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スタージ・ウェーバー症候群〔SWS:Sturge-Weber syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義スタージ・ウェーバー症候群(Sturge-Weber syndrome:SWS)は、顔面におけるポートワイン母斑(2014年、国際的に共通認識となっているISSVA分類において、「ポートワイン母斑」は「毛細血管奇形」へと名称変更された)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫これを起因とした緑内障を3主徴とする疾患である。本症は、神経皮膚症候群の範疇とされている。■ 疫学23万人に1人の発症といわれる。遺伝性はない。ほとんどの症状が出生時から認められる。■病因顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内軟膜血管腫の病理組織標本の検討から、Gタンパク質のαサブユニットをコードするGNAQ遺伝子の異常が証明された。GNAQ遺伝子異常は、一塩基変異体(p.Arg183Glnをコードするc.548G→A)である。すなわち、GNAQ遺伝子の体細胞モザイク変異が原因と同定された。脳、皮膚、眼での特定の血管領域が障害される。脳では頭蓋内血流が障害され、脳機能低下や脳萎縮に陥り、精神運動や発達遅滞を発症する。皮膚では真皮毛細血管が障害され、皮膚に血管腫を思わせる赤い“ポートワイン”色の母斑(毛細血管奇形)を発症する。眼では脈絡膜血管が障害され、血流うっ滞から緑内障を発症する。■ 症状1)脳(頭蓋内)頭蓋内軟膜に血管奇形が生じ、うっ滞から軟膜血管虚血となり、局所の石灰化や壊死に至る。さまざまな障害となるので、臨床経過も多様である。痙攣、精神運動発達遅滞、運動片麻痺、片頭痛などが知られる。障害される脳の部位では、頭頂葉、後頭葉、前頭葉の頻度となっている。病変範囲が広いほど、てんかん発症年齢も早く難治化する。運動麻痺は、顔面皮疹と反対側の半身麻痺が多い。2)皮膚顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は、その名のとおりポートワインのような色をした“赤あざ”と呼ばれる斑点である。時に薄ピンク色から深紫色まで個人差がある。部位は、三叉神経第1枝、第2枝領域が多い。3)眼脈絡膜血管腫は、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と同側である。そして緑内障を発症する。当然、視力・視野障害が発症してしまう。■ 分類定義で示した顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫の3主徴が必ずしも、すべてでみられるわけではない。1型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内の軟膜血管腫の両方が認められるタイプ2型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は認められるが、頭蓋内の軟膜血管腫がないタイプ3型:頭蓋内の軟膜血管腫は認められるが、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)がないタイプに分類される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)厚生労働省では、スタージ・ウェーバー症候群関連研究班が3つ存在することに着目し、その統一を図っている。以下に、改正された診断基準・重症度分類を表に示す。脳症状に関する検査には、脳MRIでガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張がある。脳CTで頭蓋内石灰化、Single photon emission computed tomography(SPECT:単一光子放射断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域、Positron emission tomography(FDG-PET:陽電子放出断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝がある。また、脳波は患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波が知られている。表 スタージ・ウェーバー症候群の新規診断基準・重症度分類<診断基準>A 基本所見1頭蓋内軟膜血管腫2顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)3脈絡膜血管腫または緑内障B 症状1てんかん2精神運動発達遅滞3運動麻痺4視力・視野障害5片頭痛C 検査所見1 画像検査所見MRI:ガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張CT:頭蓋内石灰化を認めるSPECT:頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域FDG-PET:頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝2 生理学的所見脳波:患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波D 鑑別診断その他の神経皮膚症候群E 遺伝学的検査GNAQ遺伝子の変異頭蓋内軟膜血管腫と顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)に関して<診断のカテゴリー>以下の場合に確定診断される。Aの1項目以上を満たし、かつBの2項目以上を有するもの<臨床所見(該当する項目の□にレ印を記入する)>てんかん発作型(複数選択可)□全般発作 □単純部分発作 □複雑部分発作 □二次性全般化発作 □てんかん重積状態頭蓋内軟膜血管腫の脳内局在□前頭葉 □側頭葉 □頭頂葉 □後頭葉 □その他 □両側てんかん外科治療□焦点切除術 □脳梁離断術 □多脳葉手術 □半球離断術 □迷走神経刺激療法顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)□顔面の5%以下 □顔面の5~30% □顔面の30%以上運動麻痺□なし □あり視力・視野障害□なし □あり片頭痛□なし □あり<重症度分類>●てんかんおよび精神運動発達遅滞精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、障害者総合支援法における障害支援区分、精神症状・能力障害二軸評価を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。「G40てんかん」の障害等級の能力評価区分「G40てんかん」の障害等級判定区分*「てんかん発作のタイプ」イ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作ロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作ハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作ニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作●能力障害評価判定に当たっては、以下のことを考慮する。1)日常生活あるいは社会生活において必要な「支援」とは、助言、指導、介助などをいう。2)保護的な環境(たとえば入院・施設入所しているような状態)ではなく、たとえばアパートなどで単身生活を行った場合を想定して、その場合の生活能力の障害の状態を判定する。(1)精神障害や知的障害を認めないか、または、精神障害、知的障害を認めるが、日常生活および社会生活は普通にできる。適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用、趣味や娯楽あるいは文化的・社会的活動への参加などが自発的にできる、あるいは適切にできる。精神障害を持たない人と同じように、日常生活および社会生活を送ることができる。(2)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける。(1)に記載のことが自発的あるいはおおむねできるが、一部支援を必要とする場合がある。たとえば、1人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難である。デイケアや就労継続支援事業などに参加するもの、あるいは保護的配慮のある事業所で、雇用契約による一般就労をしている者も含まれる。日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。清潔保持は困難が少ない。対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理はおおむねできる。社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。(3)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて支援を必要とする。(1)に記載のことがおおむねできるが、支援を必要とする場合が多い。たとえば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関などに行くなどの習慣化された外出はできる。また、デイケアや就労継続支援事業などに参加することができる。食事をバランスよく用意するなどの家事をこなすために、助言などの支援を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが、引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと症状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。(4)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、常時支援を要する。(1)に記載のことは常時支援がなければできない。たとえば、親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである、自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり、不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。(5)精神障害、知的障害を認め、身の回りのことはほとんどできない。(1)に記載のことは支援があってもほとんどできない。入院・入所施設などの患者においては、院内・施設内などの生活に常時支援を必要とする。在宅患者においては、医療機関などへの外出も自発的にできず、付き添いが必要である。家庭生活においても、適切な食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時支援を必要とする。●運動麻痺下記の“Modified Rankin Scale”を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :0~2中等症:3~4重症 :5Modified Rankin Scale0まったく症候がない。1症候があっても明らかな障害はない。日常の勤めや活動は行える。2軽度の障害:発症以前の活動がすべて行えるわけではないが、自分の身の回りのことは介助なしに行える。3中等度の障害:何らかの介助を必要とするが、歩行は介助なしに行える。4中等度から重度の障害:歩行や身体的要求には介助が必要である。5寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを必要とする。参考0自覚症状および他覚徴候がともにない状態である。1自覚症状および他覚徴候はあるが、発症以前から行っていた仕事や活動に制限はない状態である。2発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、日常生活は自立している状態である。3買い物や公共交通機関を利用した外出などには介助を必要とするが、通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要としない状態である。4通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要とするが、持続的な介護は必要としない状態である。5常に誰かの介助を必要とする状態である。●視力・視野障害下記の尺度を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :1中等症:2重症 :3~4判定に当たっては、矯正視力、視野ともに良好な眼の測定値を用いる。1矯正視力0.7以上かつ視野狭窄なし2矯正視力0.7以上、視野狭窄あり3矯正視力0.2~0.74矯正視力0.2未満3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■脳(頭蓋内)症状てんかん発作を抑制し、精神運動発達障害を未然に防ぐ必要がある。まず、抗てんかん薬による治療が行われ、約50%の症例で効果が認められる。しかし、残りの約50%は、抗てんかん薬でコントロール不良であり、外科的治療が考慮される。広範囲に病変がある症例、すなわち半球性および両側性の軟膜血管腫を持つ症例は、内科的治療でのてんかん発作とそれによる精神運動発達障害が回避できないので、早期の脳梁離断術、多脳葉切除(離断)術、迷走神経刺激療法などが考慮される。しかし、術後には運動麻痺、視野欠損、言語障害といった副作用が十分起こりうる。患児の脳可塑性に期待しなければならないことも多い。部分的な軟膜血管腫を持つ症例は、手術適応の判断が困難であるが、早期手術のほうが術後の発達改善効果は高いので、判断を先延ばしにしてはならない。1歳までが手術治療の適応を決める最初のポイントになる。■皮膚症状顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に伴う外見上の問題は、内面的な苦痛を生み出しQOLの著しい低下を招いている。1980年代からPDL(flashlamp pumped-pulsed dye laser)が使用されてきた。しかし、施術後の浮腫や色調の残存から、患者のニーズに十分応えられていない。1990年代後半、皮膚冷却を装備したパルス可変式のレーザー機器が開発され、深部の血管および血管径が大きい血管への治療が可能になった。■眼症状眼圧を下げるために点眼薬をまず使用する。効果が乏しいときは、隅角切開術や線維柱帯切開術が行われる。4 今後の展望皮膚と脳組織からGNAQ遺伝子の異常が証明されたので、血液検査のみでGNAQ遺伝子異常を検出可能か否かが、今後の検討課題となる。すなわち、血液で診断ができれば、早期発見・早期介入さらに出生前診断へと展望が開けてくる。この点を踏まえて厚生労働省関係3班を中心に多施設共同の臨床研究が開始された。また、脳(頭蓋内)症状に対する外科的治療をどう選択するか、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に対するレーザー治療をいかに有効に施術していくのかなど、治療にはまだまだ難渋している。5 主たる診療科皮膚科、小児科、脳外科、形成外科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報難病情報センター スタージ・ウェーバー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)希少疾患患者情報登録システム(J-RARE)※現在、「J-RARE」という希少疾患患者情報登録システムが開設され、本症の登録に向けて準備が進んでいる(2017年10月現在未登録)。患者会情報スタージ・ウェーバー家族会(患者とその家族の会)1)Shirley MD, et al. New Engl J Med. 2013;368:1971-1979.公開履歴初回2017年10月10日

