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再発・難治性ホジキンリンパ腫に対するニボルマブの効果/NEJM

 再発・難治性ホジキンリンパ腫に対し、ヒト型抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ、本疾患には国内未承認)を投与することで、その87%に客観的奏効が認められたことが報告された。完全奏効は17%だった。米国・メイヨークリニックのStephen M. Ansell氏らが、23例の患者を対象に行った第I相臨床試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告より。ニボルマブ3mg/kgを隔週投与 検討は、それまでに自家造血幹細胞移植や、ブレンツキシマブ・ベドチンによる治療を受けながら再発した、難治性ホジキンリンパ腫の患者23例を対象に行われた。 被験者のうち、すでに自家造血幹細胞移植を受けた人は78%、ブレンツキシマブ・ベドチンの投与を受けていたのは78%だった。 研究グループは被験者に対し、ヒト型抗PD-1抗体ニボルマブ(3mg/kg)を隔週で投与し、完全奏効、病勢進行または過度中毒作用が認められるまで継続した。24週の無増悪生存率は86% 結果、被験者のうち客観的奏効が認められたのは20例(87%)だった。そのうち完全奏効は17%、部分奏効は70%、残り13%(3例)は病勢安定だった。 24週後の無増悪生存率は86%だった。被験者のうち、試験を継続したのは11例だった。 一方で、薬剤関連有害事象の発生率は78%で、うちグレード3は22%だった。最も多く認められたのは発疹(22%)、血小板減少(17%)だった。 Ansell氏らは、重度の治療後再発・難治性ホジキンリンパ腫の患者に対し、ニボルマブにはかなりの抗腫瘍効果が認められ、安全性についても許容範囲であると述べている。

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皮膚科医が知っておくべき抗凝固薬と抗血小板薬の特性

 米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のDeanna G. Brown氏らは、皮膚科臨床で新規の抗凝固薬や抗血小板薬を服用する患者と遭遇する機会が増えているとして、皮膚科医および皮膚科形成外科医が知っておくべき、従来および新規の抗凝固療法および抗血小板療法についてレビューを行った。Journal of American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年12月6日号の掲載報告。 レビューでは、抗凝固薬や抗血小板薬をサプリメントとともに服用している従来および新規の抗凝固療法および抗血小板療法の、薬物動態、薬効、副作用を概説することを目的とした。 「アスピリン」「ワルファリン」「クロピドグレル」「ダビガトラン」「リバーロキサバン」「アピキサバン」「プラスグレル」「チカグレロル」をキーワードにPubMed検索を行い、経口抗凝固薬または抗血小板薬の周術期投与が強調されている最近のレビュー論文または出版物を選択した。さらに「皮膚科(dermatology)」「皮膚科手術(dermatologic surgery)」「皮膚手術(cutaneous surgery)」と「出血(hemorrhage)(bleeding)」「血栓症(thrombosis)」を関連させた検索も行った。 主な知見は以下のとおり。・アスピリン、クロピドグレル、ワルファリンは、投与量、モニタリング、有効性に関する情報が不十分である。・複数の試験で、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンは、ワルファリンと比較して有効性は優っており、出血リスクは同等あるいは抑制することが示されている。・プラスグレルとチカグレロルは、出血リスクの増大と関係している可能性がある。・多くの店頭で販売されている薬物にも、出血リスクと関連する無視することができない抗凝固特性がある。・本検討は、デイサージャリー患者に対する新規の経口抗凝固薬の効果を評価している出版物がほとんどない点で限定的である。・これらの所見を踏まえて著者は、「新規の抗凝固薬、抗血小板薬は、心血管疾患の治療に革命をもたらしている。これらの薬物使用がより一般的になるにつれて、皮膚科医と皮膚科形成外科医は、日常診療において出血リスクが常に存在することを心に留めておかなければならない」とまとめている。

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統合失調症の心血管リスク、その出現時期は

 統合失調症患者は、心血管疾患の罹患率および死亡率が高いことが確認されている。しかしながら、これまでに、疾患早期におけるリスクの状態やその調整・媒介変数などについては明らかではなかった。米国・ジャッカー・ヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らが、Recovery After an Initial Schizophrenia Episode(RAISE)試験参加者のデータを分析し、初回エピソード統合失調症スペクトラム障害(FES)患者では、心代謝のリスク因子および異常が疾患早期に出現しており、基礎疾患、不健康なライフスタイル、および抗精神病薬治療などが相互に関連していると思われることが明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「疾患早期の介入による予防と、低リスクの薬物療法とルーチンの副作用モニタリング、および禁煙指導といった介入が疾患早期から必要である」とまとめている。JAMA Psychiatry誌2014年12月1日号の掲載報告。 本検討では、FESにおける心代謝リスクを評価し、罹患期間、抗精神病薬治療の期間と種類、性別、人種/民族との関連を、RAISE試験のベースラインデータを用いて調べた。同データは、34の地域にあるメンタルヘルスクリニックから2010年7月22日~2012年7月5日に収集された。ベースライン前の抗精神病薬治療は、コミュニティ担当医や患者(またはその両方)の意思に基づき行われた。主要評価項目は、身体組成、空腹時の脂質値、血糖値およびインスリンパラメータであった。 主な結果は以下のとおり。・被験者は15~40歳、研究で確認されたFES診断を受けており、抗精神病薬による治療開始6ヵ月未満であった。・404例のうち394例の心代謝データが得られた。平均年齢は23.6(SD 5.0)歳、生涯抗精神病薬服用の平均値は47.3(同46.1)日であり、48.3%が肥満または過体重、喫煙者は50.8%、脂質異常症56.5%、高血圧前症39.9%、高血圧10.0%、メタボリックシンドローム13.2%であった。一方で、発現頻度が低かったのは、糖尿病前症(グルコースベースでは4.0%、HbA1cベースでは15.4%)、糖尿病(それぞれ3.0%、2.9%)であった。・全罹病期間と有意な相関を示したのは、高値のBMI、体脂肪量、体脂肪率、腹囲であった(すべてp<0.01)。高値の代謝変数とは関連していなかった(トリグリセライド(TG)/HDL-C比は除外、p=0.04)・一方で、抗精神病薬治療期間と有意な相関を示したのは、高値の非HDL-C値、TG、TG/HDL-C比、低値のHDL-C値および収縮期血圧値であった(すべてp≦0.01)。・多変量解析において、オランザピンは、高値のTG、インスリン、インスリン抵抗性と有意に関連していた。一方で、クエチアピンは、高値のTG/HDL-C比と有意に関連していた(すべてp≦0.02)。関連医療ニュース 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか 最新、抗精神病薬の体重増加リスクランキング 統合失調症患者の突然死、その主な原因は

