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第12回 初めての死後訪問【はらこしなみの在宅訪問日誌】

こんにちは。在宅訪問専任の薬剤師・はらこしなみです。薬の処分に困っている、という方は多いのですね家族から「薬どうしよう」施設から「残っている薬を処分してほしい」薬の処分に困っている、という方は多いようです。今まではケアマネさんや看護師さん、病院の事務さんが処理してくれていました。これからは私がこの役を担おう。そう思っています。生老病死を見つめる目グリーフケアに行ったスタッフから聞いた話ですが、「家族(息子夫婦、その子供さん3人)で看取ったその後、その子供が、パパも僕が看取ってあげる、と言ったと聞いて感動しました。その目でしっかり生老病死を見つめていたのだ」と。「グリーフ」は"悲嘆"という意味で、近しい人を亡くした人がその悲嘆を乗り越えようとする心の努力。死別に伴う苦痛や環境変化などを受け入れようとすることを、グリーフワークと言います。そして、これを支援するのが『グリーフケア』です。死後訪問を経験A病院のスタッフは、必ず死後訪問をするそうです。在宅に関わるようになって、私も死後訪問を経験しました。在宅療養していて、最期は病院で看取られた患者さんのお宅に、あいさつに伺いました。事務さん、ケアマネさん、OT(作業療法士)さんと車で。ベテラン勢がいつもと変わらない様子で、ちょっと安心...。車の中では「毎日忙しい~大変~」と慌しい日常を垣間見ましたが、患者さん宅に着くと、ゆったりと時間が流れました。死後訪問に慣れていない私は、心ここにあらずといった感じで動揺を隠せませんでした。そんな私に、看護師さんもケアマネさんも「一度、家に帰ってこられたのよ。あのタイミングしかなかったのだから」「さあ、支援が必要な人がたくさん待っているわよ」と声をかけてくれます。少しでも家に帰れてよかったここ最近、終末期の新患さんの1回きり訪問が続きました。契約書は次回、未収。電話がかけにくい...。ご家族が納得されている場合でも気が引ける。歳が若かったり、突然の別れの場合はなかなか電話できず...。でも訪問してみると皆さん「少しでも家に帰れてよかった」と。その言葉にほっとします。 これからはグリーフケアにも積極的に関わっていこうと思います。

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サルコペニア、カヘキシア…心不全リスク因子の最新知識【東大心不全】

急増する心不全。そのような中、従来はわからなかった心不全とリスク因子の関係が解明されつつある。最近注目されるサルコペニア、カヘキシアに焦点を当て、心不全との関係を東京大学循環器内科 石田 純一氏に聞いた。近年の心不全リスク因子に関する研究の動向を教えてください。従来、心不全に併存するリスク因子、予後増悪因子としては動脈硬化の素因以外に慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、貧血、炎症が知られていました。画像を拡大するその中で、過去約20年で体組成の変化、とくに体組成減少が新たな心不全のリスク因子、予後増悪因子として注目を集め始めています。いわゆるサルコペニア、カヘキシア(悪液質)と呼ばれるものです。「サルコペニア」はギリシャ語が語源で、肉や筋肉を意味する「サルクス」と減少を意味する「ペニア」を合わせて筋肉減少を指します。一般に加齢に伴う筋肉減少が一次性サルコペニア、活動低下あるいは慢性疾患に伴うものが二次性のサルコペニアと分類されています。画像を拡大する「カヘキシア」も語源はギリシャ語の「カコス」と「ヘキス」で、英語で言えばバッド・コンディション、これを日本語にすると悪液質となります。最近の定義としては、骨格筋だけではなく、体組成全体の減少を意味します。いわゆる心不全やがんなどの慢性疾患に合併する全身性の消耗状態と捉えられます。サルコペニアの場合、従来は加齢に伴う筋肉減少はある種当然のことと考えられていましたが、実際には減少する人としない人がいます。そしてサルコペニア、カヘキシアともに心不全患者で併存する場合は、併存しない場合と比較して心不全の予後が悪いということがわかりました。サルコペニア、カヘキシアはどのように診断をするのでしょうか?サルコペニアは1989年に提唱された新しい概念である一方で、カヘキシアは用語としては長らく存在していましたが、病態としての概念ができたのは近年のことなので、まだ必ずしも統一された診断基準はありません。サルコペニアについては、2つ重要な要素があるといわれています。1つは筋肉の量的減少、もう1つが筋力あるいは身体能力の低下です。実はこの2つは同じ意味と捉えられがちですが、筋肉量減少とそのまま相関して筋力低下に反映されるものではないので、2つをそれぞれ評価することが重要だといわれています。カヘキシアについてもガイドラインなどはありませんが、心不全に併存する場合、論文などでは、過去の6~12ヵ月以内に5%以上の体重減少と定義している場合が多いと思います。ただ、カヘキシアの診断では要注意点があります。心不全やがんの場合は水分貯留による浮腫が発生しがちです。しかし、浮腫はカヘキシアの定義である体重減少とは逆の体重増加ファクターです。つまり、実際には筋肉や脂肪は減少しているのに、浮腫でそれがマスクされてしまっている可能性もあるのです。そのため前述の体重減少5%以上は、この浮腫分を含まない状態として評価しなければならない困難さがあります。これが、カヘキシアに対する取り組みを困難にしている理由の1つにもなっています。心不全に併存するサルコペニア、カヘキシアの割合はどのくらいなのでしょうか。この数字も報告によってさまざまですが、概説するとサルコペニアの併存率は30~50%、カヘキシアが5~20%といわれています。しかもこの2つはどこに着目するかという違いなので、双方が併存するケースもありえます。サルコペニア、カヘキシアが心不全の予後悪化につながる機序はどのように解釈されているのでしょうか。現在は疫学的に予後悪化因子と捉えられているのみで、まだ詳しい機序は解明されていません。そもそもサルコペニアの場合、サルコペニア自体の機序が十分に解明されていないという事情もあります。一般論的には心筋の量と働きが正常ならば血液循環も正常なので、骨格筋が減少するサルコペニアやカヘキシアでは、心筋も減少することで心臓が正常に機能しなくなり、心不全が悪化すると推定されていますが、エビデンスがあるわけではありません。ただ、がんに伴うカヘキシアでは心臓萎縮を疑わせる心臓重量低下の報告があるので、骨格筋減少と心筋減少に一定の相関があると推察されています。近年では欧米を中心に、心不全患者で肥満あるいは肥満傾向の患者のほうが、予後が良いという“obesity paradox”が報告されています。もともと肥満は心不全発症のリスク因子として確定していますが、ひとたび心不全を発症した場合は、極度の肥満は論外ですが、体重がやや多めの患者さんのほうが予後は良好とのデータがあるのは確かです。このため以前は、肥満がある心不全患者では体重減少を図るべきとされていましたが、最近の欧州でのコンセンサスではBMI 35超でなければ無理に痩せる必要はないと記述しています。しかし、人種差なども考慮すれば、これを日本人に機械的に適用することはできません。日本で欧州のコンセンサスを反映させるならば、どの程度のBMIが許容できるのかは今後の課題だと思います。一方、obesity paradoxのような現象が認められてしまうのはBMIの限界ともいえます。BMIは指標としては使いやすいのですが、筋肉と脂肪の比率や代謝状況を反映していません。心不全でBMIを考慮する際には、より多面的な視点も必要だと考えています。サルコペニア、カヘキシアへの対処、治療法の現状を教えてください。画像を拡大する現在、サルコペニアやカヘキシアでの筋肉減少は、タンパク質の分解(異化)と合成(同化)のバランスの中で、分解亢進あるいは合成低下のいずれか、またはその双方が同時に起きていると考えられています。そこで、タンパク質分解の亢進に関与しているマイオスタチンの働きを抑制する物質を治療へ応用しようとの検討が、がんのカヘキシアで行われましたが、ヒトでの臨床試験で筋肉量増加は認められたものの筋力増強は認められず、開発は頓挫しました。もう1つ注目されているのが、タンパク質の合成を促進するアナモレリン(anamoreline)です。この薬剤は、欧州で臨床の無作為比較試験まで行われています。日本でも肺がんのカヘキシア患者を対象に無作為化比較試験まで実施されています。結果、筋肉量を増加することが明らかになっています。筋力増強は明らかになっていないものの、本邦での開発は継続中です。もっとも私が知る限り、心不全に併存するサルコペニア、カヘキシアでこうした化合物の臨床試験が行われた形跡はありません。心不全で臨床試験を行えば、がんとは違った結果が出る可能性はあると思います。結局、こうした化合物は、非常に多面的な要素が大きいサルコペニアやカヘキシアのシグナリングの中の1つにアプローチするにすぎないのが、際立った臨床成績が得られない理由とも推察されています。その意味では、すでに消化器外科などで多用され、食欲増進ホルモンのグレリンに作用するほか、比較的多面的な効果も示唆されている漢方薬の六君子湯(リックンシトウ)なども、今後のサルコペニアやカヘキシアの治療に対する可能性を秘めているかもしれません。薬剤開発以外ではいかがでしょう?現時点ではまだエビデンスが十分とはいえないのですが、運動療法、いわゆる有酸素運動はサルコペニアやカヘキシアの有無にかかわらず、心不全の予後、身体能力、QOLの改善にも効果的と指摘されています。ことサルコペニアやカヘキシアに関していえば、運動療法が前述の異化・同化のバランス崩壊に効果を示しているのだろうと推測されています。ただ、激しい運動は心不全ではリスクとなりますので、安全性・有効性の観点から、従来からある心臓リハビリの法則にのっとって、個々の患者さんごとに適した運動量、運動強度を考える必要があります。プライマリケアの先生方にお伝えしたいことがあれば教えてください。サルコペニアについては、2016年に、世界保健機関(WHO)が公表している「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)」に入るようになりましたが、カヘキシアとともにまだ認知度は高くはないと思われます。その意味では、まずはサルコペニア、カヘキシアという病態があり、慢性心不全に併存した場合に予後悪化因子になるということを知っていただきたいと思います。現時点で打てる対策は、安全な運動療法になりますが、心臓を中心に考えたトータルケアで、サルコペニアやカヘキシアへの注意は欠いてはならないことを念頭に置いていただければ幸いです。講師紹介

