サイト内検索|page:1079

検索結果 合計:35656件 表示位置:21561 - 21580

21561.

緑内障のディープラーニングによる検出、感度良好

 中国・中山大学のZhixi Li氏らは、ディープラーニングを用い、カラー眼底写真で緑内障性視神経症を自動的に分類するシステムの開発、検証を行い、高い感度と特異度で緑内障性視神経症を検出できることを示した。偽陰性の主な原因は、強度または病的近視の合併であり、偽陽性となった理由で最も多かったのは生理的陥凹と病的近視であることも明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年3月2日号掲載の報告。 研究グループは、カラー眼底写真4万8,116枚を後ろ向きに集め、カラー眼底写真から緑内障性視神経症として検出するディープラーニングアルゴリズムを開発し、性能を検証した。 写真を分類するために、訓練された眼科医21人が参加した。視神経乳頭陥凹(Cup)と視神経乳頭(Disc)の垂直方向における最大径比(垂直C/D比)が0.7以上、およびその他の緑内障性視神経症の典型的な変化が認められた場合に、緑内障性視神経症として分類された。 3人の評価者が合意に達したものを標準とした。完全に評価できる眼底写真8,000枚を検証データセットとして別に分け、アルゴリズムの性能の評価に用いた。ディープラーニングアルゴリズムの有効性は、感度と特異度の受信者動作特性曲線下面積(AUC)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・検証データセットにおいて、このディープラーニングシステムの検出能は、感度95.6%、特異度92.0%で、AUCは0.986に達した。・偽陰性は87件で、主な理由は、病的または高度な近視(37件、42.6%)、糖尿病性網膜症(4件、4.6%)および加齢黄斑変性(3件、3.4%)などの合併(計44件、50.6%)であった。・偽陽性(480件)となった主な理由は、生理的陥凹(267件、55.6%)などその他の眼の状態(458件、95.4%)であった。・正常に見える眼底で偽陽性と誤って分類されたのは、22眼(4.6%)のみであった。

21562.

心不全に関する記者発表会~日本循環器学会/日本心不全学会

 2018年3月19日、「最近よく耳にする心不全~心不全の解説と予防の重要性~」と題した記者発表会(主催:日本循環器学会、日本心不全学会)が開催された。 最初に小室 一成氏(日本循環器学会代表理事)が「イントロダクション」を、続いて斎藤 能彦氏(日本循環器学会学術委員会委員長)が「心不全啓発キャンペーン」、筒井 裕之氏(日本心不全学会理事長)が「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」を、最後に三谷 義英氏(日本循環器学会小児・成人先天性心疾患部会長)が「先天性心疾患の成人への移行医療に関する提言の概要」について講演した。 小室氏は、講演の中で、心不全患者の増加はもちろん、循環器疾患を原因とした介護人口、医療費の増加、心不全診療の課題等について紹介し、今後、心不全に対する社会および医療界の関心を上げることの重要性を説いた。 斎藤氏は、啓発キャンペーンの一環として行った一般向けおよびプライマリケア医向け啓発セミナーや、イメージキャラクターとして忍者ハットリくんを起用したポスター/バルーンの作成等、一般の人にも馴染みやすい方法で啓発を行っていることを発表し、心不全啓発成功への期待を述べた。 筒井氏は、講演の中で、今回の心不全ガイドラインには主に10の大きな改訂ポイントがあると述べ、心不全の定義を明確化したこと、心不全のリスクの進展ステージと治療目標を新たに作成したこと、心不全の発症・進展予防を重要視したことが紹介された。改訂ガイドラインは、3月24日、第82回日本循環器学会学術集会(大阪)のガイドライン委員会セッションで詳しく発表し、即日、学会ホームページに掲載する予定であるという。 三谷氏は、先天性心疾患例は、医療技術の進歩により成人例が増加する一方で、小児と成人診療科の連携が不足している現状を紹介し、その解決のために、先天性心疾患の成人への移行医療に関する提言を、本日(19日)厚生労働省に提出したと報告した。

21563.

理髪店で薬剤師が降圧介入、血圧値大幅に低下/NEJM

 黒人が経営する理髪店で、顧客のコントロール不良高血圧の黒人男性に対し、専門的訓練を受けた薬剤師が、顧客の医師と協力して降圧治療を行った結果、半年後の収縮期血圧値が大幅に低下したことが示された。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのRonald G. Victor氏らが、黒人経営の理髪店52ヵ所を通じて高血圧症の黒人319例を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年3月12日号で発表された。非ヒスパニック系黒人のコントロール不良高血圧は重大な問題とされているが、従来のヘルスケア設定での薬剤師介入試験では、そうした人々が対象集団に含まれる割合が実際よりも少ないという課題があった。6週間に1回以上理髪店に来る上顧客を対象に試験 研究グループは、黒人が経営する理髪店52ヵ所の顧客で、収縮期血圧値が140mmHg以上の35~79歳の黒人男性319例を対象に試験を行った(女性と透析および化学療法を受けている顧客は除外)。被験者は、半年以上にわたり6週間に1回以上の頻度で散髪に来ている上顧客だった。 検討では理髪店を無作為に2群に分け、一方では理容師が被験者に対し、店内での薬剤師による定期的な面談を推奨。薬剤師は高血圧症の治療に関する特別な訓練を受け、被験者の医師と協力して処方薬治療を行った(介入群)。また、薬剤師は理髪店で定期的に患者と面談をし、血圧測定やライフスタイルの改善についても指導を行った。 もう一方の群では、訓練を受けた理容師が、被験者に対しライフスタイルの改善や医師の診察を勧めた(対照群)。 主要評価項目は、6ヵ月後の収縮期血圧値の低下だった。半年後の収縮期血圧値低下幅の差は21.6mmHg 被験者のベースラインの収縮期血圧値は、介入群が平均152.8mmHg、対照群が平均154.6mmHgだった。 6ヵ月時点で、対照群の平均収縮期血圧値は145.4mmHgと、平均9.3mmHg低下したのに対し、介入群の平均収縮期血圧値は125.8mmHgと平均27.0mmHg低下した。平均低下幅の群間差は、21.6mmHg(95%信頼区間[CI]:14.7~28.4、p<0.001)だった。 収縮期/拡張期血圧値が130/80mmHg未満を達成した人の割合も、対照群が11.7%だったのに対し、介入群は63.6%と有意に高率だった(p<0.001)。 なお、介入群の継続率は95%で、有害事象は急性腎不全が3例で認められた。

21564.

議論が続く多枝疾患患者への冠血行再建法、CABGかPCIか?(中川義久 氏)-829

 これまでも、多枝冠動脈疾患患者における長期成績は、CABGのほうがPCIよりも良好であることが複数の無作為化比較試験および患者登録研究の結果から示されてきた。しかし、その優位性は真のエンドポイントである死亡の差としてではなく、新規心筋梗塞発生リスクや、再血行再建リスクなども含めて解析した場合にCABGのほうが勝るという結論にとどまっていた。死亡に差がないのであれば、侵襲度の違いを念頭に置けばPCIの立ち位置を高く考慮してもよいという意見もあった。 今回、ここに新しい知見が加わった。オランダ・エラスムス大学のStuart J. Head氏らが、11の無作為化比較試験の総数約11,500例を対象に行ったプール解析の結果から、CABGがPCIよりも死亡に関して優位性があることをLancet誌で報告した。とくに、糖尿病を持つ患者や、冠動脈の病変が複雑でSYNTAXスコアが高値である患者ほど、その傾向は強かったという。 死亡という真のエンドポイントで差を示したことは、インパクトがある。一方で、このような過去のデータからのプール解析で常に問題になるのは、データの陳腐化という問題である。PCIの治療成績は常に改善してきている。SYNTAX II study1)は、PCIの治療成績の改善を印象付けた代表的な報告である。ステントの進化だけではなく、PCI治療成績向上の原動力として大きいのは、PCIの適応決定にFFRやiFRなどの生理学的評価を用いること、PCI手技の質をIVUSなどのイメージングデバイスを駆使することである。さらに、冠危険因子を管理する内科的治療の進歩も大きい。もちろんCABGにおいても、心臓血管外科の手術技術の進化がある。 現在、日本循環器学会/日本心臓血管外科学会の合同で、冠動脈血行再建ガイドライン改訂が進行中である。今回のStuart J. Head氏らの解析の結果は、このガイドライン策定作業においても議論の俎上に載ることであろう。日常臨床においては、これらのエビデンスを考慮しつつ個々の患者の病態や希望を含め、ハートチームとして循環器内科医・心臓外科医で共に議論していくことが肝要であろう。

21565.

