46)。 なお、本検討について著者は、尿中HPV検査の方法論が厳格には統一されていないこと、各試験間の精度についての検証が行われていなかったため、限定的なものであることとしている。その上で、HPV検出の代替法としてさらなる検討と尿検査の標準化を行うことが必要であると提言している。

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VTEの8つの治療戦略を比較/JAMA

 急性静脈血栓塞栓症(VTE)の治療戦略について、8つの抗凝固療法の有効性、安全性について検討した結果、低分子量ヘパリン(LMWH)+ビタミンK拮抗薬療法との比較で他の療法に統計的な有意差はなかったが、有効性が最も小さいのは非分画ヘパリン(UFH)+ビタミンK拮抗薬であり、安全性ではリバーロキサバン、アピキサバンの出血リスクが最も低かったことが明らかにされた。カナダ・オタワ大学のLana A. Castellucci氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまで、いずれの治療戦略が最も有効および安全であるかについてのガイダンスは存在していなかった。JAMA誌2014年9月17日号掲載の報告より。VTE再発と重大出血を主要アウトカムにネットワークメタ解析 比較検討されたのは、LMWH+ビタミンK拮抗薬、UFH+ビタミンK拮抗薬、フォンダパリヌクス+ビタミンK拮抗薬、LMWH+ダビガトラン、LMWH+エドキサバン、リバーロキサバン、アピキサバン、LMWH単独の8つの抗凝固療法であった。 2014年2月28日時点でMEDLINE、EMBASEを用いた系統的論文検索とエビデンスベースの論文レビューを実行。VTEの再発率、重大出血を報告していた無作為化試験を試験適格とした。2人のレビュワーがそれぞれ患者数、追跡期間、アウトカムなどの試験データを抽出しネットワークメタ解析にてプールし分析した。 主要臨床および安全性アウトカムは、VTE再発と重大出血とした。統計的有意差はないが、リバーロキサバン、アピキサバンが低リスク 発表論文1,197件が特定され、45試験、4万4,989例のデータが解析に組み込まれた。 LMWH+ビタミンK拮抗薬と比較して、UFH+ビタミンK拮抗薬がVTE再発リスクの増大との関連がみられた(ハザード比[HR]:1.42、95%信用区間[CrI]:1.15~1.79)。治療3ヵ月間のVTE再発率は、LMWH+ビタミンK拮抗薬1.30%(95%CrI:1.02~1.62%)、UFH+ビタミンK拮抗薬群が1.84%(同:1.33~2.51%)であった。 一方、重大出血リスクは、LMWH+ビタミンK拮抗薬よりも、リバーロキサバン(HR:0.55、95%CrI:0.35~0.89)、アピキサバン(同:0.31、0.15~0.62)が低かった。治療3ヵ月間の重大出血発生率は、リバーロキサバン0.49%(95%CrI:0.29~0.85%)、アピキサバン0.28%(同:0.14~0.50%)、LMWH+ビタミンK拮抗薬0.89%(同:0.66~1.16%)であった。

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SIGNIFY試験:心拍数を越えて(解説:香坂 俊 氏)-256

