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乾癬治療薬の安全性は生物学的製剤でも変わらない?

 ドイツで実施された中等度~重症乾癬患者の登録試験において、従来の全身治療薬と生物学的製剤では、感染症、心血管系イベント、悪性腫瘍の発生などの安全性に差はみられなかったことが、ドイツ・ハンブルク大学のKristian Reich氏らにより報告された。Archives of Dermatological Research誌オンライン版2015年9月10日号掲載の報告。 本登録試験「PspBest」は、中等症~重症乾癬患者を対象とし、従来の全身治療薬と生物学的製剤について長期の有効性と安全性を調査することを目的として、2008年から251ヵ所の皮膚センターで実施された。 各治療薬の安全性評価にあたっては、重大な感染症、悪性腫瘍、主要有害心血管イベントに焦点が当てられた。2012年6月までに2,444例(女性40%、平均年齢47.3歳[SD 14.1]、平均罹患18.2年[SD 14.7])が登録された。平均PASIスコアは14.7、皮膚科領域に特化したQOL指標 であるDLQIは11.1、平均BMIは28.2であった。 主な結果は以下のとおり。・すべての有害事象の100人年あたりの発現率は、従来の全身治療薬投与群で1.3(SD 0.9)、生物学的製剤群で1.5(SD 1.2)で有意差はみられなかった(p>0.5)。・重大な感染症の発現は、従来の全身治療薬群0.33(95%CI:0.13-0.54)、生物学的製剤群0.65(95%CI:0.35~0.98)であった。・主要な心血管イベントの発現は、従来の全身治療薬群0.56(95%CI:0.29~0.97)、生物学的製剤群0.77(95%CI:0.41~1.31)であった。・非黒色腫皮膚がんを除く悪性腫瘍の発現は、従来の全身治療薬群0.46(95%CI:0.22~0.84)、生物学的製剤群0.49(95%CI:0.21~0.97)であった。・単一の薬剤間で安全性パラメーターに差はみられなかった。

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事例71 通院・在宅精神療法の査定【斬らレセプト】

解説事例では、毎週金曜日に定期的に通院されている患者のI002通院・在宅精神療法が、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)で査定となった。同精神療法は、「精神科を標榜している医療機関で精神科を担当する医師が、一定の治療計画のもとに対人関係の改善、社会適応能力の向上などを図るため、1回5分以上の助言等の働きかけを継続的に行う治療法を実施したときに週1回を限度に算定する」と記載がある。週1回とは、特別な定めがない限り「日曜日から土曜日」までの間に1回と定められている。事例では、気分不良を理由に6月末に定期外の受診がされており、同精神療法が算定されていた。7月3日金曜日にも来院しており、同精神療法が算定されていた。前月以前のレセプトを比較する縦覧点検にて、「週1回の算定要件に合致していない」と判断され、査定となったものである。電子レセプトには項目ごとに日付データを持たせている。月が替わっていても同一週に2回算定の判断ができるようである。レセプトは月単位での請求のため、単独月のレセプト点検では、このような誤りは発見できない。受診時の注意の他に、レセプトチェックシステムの活用も必要であろう。

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軽度うつ病患者の大うつ病予防効果を検証するRCTは実施可能か

 大うつ病の基準に満たない持続性抑うつ症状は、大うつ病に進行するリスクの高い慢性状態を表す。それら抑うつ患者や軽度うつ病に対する、人間中心療法(Person-Centred Counselling)や低強度の認知行動療法といった心理療法のエビデンスは限られており、とくに長期アウトカムは限定的であった。ブラジルのジュイス・デ・フォーラ連邦大学のElizabeth Freire氏らは、大うつ病の基準に満たない抑うつ症状および軽度うつ病患者を対象とした心理療法に関する無作為化対照試験の、実行可能性について検証を行った。BMC Psychiatry誌2015年8月15日号の掲載報告。 パイロット/実行可能性試験であった本検討は、被験者募集登録率、ベースラインから6ヵ月時点でのアドヒアランスと継続(非脱落)率を主要評価項目とした。また重大副次評価項目として、6ヵ月時点でのうつ病回復またはうつ病発症予防とし、これらの評価は被験者の治療状況を盲検化したうえで独立した評価者が構造化臨床面接により行った。5件の一般診療所(GP)で36例の患者が登録され、週1回8週にわたる人間中心療法のセッションを受ける群(各々最大1時間)と、週1回8週にわたる認知行動療法(毎回20~30分間、電話サポートでリソースの活用を促す)のセッションを受ける群に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・GPの患者数からみた被験者登録率は1.8%であった。・両群の介入に関して、患者は平均5.5セッション参加した。・追跡6ヵ月時点の評価に組み込まれた患者は、72.2%であった。・6ヵ月時点で評価が行われた被験者のうち、ベースライン時に軽度うつ病と診断された被験者の71.4%で回復が認められ、ベースライン時に持続性うつ病と診断された被験者のうち66.7%は大うつ病への進行を認めなかった。・6ヵ月時点での回復およびうつ病発症予防、その他のいずれのアウトカムにおいても、治療群間で有意な差は認められなかった。・以上から、被験者登録は実行可能であり、プライマリケア設定で大うつ病の基準に満たない患者および軽度のうつ病患者に対して、人間中心療法と認知行動療法はいずれも提供可能であることが示された。・ただし、GPでの登録には多大な労力を要することも示唆された。・本研究は、短期間の人間中心療法と低強度の認知行動療法は有効であると思われること、その効果については、医療経済面の評価を含む大規模無作為化対照試験で評価すべきであることを示唆するものであった。関連医療ニュース うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project 自殺リスク評価の無作為化試験は実施可能なのか  担当者へのご意見箱はこちら

