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オシメルチニブ、肺がんFLAURA試験の主要評価項目を達成

 AstraZeneca社は2017年7月27日、第III相FLAURA試験で、未治療の転移性EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、エルロチニブまたはゲフィチニブと比較して、統計的に有意で臨床的に有意な無増悪生存期間(PFS)を示したと発表。 FLAURA試験は上記患者を対象に、オシメルチニブと、標準治療のEGFR-TKIであるエルロチニブまたはゲフィチニブの効果と安全性を比較した二重盲検無作為化試験。30ヵ国から556例の患者が登録されている。主要評価項目はPFS、副次評価項目は全生存率、客観的奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、安全性、健康関連QOLであった。 FLAURA試験の具体的な結果は今後の学会で発表される予定。■参考 AstraZeneca(グローバル)プレスリリース FLAURA試験(Clinical Trials.gov)

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急性脳卒中後の頭位、仰臥位 vs.頭部挙上のアウトカムを検討(中川原 譲二 氏)-703

 急性脳卒中後の頭位について、仰臥位は脳血流の改善に寄与するが、一方で誤嚥性肺炎のリスクを高めるため、臨床現場ではさまざまな頭位がとられている。オーストラリア・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らは、急性虚血性脳卒中患者のアウトカムが、脳灌流を増加させる仰臥位(背部は水平で顔は上向き)にすることで改善するかどうかを検討したHead Positioning in Acute Stroke Trial(HeadPoST研究)の結果を結果をNEJM誌2017年6月22日号で報告した。9ヵ国の急性脳卒中患者約1万1,000例を対象に検討 HeadPoST研究は、9ヵ国(英国、オーストラリア、中国、台湾、インド、スリランカ、チリ、ブラジル、コロンビア)で、実用的なクラスター無作為化クロスオーバー試験として実施された。18歳以上の脳内出血(クモ膜下出血を除く)を含む急性脳卒中患者1万1,093例(85%が虚血性脳卒中)を登録し、仰臥位で治療を行う群(仰臥位群)と、頭部を30度以上挙上し上体を起こした姿勢で治療を行う群(頭部挙上群)のいずれかに、入院施設単位で無作為に割り付けた。指定された体位は、入院直後に開始し24時間続けられた。主要アウトカムは90日後の機能障害の程度で、修正Rankinスケール(mRSスコアの範囲:0~6、スコアが高いほど障害の程度が大きく、6は死亡)を用いて評価した。頭位の違いで、アウトカムや有害事象には有意差はなかった 脳卒中発症から割り付け指定の頭位を開始するまでの時間の中央値は、14時間であった(四分位範囲:5~35時間)。仰臥位群は、頭部挙上群より24時間の頭位維持率が有意に低かった(87% vs.95%、p<0.001)。一方で、酸素飽和度や血圧、他の治療管理面について、両群間に有意差は確認されなかった。比例オッズモデルによる検討で、両群の90日後のmRSスコアの分布は同等であった(仰臥位群の頭部挙上群に対するmRSスコア分布差の未補正オッズ比:1.01、95%信頼区間:0.92~1.10、p=0.84)。90日以内の死亡率は、仰臥位群7.3%、頭部挙上群7.4%であった(p=0.83)。重篤な有害事象の発現率も、それぞれ14.3%、13.5%、肺炎は3.1%、3.4%で、両群間で有意差は認められなかった。急性脳卒中後の頭部挙上は、脳虚血リスクを増大しないことを示唆 本研究では、急性脳卒中後の患者の頭位を、24時間仰臥位とした場合と24時間30度以上の頭部挙上とした場合では、アウトカムには有意差は認められなかった。著者らは、急性の虚血性脳卒中患者では、脳血流の自動調節能が消失しており、頭部挙上で脳灌流圧の低下が生じると脳虚血リスクが増大するため、仰臥位のほうが脳血流の改善が得られるとして、この研究を始めたと考えられる。しかし、頭部挙上で脳灌流圧の低下が生じるとすることには大きな疑問がある。脳灌流圧は、動脈圧(全身平均血圧)-静脈圧(=頭蓋内圧)で表され、頭部挙上による動脈圧の低下は比較的軽度であるとともに、同時に頭蓋内圧の低下が生じることから、脳灌流圧の低下はそれほど問題にはならない。本研究結果は、急性脳卒中後の頭部挙上は、脳虚血リスクを増大させないことを示唆している。過度な全身血圧の下降がない限り、急性期の頭部挙上、坐位の保持は容認される。 また、著者らは、本研究で肺炎の発現率が低かったことについて、挿管中などのハイリスク患者が除外されたことや、嚥下障害のスクリーニングプロトコルが使用されたことなどを挙げている。しかし、発症後24時間の仰臥位の維持は、早期離床と急性期リハビリを推奨する最近の急性期脳卒中患者の全身管理のコンセプトに相応しくない。

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食事のタイミングが体内時計を調節

 人間の概日系に対する食事のタイミングの影響についてあまりよくわかっていない。今回、英国・サリー大学のSophie M.T. Wehrens氏らの研究で、人間の分子時計が食事時刻によって調節される可能性が示された。決まった食事時刻は、末梢の概日リズムを同期させる役割を果たしており、とくに概日リズム障害患者、交代制勤務者、子午線を超える旅行者で関係するかもしれない。Current biology誌2017年6月19日号に掲載。 本研究では、食事時刻を5時間ずつ遅らすことによる、マスタークロックと末梢の概日リズムのマーカーへの影響を調べた。健康な若者10人が13日間の実験に参加し、起床後0.5時間もしくは5.5時間に食事を開始、それぞれ5時間間隔で3回(朝、昼、夕)食事した。参加者は早い食事に順応した後、遅い食事を6日間実施した。各食事スケジュールの終了後に、1時間おきに同等のカロリーのスナックと置き換える間に睡眠および環境のリズムを取り除いた、37時間の定常検査方式で、参加者の概日リズムを測定した。 主な結果は以下のとおり。・定常検査方式では、主観的な空腹や眠気のリズム、マスタークロックマーカー(血漿メラトニン、血漿コルチゾール)、血漿トリグリセライド、全血中の時計遺伝子発現に、食事のタイミングは影響しなかった。・遅い食事スケジュール後、血漿グルコースリズムは5.69±1.29時間遅延し(p<0.001)、平均グルコース濃度は0.27±0.05mM減少した(p<0.001)。・脂肪組織では、PER2 mRNAリズムが0.97±0.29時間遅れた(p<0.01)。