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うつ病になりやすい性格

 3つの性格特性、神経症(neuroticism)の傾向、外向性(extraversion)、適度な誠実性(conscientiousnes)の相互の影響が、健常な人々の抑うつ症状を予測している。この効果が、引きこもり(withdrawal)、勤勉(industriousness)、熱意(enthusiasm)といった3つの低次特性によって引き起こされるかを、米国・Centre for Addiction and Mental HealthのTimothy A. Allen氏らが検討し、この相互の影響を臨床集団内で初めて複製した。Journal of personality誌オンライン版2017年9月16日号の報告。 対象は、健常成人376例(サンプル1)、うつ病患者354例(サンプル2)。性格および抑うつ傾向の測定には、サンプル1においてはBig Five Aspect ScalesとPersonality Inventory for DSM-5を用い、サンプル2においてはNEO-PI-RとBeck Depression Inventory-IIを用いた。 主な結果は以下のとおり。・引きこもり、勤勉、熱意が相互に影響を及ぼし、両サンプルの抑うつ傾向を予測した。・相互パターンは、「3つの中で最良の2つ」の原則を支持していた。すなわち、2つの特性における低リスクスコアで、残る1つの高リスクスコアを防ぐことが示唆された。・また、「3つの中で最悪の2つ」の原則も存在し、2つの高リスクスコアは、3つすべてが高リスクスコアの場合と同等の抑うつ症状重症度との関連が認められた。 著者らは「これらの結果は、精神病理学における性格特性の相互効果を調査することの重要性を示唆している」としている。■関連記事痩せるだけでうつは軽減するうつ病患者の多い診療科はどこかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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LDL-Cが低い人でもスタチンは有用か

 LDLコレステロール(LDL-C)の管理とスタチン治療戦略に関する推奨は、ガイドラインによって異なる。国立国際医療研究センターの辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究の結果、スタチン治療はLDL-C値が低い場合も高リスク患者の全死亡率を下げるために有効であることが示唆された。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年8月30日号に掲載。 著者らは、1999~2010年の米国における国民健康・栄養調査のデータを使用して前向きコホート研究を実施した。全死亡・心血管死亡・非心血管死亡について、Cox比例ハザードモデルを用いて無調整および多変量調整後のハザード比(HR)を調べた。年齢、性別、人種と民族、学歴、喫煙状況、BMI、心血管疾患とがんの既往歴、糖尿病、高血圧、LDL-C値、HDL-C値、トリグリセライド値(対数変換)、eGFR値、微量アルブミン尿の有無で調整した。本研究は、心血管疾患リスクが高い患者で、LDL-C値が120mg/dL未満(平均88.7mg/dL)の1,500例を対象とし、99%の患者がフォローアップを完了した。 主な結果は以下のとおり。・多変量Cox比例ハザードモデルによると、全死亡率はスタチン投与群が非投与群より有意に低かった(HR:0.62、95%CI:0.45~0.85、p=0.004)。・傾向スコアでマッチさせた患者およびLDL-C値100mg/dl未満(平均78.6mg/dL)の患者に限定した解析でも、同様の結果であった。・スタチン投与患者における全死亡率について、LDL-C値70mg/dL未満の患者が70~120mg/dLの患者より低いということはなかった(HR:1.27、95%CI:0.76~2.10、p=0.35)。(2017年10月10日10:37 タイトルおよび本文を一部訂正いたしました)

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乾癬患者はアルコール関連死亡リスクが高い

 乾癬と診断された人々は早期死亡のリスクが高いが、その根底にある原因はわかっていない。英国・マンチェスター大学のRosa Parisi氏らは、集団ベースのコホート研究において、乾癬を有する人々は、同じ年齢および性別の一般集団と比較し、アルコールが関連した原因により死亡するリスクが約1.6倍になることを明らかにした。このことは、早期死亡率の差の鍵を握る1つの原因であると思われ、著者は「乾癬患者に対しては、一次および二次医療のいずれにおいても、飲酒習慣スクリーニングテスト(Alcohol Use Disorders Identification Test:AUDIT-C)を用いアルコール消費および乱用についてルーティンにスクリーニングを行い、リスクの高い患者の特定と治療が必要である」と指摘している。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年9月15日号掲載の報告。 研究グループは、臨床診療研究データリンク(Clinical Practice Research Datalink:CPRD)、ならびに英国の病院データ(Hospital Episode Statistics:HES)および国家統計局(Office for National Statistics:ONS)の死亡記録を用い、乾癬患者はアルコール関連死亡のリスクが高いかどうかを調査した。上記データから、1998~2014年における18歳以上の乾癬患者、および乾癬患者と年齢・性別・一般診療をマッチさせた乾癬のない患者を特定し、アルコール関連死亡について解析した。 アルコール関連死亡の原因別ハザード比は、層別化Cox比例ハザードモデルを用いて、社会経済的状態を補正し算出した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、乾癬患者5万5,537例、非乾癬患者(対照)85万4,314例であった。・指標日の年齢中央値(四分位範囲)は47(27)歳、全体の44.9%(40万8,230例)は男性であった。・追跡期間中央値(四分位範囲)4.4(6.2)年において、アルコール関連死亡頻度は、乾癬患者群4.8/1万人年(95%信頼区間[CI]:4.1~5.6、152例)、対照群2.5/1万人年(95%CI:2.4~2.7、1,118例)であった。・乾癬患者群におけるアルコール関連死亡のハザード比は1.58(95%CI:1.31~1.91)で、主な原因はアルコール性肝疾患(65.1%)、肝線維化および肝硬変(23.7%)、アルコールによる精神および行動障害(7.9%)であった。