安静時心拍数は、心血管系イベントを予測する独立した因子である  このことは昔から知られている。急性冠症候群患者1)、そして安定狭心症患者で2)、安静時心拍数の増加は心血管系のイベントと関連することが示されている。その背景には、生理学的に心拍数が高いと、心筋酸素消費量の増加と拡張期時相の短縮(冠動脈の血流は拡張期に流れる)により心筋虚血を起こしやすくなることがある。 これまでは、主にβブロッカーが心拍数を下げる目的に使われており、βブロッカーの予後改善効果が、心拍数減少と関連していることも、すでに検証されている。そこに、異なるメカニズムで心拍数を下げる薬剤として登場してきたのがイバブラジンである。 イバブラジンは、If 電流(洞結節のペースメーカー電流)を抑制する薬で、血圧や左室収縮機能に影響を与えずに心拍数だけ落とすことができる。かつてβブロッカーが至適量投与されているにもかかわらず、安静時心拍数が70拍/分以上の「慢性心不全患者」にイバブラジンを投与した無作為化試験SHIFT3)の結果が報告され、イバブラジン投与群において心血管死亡または心不全悪化による入院が少ないことが示された。ほか、イバブラジンは冠動脈造影CT撮影時の安全な心拍数抑制にも期待が持たれている。 この新しい薬を用いて、心拍数を低下させれば【安定狭心症】の予後は改善するか?という臨床的疑問に答える臨床研究が、SIGNIFYであった。患者をプラセボ群とイバブラジン群に無作為に割り付け、目標心拍数である 55~60 拍/分を達成するように用量が調節された。3ヵ月の時点で、患者の平均心拍数は、イバブラジン群で 60.7±9.0 拍/分であったのに対し、プラセボ群では 70.6±10.1 拍/分であった。だが、主要評価項目の発生率に有意差は認めるには至らなかった。 これまでの観察研究では、安定冠動脈疾患において、心拍数が上昇するほど心血管イベント率が上昇する結果が得られているにもかかわらず、イバブラジンによる心拍数の減少が転帰を変えなかったのはなぜであろうか? そもそも、心拍数を上昇させている病態生理学的機序が、心不全患者と安定狭心症患者とでは異なっている。心不全では、神経体液性因子の活性化が、心拍数を増加させ、心室のリモデリングを進行させ、さらなる、神経体液性因子の活性化を招くという悪循環が成立している。一方で、臨床的心不全を伴わない安定冠動脈疾患者では、神経体液性因子の活性化は起こっていない。 危険因子を見つけてくることは、比較的容易である。しかし、それを乗り越えて、患者の予後を改善することは非常に難しい。それは遠い昔のCAST試験の時代からわかっており、「うわべだけ」の治療ではそこに切り込むことはできない。今回は残念ながら新規の介入が「跳ね返される」結果となったが、単なる心拍数抑制を越えた効果を求めてのチャレンジは、今後も続いていくものと思われる。

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英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ

 英国では、1990年代後半にプライマリケアでの抗菌薬の処方が減少しプラトーに達した後、2000年以降再び増加し、耐性菌増加の懸念が出てきている。 英・カーディフ大学のCraig J Currie氏らは、1991~2012年における英国のプライマリケアでの主な4つの感染症における抗菌薬の治療失敗率について検討した。その結果、各感染症に対して初期治療で用いられる抗菌薬の上位10剤のうち、1剤以上が治療失敗と関連していた。また、この期間中に全体的な治療失敗率が12%増加し、その増加のほとんどは、プライマリケアでの抗菌薬処方が再び増加してきた2000年以降であることが報告された。BMJ誌2014年9月23日号に掲載。 著者らは、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用いて、上気道感染症、下気道感染症、皮膚・軟部組織感染症、急性中耳炎に対する抗菌薬単剤での初期治療の失敗率を縦断的に分析した。主な評価項目は、標準化した基準で定義された調整治療失敗率(1991年を100とした指数)とした。 主な結果は以下のとおり。・CPRDの抗菌薬処方箋約5,800万枚から、4つの適応症に対する単剤治療の1,096万7,607エピソードを分析した。それぞれのエピソードは、上気道感染症が423万6,574(38.6%)、下気道感染症が314万8,947(28.7%)、皮膚・軟部組織感染症が256万8,230(23.4%)、急性中耳炎が101万3,856(9.2%)であった。・1991年における全体的な治療失敗率は13.9%であり、上気道感染症12.0%、下気道感染症16.9%、皮膚・軟部組織感染症12.8%、急性中耳炎13.9%であった。・2012年における全体的な治療失敗率は15.4%で、1991年と比較し12%増加していた(1991年を100とした調整値:112、95%CI:112~113)。最も高かったのは下気道感染症であった(同調整値:135、95%CI:134~136)。・最もよく処方される抗菌薬(アモキシシリン、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン)の治療失敗率は20%以下であった。一方、上気道感染症治療におけるトリメトプリム(1991~1995年:29.2% → 2008~2012年:70.1%)、下気道感染症治療におけるシプロフロキサシン(同22.3% → 30.8%)とセファレキシン(同22.0% → 30.8%)は顕著な増加が認められた。・広域スペクトルのペニシリン、マクロライド、フルクロキサシリンの治療失敗率は、ほぼ変化がなかった。

