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大腸がん死亡率、術後フォローアップ頻度の影響は?/JAMA

 StageII/IIIの大腸がん患者において、術後のフォローアップ検査(CT画像検査と腫瘍マーカーCEA検査)の頻度を多くしても、少ない場合と比べて、結果として5年全死因死亡率や大腸がん特異的死亡率は有意に低下しないことが、デンマーク・Abdominal Disease CenterのPeer Wille-Jorgensen氏らによる無作為化試験「COLOFOL試験」の結果、示された。大腸がんの根治手術を受けた患者に対するインテンシブなフォローアップは、臨床において日常となっているが、生存ベネフィットのエビデンスは限定的であった。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告。術後6、12、24、36ヵ月時検査群vs.12、36ヵ月時検査群 COLOFOL試験は非盲検無作為化試験で、2006年1月~2010年12月にスウェーデン、デンマーク、ウルグアイの24施設で治療を受けた2,509例の患者を登録して行われた。被験者は、StageII/IIIの大腸がん患者で、根治手術後、2つのスケジュール(術後6、12、24、36ヵ月時:高頻度、術後12、36ヵ月時:低頻度)によるフォローアップ検査(胸部・腹部CTとCEA検査)のいずれかを受けるよう無作為に割り付けられ、5年間フォローアップを受けた(フォローアップ終了は2015年12月31日)。 主要評価項目は、5年全死因死亡率と大腸がん特異的死亡率。副次評価項目は、大腸がん特異的再発率であった。intention-to-treat解析、per-protocol解析の両者を行い評価した。5年全死因死亡率、大腸がん特異的死亡率、再発率とも有意差なし 2,555例が無作為化を受け、intention-to-treat解析には2,509例が包含された(高頻度群1,253例、低頻度群1,256例)。被験者の平均年齢は63.5歳、女性が1,128例(45%)を占めた。試験を完了したのは2,365例(94.3%)であった。 5年全死因死亡率は、高頻度群13.0%(161/1,253例)、低頻度群14.1%(174/1,256例)であった(リスク差:1.1%[95%信頼区間[CI]:-1.6~3.8]、p=0.43)。5年大腸がん特異的死亡率は、高頻度群10.6%(128/1,248例)、低頻度群11.4%(137/1,250例)であった(リスク差:0.8%[95%CI:-1.7~3.3]、p=0.52)。 大腸がん特異的再発率は、高頻度群21.6%(265/1,248例)、低頻度群19.4%(238/1,250例)であった(リスク差:2.2%[95%CI:-1.0~5.4]、p=0.15)。

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扁平上皮肺がん1次治療、アテゾリズマブ+化学療法でPFS延長。高PD-L1群で顕著(IMpower131)/ASCO2018

 Stage IV扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療に対するアテゾリズマブと化学療法の併用に関する第III相試験IMpower131の結果が、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 IMpower131試験は、化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLCを対象とし、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセルまたはパクリタキセル)の併用と、化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)単独の有効性および安全性を比較検討する、オープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。本試験には、下記の3群に1:1:1に無作為に割り付けた1,021例が登録された。・対象患者:化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLC・試験薬群 ・A群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(Atezo+CP) ・B群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(Atezo+CnP)・対照群 ・C群(対照群):カルボプラチン+nab-パクリタキセル(CnP)・主要評価項目:B群対C群の治験担当医評価によるITT集団における無増悪生存(PFS)およびITT集団における全生存期間(OS)。今回はB群対C群のPFSの発表。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は、Atezo+CnP群6.3ヵ月に対し、CnP群5.6ヵ月(HR:0.71、p=0.0001)、12ヵ月PFS率はそれぞれ24.7%と12.0%であった。・PD-L1サブグループによるPFS  PD-L1高発現(TC3またはIC3)では、Atezo+CnP群10.1ヵ月に対し、CnP群5.5ヵ月であった(HR:0.44)。  PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2)では、それぞれ6.0ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.70)。  PD-L1発現陰性(TC0かつIC0)では、それぞれ5.7ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.81)。・奏効率は、Atezo+CnP群49%に対し、CnP群41%であった。・奏効期間は、Atezo+CnP群7.2ヵ月に対し、CnP群5.2ヵ月であった。・全有害事象発現率は、Atezo+CnP群99%に対し、CnP群97%。各治療法における既知の事項と同様であった。 OSベネフィットは次回の中間解析で発表される。■参考ASCO2018 AbstractIMpower131試験(Clinical Trials.gov)■関連記事アテゾリズマブと化学療法の併用、扁平上皮肺がん1次治療でPFS延長(IMpower131)アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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HER2陽性固形がんに対するDS-8201aの効果/ASCO2018

 HER2標的治療は、HER2陽性の進行乳がんおよび胃がんの生存を改善したが、さらなる改善が必要とされる。DS-8201a(トラスツズマブ・deruxtecan)は、HER2受容体をターゲットとした免疫複合体(ADC)であり、幅広い腫瘍に対して活性を示す。現在、進行固形がんの拡大コホートを用いた大規模な第I相試験が行われている。 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)では、T-DM1治療後のHER2陽性(IHC3+またはISH+)乳がん、トラスツズマブ治療後のHER2陽性(IHC3+またはIHC2+/ISH+)胃がん、HER2低発現(IHC2+/ISH-、IHC1+/ISH-)乳がん、その他のHER2陽性(IHC≧1+またはHER2増幅またはHER2変異)固形がん患者を対象に実施された、この第I相試験の中間解析結果(2018年4月18日データカットオフ)が、愛知県がんセンター 岩田 宏治氏により発表された。 HER2陽性乳がん患者111例、HER2低発現乳がん患者34例、HER2陽性胃がん患者44例、その他のHER2陽性固形がん患者51例が、DS-8201aの推奨用量である5.4または6.4 mg/kgで治療を受けた。 主な結果は以下のとおり。・患者の前治療数の中央値は、HER2陽性乳がん患者7.0、HER2陽性胃がん患者7.5、HER2低発現乳がん患者3.0、その他のHER2陽性固形がん患者3.0であった。・全体として、86.3%の患者で腫瘍縮小効果が確認され、このうち91.5%の患者が6週後の画像評価時に縮小が確認された。全奏効率(ORR)は49.3%であった。・がん種別ORRは、HER陽性乳がん54.5%、HER2低発現乳がん50.0%、HER2陽性胃がん43.2%、その他のHER2陽性固形がん38.7%であった。・病勢コントロール率は、HER陽性乳がん93.9%、HER2低発現乳がん85.3%、HER2陽性胃がん79.5%、その他のHER2陽性固形がんでは83.9%であった。・奏効期間中央値は、HER2陽性乳がんでは未到達、HER2低発現乳がんでは11.0ヵ月、HER2陽性胃がんでは7.0ヵ月、その他のHER2陽性固形がんでは12.9ヵ月であった。・有害事象(Treatment-emergent adverse events)の発現は98.8%、うちGrade3以上は50.2%であった。 DS-8201aは、高度な前治療歴のあるHER2陽性の乳がんおよび胃がん患者に対し、高い抗腫瘍活性を示し、管理可能な安全性プロファイルを示した。■参考DS-8201a第1相試験(Clinical Trials.gov)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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皮膚がんの遠隔ダーモスコピー診断による費用対効果は?