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敗血症の早期蘇生プロトコル戦略、開発途上国では?/JAMA

 医療資源が限られる開発途上国において、大半がHIV陽性で敗血症と低血圧症を有する成人患者への、輸液および昇圧薬投与による早期蘇生プロトコル戦略では、標準治療と比較して院内死亡が増大したことが示された。米国・ヴァンダービルト大学のBen Andrews氏らがザンビア共和国で行った無作為化試験の結果で、著者は「さらなる試験を行い、異なる低中所得国の臨床設定および患者集団における、敗血症の患者への静脈内輸液と昇圧薬投与の影響を明らかにする必要がある」とまとめている。開発途上国における敗血症への早期蘇生プロトコルの効果は、これまで明らかにされていなかった。JAMA誌オンライン版2017年10月3日号掲載の報告。ザンビアの212例を対象に、無作為化試験で標準治療と比較 研究グループは、輸液、昇圧薬、輸血による早期蘇生プロトコルが、敗血症と低血圧症を有するザンビアの成人患者において、標準治療と比べて死亡率を低下させるかを調べた。2012年10月22日~2013年11月11日に、ザンビア国立病院(1,500床)の救急部門を受診した敗血症および低血圧症を有する成人患者212例を対象に無作為化試験が行われ、2013年12月9日までデータが収集された。 被験者は、1対1の割合で(1)敗血症のための早期蘇生プロトコルの介入を受ける群(107例)、または(2)標準治療を受ける群(105例)に無作為に割り付けられた。(1)は静脈内輸液ボーラス投与と、頸静脈圧、呼吸数、動脈血酸素飽和度のモニタリング、および平均動脈圧65mmHg以上を目標値とした昇圧薬投与の治療、輸血(ヘモグロビン値7g/dL未満)を、(2)は担当医の裁量の下で血行動態管理を行った。 主要アウトカムは院内死亡率で、副次アウトカムは、投与を受けた輸液量、昇圧薬投与の状況などであった。早期蘇生プロトコル群の院内死亡発生が1.46倍に 無作為化を受けた212例のうち3例が適格条件を満たしておらず、残る209例が試験を完了し解析に包含された。209例は、平均年齢36.7歳(SD 12.4)、男性117例(56.0%)、HIV陽性187例(89.5%)であった。 主要アウトカムの院内死亡の発生は、敗血症プロトコル群51/106例(48.1%)、標準治療群34/103例(33.0%)であった(群間差:15.1%[95%信頼区間[CI]:2.0~28.3]、相対リスク:1.46[95%CI:1.04~2.05]、p=0.03)。 救急部門受診後6時間で投与を受けた輸液量は、敗血症プロトコル群は中央値3.5L(四分位範囲:2.7~4.0)、標準治療群は同2.0L(1.0~2.5)であった(群間差中央値:1.2L、95%CI:1.0~1.5、p<0.001)。 昇圧薬の投与を受けたのは、敗血症プロトコル群15例(14.2%)、標準治療群2例(1.9%)であった(群間差:12.3%、95%CI:5.1~19.4、p<0.001)。

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大手術後の血圧管理、個別的 vs.標準/JAMA

 主に腹部手術を受ける術後合併症リスクが高い成人患者において、個別的な収縮期血圧目標値の下で行う血圧管理戦略は、標準血圧管理と比べて術後臓器障害リスクを低下することが示された。フランス・クレルモン・フェラン大学病院のEmmanuel Futier氏らが、多施設共同無作為化試験の結果を報告した。周術期における低血圧症は、術後罹患や死亡の増大と関連する。しかし適切な血圧管理戦略は明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2017年9月27日号掲載の報告。術後7日目までの全身性炎症反応症候群と1つ以上の臓器障害の複合発生を比較 研究グループは、個々の患者に合わせた個別的な血圧管理戦略が、術後臓器障害を減じるかを調べるため、フランスの大学および非大学病院9施設で、Intraoperative Norepinephrine to Control Arterial Pressure(INPRESS)試験を行った。 被験者は、術前急性腎障害(AKI)リスク指標がclass III以上(術後腎障害のリスクが中等度~重度を示す)で、全身麻酔下にて2時間以上を要する大手術を受ける成人患者298例であった。無作為に、個別的血圧管理戦略群と標準血圧管理群に割り付け、前者では、収縮期血圧(SBP)の参照値(例:患者の安静時SBP)±10%以内を目標にノルアドレナリン持続注入によって血圧を管理した。後者では、SBPが80mmHg未満に低下もしくは術中および術後4時間の参照値の40%未満値に低下した場合に、エフェドリンを静脈内ボーラス投与する処置で血圧を管理した。 被験者の登録期間は2012年12月4日~2016年8月28日、最終フォローアップは2016年9月28日。 主要アウトカムは、術後7日目までの全身性炎症反応症候群と1つ以上の臓器障害(腎臓系、呼吸器系、心血管系、中枢神経系、凝固系)の複合であった。副次アウトカムは、術後30日時点の主要アウトカムの各項目の発生、ICU在室期間、入院期間、有害事象、全死因死亡などであった。個別的血圧管理群の主要アウトカムの発生HRは0.73 無作為化を受けた298例のうち、292例(年齢70±7歳、女性44例[15.1%])が試験を完了し、修正intention-to-treat解析に包含された(個別的血圧管理戦略群147例、標準血圧管理群145例)。 主要アウトカムの発生は、個別的血圧管理戦略群56/147例(38.1%)に対し、標準血圧管理群は75/145例(51.7%)であった(相対リスク:0.73、95%信頼区間[CI]:0.56~0.94、p=0.02、絶対リスク差:-14%、95%CI:-25%~-2%)。 30日間の術後臓器障害発生は、個別的血圧管理戦略群68例(46.3%)、標準血圧管理群は92例(63.4%)であった(補正後ハザード比:0.66、95%CI:0.52~0.84、p=0.001)。一方、重篤な有害事象や30日死亡率について、群間で有意な差は認められなかった。

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てんかん患者の突然死、腹臥位がリスク因子か

 てんかん患者に起きる予期せぬ突然死(SUDEP:sudden unexpected death in epilepsy)と睡眠との関連について、米国・シカゴ大学のAhmer Ali氏らが検討を行った。Epilepsy & behavior誌オンライン版2017年9月13日号の報告。 各種データベースよりSUDEPに関連する文献を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。SUDEPは、患者がベッドで発見された場合、睡眠時と記録された場合、寝室のベッドサイドで発見された場合として評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・包括および除外基準を満たした67研究よりSUDEP症例1,025例が抽出され、そのうち880例において概日パターンが記録されていた。・SUDEP症例880例のうち、睡眠時の発生が69.3%、覚醒時の発生が30.7%であった。・SUDEPは、覚醒時と比較し、睡眠時と有意な関連が認められた(p<0.001)。・概日パターンと年齢が記録された272例のサブグループにおいて、40歳以下の患者は、40歳超の患者と比較し、睡眠時に死亡する可能性が高かった(OR:2.0、95%CI:1.0~3.8、p=0.05)。・死亡時の概日パターンと体位の両方が記録された114例のサブグループにおいて、睡眠時に死亡した患者の87.6%は腹臥位であり、覚醒時に死亡した患者の52.9%が腹臥位であった。・夜間発作の患者は、日中発作の患者よりも死亡率が6.3倍高かった(OR:6.3、95%CI:2.0~19.5、p=0.002)。 著者らは「SUDEPと睡眠は強く関連しており、睡眠はSUDEPの有意なリスク因子であることが示唆された。睡眠に関連するSUDEPリスクは未知であり、多因子性であると考えられるが、腹臥位が主要な要因である可能性がある」としている。■関連記事てんかん患者のアンメットニーズはてんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化せん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証