日本人アルツハイマー病に対するメマンチンのメタ解析

 第一三共株式会社のKaoru Okuizumi氏らは、アルツハイマー病(AD)患者に対する臨床的に有用な薬物治療を明らかにするため、臨床的悪化を評価するレスポンダー解析を用いて評価を行った。Expert opinion on pharmacotherapy誌オンライン版2018年3月6日号の報告。 本研究は、2つの24週間多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照研究のメタ解析として実施した。対象は、中等度~重度の日本人AD患者633例(メマンチン[20mg/日]群318例、プラセボ群315例)。 主な結果は以下のとおり。・メマンチン群とプラセボ群を比較した臨床的悪化の減少に対する全体的なオッズ比(OR)は、それぞれの総合評価尺度において統計学的に有意であった。 ◆重度認知症患者向けの認知機能評価尺度日本語版(Severe Impairment Battery:SIB-J)OR:0.52、95%CI:0.37~0.73、p=0.0001 ◆アルツハイマー病行動病理学尺度(Behavioral Pathology in AD Rating Scale: BEHAVE-AD)  OR:0.53、95%CI:0.37~0.75、p=0.0003 ◆SIB-Jと臨床面接による認知症変化印象尺度日本語版(Clinician's Interview-Based Impression of Change:CIBIC-plus-J)  OR:0.53、95%CI:0.37~0.77、p=0.0009・メマンチン群は、プラセボ群と比較し、SIB-J、BEHAVE-AD、CIBIC-plus-Jを組み合わせた評価尺度において、3重の悪化リスクの有意な減少が認められた(OR:0.38、95%CI:0.22~0.65、p=0.0003)。 著者らは「メマンチンは、AD患者の認知障害だけでなく、認知症患者の行動と心理症状(BPSD)を含むより広範な症状に対する治療選択肢でもある」としている。■関連記事中等度~高度AD患者にメマンチンは本当に有効か?―メタ解析結果より―ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度認知症患者の興奮症状に対するメマンチンの効果を検討

21566.

満腹になるまで食べてしまう患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第17回

■外来NGワード「腹八分目にしなさい!」「満腹になるまで食べないようにしなさい!」「そんなに食べているから太るんです!」■解説 『糖尿病治療ガイド2016-17』によると、初診時の食事指導のポイントとして、「腹八分目にする」「食品の種類はできるだけ多くする」「脂肪は控えめに」「食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻、きのこなど)をとる」「朝食、昼食、夕食を規則正しく」「ゆっくりよくかんで食べる」の中で、「腹八分目にする」は最初の項目に挙げられています。確かに、カロリー制限を行うことは、ハエ、マウス、トリ、サルなどでの研究からアンチエイジングにつながることが示されています1,2)。しかし、ご飯やおかずを残せなくて、満腹になるまで食べてしまう肥満を伴う生活習慣病の患者さんがいます。そういった患者さんに対して、いくら「腹八分目にしなさい!」と指導しても、あまり効果は上がりません。なぜなら、腹八分目の定義が医師と患者の間で違っているからです。腹八分目では食事制限の意図が伝わらないと考えられたのか、以前には「腹七分目にする」などの記載もありました(『糖尿病治療ガイド2002-03』参照)。まずは、腹八分目の定義を、医師と患者の間ですり合わせて、具体的な腹八分目対策を患者さんと一緒に立てることができるといいですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師食事の方はいかがですか?患者腹八分目を心掛けているつもりなんですが…。医師それはよかったです。食事を意識して頂いて…。患者けど、満腹になるまで食べてしまって…後で、お腹がパンパンになっていて、食べ過ぎたと後悔したりするんですけど…。医師なるほど。そのときはいいんですが、満腹まで食べると、後で後悔することになりますね。患者そうなんです。腹八分目って、難しいですね。医師腹八分目とは、どのくらいなのか整理してみましょう。夕食なら、腹八分目にしておくと、寝る前はお腹がすっきりとしています。次の日の朝食が待ち遠しい状態です。患者なるほど。医師腹十分目だとお腹は全然空いていません。逆に、腹六分目にすると、お腹が空きすぎて、寝られなかったりします。患者なるほど。医師腹十二分目だと、寝る前に、食べ過ぎの状態ですね。患者私の場合は、腹十二分目になっていますね。医師ハハハ。腹八分目にするために、どんな工夫がありますか?患者そうですね…自分のものを食べ終わったら、テーブルから離れて、余分なものは食べないようにします。医師それは、いいアイデアですね。患者頑張って、やってみます。■医師へのお勧めの言葉「夕食の場合、腹八分目とは寝る前にこころもちお腹が空いていて、次の日の朝食が待ち遠しい状態のことです」1)Colman RJ, et al. Science. 2009;325:201-204.2)Colman RJ, et al. Nat Commun. 2014;5:3557.■参考資料

21567.

12)ツイストヘラー(アズマネックス)【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、ツイストヘラー(アズマネックス)の吸入の手順を解説します。手順としては、吸入器を垂直に立てて持ち、キャプを開ける→カウンターの数字が1つ減ったのを確認する→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤の定着をはかる→鼻からゆっくり息を吐く(2回目の指示あれば同様に吸入を繰り返す)→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)ツイストヘラー(アズマネックス)。

21568.

うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、自殺念慮を誘発または悪化させることがあると報告されている。スウェーデン・ヨーテボリ大学のJakob Naslund氏らは、ハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)の自殺傾向の項目を基準に、SSRIの影響について評価を行った。The British journal of psychiatry誌2018年3月号の報告。 対象は、セルトラリン、パロキセチン、citalopramの業界出資研究(industry sponsored study)に参加したうつ病成人。患者レベルのメガ解析を実施し、SSRI群5,681例およびプラセボ群2,581例を比較し、HRSDで自殺傾向率の評価を行った。また、18~24歳の若年成人(537例)と25歳以上の成人(7,725例)に分けて、それぞれ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・25歳以上の成人において、SSRI群では平均自殺傾向率が大きく低下し、第1週目以降にSSRI投与を受けた患者で自殺傾向の悪化リスクは低かった。・若年成人において、SSRI群ではプラセボ群と比較し、エンドポイントにおける自殺傾向率の違いは認められなかった。 著者らは「自殺傾向に対するSSRIの影響は、25歳以上のうつ病患者において有益であり、18~24歳の患者では中立的であった」としている。■関連記事自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は?大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか?小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

21569.