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HER2陽性乳がんの延長アジュバントにneratinib承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年7月17日、早期のHER2陽性乳がんの長期アジュバント治療に、pan-HERチロシンキナーゼ阻害薬neratinibを承認した。neratinib治療は、この対象患者で初となる延長アジュバント療法であり、がんの再発リスクをさらに下げるため初回治療後に行われる。neratinibの適応患者はトラスツズマブレジメンの既治療患者である。 今回の承認は、第III相ExteNET 試験と、第II相CONTROL 試験の結果に基づくもの。ExteNET 試験の初回解析では、2年間の無浸潤無病生存率(iDFS)は、neratinib治療患者では94.2%、プラセボ患者では91.9%であった(HR:066、95% CI:0.49-0.90、p=0.008)。 neratinibの安全性と有効性は、過去2年間にトラスツズマブで治療を完了した早期HER2陽性乳がん患者2,840例の無作為化試験で研究された。neratinibの主な副作用は、下痢、悪心、腹痛、疲労感、嘔吐、皮疹、口内炎、食欲不振、筋痙攣、消化不良、肝障害(ASTまたはALT上昇)、爪障害、乾燥皮膚、腹部膨満、体重減少、尿路感染症であった。 国立がん研究所(NCI)は、本年、米国では約25万人の女性が乳がんと診断され、4万人が乳がんにより死亡すると推定している。また、HER2陽性患者は乳がんの約15%である。■参考FDAニュースリリース

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季節農家の労働者はうつ病になりやすいのか

 農家労働者の生活困難は、ストレスやうつ病リスク上昇をもたらすといわれている。これまでの限られた研究では、主に季節農家に集中していたが、先行研究では、移住農家労働者または両集団を調査している。米国・イーストカロライナ大学のBeth H. Chaney氏らは、季節農家労働者のうつ病レベルおよび抑うつ症状の予測因子について調査を行った。International journal of environmental research and public health誌2017年6月30日号の報告。 対象は、ラテン系季節農家労働者150人。対象のストレスおよびうつ病レベルを評価し、年齢、性別、婚姻状況、教育水準、居住期間、文書による健康管理の問題、言語の障壁、交通、コスト、医療保険、ストレスレベルなどの共変量がうつ病の重要な予測因子かどうかを検討した。有意な共変量を確認するため、階層的バイナリロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・統計学的に有意な共変量は、健康保険の補償(p=0.025)とストレス(p=0.008)のみであった。・健康保険未加入の農家労働者は、加入者と比べてうつ病症状を有する割合が1.8倍であり、ストレスレベルが高いほどうつ病症状の出現する割合については7倍以上であった。■関連記事公園や緑地が少ないとうつ病になりやすいのか職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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遠隔医療で炎症性腸疾患の外来受診と入院が減少/Lancet

 炎症性腸疾患(IBD)患者に対する遠隔医療(myIBDcoach)は安全で、標準治療と比較し外来受診と入院の頻度を減少させることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのMarin J de Jong氏らによる実用的多施設無作為化比較試験の結果、明らかとなった。IBDは、疾患の複雑さ、外来診療所へのプレッシャーの高まり、罹患率増加などにより、従来の状況では厳格で個別的な管理が困難となっているという。これまでに開発されたIBD患者の遠隔医療システムは、疾患活動性が軽度~中等度の特定の患者用でその効果は一貫していなかった。今回開発されたシステムはサブタイプを問わず適用可能であり、著者は「この自己管理ツールは、治療の個別化と価値に基づく医療(value-based health care)に向けたIBD治療の改革に役立つだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月14日号掲載の報告。遠隔医療システムを用いた介入と標準治療で、外来受診者数と医療の質を比較 研究グループは2014年9月9日~2015年5月18日に、オランダの大学病院2施設および一般病院2施設にて試験を実施した。対象は、回腸嚢肛門吻合術または回腸嚢直腸吻合術の既往がなく、インターネットにアクセス可能でオランダ語が堪能な18~75歳のIBD外来患者909例。疾患の活動性などをモニターし記録する遠隔医療システム(myIBDcoach)による介入群と、標準治療群に1対1の割合で無作為に割り付け(コンピュータが作成した割振りと最小化法を使用)、12ヵ月間追跡調査を行った。なお、患者、医療従事者およびアウトカムの評価者は盲検化されていない。 主要評価項目は、消化器内科医または看護師の外来診療所を受診した数と患者報告による医療の質(0~10点の視覚アナログスケールで評価)、安全性評価項目は、フレア数、ステロイド治療数、入院数、救急外来受診数、外科手術数で、intention to treat解析が実施された。遠隔医療群で外来受診数と入院数が有意に減少、患者が報告した医療の質は同等 遠隔医療群465例、標準治療群444例において、12ヵ月時における平均外来受診数(±SD)は、それぞれ1.55±1.50および2.34±1.64と遠隔医療群が有意に少なく(差:-0.79、95%信頼区間[CI]:-0.98~-0.59、p<0.0001)、平均入院数も同様の結果であった(0.05±0.28 vs.0.10±0.43、差:-0.05、95%CI:-0.10~0.00)、p=0.046)。 12ヵ月時における患者が報告した医療の質の平均スコアは、両群ともに高値であった(8.16±1.37 vs.8.27±1.28、差:0.10、95%CI:-0.13~0.32、p=0.411)。フレア数、ステロイド治療数、救急外来受診数、外科手術数は両群間で差はなかった。 なお、著者は「患者と医師のいずれも盲検化されておらず、追跡調査期間が短いことなど研究の限界がある」と述べている。