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Dr.林の笑劇的救急問答13

第1回 腫瘍救急1 FNってなんだ? 第2回 腫瘍救急2 TLSってなんだ? 第3回 ポリファーマシー1 原因薬剤を突き止めろ! 第4回 ポリファーマシー2 減らせばいいってものじゃない! Dr.林の笑劇的救急問答シリーズは13年目!今シリーズは「高齢者救急」がテーマ。今や、救急医療といえば、老年医療といっても過言ではないほど、高齢者の診療が多くなっています。教科書にはなかなか載っていない高齢者救急のノウハウを厳選してお届けします。救命だけが救急医療ではない。そんなことを考えさせられるシリーズに仕上がりました。Dr.林の愛あふれるコメントは必見です。上巻では、腫瘍救急とポリファーマシー、下巻では、高齢者骨折と緩和救急を取り上げます。第1回 腫瘍救急1 FNってなんだ? 「がん化学療法中に全身倦怠感を訴える2人の患者」Dr.林の笑劇的救急問答13の第1回は腫瘍救急。がん化学療法中の患者の不調の訴えは、経過も長く、すぐに主治医を呼びたくなってしまいます。しかし、まずは、その状態が緊急性の高いのか、そうでないのかをきちんと見分けられるようになりましょう。第2回 腫瘍救急2 TLSってなんだ? 「足に力が入らない酩酊状態の67歳男性」前回に続いて腫瘍救急。その中でも今回は緊急性が高い疾患について解説します。TLSやとトルソー症候群、い脊髄圧迫症候群、上大静脈圧迫症候群・・・・・など、担がん患者には、特有な緊急疾患がいくつかあります。それらをきちんと知っておくことで、迅速に対処できるようになりましょう!第3回 ポリファーマシー1 原因薬剤を突き止めろ! 「腰が立たない頻呼吸の82歳男性」今回のテーマはポリファーマシー。65歳以上の高齢者の70%が6剤以上の薬を服用している現在、薬剤の有害事象でERを受診する高齢者の数も増えています。5種類の薬剤を服用すると、50%の患者さんに副作用が現れ、10種類となるとなんと100%に!高齢者の“不適切な処方”について、一度考えてみましょうポリファーマシー 10剤も飲んだら 重罪だ?!第4回 ポリファーマシー2 減らせばいいってものじゃない!「食後に心窩部痛を発症した69歳女性」前回に引き続き、ポリファーマシーがテーマ。ポリファーマシーだからと言って、すべてが「悪」というわけではありません。患者さんにとって本当に必要な薬剤を見極めてから減薬すること。減薬をしたら、きちんとフォローアップを行うことが大切です。そのための基準でもあるBEER's Critera やSTOPP/START などについても詳しく解説します。

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結膜にタトゥーをしたら眼球を突き破ってしまった【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第100回

結膜にタトゥーをしたら眼球を突き破ってしまった 図.結膜にタトゥーをするとこんな感じになる素材Goodよりイラスト使用、作製 今回は、記念すべき連載100回目です。そんなときも、いつものように淡々と“おどろき”論文を紹介し続けるのが私。(`・ω・´)キリッ!さて、若者の間ではワンポイントタトゥーみたいなものがはやっていますが、私の常識とはかけ離れたタトゥーが存在するようです。その名も結膜タトゥー。結膜全体に色を付けるもの(図)や、一部の結膜に星形やハート形のワンポイントアクセントを施すものなど、いろいろあるそうです。いやいや、どうやって処置するの、コレ! 痛くてムリじゃないんですか!? Cruz NF, et al.Conjunctival Tattoo With Inadvertent Globe Penetration and Associated Complications.Cornea. 2017;36:625-627.これは、結膜タトゥーによって起こった悲劇的な症例報告です。25歳の女性が、美容目的で結膜タトゥーを入れる手術を受けました。その後、重度の眼痛と視野障害が出現。細隙灯で観察すると、結膜全体に黒色の沈着物があり、これが角膜、前房隅角、虹彩、水晶体前嚢にまで到達していました。つまり、処置中に眼を突き破ってしまったんですね。あちゃー。これにより前部ぶどう膜炎を起こし、さらには続発性の緑内障を併発してしまいました。さすがに手術をして異物を取り除かねば、治る余地はなかったようです。しかし、手術を受けてから3ヵ月を経過しても、まだ合併症に対する治療は継続されており、後遺症が現れる可能性が高いと記載されています。ブルブル。皆さん、眼球の表面にタトゥーを入れたくなっても、我慢しましょうね!インデックスページへ戻る