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若年統合失調症治療における抗精神病薬関連の体重増加の予測因子とモデレーター

 小児精神疾患を治療する際、抗精神病薬関連の体重増加は、一般的な副作用である。しかし、抗精神病薬関連の体重増加の予測因子やモデレーターについては、よくわかっていない。米国・イェール大学のJerome H. Taylor氏らは、若年統合失調症治療における抗精神病薬関連の体重増加の予測因子とモデレーターについて、検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2018年6月19日号の報告。 若年発症統合失調症治療(TEOSS:Treatment of Early-Onset Schizophrenia Spectrum Disorders)研究において、8~19歳の統合失調症または統合失調感情障害を有する119例を、8週間の各抗精神病薬治療群(molindone群、リスペリドン群、オランザピン群)にランダム化し、治療反応および副作用について評価を行った。2次分析では、多変量線形回帰とROC分析を用いて、ベースラインから8週目までの体重変化とその予測因子およびモデレーターについて調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・治療薬の選択は、体重変化(F[2, 66]=17.00、p<0.001)および体重変化率(F[2, 66]=16.85、p<0.001)の最も顕著な予測因子であった。・各治療薬の平均の体重増加量は、molindone群0.74±3.51kg、リスペリドン群4.13±3.79kg、オランザピン群7.29±3.44kgであった。・治療薬の選択で調整した後では、治療前のヘモグロビンA1c(HbA1c)の低さが、より多い体重増加の予測因子であった(F[1, 55]=4.17、p=0.03)。・統合失調感情障害か、統合失調症であるかの診断が、体重変化(F[2, 63]=6.02、p=0.004)や体重変化率(F[2,63]=5.26、p=0.008)の予測因子であった。たとえば、統合失調感情障害は、統合失調症と比較し、リスペリドン群における若年での体重増加の予測因子であった。・年齢、性別、世帯の収入、ベースライン時の体重、症状は、体重変化または体重変化率の予測因子ではなかった。 著者らは「抗精神病薬の選択は、将来の体重増加を予測するうえで、非常に重要であることが確認された。また、これまでの研究と対照的に、若さはより大きな体重増加を予測しないことが示唆された」としている。■関連記事オランザピン誘発性体重増加のメカニズムブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響抗精神病薬誘発性体重増加に対するトピラマート治療のメタ解析

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心房細動患者への抗凝固薬とNSAID併用で大出血リスク上昇【Dr.河田pick up】

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は頻繁に使用される薬剤である一方、出血と血栓症のリスクを高める可能性がある。心房細動患者におけるNSAIDsの影響を定量化して求めることを目的として、Yale大学のAnthony P. Kent氏らが行ったRE-LY(Randomized Evaluation of Long Term Anticoagulant Therapy)試験のPost-Hoc解析結果が報告された。Journal of American College of Cardiology誌2018年7月17日号に掲載。RE-LY試験のpost-Hoc解析 RE-LY試験は、1万8,113例の心房細動患者を対象としてダビガトラン(110mgまたは150mgを1日2回)とワルファリンの有効性・安全性を比較した前向き試験で、2009年にNew England Journal of Medicine誌に報告された。 今回のPost-Hoc解析では、治療と独立した多変量Cox回帰解析を用いて、NSAIDsを使用した患者とそうでない患者の臨床成績を比較。相互作用解析は治療に応じたCox回帰分析を用いて求められた。NSAIDsの使用に関しては、時間依存共変量解析がCoxモデルを求めるのに使用された。大出血のエピソードはNSAIDsの使用で有意に上昇 RE-LY試験に組み入れられた1万8,113例の心房細動患者のうち、2,279例がNSAIDsを少なくとも一度、試験期間中に使用した。大出血の頻度はNSAIDs使用例で有意に高かった(ハザード比[HR]:1.68、95%信頼区間[CI]:1.40~2.02、p<0.0001)。 NSAIDsは糸球体濾過量(GFR)を減少させることが知られていて、ダビガトランは80%が腎臓からろ過されるが、NSAIDsの使用はダビガトラン110mg群、150 mg群いずれにおいても、ワルファリン群と比較して大出血のリスクに変化を与えなかった(相互作用のp=ダビガトラン110mg群:0.93、ダビガトラン150 mg群:0.63)。消化管出血はNSAIDs使用例で有意に高かった(HR:1.81、95% CI:1.35~2.43、p <0.0001)。脳梗塞および全身の血栓症もNSAIDs使用例で有意に高かった (HR:1.50、95% CI:1.12~2.01、p=0.007)。NSAIDsの使用による影響、ダビガトランとワルファリンで違いみられず NSAIDs使用例での脳梗塞、全身の血栓症に対する影響は、ダビガトラン110 mg群または150 mg群いずれでもワルファリン群との比較において違いはなかった。(相互作用のp=ダビガトラン110mg群:0.54、ダビガトラン150 mg群:0.59)。心筋梗塞の発生率や全死亡率はNSAIDs使用の有無で違いは認められなかった(HR:1.22、95% CI:0.77~1.93、p=0.40)が、NSAIDs使用例では入院率が高かった(HR:1.64、95% CI:1.51~1.77、p <0.0001)。心房細動患者で抗凝固薬が必要な患者において、NSAIDsの併用には注意が必要 筆者らは結論として、NSAIDsの使用は大出血、脳梗塞、全身の血栓症、入院率の上昇と関連していたと報告している。NSAIDsとの併用においてダビガトラン(110mgまたは150mg)の安全性と有効性は、NSAIDsとワルファリンの併用と比較しても違いがなかったとしている。 今回の研究で、これまでの研究と同様にNSAIDsは無害な薬ではないことが確認され、心房細動で抗凝固薬が使用されている患者においては、必要性を検討すべきであるとも記されている。

