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敗血症に対する初期治療戦略完了までの時間と院内死亡率の関係(解説:小金丸 博 氏)-700

 敗血症は迅速な診断、治療が求められる緊急度の高い感染症である。2013年に米国のニューヨーク州保健局は、敗血症の初期治療戦略として“3時間バンドル”プロトコールの実施を病院に義務付けた。“3時間バンドル”には、(1)1時間以内に広域抗菌薬を投与すること、(2)抗菌薬投与前に血液培養を採取すること、(3)3時間以内に血清乳酸値を測定すること、が含まれる。さらに収縮期血圧が90mmHg未満に低下していたり血清乳酸値が高値の場合は、“6時間バンドル”として急速輸液(30mL/kg)や昇圧剤の投与、血清乳酸値の再測定を求めている。これらの初期治療戦略が敗血症の予後を改善するかは、まだ議論のあるところだった。 本研究は、ニューヨーク州保健局に報告された敗血症および敗血症性ショックを呈した患者のデータベースを検討したレトロスペクティブ研究である。“3時間バンドル”完遂までの時間とリスク補正後の院内死亡率との関係を評価した。その結果、“3時間バンドル”完遂までの時間が長いほど院内死亡率は上昇していた(1時間ごとのオッズ比:1.04、95%信頼区間:1.02~1.05、p<0.001)。同様に、広域抗菌薬投与までの時間が長いほど院内死亡率は上昇していた(同:1.04、1.03~1.06、p<0.001)。しかしながら、急速輸液完遂までの時間の長さは院内死亡率上昇と関連がなかった(同:1.01、0.99~1.02、p=0.21)。 広域抗菌薬をプロトコール開始後3~12時間で投与した群では、3時間以内に投与した群と比べて院内死亡率が上昇していた。とくにうっ血性心不全や慢性肺疾患などの基礎疾患を有する群や昇圧剤投与が必要だった群で強く相関しており、重症例ほど早期に抗菌薬を投与することの重要性が示された。 本研究では、初期の急速輸液完了までの時間は、敗血症の予後に関連しないという結果であった。理由として、死に至るような超重症例ほど初期急速輸液が行われていることや、急速大量輸液によって起こる肺浮腫などの有害事象が予後に関与した可能性が考えられる。 2016年に新しい敗血症の定義(Sepsis-3)が提唱された。敗血症性ショックの診断には、本研究の“3時間バンドル”にも含まれる血清乳酸値の測定が必須であるが、本邦では大規模病院以外では困難と思われる。現在の本邦においてはバンドルの遵守にこだわらず、病歴や理学所見からいかに敗血症を疑い、初期対応につなげるかが重要と考える。

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ドクター人工知能【Dr. 中島の 新・徒然草】(179)

百七十九の段 ドクター人工知能人工知能の猛威はとどまるところを知らず、チェス、将棋、囲碁に至るまで、人間の強さを超えるところまで来てしまいました。とある説によれば、今後10~20年で今ある職業の47%が人工知能に奪われることになっています。「職を奪われる」と表現すると暗いイメージになりますが、「嫌な仕事は人工知能にやらせてしまえ」と前向きに考えた方がいいですね。さて、われわれ医師の仕事は人工知能が肩代わりしてくれるのでしょうか? 私は、「科学の進歩とともに徐々に医師を超える優秀な人工知能が登場するはず」と考えています。もっとも、データから診断を行うアルゴリズムもさることながら、患者さんからの情報を収集するインプットの部分と、診断結果をどのような形で医療として提供するのかのアウトプットも同じくらい重要ではないかと思います。以下、医療用人工知能の未来についての私の空想を述べましょう。10年後:人工知能が診断をする。ただし高齢の患者さんの長話を聴き、それを人工知能にも分かるような形にしてインプットするのは医師の仕事。そして、人工知能の診断結果を患者さんに説明するのも医師がしなくてはならない。なので、どうしても人工知能にこき使われている感がぬぐえない。人工知能がいくら優秀であっても、1番面倒なところを医師が担当するのであれば、まだまだ使い物にならない。結局、診断に困る難解な症例のみ人工知能に相談する形になってしまう。20年後:人工知能が自分で情報を収集する。患者さんの話だけでなく、歩き方やしゃべり方なども人工知能にとっては大切な情報である。患者さんも「よく話を聴いてくれる親切な先生だ」と満足度が高い。また、病状や治療方針も人工知能が決め、その説明も相手が分かるまで繰り返し忍耐強く説明する。これまた大好評。ただし、1人あたりの診察に要する時間は初診で少なくとも60分はかかるので、1台で1日に30人を捌くのは不可能である。数台の人工知能を並列させ、24時間稼働すれば何とかなる。この時点では人間の医師を選ぶか人工知能を選ぶかは患者さんに委ねられている。30年後:ついに究極のドクター人工知能(Dr.AI)が登場する。とあるカフェに朝の散歩帰りの高齢者が立ち寄る場面を紹介する。高齢者「いやあ、朝の散歩は気持ちいいねえ。でも、時々めまいがするんだよね。それに家に帰る道を間違えちゃってさ」Dr. AI「あまり無理をなさらない方がいいですよ」高齢者「町内会でさ、次の会長を誰がやるかで押し付け合いになってるんだ。俺はもう年だからやりたくないんだけど、100歳にならないと免除してくれないのよ」Dr. AI「それは大変ですね。よかったら、このクッキーをどうぞ」高齢者「ありがと、ありがと。じゃあ、もうひと頑張りすっか」中島「今のクッキーは何かの配合剤?」Dr. AI「そうです」中島「へえー! 何を混ぜてるの?」Dr. AI「コリン関連やセロトニン関連など十数種類です」中島「コリン作動薬とか選択的セロトニン再取り込み阻害薬とかのこと?」Dr. AI「それは昔の呼び方ですね。先生に説明するのは時間がかかるので、勘弁してもらっていいですか?」中島「お、おう。久しぶりに向学心が湧いてきたのに。まあ、いいか」Dr. AI「中島先生も記憶力が悪くなったばかりか怒りっぽくなっているので、前向きで寛容になるクッキーを食べてもらってたんですよ」中島「僕も知らないうちに盛られていたのか!」ここまでくれば、さすがに医師は不要ですね。というか、医療そのものの姿も変わってしまうかもしれません。画期的な医療用人工知能が登場したら、「職を奪われる」という心配をする前に、まず自分が診てもらいたいと思います。最後に1句AIと 雑談すれば 薬でる

