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letermovirは造血幹細胞移植での有力なサイトメガロウイルス感染症発症予防薬となるか(解説:吉田 敦 氏)-792

 造血幹細胞移植患者において、サイトメガロウイルス(CMV)は高率に活性化し、肺炎やGVHDを引き起こす。このためガンシクロビルやバルガンシクロビルが予防薬として用いられてきたが、効果が限定的であるうえ、骨髄抑制・回復抑制が問題であった。しかしながらこの2剤に頼らざるをえない状況は10年以上変わっていない。 CMVはターミナーゼ(terminase)によりゲノムDNAの中間体を切断し、カプシド蛋白にまとめていく。このターミナーゼに結合してウイルス複製を阻害するのがletermovirであり、その効果は非常に強く、かつヒトサイトメガロウイルスに特異的であり、また細胞毒性も少ないことが判明していた。造血幹細胞移植患者を対象とした第II相試験では、生着後12週間にわたって1日60mg、120mg、240mgをそれぞれ投与したところ、ウイルス血症の予防に対する効果は240mgで最も大きく、さらに予防できなかった患者はプラセボ群で64%であったのに対し、letermovir 240mg群では29%であり、有意差があった1)。これを受けて今回、第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験が行われた。 20ヵ国の67医療機関を受診した18歳以上の患者で、登録時にCMV感染症を認めず、さらに血漿中CMV DNAが検出感度(151コピー/mL)以下であった者を対象とした。生着の有無にかかわらず、letermovir投与群(480mg/日、点滴・経口あり、ただしシクロスポリン併用者は240mg/日)とプラセボ群に割り付けて14週まで投与し、その後経時的に測定したCMV DNAが上昇するか、CMV感染症を発症した時点を、エンドポイント(試験中止)と判断した。さらに本試験に関連したと考えられる副作用や、死亡に至った重大な合併症の有無については、48週まで観察した。 結果として、letermovir群は325例、プラセボ群は170例となり、移植からletermovir開始までの期間は0~28日(中央値9日)であった。24週までにエンドポイントに達した患者は37.5%対60.6%と、letermovir群で有意に低く(p<0.001)、これは患者のCMV感染症の発症リスクの高低によらなかった。次いで副作用をみると、嘔吐、浮腫、心房細動/粗動がletermovir群でやや多かったが、有意差はなかった。総死亡率はletermovir群20.9%、プラセボ群25.5%であった。 今回の結果では、letermovirでCMV感染症を有意に予防することができた。安全性・忍容性ともに許容される範囲であった点(骨髄抑制を含む)、内服・静注両方で使用が可能であった点も好ましかった。したがって従来の薬剤に代わる予防薬として期待されるところである。ただし本剤はゲノムの点変異のみで耐性を来すこと、それも1日60mgの投与で耐性が出現した例が報告されている2)。すでにFDAはletermovirを成人造血幹細胞移植患者の予防薬として認可したが、用量・血中濃度に注意した本剤の適正な使用と、有効性・耐性出現の両方について今後も慎重な評価が必要であるといえる。

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Dr.志賀のパーフェクト!基本手技

第1回 腰椎穿刺 第2回 気管挿管 第3回 胸腔ドレーン挿入 第4回 胃管挿入第5回 中心静脈挿入第6回 大腿動脈採血 第7回 肘内障整復 第8回 動脈内留置カテーテル挿入 第9回 指脱臼整復 臨床医がマスターしなければならない必須の基本手技を、シミュレーターを使用して、臨床現場さながらに実演し、解説します。このシリーズでは、腰椎穿刺をはじめとして、気管挿管、中心静脈挿入、大腿採血など9の手技を取り上げます。各手技を実践するうえで必要な手順の確認はもちろんのこと、ポイントやコツ、ピットフォール、そしてトラブルシューティングまでしっかりとカバーします。Dr.志賀の現場目線にこだわった、アツい!レクチャーは必見です。第1回 腰椎穿刺 第1回目の基本手技は、腰椎穿刺。腰椎穿刺は解剖から立体的な構造を意識して挑む必要があります。また、穿刺後頭痛、神経根症状など、手技に伴う合併症は、ちょっとしたコツで防ぐことができます。秘訣をお教えします!この番組で、ぜひ、腰椎穿刺をマスターしてください。第2回 気管挿管 今回の基本手技は、“気管挿管”。気道を制する者は救急を制する!この番組では、一刻を争う状況下で行う気管挿管の手技を見せるだけでなく、それぞれのポイントで陥りがちなピットフォールを提示し、正確に行うためのコツをしっかりと伝授します。迅速かつ正確な気管挿管の手技をマスターしてください!第3回 胸腔ドレーン挿入 今回の基本手技は胸腔ドレーン挿入。胸腔ドレーン挿入は患者さんの覚醒下で行う手技なので、痛みをきちんとコントロールすることが重要です。また、致死的な合併症を起こし得る手技なので、安全に行えるようコツをしっかりとマスターしてください!第4回 胃管挿入今回の基本手技は「胃管挿入」。胃管挿入は、単純そうに見えますが、決して簡単な手技ではありません。覚醒下で行うため、患者さんにとって非常につらく、不快感があるの手技です。手技を行う際には、しっかりとした配慮が必要です。また、頭蓋内挿入、気管内挿入、そして穿孔など、重大な事故につながる恐れもあります。それらを避けるためのポイントとコツ、そしてトラブル対処法をしっかりと分かりやすく伝授します。この番組で、ぜひ、胃管挿入をマスターしてください。第5回 中心静脈挿入今回の基本手技は、中心静脈挿入。最近では、安全にかつ、成功率を高めるため、超音波を使用して行う手技が当たり前となってきました。より安全に、正確に手技が行えるためのポイントを伝授します。もちろん超音波画像もお見せしながら解説します。この番組で、中心静脈挿入をマスターしてください。第6回 大腿動脈採血 今回の基本手技は「大腿動脈採血」。動脈血の採取は、いくつかの部位で行うことができますが、最も、簡単で、合併症の少ない大腿部での採血の手技をお教えします。ポイントは、解剖を理解することと皮膚に対する針の角度。この番組で、大腿動脈採血の手技をマスターしてください。第7回 肘内障整復 今回の手技は肘内障整復です。肘内障は5歳くらいまでの乳幼児に起こる橈骨頭亜脱臼で、整復は数秒で完了します。この番組では、回内法と回外屈曲法の2通りの方法を説明します。整復が成功するポイントは、「迅速」に行うこと。この番組で肘内障整復をマスターしてください。第8回 動脈内留置カテーテル挿入 今回の基本手技は持続的な血圧測定や、頻回な採血を必要とする場合に実施する手技である「動脈内留置カテーテル挿入」。穿刺部位はいくつかありますが、安静の制限や感染の少ない橈骨動脈の手技を解説します。手技の手順はもちろんのこと、ちょっとしたコツやトラブルシューティング術などをしっかりとお教えします。第9回 指脱臼整復 今回の基本手技は経験が少ないとハードルの高い「指脱臼整復」。左中指背側脱臼を例に2種類の整復方法を提示します。一方で整復できないときは、もう一方を行いましょう。この番組でぜひ指脱臼整復をマスターしてください!

