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95)いきなり禁煙の前に1歩置く【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師先日の頸動脈エコー検査の結果をみると、動脈硬化が進んでいるようですね。 患者そうなんですか(驚きの声)。動脈硬化を進ませないためには、どうしたらいいですか? 医師血圧と血糖コントロール、そして何よりも大切なのは禁煙です! 患者その禁煙が、なかなかできないんですよね。 医師なるほど。それでは、禁煙準備の方はいかがですか? 患者禁煙の準備!?たしかに、禁煙の準備はいつからでもできますね。 医師そうです。禁煙成功者の話を聞いたり、情報を集めたり、禁煙のパンフレットを読んだりすることは、いつからでもできます。ほかにもカートン買いを止めたり、灰皿を少しずつ減らしたり、喫煙の機会を徐々に減らすこともできます。 患者それじゃあ、今日から禁煙準備を始めます(うれしそうな顔)。●ポイントなかなか禁煙の決意ができない人には、「禁煙準備の話」をすることで、禁煙への関心度が高まります

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わかる統計教室

医学論文で統計に関する記述が出てくるたびに「よくわからない」「勉強しなくては」と思われる先生も多いのではないでしょうか。このシリーズでは、医学研究データを正しく評価できるように、よく目にする用語や方法について、わかりやすく解説していきます。講師は、統計解析の専門家である菅 民郎 氏(株式会社アイスタット 代表取締役会長 / ビジネス・ブレークスルー大学大学院 名誉教授 / 理学博士)。講師紹介

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わかる統計教室 第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価する セクション1

インデックスページへ戻る第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価する皆さんは、下図のような生存曲線をみたとき、この試験の結果をどのように解釈していますか。シリーズ第1回では、治療後の生存率のエビデンスデータとしてよく目にする「カプランマイヤー(Kaplan-Meier)法」を取り上げ、生存率のデータを正しく理解することを目標に、4つのセクションに分けて学習します。セクション1 生存率を算出する方法■生存率を算出するには仮に5年後の生存率を算出するには、本来、薬剤を投与した患者全員について、5年後の生死を把握することができればベストです。たとえば、観察開始日から5年が経過した症例のみを集計対象とし、その中の生存患者の割合を求めるなど、ある薬剤を投与した患者全員を5年間追跡すればいいのです。このような方法を「直接法」といいます。しかし、臨床試験では、そのように患者さんをきちんとエントリーし、フォローすることができません。直接法は、患者全員が臨床試験の観察開始時に存在していれば適用できますが、とても難しく現実的ではありません。■生存率を算出するときに考慮すべきことがある!生存率を算出する場合、臨床試験における次のような特性を考慮する必要があります。試験終了時点で観察を中止し、結論を導く必要がある観察開始が同時期でないデータ(=サンプル)がある観察期間中に観察不可能が生じることがある具体的には、以下のような事象が起きます。1)臨床試験の観察時期ごとに、しかも各群でn数が全部異なってきます。通常、患者全員を同じ時点から経過観察しているわけではなく、2年前、1年前、あるいはつい先月から経過観察を始めた人もいます。2)3年間で経過観察を打ち切った試験の場合、もし、試験期間をさらに1年延ばして4年間にしていたら、観察期間の長い人の中では死亡する人が出るかもしれません。そして、観察期間の短い人は生存している可能性が高くなります。つまり、試験をどこで打ち切るかによって生存率が変わってしまうのです。3)試験の打ち切りとは別に、患者によっては観察自体が不可能になる場合もあります。たとえば、交通事故死など試験とは無関係の理由で死亡した場合や、その観察患者が別の施設に移った場合、別疾患を併発してプロトコルとは異なる治療をせざるを得なくなって試験を中止した場合など、いろいろなケースが考えられます。直接法の場合、これら3つによって生存率の値は変化します。言い換えれば、真の生存率を導くことはできません。しかし、カプランマイヤー法を用いると、患者の観察時期が異なっていても、ある一定のルールの中で生存率を推計することができます。■カプランマイヤー法とは?イベントが発生するまでの時間を解析する方法で、医学においては生存率を評価するときによく用いられます。たとえば、致死的な疾患に対するある薬剤の治療効果をみる場合に、薬剤投与による生存率の推定薬剤対薬剤、薬剤対プラセボといった2群間の生存率の差を把握することができます。■カプランマイヤー法による生存曲線の例では、冒頭で示したカプランマイヤー法による生存率の評価の例をみてみましょう(本データは学習用に作成した架空データです)。<例>NYHAclass III以上の重症心不全患者1,251例を対象に、従来の標準治療に加えて、製品Aまたはプラセボを投与し、36ヵ月間の経過観察を行いました。この臨床試験の目的は、重症心不全に対する薬剤の治療効果を、治療後の生存期間の延びで確認することです。この図は、製品A群(640例)とプラセボ群(611例)の観察開始から36ヵ月間(3年間)の生存率をカプランマイヤー法で求め、折れ線グラフで表したものです。この折れ線グラフを生存曲線といいます。この結果から、製品A群ではプラセボ群に比べて総死亡率が26ポイント減少し、従来の標準治療への製品Aの追加により生命予後の改善がみられたことが読み取れます。■生存曲線の生存率は「累積生存率」上図のように、カプランマイヤー法の生存曲線の生存率は累積生存率です。生存率には、期別生存率と累積生存率があることを知っておきましょう。期別生存率とは観察から1ヵ月目、2ヵ月目、3ヵ月目の各時期について、製品Aを投与した対象患者数と生存者数が観察された場合、期別生存率は、その時期ごとに「生存者数を対象患者数で割った値」となります。上記の例では、期別生存率は、1ヵ月目は110÷110で100%、2ヵ月目は90÷100で90%、3ヵ月目は72÷90で80%となります。累積生存率とは観察から1ヵ月目、2ヵ月目、3ヵ月目の各時期について、製品Aを投与した対象患者数と生存者数が観察された場合、期別生存率は、その時期ごとに「生存者数を対象患者数で割った値」となります。仮に、ある人が交通事故に遭って死亡する確率を1ヵ月当たり10%とすると、生存率は90%なので、3ヵ月間で交通事故に遭わずに生存している確率は、90%×90%×90%=73% と計算できるのと同じことです。これを「3ヵ月間の累積生存率」と表現します。先ほどの簡単な事例の3ヵ月間の累積生存率は、100%×90%×80%=72% となります。次回は、簡単な事例を基に、カプランマイヤー法を用いて累積生存率を計算します。今回のポイント1)被験者によっては、試験の開始時期や観察期間が異なる!2)生存率には「期別生存率」と「累積生存率」がある!インデックスページへ戻る

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シタグリプチン追加で重症心血管イベント増加せず/NEJM