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SYNAPSE試験:重症の外傷性脳損傷(TBI)に対してプロゲステロンは無効(解説:中川原 譲二 氏)-296

 プロゲステロンについては、これまでに外傷性脳損傷(Traumatic brain injury: TBI)の動物モデルにおける確かな効果と、2件の第II相無作為化比較試験(SYNAPSE TrialとPROTECT III Trial)における臨床的有効性が見いだされていた。SYNAPSE Trial の研究者たちは、大規模で前向きの第III相無作為化比較試験 を実施し、プロゲステロンの有効性と安全性を検討したが、残念ながらプロゲステロンが無効であったことをNEJM誌の12月10日号に報告した。1,195例を無作為化割り付けし、GCSで判定 このTrialは、多国家での偽薬比較試験として行われ、16歳~70歳までの重症TBI例(Glasgow coma scale [GCS]スコア:8点以下[3~15点のスケールで、低い点数は意識レベルの低下を示す]で、少なくとも一側の瞳孔反応がある症例)1,195例が、プロゲステロン群と偽薬群に割り付けられた。投薬は、受傷後8時間以内に開始され、120時間継続された。1次有効エンドポイントは、受傷6ヵ月後のGlasgow Outcome Scale[GOS]スコアで判定された。有効性、安全性ともに有意差なし 共変量調整を行った均整オッズ分析では、偽薬に比較してプロゲステロンの治療効果は認められなかった(オッズ比 0.96、95%CI:0.77~1.18)。GOSでの転帰良好患者(good recoveryとmoderate disability)の比率は、プロゲステロン群で50.4%、偽薬群で50.5%であった。死亡率も両群で同等であった。また、両群間に明らかな安全性の違いは認められなかった。前臨床試験や初期の臨床試験の結果と対照的なデータ 本試験の1次および2次有効性解析は、重症TBI患者におけるプロゲステロンの臨床的有用性を示さなかった。これらのデータは、前臨床試験での確かな結果や第III相試験の実施を勢いづけた初期の臨床試験での結果とは対照的なデータとなった。著者らは、「本試験の否定的結果は、TBIにおける薬剤開発と臨床試験の手順の再考を促すだろう」と述べている。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第15回

第15回:医療通訳士がいると外国人患者に対する医療の質と安全が高まる監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 近年、日本への外国人観光客が増えており、日本政府観光局によると2014年1月から10月までの訪日外客数は前年同期比27%増の1,100万9,000人で過去最高を記録しています1)。また、仕事や留学などで一定期間滞在する外国人も同様に増えており、法務省によると2014年6月末での在留外国人は前年同期比1.8%増の208万6,603人 です2)。そのため医療機関を受診する外国人は今後、都市部を中心に増えていくことが予想されます。しかし、国内では医療現場における通訳を専門とする「医療通訳士」について厚生労働省が作成した「医療通訳育成カリキュラム」はあるものの3)、統一した医療通訳養成課程や国家資格、また通訳登録システム等は存在せず、ボランティアやNGOの活動に頼っているのが現状です4)。また、言語の壁や習慣の違いから生じる医療トラブルも報告されており4)、外国籍の人に対する医療の質と安全、患者満足度を高めるためにも医療通訳について理解を深めたいところです。 以下、American Family Physician 2014年10月1日号5) よりアメリカには2,500万人以上の「英語をうまく話せない」人がおり、これらの人は適切な医療を受けることができず健康状態が悪くなる、または医療現場での患者満足度が低下する等の悪影響を認めている。このような問題に対して医療通訳士を介入させた場合、次のような有益性が報告されている。◆医療通訳士がもたらす有益性 患者医療者間のコミュニケーションエラーを減らす 患者満足度を向上させる 患者と医療者の双方が病状や説明について的確に理解できる 患者が医療を適切に利用できる 医療過誤を減らす 入院期間と30日以内の再入院率を減らす 一方で、医療通訳を専門的にトレーニングされていない者(家族や友人など)が通訳した場合には、次のような問題が報告されている。◆医療通訳士ではない者が通訳した場合の問題 小児は内容を理解できないことがある 家族は個人的な問題を抱えていることがある 医療者が伝えていない事を通訳士が勝手にアドバイスしたり、余計なアドバイスを与えることがある 守秘義務が保証されていない 入院期間の長期化や再入院のリスクが高くなる 通訳者と患者の間で不要な会話が生じて問診に支障が生じることがある 家族や友人に通訳させる場合は、患者のプライベートなことや性的なことについて十分に聞けないことがある 医学用語に不慣れなため誤解や誤訳が生じることがある また、医療通訳士を介入させた場合でも、次のような問題がよくみられるため注意が必要である。 問題:通訳に話しかけてしまう 対応:患者に直接話しかける 問題:通訳者と患者の間で会話や質疑が続いてしまう 対応:一文ごとに通訳してもらい、患者と直接コミュニケーションを図る 問題:複数の難しい問題についての議論に陥ってしまう 対応:要点を3つ以下に絞って話を進める 問題:話が横道に逸れてしまう 対応:一文ごとに通訳してもらう 問題:通訳者の技量不足に影響を受ける 対応:可能な限り有資格者の医療通訳士に依頼する 問題:患者から離れた場所に通訳者が座っている 対応:患者の隣、あるいはすぐ後ろに座ってもらう 問題:通訳者に同意書へ署名してもらう、治療に関わる同意書へ通訳者が署名する 対応:通訳者ではなく患者関係者に同意書へ署名してもらう 問題:家族や友人に通訳してもらう 対応:可能な限り有資格者の医療通訳士に依頼する 問題:通訳者が「彼は~といっている」など三人称を用いて話をしてしまう 対応:通訳者に「私は~です」と一人称を用いて話をしてもらう 以上のことから、英語を十分に話せない外国人患者に対してはコミュニケーションエラーを減らし、臨床経過を改善させ、患者満足度を向上させるために訓練を受けた医療通訳士を介入させる必要がある。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本政府観光局.統計発表 平成26年 訪日外客数・出国日本人数 (2014年11月19日公表) 2) 法務省.在留外国人統計(旧登録外国人統計)2014年6月末 (参照:2014年11月22日) 3) 厚生労働省.医療通訳に関する資料 (参照:2014年11月22日) 4) カレイラ松崎順子・杉山明枝.東京未来大学研究紀要.2012;5:21-29. 5) Juckett G, et al.Am Fam Physician. 2014; 90: 476-480.