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ヘビに陰部を咬まれた男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第106回

ヘビに陰部を咬まれた男性 いらすとやより使用 芸人がヘビを恐る恐る触るシーンがテレビで放送されることがありますが、相手が毒ヘビだととんでもないことになるので注意しましょう。もちろん、テレビでベタベタと触ってるヘビは、おとなしいヘビが多いはずです。 Hussain T, et al.IMAGES IN CLINICAL MEDICINE. A Viper Bite.N Engl J Med. 2015;373:1059.な、な、な、なんと天下の「New England Journal of Medicine」です。そんなトップジャーナルにほんまでっか論文があるというのか。46歳の農夫が主人公です。彼は、ヘビに陰部を咬まれたということで3時間後に救急部を受診してきました。マンガでこんなシーンがあったように思いますけど、実際に陰部をヘビに咬まれる人っているんだなぁ。東方クサリヘビ(Levantine viper)という種類の毒ヘビのようですが、北米の砂利土に覆われた薮やブドウ畑に生息するそうです。陰部を診察したところ、エライコッチャでした。まさに陰茎の周囲にある包皮にヘビがガブリと咬みついたようで、包皮がパンパンに膨れ上がってロールアップしており、大きな水疱が2つできていました。著作権があるので写真は掲載できませんが、例えるなら、包皮がホバークラフトみたいに膨れ上がっている状態です。超音波検査では、陰茎の血流はどうにか保たれていました。よかった。彼は、多価抗ヘビ毒素血清を投与され、36時間後には陰茎の腫脹はゆるやかに改善していきました。いやぁ、よかったよかった。無事、鎮火ならぬチン火ですね。おそまつ。陰茎の腫脹は退院後も4日ほど続きましたが、治療効果の甲斐もあって次第に元に戻っていき、2週間後にはすっかり元どおりになったそうです。めでたしめでたし。男性の読者の方々は、ヘビを触るときには股間にとびついてこないか警戒してくださいね。

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急性期統合失調症に対するパリペリドンの6週間オープン試験

 スペイン・バルセロナ大学のEduard Parellada氏らは、月1回パリペリドンパルミチン酸エステルで治療を行った急性期統合失調症入院患者の再発について、臨床経過を評価した。International journal of psychiatry in clinical practice誌オンライン版2017年11月21日号の報告。 精神科急性期病棟においてパリペリドンで治療された統合失調症患者に対し、6週間のフォローアップによる多施設オープンラベルプロスペクティブ観察研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・登録された280例のうち、パリペリドン単独療法患者は61例、他の抗精神病薬との併用療法患者は219例であった。・臨床全般印象評価尺度-統合失調症(CGI-SCH)平均スコアは、ベースライン時の4.7から最終診察時の3.3に減少した(p<0.0001)。パリペリドン単独療法、併用療法ともに、この変化は臨床的および統計学的に有意であった。・機能の明らかな改善および治療に対する高い患者満足度が認められた。・入院後、パリペリドン治療を開始するまでの時間は、入院期間と相関が認められた(p<0.0001)。パリペリドン治療の早期開始は、入院期間の短縮と関連していた。・有害事象は、患者の7.1%で観察されたが、すべて重篤ではなかった。 著者らは「パリペリドン治療は、単独療法および他の抗精神病薬との併用療法ともに、統合失調症の急性期症状の治療において、効果的かつ良好な忍容性を示す。急性期統合失調症エピソードにおけるパリペリドン治療の早期開始は、入院期間の短縮をもたらす可能性がある」としている。■関連記事措置入院後の統合失調症患者における再入院リスク要因統合失調症の再発率比較、併用療法 vs. 単独療法 vs. LAI急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析

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抗血小板薬3剤併用、脳梗塞急性期への有効性は/Lancet

 虚血性脳卒中(脳梗塞)や一過性脳虚血発作(TIA)の急性期患者における抗血小板薬3剤併用療法は、再発とその重症度を減少させることはなく、大出血リスクは有意に増大することを、英国・ノッティンガム大学のPhilip M Bath氏らが、無作為化非盲検第III相優越性試験「TARDIS試験」の結果、報告した。これまでの検討で、脳梗塞急性期の2次予防として抗血小板薬2剤併用療法は単剤療法より優れていることが示唆されている。3剤併用療法はそれらガイドラインで推奨されている抗血小板療法より有効である可能性があったが、結果を踏まえて著者は、「抗血小板薬3剤併用療法は、日常診療で使用されるべきではない」とまとめている。Lancetオンライン版2017年12月20日号掲載の報告。アスピリン+クロピドグレル+ジピリダモール vs.標準療法で検討 TARDIS(Triple Antiplatelets for Reducing Dependency after Ischaemic Stroke)試験は、4ヵ国(デンマーク、ニュージーランド、ジョージア、イギリス)の106施設にて実施された。 対象は、発症後48時間以内の脳梗塞またはTIAの成人患者で、抗血小板薬3剤併用療法群(アスピリン[初日300mg、以降50~150mg/日、通常75mg/日]+クロピドグレル[初日300mg、以降75mg/日]+ジピリダモール[徐放製剤200mgを1日2回、または通常製剤100mgを1日3~4回]と、標準療法群(ガイドラインに基づいた治療:クロピドグレル単剤またはアスピリン+ジピリダモール2剤併用療法、各薬剤の用法用量は3剤併用療法群と同じ)に、コンピュータを用い1対1の割合で無作為に割り付けた。 割り付けは、国およびイベント(脳梗塞、TIA)で層別化するとともに、ベースラインの予後因子(年齢、性別、発症前の機能、収縮期血圧、病型)、薬剤使用歴、無作為化までの時間、脳卒中関連因子、血栓溶解で最小化した。 主要有効性アウトカムは、90日以内の脳卒中(虚血性または出血性、修正Rankin Scale[mRS]で評価)またはTIAの再発とその重症度で、電話による追跡調査によって評価された(評価者盲検化)。解析はintention–to-treatにて行われた。3剤併用療法で再発は減少せず、出血リスクは増加 2009年4月7日~2016年3月18日の期間に、3,096例が無作為化された(3剤併用療法群1,556例、標準療法群1,540例)。 本試験は、データ監視委員会の勧告により早期中止となった。脳卒中/TIAの再発は、3剤併用療法群93例(6%)、標準療法群で105例(7%)に発生し、両群で有意差は認められなかった(補正後共通オッズ比[cOR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.67~1.20、p=0.47)。一方で、3剤併用療法は、より重度の出血と関連していた(補正後cOR:2.54、95%CI:2.05~3.16、p<0.0001)。 なお、著者は研究の限界として、幅広い患者層で検証していること、非盲検下で抗血小板薬が投与されていること、早期中止となり検出力が低いことなどを挙げている。

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PTSD心臓外科医のこだわりと肩すかし(解説:今中和人氏)-791

