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白内障手術で、高齢者の交通事故が減少!?

 白内障は、世界的に最も一般的な視力障害の原因であり、重大な交通事故のリスクを増加させる可能性がある。しかし、白内障の手術が、患者による交通事故を減少させるかはわかっていない。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、最初の片眼の白内障手術(ほとんどの患者はすぐにもう片方の眼も施術)を受けた地域住民の患者を対象に、個々においてセルフマッチングクロスオーバー曝露研究を行い、白内障手術が術後患者における重大な交通事故誘発のリスクを、わずかに減少させることを明らかにした。著者は、「このことは死亡率、罹患率および社会的コストに対して潜在的な影響があると考えられる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年6月28日号掲載の報告。 研究グループは、白内障の手術が、患者の運転による重大な交通事故を減少させるかを縦断的に解析した。 研究期間は2006年4月1日~2016年3月31日。カナダ・オンタリオ州に在住で白内障手術を受けた65歳以上の治療継続患者55万9,546例を対象とし、患者自身の運転による交通事故での救急受診について調査した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象55万9,546例は、平均年齢(±SD)76(±6)歳、女性58%(32万6,065例)で、そのうち86%(48万1,847例)が都市部に居住していた。・交通事故は、3.5年のベースライン期間中に計4,680件(2.36件/1,000人年当たり)、その後の1年間で計1,200件(2.14件/1,000人年当たり)が発生していたが、白内障の手術を受けることで1,000人年当たり0.22件の減少が認められた(オッズ比[OR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.84~0.97、p=0.004)。また、この相対的減少には、多様な特徴を有する患者が含まれていた。・患者が同乗者であった場合の交通事故(OR:1.03、95%CI:0.96~1.12)、あるいは歩行者であった場合の交通事故(同:1.02、同:0.88~1.17)や、そのほか関連のない重篤な状況での救急受診など、ほかの転帰については有意な減少はみられなかった。・多変量モデルによると、術後の交通事故リスクがより高いのは、年齢が若い(同:1.27、同:1.13~1.14)、男性(同:1.64、同:1.46~1.85)、交通事故歴がある(ベースラインOR:2.79[95%CI:1.94~4.02]、induction OR:4.26[同:2.01~9.03])、救急受診回数が多い(OR:1.34、95%CI:1.19~1.52)、内科外来受診回数が多い(同:1.17、同:1.01~1.36)といった患者であった。

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南アジア新生児の重症市中感染症、原因と罹患状況/Lancet

 年間50万人以上の新生児が、重症細菌感染症が疑われる病態(possible serious bacterial infections:pSBI)により死亡しているが、その原因はほとんど知られていないという。バングラデシュ・Dhaka Shishu HospitalのSamir K. Saha氏らは、南アジアの新生児における市中感染症の罹患状況を、原因病原体別に調査するコホート研究「ANISA試験」を行い、Lancet誌2018年7月14日号で報告した。南アジア3国で、生後0~59日の新生児を調査 本研究は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成によって行われ、2011~14年の期間に、バングラデシュ、インド、パキスタンの5施設で、地域住民ベースの妊娠調査を通じて新生児が同定された。 コミュニティ・ヘルス・ワーカーが、最多で10回、生後0~59日までの新生児の自宅を訪問した。WHOのpSBIの定義を満たす徴候がみられる新生児と、ランダムに選択された健康な新生児を解析に含めた。 血液培養および血液と呼吸器のサンプルの分子アッセイによる解析で、特異的な感染原因の評価を行った。多くが原因不明、死亡例の原因は細菌が多い、RSウイルスの予防が重要 6万3,114例の新生児が登録された。このうち6,022例にpSBIのエピソードがみられ(95.4例/生児出生1,000人)、2,498例が早発型(<3日)、3,524例は遅発型(3~59日)だった。 エピソードの28%で感染原因が同定され、細菌が16%、ウイルスが12%であった。最も頻度が高かったのはRSウイルス(6.5%[95%確信区間[CrI]:5.8~7.6])で、次いでウレアプラズマspp(2.8%[1.9~3.8])であり、1%超にみられた病原体は肺炎桿菌、大腸菌、エンテロウイルス/ライノウイルス、サルモネラspp、肺炎連鎖球菌、B群連鎖球菌、黄色ブドウ球菌であった。 細菌感染症の平均罹患率は13.2例(95%CrI:11.2~15.6)/生児出生1,000人、ウイルス感染症の平均罹患率は10.1例(9.4~11.6)/生児出生1,000人であった。最も平均罹患率の高い病原体は、RSウイルス(5.39例[4.84~6.31]/生児出生1,000人)で、次いでウレアプラズマspp(2.38例[1.62~3.17]/生児出生1,000人)であった。 全生児出生7万1,361例のうち、3,061例(4%)が生後60日までに死亡し、このうち1,377例(45%)が非登録新生児(7日以内に死亡:1,284例、7日以降に死亡:93例)であり、登録新生児は1,684例(55%)だった。 死亡したpSBIの新生児の46%で原因が同定され、生存新生児の27%に比べ高率であった。死亡したpSBI罹患新生児の92%が細菌感染であり、大腸菌(8.70%[95%CrI:5.23~13.36])とウレアプラズマspp(8.26%[4.10~12.27])の割合が高かった。 これらの結果に基づき、著者は以下のようにまとめている。1)患者の多くで原因が不明であったことから、pSBIのエピソードの多くが感染によるものではない可能性が示唆される。2)死亡した新生児では細菌が原因となる割合が高く、新生児死亡率には、適切な予防措置や管理が実質的に影響を及ぼす可能性がある。3)非定型菌が優勢で、RSウイルスの罹患率が高かったことから、治療および予防のための管理戦略は、変更を要することが示された。4)疾病の負担を考慮すると、RSウイルスの予防が、全体的な保健システムと「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal:SDG)」の達成に大きな効果をもたらすと考えられる。