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2価HPVワクチン、流産リスク増大の根拠なし/BMJ

 2価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの、接種後90日未満の妊娠またはあらゆる時点の妊娠への流産リスクの増大は認められないとの報告が、米国立衛生研究所(NIH)のOrestis A Panagiotou氏らにより発表された。コスタリカ単施設で行われた無作為化二重盲検比較試験の長期フォローアップ観察試験の結果、示された。ただし妊娠13~20週時の流産リスク増大が観察され、著者はこの点を踏まえて、「関連を完全にルールアウトすることはできず、詳細な調査とさらなる検討をすべきであろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年9月7日号掲載の報告。ワクチン接種後妊娠3,394例と非接種妊娠3,227例の流産発生を比較 無作為化試験は2価HPVワクチンの有効性と安全性を評価することを目的に、2004年6月~2005年12月にコスタリカの女性18~25歳7,466例を登録して行われた。被験者は、2価HPVワクチン接種(3,727例)群と対照(A型肝炎ワクチン接種)(3,739例)群に無作為に割り付けられ、4年間の試験を完了。その後、長期観察試験(6年間)に組み込まれた(ワクチン接種群2,792例、対照群2,771例)。 長期観察試験では、対照群にさらにワクチン未接種群2,836例が加えられる一方、対照群の2価HPVワクチン接種のクロスオーバー被験者と非クロスオーバー被験者を分類し、最終的に、2価HPVワクチン接種後妊娠3,394例、同非接種妊娠3,227例(A型肝炎ワクチン接種後妊娠2,507例、ワクチン未接種群妊娠720例)について分析評価を行った。 主要エンドポイントは、2価HPVワクチン接種妊娠 vs.A型肝炎ワクチン接種/ワクチン未接種妊娠で比較した、ワクチン接種後90日未満およびあらゆる時点の妊娠における流産(米国CDC規定の妊娠20週以内の胎児喪失)リスクであった。接種後あらゆる時点の妊娠の流産発生との関連は認められず 2価HPVワクチン接種後妊娠3,394例のうち、90日未満妊娠は381例であった。 流産発生は、接種群451例(13.3%)であり、90日未満妊娠群は50例(13.1%)であった。また、非接種群は414例(12.8%)であった(A型肝炎ワクチン群12.6%、未接種群13.6%)。 非接種群と比較した90日未満妊娠群の流産発生の相対リスクは、1.02(95%信頼区間[CI]:0.78~1.34、片側検定p=0.436)であった。同様の結果は、ワクチン接種時の年齢で補正後(相対リスク:1.15、片側検定p=0.17)、妊娠時年齢で補正後(1.03、p=0.422)、また暦年で補正後(1.06、p=0.358)、および層別化解析において認められた。 2価HPVワクチン接種後あらゆる時点での妊娠では、接種とすべての流産またはサブグループの流産リスク増大との関連は、認められなかったが、妊娠13~20週時の流産リスクについて有意な増大がみられた(相対リスク1.35、95%CI:1.02~1.77、片側検定p=0.017)。 以上を踏まえて著者は、「2価HPVワクチンが、ワクチン接種後90日未満妊娠の流産リスクに影響を及ぼすとのエビデンスはない」とまとめたうえで、「ワクチン接種後あらゆる時点の妊娠群における流産リスク増大の推算は、感度分析の設定による可能性がある。しかし、関連の可能性について完全に除外はできず、さらに詳しく調査をすべきであり、さらなる検討が必要と思われる」と述べている。

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日本アレルギー学会主催「第2回総合アレルギー講習会」のご案内

 日本アレルギー学会は2015年12月12日・13日の2日間、『第2回 総合アレルギー講習会 ~Total Allergistを目指して~』を、パシフィコ横浜にて開催する。本講習会は会員、非会員を問わず、アレルギーについて関心のある医師をはじめ医療関係者の受講を広く歓迎している。 開催概要は以下のとおり。【日時】2015年12月12日(土)、13日(日)【会場】パシフィコ横浜 会議センターアクセス情報はこちら【会長】大田 健氏(独立行政法人国立病院機構東京病院)【定員】2,000名【受講料】20,000円(テキスト代を含む)【対象】会員・非会員を問わず受講可能【講習内容】講義および実習当日のプログラムはこちら【取得単位】アレルギー専門医 認定・更新単位 10単位【受講申し込み】事前参加登録のため、オンライン登録をお願いします。詳細はこちら※当日の参加受付はできません。【その他】託児室(事前申し込み制)関連書籍販売(2店舗開設)「日本アレルギー学会 第2回 総合アレルギー講習会」詳細はこちら(昨年開催した第1回講習会の様子もご覧いただけます。)

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仮説検定としては意味があるが独創的とは言い難い(解説:野間 重孝 氏)-415

 本研究は、急性ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対して、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション施行前にシクロスポリンを静脈内投与することにより、1年時点で評価した有害事象(全死因死亡、初回入院中の心不全の悪化、心不全による再入院、左室拡張末期容積15%以上増加のリモデリング)の発生を軽減することができるという仮説を検定したものである。 本研究に先立ち、著者らは2008年に58例を対象としたパイロットスタディを発表しており、シクロスポリンの前投与により、CK遊出量・トロポニン遊出量の減少、第5病日においてMRI hyperenhancementで計量した心筋梗塞量の減少を報告した1)。 今回の研究は、上記のphase3に当たるものであり、42施設、970例を対象として二重盲検プラセボ対照無作為化試験として実施された。結果は、複合アウトカム発生オッズ比が1.04であり、サブ解析でも優位を示した項目がみられず、仮説は否定された形となった。 この今回の研究における仮説の基礎には、心筋梗塞巣のサイズの決定に、再潅流に伴ういわゆる再潅流障害が重要な役割を果たしており、シクロスポリンはミトコンドリア壊死を防止することにより再潅流障害を軽減することができるのではないかとの予想があった。この点については、若干の解説が必要であろう。 真核生物の細胞内小器官であるミトコンドリアは、ADPの酸化的リン酸化によりATPを産生することを重要な役割としており、構造としては二重の生体膜(内膜と外膜)によって囲まれている。内膜と外膜の接触部位(contact sites)にはPTP(permeability transition pore)と呼ばれる穴構造が存在する。PTPはCaイオンの存在下に開口することが知られており、開口により膜電位が低下すると、まずアポトーシスが発生し、さらに開口して全エネルギーが失われると(complete deenerzation)ミトコンドリアが壊死に陥ることが知られている。心筋再潅流時にはミトコンドリアがCaイオン過負荷状態にあると考えられ、これがミトコンドリアの壊死から細胞全体の壊死へと発展するのではないかと考えられている。 シクロスポリンはPTPの構成物質中のcyclophilin Dとadenine nucleotide translocaseの結合を阻害することにより、PTPの開口を防止することがin vitroで確かめられており、このことからシクロスポリンは心筋再潅流時のCa過負荷から、ミトコンドリアを保護する働きがあるのではないかと考えられたのである。 予想が成立しなかった原因はいくつか考えられるだろう。シクロスポリンの一連の保護仮説の真偽は置いておくとして、まず第1に考えられるのは静脈内投与によっては十分量の薬剤が心筋に到達しなかった可能性である。これは、かなり初歩的な考え方のように思われるかもしれないが、薬剤前投与で現在まではっきり有効であると証明された薬剤がないことからも、静脈内投与の限界が考えられなくてはならないのではないだろうか。 第2に、そもそも大梗塞域の形成に果たす再潅流障害の意味付けを過大評価しているのではないかという疑問である。著者らが対象とした症例はいずれも重症例であったが、その病状形成に再潅流障害が大きく関与していたとどうして証明できるだろうか。単純に虚血域が大きいことだけで十分な危険因子なのである。 第3には、再潅流障害が起こったとして、in vitroの実験とは異なり、PCIにより再潅流している以上、微小血栓を末梢に飛ばすなど化学的以外の物理的な要因も考慮されなければならないことである。また、心筋壊死巣の大きさにはtotal ischemic timeこそが大きな意味を持つと考えられ、12時間以内という縛りでは、十分に速やかに再潅流が得られたとは言い難い点も指摘しておきたい。 急性心筋梗塞に対する治療は、この20年に著しい進歩を遂げたと言ってよい。しかしながら、それはPCI施行可能施設の増多、救急隊員・救命救急医の練度の向上、door to balloon timeの短縮といった社会的、人的な努力によるところが大きい。ステントの進歩や血栓吸引療法の登場など種々の進歩はあったものの、いわゆるパラダイムシフトが起こるには至っていない。本研究も、シクロスポリンというこの分野ではあまり注目されることのない薬剤を使用したこと、ミトコンドリア保護に注目した点は新しいと言えるが、根本的にはほかの薬剤の術前投与研究を踏襲したもので、目新しいとまでは言えない研究と考えられる。

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108)握力をキーワードにサルコペニア対策を指導【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、最近、困っていることがあって……。 医師それは何ですか? 患者手の力が弱くなったのか、ビンのふたが開けにくくって……。 医師確かに、握力が弱るとだんだんビンや缶のふたを開けるのが億劫になりますね。 患者そうなんです。 医師ちょっと握力を測ってみましょうか?(握力計をみせる) 患者はい。……。 医師右が○○㎏、左が○○㎏です。若い頃と比べて、いかがですか。 患者かなり落ちていますね。鍛えないといけませんね。 医師握力は鍛えると、上がっていきますので。チャレンジしてみてください。次回もチェックしますね。 患者はい。わかりました(うれしそうな顔)。●ポイント若い頃の握力と比較することで、体力低下への気づきが生まれます●資料 1) Chen LK, et al. J Am Med Dir Assoc. 2014;15:95-101. 2) Arai H, et al. Geriatr Gerontol Int. 2014;14:1-7.

