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再発・難治性CLLにvenetoclaxとリツキシマブ併用が有効/NEJM

 再発または難治性(R/R)慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、venetoclax+リツキシマブ併用療法は、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法より無増悪生存率が有意に高率であることが示された。オーストラリア・メルボルン大学のJohn F. Seymour氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「MURANO試験」の結果を報告した。venetoclaxは、CLLで過剰発現し、CLL細胞の生存に重要な役割を持つ抗アポトーシス蛋白のB細胞リンパ腫-2(BCL-2)を阻害する経口薬で、venetoclax+リツキシマブ併用療法は、忍容性が良好でvenetoclax単独療法よりも有効性が期待できることが示唆されていた。NEJM誌2018年3月22日号掲載の報告。venetoclaxまたはベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法を比較 MURANO試験は、2014年3月31日~2015年9月23日の期間で、20ヵ国109施設で実施された。対象は1~3レジメンの治療歴があるR/R CLL患者389例で、venetoclax+リツキシマブ群(venetoclaxを最長2年間、リツキシマブを最初の6ヵ月間投与)と、ベンダムスチン+リツキシマブ群(ベンダムスチンとリツキシマブを6ヵ月間投与)に無作為に割り付けた。ベンダムスチン+リツキシマブ群で病勢進行した場合、venetoclax+リツキシマブ群へのクロスオーバーは行わなかった。 主要評価項目は、治験担当医師の評価による無増悪生存期間(PFS)とし、有効性はintention-to-treat集団で解析した。venetoclax+リツキシマブ群で無増悪生存期間が延長 追跡期間中央値23.8ヵ月において、治験担当医師の評価によるPFS中央値は、venetoclax+リツキシマブ群未到達(進行/死亡は32/194例)、ベンダムスチン+リツキシマブ群17.0ヵ月(同114/195例)と、venetoclax+リツキシマブ群で有意に延長した。2年無増悪生存率は、それぞれ84.9%および36.3%であった(進行/死亡のハザード比[HR]:0.17、95%信頼区間[CI]:0.11~0.25、層別log-rank検定のp<0.001)。 サブグループ解析の結果、染色体17p欠失患者を含むすべての臨床的および生物学的サブグループにおいて、一貫したPFSの改善が認められた。染色体17p欠失患者の2年無増悪生存率は、venetoclax+リツキシマブ群で81.5%、ベンダムスチン+リツキシマブ群で27.8%(HR:0.13、95%CI:0.05~0.29)、非染色体17p欠失患者でそれぞれ85.9% vs.41.0%であった(HR:0.19、95%CI:0.12~0.32)。 venetoclax+リツキシマブのベンダムスチン+リツキシマブに対する有効性は、独立評価委員会の評価によるPFSおよび他の副次有効性評価項目の結果によっても確認された。 Grade3/4の好中球減少症の発現率は、venetoclax+リツキシマブ群がベンダムスチン+リツキシマブ群より高値であったが、Grade3/4の発熱性好中球減少症および感染症/寄生虫感染症の発現率は、venetoclax+リツキシマブ群が低値であった。venetoclax+リツキシマブ群におけるGrade3/4の腫瘍崩壊症候群の発現率は3.1%(6/194例)であった。

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悪夢は続く【Dr. 中島の 新・徒然草】(214)

二百十四の段 悪夢は続く朝、9時頃に起きた。すでに両親は出かけており、朝食もなかった。で、お茶だけ飲んでシャワーを浴びてから大学に出かけるか、と思いつつ、1学期は1回も授業に出ていないことに気づいた。これ、進級できるのかな? すごくまずい状況じゃないかな。留年してしまったら大変なことだ。でも、1回も授業に出ずに進級させてくれるほど大学も甘くないだろうし。そもそもどの教室でどの授業をしていたのかも覚えていない。それに試験がいつあるのかも。と、焦っていたら目が覚めました。夢で見たのは大学1年の頃から6年までの体験がごちゃまぜになったものです。布団の中で、「本当のところ今日は何時に出かけたら良かったのか」と一瞬考えてから、「ああ良かった、大学は何十年も前に卒業していたんだ。いくら授業をサボっていても試験の成績が悪くても、もう終わったことだもんね」と安堵しました。このパターンの夢は時々見ることがあります。なんでこんな悪夢を見たのかな、と思ったら、ごく最近、当院でマッチングの三次募集をしたからかもしれません。初期研修医候補がフルマッチしていたのにもかかわらず、医師国家試験で1人落ちてしまったので、あわてて募集をかけたのです。すぐに何人かの応募があり、面接試験をしました。そこで、受験生から留年やら国試浪人やらの生々しい話をあれこれ聞かされることになり、それが形を変えて自分の夢の中に入り込んだのだと思います。私の場合、幸いなことに留年も国試浪人もせずに済みましたが、あまり楽勝でもありませんでした。さて、4月からは当院にも新しい研修医たちが入ってきますが、まずは学生気分を抜いてもらわなくてはなりません。年齢とか学力とかは関係なく、まずは社会人として相応しい態度で、2年間一生懸命に研修して欲しいですね。1つ残念なことがあるとすれば、教える側にとって、実際にマンツーマンで診断や治療のあれこれを伝授する時間が取りにくいことです。研修医の提出物の催促とか採点とかトラブルの後始末とかをしているうちに1年が経ってしまいました。今年の4月からは同時に新専門医制度もスタートするので、そちらの方にも時間を取られそうで、考えるだけでも恐ろしいです。ひょっとしたら新たな悪夢の始まりかもしれません。なるべく楽観的な気持ちで対処したいと思いますが、果たしてどうなることやら。最後に1句年食えど 悪夢は続く どこまでも

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スマートウオッチによる自動心房細動検知の精度は?【Dr.河田pick up】

 心房細動の早期検知は、血栓塞栓症を未然に防ぐという観点からも非常に重要である。残念ながら、脳梗塞を契機に心房細動が発見されるということが多い。HolterやZio patchなどのモニターよりも低コストで簡易な携帯心臓モニターは、患者にとっては便利なものである。今回はApple Watchを用いた心臓モニターに関する論文を紹介したい。 KardiaBandは、アップルのスマートウオッチ(Apple Watch)を用いて心臓リズムを記録することができる新しい技術である。専用バンドとアプリを組み合わせることで、自動で心房細動(AF)を検知することが可能である。米国クリーブランド・クリニックのJoseph M.Bumgarner氏ら研究グループは、医師による12誘導心電図とKardiaBandの記録の解釈と比較し、KardiaBandが洞調律とAFとを正確に判別できるかを検討した。Journal of American College of Cardiology誌2018年3月号に掲載。除細動で受診したAF患者100例で比較 本研究では、AFに対する除細動のために受診した、連続した患者100例が研究に組み込まれた(68歳±11歳)。患者は除細動前に心電図とKardiaBandの記録を受けた。除細動が行われた場合、除細動後の心電図とKardiaBandの記録が取得された。KardiaBandの解釈は、医師の診断による心電図と比較された。KardiaBandの記録は、患者情報を知らない不整脈専門医によって再度診断を受け、心電図の解釈と比較された。感度、特異度とK係数が求められた。169例のKardiaBandの記録のうち57例は解釈不能 100例中8例は除細動を受けなかった。169例について、心電図とKardiaBandの同時記録が得られた。KardiaBandの記録のうち、57例については解釈不能であった。心電図と比較して、KardiaBandが解釈した記録は、感度が93%、特異度が84%、K係数は0.77であった。一方、医師が解釈したKardiaBandの記録は感度99%、特異度は83%、K係数は0.83であった。解釈不能だった57例のKardiaBandの記録について不整脈専門医が診断したところ、感度100%、特異度80%、K係数は0.74であった。KardiaBandと医師ともに診断可能であった113例においては、双方の診断はかなり一致しており、K係数は0.88であった。医師のサポートによりKardiaBandによるAF検知アルゴリズムは有用 医師によって確認されたKardiaBandのAF検知アルゴリズムは、AFと洞調律の正確な区別が可能であった。この技術は、選択的除細動に先立って患者をスクリーニングする際に役立ち、不必要な手技を回避する一助となりうる。