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熱中症対策は小児と高齢者に注目

 総務省消防庁発表の速報によると熱中症により救急搬送された人は、全国で9,956人にのぼる(2018年7月15日現在)。今後もこの暑さは全国的に続くと予想され、患者数も増加すると思われる。 こうした事態を受け2018年7月20日、日本救急医学会・熱中症に関する委員会は、「熱中症予防に関する緊急提言」を発表した。緊急提言では、次の理由を掲げ小児や高齢者、持病のある人を熱中症にかかり易い『熱中症弱者』と定義している。・小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており体温調節機能が弱い・高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になり易い。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる・小児では身長が低いため、地面からの輻射熱の影響を受けやすい・(小児・高齢者などでは)自分で予防する能力が乏しい そして、日本救急医学会・熱中症に関する委員会では、次の4つの緊急提言を発表した。(1)暑さ指数を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!(2)水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!(3)適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!(4)周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う! また、補足事項として上記の提言の具体的な実施手段を下記のように解説する。WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)暑さ指数(熱中症指数)の認識と活用 WBGTは熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標。この暑さ指数を意識した生活指導が必須であり、これを用いた屋外活動の可否判断が重要。小児の場合はさらに厳格な対応が必要。・WBGTが31℃以上(危険)の場合:運動は原則中止 原則的にはすべての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。また、屋内であっても空調の無い部屋での活動は避ける。・WBGTが28~31℃(厳重警戒)の場合:激しい運動は中止 原則すべての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。また、屋内であっても空調の無い部屋での活動は避ける。運動競技会などでやむを得ない場合は、適切な医療機関の指導を受け、十分な準備のもと競技実施を検討する。その際も頻繁な水分・塩分補給と休憩を義務化する。・WBGTが21~25℃(注意)、25~28℃(警戒)の場合 頻繁な水分・塩分補給と休憩を行った上で、屋外活動を実施するべきである。体調のチェック:おかしいなと思ったらすぐアクションを! 少しぼーっとしたり、息が荒く呼吸回数が多い、脈が速いなどの兆候を認めた場合には注意が必要。とくに低学年児童では自分の体調をうまく言葉に表わせない点に注意が必要。「足がつった」と訴える筋痙攣や集中力や運動能力の低下を、単純に疲労や弛みと判断するのは危険であり、熱中症の初期症状を見逃さないこと。また、「顔の紅潮」は体温上昇を示唆する所見であり、「大量の発汗」も体温上昇を示唆し、逆にまったく発汗を認めない状態も体温低下という重要な機能が働いていない証拠であり注意が必要となる。基本的に集団活動を行った際には、最も体力的に厳しい状態に陥った児童を基準にその後の方針を決定することも大事。同様の体調不良が示唆されれば、可及的速やかにその屋外活動や授業における運動を中止すべき。適切な重症度判断と応急処置を。改善がなければすぐ医療機関へ! 熱中症を疑った場合、まず涼しい場所で休憩させる。その際は、必ず付き添いの者をつける。周囲の見守りも非常に重要。患者の意識がない場合、水分を自力で摂取できない場合、そして水分を自力で摂取しても十分に体調が回復しない場合は救急搬送を要請。 大切なことはまず、熱中症だと考え、休憩をさせ、必要な場合は躊躇なく救急搬送を要請し、医療機関へ搬送するように示している。応急処置で十分に体調が回復しても、熱中症再発の可能性が極めて高く、屋外活動には復帰させず、涼しい場所での経過観察や帰宅後の体調変化にも注意するなど、小児ついては保護者とコミュニケーションを密に行うようにと提言を行っている。

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エキストラヴァージンオリーブオイルまたはナッツ強化地中海食の順守は心血管病ハイリスクを有するも未発症のコホートにおけるイベント抑制に有用!(解説:島田俊夫氏)-889

 地中海食はこれまで広く心血管病リスクを抑制する食事として受け止められてきた。本論文はスペイン国内多施設による心血管病ハイリスクで心血管病未発症、年齢55〜80歳、7,447名(女性57%)のコホートを対象にカロリー制限のない(1)エキストラヴァージンオリーブオイル強化地中海食群、(2)ミックスナッツ強化地中海食群、(3)低脂肪コントロール食群の3群にランダムに割り付け、約5年間追跡した。ところが無作為割り付け後、一部の世帯で割り付け逸脱が発生した。この事実の判明以前に、採択・掲載済み論文1)は解析に不備があると判断し、疑いを含めた1,558名を除外して新たに行った解析結果は以前の結果と一致を認めたけれども、掲載済み論文は自主的に掲載を撤回した。 新たに行われた統計解析においては、傾向分析を使用し主共変量のバランスを3群間で評価した結果バランスが担保されていることが確認できたが、傾向分析の結果を基にintention-to-treat解析を実施した。対照群に対するハザード比は地中海食+エキストラヴァージンオリーブオイル群、地中海食+ミックスナッツ群ではそれぞれ0.69(95%信頼区間0.53~0.91)、0.72(95%信頼区間0.54~0.95)と対照群に対して有意に低値を示した。今回の解析結果も初回解析の結果と一致した。 今回の解析では1次エンドポイントに関して、全体で288名にイベントが発生した。イベント発生率は地中海食(1)群で3.8%、(2)群で3.4%と、コントロール群の4.4%と比較すると両地中海食群で有意にイベントの発生が低かった。 今回の再解析の結果は、地中海食(1)群および(2)群でコントロール群に比べ、1次エンドポイントである主心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管系の原因による死亡)の発生が有意に抑制されることが明らかになった。地中海食(1)(2)の両群でいずれでもコントロール群に比べ、主イベントの発生が有意に抑制された。強化地中海食2群相互間には概して有意差は認めなかった。本論文に対する筆者コメント 問題はカロリー制限を設けなかったことおよび地中海地域内での比較のため地中海食の食習慣が広く浸透している地域でもあり、コントロール群に地中海食の影響が色濃く反映されている可能性が濃厚で、コントロール群としてふさわしかったか否かに疑問が残るところである。これを踏まえて、この結果をただちに一般化することには慎重でなければならないと考える。 それゆえに、エキストラヴァージンオリーブオイルあるいはミックスナッツ強化食が、地中海食の心血管疾患予防効果を強化する可能性を単に示した結果と受け止めれば、解釈のうえで問題はない。言い換えれば、ナッツやエキストラヴァージンオリーブオイルの食事への強化または補充は、心血管病の発症抑制を強化する補助手段となりうる可能性を示している。

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統合失調症の攻撃性管理のための抗精神病薬持効性注射剤の使用に関する臨床的概要

 攻撃的な行動の管理は、統合失調症治療において課題であり、洞察力の低さ、精神症状の再燃、物質使用障害や人格障害との併存などの疾患重症度の臨床的予測因子と関連付けられることが少なくない。統合失調症の再発とそれに伴う攻撃的な行動のリスクは、しばしばコンプライアンス不良が原因である。イタリア・ミラノ大学のMassimiliano Buoli氏らは、統合失調症患者の攻撃性管理のための抗精神病薬持効性注射剤の使用に関する臨床的概要について報告した。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2018年6月26日号の報告。 主要なデータベースを検索して、本検討に関連する文献を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症の攻撃的な行動に対する抗精神病薬持効性注射剤の有効性を調査した研究はわずかしかなく、そのほとんどがサンプルサイズの小さい後ろ向き研究であった。・統合失調症患者の攻撃的な行動の管理に対し、アリピプラゾール持効性注射剤は、有用であると考えられる。しかし、長期的なデータは存在しないことが、推奨を妨げる要因となっている。・特定の抗精神病薬持効性注射剤が、統合失調症の攻撃的な行動に対して有効であることを結論付ける十分な証拠は認められなかった。 著者らは「抗精神病薬の持効性注射剤と経口剤について、統合失調症の暴力行為の予防に対する臨床的な利点を評価するためには、今後の比較研究(たとえば、経口クロザピンおよびアリピプラゾール持効性注射剤)が必要である」としている。■関連記事急性期統合失調症に対するアリピプラゾール持効性注射剤の効果を解析アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大

