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センチネルリンパ節転移陽性の悪性黒色腫に完全郭清は有効?/NEJM

 センチネルリンパ節転移陽性の悪性黒色腫患者において、ただちに完全リンパ節郭清を実施することで、局所の病勢コントロール率が上昇し予後に関する情報は得られたが、悪性黒色腫特異的生存期間は延長しなかった。米国・Saint John’s Health CenterのMark B. Faries氏らが、国際多施設共同第III相無作為化試験MSLT-II(the second Multicenter Selective Lymphadenectomy Trial)の結果を報告した。先行研究MSLT-Iでは、原発腫瘍の厚さが1.2~3.5mmのリンパ節転移陽性悪性黒色腫患者において、センチネルリンパ節生検は悪性黒色腫特異的生存期間、すなわち悪性黒色腫により死亡するまでの生存期間の延長につながることが示唆されたが、センチネルリンパ節転移を有する患者に対する完全リンパ節郭清の意義は明らかにされていなかった。NEJM誌2017年6月8日号掲載の報告。約2,000例で、完全リンパ節郭清と経過観察を比較 研究グループは、標準的な病理検査または複数マーカーの分子分析によってセンチネルリンパ節転移が確認された悪性黒色腫患者を、完全リンパ節郭清(センチネルリンパ節郭清後に残りの所属リンパ節を郭清)をただちに実施する郭清群と、超音波検査でリンパ節を経過観察する観察群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は悪性黒色腫特異的生存期間とし、log-rank検定を用いて両群を比較した。また、副次評価項目は、無病生存およびセンチネルリンパ節以外のリンパ節転移累積発生率などとした。intention-to-treat(ITT)解析の解析対象は1,934例、per-protocol解析の解析対象は1,755例であった。郭清群で疾患特異的生存期間は延長せず、3年生存率は同等 ITT解析およびper-protocol解析のいずれにおいても、郭清群で悪性黒色腫特異的生存期間の延長は認められなかった。 追跡期間中央値43ヵ月の時点で、per-protocol解析による3年悪性黒色腫特異的生存率(平均±SE)は郭清群と観察群とで同等であった(86±1.3% vs.86±1.2%、p=0.42)。一方、3年無病生存率は、郭清群のほうが観察群よりわずかに高値であった(68±1.7% vs.63±1.7%、p=0.05)。ただし、この結果について著者は「3年時点での所属リンパ節の病勢コントロール率上昇によるもので(92±1.0% vs.77±1.5%、p<0.001)、結果の解釈には注意しなければならない」と指摘している。 なお、センチネルリンパ節以外のリンパ節転移は、郭清群で11.5%に認められ、再発の独立した予後因子であった(ハザード比:1.78、p=0.005)。リンパ浮腫は、郭清群で24.1%、観察群で6.3%に認められた。 著者は研究の限界として、対象の疾病負荷が低く、追跡期間が短いため、さらなるリンパ節再発が予測されること、センチネルリンパ節以外の小さなリンパ節転移が標準病理検査で検出されなかった可能性などを挙げている。

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飲酒は適量でも認知症のリスク要因/BMJ

 アルコール摂取は、たとえ適量であっても海馬の萎縮など脳に悪影響があることを、英国・オックスフォード大学のAnya Topiwala氏らが、30年にわたるWhitehall II研究のデータを用いた縦断研究の結果、報告した。今回の結果は、英国における最近のアルコール摂取制限を支持し、米国での現在の推奨量に異議を唱えるものだという。これまで、大量飲酒はコルサコフ症候群、認知症、広範囲の脳萎縮と関連するとされる一方、少量のアルコール摂取は認知機能障害の予防と関連があるとの研究報告がされていたが、適度なアルコール摂取が脳に与える影響を検証した研究はほとんどなかった。BMJ誌2017年6月6日号掲載の報告。30年追跡したWhitehall II研究から、550例を対象に追跡終了時にMRIを実施 研究グループは、英国の一般公務員を対象としたWhitehall II研究(1985~2015年)に登録され第11期(2011~12年)の調査に参加した6,306例の中から1,380例を無作為に抽出し、このうちimaging substudyへの参加に同意し安全に脳MRI検査を実施できる550例(CAGEスクリーニング質問票2点未満の非アルコール依存者、Whitehall II研究開始時の平均年齢43.0±5.4歳)を対象として、試験終了時(2012~15年)に脳MRI検査を実施し、30年にわたって前向きに収集されたアルコール消費に関するデータを用いて1週間のアルコール摂取量と認知機能について解析した。 550例のうち、画像データ不良あるいはアルコール摂取や認知機能等に関するデータ不備の23例は、解析から除外された。主要評価項目は、海馬萎縮、灰白質密度、白質微細構造などの脳構造評価と、研究期間中の認知機能低下や、画像撮影時の認知能力などの脳機能である。適度のアルコール摂取でも海馬萎縮のリスクが3倍 追跡調査期間中である30年間のアルコール摂取量が多いほど海馬萎縮のリスクが上昇し、摂取なし群(週1未満単位、1単位はアルコール8g)との比較において、週30単位以上のアルコール摂取群が最もリスクが高かった(オッズ比[OR]:5.8、95%信頼区間[CI]:1.8~18.6、p≦0.001)。また、適度なアルコール摂取群(週14~21単位)であっても、右側海馬萎縮のリスクが3倍に上昇し(OR:3.4、95%CI:1.4~8.1、p=0.007)、少量摂取群(週1~7未満単位)についても予防的効果は認められなかった。 アルコール摂取量の多さは、脳梁微細構造の違いや、言語流暢性の急激な低下とも関連していた。一方で、MRI検査時点の認知能力や、意味流暢性または語想起の経年的な変化との関連は確認されなかったという。 なお、今回の結果について著者は、観察研究の結果であり、アルコール摂取量は自己申告であるなど、研究の限界に留意が必要だとしている。

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潰瘍性大腸炎に対する抗MAdCAM-1抗体の有用性-第II相試験(上村 直実 氏)-687

 潰瘍性大腸炎(UC)に関しては寛解導入および寛解維持を目的として、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、ステロイド、免疫調節薬、抗TNFα薬、血球成分除去療法などによる治療が頻用されている。今回、従来治療に不耐容の中等症~重症活動性UCに対して、粘膜アドレシン細胞接着分子1(MAdCAM-1)を標的とする完全ヒトモノクローナル抗体(抗MAdCAM-1抗体)の有用性を検証した、国際間多施設共同第II相用量設定試験の結果が報告された。 主要エンドポイントを12週後の寛解達成率として、21ヵ国が参加した多施設共同試験の結果、抗MAdCAM-1抗体22.5mg群の寛解率が最も高く、プラセボ群2.7%と比べて有意に高い寛解効果を示した。また、安全性にも大きな問題がない結果であった。 MAdCAM-1は、小腸および大腸粘膜の血管内皮に表出し、リンパ球が血管系とリンパ組織の間を循環する際のホーミングに関連する重要な因子であり、腸管の炎症時にMAdCAM-1の表出が異常に亢進している現象が報告されていた。さらに、三浦らにより施行された動物実験ではMAdCAM-1の中和抗体が薬剤性腸炎を有意に抑制することも確認されており、炎症性腸疾患に対する薬剤として期待されていた1)。 以上の推移から抗MAdCAM-1抗体は、かなり難治で重症なUCに対する有用性が高い治療薬として期待されており、今回の用量設定試験の結果を受けて、今後、抗MAdCAM-1抗体の臨床的有用性を確認するための長期間のリスク・ベネフィットを明らかにする、第III相試験をはじめとする臨床試験結果が期待されるものと思われた。とくにMAdCAM-1分子は腸管で生理的な役割も果たしていることを鑑み、いつ投薬を中止したら良いのか、その後の再燃の可能性などの検討も待ち遠しい。■参考1) 三浦総一郎ほか. J Jpn Coll Angiol. 2008;48:143-149.