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薬剤溶出ステント留置後のDAPT、6ヵ月 vs. 24ヵ月

 2015年に発表されたITALIC(Is There a Life for DES After Discontinuation of Clopidogrel)試験では、第2世代薬剤溶出ステントを用いた冠動脈形成術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)で、6ヵ月のDAPTを24ヵ月のDAPTと比較し、1年目の時点で出血と血栓症の発生率が同等であることが示された。ITALIC試験の最終結果となる今回は、6ヵ月DAPTの24ヵ月に対する非劣性を検証することを目的に、24ヵ月DAPTのフォローアップ結果がフランス・ブレスト大学のGilard氏らより報告された。Journal of the American College of Cardiology誌2017年6月26日号に掲載。主要評価項目は、死亡、心筋梗塞、標的病変の緊急再灌流療法、脳梗塞、重篤な出血の複合 本研究は多施設無作為化比較試験で、第2世代薬剤溶出ステントの植込みを受けたアスピリン抵抗性を示さない患者を、70施設から2,031例をスクリーニングし、6ヵ月(926例)もしくは24ヵ月(924例)のDAPTに割り付けた。主要評価項目は、12ヵ月の時点における死亡、心筋梗塞、標的病変の緊急再灌流療法、脳梗塞、重篤な出血の複合であった。副次評価項目は、24ヵ月の時点における同一の複合評価項目と各項目の結果であった。24ヵ月のフォローアップでも6ヵ月DAPTは24ヵ月DAPTに対し非劣性 6ヵ月と12ヵ月のDAPTを比べたところ、6ヵ月DAPTは24ヵ月DAPTに対し非劣性で、絶対リスク差は0.11%(95%信頼区間[CI]:−1.04%~1.26%、p=0.0002)であった。 24ヵ月の時点で、複合評価項目に変化はなく、6ヵ月群で3.5%、24ヵ月群で3.7%(p=0.79)、心筋梗塞(1.3% vs.1.0%、p=0.51)、脳卒中(0.6% vs.0.8%、p=0.77)、標的血管の緊急再灌流 (1.0% vs.0.3%、p=0.09)は、いずれも同等の結果であった。死亡率については、24ヵ月群で高い傾向にあった(2.2% vs.1.2%、p=0.11)。重篤な出血の発生は、24ヵ月群の4例に対して、6ヵ月群では1例も発生しなかった。ITALIC試験の24ヵ月時点における結果は、12ヵ月時点の結果を確認し、第2世代の薬剤溶出ステント留置後6ヵ月のDAPTが24ヵ月のDAPTと同様の成績を示すことが示された。■関連記事循環器内科 米国臨床留学記

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患者向け肺がん情報提供、理想とのギャップ

 2017年7月12日、都内で日本肺学会主催の第16回肺がん医療向上委員会が開催された。その聴講内容をレポートする。 講演の前半では、世界肺学会(IASLC)の「ペイシェントアドボカシーアワード」を受賞した肺がん患者連絡会 代表 長谷川 一男氏が、昨年末にオーストリア・ウィーンで開催された第17回世界肺会議(WCLC2016)に参加した際の様子を紹介した。 参加者が肺がんに関する自国の現状や課題を話し合うセッションでは、各国の課題が浮き彫りとなった。各国の事情はそれぞれ異なり、欧州からは治療の平等性・薬価・患者QOL、米国からは治療の格差・早期発見・スティグマ、そして日本からは情報の欠如・心理ケア・医師との連携が主な課題として挙げられた。「情報の欠如」については、海外で情報提供とみなされる患者への医薬品の資材提供が日本では広告として規制されることからも、その遅れがうかがえる。 長谷川氏は、「患者向けにマスクされた情報よりも、臨床試験における副作用の頻度といった医療者向け情報のほうが欲しい」と、患者目線の意見を述べた。 続いて、「医療用医薬品(抗悪性腫瘍薬)における広告規制と情報提供:最近の話題」と題して中央大学理工学部人間総合理工学科 教授の大橋 靖雄氏が講演を行った。国際的に患者とのパートナーシップが最重視されているにもかかわらず、患者が学会の企業ブースや詳細な薬の情報にアクセスできない日本の現状は恥ずべきだという。しかし、昨今美容整形や健康食品に対する規制が強まり、ますます「広告」と「情報提供」の線引きが難しくなっている。情報提供側の利益相反や患者のリテラシーといった課題が複雑に絡み合うなか、打開策はどこにあるのだろうか。 「患者が意思決定する時代では、情報提供のあり方を考え直すべき」という長谷川氏。日進月歩で進むがんの領域は情報更新が追い付かず、トレードオフの関係にある情報の質と迅速さをどちらも担保することは容易ではない。患者向け肺がん情報提供における理想と現実のギャップを埋めるには、学会を含む多くの団体や企業間の連携が必要とされる。

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妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

 妊娠は薬物動態に変化を及ぼすことが知られているが、抗精神病薬の血中レベルへの影響についてはほとんど知られていない。ノルウェー・St Olav University HospitalのAndreas Austgulen Westin氏らは、妊娠前後の抗精神病薬血中モニタリングを行い、血中レベルへの影響を検討した。Clinical pharmacology and therapeutics誌オンライン版2017年6月23日号の報告。 女性103人を対象に、全110回の妊娠における抗精神病薬血中濃度モニタリング測定値を日常的に201回、同一女性より妊娠前後の血中濃度測定を512回行った。 主な結果は以下のとおり。・第3期の血中濃度は、クエチアピン(-76%、CI:-83~-66%、p<0.001)およびアリピプラゾール(-52%、CI:-62~-39%、p<0.001)でベースラインより有意に低かったが、オランザピン(-9%、CI:-28~14%、p=0.40)では認められなかった。・その他の抗精神病薬(ペルフェナジン、ハロペリドール、ziprasidone、リスペリドン、クロザピン)についてのデータは限られていたが、少なくともペルフェナジンとハロペリドールは、血中濃度が低下する可能性が示唆された。 著者らは「血中濃度低下が臨床結果に及ぼす影響はわかっていないが、妊娠中の厳密な臨床検査が求められ、治療薬モニタリングによる優先的なサポートが必要である」としている。■関連記事妊婦へのリチウム使用、幼児への影響は妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は複数の向精神薬の血中濃度を一度に測定する新手法