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anamorelin、日本人消化器がんの悪液質にも効果(ONO-7643-05)/日本臨床腫瘍学会

 がん悪液質は、進行がんの約70%に認められ、とくに進行消化器がんでは多くみられる。予後不良でQOLを低下させるが、現在有効な治療法はない。anamorelinは選択的グレリン受容体作動薬であり、肺がん悪液質における無作為化二重盲検比較試験(ONO-7643-04)で有効性が認められている。神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会では、消化器がんにおける悪液質に対するanamorelinの有効性と安全性を評価する多施設非無作為化オープンラベル試験ONO-7643-05の結果について杏林大学 古瀬 純司氏が発表した。・対象患者:大腸、胃、膵臓の進行がんで、6ヵ月以内に5%以上の体重減少が認められ、食欲不振を示す患者。PSは0~2(すい臓がんは0~1)・anamorelin 1mg/日を12週間投与し4週間観察・主要評価項目はDEXA評価による除脂肪体重(LBM)、LMBが維持された割合・副次評価項目は、食欲、体重、脂肪量、QOL、バイオマーカー(プレアルブミン、IGF-1、IGFBP-3)、安全性 患者の年齢中央値は66.5歳、体重中央値49.2kg、BMI中央値18.95。内訳は、大腸がん40例、胃がん5例、膵がん5例であった。 主な結果は以下のとおり。・除脂肪体重の奏効率は63.3%であった。95 %CIの下減も当初の閾値を超えており、主要評価項目を達成した。なお、膵がんは全例増加した・増加した除脂肪体重および体重は時間が経っても維持された・12週での除脂肪体重の増加は1.89kgであった・食欲関連QOL(食欲はあったか、食事をおいしいと思ったか、やせたか)についてはいずれも改善がみられた・全Gradeの有害事象は42.9%に認められたが、Grade3以上は10.2%(5例)、Grade3で頻度が高いものは糖尿病6.2%(3例)であった anamorelinは肺がんと同様、消化器がん悪液質患者の除脂肪体重、体重を有意に増加させ、食欲関連QOLも改善させた。また、忍容性も良好であり、消化器がんにおいても、がん悪液質を有する患者の有効な治療オプションとなる可能性を示した。■参考ONO-7643-04試験(Cancer.2018;124:606-616.)■関連記事日本人肺がんの悪液質に対するanamorelin二重盲検試験の結果(ONO-7643-04)期待のがん悪液質治療薬ONO-7643、第II相試験の結果は?

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心房細動の遠隔モニタリング検診は有効か/JAMA

 心房細動(AF)検出のための自己装着型のウエアラブル心電図(ECG)パッチを用いた遠隔モニタリングの効果と、そのような任意型検診(opportunistic screening)に類する検出戦略(積極的モニタリング)と臨床的帰結との関連を調べる検討が、米国・Scripps Translational Science InstituteのSteven R. Steinhubl氏らにより行われた。その結果、AF高リスクの高齢者におけるAF診断率は、試験登録後即時に開始した即時モニタリング群が、4ヵ月遅れて実施したdelayedモニタリング群と比べて高率であった。また、1年時点の評価で両モニタリング群を統合した積極的モニタリング群のほうが、非モニタリング群と比べてAF診断率は高く、抗凝固薬治療を開始した割合も高かった。医療サービスの利用率も高かったという。JAMA誌2018年7月10日号掲載の報告。無作為化臨床試験と前向き適合観察試験で、AF検出および治療開始を評価 本検討は、デジタル環境を活用した被験者直接参加型の無作為化臨床試験と前向き適合観察試験にて、全米規模の医療保険組織(Aetna Fully Insured Commercial、Medicare Advantage)加入者を対象に行われた。被験者登録は2015年11月17日に開始し、2016年10月4日に終了。1年間の保険請求ベースの追跡調査を2018年1月に行った。 臨床試験には2,659例が参加し、自宅にて自己モニタリングを、試験登録後即時(2週間以内)に開始する即時モニタリング群(1,364例)または4ヵ月後に開始するdelayedモニタリング群(1,291例)に無作為に割り付けられた。モニタリングは、自宅にて日常活動の間、自己装着型のウエアラブルECGモニタリングパッチを用いて最長4週間行われた。 観察試験では、無作為化試験のモニタリング実施者(割り付け群は問わず)1人につき2人の割合で、年齢、性別、CHA2DS2-VAScスコアで適合した対照を選出して行われた。 主要エンドポイントは、無作為化を受けた被験者における、即時モニタリング群とdelayedモニタリング群を比較した4ヵ月時点の新規AF診断率。副次エンドポイントは、両モニタリング統合(積極的モニタリング群)と適合観察対照(非モニタリング群)を比較した1年時点の新規AF診断率であった。また、その他のアウトカムとして、1年時点の抗凝固薬の新規処方率、医療サービス利用(循環器部門の外来受診、プライマリケア受診、AFに関連した救急部門受診および入院)などが評価された。早期診断、適切治療の開始に結びつくことが示唆 無作為化を受けた2,659例は、平均年齢72.4歳(SD7.3)、女性が38.6%で、割り付けられたモニタリングを完了したのは1,738例(65.4%)であった。観察試験の被験者総数は5,214例(無作為化試験群1,738例、適合対照3,476例)で、平均年齢73.7歳(SD7.0)、女性が40.5%、CHA2DS2-VAScスコア中央値3.0であった。 無作為化試験において、新規AFは4ヵ月時点で、即時モニタリング群3.9%(53/1,366例)、delayedモニタリング群0.9%(12/1,293例)であった(絶対差:3.0%、95%信頼区間[CI]:1.8~4.1)。 1年時点で、AFの新規診断例は積極的モニタリング群109例(6.7/100人年)、非モニタリング群81例(2.6/100人年)であった(絶対差:4.1、95%CI:3.9~4.2)。 積極的モニタリングは、抗凝固薬の開始増(5.7 vs.3.7例/100人年、差:2.0[95%CI:1.9~2.2])、循環器科の外来受診(33.5 vs.26.0例/100人年、差:7.5[7.2~7.9])、プライマリケア受診増(83.5 vs.82.6例/100人年、差:0.9[0.4~1.5])と関連していた。AFに関連した救急部門受診および入院について差はなかった(1.3 vs.1.4例/100人年、差:0.1[-0.1~0])。