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「ザ・ゴール」医療への応用【Dr. 中島の 新・徒然草】(174)

百七十四の段 「ザ・ゴール」医療への応用前回、前々回と「ザ・ゴール-企業の究極の目的とは何か」(ダイヤモンド社)のシリーズを読んで印象に残った事を述べました。「ザ・ゴール」というのはフィクション小説仕立てのTOC(Theory of Constraints 制約条件の理論)解説書です。工場の生産性を上げるにはどうすれば良いかとか、大口顧客の無理な注文にどう対応するかとか、そのような問題に対してどうTOCを応用するかを語っています。もちろん小説ですから、あらゆる無理難題を主人公が次々に解決するわけです。今回は、前回紹介した2つのエピソードをどのように医療に応用するかを考えてみましょう。1つ目のエピソードは、ボトルネックを活用して全体最適化を図ったというものです。お互いに依存する多数の要素からなるシステムの生産性を向上するためには非ボトルネックではなく、ボトルネックの活用に注力しなくてはなりません。たとえば手術件数を増やして病院経営を改善しようとすることを考えてみましょう。1週間の手術件数を制限している要素としては、手術室の数が足りない、手術室のスタッフ数が足りない、手術を必要とする患者数が足りない、外科医が足りない、麻酔科医が足りない、などが考えられます。仮にある病院でボトルネックがどこにあるかを探してみると、「手術室は余裕がある、手術室スタッフも足りている、予定手術の患者は1ヵ月待ちである、外科医はもっと手術をしたいと考えている、しかし麻酔科医が人数不足で疲弊している」という結果が出たとしましょう。ここで、いくら患者獲得活動をしても手術待ちが1ヵ月から2ヵ月になるだけで1週間の手術件数が増えるわけではありません。外科医の増員も手術件数向上には寄与しません。この病院で行うべきはボトルネックになっている麻酔科医の数を増やすことです。常勤麻酔科医のリクルートが難しければ、フリー麻酔科医にスポットで来てもらうことを考えるべきでしょう。そうすれば、最小限の費用で最大限の効果を得ることができます。つまり、ボトルネックを活用すれば病院経営が改善するのです。2つ目のエピソードとして前回紹介したのは、突然降って湧いた大量注文に対し、小分けにして納入することによって何とか乗り切ったというものです。このエピソードの応用として、院外処方箋への対応が考えられます。ひとつ調剤薬局の立場で考えてみましょう。新規の患者さんが調剤薬局にもってきた処方箋が、抗てんかん薬であるレベチラセタムの90日処方だったとします。フェニトインとかバルプロ酸のような昔からある抗てんかん薬なら在庫が沢山あるので90日処方にも対応できるのですが、比較的新しいレベチラセタムは10日分しか在庫がありません。こんな時に「ウチの在庫では足りないので他の薬局に行ってください」と言ったりすると新しいお客さんを逃してしまいます。これをどう解決するかが問題です。この場合、患者さんは90日分の薬を1度に服用するわけではないので、取り敢えず手持ちの10日分をお渡ししておき、残りの80日分をすぐに入手して自宅に届けるなどすれば、なんとか凌ぐことができます。患者さんもわざわざ別の薬局に行く手間が省けて双方ハッピーです。つまり、小分け納入は1つの解決法になり得るということと、どんな難題にも自分と顧客双方のウイン・ウインの道を諦めるな、ということですね。もちろん、言うは易く行うは難し、というのが現実世界ではありますが、その場しのぎに追われるだけでなく、時には大所高所からゆっくり考えてみるのも良いのではないかと読書をしながら思った次第です。7~8冊からなる「ザ・ゴール」シリーズは人生哲学としても面白いので、是非、皆さんも読んでみて下さい。シリーズの中で最初に読むべきなのは「ザ・ゴール」ですが、その後は「ザ・クリスタルボール」「チェンジ・ザ・ルール」が比較的読みやすいのに対し、「ザ・ゴール2」や「クリティカルチェーン」は難しいので、そのつもりで取り組んだ方がいいと思います。最後に1句小説の 世界に浸り 人生学ぶ

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成人ADHDに対する中枢神経刺激薬、不眠を悪化させるのか

 注意欠如・多動症(ADHD)の成人における、不眠症の有病率と臨床サブタイプ、現在のADHD症状、中枢神経刺激薬治療との関連について、ノルウェー・Haukeland University HospitalのE.J.Brevik氏らが調査を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2017年5月26日号の報告。 DSM-IV基準に従って診断された成人ADHD患者268例(平均年齢:38.1歳)および、ランダムに選択されたコントロール群202例(平均年齢:36.5歳)を対象とし、診断情報、症状評価尺度、治療歴を収集した。不眠症は、Bergen Insomnia Scale(BIS)で測定した。ADHD症状の自己評価には、成人ADHD自己評価尺度を用いた。 主な結果は以下のとおり。・不眠症は、成人ADHD(66.8%)においてコントロール群(28.8%)よりも頻繁に認められた(p<0.001)。・不眠症は、ADHD不注意優勢型(55.6%)よりも混合型(79.7%)において、より好発していた(p=0.003)。・自己評価による現在のADHD症状では、不注意と不眠症は強く相関していた。・現在ADHDに対して中枢神経刺激薬を使用している患者では、使用していない患者と比較し、不眠症の総スコアが低かった(p<0.05)。 著者らは「不眠症は、ADHD成人において非常に一般的である。中枢神経刺激薬を現在使用している患者の不眠症スコアが低いことから、中枢神経刺激薬は、成人ADHDの不眠症の悪化と関連していないことが示唆された」としている。■関連記事 成人ADHD、世界の調査結果発表 中枢神経刺激薬の睡眠に対する影響を検証 ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

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糖尿病妊婦の出産前搾乳、児のNICU入院リスク増大せず/Lancet