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【JSMO2017見どころ】AYA世代のがん治療

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 このうち、「AYA世代のがん治療」については嶋田 明氏(岡山大学病院 小児血液・腫瘍科 准教授)が登壇した。以下、嶋田氏のコメントと注目演題を紹介する。【嶋田 明氏コメント】 Adolescent and Young Adult(AYA)世代とは、15~30歳前後(欧米では15~39歳の定義もある)の高校生・大学生・若年成人を含み、AYA世代のがん治療は、成人がん、小児がんとは異なった問題点が存在する。たとえば、小児に多いがん(白血病、脳腫瘍、骨軟部腫瘍など)と成人に多いがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんなど)が混在してみられ、国内では毎年5,000人ときわめて稀ではあるが、就学、就職、結婚、出産などのライフイベントが集中する時期に起こるため、社会的問題も多くみられる。また5年生存率が、ほかの世代に比べて低く、最適で効果の高い治療方針は十分に確立しているといえない状況である。 小児慢性特定疾患などの公的な補助制度は最長20歳までであり、40歳以上が給付対象となる介護保険からも外れており、社会的支援が乏しいこと、診療科が小児科、血液内科、脳神経外科、乳腺内分泌科、整形外科、放射線科など多科にまたがり、患者さんも多病院、多病棟に分散している。国内では、AYA病棟の取り組みはまだ数えるほどしかない。こうした流れを踏まえて、国の第3期がん対策推進基本計画に小児・AYA世代のがん、希少がん対策が盛り込まれた。 そこで今年度のJSMOでは、主に高校生・大学生のがん患者について取り上げることとし、2つのシンポジウムを企画した。シンポジウム8においては、「AYA 世代がんの治療の現状と展望」と題して6名の演者に各種がんの治療の現況を、シンポジウム18においては、「AYA 世代がん患者の治療・療養支援を考える」と題して、同じく6名の演者にAYA 世代のがん診療の現状と課題、療養環境、教育問題、就労問題など、この世代のがん患者が抱える種々の問題点について発表いただく予定である。【注目演題】シンポジウム 8「AYA 世代がんの治療の現状と展望」日時:7月27日(木)9:00~11:00 場所:Room 13(神戸国際会議場5F 501会議室)シンポジウム 18「AYA 世代がん患者の治療・療養支援を考える」日時:7月28日(金)8:20~10:20 場所:Room 14(神戸国際会議場5F 502会議室)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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emicizumab、血友病A患者の出血リスクを87%低減/NEJM

 12歳以上の第VIII因子インヒビター保有の血友病A患者に対し、開発中のバイスペシフィック抗体emicizumab(ACE910)の週1回皮下投与は、年間出血イベントリスクを87%低減したことが報告された。ドイツ・ボン大学病院のJohannes Oldenburg氏らが、14ヵ国43ヵ所の医療機関を通じて行った第III相非盲検無作為化試験「HAVEN 1」の結果で、NEJM誌オンライン版2017年7月10日号で発表した。emicizumabは、第IX因子と第X因子を結び付けることで、血友病A患者に不足しており止血に必要な第VIII因子の機能を修復する。小規模ではあったが第I相試験で、インヒビター保有の有無を問わず血友病A患者において、出血の抑制効果が確認されており、今回の第III相試験では、第VIII因子インヒビター保有患者に対する週1回の予防投与を評価した。発症時バイパス止血製剤歴のある患者109例を対象に試験 研究グループは、発症時バイパス止血製剤歴のある12歳以上の第VIII因子インヒビター保有の血友病A患者(男性)109例(年齢中央値28歳)を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2対1に割り付け、一方にはemicizumab(週1回、皮下投与)の予防投与を行い(グループA)、もう一方の群には予防投与を行わなかった(グループB)。 主要評価項目は、グループAとグループBの出血率の群間差だった。 なお被験者のうち、予防的バイパス止血製剤治療の既往者には、emicizumabによる予防投与が行われた(グループC)。週1回予防投与群では出血イベントなしが63% 年間出血率は、グループB(18例)が23.3件/年(95%信頼区間[CI]:12.3~43.9)に対し、グループA(35例)では2.9件/年(95%CI:1.7~5.0)と有意に低率であることが示された(群間差:87%、p<0.001)。 出血イベントが認められなかった被験者は、グループBでは1例(6%)だったのに対し、グループAでは22例(63%)であった。 また、主要評価の検討に組み入れられなかったグループC(49例)のうち24例の評価において、以前の予防的バイパス止血製剤治療に比べ、emicizumabの予防投与で出血率が79%低減したことが確認された(p<0.001)。 有害事象は全体で198例が報告された。そのうち103例がemicizumabの投与を受けた被験者で報告されたが、最も頻度の高かったのは注射部位反応(15%)であった。重篤有害事象の報告は9例12件が報告された。血栓性微小血管障害症と血栓症が主要解析で2例ずつ報告されている。いずれも破綻出血を呈し活性型プロトロンビン複合体製剤(PCC)の複数回投与を受けていた。抗薬物抗体の検出は報告されなかった。

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ベンゾジアゼピン服用による死亡リスク増大の真相は/BMJ