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出生前生化学的検査、母親の心血管リスクを識別か/BMJ

 世界中で多くの女性が、トリソミーおよび先天異常に関して、出生前の生化学的スクリーニングを受けている。カナダ・トロント大学のJoel G. Ray氏らは、出生前の生化学的スクリーニングで異常な結果を認めた女性は、心血管疾患のリスクが高い可能性があることを示した。出生前の生化学的スクリーニングの異常値は、妊娠高血圧腎症の高リスクと関連し、妊娠高血圧腎症は心血管疾患と関連するが、出生前の生化学的スクリーニングと母親の心血管疾患やそのサブタイプのリスクについて検証した試験は、これまでなかったという。BMJ誌2018年7月11日号掲載の報告。オンタリオ州の85万5,536件の妊娠のコホート研究 本研究は、カナダ・オンタリオ州で行われた地域住民ベースのコホート研究である(カナダInstitute for Clinical Evaluative Sciences[ICES]などの助成による)。 データの収集には、Ontario Maternal Multiple Marker Screening Databaseが用いられた。対象は、年齢12~55歳、心血管疾患がみられず、1993~2011年の期間に、妊娠の転帰にかかわらず妊娠11~20週に出生前スクリーニングを受けた女性とし、1人の女性につき1回の妊娠をランダムに選択した。 出生前の生化学的スクリーニングとして、α-フェトプロテイン(AFP)、非抱合型エストリオール(uE3)、総ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、妊娠関連血漿タンパク質A(PAPP-A)、二量体インヒビンA(DIA)の測定値を解析した。 主要アウトカムは、妊娠から365日以降の冠動脈、脳血管、末梢動脈の疾患による入院または血行再建、および心不全、不整脈による入院の複合とした。 85万5,536件の妊娠が解析の対象となった。妊婦の平均年齢は29.9歳(SD 5.3)であり、35~39歳16.8%、40~44歳2.7%、45~55歳0.1%が含まれた。DIA異常高値で心血管イベントのリスクが2倍に 追跡期間中央値11.4年(IQR:6.8~17.5)の間に、6,209例の女性が主要な心血管疾患アウトカムを発症した。 5つの測定項目の異常値は、いずれも高い心血管疾患リスクと関連し、とくにDIAは関連の程度が強かった。心血管イベントの発症率は、DIAの測定値が異常高値(≧95パーセンタイル)の女性で最も高く、1万人年当たり8.3件(30イベント)であったのに対し、測定値が<95パーセンタイルの女性では1万人年当たり3.8件(251イベント)であり、多変量で補正したハザード比(HR)は2.0(95%信頼区間[CI]:1.4~3.0)であった。AFP異常高値の補正HRは1.2(1.1~1.3)、hCG異常低値の補正HRは1.2(1.1~1.4)、uE3異常低値の補正HRは1.3(1.2~1.4)、PAPP-A異常低値のHRは1.3(1.1~1.7)だった。 また、測定項目が異常値を示した女性は、副次アウトカムである妊娠から365日以降の主要有害心血管イベント(全死因死亡、心筋梗塞/脳卒中による入院)の頻度も高かった(AFP異常高値の補正HR:1.3[95%CI:1.2~1.4]、hCG異常低値の補正HR:1.2[1.0~1.3]、uE3異常低値の補正HR:1.3[1.2~1.4]、DIA異常高値の補正HR:1.9[1.3~2.6]、PAPP-A異常低値のHR:1.6[1.3~1.9])。 測定値に異常のない女性に比べ、1項目で異常値を認めた女性では、心血管疾患の複合アウトカムのHRが1.2~1.3倍高く、2つ以上の項目が異常値を示した女性では、HRが1.5~2.0倍高かった。 著者は、「これらの知見が他の地域でも再現されれば、早期心血管疾患(premature cardiovascular disease)のリスクが高い女性の識別に役立ち、これらの女性や医療提供者に伝達することができる膨大な量のデータが存在することになる」と指摘している。

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ワニ外傷による死亡例11例の検討【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第119回

ワニ外傷による死亡例11例の検討 いらすとやより使用 私が子供の頃、ゲームセンターでは『ワニワニパニック』が大流行していました。そのため、クラスでは『ワニワニパニック』の「イデッ!」という声のモノマネをする男子が多発。今日は、そんなワニワニパニックな医学論文を紹介しましょう。 Sinton TJ, et al.Pathological Features of Fatal Crocodile Attacks in Northern Australia, 2005-2014.J Forensic Sci. 2016;61:1553-1555.オーストラリアのアデレード大学の法医学部からの報告です。2005~14年までの約10年で剖検した、ワニ外傷による死亡例11例を検討したマニアックな医学論文です。ワニ外傷で亡くなるって、日本ではまず考えられない現象ですが、野生地が広がる国の救急外来では時折経験するそうで。ワニ外傷によって死亡した11人のうち、男性が8人、女性が3人でした。年齢は10~62歳と幅広く、平均29.4歳でした。11人のうち4人が10~12歳の子供でした。11人のうち7人(64%)が先住民の死亡例だったそうです。実際にワニに攻撃された瞬間を目撃されていたのは死亡した11人のうち8人で、5人は河川を泳いでいる時にワニに襲われたそうです。剖検をしてみると、外傷パターンは、頭蓋骨もろとも頭を咬み砕かれた人、胴体をバキバキに咬まれた人、手足を失った人…など、さまざまでした。1人は、首から上がなくなっていたそうです。あまりにも損傷がひどく、剖検が困難だったと書かれています。実際ワニに襲われた場合、アメリカの報告では4.2%が死亡しています1)。もし、ワニに襲われそうになったら逃げてください。ワニの陸上での速度は速くても時速18kmです。また、ワニは長距離を追いかけてきません。頑張れば逃げ切れるはずなので、ワニが追いかけてきてもワニワニパニックにならないようにしてください。水中で襲われたら、まずは目つぶしが有効とされていますので、死ぬ気で目を狙ってください。1)Langley RL. Wilderness Environ Med. 2010;21:156-163.

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心房細動患者の心筋梗塞リスク、DOAC vs. ビタミンK拮抗薬【Dr.河田pick up】