 糖尿病または妊娠糖尿病を有する以外の出産に伴う合併症リスクが低い妊婦について、妊娠36週以降に母乳の搾乳を行っても、出生児の新生児集中治療室(NICU)入室リスクは増大しないことが示された。また、事前に搾乳し冷凍保存した母乳を活用することで、出生後24時間および入院期間中に母乳のみで授乳できた割合の増大も認められたという。オーストラリア・ラ・トローブ大学のDella A. Forster氏らが、635例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。これまでの試験結果では、糖尿病の妊婦が出産前搾乳を行うことで、出生児のNICU入院リスクの増大が認められており、その安全性に疑問が持たれていた。Lancet誌2017年6月3日号掲載の報告。36週以降1日2回搾乳し、NICU入院率を比較 研究グループは2011年6月6日~2015年10月29日にかけて、オーストラリア・ビクトリア州6ヵ所の医療機関を通じ、糖尿病または妊娠糖尿病を有し、単胎妊娠週数34~37週の妊婦635例を対象に無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群は、妊娠36週以降に1日2回母乳を搾乳した(搾乳群319例)。もう一方の群については、出産前の母乳の搾乳はせず、通常の周産期ケアと糖尿病療養指導士によるケアを行った(対照群316例)。搾乳した母乳は冷凍保存し、必要に応じて新生児に与えられた。 主要評価項目は、NICUへの入院率。主要解析は、3例(対照群の途中脱落1例、搾乳群の無作為化後に除外となった1例、搾乳群の途中脱落1例)を除く632例(搾乳群317例、対照群315例)を解析対象とするintention to treat法で評価した。搾乳群の出生後24時間、母乳のみの授乳新生児は1.15倍に 結果、NICUに入院した新生児の割合は、搾乳群15%(46/317例)、対照群14%(44/315例)と、両群で同程度だった(補正後相対リスク[RR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.66~1.46)。 搾乳群で最も多かった有害事象は、呼吸サポートを必要としたNICU入院で、3例(<1%)だった(対照群の報告は2例[<1%])。一方、対照群で最も多かった有害事象は、発作症状の有無を問わない中等度~重症の脳障害で3例(<1%)だった(搾乳群は0例)。 また、エビデンスは中程度であったが、搾乳群では、出生後24時間および入院中に母乳のみで授乳ができた割合が増大したことが認められた。出生後24時間については対照群が60%だったのに対し、搾乳群では69%(補正後RR:1.15、95%CI:1.02~1.28)、入院中については対照群49%、搾乳群57%(同:1.16、0.99~1.33)だった。

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直腸がん、局所切除術 vs.TME/Lancet

 Stage T2T3で腫瘍サイズが4cm以下、術前化学放射線療法反応性だった下部直腸がん患者について、直腸間膜全切除術(TME:total mesorectal excision)に対する局所切除術の優越性は示されなかった。2年後の臨床的アウトカムは両群で同等だった。フランス・Haut-Leveque HospitalのEric Rullier氏らが145例を対象に行った、第III相の非盲検前向き無作為化比較試験「GRECCAR2」(Organ preservation for rectal cancer)の結果で、Lancet誌オンライン版2017年6月7日号に掲載された。残存腫瘍サイズ2cm以下の患者を対象に試験 研究グループは2007年3月1日~2012年9月24日にかけて、直腸がん専門医のいるフランスの3次医療施設15ヵ所で、Stage T2T3の下部直腸がんで最大腫瘍サイズは4cm、術前化学放射線療法に対して良好な臨床的反応を示し、残存腫瘍サイズが2cm以下の18歳以上の患者を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群は局所切除術を、もう一方の群はTMEを行った。なお、局所切除群で最大浸潤径T2-3の場合には、TMEを行った。 主要エンドポイントは、無作為化後2年時点の複合アウトカム(死亡、再発、Clavien-Dindo分類III~Vの外科合併症罹患率、重度合併症)で、局所切除術のTMEに対する優越性を評価した(優越性を示す期待発生率は局所切除群25% vs.TME群60%)。エンドポイント発生率、局所切除群56%、TME群48%と同程度だが 試験には186例が登録され、良好な臨床反応を示した148例が無作為化を受けた。そのうち3例は除外となり(転移、腫瘍径>8cm、同意取り下げによる)、解析には145例が含まれた(局所切除群74例、TME群71例)。 結果として局所切除群のうち、26例にTMEが施行された。 術後2年の修正ITT集団の解析では、主要複合アウトカムの発生率は、局所切除群56%(41/73例)、TME群48%(33/69例)で有意差は示されなかった(オッズ比:1.33、95%信頼区間:0.62~2.86、p=0.43)。 この結果について著者は、局所切除群の多くにTMEを実施したため、外科合併症罹患率や重度合併症発生率が増加し、優越性を示すことができなかったと考察。そのうえで、患者の選択条件を改善することで、局所切除はより効果的な治療戦略となり得る可能性があるとまとめている。

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ニンテダニブ、悪性胸膜中皮腫に有効性/ASCO2017

 ドイツ・ベーリンガーインゲルハイムは2017年6月5日、第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験LUME-Meso試験のパートの結果が、2017年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2017)のオーラルアブストラクトセッションで紹介されたと発表。 悪性胸膜中皮腫(MPM)患者において、標準的一次化学療法(ペメトレキセド+シスプラチン)にトリプルアンジオキナーゼ阻害剤ニンテダニブを追加投与した場合、化学療法のみの治療と比較して、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)と副次評価項目の全生存期間(OS)が改善することが明らかになった。 ニンテダニブを追加投与した治験集団全体(組織型が上皮型または二相型の患者)では、プラセボを追加した標準化学療法のみの治療と比較して、PFS中央値で3.7ヵ月の有意な改善を示し、疾患増悪のリスクを46%減少させた(ニンテダニブ9.4ヵ月、プラセボ5.7ヵ月)。上皮型の患者では、化学療法へのニンテダニブの追加投与によるPFS中央値へのベネフィットがより大きく4ヵ月であった(ニンテダニブ9.7ヵ月、プラセボ5.7ヵ月)。 OSの主解析では、有意な差がつかなかったものの、化学療法にニンテダニブを追加投与した患者のOS中央値は4.1ヵ月延長し、患者集団全体で肯定的な傾向が示された(ニンテダニブ18.3ヵ月、プラセボ14.2ヵ月)。PFSの結果と同様、上皮型に分類された患者での有効性が最も高く、OS中央値は化学療法のみの治療の15.2ヵ月に対して、20.6ヵ月であった。 ニンテダニブ追加療法におけるGrade3以上の有害事象(AE)は、好中球減少症が最も多かった(ニンテダニブ43.2%、プラセボ 12.2%)。発熱性好中球減少症の発生率はニンテダニブ群2.3%、プラセボ群0%であった。 MPMはがん全体の中でも1%未満の胸部に発生する希少がんで、アスベストの長期的な吸入と関係しているといわれている。MPM患者の予後は不良で、診断後の5年生存率は10%未満。MPMは大きく3つの組織型(上皮型、二相型および肉腫型)に分類され、上皮型が最も多く、MPMの50~70%を占めている。■参考日本ベーリンガーインゲルハイムプレスリリースASCO2017 Abstract

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既存の抗生物質は多発性硬化症を病初期の段階で押さえ込めるか?(解説:森本 悟 氏)-686