 2型糖尿病患者の治療において、通常治療にDPP-4阻害薬シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)を併用しても、重症心血管イベントは増加しないことが、米国・デューク大学のJennifer B Green氏らが実施したTECOS試験で示された。多くの2型糖尿病治療薬が承認されているが、一部の薬剤で心血管系の長期的な安全性に関して疑問が生じているという。米国FDAや欧州医薬品庁(EMA)は、新薬に対し、血糖降下作用だけでなく臨床的に重要な心血管系の重篤な有害事象の発生率を上昇させないことを示すよう求めている。NEJM誌オンライン版2015年6月8日号掲載の報告より。上乗せの安全性の非劣性を検証 TECOS試験は、心血管疾患を併発した2型糖尿病患者における通常治療へのシタグリプチンの上乗せの長期的な安全性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化非劣性試験(Merck Sharp & Dohme社の助成による)。 対象は、年齢50歳以上、1~2剤の安定用量の経口血糖降下薬(メトホルミン、ピオグリタゾン、スルホニル尿素薬)またはインスリン製剤により糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が6.5~8.0%に保たれている患者とした。併存する心血管疾患は、重症冠動脈疾患、虚血性脳血管疾患、アテローム性末梢動脈硬化疾患とした。 被験者は、通常治療にシタグリプチン(100mg/日またはeGFR値が≧30、<50mL/分/1.73m2の場合は50mg/日)またはプラセボを併用する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。血糖降下薬は、個々の患者が適切な目標血糖値を達成できるようオープンラベルでの投与が推奨された。 主要複合アウトカムは、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、不安定狭心症による入院とした。シタグリプチン群の両側検定による相対リスクのハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値が1.3を超えない場合に非劣性と判定した。主要複合アウトカム発生率:11.4 vs. 11.6% 2008年12月~2012年7月までに、38ヵ国673施設に1万4,671例(intention-to-treat[ITT]集団)が登録され、シタグリプチン群に7,332例、プラセボ群には7,339例が割り付けられた。ベースラインの平均HbA1c値は7.2±0.5%、2型糖尿病の平均罹病期間は11.6±8.1年であり、フォローアップ期間中央値は3.0年だった。 HbA1c値は、4ヵ月時にシタグリプチン群がプラセボ群よりも0.4%低くなったが、この差はその後の試験期間を通じて徐々に小さくなった。全体のシタグリプチン群の最小二乗平均差は-0.29%(95%信頼区間[CI]:-0.32~-0.27)であった。 主要複合アウトカムのイベント発生は、シタグリプチン群が839例(11.4%、4.06/100人年)、プラセボ群は851例(11.6%、4.17/100人年)であった。非劣性のper-protocol(PP)解析では、シタグリプチン群のプラセボ群に対する非劣性が確認され(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.88~1.09、p<0.001)、優越性に関するITT解析(0.98、0.89~1.08、p=0.65)では有意な差を認めなかった。 副次複合アウトカムである心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の発生も、PP解析で非劣性であり(HR:0.99、95%CI:0.89~1.11、p<0.001)、ITT解析では優越性を認めなかった(0.99、0.89~1.10、p=0.84)。また、ITT解析では、心不全による入院(1.00、0.83~1.20、p=0.98)、心不全による入院または心血管死(1.02、0.90~1.15、p=0.74)、全死因死亡(1.01、0.90~1.14、p=0.88)も、シタグリプチン群での発生が多いことはなかった。 一方、非心血管アウトカムでは、感染症、がん、腎不全、重症低血糖の発生率は両群間に差がなかった。急性膵炎の頻度はシタグリプチンで高かった(0.3 vs. 0.2%)が、有意な差はなかった(ITT解析:p=0.07、PP解析:p=0.12)。膵がんはシタグリプチン群で少なかった(0.1 vs. 0.2%)が、有意差は認めなかった(p=0.32、p=0.85)。 また、重篤な有害事象(消化器、筋骨格・結合組織、呼吸器など)の発生率には、両群間に臨床に関連する差はみられなかった。 著者は、「シタグリプチンは、心血管疾患のリスクが高い多彩な病態の2型糖尿病患者に対し、心血管合併症を増加させずに使用可能と考えられるが、これらの結果は、より長期の治療やより複雑な併存疾患を有する患者では、ベネフィットとともにリスクの可能性も排除できないことを示唆する」と指摘している。

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救急隊到着前の心肺蘇生で予後改善/NEJM

 スウェーデンでは、人口約970万人のうち300万人以上が心肺蘇生(CPR)の訓練を受けているが、その効果を疑問視する声があるという。今回、同国カロリンスカ研究所のIngela Hasselqvist-Ax氏らが調査したところ、救急隊(EMS)到着前のCPRにより院外心停止患者の30日生存率が2倍以上に向上していることがわかった。心肺停止患者のアウトカムの改善には発症から治療開始までの期間の短縮が重要であり、欧米のガイドラインでは、院外で可能な最も重要な措置は、心停止の発生を早期に認識して緊急電話を入れ、CPRおよび除細動を行うこととされる。研究の成果は、NEJM誌2015年6月11日号掲載の報告より。20年以上、約3万例をEMS到着前CPRの有無別に比較 研究グループは、1990年1月1日~2011年12月31日にSwedish Cardiac Arrest Registryに登録された院外心停止患者のデータを解析した。目撃者のいない例や目撃者がEMSのみの例は除外した。1998年に、緊急連絡者がCPR訓練を受けていない場合は電話でCPRを支援する方法が導入され、2008年には、30日生存例で退院時の脳機能評価が開始された。  この間に登録された院外心停止患者6万1,781例のうち3万381例が解析の対象となった。EMS到着前に、その場に居合わせた者によりCPRが施行されたのは1万5,512例(51.1%)で、到着前には施行されなかった患者は1万4,869例(48.9%)であった。EMS到着前CPR施行群は非施行群よりも若く(年齢中央値:69 vs. 74歳、p<0.001)、自宅での発症率が低く(55.5 vs. 73.2%、p<0.001)、女性が少なかった(26.8 vs. 30.2%、p<0.001)。 到着前施行群は、心停止の原因が心臓と推定される患者が多くないにもかかわらず、心室細動の頻度が高かった。また、到着前施行群は、卒倒(collapse)からEMSを電話で呼ぶまでの期間や、卒倒からCPR開始までの期間は短かったが、EMSを呼んでから到着までの期間や、卒倒から除細動開始までの期間(心室細動がみられる場合)は長かった。調査期間を通じて、CPR訓練を受けた者の数やEMS到着前のCPR施行例の割合は経時的に増加していた。30日生存率が4.0%から10.5%に、早く開始するほど予後良好 30日生存率は、到着前施行群が10.5%であり、非施行群の4.0%に比べ有意に高かった(p<0.001)。すべてのサブグループで、到着前施行群の30日生存率が非施行群よりも有意に良好だった(各サブグループのオッズ比[OR]の範囲:1.97~3.02)。 全症例における卒倒からCPR開始までの期間別(0~3分、4~8分、9~14分、14分以上)の30日生存率は、それぞれ15.6%、8.7%、4.0%、0.9%であり、早期にCPRを開始するほど優れた(p<0.001)。この関連はすべてのサブグループで認められた(いずれも、p<0.001)。また、このような早期CPRと生存率の正の相関は、調査期間を通じて安定的に認められた。 事後解析として傾向スコア(年齢、性別、心停止の発生場所、心停止の原因、心電図上の初期調律、卒倒からEMSを呼ぶまでの期間、EMSを呼んでから到着までの期間、イベント発生年)を算出し、これらのスコアで補正しても、顕著な有意差をもって到着前施行群の30日生存率が優れていた(OR:2.15、95%信頼区間[CI]:1.88~2.45、p<0.001)。傾向スコアに、心室細動がみられた患者の発症から除細動開始までの期間を含めても、この有意差は保持されていた(OR:2.27、99%CI:1.84~2.81、p<0.001)。 一方、2009年1月1日~2011年12年31日にデータが収集されたサブグループのうち、到着前施行群の35%が、電話で支援を受けた者(その場に居合わせたがCPR訓練を受けていない者)によりCPRが施行された。これらの患者の30日生存率は10.9%であり、電話での支援を受けない者によって早期にCPRが開始された患者の15.4%に比べ有意に不良であった(p<0.001)。また、30日生存例の退院時の脳機能評価は474例で行われ、95%が良好と判定された。 著者は、「その場に居合わせた者が、EMSの到着前にCPRを開始した場合、緊急電話より迅速に行われていたことから、CPR訓練を受けた者は受けていない者に比べ、心停止発症の認識や行動の開始が良好であることが示唆される」と指摘している。