 長い間、心房細動患者の血栓塞栓症予防にはビタミンK拮抗薬が使用されてきた。直接経口抗凝固薬(DOAC)が、ビタミンK拮抗薬に有効性および安全性で劣らないことからDOACの使用が増えてきているが、DOACとビタミンK拮抗薬のどちらがより心筋梗塞の予防に有効かについてのエビデンスは一致しておらず、結論が出ていない。この研究はアピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバンそしてビタミンK拮抗薬を服用中の心房細動患者における、心筋梗塞リスクを調べることを目的に実施された。Journal of American College of Cardiology誌2018年7月3日号掲載の、デンマークのグループが発表した後ろ向き観察研究の結果より。デンマークのレジストリより3万1,739例の心房細動患者を抽出 心房細動の患者はデンマークヘルスケアレジストリを用いて同定され、最初に処方された抗凝固薬によって層別化された。標準化された1年間の絶対リスクとして、心筋梗塞による入院と死亡に対するハザード比がCox回帰分析を用いて求められた。経口抗凝固薬に対する絶対リスクは別々に報告され、患者の特徴に応じて標準化された。2013~16年の間に心房細動と診断され、抗凝固薬未使用の患者3万4,755例のうち、弁膜症による心房細動患者、30歳未満もしくは100歳を超える患者、および慢性腎不全の患者が除かれた。DOACはビタミンK拮抗薬よりも心筋梗塞リスクが低い 試験に組み入れられた3万1,739例(平均年齢:74歳、47%が女性)のうち、標準化された1年間の心筋梗塞リスクは、ビタミンK拮抗薬1.6%(95%信頼区間[CI]:1.3~1.8)、アピキサバン1.2%(95%CI:0.9~1.4)、ダビガトラン1.2%(95%CI:1.0~1.5)、そしてリバーロキサバン1.1%(95%CI:0.8~1.3)であった。DOACの種類で標準化された1年間の心筋梗塞リスクに有意な差は認められなかった〔ダビガトラン vs.アピキサバン(0.04%、95%CI:-0.3~0.4%)、リバーロキサバンvs.アピキサバン(0.1%、95%CI:-0.4~0.3%)、リバーロキサバン vs.ダビガトラン(-0.1%、95%CI:-0.5~0.2)〕。DOACとビタミンK拮抗薬の間ではいずれも有意な差が認められた〔ビタミンK拮抗薬 vs.アピキサバン-0.4% (95%CI:-0.7~-0.1)、 vs.ダビガトラン-0.4% (95%CI:-0.7~-0.03)、vs.リバーロキサバン-0.5% (95%CI:-0.8~-0.2)〕。 筆者らはDOACの種類では心筋梗塞リスクに違いはみられなかったが、ビタミンK拮抗薬と比べると、どのDOACも心筋梗塞のリスクが低かったと結論付けている。しかしながら、後ろ向き観察研究のため、なぜ医師がDOACでなくビタミンK拮抗薬を選んだかなどはわからず、交絡因子が隠されている可能性もあり、さらなる研究が必要と考えられる。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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アルコール依存症に対するバクロフェン治療に関するメタ解析

 アルコール依存症(AD:alcohol dependence)治療に対するバクロフェンの有効性(とくに用量の効果)に関して、現在のエビデンスのシステマティックレビューは不十分である。オランダ・アムステルダム大学のMimi Pierce氏らは、現在利用可能なランダム化プラセボ対照試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年6月19日号の報告。 AD患者に対するバクロフェンとプラセボを比較した、2017年9月までのRCT文献をシステマティックに検索した。バクロフェン治療効果、バクロフェン用量緩和効果(低用量[30~60mg]vs.高用量[60mg超])、治療前のアルコール消費量について検討を行った。経過時間(TTL)、禁断日数の割合(PDA)、エンドポイントで禁断となった患者の割合(PAE)の3つを治療アウトカムとした。 主な結果は以下のとおり。・39レコードから13件のRCTが抽出された。・バクロフェン群は、プラセボ群と比較し、TTLの有意な増加(8 RCT、852例、SMD:0.42、95%CI:0.19~0.64)、PAEの有意な増加(8 RCT、1,244例、OR:1.93、95%CI:1.17~3.17)、PDAの有意でない増加(7 RCT、457例、SMD:0.21、95%CI:-0.24~0.66)が認められた。・全体として、低用量で実施された研究は、高用量で実施された研究よりも、より良い有効性を示した。・また、高用量での忍容性は低かったが、重篤な有害事象はまれであった。・メタ回帰分析では、治療前の日々のアルコール消費量がより多い場合、バクロフェンの効果がより強いことが示唆された。 著者らは「バクロフェンは、AD治療、とくに大量飲酒者の治療に有効であると考えられる。高用量治療は、低用量治療よりも忍容性が低く、必ずしも優れているとは言えない」としている。■関連記事アルコール依存症治療に期待される抗てんかん薬アルコール使用障害患者の認知症発症予防のためのチアミン療法不眠症とアルコール依存との関連

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抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ高リスク患者にも良好な成績(CAPSTONE-2)/シオノギ

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象としたバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の第III相臨床試験(CAPSTONE-2)において、主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)がプラセボに対する優越性を示し、本試験の主要目的を達成したと発表。また、主要副次評価項目である抗ウイルス効果(ウイルス排出期間の短縮や体内ウイルス量の減少効果など)においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示した。さらに、インフルエンザ関連合併症の発現率をプラセボに対して有意に低下させた。一方,本試験での本薬の忍容性は良好であり、安全性について懸念は示されなかった。本試験の詳細な結果は、今後学会にて発表する予定。 バロキサビル マルボキシルは、新しい作用機序であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用を有し、これによりインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。すでに実施した、重症化および合併症のリスク要因をもたないインフルエンザ患者を対象とした第III相臨床試験(CAPSTONE-1)においても、インフルエンザ罹病期間がプラセボに対して有意に短縮し、ウイルス排出期間および体内ウイルス量などの抗ウイルス効果においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示している。 同薬は、2018年2月23日に日本国内で製造販売承認を取得し、成人および小児におけるA型およびB型インフルエンザウイルス感染症を対象に販売されている。米国では、2018年4月24 日に、12歳以上の急性の合併症のないインフルエンザウイルス感染症を適応症として、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請を行い、受理されている。■関連記事新規抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」発売

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アロマターゼ阻害薬関連関節痛、鍼治療で軽減か?/JAMA

 アロマターゼ阻害薬関連関節痛を有する閉経後早期乳がん患者において、鍼治療は、偽治療または待機リスト入りとした対照(waitlist control)と比較して、6週時の関節痛を有意に改善した。ただし、観察された改善が臨床的に意義のあるものかは確実ではないという。米国・コロンビア大学医療センターのDawn L. Hershman氏らが、アロマターゼ阻害薬関連関節痛に対する鍼治療の有効性を検証した無作為化試験の結果を報告した。筋骨格系症状は、アロマターゼ阻害薬の有害事象で最も多く、治療中断に至ることが少なくない。これまで複数の小規模研究で、鍼治療がアロマターゼ阻害薬関連関節症状を改善する可能性があることが示唆されていたが、いずれも単一施設で実施され症例数が少なく盲検化されていなかった。JAMA誌2018年7月10日号掲載の報告。米国の11施設で約230例を対象に鍼治療、偽治療、無治療の3群を比較 研究グループは2012年3月~2017年2月に、米国の大学病院および臨床病院11施設で、閉経後早期乳がんと診断されアロマターゼ阻害薬を内服中で、簡易疼痛調査票(Brief Pain Inventory Worst Pain[BPI-WP]:0~10点、点数が高いほど疼痛が強い)で3点以上の疼痛を有する患者226例を登録し、鍼治療群(110例)、偽治療群(59例)および待機リスト対照群(57例)に、無作為に2対1対1の割合で割り付けた(待機リスト対照群は盲検化されていない)。 鍼治療群および偽治療群では、最初の6週間は週2回計12回、次の6週間は週1回、鍼治療または偽治療を行った。待機リスト対照群では、無作為化後24週間は介入しなかった。24週時に全例に対し、52週目の診察までに使用できる鍼治療10回分の無料券を提供した。最終追跡期間は2017年9月5日。 主要評価項目は6週時のBPI-WPスコアで、線形回帰を用いてベースラインでの疼痛と層別因子で補正し両群を比較した。疼痛スコアは鍼治療群で有意に減少するも、他群と臨床的に意義のある差はなし 226例の患者背景は、平均年齢60.7歳(SD 8.6)、白人が88%、ベースラインのBPI-WPスコアは6.6点(SD 1.5)で、206例(91.1%)が試験を完遂した。 6週時の平均BPI-WPスコアは、鍼治療群で2.05点、偽治療群で1.07点、待機リスト対照群で0.99点減少した。補正後群間差は、鍼治療群と偽治療群で0.92点(95%信頼区間[CI]:0.20~1.65、p=0.01)、鍼治療群と待機リスト対照群で0.96点(95%CI:0.24~1.67、p=0.01)であり、いずれも鍼治療群の有意な減少が認められた。ただし、いずれも規定された臨床的に意義のある差(偽治療群および待機リスト対照群との群間差2点[SD 3.0])には達しなかった。また、事後解析の結果、臨床的に意義のある疼痛の改善(BPI-WPスコア2点以上減少)について6週時に同スコアを達成していた患者の割合は、鍼治療群58%、偽治療群33%、待機リスト対照群31%であった。 安全性については、鍼治療群で偽治療群と比較し、Grade1の内出血が多かった(47% vs.25%、p=0.01)。※記事の文言を一部修正いたしました。(2018年7月23日)