 多発性硬化症(Multiple sclerosis:MS)は若年成人に発症し、重篤な神経障害を来す、中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患である。根本的治療は確立されていないが、インターフェロンβなどの治療薬による再発予防が身体機能障害の進行の抑止に重要とされている。 また、一般に炎症性脱髄性疾患を示唆する中枢神経病巣を呈する状態が24時間以上続く急性発作で、それ以前には脱髄性疾患を示唆する発作がないものをclinically isolated syndrome(CIS)と称す。CIS患者のうち38~68%程度が、2回目のエピソードを発症しMSと診断されるが、必ずしもMSに進展しないうえに、MSの治療薬には重篤な副作用が報告されているため、いつの段階で治療を開始するべきか長らく議論されている。 このような背景から、CISの段階でMSへの進展を抑制できる効果が高く、重篤な副作用が少ない治療法が望まれている。本研究は、もともと抗生物質として広く使用されており、安価で比較的副作用の少ないミノサイクリンにMSの進展を遅らせる効果があると報告した。 CISと診断されて180日以内にミノサイクリンを100mg内服し続けた群とプラセボ群を比較したrandomized controlled trialであるが、ミノサイクリン群とプラセボ群で登録患者数に差があること、MSの予後不良因子とされている男性がプラセボ群で多い傾向にあること、登録時の造影病変がプラセボ群で有意に多い(造影病変の存在は疾患活動性が高いことを示唆する)ことは留意すべきである。 統計処理において、造影病変の「数」を調整しているが、プラセボ群で6ヵ月以内に再発した症例のうち、登録時に造影病変を有していた症例の割合が記載されていないため、疾患活動性の差が結果に与えた影響は否定できない。また、CISからMSへは数ヵ月後に進展する症例もあれば、20年以上経過してから進展する症例もあり、その中央値は約2年と報告されている。本研究では6ヶ月時点での再発がミノサイクリン群でわずかな有意差をもって少なかったが、24ヵ月後にはその差はなくなっていた。本研究は症例数が少なく観察期間も短いため、臨床的に有用と判断するにはさらなるデータの蓄積が必要と考える。

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第6回 深刻な世代間ギャップの存在【患者コミュニケーション塾】

深刻な世代間ギャップの存在今では医学教育で義務化され、当たり前となったOSCE(客観的臨床能力試験)における医療面接。COMLでは、相手役となる模擬患者の養成と派遣に、1992年から取り組んできました。医学部の講義へ模擬患者を派遣すると、医学生たちから感想文が送られてきます。その内容を読んでいて、ある時期から気になる記載を目にするようになりました。それは、「子供の頃から友人のプライバシーにも深く立ち入らないように気を付けてきたのに、突然出会ううえに年齢も異なる患者さんに、どう対応すれば踏み込み過ぎずに済むか悩む。」といった内容です。友人と違うことをしたり目立ったりするといじめに遭う、というような不安から、真正面からぶつかることを避けてお互い傷つけないように付き合っていくことが、彼らにとっての処世術なのでしょうか。そう考えれば、このような悩みも理解できないわけではありません。しかし、患者の立場としては、違和感を覚えるのです。なぜなら、医師とは患者の究極のプライバシーと向き合う仕事だからです。「どこまで踏み込んでいいのか」ではなく、しっかり踏み込まないと仕事にならないはずです。私はむしろ多くの患者は、「あなたのことを知りたい」と向き合ってくれて、自分のことを十分理解したうえで医療を提供してほしいと望んでいるのではないかと思います。高齢患者の発言を理解できず真逆の行動にまた、コミュニケーションを取るうえで欠かせないのが「言語」です。ところが最近、異なる世代間での共通言語が危機的に少なくなってきていると感じます。年配の世代が若い世代の流行語や略語、「ビミョー」「フツー」「ヤバイ」とカタカナで表現される独特の言葉の使い方についていけないのもその1つです。一方、年配の世代が使う表現を理解できない若者も増えています。それを痛感したのが、ある研修医の体験談を聞いた時でした。その研修医は高齢の男性患者から採血をしようとしたそうですが、採血に適した血管がなかなか見つからず、2度失敗したそうです。そこで上級医に交代してもらおうとしましたが、急変患者が複数発生していて、手が空いている医師がいませんでした。その高齢男性は血液検査の結果が至急必要な患者だったので、「もう少し頑張ってみよう」とさらに2回試みましたが、またもや失敗してしまいました。それまでずっと黙って採血の様子を見守っていたその高齢患者が、4回目の失敗の後、おもむろに「なぁ、兜を脱ぐか?」と言ったそうです。しかし研修医はその意味が理解できず、「どうしよう、何か僕に言っている…」と戸惑い、一生懸命「かぶと、かぶと…」と考えているうちに、兜をかぶった侍が刀を抜いて闘う姿がイメージされて、その勇ましい姿から「そうか、僕は励まされてるんだ!」と考えたのです。そして再び、2回採血を強行したことを私に打ち明けました。この話を聞いた時に、私は大変な世の中がやってきたと思いました。日本語でコミュニケーションが取れなくなってきているのです。医療現場は0歳から100歳代までのあらゆる世代の患者、家族とのコミュニケーションが求められます。この世代間の共通言語をいかに増やしていくかも、喫緊の課題ではないかと思っています。

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カペシタビンによる術後補助化学療法でHER2陰性乳がんの予後を改善/NEJM