 医療に必要不可欠な輸血療法の歴史は、肝炎やGVHDに代表される輸血後合併症との戦いの歴史でもある。多くの先人・関係者の研究とご尽力により、昨今、上記合併症は激減し、日本赤十字社の公式発表によれば、たとえば肝炎は2012年B型6例・C型ゼロ、2013年B型7例・C型1例、2014年B型2例・C型ゼロである。何よりも私たちは、このことに感謝しなければならない(もちろん、表面化していない症例はあるであろうが)。ただ、まれながら経験あるいは見聞した劇症肝炎やGVHDのすさまじさで、医療者、とくに輸血を頻用してきた心臓外科医はPTSDになっている。上記2つ以外の合併症も、遅発性溶血は1/2,500、急性肺障害1/5,000~10,000、アナフィラキシー8/100,000(いずれも対1単位)と学んでもなお恐れ、無輸血にこだわっている。 ウインドウ期の献血でHIV感染が1例起きて大騒ぎになったのは2013年。もう4年あまり前のことで、以降1例も報告されていないが、「いやいや、未知の病原体だってありうる」とこだわっている。 さらに、しばしばオーバーな報道に振り回されがちな患者さんたちが「無輸血」と聞くと喜ぶこともあるが、誇り高き心臓外科医が無輸血にこだわる、もう1つ大きな理由を率直に記すと「手術が上手→出血が少ない→無輸血」という図式である。別に同業者を揶揄するのではなく、たとえば当院での2017年11月の開心術は全例無輸血だったので、ためしにこの時期の14例(平均62歳)を集計すると、当日Hb9.9g/dL(7.7~11.3)、大抵2病日に最低となりHb8.3g/dL(7.3~11.1)。とくに6例が女性で、ACSが3例、DAPT中の症例も1例いたことを思うと、われわれもご多分に漏れず相当こだわっている。ただし多くの論文が指摘するように、無輸血と最も相関する因子は術前Hbで、当院の14例も13.6g/dL(10.7~16.6)と、術前から基準値を下回っていたのは2例のみだった。 一方、重症貧血では組織への酸素供給が不十分になる。無輸血にこだわることの安全性はとても重要で、最低Htと術後死亡率、入院期間、諸合併症率の相関を指摘する有名施設の論文もあり、心臓外科医は「どこまでこだわってよいか?」に強い関心がある。 そういった心臓外科医にとって、実に隔靴掻痒の論文である。 この北米中心の国際多施設共同研究(ちなみに中国・インドなどアジアの施設も参加しているが、本邦の施設は含まれていない)は、われわれが知りたい、無輸血の是非を論じたものでもなく、どの程度の貧血まで粘ってよいかを論じているのでもなく、輸血に踏み切るHb値をいくつに設定するかで比較しているにすぎない。だから制限輸血群でも52%が輸血をしているし、自由輸血群は73%。つまり自由群も1/4以上は無輸血なのだ。逆に、制限群に割り付けられたが、自由群だとしても無輸血でいけた症例も多いはずだ。 もっとがっかりするのは、この論文の言う輸血は「赤血球」限定で、FFPは両群とも25%前後、血小板は30%弱投与されており、何ら差がない。これはわれわれの言う無輸血とは異なるだけでなく、たとえばアナフィラキシーを含むアレルギーは圧倒的に血小板、次いでFFPに多いのだがまったくお構いなし。どちらも自由群である。 とどめは、この論文のエンドポイントに輸血合併症が含まれていないことで、これは国際共同研究のアキレス腱と言うべきか。今でもインドなどでは売血が一般的なようで、輸血合併症の頻度もさまざまで致し方ないのだろうが、強烈な肩すかし感が残る。せん妄とか痙攣なんてエンドポイントで差が出るわけがない。 で、結論は「どちらのHb設定でも大きな差はない」とのこと。さもありなん、である。 なお輸血は、国や施設によってはコストも大いに関係する。本邦の薬価、1単位当たり赤血球 約8,600円、FFP 約9,000円、血小板 約7,800円に対するご意見はさまざまだが、安全性の担保から街角で終日献血を呼びかける職員に至るまで、関係各位のご努力への感謝を忘れるべきでないと私は思う。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第51回

第51回:予後を正確に知るとQOLが下がる? …コミュニケーションの話キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちらこんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。最近うちの科の抄読会で話題になったのはJournal of Clinical Oncology…JCOですね。あのTemelさん、2010年に、New England Journal of Medicineに、Massachusetts General Hospitalで行われたRandomized Trialで、早期から緩和ケアが介入したほうが、QOLが上がるだけではなく予後も2~3ヵ月、StageIVの肺がん患者で伸びたといって、ずいぶん話題になったんですけど…その筆頭著者のJennifer Temel先生が書いた「予後を正確に知った患者さんのほうが、QOLが下がる」という、少し衝撃的な論文がJCOに出ていました。たとえばStageIVの患者さんに僕らはよく、「残念ながら、がんの状況はNon Curable…治癒をゴールした状況ではありません。ただ、がんはコントロールできるかもしれないし、抗がん剤を使うことで症状を防いだり(症状が)出てくるのを遅らせ、QOLを維持することができる可能性が高いので治療しましょう」という説明をするんですけども。そのNon Curable Cancer、「自分のがんが治るわけではない」ということがわかった患者さんのほうが、QOLのスコアは下がると(いうことです)。今まで多くの緩和医療のStudyでは、予後を告知したり、そういう話題に対してしっかりと向き合うことは必ずしもQOLには影響しない、むしろ準備ができて悪いことはない、という感じの論調が多かったんですけども。今回のStudyでは、QOLのスコアが少し低く出たと報告されていました。正確に自分のがんの状態を理解するというのは…「正確に」とは何を意味するのか…本当に難しいですよね。肺がんについて、統計学的な数値をわかることが正確に理解したことになるのか? そうではないですよね。1人の患者さんはそれぞれ違うので、統計学的なことを知っても、ご本人がそれに当てはまるかどうかというのは、まったく別の話なので。そういう意味では問題提起というか、議論のネタになる良い論文だったと思います。興味があれば、読んでいただくと非常に参考になると思います。あと、フェローに「これは絶対必読だからベッドタイムリーディングで読みなさい」ってみんなに勝手に送りつけたんですけれども、ASCOのコミュニケーションガイドラインが出ました。「こういう家族がいたらどのように説明するか」「こういう患者さんがいたら、家族がいたら、どうサポートするのが良いのか」、本当によく書かれています。細かいところまで配慮してrecommendationを入れているのだなと、編集委員の方の苦労が伝わってくるような、非常に良いガイドラインだと個人的には思います。これもチャンスがあれば読んでいただけると非常に良いと思います。僕はフェローに「絶対読め」と言いましたけど。コミュニケーション能力については僕も興味があり、今度ワークショップに参加することになりました。Atul Gawandeというハーバード大学の外科医がいるのですが…皆さんも本を読まれたことあるかもしれないですが、『Being Mortal』という本を出されていて日本語訳にもなっているんですけども…彼は医療の質を上げるようなシンクタンク(?)そういう組織のトップになっていて、コミュニケーションだけではなく、チェックリストを作ることで、いかにComplicationを減らす…『Complications』という題の本を出しているんですね…手術のエラーとか、あるいは医療のミスをどうやったらコントロールできるのか、ということに興味を持たれている外科医です。非常に暖かい人で、何年か前の緩和ケアの学会で、『Being Mortal』が出たときに、本にサインしてもらうために並んだ記憶があります。彼が今やっているプロジェクトの1つ、SICG(Serious Illness Conversation Guide)では、重篤な病状の患者さんあるいは家族と、どのようにコミュニケーションを取るのが良いのかということについて、いろいろと模索をしています。そのSerious Illness Conversation Guideのワークショップに、科を代表して数人の同僚と一緒に参加します。そこでは、どういうシナリオを使って、フェローにあるいはレジデントにコミュニケーションの大切さを伝えるか、ということについて研修を積んでくる予定です。この話もぜひ(次回以降お話し)できたらと思うので、がんばって吸収してきます。Jennifer S. Temel JS, et al.Early Palliative Care for Patients with Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer.N Engl J Med. 2010;363:733-742.Nipp RD, et al. Coping and Prognostic Awareness in Patients With Advanced Cancer.J Clin Oncol.2017 ;35:2551-2557. Gilligan T, et al.Patient-Clinician Communication: American Society of Clinical Oncology Consensus Guideline.J Clin Oncol.2017;35:3618-3632. Atul Gawande著 Being MortalAtul Gawande著 ComplicationAtul Gawande著 The Checklist Manifesto: How To Get Things RightThe Conversation Project