 遠隔ダーモスコピー診断(teledermoscopy)は、皮膚がん診断の有望な方法となる可能性が報告されているが、経済的な調査はされていなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のCentaine L. Snoswell氏らはオーストラリアでの費用対効果を検討し、遠隔ダーモスコピー診断の利用は、1例当たり54.64オーストラリアドルの追加費用を要するものの、通常の診療情報提供書などによる依頼に比べ、臨床的な解決が26日早まることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「遠隔ダーモスコピー診断の実施を勧告するかどうかは、オーストラリア医療制度の政策決定者が、より低コストか、あるいは臨床的解決までの日数短縮か、どちらを選択するかによる」としたうえで、「臨床的解決の優先が臨床的な意義を果たし、そして患者にとって重要かどうかについての研究を行うことで、遠隔ダーモスコピー診断が推奨されるようになるかもしれない」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年5月9日号掲載の報告。 研究グループは、オーストラリアにおける皮膚がんの診断と治療の紹介過程としての遠隔ダーモスコピー診断の費用対効果を評価する目的で、一般公開されているプライマリケアのデータを活用し、決定分析モデルを作成して費用効果分析を行った。 皮膚がんが疑われる場合の皮膚科専門医への紹介について、遠隔ダーモスコピー診断(デジタルダーモスコピー画像を含む電子紹介システム)と通常診療(診療情報提供書による依頼)の費用を比較した。 主要評価項目は、臨床的な解決までの費用と日数で、臨床的な解決は皮膚科医による診断または一般開業医による切除と定義した。 主な結果は以下のとおり。・決定分析モデルによる解析の結果、臨床的な解決までに要した日数は、遠隔ダーモスコピー診断が平均9日(範囲:1~50)に対し、通常診療のみでは平均35日(同:0~138)で、日数差は26日(95%確信区間[CrI]:13~38)であった。・患者1人当たりの推定平均費用は、遠隔ダーモスコピー診断が318.39オーストラリアドル、通常診療が263.75オーストラリアドルで、差は54.64オーストラリアドル(同:22.69~97.35)であった。・増分費用効果比は、2.10オーストラリアドル/日(同:0.87~5.29)であった。

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大腸がんの術後再発リスクの予測を高精度とする免疫スコア(解説:上村直実氏)-869

 大腸がんの術後再発リスクに関しては、TNM分類や腫瘍組織の分化度により再発リスクが異なることが知られている。一方、最近では、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの免疫に関与する治療薬が、肺がんをはじめとする固形がんの治療に大きな役割を果たす時代となってきている。このような現状から、がんの再発予測因子に免疫能に関するパラメータが重要になることが予想されていた。 今回、日本を含む13ヵ国14センターの合同チームにより、大腸がんの腫瘍部と腫瘍浸潤先進部の組織を用いて免疫担当細胞(CD3+T細胞および細胞傷害性CD8+T細胞)の密度によるImmunoscore(免疫スコア)を算出した結果、TNM分類の同じステージであっても、この免疫スコアの高低により大腸がん術後5年間の再発リスクが異なることがLancet誌に報告された。すなわち、腫瘍部および先進部におけるCD3+T細胞とCD8+T細胞の免疫染色動態から定義される免疫スコアが高ければ高いほど、同じTMNステージであっても、再発リスクが低い可能性が示された。さらに、この免疫スコアと再発までの期間に関する関連は、TNM分類のみでなく従来から再発予測因子とされていた年齢、性別、マイクロサテライト不安定などから独立したものであった。 さらなる検証が必要ではあるものの、今回の報告から、TNM分類などの既知の予後因子に免疫スコアを加えた術後再発に関する新たなリスクスコアを作成することにより、大腸がん手術後の治療方針とくにアジュバンドに用いる薬剤を選択して用いることが可能となることが期待される。

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アメリカン・スナイパー【なぜトラウマは「ある」の?どうすれば良いの?】