 標準的な術前補助化学療法を受け、病理検査で浸潤がんの遺残が確認されたヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)陰性乳がん患者において、標準的な術後治療にカペシタビンによる術後補助化学療法を加えると、無病生存(DFS)と全生存(OS)が改善することが、国立病院機構 大阪医療センターの増田 慎三氏らが実施したCREATE-X試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年6月1日号に掲載された。HER2陰性原発乳がんの術前補助化学療法の病理学的完全奏効(pCR)率は13~22%で、non-pCR例の再発リスクは20~30%とされ、これら遺残病変がみられるHER2陰性例への術後補助化学療法は確立されていない。カペシタビンはフルオロウラシルの経口プロドラッグで、消化器がんの術後補助化学療法や転移性乳がん(主に2次治療)の治療薬として用いられている。カペシタビンの術後補助化学療法を評価 本研究は、日韓の84施設(日本62施設、韓国22施設)参加の下で行われた、術後補助化学療法としてのカペシタビンの有効性と安全性を評価する非盲検無作為化第III相試験である(先端医療研究支援機構[ACRO]、JBCRG[Japan Breast Cancer Research Group]の助成による)。 対象は、年齢20~74歳、HER2陰性、全身状態(ECOG PS)0/1で、アントラサイクリン系薬、タキサン系薬あるいはこれら双方による術前補助化学療法を受け、病理検査でnon-pCRまたはリンパ節転移陽性のpCRと判定されたStage I~IIIB乳がんの女性であった。 被験者は、標準的な術後治療に加え、カペシタビン(1,250mg/m2、1日2回、1~14日)を投与する群または投与しない群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要エンドポイントはDFS期間(割り付け時から再発、2次がんの発現、全死因死亡までの期間)、副次エンドポイントはOS期間などであった。 2007年2月~2012年7月に、910例(日本:606例、韓国:304例)が登録され、最大の解析対象集団(FAS)887例(カペシタビン群:443例、対照群:444例)について解析を行った。カペシタビンの3年DFS率は有意に良好 ベースラインの全体の年齢中央値は48歳(範囲:25~74)、約40%がStage IIIA/B、32.2%がトリプルネガティブ乳がん(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)で、95.3%がアントラサイクリン系薬とタキサン系薬(82.2%が逐次投与、13.1%が同時投与)による術前補助化学療法を受けていた。 事前に規定された中間解析(2015年3月)で主要エンドポイントに到達したため、本研究は早期終了となった。追跡期間中央値は3.6年だった。 最終解析(2016年7月)では、3年DFS率はカペシタビン群が82.8%、対照群は73.9%、5年DFS率はそれぞれ74.1%、67.6%であり、カペシタビン群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.53~0.92、p=0.01)。 また、3年OS率は、カペシタビン群が94.0%、対照群は88.9%、5年OS率はそれぞれ89.2%、83.6%であり、カペシタビン群が有意に優れた(HR:0.59、95%CI:0.39~0.90、p=0.01)。解析時に、両群ともOS期間中央値には未到達であった。術後カペシタビン治療の安全性プロフィール 事前に規定されたサブグループの解析では、DFS率、OS率とも、すべてのサブグループに一致してカペシタビン群にベネフィットが認められた。トリプルネガティブ乳がんでは、DFS率(69.8 vs.56.1%、HR:0.58、95%CI:0.39~0.87)およびOS率(78.8 vs.70.3%、HR:0.52、95%CI:0.30~0.90)が、いずれもカペシタビン群で有意に良好だった。ホルモン受容体陽性例では、いずれも有意な差を認めなかった。 カペシタビン群で最も頻度の高い有害事象は手足症候群で、325例(73.4%)に認められた。このうち、49例(11.1%)がGrade 3であった。カペシタビン群で頻度の高い血液毒性として、白血球減少、血小板減少、好中球減少、貧血が、非血液毒性は疲労、悪心、下痢、口内炎などがみられたが、有害事象の多くがGrade 1/2であった。重篤な有害事象は4例に発現したが、いずれも回復した。 著者は、「標準的な術前補助化学療法後の術後カペシタビン治療の安全性プロフィールは、人種によって異なるため注意を要するが、用量と投与スケジュールを適切に調節すれば欧米の患者にも適用は可能と推察される」としている。

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地球温暖化で網膜剥離のリスク増加?

 外気温の上昇が、牽引性網膜剥離のリスク上昇と関連する可能性が、カナダ・ケベック州公衆衛生研究所(INSPQ)のNathalie Auger氏らによる検討で示された。網膜剥離で入院した患者について調査した結果、高い外気温が牽引性網膜剥離のリスク増加と関連している可能性が示唆されたという。著者は、「気候変動を考慮し、眼や他の感覚器に及ぼす熱波の影響をよく理解する必要がある」とまとめている。網膜剥離は視力障害の重大な原因であるが、これまで屋外の高温曝露との関連は検討されていなかった。Environmental Research誌オンライン版2017年5月23日号掲載の報告。 研究グループは、高い外気温への急性曝露と網膜剥離のリスクとの関連を検討する目的で、カナダのケベック州において2006~13年の各年4~9月(夏期)に網膜剥離で入院した患者1万4,302例を対象に、時間層別化症例クロスオーバー試験を実施し、入院前週の外気温と網膜剥離との関連について解析した。 週間平均気温に関して網膜剥離のサブタイプ(牽引性、滲出性、裂孔原性、網膜裂孔)別に、オッズ比と95%信頼区間(CI)を算出するとともに、年齢と性別ごとに関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・入院前週における高温への曝露は、牽引性網膜剥離の可能性と強く関連していたが、その他のタイプの網膜剥離には関連しなかった。・牽引性網膜剥離との関連は、男性および女性のいずれも、75歳未満でより強かった。・週間平均気温が15℃の場合と比較したときの25℃での牽引性網膜剥離のオッズ比は、55歳未満で2.71(95%CI:1.56~4.71)、55~64歳で2.73(95%CI:1.61~4.64)、64~75歳で1.98(95%CI:1.30~3.02)であった。

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患者報告による症状モニターが、外来進行がんのOSを有意に延長/ASCO2017

 経口抗がん剤の増加により、外来診療が増加している。そのような中、患者の合併症管理は大きな問題となりつつある。進行がんでは症状が頻繁に起こるが、患者が医療者に報告するにはさまざまな障害がある。過去の研究結果によれば、診療医が患者の症状に気付くのは半分との報告ある。質の高いがん診療の管理には症状モニタリングが鍵といえる。そこで、Webベースによる症状モニタリングと患者報告を組み合わせたシステムと、通常ケアの結果を比較する大規模な単一施設無作為化比較試験の生存に関する結果が、University of North CarolinaのEthan Basch氏により米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表された。 同試験では、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerで転移のある固形腫瘍の外来化学療法を受けている患者を登録し、タブレットコンピュータを介した12の一般的な症状を自己報告する群(セルフレポート群)と通常ケア群に無作為に割り付けた。セルフレポート群では、被験者が重度の症状または症状悪化を報告すると、診察医と看護師は電子メールなどによりリアルタイムで知らされ、医療者はその情報を基に診療にあたる。主要評価項目は、QOL、全生存期間(OS)、救急受診であった。 結果、2007年9月~2011年1月に766例の患者が登録され、2群に無作為に割り付けられた。患者の年齢中央値は62歳、白人87%、黒人7%、アジア人6%。がん種は泌尿器生殖器がん31%、肺がん27%、婦人科がん25%、乳がん17%であった。QOL評価は、セルフレポート群では改善34%、不変28%、対照群では改善18%、不変29%であり、セルフレポート群は対照群に比べ31%QOLが改善した。OSは、セルフレポート群で31.2ヵ月、対照群は26.0ヵ月で、セルフレポート介入群で有意に延長した(p=0.03)。多変量解析でのHRは0.832(95%CI:0.696~0.995)であった。救急受診もセルフレポート群で有意に少なく(p=0.02)、その差は7%であった。■参考ASCO2017 Abstract試験情報(Clinical Trials.gov)

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心不全・心機能低下のないAMI患者におけるβ遮断薬と死亡率の関係