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外科手術無作為化試験の2割が早期中断/BMJ

 英国・リーズ大学のStephen J Chapman氏らは、外科手術無作為化試験について早期に中断した試験、および未公表の試験がどれくらい存在するのかを調べた。その結果、早期中断率は21%であり、完了後に結果を公表した試験は66%であったことなどを明らかにした。著者は、外科手術試験は実行に困難が伴い資金もかかるが、今回の調査で資源の浪費の証拠が見つかったとして、リスクを覚悟で協力してくれる患者への倫理的観点からも、試験の効率や透明性を高めるために、研究ガバナンスのフレームワークを変えていく必要があると指摘している。BMJ誌オンライン版2014年12月9日号掲載の報告。ClinicalTrials.govデータベースで登録、公表試験を調査 研究グループは、外科手術無作為化試験の早期中断率と未公表率を調べるため、登録された試験と公表された試験を横断的観察研究にて調べた。ClinicalTrials.govデータベースにて、2008年1月~2009年12月に登録されたインターベンショナルな試験について「手術(surgery)」をキーワードに、非小児科部門の第III~IV相臨床試験を検索した。ピアレビュー誌に発表された試験も系統的に探索した。見つからない場合はClinicalTrials.govデータベースに記録された結果を探索した。 また、中断試験および完了後未公表試験について、その理由が開示されていない場合は、担当研究者に電子メールを送った。5件に1件が中断、完了後も3件に1件が未公表 キーワード検索(手術)で818件の登録試験が見つかった。そのうち適格基準を満たした395件について分析した。 早期に中断となっていた試験は21%(81/395件)で、その理由は「被験者の充足不足(44%、36/81件)」が最も多かった。 一方、完了試験314件(79%)のうち、公表していたのは66%(208/314件)であった。試験完了から発表までの期間中央値は4.9年(範囲:4.0~6.0年)であった。 ピアレビュー誌に発表がなく、ClinicalTrials.govデータベースにおいて結果が見つかった試験は6%(20/314件)存在した。 資金提供と試験中断の有意な関連は認められなかったが(補正後オッズ比[HR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.54~1.55、p=0.735)、資金提供は完了試験の公表率の低さと有意な関連がみられた(同:0.43、0.26~0.72、p=0.001)。 また、試験研究者の電子メールアドレスが見つかった割合は、中断試験群は71.4%(10/14件)、未公表試験群は83%(101/122)であった。しかし実際に連絡が取れて回答が得られたのは、それぞれ43%(6/14件)、20%(25/122件)にとどまった。回答が得られたのは、紙媒体で公表されていた試験11件と、その他で公表されていた5件(うち4件はピアレビュー誌のインデックスにはなし)、未公表試験では9件であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「外科手術無作為化試験は、5件に1件が早期中断になっており、3件に1件は完了後も未公表であった。そして未公表試験の研究者と接触できない頻度が高かった。今回の結果は、研究資源が浪費されている実態を示すものである。臨床データの隠蔽や、リスクを負って治験に参加した患者の協力が無駄になっており、倫理的懸念をもたらすものである」と述べ、「試験の効率性、透明性を高め、こうした懸念を払拭する研究ガバナンスのフレームワークを構築していかなければならない」と提言している。

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再発多発性骨髄腫へのカルフィルゾミブ上乗せ~第III相試験/NEJM