今回のキーワード心的外傷後ストレス障害(PTSD)過覚醒陰性症状侵入症状進化精神医学心的外傷後成長(PTG)みなさんは、トラウマがありますか? トラウマとはどんなものでしょうか? そもそもなぜトラウマは「ある」のでしょうか? そして、トラウマにどうすれば良いのでしょうか?これらの疑問を解き明かすために、今回は、2015年の映画「アメリカン・スナイパー」を取り上げます。この映画を通して、トラウマを進化精神医学的に掘り下げ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の理解を深め、私たちの身近な「トラウマ」への対策をいっしょに考えていきましょう。アメリカン・スナイパーとは?2000年代のイラク戦争で、スナイパーとして活躍した実在の人物、クリス・カイルの一生が描かれています。彼は、米軍史上最多160人を射殺した伝説のスナイパーとして英雄視されていました。一方で、PTSDの症状で苦しみながらも、良き夫、良き父でありたいと願う一人の男なのでした。クリスは、軽い冗談を言って、よくふざけます。また、後に妻となるタヤと初めて出会った時は、「おれは国のために命を捧げる」と真面目に言い切ります。彼は、もともと、カウボーイにはまる素朴で陽気なテキサス人でした。トラウマとは?そんなクリスは、特殊部隊のスナイパーとして、4回に渡り戦地に派遣され、合計1000日ほど戦地で過ごします。彼は、帰ってくるたびに、少しずつ人が変わっていきます。このトラウマの症状(PTSD)を主に3つに分けて整理してみましょう。(1)過覚醒―「心のアレルギー反応」現地のアメリカの協力者が、反政府武装勢力に捕らえられ、見せしめにその子どもがドリルで傷付けられ殺されるというおぞましいシーンがあります。それを目の当たりにしたクリスは、その後帰国してから、些細な機械音に落ち着かなくなります。車の修理場で、ドリルの音を聞いただけで、何度もびくっとします。特定の刺激に敏感になっています(易刺激性)。赤ちゃんが生まれた時、自分の赤ちゃんが泣いているのに放っておかれていると思い込み、看護師を怒鳴りつけます(易怒性)。和気あいあいとしたバーベキューパーティで、子どもにじゃれてきた犬を噛み付いてきたと勘違いして、殴り殺そうとします(警戒心)。1つ目は、このように平穏なはずの自国でも常に戦闘態勢になってしまう過覚醒です。まさに、戦地での音や窮地の状況などの記憶が「アレルギー物質」となり、似たような音や状況で「心のアレルギー反応」を引き起こしていると言えます。(2)侵入症状―「心の囚われ」クリスは、帰国して家のリビングルームにいても、頭の中では銃声や爆撃の音、子どもの泣き声や叫び声が聞こえ、戦地での場面場面が見えています(フラッシュバック)。もちろん目の前のテレビはついていません。血圧を測定すると170/110で、治療が必要な高血圧になっています。妻から「心も戻ってきて」「もう行かないで」と何度も懇願されても、取り憑かれたように「国を守る」と言い、また戦地に向かいます。原作では、自国で銃撃戦のシミュレーションゲームを行っている時は心拍数と血圧が安定していて、ゲームが終了するとどちらも不安定になったと述べています(自律神経症状)。4度目の派遣を終えて帰国した時は、落ち着かず、すぐに家に帰れない精神状態になっていました(不安焦燥)。2つ目は、このような極限状況の体験が侵入してくる侵入症状です。まさに、戦地の状況に取り憑かれ、染まってしまう「心の囚われ」が起こっています。(3)陰性症状―「心の麻痺」クリスは、帰国しても落ち着かず、外出を避けるようになります(回避)。妻との何気ない話も上の空です(集中困難)。そして、子どもたちの成長を聞いても、喜ぶどころか無表情で無感情になっています(感情麻痺)。診察した医師から「160人も殺した経験を後悔していないか?」と問われると、「全く後悔していない。おれは野蛮人から味方を守っただけだから。そのことは神にも説明できる」「後悔しているのは、味方を救えなかったこと」「また戦地へ行って、もっと救いたい」と答えます。また、原作で彼は、戦地から帰国する時に「仲間を見捨てて逃げているように感じていた」と述べています。彼は自分が生き残っているのに十分に役に立てなかったという罪悪感を抱いているのでした(サバイバーズ・ギルト)。ある時、街中でたまたま出会った元兵士から「自分を救ってくれた」と感謝されますが、クリスは覚えていません。原作で彼は、「覚えているのは、救った人ではなく、救えなかった人だ」「その顔や場面だ」と言っています。彼にヒーロー願望はないのでした。3つ目は、このような抜け殻になってしまう陰性症状です。まさに、戦地での体験によって「心の麻痺」が起こっています。なぜトラウマは「ある」の?なぜトラウマになるのでしょうか? それは、クリスのように戦地で死にそうになったり、目の前で人が死ぬなど重度ストレスがあるからです。それでは、そもそもなぜトラウマは「ある」のでしょうか? そのメカニズムを大きく3つに分けて、進化精神医学的に考えてみましょう。(1)危険に備える約5億年前に誕生した魚類は、天敵などの危険に警戒する扁桃体を進化させました。重度ストレスとなる大きな危険を体験した後は、同じように危険な目に遭っても逃げられるように、易刺激性や警戒心など常に交感神経が亢進した過覚醒が出現するようになったと考えられます。つまり、トラウマの症状である過覚醒は、その危険に備えるために必要なメカニズムだから、「ある」と言えるでしょう。(2)危険を避ける約2億年前に誕生した哺乳類は、生まれてからより多くの記憶の学習をする脳を進化させました。重度ストレスとなる大きな危険を体験した後は、同じように危険な目に遭わないように、フラッシュバックや悪夢など繰り返し、その時の状況を疑似体験できる侵入症状が出現するようになったと考えられます。つまり、トラウマの症状である侵入症状は、その危険を避けるために必要なメカニズムだから、「ある」と言えるでしょう。(3)危険に染まる約700万年前に誕生した人類は、その後森から草原に出て、協力するために集団に合わせる脳を進化させました(社会脳)。重度ストレスとなる大きな危険を体験した後は、同じような危険な目に遭っても、感情麻痺やサバイバーズ・ギルトなどのように、取り乱さずに集団のために役に立とうと順応する陰性症状が出現するようになったと考えられます。ただし、PTSDから二次的に併発したうつ病の症状は、陰性症状とは別に分けて考えます。つまり、トラウマの症状である陰性症状は、その危険に染まるために必要なメカニズムだから、「ある」と言えるでしょう。トラウマに対してどうすれば良いの?それでは、トラウマに対してどうすれば良いでしょうか? クリスほどのトラウマではないにしても、私たちも同じように忘れたくても忘れられない「トラウマ」があるでしょう。例えば、いじめ、裏切り、仕事の失敗、そして失恋などです。クリスが除隊後にしてきたことを通して、私たちの「トラウマ」にもできる対策を大きく3つに分けてみましょう。(1)トラウマを色あせさせるクリスは除隊後、息子を猟に連れ出し、娘を牧場に連れ出すなど家族との時間を大切にしています。戦地で脳に刻まれたトラウマの記憶よりも、平和な日常生活の記憶が上書きされていきます。このように、1つ目はトラウマを色あせさせることです。これは、時間をかけて普通に日常生活を送ることを積み重ねることです。最近では、そもそもトラウマにさせない、PTSDの発症の予防策の研究が進められてます。それは、トラウマ体験から6時間以内にコンピューターゲームのテトリスをやり続けることです。これは、記憶の学習をするレム睡眠中にゲーム体験の学習を多く占めるように仕向けることで、逆にトラウマ体験の学習をある程度阻害することができると説明されています。私たちも同じように、つらいことがあった時は、そればかりに思い悩まずに、代わりに別のことをやる、つまり気晴らしが治療的であると言えるでしょう。(2)トラウマを共有するクリスは除隊後、体や心に傷を負った帰還兵の戦地での体験談を聞きます。また、射撃訓練を通して、帰還兵のサポートという役回りを買って出ます。帰還兵たちとのつながりを大切にしています。このように、2つ目はトラウマを共有することです。これは、お互いに分かり合えて助け合える自助グループなどの集団療法にもつながります。支えることは支えられることでもあります。私たちも同じように、つらいことがあった時は、それを心の奥底に押し込めるのではなく、分かってもらえる人に話す、つまり心の風通しが治療的であると言えるでしょう。(3)トラウマを塗り替えるクリスは除隊後、イラク派遣での経験を生かし民間軍事会社を設立し、講演活動や執筆活動を行っています。160人も殺したことに後悔を持たないよう、その経験を次のキャリアに役立てています。このように、3つ目はトラウマを塗り替えることです。これは、トラウマに新たなプラスの意味付けをする認知行動療法や眼球運動脱感作再処理法(EMDR)にもつながります。私たちも同じように、つらいことがあった時は、それを単なる黒歴史のままにしておくのではなく、笑い話のネタにする、つまりユーモアのセンスが治療的であると言えるでしょう。PTSDからPTGへクリスは、やがてトラウマを乗り越えます。再び、冗談ばかりを言う家族思いのかつてのクリスに戻ります。そして、帰還兵を支援し、会社を興すなどの社会貢献をして、人生をより前向きに生きるようになります。もはやただのカウボーイ好きではなくなりました。このように、トラウマは、心の傷というマイナス面だけでなく、傷が癒えた後に成長するというプラス面もあることが分かります。これは、心的外傷後成長(PTG)と呼ばれています。私たちは、PTSDからPTGへというトラウマの両面性をより良く理解することで、この映画から、より多くのことをよりリアルに学ぶことができるのではないでしょうか?1)アメリカン・スナイパー:クリス・カイルほか、ハヤカワ文庫、20152)こころの科学「トラウマ」:加藤寛編、2012年9月号3)PTGの可能性と課題:宅香菜子編、金子書房、2016

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「最近、楽しいことがない」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第18回

■外来NGワード「何か、趣味を見つけなさい!」(患者に投げやりな言動)「何か、楽しいことをしなさい!」(具体的な解決方法がない言動)「人生、楽しいことばかりじゃありません」(説教とも捉えられる言動)■解説 国際連合が2012年から毎年発表している「世界幸福度報告書」の2018年版1)によると、156ヵ国中、幸福度ランキングの上位を占めたのはフィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北欧で、日本は54位でした。この幸福度は、人口当たりのGDP、社会的支援、健康寿命、生き方の自由度、他者への寛容さ、社会への信頼感を主な指標として、過去3年間の平均値を算出しています。個人の幸福度は、「家族・友人・仲間がいる、仕事や役割がある、楽しみを持っている、健康である、運動習慣がある、経済的に余裕があること」などで左右されると言われています。最初のポジティブ心理学における強み研究では、「寝る前に3つの良いことを書き出す作業を1週間続けると、その後6ヵ月間にわたって幸福度が向上し、抑うつ度が低下した」と報告されました2)。その後の研究では、自分の強みを見つけ、それを活用することが幸福度を向上させることが明らかになりました3-5)。たとえば、向学心(知恵・知識)、熱意、他人から愛される人間性、チームワーク、謙虚さ、感謝、未来への希望など、自分の強みを見つけたら活用法を考えることができますが、そんな立派なもの持っていない…という患者さんには、日常の小さな幸せを見つけてもらいましょう。今日の朝ごはんがおいしかったとか、街中で見かけた花がきれいだったとか、今日はすっきり晴れて気持ちのいい天気だったとか、何でもよいのです。幸福度の向上作戦を、試してみてはいかがでしょうか。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近の調子はいかがですか?患者身体の方は大丈夫なんですが、昔ほど毎日が楽しくないんです。医師なるほど。(うつ病を除外したあとに)とくに、うつなどの症状はなさそうですし…。楽しくなる方法を、一緒に考えてみますか?患者よろしくお願いします。医師1週間だけ、寝る前に10分間やってほしいことがあるんです。患者それは何ですか?(興味津々)医師その日にあった良いこと、楽しいことなどを3つ思い出してみてください。患者えっ、それだけでいいんですか?医師はい。それをこの紙に書き出して、どのように感じたか、メモをしてみてください。患者なるほど。医師1週間続けると、その後半年もの期間、幸福度が増したという研究結果があるんです。患者すごいですね。それなら、ちょっとやってみようかな。医師やり方にも工夫がありますので、やってみた感想を次回、教えてもらえますか?患者はい。わかりました。(うれしそうな顔)■医師へのお勧めの言葉「1週間、寝る前に、その日あった良い出来事を3つ書き出してみませんか?」■参考スライド1)World Happiness Report20182)Seligman ME, et al. Am Psychol. 2005;60:410-421.3)Seligman ME, et al. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 2004;359:1379-1381.4)Tse S, et al. Int J Soc Psychiatry. 2016;62:281-291.5)Gander F, et al. Front Psychol. 2016;7:686.