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てんかん再発リスクと初回発作後消失期間

 近年てんかんの定義は見直され、1回の非誘発性発作が生じ、その後10年間の発作再発率が60%以上の場合とされた。この定義は、4年時点の95%信頼区間(CI)の下限値を用いて予測した、2回目の非誘発性発作後に起こる3回目の再発リスクに基づいたもので、初回発作の高い再発率(発作消失期間の延長に伴い急激に低下)は考慮されていない。オーストラリア・ロイヤル・パース病院のNicholas Lawn氏らは、てんかん初回発作後の発作消失期間が、再発に及ぼす影響について検討した。その結果、発作消失期間が12週以下と短い場合は、てんかんの新定義に該当する患者が認められず、初回発作後の発作消失期間が、再発リスクに関連している可能性を示唆した。Epilepsia誌2015年9月号の掲載報告。 研究グループは、初回発作後の長期アウトカム、発作消失期間が発作再発の可能性に及ぼす影響、てんかん新定義の妥当性を検討した。2000~2011年に病院で確認された1回の非誘発性発作を認めた成人798例について、前向きに解析した。発作再発の可能性を発作消失期間、病因、脳派(EEG)、神経画像所見により解析した。 主な結果は以下のとおり。・10年時点における発作再発の可能性は、EEGあるいは神経画像所見上でてんかん型異常を認める患者の60%以上に認められ、これはてんかんの新定義に見合ったものであった。・しかし、再発リスクは高い時間依存性を示し、発作消失期間が短い(12週以下)場合、てんかんの新定義を満たした患者群はなかった。・2回目の発作を起こした407例のうち、4年時点で3回目の発作を起こす可能性は68%(95%CI:63~73%)、10年時点における可能性は85%(同:79~91%)であった。・発作消失期間が短い場合に、てんかん新定義を満たす患者がいなかったことから、初回発作後の発作消失期間が再発リスクに大きく影響すると考えられた。・データから得た10年時点での3回目発作リスクに基づいて閾値を設定したところ、初回発作を起こした患者の中にてんかん既往例はみられなかった。これらのデータは、初回発作後のてんかんを定義するうえで有用である可能性がある。関連医療ニュース 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加  担当者へのご意見箱はこちら

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たこつぼ心筋症、9割が女性、6割で神経・精神障害/NEJM

 たこつぼ心筋症の患者は、その9割弱が女性で、神経・精神障害の有病率は約6割と急性冠症候群(ACS)に比べ有意に高率であることが明らかになった。スイス・チューリッヒ大学病院のC. Templin氏らが、欧州・米国の協同によるたこつぼ患者レジストリからの患者1,750例と、急性冠症候群のマッチング患者について行った試験の結果、判明した。たこつぼ心筋症の経過やアウトカムについては十分に解明されていなかった。NEJM誌2015年9月3日号掲載の報告より。欧米レジストリ1,750例とACS患者を適合比較 研究グループは、欧州・米国26ヵ所の医療機関コンソーシアム「国際たこつぼレジストリ」から、たこつぼ心筋症の患者と、年齢や性別をマッチングした急性冠症候群患者について比較し、その臨床的特徴やアウトカムを分析した。 たこつぼ心筋症患者1,750例のうち、89.8%が女性で、平均年齢は66.8歳だった。トリガーは身体的ストレス36%、感情的ストレス28% たこつぼ心筋症の要因(トリガー)としては、身体的ストレスが36.0%と、感情的ストレスの27.7%より高率だった。一方、28.5%で明らかなトリガーが認められなかった。 また、たこつぼ心筋症の患者は、神経障害や精神障害の有病率が55.8%と、ACS患者の同25.7%と比べ、有意に高率だった(p<0.001)。さらに、たこつぼ心筋症患者の平均左室駆出率は40.7%(標準偏差:11.2)と、ACS患者の51.5%(同:12.3)に比べ、有意に低率だった(p<0.001)。 ショックや死亡といった重度院内合併症の発生率は、両群で同等だった(p=0.93)。院内合併症の独立予測因子としては、入院時の身体的トリガー、急性神経・精神疾患、トロポニン値上昇、左室駆出率低下が挙げられた。 なお、たこつぼ心筋症患者の長期追跡期間内の、主要有害心・脳血管イベントの発生率は9.9%/患者年であり、全死因死亡率は5.6%/患者年だった。 結果について著者は、「急性心不全症候群の罹患率、死亡率が相当なものであることを示すものだ」と述べている。

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新世代MRA、糖尿病性腎症のアルブミン尿を有意に抑制/JAMA

 ACE阻害薬またはARBを服用中の糖尿病性腎症患者に対する、新世代の非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)finerenoneは、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を用量依存的に抑制することが示された。米国・シカゴ大学医学部のGeorge L. Bakris氏らが、23ヵ国148施設共同で、患者821例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。これまで慢性腎臓病患者において、RA系阻害薬へのステロイド系MRA追加は、アルブミン尿を抑制するが、有害事象リスクが高く活用されていなかった。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。90日後のUACRを比較 研究グループは、23ヵ国(148ヵ所)の医療機関を通じ、高値(UACRが30~300mg/g未満)または非常に高値(同300mg/g以上、本検討では被験者の75%以上)のアルブミン尿を呈し、RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を服用する糖尿病患者821例を対象に、finerenone併用の安全性と有効性を検討した。 研究グループは被験者を無作為に8群に分け、finerenoneを1日1回、1.25mg/日、2.5mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、プラセボをそれぞれ90日間投与した。 主要評価項目は、90日後 vs.ベースラインのUACR比とした。90日UACRは7.5mg群で0.79倍、20mg群で0.62倍に 被験者は、2013年6月~2014年2月の間に集められ、試験は2014年8月に完了した。1,501例がスクリーニングを受け、823例が無作為化を受け、821例が試験薬を服用した(1.25mg/日群96例、2.5mg/日群92例、5mg/日群100例、7.5mg/日群97例、10mg/日群98例、15mg/日群125例、20mg/日群119例、プラセボ94例)。被験者の平均年齢は64.2歳で、78%が男性だった。 結果、finerenoneは、用量依存的にUACRを抑制した。 主要評価項目である、プラセボ補正後のベースラインに対する90日UACR比は、7.5mg群が0.79(90%信頼区間:0.68~0.91、p=0.004)、10mg群が0.76(同:0.65~0.88、p=0.001)、15mg群が0.67(同:0.58~0.77、p<0.001)、20mg群が0.62(同:0.54~0.72、p<0.001)だった。 副次アウトカムの高カリウム血症による服用中止率は、7.5mg群2.1%、15mg群3.2%、20mg群1.7%で認められ、プラセボ群と10mg群では認められなかった。 推算糸球体濾過量(eGFR)の30%以上減少の発生や、有害事象・重度有害事象発生頻度は、プラセボ群とfinerenone群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、その他の有用薬と比較をすべきであろう」とまとめている。