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問17

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問17 符号の逆転現象とは?前回は、重回帰分析は変数相互の影響を除去した真の関係について見いだすことができる、とても便利なツールであるとご説明しました。今回は、重回帰分析を行うときにしばしば発生する、符号の逆転現象についてご説明いたします。■回帰係数の符号の逆転現象表1に前回の事例で用いた健康診断の結果データを再掲します。表1 成人男性20例の生活嗜好に関する諸データ(再掲)表2のデータは、表1のデータのギャンブル嗜好を別のデータに置き換えたものです。表2 成人男性20例のギャンブル嗜好に関する諸データを改訂)このデータから図のように変数相互の相関関係を調べました。図 変数相互の相関関係ギャンブル嗜好の回帰係数、標準回帰係数の符号がマイナスになりました。つまり、ギャンブル嗜好とγ-GTPの相関はプラスなので、「符号逆転現象」が起こりました。ギャンブル嗜好を別のデータに置き換える前のもともとのデータでは、標準回帰係数は0.243、このデータの場合は-0.026です。ギャンブル嗜好について喫煙の有無との相関を見ると、もともとのデータでは0.68、このデータの場合は0.90です。喫煙の有無との相関が高くなるほど、標準回帰係数は小さくなって0に近づき、さらにはマイナスの値になります。ギャンブル嗜好から喫煙の有無の影響を除去する度合いが増して、標準回帰係数の値が小さくなったということです。標準回帰係数が「小さく、0に近い場合はギャンブル嗜好とγ-GTPとは無関係」、「マイナスの場合はギャンブルが好きな人は嫌いな人に比べγ-GTPが低くなる」と解釈できます。ギャンブル嗜好とγ-GTPとの関係を相関係数(0.62)で見ると、「ギャンブル好きであるほどγ-GTPが高くなる」となります。標準回帰係数(-0.026)で見ると、傾向は弱いが「ギャンブル好きであるほどγ-GTPが低くなる」となります。このように導く結論が逆転しています。標準回帰係数は、統計解析の手法が算出した結果なので正しいことなのかもしれませんが、さすがに逆転現象の結論の採用には勇気がいります。相関係数の符号と標準回帰係数の符号が一致しない場合、導く結論が逆転しています。逆転した現象が説明できれば、この結論を受け入れられますが、説明できない場合は説明変数を減らして重回帰分析をやり直します。次に符号逆転現象を解消する2つの方法を説明します。方法1 総当たり法を適用する方法方法2 相関マトリックスを適用する方法■方法1 総当たり法を適用する方法説明変数の個数がq個のとき、q個の変数を用いて作られる重回帰式の個数は(2q-1)個です。たとえば説明変数が3個の場合、23-1=7 です。説明変数がx1、x2、x3であるときの重回帰式を示します。符号逆転の起こらない関係式をピックアップします。複数個ある場合、モデル選択基準(AIC※など)で最良の関係式を見いだします。表3で例題のデータの総当たり法を行いました。符号逆転のない組み合わせはモデルNo.1~6です。この中でモデル選択基準AICが最小なのはモデルNo.4です。表3 例題データの総当たり法のまとめγ-GTPを予測する最良のモデルは次式となります。γ-GTP=2.135×飲酒量+26.604×喫煙の有無+26.5※総当たり法(AIC)は、こちらを参照ください。■方法2 相関マトリックスを適用する方法説明変数相互の単相関係数(相関マトリックスという)を算出します。表4 説明変数相互の単相関係数説明変数間で相関の高いセルをピックアップします。いくつ以上という基準はありませんが、0.65ぐらいが目安です。説明変数相互の相関が基準以上のときは、どちらかを落とすのが一般的です。落とし方は、落とす候補になった変数と目的変数との相関をそれぞれ調べて、相関の低いほうを落とします。下記の例では、x1とx2の相関が高いので、どちらかを落とすことになります。「yとx1」、「yとx2」の相関を見ると、「yとx2」のほうが低いのでx2を落とします。例題のデータは、ギャンブル嗜好の相関が0.90と高いのでどちらかを落とします。両者のγ-GTPとの相関は、ギャンブル嗜好が0.62、喫煙の有無が0.67なので、ギャンブル嗜好を落とします。総当たり法は、通常、統計専門のアプリケーションで行いますが、パソコンのスペックが低かった時代は処理時間が遅く、実践的ではありませんでした。そのため、方法2を適用していましたが、パソコンのスペックが向上した今日では、方法1で行うのがよいといえます。次回は、重回帰分析と同様に医学統計で用いられることの多い、ロジスティック回帰分析についてご説明いたします。今回のポイント1)目的変数と説明変数との相関係数の符号がプラスであるにもかかわらず、重回帰分析での回帰係数、標準回帰係数の符号がマイナスになってしまう場合を「符号の逆転現象」という!2)符号の逆転現象を解消する手段の1つは、総当たり法を適用すること!3)符号の逆転現象を解消するもう1つの手段は、相関マトリックスを適用すること!インデックスページへ戻る

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「次は頑張ってきます」と頑張らない患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第9回

■外来NGワード「前にもそう言っていたでしょ!」「いつも口だけですね!」「今度はもっと頑張りなさい!」■解説 何も言わなくても、こんなに頑張ったのかと感心する人がいる一方で、「次は頑張ってきます」と外来で毎回、口にしながら「友達と外食した」「子供が帰省していた」など他人を引き合いに出して言い訳をし、なかなか行動変容しない人がいます。これは性格にもよりますが、医師との関係を崩したくないために、つい出てくる言葉です。そのため、帰宅すると「まあ、いいか」と行動が変わらないわけです。ここで「前もそう言っていたでしょ!」「今度は頑張りなさい!」と言って患者さんのやる気をくじいてはいけません。まずは、患者さんの頑張る度合いを確認してみましょう。頑張るか否かという白黒で判定せずに、100点満点で点数化することで、建前でなく本音の部分の頑張り度合いがわかります。次に、「あと、10点その頑張り度を増やすために、何があったらいいですか?」と頑張り度を増やす要因を尋ねると、合併症への危機感、仲間や協力者がいることなどの返答がみられます。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師今回の検査結果をみていかがでしたか?患者次は頑張ってきます(いつもと同じ返答)。医師そうですか。…今日は、頑張ろうという気持ちがどのくらいか、本当のところを聞かせてもらえますか?(本音を教えてほしい旨を伝える)患者本当のところ!?医師そうです。とても頑張ろうと思っているのを100点、全然頑張るつもりがないのを0点とすると、何点くらいつけられますか?(100点満点で尋ねる)患者(少し考えてから)そうですね…60点くらいですかね。医師60点ですか。結構ありますね。もし、あと10点、その頑張り度を増やすとしたら、何があったらいいですか?患者そうですね…1人ではなかなか頑張れないので、誰か協力してくれる人がいるといいのですが…。医師家族やお知り合いの人で協力してくれる方はいますか?患者それならば…娘に言って協力してもらいます。医師それはいいですね。具体的にはどんな目標にしましょうか?患者やっぱり、間食です。最近、暑いのでお風呂上がりのアイスが習慣になっています。それも小さいのを2本…娘も一緒に食べているんですけど…。医師それなら、娘さんにこのメモを渡してください。(風呂上がりのアイス 2本)患者これ、娘に渡したら、アイスを取り上げられそうです。今度は本当に頑張ります(やる気の顔)。■医師へのお勧めの言葉「今日は、頑張ろうという気持ちがどのくらいか、本当のところを聞かせてもらえますか?」

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小児不安症に効果的な治療は

 小児における不安症は、一般的に認められる。複数の治療オプションが存在するが、既存のガイドラインでは、どの治療を使用するかについて一貫性がない。米国・メイヨー・クリニックのZhen Wang氏らは、小児不安症に対する認知行動療法(CBT)および薬物療法の有効性および有害事象を比較し、評価を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2017年8月31日号の報告。 各種データベースを用いて2017年2月1日までの文献を検索した。選択した研究は、パニック障害、社交不安症、特定の不安症(specific phobias)、全般不安症、分離不安症と診断された小児および青年を対象に認知行動療法(CBT)、薬物療法、またはそれらの併用治療を行った無作為化および非無作為化比較試験とした。独立したレビューアーにより研究を選択し、データ抽出を行った。ランダム効果メタ解析を用いてデータをプールした。主なアウトカムは、主要不安症状(患者、親、臨床医による報告)、寛解、治療反応、有害事象とした。 主な結果は以下のとおり。・115研究より、7,719例が抽出された。・このうち、4,290例(55.6%)は女性であり、平均年齢は9.2歳(範囲:5.4~16.1歳)であった。・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、プラセボと比較し、主要不安症状を有意に減少させ、寛解(RR:2.04、95%CI:1.37~3.04)および治療反応(RR:1.96、95%CI:1.60~2.40)を有意に増加させた。・セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、臨床医により報告された主要不安症状を有意に減少させた。・ベンゾジアゼピンおよび三環系抗うつ薬は、不安症状の有意な減少が認められなかった。・CBTと待機および未治療を比較した場合、CBTは主要不安症状、寛解、治療反応を有意に改善した。・CBTは、fluoxetineより主要不安症状を軽減し、セルトラリンより寛解の改善が認められた。・セルトラリンとCBTの併用療法は、いずれかの単独療法よりも、臨床医により報告された主要不安症状、治療反応を有意に減少させた。・直接比較した研究はまれであり、ネットワークメタ解析の推計は不正確であった。・有害事象は、薬物治療で共通して認められたが、重度ではなかった。また、CBTでは認められなかった。・SSRIまたはSNRIによる自殺率を評価するには、研究サイズが小さく、研究期間が短かった。・1つの研究において、ベンラファキシンの自殺念慮に関して、統計学的に有意ではない増加が認められた。・CBTは、プラセボまたは薬物療法よりも、脱落が少なかった。 著者らは「小児の不安症状を軽減するためにCBTとSSRIの有効性を裏付けるエビデンスが確認された。SNRIも有効であると考えられるが、エビデンスの一貫性が低かった。各種薬物療法とCBTの直接比較については、臨床現場での研究が必要である」としている。■関連記事ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

