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軽症喘息への低用量吸入ステロイドは?/Lancet

 症状発現頻度が週に0~2日の軽症喘息患者に対する低用量吸入コルチコステロイド(ICS)の投与は、症状増悪リスクを減らし、肺機能低下の予防効果もあることが示された。オーストラリア・シドニー大学のHelen K. Reddel氏らが、7,000例超の患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験「START」の、事後解析の結果で、Lancet誌オンライン版2016年11月29日号で発表した。ICSは、喘息増悪と死亡率の低下に非常に有効であるが、症状発現頻度の低い喘息患者は、投与の対象に含まれていない。一方で、週に2日超の患者への投与は推奨されているが、そこを基準とするエビデンスは乏しかった。初回重度喘息関連イベント発生までの期間を比較 START(Steroid Treatment As Regular Therapy)試験は、32ヵ国の医療機関を通じて、2年以内に軽症の喘息診断を受け、コルチコステロイドの定期服用歴のない、4~66歳の患者7,138例を対象に行われた。被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方には吸入ブデソニド400μg(11歳未満は200μg)/日を、もう一方の群にはプラセボが投与された。被験者は3ヵ月ごとにクリニックを受診、試験は3年間にわたって行われた。 主要評価項目は、初回重度喘息関連イベント(SARE:入院・救急外来診察・死亡)発生までの期間と、気管支拡張薬投与後の肺機能のベースラインからの変化だった。 ベースラインでの症状発現頻度により被験者をグループ化し、同評価項目との関連について分析した。重度増悪リスクもおよそ半減 ベースラインの被験者は、平均年齢24(SD15)歳、症状発現頻度は、週に0~1日が31%、1超~2日が27%、2日超が43%だった。 SARE発生までの期間は、ベースラインの症状発現頻度別の全グループで、ICS群がプラセボ群より長かった。ICS群 vs.プラセボ群のハザード比は、0~1日/週グループが0.54(95%信頼区間[CI]:0.34~0.86)、1超~2日/週グループが0.60(0.39~0.93)、2日超/週グループが0.57(0.41~0.79)だった(相互作用に関するp=0.94)。 ベースラインから3年時点の、気管支拡張剤投与後の肺機能低下もいずれもプラセボ群よりも少なかった(相互作用に関するp=0.32)。 さらに、経口・全身性コルチコステロイド投与を必要とする重度増悪の発生頻度も、すべての頻度グループで減少した(各グループの率比、0.48、0.56、0.66、相互作用に関するp=0.11)。 ICS群はプラセボ群に比べ、ベースラインの症状発現頻度にかかわらず肺機能が高く(相互作用のp=0.43)、無症状日数も有意に多かった(全3グループのp<0.0001、相互作用のp=0.53)。 これらの結果は、被験者をあらゆるガイドラインに則っていわゆる軽症持続型 vs.間欠型で層別化しても、類似していた。 著者は、「結果は、ICS投与について、週に2日超の患者という設定は支持しないものだった。軽症喘息患者に対する治療推奨は、リスク低下と症状の両方を考慮すべきであることを示唆する結果だった」とまとめている。

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飽和脂肪酸の多量摂取、冠動脈性心疾患リスクを増大/BMJ

 主要な飽和脂肪酸(SFA)の多量摂取は、冠動脈性心疾患リスクを増大することが、大規模コホート試験で確認された。また、摂取SFAのうち大半を占めるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の摂取エネルギーを、不飽和脂肪酸や植物性タンパク質などに置き換えると、同発症リスクは有意に低下し、なかでもパルミチン酸の置き換え低減効果が大きいことも示された。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のGeng Zong氏らが、医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)と看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の男女2つの大規模コホートについて分析し明らかにしたもので、これまで大規模コホート試験で、個別の飽和脂肪酸と冠動脈性心疾患の関連を示した研究結果はほとんどなかったという。BMJ誌2016年11月23日号掲載の報告。 米国男女大規模コホート2試験で検証 研究グループは、1984~2012年の看護師健康調査に参加した女性7万3,147例と、1986~2010年の医療従事者追跡調査に参加した男性4万2,635例の2つのコホートについて、前向き縦断コホート試験を行った。被験者は、ベースラインで主な慢性疾患が認められない人とした。 被験者のうち、追跡期間中に冠動脈性心疾患の診断を受けたことを自主申告した7,035例について、診療記録で確認をした。また、関連死については、全米死亡記録(NDI)や近親者、郵便局から裏付けをとった。 4種の飽和脂肪酸摂取量のCHDリスク、最高五分位群 vs.最小五分位群は1.18倍 飽和脂肪酸が追跡期間中の総エネルギー摂取量に占める割合は、9.0~11.3%で、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の4種がその大部分を占めた。これら4種の飽和脂肪酸は、冠動脈性心疾患の発症と強い相関関係があり、スピアマンの順位相関係数は0.38~0.93(すべてp<0.001)だった。 生活習慣要因と総エネルギー摂取量について多変量補正後、それぞれの飽和脂肪酸の摂取量の最高五分位群 vs.最小五分位群のハザード比は、ラウリン酸が1.07(95%信頼区間[CI]:0.99~1.15、傾向p=0.05)、ミリスチン酸が1.13(1.05~1.22、傾向p<0.001)、パルミチン酸が1.18(1.09~1.27、傾向p<0.001)、ステアリン酸が1.18(1.09~1.28、傾向p<0.001)、4種複合飽和脂肪酸で1.18(同:1.09~1.28、傾向p<0.001)だった。 4種の飽和脂肪酸から摂取するエネルギーの1%相当分を、多価不飽和脂肪に置き換えることで、同ハザード比は0.92(p<0.001)に、また1価不飽和脂肪酸に置き換えると0.95(p=0.08)、全粒炭水化物では0.94(p<0.001)、植物性タンパク質では0.93(p=0.001)とリスクは減少することが示された。また、単体ではパルミチン酸を置き換えることによるリスク低下が最も大きく、ハザード比は多価不飽和脂肪に置き換えると0.88(p=0.002)、1価不飽和脂肪酸0.92(p=0.10)、全粒炭水化物0.90(p=0.01)、植物性タンパク質0.89(p=0.01)だった。