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小児の胃酸関連疾患の治療課題とPPIなどの薬物療法

 2018年7月13日アストラゼネカ株式会社は、第一三共株式会社と共同販売するプロトンポンプ阻害薬(PPI)エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)が、1歳以上の小児への追加承認を本年1月に受け、4月に同薬の懸濁用顆粒分包が新発売されたことを期し、「進化する酸関連疾患治療~子どもの酸関連疾患の治療課題とPPIがもたらす変革を考える~」をテーマとするメディアセミナーを開催した。セミナーでは、小児の胃食道逆流症など酸関連疾患の診療と今後の展望などが解説された(写真は、左:中山 佳子氏、右上:木下 芳一氏、右下:清水 俊明氏)。小児向け治療薬の臨床試験数が少ない日本の現状 はじめに中山 佳子氏(信州大学医学部小児医学教室 講師)を講師に迎え、「小児酸関連疾患の実情とアンメットニーズ」をテーマに講演が行われた。 冒頭、エソメプラゾールが、ほかの国から10年近く遅れて小児適応が承認されたことに触れ、わが国の小児医薬品の開発状況を概説した。今回の小児適応拡大は、2006年に日本小児栄養消化器肝臓学会から出された要望が、ようやく実ったもの。現在でも成人治療薬の約20%程度しか小児適応がないという。とくに小児領域では、対象年齢層(新生児~思春期)が広いこと、対象患者数・投与量の少なさによる採算性からメーカの躊躇などの理由があると、世界的にみても治験数が少ないわが国の問題点を指摘した。 つぎに小児の酸関連疾患の特徴として胃食道逆流症と胃潰瘍、十二指腸潰瘍について説明を行った。小児の胃潰瘍、十二指腸潰瘍ではPPIが有効 小児の胃食道逆流症は、10歳未満の患児3.2%にあると推測され、14歳まででは約3.7万の患児がいると推計されている。こうした患児の主訴は「嘔吐・嘔気」「腹痛」であり、胸やけや呑酸の訴えがない、またはできないために、見逃されやすいという。そのため、咳嗽や喘鳴、体重減少・成長不良、胸痛など消化管外症状について、医療者が医療面接で気付き、本症を想定できるかが重要だと語る。 小児の胃食道逆流症診療では、診断として上部消化管造影検査、食道pHモニタリング、上部消化管内視鏡検査などが実施される。また、鑑別診断では、好酸球性食道炎、消化性潰瘍、代謝性アシドーシスなどとの鑑別が必要となる。治療では、家族への説明、生活指導から始まり、授乳方法の改善(少量頻回、増粘ミルク、アレルギー疾患用ミルクなど)、そして、PPIなどの薬物療法へと移行する。実際、エソメプラゾールで治療する場合、1日10~20mgを約2週間投与し、症状の改善を確認。有効ならば、4~8週間の治療継続を行うことになるが、無効・再燃例では、小児専門医に紹介が必要となる。 小児の胃潰瘍、十二指腸潰瘍では、十二指腸潰瘍の頻度が高く、主症状は年齢により異なるという。新生児~乳児期では反復性の嘔吐、消化管出血、幼児期では臍周囲痛など非特異的な痛み、学童期では上腹部圧痛を伴う心窩部痛が多くなる。とくに患児が主訴で「お腹がモヤモヤする」と訴えた場合、十二指腸潰瘍を疑い、必要な検査などの施行が望まれる。また、危険兆候として、夜間睡眠中の腹痛による覚醒、嘔吐や貧血、ヘリコバクター・ピロリ感染の家族歴も参考になる。診断では、臨床所見のほか、検査で腹部エコーや上部消化管内視鏡検査で潰瘍の診断を確実にすることが必要とされる。治療では、PPIが著効するため、1歳以上の本症確定例の小児ではエソメプラゾール10~20mgを第1選択薬として、早期の症状消失、潰瘍治癒を促すとしている。 最後に中山氏は、「小児の酸関連疾患では、腹痛や嘔吐などを繰り返すため、患児は活動制約、成長障害などの合併症を来しうるとともに その保護者もケアの負担や成長への不安など日常で苦労が重積する。こうした疾患に早期診断、早期治療介入をすることで、患児と保護者のQOLの改善につなげていく必要がある。また、PPIのアンメットニーズとして、長期投与、1歳未満の乳児への使用、ヘリコバクター・ピロリ除菌への補助などまだ解決されるべきことも多い」と課題を呈し、講演を終了した。小児に使用できない治療薬の保険承認への呼び水に セミナー後半では、木下 芳一氏(島根大学医学部内科学講座第二 教授)を座長に、清水 俊明氏(順天堂大学大学院医学研究科 小児思春期発達・病態学講座 主任教授)と中山氏をパネリストに「幼児・小児の酸関連疾患の早期発見、早期診断・治療につなげるには」をテーマにパネルディスカッションが行われた。 ディスカッションでは、「酸関連疾患、早期発見のコツ」について木下氏が尋ねたところ、清水氏が「不規則な位置や時間に腹痛があれば酸関連疾患を疑う。家族歴の聴取も大事だ」と回答し、中山氏が「患児向けに『胸やけ』などの言葉の言いかえをあらかじめ示しておく。保護者に患児の表情や気になる点を細かく聴取するべき」と回答し、臨床に役立つポイントが語られた。また、今後の展望について、清水氏は「今回のエソメプラゾールの保険適用が、別の小児に使用できない治療薬の保険承認への呼び水になればよいと思う」と述べ、中山氏は「安全に患児に使える治療薬の拡大を望みたい」と語り、ディスカッションを終えた。■参考アストラゼネカ ニュースリリースプロトンポンプ阻害剤「ネキシウム」の小児用法・用量の追加を目指し、新たに臨床試験を開始

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メトトレキサート、重症円形脱毛症に有効

 メトトレキサートは、明確なエビデンスやガイドラインが不足する中、円形脱毛症に対する副腎皮質ステロイド治療開始後の低リスク維持療法の補助として、また、いくつかの研究では単独療法として用いられてきた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のKevin Phan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、メトトレキサートは重症円形脱毛症の治療において、単独療法またはステロイドの補助療法として有効であることを報告した。ただし、著者は「評価した研究はさまざまな後ろ向きの観察研究であり、円形脱毛症の治療におけるメトトレキサートの用量やプロトコールは施設間で異なっていた。さらに、補助療法については1年を越えるデータが不足していたなどの限界があった」としている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年7月9日号掲載の報告。メトトレキサートは重症円形脱毛症の治療において十分有効だった 研究グループは、検討の目的を(1)円形脱毛症に対するメトトレキサートの治療の有効性とリスク、(2)副腎皮質ステロイドとの併用療法および単独療法における有効性の違い、(3)成人と小児でメトトレキサートの相対的な有効性を明らかにすることとし、PRISMAガイドラインに従ってシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。 円形脱毛症に対するメトトレキサートの治療の有効性とリスクを検討した主な結果は以下のとおり。・メトトレキサートは、重症円形脱毛症患者において十分有効だった。・成人は小児と比較し、メトトレキサートの治療への反応が良好にみえた。・メトトレキサートは、単独療法と比較して、ステロイド併用療法のほうが奏効率(good/complete response[CR])を高く示した。・漸減療法において再発率が非常に高かった。・合併症の発現率は、成人と小児では類似しており許容範囲であった。

