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潰瘍性大腸炎へのトファシチニブ、第III相試験の結果/NEJM

 米国・カリフォルニア大学のWilliam J. Sandborn氏らは、経口低分子ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のトファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)が、中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎に対する寛解導入・維持療法として有効であることを、3件の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果、報告した。トファシチニブは、第II相試験で潰瘍性大腸炎に対する寛解導入療法としての効果が有望視されていた。NEJM誌2017年5月4日号掲載の報告。寛解導入療法と寛解維持療法におけるトファシチニブの有効性を寛解率で評価 研究グループは、潰瘍性大腸炎に対するトファシチニブの有効性および安全性を評価する3件の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験(OCTAVE Induction 1、OCTAVE Induction 2、OCTAVE Sustain)を実施した。 OCTAVE Induction 1試験およびOCTAVE Induction 2試験では、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬を含む前治療にもかかわらず中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎を呈する患者それぞれ598例および541例を、トファシチニブ(1回10mg)群またはプラセボ群に無作為に割り付け、1日2回8週間投与する寛解導入療法を行った。主要評価項目は、8週時点の寛解(Mayoスコア2以下かつ直腸出血サブスコアが0または1)であった。 OCTAVE Sustain試験は、寛解導入療法で臨床反応(Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上かつ30%以上改善し、直腸出血サブスコアが1ポイント以上低下または1以下)が認められた患者593例を、トファシチニブ5mg、10mgまたはプラセボ群に無作為に割り付け、1日2回52週間投与する維持療法を行った。主要評価項目は、52週時の寛解であった。プラセボに比べトファシチニブの寛解率が有意に高い OCTAVE Induction 1試験において、8週時の寛解率はトファシチニブ群18.5% vs.プラセボ群8.2%(p=0.007)、OCTAVE Induction 2試験ではそれぞれ16.6% vs.3.6%(p<0.001)であった。OCTAVE Sustain試験における52週時の寛解率は、トファシチニブ5mg群34.3%、10mg群40.6%に対し、プラセボ群は11.1%であった(各用量群のプラセボ群に対するp<0.001)。 安全性に関しては、OCTAVE Induction 1/2試験では、すべての感染症および重症感染症の頻度がプラセボ群よりトファシチニブ群で高値であった。OCTAVE Sustain試験では、重症感染症の頻度は3群で類似していたが、すべての感染症ならびに帯状疱疹発症の頻度はプラセボ群よりトファシチニブ群で高値であった。また、3試験全体において、非黒色腫皮膚がんがトファシチニブ群で5例、プラセボ群で1例確認された。心血管イベントは、トファシチニブ群でのみ5例にみられた。そのほか、プラセボ群と比較してトファシチニブ群で脂質増加の頻度が高かった。 著者は、寛解導入試験の期間が短く安全性の評価や8週以上の有効性評価が不十分であることや、潰瘍性大腸炎患者にトファシチニブを1年以上投与した場合のリスクは不明であることなどを研究の限界として挙げている。なお、長期的安全性に関しては、非盲検延長試験(OCTAVE Open)が進行中である。

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保険収載された薬剤に関する市販後臨床試験はほとんどネガティブスタディだった(解説:折笠 秀樹 氏)-680

 米国FDAで2005~12年に承認された117個の新規薬剤(123件の適応)を対象にして、市販後に実施された臨床試験758論文をレビューした。1つのピボタル研究だけで承認された割合が27%(=33/123適応)、複数の代替エンドポイント試験だけで承認された割合が40%(=49/123適応)、その両者で承認された割合が33%(=41/123適応)であった。複数の代替エンドポイント試験だけで承認された薬剤には、抗生物質や循環器・糖尿病治療薬が多かった。 承認後に実施された市販後臨床試験の特徴についても調査された。特徴に多少違いはみられたが、驚いたのはランダム化比較試験が90%近く占めていたことであった。二重盲検試験に限っても35%(=263/758)あった。しかし、こうした二重盲検ランダム化比較試験を実施して、比較群に対して優越性を立証できた適応はわずか7%(=9/123)しかなかった。実に93%がネガティブスタディだったのである。つまり、承認前に立証されていた事実が再現していなかったことになる。とくに、代替エンドポイント試験だけで承認された薬剤については1/49適応だけしか、市販後二重盲検ランダム化比較試験で優越性が示されなかったのだ。これは何を意味しているのか。代替エンドポイント試験だけで承認された薬剤については、とくにその後の臨床試験をフォローすべきということだろう。企業からの薬剤情報では、優越性の得られた結果だけが引用されることが多い。本来はネガティブスタディを含め、偏りのない情報提供をしてもらいたい。もし難しい場合は、アカデミアの研究者が市販後の薬剤臨床試験を定期的にレビューする必要があるだろう。 さらに、うまくいかなかった試験は出版されない傾向が実際にはある。そうだとすると、もっと市販後で優越性が再現されていないことが想定される。保険収載されているから、その薬は効くと信じ込むことは、いまやできない。同類の薬剤だから効くと信じることもできない。承認された薬剤で市販後臨床試験が実施されることは良いことだが、それらの結果を薬剤別にデータベース化して、それを定期的にレビューすることは非常に大切なことだと感じた。

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ステージ3切除不能肺がん、durvalumab維持療法が良好な結果:PACIFIC試験