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双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は

 米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のKeming Gao氏らは、双極性障害に対する各種非定型抗精神病薬の有効性と安全性について、治療必要数(NNT)または有害事象による治療中止(DAE)という観点でレビューを行った。その結果、FDAに承認されている薬剤においてNNTの差異は小さかったが、DAEに関する有害必要数(NNH)の差異は大きかったことを示した。結果を踏まえて、著者らは「非定型抗精神病薬の選択は安全性および忍容性に基づくべきである」と提言している。Neuroscience Bulletin誌オンライン版2015年5月30日号の掲載報告。 検討は、1980年1月~2014年10月30日にMEDLINEに掲載された英語文献を、抗精神病薬、非定型抗精神病薬の後発医薬品名ならびに先発医薬品名、「双極性うつ/双極性障害」「プラセボ」「治験」をキーワードとして検索した。原著論文より、レスポンスの指標(モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度[MADRS]トータルスコアの改善率が50%以上)、寛解(エンドポイントにおけるMADRSトータルスコアが12点以下または8点以下)、DAE、眠気、7%以上の体重増加、錐体外路症状の副作用(EPS)、アカシジアを抽出した。レスポンス、寛解に対するNNTまたはDAEに対するNNH、あるいはプラセボに関連する他の副作用を予測し、予測値を95%信頼区間と共に算出した。 主な結果は以下のとおり。・レスポンスのNNTはオランザピン単独療法11~12、オランザピンとフルオキセチンの合剤(OFC)4、クエチアピン-IR単独療法7~8、クエチアピン-XR単独療法4、ルラシドン単独療法4~5、ルラシドン併用療法は7であり、プラセボに比べて優れていた。・寛解のNNTはそれぞれ、11~12、4、5~11、7、6~7、6であり、プラセボに比べ優れていた。・OFCとラモトリギン、アリピプラゾールまたはジプラシドンとプラセボとの間に、レスポンスと寛解に関する有意差は認められなかった。・オランザピン単独療法、クエチアピン-IR、クエチアピン-XR、アリピプラゾール、ジプラシドン120~160mg/日は、DAEに関するNNHのリスクが有意に高く、それぞれ24、8~14、9、12、10であった。・眠気に関しては、クエチアピン-XRのNNHが4と最小であった。・7%以上の体重増加に関しては、オランザピン単独療法およびOFCのNNHがいずれも5と最小であった。・アカシジアに関しては、アリピプラゾールのNNHが5と最小であった。・これらの結果から、OFC、クエチアピン-IRと-XR、ルラシドン単独療法および精神安定剤へのルラシドン追加療法など、FDAに承認されている薬剤においてレスポンスおよび寛解に対するNNTの差異は小さいが、DAEや一般的な副作用に対するNNHの差異は大きいことが示された。関連医療ニュース 双極性障害に対する非定型抗精神病薬比較 小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬 双極性障害、ベンゾジアゼピン系薬の使用実態は

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IMPROVE-IT試験:LDL-コレステロールは低ければ低いほど良い!(解説:平山 篤志 氏)-371

 2014年の米国心臓協会(AHA)学術集会で発表され話題となったIMPROVE-IT試験がようやく論文化された。 スタチン以外の薬剤、すなわちコレステロール吸収阻害薬であるエゼチミブで、LDLコレステロールを低下させることが心血管イベントを減少させるかという臨床的疑問に、YESと答えた研究である。つまり、本試験がこれまでの臨床試験でのLDLコレステロール値の低下と心血管イベント低下効果の直線上に乗ったことで、LDLコレステロールの“The Lower, the better”が証明されたのである。 2013年のAHA/ACCガイドラインで、脂質管理はLDLコレステロール値に関係なく、動脈硬化性心血管患者では、ストロングスタチンを投与するだけの“Fire and forget”であったが、この試験によりLDLコレステロールを低下させることの有用性が示され、今後のハイリスク患者についてのガイドラインが変更される可能性もある。しかし、LDLコレステロールがエゼチミブ併用群で54mg/dL、スタチン単独群で70mg/dLの差があったものの、イベントでは平均7年間の追跡でわずか6.4%の低減効果に留まった。また、非致死的心筋梗塞と虚血性脳卒中でのイベント低下が認められたものの、心血管死には差がなかった。 実臨床で死亡に差がないということが意義を持つのか? NNT50という数字が高いのか低いのか? この試験では、スタチンがもたらした効果ほどのインパクトはエゼチミブにはなかった。臨床的な有用性の限界かもしれない。ただ、サブ解析で65歳以上、すでに脂質低下薬を服用中の患者、LDLコレステロール値が95mg/dL以下の患者で併用群に効果が認められ、さらに糖尿病患者で有意に併用効果が認められたことから、スタチンで治療されていてもハイリスクな患者には、エゼチミブの追加投与によるLDLコレステロール低下が重要であることが示された。 今後、ハイリスク患者にはストロングスタチンの投与だけでなくLDLコレステロール値を考慮した治療が必要となるであろう。

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骨の強さは何でわかる?

人間の一生における骨の量の変化最大骨量【骨粗鬆症】高齢になるほど減少閉経骨量0102030405060708090100(年齢)骨量は、20代で1番多くなり、次第に減少していきます。骨の量が減少し、知らないうちにかかる病気が骨粗鬆症です。特に女性で、閉経後の女性は、ホルモンの減少、栄養不足など注意が必要です。監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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特別編 MERSに気を付けろッ!【新興再興感染症に気を付けろッ!】