成人アトピー、日米欧での有病率は約2~5%

 成人におけるアトピー性皮膚炎(AD)の有病率については認識に違いがあることから、フランス・ナント大学病院のSebastien Barbarot氏らは、米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国および日本においてWEBベースの国際横断研究を行った。その結果、各国における成人のAD有病率は2.1~4.9%で、評価尺度または地域に関係なく重症ADの割合は低いことが示された。Allergy誌オンライン版2018年2月13日号掲載の報告。成人アトピーの有病率を米国・カナダ・EU・日本で推定 研究グループは、成人におけるAD有病率を全体および重症度別に推定する目的で、WEBベースの国際横断研究を行った。 オンライン回答者には、ADの確認と重症度評価のためのアンケートを送付した。各国の参加者数は人口統計学的に割り当てた。ADの確認は、modified UK Working Party/ISAAC基準で陽性および医師によるAD診断歴の自己報告に基づいた。ADの治療を受けていると報告したADを有する参加者の割合を算出し、有病率の推定に用いた。重症度の評価尺度は、患者によるアトピー性皮膚炎評価スコア(PO-SCORAD)、患者による湿疹評価スコア(PO-EM)、および患者による全般評価(PGA)を用いた。 成人アトピーの国際横断の有病率を推定した主な結果は以下のとおり。・成人アトピーの時点有病率(有病者全体/治療中の集団)は、米国(4.9%/3.9%)、カナダ(3.5%/2.6%)、EU(4.4%/3.5%)および日本(2.1%/1.5%)であった。・成人アトピーの有病率は、概して女性より男性で低く、加齢とともに低下した。・成人アトピーの有病率は、各国内で地域による変動性が観察された。・成人アトピーの重症度は評価尺度および地域によって変化したが、重症ADの割合は評価尺度または地域に関係なく軽症および中等症ADの割合より低かった。

21570.

ビタミンDのがん予防効果、日本人で確認/BMJ

 血中ビタミンD濃度が高い集団は男女とも、がん全体の罹患リスクが低いことが、日本人を対象に国立がん研究センターのSanjeev Budhathoki氏らが実施したJapan Public Health Center-based Prospective(JPHC)研究で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年3月7日号に掲載された。ビタミンDは、さまざまな抗腫瘍性の特性を持つ強力な生物活性化合物の前駆物質として、がんの予防効果をもたらすとの説がある。血中ビタミンD濃度が上昇すると、大腸がんや肺がんの罹患リスクが低下する傾向がみられることが報告されているが、他の部位のがんやがん全体のエビデンスには一貫性がなく、アジア人のデータは十分でないという。血中濃度別の罹患リスクを評価するネステッドケースコホート研究 研究グループは、JPHC研究のデータを用いて、診断前の血中ビタミンD濃度と、がん全体および部位別のがん罹患リスクの関連を評価するネステッドケースコホート研究を行った(国立がん研究センターなどの助成による)。 JPHC研究の参加者(40~69歳)のうち、ベースラインの質問票に回答し、血液サンプルが得られた3万3,736人をベースコホートとした。このうち、3,301人が2009年12月31日までにがんに罹患した。また、ベースコホートからランダムに選択した4,044人をサブコホートとした。サブコホートには、がん患者が450人含まれた。 血漿25-ヒドロキシビタミンD(25-OHビタミンD)濃度の季節による変動を考慮して、サブコホートを男女別に4分位に分けた(罹患数が130未満のがんは3分位)。重み付きCox比例ハザードモデルを用い、血漿25-OHビタミンD濃度が最も低い集団を基準として、血漿濃度別のがん全体および部位別のがんに関して、多変量で補正したハザード比(HR)を算出した。ほぼすべての部位の罹患リスクが低下傾向 がん患者はサブコホートに比べ、平均年齢が高く(56.2[SD 7.5] vs.53.7[7.9]歳)、男性が多く(52.4 vs.34.2%)、重度喫煙者や重度飲酒者が多く、糖尿病既往歴やがん家族歴の頻度が高かった。また、サブコホートでは、血漿サンプルの採取時期が夏/秋の集団のほうが冬/春に比べ、25-OHビタミンD濃度中央値が高く、濃度が高い集団のほうが低い集団に比べ高齢で、余暇身体活動量が多く、がん家族歴の頻度が低いなどの傾向がみられた。 血漿25-OHビタミンD濃度とがん全体の罹患リスクには逆相関の関係が認められ、血漿濃度が最も低い集団と比較した2番目に低い集団、3番目に低い集団、最も高い集団の多変量補正HRは、それぞれ0.81(95%信頼区間[CI]:0.70~0.94)、0.75(0.65~0.87)、0.78(0.67~0.91)であった(傾向検定:p=0.001)。 部位別のがんのうち、肝がんで血漿濃度と罹患リスクに逆相関の関係がみられ、血漿濃度が最も低い集団と比較した多変量補正HRは0.70(95%CI:0.44~1.13)、0.65(0.40~1.06)、0.45(0.26~0.79)と、濃度が高くなるほど低下した(傾向検定:p=0.006)。ほぼすべての部位のがんで、罹患リスクが低下する傾向がみられた。 サブグループ解析では、男女の間に、25-OHビタミンDの効果の差はなかった。また、感度分析では、がん患者全体から部位別のがん患者を1部位ずつ交互に除外して再解析を行ったところ、いずれの解析でも、HRはがん全体と比較してほとんど変化せず、25-OHビタミンDによるがん全体の罹患リスク低減効果は、個々の部位のがんに対する小さな効果の積み重ねの結果である可能性が示唆された。 著者は、「これらの知見は、ビタミンDがさまざまな部位のがんの予防効果を有するとの仮説を支持するものである」としている。

21571.

米国人の1日Na摂取量は何グラム?/JAMA

 先行研究でナトリウム摂取の90%が尿として排出されると示されたことから、米国医学研究所(現・米国医学アカデミー)は2010年に、24時間蓄尿でナトリウム摂取量を推定するよう推奨を始めた。米国疾病予防管理センターのMary E. Cogswell氏らは、2014年のサンプルを調査し、少なくとも1回の24時間蓄尿検査を受けたことがある70歳未満の成人のデータを分析。その結果、推定平均ナトリウム摂取量は3,608mg/日であることが示されたという。JAMA誌オンライン版2018年3月7日号掲載の報告。国民健康栄養調査の24時間蓄尿検査データを解析、カリウム排出量も調査 研究グループは、米国成人集団の平均ナトリウム摂取量を推定し、カリウムの尿排出について明らかにするため、施設入所者を除く代表的な米国人集団を対象とした全米規模の断面サーベイを行った。 具体的には、米国国民健康栄養調査(NHANES)の調査項目において、2014年に少なくとも1回の24時間尿検体を集められていた20~69歳の非妊娠者のデータについて調べた。 主要評価項目は、平均24時間尿中ナトリウム(Na)値とカリウム(K)値。サーベイデザインの複雑性、選択の蓋然性、ノンレスポンスを考慮して、人口統計学的/健康特性は加重全米推定値を算出、電解質排出量は平均値を算出した。24時間尿中Na値:男性4,205mg、女性3,039mg NHANESから無作為に選択した1,103例のうち、対象者の基準を満たした827例(75%、男性421例、女性406例)について調べた。63.7%が非ヒスパニック系の白人、15.8%がヒスパニック系、11.9%が非ヒスパニック系黒人、5.6%が非ヒスパニック系アジア人であった。43.5%が高血圧症(2017年の高血圧症ガイドライン準拠)を有し、10.0%が糖尿病歴を報告した。 24時間蓄尿に関するサーベイ全体の回答率は、約50%と推定された(75%[24時間蓄尿の調査項目完遂率]×66%[NHANES調査項目回答率])。 全体の平均24時間尿中Na値は3,608mg(95%信頼区間[CI]:3,414~3,803)であった。全体の中央値は3,320mg(四分位範囲:2,308~4,524)であった。 性別にみた副次解析での平均Na値は、男性は4,205mg(95%CI:3,959~4,452)、女性は3,039mg(2,844~3,234)であった。また年齢群別にみた平均Na値は、20~44歳(432例)3,699mg(3,449~3,949)、45~69歳(395例)3,507mg(3,266~3,748)であった。 全体の平均24時間尿中K値は2,155mg(95%CI:2,030~2,280)であった。性別では、男性2,399mg(2,253~2,545)、女性1,922mg(1,757~2,086)。また年齢群別では、20~44歳1,986mg(1,878~2,094)、45~69歳2,343mg(2,151~2,534)であった。 著者は、「これらの結果は、今後の試験のベンチマークとなりうるものである」とまとめている。

21572.