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第12回 必要なのは患者力?医師の決断力?【患者コミュニケーション塾】

必要なのは患者力?医師の決断力?昨年12月18日、NHKの「あさイチ」という番組にゲスト出演しました。テーマは「今日からできる“患者力”アップのコツ」です。図らずも、同時期発売の週刊誌『女性セブン』(小学館)12月21日号では、「病院でトラブらない! 患者の疑問 医者のホンネ」という記事が紹介されました。こちらにもコメンテーターとして取材を受けた私の意見が載っています。いずれも内容は、もうドクターが「あなたにはこの治療方法が一番です」と決める時代ではなくなってきた。治療方法の選択肢や患者の価値観も多様化したいま、患者もコミュニケーション能力を高め、理解、自己決定できる力をつけていこうという内容が本筋にあり、そのための方法が紹介されています。しかし一方で、電話相談をお聴きしていると、確かに医師から長時間かけて詳しい説明を聞いているのに、その内容が理解できていない人、自分で決められない人が多いことを実感します。考えてみれば、この国ではそもそもつい最近まで自己主張や自己決定は敬遠されてきました。そのため患者の多くは、人生の節目、節目で明確な自己決定をしてきていないのだと思います。それなのに、情報量が増え、治療方法の選択肢が増えたからと、突然「患者の自己決定」が重視されるようになり、いきなり「いのちの自己決定」を迫られて戸惑っている―それが多くの患者の現実ではないでしょうか。それに加え、高齢者の増加と共に、判断能力が低下したり、判断能力がなくなったりした高齢患者の治療や最期について決断を迫られる家族も増えてきています。私自身、両親を2012年と17年に亡くしていますが、もう助からないとわかったときの決断をしたのは私でした。例えば、意識状態もはっきりせず、絶飲食の父親に対しては、積極的な延命治療はすべて断り、栄養は抹消から入れる1日400キロカロリーの点滴のみに絞り込みました。骨髄繊維症の予後不良群だった母の最期も、ステロイドの使用は断り、緩和治療のみお願いしました。さまざまな項目について意思表示をしながら、「自分の下した決断で、親のいのちが短くなるかもしれない。これを日ごろ医療に接していない人がいきなり突きつけられると、恐らく非常に重い選択になるのではないか」と痛感しました。NHK「あさイチ」の番組中に届いた1,300通を超えるメールやFAXのなかにも「患者力、納得いきません。なぜ患者が患者力を付けないといけないのか。医療の知識がないから医療費を支払って受診してアドバイスと技術を求めているのに」という意見がありました。このような話題を提供すると、必ず出てくる意見ですし、COMLの電話相談でもよく語られる内容です。確かにもっともではあるのですが、ともかく治療方法や患者の価値観が多様化し、医師が「あなたにはこれが一番のオススメです」と言えなくなってきたということを、丁寧に伝えていくことが大事だと私は考えています。ただ、だからといって医師が患者に選択を丸投げするのではなく、一緒に考えようという姿勢、それを何よりも大切にしてもらいたいと思っています。

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餅による窒息での院外心停止、三が日に集中

 餅は日本における食品窒息事故の主な原因であるが、餅が原因の窒息による院外心停止(OHCA)の疫学はよくわかっていない。今回、大阪府心肺蘇生効果検証委員会のウツタイン大阪プロジェクトにおける集団ベースの観察研究で、窒息によるOHCAの約10%が餅による窒息が原因であり、その25%が正月三が日に発生していたことが報告された。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年10月28日号に掲載。 本研究では、2005~2012年のOHCAデータを大阪府の集団ベースのOHCAレジストリから取得した。救急医療サービス(EMS)要員の到着前に発生した窒息によるOHCAを経験した20歳以上の患者について、窒息の原因(餅、餅以外)により、患者特性、病院前医療、転帰を比較した。主要アウトカムはOHCA後の1ヵ月生存率であった。 主な結果は以下のとおり。・期間中に計4万6,911例の成人OHCAが観察された。・OHCAのうち窒息が原因だったのは7.0%(3,294/46,911)、そのうち餅が原因の窒息は9.5%(314/3,294)、そのうち24.5%(77/314)が正月三が日に発生した。・粗解析による1ヵ月生存率は、餅による窒息では17.2%(54/314)、その他の原因による窒息では13.4%(400/2,980)であった。・すべての原因による窒息の多変量解析では、「低い年齢」「バイスタンダーに目撃された心停止」「早いEMS反応時間」が高い1ヵ月生存率と有意に関連していた。

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ADHDの小児および青年における意図しない怪我のリスクとADHD薬の影響

 小児、青年におけるADHDと意図しない身体的な怪我のリスクとの関連を定量化するリスク分析およびこのリスクに対するADHD薬の効果を評価するため薬剤分析について、スペイン・Servicio Navarro de Salud-OsasunbideaのMaite Ruiz-Goikoetxea氏らは、メタ解析を用いたシステマティックレビューを行った。Neuroscience and biobehavioral reviews誌オンライン版2017年11月21日号の報告。 2017年6月まで、114のデータベースを検索した。リスク分析のために、ADHDと怪我との関連を推定する、性別でコントロールしたオッズ比(OR)またはハザード比(HR)について報告された研究を組み合わせた。薬剤分析のために、適応による交絡バイアスを回避した研究(自己制御方法を用いた4研究および時間とグループによるリスクを比較した研究)のメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・リスク分析では、統合ORは1.53(95%CI:1.40~1.67、28研究、ADHDなし:405万5,620例、ADHDあり:35万938例)、HRは1.39(95%CI:1.06~1.83、4研究、ADHDなし:90万1,891例、ADHDなし:2万363例、)であった。・薬剤分析では、統合効果量は、0.879(95%CI:0.838~0.922、ADHD患者:1万3,254例)であった。 著者らは「ADHDは、意図しない怪我のリスク増加と有意に関連しており、自己制御研究によって示されるように、ADHD薬は、少なくとも短期間の保護効果を有する」としている。■関連記事ADHD発症しやすい家庭の傾向もしかしたら、食生活の改善でADHD発症を予防できるかもADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

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1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢か?(解説:住谷哲氏)-790