 AstraZenecaとその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年5月12日、放射線とプラチナベース化学療法の併用で進行が止まったステージ3の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、第III相試験PACIFICにおいて、durvalumab(海外商品名:Imfinzi)が良好な結果を得たと発表した。 PACIFIC試験は、上記対象に対するdurvalumabの維持療法を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験。米国、カナダ、ヨーロッパ、南米、中米、日本、韓国、台湾、南アフリカ、オーストラリアなど26ヵ国235施設で行われた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)、副次的評価項目はランドマークPFSとOS、客観的奏効率と奏効時間。独立データモニタリング委員会(IDMC)による中間解析によれば、durvalumabは主要評価項目を達成し、プラセボと比べ統計学的に有意で臨床的に有意なPFSと示した、としている。 AstraZenecaは、今後の学会での発表のために同試験の初期結果を提出の予定。また、専門家との議論を踏まえ、規制当局への提出を計画しているという。 durvalumab(MEDI4736)は抗PD-L1モノクローナル抗体で、すでに進行膀胱がんについてFDAの迅速承認を受けている。また、NSCLC、小細胞肺がん、尿路上皮がん、頭頸部がんの第III相試験による評価も行われている。参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースPACIFIC試験(Clinical Trials.gov)

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人工知能が小説を書く日【Dr. 中島の 新・徒然草】(170)

百七十の段 人工知能が小説を書く日先日の学会で人工知能の研究者の講演を聴く機会がありました。なんでも人工知能に小説を書かせてコンテストに応募しているのだとか。ポナンザという将棋ソフトが名人を負かしたというニュースが最近ありましたが、最近の人工知能は小説まで書いているのか、と驚きました。とはいえ、コンテストでの優勝には程遠く、ようやく1次予選を通過した程度だということです。将棋の方も昔は全然弱かったわけですから、いずれ人工知能が我々を感動させる小説を書いてコンテストで優勝する日が来るかもしれません。ともあれ、人工知能が小説を書くという話をもう少し掘り下げてみましょう。やっている人:公立はこだて未来大学 松原仁教授とそのお弟子さんたち名称:きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ開始:2012年9月6日にプロジェクトの開始をメディアに発表やり方:星新一のショート・ショート約1000作品を解析し、様々なショート・ショート制作法を試し、見込みがありそうな方法を洗練させてアルゴリズム化して完成させる目標:5年以内にプロ作家を目指す成果:2015年から第3回「星新一賞」、第4回「星新一賞」に複数作品を応募し、中には一次予選通過作品もあるとのこと星新一というのは短編よりもっと短いショート・ショートといわれるカテゴリーで有名なSF作家で、1997年に71歳で亡くなっています。私が高校生の頃は一世を風靡していました。この星新一の名前を冠したコンテストが「星新一賞」で、そのホームページでは「理系文学」と謳っています。で、松原教授の人工知能が第3回に応募した2作品がネットで公開されているので、期待して読んでみたのですが、「う~ん、どこが面白いのかな?」の一言。ショート・ショートでありながら最後まで読むのが苦しかったというのが本音です。ついでなので、本家の星新一の「ボッコちゃん」を40年ぶりに読んでみました。やはり、面白い! なんで40年経っても色褪せないのだろうか、と感動したくらいです。簡単に説明すると、「ボッコちゃん」というのは対話することのできる美女ロボットが、人間の青年に告白されたのに冷たくあしらってしまう話です。星新一の場合、必ず最後にオチがついているのが特徴で、この話もおもいがけない結末を迎えました。まだまだ人工知能は星新一には追いついていませんが、笑える話、泣ける話、力の湧く話などを自由自在に書くことのできる時代が来て欲しいですね。人間が書こうが人工知能が書こうが、面白ければそれでいいと私は思います。中島「俺、ちょっと泣きたい気分だけど」人工知能「はい、この小説をどうぞ」中島「時間ないから、短いやつがいいな」人工知能「それでは、こちらでどうでしょうか?」中島「・・・・・・」人工知能「お気に召しませんか?」中島「だ、黙って泣いとるんや!」ちなみに第5回「星新一賞」は、本年6月1日より応募開始。1万字以内の作品ということです。なんだか私も応募してみたくなってきました。読者の皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。最後に1句泣きたけりゃ 人工知能が ほれ1つ

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第5回 最期まで医師に見せなかった患者の本音【患者コミュニケーション塾】

最期まで医師に見せなかった患者の本音COMLの創始者、辻本好子は6年前の2011年6月に62歳の若さでこの世を去りました。2010年に胃がんが見つかり、手術を受けた結果、腹膜転移が直腸付近まで連続的に生じていることがわかり、その段階でおそらく余命1年ほどであろう、とみられていました。私は20年間、辻本と役割分担をし、二人三脚でCOMLの活動に取り組み、共に歩んできました。そして、辻本が治療を受けたときにはキーパーソンとして、辻本を支える役割をしてきました。胃がん手術の直後、私がドクターに「本人にお会いくださるのはいつですか?」と伺うと、「明朝一番に」とおっしゃいました。「そうすると、手術室から戻ってきて、最初に手術結果について私に尋ねてくると思うので、私から伝えることになってもよろしいですか?」と続けてお尋ねし、許可を得ました。そして案の定、本人から腹膜転移について聞かれた私は、正直に結果を伝えました。翌朝、私もドクターからの説明に同席するため、朝早くに病室に行っていました。すると、ドクター2人が病室に入って来られました。人間関係を大切にする辻本は、手術翌日にもかかわらず、ニコニコしてドクターたちを迎え、「昨日は大変お世話になり、ありがとうございました」と丁寧にお礼の挨拶をしました。しばらく和やかな会話が続いた後、突然、辻本は笑顔のまま「ところで、私はあとどのくらいですか?」と尋ねたのです。意外な展開に、さすがにドクターも戸惑って「え? 何の話?」と聞き返されました。「腹膜に転移があったということは、もうゴールが決まっているわけですよね? あと半年ですか? それとももっと短いのでしょうか?」。さすがに手術翌日に「余命1年」と告げるのは厳しいと思われたのか、ドクターは「いや、それは今の段階では何とも言えないよ」と言葉を濁されました。これ以上尋ねても、言ってくれないことを察した辻本は、すぐに話を別の方向へと変え、しばらくしてドクターは退室されました。すると、その途端に笑顔が消え、「あなたは聞いているんでしょ? すべて教えて」と私に答えを迫ったのです。そのときのような、辻本とドクターとの笑顔のやりとりは、病状が進んでからの診察の際にも続きました。そのため担当医はすっかり、辻本が病状を穏やかに受け止めていると、最後まで思い込んでいました。「一切を受け止めた」と思っているドクターの言葉を、その場では笑顔で聞き入れつつも、診察室を出た後は悲しみ、怒りをあらわにするということも何度かありました。本当のところは「とても受け入れられない現実」に苦しんでいたのです。その結果、持っていき場のないいら立ちや悔しさの激しい発露は私に対して一定期間向けられました。もちろん、ドクターに本音を吐き出す患者さんも多くいると思います。また、患者の本音を何もかもドクターが掌握していないといけない、と私は思っていません。つらい気持ちがあるならば、それを吐き出せる人がいれば、相手は必ずしもドクターである必要はないと思います。ただ、医療者が考えている以上に、ドクターに対しては気丈なふりをしたり、「叱られるかもしれない」と生活習慣の実情を隠したりする患者は少なくないのかもしれません。ときにはキーパーソンに患者の日常を尋ねるなどし、患者の心情把握に努めることも、コミュニケーションのためには必要ではないかと思っています。