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バージャー病〔Buerger's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義動脈閉塞症の1つである。バージャー病(Buerger's disease)の呼称は、本疾患を閉塞性血栓血管炎(thromboangiitis obliterans:TAO)として初めて記述したLeo Buerger(ドイツ語読みではビュルガー)氏に由来する。四肢末梢の主として下腿以遠や前腕以遠の動脈に、分節的に炎症性の血栓閉塞を生じ、しばしば肢端に潰瘍や壊死を来す。動脈のみならず、皮下静脈にも移動性かつ再発性の血栓性静脈炎(逍遥性静脈炎/遊走性静脈炎)を生じる。発病や経過には喫煙が深く関与する。■ 疫学20~40代の喫煙者に好発し、男性患者が大半である。動脈病変が生じる頻度は、下肢のほうが上肢よりも高い。元より希少疾患であるが、先進国ではさらに減少し、わが国でも1970年代から減少の一途をたどっている。一方で、中国、インド、トルコなどでは依然として比較的多くの発症がみられる。■ 病因病因は未解明だが、喫煙は発病の強力な誘因であり、病気の進行を助長する。感受性遺伝子や免疫機序の関連を指摘した報告もある。近年では、歯周病菌感染の関与が注目されている。■ 症状初診時の症状は、足趾や手指の冷感、感覚異常、疼痛、虚血性紅潮やチアノーゼ、レイノー現象が多く、すでに潰瘍や壊死を生じている患者も少なくない。間歇性跛行や労作時痛は、初期には足底筋や手部に生じるが、患者にはあまりはっきりと自覚されないことが多く、虚血による症状とも気付かれにくい。あるいは整形外科的な疾患と判断されがちである。虚血のせいで、爪周囲のささくれや靴擦れなどささいな傷が、治りにくく易感染性で、しばしば急速に潰瘍形成や壊死へと進行する。潰瘍や壊死部には、強い疼痛を伴うことが多い。逍遥性静脈炎は、動脈病変に先行することも、後から生じることもある。皮下に索状の有痛性硬結を生じる。■ 予後喫煙が影響する。病勢は禁煙によって寛解することが多く、逆に喫煙を続ければ進行性で、肢の大切断への危険が高まる1)。肢の大切断は、患者の運動機能を低下させ、生活を著しく阻害する。通常は四肢以外の臓器が侵されることはなく、生命予後は良好とされるが、患者を生涯観察したデータは少ない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)特異的な診断マーカーがないため、臨床診断、すなわち症状および臨床所見と動脈の画像所見に基づき、他疾患を除外して診断を行う。若齢発症、喫煙歴、逍遥性静脈炎の既往は、本疾患の診断を後押しする2)。■ 臨床所見前述のような慢性虚血の症状や、逍遥性静脈炎がみられる。身体診察では、患肢の末梢部での皮膚温低下や、動脈拍動の減弱・消失をみる。下肢の虚血を確認する検査には、足関節血圧や足関節上腕血圧比(ankle brachial index:ABI)の測定がある。ただし、本疾患では足関節以遠に病変を有することが多く、ABIだけでは評価が不十分なこともありうる。したがって、手足の指尖容積脈波、足趾血圧や足趾上腕血圧比(toe brachial index:TBI)、手指血圧も測定する。皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP)や経皮酸素分圧(transcutaneous oxygen tension:tcPO2)などの微小循環検査も虚血の重症度評価に役立つ。レイノー現象の再現には、冷水負荷でのサーモグラフィー検査が有用である。■ 動脈の画像所見通常、下腿以遠や前腕以遠の動脈に病変がある。病変部には、動脈硬化性の壁不整(虫食い像、石灰化沈着など)がない。閉塞は途絶状や先細り状が多く、多発的分節的閉塞を呈する。また、しばしば二次血栓による閉塞の延長を伴う。慢性閉塞であるため側副血行路が発達し、コルクの栓抜き状(コイル状)や樹根状、ブリッジ状を呈する3)。ただし、これらは動脈硬化のない慢性動脈閉塞に共通の非特異的な所見であり、膠原病などでも類似の所見がみられる。膠原病では側副血行路の発達が乏しいとされるが、画像だけから両疾患を鑑別するのは難しい。■ 鑑別すべき疾患とくに閉塞性動脈硬化症との鑑別が重要である。病理組織学的には明らかに異なる疾患であるが、動脈の組織診を行うのは容易ではないため、画像検査で罹患部位に動脈硬化の所見がないことが、1つの重要な鑑別点である。患者が動脈硬化の危険因子を喫煙歴以外に有さないことも、鑑別診断の材料になる。しかし、近年は若年者でも脂質代謝、耐糖能、血圧の異常を有することが多い。加えて、動脈硬化は10代から始まるともいわれる。さらに、画像診断が進歩し、微細な初期変化を捉える可能性もあるため、診断にはより慎重な判断が求められる。全身性エリテマトーデスや強皮症などの膠原病との鑑別のためには、発熱や体重減少などの全身症状、他臓器の血管炎症状、免疫学的血液検査の所見などを評価する。外傷性動脈血栓症との鑑別には外傷歴が重要で、慢性外傷の可能性も念頭に、職業歴やスポーツ歴など患者の訴えに上がらないことも含め、多方面から病歴聴取を行う。とくに上肢で近位部に病変がある場合は、胸郭出口症候群による血栓症や塞栓症も疑う。下腿の虚血性疾患として、膝窩動脈捕捉症候群や膝窩動脈外膜嚢腫との鑑別には、膝窩部の触診と、動脈周囲の軟部組織を含めた画像検査を行う。動脈と静脈の両者を侵す疾患である血管ベーチェット病とは、口腔内アフタや陰部潰瘍など、他の皮膚症状や眼病変、動脈瘤の検索などを行い鑑別する。心房細動や心筋梗塞後の左室瘤に起因する血栓塞栓症との鑑別には、心エコー図検査が有用である。動脈瘤からの飛散血栓による塞栓症や、動脈壁の不整形粥腫に起因するコレステリン塞栓症などとも鑑別を要する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)バージャー病の治療目標は、救肢ならびに疼痛からの解放である。耐え難い疼痛は患者の精神をむしばむことがあり、若年での肢切断は生活と将来に多大なダメージを与える。治療における最重要かつ最難関の課題は、「禁煙」である。タバコは本疾患の誘発および増悪因子であるため、すべての患者で最初に行うのは禁煙を含めた保存的治療である。禁煙を厳守し続ければ、それだけで病状の寛解は期待できる。逆に、喫煙を続ければ、指趾や肢の切断に至る危険が高まる。保存的治療で重症虚血が軽快しない患者では、外科的治療を考慮する。いかなる治療も、有効性は禁煙を継続できるか否かによって左右されうる。■ 保存療法本疾患の炎症を抑える特効薬はない。禁煙を徹底し、受動喫煙も回避する。手足に傷や靴擦れをつくらないよう保護し、清潔を保つ。履物にも注意し、手足の皮膚に異常がないかを患者自身でも観察してもらう。本疾患の発症には歯周病菌の関与も示唆されており、口腔内の衛生も保つ。潰瘍や壊死、安静時痛がなく、ある程度の距離を歩行できる患者では、運動療法も間歇性跛行の歩行距離の延長に効果がある。血流改善を目的とした薬物治療では、プロスタグランジン製剤(アルプロスタジル注、リポPGE1、リマプラスト、ベラプロスト)が有効といわれる。ただし高いエビデンスは示されておらず、無効例も少なくない。経口投与で効果が不十分な場合は、経静脈投与やカテーテル留置による経動脈投与も考慮する。■ 外科的治療保存療法で安静時疼痛や潰瘍・壊死が改善しない場合は、血行再建術を考慮する。ただし、下肢では病変が下腿以下の細径動脈に多発し、良好なrun-offを期待できる開通先がないことが多い。下腿以下へのバイパス手術では、代用血管に自家静脈の使用が勧められるが、自家静脈が静脈炎で荒廃し、利用できない場合もある。近年では血管内治療について、再狭窄率が高く反復治療を要するものの、肢切断の回避率はバイパス術と劣らず、バイパス手術が不可能な患者に対しては選択可能との見解もある4)。血行再建術が不可能な患者では、上肢では胸部の、下肢では腰部の交感神経遮断術を考慮する。虚血が改善しない肢には、激しい疼痛を伴うことが多い。一般の鎮痛薬では疼痛制御が困難なことが多く、オピオイド系鎮痛薬がしばしば必要になる。フェンタニル貼付薬は、保険診療にて使用可能である。これらの治療で改善しない潰瘍や疼痛、広範囲な壊死や荷重部の壊死、制御できない感染を伴う場合などは、肢切断もやむを得ない。上肢では交感神経遮断で症状が落ち着くことが多く、血行再建術や大切断を要することは少ない。4 今後の展望血管内治療のデバイスや技術の進歩は、近年目覚ましい。バイオテクノロジーを駆使した、各種の血管新生療法(遺伝子治療、細胞移植療法など)5)や、抗血栓性に優れた人工血管の開発も著しい進展をみせており、本疾患の肢虚血でも治療の向上が期待される。また、病因の解明が進めば、本疾患の予防や根治的な治療にもつながりうる。5 主たる診療科血管外科、心臓血管外科、循環器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター バージャー病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患等政策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究(医療従事者向けの情報)患者会情報北海道バージャー病友の会(患者とその家族向けの情報)1)Shigematsu H, et al. Int Angiol. 1999;18:58-64.2)Shionoya S. Cardiovasc Surg. 1993;1:207-214.3)塩川優一 編集. 厚生省特定疾患系統的血管病変に関する調査研究班臨床分科会報告書.厚生省公衆衛生局難病対策課;1977.p.1-38.4)Ye K, et al. J Vasc Surg. 2017;66:1133-1142.5)Kondo K, et al. Circ J. 2018;82:1168-1178.公開履歴初回2018年06月12日