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がん疼痛緩和治療にステロイドがもたらすもの

 オピオイド治療中のがん患者で、その痛みに炎症が重要な役割を占めると考えられる場合、抗炎症効果を期待して、コルチコステロイドを用いることが多い。しかし、そのエビデンスは限られている。そこでノルウェー大学のOrnulf Paulsen氏らは、メチルプレドニゾロンの疼痛緩和効果の評価を行った。試験は、ステロイドの進行がん患者を対象とした疼痛緩和効果の評価としては初となる、多施設無作為二重盲検比較で行われた。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年7月7日号の掲載報告。 対象は、中等度から重度の疼痛でオピオイド治療を受けている18歳以上、直近24時間の平均NRSスコア4点以上のがん患者。登録患者は、メチルプレドニゾロン32mg/日群(以下MP群)とプラセボ群(以下PL群)に無作為に割り付けられ、7日間治療を受けた。 主要評価項目は7日時点の平均疼痛強度(NRSスコア、範囲0~10)。副次的評価項目は鎮痛薬使用量(経口モルヒネ換算)、疲労感および食欲不振 、患者満足度である。 主な結果は以下のとおり。・592例がスクリーニングされ、そのうち50例が無作為に割り付けられ、47例が解析対象となった。・患者の平均年齢は64歳、Karnofsky スコアの平均は66であった。・主ながん種は前立腺がん、肺がん、胃・食道がん、婦人科がんであった。・ベースラインのオピオイド使用量(経口モルヒネ換算)は、MP群269.9mg、PL群は160.4mgと差があった。・7日時点の平均疼痛強度はMP群3.60、PL群3.68と両群間で差は認められなかった(p=0.88)。・ベースラインからのオピオイド使用量の変化はMP群1.19 、PL群 1.20と両群間に差はなかった(p=0.95)。・疲労感はMP群では17ポイント改善、PL群で3ポイント悪化と、MP群で有意に改善した(p=0.003)。・食欲不振はMP群で24ポイント減少、PL群では2ポイント増加 と、MP群で有意に改善した(p=0.003)。・患者の全体的な治療満足度はMP群5.4ポイント、 PL群2.0ポイントと、MP群で有意に良好であった(p=0. 001)。・有害事象は両群間に差は認められなかった。 当試験では、メチルプレドニゾロン32mg/日によるオピオイドへの疼痛緩和追加効果は認められなかった。しかしながら、コルチコステロイド治療を受けた患者は、臨床的に有意な疲労感軽減、食欲不振の改善が認められ、患者満足度も高かった。今回の試験は、両群患者のベースラインにおいて、とくにオピオイド使用量に違いがあり、サンプルサイズも小さいものであった。今後は長期的な試験で臨床的利点を検証すべきであろう。

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統合失調症治療、ドパミンD3の可能性は

 ドパミンD3受容体は、統合失調症の治療ターゲットとして有望であり、同受容体と既存の抗精神病薬の結び付きについて知識を改めることは、新薬およびより選択的な治療薬の開発において重要となる。ブラジルのリオグランデ・ド・スル国立大学のGeancarlo Zanatta氏らは、抗精神病薬ハロペリドールと、ヒトのドパミンD3受容体との結合について、改良版量子力学/分子力学(QM/MM)計算法を用いた検討を行った。本報告は、新たな統合失調症の治療薬発見にインパクトをもたらすQM/MM法という、コンピュータ量子生化学的なデザイン手法を用いた第一段階の検討であった。ACS Chemical Neuroscience誌オンライン版2014年9月18日号の掲載報告。 研究グループは、古典的抗精神病薬であるハロペリドールとの結び付きを、D3受容体アンタゴニストのエチクロプリドのX線分析データを予測テンプレートとして用いたドッキングエッセイにより検討した。その後、古典的計算法およびQM/MM法を用いた評価にて、結合予測の質を改善。シミュレーションのQM部分は、密度汎関数理論(DFT)を用いることで完遂させた。 主な所見は以下のとおり。・ドッキング後、算出されたQM改善の総相互作用エネルギーはEQMDI=-170.1kcal/molで、古典的量子力学での改善(ECLDI=-156.3kcal/mol)、粗ドッキング法(ECRDI=-137.6kcal/mol)よりも大きかった。・QM/MM計算法は、D3受容体とハロペリドールの結合においてAsp110アミノ酸残基が重要な役割を果たすことを明らかにした。次いで、Tyr365、Phe345、Ile183、Phe346、Tyr373、Cys114が明らかになった。・そのうえで、ハロペリドール・ヒドロキシル基の関連が強調され、それらは、Tyr365とThr369の残基と相互に作用し、ドパミン受容体との結び付きを強化することが示された。・最後に、4-clorophenylと4-hydroxypiperidin-1-yl fragments(OHまたはCOOHによりC3HおよびC12Hのhydrogen replacementのような)が、明らかなドパミン拮抗作用プロファイルを有するハロペリドール誘導体と結び付く可能性があることが示唆された。関連医療ニュース ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