超加工食品摂取割合の増加はがんリスクを高める可能性が大!(解説:島田俊夫氏)-828

 私達人類は、歴史的には食物を糧にして生命維持に必要なエネルギーを元来、狩猟民として肉食または雑食により生きてきたが、農耕の定着により安定して食物を得ることが可能になったため、炭水化物(糖質+食物線維)からより多くのエネルギーを取り入れる現代の生活様式を確立した。主に糖質による摂取エネルギーの過剰および交通手段の発達に伴う運動量の減少影響も加わり、肥満を招き生活習慣病の増加に拍車がかかっている。さらに、先進国においては夫婦共働きの家庭が増加する社会の中で、加工食品からのエネルギーの摂取増加が、その利便性のために増え続けている。その一方で、保存期間の延長、見ためをよくするなどの目的で、食品添加物、安定剤、発色剤、防腐剤、砂糖、油脂、塩などが添加されている。このような食品加工技術の進歩の裏で、食の安全性が損なわれていることを決して忘れてはならない。2018年2月14日にBMJ誌に掲載されたFiolet T氏らの論文は、超加工食品とがんの関係にスポットライトを当てたインパクトの大きい論文であり、私見をコメントする。本研究の要約 フランスのNutriNet-Santeコホート1)(2009~17年)からの18歳以上(年齢中央値42.8歳)の10万4,980人が本研究の対象。食事摂取量は24時間の食事記録データを繰り返し集め、参加者の日常の食品消費量が3,300種の異なる食品に登録できるように計画された。これらのデータはNOVA分類2)による加工の程度に基づいて分類が行われた。 超加工食品とがんリスク関連は、既知のリスクで調整した多変量Cox比例ハザードモデルを用いて解析が行われた。 本大規模前向きコホート研究により、食物中の超加工食品の割合が10%増加すると、全がんリスクが12%、乳がんリスクが11%増加した。前立腺がん、大腸がんとの関連性は確認できなかったが、全体的に加工食品の摂取割合の増加は、がんの高リスクに関連していることが明らかになった。しかしながら、本研究には対象の選択バイアス、超加工食品の誤分類の可能性、追跡調査期間が比較的短いなどの不安定な要素もあり、今後さらなる検討が必要であると著者は指摘している。コメント 現代社会では食事の準備にあてる時間が限られる中で、加工食品の利便性が益々重宝され、このブームの中で食品加工産業が益々勢いづいてきており、食の安全性が食品加工技術の進歩の中に埋没している現実に目を背けてはならない。また、外食産業に関しては、発展途国上においても同様の理由で、急激に食の安全性が失われている。 私達は食の原点に立ち返り、食質の見直しに目を向けなければ、加工食品普及の嵐の中で、健康長寿社会の実現はつゆと消える運命にあることを真摯に受け止め、自然食への回帰の重要性を再認識しなければ、健康長寿ははかない夢と消えるかもしれない。本論文は現代人の食の在り方に警鐘を鳴らす意味で、その影響力は誠に大きいが、それのみならず、食品に潜む有害物質について深く掘り下げて考える好機になることを願う次第である。

21573.