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チック症群に対する抗精神病薬の有効性と安全性比較のメタ解析

 チック症群に対する抗精神病薬の有効性および安全性を評価するため、中国・四川大学のChunsong Yang氏らが、ベイジアンネットワーク・メタ解析を行った。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2018年3月5日号の報告。チック症群の治療に非定型抗精神病薬は有望な治療薬 PubMed、Embase、Cochrane Libraryおよび4つの中国のデータベースより、チック症群に対する抗精神病薬の有効性を評価したランダム化比較試験(RCT)の検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・60件のRCTが抽出された。・プラセボと比較し、ハロペリドール、リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピン、オランザピン、ziprasidoneは、チック症状スコアの有意な改善が認められた(標準化平均差[SMD]範囲:-12.32~-3.20)。・クエチアピンは、ハロペリドール、ピモジド、リスペリドン、チアプリド、アリピプラゾール、penfluridolよりも、チック症状スコアの改善に有用であった(SMD範囲:-28.24~-7.59)。・アリピプラゾールは、チアプリドと比較し、チック症状スコアの有意な改善が認められた(SMD:-4.27)。・penfluridolは、他のすべての薬剤と比較し、有効ではなかった。・一般的に、非定型抗精神病薬は、忍容性が良好であった。 著者らは「チック症群の治療において、リスペリドンやアリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬は、最も強力なエビデンスを有する選択肢である。なかでもクエチアピンは、有望な治療薬である。オランザピンやziprasidoneも有効であるが、そのエビデンスは限られていた。今後、異なる薬理学的治療を直接比較する高品質な研究が求められる」としている

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レンバチニブ、世界に先駆け肝細胞がんに国内承認

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)とMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J, U.S.A.は2018年3月23日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)について、日本において新たに「切除不能な肝細胞」の効能・効果追加の承認を取得したと発表。これは、肝細胞がん全身化学療法の1次治療薬として、約10年ぶりの治療選択肢の追加となる。 今回の承認は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象としたレンバチニブの臨床第III相試験(304/REFLECT試験)の結果に基づいている。本試験の結果、レンバチニブは、標準治療薬ソラフェニブを対照として、全生存期間の統計学的な非劣性を証明し(レンバチニブ群13.6ヵ月 vs.ソラフェニブ群12.3ヵ月)、主要評価項目を達成した(HR:0.92、95%CI:0.79~1.06)。また、副次評価項目の無増悪生存期間(HR:0.66、95%CI:0.57~0.77、p<0.00001)、無増悪期間(HR:0.63、95%CI:0.53~0.73、p<0.00001)、奏効率(レンバチニブ群24% vs.ソラフェニブ群9%、p<0.00001)について、ソラフェニブに対して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。本試験においてレンバチニブ群で高頻度に確認された有害事象は、高血圧(42%)、下痢(39%)、食欲減退(34%)、体重減少(31%)、疲労(30%)で、これまでに認められた安全性プロファイルと同様であった。■参考REFLECT試験(Clinical Trials.gov)

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早期胃がん切除後のピロリ除菌は有益か/NEJM

 早期胃がんまたはハイグレード腺腫で内視鏡的切除を受けた患者に対し、抗菌薬によるヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の除菌治療はプラセボと比較して、1年以降に評価した異時性胃がんの発生リスクは低く、3年時に評価した胃体小彎の腺萎縮についても改善効果があることが示された。韓国・国立がんセンターのIl Ju Choi氏らが、470例を対象に行った前向き二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年3月22日号で発表した。これまで、H. pylori除菌治療による、組織学的改善や異時性胃がんの予防に関する長期的効果は不明だったという。異時性胃がんの発生と胃体部小彎の腺萎縮の程度を比較 研究グループは、早期胃がんまたはハイグレード腺腫で内視鏡的切除を行った470例を、無作為に2群に分け、一方には抗菌薬によるH. pylori除菌治療を行い、もう一方にはプラセボを投与した。 主要評価項目は2つで、(1)追跡1年以降に内視鏡検査で認められた異時性胃がんの発生、(2)追跡3年時点における胃体部小彎の腺萎縮の程度のベースラインからの改善とした。治療群の半数で胃体部小彎腺萎縮が改善 被験者のうち修正intention-to-treat解析の対象者は、治療群が194例、プラセボ群が202例の計396例だった。平均年齢は、治療群59.7歳、プラセボ群59.9歳、男性がそれぞれ72.7%、77.7%を占めた。飲酒者は55.2%、63.4%、喫煙者は41.2%、37.6%。 中央値5.9年の追跡期間中に、異時性胃がんを発生したのは、プラセボ群が13.4%(27例)だったのに対し、治療群は7.2%(14例)だった(ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.26~0.94、p=0.03)。 組織学的解析を行ったサブグループ327例において、胃体部小彎における腺萎縮の程度についてベースラインからの改善が認められた患者の割合は、プラセボ群15.0%だったのに対し、治療群は48.4%と大幅に有意に高率だった(p<0.001)。 重篤な有害事象は認められなかったが、軽度の薬剤性有害事象(味覚変化、下痢、めまいなど)については、治療群の頻度が有意に高かった(42.0% vs.10.2%、p<0.001)。

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コントロール不良喘息へのLAMA併用、RCTのメタ解析/JAMA