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医療監修がしっかりしているマンガ【Dr.倉原の“俺の本棚”】第6回

【第6回】医療監修がしっかりしているマンガ医療マンガってたくさんあるんですけど、比較的医療監修がしっかりしているなと感じるものに、『医龍』(小学館)、『コウノドリ』(講談社)などがあります。いずれもすでにテレビドラマ化されている、有名作品です。私はその中でも、『コウノドリ』は群を抜いて監修がしっかりしているなと感じています。医療監修って大事ですよね。最近、テレビドラマの『ブラックペアン』で治験コーディネーターの役割が実際と違うだの、医学論文のインパクトファクターの扱いがおかしいだの、いろいろ意見が出ました。医療監修は入っているんでしょうけど、「実際の現場と全然違う」という違和感があると、医療従事者はどうも楽しめなくなってしまいます。とか言いつつ、わが家では夫婦そろって『ブラックペアン』を毎週見ているんですけど。いかん、話が脱線してしまった。そうそう、医療監修の話。医療マンガを紹介するからといって、ここで周知の『コウノドリ』を紹介するようでは、何も面白くない。とゆーわけで! 皆さん、『麻酔科医ハナ』をご存じでしょうか?『麻酔科医ハナ』松本 克平/著(監修)・なかお 白亜/画.双葉社.2008-(連載中)これも医療監修がしっかりしているなぁと感じる、私のお気に入り医療マンガの1つです。医師の中でも、10人に2人くらいしか知らないと思います。初期研修が終わったばかりの後期研修医である、華岡ハナ子が主人公です。大学病院の麻酔科に入局したピヨピヨ麻酔科医です。『医龍』や『コウノドリ』のようなシリアスな話は少なく、基本的にはコミカルで、のほほんとした話が多いです。また、男女ともにウケがよさそうな、ほんわかしたきれいな絵です。ちょっと主人公の巨乳が強調され過ぎたり、セクハラが日常茶飯事で登場したり、今の時代にはケシカランことも描かれていますが、出てくる麻酔の場面やトラブルなどが非常にリアルで、使用する物品も実際使われているものが多いです。かなり医療監修を厳格にしている印象です。とくに、若手医師の皆さんなら絶対に楽しめると思うので、ぜひ読んでみてください。麻酔科ローテートの前に読むと、ちょうどいいかもしれませんね。まだ6冊しか出ていないので、全巻一気に買っても損はしませんよ。しかし、1年に1冊発刊されるかされないか、というペースでの出版なので、ファンとしてはなかなかじれったいマンガです。『麻酔科医ハナ』 既刊6巻(アクションコミックス)松本 克平/著(監修)・なかお 白亜/画出版社名双葉社定価各巻本体600円+税サイズB6判刊行年2008年~2017年(1~6巻)

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これがMRによる不適切な情報提供の実態【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第2回

医療用医薬品の広告には法的規制や自主規範があり、MRなどから医療者への医薬品の情報提供には制約があります。その医療用医薬品の広告活動が適切に行われているかどうかに関する調査が実施され、報告書が2018年3月に作成、5月11日に公表されました。調査は、厚生労働省により2017年度中に5ヵ月間行われました。全国の医療機関の中からモニター医療機関を選定し、問題がありそうな事例を報告してもらい、それが法令違反に該当するかどうか行政上の判断を行うというものです。今後、行政指導などの必要な対応を図り、また製薬会社や医薬業界の自主的な取り組みを促すことで、医薬品の広告活動の適正化を図るために実施されました。調査対象は、MRなどの情報提供活動や広告資材、講演会だけでなく、専門誌や製薬会社のホームページも含まれており、医療機関における情報収集の実態に沿ったものとなっています。調査の結果、52の医薬品などで適切性に関する疑義報告があり、違反が疑われる項目は67件でした。今回は、健康被害への重大性や悪質性の観点からただちに取り締まりが必要となる事案はなかったため、違反事例に対しての処罰はないものと思われます。クローズドな場で資料配布せず意図的に疑義報告が行われた情報の入手ルートですが、1位が「企業による製品説明会」で34.6%、2位が「MRによる口頭説明」で30.8%でした。疑わしい事例の分類としては、1位が「事実誤認の恐れのある表現を用いた」が41.8%と断トツで多く、次いで「事実誤認のあるデータ加工を行った」が14.9%、「未承認の効能効果や用法用量を示した」が11.9%と続きました。具体的な事例として、以下が挙げられていました。原料の供給が需要に追い付かないため、患者の状態に応じた半量投与など、投与量の適宜増減を依頼する紙面案内があった。根拠となるデータを示すことなく「半量投与でも効果はまったく変わらない」と口頭で説明された。→効能効果について根拠のない情報提供自社のAG(オーソライズド・ジェネリック)と他社の後発医薬品との差異について、「胃炎・胃潰瘍治療剤は胃に直接作用するため、薬剤の溶出性などの動態が重要となる。効果を最大限に得るためには先発医薬品と製剤方法や添加物がすべて同等であるAGが最適である」と説明された。→根拠のない情報提供および他社製品の誹謗中傷発言パンフレットに補助線が引かれるといった加工が行われており、他社製品との差を強調している印象を受けるものであった。→補助線の追加と着色による誇大表現この報告書のまとめには、この調査によって以下の3点が明らかになったとされています。1.企業のMRが行う製品説明会や医療機関を訪問しての情報提供、登録制の企業ホームページといった「クローズドな場」において不適切な情報提供が多く行われている。資料を配布しないなど、意図的に不適切な情報提供を行っている可能性が疑われる事案もあった。2.調査期間の長期化とモニター医療機関の拡大により、不適切事例の把握数が増加した。モニター調査の継続的な実施と拡大は、企業の不適切な情報提供に対して一定の抑止力になる。3.広告監視モニターが広告監視の視点を身につけるうえで、不適切事例の共有が効果的であった。事例の精査には、実際の事例によって、不適切な情報提供のパターンやポイントを学習することが重要。製薬会社側も不適切な情報提供を問題視しているのか、最近では医療機関からの質問をその場でMRが回答することを禁じ、MA(メディカルアフェアーズ)やDI部門から後日回答する会社が複数あると聞きます。今後こうした事例は少なくなっていくのでしょうが、いずれにせよ私たち医療者は、最新の医薬品や医療の勉強を製薬会社に任せっきりにしたり、内容をうのみにしたりせず、客観的に評価する目を持つ必要がありそうです。平成29年度 医療用医薬品の広告活動監視モニター事業報告書

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胃がん予防効果が得られるアスピリン投与量は?