2015年5月末からの韓国でのMERS流行を受けて、日本国内でも危機感が高まっています。今回、緊急特集として拙著『症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z』(中外医学社)でおなじみの忽那・上村コンビが「MERSの気を付け方」について語ります。韓国へ焼肉に行く前に 上村「くつな先生、ちょっとお願いがあるんですけどいいですか?」 忽那「なんだ?」 上村「明日から韓国に焼肉を食べに行ってきますので、その間の当直をお願いしてもいいですか? 当直代は僕がもらいますんで」 忽那「ちょっと待て。いい訳ないだろう」 上村「大丈夫ですよ、先生にもキムチを買ってきますから」 忽那「そうじゃない。おまえ、今の状況がわかってないのか」 上村「わかってますよ。今は日韓関係が冷えきっているから渡航は控えたほうがいいんじゃないかってことでしょ? でもね、先生…逆にそんな今だからこそ思うんですよ、僕が焼肉を食べることで日本と韓国の距離が縮まれば最高じゃないかってね…」 忽那「何が『逆に』なのかわからんが、オレが言ってるのは、日韓関係のことじゃない。MERSだよ、MERS」 上村「またまた~。マーズレンS®のことをそんなオシャレな言い方しちゃって~、胃でも荒れてるんですか~?」 忽那「マーズレンS®は今関係ない! おまえ、ホントにテレビとか見てないんだな。MERSと言ったら『中東呼吸器症候群』のことだろ。韓国は今MERSで大変なことになってるんだよ!」 上村「いつから韓国は中東になったんですか!」 忽那「ああ、もう!おまえと話してると話が一向に進まないな! 中東ではやってた感染症が、韓国でも流行してるんだよ!」 上村「ふーん…中東呼吸器症候群って名前なのに中東だけじゃないんですか」 忽那「そうだ。サウジアラビアを中心に中東で流行しているMERSだが、これまでに25ヵ国で症例が報告されている(図1)1)。MERSは中東以外でも発生しているのだッ!」画像を拡大する 上村「でも発端となったのは中東からの輸入例ってことですよね?」 忽那「そのとおり! そして、その中でもイギリス、フランス、チュニジアでは輸入例を発端とした国内でのヒト-ヒト感染事例が報告されているのだッ!1)」 上村「オソロシス!!」 忽那「そう、恐ろしいね……そして2015年5月現在、韓国でも輸入例を発端としたMERSのヒト-ヒト感染がこれまでにない規模で起こっているんだ」 上村「なるほど…韓国でMERSってのはそういう意味だったんですね。じゃあ今は韓国でも10人くらいの患者が出てるんですか?」 忽那「10人なんてもんじゃない。とっくに100人を超えているレベルだ」 上村「ワンハンドレッド・パーソンズ! チャバイじゃないですか!それ、チャバイじゃないですか!」 忽那「2015年5月24日に、中東地域に渡航歴のある60代男性の確定例が報告されてからというもの、日に日に症例は増え、7月22日現在感染者は186人、死者は36人に達している。今や4次感染例まで報告されているんだ(図2)2)」画像を拡大する 上村「そうか…さっきの言葉は『韓国に旅行するのは危ない』って意味だったんですね」 忽那「まあ『韓国に旅行するとMERSに感染するぞ』って意味ではないけどね」 上村「えっ? 言ってることがわからないんですけど! 韓国ではMERS患者があふれてるんじゃないんですか?」 忽那「いや、今のところ韓国で報告されているMERS患者はすべて疫学的なリンクが追えている症例ばかりだし、しかもそのほとんどが病院内での曝露によって感染していると考えられている」 上村「じゃあ韓国に焼肉を食べにいっても、感染しないってことですか?」 忽那「まあ現時点では可能性はきわめて低いだろうね…でも、わざわざ今韓国にいくのはお勧めしないけど。帰ってきてから熱が出ようものなら面倒なことになるよ?」 上村「確かに…焼肉はMERSが落ち着いてからにしようかな…」 忽那「その前に、われわれはいつMERSが来てもいいように、十分な準備をしておくべきではないだろうか」 上村「ほほん。つまり『MERSの気を付け方』を知っておくということですね」 忽那「そういうことだ」MERSの実体は何だ? 上村「でも、そもそもMERSってそんなに怖い病気なんですか? マーズレンS®は効かないんですか?」 忽那「現時点でMERSに有効な抗ウイルス薬はない。それは胃薬であるマーズレンS®も例外ではないッ!」 上村「頼みの綱のマーズレンS®が…」 忽那「2012年4月から2015年6月10日までに全世界で1,288例のMERS症例が報告されているが、そのうち498例が亡くなっている。つまり致死率は38.7%ということになる」 上村「38.7%って…エボラ並みじゃないですか! MERS激ヤバでしょ! 終わりだ…もう世界は終わりだ~!」 忽那「落ち着けッ! MERSが恐ろしい感染症であることは間違いない…だが、実際のMERSの致死率はここまでは高くないだろう」 上村「実際のって…実際のMERSの致死率が38.7%って話でしょ~がよ!なに訳わかんないこと言ってるんですか!?」 忽那「感染症はしばしば軽症では、検査が行われずに見逃されやすい。逆に重症例はしっかりと診断されることが多い。つまり、見かけの致死率は高くなりやすい傾向にあるんだ。現に、積極的な検査が行われている韓国では、致死率は10%前後と低い状態にある」 上村「10%でも十分高いでしょ!」 忽那「そのとおり。いずれにしても怖い感染症には間違いないね」 上村「MERSの怖さはわかったんですが…どういう症例でMERSを疑ったらいいんでしょうか?」MERSへの対応 忽那「厚生労働省は、1.中東地域・韓国などの感染地域から帰国後14日以内に、38℃以上の発熱及び咳を伴う急性呼吸器症状を呈し、臨床的又は放射線学的に肺炎、ARDSなどの実質性肺病変が疑われる場合 2.発症前14日以内にそれらの国において、医療機関を受診もしくは訪問した者、MERSであることが確定した者との接触歴がある者、ヒトコブラクダとの濃厚接触歴がある者で発熱を伴う急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する場合 3.発症前14日以内にそれらの国によらず、MERSが疑われる患者を診察・看護もしくは介護していた者、MERSが疑われる患者と同居(当該患者が入院する病室又は病棟に滞在した場合を含む。)していた者、MERSが疑われる患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた者で発熱または急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する場合の3つのいずれかに該当し他の原因が明らかでない場合、MERS疑似症として対応するように、という通知を2015年6月4日に出している。これを念頭に置いておくことが重要だね」 上村「なんか言い回しが難しくてよくわからないんですけど!」 忽那「上村…『症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z』でさんざん教えただろう。輸入感染症で重要なのは『渡航地・潜伏期・曝露歴』の3つだと!」 上村「…ハッ! そうでした…友情ッ!努力ッ!勝利ッ!」 忽那「MERSの感染が持続的に見られているのは中東と韓国であること、MERSの潜伏期は2~14日であること3)、MERSの感染はラクダとの濃厚接触や病院内感染が多く、ヒト-ヒト感染では原則として飛沫感染であることを考えると、渡航地中東または韓国に渡航していたか潜伏期渡航から発症までが14日以内か曝露歴ラクダとの接触歴があるか、現地で病院を受診または入院しているか、MERS患者と接触があったかが重要ということになる。このポイントを覚えておくことが重要なんだ」 上村「なるほど…勉強になるっす!」 忽那「これらの疑似症に当てはまる症例は、ただちに保健所に連絡し、感染症指定医療機関(特定、第1種または第2種)に搬送され、地方衛生研究所で気道検体のPCR検査が行われることになる。ちなみに日本国内におけるMERS診断までの流れは厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20150604_01.pdf)で確認することができるので、これも確認しておこう」MERSの診断と対策 上村「了解です!ちなみに中東呼吸器症候群っていうくらいだから、まず間違いなく呼吸器症状があるんですよね?」 忽那「呼吸器症状の頻度は高いと言われている…が、100%ではない。サウジアラビアで診断された47人のMERS症例の臨床症状がまとめられている4)が、それによると、発熱(>38℃) - 46人(98%)悪寒と戦慄を伴った発熱 - 41人(87%)咳 - 39人(83%)(乾性47%、湿性36%)息切れ - 34人(72%)血痰- 8人(17%)咽頭痛 - 10人(21%)筋肉痛 - 15人(32%)下痢 - 12人(26%)嘔吐 - 10人(21%) 腹痛 - 8人(17%)胸痛- 7人(15%)頭痛- 6人(13%) 鼻炎- 2人(4%)胸部X線所見の異常 - 患者47人(100%)となっており、咳や息切れも100%ではなく、また消化器症状や頭痛・筋肉痛といった全身症状もみられることがある。つまり、呼吸器症状がなければMERSの可能性は下がるが、完全に除外することはできないということになる」 上村「難しいなあ…なんか見逃しちゃうのが怖いんですけど」 忽那「少しでも疑わしい症例をみたら、ひとりで抱え込まずに保健所に相談するほうが安全だろうね」 上村「わかりました!悩んだらくつな先生を呼びます」 忽那「うん、悩んだら保健所に相談しようね」 上村「頼りないなあ…もし本当に疑わしい症例の対応をすることになったら感染対策はどうすればいいんですか?」 忽那「現時点ではまだ完全にはわかっていないこともあるけど、MERS-CoVは飛沫感染および接触感染で伝播すると考えられている。なので、WHOは飛沫感染予防策と接触感染予防策の徹底を推奨している5)」 上村「ふーん、N95マスクは要らないんですか?」 忽那「気管挿管や気管内吸引などのエアロゾルが発生するような場合には、N95マスクの着用を含む空気感染予防策を推奨している」 上村「ですよね~。なんとなくN95がないと不安なんですよ…」 忽那「確かにCDCはエアロゾル発生手技に限らず、空気感染予防策を推奨してるけどな6)。この違いは、まだMERSという感染症がよくわかっていないからということもあるだろうし、CDCは資源が豊富なアメリカのための機関であり、WHOは世界中の感染症対策のことを考えないといけない機関であり、途上国の状況も配慮した感染症対策を提示しなければならないという、それぞれの立場の違いも関係しているのかもしれないね」 上村「じゃあN95マスクを付けておいたほうが無難ってことですね!」 忽那「いや、現時点ではなんとも言えないなあ…でも大事なことは、中東からの輸入例が報告された国の大半ではMERSは広がっていないということだ。N95マスクにこだわらなくても、適切な接触感染予防策と飛沫感染予防策を行えばMERSの伝播は抑えられると思うよ」 上村「んな~る」Take Home MessageMERSを疑う手がかりは渡航地・潜伏期・曝露歴!MERS疑似症を満たす症例は、ただちに保健所に連絡を!MERSに対する感染対策は、接触感染予防策と飛沫感染予防策が重要!エアロゾル発生手技のときには空気感染予防策も!1)European Centre for Disease Prevention and Control. RAPID RISK ASSESSMENT. Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) 17th update, 11 June 2015.2)World Health Organization. Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) maps and epicurves. 3)Assiri A, et al. N Engl J Med. 2013;369:407-416.4)Assiri A, et al. Lancet Infect Dis. 2013;13:752-761.5)World Health Organization. Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS‐CoV) summary and literature update - as of 9 May 2014. 6)Centers for Disease Control and Prevention. Interim infection prevention and control recommendations for hospitalized patients with Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV). ※ イラスト協力:中外医学社『症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z』より転載