 コントロール不良の持続型喘息患者に対し、吸入ステロイド(ICS)への長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の追加は、ICS単独と比べて増悪のリスクが有意に低かった。一方で、追加薬としてのLAMAの効果は、長時間作用性β2刺激薬(LABA)よりも上回る可能性は示されなかった。また、3剤併用(ICS+LAMA+LABA)が増悪リスクをより低減することは示されなかった。米国・コネティカット大学薬学校のDiana M. Sobieraj氏らが、15の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにしたもので、JAMA誌オンライン版2018年3月19日号で発表した。2017年までに発表された試験をレビュー 研究グループは、MEDLINE、Embase、Cochraneデータベース、ClinicalTrials.govや世界保健機関(WHO)の臨床試験データベースを基に、2017年11月28日までに発表された臨床試験について、システマティックレビューとメタ解析を行った。 対象とした試験は、コントロール不良の持続型喘息患者を対象に、ICS+LAMA vs.ICS+プラセボ(またはその他の対照薬)、またはICS+LABA+LAMA(3剤併用療法)vs.ICS+LABAについて行った、無作為化試験または観察試験で、2人のレビュワーが選定した。 主要評価項目は喘息の増悪で、ランダム効果モデルを用いてリスク比(RR)やリスク差(RD)、平均差(MD)を95%信頼区間(CI)とともに算出してメタ解析を行い評価した。引用文献のスクリーニング、データ抽象化、リスク評価、エビデンスの強さの評価付けは、2人の独立したレビュワーにより行われた。LAMA追加投与群で、増悪リスクは有意に低下 1,326の試験が特定され、そのうち15の無作為化試験(被験者総数7,122例)が解析に包含された。ほとんどの試験が、ICS+LAMA vs.ICS+プラセボ、またはICS+LAMA vs.ICS+LABAを比較したものだった。 ICS+LAMA vs.ICS+プラセボの比較では、LAMA追加投与群で全身性ステロイド投与を必要とする増悪リスクが有意に低かった(RR:0.67[95%CI:0.48~0.92]、RD:-0.02[-0.04~0.00])。 ICS+LAMA vs.ICS+LABAの比較では、LAMAの追加が増悪リスクを有意に改善するという関連は認められなかった(RR:0.87[95%CI:0.53~1.42]、RD:0.00[-0.02~0.02])。その他のアウトカムについてもLAMA群で有意な改善はみられなかった。 3剤併用療法 vs.ICS+LABAの比較でも、3剤併用療法が増悪リスクを有意に改善するという関連はみられなかった(RR:0.84[95%CI:0.57~1.22]、RD:-0.01[-0.08~0.07])。

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ポケット呼吸器診療2018

呼吸器診療で役立つマニュアルの最新版が登場!呼吸器領域の診療のお供として、絶大な支持を得ている『ポケット呼吸器診療』の最新版の登場です。今版では、改訂部分を色付けして変更点を強調、各種ガイドラインの改訂にも対応し、最新情報にアップデートしています。また、新項目として喀血、肺ノカルジア症、リンパ脈管筋腫症、胸腺腫・胸腺がん、気胸、肺血栓塞栓症などを追加しました。臨床で使える邪魔にならない小さなマニュアル(新書判)で、呼吸器疾患の診療手順/処方例/診療指針・ガイドラインを掲載しています。とくに患者さんへの病状説明のポイント、よくある質問の回答例の掲載も本書の特色です。著者の「実臨床で使用することを最優先に、不要な贅肉を極限までこそぎ落とした」という制作理念を具現化した本書は、呼吸器診療に携わる医療者は持っておきたい1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    ポケット呼吸器診療2018定価1,800円 + 税判型新書判頁数221頁発行2018年3月著者倉原 優監修林 清二Amazonでご購入の場合はこちら

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第4回 失敗しない! 開業コンサルタントの選び方【開業入門】

第4回 失敗しない! 開業コンサルタントの選び方「開業」を決心すると、準備すべきことが山のように出てきます。もちろん、先生がご自身で準備することも可能です。しかし、臨床を行いながら開業準備を行う先生の場合、準備に十分な時間を割けないことも多くあるでしょう。そんなとき、開業についての知識や経験、ノウハウがある人たちからアドバイスを得ることで、スムーズに進むことがあるのもまた事実です。今回は開業の失敗リスクを最小限に抑えるためのアドバイザーである「開業コンサルタントの選び方」について確認していきましょう。コンサルタントにもいろいろなバックグラウンドがあるコンサルタントを選ぶ上で考えなければならない点は、大きく分けて2つです。1つは「誰に依頼するか」、もう1つは「いくらかかるか」です。昨今、開業コンサルタントによるサポートはさまざまな業種から種々の形態で提供されています。代表的なものは医業経営コンサルタント、医療卸業者や医療機器メーカーの開業支援部門や子会社、会計事務所、不動産業者などが挙げられます。1つ目の「誰に依頼するか」を考えるときには、「自分が何をお願いしたいのか」を第一に考えることが重要です。どの部分をどの程度お願いするかによって、サポートに適した依頼先が異なり、その後に発生する「いくらかかるか」という金銭的な面も変わってきます。医業経営コンサルタントは、サポートそのものを主サービスとしているので、開業予定の先生が「知識がない」「忙しい」などの理由で準備を依頼する場合には大変便利です。そして、規模も個人事務所から開業専門法人まであり、知識や力量、経験値などのレベルもさまざまです。実際に依頼をする際は、面談を何度か行い、料金体系やサポートの内容などをしっかりと話し合って依頼することをお勧めします。コンサルタントの過去の実績やどのような案件を扱い、どのような結果が出ているか、という点は情報を得ておくと安心ですね。その一方で、主サービス(本業)が別にある企業や会計事務所、不動産業者にサポートを依頼する場合には、開業後の機器、設備の購入や顧問契約などその企業などの主サービスを導入することが暗黙の了解とされ、その代わりに開業支援については無料または格安という形態が多くあります。このような企業の担当者は、数多くの新規開業のサポートを手掛けていることが多く、今までの経験から先生方に有益な情報を提供してくれることもあると思います。ただ、担当者のスキルによってバラつきがあることも事実であり、満足のいくサポートが得られない場合もあることは一種のリスクと考えておきましょう。コンサルタント料以外で気にすべきことは次に具体的に「いくらかかるか」という金銭面について確認していきましょう。金銭に関するチェックポイントは3つです。1つ目は「支払い方法」で、契約時に一括して払う方式や分割払いなど複数のパターンがあります。契約したはいいが、「満足のいくサポートが得られない」、「コンサルタントとの相性が合わない」という事態を想定すると、分割払いは利用しやすいといえるでしょう。2つ目は「コンサルティングフィーの中身」です。実際の相場としては200~300万円程度と言われています。その契約内容もできるだけ細かく確認することをお勧めします。マーケティングの診療圏調査を例に挙げますと「何をどこまで調査したものなのか」ということです。ひとえに調査と言っても統計分析、実地調査、競合のマーケット調査など実施内容によって調査項目がさまざまですので注意が必要です。実際に開業した知り合いの医師から得た情報や、他の事業者の料金と比較して料金が高いと感じた場合には、契約内容を精査し、過剰なサービスや自身で行える契約内容を削除することでコスト削減を行うことができます。最後の3つ目として確認しておきたいのが、「サポート先からの別サービスの提供」や「サポート先からの別会社の紹介」です。不動産物件や設計・施工、医療機器、ホームページ制作などを別契約で締結する、関連業者を紹介されるといったケースをよくみかけます。もちろん信頼できるサービスや良心的な企業を紹介してくれるのであればありがたいですが、紹介された会社のサービスに問題があったり、料金も割高だったりということもあるようです。コンサルティングフィーは安かったけど、結果的には高額な支出となってしまっては本末転倒です。そういった際に大事なのは、「何か気になる点があれば、比較して検討する」という視点を持つことです。2つ目の「コンサルティングフィーの中身」でも述べましたが、比較し、現状を知ることで選択肢が広がります。ただ、「コンサルティングを頼んでいる都合上、相見積もりをとると関係性が悪くなるのではないか」、「他の業者を選ぶとコンサルティングで手を抜かれるのではないか」といった不安もあると思います。そんなときは、他のコンサルタントなどにセカンドオピニオンを求めるという選択肢を検討してはいかがでしょうか。ただ、一緒に開業を進めるというコンサルタントは伴走者であり、同志です。だからこそ、こういった相談には気を使わずに話せ、開業後も長く付き合いができるパートナーを選びたいですね。