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ヒドロクロロチアジド使用量と口唇がんリスクが相関

 利尿薬であるヒドロクロロチアジドの使用により口唇がんリスクが高まることを示唆する報告がある。この関連を検討した南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らの症例対照研究において、ヒドロクロロチアジドの累積使用量と口唇がんリスクに強い相関が認められた。Journal of internal medicine誌オンライン版2017年5月8日号に掲載。 本研究は、デンマークの全国登録データを用いた症例対照研究である。がん登録(2004~12年)から、口唇の扁平上皮がん(SCC)633例を特定し、これらの症例をリスクセットサンプリングを用いて6万3,067人のコントロールにマッチさせた。また、処方箋登録からヒドロクロロチアジドの使用量(1995~2012年)を取得し、累積使用量により分類した。ヒドロクロロチアジド使用に関連するSCC口唇がんのオッズ比(OR)は、条件付きロジスティック回帰を用いて、人口統計学・処方箋・患者の登録から事前に定義された潜在的交絡因子を調整して計算した。 主な結果は以下のとおり。・ヒドロクロロチアジド使用によるSCC口唇がんの調整ORは2.1(95%信頼区間[CI]:1.7~2.6)で、累積使用量が多い場合(25,000mg以上)は3.9(同:3.0~4.9)に上昇した。・用量反応関係(p<0.001)が認められ、累積使用量が最も多いカテゴリー(100,000mg以上)のORは7.7(95%CI:5.7~10.5)であった。・ほかの利尿薬や利尿薬以外の降圧薬では、口唇がんとの関連はみられなかった。・因果関係があると仮定すると、SCC口唇がん症例の11%がヒドロクロロチアジドの使用に起因すると推定された。

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MCI患者の進行を予測する、DLB進行型の特徴とは

 認知症の病理学的に特異な治療を有効に行うためには、正確にかつ早期に診断する必要がある。レビー小体型認知症(DLB)は、とくに前駆期においてアルツハイマー病(AD)と誤診されることが少なくない。英国・ロンドン大学のDilman Sadiq氏らは、軽度認知障害(MCI)患者を対象に、フォローアップ時におけるAD、DLBへの進行の有無による臨床的および神経心理学的プロファイルを比較した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2017年4月28日号の報告。 本研究は、メモリークリニックデータベースからの非選択サンプルを用いた縦断的研究。1994~2015年の新規患者は1,848例であった。このうち、560例(30%)がMCIの初期診断を有しており、研究対象とした。包括基準は、初期の評価時にMCIと診断され、12ヵ月以上のフォローアップ期間を有する患者とした。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップデータを有するMCI患者429例のうち、MCIのままだった患者は164例(MCI群:38%)、ADへ進行した患者は107例(AD群:25%)、DLBへ進行した患者は21例(DLB群:5%)であった。そのほかは、代替診断となった。・MCI期のベースライン時におけるDLB群は、AD群、安定したMCI群と比較し、視空間機能および文字流暢性検査で有意に悪く、エピソード記憶検査では、AD群より良好であった。・ベースライン時、DLB患者は、平均UPDRSスコアが有意に高く、REM睡眠行動障害および認知機能変動の可能性が高かった。 著者らは「DLBへ進行するMCI患者は、特定の認知機能および神経心理学的プロファイルを有する。このことは、早期の疾患特異的治療を行ううえで、重要である」としている。関連医療ニュースレビー小体型とアルツハイマー型認知症、脳血管病変の違いはMCIからAD、DLBへの進行を予測するには:順天堂大認知症になりやすい職業は

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バイスタンダーによる蘇生処置が予後を大幅に改善/NEJM