 1922年に初めてインスリンが臨床応用されるまで、1型糖尿病は不治の病であった。その後、1型糖尿病のnatural historyが明らかとなり、現在では1型糖尿病発症に至る3つのstageが提唱されている1)。1型糖尿病発症の高リスクグループの同定が可能となったことで、1型糖尿病発症予防の試験がこれまでにいくつか実施されてきた。大規模試験としては、インスリン投与による1型糖尿病発症予防を検討したDiabetes Prevention Trial-Type 1 Diabetes(DPT-1)2,3)と、ニコチンアミドの有効性を検討したEuropean Nicotinamide Diabetes Intervention Trial(ENDIT)4)があるが、残念ながら両試験において結果はnegativeであった。 DPT-1は独立した2つの試験から構成されている。これまでの研究から、膵島関連自己抗体と静脈内ブドウ糖負荷試験(IVGTT)でのインスリン初期分泌能を組み合わせることで、1型糖尿病患者の近親者における、将来5年間の1型糖尿病発症リスクをほぼ正確に予測することが可能となっている。本試験では、まず膵島細胞自己抗体(ICA)でスクリーニングを行い、ICA陽性患者に対してインスリン自己抗体(IAA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体(GAD-Ab)、抗インスリノーマ関連抗原-2抗体(IA-2-Ab)、さらにIVGTTの結果を総合して各患者の発症リスクを計算した。5年間の発症リスクが>50%の群に対してヒトウルトラレンテインスリンの皮下投与を、26~50%の群に対しては経口ヒトインスリン(7.5mg/日)を投与して、約4年間にわたり1型糖尿病の発症頻度をプラセボと比較した。その結果はすでに述べたように、両試験において1型糖尿病の発症は予防できなかった。しかし経口ヒトインスリン投与試験のサブ解析では、IAA>=80nU/mL患者においては、プラセボ群と比較して相対リスク減少(ハザード比[HR]:0.566、p=0.015)を示唆する結果であった。そこでDPT-1を引き継いだ本試験では、DPT-1とは異なりICAではなくIAAでスクリーニングを行い、その他の膵島関連自己抗体とIVGTTの結果を用いて各患者のリスクを計算し、リスクごとに患者を4群(Primary Stratum、Secondary Stratum 1、Secondary Stratum 2、Secondary Stratum 3)に分けて経口ヒトインスリンの効果を検討した。 その結果は、主要評価項目であるPrimary Stratum(これがDPT-1でのIAA>=80nU/mL患者に相当する)での1型糖尿病発症は、経口インスリン投与により有意な減少を認めなかった(HR=0.87、p=0.21)。一方、Secondary Stratum 1ではプラセボと比較して有意に発症が減少していた(HR=0.45、p=0.006)。しかしこれは多重検定について未調整であり、あくまで仮説生成(hypothesis generating)と見なすべきだろう。 動物実験の結果や、ヒトにおける少数のパイロット試験の結果のみに基づいて臨床判断を決定することは、患者に害を与える可能性がある。さらにこれまでの大規模臨床試験において、サブ解析や副次評価項目で有効性が示唆された場合でも、それを主要評価項目に設定し直して確認することで有効性が否定されたことも少なくない。1型糖尿病発症予防の研究の歴史も、まさにこのことを証明している。したがって、今回の研究で有効性が示唆された患者群を対象として、同様のRCTを実施することが次のステップとなる。残念ながら現時点では1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢といえるだろう。

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昭和の看護【Dr. 中島の 新・徒然草】(202)

二百二の段 昭和の看護医学生も看護学生も皆、国家試験準備の季節となりました。私も大阪医療センター附属看護専門学校で国家試験を念頭に置いて講義を行っています。昨年の第106回看護師国家試験を中心に教えているのですが、その出題者の苦労がしのばれます。たとえば、「アルツハイマー病の患者さんが胸椎圧迫骨折で入院し、『ここはどこですか』と何度も同じ質問をされる場合、どう対処するか」という状況設定問題。選択肢は、以下の4つ。1.体幹を抑制する2.家族に夜間の付き添いを依頼する3.ナースステーションにベッドを移動する4.骨折で入院していることを繰り返し伝えるおそらく出題者は “ 4.”を選ばせたいのだと思います。それはいいのですが、残りの3つの選択肢が力作です。おそらく出題者は誤りの選択肢を作るのにかなり苦心したのではないでしょうか。というのも、私のような古い医師にとっては、誤った選択肢はまさしく昭和の医療、昭和の看護に思えるからです。私が医学部を卒業した頃、体幹の抑制とか、家族への付き添い依頼とか、ナースステーションに患者さんを連れてくるとか、よくやっていました。この話を某所でベテラン看護師さんたちとしていた時に、色々出てきたのが「昭和の看護あるある話」です。A看護師「夜中に徘徊する患者さんには困らされてね、仕方ないので、検温の時に車椅子を押して一緒に回ってもらったりしたのよ」B看護師「あった、あった! 今みたいな気の利いた設備もないから、徘徊癖のある患者さんは病室のドアのところに鈴をつけといて、チリンチリンと鳴ったら慌てて飛んで行ったりしてね」中島「色々工夫していたわけやな」A看護師「そりゃそうよ。今からみたらとんでもないこともたくさんあったけど、その時はその時で一生懸命だったのよ」中島「あの頃の僕らは、エネルギーだけのバカ者やったな」A, B看護師「ギャッハッハ!」現在では夜間勤務の人数も増え、医学や看護のレベルも上がったので、こういうことは全く見られなくなりました。今となっては懐かしい青春の一コマですね。最後に1句あるあると 昭和の看護で 盛り上がり読者の皆様、今年も1年間ありがとうございました。良い年をお迎えください。

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婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビュー

 既婚であることは、健康的な生活習慣と関連し、死亡率を低下させる。そして、ライフコースの因子によって認知症のリスクを低下させる可能性がある。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAndrew Sommerlad氏らは、婚姻状況と認知症の発症リスクとの関連性について、システマティックレビューとメタ解析を行った。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版2017年11月28日号の報告。 年齢および性別で調整した、婚姻状況と認知症との関連性を報告している当該研究について、医療データベースの検索と現場の専門家への連絡を行った。方法論の質を評価し、既婚と比較した、死別、離婚、終生の独身の相対リスクを集約するため、ランダム効果メタ解析を行った。メタ回帰を伴う2次層別解析では、臨床的および社会的状況や所見における研究方法論の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・15の研究より、81万2,047例を抽出した。・既婚者と比較し、終生の独身者(相対リスク:1.42、95%CI:1.07~1.90)および死別者(1.20、95%CI:1.02~1.41)では、認知症のリスクが高かった。・離婚者においては、関連が認められなかった。・さらなる分析では、教育の不足は、死別者におけるリスクを部分的に交絡させ、終生の独身者における身体的な健康を悪化させるリスクを高めていた。・認知症診断を確定するために臨床記録を使用した研究と比較して、すべての対象者を臨床的に検査した研究では未婚者の認知症リスクが高かった。 著者らは「既婚であることは、死別者や終生の独身者よりも認知症のリスク低下と関連しており、死別者や終生の独身者は通常の臨床現場において十分に診断されていない。未婚者における認知症予防は、教育と身体的健康に重点を置くべきであり、社会的な関与の影響が修正可能なリスク因子であると考えるべきである」としている。■関連記事認知症になりにくい性格は認知症にならず長生きするためになぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか

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ディープラーニング活用の完全自動OCT、精度は専門家並み