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ebselenは騒音性難聴の予防に有効か?/Lancet

 騒音性一過性閾値変化(TTS)の予防に、新規グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPx1)様物質ebselenの投与(400mgを1日2回)は有効かつ安全であることが示された。米国・Sound Pharmaceuticals社のJonathan Kil氏らが、若年成人を対象とした第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究において、急性騒音曝露後にGPx1活性が減少することや、ebselenが一過性騒音性難聴および永久性騒音性難聴の両方を軽減させることが動物実験で示されていた。騒音性難聴は、職業性または娯楽に関連した難聴の主たる原因であり、加齢性難聴の主要な決定要素でもあるが、その予防薬あるいは治療薬は開発されていない。著者は、「今回の結果は、急性騒音性難聴におけるGPx1活性の役割を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月14日号掲載の報告。騒音曝露後の一時的な聴力低下をebselenとプラセボとで比較 研究グループは2013年1月11日~2014年3月24日に、フロリダ大学単施設で試験を実施した。対象は18~31歳の健常成人83例で、ebselen 200mg、400mg、600mgまたはプラセボを1日2回4日間経口投与する群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた(無作為化は独立した第三者機関が作成した割り振り順番を用いて実施)。治験薬投与開始2日後に来院してもらい、騒音を再現した負荷試験(calibrated sound challenge:ロックもしくはポップスの楽曲を4時間、挿入型イヤホンを介して聞いてもらい、リアルワールドの複合的騒音を体験させる)の前および15分後、1時間15分後、2時間15分後および3時間15分後に純音聴力検査を行った。 主要評価項目は、負荷試験15分後の4kHzの平均TTSで、プラセボ群と比較してebselen群で50%減少した場合を臨床的に意義があると判定した。統計解析は、治験薬を1回以上服用し負荷試験を受けた参加者を有効性評価解析対象とし、また無作為化された参加者全員を安全性解析対象とした。ebselen 400mg群で4kHzの平均TTSが68%減少 83例(ebselen 200mg群22例、400mg群20例、600mg群21例、プラセボ群20例)中、ebselen 200mg群の2例が選択基準を満たさないため負荷試験前に中止となり、有効性解析から除外された。 4kHzの平均TTS(±標準誤差[SE])は、ebselen 400mg群1.32±0.91dB、プラセボ群4.07±0.90dBであり、ebselen 400mg群で68%有意に減少した(差:-2.75dB、95%信頼区間[CI]:-4.54~-0.97、p=0.0025)。また、プラセボ群と有意差はなかったが、ebselen 200mg群で21%減少(3.23±0.91dB vs.プラセボ群4.07±0.90dB、差:-0.84dB、95%CI:-2.63~0.94、p=0.3542)、ebselen 600mg群で7%減少した(3.81±0.90dB vs.プラセボ群4.07±0.90 dB、差:-0.27、95%CI:-2.03~1.05、p=0.7659)。 ebselenのすべての用量群について忍容性は良好であり、血液学的、血液生化学的および放射線学的検査に関して、ebselen群とプラセボ群で差は認められなかった。

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転移性前立腺がんの初期治療の行方は?(解説:榎本 裕 氏)-702

 1941年のHuggins and Hodgesの報告以来、転移性前立腺がん治療の中心はアンドロゲン除去療法(ADT)であった。近年、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に対する治療薬が次々に登場し、治療戦略が大きく変容しているが、転移性前立腺がんの初期治療に関しては70年以上にわたってほとんど進歩がなかった。第1世代の抗アンドロゲン薬(ビカルタミド、フルタミドなど)を併用するMAB(maximum androgen blockade)療法が広く行われているが、OSに対するベネフィットを示す報告は少ない。 この状況に風穴をあけたのが2015-16年に報告されたCHAARTED試験、STAMPEDE試験である。未治療の進行前立腺がんに対し、標準的なADTにドセタキセル(DTX)化学療法を6コース追加することで全生存率の有意な改善を示した。CRPCに対して予後改善効果のある薬剤をホルモン感受性のうちに「前倒しして」投与することでPFSのみならずOSまで改善するという報告は強いインパクトを与えた。 今回の報告は、ホルモン感受性の転移性前立腺がんに対し、第2世代の抗アンドロゲン薬であるアビラテロンをADTに併用するプラセボ対照の前向きRCTである。アビラテロンの追加は、死亡リスクを有意に低下させた(HR:0.62)。直接比較はできないものの、この数値はDTX追加によるベネフィット以上である可能性があり、非常に有望なアプローチといえる。一方、長い治療期間(DTX 6コースは18週間だが、アビラテロンは2年以上)による副作用とコスト増は懸念されるところであろう。とくにアビラテロンではプレドニゾロンの併用が必須であり、ステロイドによる副作用も懸念される。より長期間の追跡調査が必要である。 さらに、ADTにアビラテロンとDTX両方を上乗せする臨床試験が行われている。作用機序の異なる薬剤の併用は、さらなる予後改善をもたらすのか? 続報に期待したい。

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複雑系とトヨタ生産方式【Dr. 中島の 新・徒然草】(180)