 多発性骨髄腫の再発例の治療において、カルフィルゾミブ(carfilzomib)を標準治療のレナリドミド+デキサメタゾン療法に加えると、無増悪生存期間(PFS)が9ヵ月近く延長することが、米国・メイヨー・クリニックのA Keith Stewart氏らが行ったASPIRE試験で示された。多発性骨髄腫患者の生存率は改善しているが、再発率は依然として高く、新たな治療アプローチが求められている。カルフィルゾミブは、構成型プロテアソームと免疫型プロテアソームに選択的かつ不可逆的に結合するエポキシケトン型プロテアソーム阻害薬であり、これら3剤の併用療法は第I/II相試験でその有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告。上乗せによるPFS改善効果を無作為化試験で評価 ASPIRE試験は、再発多発性骨髄腫に対する標準治療へのカルフィルゾミブの上乗せ効果を評価する非盲検無作為化第III相試験(資金提供:Onyx Pharmaceuticals社)。対象は、1~3レジメンの前治療歴のある多発性骨髄腫患者で、一定の条件を満たせばボルテゾミブ治療歴やレナリドミド+デキサメタゾン療法歴のある患者の参加も許容された。 被験者は、カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を行う群またはレナリドミド+デキサメタゾン療法を施行する群(対照群)に無作為に割り付けられた。治療は、患者の希望による中止、病勢進行または許容されない毒性が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、intention-to-treat解析が行われた。副次的評価項目には全生存期間(OS)、全体の奏効率(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])、奏効期間などが含まれた。PFS中央値:26.3 vs. 17.6ヵ月、OS、奏効率、QOLも良好 2010年7月~2012年3月までに、北米、ヨーロッパ、中東から792例が登録され、カルフィルゾミブ群に396例、対照群にも396例が割り付けられた。全体の年齢中央値は64.0歳、前治療レジメン数中央値は2.0であり、ボルテゾミブ治療歴は65.8%、レナリドミド治療歴は19.8%に認められた。 PFS中央値は、カルフィルゾミブ群が26.3ヵ月であり、対照群の17.6ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.57~0.83、p=0.0001)。事前に規定されたサブグループのすべてで、PFS中央値に関するカルフィルゾミブ群のベネフィットが認められた。 中間解析時の2年OSは、カルフィルゾミブ群が73.3%、対照群は65.0%であり、OS中央値には両群とも到達していなかったが、カルフィルゾミブ群で良好な傾向がみられた(HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.04)。この結果は、事前に規定された中間解析時のOSによる試験中止基準を満たさなかった。 全体の奏効率は、カルフィルゾミブ群が87.1%、対照群は66.7%であり、有意な差が認められた(p<0.001)。CR率はそれぞれ31.8%、9.3%と、カルフィルゾミブ群が有意に優れた(p<0.001)。奏効までの平均期間はそれぞれ1.6ヵ月、2.3ヵ月、奏効期間中央値は28.6ヵ月、21.2ヵ月であった。また、健康関連QOLもカルフィルゾミブ群で有意に改善した(p<0.001)。 カルフィルゾミブ群では、対照群よりも5%以上頻度の高い有害事象として、低カリウム血症、咳嗽、上気道感染症、下痢、発熱、高血圧、血小板減少、鼻咽頭炎、筋攣縮が認められた。Grade 3以上の有害事象の発症率は、カルフィルゾミブ群が83.7%、対照群は80.7%であり、重篤な有害事象の発症率はそれぞれ59.7%、53.7%であった。有害事象による治療中止は15.3%、17.7%に認められた。 とくに注目すべきGrade 3以上の有害事象として、呼吸困難(2.8 vs. 1.8%)、高血圧(4.3 vs. 1.8%)、急性腎不全(3.3 vs. 3.1%)、心不全(3.8 vs. 1.8%)、虚血性心疾患(3.3 vs. 2.1%)がみられた。治療関連死はそれぞれ6例、8例であった(心筋梗塞、心不全、敗血症など)。 著者は、「カルフィルゾミブの追加により病勢進行と死亡のリスクが31%低減し、PFS中央値が8.7ヵ月延長した」とまとめ、「移植を行わない場合のPFS中央値が、これに匹敵するレジメンはほかにない」と指摘している。

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椎間板変性のみで腰痛にはならない!?

 椎間板変性により腰痛が生じるといわれているが、MRI上、椎間板変性はしばしば終板変化やシュモール結節を伴う。和歌山県立医科大学 整形外科の寺口 真年氏、同主任教授の吉田 宗人氏らは、こうした画像所見と腰痛との関連について一般地域住民を対象に調査を行った。結果、椎間板変性のみでは腰痛との関連はないものの、椎間板変性と終板変化の両方が認められる場合は強く関連することを明らかにした。Spine Journal誌オンライン版2014年11月26日号の掲載報告。 研究グループは、Wakayama Spine Studyに参加した一般住民1,011例中、腰痛MRIが撮像可能であった975例(男性324例、女性651例、平均年齢66.4歳[21~97歳])について、画像所見と腰痛との関連を評価した。 T2強調矢状断像にて、Pfirrmann分類のgrade4/5の椎間板変性があり、終板のどちらかの領域に沿った高信号変化を「終板変化あり」、椎体内へ突出する小さな低信号変化を「シュモール結節あり」と定義した。 主な結果は以下のとおり。・各所見の有病率は、椎間板変性のみ30.4%、終板変化のみ0.8%、シュモール結節のみ1.5%、椎間板変性+終板変化26.6%、椎間板変性+シュモール結節12.3%、椎間板変性+終板変化+シュモール結節19.1%であった。・椎間板変性、終板変化、シュモール結節の3つが存在する場合、腰痛と有意に関連していた(OR:2.17、95%CI:1.2~3.9)。L1/2ではOR:6.00(95%CI:1.9~26.6)、L4/5では2.56(同:1.4~4.9)、L5/S1では2.81(同:1.1~2.3)であった。・椎間板変性と終板変化の2つが認められた場合は、以下のように腰痛と有意な関連が認められた。L3/4でOR:2.43(95%CI:1.5~4.0)、L4/5では1.82(同:1.2~2.8)、L5/S1では1.60(同:1.1~2.3)であった。