 ベンゾジアゼピン系薬の服用について、服用開始6ヵ月の全死因死亡リスクは増大しないことが示された。米国・ハーバード・メディカル・スクールのElisabetta Patorno氏らが、ベンゾジアゼピン系薬服用者約125万例と、高次元傾向スコアでマッチさせた非服用者を対象に行った試験で明らかにしたもので、BMJ誌2017年7月6日号で発表した。これまでに、ベンゾジアゼピン系薬の服用は、短期間であっても、死亡リスクが3~4倍に増大するというエビデンスが発表されていたが、それを否定する結果となった。なお、サブグループ解析では、服用開始12ヵ月、48ヵ月の死亡リスクや、65歳未満の患者の死亡リスクなどについては、4~9%のわずかな増大が認められている。匿名化された大規模商用医療データベースを基に調査 研究グループは、匿名化された大規模米国商用医療データベースOptum Clinformatics Datamartを基に後ろ向きコホート試験を行い、ベンゾジアゼピン系薬の服用と全死因死亡リスクとの関連を検証した。 具体的には、2004年7月~2013年12月にかけて診察を受け、14日以内にベンゾジアゼピン系薬の服用を開始した125万2,988例と、同期間に診察を受け高次元傾向スコアで1対1にマッチさせた非服用者を比較した。 主要評価項目は、追跡期間6ヵ月間の全死因死亡だった。死亡は、Social Security Administration Death Master Fileで確認した。また治療バリアと交絡に対処するため、参加者は、指標日(ベンゾジアゼピン系薬服用開始日、ベンゾジアゼピン系薬非服用者については選択的な受診日)の前90日間と91~180日間に1回以上のあらゆる処方を受けていることとした。また、高次元傾向スコアは300以上の共変量を基に算出した。服用開始48ヵ月間で5%、65歳未満では9%、死亡リスク増大 6ヵ月の追跡期間における死亡数は、ベンゾジアゼピン系薬群が5,061例、対照群が4,691例で、死亡率はそれぞれ9.3/1,000人年に、9.4/1,000人年で同等だった(ハザード比:1.00、95%信頼区間[CI]:0.96~1.04)。 しかしサブグループ解析では、死亡リスクの増大が認められたものもあった。たとえば服用開始から12ヵ月および48ヵ月の死亡リスクは、ベンゾジアゼピン系薬の服用開始者は、非服用者に比べ、死亡リスクはわずかだが有意に増大した(12ヵ月のハザード比:1.04、48ヵ月のハザード比:1.05)。また、65歳未満の場合や、短時間作用型ベンゾジアゼピン系薬を服用した場合で、いずれも死亡リスクはわずかだが有意に増大した(65歳未満のハザード比:1.09、短時間作用型のハザード比:1.06)。 また、副次解析の検討で、高次元傾向スコアで1対1にマッチさせた、SSRI服用開始群とベンゾジアゼピン系薬服用開始群の比較においては、ベンゾジアゼピン系薬服用開始群で9%(95%CI:3~16)のリスク増大が認められた。

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アルツハイマー型認知症のセントラルドグマ(解説:岡村 毅 氏)-699

 アミロイドが蓄積した無症候高齢者では、将来の認知機能低下が起きやすいことが報告された。将来MMSE得点は低下し、CDRのSum of Boxesは上昇し、ロジカルメモリも低下し、MCIへの進展も多く、FDG-PETでの代謝異常が進行し、海馬は萎縮し、脳室が拡大する。神経学の、そして人類の歴史において重要な論文である。 少し知識のある人は、そんなことは当たり前だろうと思うかもしれない。教科書を見るとアルツハイマー型認知症とは、脳にアミロイドやタウがたまり、神経細胞が破壊され、もの忘れをはじめとする認知機能の低下が起こる病気だと書いてある。もう少し詳しい教科書を見ると、アミロイドがたまり、タウが現れ、軽微な脳萎縮が出てきてから、ようやく認知機能低下が始まり、最後に生活に支障が生じるという「アミロイド・カスケード仮説」が説明されている。これこそがアルツハイマー型認知症のセントラルドグマである。 このセントラルドグマはどうやってできたのだろうか。亡くなった方の脳の研究において、後頭葉や側頭葉内側面から出現したアミロイドプラークが病気の進行とともに広がってゆくさまがBraakによってすでに示されている。生きている人についてはわからないが、このことが傍証だったわけである。またアミロイドが脳内でたまることで髄液に出てくるアミロイドβ42が減少したり、その後タウが髄液中で増えたりといった変化も傍証と言えよう。あくまで仮説だったのだ。 生体内でアミロイドの可視化ができるようになり、米国では2005年から2010年にかけてADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)研究が行われた。セントラルドグマが検証されたのである。臨床家、画像研究者、病理学者、遺伝研究者、統計学者、そして心理学者が多施設で一体となり難しい観察研究を遂行しきった、その結果が本論文である。米国の底力を感じるのは私だけではあるまい。 こうしたカスケードがわかれば、アミロイドを生成しないようにすればアルツハイマー型認知症は早くも根治できると考えるのが自然であろう。しかし、開発は失敗に次ぐ失敗である。アミロイドじゃない、タウが重要だという向きもあるが、しょせん下流の現象である。もっと厳密に、もっと早期から、介入しなければならないのだ。2011年のNational Institute on Aging-Alzheimer’s Association(NIAAA)による新たな診断基準のすごい所は、preclinical期のADを細かく病期分類しようとしていることである。科学者たちは、より早期へと時をさかのぼっているのである。 ある著名な神経学者は「病気になってからアミロイドを除去するのでは、牛が逃げて行ってしまってから、牛小屋のドアを閉めるようなものだ」と述べている。何とも米国的な例えだが、いつかわれわれは、牛が出て行く前に牛小屋に鍵をかけることが可能になるのであろうか?

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第7回 問われる医師の倫理観【患者コミュニケーション塾】

問われる医師の倫理観解剖室の遺体保存用冷蔵庫に入って撮った写真を医学生がSNSに投稿する、などといった事例に代表されるように、最近、医学生や若い医師たちの倫理観について問題視される出来事をよく耳にします。当事者の学生に対し、「遺体保存用冷蔵庫に入って撮った写真を投稿することは、モラルに欠けている」と指導しても、「冷蔵庫はダメなのか」と受け止めるだけで、本質的な問題点が伝わらない、という医学教育現場の嘆きを聞くこともあります。現在、医学科、歯学科では4年生の段階で共用試験として知識を問うCBTと客観的臨床能力を問うOSCE(オスキー)が実施されています。共用試験に合格すれば「スチューデントドクター」という称号が与えられ、臨床実習に出ることができるようになります。私は、これら共用試験とその評価を執り行う医療系大学間共用試験実施評価機構の理事を務めていますが、ここでも医学生の倫理観に関する問題が持ち上がっているのです。なかでも私が理事として対応しているのが、OSCEに関する不正事案です。大学側の運用の不備が主な原因であるケースもありますが、学生が関与した“課題漏えい事件”も起きています。患者側の立場の理事として、私はすべての事案の調査委員を拝命しており、問題が起これば現地に出向いて調査をします。ある大学では、OSCEの会場設営を3年生のボランティアが行っていました。学生が手伝うのは机や椅子の移動などで、試験室内に課題を貼り出す作業は学生が退出した後の夜に行われました。ところがそれ知っていた受験生である4年生数名が、設営を手伝った3年生に「会場に忍び込んで、貼り出された課題を写真に撮ってきてほしい」と依頼したのです。頼まれた3年生2人は、会場の入り口にいた守衛に「今日の昼間に設営を手伝っていた者だが、中に忘れ物をして家に帰ることができないので入らせてほしい」と、うそをついて侵入しました。そのうち1人は怖くなったのか、良くないと気持ちを改めたのか、5分足らずで会場から出た姿が防犯カメラの記録から確認されました。しかしもう1人はそのまま残り、課題をすべて写真に収めました。その後、写真は依頼した4年生らにメールで送られ、彼らが同学年全員に「予想問題」としてメールで共有したため、受け取った学生が内部告発をし、事件が発覚しました。私は現地調査に行くまで、課題を撮影した3年生は、無人の会場に忍び込んだのだと思っていました。ところが現地で受けた説明によると、その時間は事務職員がまだ残って準備をしていたことがわかりました。つまり、職員が残っていた部屋では身を隠し、いなくなるのを待って、写真を撮影していたのです。その姿を現地で想像したとき、怒りを通り越して悲しい気持ちになりました。これは、子供が起こした事件ではなく、成人である大学3年生、しかも医師を目指している医学生が起こした事件だからです。この問題を通して、パソコンやスマートフォンなどの便利な道具を“日常の当たり前の道具”と捉えている医学生や若い医師らにおいて、「できること」と「やってはいけないこと」の境目が麻痺しているのではないかと感じました。医師になれば、一般人が行うと傷害罪になるようなことを、医師免許の下に実行できる立場に身を置くわけです。「できるから何でもやっていい」という理論は当然、通用しません。そこで立ち止まって考えることができるかどうか、日常における一つひとつの場面で“倫理観”が問われているのではないかと、私は痛感しています。