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直腸がん患者の急性放射線障害、SNPで予測可能か

 プラスミノーゲン活性化阻害因子1型(PAI-1)およびプロテアーゼ活性化受容体-1(PAR-1)遺伝子の一塩基多型(SNP)は、骨盤照射治療を受けた直腸がん患者の急性障害と関連性があることを、中国、上海にある復旦大学上海がんセンターのHui Zhang氏らが明らかにした。OncoTargets and Therapy誌2015年8月27日号の掲載報告。 PAI-1およびPAR-1は、腸内微小環境の重要なメディエーターであり、放射線誘発性の急性・慢性障害に関与している。PAI-1およびPAR-1の遺伝子多型が、直腸がん患者の放射線誘発性障害の予測因子であったのかどうかを評価するために、著者らは、骨盤照射治療を受けた直腸がん患者356例をレトロスペクティブに評価し、放射線治療後の急性毒性とPAI-1およびPAR-1の遺伝子多型との関連性を解析した。 皮膚炎、便失禁(肛門毒性)、血液毒性、下痢、嘔吐といった急性有害事象をスコア化し、急性毒性を解析するため、患者をグレード2以上の毒性グループと、グレード0-1の毒性グループに分類した。PAI-1およびPAR-1の6つあるSNPの遺伝子型判定は、Taqmanアッセイにより行った。ロジスティック回帰モデルは、オッズ比と95%信頼区間を評価するために使用された。 主な結果は以下のとおり。・356例中264例(72.5%)がグレード2以上の毒性グループであり、65例(18.3%)は、グレード3以上の毒性に達していた。・354例中69例(19.5%)が下痢、352例中130例(36.9%)が便失禁といったグレード2以上の毒性に至った。・PAI-1におけるrs1050955のGG変形遺伝子型は、下痢や便失禁のリスクと負の関連(p<0.05)がみられたのに対し、PAI-1におけるrs2227631のAGおよびGG遺伝子型は便失禁リスクの増加と関連していた。・PAR-1におけるrs32934のCT遺伝子型は、CC対立遺伝子と比較して、総毒性のリスク増加と関連していた。 著者らは、今後の研究で検証された場合、これらのSNPが直腸がん患者における急性放射線障害を予測するための有用なバイオマーカーとなりうるかもしれない、また、個々に合わせた治療戦略(モニタリング、治療、毒性回避)となるよう放射線治療を受ける前に、重篤な副作用を発症する可能性のある患者を同定するうえで有用かもしれないとまとめている。

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H. pylori 除菌治療のリスク・ベネフィット:システマティックレビューとメタ解析(解説:上村 直実 氏)-414

 ピロリ除菌に対する世界的な標準レジメンである3剤併用治療法(プロトンポンプ阻害薬:PPI+アモキシシリンAMPC+クラリスロマイシンCAM)の除菌成功率が低下する一方、近年、高い除菌率を示すレジメンが数多く報告されている。今回、最も有効性が高く安全な治療レジメンを探索する目的で、世界中から報告されている除菌治療法について、システマティックレビューとネットワークメタ解析により検討した研究論文が、中国から報告された。 Cochrane Library、PubMed、Embaseから入手した、14種類の除菌治療レジメンに関するデータを解析した結果、標準レジメンである3剤併用治療法7日間の除菌率が最も低かった。最も有効であったのは、4剤併用療法(PPI+抗菌薬3剤)で、次いで抗菌薬3剤+プロバイオティクス、レボフロキサシン(LVFX)を用いる3剤併用治療、ハイブリッド療法(PPI+AMPCに続いてPPI+AMPC+CAM+メトロニダゾールMNZを服用する方法)、順次療法(PPI+AMPCを5~7日間、引き続きPPI+CAM+MNZまたはMNZを5~7日間服用)などが除菌成功率が高いレジメンであった。一方、安全性に関しては、LVFXを用いるものと、抗菌薬3剤+プロバイオティクスを用いたレジメンにおいて、ほかのレジメンと比較して有害事象の発生が高率であった。 ピロリ感染に対する除菌治療の有効性・除菌率は、地域の耐性菌率により大きな影響を受けるとともに、除菌判定法の精度によっても大きく左右される。したがって、今回の報告による有効性の高い除菌治療レジメンが万国共通に優れた治療法とは言い難い。わが国の保険診療では、ピロリ感染症に対して保険適用とされているのは、PPI+AMPC+CAMの3剤併用レジメンが1次除菌治療として、CAMをMNZに変更したレジメンが2次治療レジメンとして保険承認されているが、その他のレジメンは未承認で自費診療となっている。なお、最近使用可能となった新たなPPIを用いたレジメンの1次除菌率が、90%以上であると報告されている。

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タバコの「低タール」表示は意味がない

「低タール」タバコのからくり 低タールとされるタバコは、フィルタの横に穴を開けて空気で希釈することで、測定値を下げています。 希釈されても、量は減りません。ウイスキーを水割りにすると薄くなりますが、体内に入るアルコールの量は変わらないのと同じことです。 パッケージに書かれているタール値(1mgなど)は、タバコ煙を機械で測定した値です。人体に入る量ではありません。タール値が低くても体内に入る量は変わらない!【タールの違いの仕組み】高タールタバコ低タールタバコ機械で吸引・測定した値がパッケージに表示されているタール値穴から空気が入り希釈される社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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膵神経内分泌腫瘍〔P-NET : pancreatic neuroendocrine tumor〕