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LABA/ICS vs. LABAの長期有効性を観察/JAMA

 66歳以上慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象とした住民ベースの長期コホート試験の結果、とくに喘息を有しており長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の治療を受けていない患者で、長時間作用性β2刺激薬(LABA)+吸入ステロイド薬(ICS)組み合わせ投与はLABA単独投与と比べて、死亡またはCOPD入院の複合アウトカムの発生リスクが有意に低かったことが示された。カナダ・サニーブルックヘルスサイエンスセンターのAndrea S. Gershon氏らが報告した。JAMA誌2014年9月17日号掲載の報告より。66歳以上住民コホートを2.7年、2.5年追跡 LABA/ICS組み合わせ治療の長期ベネフィットを、LABA単独投与と比較した検討は、2003~2011年に、カナダのオンタリオ州で行われた。健康管理データでCOPD症例定義を満たしていた66歳以上の住民を対象とした。傾向スコア適合後、新規投与開始のLABA/ICS治療群8,712例を中央値2.7年、同じく新規LABA単独治療群3,160例を同2.5年、それぞれ追跡した。 主要評価項目は、死亡およびCOPD入院の複合アウトカムだった。LABA/ICS群で死亡・COPD入院リスクが低下 主要アウトカムは、LABA/ICS群5,594例、LABA単独群2,129例について観察された。結果、LABA/ICS群では、死亡3,174例(36.4%)、COPD入院2,420例(27.8%)、LABA単独群では死亡1179 例(37.3%)、COPD入院950例(30.1%)が観察された。 新規LABA/ICS群は新規LABA単独群と比べて、わずかだが死亡・COPD入院のリスクが減少した(5年時点の複合アウトカム差:-3.7%、95%信頼区間[CI]:-5.7~-1.7%、ハザード比[HR]:0.92、95%CI:0.88~0.96)。 両群差は、喘息疾患が併存している患者(同:-6.5%、-10.3~-2.7%、0.84、0.77~0.91)、LAMA治療を受けていない患者で大きかった(同:-8.4%、-11.9~-4.9%、0.79、0.73~0.86)。 著者は、「COPDは管理が可能な呼吸器疾患であるが、世界の主要な死因で3番目に多い。どの処方薬が、COPD患者の健康アウトカム改善に最も効果があるのかを知っておくことが、健康アウトカムを極限まで増すための基本となる」と述べるとともに、今回の所見について無作為化試験で確認すべきであるとまとめている。