 心不全のない急性心筋梗塞(AMI)患者において、β遮断薬が死亡率を低減させるかどうかについては、はっきりしていない。そこで英国リーズ大学のTatendashe B. Dondo氏らの研究グループは、左心機能の保たれたAMI患者において、β遮断薬と死亡率の関連について検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年6月号に掲載。17万9,810例をプロペンシティスコアによって解析 本研究では、Myocardial Ischemia National Audit Projectという英国とウェールズのレジストリデータを用いて、2007年1月~2013年6月の間に心筋梗塞で入院した患者のうち、心不全または心機能の低下が認められなかった17万9,810例について評価した。 β遮断薬と1年後の生存率の関連を検証する解析には、Survival time inverse probability weighting propensity score(生存時間逆確率重み付け推定プロペンシティスコア)と操作変数法(instrumental variable analysis)が用いられた。 β遮断薬投与群と非投与群で1年後の死亡率に有意差は認められず ST上昇心筋梗塞患者9万1,895例と、非ST上昇性心筋梗塞患者8万7,915例のうち、β遮断薬の投与を受けていたのは、それぞれ8万8,542例(96.4%)と8万1,933例(93.2%)であった。コホート全体の16万3,772人年の観察で、9,373例(5.2%)が死亡した。 非調整の1年死亡率は、β遮断薬投与群のほうが非投与群に比べて優れていた(4.9% vs. 11.2%、p<0.001)。しかし、重み付けと調整の後では、β遮断薬投与群と非投与群ともに死亡率に変化が認められなかった(平均治療効果[ATE]係数:0.07、95%信頼区間[CI]:0.60~0.75、p=0.827)。結果は、ST上昇性心筋梗塞および非ST上昇性心筋梗塞で同様であった(ATE係数:0.30、95%CI:0.98~1.58、p=0.637、ATE係数:0.07、95% CI:0.68~0.54、p=0.819)。AMI後、心不全や左室機能低下のない患者において、β遮断薬の使用はその後1年間において死亡率の低下と関連がなかった。無作為化コントロール研究が必要 筆者らは本研究について、無作為化されたものではないことと、プロペンシティスコアや操作変数法を用いて、その他の多くの交絡因子に対する調整がなされたものの、交絡因子が依然残っている可能性を指摘している。AMI後、左心機能が保たれた患者におけるβ遮断薬の死亡率への効果を調べるには、無作為化コントロール研究が次のステップとして必要であると述べている。■関連記事 循環器内科 米国臨床留学記

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認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているか

 認知症高齢者によく用いられる向精神薬は、死亡率の上昇と関連しているといわれている。これまでの研究では、このリスクに関する性差は調査されていない。スウェーデン・ウメオ大学のJon Brannstrom氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピンの使用と2年間の死亡率との関連を分析し、性差に関する調査を行った。BMC pharmacology & toxicology誌2017年5月25日号の報告。 4つのコホート研究より抽出された、合計1,037例の認知症高齢者を2年間追跡調査した(女性:74%、平均年齢:89歳)。往診および診療記録よりデータを収集した。ベースライン薬剤使用の継続と死亡との関連を分析するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。複数の交絡因子を評価し、調整した。主な結果は以下のとおり。・すべての集団からのデータを含む完全に調整されたモデルでは、ベースラインの向精神薬使用と2年間の死亡率の増加は関連していなかった。・有意な性差は、抗うつ薬使用に関連する死亡率で認められ、男性では保護的であったが(ハザード比[HR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.40~0.92)、女性ではそうではなかった(HR:1.09、95%CI:0.87~1.38)。・性別による作用は、ベンゾジアゼピン使用の分析において有意であり、女性よりも男性で死亡リスクが高かった。 著者らは「認知症高齢者におけるベースライン時の向精神薬の継続的使用は、複数の交絡因子で調整した分析において、死亡率の増加と関連が認められなかった。抗うつ薬およびベンゾジアゼピンの使用に関連する死亡リスクに性差が認められ、性別の影響についてさらに調査する必要がある」としている。■関連記事 せん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証 アルツハイマー病患者へのベンゾジアゼピン使用と肺炎リスク うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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夏の行事の前に今から夜尿症を治す

 フェリング・ファーマ株式会社は、5月30日の「世界夜尿症(おねしょ)デー」を前に、夏のお泊まり行事の不安に関する親子アンケートを実施。その結果を発表した。意外と多い夜尿症の悩み 夜尿症(5歳までは「おねしょ」)は、わが国の小中学生の罹病率が6.4%と推察され、アレルギー疾患に次いで頻度の高い慢性小児疾患である。その治療は保険診療の対象となっている。 夜尿症の原因として、第一に、夜間の抗利尿ホルモンの分泌が不十分なため、就寝中に尿の生成が増加し夜間多尿となり、尿量が夜間の機能的膀胱容量を超えてしまうこと、第二に、就寝中の膀胱容量低下によるものが挙げられ、これらのいずれか、または両方、さらに尿意による覚醒ができないことなども原因として指摘されている。 治療では、生活改善、薬物療法、アラーム療法(行動療法)などが行われている。生活改善指導として、規則正しい生活、水分/塩分摂取への配慮、就寝前の排尿といった取り組みを行うことで、1~2割程度の子供の夜尿が消失する。薬物治療は、抗利尿ホルモン製剤であるデスモプレシン(商品名同)などがあり、「夜尿症診療ガイドライン2016」では第1選択薬とされている。アラーム療法は、夜尿をセンサーが察知し、アラームや振動により覚醒を促す機器を用いるものである。前述のガイドラインでは、これらを組み合わせて治療することを記している。子供の3人に1人はおねしょが心配 「おねしょに関する調査」は、2017年4月に全国の小学校1~3年生の子供とその保護者500組1,000名にインターネットアンケートで実施された。 これによると子供(n=500)の27%が「おねしょ」について「とても心配/心配」と回答し、上位となった項目「ひとりで眠れるか」(同29.4%)、「ホームシックにならないか」(同28.4%)と比較しても割合に差がなく、心配の度合いが高いことが示された。そして、「おねしょが心配」と回答した子供の保護者(n=217)に対策の実施状況を聞いたところ、34.1%しか対策を実施していないことがわかった。具体的な対策(n=96)としては、(複数回答で)寝る前の水分の摂取制限(61.5%)が一番多く、おむつの使用(38.5%)、夜間起こしての排尿(25.0%)が挙げられ、病院へ連れていくという回答はわずか7.3%であった。 保護者(n=500)に「小児科で相談・治療できることを知っているか」の質問では、44.6%が「知っている」と答え、「保険診療できることを知っているか」の質問では、32.0%しか「知っている」と回答しなかったことで、医療機関で受診できることが知られていない状況が明らかとなった。「夜尿症」の相談はどこで? 同社では、夜尿症という疾患啓発のためのプロジェクト「おねしょ卒業!プロジェクト」を企画運営し、情報提供WEBサイト「おねしょドットコム」上で正しい知識や対応方法について発信を行っている。 通常、夜尿症は、治療を始めてから効果が表れるまで少なくとも3ヵ月~半年程度かかることから、夏の帰省旅行やキャンプなど子供たちの宿泊を伴う行事が始まる前に、早めに小児科医などに相談を行い、治療が必要なケースかどうかを確認してほしいと期待を寄せている。■参考 おねしょドットコム■関連記事 夜尿症推計78万人のうち受診は4万人

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X染色体遺伝性低リン血症〔XLH:X-linked hypophosphatemic rickets〕