1 疾患概要■ 概念・定義神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor: NET)は、神経内分泌細胞に由来する腫瘍の総称で、膵臓、下垂体、消化管、肺、子宮頸部など全身のさまざまな臓器に発生する。NETは比較的まれで進行も緩徐と考えられているが、基本的に悪性のポテンシャルを有する腫瘍である。ホルモンやアミンの過剰分泌を伴う機能性と非機能性に大別される。■ 疫学1)pNETの発症数欧米では膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor: pNET)は膵腫瘍全体の1~2%、年間有病数は人口10万人あたり1人以下と報告されている。日本における2005年の1年間のpNETの受療者数は約2,845人、人口10万人あたりの有病患者数は約2.23人、新規発症率は人口10万人あたり約1.01人と推定された。発症平均年齢は57.6歳で、60代にピークがあり、全体の15.8%を占めている。一方、2010年1年間のpNETの受療者数は約3,379人、人口10万人あたりの有病患者数は約2.69人、新規発症率は人口10万人あたり約1.27人と推定され、増加傾向がみられた。2)疾患別頻度2005年のわが国の疫学調査では、非機能性pNETが全体の47.4%を占め、機能性は49.4%を占めていた。2010年では、非機能性・機能性pNETの割合はそれぞれ34.5%と65.5%であり、非機能性腫瘍の割合が増えた。インスリノーマ20.9%、ガストリノーマ8.2%、グルカゴノーマ3.2%、ソマトスタチノーマ0.3%であった。機能性・非機能性腫瘍の割合は、欧米の報告に近づいたが、わが国では機能性腫瘍においてインスリノーマが多い傾向にある。■ 病因NETの発生にPI3K (phosphoinositide 3-kinase)-Akt経路が関わっていると考えられている。NETでは家族性発症するものが知られており、多発性内分泌腫瘍症I型(MEN-1)では原因遺伝子が同定され、下垂体腫瘍、副甲状腺腫瘍やpNETを来す。また、結節性硬化症、神経線維症、Von Hippel-Lindau(VHL)病を含む遺伝性腫瘍性疾患ではpNETの発生にmTOR経路が関連していると考えられているが、病因の詳細はいまだ不明である。■ 症状2005年のわが国における全国疫学調査によると、「症状あり」で来院した症例が全体の60%で、最も頻度が高いのは低血糖由来の症状であった。一方、無症状で検診にて偶然発見された症例は全体の24%であった。また、有症状例において何らかの症状が出現してからpNETと診断されるまで、平均約22ヵ月を要している。1)機能性腫瘍の症状機能性pNETは腫瘍が放出するホルモンによる内分泌症状をもたらすが、転移性のものは悪性腫瘍として生命予後に関わるという別の側面も持つ。また、ホルモン分泌も単一ではなく、複数のホルモンを分泌する腫瘍も認められる。主な内分泌症状を表1に示した。画像を拡大する2)非機能性腫瘍の症状非機能性腫瘍では特異的症状を呈さず、腫瘍増大による症状(周囲への圧迫・浸潤)や遠隔転移によって発見されることが多い。初発症状は腹痛、体重減少、食欲低下、嘔気などであるが、いずれも非特異的である。有肝転移例の進行例では、肝機能障害・黄疸が認められる。■ 分類上述したとおり、機能性腫瘍と非機能性腫瘍に大別される。遺伝性疾患(MEN-1、VHL)を合併するものもある。わが国においてはMEN-1合併の頻度は、2010年の調査ではpNET全体で4.3%であった。その中で、ガストリノーマは16.3%と最も高率にMEN-1を合併しており、非機能性pNETでは 4.0%であった。欧米の報告では非機能性pNETのMEN-1合併頻度は約30%であり、日本と大きな差を認めた。pNETの病理組織学的診断は、とくに切除不能腫瘍の治療方針決定に重要な情報となる。WHO 2010年分類を表2に示す。画像を拡大する■ 予後予後に与える因子は複数認められ、遠隔転移(肝転移)の有無、遺伝性疾患の有無、組織学的分類が影響を与える。欧米の報告によると5年生存率は、腫瘍が局所に留まっている症例で71%、局所浸潤が認められる症例で55%、遠隔転移を有する症例で23%とされる。インスリノーマ以外は遠隔転移を有する率が高く、予後不良である。単発例で転移がなく、治癒切除が施行できた症例の予後は良好である。WHO 2010分類でNECと診断された症例は、進行が早く、予後はさらに不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 存在診断症状や画像所見よりpNETが疑われた場合、各種膵ホルモンの基礎値を測定する。MEN-1を合併する頻度が高いことから、初診時に副甲状腺機能亢進症のスクリーニングで血清Ca、P値、intact-PTHを測定する。腫瘍マーカーとして神経内分泌細胞から合成・分泌されるクロモグラニンA(CgA)の有用性が知られているが、わが国ではいまだに保険適用がない。ほかに腫瘍マーカーとしてはNSEも用いられるが感度は低い。症状、検査などからインスリノーマやガストリノーマが疑われた場合、負荷試験(絶食試験、カルチコール負荷試験)を加えることで存在診断を進める。■ 局在診断pNETの多くは、多血性で内部均一な腫瘍であり、典型例では診断は容易であるが、乏血性を示すものや嚢胞変性を伴うような非典型例では、膵がんや嚢胞性膵腫瘍など他の膵腫瘍との鑑別が問題となる。インスリノーマやガストリノーマでは腫瘍径が小さいものも多く、正確な局在診断が重要である。症例に応じて各種modalityを組み合わせて診断する。1)腹部超音波検査内部均一な低エコー腫瘤として描出される。最も低侵襲であり、スクリーニングとして重要である。2)腹部CTダイナミックCTにて動脈相で非常に強く造影される。肝転移やリンパ節転移の検出にも優れており、ステージングの診断の際に必須である。3)腹部MRIT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を呈する。CT同様、造影MRIでは腫瘍濃染を呈する。4)超音波内視鏡(EUS)辺縁整、内部均一な低エコー腫瘤として描出される。膵全体を観察でき、1cm以下の小病変も同定できる。診断率は80~95%程度とCTやMRIより優れており、原発巣の局在診断において非常に有用である。さらにEUS-FNAを併用することで組織診断が可能である。 5)選択的動脈内刺激薬注入法(SASI TEST)〔図1〕機能性腫瘍の局在診断に有用なmodalityである。腹部動脈造影の際に肝静脈内にカテーテルを留置し、膵の各領域を支配する動脈から刺激薬(カルシウム)を注入後、肝静脈血中のインスリン(ガストリン)値を測定し、その上昇から腫瘍の局在を判定する方法である。腫瘍の栄養動脈を同定することで他のmodalityでは描出困難な腫瘍の存在領域診断が可能であり、インスリノーマやガストリノーマの術前検査としてとくに有用である。画像を拡大する6)ソマトスタチンレセプターシンチグラフィー(SRS)pNETではソマトスタチンレセプター(SSTR)、とくにSSTR2が高率に発現している。SSTR2に強い結合能を持つオクトレオチドを用いたソマトスタチンレセプターシンチグラフィー(SRS)が、海外では広く行われており、転移巣を含めた全身検索に有用である。わが国では保険適用がないため、臨床試験として限られた施設でしか施行されていない。早期の国内承認が期待される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 外科的治療pNETの治療法の第1選択は外科治療であり、小さな単発の腫瘍に対しては、腫瘍核出術が標準術式である。多発性腫瘍、膵実質内の腫瘍など核出困難例は膵頭十二指腸切除術、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術、または膵体尾部切除術、膵分節切除術が行われる。肝転移を有する症例でも切除可能なものは積極的に切除する。1)分子標的薬近年、pNETに対するさまざまな分子標的薬を用いた臨床試験が行われてきた。その結果、mTOR阻害薬であるエベロリムス(商品名:アフィニトール)とマルチキナーゼ阻害薬であるスニチニブ(同:スーテント)が進行性pNET (NET G1/G2)に有効であることが示された。米国NCCNガイドラインでも推奨され(図2)、最近わが国でもpNETに対して保険適用が追加承認された(表3)。2015年の膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドラインでは、pNETに対するエベロリムスやスニチニブ療法はグレードBで推奨されているが、さまざまな有害事象に対する注意や対策が必要である(表3)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する2)全身化学療法(殺細胞性抗腫瘍療法)進行性pNETに対する全身化学療法は、わが国においてはいまだコンセンサスがなく、保険適用外のレジメンが多い。(1)NET G1/G2に対する全身化学療法進行性の高分化型pNET(NET G1/G2相当)に対し、欧米で使用されてきた化学療法剤の中ではストレプトゾシン(STZ[同: ザノサー点滴静注])が代表的であるが、わが国ではこれまで製造販売されていなかった。国内でpNETおよび消化管NETに対するSTZの第I/II相試験が多施設共同で行われ、2014年にわが国でも保険適用され、2015年2月より国内販売された。膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドラインでは、pNET に対するSTZ療法はグレードC1と位置づけられている。他ではアルキル化剤であるダカルバジン(同: ダカルバジン)の報告もあるが保険承認されていない。(2)NECに対する全身化学療法pNETのうち低分化型腫瘍(WHO分類2010でNEC)は病理学的に小細胞肺がんに類似しており、進行も非常に速いことから、小細胞肺がんに準じた治療が行われている。肝胆道・膵由来のNECに対するエトポシド/CDDP併用療法の結果をretrospectiveに解析した報告では、奏効率14%、PFS中央値 1.8ヵ月、OS中央値が5.8ヵ月であった。わが国で実施された小細胞肺がんに対する第III相試験においてイリノテカン/CDDP併用療法がエトポシド/CDDP併用療法より効果を示したことを受けて、肺外のNECに対しても期待されている。現在、膵・消化管NECに対し、エトポシド/CDDP併用療法 vs. イリノテカン/CDDP併用療法の国内比較第III相試験が行われている。3)ソマトスタチンアナログ(SA)SAは広範な神経内分泌細胞でのペプチドホルモンの合成・分泌を阻害する作用を有している。オクトレオチド(同:サンドスタチン)を含むSAが持つ機能性NETに対する効果について、症候に対するresponseが平均73%(50~100%)といわれている。2009年に中腸由来の転移性高分化型NET(NET G1/G2相当)に対するオクトレオチドLARの抗腫瘍効果が示された(PROMID study)。pNETに対するSAの抗腫瘍効果に関しては、これまで十分なエビデンスは得られてこなかったが、2014年にランレオチド・オートゲル(同:ソマチュリン)のpNET・消化管NETに対する無増悪生存期間延長効果が報告された(CLARINET study)。それを受けてNCCNガイドラインでは、pNETに対するSAの位置づけが変わったが(図2)、わが国のガイドラインでは抗腫瘍効果を目的とした、NETに対するSAの明確な推奨はない。現在、わが国での承認を目的に、ランレオチド・オートゲルの国内第II相試験が進行中である。■ 肝転移に対する治療pNETの肝転移は疼痛や腫瘍浸潤による症状、もしくは内分泌症状が認められるまで気が付かれないことも多く、肝転移を伴った症例の80~90%は診断時すでに治癒切除が困難である。pNETの肝転移は血流が豊富であり、腫瘍への血流は90%以上肝動脈から供給されていることから、肝細胞がんと同様に動脈塞栓療法(transarterial embolization: TAE)や動脈塞栓化学療法(transarterial chemoembolization: TACE)がpNETの肝転移(とくに高腫瘍量)の局所治療として有用である。TAE後の生存率に関する報告はさまざまで5年生存率が0~71%(中央値50%)、生存期間中央値も20~80ヵ月と幅がある。腫瘍数が限られている症例では、ラジオ波焼灼術(RFA)が有用とする報告もある。わが国の診療ガイドラインでは、肝転移巣に対する局所療法はグレードC1と位置付けされている。4 今後の展望今までpNETに関しての診断・治療に関する明確な指針が、わが国にはなかったが、2013年にweb上でガイドラインが公開され、2015年には「膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン」として発刊された。今後、わが国におけるpNET診療の向上が期待される。pNETに対する薬物療法の臨床試験としては、進行性のG1/G2 pNETを対象に新規SAであるSOM230(パシレオチド)/RAD001(エベロリムス)併用療法とRAD001単独療法を比較したランダム化第II相試験がGlobal治験として行われ、現在解析中である。テモゾロミド(同: テモダール)は、副作用が軽減されたダカルバジンの経口抗がん剤であり、国内では悪性神経膠腫に保険適用を得ている薬剤であるが、進行性NET患者に対する他薬剤との併用療法の臨床試験が行われており、サリドマイド(同: サレド)やカペシタビン(同: ゼローダ)やベバシズマブ(同: アバスチン)などの薬剤との併用療法が期待されている。最近の話題の1つとして、WHO分類でNECに分類される腫瘍の中に、高分化なものと低分化なものが含まれている可能性が指摘されている。高分化NECに対する分子標的薬治療の可能性も提案されているが、今後の検討が待たれる。診断ツールとして有用な、血中クロモグラニンAの測定や、SRSが1日も早くわが国でも保険承認されることを希望するとともに、海外で臨床試験として施行されているPRRT(peptide receptor radionuclide therapy)の国内導入も今後の希望である。5 主たる診療科消化器内科、消化器外科、内分泌内科、内分泌外科、腫瘍内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究情報日本神経内分泌腫瘍研究会(Japan NeuroEndocrine Tumor Society: JNETS)(医療従事者(専門医)向けのまとまった情報)独立行政法人 国立がん研究センター「がん情報サービス」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)NET Links(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)がん情報サイト(Cancer Information Japan)(患者向けの情報)がんを学ぶ(患者向け情報)(患者向けの情報)患者会情報NPOパンキャンジャパン(pNET患者と家族の会)1)日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS) 膵・消化管神経内分泌腫瘍診療ガイドライン作成委員会編.膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン; 2015.2)Ito T, et al. J Gastroenterol. 2010; 45:234-243.3)Yao JC, et al. N Eng J Med. 2012; 364:514-523.4)Raymond E, et al. N Eng J Med. 2011; 364:501-513.公開履歴初回2013年02月28日更新2015年09月18日