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点から線の血糖管理で7%クリアへ

 2017年9月22日、アボット ジャパン株式会社は、フラッシュグルコースモニタリングシステム 「FreeStyle リブレ」(以下「リブレ」)の保険収載を受け、都内でプレスカンファレンスを開催した。当日は、本機の機能説明のほか、糖尿病患者からも使用経験が語られた。リブレの基本概要 リブレは、組織間質液中のグルコース値を記録するセンサーと、その測定値を読み取って表示するリーダーから構成される。500円玉大のセンサーを上腕後部に装着し、そこから極細のフィラメントが皮下に挿入され、グルコース値を毎分測定する。センサーは防水性で、最長14日間装着できる。そして、リーダーをセンサーにかざしスキャンするだけで、痛みを伴わず1秒でグルコース値を測定することができる。 さらに、測定されたデータを専用ソフトウェアで読み込むことで、グルコース値や変動データはAGP(Ambulatory Glucose Profile)と呼ばれるレポートとして、パソコン上で確認することができる。 本機は、国内では2017年9月1日より保険適用となった。患者の血糖動態を「見える化」して診療に活かす 講演では西村 理明氏(東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 准教授)が、「糖尿病ケアは次の時代へ」と題して、糖尿病診療における「見える化の重要性」について語った。 厚生労働省が発表した「平成28年 国民健康・栄養調査」によると、糖尿病有病者と糖尿病予備群はいずれも約1,000万人と推計されることに触れ、患者数と医療費の増加に懸念を示した。とくに糖尿病合併症では医療費が高額になることが多く、合併症予防のためにも、日本糖尿病学会提唱のHbA1c 7.0%未満は、治療の目標として重要である。そして、血糖コントロールの大切なポイントは、血糖レベルの改善、低血糖の回避、血糖変動の最小化の3点だという。 近年の研究では、平均血糖変動幅(MAGE)と心血管イベントの相関(MAGEが大きいほど心血管イベントも多い)や低血糖と不整脈、心筋虚血の合併症も報告されている。低血糖の予防では血糖自己測定(SMBG)が行われ、インスリン量の調節や糖の摂取などの目安とされる。 ここで、2016年に西村氏が報告した「アンケートによる血糖自己測定の満足度と患者ニーズの調査」(n=1,050)が紹介された。その中で患者さんの半数以上が現在のSMBGは満足と答え、8割以上が低血糖対策としてのSMBGに満足と回答しているものの、低血糖発生の予防には必ずしも寄与していないことが示された。その原因として、測定回数の少なさ、血糖変動が見えないなどの得られる情報の少なさのほか、採血の痛さ、測定の煩雑さなど利用の際の手間もあると氏は指摘する。 こうした課題に応えるように開発されたリブレは、ほぼ痛みもなく、時間・場所を選ばずに着衣の上から1秒で測定ができる。従来の持続血糖測定(CGM)では測定記録が複雑で傾向がわかりにくかったが、リブレではわかりやすく視覚化されているため、血糖の日内変動を可視化でき、医療者もこれを診療に役立てることができるという。 実際、リブレの臨床試験では、1型糖尿病患者(n=239)を対象としたIMPACT試験1)と2型糖尿病患者(n=224)を対象としたREPLACE試験2)が行われ、両試験ともHbA1cの低下、低血糖発現時間の減少など血糖コントロールの質を改善することが示された。 最後に西村氏はリブレについて、「患者さんや医療従事者の負担を軽減しながら、豊富な血糖関連データを簡単に『見える化』する機器であり、広く普及すると思われる。この見える化で良質な血糖コントロールの達成を実現する患者さんが増え、糖尿病診療にパラダイムシフトをもたらすのではないかと感じている」と展望を語り、講演を終えた。MBGは患者にとって大きなストレス 次に患者視点から大村 詠一氏(日本IDDMネットワーク 専務理事)が、「FreeStyleリブレで変わった血糖管理」をテーマに、本機登場の意義、患者のメリットなどを語った。 エアロビックの演者・指導者である大村氏は1型糖尿病患者であり、インスリンを1日5回注射しているため、必要量の把握のためSMBGを余儀なくされている。しかし、SMBGの針は大きく痛みを伴うだけでなく、測定が煩雑であり、時間と場所の制約を受けることが多い。一方、リブレでは、こうした課題が解決されるうえ、自身の早朝における血糖上昇に気付くことができ、血糖動態改善につなげることができたという。 「リブレには、患者側から厚生労働省に承認要望を出し、適用となった経緯がある。この新ツールを活用することで、患者のライフスタイルの変化や治療の改善に寄与することを希望する」と大村氏は語る。 続いて、自身も2型糖尿病患者である華道家の假屋崎 省吾氏と西村氏の対談となった。SMBGについて假屋崎氏は、「指先が痛く、仕事柄、指に影響するのでストレスを感じる」と語り、リブレの使用感については、「痛みもなく、日常生活にまったく問題がない。運動もできる。1日平均10回くらい食前食後、運動前に測定して日常生活に役立てている。血糖測定についての悩みがなくなった」と感想を語った。 最後に、假屋崎氏は糖尿病患者さんに向けて「糖尿病の進行を防ぐ努力をしよう。病気とは友達付き合いで、プラス思考で生きよう」とメッセージを送り、西村氏が「リブレで合併症を防ぐことができたり、血糖測定のストレスから解放されるかもしれない。今後の普及を見守りたい」と述べてセミナーは終了した。●参考文献1) Bolinder J, et al. Lancet. 2016;388:2254-2263.2) Haak T, et al. Diabetes Ther. 2017:8;55-73.■参考FreeStyleリブレ オフィシャルサイト

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医師から情報提供あったのは約2割~遺伝性乳がん・卵巣がん

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長:マーク・デュノワイエ)は、9月最終週の「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)啓発週間」に合わせて、乳がん・卵巣がん患者を対象にHBOC関連情報へのニーズと情報の入手状況についての調査を実施。その結果、患者の6割以上は診療時に医師からHBOCの情報を得たいと思っていたにもかかわらず、実際に情報を得ることができたと回答したのは約2割に留まっていることが明らかとなった。 HBOCは、乳がん・卵巣がん患者の約5~10%を占め、BRCA1あるいは BRCA2というがん抑制遺伝子の生まれつきの変異が原因で発症する「遺伝性腫瘍」。BRCA1/2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%の確率で受け継がれる。HBOCでは、乳がんと卵巣がんの両方の発症、乳がんの若年発症やトリプルネガティブ乳がん、両方の乳房での発症や片方に複数回発症するという特徴が報告されている。BRCA1/2遺伝子変異を持つ場合、乳がんの発症率が6~12倍、卵巣がんの発症率が8~60倍高いといわれており、発症前に正しくリスクを認識するため、そしてより良い治療を選択するためには、HBOCに対する十分な理解が必要となっている。患者は医師からの情報提供を望むも、主な認知経路はテレビやネット 調査は、乳がんまたは卵巣がんを治療中、もしくは治療経験のある計154人を対象に、2017年9月にオンラインで実施された。乳がん・卵巣がんの治療中に、医師からどのような情報提供をしてほしい(ほしかった)かという問いに対し、「遺伝性かどうかについて」は62.3%、「自分以外の血縁者への遺伝リスクについて」は53.9%と、それぞれ過半数が医師から情報提供をしてほしいと思っていることがわかった。一方で、「医師から遺伝性かどうかについて説明があった」と回答したのは22.1%。「自分以外の血縁者への遺伝リスクについて説明があった」と回答したのは29.2%に留まった。 HBOCについてどんな情報源を通じて知ったかという問いに対しては、テレビ・ラジオが64.2%と最も多く、次いでインターネットが43.3%であった。医師は26.9%に留まり、新聞・雑誌と並ぶという結果となっている。約6割がさらに詳しい情報を知りたいと回答 血縁者の中に、「乳がん・卵巣がん・前立腺がん」の診断を受けたことがある人がいるかという問いに対しては、第一度近親者(父母、きょうだい、子供)で100%、 第二度近親者(祖父母、おじ、おば、めい、孫)で96.4%、 第三度近親者(曾祖父母、大おじ、大おば、いとこ、おい・めいの子供、曾孫)で71.6%ががん診断歴を認識しており、自身の「がん家族歴」についての把握度は高いことがわかった。 また、調査を通じてHBOCについて説明を受けたことで、「自分の子供など親族のことが心配になった」(33.1%)、「自分の乳がん・卵巣がんが遺伝性なのか知りたいと思った」(27.3%)など、 自身のがんとHBOCとの関連性を意識した回答者は63%に上ることが明らかになった。そのうえで、今後さらにHBOCについて「知りたい」と回答した乳がん・卵巣がん患者は58.4%に上り、さらなる情報提供へのニーズが明らかとなっている。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリース