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アスピリンの効果、用量や体重で大きな差/Lancet

 アスピリンの血管イベントやがんの抑制効果には、用量や患者の体重によって大きな差があり、良好な効果を得るには、より個別化された治療戦略を要することが、英国・オックスフォード大学のPeter M. Rothwell氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年7月12日号に掲載された。全例に同一用量を一律に投与するone-dose-fits-allアプローチでは、アスピリンの長期的な心血管イベントの予防効果はわずかであり、標準的な用量は体が大きい患者には過少で、小さい患者には過剰であることが報告され、他のアウトカムについても同様である可能性が示唆されている。体重別、用量別の効果を、個別患者データを用いて解析 研究グループは、心血管イベントの1次予防におけるアスピリンの有用性を評価した無作為化対照比較試験の個別患者データを用いて、患者の体重別(10kgごと)、アスピリンの用量別(低用量:≦100mg、高用量:300~325mgまたは≧500mg)の効果について検討した(英国ウェルカム・トラストなどの助成による)。 得られたデータを年齢、性別、血管リスク因子で層別化し、アスピリンによる脳卒中の2次予防の試験で検証した。さらに、大腸がんおよび全がんの20年リスクに及ぼすアスピリンの効果と、体重および用量との関連について検討した。 日本の2件の試験を含む10件のアスピリンによる1次予防の試験(11万7,279例)が解析に含まれた。体重には最大と最小で約4倍の差があり、各試験の体重の中央値には60.0~81.2kgの幅が認められた(p<0.0001)。体重70kg以上への低用量投与で、心血管死のリスクが33%増加 低用量アスピリンの1次予防試験の統合解析では、75~100mgのアスピリンによる心血管イベントの抑制効果は、体重が増加するに従って低下した(pinteraction=0.0072)。体重50~69kgの集団ではベネフィットが認められ(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.65~0.85、p<0.0001)、とくに連日投与(0.68、0.56~0.83、p=0.0001)の効果が高かったのに対し、体重が70kgを超えるとベネフィットは消失した(0.95、0.86~1.04、p=0.24)。 さらに、体重70kg以上の集団では、低用量アスピリンにより初回心血管イベントの死亡リスクが増加した(オッズ比[OR]:1.33、95%[CI]:1.08~1.64、p=0.0082)。 高用量アスピリン(≧325mg)では、体重との間に低用量とは逆の関連がみられ(pinteraction=0.0013)、心血管イベントの抑制効果は、体重が最も重い集団のみで認められた(pinteraction=0.017)。 これらとほぼ同様の知見が、男性、女性、糖尿病罹患例、脳卒中の2次予防試験にもみられ、用量と身長にも類似の関連(pinteraction=0.0025)が認められた。 アスピリンによる大腸がんの長期的なリスクの低減効果にも体重依存性が確認され、体重が重い集団では効果が消失した(pinteraction=0.038)。低用量アスピリン(75~100mg)では、体重70kg未満の集団は大腸がんのリスクが低かった(HR:0.64、95%CI:0.50~0.82、p=0.0004)が、70kg以上の集団では効果はなかった(0.87、0.71~1.07、p=0.32)。これに対し、高用量(≧325mg)では、体重80kgまでリスク低減効果が認められた(0.69、0.55~0.87、p=0.0014)。 体重で層別化すると、用量が過剰になると有害な作用が増加することが示された。突然死のリスクは、体重が軽い集団では用量が増えるに従って増加し(pinteraction=0.0018)、アスピリン75~100mgの投与を受けた体重50kg未満の集団では、全死因死亡のリスクが増加した(HR:1.52、95%CI:1.04~2.21、p=0.031)。 70歳以上では、アスピリンによってがんの3年リスクが増加し(HR:1.20、95%CI:1.03~1.47、p=0.02)、とくに体重70kg未満の集団でリスクが高く(1.31、1.07~1.61、p=0.009)、結果として女性のリスクが高かった(1.44、1.11~1.87、p=0.0069)。 著者は、「低用量アスピリン(75~100mg)による血管イベントの予防効果は体重70kg未満の集団に限られたのに対し、高用量では70kg以上の集団のみで有効であった」とまとめ、「がんを含む他のアウトカムへのアスピリンの効果にも体の大きさと関連がみられたことから、one-dose-fits-allアプローチは適切ではない可能性があり、より詳細に個別化した戦略が求められる」と指摘している。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がんに迅速承認/BMS

 Bristol-Myers Squibb社は、2018年7月11日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)3mg/kgとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)1mg/kgの併用療法が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-HまたはdMMRの転移を有する大腸がん(mCRC)患者(成人および12歳以上の小児)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表。 この承認は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、またはイリノテカンを含む化学療法による治療歴を有するMSI-Hまたは dMMRのmCRC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した進行中の第II相CheckMate-142試験のデータに基づくもの。同併用療法は、FDAのブレークスルーセラピーに指定され、優先審査の対象となっていた。 CheckMate-142試験の同併用療法コホートには、1ライン以上の治療が行われたMSI-H/dMMRのmCRC患者が組み入れられ、ニボルマブ3mg/kgとイピリムマブ1mg/kgを3週ごと4回投与され、その後ニボルマブ単剤3mg/kgを2週間ごと、病勢進行または忍容できない有害事象が認められるまで投与された。有効性解析は、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療歴を有する患者(全119例中82 例)および全登録患者の両方において実施された。 フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療歴を有する患者82例の、独立放射線評価委員会(IRRC)の評価によるニボルマブ・イピリムマブ併用療法のORRは46%(82 例中38 例、CRは3例3.7%、PRは35例43%)であった。全登録患者119例でのORRは、49%(119例中58例、CR5例4.2%、PRは53例45%)であった。奏効が得られた58例のDOR中央値は未達(1.9~23.2+ヵ月)、奏効患者の83%で6ヵ月以上、19%で12ヵ月以上奏効が持続した。 なお、ニボルマブ単剤療法についても、同様の対象患者に対し、2017年8月に迅速承認されている。■参考Bristol-Myers Squibb社プレスリリースCheckMate-142試験(JCO)CheckMate-142試験(Clinical Triakls.gov)■関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H大腸がんで有効性/ASCO-GI2017ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに迅速承認/FDA いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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卵円孔開存患者では周術期の脳梗塞が多かった(解説:佐田政隆氏)-895

 卵円孔は、胎児期に右心房から左心房に血液が直接流れ込むための正常な構造であり、出産後肺循環が始まると閉鎖される。この閉鎖が不全である状態が卵円孔開存(patent foramen ovale; PFO)である。バブルテストや経食道心エコーなどの診断技術の向上によって、診断される頻度が増えており、成人で25%にPFOが認められるという報告もある。心房中隔欠損症などと異なり、PFOは血行動態に悪影響はなく、従来は放置して良いとされてきた。しかし、下肢などに血栓が生じると、PFOを通って右房から左房へ血栓が流れていって、奇異性脳塞栓症を生じさせることがまれに起こることが知られている。脳梗塞の既往がない周術期患者でPFOが本当に脳梗塞のリスクになるのかどうかは不明であった。 本研究では、全身麻酔下で非心臓手術を受けた成人18万2,393例について後ろ向き観察を行った。解析対象となった15万198人のうち約1%である1,540人にPFOが検出された。術後30日以内の、脳卒中推定リスクは、PFO群で5.9人/1,000人であるのに対して、PFOがない群で2.2人/1,000人であった。オッズ比2.66と、PFO群でPFOがない群より、有意に脳卒中のリスクが高かった。しかも、PFO群では大きい血管領域の脳梗塞が多く、脳卒中重症度の程度が大きかった。 本研究により、脳卒中の既往がない患者で、PFOが周術期の脳卒中リスクを高めることが明らかになった。PFOの検出率が1%であり、非PFO群にもPFOが含まれている可能性が高く、PFOによる脳卒中リスクはもっと高いと思われる。問題になるのは、術前にPFOが検出された場合、閉鎖術を施行すべきか、放置して構わないのかである。奇異性脳梗塞の予防のためには、抗血小板薬や抗凝固薬が有効といわれるが周術期には出血の危険性があり使用が制限される。もし、PFO閉鎖術で、周術期の脳卒中を予防できればメリットが大きい。 近年は、卵円孔開存に対する経カテーテル閉鎖デバイスが発達している。脳梗塞の既往のあるPFO患者で、PFO閉鎖は脳梗塞再発リスクを減少させることが最近の臨床研究から報告されている。しかし、脳梗塞の既往のないPFO患者に、術前に閉鎖術を行ったほうが良いのかどうかエビデンスがないのが現状である。PFO閉鎖術によって、新規発症の心房細動のリスクが上昇するという報告もある。PFOへの介入によって術後脳卒中のリスクが低減するのかどうか、ランダム化比較試験で検討する必要がある。