 オーストリア・ウィーン医科大学のThomas Schlegl氏らは、従来の光干渉断層法(OCT)による網膜画像で黄斑液を検出し定量化する自動測定法を開発した。検証の結果、OCTデバイスを問わず、最も一般的な滲出性黄斑疾患における網膜内嚢胞液(IRC)および網膜下液(SRF)の識別・検出の精度は優れており、定量化についても専門家による手動評価とほぼ一致することが認められたという。著者は、「網膜OCT画像の完全自動分析は、眼科学の研究・臨床における網膜診断の正確性および信頼性の改善に有用と考えられる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年12月8日号掲載の報告。 研究グループは、OCTデバイスのシラス(カールツァイスメディテック)またはスペクトラリス(ハイデルベルグ エンジニアリング)で得られた、滲出型加齢黄斑変性(AMD)400例、糖尿病黄斑浮腫(DME)400例、網膜静脈閉塞症(RVO)400例、計1,200例(各デバイス600例)のOCTボリューム・スキャンデータを用い、IRCとSRFを自動的に検出・識別・定量化する、ディープラーニングをベースとする完全自動測定法を開発した。そのアルゴリズムの性能を、盲検化された2人の読影者の測定結果と比較するとともに、正確度(ROC曲線)、精度、再現度で評価した。 主な結果は以下のとおり。・IRCの検出と定量化については、3つの黄斑病変全体で、新しい自動測定法の平均正確度は0.94、平均精度は0.91、平均再現度は0.84であり、最適な精度を達成した。・SRFの検出と定量化についても同様に、平均正確度0.92、平均精度0.61、平均再現度0.81と高く、DMEと比較して滲出型AMDおよびRVOにおいて、その性能が優れていることが示唆された。・新しい自動測定法は、手動測定と直線的な強い相関関係にあることが確認された(ピアソン相関係数:IRC 0.90、SRF 0.96)。

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日本人と胃がん―ピロリ菌と気を付けるべき3つの習慣

 世界的に見れば、罹患率・死亡率共に減少傾向にあるとはいえ、依然、最も診断されているがんであり、死因としては第3位の胃がん。今月、都内で開かれたプレスセミナー(ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社主催)では、津金 昌一郎氏(国立がん研究センター 社会と健康研究センター長)が、ピロリ菌をはじめとする胃がんのリスク因子と予防について講演した。環境要因?日本で胃がんが多い地域、少ない地域 講演で津金氏が示した日本の統計データによると、全がん種で死亡した人は、2015年に37万人(男性22万人、女性15万人)で、このうち胃がんで死亡した人は4万6,000人(男性3万人、女性1.5万人)となっており、肺、大腸について第3位だった。また罹患率については、新たに診断されたのは、2013年時点のデータで、全がん種で推定86万例(男性50万例、女性36万例)。このうち胃がんと診断されたのは推定13万例(男性9万例、女性4万例)となっており、最も多かった。ただ、年次推移を見ると、罹患率の減少と生存率の向上により、死亡率は確実に減少傾向にある。 また、患者の分布を見ると、東北地方の日本海側地域に多く、九州・沖縄地域で少ない傾向があるという。津金氏は、「食生活を含めた生活習慣などの環境要因が、遺伝要因よりも影響が大きいのでは」と述べた。3つの習慣の見直しで胃がん予防を では、胃がんリスクとして挙げられるのは何か。日本人のエビデンスに基づいた研究によると、「確実」とみられているリスク要因は、ピロリ菌感染と喫煙であり、「ほぼ確実」なのは塩分、確実とまではいかないが可能性が示唆されているのは、野菜や果物の低摂取である。 このうちピロリ菌については、幼児期にピロリ菌を保有する大人から食べ物の口移しなどによる感染経路が知られており、本人以外の第三者の注意や心掛けがなければ防ぎようがない側面がある。一方で、喫煙や塩分や塩蔵食品(漬物や塩辛、干物など)の高摂取、野菜や果物の低摂取については、患者の自助努力において大いに改善の余地がある生活や食事の習慣である。とりわけ喫煙は、非喫煙者に比べ胃がんリスクが約1.6倍増加することも明らかになっており、禁煙を勧めることが何よりのがん防止になると津金氏は強調する。リスクは知るべきだが、ピロリ菌除菌は「成人以降で」 胃がんの確実なリスク因子であるピロリ菌感染の有無は、尿素呼気試験のほか、便や尿、血液の検査などで簡便にわかるようになった。日本では、2000年に「胃潰瘍、十二指腸潰瘍」に対し、ピロリ菌の感染診断および治療が保険適用となり、13年には「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対するピロリ菌除菌も保険適用となった。 胃がんのリスク分類は4つの分類(ABC分類)が知られている。これは、ピロリ菌感染の有無と、萎縮性胃炎の有無(血中のペプシノーゲン値で判別)の組み合わせによる分類で、ピロリ菌感染(-)/胃粘膜の萎縮なしは「A」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮なしは「B」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮進行は「C」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮が高度に進行は「D」と評価される。 また、国立がん研究センターが作成した、今後10年の胃がん罹患リスクを予測する診断ツールも有用である。年齢、性別、喫煙習慣、食習慣、胃がんの家族歴、それにピロリ菌感染の有無を入力すれば、上記のABC分類のいずれに該当するかを即座に知ることができる。津金氏は、こうした手軽なツールも活用して、患者自身に胃がん予防に対する意識付けを促すことの必要性を述べる一方、リスクを低減させるピロリ菌除菌については、その有効性を認めつつ、「小児期に抗生剤を使うことが正しいのか不明な点も多い。検査や除菌、自治体や親に強制されるべきものではなく、成人になって自らの判断で行うべきと考える」と私見を述べた。

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重炭酸Naとアセチルシステインに造影剤腎症の予防効果なし/NEJM

 血管造影を受ける腎合併症発症リスクが高い患者において、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)や塩化ナトリウムの静脈投与単独、または経口アセチルシステインの投与は、いずれも死亡や透析、血管造影に関連した急性腎障害の予防に寄与しないことが示された。米国・ピッツバーグ大学のSteven D.Weisbord氏らが、5,177例を対象に行った2×2要因デザインの無作為化試験「PRESERVE」の結果で、NEJM誌オンライン版2017年11月12日号で発表された。現状では、これらを投与する効果に関してエビデンスが乏しいまま、血管造影後の急性腎障害や有害アウトカム予防を目的とした、炭酸水素ナトリウム静注や経口アセチルシステイン投与が広く行われているという。90日後の全死因死亡、透析、クレアチニン値上昇の複合エンドポイントを比較 研究グループは2013年2月~2017年3月にかけて、米国(35ヵ所)、オーストラリア(13ヵ所)、マレーシア(3ヵ所)、ニュージーランド(2ヵ所)の計53ヵ所の医療機関を通じて、血管造影が予定されている腎合併症発症リスクが高い患者5,177例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に4群に分け、二重盲検2×2要因プラセボ実薬対照法にて、1.26%炭酸水素ナトリウムまたは0.9%塩化ナトリウムの静脈投与、5日間のアセチルシステインまたはプラセボの経口投与を受けるよう無作為に割り付けた。被験者のうち4,993例についてintention-to-treat解析を行った。 主要エンドポイントは、90日時点の全死因死亡・透析の実施・ベースラインから50%以上の血清クレアチニン値上昇の複合とした。副次評価項目は、血管造影関連の急性腎障害の発生などだった。主要エンドポイント、急性腎障害ともに群間差なし 事前に規定した中間解析後に、本試験はスポンサーの判断で中止された。 炭酸水素ナトリウムとアセチルシステインの間に、主要エンドポイントの発生について、関連は認められなかった(p=0.33)。具体的に、主要エンドポイントの発生率は、炭酸水素ナトリウム群4.4%(2,511例中110例)に対し、塩化ナトリウム群4.7%(2,482例中116例)だった(オッズ比[OR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.72~1.22、p=0.62)。また、同発生率はアセチルシステイン群4.6%(2,495例中114例)、プラセボ群4.5%(2,498例中112例)だった(OR:1.02、95%CI:0.78~1.33、p=0.88)。 血管造影関連の急性腎障害の発生率についても、群間差は認められなかった。