百八十の段 複雑系とトヨタ生産方式昨年のある日、学会でヨーロッパの医師たちと複雑系について議論していたときのことです。ふと私が「トヨタのやり方ってのは複雑系にうまく対応しているんじゃないか」と口にしました。そうすると隣にいた男性内科医師に「ほお? なら説明してみろ」と言われたのです。欧米の医療機関では上から押しつけられたトヨタ生産方式に現場が辟易している、と耳にしていたので、ちょっと軽はずみな発言だったのかもしれません。自分でもあまり整理できていない考えを英語で説明するのは無理な話。「あー、うー」とやっているうちに、相手に「もういい、もういい」と呆れられてしまいました。それから1年、もうちょっとうまく説明できなかったものか、と自分なりに色々な本を読んで勉強しました。その結果「やはりトヨタのやり方はよくできている」と思ったので、まずは読者の皆さんに私の考えを聞いていただきたく披露する次第です。まずは複雑系について説明しましょう。この世の出来事はすべて因果関係で成り立っていると我々は思いがちですが、そうでないことのほうがほとんどです。天候や自然災害、株価、為替相場などは複雑すぎて近未来の予測すら不可能です。個々の細胞が相互作用を及ぼしつつ全体を構成する人体というシステムもまた複雑系です。さらに、ある人が何月何日の何時何分に脳出血を起こすか、ということを正確に予測することは不可能です。このような人体という複雑怪奇なものを診断・治療しようとする医療現場もまた複雑系だといえます。経過を正確に予測できない疾病や外傷を扱う場合、その場その場で最善手を打ち続ける、ということを続けざるを得ません。さて、自動車産業においても、どの車種がどれだけ売れるのかをあらかじめ正確に予測することはできません。したがって個々の注文に対して、いかに短時間に正確に対応するかが大切です。私自身が10年ほど前にトヨタの車を買った時には、成約から納車まで約1ヵ月かかったように記憶しています。ユーザーからの個々の注文に対応しながら効率よく車を生産するためにトヨタが行っている工夫は、“アンドン”と“カンバン”という言葉に象徴されます。アンドンというのは情報表示板で、「不具合」「点検中」「調整中」などと状況を表示し続けます。これは自動車生産工場での不具合発生時に使われます。何か起こったときには、誰でもボタン1つでラインを停止させていいことになっています。そして皆が不具合発生場所に集まって状況をチェックし、調整した後に再スタートするのです。そうすることによって万一にも不良車が出荷されないようにしているのです。このコンセプトは、その昔、豊田自動織機が運転中の不具合発生とともに自動停止するようにできていたことに由来しているそうです。次にカンバンです。これは各生産工程からの注文票です。すべての工程は必要最小限の部品在庫だけを持ち、使った分だけ補充してもらうそうです。過剰な在庫は工場のスペースを占めたり余分な維持費用を要したりするので、絶対に避けなくてはなりません。このコンセプトは、必要な時に必要な部品を必要なだけ持ってくる、というジャスト・イン・タイムという名前で知られています。つまり予測困難な自動車生産現場という複雑系の中で、アンドンとカンバンを用いてうまく対応しようというのがトヨタ生産方式の骨格をなすものだといえましょう。ということで、今度ヨーロッパで同じ先生に会ったら、トヨタ生産方式についてもう少しうまく説明したいところです。もっとも、その前に、英語の練習も必要ですね。最後に1句複雑系 トヨタの技で 乗りきるぞ「現場で役立つ 英会話でトヨタ生産方式」(松崎久純 著)日刊工業新聞社「トヨタ生産方式」(大野耐一 著)ダイヤモンド社

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日本人双極性障害患者のリチウム治療反応予測因子:獨協医大

 双極性障害患者では、機能的アウトカムに有意な影響を及ぼす認知機能障害が問題となることが多い。しかし、認知機能や機能的アウトカムの中心的な役割に対するリチウムの影響はよくわかっていない。獨協医科大学の齋藤 聡氏らは、リチウム治療中の双極性障害患者において、患者背景および臨床的変数(リチウムへの治療反応を含む)によって、認知機能および機能的アウトカムが予測されるかを検討した。Bipolar disorders誌オンライン版2017年7月10日号の報告。 リチウム治療中の双極性障害患者96例および年齢、性別をマッチさせた健常対照者196例を対象に、統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)を用いて評価を行った。双極性障害患者は、SFS(社会機能評価尺度)およびAldaスケール(リチウム治療への反応評価尺度)総スコアの連続計測または二分法でそれぞれ評価した。 主な結果は以下のとおり。・重回帰分析より、以下の2つの重要な知見が明らかとなった。 ◆発症前のIQ、年齢、気分エピソード数がBACS複合スコアの予測因子であった。 ◆BACS複合スコア、陰性症状、Alda総スコアの連続計測(二分法でない)がSFS総スコアの予測因子であった。・これらの知見を確認し、さらに明らかにするためSEM(構造方程式モデリング)を用いたところ、Aldaスケールは、どのように評価されたかにかかわらず、陰性症状や気分エピソード数と有意な関連が認められた。 著者らは「患者背景、臨床的変数、認知機能、リチウム治療に対する反応は、社会的機能と関連し、集約されていることが、SEMにより明らかとなった。社会的機能に対するAldaスケールの役割は、さらなる研究が必要であると考えられる」としている。■関連記事双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に対するアジュバント介入~メタ解析妊婦へのリチウム使用、幼児への影響は

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来たれ!リサーチ・マインドを持つ医療者…日本臨床疫学会 第1回大会開催