1 疾患概要■ 定義X染色体遺伝性低リン血症(X連鎖性低リン血症性くる病)は、X連鎖性優性遺伝形式を示し、腎尿細管でのリン酸再吸収障害に基づく過リン酸尿、低リン血症、ビタミンD活性化障害、骨石灰化障害を呈する遺伝性疾患である。骨石灰化障害は、成長軟骨帯閉鎖以前に発症するものを「くる病」、成人期のものを「骨軟化症」と呼ぶ。本症はビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症とは異なり、天然型ビタミンD投与により完治しないことから、しばしばビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症とも呼ばれる。■ 疫学詳細は不明であるが、厚生労働省難治性疾患克服研究事業「ホルモン受容機構異常に関する調査研究班」の全国調査から、わが国における年間発症症例数は117例(95%信頼区間 75-160)と推定されている。■ 病因・病態本症はX染色体に存在するPHEX(phosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome)遺伝子の機能喪失に基づく。PHEX遺伝子は主として骨芽細胞や骨細胞に発現している。本症の原因であるPHEXの機能喪失は骨におけるFGF23の過剰産生をもたらし、このFGF23作用の過剰が尿中リン酸排泄増加による低リン血症やビタミンDの活性化障害を引き起こす(図1)。PHEXの機能喪失がFGF23の過剰産生をもたらす機序は明確になっていない。画像を拡大するFGF23は主として骨芽細胞や骨細胞で産生され、近位尿細管におけるIIa型およびIIc型のナトリウム/リン酸共輸送担体の発現を減少させることによりリン酸再吸収を抑制し、血清リン値を低下させる。また、FGF23は、ビタミンDの活性化酵素である1α水酸化酵素の発現を抑制して不活性化酵素である24水酸化酵素の発現を誘導することにより、活性型のビタミンDである1,25(OH)2Dの血中濃度を低下させる。1,25(OH)2Dの低下に伴う腸管でのリン吸収の抑制は血清リン値をさらに低下させる。リンはカルシウム(Ca)とともにハイドロキシアパタイトの主要構成成分であるため、本症における慢性的な低リン血症は、骨石灰化障害であるくる病や骨軟化症をもたらす。低リン血症性くる病・骨軟化症の中には、本症以外にもFGF23作用の過剰による疾患群が存在し、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症と総称される(表)。画像を拡大する■ 症状尿中リン酸排泄増加、低リン血症、骨変形やO脚、関節腫脹、低身長、骨単純X線像としての杯様変化や毛羽立ちなどのくる病所見を認め、くる病はビタミンD抵抗性である。ビタミンDの活性化障害が存在するため、低リン血症が存在するにもかかわらず血中1,25(OH)2D値は上昇しない。ほかのくる病・骨軟化症と同様に、血清ALP値は上昇する。多くの場合、副甲状腺ホルモン(PTH)値は正常である。見逃されがちな症状として歯の異常が挙げられ、本症の患者はエナメル質欠損や象牙質石灰化障害、歯根膿瘍などを示す。成人では筋力低下や骨痛が主徴となる。また、後縦靱帯骨化症や腱付着部症(enthesopathy)をしばしば認める。■ 予後従来行われてきたリン酸製剤と活性型ビタミンDを用いた治療により本症患者の成長障害はある程度改善するが、成人身長は平均を下回る場合が多い。また、骨変形の完全な防止は困難であり、筋力低下や骨痛のため服薬が中止できないことが少なくない。前述したように、後縦靱帯骨化症や石灰化を伴うenthesopathyを合併しやすい。また、長期にわたる活性型ビタミンDの投与により尿中Ca排泄が増加し、腎機能に影響を及ぼす場合がある。2019年より、新規治療薬としてヒト型抗FGF23モノクローナル抗体(商品名:クリースビータ)が使用可能となったことから、今後、本疾患の予後が変化する可能性がある。2 診断骨石灰化障害であるくる病や骨軟化症には、本症のようなFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症のほか、ビタミンD欠乏性くる病やビタミンD依存症I型・II型、薬剤性くる病・骨軟化症、ファンコーニ症候群など、さまざまな疾患が含まれる。そこで、厚生労働省難治性疾患克服研究事業「ホルモン受容機構異常に関する調査研究班」では、日本内分泌学会・日本骨代謝学会との合同で、「くる病・骨軟化症の診断マニュアル」を作成し1)、学会ホームページ上で公開している。このマニュアルでは、くる病・骨軟化症の症例に遭遇したときには、まず血清リン値を評価し、低リン血症が存在すれば血中FGF23値の測定を行う。血清リン値の基準値は年齢で異なるので、注意が必要である。くる病・骨軟化症患者で低リン血症が存在し、血中intact FGF23値が30pg/mL以上であれば、FGF23関連くる病・骨軟化症と診断する(図2)。FGF23関連くる病・骨軟化症の診断または治療効果判定を目的としたFGF23の測定は、2019年より保険適用となっている。表に示した通り、FGF23関連くる病・骨軟化症には本症以外にもさまざまな疾患が含まれるので、腫瘍性骨軟化症などとの鑑別のために詳細な家族歴の調査が必要となるが、しばしば孤発例も報告されており、診断に苦慮する場合がある。こうした症例ではPHEX遺伝子検査が有用である。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)本症をはじめとするFGF23関連低リン血症性くる病においては、尿中リン酸排泄増加に加えビタミンD活性化障害を伴うため、従来、中性リン酸塩と活性型ビタミンDの併用投与が行われてきた。経口リン酸製剤(例:ホスリボン配合顆粒など)は20~60mg/kg/日を数回に分割して投与する。リン投与が過剰になると消化器症状や副甲状腺機能亢進症のリスクが高まる。活性型ビタミンDとしては通常、アルファカルシドール(1αOHD3)0.03~0.05μg/kg/日で開始し、血清Ca値や尿中Ca排泄を指標に投与量を調節する。成人における治療法は確立していない。活性型ビタミンD投与が長期にわたるため、腎エコー上、腎石灰化が高頻度に認められるが、腎機能の低下を来すことはまれである。近年、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に対する新規治療薬として、ヒト型FGF23モノクローナル抗体ブロスマブが使用可能となった。XLHに対しては、成人患者では4週毎に1 mg/kg(ただし90 mg以下)を、小児患者では2週毎に0.8 mg/kgを皮下投与する。在宅自己注射も可能となっている。リン製剤や活性型ビタミンD投与による治療からブロスマブ投与に切り替える際には、それまでの治療を中止して血清リン値が低値になっていることを確認しなくてはならない。ブロスマブは血清リン値や症状に応じて増減するが、最高用量は2mg/kg/回(ただし90 mg以下)である。4 今後の展望2019年以降、血中FGF23測定が保険適用となり、ブロスマブが使用可能となったことから、XLHの診療は大きく変化しつつある。ブロスマブの導入により、XLHにおける身長予後や合併症が改善するかどうか、今後の検討が待たれる。5 主たる診療科小児科、内分泌内科、整形外科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療研究情報難病情報センター ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(一般向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター 原発性低リン血症性くる病(一般向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会XLH Network(米国にある本疾患の患者会サイト。英文だが日本語選択も可能)1)Fukumoto S, et al. Endocr J. 2015;62:665–671.2)Carpenter TO, et al. J Bone Miner Res. 2011;26:1381–1388.3)Haffner D, et al. Nat Rev Nephrol. 2019;15:436–455.4)Carpenter TO, et al. New Engl J Med. 2018;378:1987–1998.5)Imel EA, et al. Lancet. 2019;393:2416–2427.公開履歴初回2017年06月13日更新2022年02月03日

