サイト内検索|page:1056

検索結果 合計:35655件 表示位置:21101 - 21120

21101.

これがMRによる不適切な情報提供の実態【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第2回

医療用医薬品の広告には法的規制や自主規範があり、MRなどから医療者への医薬品の情報提供には制約があります。その医療用医薬品の広告活動が適切に行われているかどうかに関する調査が実施され、報告書が2018年3月に作成、5月11日に公表されました。調査は、厚生労働省により2017年度中に5ヵ月間行われました。全国の医療機関の中からモニター医療機関を選定し、問題がありそうな事例を報告してもらい、それが法令違反に該当するかどうか行政上の判断を行うというものです。今後、行政指導などの必要な対応を図り、また製薬会社や医薬業界の自主的な取り組みを促すことで、医薬品の広告活動の適正化を図るために実施されました。調査対象は、MRなどの情報提供活動や広告資材、講演会だけでなく、専門誌や製薬会社のホームページも含まれており、医療機関における情報収集の実態に沿ったものとなっています。調査の結果、52の医薬品などで適切性に関する疑義報告があり、違反が疑われる項目は67件でした。今回は、健康被害への重大性や悪質性の観点からただちに取り締まりが必要となる事案はなかったため、違反事例に対しての処罰はないものと思われます。クローズドな場で資料配布せず意図的に疑義報告が行われた情報の入手ルートですが、1位が「企業による製品説明会」で34.6%、2位が「MRによる口頭説明」で30.8%でした。疑わしい事例の分類としては、1位が「事実誤認の恐れのある表現を用いた」が41.8%と断トツで多く、次いで「事実誤認のあるデータ加工を行った」が14.9%、「未承認の効能効果や用法用量を示した」が11.9%と続きました。具体的な事例として、以下が挙げられていました。原料の供給が需要に追い付かないため、患者の状態に応じた半量投与など、投与量の適宜増減を依頼する紙面案内があった。根拠となるデータを示すことなく「半量投与でも効果はまったく変わらない」と口頭で説明された。→効能効果について根拠のない情報提供自社のAG(オーソライズド・ジェネリック)と他社の後発医薬品との差異について、「胃炎・胃潰瘍治療剤は胃に直接作用するため、薬剤の溶出性などの動態が重要となる。効果を最大限に得るためには先発医薬品と製剤方法や添加物がすべて同等であるAGが最適である」と説明された。→根拠のない情報提供および他社製品の誹謗中傷発言パンフレットに補助線が引かれるといった加工が行われており、他社製品との差を強調している印象を受けるものであった。→補助線の追加と着色による誇大表現この報告書のまとめには、この調査によって以下の3点が明らかになったとされています。1.企業のMRが行う製品説明会や医療機関を訪問しての情報提供、登録制の企業ホームページといった「クローズドな場」において不適切な情報提供が多く行われている。資料を配布しないなど、意図的に不適切な情報提供を行っている可能性が疑われる事案もあった。2.調査期間の長期化とモニター医療機関の拡大により、不適切事例の把握数が増加した。モニター調査の継続的な実施と拡大は、企業の不適切な情報提供に対して一定の抑止力になる。3.広告監視モニターが広告監視の視点を身につけるうえで、不適切事例の共有が効果的であった。事例の精査には、実際の事例によって、不適切な情報提供のパターンやポイントを学習することが重要。製薬会社側も不適切な情報提供を問題視しているのか、最近では医療機関からの質問をその場でMRが回答することを禁じ、MA(メディカルアフェアーズ)やDI部門から後日回答する会社が複数あると聞きます。今後こうした事例は少なくなっていくのでしょうが、いずれにせよ私たち医療者は、最新の医薬品や医療の勉強を製薬会社に任せっきりにしたり、内容をうのみにしたりせず、客観的に評価する目を持つ必要がありそうです。平成29年度 医療用医薬品の広告活動監視モニター事業報告書

21102.

胃がん予防効果が得られるアスピリン投与量は?