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糖尿病患者の野菜摂取習慣と夜間頻尿が逆相関

 日本人の2型糖尿病患者において、野菜摂取習慣と夜間頻尿との間に逆相関が認められたことを愛媛大学の古川 慎哉氏らが報告した。愛媛県内の関連病院による多施設共同研究である道後Studyの研究。Journal of diabetes investigation誌オンライン版2017年7月1日号に掲載。 これまで、糖尿病患者における食事習慣と夜間頻尿の関連についての報告はなかった。本研究は、2型糖尿病患者785例を対象に、自記式調査票を用いて食事習慣を調査した。野菜摂取習慣は「毎日野菜や海草を摂取しますか?」という質問で調査した。アウトカムは夜間頻尿(夜間排尿2回以上)と重度夜間頻尿(夜間排尿3回以上)の2つを用い、喫煙、飲酒、運動習慣、脳卒中、虚血性動脈疾患、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症について調整した。 主な結果は以下のとおり。・夜間頻尿および重度夜間頻尿の罹患率はそれぞれ39.9%と14.4%で、野菜摂取習慣のある人の割合は67.3%であった。・交絡因子調整後、野菜摂取習慣は夜間頻尿(調整OR:0.67、95%CI:0.48~0.94)および重度夜間頻尿(調整オッズ比[OR]:0.46、95%CI:0.30~0.71)と独立して逆相関していた。・男性患者において、野菜摂取習慣は、重度夜間頻尿と独立して逆相関していた(調整OR:0.51、95%CI:0.29~0.88)が、夜間頻尿とは関連しなかった。・女性患者において、野菜摂取習慣は、夜間頻尿(調整OR:0.44、95%CI:0.24~0.79)、重度夜間頻尿(調整OR:0.34、95%CI:0.15~0.78)とも、独立して逆相関していた。

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自己圧迫機能を搭載した新型マンモグラフィを発売/GEヘルスケア

 GEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長兼CEO:多田荘一郎)は、2016年10月28日に発表した次世代型マンモグラフィ装置Senographe Pristinaにオプション搭載可能な自己圧迫機能Self-Compression(セルフコンプレッション)を7月13日より販売開始した。 マンモグラフィは、検査時の不快感や痛みから、受診者に敬遠されがちな検査だが、今回販売を開始するSelf-Compressionは、受診者自身がマンモグラフィ撮像に必要な乳房の圧迫を微調整することで、痛みへの不安感を軽減し検査への満足度を向上させるとともに、低被ばくや高画質につながるという。 製品名:Senographe Pristina 薬事認証名称:Senographe Pristina 発売日:2017年7月13日 医療機器認証番号:228ACBZX00013000■参考GEヘルスケア・ジャパン株式会社プレスリリース

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【JSMO2017見どころ】Precision medicine

 2017年7月27日(木)から3日間にわたって、第15回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、プレナリーセッションをはじめ、「免疫・細胞療法」「Precision medicine」「AYA世代のがん治療」「緩和・支持療法」の4つのテーマにおける注目トピックが紹介された。 このうち、「Precision medicine」については堀田 勝幸氏(岡山大学病院 新医療研究開発センター 教授)が登壇した。以下、堀田氏のコメントと注目演題を紹介する。【堀田 勝幸氏コメント】 がん薬物療法の歴史は1943年のリンパ腫に対するnitrogen mustard(化学兵器)にはじまり、その後DNA合成阻害を主軸とする殺細胞性抗がん剤が広く開発されてきた。一方この20~30年間で、革新的な技術の導入に伴い、正常細胞とがん細胞の分子生物学的相違を特定することが可能となった。この技術を背景として標的分子異常に対する創薬開発が行われ、1997年には乳がんに対する抗体製剤(トラスツズマブ)が、2001年には慢性骨髄性白血病に対する分子標的薬(イマチニブ)がそれぞれ登場し、がん医療に大きな変革をもたらした。以降、さまざまながん腫でさまざまながん原性分子異常が見出され、臓器単位の大きなくくりから分子異常に基づいた創薬が行われ、適正な治療戦略が構築されていく、いわゆるprecision medicineが確立し、現在に至っている。 precision medicineをさらに医療社会に実装するには、網羅的で正確、かつ、汎用性を有する分子異常診断法の確立と整備、そしてそのデータの高精度な管理が必要である。同時にこれらに携わる人材の育成と確保も求められる。今回のJSMO学術集会では上記に関するシンポジウムを複数企画し、現状と課題について検討する。加えて、国家的なprecision medicineの体制整備に関する日米欧三極のリーダーを招へいし、現状の問題点の共有と今後の国際連携についても討議していく。 また個々の患者に対して分子標的薬による最大効果・安全性を担保するために、薬剤の適正使用は必須要素である。臨床現場の目線でprecision medicineの確実な実装をしていくために、口腔支持療法・栄養などを含めた患者管理・教育に関するさまざまな最新の取り組みや工夫を多職種間で持ち合ったうえで現状の整理と問題点の抽出を行い、明日からの診療につながる実利的なセッションも企画されている。【注目演題】シンポジウム「ゲノム医療にかかわる人材育成」日時:7月29日(土)8:20~10:20 場所:Room 15(神戸国際会議場5F 504+505 会議室)「チームで取り組む分子標的薬の副作用マネジメント 患者へベネフィットをもたらす支持療法」日時:7月29日(土)10:20~12:20 場所:Room 2(神戸国際展示場2 号館1F コンベンションホール南)「次世代シークエンサーなど多遺伝子異常診断機器の医療機器として薬事承認・保険償還への道」日時:7月29日(土)15:00~17:00 場所:Room 3(神戸国際展示場2 号館1F コンベンションホール北)Special Lecture「Cancer Data Collaboratives: Requirements for Personalized Medicine」日時:7月28日(金)8:20~9:20場所:Room 10(神戸国際会議場1F メインホール)Asia & Oceania Joint Symposium「Precision medicine, its current status and possibilities for future collaborations」日時:7月28日(金)8:20~9:20場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)International Symposium「Nation-wide basket/umbrella type study for precision medicine」日時:7月28日(金)10:20~12:20場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)ASCO/JSMO Joint Symposium「Current status of molecular targeted therapy in lung cancer」日時:7月28日(金)17:00~19:00場所:Room 1(神戸ポートピアホテル南館 1F ポートピアホール)【第15回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2017年7月27日(木)~29日(土)■会場:神戸コンベンションセンター、Junko Fukutake Hall(岡山大学鹿田キャンパス)■会長:谷本 光音氏(岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座)■テーマ:最適のがん医療— いつでも、何処でも、誰にでも —第15回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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2040年、英国の認知症者数は120万人/BMJ