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神経根障害への硬膜外ステロイド注射の費用対効果

 腰仙部神経根症(神経根障害)では、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根周辺の炎症に起因した腰痛や坐骨神経痛を伴うが、これら疼痛に対する医療費は国にとって大きな財政的負担となっている。オランダ・フローニンゲン大学のAntje Spijker-Huiges氏らが行った実践的な無作為化単盲検比較試験によれば、神経根障害に対する分節性の硬膜外ステロイド注射は、疼痛や機能障害の改善効果は小さいながら費用対効果に優れることが示された。著者は同治療について「追加の治療選択肢として考慮されてもよいと考えられる」とまとめている。 Spine誌オンライン版2014年9月8日号の掲載報告。 対象は、開業医を受診している急性神経根障害患者63例であった。 介入群には通常治療に分節性の硬膜外ステロイド注射(トリアムシノロン80mg)を1回追加し、対照群は通常治療のみとした。 2、4、6、13、26、52週間後に郵送によるアンケート調査を行い、疼痛、身体障害および費用を調査するとともに費用対効果を解析した。 主な結果は以下のとおり。・平均総費用は介入群4,414ユーロ/5,985ドル(USドル、以下同)、対照群5,121ユーロ/6,943ドルで、両群の差は主に生産性の低下に起因した。・増分費用効果比(ICER)の点推定値は、-730ユーロ/-990ドルであった。・すなわち1年間で患者1人の腰痛が数値的評価スケールで1ポイント減少により、730ユーロまたは990ドルの削減効果が認められた。・ブートストラップ法による95%信頼区間は、-4,476~951ユーロ/-6,068〜1,289ドルであった。・費用対効果受容曲線(CEAC)により、追加費用なしで硬膜外ステロイド注射が費用効果的である確率は80%以上であることが示された。

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FAME2試験:PCIが本当に予後を改善するためにはどのような条件が必要か?(解説:上田 恭敬 氏)-255

臨床的に安定した3枝までの冠動脈疾患(冠動脈造影で確認)で、FFR≦0.80の1つ以上の狭窄を有し、PCIの適応と考えられる患者を対象とし、FFRガイド下PCI+薬物療法を施行する群または薬物療法のみを行う群に無作為に割り付け、2年以内の全死因死亡、非致死的心筋梗塞、緊急血行再建術による入院の複合エンドポイントを主要評価項目として比較した、FAME2試験の結果が報告された。 本試験では第2世代薬剤溶出ステントが使われた。結果は、主要評価項目の発生率がPCI群で8.1%と、薬物療法単独群の19.5%に比べ有意に低かった。だが、PCI群で緊急血行再建術が有意に少なかったものの、全死因死亡および心筋梗塞の発生率には有意な差はなかった。この結果は、ぜひPCIを行うべきと言うには少し弱いエビデンスであろう。 ところが、ランドマーク解析を行ったところ、0~7日の主要評価項目の発生率はむしろPCI群で高い傾向が認められた。しかしながら、8日~2年では主要評価項目のみならず死亡または心筋梗塞の発生率、緊急血行再建術もPCI群で有意に少なかった。 COURAGE試験においてはPCIの有用性が示されなかったのに対して、このFAME2試験では、適応評価にFFRを用いることで、何とかPCIの有用性が示された格好となった。ここで注目したいのが、やはりランドマーク解析である。 PCIの周術期心筋梗塞などの早期イベントがPCI群の足を引っ張る結果となったのは、本試験もCOURAGE試験と同じである。ただし、日本国内で行われた同様の試験であるJ-SAP試験においては、このようなPCI群における早期のイベント発生は明らかでない。 本論文の著者らは、周術期心筋梗塞はあまり長期予後には影響しないとの考えからランドマーク解析を施行しているようであるが、さらには早期イベントの原因としてステント拡張不良などのPCI手技に起因するものが想定される。IVUSをガイドとした日本国内でスタンダードに行われているPCI手技によれば、J-SAP試験の結果のように、その発生頻度は低くなることが期待される。今回のFAME2試験の結果は、この早期イベントを無視すれば、PCIは明らかに予後を改善することを示したことになる。 今後、このような薬物療法に対するPCIの有用性を示す試験を実施する際には、IVUSガイドを全例で導入するなどPCI手技を改善することで、早期イベントの発生を抑制することが、主要エンドポイントにおいて有意差をつけるために重要と思われる。 最後になったが、FFRを用いて心筋虚血の有無をより正確に診断してPCIの適応を決めたことも、PCIの有用性を示すために重要であったことは言うまでもないだろう。FFRでPCIの適応を決めて、IVUSガイドでPCIを行うことによって初めて、PCIの有用性を確実なエビデンスとして示すことができるのではないかと期待している。