 アスピリンが特定のがんの予防効果を有することが、多くの研究で報告されている。今回、米国・ワイルコーネル医科大学のMin-Hyung Kim氏らは、韓国の一般集団において、アスピリン使用と胃がんの用量反応関係を評価し、胃がん予防効果を得るためのアスピリン累積投与量の閾値を推定した。The American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2018年6月1日号に掲載。 本研究では、韓国の国民健康保険サービス(NHIS)による集団ベース縦断コホートの46万1,489人について、2007~12年における胃がん発症を同定した。2002~06年のデータをレビューし、DDD(defined daily dose)システムを使用して累積投薬曝露を評価した。アスピリン使用の胃がんに対するハザード比(HR)を、多変量Cox比例ハザード回帰を用いて推定した。また、研究デザインによるばらつきを評価するために、傾向スコアマッチングおよびコホート内ケースコントロールデザインを含む感度分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・296万5,500人年のフォローアップから5,674人に胃がんが確認され、胃がん全体の発症率は10万人年当たり191.00であった。・3DDD-年以上のアスピリン使用は、非使用に比べて有意な胃がん予防効果を示した。調整後HR(95%信頼区間)は、3~4DDD-年で0.79(0.63~0.98)、4~5DDD-年で0.63(0.48~0.83)であった(傾向のp<0.001)。・傾向スコアマッチングとコホート内ケースコントロールデザインを用いた感受性分析により、一貫したアスピリンの化学予防効果が示された。

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未熟児網膜症、遠隔医療で正確な診断可能

 未熟児網膜症(ROP)は、一般的に双眼倒像鏡眼底検査を用いて診断される。遠隔医療による未熟児網膜症の診断については、これまで、その正確さを対面診断の眼底検査と比較して評価する研究が行われてきた。しかし、対面診断が遠隔診断より本当に正確かどうかはわかっていない。米国・オレゴン健康科学大学のHilal Biten氏らは多施設共同前向きコホート研究を行い、臨床的に意義のあるROPの発見において、対面診断と遠隔診断との間で概して正確さに差はなかったが、平均すると対面診断のほうがzone IIIおよびstage 3 のROPの診断精度はわずかに高いことを明らかにした。ただし著者は、「どちらの診断法も検者によって変数精度があることを警告しつつ、今回の結果は、臨床的に意義のあるROPの診断法として、遠隔医療の利用を支持するものである」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2018年5月号掲載の報告。 研究グループは、ROPの診断における眼底検査の対面診断と遠隔診断の精度と感度を比較する目的で、2011年7月1日~2014年11月30日に、米国およびメキシコの新生児集中治療室および大学病院の眼科、計7施設において、多施設共同前向きコホート研究を行った。 対象は、ROPのスクリーニング基準を満たした早産児281例で、経験豊かな臨床医による双眼倒像鏡眼底検査の実施に続き、3人の独立した遠隔画像読影者による広角眼底写真の遠隔診断を行った。いずれの診断も参照基準に合致し、両診断結果の一致率とκ係数を用いて評価された。 主な結果は以下のとおり。・281例(女児127例、男児154例、平均在胎期間27.1±2.4週)の合計1,553件の検査が行われた。・対面診断と遠隔診断の感度は、zone Iがそれぞれ78%(95%信頼区間[CI]:71~84) vs.78%(同:73~83)(p>0.99、165例)、plus diseaseが74%(同:61~87)vs.79%(同:72~86)(p=0.41、50例)、type 2(stage3、zone Iまたはplus disease)が86%(同:80~92)vs.79%(同:75~83)(p=0.10、251例)であり、いずれも同程度であった。・しかしstage3の識別では対面診断の感度がわずかに高かった(85%[同:79~91] vs.73%[同:67~78][p=0.004、136例])。

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食の欧米化で前立腺がんリスクが高まる

 食の欧米化は前立腺がんのリスクを高める可能性があることが、国立がん研究センターのSangah Shin氏らの研究で明らかになった。Cancer Causes & Control誌2018年6月号に掲載。 食生活は前立腺がんの進行に影響を与えるとされる。そこで、著者らは日本人男性の食生活と前立腺がんのリスクの関係について大規模コホート研究を行った。今回の研究では、4万3,469例の日本人男性を対象に、食事のパターンと前立腺がんの進行度に関する5年間の追跡調査を行った。調査の開始は1995年から1998年で、2012年の調査終了までに1,156例の前立腺がんが認められた。 主な結果は以下のとおり。・探索的因子分析の結果、対象者の食事パターンは慎重的(野菜や果物、穀物を積極的に摂取し、肉は控える食事)、欧米的、伝統的の3種類に分類された。・3種類の食事パターンのうち、欧米的な食事パターンでは全前立腺がんのリスクが1.22倍(95%CI:1.00~1.49、p trend=0.021)、限局性前立腺がんのリスクが1.24倍(95%CI:0.97~1.57、p trend=0.045)、進行前立腺がんのリスクが1.23倍(95%CI:0.82~1.84、p trend=0.233)であった。・慎重的な食事パターンでは、全前立腺がんのリスクと限局性前立腺がんのリスクが有意に低かった。・伝統的な食事パターンは、前立腺がんのリスクとの関連性が認められなかった。

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妊娠中の抗うつ薬使用パターンに関するコホート研究

 フランス・Bordeaux Population Health Research CenterのAnne Benard-Laribiere氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用パターンについて調査を行った。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2018年4月17日号の報告。 フランス人口の約99%が加入している医療保険制度のデータを用いて、2014年に妊娠した女性を対象としたコホート研究を実施した。妊娠前または妊娠中に開始した抗うつ薬使用を評価するため、抗うつ薬治療の変化に関して、妊娠中の抗うつ薬の併用、切り替え、中止、再開について検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・コホート研究に含まれた妊娠件数は76万6,508件(75万5,529例)であった。・妊娠中の抗うつ薬使用は、1,000件当たり25.7件(95%CI:25.3~26.0)であった。・新規抗うつ薬使用は、1,000件当たり3.9件(95%CI:3.7~4.0)であり、最も使用された薬剤は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。妊娠第2・3三半期で最も使用された薬剤は、アミトリプチリン、三環系抗うつ薬であった。・ほとんどの抗うつ薬治療の変化は、妊娠前および妊娠第1三半期に観察された。妊娠1年前に行われていた抗うつ薬治療のうち63%が、受胎前に中止された。受胎後に継続されていた抗うつ薬治療のうち68%が、妊娠第1三半期に中止された。抗うつ薬の切り替えまたは併用は、妊娠前後または妊娠第1三半期に多く行われていた。・最初の抗うつ薬の種類にかかわらず、セルトラリンへの切り替えが最も多かった。・主な併用は、SSRIに加えて、三環系/四環系抗うつ薬、ミルタザピン/ミアンセリンであった。・妊娠中に抗うつ薬治療を中断した妊婦のうち22%は、治療を再開した。■関連記事妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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コントロール不良DMの血糖管理、 SMSによる介入で改善/BMJ