絵画編【ムンクはなぜ叫んでいるの?】

今回のキーワード統合失調症過敏性侵入性妄想性創造性合理性産業革命人工知能みなさんは、ムンクの「叫び」を見たことはありますか? その絵を見ているだけでゾクゾクしませんでしたか? 以前に、オークションで100億円近い値が付いたことでも話題になりました。やはりそれくらいの価値があるほど、私たちの心を揺さぶる何かがあるのでしょうか?今回は、有名な絵画のムンクの「叫び」を取り上げます。いつもとは違い、シネマではなく、絵画から学ぶメンタルヘルスをお送りします。テーマは、ずばり統合失調症です。実は、ムンクは統合失調症を発症していたという説が有力で、この絵はそのムンクの自画像です(編注:絵の解釈には諸説あります)。実際に、この絵には統合失調症にまつわる3つの特徴が垣間見られます。その特徴を脳科学的そして進化精神医学的に掘り下げ、統合失調症の本質に迫っていきましょう。際立ち-過敏性ムンクの日記によると、「日が沈んだ時、突然空が血のように赤く染まり」「フィヨルドと町並みが青黒く彩られた」とあります。実際の絵の色使いは、赤、青、黒を主として、その取り合わせがとても際立っていて、まぶしいです。1つ目の特徴は、周りの世界が際立っていると感じる、つまり過敏性です。これを統合失調症の症状として見ると、見えるもの全てを鋭敏に見てしまい、感覚が研ぎ澄まされている状態です(気付き亢進)。そこから、不安感や緊迫感が煽られています(緊迫困惑気分)。さらに、何かとんでもないことが起きそうな不気味な雰囲気を醸し出していきます(妄想気分)。それでは、なぜ際立つのでしょうか? ここから脳科学的に考えてみましょう。際立つとは覚醒度が上がることです。この覚醒度が上がるのは、いつもと違う状況(新奇場面)が刺激となり、脳内ではドパミンという神経伝達物質が分泌される時です。さらに、その覚醒度を保つために、同じく神経伝達物質であるグルタミン酸が分泌されます。その後に、覚醒が度を超えないようにするために、視床という脳領域で入力情報の感度を下げるフィードバックが働きます(視床フィルター)。つまり、覚醒度を燃え上がる火に例えると、脳が暖炉、新奇場面が薪、ドパミンは点火装置、グルタミン酸は給油装置、そして視床は薪の入る数を調節する暖炉の扉と言えます。ここで、これらの点火装置や給油装置が過剰に作動したり、扉が閉まらなくなったらどうなるでしょう? 勝手に燃え上がってしまいます。いつもと同じ状況なのにいつもと違う状況に様変わりしてしまい、際立っていると感じてしまいます。これが、統合失調症の原因と考えられています。過剰作動を起こす原因としては、もともとの遺伝負因、胎児期や乳児期の感染症(神経発達障害仮説)、思春期以降の心理社会的ストレスなどによる相互作用が考えられています。ちなみに、ドパミンが急性的に過剰分泌された場合、興奮状態になった神経細胞は、損傷を避けるために、一時的に神経伝達を遮断するメカニズムがあります(脱感作)。例えるなら、暖炉が壊れないように点火装置のブレーカーが一時的に落ちてしまうことです。これは、統合失調症で興奮状態から突如動かなくって、刺激に反応しなくなる症状です(緊張病)。一方、ドパミンが慢性的に過剰分泌された場合は、興奮状態になった神経細胞は、損傷を避けられず、変性していき、脳が萎縮していきます(残遺症状)。例えるなら、暖炉が燃やし過ぎで消耗してしまうことです。これは、統合失調症で、感情的に鈍くなり(感情鈍麻)、特に何をすることもなく(無為)、ひきこもって暮らす(自閉)など、本来あるべき能力が失われていく一連の症状です(陰性症状)。そもそもなぜ際立ちは「ある」のでしょうか? さらに進化精神医学的に考えてみましょう。10数億年前に太古の原始生物が誕生してから、エサが近くにあることが臭いや見た目で分かったら、ドパミンによって覚醒度を上げて、必死に近付くように進化しました。5億年前に魚類が誕生してから、天敵の気配などいつもと違う状況で、ドパミンによって覚醒度を上げて、早くに離れるように進化しました。境目のなさ-侵入性ムンクの日記によると、「血のような炎を吐く舌のような空が青黒いフィヨルドと町並みに覆い被さるようであった」とあります。実際の絵の構成は、輪郭が重なり合い大きくうねるような筆遣いで、中心に置かれる本人は周りに飲み込まれて溶けてしまいそうです。2つ目の特徴は、自分と周りの世界の境目がなくなると感じる、つまり侵入性です。これを統合失調症の症状として見ると、自分と他人の境目(自我境界)がはっきりしなくなり、自分は自分であるという実感がなくなることです(自我障害)。体がスケスケなのと同じように、心もスケスケに感じてしまい、自分の考えが漏れていると思うようになります(自我漏洩体験)。周りの人の視線が自分に迫ってくるようにもなります(被注察感)。さらには、何か得体の知れない誰かに自分が操られている感覚に陥ります(作為体験)。それでは、なぜ境目がなくなるのでしょうか? ここから脳科学的に考えてみましょう。境目とは自分と周り(他人)を区別することで、前頭葉(前部傍帯状皮質)が司っています。これは、周りを認知している自分を認知する、つまり認知していることを認知することでもあります(メタ認知)。ここで、先ほどの過敏性によって境目はどうなるでしょうか? 周りの世界を認知する感度が上がり過ぎてしまい、自分の想像(内的体験)への認知も周りの現実(外的体験)への認知と誤認知(偽陽性)してしまい、自分への認知と周りへの認知を区別する精度が落ちてしまいます。つまり、周りの世界を過剰に認識してしまうと、逆に正確には認識できなくなってしまい、境目がはっきりなくなってしまうということです。これは、検査の検出の感度と分類の精度(特異度)の相関関係です。例えるなら、教科書でテストに出そうな箇所に赤線を引く時、全てが出そうに思えて、全てに赤線を引いてしまうことです。すると、本当に出そうな箇所とそうでない箇所の区別ができなくなってしまいます。境目がなくなることで、想像も現実の体験の一部として認識してしまいます。そこから、自分が世界に侵入されてしまう感覚に陥ります。例えば、自分の考えたことが声になって聞こえます(考想化声)。やがてそれは他人の声として聞こえてしまいます(幻聴)。そう考えると、先ほどの誰かに見られているという感覚(被注察感)や、誰かに操られているという感覚(作為体験)のその誰かとは、実は他でもない自分自身であるということが理解できるでしょう。そもそも、なぜ境目は「ある」のでしょうか? さらに進化精神医学的に考えてみましょう。人類は、約700万年前にアフリカの森に誕生し、約300~400万年前に草原(サバンナ)に出てから、助け合い(協力)と競い合い(競争)の狭間で、相手の心を読む、つまり相手の視点に立つ心理を進化させてきました(心の理論)。この心理から、自分自身を離れて自分自身を見る視点を持つようになり、自分と周りの世界を区別できるようになりました。さらに、この視点を手に入れたことで、周りの世界をより良く知りたいという好奇心の心理(新奇希求性)も進化したと考えられます。だからこそ、私たちは、新しかったり珍しかったりする状況(新奇場面)でも過敏になるのでしょう。つまり、境目という心の理論、さらには好奇心という新奇希求性は、人間の生存に必要だから「ある」のでしょう。逆に言えば、人間以外のほとんどの動物は、境目が最初からないわけなので、自分と周りはもともと一体であり、境目がなくなる危うさをそもそも感じることはないと言えるでしょう。意味付け-妄想性ムンクの日記によると、「2人の友人と歩道を歩いている時、やむことのない自然をつんざくような叫びを聞いた」とあります。実際の絵の状況は、実はムンクは叫んでいるわけではなく、叫びに恐れおののき、耳を塞いで、かろうじて突っ立っているだけなのでした。3つ目は、周りの誰かまたは世界が叫んでいると意味付ける、つまり妄想性です。これを統合失調症の症状として見ると、自分の心の中(内的世界)の「叫び」を、現実世界の誰か(外的体験)の「叫び」として聞いたとしています(幻聴)。さらに、何となく不気味な気分(妄想気分)や、自分が自分ではなくなり自分の存在が危うく感じる体験(自我障害)から、世界が終わってしまうと感じてしまいます(世界没落体験)。もはや2人の友人も、黒服で得体の知れない存在に見えてしまい、監視しているか、尾行しているかとも思ってしまいます(被害妄想)。それでは、なぜ意味付けるのでしょうか? ここから脳科学的に考えてみましょう。意味付けとは、それぞれの体験について、ある程度抽象的で大まかな言葉に置き換えること、つまり概念化です。これは、言葉を聞き取る能力を司る感覚性言語中枢(ウェルニッケ野)と言葉を話す能力を司る運動性言語中枢(ブローカー野)が司っています。そうすることで、過去の体験と関連付けをして、記憶に残しやすくなります。ここで、先ほどの過敏性よって意味付けはどうなるでしょうか? 意味付けがされ過ぎてしまいます。例えば、テーブルに携帯電話が置いてあったとしましょう。たまたま置いてあっただけなのに、「なぜあるの?」とその意味を考えるようになります。そして、意味が分からないことに違和感を覚えるようになり、何気ないことを何気なく思えなくなり、当たり前のことを当たり前に思えなくなります(自明性の喪失)。つまり、意味付けは、され過ぎると、逆に失われてしまうということです。全ての出来事に意味を求めてしまい、クタクタになってしまいます。その刺激を避けるために、統合失調症の人は、早い段階でひきこもりになることがよくあります。また、間違った意味を見いだしてしまうと、論理の飛躍が起こります。それが先ほどの世界没落体験や被害妄想です。さらに、意味付けが極端になり自覚がなくなれば、意味のつながりが失われて、話すことにまとまりがなくなります(滅裂思考)。また、侵入性に意味付けをするとどうなるでしょうか? 侵入する対象として言語化します。それが、統合失調症の人がよく言う「得体の知れない巨大なもの」です。さらに、この表現は時代や文化によって変わります。例えば、日本なら、現代は「悪の秘密結社」「ヤクザ・暴力団」が多いですが、昔は「狐憑き」などが多かったでしょう。欧米なら、現代は「テロ集団」、昔なら「悪魔」が多いでしょう。そもそも、なぜ意味付けは「ある」のでしょうか? さらに進化精神医学的に考えてみましょう。人類は、約10~20万年前に、喉の構造を進化させて、複雑な発声ができるようになり、言葉を話すようになりました。そして、人だけでなく、自然環境や様々な自然現象を名付けることによって、世界を区切り、関係付け、説明しようとしました。こうして、シンボルを使って抽象的思考をする概念化の心理が進化したと考えられます。概念化によって、道具、建築、美術、音楽、文学、宗教、政治などの文化が爆発的に発展していきました(文化のビッグバン)。これが、創造性です。こうして、人は、その文化を、神話や言い伝え、民謡などの様々な方法で子孫に伝えることができるようになりました。人は、約5000年前に文字を発明して、ようやく原因と結果をつなぐ論理的思考(システム化脳)の体系が可能になりました。それが、科学であり、合理性です。ということは、そもそも創造性には合理性があるわけではないと言えるでしょう。もっと言えば、創造性と妄想は、同じ概念化の心理として合理性がない点では、コインの表と裏ということです。まさに、ムンクの絵もその1つです。つまり、意味付けという概念化は、人間の生存、さらには文化の継承に必要だから「ある」のでしょう。統合失調症はいつ生まれたの? -産業革命これまでの際立ち(過敏性)、境目のなさ(侵入性)、意味付け(妄想性)という3つの特徴から、統合失調症は人類の心の進化の歴史と密接にかかわりがあることがわかります。そして、統合失調症が世界中のどの国や地域でもほぼ一定の割合で発症することから、統合失調症の心理には普遍性がありそうです。それでは、統合失調症という病はいつ生まれたのでしょうか? 正確には言えば、病として目立つようになったのはいつでしょうか?その答えは、18世紀の産業革命であると考えられています。それまで、幻聴は「神のお告げ」または「悪魔の囁き」であり、妄想は「神の思し召し」または「悪魔の仕業」であり、自我障害は「神との一体化」または「悪魔の憑依」と解釈されていました。そして、実際にこのような症状を持つ人は、シャーマン(巫女)や信心深い信者として社会的に一定のステータスがあり、文化の一部として、社会に溶け込んでいたでしょう。ところが、産業革命によって、生産性や効率性などの合理主義や、貨幣経済や民主政治によってはっきり個人を区別する個人主義が広く世の中に広がっていきました。社会構造の変化です。すると、根拠のない不合理な言動を繰り返す幻覚妄想や、自分らしさ(アイデンティティ)が危うくなる自我障害はネガティブで困ったもの、つまり病として認識されるようになったのでした。実際に、現代でも、農村地域よりも工業化や都市化が進む地域ほど、そして発展途上国よりも先進国ほど、統合失調症は回復しにくいことが統計的に分かっています。つまり、発症率は変わらなくても、社会構造の違いによって、回復率は変わるということです。統合失調症はどこに行くの? -人口知能創造性・妄想を生み出す概念化の心理が進化したのが10~20万年前に対して、産業革命により合理性に重きを置くように社会構造が変化したのはたかだか200年前です。つまり、創造性・妄想の心理の進化の歴史の方が、合理性の心理よりも圧倒的に長いと言えます。つまり、私たちは合理的であろうとしていますが、人類の心の進化の歴史から考えると、そこまで合理的ではないということです。さらに、これからはAI(人工知能)の時代です。近い将来には、合理的なことはほとんどAI化されるというさらに新しい社会構造への変化が予想されます。そうなると、私たちは、もはや合理的であることを追求する必要がなくなってしまいます。むしろ逆です。そもそも私たちに不合理な心理もあることを生かして、これからはその不合理さを楽しむ創造性が求められるでしょう。そう考えると、私たちは、ムンクの「叫び」から統合失調症の世界観を疑似体験する危うさと魅力を知るだけでなく、そこから私たちの創造性をくすぐりかき立てる何かがあり、そこに大きな価値があることをよく理解することができます。そして、AI化された将来の社会構造で統合失調症の創造性に再び目が向けられる時、もはや統合失調症は病ではなく、個性や多様性の1つになっているのではないでしょうか?1)井村裕夫:進化医学、羊土社、20132)臨床精神医学、心の進化と精神医学、アークメディア、2011年6月号3)岡田尊司:統合失調症、PHP新書、2010