 バイスタンダーによる心肺蘇生(CPR)および除細動の実施は、脳障害/介護施設入所や全死因死亡の1年リスクを、いずれも3~4割と有意に低減することが示された。デンマーク・オールボー大学のKristian Kragholm氏らが2,855例を対象に行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2017年5月4日号で発表した。院外心停止へのバイスタンダーによる介入と長期機能アウトカムとの関連について、これまで大規模に検討されたことはなかった。デンマークの院外心停止全国データを基に試験 研究グループは、デンマークの院外心停止に関する全国データ「Danish Cardiac Arrest Registry」を基に、院外心停止後30日以上生存した人の低酸素性脳障害または介護施設入所、および全死因死亡の1年リスクと、バイスタンダーによるCPRまたは除細動の有無との関連を分析した。 また、バイスタンダーCPR/除細動の実施率とアウトカムの経時的変化も評価した。バイスタンダーCPR、脳障害・介護施設入所リスクを4割低減 分析の結果、2001~12年に院外心停止し30日以上生存した2,855例のうち、1年間の追跡期間中に脳障害/介護施設に入所した人の割合は10.5%、死亡は9.7%だった。 また、30日生存者のうち、心停止時に救急医療隊員(EMS)の立ち会いがなかったのは2,084例であった。バイスタンダーCPRの実施率は2001年の66.7%から2012年の80.6%に、バイスタンダー除細動実施率は2.1%から16.8%に、いずれも有意に増加していた(いずれもp<0.001)。一方で、同期間の全死因死亡率は18.0%から7.9%に減少した(p=0.002)。 補正後解析の結果、バイスタンダーによるCPRの実施は、非実施と比較して、脳障害/介護施設入所リスクを約4割低減し(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.47~0.82)、また、全死因死亡リスクを約3割低減(HR:0.70、95%CI:0.50~0.99)したことが認められた。両者を複合したエンドポイントのハザード比は0.67(95%CI:0.53~0.84)であった。 一方、バイスタンダー除細動を実施した場合では、非実施と比較して、脳障害/介護施設入所リスク、総死亡リスクはさらに低率だった(それぞれハザード比:0.45、0.22)。

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直近10年、新薬の32%に販売中止・枠組み警告/JAMA

 2001年からの10年間に米国食品医薬品局(FDA)で承認を受けた222種の新規治療薬のうち、安全性への懸念から、市販開始後に販売中止や枠組み警告の追加などに至ったものが32%あったことが明らかにされた。なかでも、生物学的製剤や精神疾患治療薬、迅速承認や当局承認締め切り間際に承認を受けたものでその発生率が有意に高く、著者は「これらの新しい治療薬は、生涯にわたる継続的な安全性モニタリングが必要であることを強調するものである」と述べている。米国・ブリガム・ウィメンズ病院のNicholas S. Downing氏らによる検討で、JAMA誌2017年5月9日号に発表された。 販売中止、枠組み警告など市販後安全性イベントを調査 研究グループは2001年1月1日~2010年12月31日にかけて、FDAで承認を受けた新規治療薬を対象に調査を行った。 主要評価項目は、(1)安全性に関する懸念から販売中止、(2)市販後調査期間中にFDAが枠組み警告追加を指示、(3)FDAが安全性情報を発布、これら3点の複合とした。市販後安全性イベント、生物学的製剤で約2倍、精神疾患治療薬で約3.8倍 対象期間中にFDAが承認した新規治療薬は222種だった(医薬品183、生物学的製剤39)。追跡期間中央値11.7年に報告された市販後安全性イベントは、123件(販売中止3件、枠組み警告追加61件、安全性情報発布59件)で、対象となった新規治療薬の数はおよそ3分の1に当たる71種(32.0%)だった。 FDAの承認を受けてから最初の市販後安全性イベント発生までの期間中央値は、4.2年(四分位範囲:2.5~6.0)だった。また、承認を受けてから10年の間に、何らかの市販後安全性イベントが報告された新規治療薬の割合は、30.8%(95%信頼区間[CI]:25.1~37.5)だった。 多変量解析の結果、市販後安全性イベントは生物学的製剤でより発生頻度が高く、発生率比(IRR)は1.93(95%CI:1.06~3.52、p=0.03)だった。また、精神疾患治療薬(IRR:3.78、95%CI:1.77~8.06、p<0.001)、迅速承認を受けたもの(同:2.20、1.15~4.21、p=0.02)、当局承認締め切り間際の承認(同:1.90、1.19~3.05、p=0.008)でより高頻度だった。 一方で、審査期間が200日未満だったものは、市販後安全性イベント発生頻度が低かった(同:0.46、0.24~0.87、p=0.02)。

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咽頭痛に対するステロイドの症状軽減効果(解説:小金丸 博 氏)-679

 咽頭痛は、プライマリケアセッティングでみることの多い症候の1つである。咽頭炎の原因の多くはウイルス感染症であるものの、症状軽減効果や化膿性合併症の予防を期待して不必要な抗菌薬が投与されてしまうことも多い。あるsystematic reviewでは、咽頭痛に対してステロイドを単回投与することで24時間以内に症状を消失させることが示されたが、引用された試験はすべて抗菌薬とステロイドを併用したものであり、ステロイド単独の有効性を示した研究は存在しなかった。 本研究は、18歳以上の成人を対象に、急性の咽頭痛や嚥下痛に対するデキサメタゾン単回投与の有効性を検討した二重盲検プラセボ対象ランダム化比較試験である。即時に抗菌薬投与が必要ない症例のみを対象とした。24時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で22.6%、プラセボ投与群で17.7%であり、両群間で有意差は認めなかった(P=0.14)。しかしながら、セカンダリアウトカムの1つである48時間以内の症状消失率は、デキサメタゾン投与群で有意に高かった(35.4% vs.27.1%、P=0.03)。 過去のいくつかの研究と異なり、本試験では小児例が除外されているため、ステロイドの有効性が低くなった可能性はある。また、デキサメタゾン投与群でも大きな有害事象がなかったことが結果として挙げられているが、糖尿病や心不全といった基礎疾患を持つ患者は試験から除外されていることに注意が必要である。 本試験に組み込まれた患者背景をみてみると、デキサメタゾン投与群のCentor score ≧3の割合は14.2%であり、多くの対象患者がウイルス性咽頭炎であったと推測できる。プライマリアウトカムではデキサメタゾンの有効性を示せていないため若干判断が難しいが、即時に抗菌薬投与が不要な咽頭痛に対するデキサメタゾン投与は、症状軽減を期待できる結果であった。 しかしながら、本試験の結果をもって、実臨床でもデキサメタゾンを投与するかどうかは一考の余地がある。1人の症状を48時間以内に軽減するために必要な治療人数(治療必要数:NNT)は12であり、咽頭炎という疾患の重症度、ステロイドの副作用や免疫抑制効果を考えると、この程度の効果では実臨床では使いづらいと考える。