 日本臨床疫学会は、2017年9月30日~10月1日の2日間、第1回年次学術大会を東京大学本郷キャンパスにて開催する。 日本臨床疫学会は、「臨床研究で医療を元気にする」というキャッチフレーズのもと、2016年12月に発足した学会。クリニカル・マインドとリサーチ・マインドを持つ医療者による質の高い研究を推進し、現在の医療が直面する諸課題の解決に貢献することをミッションとしている。第1回年次学術大会のテーマは「日本の臨床疫学-天地開闢」。大会長は、東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻臨床疫学・経済学 教授康永 秀生氏。 同学術大会は、教育公演・研究実践ワークショップ・統計セミナーなどの教育的コンテンツが主体となる。特別講演、教育講演は、本邦を代表する臨床研究者・疫学研究者が登壇。シンポジウムでは、医療ビッグデータ、観察研究の統計手法、個人情報保護、臨床学会との連携、産学連携をテーマに取り上げる。また、事前登録制の参加型の研究実践ワークショップおよび統計セミナーも開催する。 大会長の康永 秀生氏は、自分たちが手に入るデータから臨床研究は可能、職種や診療科を問わず参加して欲しい、と述べる。 主なテーマは以下のとおり特別講演■臨床疫学は日本の医療を変えるか?演者:大橋 靖雄氏(中央大学 生物統計学)教育講演■医療技術評価の国際動向と今後の展開演者:池田 俊也氏(国際医療福祉大学 公衆衛生学)■コクラン・レビュー演者:森 臨太郎氏(国立成育医療研究センター 臨床疫学部)■ロコモの疫学演者:吉村 典子氏(東京大学医学部附属病院 ロコモ予防学講座)■統合研究(pooled analysis)の実際演者:二宮 利治氏(九州大学 衛生・公衆衛生学)シンポジウム■ビッグデータを用いた臨床疫学研究座長:宮田 裕章氏(慶応義塾大学 医療政策・管理学)■観察研究における統計手法座長:康永 秀生氏(東京大学 臨床疫学・経済学)■医療者と企業と官との産官学連携の新しい方向性座長:宮田 俊男氏(国立がん研究センター 企画戦略局政策室、日本医療政策機構)■日本臨床疫学会と各臨床専門学会の連携座長:川上 浩司氏(京都大学 薬剤疫学)■個人情報保護法・倫理指針の改正は臨床研究をどう変えるか?座長:山本 隆一氏(医療情報システム開発センター)■参考日本臨床疫学会第1回年次学術大会ホームページ

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1日6杯超の飲酒で胃がんリスクはどれだけ増えるか

 近年、多量飲酒と胃がんリスクとの関連が報告されているが、飲酒量について課題が残っている。今回、症例対照研究のプール解析であるStomach cancer Pooling(StoP)Projectにおいて、これらの関連性がより詳細に示された。International Journal of Cancer誌オンライン版2017年7月18日号に掲載。 本研究は、欧州、アジア、北米の計20研究におけるケース9,669例およびコントロール2万5,336例のプール解析である。ランダム効果メタ回帰モデルを使用して、研究ごとのオッズ比(OR)をプールし、要約オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・4杯/日以下の飲酒者の胃がんリスクは非飲酒者と比べて増加しなかったが、多量飲酒者(4杯/日超~6杯/日)ではORが1.26(95%CI:1.08~1.48)、超多量飲酒者(6杯/日超)では1.48(95%CI:1.29~1.70)であった。・4杯/日超の飲酒者の胃がんリスクは、生涯非喫煙者ではORが1.87(95%CI:1.35~2.58)と、現喫煙者の1.14(95%CI:0.93~1.40)より高かった。・非噴門部(OR:1.28、95%CI:1.13~1.45)より噴門部(OR:1.61、95%CI:1.11~2.34)の胃がん、びまん型(OR:1.29、95%CI:1.05~1.58)より腸型(OR:1.54、95%CI:1.20~1.97)のがんで、多量飲酒とやや強い関連が認められた。・この関連は、H.pylori感染者(OR:1.52、95%CI:1.16~2.00)および非感染者(OR:1.69、95%CI:0.95~3.01)において同程度であった。

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20歳頃~中年での体重増、慢性疾患リスクを増大/JAMA

 20歳前後から55歳にかけて体重が2.5~10.0kg増加した人は、ほぼ安定していた人に比べ、2型糖尿病や高血圧症、心血管疾患などの発症リスクが有意に高く、慢性疾患や認知機能・身体的障害などを有さずに健康な状態で年を重ねられる割合は低減することがわかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYan Zheng氏らが、看護師健康調査(Nurses’ Health Study:NHS)と医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-Up Study:HPFS)を基に行ったコホート研究の結果で、JAMA誌2017年7月18日号で発表した。女性18歳と男性21歳、55歳での体重変化と健康アウトカムを検証 研究グループは、NHS(1976~2012年6月30日)に参加した女性およびHPFS(1986~2012年1月31日)に参加した男性で、女性は18歳時、男性は21歳時の体重について記憶があり、55歳時の体重を報告した人を対象に、20歳前後から中年にかけての体重変化とその後の健康アウトカムとの関連を調べた。 被験者の疾患アウトカム発生について、55歳時からフォローアップを行った。心血管疾患、がん、死亡については、診療記録やNational Death Index(国民死亡記録)で確認。また、11種の慢性疾患、主な認知機能障害または身体的障害がない状態として定義した複合健康加齢アウトカムを評価した。2型糖尿病発症率、中程度体重増加群は安定群に比べ2倍近く 分析対象者は、女性9万2,837例(うち白人は97%、37年間の平均[SD]体重増:12.6[12.3]kg)と、男性2万5,303例(うち白人は97%、34年間の平均[SD]体重増:9.7[9.7]kg)だった。 2型糖尿病発症率(10万人年当たり)について体重増加の程度で比較したところ、中程度増加群(2.5kg以上10kg未満)の女性では207に対し、安定群(体重減2.5kg以下、体重増2.5kg未満)の女性では110だった(10万人年当たり群間絶対率差[ARD]:98、95%信頼区間[CI]:72~127)。男性では、それぞれ258と147だった(ARD:111/10万人年、同:58~179)。 高血圧症発症率は、女性はそれぞれ3,415と2,754(ARD:662、95%CI:545~782)、男性はそれぞれ2,861と2,366(同:495、281~726)。心血管疾患の発症率は、女性はそれぞれ309と248(同:61、38~87)、男性はそれぞれ383と340(同:43、-14~109)。 肥満に関連したがん発症率は、女性がそれぞれ452と415(同:37、4~73)、男性がそれぞれ208と165(同:42、0.5~94)だった。 複合健康加齢アウトカムの達成者の割合は、体重が中程度増加群では、女性24%(3,651例)、男性37%(2,405例)に対し、安定群は、女性27%(1,528例)、男性39%(989例)だった。複合健康加齢アウトカムについて、体重が中程度増加群の安定群に対する多変量補正後オッズ比は、女性が0.78(95%CI:0.72~0.84)、男性は0.88(同:0.79~0.97)だった。 体重増が大きいほど主な慢性疾患発症のリスクは増大し、複合健康加齢アウトカムの達成低下との関連が認められた。