 英国の将来的な認知症者は、どれぐらいになるのか。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSara Ahmadi-Abhari氏らが、2002年以降の発症傾向を基にしたモデル研究で推算し、2040年には2016年現在よりも57%増しの120万人になるとの予測を発表した。最大では190万人に達する可能性もあるという。これまでに英国アルツハイマー病協会が、「年齢特異的認知症有病率が一定のままならば、2050年に英国の認知症者数は170万人超になるだろう」と予測をしている。一方で、英国、オランダおよび米国の研究で、認知症の発症率が減少傾向にあることが示され、研究グループは、動的モデリングアプローチにて将来の認知症の有病率を予測する検討を行った。BMJ誌2017年7月5日号掲載の報告。認知症発症率の経年傾向を推算し、Markovモデルを作成して有病率を予測 研究グループは、イングランドおよびウェールズの一般成人集団から参加者を募り、2002~13年の間に6回にわたってEnglish Longitudinal Study of Ageing(ELSA)研究を行った。初回ELSA(2002~03年)は1998~2001年の英国健康サーベイの参加者から募集し、男女計1万2,099例が参加した(参加率67%)。その中には50歳以上1万1,392例、同居カップル707組が含まれていた。対象集団の代表性を維持するために、その後、第3回(2006~07年、50~55歳)、第4回(2008~09年、50~74歳)、第6回(2012~13年、50~55歳)に健康で元気な参加者をそれぞれ募集。全解析には第1~6回研究参加者計1万7,906例が組み込まれた。 縦断的およびtime-to-eventデータをELSAデータと組み合わせ、追跡不能となった参加者によるバイアスを修正して、認知症発症率の経年傾向を推算した。また、Markov確率モデルIMPACT-BAM(IMPACT-Better Ageing Model)を作成し、将来の認知症有病率を予測した。IMPACT-BAMは、35歳以上集団の、心血管疾患、認知および機能障害、認知症のそれぞれの状態による死亡までの移行をモデル化したもので、認知症有病率を予測すると同時に、平均余命延長、死亡率や心血管疾患の発生率の変化によりもたらされる影響を受けて増大する集団を示すことが可能であった。発症率の低下がない場合は2040年に190万人以上 ELSAにおいて、2010年の50歳以上の認知症発症率は、男性が14.3/1,000人年、女性が17.0/1,000人年であった。認知症発症率は、2002~13年に各年相対率で2.7%(95%信頼区間[CI]:2.4~2.9)ずつ減少していた。 IMPACT-BAM用いた分析で、2016年のイングランドおよびウェールズにおける認知症者数は、約76万7,000人(95%不確定性区間[uncertainty interval:UI]:73万5,000~79万7,000)であった。認知症者数は、発症率および年齢特異的有病率の減少にもかかわらず、2020年には87万2,000人、2030年には109万2,000人、2040年には120万5,000人になると示された。 発症率の低下がない場合の感度解析では、将来の認知症者数はより大規模になり、2040年の認知症者は190万人以上になると予想された。

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心不全の突然死、科学的根拠に基づく薬物療法で減少/NEJM

 収縮能が低下した心不全の外来患者では、突然死の発生率が経時的に大きく低下していることが、英国心臓財団グラスゴー心血管研究センターのLi Shen氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年7月6日号に掲載された。ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などの登場以降、科学的根拠に基づく薬物療法の使用が増えるに従って、収縮能が低下した症候性心不全患者の突然死のリスクは、経時的に低下している可能性が指摘されているが、その詳細の調査は十分ではないという。駆出率≦40%の症候性心不全患者約4万例を解析 研究グループは、駆出率≦40%の症候性心不全患者(NYHAクラスII~IV)を対象に、過去20年間に実施され、1,000例以上を登録した臨床試験の参加者(植込み型除細動器[ICD]装着例は除外)のデータを解析した(中国国家留学基金管理委員会と英国グラスゴー大学の助成による)。 重み付き多変量回帰を用いて、突然死の発生率の経時的な動向の検討を行った。また、Cox回帰モデルを用いて、各試験の突然死の補正ハザード比(HR)を算出した。突然死の累積発生率は、無作為化後の複数の時点(30、60、90、180日、1、2、3年)で、心不全の診断から無作為化までの期間別(≦3ヵ月、3~6ヵ月、6~12ヵ月、1~2年、2~5年、>5年)に評価した。 1995~2014年に実施された12件の臨床試験の参加者4万195例が、解析の対象となった。突然死は3,583例(8.9%)で発生した。突然死のリスクが19年間で44%低下 ベースラインの全体の平均年齢は65歳で、77%が男性であった。95%がNYHAクラスII/IIIの患者で、駆出率の平均値は28%(試験ごとの平均値の範囲:23~32%)、心不全の原因の62%が虚血性であった。 ACE阻害薬とARBは90%以上の患者が使用していた(ACE阻害薬非使用例を対象とした1試験を除く)。一般的な傾向として、より最近の試験ほど、β遮断薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の使用例が多かった。 突然死を起こした患者は起こさなかった患者と比較して、高齢、男性、低い駆出率、高い心拍数、重い心不全症状、心不全の原因が虚血性、既往歴に心筋梗塞、糖尿病、腎機能障害、といった患者が多かった。また、突然死を起こした患者は、冠動脈血行再建術施行例が少なかった。 突然死の年間発生率は、最初期の試験(1998年に終了)の6.5%から、最近の試験(2014年に終了)の3.3%まで、経時的に低下した(傾向検定:p=0.02)。試験全体の突然死のリスクは、19年間で44%低下した(HR:0.56、95%信頼区間[CI]:0.33~0.93、p=0.03)。 無作為化後90日時の突然死の累積発生率は、最初期の試験が2.4%、最近の試験は1.0%であった。概して、180日時の突然死の累積発生率は90日時の約2倍となり、最近の試験になるほど、同様の傾向を示しつつ発生率が低下した。また、心不全の診断後の経過が短い患者は、長い患者と比較して、突然死の発生率は高くなかった。 駆出率別の解析では、どのサブグループも、試験全体と同様に突然死発生率が低下する傾向がみられ、駆出率が低いサブグループで突然死が多かった。 著者は、「これらの知見は、突然死に対するエビデンスに基づく薬物療法の蓄積されたベネフィットと一致する」としている。