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冬季うつ病、注意が必要な地域は

 ロシア科学アカデミーウラル支部のMikhail F Borisenkov氏らは、冬の季節性感情障害(SADW、冬季うつ病)と地理座標との関連を検討し、SADWの有無により若者の睡眠特性やクロノタイプ(日周指向性;いわゆる朝型・夜型)について比較を行った。Journal of sleep research誌オンライン版2014年11月28日号の報告。 著者らは、10~20歳の若者3,435人(男性1,517人、女性1,918人)を対象に、Munich クロノタイプ質問票(MCTQ)と季節パターン評価質問票(SPAQ)を用い、自己申告による睡眠特性、クロノタイプ、冬季うつ病について調査する横断的研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象集団におけるSADWの有病率は8.4%、サブSADWは11.8%であった。・若者におけるSADWの予測変数は、女性(OR:1.87、p<0.0001)、より年長(OR:1.09、p<0.001)、北半球のより高緯度地域(OR:1.49、p<0.029)、タイムゾーンのより西側地域(OR:1.61、p<0.001)であった。・SADWでは、睡眠や目覚めが遅い、睡眠潜時が長い、睡眠慣性がより重度、総睡眠時間が短い、睡眠効率が低いことが、男女問わずに観察された。・睡眠特性へのSADWの影響は、学生時代により顕著であった。・睡眠覚醒リズムと重度の社会的時差ぼけ(週末と平日の睡眠相中間点の差)の有意な位相後退は、SADWを有する女性で観察されたが、男性では見られなかった。・SADWの有無は、睡眠特性やクロノタイプに有意差をもたらすことが示された。・居住地の緯度とタイムゾーン内の位置はどちらも、北部に住む若者におけるSADWの有意な予測因子であることが示された。関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき うつ病や不安障害患者は、季節性の症状変化を実感 うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題  担当者へのご意見箱はこちら

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誇大な新聞報道にはご注意を!(解説:折笠 秀樹 氏)-295

 本論文では、科学論文に関する新聞報道(Press Release)462件を対象にして、その報道の影響について調査した。論文が出版されると同時に新聞報道のなされることがある。この新聞報道が誇張過ぎると、それが波及し、他のメディアでも誇大報道がなされる傾向のあることがわかった。この意味で、最初の新聞報道では正確に報道することが大切である。 では、誇大報道にならないためにはどうすればよいだろうか? まず、研究者の倫理観が強く求められるだろう。言い過ぎにならないよう、研究者はブレーキをかけることが求められる。 また、報道する側のジャーナリストも倫理観が強く求められる。ジャーナリストは科学を理解するとともに、その方法論(とりわけ統計学)も理解しておくべきである。言うまでもなく、ジャーナリストは情報を漏らさず、そして正しく報道する義務がある。この正しく報道することがきわめて大切である。まだ動物実験データの段階なのに、あたかも臨床実験が終了したかと思わせるような記事を書くべきではない。また、示唆的レベルのデータと研究者が言っているのに、決着がついたような報道はすべきでない。 米国ではジャーナリスト向けの統計教育がなされているが、日本でもそうした教育を行わなくてはいけないだろう。

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事例33 デブリードマンの査定【斬らレセプト】

解説事例では、K002[1] デブリードマンがC事由(医学的理由による不適当)によりK001[1] 皮膚切開術へと査定になった。算定区分の変更を伴う査定であったためにその理由をみてみた。K002 デブリードマンの留意事項には、「区分番号K013 分層植皮術から区分番号K021-2 粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する」「汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する」とあり、植皮等が前提である場合及び汚染された挫創に対して実施した場合に算定できるとある。レセプトの傷病名には「右足皮下膿瘍」のみしか記載がないので、「植皮術等を前提」または「汚染された挫創」であることが医学的に判断できない。よって、この区分での算定はできない。しかし、麻酔を使用して膿瘍に対する処理が行われたことは認めるとして、病名から判断して妥当と思われる皮膚切開術に査定されたものである。デブリードマンは実施目的によって算定区分が異なる手技である。留意事項を参考に適切な区分で算定されたい。

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アジア系両親の子でピーナッツアレルギーが増加

 オーストラリア生まれの両親から生まれた子供と比べて、アジア生まれの両親から生まれた子供のほうが、ピーナッツアレルギー疾患のリスクが高いという研究報告を、オーストラリア・メルボルン大学のJennifer Koplin氏らが発表した。同現象は、一世代のみにみられ、また他の国からの移民を両親に持つ子供ではみられなかったという。著者は、遺伝子と環境の相互作用によるものではないかと述べ、食物アレルギー予防において湿疹と微生物曝露の役割に注目すべきことが示されたと指摘している。Allergy誌2014年12月号(オンライン版2014年9月29日号)の掲載報告。 オーストラリアの食物アレルギー患者において、アジア系乳児の出現頻度が増しているが、これまで集団レベルでの正式な調査は行われていなかったという。研究グループは、両親が生まれた国によって有病率が異なるとしたら、生活習慣が変わったことに起因している可能性があるとして、(1)両親の生まれた国によるピーナッツアレルギー有病率の違い、(2)その違いに対する環境曝露の寄与を定量化した。 メルボルン住民ベースのHealthNuts studyを行った。5,276例の乳児に皮膚のプリックテストを行い、食物負荷テストで食物感作をスクリーニングした。被験者のうち、535例が両親が東アジア生まれで、574例が英国/欧州の生まれであった。 両親の出生国とその子供のピーナッツアレルギーとの関連を、多変量ロジスティック回帰法を用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・ピーナッツアレルギーは、両親ともオーストラリア生まれの乳児と比べて、両親とも東アジア生まれの乳児でより頻度が高かった(オッズ比[OR]:3.4、95%信頼区間[CI]:2.2~5.1)。一方、両親が英国/欧州生まれの乳児では低かった(同:0.8、0.4~1.5)。・逆に、アジア系両親におけるピーナッツアレルギーの有病率は低かった。・アジア系乳児において湿疹の有病率が高いと、約30%ピーナッツアレルギーが高かった。一方で、ペットとして犬を飼っていると約18%高かった。