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生体吸収性スキャフォールドの2年転帰:7試験メタ解析/Lancet

 エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(BVS)は、エベロリムス溶出金属ステント(EES)に比べ、2年時のステントに起因する有害事象の発現頻度は約1.3倍で、ステント血栓症は約3.4倍であることが示された。また、ステント留置後1~2年の間の両発症リスクも、BVS群がEES群に比べて高率だった。米国・コロンビア大学のZiad A. Ali氏らが、追跡2年以上の無作為化試験7件を対象に行ったメタ解析で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2017年7月18日号で発表した。BVSは生体に完全に吸収されることでPCI後の長期アウトカムを改善する。これまでの無作為化試験で、1年時点の安全性・有効性の複合アウトカムについて、BVSの薬剤溶出金属ステントに対する非劣性は示されていたが、標的病変の心筋梗塞やデバイス血栓症の発現頻度の増大が確認されていた。また、BVS留置後1年を超えたアウトカムは明らかではなかった。心血管死、標的病変関連心筋梗塞などステント起因複合エンドポイントを比較 研究グループは、エベロリムス溶出Absorb BVSと金属製EESを比較し、2年以上追跡した無作為化比較試験について、MEDLINE、Cochrane database、TCTMD、ClinicalTrials.gov、Clinical Trial Results、CardioSourceや、主要な心血管系学会での抄録や発表などを2017年4月1日時点で検索し、システマティックレビューとメタ解析を行い、留置後2年間および1~2年の間のBVSの安全性と有効性を確認した。 有効性に関する主要アウトカムは、デバイス起因複合エンドポイント(心臓死、標的病変関連心筋梗塞、または虚血による標的病変血行再建術)だった。安全性に関する主要アウトカムは、definite/probableデバイス血栓症だった。2年時の標的病変関連心筋梗塞リスク、BVS群はEES群の約1.7倍 メタ解析には、無作為化試験7件、被験者総数5,583例(BVS群:3,261例、EES群:2,322例)が含まれた。 2年デバイス起因複合エンドポイント発生率は、EES群7.4%(169/2,299例)に対し、BVS群は9.4%(304/3,217例)と有意に高率だった(相対リスク[RR]:1.29、95%信頼区間[CI]:1.08~1.56、p=0.0059)。これら両群差は、2年標的病変関連心筋梗塞発症率が、EES群で3.2%に対しBVS群で5.8%であったことや(RR:1.68、95%CI:1.29~2.19、p=0.0003)、また、虚血による標的病変血行再建術の発生率もそれぞれ3.9%、5.3%と(RR:1.40、95%CI:1.09~1.80、p=0.0090)、いずれもEES群よりBVS群で有意に高率であったことが関係していた。 累積2年ステント血栓症発症率も、EES群0.7%に対しBVS群は2.3%と3倍強に上った(RR:3.35、95%CI:1.96~5.72、p<0.0001)。 ランドマーク解析の結果、1~2年のデバイス起因複合エンドポイント発生率についても、EES群1.9%に対しBVS群は3.3%と、有意に高率だった(RR:1.64、95%CI:1.03~2.61、p=0.0376)。ステント血栓症発症率も、それぞれ0%、0.5%とBVS群で有意に高率だった(p<0.0001)。

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心不全の鉄補充治療において、経口剤ではフェリチンが上昇せず運動耐容能も改善しない(解説:原田 和昌 氏)-701