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57)インスリン分泌の今を教える方法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、インスリン注射になるのが心配で・・・私の身体の中には、どのくらいインスリンが残っていますか? 医師この間の検査結果から、計算してみましょう。 患者よろしくお願いします。 医師インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能を100%とすると、50%前後で糖尿病と診断されます。 患者半分くらいになると、糖尿病になるということですね。 医師そうですね。そして、だんだんβ細胞機能が低下してきて・・・ 患者低下してきて・・・ 医師15%くらいになると、飲み薬の効きが悪くなり、インスリンの治療が必要になるとのデータがあります。 患者私はどのくらいですか? 医師この間の検査結果から計算すると、だいたい30%くらいですね。 患者そうですか。膵臓に負担をかけないようにしないといけませんね。●ポイントインスリン分泌能とインスリン注射の必要性について、分かり易く説明します●資料HOMA-β=360×空腹時インスリン値 [μU/mL] ÷ (空腹時血糖値 - 63)。空腹時血糖値130mg/dLで信頼性が高いとされる。英国のUKPDSから、50%前後で2型糖尿病と診断され、15%前後で経口薬の効果が薄れ、インスリン治療に変更された。 1) Kendall DM, et al. Am J Med. 2009; 122: s37-50. 2) Reaven GM. Diab Vasc Dis Res. 2009; 6:133-138.

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コレステロール摂取は糖尿病発症と関連するか

 コレステロールや卵の摂取量と2型糖尿病リスクとの関連について、欧米諸国での報告は限定的で一貫性がない。国立国際医療研究センターの黒谷 佳代氏らは、日本人の多目的コホート研究(JPHC study)において、食事性コレステロールと卵摂取と2型糖尿病のリスクの関連をプロスペクティブに検討した。その結果、コレステロールや卵の摂取量と2型糖尿病のリスク増加との関連はみられなかった。ただし閉経後の女性では、コレステロールの摂取量が多いと2型糖尿病のリスクが低かった。The British journal of nutrition誌オンライン版2014年9月18日号に掲載。 対象は、JPHC studyの2回目の調査に参加し、2型糖尿病やその他重篤な疾患の履歴がなかった45~75歳の男性2万7,248人と女性3万6,218人。食事性コレステロールと卵の摂取量は147項目の食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて推定した。5年間に診断されたことを自主報告した2型糖尿病のオッズ比を多重ロジスティック回帰で推定した。 主な結果は以下のとおり。・全部で1,165例が新たに2型糖尿病と診断されたことを報告した。・男性では食事性コレステロールの摂取量は2型糖尿病リスクと関連していなかったが、女性では、統計的に有意ではないが、摂取量の最低四分位に比べて最高四分位で2型糖尿病リスクのオッズが23%低かった(傾向のp=0.08)。・このリスク減少は閉経後の女性でやや多く、コレステロール摂取量の最低四分位と比べた最高四分位の多変量補正後のオッズ比は0.68(95%CI:0.49~0.94、傾向のp=0.04)であった。・卵の摂取量と2型糖尿病リスクとの関連は、男女とも認められなかった。

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新たな生体吸収性ステントは金属ステントと同等/Lancet