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ジェットコースターに乗ったら喀血した女性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第51回

ジェットコースターに乗ったら喀血した女性 足成より使用 私はジェットコースターが苦手です。何がダメって、コワイからです。皆さんあんなモノによく乗れますね……。私は東京ディズニーシーのセンター・オブ・ジ・アースや、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのジュラシック・パーク・ザ・ライドに乗った後に、足がガクガク震えて立てなくなるくらい絶叫マシンが苦手です。両者とも、さほど絶叫しないアトラクションらしいのですが。 友人に絶叫マシンの何が楽しいのかと聞いたところ、「絶叫することが楽しい」とよくわからないことを言っていました。 Yin M, et al. Pulmonary hemorrhage resulting from roller coaster. Am J Emerg Med. 2011;29:355.e3-5. さて、今回の主人公である40歳の中国人女性。彼女は地元の遊園地でジェットコースターに乗ったそうです。2分間のジェットコースターの間、なんだか少しだけ胸がチクチクと痛いことに気付きました。気のせいだろうと思ってそのままジェットコースターは終了。さて次はどのアトラクションへ行こうか、そんなことを考えてジェットコースターを降りた矢先のことでした。ガバッ!な、なんと、150mLの喀血。ひょえー! 一緒にいた人もさぞかし驚いたことでしょうね。彼女はすぐさま病院に搬送され、検査を受けました。酸素投与を行いつつ、血液検査で凝固系に異常がないことも調べられました。胸部高分解能CT(HRCT)では、両肺にスリガラス影が散在していることがわかりました。つまり、出血源は肺であろうと推察されたのです。いろいろ精査しても原因がハッキリせず、ジェットコースターにかかる強い“G”(重力加速度)のせいで毛細血管圧が上昇して、喀血したのではないかと考えられました。絶叫が喀血にどのくらい影響したのかはよくわかりません。彼女はその後、少量ステロイド投与によって全快したそうです。一時的な喀血に対して、ステロイドが本当に必要だったのかどうかはノーコメント。この論文を読んで、ますますジェットコースターには乗るのがコワくなりました。インデックスページへ戻る