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軽症急性脳卒中、アルテプラーゼ vs.アスピリン/JAMA

 後遺障害を伴わない軽症の急性虚血性脳卒中患者において、アルテプラーゼはアスピリンと比較し、90日後の機能予後良好とはならない可能性が明らかにされた。米国・シンシナティ大学のPooja Khatri氏らが「PRISMS試験(Potential of rtPA for Ischemic Strokes With Mild Symptoms trial)」の結果を報告した。ただし著者は、「本試験は非常に早期に終了となっているため、決定的な結論を下すことはできず、追加研究が必要である」とまとめている。急性虚血性脳卒中患者の半数以上は、軽度の神経障害(National Institutes of Health Stroke Scale[NIHSS]スコア0~5点)を有している。アルテプラーゼに関するこれまでの主な臨床試験では、NIHSSスコアが低い患者を組み入れてはいたが、明らかな機能障害がない患者はほとんど登録されていなかった。JAMA誌2018年7月10日号掲載の報告。明らかな機能障害がない急性脳卒中患者で、アルテプラーゼvs.アスピリン PRISMS試験は、神経障害が軽度(NIHSSスコア0~5点)の脳卒中に対するアルテプラーゼの有効性および安全性をアスピリンと比較する、第IIIb相無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験で、米国75施設の脳卒中病院ネットワークにおいて実施された。対象は、NIHSSスコア0~5点で明らかな機能障害はないと判断され、発症後3時間以内に治験薬による治療が可能な急性虚血性脳卒中患者で、アルテプラーゼ群(アルテプラーゼ0.9mg/kg静脈投与+プラセボ経口投与)とアスピリン群(プラセボ静脈投与+アスピリン325mg経口投与)に無作為に割り付けられた。 解析計画では948例を目標として2014年5月30日に登録を開始したが、目標を下回り予定期間内に与えられた資金での実施が困難となったことから、2016年12月20日に登録は中止された。最終追跡日は2017年3月22日である。 主要評価項目は、当初は機能予後良好(90日時点の修正Rankinスケールのスコア0~1)の両群差とし、治療前NIHSSスコア、年齢、発症から治療までの時間で層別化してCochran-Mantel-Haenszel検定で解析する予定であったが、盲検解除または中間解析の前に試験が早期終了となったため解析計画は変更され、線形モデルを用いて同じ要因で調整した主要評価項目のリスク差とした。主要安全性評価項目は、治験薬静脈投与後36時間以内の症候性頭蓋内出血(sICH)であった。90日後の機能予後良好は、アルテプラーゼ群78.2% vs. アスピリン群81.5% 53施設から313例(アルテプラーゼ群156例、アスピリン群157例)が登録された。患者背景は、平均年齢62歳(SD 13)、女性144例(46%)、NIHSSスコア中央値2(四分位範囲[IQR]:1~3)、治療までの時間の中央値は2.7時間(IQR:2.1~2.9)であった。313例中281例(89.8%)が試験を完遂した。 90日時点の機能予後良好は、アルテプラーゼ群122例(78.2%)、アスピリン群128例(81.5%)で、補正リスク差は-1.1%(95%CI:-9.4~7.3%)であった。また、sICHの発現はアルテプラーゼ群5例(3.2%)、アスピリン群0(ゼロ)例であった(リスク差:3.3%、95%CI:0.8~7.4%)。

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内科も外科も、今、左心耳がアツイ(解説:今中和人氏)-888

 本論文は、開心術のついでに左心耳を閉鎖すれば、後日の心原性塞栓が予防できて予後が改善する、という仮説を検証している。2009年からの約8年間に、全米のprivateないしMedicare被保険者7万5,782人が冠動脈バイパスか弁膜症手術を受け、その際5.8%(4,374人)が左心耳閉鎖術(LAAO)も受けた。このうち4,295人と、LAAOしなかった同数の患者とをマッチさせて、平均フォロー2.1年で比較した。LAAO群の患者分布に合わせているため、両群とも3/4にAFの既往があり、年齢68歳、単独バイパスが1,200例(オフポンプ900例)、弁手術が2,300例、バイパス+弁手術が750例程度であった。 結果は、1次エンドポイントである遠隔期の塞栓症と総死亡はLAAO群で有意に抑えられ、その差は経時的に拡大した。左房内血栓の9割は左心耳由来とされているから、ここだけ見ると素直に納得しそうになるのだが、2次エンドポイントである新規AF、遠隔期のAF関連の受診と入院は、逆に非LAAO群で有意に少ないという結果で一気に混乱し始める。 あれっ? AFが少ない群に血栓症が多発するなんて、おかしくないか? 実はAF既往の有無でサブグループ解析をすると、AF既往ありの患者ではLAAOは血栓症・総死亡ともHR0.7未満の強い抑制効果を示したが、AFの既往がない患者ではHR0.9以上で無効だった。しかしAF既往ありの患者が3/4を占めるので、全体ではLAAOは血栓症と総死亡を有意に抑制していた。一方、AF既往がある患者ではLAAOによる遠隔期のAFの増加はHR1.1程度とわずかだったが、1/4にあたるAF既往なしの患者でHR1.4以上の大幅増だったため、全体ではLAAO群で術後AFが有意に多くなった。 つまりLAAOはAFの既往がある患者にはとても有益だが、それ以外の患者にはやや有害、という結果だったのだが、AFの既往、弁膜症手術(とくに僧帽弁)、抗凝固療法が高率なLAAO群の患者構成をそのまま適用したため、「AFが少ない群に血栓症が多い」という不思議な、そしてmisleadingな結論が誕生した。もちろん、AFの既往がある心臓手術患者は3/4どころか少数派である。 さらにAFの「既往」という表現もひっかかる。既往と聞くと、手術時点ではAFでなかったかのような印象を受けるが、それでは新規AFが有意に少ない非LAAO群の血栓症がグングン増えたのが説明困難で、既往と言っても多くは手術時点で慢性AFかそれに準じる状態だったのだろう。実際、除細動歴も抗凝固療法もLAAO群に完璧にマッチされているし、本文には“prior”とか“history”と書かれているが、表では“AF at baseline”となっている。すなわち、心臓手術時点でAFか、頻繁にAFになる患者にはLAAOを積極的に施行し、そうでない患者では手を出さないのがよろしい、ということであろう。 なお本論文が一括しているLAAOであるが、閉鎖方法の議論が最近ホットで、単なるタバコ縫合ではかなりリークが多いが、2層に縫合しても遠隔期に3割程度が漏れるとの報告がある。一方、とくに左房壁の菲薄な症例での切除・縫合に伴う出血は、生命に関わるリスクであり、自動縫合器や外側からの閉鎖デバイスは本邦では保険適用とコストの問題のほか、正しく左心耳の基部を処置できるか、という本質的問題もある。Watchmanデバイスも登場し、AFと左心耳については、内科医も外科医も当分、目が離せない。