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CCメールの“CC”の意味を知っていますか?【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第1回

第1回 CCメールの“CC”の意味を知っていますか?「論文・見聞・いい気分」の第1回目です。このコラムの使命は、論文へのアレルギーを払拭し、論文に慣れ親しみ、そして最終的には論文を書くことができるようになることを目指すという崇高なものであります。エッヘン! とはいえ堅苦しい内容ではなく、肩の力を抜いて読むことができるような軽妙なタッチでいきますので、よろしくお願いいたします。さて、あなたは英語の論文を読んだことがありますか? 何本の英語論文を読みましたか? 読んだこともないのに書くことができるはずはありません。まず読むことに慣れなければならないでしょう。小生の勤務する病院でも論文抄読会が定期的に開催されています。抄読会の数日前に担当者が選んだ論文のpdfがメールの添付ファイルとして参加者に送付されます。PubMedなどで検索しダウンロードしたファイルです。ペーパーレスの現代では当然かもしれませんが、私はこのメールを受けとるたびに思い出すことがあります。紹介しましょう。私が学生であったころ、30年以上昔の、昭和60年前後の時代の話です。ある教授が医学生を対象に英語論文の抄読会を開催しておりました。その時代には、すでにコピー機はあり、担当者は選んだ論文を参加者の人数分だけコピーして配布していました。その様子を見ながら、「便利だがダメな時代になったなぁ」と、その老先生自身がかつて学生時代に参加していた抄読会について語ってくれたのです。昭和35年前後の話と推察します。当時は、まず図書館に行き過去の雑誌を製本した書架から目標とする論文を探しだします。そして、貸出手続きをして自宅に持ち帰ります。なぜか? コピー機がない時代ですから、手打ちのタイプライターで論文の全文章を打ち直していたというのです。抄読会の参加者が5人であれば、5枚の紙の間に4枚のカーボン紙を挟んで打ち直していたそうです。まさにカーボンコピー (Carbon Copy)です。タイプライターで文書を作成する際に2枚の用紙の間にカーボン紙を挟むと、正副2通の文書が同時に作成できます。複写機やプリンターが発明される前の複写術です。この名残がEメールでのCCメールです。正副2通の文章を打つのではなく、抄読会の参加人数分だけ一度に打つのです。6人だと6枚目には文字があらわれず、5枚が限界とのことでした。5枚でも1文字ずつ力を込めてタイプしないと読めなかったそうです。抄読会の担当者の苦労は膨大ですが、間違いなく論文を読み、そして書く力が涵養されたことでしょう。第1回として、昔話をしました。おやすみなさい。

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第2世代抗精神病薬で安定している統合失調症患者における代謝状態の長期変化

 第2世代抗精神病薬(SGA)は、メタボリックシンドローム(MetS)のリスクを増加させる。MetSのリスクがあるにもかかわらず、一部の患者では、SGAを継続する必要がある。韓国・Eulji University HospitalのSeong Hoon Jeong氏らは、このような患者におけるMetSの経過について、追跡調査を行った。Psychiatry Investigation誌2018年6月号の報告。 所定のSGAレジメンで1年以上維持された統合失調症患者を対象に、レジメンを変更することなく追跡調査を行った。MetSの指標は、ベースライン時およびフォローアップ時に評価を行った。MetSの有病率、発生率、自発的な正常化率を推定した。MetSの経過に影響を及ぼす可能性のあるリスク因子について、精査した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者151例が抽出された。・平均観察期間(389.9±162.4日)中におけるMetSの有病率は、35.1%から45.0%に増加した。・MetS発生率は29.6%、正常化率は26.4%であった。発生率に影響を及ぼすリスク因子は、年齢(OR=1.09、95%CI:1.03~1.17)、メタボリックシンドロームリスクスコアのベースライン連続値(OR=1.77、95%CI:1.29~2.55)、ベースライン時の体重(OR=1.06、95%CI:1.01~1.13)であった。・正常化率は、年齢(OR=0.74、95%CI:0.57~0.89)、ベースライン時の体重(OR=0.85、95%CI:0.72~0.95)の影響を受けた。 著者らは「MetSの有病率は、SGAの継続使用により確実に増加した。しかし、個体差は大きく、約4分の1の患者は、特定の測定を行うことなく、自然回復が認められた」としている。■関連記事統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのかオランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

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肺がんリキッドバイオプシーの有用性をオシメルチニブが裏付け(WJOG8815L/LPS)/日本臨床腫瘍学会

 オシメルチニブはEGFR T790M変異非小細胞肺がん(NSCLC)に有効性を証明しているが、その結果は組織生検によるT790M判定例のものであり、リキッドバイオプシーによるT790M判定例における検討は十分ではない。そこで、リキッドバイオプシー判定によるT790M変異NSCLCに対するオシメルチブの効果を前向きに評価した第II相試験(WJOG8815L/LPS)が実施され、その結果が神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、近畿大学の高濱 隆幸氏により発表された。 試験は2つのパートに分かれ、パート1ではT790M変異をコバスEGFR検出キットv2.0(コバス)とDropletデジタルPCR(ddPCR)でスクリーニングし、パート2ではスクリーニングされた患者に対し、オシメルチニブ80mg/日をPDになるまで投与した。帰無仮説は30%、対立仮説は55%と設定している。・対象:1回以上のEGFR-TKI治療でPDとなったT790M変異陽性NSCLC(CNS転移は除外)・試験薬:オシメルチニブ80mg/日をPDになるまで投与・評価項目:コバスでT790M変異陽性となった患者の奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・276例がスクリーニング対象となり、74例がリキッドバイオプシーでT790M変異陽性となった。・74例中53例がオシメルチニブ投与に割り付けられた。そのうちコバスでT790M陽性と判定されたのは49例であった。・コバスでT790M変異陽性となった患者のORRは55.1%(95%CI:40.2~69.3)。95%CIの下限が、事前に設定した閾値30%を超えたため、主要評価項目は達成された。・疾病コントロール率は93.9%であった。・T790M変異陽性と判定された全例(ddPCRでの検出例も含む)中、有害事象で脱落した1例を除く52例のORRは53.8%であった。・有害事象については、ほかのオシメルチニブ臨床試験と同様であった。 この結果から、リキッドバイオプシーはオシメルチニブの効果予測因子であり、生検組織の有無にかかわらず、リキッドバイオプシーの有用性を示唆するものだとしている。

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見過ごされている毒ヘビ咬傷、世界的な実態は?/Lancet