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COPDの大うつ病併存 8つの質問で予測可能

 軽度低酸素血症を有するCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者では、COPD Assessment Test(CAT)スコアが大うつ病の予測変数になりうることを、ブラジル・ゴイアス国立大学医学部のJose Laerte Junior氏らが明らかにした。BMC Pulm Med誌オンライン版2014年11月28日号の掲載報告。 うつ病は、COPD患者の併存疾患として一般的であり、COPDの経過に著しい影響を与えていることが知られている。本研究は、CAT(8つの質問項目でCOPDの状態が患者にどのような影響を与えているか把握するためのツール)と、軽度低酸素血症を有する安定期のCOPD外来患者でみられる大うつ病との関連を調べることを目的としている。 大うつ病の患者30例と、うつ病ではない患者30例により、症例対照研究を実施した。大うつ病は、精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)に従って診断された。そして、睡眠パラメーターを調節しながら、考えられるすべての予測変数を、多変量ロジスティック回帰モデルに組み込み、大うつ病と各独立変数との関連を評価した。 研究の結果、CATスコアが20を超える場合、大うつ病と関連していることが明らかになった(OR:7.88、95%CI:1.96~31.7、p=0.004)。 このことから、今後、大うつ病が併存しているかどうかを具体的に評価するツールの1つとして、CATを検討すべきであろうと著者らは述べている。

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聴覚障害と精神疾患リスク、ドパミンとの関連は

 聴覚障害を有する人では精神疾患リスクの増大が観察されている。社会的挫折論(social defeat hypothesis)によれば、長期的に排除されるという経験が、脳内のドパミンシステムの活性や感受性の強化に結び付き、精神疾患リスクを増大するとされている。オランダ・アムステルダム大学のMartin Gevonden氏らは、その関連性を実証するため、重度聴覚障害の若年成人におけるドパミン放出と、前述の社会的挫折論との関連を調べた。JAMA Psychiatry誌2014年12月号の掲載報告。 検討では、重度聴覚障害を有する若年成人が、より強い社会的挫折を感じているかどうか、デキストロアンフェタミンへの反応としてより多くのドパミン放出がみられるか、また、同物質に対して正常聴覚成人よりもより強い主観的反応を示すのかについて調べた。また、ドパミン放出が、社会的排除感を訴えること、およびデキストロアンフェタミンにより誘発された精神疾患と関連しているかについても調べた。対象は、19例の患者と、喫煙・年齢・性別で適合した健常対照19例であった。被験者は、大学病院で硫酸デキストロアンフェタミン(0.3mg/kg)の静脈投与を受け、その前後にSPECT画像検査で評価を受けた。主要評価項目は、ベースラインのD2/3レセプター結合と内因性ドパミンの放出とした。 主な結果は以下のとおり。・患者群のほうが、より多くの社会的挫折感(U=109、z=-2.09、p=0.04)、孤独感(U=87.5、z=-2.72、p<0.001)を報告したが、ベースラインの精神症状に差はみられなかった(U=156.5、z=-0.70、p=0.48)。・ベースラインのD2/3レセプター結合に有意な差はみられなかった。・しかし、年齢(単位:月齢)、喫煙(同年間パック数)を共変数とした反復計測多変量解析の結果、健常群よりも患者群のほうが、アンフェタミンにより誘発された線条体のドパミン放出がより多いことが示された(F1,34=4.55、p=0.04)。・アンフェタミン投与後、患者群は健常群よりも変化が大きかったが、精神症状は増大しなかった。・同様に、社会的排除感の報告と精神症状の増大は、ドパミン放出とは関連していなかった。 結果を踏まえ著者らは、「以上のような所見が、聴覚障害者の社会的排除感におけるドパミン感受性のエビデンスとして示された。さらに、他の排除感を有するグループにおける検討で同様の所見が得られれば、今回の所見は精神障害の基礎を成す機序の理解において、またその予防に重大な意味を持つことになるだろう」とまとめている。関連医療ニュース アリピプラゾールの聴覚認知機能改善に対する影響は 認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か

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本当の「新規の抗凝固療法」?従来のワルファリン、ヘパリンでは影響を受けない血液凝固第XI因子機能低下による「出血しない抗凝固療法」への期待(解説:後藤 信哉 氏)-294