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SNSの2時間/日以上の使用でうつ病リスク増加:名大

 若者の携帯電話使用と思春期の不眠症やうつ病との関連について、名古屋大学の田村 晴香氏らが調査を行った。International journal of environmental research and public health誌2017年6月29日号の報告。SNSの過剰な使用はうつ病の可能性を高める 日本の高校生295例(15~19歳)を対象に、横断調査を行った。不眠症およびうつ病の評価には、それぞれアテネ不眠尺度(AIS)、うつ病自己評価尺度(CES-D)を用いた。 若者の携帯電話使用と思春期の不眠症やうつ病との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・携帯電話の所有率は98.6%、2時間/日以上使用していた割合は58.6%、5時間/日以上使用していた割合は10.5%であった。・5時間/日以上の使用は、より短い睡眠時間と不眠症に関連していたが(OR:3.89、95%CI:1.21~12.49)、うつ病とは関連していなかった。・SNS(OR:3.63、95%CI:1.20~10.98)およびオンラインチャット(OR:3.14、95%CI:1.42~6.95)の2時間/日以上の使用は、それぞれうつ病リスクが高かった。 著者らは「携帯電話の過剰な使用は、不健康な睡眠習慣や不眠症につながる可能性がある。さらに、SNSやオンラインチャットを利用するための過剰な使用は、インターネット検索、ゲーム、動画閲覧のための使用よりも、うつ病の可能性を高める」としている。■関連記事お酒はうつ病リスク増加にも関連大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか?不眠症になりやすい食事の傾向

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ペムブロリズマブの多発性骨髄腫、臨床試験の一部にFDAが実施保留命令

 Merck & Co., Inc.,は2017年7月5日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の多発性骨髄腫に対する3件の臨床試験(KEYNOTE-183試験、KEYNOTE-185試験、KEYNOTE-023試験)において、米国食品医薬品局(FDA)がクリニカル・ホールド(実施保留命令)とした旨を発表した。 この決定は、データ監視委員会によるデータの検討において、KEYNOTE-183試験およびKEYNOTE-185試験で、ペムブロリズマブ群により多くの死亡が認められ、新規患者の登録を保留したことを基に行われている。FDAは現段階のデータで、多発性骨髄腫患者に対するペムブロリズマブとポマリドミドまたはレナリドミドの併用のリスクが潜在的なベネフィットを上回ることが示されていると判断した。KEYNOTE-183試験およびKEYNOTE-185試験の全登録患者、並びにKEYNOTE-023試験におけるペムブロリズマブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用コホートの患者は、ペムブロリズマブの治療を中止する。このクリニカル・ホールドはペムブロリズマブの他の臨床試験への影響はない。以下の臨床試験はクリニカル・ホールド •KEYNOTE-183試験:難治性または再発難治性多発性骨髄腫患者にペムブロリズマブ(MK-3475)とポマリドミド+低用量デキサメタゾンの3剤併用またはポマリドミド+低用量デキサメタゾンの2 剤併用で比較した第3相臨床試験(KEYNOTE-183 試験) • KEYNOTE-185試験:未治療の初発多発性骨髄腫患者にペムブロリズマブ(MK-3475)とレナリドミド+低用量のデキサメタゾンの3剤併用またはレナリドミド+低用量のデキサメタゾンの2剤併用で比較した第3相臨床試験(KEYNOTE -185試験)以下の臨床試験は部分的にクリニカル・ホールド •KEYNOTE-023試験コホート1:多発性骨髄腫患者に対するペムブロリズマブ(MK-3475)のバックボーン治療との併用マルチコホート第I相臨床試験(KEYNOTE-023試験)。KEYNOTE-023試験のコホート1では、多発性骨髄腫に対して免疫調節薬(IMiD)(レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド)の治療を受けたことのある患者に対するペムブロリズマブとレナリドミド+デキサメタゾンの併用を評価している。■参考MERCK(米国本社)プレスリリース

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第5回 どうして査定されるの?【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回は、レセプト審査のプロセスを確認しました。そのプロセスを経て、「審査支払機関」がレセプトをチェックした結果、請求内容に問題があると判断し、医療機関が請求した診療報酬額を減額することを「査定」と呼んでいます。画像を拡大する次に、どのような内容が「査定」となるのかを見ていきましょう。まず、「査定」の理由は以下のA~D、F~H、Kの8つに分類されています。1)診療内容に関するものA:療養担当規則等に照らし、医学的に適応と認められないものB:療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるものC:療養担当規則等に照らし、A・B以外の医学的理由により適当と認められないものD:告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの2)事務上に関するものF:固定点数が誤っているものG:請求点数の集計が誤っているものH:縦計計算が誤っているものK:その他※「療養担当規則」(正式名:保険医療機関及び保険医療養担当規則)とは、保険診療を行う医療機関や医師が守らなければならない基本的な規則を、具体的に定めた厚生労働省令です。次回以降で詳しく見ていきます。2)の4つに関しては、事務手続き上のミスによるものなので、医師に関連するものは「1)診療内容に関するもの(A~D)」の4つとなります。それぞれの内容を詳しく確認していきましょう。A:療養担当規則等に照らし、医学的に適応と認められないもの適切な病名がレセプトに記載されていない場合や、医薬品、診療材料を適応外に使用して認められなかった場合です。B:療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるもの投薬量、検査回数、処置の頻度などが過剰と判断された場合です。C:療養担当規則等に照らし、A・B以外の医学的理由により適当と認められないものA・B以外の理由で不適当と判断された場合です。たとえば、用法用量上は添付文書に記載している範囲内で薬剤を使用していたとしても、レセプト上からそこまでの投与量や日数の必要性が感じられないケースなどが該当します。多くの場合は審査員の判断による査定となるため、A・Bの事由には当てはまらないとされます。D:告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの算定要件で定められている以上の請求をしている場合です。このように査定にもさまざまな事由があります。医師が一生懸命に取り組んだ適切な医療行為の査定を防ぐためにも、適切な病名の記載はもちろん、審査側になぜこのような診療内容になったのかを伝えられるレセプトを作成することが非常に重要です。その補足手段として、「症状詳記」というものがありますが、これはまた次回以降で解説していくことにしたいと思います。