 心不全はしばしば心臓外の臓器に合併症(併存症)を持つ。欧州心不全学会の急性、慢性心不全の診断と治療ガイドライン2012年版には、「ほとんどの併存症は心不全の状態が不良であることや予後不良因子と関係する。したがって貧血など一部の併存症はそれ自体が治療対象となる」と記載された。 併存症は高齢者心不全においてとくに重要であり、2016年に上梓されたわが国の高齢心不全患者の治療に関するステートメントでは、「感染症、貧血、腎不全、脳梗塞、認知症、骨折や関節症などによるロコモティブ症候群、甲状腺疾患、閉塞性肺疾患、悪性疾患などの併存症の多くが独立した心不全の予後規定因子である」と表現された。 なかでも貧血は重要な併存症である。貧血の治療には輸血、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)や鉄剤の投与などがあるが、左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者にESAを投与したRED-HF試験では有効性を示すことができなかった。一方、HFrEF患者の約半数に鉄欠乏がみられること、貧血よりもむしろ鉄欠乏が生活機能の低下や死亡の独立した予測因子になることが報告されている。鉄剤の静脈内投与が心不全の再入院を低下しQOLを改善したことから(FAIR-HF試験、CONFIRM-HF試験)、欧州の心不全治療ガイドライン2016年版は鉄の静脈内投与を推奨した(クラスIIa)。実際HFrEF患者の鉄欠乏は、ミトコンドリア機能低下、筋のサルコメア構造の異常、左室収縮機能と関係することが示されている。 鉄欠乏を伴うHFrEF患者に経口で高用量鉄補充療法を行っても運動耐容能は改善しないことが、IRONOUT HF試験で示された。鉄欠乏は他の試験と同様に、貯蔵鉄を表す血清フェリチン値15~100ng/mLまたはトランスフェリン飽和度<20%で定義した。経口鉄補充は16週時のフェリチンを有意に増加しなかったが、これはカルボキシマルトース鉄静注を用いたFAIR-HF試験で24週時にフェリチンが有意に増加したのとは対照的であった。 高齢者の貧血では潜在的な出血や食事からの鉄の摂取不足が原因となることが多く、経口の鉄補充が有効であることも多い。しかし、慢性炎症では肝臓で産生されるhepcidinが増加し、腸管からの鉄吸収が阻害されるため経口の鉄補充はあまり有効ではない。心不全でもNYHA 1、2度の時期よりhepcidinが増加していることが報告されており、抗血栓治療とならんで鉄欠乏の原因ではないかと推測されている。 Lewis氏、Braunwald氏らが本試験にて何を証明しようとしたのかはよくわからないが、実際hepcidinが高いとフェリチンが上昇しないという関係がしっかりと示されており、経口的な鉄補充が有効でないという結果は当然と考えられる。貯蔵鉄の上昇なしに最大酸素摂取量の改善はありえない。ちなみに、わが国で静注のカルボキシマルトース鉄製剤は認可されていない。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第38回

第38回:高齢者にも週2時間半以上の運動を監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 健康のために、患者さんに運動の指導を行う場面は、プライマリケアにおいては少なくありません。「運動は『週末戦士』でもいいかもしれない」と示した論文1) も記憶に新しいところです。しかし、指導にあたっての具体的な方法がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。 今回取り上げるarticleは、高齢者の運動処方についてです。運動処方の具体的方法を含めて非常に勉強になったため、ご紹介いたします。 以下、American Family Physician2017年4月1日号2) より定期的な運動は、健康的な加齢や慢性疾患のマネジメントに有益である。American College of Sports Medicine(ACSM)とU.S. Department of Health and Human Services(HHS)によって推奨される高齢者の運動の最小限の目標は、「週当たり、150分の中等度の強度の有酸素運動(早歩きなど)、または75分の強い強度の有酸素運動(ジョギング、ランニングなど)に加えて、2日以上の筋肉強化訓練」とされている。具体的な運動の処方の際には、運動の内容、頻度や強度、モチベーションを維持するための短期的・長期的な目標などが含まれる必要があり、個人の能力や好みに応じて個別に調整されるべきである。運動処方を行う前に、医師は身体活動によって得られるメリットを患者に教育し、身体機能や体力の改善、体重管理、慢性疾患管理の改善、転倒予防など、個人に応じた目標に対して動機付けをするべきである。患者が身体活動プログラムを開始する準備ができたら、医師は患者とともに達成可能な目標を設定すべきである(例:1日3マイル[約4.5km]走るよりも、週に50分に早歩きを増やすことを目指す、など)。医師は、実際に行うことができる活動から始めるよう患者に指示し、処方箋の内容と目標は、健康状態や機能的な能力に合わせて、個別に調整する必要がある。患者が身体活動プログラムを開始した後、医師は進行状況を定期的に(例えば、少なくとも年に1回)モニターし、励まし、患者が時間の不足や疲労などの障壁を乗り越えるのを助けるべきである。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Gary O’Donovan, et al. :Association of “Weekend Warrior” and Other Leisure Time Physical Activity Patterns With Risks for All-Cause, Cardiovascular Disease, and Cancer Mortality. JAMA Intern Med. 2017;177(3):335-342 2) Pearl Guozhu Lee, et al. Am Fam Physician. 2017 Apr 1;95(7):425-432

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脳卒中リスク、ビタミンC摂取と反比例

 日本人における食事での抗酸化ビタミンの摂取と脳卒中発症の関連についてJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study、主任研究者:津金昌一郎氏)で検討したところ、非喫煙者においてビタミンC摂取と脳卒中全体および脳梗塞発症との逆相関が認められた。European journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年7月12日号に掲載。 本研究は、45~74歳の8万2,044人の日本人男女に対し、1995~1997年に食事摂取頻度調査票を用いて調査した。2009年末までの98万3,857人年の追跡期間中、脳卒中全体では3,541人、脳梗塞は2,138人に発症した。 主な結果は以下のとおり。・心血管リスク因子および選択された生活習慣因子の調整後、食事によるα-カロチン、β-カロチン、α-トコフェロール、ビタミンCの摂取量と脳卒中全体および脳梗塞の発症との間に逆相関はみられなかった。・現在の喫煙状況で層別化したところ、非喫煙者では食事によるビタミンC摂取量と脳卒中全体の発症とに逆相関がみられたが、喫煙者ではみられなかった。ビタミンC摂取の最低五分位に対する最高五分位の多変量ハザード比は以下のとおり。 非喫煙者:0.81(95%CI:0.68~0.96、傾向のp=0.03) 喫煙者 :1.03(95%CI:0.84~1.25、傾向のp=0.55)・脳梗塞については、非喫煙者の多変量ハザード比は0.76(95%CI:0.60~0.96、傾向のp=0.02)、喫煙者では1.00(95%CI:0.78~1.28、傾向のp=0.61)であった。