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視神経乳頭出血と緑内障発症の新たな関連

 視神経乳頭出血は、高眼圧患者における原発開放隅角緑内障(POAG)発症の独立した予測因子である。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のDonald L Budenz氏らが、前向きコホート研究Ocular Hypertension Treatment Study(OHTS)の参加者を対象とした検討において明らかにした。さらに、視神経乳頭出血の予測因子は、高眼圧患者におけるPOAGの予測因子と非常に類似していたことも示された。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年11月7日号掲載の報告。 研究グループは、POAGの発症に及ぼす視神経乳頭出血の影響、ならびに視神経乳頭出血の予測因子を検討する目的で、OHTSの参加者1,618例3,236眼を対象に、毎年行われた立体眼底写真を用い、POAG発症前後の視神経乳頭出血の出現を調べた。 多変量比例ハザード回帰モデルを用い、POAG発症前後の視神経乳頭出血発生率、POAGに関する視神経乳頭出血のリスクおよび視神経乳頭出血のリスク因子について解析した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値13年後に、169例179眼で1ヵ所以上の視神経乳頭出血が検出された。・視神経乳頭出血の発生率は、POAG発症前の平均13年間で年0.5%、POAG発症後の平均6年間で年1.2%であった。・POAGの累積発症率は、視神経乳頭出血を認めた眼で25.6%に対して、視神経乳頭出血のない眼では12.9%であった。・多変量解析の結果、視神経乳頭出血の発生はPOAGの発症リスクを2.6倍高めることが示された(95%信頼区間:1.7~4.0、p<0.0001)。・視神経乳頭出血のリスク因子としては、観察群への無作為化、高齢、中心角膜厚が薄い、垂直視神経乳頭陥凹径/視神経乳頭径比(VCDR)高値、高眼圧、自己申告の黒色人種が同定された。

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科学的検証の重要性(解説:岡 慎一氏)-622

 妊婦、とくに母子感染予防に関するランダム化比較試験(RCT)は、なかなかやりにくいというのが定説であった。事実、HIV母子感染予防に関しても、AZT単剤の時代およびAZT+3TC+LPV/rが広く使われてきた時代においても、RCTのエビデンスに基づく結果からは少なく、主としてアフリカでの使用経験からの推奨であった。 WHOは、2015年改訂の治療ガイドラインで、妊婦も含めTDF/FTC/EFVの合剤を使用するよう推奨した。WHOガイドラインの途上国に対するインパクトは絶大なものがあり、おそらく感染妊婦の多いアフリカやアジアの国々では、今後この組み合わせによる母子感染予防が行われると考えられる。これに対し、今回の研究では、AZT単剤、AZTをベースとする併用療法(もっともよく使用されてきたもの)、TDFをベースとする併用療法(今後増える可能性がある)の3群でRCTを行った結果の報告である。 今回のRCTによる科学的な研究の結果は、TDFベースの予防は、感染予防には効果が高いが、乳児死亡率は高く、トータルでの有効性・安全性はAZT単剤群と同等であった。この研究が、今後どのように位置付けられるのか非常に興味深い。

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軽度認知障害、5年後の認知症発症率は

 軽度認知障害(MCI)から認知症への進行率を推定し、ドイツのプライマリケア診療における患者の潜在的リスク要因を特定するため、ドイツ・Berufsverband Deutscher NervenarzteのJ Bohlken氏らが検討を行った。Fortschritte der Neurologie-Psychiatrie誌オンライン版2016年11月15日号の報告。 一般医師723人の診療より、2000~14年にMCIと診断された40歳以上の患者4,057例を対象とした。主要アウトカムは、診断から5年間のフォローアップ期間中のすべての認知症診断とした。交絡因子(年齢、性別、健康保険タイプ)により調整した後、MCIから認知症への進行を調査するために、Cox回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は、73.9歳であった。・男性は43.9%、民間保険加入者は5.2%であった。・5年間のフォローアップ後、女性の27.4%、男性の25.7%は認知症であった(p=0.192)。・認知症割合は、60歳以下で6.6%、80歳超で39.0%と年齢とともに増加しており、ハザード比は1年ごとに増加していた(HR=1.06)。・MCI診断後5年間で、4人に1人の患者は認知症を発症していた。・性別や健康保険タイプとは別に、年齢が認知症発症ハイリスクと関連していた。関連医療ニュース MRIで軽度認知障害からの進行を予測 MCIから初期アルツハイマー病を予測、その精度は MCIからAD、DLBへの進行を予測するには:順天堂大

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9価HPVワクチン、9~14歳への2回接種は男女とも有効/JAMA

 9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(メルク社製)の免疫原性について、9~14歳の男女児への2回投与(6または12ヵ月間隔で)は16~26歳の若年女性への3回投与(6ヵ月間で)に対し非劣性であることが、ノルウェー・ベルゲン大学のOle-Erik Iversen氏らによる非盲検非劣性免疫原性比較試験の結果、報告された。HPV感染は性器・肛門がん、疣贅を引き起こす。9価HPVワクチンは、子宮頸がんの90%に関与する高リスクの7つの型、および疣贅の90%に関与する2つの型のHPVに予防効果を示し、従来の2価および4価のHPVワクチンよりもカバー範囲が広い。JAMA誌オンライン版2016年11月21日号掲載の報告。16~26歳の若年女性への3回投与と比較 検討は、15ヵ国52の外来ケア施設で行われた。2013年12月16日にスタートし、被験者登録が締め切られたのは2014年4月18日、被験者への最終評価は2015年6月19日に行われた。 次の5つのワクチン接種コホートに被験者を登録し、免疫原性について評価した。(1)9~14歳の女児に6ヵ月間隔で2回投与(301例)、(2)9~14歳の男児に6ヵ月間隔で2回投与(301例)、(3)9~14歳の男児・女児に12ヵ月間隔で2回投与(301例)、(4)9~14歳の女児に6ヵ月間で3回投与(301例)、(5)16~26歳の若年女性に6ヵ月間で3回投与(314例、標準対照群)。 主要エンドポイントは、事前に規定した最終接種後1ヵ月(4週)時点で、競合的免疫検定法で評価したHPV各型(6、11、16、18、31、33、45、52、58)の免疫獲得についてだった。(1)~(3)の3つの2回投与群を標準対照群と比較し、各HPVの幾何平均抗体価(GMT)の率比を算出。非劣性マージンを両側95%信頼区間(CI)(=片側97.5%CI下限値)0.67として評価した。男児・女児、6ヵ月または12ヵ月間隔で2回接種について非劣性を確認 全被験者1,518例は、女児が753例(平均年齢11.4歳)、男児が451例(同11.5歳)、若年女性は314例(同21.0歳)であった。1,474例が試験投与を完了し、データが得られた1,377例について解析した。 最終接種後4週時点で、2回投与の男女児のHPV免疫獲得は、標準対照群に対し非劣性であった(HPV各型のp<0.001)。標準対照群との比較によるHPV各型のGMT率比の片側97.5%CI下限値は、(1)群では1.36(HPV-52)~2.50(HPV-33)、(2)群では1.37(HPV-45)~2.55(HPV-33)、(3)群では1.61(HPV-45)~5.36(HPV-33)にわたっていた。なお、上限値はすべて∞であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、免疫獲得の持続性と臨床的アウトカムへの効果を評価する必要がある」と述べている。

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医師の退職時期は? 早期退職の理由は?