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実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット

 統合失調症における再発予防は、重要な目標である。しかし、統合失調症患者は抗精神病薬の服薬アドヒアランスが不良であり、それは度重なる再入院や実質的な治療費の負担をもたらす。イタリア・ASST-Monza Ospedale San GerardoのEnrico Biagi氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤(LAI)抗精神病薬の文献レビューを行った。Advances in therapy誌2017年5月号の報告。 LAI抗精神病薬の開発以降に発表された臨床データをレビューし、統合失調症におけるLAI(とくにアリピプラゾールに焦点を当てた)と経口抗精神病薬の有効性の比較を調査した。エビデンスは、説明的な試験デザインと同様な、自然主義的/実用的な研究より抽出され、著者らの臨床経験により裏付けられた。 主な結果は以下のとおり。・LAI抗精神病薬は経口剤よりも利点があり、第1選択薬としての使用や若年患者への使用において良好なエビデンスが存在する。・主な第III相試験によると、アリピプラゾール月1回400mg(AOM400)は、効果的かつ忍容性が良好で、服薬アドヒアランスが高く再発率は低いとされている。・日常的な臨床実践をより代表する「自然主義的」試験デザインである最近の無作為化試験では、AOM400は良好な忍容性を示し、全体および35歳以下の若年患者でパリペリドンLAIよりも有効性が有意に高かった。 著者らは、「伝統的な臨床試験における有効性の“全スペクトラム”に及ぶ結果と、より自然主義的で実在の臨床実践における有効性の概念を包含する結果は、統合失調症全般における有用な長期治療選択肢としてAOM400の使用を支持していた。AOM400は、服薬アドヒアランスが不良または経口抗精神病薬治療が不十分な場合だけでなく、治療コースの初期段階においても有用である」としている。■関連記事維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか統合失調症の短期治療、2つのLAIでみられる違い

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持続性の痛みが記憶力低下を速める?

 米国・カリフォルニア大学のElizabeth L. Whitlock氏らによる約1万人の高齢者の縦断的なコホート研究により、持続性の痛みが記憶力低下の加速と認知症リスクの増加に関連することがわかった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2017年6月5日号に掲載。 本研究は、米国の代表的なHealth and Retirement Study(HRS)における地域在住の高齢者1万65人へのインタビューによるコホート研究である。参加者は、2000年に62歳以上であり、1998年および2000年に痛みと認知機能に関する質問に回答した。データ分析は2016年6月24日~10月31日に実施。1998年と2000年のインタビューの両方で、中等度または重度の痛みがしばしばあると回答した参加者を「持続性の痛み」を有するとした。主要アウトカムは、2000~12年の神経心理学的テストの結果と情報提供者および代理人のインタビューから推定された記憶スコアと認知症確率であった。 主な結果は以下のとおり。・適格であった1万65人のうち、60%が女性であり、ベースライン時の年齢の中央値は73歳(四分位範囲:67~78歳)であった。・ベースラインにおいて、参加者の10.9%に持続性の痛みが影響し、抑うつ症状が重く、日常生活活動(動作)の制限が大きかった。・共変量の調整後、持続性の痛みがある参加者は、痛みのない参加者と比較して、9.2%(95%CI:2.8~15.0%)のより急速な記憶力低下がみられた。この記憶力低下の加速は、10年後に薬剤管理ができなくなる相対リスクが15.9%高くなり、自分自身で財務管理ができなくなる相対リスクが11.8%高くなることを意味する。・調整後の認知症確率は、持続性の痛みがある参加者では7.7%(95%CI:0.55~14.2%)速く増加し、これは10年後の認知症確率の絶対的増加が2.2%になることを意味する。

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高齢者の術後せん妄予防にケタミン、悪影響の可能性/Lancet

 高齢者の術後せん妄予防目的のケタミン投与は、効果がないばかりか、幻覚やナイトメア症状を増大する可能性が、米国・セントルイス・ワシントン大学のMichael S. Avidan氏らによる国際多施設共同二重盲検無作為化試験「PODCAST」の結果、示された。せん妄は頻度が高く重大な術後合併症である。一方で、術後疼痛を軽減するために周術期静脈内ケタミンの投与がしばしば行われており、同投与のせん妄予防効果を示唆するエビデンスが報告されていた。研究グループは、高齢者の術後せん妄予防に対するケタミンの有効性評価を主要目的に今回の試験を行った。Lancet誌オンライン版2017年5月30日号掲載の報告。プラセボ vs. 0.5mg/kgケタミン vs. 1.0mg/kgケタミンの無作為化試験 PODCAST(Prevention of Delirium and Complications Associated with Surgical Treatments)試験は4ヵ国10施設(米国6、カナダ2、韓国1、インド1)で、全身麻酔下にて心臓または非心臓の大手術を受ける60歳以上の患者を対象に行われた。コンピュータ無作為化シーケンス法で被験者を1対1対1の割合で3群に割り付け、それぞれ術前の麻酔導入後に、(1)プラセボ(生理食塩水)、(2)低用量ケタミン(0.5mg/kg)、(3)高用量ケタミン(1.0mg/kg)を投与した。参加者、臨床医、研究者に割り付けは明らかにされなかった。 せん妄の評価は、術後3日間、Confusion Assessment Method(CAM)を用いて1日2回行われた。解析はintention-to-treat法にて行われ、有害事象についても評価した。3群間のせん妄発生率に有意差なし、ケタミン群で幻覚、ナイトメアが増大 2014年2月6日~2016年6月26日に、1,360例の患者が試験適格の評価を受け、672例(平均年齢70歳、女性38%)が無作為に3群に割り付けられた(プラセボ群222例、低用量ケタミン群227例、高用量ケタミン群223例)。 術後3日間のせん妄発生率は、プラセボ群19.82%、低用量ケタミン群17.65%、高用量ケタミン群21.30%であった。せん妄発生率について、プラセボ群と低・高用量ケタミン複合群(19.45%)の群間に有意差は認められなかった(絶対差:0.36%、95%信頼区間[CI]:-6.07~7.38、p=0.92)。また、3群間の有意差も認められないことが確認された(Cochran-Armitage検定のp=0.80)。ロジスティック回帰モデルの評価では、ケタミンの低用量群と高用量群がそれぞれ、術後せん妄発生の低下を独立して予測することが示されたが、有意差は認められず、さらに潜在的交絡因子で補正後、せん妄の発生までの時間、期間、重症度について3群間で有意差は認められなかった。同評価では、60歳超、心臓手術、うつ病歴がせん妄の独立予測因子として示唆されている。 有害事象(心血管系、腎機能、感染症、消化管出血)の発生は、個別にみても(それぞれのp>0.40)、総体的にみても(プラセボ群36.9%、低用量ケタミン群39.6%、高用量ケタミン群40.8%[p=0.69])、3群間で有意差はなかった。 一方で、プラセボ群と比べてケタミン群の患者で、術後の幻覚症状(プラセボ群18%、低用量ケタミン群20%、高用量ケタミン群28%[p=0.01])、ナイトメア(8%、12%、15%[p=0.03])が有意に増大したことが報告された。

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