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ヒス束ペーシング vs.右心室ペーシング、予後の改善に有用なのは?【Dr.河田pick up】

 米国ではヒス束ペーシングを行う施設が徐々に増えてきている。今回は、右室ペーシングと比較してヒス束ペーシングが有効であることを示す最新の論文を紹介したい。 右心室ペーシングは心不全と死亡率の増加につながりやすい。一方、ヒス束ペーシングは生理的であり、右心室ペーシングの代替となりうる。Mohamed Abdelrahman氏ら米国のグループによる本研究は、ヒス束ペーシングの臨床転帰を右心室ペーシングと比較することを目的として行われた。Journal of American College of Cardiology誌2018年3月号に掲載。ヒス束ペーシングと右心室ペーシングを前向きに比較 本研究では、2013年10月~16年12月までの期間にペースメーカーの植込みを必要とするすべての患者が研究対象となった。永久ヒス束ペーシングの植込みを連続的に1つの病院で実施し、別の関連病院で右心室ペーシングが試みられた。主要評価項目は、複合エンドポイント(植込み時の特徴、全死亡、心不全による入院、両心室ペーシングへのアップグレード)とした。ヒス束ペーシングは92%で成功し、右心室ペーシングに比べて予後を改善 連続した患者332例のうち、304例(92%)でヒス束ペーシングが成功し、433例の患者に右心室ペーシングが植え込まれた。主要評価項目については、右心室ペーシング群に比べて、ヒス束ペーシング群で有意に減少していた(ヒス束ペーシング群:83/332例[25%]、右心室ペーシング群:137/433例[32%]、ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.534~0.944、p=0.02)。この違いは、主に心室ペーシングが20%以上必要な患者によるものであった(ヒス束ペーシング群:25% vs.右心室ペーシング群:36%、HR:0.65、95%CI:0.456~0.927、p=0.02)。 心不全による入院は、ヒス束ペーシング群で有意に減少していた(ヒス束ペーシング群:12.4% vs.右心室ペーシング群:17.6%、HR:0.63、95% CI:0.430~0.931、p=0.02)。ヒス束ペーシング群では死亡率の低下の傾向も認められた(ヒス束ペーシング群:17.2% vs.右心室ペーシング群:21.4%、p=0.06)。 本研究では、ヒス束ペーシングは、右心室ペーシングに比べて、死亡、心不全による入院、両心室ペーシングへのアップグレードを有意に減少させた。永久ヒス束ペーシングは、大規模なリアルワールドの患者において可能な手段であったと言える。 これまでの報告においても、ヒス束ペーシングを使用したペースメーカーの植込みの成功率は高く、今後は右室ペーシングに代わり、ヒス束ペーシングが増えていくことが予想される。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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チェリージュースによる不眠症治療とそのメカニズムを研究するためのパイロット研究

 不眠症は高齢者において頻繁に認められ、慢性疾患と関連している。高齢者に対する睡眠薬による不眠症治療は、転倒の発生率を増加させる恐れもある。自己報告質問票では、トリプトファン分解酵素を阻害するモンモランシータルトチェリージュースが不眠症を改善するといわれている。米国・ルイジアナ州立大学のJack N. Losso氏らは、睡眠ポリグラフ検査で睡眠状態を確認し、不眠症治療にトリプトファンが有用であるかについて検討を行った。American journal of therapeutics誌2018年3/4月号の報告。 50歳以上を対象としたバランスの取れたプラセボ対照クロスオーバー研究。参加者をプラセボまたはチェリージュース(1回240mLを1日2回、2週間)の2群にランダムに割り付け、2週間のウォッシュアウト期間を設けた。睡眠状態は、睡眠ポリグラフ検査と検証された5つの質問票により評価を行った。血清インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、血清キヌレニン/トリプトファン比、プロスタグランジンE2を測定した。in vitroにおいて、Caco-2細胞をインターフェロンγで刺激し、トリプトファンを分解し、炎症を刺激するIDOを阻害するチェリージュースプロシアニジンの作用を測定した。チェリージュース中のプロシアニジンB-2および他の主要なアントシアニンの含有量を測定した。 主な結果は以下のとおり。・11例中、睡眠時無呼吸症候群の3例を除く8例をランダムに割り付けた。・試験を完了した8例は、睡眠ポリグラフ検査において睡眠時間が84分増加し(p=0.0182)、ピッツバーグ睡眠質問票において睡眠効率が上昇していた(p=0.03)。・その他の質問票では、有意な差は認められなかった。・血清キヌレニン/トリプトファン比は減少し(p<0.05)、同様にプロスタグランジンE2レベルも減少した(p<0.05)。・in vitroにおいて、チェリージュース中のプロシアニジンB-2は、用量依存的にIDOを阻害した。 著者らは「チェリージュースは、睡眠時間と睡眠効率を高めた。チェリージュース中のプロシアニジンB-2は、IDOを阻害し、トリプトファンの作用を増加させ、炎症を軽減し、不眠症の改善に対し部分的に関与している可能性がある」としている。■関連記事チェリージュースで認知機能が改善うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」ADHD発症にトリプトファンが関連か

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白内障手術後の持続性ドライアイ、予測因子は?

 韓国・延世大学校のYoung Joon Choi氏らは、白内障手術後の持続性ドライアイ症状について前向き研究を行い、手術前のドライアイ自覚症状(Ocular Surface Disease Index:OSDI)スコアと、術後1ヵ月時の涙液層破壊時間などの眼パラメータが、白内障手術後持続性ドライアイの予測に重要であることを示した。Cornea誌オンライン版2018年3月14日掲載の報告。 研究グループは、白内障手術後の持続性ドライアイと関連する周術期ドライアイ症候群およびマイボーム腺機能不全のパラメータを評価する目的で、3次病院1施設において、眼疾患既往歴および眼治療歴(人工涙を除く)のない、単純な白内障手術を受ける患者を登録した。 手術前および術後1および3ヵ月時に脂質層の厚さ、マイボーム腺脱落、涙液層破壊時間、オックスフォード染色スコア、眼瞼縁の異常、マイボーム腺から分泌される脂質(マイバム)の質、マイバムの発現性、マイボーム腺開口部閉塞、マイボーム腺機能不全のステージ、OSDI、およびシルマーテストのスコアについて評価した。 術後3ヵ月時のOSDIスコア>12を白内障手術後持続性ドライアイ症状患者と定義し、多変量ロジスティック回帰分析を用いて持続性ドライアイ症状のリスク因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。・116例116眼が登録され、96例が術後3ヵ月時まですべての検査を完遂した。・術後3ヵ月時に持続性ドライアイ症状を呈した患者は31例であった。・オックスフォード染色スコア、眼瞼縁の異常、マイバムの質およびマイボーム腺機能不全のステージは、経時的に改善した。・ベースラインのOSDI高値(オッズ比[OR]:1.072、p=0.001)、ならびに術後1ヵ月時の涙液層破壊時間低値(OR:0.322、p<0.001)、マイボーム腺開口部閉塞スコア低値(OR:0.291、p=0.015)およびマイボーム腺脱落の増加(OR:1.145、p=0.007)が、白内障手術後持続性ドライアイ症状のリスク因子であることが認められた。