 医師の退職計画と時期は、患者・病院・医療システムにとって重要である。無計画な早期の退職や遅い退職は、患者の安全性と人員配置の両方で悲惨な結果を招く。カナダ・トロント大学のMichelle Pannor Silver氏らは、医師の退職時期やプロセスにおける以下の4つの問い、(1)医師はいつ退職するのか?(2)なぜ早期退職するのか?(3)なぜ退職を遅らすのか?(4)どのような戦略が医師の定着や退職計画を促進するのか?について、既報の系統的レビューによって調査した。Human resources for health誌2016年11月号に掲載。 著者らは、MEDLINE、Web of Science、Scopus、CINAHL、AgeLine、Embase、HealthSTAR、ASSA、PsycINFOで2016年3月までの英語論文を検索した。退職に関する医師の計画や考えについて量的と質的の両方またはどちらかで解析されている、主要ジャーナルの査読論文65報を同定した。ほとんどが横断研究であった。 主な結果は以下のとおり。・一般的に60~69歳に退職していた。・早期退職の理由として、「過大な仕事量」と「燃え尽き」が頻繁にみられた。・経済的債務が退職を遅らせていた。・キャリアにおける不満、職場でのフラストレーション、仕事量のプレッシャーを緩和することが、仕事の継続をサポートしていた。

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食事が喫煙者の肺機能保護に関わる可能性

 禁煙だけでなく、食事が喫煙者の肺機能保護に関わる可能性が、スペインのSorli-Aguilar M氏らによる研究で明らかになった。BMC Pulmonary Medicine誌2016年11月25日号掲載の報告。 食事が肺機能に対して与える影響はあまり知られていない。肺機能低下の主な原因は喫煙だが、食習慣との関連も示唆されている。野菜や果物に含まれる抗酸化ビタミン(C、D、E、β-カロテン)や各種ミネラル、食物繊維、フィトケミカル、そして魚介類に含まれるオメガ-3脂肪酸の摂取が呼吸器の健康と関連するとされる一方で、加工肉や過度のアルコール摂取は肺機能低下と関連するという報告も存在する。 本研究では、呼吸器疾患を持たない喫煙者(n=207、35~70歳)を対象に、食事パターンと肺機能の関連が検討された。対象者の食事パターンは、食物摂取頻度調査の結果を主成分分析(PCA)にかけることで決定された。肺機能の低下はFVC<80%、FEV1<80%、FEV1/FVC<0.7のいずれかまたは複数該当する場合とされ、 ロジスティック回帰分析によって解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・肺機能低下は47名(22.7%)の対象者でみられ、男性の対象者でより多くみられた(男性30.8%、女性16.4%)。・対象者の食事パターンは、主にアルコール摂取型、西洋型、地中海型の3つのパターンに区分された。 ◆アルコール摂取型:  ワイン、ビール、蒸留酒などアルコール飲料の摂取が多い群 ◆西洋型:  肉類、乳製品、甘い飲料、菓子類の摂取が多く、果物、野菜、魚の摂取が少ない群 ◆地中海型:  鶏肉、卵、魚、野菜、芋類、果物、ナッツ、ドライフルーツの摂取が多い群・アルコール摂取型の食事パターンで肺機能低下との関連がみられ(オッズ比[OR]:4.56、95%信頼区間[CI]:1.58~13.18)、とくに女性においてその影響が大きかった(OR:11.47、95%CI:2.25~58.47)。・西洋型の食事パターンは、女性においてのみ肺機能低下との関連がみられた(OR:5.62、95%CI:1.17~27.02)。・地中海型の食事パターンと肺機能低下には関連がみられなかった(OR:0.71、95%CI:0.28~1.79)。・禁煙に加えて、食事パターンの見直しが肺機能保護に役立つ可能性がある。

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電子処方箋によって処方薬受け取り率が向上?

 処方薬の過小使用は臨床転帰不良と関連しており、米国では過小使用の多くは1次ノンアドヒアランス、すなわち、患者が処方薬を受け取っていないことが原因であるという。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のAdewole S. Adamson氏らは、医療の協調性を高めエラーを減少させると評価されている電子処方箋に着目し、1次ノンアドヒアランスへの影響について、後ろ向き研究で調べた。結果、紙処方箋と比較して電子処方箋では、1次ノンアドヒアランス率が低いことを明らかにした。また要因別の検証において、処方薬数、言語、人種/民族、年齢が、1次ノンアドヒアランスの増大と関連していることを明らかにした。JAMA Dermatology誌オンライン版2016年10月26日掲載の報告。 研究グループは、都市部にあるセーフティネット病院の皮膚科クリニック外来1施設において、2011年1月1日~2013年12月31日に皮膚科薬を処方された新規患者を対象に、診療記録を後ろ向きに解析し、1次ノンアドヒアランス(1年の期間内に処方薬を受け取らなかったことがある)について調査した。 主要評価項目は、全体の1次ノンアドヒアランス率、ならびに電子処方箋 vs.紙処方箋の1次ノンアドヒアランス率の差、副次的評価項目は、1次ノンアドヒアランスと性別、年齢、既婚・未婚、第一言語、人種/民族、処方薬数との関連であった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は2,496例(平均年齢[±標準偏差]47.7±13.2歳、男性849例、女性1,647例)、合計処方箋数は4,318枚であった。・全体の1次ノンアドヒアランス率は、31.6%(788/2,496例)であった。・1次ノンアドヒアランス率は、紙処方箋を発行された患者(31.5%)よりも電子処方箋の患者(15.2%)のほうが16%低かった。・年齢別にみた1次ノンアドヒアランス率は、70歳未満では加齢に伴い減少し(30歳未満38.9%、30~49歳35.3%、50~69歳26.3%)、70歳以上の高齢患者では増加した(31.9%)。・処方薬数別にみた1次ノンアドヒアランス率は、1種類、2種類、3種類、4種類および5種類でそれぞれ33.1%、28.8%、26.4%、39.8%および38.1%であった。・第一言語が英語の患者は、スペイン語またはその他の言語の患者と比較して1次ノンアドヒアランス率が最も高かった(それぞれ33.9%、29%、20.4%)。・著者は、「なぜ1次ノンアドヒアランスが起こるのか、どのような患者で起きやすいかを明らかにし、そしてアドヒアランスと医療の質を最大化するよう治療レジメンを単純化する必要がある」とまとめている。

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~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】