 毒ヘビ咬傷は、見過ごされている頻度の高い罹患率と死亡率の原因である。しかし、ヘビの生態やヘビ咬傷治療に関するデータは乏しく、正確な負荷評価をしようにも限りがある。英国・オックスフォード大学のJoshua Longbottom氏らは、「世界的な関心の低さが、新たな治療法や十分な医療資源、ヘルスケアの入手を阻んでいる」として、世界の最新のヘビ咬傷対策のための“ホットスポット”の描出を試みた。Lancet誌2018年7月12日号掲載の報告。ヘビ種リストをまとめ、咬傷リスクの最弱集団を特定 研究グループは、ヘビ咬傷リスクの最弱集団を特定するため、現在入手可能なデータを集約し、この世界的な問題に対処するため、どのような追加データが必要かを調べた。WHOガイドラインを用いてヘビ種リストをまとめ、WHOまたはClinical Toxinology Resourcesから専門家の見解に基づく分布(expert opinion range:EOR)マップを入手、また、VertNet、iNaturalistなど種々のウェブサイトから(spocc R package[version 0.7.0]を使用)、各種ヘビ種の出現データを入手した。 重複出現データは削除し、グループA(入手可のEORマップまたは種の出現記録がない)、グループB(EORマップありだが出現記録が5種未満)、グループC(EORマップありで出現記録5種以上)の3群のヘビ分類を作成した。グループCについては、2008 WHO EORマップとできるだけ新しいエビデンスを用いて多変量環境類似性分析を行った。 これらのデータとEORマップを用いて、医学的に重要な毒ヘビ種の最新分布マップを5×5km格子間隔で作成した。その後、これらのデータを3つのヘルスケアシステムの測定基準(抗毒法の利用能、都市部センターへのアクセシビリティ、Healthcare Access and Quality[HAQ]指数)を用いてトライアンギュレーションで、ヘビ咬傷の罹患と死亡に対しても最も脆弱な集団を特定した。ヘビ種278の世界分布マップを作成、地理的弱者は約9,266万人 研究グループは、ヘビ種278の世界分布マップの作成に成功した。世界でヘビが生息する地域には68億5,000万人が住んでいるが、約1億4,670万人が、質的に医療提供が乏しい辺境に住んでいることが判明した。 HAQ指数を用いた比較で、有効な治療がなくあらゆるヘビ種の曝露リスクがあるのは、低HAQ指数群は2億7,291万人(65.25%)であった一方、高HAQ指数群は5億1,946万人(27.79%)で、既存の抗毒利用能が不均衡であることが明らかになった。 抗毒法は、WHOによる評価では278種のうち119種(43%)のヘビについて入手可能であったが、世界でヘビが生息している場所で暮らす人のうち7億5,019万人(10.95%)が、人々が住む地域から1時間以上離れた場所で暮らしている。 全体的に、地理的弱者と呼べる人(多くはサハラ以南の国やインドネシア、その他東南アジアの一部に住む人)は、約9,266万人と特定された。 著者は、「世界の地域レベルで、毒ヘビ咬傷の最も重大な転帰にさらされやすい集団を識別することは重要である。新たなデータを収集し、照合することを優先し、抗毒治療と既存のヘルスケアシステムを強化し、現在入手可能なさらには将来的な介入を展開することである」との見解を示し、「今回のマップは、今後、生態学的および公衆衛生の両面において、ヘビ毒への効果的な対策を研究するのに役立つだろう。また、この顧みられない熱帯病の負荷の将来的な推定値について、よりよい目標値を導くものになるだろう」とまとめている。

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腹部大動脈瘤スクリーニングは無益、では健診が有効な疾患は何か?(解説:中澤達氏)-894

 スウェーデン人を対象としたレジストベースのコホート研究で、腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングは、AAA死亡の減少に寄与していないことが明らかにされた。スウェーデン人男性のAAA死亡率(65~74歳男性10万人当たり)は、2000年初期は36例であったが、2015年には10例に減少していた。死亡率の減少は全国的にみられ、AAAスクリーニング実施の有無に関係していなかった。今回の検討で、減少した要因の大半は他の因子によるもので、おそらくは喫煙の減少によることが示唆された。 AAAスクリーニングを受けた男性が回避可能なAAA死亡は、1万人当たり2例であった。また、待機的手術のリスク増大や、過剰診断の恐れとの関連が認められ、死亡や罹患リスクを増大した回避可能な手術がそのうちの19例に行われていたという。ベネフィットは小さく、有益性と有害性のバランスは非常に悪く、スクリーニングの正当性に対する疑念を深める結果であった。 これが真実であるとすると、スクリーニングは行うべきでなく偶然指摘されたAAAを治療することのみが死亡率低下に寄与することになる。10万人当たり10例の死亡という希少で、生活習慣病予防で死亡率も低下傾向の疾患であることが原因であろう。 同様なことが内科系の慢性疾患にも日本の誇る職場健診で生じている可能性がある。つまり、予防が徹底されその疾患の有病率が低下している局面では、早期発見し治療を開始しても生存率に影響がないどころか、投薬の副作用のみが起こるということだ。この点もぜひビッグデータで解明してもらいたい。

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ドラえもん【子どものメンタルヘルスに使えるひみつ道具は?】