 エベロリムス溶出ステントの新たなデバイスである生体吸収性スキャフォールドステントについて、エベロリムス溶出金属製ステントと比較検討した試験ABSORB IIの結果が報告された。英国・インペリアルカレッジのPatrick W Serruys氏らが虚血性心疾患患者501例を対象に行った単盲検多施設無作為化試験の1年時点の評価において、安全性、有効性は同等であった。また事後解析の有害事象報告において狭心症発生の低下が報告され、著者は、さらなる臨床的・生理学的調査の根拠を示す所見が得られたと述べている。エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドステントは、冠動脈疾患治療において急速に使用が広がっているが、従来の金属製ステントと比較検討したデータはこれまで報告されていなかった。Lancet誌オンライン版2014年9月14日号掲載の報告。スキャフォールドステントvs. 金属製ステントを検討 試験は、ヨーロッパとニュージーランドの46施設で、異なる心外膜に心筋虚血と1または2個の新規病変が確認された18~85歳の患者を登録し、エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドステント(Absorb)またはエベロリムス溶出金属製ステント(Xience)で治療を受ける群に2対1の割合で無作為に割り付けて行われた。無作為化では、糖尿病の病状、事前に計画した標的病変数による層別化も行われた。 主要エンドポイントは2つで、血管運動(3年時の狭心症薬投与前後の平均内腔径の変化で評価)と、最小内腔径(狭心症薬投与後)の術後と3年時の差であった。副次エンドポイントは、定量的血管造影と血管エコーで評価した手術成績、複合臨床エンドポイント(死亡・心筋梗塞・冠血行再建術)、デバイスおよび手術の成功、6ヵ月、12ヵ月時点で評価したシアトル狭心症質問票(SAQ)による狭心症評価および運動負荷試験の結果などであった。また事後解析で、有害事象報告に基づく狭心症の累積発生率を評価した。1年時点の累積狭心症発生率、スキャフォールドステント群が有意に低率 2011年11月28日~2013年6月4日に501例が登録・無作為化を受けた(スキャフォールドステント群335例・364病変、金属製ステント群166例・182病変)。手術に関して、デバイス留置後のバルーン拡張の実施は両群で同程度に行われたが、拡張圧、最高圧時のバルーン径は、金属製ステントのほうが有意に大きかった。一方で、留置直後のリコイルは同等であった(両群とも0.19mm、p=0.85)。定量的冠動脈造影で評価した内腔径の増大(1.15mm vs. 1.46mm、p<0.0001)、血管エコーの評価(2.85 mm2vs 3.60mm2、p<0.0001)は、スキャフォールドステント群のほうが有意に低く、結果として内腔径または術後領域が同程度となった。 しかしながら、1年時点の累積狭心症発生率(有害事象報告からの新規または再発例)は、スキャフォールドステント群が有意に低率だった(72例[22%]vs. 50例[30%]、p=0.04)。しかし、最大運動負荷時および狭心症SAQ評価の結果は同等だった。 1年時の複合デバイス関連エンドポイント(心臓死、標的血管の心筋梗塞、臨床的に認められた標的病変の血行再建術)でみた標的病変の治療失敗は、同等だった(16例[5%]vs.5例[3%]、p=0.35)。 発生が確認または疑われたステント血栓症は、スキャフォールドステント群3例(急性1例、亜急性1例、遅発1例)、金属製ステント群では認められなかった。 主要心臓有害事象の発生は、スキャフォールドステント群17例(5%)、金属製ステント群5例(3%)で認められ、心筋梗塞(15例[4%]vs. 2例[1%])が最も多かった。標的病変の血行再建術は4例(1%)vs. 3例(2%)であった。

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生後すぐからのスキンケア、アトピーを予防

 ノルウェー・Oestfold Hospital TrustのB.K. Kvenshagen氏らは、乳児を対象とした検討において、早期のスキンケアが皮膚を正常化して乾燥化を防ぎ、アトピー性皮膚炎の予防につながるかを検討した。結果、定期的なオイル浴を行うことが皮膚の硬化を防ぎ、アトピー性皮膚炎の防止につながる可能性が示唆されたことを報告した。Allergologia et Immunopathologia誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 北方諸国では、小児の約20%でアトピー性皮膚炎が認められ、多くは乳児の初期に発症し、皮膚バリアに障害が生じており、乾燥肌、皮膚の脂質層の破壊などが特徴的にみられるという。 アトピー性皮膚炎治療において、軟膏薬塗布および/またはオイル浴による皮膚バリアの改善は重要な位置を占めるが、それらが皮膚の乾燥やアトピー性皮膚炎の予防に有用なのかは明らかではなかった。研究グループは、それらの早期介入により生後6ヵ月時点までに、皮膚の乾燥やアトピー性皮膚炎発症の低減が可能かどうかを検討するパイロット研究を行った。 被験者は、生後6週の乳児で、アトピー性皮膚炎は認められなかったが皮膚の乾燥がみられた56例を対象とした。 皮膚の質尺度0(正常肌)~4(アトピー性皮膚炎の可能性)を用いて、試験開始時、3、6ヵ月時点で評価を行った。主要アウトカムは、6ヵ月時点の評価とした。 ベビークリニック1施設においてスキンケアを頻繁に行う介入(オイル浴[0.5dL]とフェイシャル・ファット・クリーム塗布)を行い、5施設では経過観察のみを行った。 主な結果は以下のとおり。・介入群(24例)は観察群より、6ヵ月時点で皮膚が正常化した乳児が有意に多く(75%vs.37.5%、p<0.001)、アトピー性皮膚炎の可能性が示唆された割合が低かった(4.0%vs. 19.0%、ns)。・オイル浴は、介入群では定期的に2~4回/週、最大5~7回/週まで行われた。観察群ではオイルは少量で回数も少なかった。・有害事象は報告されなかった。