第1回 【認知症】アルツハイマー型とレビー小体型の違いは? 第2回 【認知症】どの薬をいつまで処方する? 第3回 【パーキンソン病】必ず押さえるパーキンソン病 診断のポイント第4回 【パーキンソン病】どの薬剤を選ぶ? 効果判定の指標は何? 第5回 【脳卒中】プライマリ・ケアで行うべき初期対応は? 第6回 【脳梗塞】知っておくべき抗血小板薬の使い方 第7回 【不随意運動】診方と伝え方 第8回 【めまい】中枢性を疑うポイントは? 第9回 【てんかん】間違えやすい疾患との鑑別のコツは? 第10回 【てんかん】どの薬剤を使い、いつ減量を考慮する? 第11回 【一次性頭痛】鑑別に役立つ質問は? 第12回 【一次性頭痛】治療戦略の組み立て方 第13回 【二次性頭痛】危険な頭痛を見分けるには? 第14回 【末梢神経障害】見つけるべきはギランバレー症候群だけじゃない 第15回 【しびれ】紹介すべきか経過観察かを見分ける 第16回 【神経難病】早期発見するための観察、問診の秘訣 「いつまで認知症治療薬を使うのか?」「振戦はカルテにどう表現したら伝わる?」「身体所見の取り方にコツはあるのか?」などの神経内科の診療に関わる疑問や悩みをプライマリ・ケア医視点で前野哲博氏が厳選。神経内科のスペシャリスト井口正寛氏が、日常診療に役立つノウハウを交えてズバリ解決します!第1回【認知症】アルツハイマー型とレビー小体型の違いは?認知症の代表的な病型、アルツハイマー型とレビー小体型の違いを知っておくことは認知症診療の要です。今回はズバリ、この2つを含む代表的な4つのタイプの違いをコンパクトに解説。また早期発見のコツについてもレクチャーします。第2回【認知症】どの薬をいつまで処方する?認知症治療薬のスタンダードはコリンエステラーゼ阻害薬。ではどのように効果を判定して、いつまで薬を服用させるべきか?対症療法だからこそ気を付けるべきことを、スペシャリストからじっくり伺います。第3回【パーキンソン病】必ず押さえるパーキンソン病 診断のポイントパーキンソン病は珍しくない変性疾患ですが、その診断には、その他のパーキンソン症候群との鑑別が必須です。短い診察時間でも鑑別を進められるよう、要所に絞って特徴を捉えたいところ。今回は身体診察の実演も加えてパーキンソン病診断のキーポイントを解説します!第4回【パーキンソン病】どの薬剤を選ぶ? 効果判定の指標は何? これを押さえればパーキンソン病治療で迷わなくなる!専門医が実践する治療の原則を伝授します。L-ドパとドパミンアゴニストはどう使い分けるのか、パーキンソン病治療で必ず直面するウェアリング・オフにどう対応するか、具体的な処方術は必見です!第5回【脳卒中】プライマリ・ケアで行うべき初期対応は? とっさの判断が予後を左右する脳卒中。超急性期治療には、適応できれば予後が格段によい治療法も普及し、スクリーニングと早期発見の重要性は高まるばかりです。ウォークインで来院しても、油断できないTIAのリスクをどう評価するかもプライマリケアで必須のポイント。今回はとっさに使える簡便な評価スケールと初期対応を伝授します!第6回【脳梗塞】知っておくべき抗血小板薬の使い方 今回は、最新の脳梗塞治療フローを解説。急性期から慢性期まで、プライマリケア医が知っておくべきポイントを伝授します。抗血小板薬の使い分けは必要?診療で気を付けるべき点は?アスピリンを予防投与に効果はある?など、脳梗塞治療に関する疑問をまとめて井口先生と解決します!第7回【不随意運動】診方と伝え方 不随意運動は分類が多くて苦手と感じる先生に朗報です!カルテの書き方だけでなく、本態性振戦とパーキンソン病の鑑別や分類ごとに具体的な処方術まで伝授。不随意運動診療のポイントを凝縮した10分は必見です!第8回【めまい】中枢性を疑うポイントは? めまいは不定愁訴のようであっても、脳梗塞など中枢性疾患を確実に除外しなければ安心できません。中枢性めまいを見落とさずに診断するには?今回は、末梢性めまいの特徴と、中枢性めまいを疑ったときの身体診察について解説。プライマリケアで継続治療していいめまいと紹介すべき中枢性の鑑別ポイントを伝授します。第9回【てんかん】間違えやすい疾患との鑑別のコツは? てんかん診断は患者さんの生活を大きく変えてしまいます。正確に疑うために、まずは除外すべき疾患を押さえましょう。専門医はどんな対応を行っているのか、そして、プライマリケア医に求められることを解説します。運転免許の更新や停止については日常診療で接するプライマリケア医に必須の情報ですから必ず確認しておきましょう。第10回【てんかん】どの薬剤を使い、いつ減量を考慮する? てんかんの診断と薬剤の決定は基本的に専門医が行いますが、最新の治療戦略と薬剤選択を理解しておくことは、プライマリケア医にとっても有用です。薬物療法開始のタイミングや減量を考慮する時期、頻用される薬剤とその副作用など、てんかん治療の要所を解説します。重積発作への対処は、4ステップのシンプルな対応フローを伝授!いざというときも慌てず対応できるよう、確実に覚えておきましょう!第11回【一次性頭痛】鑑別に役立つ質問は? 片頭痛や緊張型頭痛などの、非器質性頭痛をどう鑑別するか。典型的な特徴に当てはまらない場合でも、問診で見分けられるポイントは意外と多いのです。部位、発症年齢、症状の程度や随伴症状など、鑑別の手がかりを6つの項目に分けて解説します。第12回【一次性頭痛】治療戦略の組み立て方 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、それぞれに治療薬は何を使う?トリプタン製剤の使い分け、片頭痛予防薬の選択基準、慢性の緊張型頭痛に用いるべき薬剤などを明解に解説します。治療が難しい群発頭痛では、専門医が重視する生活指導内容も伝授します。第13回【二次性頭痛】危険な頭痛を見分けるには? 頭痛のレッドフラッグは6個。まずこれを冒頭で確認してください。とくに危険性の高い細菌性髄膜炎を疑う条件を紹介し、その他の髄膜炎との鑑別・治療の違いも解説。くも膜下出血の病像と、とくに注意すべき特徴、専門医に送る前にすべきことを伝授します。第14回【末梢神経障害】見つけるべきはギランバレー症候群だけじゃない 末梢神経障害というと、ギランバレー症候群を気にするプライマリケアの先生も多いですが、実はそれ以上に気を付けて発見してほしい疾患があります。膨大な鑑別疾患から気を付けるべき疾患を見分けるコツを伝授します。そのプロセスはシンプルかつ明快。今日から使えるスペシャリストの診断方法を番組でご確認ください!第15回【しびれ】紹介すべきか経過観察かを見分ける しびれはよくある訴えですが、稀にすぐに専門医に紹介すべき例が隠れています。この両者を見分ける条件を伝授。原因部位を3つに分類して数多い鑑別疾患をクリアに整理します。日頃から診る機会の多い中でも、レッドフラッグを見落とさず発見するワザを身に付けてください。第16回【神経難病】早期発見するための観察、問診の秘訣遭遇することはめったにない一方、見落としたくないのが神経難病。プライマリケアの現場でどんなことに気を付ければ、発見の糸口になるのでしょうか。異変に気付くためにスペシャリストは何に注目して診察を進めているか解説します。診察の時系列に沿って専門医の思考回路をたどることで、観察のポイントを押さえましょう!