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循環器内科 米国臨床留学記 第29回

最終回 臨床留学を通して感じた、日本人の仕事に対する倫理観研修医と専門医研修の両方を日米で行うというのは稀ですが、それを行った私の経験から、日本と米国の研修システムを比較してみたいと思います。主観的な意見もありますので、ご了承ください。以前は、米国の教育システムが日本の教育システムよりも体系的で、米国で臨床を経験することで、卒後教育がどういったものであるべきかを学ぶ、という点だけでもかなり意味があったのではないでしょうか。米国を参考に日本のレジデンシー、フェローシップ教育が作られているのは間違いないと思いますが、その点において米国帰りの先生たちによる日本の医学教育への寄与は大きかったと思われます。優れた研修プログラムは日本にも米国にもある日本で臨床研修が義務化された2004年頃から、日本の教育システムもかなり変わってきました。批判もありますが、統一された基準の下での研修という意味では、進歩があったと思います。インターネットが普及して、日米を問わず、Evidence Based Medicine(EBM)が当たり前となっています。指導医がUpToDateなどを使ってきた世代になりつつありますし、場所を問わず、EBMを実践することは可能です。日本でも、評価が高く、また臨床研修に力を入れているような病院では、米国と遜色ない臨床のトレーニングを受けられると思います。ここで“評価が高い”と限定したのには理由があります。日本では研修医の数よりも研修プログラムの募集定員数の方が多いため、指導医の数や指導内容が伴っていない研修プログラム(指導医が不十分、研修体制が不十分など)がかなりあるように感じます。数年前になりますが、とある日本の病院で短期間働いたときに、「こんな指導医がほとんどいないような病院でも、臨床研修の指定を受けられるのか」と衝撃を受けたこともあります。これは研修プログラムを支える環境や文化の違いもあると思います。米国ではプログラムディレクターやチーフレジデントはかなりの時間を研修プログラムのマネージメントに割いていますが、それに対する時間が確保されており、また、給料や社会的な評価も伴います。日本でプログラムディレクターをやっていても、それに時間を割いている分、臨床を免除されることもなく、ボランティアということがほとんどではないでしょうか。プログラムディレクターや指導医の待遇を改善しなければ、プログラムの質の改善も難しいと思います。こういった側面があるとは思いますが、評価の低いプログラムは淘汰されていく必要があると思います。全米のみならず各国からレジデントの希望者が殺到する米国では、末端のトレーニングプログラムですら、教育体制はそれなりに整っています。実際、私が研修したのは外国人ばかりのプログラムで、ランクとしては下の方のプログラムでした。しかしながら、指導者はやる気に満ち溢れ、各国代表ともいえる優秀なレジデントは学習意欲に溢れていました。実際、米国ではプログラムは常に評価されており、レジデントからの評判や専門医試験の合格率が低いと廃止となることもあります。米国における多様な患者層や疾患米国では患者も多人種にわたり、日本で経験できないような症例もたくさん経験できます。また、いろいろな国から来た、さまざまなバックグラウンドを持つレジデント、指導医、医療従事者と仕事をするということは、かけがえのない体験です。難民などから這い上がってきた同僚をみると、自分がいかに恵まれていたかを思い知らされます。日本と違う国で働くという経験は何事にも代えがたい貴重な経験だと思います。日本の“スーパーローテーション”問題日本の初期臨床研修の、いわゆるスーパーローテーションにも問題があると思います。内科医になりたいのに、精神科や産婦人科をお客さんとしてローテートしても、将来的に役に立たない可能性が高いと思われます。こういったことは学生の間に済ますべきだと感じている医師がほとんどではないでしょうか。結果として、内科、外科、産婦人科、精神科など異なる科を目指す研修医が一緒になって研修をして、共有された目的がないというような状況が生まれます。米国のinternal medicine(内科)のレジデントは、ほとんどが“Categorical”と呼ばれる将来内科医となる人たちです。彼らにはinternal medicineの専門医を取るという明確な目的があり、かなり早い段階から専門医試験の勉強をしており、知識のレベルも高いです。同じ目標を持つレジデントと切磋琢磨できる環境が、内科、外科を問わず理想的だと思います。日本でしか学べないこととは?一方で、日本の研修システムにも優れた点がたくさんあります。例えば、手技に関しては日本人の研修医のほうがはるかに優れています。米国のレジデントは急変時には手が動かないというか、手技が何もできないのです。挿管は麻酔科を待ち、点滴、採血も技師かナースを待つのがほとんどです。一刻を争う状況で、エコーなしに大腿静脈からラインを確保する、自ら挿管を行うというようなことは経験がないためできません。また、仕事に対する取り組み方も異なります。個人差はもちろんありますが、概して、日本人の方が責任感を持って仕事に取り組んでいる研修医が多い気がします。米国はいい意味でも悪い意味でもシフト制が浸透しているため、“自分の患者”という意識がレジデントには希薄です。また、専門医がたくさんいるため、さまざまな科にコンサルトを出すが、レジデントや指導医に主体性がないため、方針が何も決まらないといったこともよくあります。日本で私が研修医だった頃のように夜中になっても患者の急変で病院に戻ったり、土日も病院に来なければ行けないというのは時代にそぐわないですし、もはや受け入れられませんが、自分の患者という意識は大切だと思います。医師としての最初の仕事である研修医の間に学ぶ患者に対する態度、姿勢はその後の在り方を決めうると思います。その意味でも、日本の良質なプログラムの中で高い倫理観を持った指導医や先輩と仕事をすることは、一生の財産になると思います。医学生の皆さんには、優れた指導医や先輩がいて、臨床研修に力を入れている施設での研修を目指してほしいと思います。臨床留学は実現可能な目標臨床留学を目指していた頃は、臨床留学の意味など考えたことがありませんでした。ただ、気が付いたら米国で臨床がしたいと思っていました。そして、臨床留学を目指してからは、“目指した以上後に引けない”というのが大きなモチベーションでした。実際、私は帰国子女でもないですし、初めて海外に行ったのも大学2年生の時でした。臨床留学を知ったのも大学6年生でハワイ大学に研修に行ってからです。当時はテレビ番組の“ER”などを見ながら、臨床留学を夢見ていました。英語は今でも苦労していますし、“ちょっと何言っているか分からない“的なことを患者や指導医から何百回も言われてきました。英語は完璧にはなりえませんが、英語以外の部分で日本人は挽回できます。トレーニングを2つの国で繰り返すのは、時間の無駄かもしれませんが、誰にでもできるわけではない経験ができたと思い、後悔はありません。臨床留学はレジデントからだけでなく、フェローからでも可能です。興味があれば、ぜひ挑戦してみてください。個人的には、“日本の優れた研修病院“で初期研修を受けてからの留学をおすすめします。患者や仕事に対する責任感、これは日本でしか学べない部分だと私は思っています。日本にいた頃は当たり前だと思っていたが、米国では当たり前ではない素晴らしい部分が、日本人にはたくさんありました。そのたびに、日本人でよかったと感じてきました。過去3年間にわたり連載を続けてきた「循環器内科 米国臨床留学記」も、私のフェローシップ卒業とともにいったん終了となります。これまでたくさんの叱咤、激励、質問などをくださった方々、貴重な時間を割いてお付き合いくださった読者の方々、本当にありがとうございました。