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ランジオロールの心臓手術後AF抑制作用

 ランジオロールは、心臓手術後1週間以内の心房細動(AF)発症を抑制することが、高知医科大学の田村 貴彦氏らによる研究で明らかになった。また、ランジオロール非投与群と比較して、院内死亡率および合併症発症率に有意な差は認められなかった。Journal of Clinical Anesthesia誌2017年11月号(オンライン版2017年7月21日号)の報告。 AFは、心臓手術後の死亡率と関連している。そして、術後AFの抑制にはランジオロールが有用であるという研究結果がいくつか報告されている。そのため、著者らは、低用量のランジオロールが有効性と安全性のバランス面で有用であるかどうかを調査した。 PubMed、Cochrane library、医中誌WEBで、心臓手術後におけるランジオロールのAF抑制作用を検討したランダム化比較試験を検索した。571例の患者を対象とした6件のランダム化比較試験を抽出し、メタアナリシスを実施した。主要評価項目は術後AFの発生率、副次的評価項目は院内死亡率および合併症発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・手術後1週間以内のAF発生率は、ランジオロール投与群において、非投与群より有意に低かった(オッズ比 0.27、95%CI 0.18~0.42、p<0.001)。・6件の研究のうち3件で院内死亡率および合併症発症率について検討されたが、ランジオロール投与群および非投与群の間に有意な差は認められなかった。 院内死亡率:0.7% vs.3.0%、オッズ比 0.45、95%CI 0.07~2.74、p=0.39 合併症発症率:4.5% vs.9.7%、オッズ比 0.45、95%CI 0.16~1.23、p=0.12

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ARDSへの肺リクルートメント手技+PEEP最適化、その意義は?/JAMA

 中等症~重症の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者において、肺リクルートメント手技+呼気終末陽圧(PEEP)の最適化は、従来の低PEEP管理と比較し、28日死亡率が有意に増加することが明らかにされた。ブラジル・HCor Research InstituteのAlexandre Biasi Cavalcanti氏らによる多施設共同無作為化臨床試験(Alveolar Recruitment for ARDS Trial:ART)の結果で、著者は「これらの患者では肺リクルートメント手技+PEEP最適化のルーチン使用は推奨されない」と述べている。ARDS患者において、肺リクルートメント手技+PEEP最適化が臨床アウトカムに与える影響は、これまで不明であった。JAMA誌オンライン版2017年9月27日号掲載の報告。中等症~重症ARDS患者約1,000例で、28日死亡率を評価 研究グループは2011年11月17日~2017年4月25日に、9ヵ国の集中治療室(ICU)120ヵ所における、発症後72時間以内かつ人工呼吸器管理中の中等症~重症ARDS患者1,010例を登録し、肺リクルートメント手技(一時的に気道内圧を高圧にして虚脱した肺胞を再開通させる)+最良の呼吸器系コンプライアンスに従ったPEEP最適化による実験的戦略(実験)群(501例)と、ARDSNetで推奨される低PEEP戦略を受ける対照群(509例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。他の呼吸器設定は統一され、全患者は人工呼吸器離脱まで従量式補助/調節換気(A/C)モードを受けた。 主要アウトカムは28日間の全死因死亡率、副次アウトカムはICU在室期間、在院日数、28日間で人工呼吸器が未使用だった期間、7日以内のドレナージを要した気胸、7日以内の圧外傷、ICU死亡率、院内死亡率、6ヵ月死亡率とした。統計には、Cox比例ハザードモデルを用いてintention-to-treat解析が実施された。実験群で28日死亡率、6ヵ月死亡率、気胸・圧外傷リスクが増加 登録された1,010例の患者背景は、女性37.5%、平均(±SD)年齢50.9(±17.4)歳であった。 28日時点において、実験群で501例中277例(55.3%)、対照群で509例中251例(49.3%)が死亡した(ハザード比[HR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.01~1.42、p=0.041)。対照群と比較して実験群では、6ヵ月死亡率の増加(65.3% vs.59.9%、HR:1.18、95%CI:1.01~1.38、p=0.04)、人工呼吸器未使用期間平均日数の減少(5.3 vs.6.4、群間差:-1.1、95%CI:-2.1~-0.1、p=0.03)、ドレナージを要した気胸リスクの増加(3.2% vs.1.2%、群間差:2.0%、95%CI:0.0%~4.0%、p=0.03)、および圧外傷リスクの増加(5.6% vs.1.6%、群間差:4.0%、95%CI:1.5%~6.5%、p=0.001)が認められた。ICU在室期間、在院日数、ICU死亡率および院内死亡率は、両群で有意差は認められなかった。

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脳卒中急性期にルーチンの酸素投与は有益か?/JAMA

 低酸素血症のない脳卒中(脳梗塞、脳内出血、一過性脳虚血発作)急性期の患者に対する低用量酸素の予防的投与は、3ヵ月後の死亡または障害を減少しないことが示された。英国・キール大学のChristine Roffe氏らによる、多施設共同無作為化単盲検臨床試験「SO2S試験」(The Stroke Oxygen Study)の結果で、「これらの患者では低用量酸素療法を支持しない結果が示された」と報告している。低酸素血症は、急性脳卒中発症後の最初の数日間に生じることが多く、しばしば間欠的であったり検出されないことがある。酸素投与は、低酸素症や二次的神経機能低下を予防することによって回復を促す可能性がある一方、有害事象が生じる可能性もあった。JAMA誌2017年9月26日号掲載の報告。約8千例で、持続的酸素投与、夜間酸素投与、必要時酸素投与の機能的転帰を比較 研究グループは、ルーチンの予防的低用量酸素投与が必要時の酸素投与より90日時点の死亡や障害を減らすのか、また、低酸素症の頻度が最も高くリハビリテーションへの影響が最も少ないと思われる夜間のみの酸素投与が、持続的酸素投与よりも有効かを評価する目的で、英国136施設において単盲検無作為化比較試験を行った。 対象は、入院後24時間以内で、酸素療法の明確な適応がないまたは禁忌ではない成人急性脳卒中患者8,003例。持続的酸素投与(72時間)群、夜間酸素投与(21時~7時、3日間)群および対照群(臨床的適応がある場合のみ酸素投与)に、1対1対1の割合で無作為に割り付け(それぞれ2,668例、2,667例、2,668例)、ベースラインの酸素飽和度が93%以下の場合は3L/分、94%以上の場合は2L/分で、経鼻チューブにより酸素投与を行った(登録開始日2008年4月24日、最終追跡調査日2015年1月27日)。 主要アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケールスコア(mRS、0[症状なし]~6[死亡]、臨床的に意義のある最小変化量は1)とし、質問票を郵送して評価を実施した(被験者は非盲検、評価者は盲検)。mRSは、順序ロジスティック回帰分析を用いて、障害度が1レベル改善する共通オッズ比(OR)を算出し、ORが1より大きい場合は障害の改善を意味した。持続+夜間投与 vs.必要時投与、持続投与 vs.夜間投与、いずれも有意差なし 登録された8,003例の患者背景は男性4,398例(55%)、平均(±SD)年齢72(±13)歳、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコア中央値5、ベースラインの平均酸素飽和度96.6%であった。 主要アウトカムについて回答が得られた患者は7,677例(96%)であった。未補正OR(順序ロジスティック回帰解析で算出)は、酸素投与群(持続投与群+夜間投与群) vs.対照群で0.97(95%信頼[CI]:0.89~1.05、p=0.47)、持続投与群 vs.夜間投与群は1.03(95%CI:0.93~1.13、p=0.61)であった。酸素療法が有益なサブグループも特定されなかった。 また、1件以上の重篤な有害事象が発現した被験者は、持続投与群348例(13.0%)、夜間投与群294例(11.0%)、対照群322例(12.1%)で、重大な有害性は認められなかった。 なお著者は、アドヒアランス不良の影響や、集中治療室を除き酸素投与の完全なアドヒアランスを得るのは難しいこと、主要アウトカムの評価が郵送の質問票によって実施されていることなどを研究の限界として挙げている。