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新しい戦略に基づく認知症新薬開発ものがたり(解説:岡村 毅 氏)-621

 臨床神経学の新しい時代の幕開けを告げる論文かもしれない。もっとも筆者は精神科医であり、神経学者からみれば素人みたいなものだ。東大にいると優秀な神経学者と親しく交流する機会が多く、彼らの頭脳明晰さには舌を巻く。きちんと解説できるだろうか…。一方で、万人に対してわかりやすく書くことは私の得意とする部分だと思い引き受けた。読み返すとやや劇画調だがご容赦いただきたい。 時は21世紀、社会的に影響の大きな疾患の多くは予防や治療が確立されつつある。しかし、アルツハイマー型認知症となると別だ。いまだ謎が残るこの病気は、アミロイドカスケード仮説に基づいて説明がなされる。アミロイドが蓄積し、その後タウ蛋白が細胞内に蓄積し、認知症になるというものだ。アミロイドの病理がこの病気の本質であり、タウはほかにもさまざまな疾患でみられる。 現在われわれが手にしている「薬」は、病気の本質であるアミロイドにはまったく関係のない薬である。たとえば、コリン系を賦活して脳を元気にすることで認知機能の改善を目指したりするのだ。本丸であるアミロイドを目標とした創薬は長くなされているが、絶望的なまでに失敗が続いている。そもそも、発症のずいぶん前からアミロイドはすでに蓄積しているので、この戦いは容易には勝たせてもらえないことは明らかだ。 ところで近年、生体での脳内のタウの可視化ができるようになりつつあり、タウは正常高齢者でも蓄積していくが、アミロイドが存在すると側頭葉内側からあふれ出し、全脳へと広がっていくことがわかってきた。実はこれは、ドイツの偉大な神経病理学者Braak氏が前世紀に予言した通りの広がり方であったのだ。となれば、タウを抑えることで病気を抑えられるのではないか、という新しい戦略に基づいた創薬が可能かもしれないと、世界中が色めき立っている。 今回の報告は残念なものであった。タウ凝集阻害剤は、中程度以上のアルツハイマー型認知症の患者に対しては効果を持たなかった。だが安心してよい、まだこの物語は始まったばかりである。 最後に一言。歴史を振り返ってみれば、変性疾患の研究ではわが国は巨人を輩出してきた。独断で挙げると、前頭側頭型認知症(大成氏)、レビー小体型認知症(小阪氏)、そしてアルツハイマー型認知症(井原氏、杉本氏、岩坪氏ら)である。神経学者たちの真摯な研究姿勢を知るものとしては、日本から再びチェンジメーカーが現れるに違いないと、私は確信している。

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「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第3回

■外来NGワード「運動する時間をつくりなさい!」「休みの日なら運動できるでしょ!」「運動できないなら、もっと食事に気を付けなさい!」■解説 「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という言葉の裏には、「運動したいと思っているが、まとまって運動する時間がとれない」という気持ちがあります。まずは、「若いころはどんなスポーツや運動をやっていたのですか?」と過去の運動歴を確認してみましょう。運動習慣がある人なら、ウォーキングや筋トレなどの運動方法は、熟知しているはずです。次に、「運動は20分以上しないと効果がない」と勘違いしていないかを確認します。もし、「20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と勘違いしているようなら、最新の運動に関するエビデンスを紹介し、1回10分×3回の細切れ運動でも、1回30分の運動と同等の体力や減量に効果があることを説明します。運動は習慣化が重要です。最初は1日に2回の細切れ運動からスタートします。「1日の中で10分の運動ができる時間帯はありますか?」と尋ねてみます。1駅前で降りることで、通勤時の行き帰りに10分×2回の運動ができる人がいます。休み時間に運動の時間をつくる人もいます。これらの患者の心理とエビデンスを知ったうえで、「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さんには、次のように話してみてはいかがでしょうか? ■患者さんとの会話でロールプレイ医師運動のほうはいかがですか?患者運動不足なのはよくわかっているんですが、運動する時間がなかなかとれなくて…。医師なるほど。若いころはどんなスポーツや運動をされていましたか?(過去の運動歴の確認)患者学生時代はサッカーをしていました。医師そうでしたか。それなら、走れる体力はありそうですね。患者それが、なかなか走れる時間がとれなくて…。医師なるほど。それなら、いい方法がありますよ。患者それは何ですか?(興味津々)医師「昔は20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と考えられていたんですが、実はそうではないんです。患者私もそう思っていました。医師1回30分の運動でも、1回10分の運動を3回する細切れ運動でも、トータルで30分なら同じような効果が得られるそうですよ(細切れ運動を紹介)。患者そうなんですか!?医師そうなんです。それを週に5回行うことができれば、週に150分の運動となり、減量や血糖改善に効果が上がると思いますよ(週当たりの目標を説明)。患者それなら、スキマ時間に歩くようにしてみます(うれしそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「細切れ運動でも効果がありますよ!」1)Murohy MH, et al. Med Sci Sports Exerc. 1998;30:152-157.2)Schmidt WD, et al. J Am Coll Nutr. 2001;20:494-501.3)Jakicic JM, et al. Int J Obes Relat Metab Disord. 1995;19:893-901.4)Jakicic JM, et al. JAMA. 1999;282:1554-1560.5)Vlachopoulos D, et al. BMC Public Health. 2015;15:361.6)Eguchi M, et al. Ind Health. 2013;51:563-571.7)Samuels TY, et al. Prev Med. 2011;52:120-125.