 新薬が開発されると「主作用」が「副作用」より効率的に発現することが期待される。抗凝固薬では「主作用」は心筋梗塞、脳梗塞、心血管死亡などの血栓イベントの低減であり、「副作用」は「重篤な出血イベントの増加」である。 古典的な経静脈的抗凝固薬ヘパリンはトロンビンとXaの、古典的な経口抗凝固薬ワルファリンはビタミンK依存性のトロンビン、第VII、IX、X因子の阻害薬であった。今までは「新薬」と呼ばれても、フォンダパリヌクス、ダビガトラン、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバンのすべてが、古典的なヘパリン、ワルファリンも作用するトロンビン、Xaを標的としていた。血液凝固カスケードにおいてトロンビン、Xaが重要な役割を演じていること、ヘパリン、ワルファリンのいずれもモニタリングによる用量調節が必須であったことから、トロンビン、Xaの阻害薬は古典的抗凝固薬よりも「主作用」の発現が「副作用」に比較して効率的であると言われても信じ難かった。 新薬開発メーカーは各種の工夫をこらして、古典的なヘパリン、ワルファリンに対する有効性または安全性の優位性を示そうと全力を尽くしたが、公開された各種ランダム化比較試験の結果は、新規の抗凝固薬使用時の「副作用」(重篤な出血合併症)の発現リスクが無視し得ないレベルであることを示した。 筆者の友人でもあるBuller 博士らは、古典的な抗凝固薬に影響を受けない第XI因子を標的として興味深い臨床研究成果を発表した。基礎研究としては、本邦からも宮崎大学の浅田教授らが第XI因子の機能阻害による動脈、静脈血栓発症予防の可能性を示唆していた1)2)。しかし、動物モデルにおいて設定された仮説は、ヒトを対象とした臨床試験においてしばしば正しくないことが示されるので、Buller らの今回の論文には大きなインパクトがある。 本研究の対象例は300例と少ない。本試験は薬剤の臨床開発としては安全性と用量設定を主眼とする第II相試験である。並行群間オープンラベル試験であり、エンドポイントも静脈造影による深部静脈血栓の発症を含むソフトエンドポイントである。仮説検証試験としての質は試験のデザインの観点から必ずしも高いとは言えないが、抗トロンビン薬、抗Xa薬にて果たせなかった「出血しない抗凝固療法」への期待の大きさを反映してN Engl J Medに採択となった。実際、本研究の筆頭著者であるBuller 博士は、新規経口抗Xa薬エドキサバンの静脈血栓塞栓症予防効果を検証したHOKUSAI試験のprincipal investigatorでもある。抗Xa薬の限界を実感したゆえに第XI因子阻害に期待したのであろう。 本研究にて使用されたのは「抗XI薬」ではない。血液凝固第XI因子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。血液凝固第XI因子の体内合成を阻害する。第II相試験でもあり、Buller 博士らsteering committeeが「投与量」、「投与時期」を試験期間内に変更している。生真面目なヒトが多い日本では「臨床試験のプロトコールは事前に決定されているべき」と定式に考えるヒトが多いが、欧米で施行される臨床試験では現実的に試験中途で「protocol amendment」を行うことが多いこともこの機会に学んでおこう! 「modify」でも「revise」でもない「amendment」で、現実的に合わないprotocolを「修正」しながらベストの結果を目指す欧米人の現時的対応が、本研究でも用いられている。 症例数は少ないが、膝関節置換術後に静脈造影にて検出される血栓の頻度は多い。本研究でも、標準治療のエノキサパリン群で30%に血栓を認めている。用量依存性にエノキサパリンよりも血栓が少なくなる可能性と重篤な出血イベントは、エノキサパリンよりも少なくなる可能性を示唆した本研究は、血栓症専門家の視点から興味深い。 Last Authorが血栓の大家であるWeitz博士なのでアンチセンスXIの作用機序を示した図1はいかにも真実性がある。しかし、筆者の知る限り、ヒトにおいて第XI因子の血栓と出血に関する関係を示した十分な症例を含むランダム化比較試験は、本試験が最初である。Weitz博士が示すような内因性凝固因子の血栓形成における寄与が構成論的に真実であるか否かの検証は、今後の課題である3)。

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アリスミアのツボ Q18

Q18健康診断で見つかった脚ブロックに対する対応は?紹介されることはあるものの、これだけで心疾患診断の契機になったことは少ないのが実情。自分の経験では・・・最近ではあまり多くはないのですが、かつて健康診断で新たに発見された脚ブロック症例の紹介を受け、その方たちのチェックを行っていたことがありました。右脚ブロックでは心房中隔欠損症が、左脚ブロックでは冠動脈疾患や拡張型心筋症の初期に出会うことがありましたが、これはかなりレアケースだったと言えるでしょう。また、そのような場合の多くは、問診すると何らかの症状があったり、胸部レントゲン写真で軽度の心拡大が認められるなど、pureな脚ブロックだけという症例ではなかった気がします。公衆衛生学的見地ではどうなのでしょう公衆衛生学的な研究もなされており、(1)apparently healthy peopleでの右脚ブロックは、その後の生命予後に影響を与えないこと(2)新しく発見された左脚ブロックは、急性期には死亡率増加に寄与するが(これはおそらく虚血性心疾患や心不全の発症を見ています)、長期的には死亡率増加への寄与は小さいことが報告されています(Cuddy TE,et al. Can J Cardiol. 2006;22:205-211)。調べることは悪いことではない公衆衛生学的な情報はそうであれ、それを知ったうえで個別に基礎心疾患のチェックを行うことは有意義なことだと思います。そのほうが、患者さん(健常者?)にとっても安心できるからです。ただし、右脚ブロックではそもそも何かが見つかるということは滅多にない、左脚ブロックでも、最近初めて見つかったもの、何らかの症状や胸部レントゲンでの心拡大がないものでは、何かが見つかるという可能性はきわめて低いと考えておくべきでしょう。