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第6回 詰めが大切―英語プレゼンをブラッシュアップする秘訣

スライドを作って準備した気になっていないか?画像を拡大するスライドを作ったらプレゼンの準備が終わったと思う人は多いようだ。しかし、ここからの詰めが、プレゼンの優劣を決める。スライドに関してとくに重要なのが、第2回の「7行ルール」だ。1枚1枚のスライドでイイタイコトを明確にすると、プレゼン全体のイイタイコトが明確になる。プレゼンのベクトルがハッキリしたところで、ベクトルに合わないスライドや内容をどんどん削る。多くの場合、最初に作ったスライドは、イイタイコトを伝えるうえでかなり余分な情報を含んでいる。贅肉を落とし、よりスリムでシンプルな、メッセージが伝わりやすいプレゼンに進化させることができるはずだ。 英語プレゼンでとくに重要―スクリプトとの「すり合わせ」作業英語プレゼンではスクリプト(台本)を準備するのが良いだろう。ここで、一通り台本を書くだけでなく、そこからどれだけスライドとの「すり合わせ」ができるかが勝負だ。「すり合わせ」とは、台本の文章を、スライドに合わせてしゃべりやすいように書き換える、または、しゃべりに合うようスライドを修正する作業のことだ。台本に関しては、受動態より能動態、1文を短くする、冗長な修飾語を減らす、といった工夫が生き生きしたしゃべりにつながる(下図)。自分が発音しにくい単語や使い慣れない単語を、使いやすい単語に置き換えるのも、しゃべりをスムーズにするのに重要だ。それぞれの単語の発音やアクセントにも注意を払い、自信がなければgoogleなどで調べよう。専門用語の発音もインターネットで簡単に調べられる。画像を拡大するスライドのほうは、スライドの内容の見直しはもとより、しゃべりに合わせて有効にアニメーション機能を入れることで、限られた枚数のスライドを有効に使うことができる。こうした作業を徹底的に繰り返し、最後は台本を使わなくても時間内にプレゼンできるくらいを目指したい。予演会で人に見てもらったり、自分自身のプレゼンを録画・録音して反省したりするのも有効だ。次回は、日本人にとって英語プレゼン最大の難関、質疑応答のサバイバル術です。講師紹介

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なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか

 うつ病およびうつ症状は高齢者に高頻度に認められるが、潜在的に可逆的である。うつ病エピソードの治療における主な目標は完全回復である。高齢期のうつ病(DLL)患者を対象とした観察研究では、反応および寛解という観点において、臨床試験に比べ予後不良であることが示されているが、DLLの経過に関する観察研究はほとんどなかった。ノルウェー・Innlandet Hospital TrustのTom Borza氏らは、DLL患者を対象とした観察研究を行い、寛解または症状の改善に関する治療経過について検討した。その結果、うつ病エピソードの既往、健康状態不良、認知症の併存などが、寛解率の低さや症状改善が小さいことと関連していることを明らかにした。結果を踏まえて著者らは、「臨床医が治療の評価を行う際は、これらの因子にとくに注意を払うべきである」と述べている。BMC Psychiatry誌2015年8月5日号の掲載報告。 研究グループは、モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)を用いて評価した反応、寛解、症状特異的な変化という観点からDLLの経過を検討し、反応と寛解に関連する臨床的変数を探索した。ノルウェーの専門医療サービスの高齢者精神科でうつ病治療を勧められた60歳以上の患者を対象とし、多施設前向き観察研究を行った。入院時から退院時までMADRSを用いて評価。エフェクトサイズ(ES)を算出し、治療期間中にMADRSのどの症状変化が最も大きいかを判定した。MADRSスコア(連続変数)の変化および寛解・反応(二値変数)の予測因子を評価するため、施設内のクラスター効果を調整した回帰モデルを推定した。 主な結果は以下のとおり。・入院期間中のMADRSは、平均値68、中央値53、最小値16、最大値301であった。・患者145例のうち、99例(68.3%)が治療に対し反応を示した(MADRSスコア50%以上の改善)。・74例(51.0%)に寛解(退院時のMADRSスコア9以下)が認められた。・治療期間中、MADRSの項目のうち「自己報告による悲しみ(ES=0.88)」「倦怠感(ES=0.80)」が最大の改善幅を示した。「集中困難(ES=0.50)」の改善幅が最小であった。・認知症の診断は、治療期間中の低い寛解率、MADRSスコアの改善が小さいことと関連していた。・健康状態不良は、低い反応率と関連した。・うつ病エピソードの既往は、低い寛解率と関連していた。関連医療ニュース 注意が必要、高齢者への抗コリン作用 抗精神病薬の治療域、若年者と高齢者の差はどの程度か SPECT画像診断で大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測:大分大  担当者へのご意見箱はこちら

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クローン病への早期複合免疫療法は有用か/Lancet

 クローン病の薬物治療について、早期の抗TNF受容体拮抗薬および代謝拮抗薬による複合免疫療法(ECI)は、従来療法(症状や重症度に合わせて経時的に投与)と比べて、寛解維持などの症状コントロールについて有意な効果は示されなかった。しかし、重大有害アウトカムのリスクを有意に低下することが示された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のReena Khanna氏らが、非盲検クラスター無作為化試験REACTの結果、報告した。著者は、「後者の所見はさらなる試験の検証仮説となりうるものである」と述べ、「ECIは、重篤な薬物関連有害事象や死亡のリスク増大とは関連していなかった」と強調し本報告をまとめている。Lancet誌オンライン版2015年9月2日号掲載の報告より。クラスター無作為化試験で、12ヵ月時点のステロイド未治療寛解率を評価 クローン病の薬物治療は、症状や炎症の程度によって、ステロイド薬、代謝拮抗薬、抗TNF-α受容体拮抗薬と段階的に使用していくのが特色である。一方で先行研究において、すでにECIの未治療患者に対する優越性などが報告されているが、感染症や、多剤レジメンの複雑さ、コストや地域医療への普及などへの懸念から、なお従来療法が標準療法とされている。これらの現状を踏まえて研究グループは今回、地域医療をベースにECIの有効性、安全性を検討するREACT試験(Randomised Evaluation of an Algorithm for Crohn's Treatment)を行った。 試験への全面的な協力に同意しクローン病患者60例のデータを提供することに応じた、ベルギーとカナダにある消化器診療所を選択し、無作為にECI群と従来療法群に割り付けた。割り付けはコンピュータで、地域性と診療所サイズを最小化して行われた。 各診療所では、18歳以上、クローン病、英語、フランス語もしくはドイツを話し、電話連絡が可能であり、インフォームド・コンセントの書面提供が可能であった最大60例の連続成人患者について2年間フォローアップを行った。 主要アウトカムは、12ヵ月時点で、診療所レベルで評価したステロイド未治療で寛解を維持(Harvey-Bradshaw Index[HBI]スコア4以下)していた患者の割合とした。寛解率に有意差はないが、重大有害アウトカムが有意に減少 試験は、2010年3月15日~2013年10月1日に行われた。60診療所がスクリーニングを受け、41診療所がECI群(22ヵ所)と従来治療群(19ヵ所)に無作為に割り付けられたが、2診療所(各群1ヵ所)が連続患者の情報提供ができない、診療所が閉鎖などを理由に中途で脱落。intention-to-treat解析は39診療所、1,982例を包含して行われた。 12ヵ月間のフォローアップ完了者は、ECI群921/1,084例(85%)、従来療法群806/898例(90%)であった。 12ヵ月時点の診療所レベル分析での寛解率は、ECI群66.0%(SD 14.0%) vs.従来療法群61.9%(同16.9%)で、同等であった(補正後差:2.5%、95%信頼区間[CI]:-5.2%~10.2%、p=0.5169)。 24ヵ月時点の患者レベル分析における重大有害アウトカム(外科的手術、入院、重篤な疾患関連合併症の複合)の発生率は、ECI群が有意に低かった(27.7% vs. 35.1%、絶対差[AD]:7.3%、ハザード比[HR]:0.73、95%CI:0.62~0.86、p=0.0003)。重篤な薬物関連有害事象の発生に差はみられなかった(1%[10/1,084例] vs.1%[10/898例])。