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長引くせん妄、その関連因子は

 これまで、せん妄回復例については研究されてきたが、持続するせん妄に関連する因子については十分な研究は行われていなかった。スイス・チューリッヒ大学病院のSoenke Boettger氏らは、せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および治療法を比較し、せん妄の持続に関連する因子について検討を行った。その結果、「高齢」「認知症の既往」「脳がん」「がん終末期」「感染症」などの存在がせん妄の持続に関連していることを報告した。Palliative and Supportive Care誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 研究グループは、Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS)を用いてせん妄の回復に関連する因子を、またKarnofsky Performance Status(KPS)を用いて機能改善に関連する因子を明らかにする検討を行った。被験者は、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)の精神科から登録、ベースライン時(T1)、2~3日目(T2)、4~7日目(T3)に、MDASおよびKPSの評価を実施。せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および医学的変数を比較した。 主な結果は以下のとおり。・111例中26例に持続的なせん妄がみられた。患者背景として「高齢」「男性」「認知症併存」の割合が高かった。・せん妄患者のうち、がんと診断された者では、「脳がん」および「終末期」が、せん妄の持続または反応遅延に関連していた。・「消化器がん」については、せん妄回復との関連がみられた。・せん妄の治療において、感染症を有する場合は反応が遅く、通常1週間かかった。・せん妄持続例はベースラインから1週間の重症度がより高かった。・ベースライン時のMDASスコアは、せん妄持続例は20.1、T2およびT3におけるせん妄回復例は17~18.8、治療1週後(T3)のスコアはそれぞれ15.2、4.7~7.4であった。・ 治療1週後、せん妄持続例は意識、認知、臓器、知覚、精神運動行動、睡眠-覚醒サイクルのドメインにおいてより重度の障害がみられ、さらに機能障害も重篤であった。・高齢、認知症の既往、脳がん、がん終末期、感染症は結果に有意差をもたらした。・せん妄の重症度は、せん妄の持続または反応遅延に関連しており、せん妄の経過の延長と難治性を示すとともに、治療1週後の重度の機能障害と関連していた。関連医療ニュース せん妄管理における各抗精神病薬の違いは がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬  担当者へのご意見箱はこちら

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t-PAの有効性と安全性は経過時間、年齢、重症度に影響されるか?(解説:内山 真一郎 氏)-253

アルテプラーゼは急性虚血性脳卒中の治療薬として有効であるが、発症後からの時間が長く経過した患者、高齢の患者、非常に軽症や重症の患者への使用には依然として議論のあるところである。 そこで、アルテプラーゼ投与患者における良好な転帰に及ぼす、これらの因子の影響を評価するため7件のランダム化比較試験における6,756例の患者の個別データをメタ解析した。 その結果、アルテプラーゼは早く治療を開始するほど有効であったが、3時間を過ぎても転帰良好例は増加し、年齢と脳卒中の重症度のいかんにかかわらず治療効果があった。 アルテプラーゼにより7日以内の症候性頭蓋内出血と致死的頭蓋内出血は有意に増加し、治療の遅れ、年齢、重症度には関係なかったが、重症例ではリスクが大きかった。90日後の死亡率が有意に増加することはなく、全体として3~6ヵ月後の要介助になる患者は3時間以内で10%、3~4.5時間で5%減少した。 以上の結果より、アルテプラーゼ療法は脳卒中発症後早いほど効果が期待できるが、3時間以上過ぎた患者、高齢者、重症患者、軽症患者にもリスクを勘案しつつ積極的に試みるべき治療法であることを示唆している。

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