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妊娠高血圧症候群後の高血圧リスクの詳細が明らかに/BMJ

 妊娠高血圧症候群(HDP)と関連する高血圧症のリスクは出産直後ほど高く、20年以上経ってもリスクは高いままであることが、デンマーク・Statens Serum Institut(SSI)社疫学研究部門のIda Behrens氏らによる同国民対象の登録コホート研究の結果、明らかにされた。HDP妊産婦の最大3分の1が、出産後10年間に高血圧症を発症する可能性があり、著者は「HDP妊産婦について心血管疾患の予防対策として、出産直後からの血圧モニタリングを実施すべきである」と提言している。HDPを有した女性は、出産後に本体性高血圧を発症するリスクが2~4倍高いとされている。しかしHDP妊産婦の出産直後の高血圧症リスクがどれくらい増大するのかは不明であり、また、出産後のリスクの経年変化も明らかではなく、これらの女性の臨床におけるフォローアップのエビデンスはなかった。BMJ誌2017年7月12日号掲載の報告。デンマーク女性のコホート研究で、10年累積発生率を主要評価 研究グループは、1995~2012年に初めての出産または死産を経験した女性48万2,972例を追跡し累積発生率の分析を行うとともに、1978~2012年に少なくとも1児を出産または死産した女性102万5,118例を追跡しCox回帰分析で高血圧症の発症について評価した。 主要評価項目は、出産後高血圧症(薬物療法の必要性で確認)の10年累積発生率で、Cox回帰分析でハザード比(HR)を推算した。出産後1年未満の発症率は12~25倍、20年経っても2倍を維持 初産が20代でHDPを経験した女性において、出産後10年間の高血圧症の発症率は14%であった。一方、初産が20代で正常血圧であった女性の同発症率は4%であった。また、初産が40代の同発症率は、HDP経験女性は32%、正常血圧女性は11%であった。 出産後1年未満では、HDP経験女性の高血圧症の発症率は正常血圧女性の12~25倍に上った。HDP経験女性の高血圧症の発症率は、出産後1~10年でも10倍、20年超でも2倍を維持したままであった。

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産学共同でCOPDの早期診断と治療法の確立を目指す

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は2017年7月21日、国立大学法人京都大学とCOPDの早期診断や新たな治療方法の確立等につなげることを目的とした共同研究契約を締結したとこを明らかにした。 COPDは、進行すると呼吸不全や右心不全を起こす命に関わる疾患であり、早期発見、早期治療が重要になる。現在の治療法は、QOLの改善や増悪の軽減はできるものの、根治できないため、早期診断や新たな根本治療の確立が望まれている。 京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学の佐藤篤靖助教の研究グループは、COPDを中心とした呼吸器関連疾患について、臨床医の立場から、また分子レベルからの解析を通して肺の恒常性に着目し研究を進めており、多くの重要な知見で研究の進展に貢献している。本共同研究では、共同研究者の田辺直也特定助教と共に、COPDの発症と進展に重要な機構を細胞の分子レベルから理解することで、疾患の早期診断や新たな根本治療法の確立につなげることを目指す。■参考ベーリンガーインゲルハイム株式会社プレスリリース

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新規経口抗凝固薬、眼内出血リスクはワルファリンの5分の1

 眼内出血リスクは、新規経口抗凝固薬でワルファリンの約5分の1に低下することが、オーストラリア・アデレード大学のMichelle T. Sun氏らによるメタ解析の結果、明らかとなった。新規経口抗凝固薬のベネフィットは、心房細動患者と静脈血栓塞栓症患者とで類似していた。今回の結果は、自然発生的な網膜または網膜下出血の高リスク患者にとってとくに問題であり、著者は、「周術期には新規経口抗凝固薬を使用したほうが良いかもしれないことが示唆された。今後、眼疾患と心血管疾患の両方を有する患者の最適な管理についての研究が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年7月6日号掲載の報告。 研究グループは、ワルファリンと新規経口抗凝固薬の眼内出血リスクを比較する目的で、システマティックレビューとメタ解析を行った。 MEDLINEおよびClinicalTrials.govを用い、2016年8月までに発表された無作為化臨床試験を検索し、特定された臨床試験の論文および他の総説の引用文献についてもマニュアル検索をした。心房細動患者または静脈血栓塞栓症患者が対象であり、新規経口抗凝固薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンまたはエドキサバン)とワルファリンを比較した第III相無作為化臨床試験で、眼内出血に関するデータが記録された試験をメタ解析の対象とした。 眼内出血に関するデータは、逆分散重み付け固定効果モデルを用いて統合した。データの要約と質の評価はPRISMAガイドラインに従うとともに、2人の研究者が独立してデータを抽出。主要評価項目は、ワルファリンに対する新規経口抗凝固薬の眼内出血イベントとリスク比であった。 主な結果は以下のとおり。・12件の臨床試験(合計10万2,627例)がレビューに組み込まれた。・新規経口抗凝固薬は、ワルファリンと比較し相対的に眼内出血が22%減少した(リスク比:0.78、95%信頼区間[CI]:0.61~0.99)。・有意な異質性は認められなかった(I2=4.8%、p=0.40)。・サブグループ解析でも、新規経口抗凝固薬の眼内出血リスクの低さは同様にみられ、新規経口抗凝固薬の適応症(異質性のp=0.49)または種類(異質性のp=0.15)によって有意差はなかった。・要約推定値は、ランダム効果モデルを用いた場合でも大きな違いはなかった。

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