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ペムブロリズマブ、化学療法併用でPD-L1発現問わず肺がん1次治療に承認:FDA

 Merck社は2017年5月10日、米国食品医薬品局(FDA)が、ペメトレキセド+カルボプラチン(pem/carbo)レジメンとの併用で、PD-L1発現とは無関係に、ペムブロリズマブを転移性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に承認したと発表した。 この承認は、オープンラベル、多施設、複数コホートのKEYNOTE-021試験(コホートG1)の結果に基づくもの。KEYNOTE-021試験は、EGFRまたはALK変異がなく、かつPD-L1発現不問の局所進行・転移性の非扁平上皮NSCLCの未治療患者123例において行われた。患者は、ペメトレキセド+pem/carbo(n=60)またはpem/carbo単独(n=63)に無作為に割り付けられた。主要有効性評価項目は、独立第3者評価機関(BIRC)判定による全奏効率(ORR)。追加の有効性評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間、全生存期間であった。 試験の結果、ORRはペムブロリズマブ+pem/carboで55%(95%CI:42〜68)、pem/carbo単独では29%(95%CI:18 〜41)と、ペムブロリズマブ+pem/carboのORRは約2倍であった(p=0.0032)。PFS中央値はペムブロリズマブ+pem/carboで13.0ヵ月(95%CI:8.3〜推定不可)、pem/carbo単独では8.9ヵ月(95%CI:4.4〜10.3)と、ペムブロリズマブ+pem/carboで有意に改善した(HR:0.53、95%CI:0.31〜0.91、p=0.0205)。 探索的研究では、PD-L1発現の有無にかかわらず同様の結果を示しており、PD-L1非発現患者(TPS1%未満)のORRは、ペムブロリズマブ+pem/carboで57%、pem/carbo単独では13.0%。PD-L1発現患者(TPS1%以上)のORRは、ペムブロリズマブ+pem/carboで54%、pem/carbo単独では38%であった。 ペムブロリズマブの単独療法は、EGFRまたはALK変異のないPD-L1高発現(TPS50%以上)の転移性NSCLC患者の1次治療として、また、PD-L1発現1%以上の転移性NSCLC患者の2次治療以降としてすでに承認されている。今回承認された適応症の継続は、確認試験における臨床的有益性の検証結果により決定される。(ケアネット 細田 雅之)参考Merck社ニュースリリースペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMOペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用でKEYNOTE-021試験(ClinicalTrials.gov)

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高齢者でも朝食抜きが肥満に関連~平城京スタディ

 子供や若年者では朝食の欠食が肥満に関連することが報告されているが、高齢者での関連性の報告はほとんどない。今回、平城京スタディの横断研究で、高齢者においても朝食の欠食が肥満と有意に関連することが示された。食事の質の低さや身体活動の少なさが肥満につながっている可能性があるという。The journal of nutrition, health & aging誌2017年5月号に掲載。 奈良県立医科大学の大規模前向きコホート研究である平城京スタディで、奈良県在住の高齢者1,052人(平均年齢:71.6歳)を調査した。BMI 25以上を肥満とし、また週1日以上朝食を食べなかった人を朝食欠食者とした。 主な結果は以下のとおり。・肥満に分類されたのは227人(25.9%)、朝食欠食者は41人(3.9%)であった。・肥満の割合は、朝食欠食者のほうが朝食摂取者より有意に高かった(43.9% vs. 25.1%、p=0.007)。・潜在的な交絡因子(年齢、性別、飲酒量)を調整した多変量ロジスティック回帰分析で、朝食欠食者は朝食摂取者より肥満のオッズ比(OR)が2.23(95%信頼区間:1.17~4.27、p=0.015)と有意に高く、社会経済的地位について調整した後も有意に高かった。・朝食欠食者では、毎日のカリウム摂取(p<0.001)、食物繊維摂取(p=0.001)、主観的身体活動(p=0.035)が朝食摂取者より有意に少なかった。