 テキストメッセージ(SMS:short message service)を活用した糖尿病自己管理サポートプログラムは、コントロール不良の成人糖尿病患者の血糖コントロールをわずかだが改善したことが、ニュージーランド・オークランド大学のRosie Dobson氏らによる無作為化試験の結果、示された。高コストで長期にわたる、コントロール不良の糖尿病関連の合併症が増大していることに対し、有効な糖尿病自己管理サポートが求められている。SMSは、自己管理サポートにおいて理想的なツールであるが、これまで糖尿病の自己管理サポートに対する有効性は不明であった。BMJ誌2018年5月17日号掲載の報告。通常ケアに加えてSMS送信介入、9ヵ月時点の血糖コントロールを評価 研究グループは、コントロール不良の成人糖尿病患者において、論理的かつ個別に調整されたテキストメッセージをベースとした、糖尿病自己管理サポート介入(SMS4BG)の有効性を調べるため、ニュージーランドの1次・2次医療サービスにおいて、2群平行群間比較の無作為化試験を9ヵ月間にわたり行った。 被験者は、16歳以上のコントロール不良(HbA1cが65mmol/molまたは8%以上)の1型もしくは2型糖尿病患者366例。2015年6月~2016年11月に、介入群(183例)または対照群(183例)に無作為に割り付けられ追跡を受けた。介入群は、通常ケアに加えて個別に調整されたテキストメッセージのパッケージ送信を9ヵ月間受けた。テキストメッセージで提供されたのは、糖尿病自己管理や生活スタイルに関する情報、サポート、動機付けおよびリマインダーであった。メッセージは、特別に設計された自動コンテンツ管理システムにより送信された。対照群は通常ケアのみを受けた。 主要評価項目は、血糖コントロール(HbA1c)のベースラインから9ヵ月時点での変化であった。副次評価項目は、3ヵ月、6ヵ月時点のHbA1cの変化、および9ヵ月時点の効果の自覚、糖尿病セルフケア行動、糖尿病に対する苦しみ、糖尿病に関する認識と信条、健康関連QOL、糖尿病管理に関する社会的サポートの認知などであった。 ベースラインアウトカム、健康状態カテゴリ、糖尿病タイプ、民族性で補正後の回帰モデルを用いて検討した。通常ケアのみ群と比べてHbA1cは統計的に有意に低下 HbA1cは9ヵ月時点で、介入群(平均-8.85mmol/mol[SD 14.84])が対照群(-3.96mmol/mol[17.02])よりも有意に低下したことが認められた(補正後平均差:-4.23[95%信頼区間[CI]:-7.30~-1.15]、p=0.007)。 21の副次アウトカムについて、9ヵ月時点で介入群の改善が統計的に有意に良好であったのは4つのみで、足のケア(補正後平均差:0.85[95%CI:0.40~1.29]、p<0.001)、全体的な糖尿病サポート(0.26、0.03~0.50、p=0.03)、EQ-5D評価による視覚アナログスケール(4.38、0.44~8.33、p=0.03)、糖尿病の症状の自覚(-0.54、-1.04~-0.03、p=0.04)であった。 SMS4BGに対する満足度は高く、169例中161例(95%)が役に立つと報告しており、164例(97%)が他の糖尿病患者にも勧めたいと思うと報告していた。 結果を踏まえて著者は、「臨床的意味は不明であるが、このような患者集団において、SMS4BGおよび他のテキストメッセージをベースとしたサポートの利用について、さらなる研究を支持する結果であった」とまとめている。

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高度異型腺腫の有無で大腸がんリスクが有意に異なる(解説:上村直実氏)-868

 日本で大腸がんは肺がんに次いで2番目に多い死亡原因であり、大腸がんによる死亡リスクを低下するために便潜血による大腸がん検診が施行されている。一方、欧米では、大腸内視鏡検査(CF)を行うことにより大腸がんによる死亡率およびその発症率が低下する研究成果が数多く報告され1,2)、最近では死亡リスク低下に必要なCFの間隔が話題になっている。米国のガイドライン3)では、10年に1度のCFにより大腸がん死亡リスクが大幅に低下するとされており、大腸がんスクリーニングにCFを取り入れるべきで、ポリープ(腺腫)があれば5~10年後のCFが推奨されている。 今回JAMAに掲載された報告では、CFを行った時点で高度異型の腺腫すなわち腫瘍径1cm以上ないしは、tubulovillousやvillous腺腫を認めたものは、1cm以下の低異型度腺腫を有するものや腺腫を認めないものに比べて、その後13年間の大腸がん発症および大腸がん死亡リスクが有意に高いことが示された。すなわち、CFによるスクリーニングの重要性と大腸がんのリスクには腺腫の異型度が重要であることが強調されている。日本の消化器内視鏡診療は種々の特殊内視鏡により、世界を圧倒する高精度の内視鏡診断と圧倒的な内視鏡治療技術を有することは、世界中で周知されている。しかし、上記したように検診は便潜血検査でCFによる住民検診は行われていない現状は、医学的に大きな問題と言える。 一方、大腸がんにとって重要な本論文に引用されている38文献に、日本発の研究論文が皆無であることも重大な課題であろう。年間1,500万件の消化器内視鏡が施行されているわが国における内視鏡診療現場では新たな技術優先の傾向が強く、エビデンスを創出するためのデザインされた臨床研究が少ないことが従来からの課題と言えた。現在、日本全国の内視鏡ビッグデータを一括して日本消化器内視鏡学会で管理するシステムのJapan Endoscopy Database(JED)プロジェクトが進行中である。このデータベースが完成すれば、Propensity scoreなどを用いた解析により正確な成績を得ることが可能となり、わが国から精度の高い研究成果が世界のエビデンスとして排出されるものと期待される。

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TIA患者の脳卒中リスクは5年後まで減らない(解説:内山真一郎氏)-870

 TIAregistry.orgは発症後7日以内の一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳梗塞(minor stroke)を登録して観察する前向きコホート研究であった。私は日本の研究代表者であり、該当患者を年間100例以上診療している日本の6施設に参加していただいた。 1年間の追跡調査の結果は2016年にNew England Journal of Medicine誌に発表している。この時の結果では、1年後までの血管イベント発症率は、ガイドラインを順守した脳卒中専門医の救急対応により10年前の歴史的対照と比べて半減していた。しかしながら、今回の2~5年後までの累積発症率は、それ以上減衰することなく直線的に推移していた。 この結果は、現状のガイドラインを順守しても、長期の残余リスクは依然として高く、より厳格な危険因子の管理目標達成と、より強力な再発予防対策が必要であることを示唆している。ただし、日本人のサブ解析では背景因子、病型、動脈病変、診療体制、予知因子が非日本人と異なっており、独自の対策も必要であると考えている。

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第2回 信頼区間(confidence interval:CI)とは何か【統計のそこが知りたい!】