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抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAE発現のメタ解析/BMJ

 がん治療では、PD-1またはそのリガンドであるPD-L1を標的とする薬剤の使用頻度が増加しつつある。適切な臨床管理には免疫関連有害事象(irAE:臓器特異的免疫関連有害事象、免疫活性化関連の全身性有害事象、筋骨格系の問題と一致する有害事象)の理解が求められるが、これらの発症率は不明であり、予想外の有害事象に関して一貫性のない報告が行われている可能性があるという。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShrujal Baxi氏らは、抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAEの発現状況を調査し、BMJ誌2018年3月14日号で報告した。13試験、7,000例以上のメタ解析 研究グループは、抗PD-1抗体薬および抗PD-L1抗体薬のirAEの発現状況を明らかにするために、系統的レビューとメタ解析を行い、標準治療(対照薬)と比較した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 再発または転移性がん患者に関する臨床研究を対象とした。2017年3月16日までに5つの医学関連データベースに登録された論文を検索し、ClinicalTrials.govのデータも参照した。 メタ解析には論文13編(介入群:3,803例、対照群:3,353例)が含まれた。論文はすべて、2014年11月~2017年2月の期間にオンライン版として公表され、出版バイアスのエビデンスは示されなかった。すべて製薬企業の助成による国際的な多施設共同試験だった。 irAEのうち、臓器特異的免疫関連有害事象(organ specific immune-related adverse events)には大腸炎、肝臓炎、肺臓炎、下垂体炎/下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症が含まれ、免疫活性化関連の全身性有害事象(general adverse events related to immune activation)には疲労、下痢、皮疹が、筋骨格系の問題と一致する有害事象(adverse events consistent with musculoskeletal problems)には関節炎、関節痛、背部痛、筋骨格痛、筋肉痛が含まれた。筋骨格系の有害事象も一般的に発現する可能性 13編のうち、転移性非小細胞肺がんが7編、悪性黒色腫が3編で、腎細胞がん、膀胱細胞がん、頭頸部扁平上皮がんが1編ずつであった。また、ニボルマブが6編、ペムブロリズマブが5編、アテゾリズマブが2編で、対照薬は化学療法薬が11編、分子標的薬が1編、双方が1編だった。 抗PD-1抗体薬では、重篤な臓器特異的免疫関連有害事象はまれであったが、対照薬と比較して甲状腺機能低下症(オッズ比[OR]:6.92、95%信頼区間[CI]:3.25~14.75、p<0.001)、肺臓炎(5.37、2.73~10.56、p<0.001)、大腸炎(2.88、1.30~6.37、p=0.009)、下垂体炎(3.38、1.03~11.08、p=0.04)の発症率が増加していた。 免疫活性化関連の全身性有害事象は、対照薬に比べ皮疹のみ発症率が高かった(OR:2.34、95%CI:1.40~3.91、p=0.001)。疲労(32%)と下痢(19%)の発症率も高かったが、対照薬とほぼ同じ頻度であった。 筋骨格系の問題と一致する有害事象の報告には一貫性がなく、発症率にばらつきがみられたが、いくつかの試験では関節痛と背部痛が20%を超えていた。 著者は、「抗PD-1抗体薬による臓器特異的免疫関連有害事象の頻度は高くないが、対照薬に比べリスクが高く、免疫活性化関連の全身性有害事象の多くは対照薬とほぼ同頻度であり、筋骨格系の問題と一致する有害事象の報告は一貫性がないものの、一般的に発現する可能性がある」とまとめている。

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ダブラフェニブ・トラメチニブ併用、BRAF変異肺がんに国内承認

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は2018年3月23日、BRAF阻害薬ダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)およびMEK阻害薬トラメチニブ(メキニスト)の併用療法について、BRAF遺伝子変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。 今回の承認は、BRAF V600E遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発のNSCLC患者に対する国際共同第II相臨床試験(E2201試験:第II相非盲検非対照試験)における安全性と有効性の評価に基づいている。ダブラフェニブ150mg x 2/日、トラメチニブ2mg x 1/日を投与した57例の化学療法歴のある患者の奏効率(ORR)は63.2%、化学療法歴のない患者36例のORRは61.1%であった。E2201試験においてダブラフェニブ・トラメチニブの併用投与で観察された主な副作用は、発熱(49.5%)、悪心(38.7%)、嘔吐(26.9%)、皮膚乾燥(26.9%)等であった。 ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法には、BRAF遺伝子変異を特定するコンパニオン診断薬として、サーモフィッシャーサイエンティフィック ジャパングループ・ライフテクノロジーズジャパン株式会社の「オンコマイン Dx Target Test CDxシステム」を使用する必要がある。ノバルティスでは、同併用療法を必要とする可能性のあるNSCLC患者を対象として、一定期間、当該診断検査にかかる費用を負担する「BRAF V600E検査結果提供プログラム」の実施を準備中。詳細は決定後に改めて案内する予定とのこと。 BRAF V600変異陽性の進行NSCLC治療におけるダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法は、米国では2017年6月に、欧州では2017年4月に承認されている。■関連記事ダブラフェニブ・トラメチニブ併用、BRAF変異肺がん1次治療で奏効率64%/ESMO2017BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用が承認:FDABRAF変異肺がんダブラフェニブ・トラメチニブ併用がEUで承認

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012)憎き花粉との戦い【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第12回 憎き花粉との戦いしがない皮膚科勤務医デルぽんです☆小4の頃から毎年のように悩まされている、この時期の花粉…!(スギ・ヒノキ)今年はいよいよ抗アレルギー薬の内服量を増やし、毎度ぬかりなく点眼・点鼻も併用し、たまの外出には必ずマスクとメガネとつるつるの服の完全防護。そして、帰宅の際には室内に花粉を持ち込まないよう、しっかりと払い落としてから中に入り、掃除も万全。とにかく目は掻かないように、冷やしたり、なんだりしているものの…。痒い!今年は「目が痒い」という患者さんがたくさん来ていますが、たしかに今年はとくに目が痒いです!!風の強い日には(極力外出しないようにしているものの、どうしても出るときは)、もはや目を閉じ気味にし、いざとなったら瞳を閉じてシャットアウト(※気持ちだけ)。皮膚に花粉が直接つかないよう、目の周りに軟膏(プロペト)を塗ってみたり、静電気防止の花粉ガードスプレーをしてみたり、とあの手この手で挑んでいますが、今年はなかなか苦戦中です…。全国の杉がニクイ!!では、また次回! バーイ☆