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両眼白内障の手術、両眼同時 vs.片眼ずつ

 両眼白内障の手術において、両眼同時手術と片眼ずつ手術では予後に違いはあるのか。米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニア研究部門のLisa J. Herrinton氏らによる後ろ向き研究の結果、両眼同時手術が、片眼ずつの手術と比較して術後の最高矯正視力(BCVA)不良や屈折異常、あるいは合併症リスクを増大させるとのエビデンスはないことが示された。Ophthalmology誌オンライン版2017年4月21日号掲載の報告。白内障の片眼ずつ手術群1万3,711例と両眼同時手術群3,561例を比較 研究グループは、(1)片眼ずつ手術を受けた両眼白内障患者において、1眼目の予後と2眼目の予後に差はない、(2)各患者の左右の眼を平均すると、両眼同時手術を受けた患者群と片眼ずつ手術を受けた患者群とで予後に差はない、という2つの仮説を検証した。 2013年1月1日~2015年6月30日に、両眼の白内障手術を受けたカイザーパーマネンテ北カリフォルニアの医療保険加入者を対象に、後ろ向きにBCVAおよび屈折異常について調査した。 統計解析はintention-to-treat解析とし、条件付きロジスティック回帰分析を用いて眼科医および患者レベルの要因を調整し、両眼同時手術群と片眼ずつ手術群を比較した。 白内障の手術において両眼同時群と片眼ずつ群を比較した主な結果は以下のとおり。・白内障手術の解析対象は、片眼ずつ手術群1万3,711例、両眼同時手術群3,561例であった。・眼の合併症は、片眼ずつ手術群でわずかに高頻度であった。・術後BCVAが20/20以上の割合は、片眼ずつ手術の1眼目で48%、2眼目で49%、両眼同時手術の右眼で53%、左眼で51%であった。・術後BCVAの個人内差は、片眼ずつ手術の1眼目と2眼目、ならびに、両眼同時手術の右眼と左眼とで、平均0.00であった。・調整後の平均術後BCVAは、片眼ずつ手術群より両眼同時手術群のほうが良好であったが、統計学的な有意差は認められなかった(BCVA20/20以上に対する20/20未満のオッズ比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.83~1.01)。・正視眼(等価球面度数-0.5~0D)の患者の割合は、片眼ずつ手術の1眼目61%、2眼目61%、両眼同時手術の右眼で63%、左眼で63%であった。・補正後の平均術後屈折異常は、両群で違いはなかった(正視眼に対する屈折異常のオッズ比:1.02、95%CI:0.92~1.12)。・術後眼内炎は、両眼同時手術群1万494眼中1眼(発生頻度1.0/1万眼)、片眼ずつ手術群3万8,736眼中2眼(同0.5/1万眼)(p=0.6)に発生したが、両眼眼内炎は認めなかった。

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ネガティブ試験の出版割合は低くない?/BMJ

 ポジティブな転帰の試験は、ネガティブな転帰の試験よりも初回投稿時の採択率は高い傾向があるが、投稿や出版期日までの出版の割合はネガティブ試験のほうが高く、試験期間を通じて研究段階バイアス(submission bias)や出版バイアス(publication bias)のエビデンスは認められないとの結果が、米国・グラクソ・スミスクライン社研究開発部のGary Evoniuk氏らの調査で示された。同氏らは、「出版率にのみ重点を置いた分析は、不成功に終わった出版に向けた取り組みを考慮していない」と指摘する。研究の成果は、BMJ誌2017年4月21日号に掲載された。2010年以降に実施された文献調査では、clinicaltrials.govや他の公的サイトに登録された試験の15~44%は医学誌に発表されていないという。統計学的に有意な転帰が得られなかった試験は出版の可能性が低く、出版された場合も試験終了から公表までの期間が長期に及ぶとされてきたが、今回の結果はこれらの知見とは相反するものであった。単一企業スポンサーの試験を転帰別に検討 研究グループは、薬物研究の転帰が、査読(peer review)に基づく医学誌での出版に向けた投稿や採択の割合に影響を及ぼすかを検証した(GlaxoSmithKline社の助成による)。 単一企業スポンサー(GlaxoSmithKline社)がヒトを対象に実施し、2009年1月1日~2014年6月30日に終了して18ヵ月(2015年12月31日)以内に医学誌に投稿予定のすべての薬物研究の転帰別の出版状況を後ろ向きにレビューした。2014年6月30日以降に終了した試験であっても、2015年12月31日までに投稿された場合は、転帰にかかわらず解析に含めた。2016年2月26日の時点でのすべての試験の出版状況を調査した。 すべての試験は、出版状況の盲検下に、主要評価項目の転帰に基づきポジティブ(試験薬の転帰が好ましいと解釈される)、ネガティブ(好ましくないと解釈される)、混合(主要評価項目が2つ以上で、統計学的に有意差ありとなしの項目がある)、非比較(前3項目の基準を満たさない研究など)に分類された。ネガティブ試験には、主要評価項目は達成したが有害と判定された安全性試験も含まれた。転帰別投稿率:79 vs.92%、出版率:66 vs.77% 1,064件の試験(第I~IV相、介入研究、非介入研究)のうち、321件(30%)がポジティブ、155件(15%)がネガティブ、52件(5%)が混合、536件(50%)は非比較と判定された。 出版期日(2016年2月26日)の時点で、904件(85%)が完全原稿として投稿済みで、751件(71%)が出版されるか受理されており、100件(9%)は審査中であった。また、77件(7%)はカンファレンスの抄録として公開されており、投稿率や出版率の解析には含めなかった。 転帰別の投稿率は、ポジティブ試験が79%、ネガティブ試験は92%であり(Fisher正確確率検定:p<0.001)、混合が94%、非比較は85%であった。出版期日時の出版率は、それぞれ66%、77%(p=0.019)、77%、71%だった。また、全体の試験終了から投稿までの期間中央値は537日(IQR:396~638)、出版までの期間中央値は823日(650~1,063)であり、ポジティブ試験よりもネガティブ試験がそれぞれ31日(504 vs.535日)、102日(774 vs.876日)長かった。 初回投稿時の採択率は、ポジティブ試験が56%、ネガティブ試験は48%であった(p=0.17)。全体の10%以上の試験が、出版に至るまでに3回以上の投稿を要した。解析時に、83件(8%)が未投稿であり、そのうち49件がポジティブな生物学的同等性試験、33件は非比較試験であった。 米国食品医薬品局改正法(FDAAA)でclinicaltrials.govへの登録が要件となるすべての試験を含むほとんどの試験(98%、1,041/1,064件)は、その結果が1つ以上の公的な登録機関に掲載されていた。 著者は、「出版率に関するこれまでの議論は、スポンサーの投稿や医学誌の不採択の割合を把握していないため、研究結果の出版に向けたスポンサーの取り組みを実質的に過小評価している可能性があり、ネガティブな転帰の試験における研究段階バイアスや出版バイアスは一般に想定されるほどには広まっていないのではないか」と指摘し、「完全な透明性に関わる諸問題や障壁のよりよい理解に寄与するために、他のスポンサーや編集者に働きかけて、投稿規定や採択基準などの情報の共有に努めたい」としている。