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日本人統合失調症、暴力行為の危険因子は:千葉大

 統合失調症患者の暴力行為に関連する広範な危険因子について、多くの研究が行われている。しかし、さまざまな社会的・文化的背景に関係する危険因子は不明なままである。千葉大学の今井 淳司氏らは、精神科救急により入院した日本人統合失調症患者における暴力行為に関連する因子を調査し、他の集団研究で見つかった因子との比較を行った。Schizophrenia research誌2014年12月号の報告。統合失調症患者の暴力行為は統合失調症自体の要素と関連 対象は、1986~2005年に暴力行為のため東京の精神科救急により入院した日本人統合失調症患者420例。性別、年齢、入院年でマッチした非暴力的な統合失調症入院患者をコントロール群として比較した。すべての医療記録をレトロスペクティブに検討した。評価のために、評価者間信頼性試験が実施された。暴力に関連する因子を特定するために、条件付きロジスティック回帰分析を用いた。 統合失調症の暴力に関連する因子を特定する試験の主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者の暴力との関連は、著しい興奮症状、事前の暴力、幻聴、体系妄想、話の矛盾、関係妄想、TCO(Threat-control override)症状、他人との生活、罹病期間の長さにおいて認められた。・対照的に、反社会的特徴(たとえば、薬物乱用や反社会的エピソードなど)は、統合失調症患者の重大な暴力関連因子ではなかった。 結果を踏まえ著者らは、「日本人統合失調症患者の暴力行為は、反社会的特徴よりも、統合失調症自体の要素と関連していた。この知見は、他国での結果と異なっており、文化や人種を考慮したコホート研究の必要性を示すものである」とまとめている。

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新規第XI因子阻害薬、TKA後のVTEを予防/NEJM

 第XI因子阻害薬FXI-ASO(ISIS 416858)は、人工膝関節置換術(TKA)後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防に有効で、出血リスクに関しても良好な安全性を有することが、オランダ・アムステルダム大学のHarry R Buller氏らが行ったFXI-ASO TKA試験で示された。TKA後のVTEの予防には従来、外因系凝固因子である第Xa因子を阻害するエノキサパリン(ENO)などが使用されているが、これらの薬剤は有効ではあるものの出血のリスクを伴う。一方、内因系凝固因子である第XI因子を減少させると、出血を起こさずに血栓を抑制することが知られていた。FXI-ASOは、第2世代のアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、肝臓において第XI因子mRNAの発現を特異的に低下させる可能性がある。NEJM誌オンライン版2014年12月7日号掲載の報告。2種の用量と標準治療を無作為化第II相試験で評価 FXI-ASO TKA試験は、TKA後のVTEの予防における2種の用量のFXI-ASOとENOの有効性と安全性を比較する非盲検無作為化第II相試験(資金提供:Isis Pharmaceuticals社)。対象は、待機的初回片側TKAを施行された年齢18~80歳の患者であった。 被験者は、FXI-ASO 200mg/日、同300mg/日を皮下投与する群またはENO 40mg/日を皮下投与する群に無作為に割り付けられた。FXI-ASOの投与は手術の36日前(Day 1)に開始し、第1週目はDay 3、5に、その後は週1回、4週間(Day 8、15、22、29)投与した。手術日のDay 36には術後6時間に投与し、Day 39にも投与した。 有効性の主要評価項目はVTEの発症(静脈造影または症候性のイベントの報告で評価)とし、安全性の主要評価項目は大出血または大出血以外の臨床的に意義のある出血であった。有効性については、非劣性の評価を行い、非劣性が確認された場合は優越性の評価を実施した。200mg群27%、300mg群4%、ENO群30% 2013年7月~2014年3月までに5ヵ国19施設から300例が登録され、FXI-ASO 200mg群に147例(平均年齢63歳、女性82%)、同300mg群に78例(63歳、78%)、ENO群には75例(64歳、83%)が割り付けられた。有効性解析は274例(200mg群:134例、300mg群:71例、ENO群:69例)のper-protocol集団で行われ、安全性解析は293例(144例、77例、72例)で実施された。 Day 36~39のFXI-ASOの平均値(±標準誤差)は、FXI-ASO 200mg群が0.38±0.01U/mL、300mg群が0.20±0.01U/mL、ENO群は0.93±0.02U/mLであった。 per-protocol解析によるVTEの発症率は、FXI-ASO 200mg群が27%(36/134例)、300mg群が4%(3/71例)、ENO群は30%(21/69例)であった。ENO群との比較では、FXI-ASO 200mg群の非劣性および300mg群の優越性(p<0.001)が確認された。 大出血または大出血以外の臨床的に意義のある出血の発症率は、FXI-ASO 200mg群が3%(4/144例)、300mg群が3%(2/77例)、ENO群は8%(6/72例)であり、ENO群との比較で有意な差は認めなかった(それぞれ、p=0.09、p=0.16)。大出血はFXI-ASO 300mg群の1例のみに認められた。また、輸血はそれぞれ38%(55例)、29%(22例)、32%(23例)で行われた。 重篤な有害事象はFXI-ASO 200mg群の3例(一過性脳虚血発作、術後瘢痕部瘻孔形成、結紮部瘻孔形成)、300mg群の1例(人工膝関節周囲感染症)に、恒久的な治療中止の原因となった有害事象はそれぞれ1例(そう痒と既存の動脈性高血圧の増悪)、1例(手術部位の出血)にみられたが、ENO群ではいずれも認めなかった。注射部位関連有害事象(紅斑、疼痛、そう痒、腫脹、血腫)はそれぞれ32例、25例、2例にみられた。 著者は、「これらの知見は、第XI因子の術後VTEへの関与を示すもの」とし、「待機的初回片側TKA施行例における第XI因子の抑制は術後VTEの予防に有効であり、出血リスクに関する安全性も良好である」と結論している。

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