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心不全患者へのASV陽圧換気療法は死亡を増大/NEJM

 左室駆出率が低下し、多くが中枢性睡眠時無呼吸症候群を有する心不全患者を対象とした無作為化試験において、Adaptive servo-ventilation(ASV)陽圧換気療法の死亡や予後不良改善の有意な効果は認められず、同治療群の全死因死亡および心血管系による死亡の増大がみられたことが報告された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMartin R. Cowie氏らが、1,325例を対象とした試験の結果、明らかにした。心不全患者において、中枢性睡眠時無呼吸症候群は予後不良や死亡との関連があることが知られており、ASV陽圧換気療法は、非侵襲的な睡眠時無呼吸症候群の治療法であり、心不全患者に対する有効性が期待されていた。NEJM誌オンライン版2015年9月1日号掲載の報告。ASV陽圧換気療法 vs.薬物療法の無作為化試験 試験は、左室駆出率45%以下、主に中枢性睡眠時無呼吸症候群(無呼吸低呼吸指数[AHI]15回/時以上で中枢性無呼吸低呼吸50%超、中枢性AHI 10回/時以上)を有する患者を対象に行われた。被験者は、ガイドラインに基づいたASV陽圧換気療法群もしくは薬物治療単独(対照)群に無作為に割り付けられ追跡を受けた。 主要エンドポイントは、時間イベント分析で評価した初回イベントで、全死因死亡、心血管系への救命介入(心臓移植、補助人工心臓の植込み、心停止後の蘇生、至適救命ショック)、または心不全悪化による予定外の入院とした。12ヵ月時点、平均AHIは6.6回/時、全死因死亡1.28倍、心血管系による死亡1.34倍 2008年2月~2013年5月に91施設で、合計1,325例の被験者が登録されintention-to-treatに包含された。ASV群に666例、対照群に659例が割り付けられた。両群被験者の特性は類似しており、年齢はASV群69.6歳、対照群69.3歳、男性が89.9%、90.9%、左室駆出率は32.2%、32.5%などであった。追跡期間中央値は31ヵ月であった。 結果、12ヵ月時点の評価において、ASV群の平均AHIは6.6回/時であった。 主要エンドポイントの発生率は、ASV群54.1%、対照群50.8%であり、ハザード比は1.13(95%信頼区間[CI]:0.97~1.31、p=0.10)であった。 また、全死因死亡および心血管系による死亡が、ASV群で有意に高率であった。ハザード比は、全死因死亡が1.28(95%CI:1.06~1.55、p=0.01)、心血管系による死亡1.34(1.09~1.65、p=0.006)であった。

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インスリンは「最後の切り札」ではない

 9月10日、都内においてサノフィ株式会社は、持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタスXR注ソロスター」(9月7日発売)のプレスセミナーを開催した。 セミナーでは、河盛 隆造氏(順天堂大学大学院医学研究科 スポートロジーセンター センター長)が、「私のインスリン物語」と題して、現在の糖尿病治療におけるインスリンの使用状況と今後の展望についてレクチャーを行った。インスリンは世界を変えた はじめに河盛氏は、「1921年のインスリン発見は、世界を変えた発見である」として、インスリン発見とその後の製剤開発の道程をたどり、糖尿病治療の歴史を振り返った。 健康な人では、体内に取り込んだブドウ糖をうまく利用できるよう、インスリンはグルカゴン分泌と調整して働いている。そのため、血糖値はほぼ一定であり、急激な変動はない。しかし、このバランスが崩れた状態が糖尿病であり、いかにインスリン分泌を高め、膵臓の働きを活性化させ、ブドウ糖を全身で利用できるようにするかが糖尿病の治療となる。 2型糖尿病の薬物療法は、足らないインスリン分泌を、足らない時間帯に、足らない量を十分に供給し、さらに少ない内因性分泌インスリンを有効利用すべく、全身細胞でのインスリンの働きを高めることにある。 また、現在わが国では約140万人がインスリン治療を行っているが、日本糖尿病学会が定めた血糖コントロールの目標値HbA1c 7.0%未満を達成できているのは、うち約20%である。その原因として、現在インスリンが糖尿病治療の切り札として使用されていることが挙げられ、内因性インスリンが回復可能な状態での治療期を逃しているが故に、本来のインスリンの効果がうまく発揮されていないのではないかとの示唆を投げかけた。 そのうえで自験例として、他疾患で入院してきた2型糖尿病の患者の例を挙げた。本症例では、緻密なインスリン療法により正常血糖応答を維持したところ、内因性インスリン分泌が回復した。そのほか、退院後、わずかな経口糖尿病薬で、良好な血糖値のコントロールができるようになったケースも多くみられるという。それに加えて、血糖のコントロールが良くなると、他の疾患の予後も良くなるとの知見を語った。切り札「インスリン」の早期活用 糖尿病は徐々に進行する疾病であり、悠長に構えてはいられない。膵β細胞機能の維持、回復のためにインクレチン関連薬やDPP-4阻害薬などさまざまな経口治療薬が注目されている。しかし、膵β細胞機能の維持、回復で実績があるのはインスリンであり、早期使用による高血糖毒性の除去が望まれる。 そのため、軽度のインスリンの働きの低下と食後過血糖を放置するべきではなく、発症直後からインスリンの使用も考慮に入れて、治療戦略を練ることが重要となる。 確かにインスリン使用には、低血糖リスク、体重増加、注射薬への患者の心理的抵抗、アドヒアランスの問題など越えるべきハードルがある。しかし、近年のインスリンは低血糖を起こしにくいこと、体重増加は食事療法との併用で解決できること、インスリンデバイスもさまざまな改良が行われ、痛みがほとんどない針も発売されるなど、患者に利用しやすい環境になっている。 今後のインスリン治療には、良好な血糖コントロール、低血糖リスクの低減、体重増加の影響が少ないことなどが望まれ、製薬メーカーも医療者や患者の要望に応える製品作りを行っている。 こうした中で、先日発売された「ランタスXR」は、ゆっくりと体内に吸収されることで、従来のランタスよりも長時間にわたり効果が現れる。そのため、睡眠中の低血糖が起こりにくいだけでなく、1型・2型糖尿病の双方において、24時間・夜間ともに低血糖リスクが低いという特性を持つ、新しい基礎インスリンである。 今後、手遅れになる前のインスリン使用により、膵β細胞機能の維持、回復に寄与し、より良好な血糖コントロールが実現されることを期待したい。関連コンテンツサノフィ株式会社のプレスリリースはこちら。(PDFがダウンロードされます)特集 糖尿病 外来インスリン療法

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