今回のキーワード思春期好奇心反抗同調認知行動療法ブリーフセラピーみなさんは、10代の子どもにどう接して良いか困っていませんか? 例えば、リアクションが薄い、急にキレる、言うことを聞かない、勝手なことをする、友達関係に悩む、そして不登校などです。なぜ彼らは困ったことをするのでしょうか? そもそもなぜ困ったことが「ある」のでしょうか? そして、私たち大人はどうすれば良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、まず思春期のメンタルヘルスを、発達心理学的に、比較動物学的に、そして進化心理学的に掘り下げます。そして、子どものメンタルヘルスに使えるドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。と言っても、もちろん本物の道具ではありません。その道具の発想です。これらを使って、思春期の子どもへのより良いかかわり方をいっしょに探っていきましょう。思春期の子どもはなぜ困ったことをするの?発達心理学的に考えれば、思春期は、体と同じように、心(脳)も劇的に成長する時期です。そして、自分のことは自分でやる、つまり、自分の行動を自分で決めることができるようになります。まさに子どもから大人になる過渡期です。親から心理的に離れていく、心の独り立ち、つまり心理的自立の時期です(アイデンティティ確立)。彼らにしてみれば、早く大人になりたい、早く大人と思われたいと思うでしょう。ただ実際には、能力や経験値としては完全な大人ではありません。そのギャップに葛藤が生まれ、困ってしまい、困ったことをしてしまうというわけです。つまり、彼らが困ったことをするのは、彼ら自身が困っているからです。それでは、ここから困りごとを引き起こす思春期の心理を主に3つあげてみましょう。さらに、私たち人間と同じ社会的動物であるベルベットモンキーというサルの思春期の行動と重ねながら、比較動物学的に掘り下げてみましょう。(1)好奇心1つ目は好奇心です。思春期になると、いろんなこと、特に大人のやっていることに興味を持ち、自分で調べたり、確かめたりするようになります。例えば、それは、セックス、暴力、危険行為、アルコール、ドラッグなどです。それが行き過ぎてしまい、ませて身勝手なことをしているように見えるのです。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、向こう見ずで血気盛んになり、天敵がいるところでも動き回ります。逆に言えば、恐怖心は減っています。(2)反抗2つ目は反抗です。思春期になると、生意気になり、学校の先生をわざと怒らせたりもします。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、わざと親から離れて、天敵に近付いて挑発したりもします。自分の身は自分で守る、「もう大人なんだ」という親へのアピールをします。(3)同調3つ目は同調です。思春期になると、子どもは、親ではなく、同性同年代の仲間といっしょにいようとします。そのために、仲間の行動に合わせようとします。親よりも、友達という社会が大事ということです。逆に言えば、その社会を大事にしないように見える集団の変わり者をのけ者にしようともします。これが、いじめの心理でもあります。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、親からは離れつつ、群れ全体の行動に合わせようとします。思春期の子どもになぜ困ったことが「ある」の?これらの3つの思春期の心理は、同性へのマウンティングと異性へのセックスアピールが根底にあることが分かります。つまり、進化心理学的に考えれば、思春期の子どもに困ったことがそもそも「ある」のは、私たちが社会的動物の霊長類になった太古の時代から、生存や生殖に必要だったからであると言えるでしょう。大人はどうすれば良いの?思春期の3つの心理を踏まえると、児童期までの「教え込む」というかかわりには限界が見えてきます。それどころか、逆効果になって、ますます困ったことになる可能性もあるでしょう。そう考えると、私たち大人が思春期の子どもにできることは、大人扱いをして「考えさせる」というかかわりであることが分かります。その具体的なやり方として、ドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。(1)入れかえロープ1つ目は、入れかえロープです。これは、自分と相手が同時にそれぞれ両端を握ると心はそのままで体だけ入れ替わる道具です。のび太は、しずかちゃんと入れ替わりますが、うまく行かないことに変わりはなく、「どうしてなんだろ?」「しずかちゃんになったらもっと楽しいはずなのに」とドラえもんに泣きつきます。すると、ドラえもんから「それはもっと根本的な人間としてのきみがだめなんだよ」とストレートに言われてしまいます。ドラえもんのエピソードの中では、人は外見が変わっても中身は変わらないという教訓が示されています。もっと言えば、外見を変えるのではなく、中身を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこの入れかえロープを使って、以下のそれぞれの視点や状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんの入れかえロープを使って・・・」に続けてみてください。a. 自分が相手になる視点友達と仲が悪くなった時:「きみがその友達になったら何を考えてる?」いじめられているクラスメートを見つけた時:「きみがそのクラスメートになったら何を思う?」自分が憧れる有名人がいる時:「きみがその人になったら、何をしたい?」b. 相手が自分になる視点友達から嫌われていると思い話しかけられない時:「好きなお笑い芸人の○○がきみになったら何て言うんだろう?」テストの点が悪かった時:「優等生の○○くんがきみになったらどうしてるだろう?」学校に行きたくなくなった時:「憧れのスポーツ選手の○○がきみになったら、どうするだろう?」入れかえロープの発想を使うことで、相手の立場に立ったり弱者の視点を持ち、相手の感じ方や考え方に気付くことができます。また、尊敬する人、憧れる人、好きな人などのロールモデルの視点も使うことで、うまく行かない自分ではなく、うまく行く誰かに目が向きます。そして、うまく行く人の視点を通して、自分自身を見つめ直すことができるようになります。こうして、ものの考え方に幅を持たせる想像力を高めることができるでしょう。ちなみに、入れかえロープの発想は、心理療法である認知行動療法のリフレーミングに通じます。(2)もしもボックス2つ目は、もしもボックスです。これは、「もしも」という仮定の世界を疑似体験することができる装置です。のび太は、「眠れば眠るほど偉くなる世界」をつくり、昼寝好きなのび太はもてはやされますが、同時にみんなが居眠りすることによって、世の中が回らなくなり、危険になってしまうというオチです。ドラえもんのエピソードの中では、世界を変えたとしても、必ずしも期待通りにはならないという教訓が示されています。もっと言えば、世界を変えるのではなく、自分を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこのもしもボックスを使って、以下のそれぞれの状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんのもしもボックスを使って・・・」に続けてみてください。クラスメートたちの前で緊張する時:「緊張しなくなったら、クラスメートとどうしてる?」勉強ができない時:「勉強ができるようになったら、どんな気分かな?」不登校になっている時:「学校に楽しく行けるようになったら、どんな学校生活を送ってる?」もしもボックスの発想を使うことで、うまく行かない現実ではなく、うまく行っている理想に目が向きます。そして、うまく行く理想の視点を見据えて、やる気を高めることができるようになります。想像をすることは、それ自体で、やる気を高めています。これは、想像力とやる気に関係する脳内の物質(ドパミン)が活性化するからです。受け身でマイナス思考ではなく、自分から何かしようとする積極性やプラス思考を引き出します。そして、それが行動力になっていくでしょう。注意点は、もしもの変わる対象は周りではなく、自分であることです。変わる対象を周りにしてしまうと、自分が変わらないので、自分の行動力は高まらないからです。ちなみに、もしもボックスの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのミラクル・クエスチョンに通じます。(3)タイムマシン3つ目は、タイムマシンです。これは、現在の世界から過去や未来の世界に行くことができる乗り物です。のび太が45年後の自分に会いに行った時、その45年後の自分から言われます。「僕はきみで良かった。きみの人生にはまだまだこの先にも嫌なことやうまくいかないことがたくさん起きる。でも、きみは何度つまずいても、その度に立ち直る強さだって持っているんだぞ」「この僕がきみに言うんだから間違いない」と。のび太は、未来ののび太に勇気付けられるのです。ドラえもんのエピソードの中では、未来を知ることで、現在の自分の進む道が分かるという教訓が示されています。もっと言えば、たとえ未来は見られなくても、未来を描くことでも、現在の自分の進む道は分かるという教訓もあるでしょう。それでは、タイムマシンを使って、以下のステップで、例えば不登校の子どもに質問するのはどうでしょうか?ステップ1:「ドラえもんのタイムマシンに乗って、成長した20歳の自分を見に行ったら、その自分はどんな1日を過ごしてる?」ステップ2:「今の自分は、20歳の自分に何を聞きたい?」ステップ3:「20歳の自分は、今の自分にまず何とアドバイスする?」タイムマシンの発想を使うことで、うまく行かない現在ではなく、うまく行っている未来に目が向きます。そして、うまく行く未来の視点を通して、現在の自分の行動を具体化することができるようになります。注意点は、「成長した」「うまく行っている」「幸せな」などのポジティブな言葉を必ず入れることです。これを入れないと、成長していないネガティブな未来を描いてしまう可能性があるからです。また、未来の設定時間は、「20歳」でなくても、1か月後でも10年後でも良いです。大事なのは、子どもにいつの未来を描いてほしいかということです。こうして、現在から未来への道筋を見いだすことができるでしょう。ちなみに、タイムマシンの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのタイムマシン・クエスチョンに通じます。子育てとは?子育てとは、最終的に、子どもが「こうしたい」「こうなりたい」と自分で考える能力を育むことです。そして、その能力を十分に発揮できているのが、大人であると言えるでしょう。そう考えると、子育てのゴールとは、子どもが親の言う通りに生きるようになることではないでしょう。それは、子どもが親に言われなくても生きていけることでしょう。進化論的には、動物が子孫を残すために必要なことは、生存と生殖の2つです。ただし、人類を初めとする社会的動物の霊長類は、もう1つ必要なものがあります。それが、子育てです。これがないと、生存も生殖もできずに、子孫は残せません。さらに、人類ならではなのが、子育てを文化として世代から世代へ受け継ぐことです。そういう意味では、子育てとは、第2の遺伝子であるとも言えるでしょう。のび太はドラえもんのひみつ道具を通して成長し、やがてしずかちゃんと結婚するという夢を叶えます。それと同じように、私たちも3つのひみつ道具の発想を使うことで、子どもが夢を持ち、より豊かな人生を歩んでいくサポートができるのではないでしょうか?さらには、3つのひみつ道具の発想は、子どものメンタルヘルスだけでなく、思春期を過ぎた私たち大人のメンタルヘルスにも生かせることが、もちろんできます。つまり、私たち自身も子どもたちと同じように、夢を持ち、より豊かな子育て、そしてより豊かな人生を歩んでいくことです。そんな私たちの背中を見せることも、思春期の子どもへのより良いかかわり方であると言えるのではないでしょうか?1)ドラえもん最新ひみつ道具大辞典:藤子F・不二雄、小学館、20082)家族進化論:山極寿一、東京大学出版会、20123)解決志向ブリーフセラピー:森俊夫、黒澤幸子、ほんの森出版、20024)タイムマシン心理療法:黒沢幸子、日本評論社、2008