21574.

統合失調症に対するスタチン併用療法のメタ解析

 統合失調症の陰性症状に対するスタチン併用療法のベネフィットに関しては、相反する結果が報告されている。中国・南京医科大学のHong Shen氏らは、統合失調症の精神症状改善のために、スタチン併用療法が有用であるかについて検討を行った。Psychiatry research誌オンライン版2018年2月5日号の報告。 CENTRAL、PubMed、Embase、MEDLINEよりデータを検索した。検索に使用したキーワードは、スタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、lovastatin、mevastatin、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、cerivastatinおよび統合失調症、統合失調感情障害、精神病とした。包括基準は、統合失調症成人患者を対象とし、PANSSまたはSANSスコアにて評価を行った抗精神病薬とスタチンまたはプラセボのランダム化比較試験(RCT)とした。データの無い報告、同一研究による複数の報告は、除外対象とした。スタチン併用療法の有無にかかわらず、統合失調症患者の精神症状を比較するため、メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・6件のRCTより、339例(治療群:169例、プラセボ群:170例)が抽出された。・全体的な効果については、スタチン併用療法を実施した患者において、PANSSの陽性および陰性症状スコアの有意な低下が認められた。 著者らは「本メタ解析により、スタチン併用療法は、精神症状(陰性症状または陽性症状)を改善可能であることが初めて明らかにされた」としている。■関連記事慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症への補助療法、その影響は:昭和大認知症にスタチンは有用か

21575.

エーザイ株式会社とMerck、レンビマでがん領域戦略的提携

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役 CEO:内藤晴夫)とMerck & Co., Inc.Kenilworth, N.J., U.S.A.(Chairman and CEO:Kenneth C. Frazier)は2018年3月8日、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)を全世界で共同開発・共同販促する戦略的提携について合意したと発表。本契約に基づき、両社は、レンバチニブの単剤療法、ならびにMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)との併用療法における、共同開発と共同販促を行う。 レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法については、2017年12月に米国食品医薬品局(FDA)より、進行性または転移性腎細胞がんの適応でブレーク・スルーセラピーの指定を受けている。また、両社共同で実施中の複数の固形がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(111試験/KEYNOTE-146試験)における、子宮内膜がんと腎細胞がんの中間結果では、治療歴やPD-L1発現の有無など患者様背景に関わらず、奏効率における顕著な相乗効果が示唆されている。 本提携により、エーザイと Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.は、レンバチニブとペムブロリズマブとの併用療法に関して、6がん種(子宮内膜がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん、頭頸部がん、膀胱がん、メラノーマ)における治療歴に応じた11の適応取得を目的とした臨床試験に加え、複数のがん種に対するバスケット型試験を共同して速やかに開始するとしている。

21576.

認知症と自動車運転~高齢ドライバー5万人の診断にどう対処するか

 2017年3月の道路交通法改正により、75歳以上の高齢者ドライバーが運転免許証を更新する際、「認知症のおそれがある」と判断された場合、すべて専門医または主治医の診断(臨時適性検査)を受け、診断書を提出しなければならなくなった。高齢者による交通事故防止のため、認知症対策がより強化されたこの新制度により、医師による臨時適性検査および診断書作成の対象者は、5万人にまで膨れ上がっている。 法改正から1年。本稿は、先日開かれた日本精神神経学会のプレスセミナーで、池田 学氏(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)が、医療現場の現状と今後の見通しについて述べた内容をまとめたものである。かかりつけ医にも求められる認知症診断 2017年3月12日に施行された改正道路交通法により、新たな制度がスタートした。すべての75歳以上のドライバーを対象に、3年に1度の免許証更新時に認知機能検査を実施し、第1~3分類に分ける。このうち、第1分類(認知症のおそれがある者)に該当する人は5万人程度。旧制度では、診断書を求められるのが一定期間内での違反者や事故を起こした人に限定されていたため、年間おおむね1,200~1,500人程度だったが、新制度では認知機能検査で第1分類に該当した時点で、違反や事故の履歴に関係なく、運転をやめるか、医師の診断書を提出するか、どちらかを選択しなければならない。つまり、全員が運転継続を望むとすれば、第1分類に該当する5万人が診断書作成の対象となる。現在、認知症関連学会員(認知症診療の専門医)の数は約2,000人である。当然のことながら、専門医のみで対応できる人数ではないため、かかりつけ医にも診断を求めざるを得ないのが現状である。運転継続か返納かを決める難しい判断と曖昧な境界 現場の医師が最も迷うのが、軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)か、初期段階の認知症かの見極めである。軽度認知障害であれば運転は続行できるが、認知症と診断された場合には、原則として運転免許証を返納しなければならない。したがって、両者いずれかの判断が重要となってくるが、きわめて流動的で、専門医であっても線引きは非常に難しいところである。 例えば「健忘型MCI」の場合、物忘れに関しては同年齢と比べても明らかで、本人も自覚しており、周囲の家族も気付いているケースが多い。しかし、それ以外の認知機能は正常範囲で、日常生活動作(ADL)は必ずしも障害されていないというのがポイントである。ただ、MCIが認知症に移行するリスクは確実に高く、1年で10~15%がアルツハイマー型認知症に移行することもこれまでの研究でわかっている。 老年期のうつ病との鑑別も重要である。壮年期のそれとは異なり、抑うつや悲哀などの訴えは主ではなく、心気的、身体的な訴え(肩こりや頑固な便秘、全身倦怠、睡眠障害など)が多いのが特徴で、悪化するとほぼ必発で認知機能の障害を伴う。しかしこれはあくまでも仮性認知症であり、免許更新時の診断には、こうした人を慎重に除外しなければ重大なミスにつながりかねないので注意が必要である。半数以上が「6ヵ月後の診断書」判断に 公安委員会に提出する診断書では、(1)アルツハイマー型認知症、(2)レビー小体型認知症、(3)血管性認知症、(4)前頭側頭型認知症、(5)その他の認知症(慢性硬膜下血腫など治療可能な疾患。6ヵ月後に要再検査)、(6)軽度認知障害、(7)認知症ではない、のいずれに該当するかを判断する。その際、ミニメンタルステート検査(MMSE)または改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)による認知機能検査を必ず実施し、検査が実施できなかった場合にはその理由を明記しなければならない。さらに、可能な限り画像検査を実施し、所見を記入することも求められている。つまり、限りなく専門医の診断書に近い様式となっており、専門外の医師にとってはかなりの負担であろう。 警察庁が取りまとめた改正法施行から半年時点でのデータによると、認知機能検査で第1分類に該当し、医師の診断を受けて免許取り消しや停止になった人は全体の9.3%、条件なしで免許証の所持を継続できた人が22.2%、そして6ヵ月後の診断書提出となった人は56.6%にも上った。この結果から、いかに多くの医師が診断に迷っているかがわかる。この中には治療可能な疾患の人もいるが、MCIか初期の認知症かの判断に迷うため、6ヵ月後に再検査となったケースが相当数あるとみられる。こうした「判断の先送り」が経年的に累積していけば、今後の大きな問題になる懸念があり、次善策を講ずる必要がある。 高齢者ドライバーの中には、免許更新の検査で初めて認知症疑いが指摘されるケースも少なくない。これを前向きに捉え、早期発見・治療の機会と考えられれば良いが、一方で患者は診断名を告げられる心の準備ができていない状況であるため、非常にセンシティブな問題をはらんでいる。かかりつけ医の場合には、これまで経験していない対応を迫られる機会が今後増えることも予測される。このため、日本医師会がかなり詳細な対応マニュアル(かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き)を作成しており、診断の際の参考にしてほしい。9割近くが新制度認識するも、ほとんどが臨時適性検査は未経験 ケアネットでは、昨年の道路交通法改正について、会員医師にアンケート調査を行った(内科医および精神科/心療内科医を対象に、2017年3月8~9日、インターネット上で実施。有効回答数500)。 このうち、「75歳以上の高齢者ドライバーが運転免許証を更新する際、認知機能検査において『認知症のおそれがある』と判断された場合、過去の違反・事故歴の有無を問わず、すべて専門医または主治医の診断(臨時適性検査)を受けなければならない」という新たな制度については、86%(430人)が認識していた。 また、「昨年3月の法改正以降、75歳以上のドライバーの免許更新に伴う臨時適性検査を実施した患者数」については、「0人」(76.8%)が最も多く、以下、「1~5人」(14.8%)、「6~10人」(3.2%)、「11~20人」(2.4%)、「31人以上」(1.6%)、「21~30人」(1.2%)となった。今回の調査では、大半の医師が臨時適性検査について未経験だった一方、この1年間で検査を実施した患者数が、すでに200人を超えているという人もわずかながらいた。