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TNF受容体関連周期性症候群〔TRAPS:Tumor necrosis factor receptor-associated periodic syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義TNF受容体関連周期性症候群(Tumor necrosis factor receptor-associated periodic syndrome:TRAPS)は、常染色体優性形式をとる家族性の周期性発熱・炎症疾患である。本疾患は1982年にWilliamsonらが再発性の発熱、皮疹、筋痛、腹痛を呈するアイルランド/スコットランドの1家系を見いだし、“familial Hibernian fever”として報告したことに始まる。1999年にMcDermottらが1型TNF受容体の遺伝子変異が本疾患の原因であることを報告し“TRAPS”と命名した1)。その論文において、自己炎症という新しい疾患概念が提唱された。TRAPSは自己炎症疾患(autoinflammatory disease)の代表的疾患であり、自己抗体や自己反応性T細胞によって生じる自己免疫疾患(autoimmune disease)とは異なり、自然免疫系の異常によって発症すると考えられている。本症は2015年1月1日より医療費助成対象疾患(指定難病、小児慢性特定疾病)となった。■ 疫学欧米人、アジア人、アフリカ系アメリカ人などさまざまな人種において、まれな疾患として報告されている。「TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)の病態の解明と診断基準作成に関する研究」研究班(研究代表者:堀内孝彦[九州大学] 平成22-24年度 厚生労働省)が行った全国調査では、わが国には少なくとも33家系51例の患者がいることが明らかになった2)。■ 病因1型TNF受容体遺伝子(TNFRSF1A)の変異で生じる。1型TNF受容体は455個のアミノ酸より構成され、細胞外ドメインの4つのCRD(cysteine-rich domain)と細胞膜貫通部、細胞内ドメインと細胞内のDD(death domain)という特徴的な構造を持っている。TRAPSで報告されている変異のほとんどはCRD1とCRD2をコードしているエクソン2-4の単一塩基ミスセンス変異である。なかでもタンパクの高次構造に重要な働きをしているジスルフィド(S-S)結合を形成するシステイン残基の変異が多い。これらの変異がTRAPSの病態形成にいかに関与するかは、いくつかの仮説が提唱されてきた。現時点では次のように考えられている。高次構造の異常によるmisfolding(タンパク質の折り畳みの不良)のため、変異1型TNF受容体は細胞表面へ輸送されずに小胞体内に停滞する。小胞体内の変異1型TNF受容体は、ミトコンドリアからのROS産生を介して細胞内のMAPキナーゼ脱リン酸化酵素を阻害することにより、定常状態でのMAPキナーゼを活性化状態にする。これだけでは炎症性サイトカイン産生の誘導は起こらないが、細菌感染などでToll様受容体からのシグナルが加わることにより、IL-1、IL-6、TNFなどの炎症性サイトカイン産生誘導が起こると考えられる。また、マクロファージなどのTNF産生細胞では、片方の対立遺伝子由来の正常なTNF受容体からのシグナルにより、炎症がパラクライン的に増幅されると考えられる3)。■ 症状TRAPSは常染色体優性の遺伝形式をとり、典型的な変異を示すものでは浸透率は85%以上と高い。発症年齢は同一家族内でも一定ではなく、乳児期から成人期に至るまで幅広い。症状の種類については2002年にHullらが提案したTRAPS診断指針を参照いただきたい(表1)4)。発作時には、38℃以上の発熱はほぼ必発であり、それに加えて腹痛、筋痛、皮疹、結膜炎、眼窩周囲浮腫、胸痛、関節痛などの随伴症状をともなう。わが国のTRAPS患者での個々の症状の頻度を表2に示す2)。表1 TRAPS診断指針1. 6ヵ月を超えて反復する炎症症状によるエピソードの存在(いくつかは同時にみられることが一般的)(1)発熱(2)腹痛(3)筋痛(移動性)(4)皮疹(筋痛を伴う紅斑様皮疹)(5)結膜炎・眼窩周囲浮腫(6)胸痛(7)関節痛、あるいは単関節滑膜炎2. エピソードの持続期間が(エピソードごとにさまざまだが)平均して5日を超える3. ステロイドに反応するがコルヒチンには反応しない4. 家族歴あり(いつも認められるとは限らない)5. どの人種、民族でも起こりうる画像を拡大する1)発熱最も特徴的でありTRAPSを疑うきっかけになる。1ヵ月~数ヵ月の間隔で不規則に繰り返す。発熱の期間は通常1~4週間であることが多く、平均21日程度である。2)腹痛日本人の頻度は欧米人に比べて少ない。腹膜炎や腸炎、腹壁の筋膜炎によって生じる。嘔気や便秘を伴うこともある。3)筋痛原因は筋炎というよりも筋膜炎と考えられている。症状は通常1ヵ所に起こり、発作期間中に寛解と増悪を繰り返す。4)皮疹(図1A)遠心性に移動性の紅斑であり筋痛の位置に一致することも多い。熱感と圧痛を有し、自然消退する。5)結膜炎・眼窩周囲浮腫(図1B)片側性または両側性の結膜炎、眼窩周囲浮腫、眼窩周囲痛が発作期間中に出現する。6)胸痛胸膜炎や胸壁の筋膜炎による症状である。7)関節痛非破壊性、非対称性で下肢の大関節に起きることが多い。画像を拡大する■ 予後TRAPSの長期予後については不明な点が多いが、経過とともに症状が増悪していく症例も、軽症化していく症例もみられる。長期的な経過では、ステロイド治療の副作用や、アミロイドーシスの合併が問題となる。欧米ではアミロイドーシスは10%の合併頻度であるが、わが国の全国調査ではアミロイドーシス合併例の報告はない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)2002年、Hullらは症状、家族歴などから構成される「TRAPS診断指針」を発表したが、これは診断基準ではなく、遺伝子検査の適応を判断するための指針であった(表1)。TRAPS診断のgold standardは遺伝子検査である。疾患関連性が明確なTNFRSF1A遺伝子異常は、CDR1、CDR2のシステインの変異、T50M変異などである。これらが認められれば診断は確定する。その一方で、病的意義の明らかではない多型も存在する。その代表は、欧米ではP46LとR92Qである。これらは欧米の健常人の数%に認められるため、病的意義について議論がある。P46LとR92QのTRAPSは浸透率が低く、軽症で予後が良い。わが国ではT61Iが最も多くのTRAPS患者から報告されているが、健常人にも約1%の対立遺伝子頻度で認めるため病的意義については議論がある6)。TNFRSF1A遺伝子異常のリストは、INFEVER websiteで参照できる。「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班(研究代表者:平家俊男[京都大学]平成24-26年度 厚生労働省)では、前述の厚生労働省堀内班の研究結果を踏まえてTRAPS診療フローチャートを作成した。この診断フローチャートは、指定難病、小児慢性特定疾病の診断基準として利用されている(図2)。6ヵ月以上の炎症兆候の反復を必須条件とし、家族歴などの補助項目を満たす場合に遺伝子検査を推奨している。最終的な診断は遺伝子検査による。遺伝子検査結果の解釈は専門家への相談が必要である。画像を拡大する2015年、ヨーロッパの小児リウマチ学会(Paediatric Rheumatology International Trials Organisation:PRINTO)は、ヨーロッパを中心とした自己炎症症候群患者のデータベース(Eurofever registry)のデータを元に、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、クリオピリン関連周期熱症候群、TRAPSの予備的臨床的診断基準を作成し発表した(表3)7)。作成にあたり遺伝子検査で診断が確定した患者がgold standardとされた。TRAPSのP46LとR92Qのような浸透率の低い遺伝子異常や疾患関連性が不明な遺伝子異常は除外された。陰性対照群としてPFAPA症候群を加えた5疾患の患者群の臨床所見について多変量解析が行われ、各疾患を区別する項目が抽出され、そして、各項目をスコア化して診断基準が作成された。診断基準の適用については、感染症や他のリウマチ性疾患などを除外していることが重要な前提条件である。この予備的臨床的診断基準は、遺伝子検査の適応の判断や、疾患関連性が不明な遺伝子異常を有する患者の診断において参考にできる。将来的には、検査値や遺伝子検査と組み合わせた診断基準の作成が期待される。画像を拡大する症状は典型的な有熱性エピソードに関連してなければならない(感染症などの併存疾患を除外する)。†:末梢側へ向かって移動する紅斑であり、最も典型的には筋痛の部位を覆い、通常四肢または体幹に生じる。‡:東地中海:トルコ人、アルメニア人、非アシュケナージ系ユダヤ人、アラブ人  北地中海:イタリア人、スペイン人、ギリシャ人略称FMF:家族性地中海熱 MKD:メバロン酸キナーゼ欠損症 CAPS:クリオピリン関連周期熱症候群 TRAPS:TNF受容体関連周期性症候群■ 検査本症に疾患特異的なバイオマーカーはない。発作時に血沈、CRP、フィブリノゲン、フェリチン、血清アミロイドA蛋白などの急性期反応物質の増加が認められる。好中球の増加、慢性炎症に伴う小球性低色素性貧血、血小板の増加なども認められる。これらの検査値は発作間欠期にも正常ではないことがある。筋症状があっても、CK、アルドラーゼの上昇は認められない。最も重篤な合併症であるアミロイドーシスでは腎病変の頻度が高く、蛋白尿が認められるため、早期発見のために定期的な尿検査が推奨される。血清中の可溶型1型TNF受容体濃度の低値が特徴的とされていたが、TRAPSに特異的な所見とはいえず診断的意義は乏しいと考えられる。■ 鑑別診断ほかの周期性発熱を呈する疾患が挙げられる。ただし、筋痛や腹痛などが前景に立ち高熱が認められない症例、炎症性エピソードが周期的(反復性)ではなく慢性的に持続する患者などでもTRAPSの可能性はある。具体的には、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、クリオピリン関連周期熱症候群などの自己炎症疾患や全身型若年性特発性関節炎、成人スティル病、ベーチェット病などが鑑別に挙がる。TRAPS様症状の家族歴は、遺伝子異常の存在を予測する最も重要な因子である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)前述したわが国のTRAPS診断フローチャートに、治療(TRAPS診療の推奨)についての記述がある(表4)。また、2015年にPRINTOからTRAPSを含む自己炎症疾患の診療に関するエビデンスに基づいたレコメンデーションが発表された(表5)。発作時の短期的なNSAIDsもしくはステロイド投与が基本治療である。発作が軽症で頻度も年1、2回などと少ない場合、NSAIDsによる症状緩和のみでも対応可能である。わが国の診断フローチャートにある、経口プレドニゾロン(PSL)1mg/kg/日で開始し7~10日で減量・中止する方法(表4)は、HullらがTRAPS診断指針を発表した論文で推奨した方法である。留意事項に記載されているとおり、必要なステロイドの投与量や期間は、症例毎に、また同一症例でも発作ごとに異なり、状況に応じて判断していく必要がある。ステロイドは、当初効果があった症例でも次第に効果が減弱し、増量や継続投与を強いられる場合がある。重度の発作が頻発する場合、追加治療としてTNF阻害薬のエタネルセプト(商品名:エンブレル)とIL-1阻害薬カナキヌマブ(同:イラリス)が推奨されている。エタネルセプトは受容体製剤であるが、同じTNF阻害薬でも抗体製剤であるインフリキシマブ(同:レミケード)とアダリムマブ(同:ヒュミラ)はTRAPSで著しい増悪を起こした報告があり使用が推奨されない。また、エタネルセプトもステロイドと同様に効果が減弱するとの報告がある。PRINTOのレコメンデーションは、IL-1阻害薬の推奨度をより高く設定し、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)は、TRAPSに対するIL-1阻害薬のカナキヌマブの使用を認可している。わが国でも2016年12月にカナキヌマブがTRAPSに対して適応が追加された。画像を拡大する表5 TRAPS診療の推奨画像を拡大するL:エビデンスレベル1B(randomised controlled study)、2A(controlled study without randomisation)、2B(quasi-experimental study)、3(descriptive study)、4(expert opinion)S:推奨の強さA(based on level 1 evidence)、B(based on level 2 or extrapolated from level 1)、C(based on level 3 or extrapolated from level 1 or 2)、D(based on level 4 or extrapolated from level 3 or 4 evidence)略称TRAPS:TNF受容体関連周期性症候群 MKD:メバロン酸キナーゼ欠損症 CAPS:クリオピリン関連周期熱症候群4 今後の展望TRAPSは国内の推定患者数が数十例の極めてまれな疾患だが、不明熱の診療などで鑑別疾患に挙がることは少なくない。TRAPS様症状の家族歴があるときには遺伝子検査が診断に最も有用であるが、保険適用はなく施行できる施設も限られており、容易にできる検査とは言い難い。日本免疫不全・自己炎症学会では、TRAPSを含めた関連疾患の遺伝子検査の保険適用を将来的に目指した検討を進めている。5 主たる診療科小児科、膠原病内科、血液内科、感染症内科、総合診療科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療研究情報INFEVER website(医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人日本免疫不全・自己炎症学会(医療従事者向けのまとまった情報)1)McDermott MF, et al. Cell. 1999;97:133-144.2)Ueda N, et al. Arthritis Rheumatol. 2016;68:2760-2771.3)Simon A, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2010;107:9801-9806.4)Hull KM, et al. Medicine (Baltimore). 2002;81:349-368.5)Lachmann HJ, et al. Ann Rheum Dis. 2014;73:2160-2167.6)Horiuchi T. Intern Med. 2015;54:1957-1958.7)Federici S et al. Ann Rheum Dis. 2015;74:799-805.公開履歴初回2018年03月27日