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亜鉛欠乏症のあなどれない影響

 2017年4月26日、都内においてノーベルファーマ株式会社は、「見落とされがちな『亜鉛不足』の最新治療~日本初となる低亜鉛血症治療薬の登場~」と題してプレスセミナーを開催した。セミナーでは、2008年に承認された同社の酢酸亜鉛水和物(商品名:ノベルジン)が2017年3月に低亜鉛血症にも追加承認されたことから、小児に多い亜鉛欠乏症の概要を小児科専門医の視点から、そして、亜鉛が肝疾患に与える影響について消化器専門医の視点から講演が行われた。亜鉛欠乏症はサプリメントでは補えない はじめに「けっして稀ではない亜鉛欠乏」と題し児玉浩子氏(帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 学科長・教授/帝京大学医学部小児科)が、亜鉛欠乏症の概要を説明した。 亜鉛は、人にとり必須微量ミネラルであり、成人男性なら約2gが体内に存在、各種酵素の形成や造血機能、皮膚代謝、味覚維持などの働きを担っている。亜鉛が欠乏すると、皮膚炎や脱毛、貧血、味覚障害、下痢、食欲低下、骨粗鬆症などの症状がみられ、性腺機能低下やとくに小児であれば発育障害を引き起こす。 「こうした身近にあるはずの亜鉛欠乏について、一般臨床ではあまり知られておらず、主な教科書や論文でも本症の症状が鑑別診断の対象とされていない。そのため、多くの場合、医療現場で見逃されている可能性がある」と児玉氏は指摘する。 「亜鉛欠乏症の診断指針」では、一定の症状(たとえば皮膚炎、口内炎、食欲低下、発育障害、易感染性、味覚障害など)があり、血清アルカリホスファターゼ(ALP)が低値で、症状の原因となる他の疾患が否定され、血清亜鉛値が60μg/dL未満で、亜鉛補充により症状が改善する場合を本症と確定診断する。 そして、亜鉛欠乏症と診断された場合、食事療法やサプリメントの摂取では改善しないことが多く、亜鉛製剤による治療が必要となる。亜鉛欠乏症の治療薬であるノベルジンを使用する際は、患者の病状や血清亜鉛値を参考としながら、成人および体重30kg以上の小児ならば1回25~50mgを開始用量としつつ、1日2回食後に経口投与する(最大150mg/日)。体重30kg未満の小児(なお、新生児は、現在臨床試験中)であれば1回25mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する(最大75mg/日)。また、投与時に気を付けたい有害事象としては、嘔気、腹痛などの消化器症状、銅欠乏による貧血、白血球減少がある。いずれも重篤なものではないが、投与中は定期的血清亜鉛値の測定とこれによる減量と中止、必要な銅や鉄の補充を行う必要がある。 最後に児玉氏は「小児で食欲不振、低身長があれば亜鉛不足が推定される。また、成人であれば味覚異常、脱毛、貧血、長期の薬剤使用などがあれば亜鉛欠乏症を疑うサインとなる。日常診療でも本症を思い浮かべてもらい、疑ったら血清亜鉛値を検査するなど診療に生かしてもらいたい」と思いを語った。亜鉛欠乏が肝疾患に与える影響 次に片山和宏氏(大阪国際がんセンター 副院長/臨床研究センター長 肝胆膵内科)が、「亜鉛と肝疾患」をテーマに亜鉛欠乏が肝疾患に与える影響について解説した。 亜鉛には、タンパク合成を行う重要な働きがあり、欠乏すると肝臓の代謝不良から慢性肝疾患へ至るとされている。実際、亜鉛が不足し、肝臓でタンパク質の代謝が鈍るとアンモニアの処理ができず、肝性脳症になることが知られている。 そこで、片山氏が肝硬変患者の亜鉛欠乏の度合いを調べた研究では、血中アルブミン濃度が3.5g/dLまで下がると亜鉛欠乏(<70μg/dL)率は約90%になったという。また、肝硬変のタンパク代謝(アルブミン)と生命予後の関係の調査では、タンパク質合成がうまく働かず血中アルブミン濃度が下がると3.5g/dLを境に5年生存率にも大きく影響する。 そのほか、C型肝炎患者に亜鉛製剤投与の長期間経過観察(2,500日超)では、亜鉛濃度が80μg/dL以上維持できた場合、有意に発がん率が少なかったこと、動物モデルではあるが亜鉛投与で肝臓の線維化が抑制されたことなどが報告された。 臨床現場で使用されている「肝硬変診療ガイドライン2015(栄養編)」の中では、亜鉛補充は「中等度のエビデンス」とされ、亜鉛の必要性は認識されているもののエビデンスレベルが低く、今後エビデンスの集積が待たれるという。 最後に片山氏は「次回の改訂では、ガイドラインの栄養療法の項目で、エネルギー低栄養を認めたら低亜鉛血症への診療へと移る項目ができることを期待したい」と抱負を述べ、レクチャーを終えた。

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うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