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急性心筋梗塞に匹敵するほど血清トロポニンが上昇するスポーツ【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第45回

急性心筋梗塞に匹敵するほど血清トロポニンが上昇するスポーツ >Wikipedeiaより使用 温泉旅館に行くと卓球台が必ずといっていいほど置いてありますね。私は卓球が恐ろしく下手で、これまでスマッシュが成功したことはおそらく一度もありません。卓球は非常に運動量が多く、とくに足にかかる負担はすさまじいものです。福原 愛選手がその昔、第5中足骨基部骨折(Jones骨折)を起こしたことがあります。これは、卓球の激しい動きによって身体の外側に体重がかかってしまい、それを繰り返すことによって第5中足骨に機械的ストレスがかかったためといわれています。 そんな激しいスポーツである卓球は、子供の頃から打ち込む選手も多いためか、成長期に整形外科的なトラブルを抱える選手もいます。 Ma G, et al. Influence of repeated bouts of table tennis training on cardiac biomarkers in children. Pediatr Cardiol. 2014;35:711-718. 激しい運動をすると血清トロポニンが上昇するといわれていますが、もちろんこれは心筋由来ではなく、骨格筋由来といわれています。この研究は、卓球に打ち込む子供の血清トロポニンを測定したものです。なぜこのような研究を企画したのかよくわかりませんが、興味深いですね。28人の小児が5分の休憩を挟みながら10分間のフォアハンド練習を6セット行いました。血清トロポニンT、トロポニンI、クレアチンキナーゼMB分画(CK-MB)が運動前に測定され、最終運動直後、4時間後、24時間後、48時間後にも測定されました。また、心機能は安静時に超音波検査を行い評価しました。その結果、血清トロポニンT、トロポニンI、CK-MBは有意に運動直後で上昇していました。この上昇は48時間後には元に戻っていたそうですが、心筋障害を起こしているのではないかと思われるくらい上昇が大きかったそうです。運動4時間後の採血では、何人かの小児では急性心筋梗塞のカットオフ値を上回っていました。そのためトーナメントなどで1日に何度も試合に出場している小児は、血清トロポニンが上昇している可能性が高いです。「だから何がどうなんだ」といわれると、それまでの報告なのですが……。インデックスページへ戻る

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新規CETP阻害薬TA-8995、軽度脂質異常症に有効/Lancet

 新規開発中のコレステロールエステラーゼ転送蛋白(CETP)阻害薬TA-8995は、軽度脂質異常症患者への投与において忍容性は良好で、脂質やアポリポ蛋白に有益な効果をもたらすことが、G Kees Hovingh氏らによる第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。12週時点でLDLコレステロール値は、5mgおよび10mg用量の単独投与で45.3%低下、10mg用量+スタチン薬との併用投与では63.3~68.2%低下し、HDLコレステロール値は10mg用量単独で179.0%上昇、10mg用量+スタチン薬併用投与では152.1~157.5%上昇が認められたという。著者は、「示された所見が心血管疾患イベントの抑制をもたらすのか、心血管疾患をアウトカムとした試験を行う必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年6月2日号掲載の報告より。364例を用量別、スタチン薬併用の9群に無作為化し検討 新たなCETP阻害薬TA-8995の安全性、忍容性、有効性を評価した試験は、オランダ、デンマークの病院および臨床研究組織の計17ヵ所で、2013年8月15日~2014年1月10日の間に患者を登録して行われた。被験者は年齢18~75歳で、既往の脂質降下薬をウォッシュアウト後、空腹時LDLコレステロール(LDL-C)値が2.5~4.5mmol/L、HDLコレステロール(HDL-C)値が0.8~1.8mmol/L、トリグリセライド値4.5mmol/L以下の患者364例であった。 コンピュータ無作為化法を用いて、1対1の割合で次の9つの治療群のうち1つを受けるよう割り付けた。プラセボ群(40例)、TA-8995 1日用量1mg群(41例)、同2.5mg群(41例)、同5mg群(40例)、同10mg群(41例)、10mg TA-8995+20mgアトルバスタチン(40例)、プラセボ+20mgアトルバスタチン(40例)、10mg TA-8995+10mgロスバスタチン(41例)、プラセボ+10mgロスバスタチン(41例)。スタチン薬はオーバーカプセル化してマスキングに努めた。 主要アウトカムは、ベースラインから12週時点までの、LDL-C値とHDL-C値の変化の割合(%)とした。LDL-C値は27.4~45.3%低下、HDL-C値は大きく上昇 12週時点でLDL-C値は、TA-8995 1日用量1mg群では27.4%低下、2.5mg用量群で32.7%低下、5mg用量群45.3%低下、10mg用量群45.3%の低下がみられた(対プラセボのp