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ニボルマブ、既治療胃がんに良好な効果持続(ATTRACTION-02アップデート)/ESMO2017

 2レジメン以上に抵抗性を示した進行胃・胃食道接合部(G/GEJ)がんの予後は不良である。これらのがんにおいては、ニボルマブなどのPD-1阻害薬の効果が期待される。ATTRACTION-02は、上記患者において、日本、韓国、台湾で行われたニボルマブの第III相試験である。スペイン・マドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)では、同試験の追跡結果とPD-L1発現レベルによる有効性について、国立がん研究センター中央病院の朴成和が発表した。 ATTRACTION-02試験では、2レジメン以上の化学療法に抵抗性を示した20歳以上の切除不能の進行・再発G/GEJがん493例を、ニボルマブ3mg/kg(n=330)またはプラセボ(n=163)に2:1に無作為化し行われた。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)などの有効および安全性であった。また、探索的研究として、腫瘍細胞サンプルが得られた患者に対して、28-8pharmDxアッセイを用いて、腫瘍細胞のPD-L1発現による評価を後ろ向きに行った。 KangらによりASCO-GI 2017で発表された一次解析の結果は、追跡期間8.9ヵ月において、ニボルマブ群のOSは5.3ヵ月、プラセボ群は4.1ヵ月であった(HR:0.63、95%CI:0.51~0.78、p<0.0001)。今回は追跡期間中央値15.7ヵ月(12.1~27.2)の情報を発表した。結果、OSはニボルマブ群5.3ヵ月、プラセボ群4.1ヵ月、1年OS率はニボルマブ群27%、プラセボ群12%と、一次解析と同様ニボルマブ群で有意にOSを改善した(HR:0.62、95%CI:0.50~0.76、p<0.0001)。ORRは、ニボルマブ群12%、プラセボ群0%であった(p<0.0001)であった。 PD-L1発現別のOSをみると、PD-L1発現1%未満の症例では、ニボルマブ群では6.1ヵ月、プラセボ群では4.2ヵ月であった(HR:0.71、95%CI:0.50~1.01)。PD‐L1発現1%以上の症例では、ニボルマブ群5.2ヵ月、プラセボ群3.8ヵ月であり(HR:0.58、95%CI:0.24~1.38)、PD-L1発現の程度にかかわらずニボルマブの効果がみられた。全Gradeの有害事象(AE)は、ニボルマブ群の43%、プラセボ群の27%で発現した。ニボルマブの免疫関連AE(irAE)については、ほとんどがGrade1~2であり、その多くは治療後 3ヵ月以内に発現していた。また、Grade3以上のirAE発現率は2%以下で、その多くは治療後6ヵ月以内に発現し、時間経過とともに発現率は低下した。 今回発表された1年以上の追跡においても、進行G/GEJがん患者におけるニボルマブの長期生存ベネフィットが確認された。■参考ATTRACTION-02/ONO-4538-12試験(ClinicalTrials.gov)ASCO-GI 2017 Abstract■関連記事ニボルマブ 標準治療不応の胃がんに良好な効果(ONO-4538-12試験)/ASCO-GI 2017

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留学体験【Dr. 中島の 新・徒然草】(190)

百九十の段 留学体験今回はちょっと気分を変えて、昔話をしたいと思います。私がアメリカに留学していたのは35歳からの3年間です。行くに際して、色々な人からアドバイスや御自身の体験談を教えてもらいました。 外国人と日本人を比べたら、違っているところよりも同じところの方が多いで 留学している間が1番研究に専念できるぞ 無事に生きて帰ってくることができたら留学は成功や 後で考えてみると、これらのアドバイスはみなそのとおりだと思わされるものばかりです。今回は「外国人も日本人も同じだった」というエピソードを2つばかり紹介したいと思います。私が英語を習っていた先生は年配の女性で、その年代でありながら修士号を持っていたインテリです。ところが息子さんの奥さんが台湾人で、そのせいでもないと思いますが、いつも愚痴を言っていました。 曰く 「嫁はいつもチャイナ・タウンに行ってばかりだ」 曰く 「いつまで経っても英語を覚えようとしない」 曰く 「嫁にあわせて中国語でしゃべっている息子が可哀想だ」 そのような話を毎回聞かされていると、私の頭の中には、チャイナタウンに入りびたりの英語下手な台湾人女性、というイメージがすっかり出来上がってしまい、「せっかくアメリカに住んでいるのに、そんなことでは駄目だな」と思っていました。そんなある日のこと。その先生の自宅でパーティーがあって、息子さんとその奥さんも参加したのです。そこにやって来たのは誰に対してもニコニコとフレンドリーに接する東洋人女性で、英語も超上手い! 「そんなことでは駄目だな」と思った私が阿呆でした、すみません。単に世界共通、お嫁さんに厳しいお姑さんの小言を聞かされていただけだったのです。何処も同じ、ですね。また別のある日のこと。勤務していた病院の放射線科の女性秘書の1人が結婚することになり、放射線技師さんたちが集まってお祝いをしました。アメリカの放射線技師は女性がメインです。病院内の会議室を借りてアルコールやケーキでお祝いをしました。最初のうちは、「まあ素敵!」「幸せになってね」と、いい調子だったのですが、アルコールが入ると本音になってしまうのは洋の東西を問わず、皆同じです。さすがに本人の前では遠慮していたものの、部屋から出るとそれぞれに好き放題言い始めました。 メアリー 「けっ、なんであの子が結婚できて、私には相手がいないのよ」 中島 「まあまあ、落ち着いて」 メアリー 「あんたも独身なの?」 中島 「ワイフがおりまんがな」 メアリー 「ちっくしょう!」(ドカッ) メアリーはドアを蹴っ飛ばして出て行ってしまいました。確かにメアリーの気持ちも分からなくはありませんが、本当に口に出して言ったのは驚きです。それにしてもアルコールが入って思わず出た本音が実は世界共通、というのも笑わされました。ということで、アメリカ人も日本人も何国人でも、人の振る舞いには共通するところが多かった、という経験です。これから外国に行こうという人のヒントになれば幸いです。最後に1句やる事は 全く同じ 世界中

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