 うつ病治療は進歩しているにもかかわらず、3分の1のうつ病患者は、従来の抗うつ薬では対応できていない。副作用の少ない、より効果的な治療が求められている。ドイツ・フライブルク大学のJohannes Naumann氏らは、うつ病性障害を有する成人において温熱浴がうつ症状を軽減するかを検討した。BMC complementary and alternative medicine誌2017年3月28日号の報告。うつ病患者において温熱浴が一般的に有用であることが示唆された ランダム化2アームプラセボ対照8週間のパイロット試験として実施した。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)17項目版のスコア18点以上の中等度のうつ病であった安定したうつ病性障害(ICD-10:F32、F33)の外来患者を対象に、週2回の温熱浴(40℃)群またはグリーンライトによる偽介入群に無作為に割り付け、4週間介入を行った後、さらに4週間フォローアップを行った。主要アウトカム指標は、ベースライン(T0)から2週間時点(T1)までのHAM-D総スコアの変化量とした。 うつ病患者の温熱浴効果の主な結果は以下のとおり。・うつ病患者36例が、温熱浴群17例、偽介入群19例に無作為に割り付けられた。・intention-to-treat分析では、T1における温熱浴群(温熱浴4回実施後)は、偽介入群と比較し、HAM-D総スコア3.14点の有意な差が認められた(p=0.037)。 著者らは「本パイロット試験で、温熱浴がうつ病患者において一般的に有用であることが示唆された」としている。

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長門流 認定内科医試験BINGO!総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.1

第1回 膠原病/アレルギー 第2回 感染症 第3回 呼吸器 第4回 腎臓 認定内科医試験に向けた全3巻の実践講座の第1巻です。重要ワードは「頻出」。長年試験問題を分析し続けている長門先生が、実際の試験問題に近い予想問題を作成し、頻出ポイントをテンポよく解説します。もちろん最新のガイドラインのアップデートにも対応。各科目で試験に問われやすいポイントを押さえていますので、認定内科医試験はもちろん、総合内科専門医試験を受ける先生方も確実に得点アップにつながります。年々難しくなっているといわれる内科系試験。このDVDでぜひ合格を勝ち取ってください。第1回 膠原病/アレルギー 膠原病/アレルギーは、アップデートが頻繁な分野ですが、それを一つひとつキャッチアップするのは大変です。基本的なところを逃さないように得点していきましょう。頻出の問題やガイドラインのアップデートなど、しっかりと確認してください。第2回 感染症 感染症領域は、時事的な問題や感染対策、感染予防に関する問題がよく出題される傾向があります。代表的な感染症に加え、新興再興感染症、感染対策についても、しっかり押さえておいてください。第3回 呼吸器 呼吸器の領域では、X線やCTなどの画像から、診断・解答させる問題が増えています。そのほか、日本呼吸器学会の市中肺炎重症度分類(A-DROP)についてや、結核病巣の病理組織像など、頻出問題をよく確認しておきましょう。第4回 腎臓 腎臓の領域は、ネフローゼ症候群に関しての問題が多いので、細かいところまできちんと確認しておきましょう。また、「薬剤性腎障害診療ガイドライン2016」や「急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン」は要チェックです。

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医師が知っておきたいレセプトの話

※ケアネットでは、本コーナーの記事内容から離れた、個別のレセプト請求や照会などに関する回答および取り次ぎは行っておりません。あらかじめご了承ください。High-Z Inc. ハイズ株式会社所在地新宿本社 東京都新宿区大久保1‐1‐10 グンカン東新宿ビル502汐留オフィス 東京都港区東新橋1‐2‐10 パル汐留ビル 9階TEL03-6280-6987 (代表)URLhttp://www.highz-inc.jp/index.html代表者裵 英洙業務内容医療機関向け経営コンサルティング業務ヘルスケアビジネスのアドバイザー業務講演・執筆 など

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第1回 そもそもレセプトって何ですか? ~日本の医療保険制度の概要【医師が知っておきたいレセプトの話】

さて初回は、日本の医療保険制度の仕組みをおさらいしておきましょう。日本の医療保険制度の特徴日本の医療保険制度の特徴は以下の3点です。1)国民皆保険制度国民全員を公的医療保険でカバー2)フリーアクセス受診する医療機関を国民が自由にチョイス3)現物給付医療サービスは直接給付(一部自己負担金あり)日本の医療保険制度の仕組み画像を拡大する図のように、私たちは国民皆保険制度の下、国民健康保険、全国健康保険協会(通称「協会けんぽ」)、共済組合など、必ずいずれかの医療保険に加入しています。そして、各々の「保険者」に毎月保険料を納付しています。けがをしたり体調を崩したりして、診療所や病院にかかった場合、一部の自己負担金(年齢や所得により自己負担割合は変化)を支払い、医療サービスを「現物給付」してもらいます。現物給付とは、現金をもらうのではなく、「医療行為というサービス」そのものをもらうことです。一方、医療サービスを提供した医療機関は、患者からの自己負担金以外の残りの金額を「審査支払機関」に請求し、支払いを受けることで、すべての対価を手にすることになります。このときに提供された医療サービスの対価として支払われる料金が、「診療報酬」なのです。よく耳にする“レセプト”とは、このときに医療機関が請求する「診療報酬明細書」のことです。「審査支払機関」は、「医療機関」から請求された金額の内容をチェックし、適正と判断した診療報酬を「保険者」に請求し、「保険者」から支払われた診療報酬を「医療機関」に支払っています。「審査支払機関」が内容のチェックを行い、適正でないと判断された場合、請求理由に問題があるとして減額されることを「査定(さてい)」、内容に不備があるとして医療機関に差し戻されることを「返戻(へんれい)」といいます。今回は、医師の方々が日々提供している診療がどのような制度の下で行われているか、それに付随する診療に関わるお金の流れをまとめてみました。しっかり診療した後のきっちりした報酬の流れも理解しておくと、日々頑張っている診療の意味をより深く考えるきっかけになりますね。次回からは「審査支払機関」、「レセプト」、「査定」、「症状詳記」など、医師の先生方が気になるテーマごとに、もう少し掘り下げてみていきましょう。

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