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妊娠後期SSRI使用とPPHNリスクの新エビデンス/JAMA

 妊娠後期の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)のリスク増大と関連するとのエビデンス報告が寄せられた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のKrista F. Huybrechts氏らが、全米の妊婦約379万例を対象とした大規模コホート研究において明らかにした。示された所見について著者は、「しかしながら絶対リスクは小さいものだった。またリスク増大は、先行研究での所見ほど大きいものではなかった」とも報告している。妊娠中の抗うつ薬SSRIの使用とPPHNリスクとの関連については、米国FDAが2006年にパブリック・ヘルス・アドバイザリとして「リスク増大の可能性」を発して以降、論争の的となっていた。JAMA誌2015年6月2日号掲載の報告より。全米妊婦378万9,330例を対象にネステッドコホート内研究 本検討で研究グループは、妊娠後期において使用された異なる抗うつ薬とPPHNリスク増大の関連を調べた。46州とワシントンD.C.を対象に2000~2010年のメディケイド分析抽出(Medicaid Analytic eXtract)で被験者を組み込んだネステッドコホート内研究にて行った。最終フォローアップ日は、2010年12月31日。 対象期間中、最終月経日後2ヵ月未満から分娩後1ヵ月までにメディケイドには総計378万9,330例が登録された。 これら全体コホートと、うつ病と診断された女性に限定したコホート(73万9,114例)について、分娩前90日間の抗うつ薬使用者(SSRI使用者、非SSRI使用者)vs.非使用者の、分娩後30日間のPPHN発生記録を調べた。 抗うつ薬使用とPPHNリスク増大の関連を、潜在的交絡因子について段階的に補正した傾向スコアを用いたロジスティック回帰分析法にて評価した。リスクは増大、ただし交絡因子補正後は減弱も 全体で妊婦12万8,950例(3.4%)が、妊娠後期に抗うつ薬を1剤以上処方されていた。SSRI使用者は10万2,179例(2.7%)、非SSRI使用者は2万6,771例(0.7%)であった。 全体コホートにおけるPPHN診断発生は、抗うつ薬非曝露群(366万380例)では7,630例(1万出生当たりリスク20.8)であったのに対し、SSRI群(10万2,179例)は322例(同31.5)、非SSRI群(2万6,771例)は78例(同29.1)であった。 抗うつ薬使用とPPHNとの関連は、交絡因子の補正レベルが増すほど減弱した。SSRIのオッズ比は、補正前1.51(95%信頼区間[CI]:1.35~1.69)であったが、うつ病女性に限定および高次に傾向スコア補正後は1.10(同:0.94~1.29)に減弱した。非SSRIのオッズ比は、それぞれ1.40(同:1.12~1.75)から1.02(同:0.77~1.35)の減弱であった。 また、満期分娩で心臓または肺の形成不全を認めなかったPPHNであった場合に限ると、SSRIの補正後オッズ比は1.28(95%CI:1.01~1.64)、非SSRIは1.14(同:0.74~1.74)であった。

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甲状腺がん分子標的治療の適正な対象・開始時期は?

 甲状腺がん治療は手術が第1選択であるが、切除不能な場合の治療選択肢は限られていた。近年、根治切除不能な甲状腺がんに有効な分子標的薬が登場し、期待されている。6月11日、都内で「甲状腺がん-その実態と治療 最前線」と題したプレスセミナー(主催:エーザイ株式会社)が開催され、国立がん研究センター東病院頭頸部内科 科長の田原 信氏が、甲状腺がんの治療の実際、分子標的治療から今後の課題を含めて解説した。甲状腺がんの治療の実際 甲状腺がんは、組織型により、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんに分類され、分化がんである乳頭がんと濾胞がんで全体の約9割以上を占める。分化型甲状腺がん(DTC)は比較的予後が良いとされるが、その1割は進行例、再発例、遠隔転移例といった高危険群である。 DTCに対する治療は、欧米では甲状腺全摘後アブレーション(放射性ヨウ素[RAI]によるアジュバント療法)が標準であるのに対し、わが国では部分切除することが多く、高リスク例のみ全摘する。部分切除が多い理由として、反回神経麻痺などの合併症回避、甲状腺機能の温存、発育がゆっくりかつ予後良好であることのほか、RAI治療実施可能施設に限りがあることが挙げられる。近年、甲状腺がん治療病床数が減少してきているが、RAI内用療法の件数は増加しており、待機期間が平均5.2ヵ月、なかには1年以上待っている患者もいることを挙げ、田原氏は問題視している。分子標的薬の登場 甲状腺全摘後のRAI治療に不応となったDTC患者の予後は悪く、10年生存率は約10%、転移病巣発見からの生存期間中央値は3~5年程度である。これらの患者に対する殺細胞性抗がん剤について国内で承認されている薬剤は1剤もなく、有効な薬剤が待ち望まれていた。そのような中、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害薬が抗腫瘍効果を発揮することが確認され、現在、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)が「根治切除不能な分化型甲状腺がん」、レンバチニブ(商品名:レンビマ)が「根治切除不能な甲状腺がん」に承認されている。分子標的治療の今後の課題 このように甲状腺がん治療に分子標的薬が使用できるようになった現在、わが国における今後の課題として、田原氏は、対象や開始時期といった分子標的薬の適正使用および適切な支持療法の実践を挙げた。 まず、適正な対象について、臨床試験で安全性・有効性が確認された対象の患者、すなわち根治切除不能な患者であることを強調した。田原氏が他の医師からよく相談を受けるという術前・術後補助療法については、対象として不適切であり、術前に使用すると血管新生阻害作用により出血して死に至る危険性があることを指摘した。 DTCに対する分子標的薬の適正な使用対象として、田原氏は、再発・転移症例であり外科切除・放射線療法の適応がなく、RAI不応、日常生活に支障を来す症状(痛み・呼吸苦・全身状態の悪化など)があり、急速な病勢進行により患者のQOL悪化の懸念がある患者と述べた。また、分子標的治療を開始する際は、常にメリットとデメリットを天秤にかけ、分子標的薬の適正な使用時期かどうか検討すべきとした。分子標的薬のベネフィットを最大化するために 最後に田原氏は、甲状腺がんの分子標的薬のベネフィットを最大化するためには、適正使用のほか、チームによる細やかな管理、患者教育、薬物療法に精通した医師による管理が重要とし、患者さんにとっては「自分の担当医は薬物療法の管理に精通しているのか?」ということも念頭に置くべきではないか、と締めくくった。