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ヘパリン起因性血小板減少症〔HIT:heparin-induced thrombocytopenia〕

1 疾患概要■ 定義ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia: HIT)は、治療のために投与されたヘパリンにより血小板が活性化され、血小板減少とともに新たな血栓・塞栓性疾患を併発する病態である。■ 疫学HITの頻度は報告によりさまざまであるが、欧米では約1~3%とされている。わが国においては多施設共同前向き観察研究の結果、ヘパリン治療を受けた患者の0.1~1%程度の発症率と考えられ1)、海外と比較してやや低い発症率と考えられる。■ 病因HITの発症において、血小板第4因子(platelet factor 4: PF4)とヘパリンの複合体に対する抗体(HIT抗体)が中心的な役割を果たす。PF4は、血小板α顆粒に貯蔵されているケモカインであり、血小板活性化に伴って流血中に放出される。PF4は血管内皮細胞上のヘパラン硫酸などのヘパリン様物質と結合するが、投与されたヘパリンはこの内皮細胞上のPF4と複合体を形成し、その結果PF4に立体構造の変化、新たなエピトープが露出すると推定されている。PF4・ヘパリン複合体に対してHIT抗体が産生され、HIT抗体はそのFab部分でPF4分子を認識する一方、そのFc部分が血小板上のFcγRIIA受容体に結合して、血小板を強く活性化する。また、HIT抗体は血小板のみならず、血管内皮細胞や単球の活性化も引き起こし、最終的にはトロンビンの過剰生成につながる。トロンビンは凝固系の中心的役割を担うだけでなく、血小板も強く活性化し、HITにおける病態の悪循環形成に関与していると考えられる2)。■ 症状典型例ではヘパリン投与の5~10日後にHITの発症を見るが、過去3ヵ月以内にヘパリンを投与された既往のある症例などでは、すでにHIT抗体が存在するためにヘパリン投与後HITが急激に発症することもある。通常血小板数は50%以上、また10万/μL以下に減少する。HIT症例では注射した部位に発赤や壊死などが起きやすい。HIT症例の35~75%に動静脈血栓症が起きるが、血栓症がすぐに起きない症例でもヘパリンを中止し、他の抗凝固療法を行わないと血栓症のリスクが高くなる。静脈血栓症としては深部静脈血栓、肺梗塞、脳静脈洞血栓などが知られるとともに、静脈血栓症より頻度は少ないが、動脈血栓症としては上下肢の急性動脈閉塞、脳梗塞、心筋梗塞などが起きる。■ 分類従来、ヘパリン投与後の血小板減少症は2つの型に分類されてきた。1型はヘパリン投与患者の約10%に認められ、ヘパリンの直接作用による非免疫性の機序で血小板減少が起きる。ヘパリン投与直後より、一過性の軽度から中等度の血小板減少が起きるが、血小板数は10万/μL以下になることは少なく、また、血栓症を起こすこともない。現在では本当の意味のHITではないと考えられ、ヘパリン関連性血小板減少症とも呼ばれる。2型は、免疫学的機序による血小板減少症と動静脈血栓症が起きるもので、現在はHITというと、この2型を意味する。2型には血小板減少が、ヘパリン投与後5~14日で起きる典型例と、直近(約100日以内)のヘパリン投与などにより、HIT抗体が高抗体価である患者にヘパリン投与した場合、数分から1日以内に急激に発症する症例があり、「急速発症型」と名付けられている。■ 予後HITの適切な治療が行われなかった場合、約50%の患者に動脈血栓症、静脈血栓症が起き、死亡率は10%を超える。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床診断ヘパリン投与後の血小板減少の程度、発症期間、血栓症の合併、注射した部位の発赤や壊死などのHITの臨床的特徴を用いた4T スコアリングシステムが開発され、臨床的に有用とされている3)(表)。低スコア(0~3)の場合は、ほぼHITの存在が否定できる。中間スコア、高スコアとHITの確率は高くなるが、血清学的診断の結果も考慮して、総合的に診断を行うことで、現在散見されるHITの過剰診断を防ぐことができる。画像を拡大する■ 血清学的診断免疫測定法などによるPF4・ヘパリン複合体検出法とHIT抗体が血小板を活性化させることを利用した機能的測定法がある。1)免疫測定法ELISA法、ラテックス凝集法、化学発光免疫測定法などがあり、後2法は保険収載されている。HIT検出の感度は高い(80~100%)が、特異度はやや低いとされており、免疫測定法によるHIT抗体陰性の症例はほぼ(90~99%)HITを否定しても良いとされている。偽陽性率が多い原因は、臨床的に意味がないと考えられているIgMやIgAを、実際にHITを引き起こすIgGとともに測り込んでしまうためと考えられている。強陽性例(とくにIgG抗体)は、弱陽性例よりもHITである可能性が高いと報告されている。2)機能的測定法HIT抗体が実際に血小板を強く活性化させるかどうかを判定する機能的測定法は、とくに特異度に優れており、臨床的にHITが疑われ、機能的測定法が陽性であれば、HITの診断に強く繋がる。患者血漿、ヘパリンを健康な人の血小板に加え、血小板凝集能を測定する方法、セロトニン放出などでHIT抗体の存在を評価する方法が行われている。ただ、機能的測定法は、高いクオリティコントロールと標準化を必要とし、わが国では研究室レベルにとどまる。最近、わが国では、HIT抗体により活性化された血小板より産生される血小板マイクロパーティクルをフローサイトメトリーで測定することにより、機能検査を行っている施設があり、臨床的に有用との評価を得ている4)。3 治療HITが疑われる場合は、ただちにヘパリンを中止し、HITの確定検査を行いながら、代替の抗凝固療法を始める。治療薬として投与されているヘパリンのみならず、ヘパリンロック、ヘパリンコーティングカテーテルなども中止する必要がある。また、HITによる血栓症がすでに起きてしまった場合は、血栓溶解療法、外科的血栓除去術も必要になることがあるが、この適応についてのわが国でのエビデンスは乏しい状態である。ワルファリン単独療法は、protein C、Sなどの低下によりかえって血栓症を増悪し、皮膚壊死などを来すので、禁忌である。ワルファリンは、抗トロンビン剤などの投与により血小板数がある程度回復したときに、投与を始め、臨床症状が安定化してからワルファリン単独投与に切り替える。アスピリンなどの抗血小板剤も、適応のある治療法とは認められていない。■ アルガトロバンとダナパロイドHITの治療法としてわが国で使用可能な薬剤は、アルガトロバン(商品名: ノバスタンHI、スロンノンHI)とダナパロイド(同: オルガラン)である。1)アルガトロバン合成トロンビン阻害剤であり、以前より脳血栓急性期、慢性動脈閉塞症などで認可されているが、最近になり医師主導型治験の結果、HITの治療薬として薬事承認された。アルガトロバンの初期投与量は、アメリカでは2.0μg/kg/分であり、aPTTを使用として投与前値の1.5~3倍になるように投与量を調節することが推奨されているが、日本人でこの量では出血傾向が起きるようであり、わが国での推奨初期投与量は0.7μg/kg/分(肝機能障害者では0.2μg/kg/分)である。2011年にはさらにHIT患者における体外循環時の灌流血液の凝固防止、HIT患者における経皮的冠動脈インターベンション(PCI)にも適応が拡大された。2)ダナパロイド低分子量のヘパリノイドであり、ヨーロッパ、北米などでHIT治療薬として使用され、その有効性は確認されている。わが国では播種性血管内凝固症候群(DIC)への適応は承認されているが、HITへの治療量についてはまだ確立していない。ダナパロイドの添付文書では、HIT抗体がこの薬剤と交差反応する場合は、原則禁忌と記載されているが、最近の大規模臨床研究では、ヘパリンとの交差反応(血清反応および血小板減少や新規の血栓症発生などの臨床経過より評価)は3.2%とかなり低い値であった5)。アルガトロバンと異なり胎盤通過性がないなどの利点があり、症例によってはわが国でも選択されるべき薬剤の1つであろう。4 今後の展望HITは、わが国における一般の認識度の増加とともに症例数が増加してきており、簡便で信頼性のある診断方法の開発が望まれる。新規経口抗凝固薬(NOAC)のHIT治療薬としてのエビデンスはまだ少ないが、これから検討が進むことが期待される。5 主たる診療科輸血部、心臓血管外科、循環器内科 など患者を紹介すべき施設国立循環器病研究センター病院 輸血管理室6 参考になるサイト診療・研究情報国立循環器病研究センター病院 輸血管理室(医療従事者向けのまとまった情報)NPO法人 血栓止血研究プロジェクト HITセンター(医療従事者向けのまとまった情報)1)Kawano H, et al. Br J Haematol. 2011;154:378-386.2)Warkentin TE. Curr Opin Crit Care. 2015;21:576-585.3)Greinacher A. N Engl J Med. 2015;373:252-261.4)Maeda T, et al. Thromb Haemost. 2014;112:624-626.5)Magnani HN, et al. Thromb Haemost. 2006;95:967-981.公開履歴初回2016年12月6日