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バイオマーカーが大きな意義を持つ、今後の大腸がん治療

 2017年6月、Lilly Oncology大腸がんメディアセミナーにて、静岡県立静岡がんセンターの山崎健太郎氏が、大腸がんの遺伝子関連検査と治療最前線について、解説した。増える大腸がんバイオマーカーの重要性 1990年代後半から、多くの新規薬剤が臨床導入され、大腸がんの治療は大きく変化した。さらに、分子標的薬の登場が拍車をかけ、世界の大腸がん予後は今では30ヵ月を超える。とはいえ、分子標的治療薬もすべての大腸がん患者に奏効するわけではない。バイオマーカーの探索が重要になっている。大腸がんのバイオマーカーとしては、RAS変異検査が最も普及しており、抗EGFR抗体の効果予測因子として切除不能例に日米欧で推奨されている。それ以外に最近注目されているのが、BRAF V600遺伝子変異とMSI(マイクロサテライト不安定性)である。BRAF V600E変異、MSIと大腸がん BRAF V600E変異は、大腸がんの8%程度に認められ、効果予測因子・予後因子である。同変異を有する患者は化学療法の効果が乏しい。また、予後不良で、同変異を有していると、増悪リスクは34%、死亡リスクは91%増加し、全生存率(OS)は約1年という報告がある。しかし、近年ではBRAF変異例へのFOLFOXIRI+ベバシズマブの4剤併用療法で、増悪リスク、死亡リスク共に4割以上減少するという研究も出てくるなど、治療法の開発も進んでいる。 MSIは、DNA複製時の塩基の不対合であるミスマッチを修復する、MMR(mismatch repair)機能の欠損をみる指標である。マイクロサテライト不安定性が高度(MSI-H)になると、遺伝子の異常が蓄積し、がん化が促進される。MSI-Hは、遺伝性大腸がんであるリンチ症候群の9割に認められるが、大腸がん全体でも一定の割合で存在する。欧米では、12~16%、本邦では6~7%の大腸がんがMSI-Hだといわれている。MSI-Hは遺伝性大腸がんの指標だけではなく、広く大腸がんの予後規定因子でもある。MSI-Hを有する切除可能なStageII大腸がんでは、予後良好である(術後アジュバントを行うと逆に予後が悪化するという報告がある)。一方、切除不能例では、非常に予後が悪いことが明らかになっている。このように、BRAFやMSIといった検査情報を得るだけでも、治療方針は大きく変わる可能性がある。患者への提言にも変化を及ぼす。大腸がんバイオマーカーの臨床応用の実情 大腸がんバイオマーカーの臨床応用は、どういう状況なのだろうか。BRAF検査は、効果予後予測因子・予後因子として、欧米では全大腸がん患者で推奨されている。MSIについても、欧米では大腸がんと診断された患者全員にリンチ症候群のスクリーニング目的として推奨されている。一方、本邦では大腸がんに対するBRAF検査は保険適応になっておらず、MSIについても、遺伝性大腸がんであるリンチ症候群が疑われた場合のみ適応となっている。ドラッグ・ラグも解消され、海外と同様の治療が実施できるようになったものの、バイオマーカーの臨床導入は遅れているのが、本邦の状況である。大腸がんに診療おける遺伝子検査のガイダンスの発刊 このような状況のなか、日本臨床腫瘍学会は「大腸がんに診療おける遺伝子検査のガイダンス(第3版)」を発刊した。このガイダンスではBRAF検査、MMR機能欠損に対するMSI検査について、どのように実施し、治療に反映するのか、基本的要件を明らかにした。具体的には、切除不能・再発大腸がん1次治療前のBRAF検査、切除後のStageII結腸がんへのMSI検査、切除不能・再発大腸がん1次治療前のMSI検査などが盛り込まれている。 大腸がんの治療は、今後、バイオマーカー等で細分化されていくであろう。今回発刊されたガイダンスが、現状とのギャップを埋める一助になれば、と山崎氏は述べる。

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抗精神病薬の長期投与、就労への影響は

 統合失調症患者の就労機能促進に対する抗精神病薬の長期有効性を評価するため、米国・イリノイ大学のMartin Harrow氏らは、初期精神疾患患者139例の縦断的マルチフォローアップ研究を行った。Psychiatry research誌オンライン版2017年6月22日号の報告。 統合失調症患者70例および精神病性気分障害コントロール患者69例を対象に、20年にわたり6回の追跡調査を行った。抗精神病薬を継続的に処方された統合失調症患者の就労機能への影響を、抗精神病薬を処方されていない統合失調症患者と比較した。被験者間の差異は、統計学的コントロールを用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・急性期入院時における統合失調症患者に対する抗精神病薬処方は、多くの患者にとって精神症状の軽減または消失に寄与するが、4年から20年後のフォローアップ期間中、抗精神病薬を処方されていない患者は、有意に良好な就労機能を有していた。・継続的に抗精神病薬を処方された患者は、就労パフォーマンスが低率であり、経時的な改善は認められなかった。・複数の他の要素も就労機能の妨げとなっていた。 著者らは「抗精神病薬を長期間処方されていない患者の中に、比較的良好な機能を有している患者がいることが示唆された。複数の他の要素は、退院後の就労パフォーマンスの低さと関連していた。縦断的データによると、統合失調症に対する抗精神病薬の長期治療に関して疑問を呈する」としている。■関連記事安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか統合失調症患者の性格で予後を予測維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か

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