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血清尿酸値上昇は高LDL-C/高TG血症リスク~日本人コホート研究

 高い血清尿酸(SUA)値は脂質異常症と関連するが、高尿酸血症がLDLコレステロールを増加させるかどうかは不明である。今回、コロラド大学の桑原 政成氏らが行った日本人のコホート研究により、SUA値の上昇が高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症の発症リスクを増加させたことが初めて報告された。著者らは「この結果は心血管疾患におけるSUAの役割を解明するかもしれない」としている。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年3月13日号に掲載。 本研究は、2004年に聖路加国際病院(東京)で健康診断を受診し、2009年に再評価された健康な日本人成人6,476人(年齢:45.7±10.1歳、男性:2.243人)の後ろ向き5年コホート研究である。被験者には、ベースラインの検査で高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病ではなかった人、高尿酸血症/痛風の治療薬を投与されていた人が含まれた。年齢、BMI、喫煙・飲酒習慣、ベースラインの推定糸球体濾過率(eGFR)、ベースラインのSUA、5年間のSUAの変化について調整し分析した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインの高SUAは、男性(OR:1mg/dL増加当たり1.159、95%CI:1.009~1.331)、女性(OR:同1.215、95%CI:1.061~1.390)とも、高LDLコレステロール発症の独立したリスクであった。・その他の危険因子として、ベースラインの高LDLコレステロール、高BMI、ベースラインの高eGFRが認められた(女性では後者の2因子)。・5年間のSUAの増加は、高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症発症の独立したリスクであったが、低HDLコレステロールについてはそうではなかった。■関連記事LDL-Cが高い人ほど心筋梗塞の予後良好!?