21577.

プライマリケアからのPSA検査の紹介は有益か/JAMA

 プライマリケア施設における前立腺特異抗原(PSA)検査の紹介は、前立腺がんの検出率を改善するが、前立腺がん特異的な10年死亡には影響を及ぼさないことが、英国・ブリストル大学のRichard M Martin氏らが行ったCAP試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年3月6日号に掲載された。PSAスクリーニングは、過剰検出と過剰治療による弊害が、死亡リスクの低減またはQOLのベネフィットを上回る可能性があるため、議論が続いている。573施設、40万例以上のクラスター無作為化試験  CAPは、PSA検査を用いたスクリーニングによる単回介入が、前立腺がんの検出および前立腺がん特異的死亡に及ぼす効果を評価するプライマリケア・ベースのクラスター無作為化試験(Cancer Research UKなどの助成による)。 2001~09年の期間に、イングランドとウェールズの99地域のプライマリケア施設が、年齢50~69歳の男性患者について、PSA検査を受けるために検査施設を紹介する群(介入群)または標準的な診療のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。介入群のうち、検査結果がPSA値≧3ng/mLの患者には前立腺生検を行うこととした。 主要アウトカムは、フォローアップ期間中央値10年時の前立腺がん特異的死亡であった。副次アウトカムは、同定された前立腺がんのStageおよびGleason分類(2~10点、スコアが高いほど予後が不良)、全死因死亡、操作変数分析によるPSA検査施設の受診と前立腺がん死の因果関係などであった。フォローアップは2016年3月31日に終了した。 911施設が無作為化の対象となり、573施設(73%、介入群:271施設、対照群:302施設)が解析に含まれた。無作為化の対象となった41万5,357例の男性のうち、40万8,825例(98%、介入群:18万9,386例、対照群:21万9,439例)について解析を行った。住民ベース・スクリーニングに単回PSA検査は支持されない  ベースラインの年齢中央値は、介入群が58.5歳(IQR:54.3~63.5)、対照群は58.6歳(54.3~63.5)であり、都市部の居住者の割合は両群とも86%であった。 介入群のうち、実際にPSA検査施設を受診したのは7万5,707例(40%)で、PSA検査を受けたのは6万7,313例(36%)であり、適切な検査結果が得られたのは6万4,436例であった。このうち6,857例(11%)がPSA値3~19.9ng/mLであり、前立腺生検を受けたのは5,850例(85%)だった。 フォローアップ期間中央値10年時に、介入群の549例(0.30/1,000人年)、対照群の647例(0.31/1,000人年)が前立腺がんで死亡し、両群の前立腺がん特異的死亡率に、有意な差は認めなかった(死亡率の差:-0.013/1,000人年、95%信頼区間[CI]:-0.047~0.022、死亡率比[RR]:0.96、95%CI:0.85~1.08、p=0.50)。 一方、前立腺がんと診断された患者の割合は、介入群が4.3%(8,054例)と、対照群の3.6%(7,853例)に比べ有意に高かった(RR:1.19、95%CI:1.14~1.25、p<0.001)。また、Gleasonスコア≦6の低リスク前立腺がんの同定の割合は、介入群が1.7%(3,263/18万9,386例)と、対照群の1.1%(2,440/21万9,439例)に比べ有意に高かった(1,000例当たりの差:6.11、95%CI:5.38~6.84、p<0.001)。 全死因死亡数は、介入群が2万5,459例、対照群は2万8,306例であり、両群間に有意な差は認めなかった(RR:0.99、95%CI:0.94~1.03、p=0.49)。また、操作変数分析では、アドヒアランスで補正した因果関係のRRは0.93(95%CI:0.67~1.29、p=0.66)であり、PSA検査施設への受診が前立腺がん死を抑制するとのエビデンスは得られなかった。 著者は、「より長期のフォローアップを進めているが、これらの知見は住民ベースのスクリーニングにおける単回PSA検査を支持しない」としている。

21578.

NASHの肝脂質を迅速かつ有意に減少した新薬/Lancet

 NGM282が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)において、容認できる安全性プロファイルで肝脂質を迅速かつ有意に減少したことが報告された。英国・オックスフォード大学のStephen A. Harrison氏らによる第II相試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年3月5日号で発表された。NGM282は、胆汁酸合成とブドウ糖恒常性を調節する内分泌消化管ホルモンFGF19の、非腫瘍形成性異型として開発された組み換えタンパク質である。NASHには現状、米国FDA承認の治療は存在しないが、今回の結果を踏まえて著者は、「NGM282のNASH治療の安全性と有効性についてさらなる探索を支持するものであった」としている。第II相試験で肝脂肪分の絶対変化について検討 試験は2015年7月14日~2016年8月30日に多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照にて、オーストラリアと米国の、病院および消化器/肝クリニック18ヵ所で、生検によりNASHと確認された18~75歳の患者を集めて行われた。NASHの定義は、臨床研究ネットワークの組織学的評価法に準拠。主な適格基準は、疾患活動度がスコア4以上、線維化ステージ1~3、肝脂肪分8%以上であった。 被験者は、ウェブベースシステムを介して1対1対1の割合で無作為に、3mgまたは6mgのNGM282皮下投与を受ける群とプラセボ群に割り付けられた。糖尿病の状態による層別化も行われた。 主要エンドポイントは、ベースラインから12週時点までの、肝脂肪分の絶対変化。奏効者の定義は、MRI-PDFF(proton density fat fraction)測定で、肝脂肪分の5%以上の減少を達成したことが認められた患者とし、intention to treat法にて有効性を解析した。3mg、6mg投与群ともにプラセボと比較し、12週で5%以上の減少を有意に達成  166例がスクリーニングを受け、82例が無作為化を受けた(3mg群27例、6mg群28例、プラセボ群27例)。 12週時点で、3mg群20例(74%)、6mg群22例(76%)が、奏効者の定義を満たした。プラセボ群は2例(7%)で、相対リスク(RR)は、3mg群 vs.プラセボ群が10.0(95%信頼区間[CI]:2.6~38.7)、6mg群 vs.プラセボ群は11.4(同:3.0~43.8)であった(両比較ともp<0.0001)。 全体で、76/82例(93%)が少なくとも1つの有害事象を経験したが、Grade1の有害事象が最も多く(55例[67%])、Grade3以上はわずか5例(6%)であった。最も多かった有害事象は、注射部位反応(28例[34%])、下痢(27例[33%])、腹痛(15例[18%])、悪心(14例[17%])。また発生頻度は、プラセボ群よりもNGM282投与群で高かった。