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双極性障害、摂食障害合併はとくに注意が必要

 肥満は精神障害ではないが、DSM-5では、肥満と精神症候群との強い関連性を認めている。双極スペクトラム障害(BSD)やむちゃ食い障害(Binge Eating Disorder:BED)は、肥満患者において頻繁にみられる精神障害である。イタリア・University Magna Graecia of CatanzaroのCristina Segura-Garcia氏らは、肥満患者における、これら併存疾患に伴う精神病理学的相違と特有の接触行動を調査した。Journal of affective disorders誌2017年1月号の報告。 対象は、肥満患者119例(男性40例、女性79例)。心理学的評価および精神医学的インタビューを受け、栄養士が食生活の評価を行った。患者は、併存疾患により4群に分け、比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者の41%はBED+BSD合併(グループ1)、21%はBED(グループ2)、8%はBSD(グループ3)、29%の肥満患者だけが合併症を有していなかった(グループ4)。・女性は、グループ1,2において比率が高かった。・双極性障害II型、他の特定および関連する双極性障害(OSR BD)は、グループ1で多く、双極性障害I型はグループ3で多かった。・摂食行動と精神病理における重症度の減少傾向は、併存症により明確な違いがあった(グループ1=グループ2>グループ3>グループ4)。 著者らは「BEDおよびBSDは、肥満患者の頻繁な併存疾患であった。双極性障害II型およびOSR BDは、BED+BSD合併患者においてより頻繁であった。BEDとBSDの合併は、より重度な摂食障害と精神病理に関連していると考えられる。特徴的な病的食行動は、肥満における精神医学的合併症の対症療法である警告と考えられる」としている。関連医療ニュース 女子学生の摂食障害への有効な対処法 双極性障害I型とII型、その違いを分析 双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴

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腎移植後のステロイド早期離脱は可能か/Lancet

 腎移植後のステロイド投与からの早期離脱のための、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(Rabbit-ATG、商品名:サイモグロブリン)またはバシリキシマブ(商品名:シムレクト)による抗体療法の、有効性と安全性に関する検討結果が報告された。免疫学的リスクが低い患者を対象に、移植後1年間の抗体療法後のステロイド早期中断を評価した結果、急性拒絶反応の予防効果はRabbit-ATGとバシリキシマブで同等であり、抗体療法後のステロイド早期中断は免疫抑制効果を低下せず、移植後糖尿病の発症に関する優位性が示された。ドイツ・アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクのOliver Thomusch氏らが、615例を対象に行った非盲検多施設共同無作為化対照試験の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2016年11月18日号掲載の報告。抗体を含む4剤併用療法でステロイド早期中断の有効性と安全性を評価 腎移植後の免疫抑制療法は、抗体+低用量タクロリムス+ミコフェノール酸モフェチル+コルチコステロイドを用いた4剤併用療法が標準とされる。しかしステロイドの長期投与は、心血管リスク因子を顕著に増大しアウトカムにネガティブな影響を与えること、とくに罹患率および死亡率と関連する術後糖尿病の発症の増大が知られている。 研究グループは、免疫学的低リスクプロファイルの患者について、腎移植後1年間の、抗体療法後のステロイド早期中断の、有効性と安全性のパラメータを調べる検討を行った。 試験は腎移植レシピエントを1対1対1の割合で、次の3群に割り付けて行われた。A群はバシリキシマブ+低用量タクロリムス+ミコフェノール酸モフェチル+コルチコステロイドを継続投与、B群はAの併用療法を開始後8日時点でステロイドを早期中断、C群はRabbit-ATGを用いた4剤併用療法を開始後8日時点でステロイドを早期に中断した。 被験者は、免疫学的リスクが低く、片側の腎移植(生体、死体を問わない)が予定されていた18~75歳の患者に限定して行われた。なお、移植が2回目の患者も、初回移植片を移植後1年以内に急性拒絶反応で喪失していない患者は適格とした。また、ABO適合移植のみを適格とした。そのほか、ドナーに特異的に反応するHLA抗体がある移植片は不適格、PRA検査値が30%未満のレシピエントは不適格とした。妊産婦も除外した。 主要エンドポイントは、移植後12ヵ月時点でintention-to-treat解析にて評価した急性拒絶反応(BPAR)の発症率であった。Rabbit-ATG、バシリキシマブのいずれの抗体ともに有効 試験は、ドイツ国内21施設で2008年8月7日~2013年11月30日に行われた。合計615例が、A(継続投与)群206例、B(バシリキシマブ)群189例、C(Rabbit-ATG)群192例に無作為化された。 結果、12ヵ月時点でBPAR発症率は3群間で同程度であった。A群11.2%、B群10.6%、C群9.9%で、A vs.C群(p=0.75)、B vs.C群(p=0.87)であり、Rabbit-ATGのバシリキシマブに対する優越性は示されなかった。 また、副次エンドポイントの移植後糖尿病の発症率について、対照のA群(39%)と比較して、ステロイドを早期に中断したB群(24%)またはC群(23%)ともに有意な減少が認められた(A vs.BおよびC群のp=0.0004)。 12ヵ月時点の生存被験者割合はA群94.7%、B群97.4%、C群96.9%、また移植片の生着率はそれぞれ96.1%、96.8%、95.8%といずれも等しく優れていた。 感染症や移植後悪性腫瘍などの安全性パラメータについて、群間で差はみられなかった。