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小児の急性上気道感染症への抗菌薬、広域 vs.狭域/JAMA

 小児の急性気道感染症において、広域抗菌薬(アモキシシリン-クラブラン酸、セファロスポリン系、マクロライド系薬)の投与と狭域抗菌薬(アモキシシリン、ペニシリン)の投与は、臨床的アウトカムや大部分の患者中心アウトカムについて同等であることが示された。一方で有害事象の発生頻度は、広域抗菌薬群が狭域抗菌薬群よりも高率だった。米国・フィラデルフィア小児病院のJeffrey S. Gerber氏らが、3万例超の小児を対象にした後ろ向きコホート試験と、約2,500例の小児を対象とした前向きコホート試験を行って明らかにしたもので、著者は「今回の結果は、大部分の小児の急性気道感染症に対しては、狭域抗菌薬を使用することを支持するものだ」とまとめている。JAMA誌2017年12月19日号掲載の報告。生後6ヵ月~12歳の小児を対象に試験 研究グループは、米国ペンシルベニア州とニュージャージー州の小児プライマリケアネットワークに参画する診療所31ヵ所を通じて、2015年1月~2016年4月に急性気道感染症の診断を受け経口抗菌薬を投与した生後6ヵ月~12歳の小児を対象に、臨床的アウトカムを検証する後ろ向きコホート試験と、患者評価のアウトカムを検証する前向きコホート試験をそれぞれ行った。広域抗菌薬と狭域抗菌薬のアウトカムについて比較した。 後ろ向きコホート試験では、主要アウトカムは診断後14日間の治療失敗と有害事象だった。前向きコホート試験では、主要アウトカムは生活の質(QOL)、その他の患者評価のアウトカム、患者報告の有害事象だった。 両コホート試験について、層別解析や傾向スコアマッチング解析を行い、医療者による交絡因子や患者個人の背景による交絡因子をそれぞれ補正した。患者報告QOL、広域抗菌薬群でわずかに低スコア 後ろ向きコホート試験の被験者数は3万159例で、そのうち1万9,179例が急性中耳炎、6,746例がA群レンサ球菌性咽頭炎、4,234例が急性副鼻腔炎だった。このうち、広域抗菌薬を投与されたのは、14%(4,307例)だった。治療失敗率は、広域抗菌薬群3.4%、狭域抗菌薬群3.1%と同等だった(完全マッチング解析によるリスク差:0.3%、95%信頼区間[CI]:-0.4~0.9)。 前向きコホート試験の被験者は2,472例で、うち1,100例が急性中耳炎、705例がA群レンサ球菌性咽頭炎、667例が急性副鼻腔炎だった。広域抗菌薬を投与されたのは35%(868例)だった。小児患者のQOLについて、狭域抗菌薬群の平均スコアが91.5点だったのに対し、広域抗菌薬群では90.2点と、わずかに低かった(同リスク差:-1.4%、95%CI:-2.4~-0.4)。一方、その他の患者評価のアウトカムについては、両群で同等だった。 医療者が報告した有害事象の発生率は、狭域抗菌薬群2.7%に対し広域抗菌薬群は3.7%と高率だった(同リスク差:1.1%、95%CI:0.4~1.8)。患者が報告した有害事象の発生率も、狭域抗菌薬群25.1%に対し広域抗菌薬群は35.6%と高率だった(同リスク差:12.2%、95%CI:7.3~17.2)。

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fremanezumabとerenumabは片頭痛の予防治療に有効(中川原譲二氏)-789

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)受容体を阻害するヒトモノクローナル抗体であるfremanezumabとerenumabは、ともに片頭痛の予防治療薬として研究されているが、両薬剤の第III相試験でその有効性が相次いで報告された。1)慢性片頭痛の予防治療としてのfremanezumab第III相試験fremanezumabを3ヵ月に1回、または毎月投与で有効性を検討 米国・トーマス・ジェファーソン大学のStephen D.Silberstein氏らの研究グループは、2016年3月~2017年1月の間、132施設において、慢性片頭痛患者(持続時間や重症度にかかわらず頭痛が月に15日以上あり、そのうち片頭痛が8日以上ある患者)1,130例を対象として、無作為に以下の3群に割り付けた。(1)fremanezumabを3ヵ月に1回投与(ベースライン時675mg、4、8週時はプラセボを投与、376例:3ヵ月ごと投与群)、(2)毎月投与(ベースライン675mg、4、8週時は225mg投与、379例:月1回投与群)、(3)プラセボ投与(375例)。薬剤、プラセボをそれぞれ皮下注した。 主要エンドポイントは、初回投与後12週時点における月平均頭痛日数のベースラインからの平均変化値とした。評価対象とした頭痛の定義は、連続4時間以上持続しピーク時重症度が中等度以上であった頭痛、または持続時間や重症度にかかわらず急性片頭痛薬(トリプタン系薬やエルゴタミン製剤)を使用した頭痛で、それらを呈した日数をカウントした。月平均頭痛日数が、fremanezumab群の2用量群とも約4割で半減 ベースライン時の被験者の月平均頭痛日数は、3ヵ月ごと投与群が13.2日、月1回投与群が12.8日、プラセボ群が13.3日だった。月平均頭痛日数の最小二乗平均値の減少幅は、3ヵ月ごと投与群4.3±0.3日、月1回投与群4.6±0.3日に対し、プラセボ群は2.5±0.3日であった(いずれもプラセボ群に対してp<0.001)。月平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、3ヵ月ごと投与群38%、月1回投与群41%に対し、プラセボ群は18%であった(いずれもプラセボ群に対してp<0.001)。試験薬に関連したものと考えられる肝機能異常は、実薬群でそれぞれ5例(1%)、プラセボ群で3例(<1%)と報告された。 本研究では、慢性片頭痛の予防薬としてのfremanezumabは、この12週試験において、プラセボよりも頭痛の頻度が低かった。副作用としては、薬物に対する注射部位の反応がよくみられ、長期の効果持続性と安全性については、さらなる研究が求められるとした。2)反復性片頭痛に対するerenumab第III相STRIVE試験約1,000例で、erenumab 70mgまたは140mgの有効性と安全性を検討 STRIVE(Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Erenumab in Migraine Prevention)試験では、2015年7月~2016年9月5日の期間に、121施設において、18~65歳の反復性片頭痛患者955例を対象として、erenumab 70mg、140mgまたはプラセボの3群に無作為に割り付け(それぞれ317例、319例、319例)、いずれも月1回皮下投与を6ヵ月間行った。 主要エンドポイントは、片頭痛を認めた日数(月平均)のベースラインから投与4~6ヵ月の変化。副次エンドポイントは、片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合、急性期片頭痛治療薬の使用日数のベースラインからの変化、身体機能スコア(Migraine Physical Function Impact Diary[MPFID:0~100点、スコアが高いほど片頭痛が身体機能に与える影響が大きい])における機能障害・日常生活領域のスコアの変化などであった。70mgおよび140mgともに片頭痛の頻度が有意に減少 片頭痛月平均日数は、ベースライン時は全集団において8.3日であったが、投与4~6ヵ月時は、erenumab 70mg群で3.2日減少、同140mg群で3.7日減少したのに対し、プラセボ群では1.8日の減少であった(各用量群ともプラセボ群に対してp<0.001)。片頭痛の月平均日数が50%以上減少した患者の割合は、70mg群43.3%、140mg群50.0%に対し、プラセボ群は26.6%(各用量群ともプラセボ群に対してp<0.001)、また、急性期片頭痛治療薬の使用日数の変化量はそれぞれ1.1日減少、1.6日減少に対し、0.2日減少であった(同p<0.001)。機能障害スコアは、70mg群4.2点、140mg群4.8点の改善であったのに対して、プラセボ群は2.4点の改善であった。同様に日常生活スコアもそれぞれ5.5点、5.9点、および3.3点の改善であった(各用量群ともプラセボ群に対してp<0.001)。有害事象の発現率は、erenumab群とプラセボ群で同程度であった。 本研究では、erenumab 70mgまたは140mgの月1回皮下投与は、反復性片頭痛患者において、6ヵ月以上、片頭痛の頻度、片頭痛の日常生活への影響および急性片頭痛治療薬の使用を有意に減少させた。erenumabの長期的な安全性と効果の持続性に関しては、さらなる研究が必要であるとした。片頭痛のCGRP誘発機序と新たな先制予防治療薬の登場 片頭痛患者では、三叉神経末端が刺激され、そこからカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が分泌されて血管拡張を誘発し、急性片頭痛が起こるとされる(CGRP誘発機序)。このため片頭痛の発症予防治療薬として、CGRP受容体の拮抗薬が有効ではないかとする研究が行われてきた。今回報告された慢性の反復性片頭痛患者を対象としたCGRP受容体を阻害するヒトモノクローナル抗体であるfremanezumabまたはerenumabの第III相臨床試験の結果は、片頭痛のCGRP誘発機序の妥当性とCGRP受容体の拮抗薬の発症予防における有効性を証明するものであり、両薬剤は片頭痛に対する先制予防医療の突破口を開く治療薬として注目される。