第2回 信頼区間(confidence interval:CI)とは何か医学論文などでよく目にする95%CI。今回は信頼区間(confidence interval:CI)について解説します。■抽出データは全体データを表すかある試験を行った結果、毎回同じ結果が出るとは限りません。たとえば、A健診センターで心臓超音波検査を行った成人男性をランダムに100人抽出し、その左室心筋重量の平均が130gだったとしましょう。しかし、このデータをもって日本の成人男性の左室心筋重量を130gと決めるわけにはいきません。異なる100人の結果は135gとなるかもしれませんし、128gかもしれません。そこで統計学の考え方では、ある集団からランダムに何例かを取り出し平均値を出すという作業を何回行っても、平均値はほぼこの範囲に収まるという幅を設定します。それが「信頼区間(confidence interval:CI)」であり、母集団を推定する際の許容誤差範囲とも言えます。信頼区間は下限値(lower limit value)と上限値(upper limit value)で表されます。■データの信頼性を裏付けるのが信頼区間この信頼区間を用いることで、たとえば医療であれば治療効果の大きさや研究の信頼性が同時にわかります。信頼区間が狭いほど、推定値の信頼性は高くなります。最近では、p値とともに併記される場合も多くなりました。とくに医療統計では、治療薬の効果検定や治療成績などの研究で幅広く使用されています。基礎・臨床研究の現場で患者全員の治療成績をデータ化して、検証することは不可能です。そこで、信頼区間を使うことで、小さいグループを抽出して、その値に信頼性があるかどうか統計処理することで、データの有効性を証明します。■具体例で母集団の平均値を推定してみる具体的に簡単な事例でみてみましょう。一定の全体集団から、一部を抽出し、全体を推定した場合、その推定数に信頼があるかどうかをみてみます。【具体例】ある県の成人男性の人口は25万人です。この県の成人男性の左室心筋重量(g)を調べるためにランダムに抽出したn=400の心臓超音波検査データの平均値(標本平均)は135g、標本標準偏差は28gでした。この県の成人男性の左室心筋重量の平均は135gと決めてしまってもよいのでしょうか。抽出された成人男性のデータ「n=400」は、全体(母集団)の中で数値が低いほうかもしれないし、高いほうかもしれません。たまたま抽出されたサンプルの平均値で、全体(母集団)の平均値であると言い切ってしまうのは危険です。そこで、得られた平均値に一定の幅を持たせます。つまり、この県の成人男性全体の左室心筋重量平均は「132~138gの間にある」という言い方で、母集団の平均値を推定します。このように調査平均値に幅を持たせ、母集団の統計量を推定する方法を「区間推定法」と言います。「132~138gの間にある」、すなわち「M1~M2」と言うとき、M1を下限値、M2を上限値と言います。そして、この2つで挟まれた区間を「信頼区間」と言うのです。信頼区間の幅は主に、信頼区間の係数(95%、99%など)、サンプルサイズによって決まります。信頼区間の係数は、実は仮説検定における有意水準に対応する概念です。信頼区間が95%だと有意水準5%(p<0.05)に対応し、99%だと有意水準1%(p<0.01)に対応します。係数が0%に近いほど信頼区間の幅は狭くなり、100%に近いほど広くなります。通常、95%信頼区間(95% confidence interval:95%CI)が用いられることが多く、95%信頼区間は、区間推定の代表的な指標となっています。●95%信頼区間の求め方は次の公式です。下限値=平均値-1.96×標準誤差(SE)上限値=平均値+1.96×標準誤差(SE)上記の具体例の場合、95%信頼区間(95%CI)は、下限値=135-1.96×28÷√400=132上限値=135+1.96×28÷√400=138となります。以上から、この県の成人男性の左室心筋重量の平均値は135gと決めてしまうことはできず、132~138gの間にあると推定され、その信頼度は95%ということになるのです。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション7 信頼区間とは?セクション8 信頼区間による仮説検定第4回 ギモンを解決! 一問一答質問2 何人くらいの患者さんを対象にアンケート調査をすればよいですか?

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来年見直される薬機法 注目の論点は“あの話題”【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第2回

皆さんは、「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に名称が変わったのは、いつだったか覚えているでしょうか。この改正が施行されたのは2014年でしたが、最近になってようやく薬機法や医薬品医療機器等法という呼び方が定着してきた印象です。この改正の際、施行後5年をめどとして、必要に応じて、医薬品医療機器等法を見直すことが附則として定められていました。5年後というと来年の2019年になりますので、本年4月から厚生労働省で議論が開始されています。引用:厚生労働省「改正法の施行後5年を目途とした検討」について3番目の議題で検討される、薬局・薬剤師の在り方上記の資料より、2018年4月時点では、以下の3つのテーマについての検討が予定されています。テーマ1:革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実テーマ2:医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実テーマ3:薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手それでは、それぞれのテーマについて考えていきましょう。テーマ1については、「国内で患者に医療上必要な製品をより早く提供するには、技術革新に柔軟かつ効率的に対応した規制の実施が課題となっている。」「一層の制度の見直し・明確化が必要ではないか。」(上記資料4枚目)などという問題意識が挙げられています。これは、医薬品・医療機器などの開発と、安全対策などに関するものであり、希少疾病用医薬品などといった、必要性の高い医薬品の実用化に向けて、より迅速な承認制度などが検討されます。薬局に関わる内容は、医薬関係者からの副作用報告の推進や、高齢者の医薬品適正使用などについて、今後議論される可能性があります。テーマ2は、「近年、承認書と異なる製造方法での医薬品製造、偽造医療用医薬品の流通、チェーン薬局における処方箋付け替えなどの問題事案が発生し、国民の医薬品・医療機器等の品質・安全性に対する国民の信頼が揺らいでいる。薬害の発生及び拡大防止の観点からも、法令に違反する事案の再発防止策が重要であり、各事業者が確実に法令遵守に取り組み、医薬品等が適切に製造・流通・販売されるような仕組みを検討する必要があるのではないか。」(上記資料5枚目)などというのが問題意識ですが、医薬品・医療機器に関わる企業の管理者・責任者の役割・責務の明確化などについて検討されるようです。昨年には、C型肝炎治療薬の偽造品が流通した問題を受けて、偽造品の流通防止策が盛り込まれ、医薬品医療機器等法施行規則などの一部改正が行われました。今後、法令順守違反に対してより厳しい行政措置の導入が検討される可能性もあり、どのような議論がされるのか注目しておきたいところです。遠隔服薬指導が検討内容にテーマ3の問題意識は、「処方箋受取率が70%を超えて医薬分業が進展する一方で、患者が医薬分業の利益を実感できていないとの指摘がある。」「かかりつけ薬剤師・薬局を推進しているが、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担い、地域の住民・患者が、品質の確保された医薬品を安全かつ有効に使用できるような取組の強化及び体制作りが一層求められているのではないか。」(上記資料6枚目)として挙げられています。本テーマでは、より患者さんが利益を享受できる医薬分業および、かかりつけ薬剤師・薬局などについて検討されるようです。耳の痛い部分もありますが、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担うとして、期待されている部分も多いように思います。興味深いところは、遠隔服薬指導についての検討が明記されている点です。2018年度診療報酬改定で、遠隔診療についての算定項目(オンライン診療料)が新設されたことを受け、遠隔服薬指導は早い段階で一部解禁になるかもしれません。薬剤師の業界では、診療・調剤報酬に着目してしまいがちですが、調剤報酬なども、当然法律にのっとって改定されます。来年の医薬品医療機器等法見直しについて、国が求めている方向性もわかりますし、どのように議論がされるか、注目しておいてもよいのではないでしょうか。「改正法の施行後5年を目途とした検討」に関する当面のスケジュールは、2018年7月までにテーマごとの検討を行い、論点の整理後、秋以降さらに検討を重ね、年内をめどに意見を取りまとめる予定のようです。資料厚生科学審議会 平成30年度第1回医薬品医療機器制度部会 資料1-1「改正法の施行後5年を目途とした検討」について参考厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)

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全粒穀物食は内臓脂肪を減少させる

 全粒穀物食を取り入れることによって内臓脂肪が減少することが、株式会社日清製粉グループ本社の菊池 洋介氏らの研究によって明らかになった。Plant Foods for Human Nutrition誌2018年4月18日号に掲載。 メタボリックシンドロームが心血管疾患のリスク因子であることは、国内でも広く知られている。疫学調査により全粒穀物の摂取量とメタボリックシンドローム該当者の数に逆相関が認められる報告は知られているが、食事介入試験による全粒穀物食のメタボリックシンドロームへの影響に関する研究は乏しい。 そこで、本研究では、BMIが23kg/m2以上の日本人50例を対象に、全粒穀物あるいは精製穀物による食事介入試験が実施された。食事介入試験は12週間にわたって行われ、6週ごとに血液採取とCT撮影が行われた。 主な結果は以下のとおり。・全粒穀物群においては4cm2の有意な内臓脂肪面積の減少が認められた(p<0.05)。・精製穀物群では内臓脂肪面積に変化は認められなかった。

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