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イブルチニブ、マントル細胞リンパ腫に承認:ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・フウリガン)は2016年12月2日、抗悪性腫瘍剤イブルチニブ(商品名:イムブルビカ カプセル140mg)が「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」の効能・効果の追加承認を取得したと発表。 イブルチニブは、1日1回経口投与の新しい作用機序を有するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。BTK は、B細胞の成熟と生存を制御する細胞内シグナル伝達に関与する重要なタンパク質で、このBTKを標的にすることで腫瘍細胞の生存シグナルを阻害し、増殖を抑制する。 イブルチニブは再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫(rrMCL)の治療薬として、米国と欧州を含む世界40ヵ国以上で承認されており、本邦では、小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(rrCLL)の成人患者用治療薬として、2016年3月28日に承認を取得している。イブルチニブの用法・用量:1) 再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)通常、成人にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。2) 再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。ヤンセンファーマ株式会社のプレスリリースはこちら

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多毛症のレーザー脱毛前、毛は「剃る」 or 「カット」?

 多毛症や過剰な体毛は、多くの女性を悩ませる共通の問題であり、全世界の女性のうち約10%がこれに該当するという。 レーザー脱毛の施術に当たり、前処理で体毛を短くする方法として、シェービングまたは、ハサミによるカットがあげられる。 本試験では、脱毛前のシェービングまたはハサミでのカットが、多毛症におけるレーザー脱毛の効果と逆説的多毛(paradoxical hypertrichosis)※の発生に与える影響を比較した。Journal of cosmetic dermatology誌オンライン版2016年9月号掲載の報告。※逆説的多毛:レーザー照射後に生えた硬毛 閉経前の女性多毛症患者129名を、シェービング群(66名)、ハサミでのカット群(63名)に無作為に割り付けた。両群にアレキサンドライトレーザー、月6回照射を6ヵ月間連続して行った。 効果については5×5cm2の範囲内のあごの毛数を計測して判定した。逆説的多毛の発生は、レーザー脱毛期間中4回(試験開始時、3回目の照射前、6回目の照射前、6回目の照射終了6ヵ月後)評価を行った。 主な結果は以下の通り・3回目の照射前の毛数は、シェービング群15.06±5.20本、カット群13.07±4.44本であった(p=0.022)。両群ともに、試験開始時と比較して有意に少なかった(p<0.001)。・6回目の照射前の毛数は、シェービング群2.80±1.16本、カット群2.71±1.12本で(p=0.673)、3回目の照射前よりも有意に少なかった(p<0.001)。・6回目の照射終了6ヵ月後の毛数は、シェービング群11.27±9.30本、カット群8.15±3.12本であった(p=0.012)。逆説的多毛はシェービング群のうち3名にみられたが、カット群では認められなかった。 以上の結果より、アレキサンドライトレーザーによる治療は、多毛症治療に非常に有用であることが示された。 短期試験ではシェービング群とカット群は同様の結果を示した。1年間のフォローアップでは、毛数はカット群でより少なく、逆説的多毛の発生は、シェービング群のみに認められた。

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148)仮面高血圧を見破るための患者アドバイス【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師血圧は良いですね。家庭での血圧はいかがですか? 患者測っていません。ここ(診察室)では、いつも良いんで…。 医師なるほど。一般的な血圧のパターンは朝が高く、夜、とくに寝ているときは、低くなります(血圧の推移を描きながら)。 患者なるほど。 医師飲酒や喫煙している人、寒冷刺激などで早朝に血圧が上がることが知られています。ところが、診察室で測ると血圧は正常範囲となっています。それを「仮面○○」と言います。 患者仮面…仮面舞踏会、仮面ライダー、仮面夫婦…。 医師「仮面高血圧」です。一度、起床後にすぐに血圧を測定してもらえますか?それと寝ている間が高い場合もあります。寝る前にも血圧のチェックをお願いします。 患者はい。わかりました。●ポイント仮面高血圧(早朝・夜間・昼間高血圧)に興味を持ってもらい、起床後と寝る前、さらには昼間の血圧測定が大切であることを説明します1)Franklin SS, et al. Hypertension. 2015;65:16-20.

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リスペリドン誘発性高プロラクチン血症、減量で軽減するのか

 統合失調症患者におけるリスペリドン維持療法中のプロラクチン関連症状(PRS)を1年間観察し、PRSの危険因子を特定するため、中国・首都医科大学のQijing Bo氏らが検討を行った。BMC psychiatry誌2016年11月9日号の報告。 多施設ランダム化比較対照縦断研究。臨床的に安定した統合失調症患者374例を、用量変更なし群129例、4週間減量群125例、26週間減量群120例(8週間かけて50%減量し、その後維持)に無作為に割り付けた。PRSは、プロラクチン関連有害事象尺度を用いて、16項目(月経周期、月経期間、月経量、月経不順、無月経、月経困難、分娩後乳汁分泌、女性化乳房、乳房圧痛、性機能障害、性的欲求の減少、勃起不全、射精機能不全、インポテンス、体毛増加、にきび増加)を評価した。PRSの発生は、ベースライン、6ヵ月までは毎月、その後は2ヵ月おきに評価した。混合モデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時のPRSは、4週間減量群18.4%、26週間減量群15.0%、用量変更なし群14.0%であった。・PRS発祥の予測因子は、女性、若年発症、PANSS総スコアであった。・混合モデルでは、PRSは、女性と高用量でより重症であった。・1年後も研究に参加していた237例におけるPRS発生率は、4週間減量群9.6%、26週間減量群11.1%、用量変更なし群7.6%に減少した。 著者らは「本検討により、PRSの重症度は、投与量減少により、1年間の治療期間中に軽減することが示された。とくに高用量、女性、若年発症、重症患者では、長期治療中の高プロラクチン血症の副作用に注意する必要がある」としている。関連医療ニュース リスペリドン使用で乳がんリスクは上昇するか 各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較 高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か

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