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第2回 クリニック開業の成否は立地 ~マーケット調査後は自分の「目」と「足」で決める~【開業入門】

第2回 クリニック開業の成否は立地 ~マーケット調査後は自分の「目」と「足」で決める~第1回では、開業前に決めておくべき「柱」の部分を一緒に学んできました。今回は、「クリニック経営の成否は立地で決まる」といわれているほど重要な事項である「開業する立地」(環境分析)について確認していきましょう(図)。図 開業の前段階の思考フロー画像を拡大する診療圏調査を「参考」に作戦を考える開業にあたって多くの先生方は、まず「診療圏調査」を行います。これは、開業予定地の診療圏の人口動態、人口分布のデータに受療率を掛け、近隣の競合クリニックの状況を考慮し、1日当たりの「およその外来患者さんのニーズ」を算出したものになります。診療圏の広さに関しては、都市部なのか郊外なのか、開業を予定している診療科によって異なりますが、多くの場合は半径1~3kmで設定しています。もちろん、先生方ご自身でも算出は可能ですが、コンサルタントや不動産会社、医薬品の代理店などに調査を依頼しているケースが多く見られます。また、最近ではインターネット上で調査サービスを行っている会社もあります。残念な事例では、フィーリングや希望的観測だけで開業地を決めてしまい、実際に開業、診療を始めてみたら患者さんがほとんどいなかったり、周りにクリニックが多くて競争で大変だったりということも見られ、出たとこ勝負での開業は避けたいところです。開業前に診療圏調査を行い、開業環境を分析し、「参考」とされることをお勧めいたします。自分の「目」と「足」で回ってみるただし、調査結果だけをうのみにして決定することは避けるべきです。やはり最も大事なことは、診療圏調査のデータを参考に自ら見て回り「リアル」な情報を取得し、ニーズを“肌で感じる”ことです。自ら足を運び、ご自身の目でそこに住んでいる方々やその生活を感じることが大切ですし、調査でリストアップされた競合のクリニック、病院の実態をご自身で感じていただくことが重要です。診療圏調査の参照データに関してはさまざまですので、調査では存在していなかったクリニックが開設されている可能性もありますし、逆に閉院しているケースもあります。とくにライバルとなるクリニックに関しては、データではなく、同業者である先生方の見立てのほうが信頼性は高いと思います。ご自身が提供したい医療とバッティングするのかしないのか、うまく役割分担や病診・診診連携をやっていけるのか、ご自身の目で見て検討していくことが大切です。開業予定地や予定物件までの患者視点によるアクセスの利便性に関しても、しっかり確認しておきたいところです。地図上で見るものと実際のアクセスでは違うケースもあります。たとえば、車での来院者を見込んでいるのであれば、駐車場までの距離、実際の入りやすさ、道路の渋滞状況の確認は必須です。また、徒歩での来院者を見込んでいるのであれば歩道の状況、駅や大通りからの実際のアクセス、動線上の競合クリニックの位置などは確認しておきたいところです。また、テナントでビルなどに入居する場合は、エレベーターやエスカレーターなどのバリアフリーの状況も、高齢の来院者にとっては非常に重要なポイントになります。ここで気を付けたいのは、「ご自身が診療を予定している時間帯」に歩き回っていただきたいということです。平日の診療を考えているのであれば平日の日中、土・日の診療を考えているのであれば土・日に足を運び、じっくりと観察することが重要です。人の流れや雰囲気、道路上で通行を妨げるような立ち看板の位置など、新興住宅地やオフィス街などでは平日と土・日、昼間と夜間ではまったく違う顔を見せる場所も少なくありません。実際に診療する時間帯の雰囲気を感じ、ご自身が診療を行うイメージを固めていくことが重要です。併せて「自分が患者さんであったら」という視点で見ていくことも、気を付けたいポイントです。一般的に、医師はどうしても「提供者側」の視点になりがちです。利用者・患者視点で見ると思わぬ発見に出会うことがあります。もし、自信がない場合はご家族に帯同していただき、「患者視点」で協力してもらってもよいかもしれません。その場所を、人々を好きになれるか最後は感覚論になってしまいますが、「その土地」や「そこに住む人」、「そこで働く人」を好きになれるかが、最も重要なポイントではないかと思っています。実際に診療を行ってみなければわからない部分もありますし、診療を行っていけば愛着は湧いていくと思います。しかし、先生方との相性もありますので、最初に感じた「違和感」が大きくなっていくこともあります。開業して10年、20年とその土地に根差し、地域医療のゲートキーパーになっていく覚悟で開業されると思います。愛されることも重要ですが、愛することも重要です。調査結果を基にご自身の足と目で確認し、納得する結果が出て、相思相愛な関係を作っていける感覚があれば、開業に向けて第一関門を突破したと言っても過言ではないでしょう。次回は、具体的な開業戦略の策定について、見ていきましょう。

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