21580.

侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第55回

第55回:重篤な患者とのコミュニケーションで役立つ3つの「W」キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちらダートマス大学 腫瘍内科の白井敬祐です。今回お話ししたいと思うのは、前に少し触れた、“Serious Illness Conversation”ガイドラインです。重篤な病気になったときに、どういう話をすれば良いのか、ということを『Compication』とか『Checklist』とか『Being Mortal』という本で有名な、ハーバード大学の外科医であるAtul Gawande氏が主催する財団の1つの取り組みなのですが、重篤な病気になった時(心不全だったり、心筋梗塞だったり、COPDの末期だったり、必ずしもがんである必要はないんですけれども)、どのようにしたら、もっと良い準備をしてもらえるかといいうことで、オペ室で外科医あるいは看護師さんがチェックリストを使うのと同じように、そういった会話にもガイドラインがあれば、医療者側も患者さんも家族もストレスを減らしながら、かつ大事な要点を網羅しながら、話ができるんじゃないか、ということで進められているプロジェクトです。腫瘍内科は、Stage 4、根治が望めない患者さんに話をすることも多いので、そういう話を上手く持っていこうということです。それをいかにフェローに教えるか、インストラクターのためのワークショップが、先月ありました。病院から離れたところで、1日こもって、ポケベルは残念ながら鳴るんですけれども、そういうところに離れて、みっちりとワークショップをしたので、そのことについてお話しをしたいと思います。リーダーは2人の緩和医療ドクターです。夫婦2人とも“緩和医療 命”みたいな感じの仲の良い夫婦なんですけれども、その2人がコーチになって、肺がん専門の医者2人、消化器の専門の医者1人、頭頸部がんの専門家1人の計4人が選ばれて、本当のムースのはく製が飾ってあるような、山小屋に閉じ込められて、1日話をしました。たとえば「もし上手くいかなかったらどういうふうにしたいですか」とか「(バケットストとアメリカではよく言うんですけども)あなたの残された夢は何かありますか」「家族に言いたいことあれば、どんなことですか」とか。医療者側が、その話をするはタイミングが難しいんですね。治療が上手くいっていると、その話には触れにくいし、治療が上手くいってないと、逆にその話がメインになってしまって、準備をするというところまで行かないことも多いです。そういったタイミングを探さなくても、こういうマニュアルや、このリストに沿って話をしましょうと(いうことです)。面白いところは、このリストは、患者さんに見せても良いということになっています。たとえば、患者さんや家族の強みであったり、心配されてることとか、そういうトピックを選びながら「今日はこの話をしましょう」と話すことで、お互いにある程度心の準備ができるので、比較的ストレスが減るのではないかと(いうことです)。もしストレスが減れば、100%にはならないにしても、現在言われてよりは多くの人が、そういった会話に入れるのではないか、という趣旨で始められた企画です。ここで覚えてもらいたいのは、2つの“W、W、W”(です)。(まず)患者さんに話すとき、上手くいかなかった時の“Wish、Worry、Wonder”です。“I wish”ステートメントは、上手くいって欲しかったんだけど、残念がら上手くいかない、そうしたら「I worried、私はあなたのことを心配しています」、「あなたのことを考えてますよ」というメッセージを出して、「I wonder」と進めるんですね。たとえば、患者さんが、もっとアグレッシブなことを望んでおられるときに、医療者から見て、むしろ症状の緩和のほうに力を入れたほうが良いと思ったときには、「I wonder」から始めて、話を進める。“Wish、Worry、Wonder”というステートメントは、迷ったときに非常に便利だと思います。このガイドのミソは、詰まった時に助け船になってくれる(ことです)。患者さんもその逆にそのリスト見ながら、「今、こういうところに会話はあるんだな」と確認できるというメリットがあります。もう一つの“W、W、W”。これはSerious Illness Conversation”ガイドを、フェローや学生に教える時に(使います)。患者さんの気持ちに、ちょっと寄り添えていなかったり…あるいは僕たちがよく説明する時に言うんですけれども…インスリンの量も血糖値が変わると変わりますよね、それと同じように、われわれのコミュニケーションの仕方も、患者さんの反応の仕方によって調節する必要があると。ともすると、「いや、ここはこうしたほうが良かった」「僕ならこうするよ」っていうアドバイスから入りがちなんですけど、どんなフィードバックでも“W、W、W”で始めなさいということを徹底されました。今日も外来で研修を受けた同僚に「How was your WWW? 」とか冗談を言っているのですけれども、それは何かというと“What went well? ”です。「どうしたら良かったのか」とか「もっと上手くできなかったか」とネガティブなことを聞くのではなく、「どこが上手くいったと思う? 」と問いかけることで、教えられる側も改善点がないか考えるきっかけになる。上手くいったというところから始めることで、上手くいかなかったところにも気が付いてもらいやすい(ということです)。“What went well? ”ステートメント、よろしければ明日からの、研究医やスタッフとの会話に冗談で使ってみても良いかも知れません。 (ところで、)ダートマス大学はビジネススクールが有名で、Ron Adnerという教授がいるんですけれども、彼は(日本語訳にもなっている)『Wide Lens』という本を出しています。会社というのは良い製品ができると「これは絶対に市場に受け入れられるはずだ」と、そこばかりを追求して、結局上手くいかないことがあると(言っています)。それはなぜかというと、商品は良くて、それを手にする消費者が喜んでも、流通や小売店など、すべての場所でメリットがないと上手くいかないと(いうことです)。視野を広く持たないと、死角ができて失敗する。Wide Lensを持つことで、できるかぎり失敗を減らせるのではないか、ということを書いたビジネス書なのです。なぜスチーブ・ジョブス(のiPod)は成功して、ほかのMP3プレーヤーが失敗したのかとか、(医療カルテは米国ではEpicという会社が独占しているのですが)GoogleやIBMやOracleオラクルといった大会社も電子カルテにか関わっていたのに上手くいかず、なぜ小さなEpicがのし上がったのか、ということも解説しているので、興味があったら読んでみてください。(前出の)Atul Gawandeが、その『Wide Lens』を読んで共感したようで(広く見ることで、死が運命付けられたような病気にかかったときに、そういう会話を上手くできるということですね)、Ron Adnerにコンタクトを取ってきて、今度話をするみたいです。ちょっとその話を教えてもらいたいと思います。なぜRon Adnerなのかというと、娘が高校の水泳部に入っていて、車で送り迎えをするのですが、その時の待ち友達の1人が、Ron Adnerです。Atul Gawande著 ComplicationAtul Gawande著 The Checklist Manifesto: How To Get Things RightAtul Gawande著 Being MortalThe Conversation ProjectRon Adner著 The Wide Lens

検索結果 合計:35656件 表示位置:21561 - 21580