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抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究

 甲状腺機能低下症は、認知障害を引き起こす疾患として知られており、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能である。そのため、日本を含め世界各国の認知症診療ガイドラインでは、認知症の診断を進めるうえで甲状腺機能検査(TFT)の実施を推奨している。しかし、これまで抗認知症薬を開始する前の認知症原因疾患の診断過程において、TFTがどの程度実施されているかについては、よくわかっていなかった。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、日本における抗認知症薬処方前のTFT実施状況について調査を行った。Clinical Interventions in Aging誌2018年7月6日号の報告。 本レトロスペクティブ観察研究は、厚生労働省が構築しているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて実施された。対象は、2015年4月~2016年3月に、65歳以上で認知症診断直後に抗認知症薬を新たに処方された26万2,279例。アウトカムは、抗認知症薬の処方開始日から過去1年間のTFT(血清甲状腺刺激ホルモンと遊離サイロキシンの測定)実施とした。 主な結果は以下のとおり。・抗認知症薬処方前のTFT実施率は32.6%であった。・TFT実施率は、診療所において26%であったのに対し、病院では約1.5倍の38%、認知症疾患医療センターでは約2.2倍の57%(調整リスク比:2.17、95%CI:2.01~2.33)であった。・患者が高齢になるほど、TFT実施率が低下する傾向が認められた(65~69歳:39.4%、70~74歳:37.2%、75~79歳:36.6%、80~84歳:33.9%、85歳以上:28.1%)。 著者らは本研究結果を踏まえ、以下のようにまとめている。・本研究では、認知症診断直後に抗認知症薬を処方された患者のうち、約67%が処方前の1年間にTFTを実施されていないことが示された。これは、TFT実施が診療ガイドラインで推奨されている点から、問題であると考えられる。・認知症疾患医療センターや病院でのTFT実施率が、診療所と比較して高かったことは、設備的に血液検査を実施しやすい状況にあることが考えられる。また、診療する医師に、神経内科や精神科などに所属する、認知症の鑑別診断に習熟した医師が多いことも要因であると思われる。・甲状腺機能低下症は、加齢に伴う身体機能の変化と区別がつきにくく、高齢者では診断されにくい傾向があるが、早期に治療すれば認知機能障害の回復も期待できることから、典型的な所見を示さなくても、認知症診断時にはTFTを実施すべきである。治療可能な疾患による認知症は適切に鑑別すべきであることを、抗認知症薬を処方する医師にあらためて周知する必要があると考えられる。■関連記事日本における抗認知症薬の処方量に関する研究認知症になりやすい職業は新規アルツハイマー型認知症治療剤の発売による処方動向の変化:京都大

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勤務医の年間バイト収入はいくらぐらい?

 ケアネットでは、CareNet.com会員医師から寄せられた声にお応えし、2018年7月に「勤務医1,000人に聞く!医師のアルバイト収入について」のアンケートを行った。ここでは、年間アルバイト収入についての調査結果を報告する。半数近くが100万円未満だが、大台越えも6% 全体でみると、年間100万円以上のアルバイト収入を得る医師が半数以上を占めたが、常勤病院の業務量などによるのか、100万円未満という回答もかなりの割合で見られた。一方、週1回以上の定期アルバイト実施者に絞ると、200~600万円に多く分布しており、1,000万円以上の高額帯も一定割合存在していることがわかった。 詳細なデータ(医師経験年数別・医局所属別など)はCareNet.comに掲載。

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院外心停止へのエピネフリン、神経学的予後は改善せず?/NEJM

 成人の院外心停止患者へのエピネフリン(アドレナリン)投与は、プラセボに比し30日生存率を改善するが、重度の神経障害を有する生存例が多いため、良好な神経学的アウトカムを有する生存例の割合には差がないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが行った「PARAMEDIC2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年7月18日号に掲載された。エピネフリンは、α-アドレナリン受容体を介して細動脈を収縮させることで、心停止に対し有益な作用を及ぼす可能性があり、この細動脈の収縮は、心肺蘇生法(CPR)施行中の大動脈の拡張期血圧を上昇させるため、冠動脈の血流が増加し、自己心拍再開の可能性が高まるという。一方、α-アドレナリン刺激は、血小板を活性化して血栓症を促進し、大脳皮質の微小血管の血流を損ない、CPR中および自己心拍再開後の脳虚血の重症度を高めるとされる。5施設、約8,000例のプラセボ対照無作為化比較試験 PARAMEDIC2試験は、エピネフリンの安全性と有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験であり、国際蘇生連絡協議会(ILCOR)の求めに応じて行われた(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 英国内NHSの5つの救急搬送部門が参加した。対象は、訓練を受けた救急医療隊員による2次救急処置が施行され、院外心停止が持続する成人患者であった。妊婦、16歳未満、アナフィラキシーや喘息による心停止、外傷性の心停止、救急医療隊員の到着前にエピネフリンの投与を受けた患者は除外された。 初回蘇生法(CPRと除細動)が不成功であった患者が、通常治療に加えて、エピネフリン(1mg)または生食(プラセボ)を投与する群にランダムに割り付けられた。試験薬は、3~5分ごとに静脈内または骨内投与された。 主要アウトカムは30日生存率であった。副次アウトカムは、退院時に良好な神経学的アウトカム(修正Rankinスケール[0~6点:0点は無症状、6点は死亡]のスコアが3点以下)を示す生存例の割合などであった。 2014年12月~2017年10月の期間に8,014例が登録され、エピネフリン群に4,015例、プラセボ群には3,999例が割り付けられた。30日生存率:3.2 vs.2.4%、重度神経障害の退院時生存率:31.0 vs.17.8% ベースラインの平均年齢(SD)は、エピネフリン群が69.7(16.6)歳、プラセボ群は69.8(16.4)歳で、男性がそれぞれ65.0%、64.6%を占めた。 緊急通報から救急車の現場到着までの期間中央値(IQR)は、エピネフリン群が6.7分(4.3~9.7)、プラセボ群は6.6分(4.2~9.6)であり、緊急通報から試験薬投与までの期間中央値(IQR)は、それぞれ21.5分(16.0~27.3)、21.1分(16.1~27.4)であった。また、入院前蘇生法施行中の自己心拍再開の割合は、エピネフリン群がプラセボ群に比べて高く(36.3 vs.11.7%)、病院搬送患者の割合も高かった(50.8 vs.30.7%)。 30日時の生存率は、エピネフリン群が3.2%(130例)であり、プラセボ群の2.4%(94例)に比べ有意に優れた(未補正オッズ比[OR]:1.39、95%信頼区間[CI]:1.06~1.82、p=0.02)。 入院までの生存率は、エピネフリン群が23.8%(947/3,973例)と、プラセボ群の8.0%(319/3,982例)に比し有意に高かった(未補正OR:3.59、95%CI:3.14~4.12)。 退院時に、良好な神経学的アウトカムを有する生存例の割合は、エピネフリン群が2.2%(87/4,007例)、プラセボ群は1.9%(74/3,994例)であり、両群間に有意な差を認めなかった(未補正OR:1.18、95%CI:0.86~1.61)。また、退院時に、重度神経障害(修正Rankinスケール:4、5点)を有する生存例の割合は、エピネフリン群が31.0%(39/126例)と、プラセボ群の17.8%(16/90例)よりも多かった。 著者は、「神経学的アウトカムが改善されなかった原因は不明である」としたうえで、「この結果の説明として、(1)エピネフリンは、肉眼的な脳血流を増加させるが、逆説的に脳の微小血管の血流を障害し、自己心拍再開後の脳障害を増悪させる可能性があること、(2)脳は、心臓など他の臓器に比べ虚血や灌流障害への感受性が高く、心拍再開後の回復能が機能的に低いとされることが挙げられる」としている。

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