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統合失調症に対する抗精神病薬と抗うつ薬増強の有効性と安全性

 抗精神病薬で維持治療を行っている統合失調症患者に対する、抗うつ薬増強療法の有効性と安全性について、ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のB. Galling氏らが評価を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌2018年3月号の報告。 PubMed、MEDLINE、PsycINFO、Cochrane Libraryより、データベースの初めから2017年10月10日までの、統合失調症に対する抗うつ薬増強療法の有効性に焦点を当てたプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験を、システマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・42件(1,934例、期間:10.1±8.1週)のランダム効果メタ解析では、抗うつ薬増強療法はプラセボと比較し、全体の症状に関して軽減が認められた(SMD:-0.37、95%CI:-0.57~-0.17、p<0.001)。これは陰性症状の改善(SMD:-0.25、95%CI:-0.44~-0.06、p=0.010)によるものであり、陽性症状(p=0.190)および全般症状(p=0.089)では改善が認められなかった。・第1世代抗精神病薬への抗うつ薬増強療法の研究において、陰性症状の優越性が認められたが(SMD:-0.42、95%CI:-0.77~-0.07、p=0.019)、第2世代抗精神病薬では認められなかった(p=0.144)。・NaSSAにおいてのみ、全体の症状軽減(SMD:-0.71、95%CI:-1.21~-0.20、p=0.006)の優越性は陰性症状(p=0.438)によるものではなく、陽性症状の改善(SMD:-0.43、95%CI:-0.77~-0.09、p=0.012)によりもたらされた。・抗うつ薬では、プラセボより優れたうつ症状の改善は認められなかった(p=0.185)。・抗うつ薬増強療法では、口渇(RR:1.57、95%CI:1.04~2.36、p=0.03)を除き、有害事象および全原因/特定の原因による試験中止との関連は認められなかった。 著者らは「抗精神病薬で維持治療を行っている統合失調症患者に対して、抗うつ薬の追加は、全体の症状(とくに陰性症状)の軽減に有用である。しかし、その効果は軽度~中程度であり、抗うつ薬によっても異なり、また陰性症状の改善は第1世代抗精神病薬への増強療法に限られるようである」としている。■関連記事統合失調症への抗うつ薬追加は有益なのか統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

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重症心不全への遠心流ポンプ、2年時も有用性持続/NEJM

 重症心不全患者への埋め込み型補助人工心臓による治療では、完全磁気浮上型遠心連続流ポンプ(HeartMate 3)が機械軸受軸流ポンプ(HeartMate II)に比べ、2年時の臨床アウトカムが良好であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らが進めるMOMENTUM 3試験の2年間のフォローアップで示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年3月11日号に掲載された。遠心流ポンプは、デバイス内血栓症の防止を目的にデザインされた。本試験の早期解析では、6ヵ月時の臨床アウトカムは、遠心流ポンプが軸流ポンプに比べ改善したと報告されている。2年時の遠心流ポンプの非劣性と優越性を評価 MOMENTUM 3は、重症心不全患者における遠心流ポンプの軸流ポンプに対する非劣性と優越性を評価する非盲検無作為化試験である(Abbott社の助成による)。 対象は、ガイドラインで規定された医学的管理を行っても再発を認めた重症心不全患者であり、心臓移植への橋渡しか、恒久治療かは問わなかった。 主要エンドポイントは、2年時の後遺障害を伴う脳卒中(修正Rankinスコア[0~6点、点数が高いほど重症]>3点)の発現のない生存と、デバイス交換のための再手術またはデバイス不具合による除去が発生しない生存の複合であった。リスク差の非劣性マージンは、−10ポイントとした。 2014年9月~2015年11月の期間に、米国の69施設に366例が登録され、遠心流ポンプ群に190例、軸流ポンプ群には176例が割り付けられた。無イベント生存、ポンプ血栓症、脳卒中発症も改善 ベースラインの年齢中央値は、遠心流ポンプ群が65歳(範囲:19~81)、軸流ポンプ群は61歳(24~84)、男性がそれぞれ78.9%、81.2%を占めた。遠心流ポンプ群の1例、軸流ポンプ群の4例は植え込み術を受けなかった。 intention-to-treat(ITT)集団における2年時の主要エンドポイントの発生率は、遠心流ポンプ群が79.5%(151例)と、軸流ポンプ群の60.2%(106例)に対し非劣性(絶対差:19.2ポイント、95%信頼区間[CI]の下限値:9.8%、非劣性のp<0.001)であり、優越性(ハザード比[HR]:0.46、95%CI:0.31~0.69、優越性のp<0.001)も示された。 ポンプ不具合による再手術の発生率は、遠心流ポンプ群が1.6%(3例)であり、軸流ポンプ群の17.0%(30例)に比べ有意に低かった(HR:0.08、95%CI:0.03~0.27、p<0.001)。また、死亡および後遺障害を伴う脳卒中の発生率は同等であったが、全脳卒中は遠心流ポンプ群が10.1%と、軸流ポンプ群の19.2%に比し有意に低かった(HR:0.47、95%CI:0.27~0.84、p=0.02)。 ITT集団におけるKaplan-Meier推定法による2年時の無イベント生存率(主要エンドポイント)は、遠心流ポンプ群が77.9%と、軸流ポンプ群の56.4%に比べ有意に優れた(HR:0.46、95%CI:0.31~0.69、log-rank検定のp<0.001)。 ポンプ血栓症(疑い)は、遠心流ポンプ群の1.1%(2例)にみられ、軸流ポンプ群の15.7%(27例、33件)に比べ有意に少なかった(HR:0.06、95%CI:0.01~0.26、p<0.001)。 脳卒中は、遠心流ポンプ群の10.1%(19例、22件)に発生し、軸流ポンプ群の19.2%(33例、43件)に比し有意に低率であり(HR:0.47、95%CI:0.27~0.84、p=0.02)、per-protocol集団における2年時の無脳卒中率はそれぞれ89.1%、76.3%(0.47、0.27~0.84、log-rank検定のp=0.008)と、遠心流ポンプ群が有意に良好であった。 出血は遠心流ポンプ群で少ない傾向を認めたが、有意な差はなかった(42.9 vs.52.3%、p=0.07)。死亡は、遠心流ポンプ群が30例、軸流ポンプ群は36例で、最も多い死因は両群とも右心不全、脳卒中、感染症であった。 著者は、「遠心流ポンプ群でポンプ血栓症の疑い例が2例みられたが、いずれもポンプ外での血栓形成に起因する可能性がある」と指摘している。

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