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幼若脳への放射線照射、どのような影響を及ぼすか

 放射線療法は小児脳腫瘍に対する一般的な治療であるが、しばしば認知機能低下を含む遅発性の後遺症を引き起こす。その機序としては、海馬でのニューロン新生の抑制が部分的に関与していると考えられている。しかし、若年者の成長過程にある脳への放射線照射が歯状回のニューロンネットワークにどのような変化をもたらすかはまだよくわかっていない。スウェーデン・ヨーテボリ大学のGinlia Zanni氏らは、マウスを用いた研究を行い、成熟脳への照射では長期増強(LTP)の減少のみが引き起こされるが幼若脳ではさらに長期抑圧(LTD)も生じ、成熟脳と幼若脳とで長期シナプス可塑性に対する全脳照射の影響が異なることを明らかにした。結果を踏まえて著者らは、「シナプス変性のメカニズムを解明する必要はあるが、今回の知見は発達過程の脳への放射線照射の影響、ならびに頭部放射線療法を受けた若年者にみられる認知機能障害の理解につながる」とまとめている。Developmental Neuroscience誌オンライン版2015年6月2日号の掲載報告。 研究グループは、生後11日目の雄のWistar系ラットに全脳照射(6Gyの単回照射)を行い、歯状回の電気生理学的な特性を解析した。 主な結果は以下のとおり。・細胞外野の興奮性シナプス後電位(fEPSP)と線維斉射(fiber volley)の比から内側貫通線維路(MPP)における興奮性伝達を評価すると、偽照射群と比較し照射群でシナプス効力が増加した。・MPP-顆粒細胞間シナプスのPaired-pulse ratio(PPR)は、照射により変化しなかったことから、神経伝達物質の放出確率は変化しないことが示唆された。・高周波刺激(4train)を加え歯状回での長期シナプス可塑性を誘導すると、偽照射群に比べ照射群ではLTPからLTDへの変化が認められた。・ダブルコルチンの免疫染色により形態学的変化を調べると、照射後はニューロン新生が完全に消失していたが、パルブアルブミン介在ニューロンの抑制性ネットワークは損傷されていなかった。・これらのデータは、幼若脳への照射がシナプス可塑性の永続的な変化を引き起こしたことを示唆しており、陳述学習の機能障害と一致する。・著者らによるマウスでの先行研究とは異なり、リチウムを投与しても研究パラメータは改善しなかった。関連医療ニュース マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに 抗精神病薬は脳にどのような影響を与えるのか EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか  担当者へのご意見箱はこちら

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アミロイドイメージングの臨床医にとっての有用性(解説:岡村 毅 氏)-370

 アルツハイマー型認知症の中核病理とされるアミロイドの集積を検出するアミロイドイメージング(アミロイドPET)は、アルツハイマー型認知症の診断において有効とされている。 DSM-IVの時代には、記憶障害を中心とした認知機能低下があり、ゆっくりと確実に進行していて、ほかの疾患が認められなければアルツハイマー型認知症と診断されていた(もちろん今でもそれは真実なのであるが)。 しかし、診断技術の進歩は診断基準にも反映され、2011年のNIA/AAによるワークグループの「アルツハイマー型認知症を背景にした軽度認知障害(MCI due to AD)」の尖った診断基準は、アミロイドが沈着する段階(アミロイドPETなどで陽性)→神経が傷害される段階(脳脊髄液でタウが上昇)→認知機能低下、というモデルに基づいている。 DSM-5ではバイオマーカーへの言及はなく、また、上記がプライマリケアに一般化されることはありえないので(あくまで研究レベル)、言及がないことは妥当だが、現代においては知っていて損はない知識と思われる。 一方で、以下の点が指摘されてきた。(1)アルツハイマー型認知症ではない認知症疾患の患者さんや、高齢者にも陽性の方がいる。(2)高い精度でのアルツハイマー型認知症の臨床診断を受けたはずの患者さん(たとえば治験の対象者)にも陰性の方がいる。アミロイドの沈着をアミロイドPETが反映していることは事実としても、では臨床においてどのような方にどのような割合で陽性になるのか。つまり、臨床における全体像というか意義が明快にわかっているとは言い難かったので、今回の報告は有意義だ。 さて、結果をざっくりとみてみよう。アルツハイマー型認知症ではアミロイドPET陽性が50歳代で88%、90歳代で77%と加齢とともに陽性率は低下の傾向を示している(GEEではなく実際の率で)。一方、コントロール群では、50歳代で1%、90歳代で49%と加齢とともに陽性率が上昇基調だ。前頭側頭型認知症、血管性認知症では、だいたいコントロール群と同じ動向である。つまり、縦軸に陽性率、横軸に年齢と取ると、左を向いたワニの口のようになっているわけだ。 なお、レビー小体型認知症では、コントロール群より高いところで、同じく上昇基調(60歳代で38%、80歳代で60%)。 簡単にするため、独自の動きをする大脳基底核変性症は除いた。また、APOE(Apolipoprotein E)キャリアだと、低下は小さく上昇が大きい、つまり、高齢で陽性率が高いところで両者が出合う(ワニの口角が高い)。APOEノンキャリアだと、低下は大きく上昇が小さい。つまり、高齢で陽性率が低いところで両者が出合う(ワニの口角が低い)。最も、一般臨床でキャリアかどうかはあまり論点ではないので、これは神経学者向けの情報だろう。  一言でいえば、若年ではアルツハイマー型認知症の診断に有用だが、とくにキャリアにおいてはアミロイド陽性率が高いので高齢ではあまり有用ではない、というところか。  なるほど、直感的理解とも整合する、よくわかった。 一方で、まだまだ未知の部分が大きいこともわかるだろう。本研究の「診断」は臨床診断に基づいているが(一部で剖検をコントロールとしているがここでは触れなかった)、これを言ってしまうと身もふたもないが、そもそも診断が難しいのだ。認知症疾患の診断の困難さは、第1に脳がバイオプシーできないという点、第2に症状評価の多くは行動観察によってある程度相対的、あるいは主観的な要素が排除できない点にある。これこそが、神経学・精神医学・神経画像学・老年内科学の臨床を知的な営みとしているのである。

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相手の心を読むゲーム【Dr. 中島の 新・徒然草】(072)