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ネタは準備しておけ【Dr. 中島の 新・徒然草】(230)

二百三十の段 ネタは準備しておけ最近、YouTubeでよく聴いているのが有名予備校の英語講師のサンプル授業です。もちろん、私が今さら大学受験をしようというわけではありません。単に英会話力向上の役に立たないかな、と思って聴いているだけです。これが案外、面白い。今まで無味乾燥としか思えていなかった英文法でも、何故そうなるのかを説明されると「へえーっ」と思わされます。そんなある日のこと。予備校英語講師による「英会話の授業」という立ち位置のよく分からないDVDをみつけたので思わず買ってしまいました。予備校と英会話教室といえば水と油のような関係です。片や「英語の基礎は英文法だ」という信念、片や「習うより慣れよ。ネイティブは文法なんか意識していない」と言っているわけですから。で、論より証拠。通勤の車の中で聴いてみました。すると驚いたことに、予備校講師による授業らしく超実践的だったのです。たとえば、「英会話の中で最も難しいものの1つが雑談だ。だから頻度順にネタを3つ準備しておけ」「まずは週末、それから自己紹介、そして得意ネタだ」というわけです。1つずつ説明しましょう。まずは週末の話題です。私の経験からもアメリカ人はこれが好きです。月曜日とか火曜日なら「この前の週末は何してた?」とくるので、すかさず「1日中、家にいて本を読んでいたよ。〇〇というタイトルで、内容はこういうものだったんだ」と答えればいいそうです。もちろんこの答えは英語で準備しておくわけです。木曜日とか金曜日なら「今度の週末は何するの?」と挨拶代わりに尋ねられるので、「実は〇〇という予定があるんだ」と爽やかに英語で答えなくてはなりません。受験勉強と一緒で、これもまたあらかじめ英語で答えを準備して練習しておくわけです。同じように自己紹介なら、「自分はどこそこの生まれで、そこは〇〇ということで有名だ」とか答えるといいそうです。その講師は「俺なんか埼玉出身なんで、何にも有名なものがないんだな。千葉とか岐阜の人も苦しいと思うけど、そこは頑張って何か話題を探しておこうよ」と言っておられました。また、自分の名前を言ったら、その意味を付け加えるのもいいということです。私の場合は中島なので、「central islandという意味だ」と言うことにしましょう。そして得意ネタ。これはもう趣味でも何でもよくて、自分が熱く語れるもの。例として挙げられていたのが「コンビニのスイーツが好きで色々食べている」というものです。別にテレビ出演できるほど詳しくなくても、ちょっと知っていることを英語でしゃべれるだけで大違いだそうです。いずれも目からウロコの話ばかりで、しかも予備校講師らしく受験勉強さながらの傾向と対策のあるところが凄いです。英語が苦手な読者がおられましたら、外国人との雑談対策に是非このノウハウをお役立てください。最後に1句英会話 受験と一緒 準備せよ

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高齢者うつ病に対するアリピプラゾール増強療法に関連する錐体外路症状の臨床的予測因子

 治療抵抗性高齢者うつ病(LLD:late-life depression)に対するアリピプラゾール増強療法は、効果的な治療法である。しかし、アリピプラゾールは、パーキンソン病やアカシジアのような錐体外路症状(EPS)を引き起こす可能性があり、これが治療中止の一因となることがある。カナダ・トロント大学のJonathan H. Hsu氏らは、アリピプラゾール増強療法を行っている治療抵抗性LLD患者におけるアカシジアやパーキンソン病の臨床的経過および予測因子について調査を行った。The Journal of clinical psychiatry誌2018年6月19日号の報告。 2009~13年にベンラファキシン治療で寛解が得られなかった高齢うつ病患者を対象に、アリピプラゾールまたはプラセボ増強療法にランダムに割り付け、12週間治療を行った。対象者は60歳以上で、DSM-IV-TRにおいて中等症以上の症状を伴う、うつ病エピソードを有する患者とした。アカシジアおよびパーキンソン病は、Barnesアカシジア尺度(BAS)および錐体外路系副作用評価尺度(SAS)を用いて、来院時に測定を行った。予備解析では、年齢、性別、民族性、体重、医学的合併症、ベースライン時の不安重症度、うつ病の重症度、頓服薬を含む併用薬剤、アリピプラゾール投与量を含む潜在的な臨床予測因子および相関について広範囲に検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・アカシジアが発現した患者は、アリピプラゾール群では90例中24例(26.7%)プラセボ群では90例中11例(12.2%)であった。・うつ病の重症度の高さは、治療誘発性アカシジアの主な予測因子であった。・アカシジアが発現した対象者は、(とくにアリピプラゾール投与量を減らすことで)時間とともに症状が改善した。・パーキンソン病が発現した患者は、アリピプラゾール群91例中15例(16.5%)であったが、臨床的予測因子または相関関係は見つからなかった。 著者らは「アカシジアは、アリピプラゾールの一般的な副作用ではあるものの、概して軽度であり、減量することで改善が認められる。ベースラインのうつ病がより重度な患者は、アカシジアをより注意深く監視することが求められる。治療抵抗性LLDに対する抗精神病薬増強療法に伴う薬剤誘発性EPSの経過や予測因子を理解するためには、より多くの研究が必要とされる」としている。■関連記事日本のデータベースから各種抗精神病薬のEPS発現を分析アリピプラゾール増強が有効な治療抵抗性うつ病患者の3つの特徴抗精神病薬誘発性遅発性ジスキネジアのためのコリン作動薬

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