七十二の段 相手の心を読むゲーム先日、法事に出席してきましたが、塾で教えているという従姉の話が思わぬ盛り上がりをみせました。従姉「この前、国語の採点をやったのだけど、生徒に『国語なんて、解釈はいくらでもあるのだから、僕の答えが間違いとは言えないでしょ』って言われちゃって」中島「言うなあ」従姉「悔しいけど、うまく言い返せなかったのよ」確かに受験生の言うことも一理あります。ところが、酔っ払った親戚連中から思わぬ反論がありました。親戚A「そいつは根本的な勘違いをしとるで」親戚B「せやせや」はて、根本的な勘違い?親戚A「正解を求められている、と思い込んでいる時点でアカンな」親戚B「複数の解釈なんか知ったことか」え……と、確か「正解を1つ選べ」と問題には書いているのですけど。親戚B「エエか、受験というのは正解を選ぶんやなくてな、『出題者が正解と信じている選択肢を当てる』っちゅうゲームや」親戚A「要するに出題者の『俺はこう思う』という心を推測してさしあげるわけよ」なるほど、そういうことでしたか。知らんかった。親戚B「解釈がいくらあってもな、出題者の心は1つやろ。それを当てたらんかい」親戚A「そういう大人の対応ができん奴は、永遠の受験生やな」親戚A、B「ガッハッハ!」従姉、中島「……」親戚の叔父さんたちの言うことももっともです。「解釈なんて複数あるだろ!」などと言っているようではまだまだヒヨッ子かもしれません。中島「つまり、『出題者は俺にこう答えてほしいのだな』という発想をしろと」親戚A、B「そういうこっちゃ。それがわからんかったら、社会に出ても使いものにならんぞ」確かに世の中というのは、顧客のニーズを知る、相手の心を読む、ということで成り立っています。我々の仕事も患者さんの受診動機を把握するところから始まるのは言うまでもありません。いやはや、奥の深い話です。親戚A「相手のニーズを読めん奴は、受験だけやなくて恋愛もうまくいかんぞ」親戚B「複数の解釈とか、そんな屁理屈を言う奴はな、大学に受かったかて灰色の青春が待っとるだけや」親戚A、B「しかし……そこまで言いますかね?」従姉「なんだかウチの生徒が可哀想になってきたわ」それにしても奥の深すぎる話でした。最後に1句受験とは 相手の心を 読むゲーム

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palbociclib、内分泌療法後に進行した乳がんのPFS延長/NEJM

 ホルモン受容体(HR)陽性ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)進行乳がんで、ホルモン療法を受けたが再発や進行を認めた患者に対し、palbociclib+フルベストラント(商品名:フェソロデックス)投与は、フルベストラント単独と比べて無増悪生存期間を有意に延長した。英国・王立マーズデン病院のNicholas C. Turner氏らが521例を対象に行った、第III相プラセボ対照無作為化比較試験の結果、示された。HR陽性乳がんの増殖は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4および6に依存している。palbociclibはCDK4とCDK6を阻害する経口分子標的薬である。NEJM誌オンライン版2015年6月1日号掲載の報告より。palbociclib+フルベストラントを投与し無増悪生存期間を比較 palbociclibについては先行研究の第II相非盲検無作為化試験において、転移性エストロゲン受容体陽性乳がんの新規患者に対して、レトロゾールに併用して用いることで無増悪生存期間を有意に増大することが報告されていた。 今回の第III相試験では、ホルモン療法既治療のHR陽性HER2-進行乳がんで再発や進行を認めた患者521例について検討が行われた。 研究グループは被験者を2対1に無作為に割り付け、palbociclib+フルベストラント(palbociclib群347例)、またはプラセボ+フルベストラント(プラセボ群174例)を投与した。閉経前または閉経前後の女性には、ゴセレリンも投与された。 主要評価項目は、無増悪生存期間で、副次的評価項目は、全生存期間、奏効率、臨床的効果率、患者報告によるアウトカム、安全性などだった。palbociclib併用群、増悪・死亡に関するハザード比は0.42 その結果、無増悪生存期間の中央値は、プラセボ群が3.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.5~5.5)に対し、palbociclib群は9.2ヵ月(同:7.5~推定不可能)で、増悪または死亡に関するpalbociclib群のプラセボ群に対するハザード比は0.42(同:0.32~0.56、p<0.001)だった。 palbociclib群で最も多く認められたグレード3、4の有害事象は、好中球減少症(palbociclib群62.0%、プラセボ群0.6%)、白血球減少症(同25.2%、0.6%)、貧血症(同2.6%、1.7%)、血小板減少症(同2.3%、0%)、疲労(同2.0%、1.2%)だった。 発熱性好中球減少症の報告は少なく、palbociclib群0.6%、プラセボ群0.6%だった。有害事象により試験中止となった割合は、palbociclib群2.6%、プラセボ群1.7%だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)関連記事 ASCO:palbociclibは内分泌療法耐性に対する新たな手段となるか

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進行扁平上皮NSCLC、ニボルマブで生存期間延長/NEJM

 進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)で化学療法中または療法後に疾患進行が認められた患者に対し、ニボルマブ(本邦ではメラノーマを対象に商品名オプジーボとして承認)投与はドセタキセル投与に比べ、生存を有意に改善したことが示された。米国ジョンズ・ホプキンス病院シドニー・キメル総合がんセンターのJulie Brahmer氏らが行った無作為化非盲検国際共同第III相試験の結果、報告された。ニボルマブは、完全ヒト型抗PD-1免疫チェックポイント阻害薬IgG4抗体の新しい分子標的薬である。一方、既治療で疾患進行が認められた進行扁平上皮NSCLC患者への治療オプションは限定的で、研究グループは、NSCLCでは腫瘍細胞においてPD-L1発現が一般的であることから本検討を行った。NEJM誌オンライン版2015年5月31日号掲載の報告より。ニボルマブを2週間ごと vs.ドセタキセルを3週間ごと投与 試験は2012年10月~2013年12月にかけて、272例を対象に行われた。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはニボルマブ(3mg/kg)を2週間ごと、もう一方の群にはドセタキセル(75mg/体表面積m2)を3週間ごと投与した。 被験者の年齢中央値は63歳、男性の割合は76%だった。 主要評価項目は、全生存期間だった。全生存期間中央値はドセタキセル群6.0ヵ月、ニボルマブ群9.2ヵ月 結果、全生存期間中央値は、ドセタキセル群が6.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.1~7.3ヵ月)だったのに対し、ニボルマブ群は9.2ヵ月(同:7.3~13.3)だった。 ニボルマブ群のドセタキセル群に対する死亡に関するハザード比は、0.59(同:0.44~0.79、p<0.001)で、ニボルマブ群の死亡リスクが41ポイント有意に低かった。 1年時点の全生存率は、ドセタキセル群24%(同:17~31)に対し、ニボルマブ群は42%(同:34~50)で、奏効率はそれぞれ9%、20%だった(p=0.008)。 無増悪生存期間の中央値も、ドセタキセル群2.8ヵ月に対し、ニボルマブ群は3.5ヵ月だった(死亡または疾患進行についてのハザード比:0.62、同:0.47~0.81、p<0.001)。 なお、検討では、PD-1のリガンドであるPD-L1発現レベル別(事前規定1、5、10%)で評価したが、有効性エンドポイントとの関連は示されなかった。 治療に関連したグレード3、4の有害事象の発生は、ドセタキセル群55%に対し、ニボルマブ群は7%だった。 上記を踏まえて著者は、「既治療の進行扁平上皮NSCLC患者に対し、全生存期間、奏効率、無増悪生存期間はいずれも、PD-L1発現レベルに関係なく、ドセタキセル投与群よりもニボルマブ群で有意に良好だった」とまとめている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)関連記事 ASCO : nivolumab、肺がんに“前例なき”効果

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