 アスピリンが特定のがんの予防効果を有することが、多くの研究で報告されている。今回、米国・ワイルコーネル医科大学のMin-Hyung Kim氏らは、韓国の一般集団において、アスピリン使用と胃がんの用量反応関係を評価し、胃がん予防効果を得るためのアスピリン累積投与量の閾値を推定した。The American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2018年6月1日号に掲載。 本研究では、韓国の国民健康保険サービス(NHIS)による集団ベース縦断コホートの46万1,489人について、2007~12年における胃がん発症を同定した。2002~06年のデータをレビューし、DDD(defined daily dose)システムを使用して累積投薬曝露を評価した。アスピリン使用の胃がんに対するハザード比(HR)を、多変量Cox比例ハザード回帰を用いて推定した。また、研究デザインによるばらつきを評価するために、傾向スコアマッチングおよびコホート内ケースコントロールデザインを含む感度分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・296万5,500人年のフォローアップから5,674人に胃がんが確認され、胃がん全体の発症率は10万人年当たり191.00であった。・3DDD-年以上のアスピリン使用は、非使用に比べて有意な胃がん予防効果を示した。調整後HR(95%信頼区間)は、3~4DDD-年で0.79(0.63~0.98)、4~5DDD-年で0.63(0.48~0.83)であった(傾向のp<0.001)。・傾向スコアマッチングとコホート内ケースコントロールデザインを用いた感受性分析により、一貫したアスピリンの化学予防効果が示された。

21103.

未熟児網膜症、遠隔医療で正確な診断可能

 未熟児網膜症(ROP)は、一般的に双眼倒像鏡眼底検査を用いて診断される。遠隔医療による未熟児網膜症の診断については、これまで、その正確さを対面診断の眼底検査と比較して評価する研究が行われてきた。しかし、対面診断が遠隔診断より本当に正確かどうかはわかっていない。米国・オレゴン健康科学大学のHilal Biten氏らは多施設共同前向きコホート研究を行い、臨床的に意義のあるROPの発見において、対面診断と遠隔診断との間で概して正確さに差はなかったが、平均すると対面診断のほうがzone IIIおよびstage 3 のROPの診断精度はわずかに高いことを明らかにした。ただし著者は、「どちらの診断法も検者によって変数精度があることを警告しつつ、今回の結果は、臨床的に意義のあるROPの診断法として、遠隔医療の利用を支持するものである」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2018年5月号掲載の報告。 研究グループは、ROPの診断における眼底検査の対面診断と遠隔診断の精度と感度を比較する目的で、2011年7月1日~2014年11月30日に、米国およびメキシコの新生児集中治療室および大学病院の眼科、計7施設において、多施設共同前向きコホート研究を行った。 対象は、ROPのスクリーニング基準を満たした早産児281例で、経験豊かな臨床医による双眼倒像鏡眼底検査の実施に続き、3人の独立した遠隔画像読影者による広角眼底写真の遠隔診断を行った。いずれの診断も参照基準に合致し、両診断結果の一致率とκ係数を用いて評価された。 主な結果は以下のとおり。・281例(女児127例、男児154例、平均在胎期間27.1±2.4週)の合計1,553件の検査が行われた。・対面診断と遠隔診断の感度は、zone Iがそれぞれ78%(95%信頼区間[CI]:71~84) vs.78%(同:73~83)(p>0.99、165例)、plus diseaseが74%(同:61~87)vs.79%(同:72~86)(p=0.41、50例)、type 2(stage3、zone Iまたはplus disease)が86%(同:80~92)vs.79%(同:75~83)(p=0.10、251例)であり、いずれも同程度であった。・しかしstage3の識別では対面診断の感度がわずかに高かった(85%[同:79~91] vs.73%[同:67~78][p=0.004、136例])。

21104.

食の欧米化で前立腺がんリスクが高まる

 食の欧米化は前立腺がんのリスクを高める可能性があることが、国立がん研究センターのSangah Shin氏らの研究で明らかになった。Cancer Causes & Control誌2018年6月号に掲載。 食生活は前立腺がんの進行に影響を与えるとされる。そこで、著者らは日本人男性の食生活と前立腺がんのリスクの関係について大規模コホート研究を行った。今回の研究では、4万3,469例の日本人男性を対象に、食事のパターンと前立腺がんの進行度に関する5年間の追跡調査を行った。調査の開始は1995年から1998年で、2012年の調査終了までに1,156例の前立腺がんが認められた。 主な結果は以下のとおり。・探索的因子分析の結果、対象者の食事パターンは慎重的(野菜や果物、穀物を積極的に摂取し、肉は控える食事)、欧米的、伝統的の3種類に分類された。・3種類の食事パターンのうち、欧米的な食事パターンでは全前立腺がんのリスクが1.22倍(95%CI:1.00~1.49、p trend=0.021)、限局性前立腺がんのリスクが1.24倍(95%CI:0.97~1.57、p trend=0.045)、進行前立腺がんのリスクが1.23倍(95%CI:0.82~1.84、p trend=0.233)であった。・慎重的な食事パターンでは、全前立腺がんのリスクと限局性前立腺がんのリスクが有意に低かった。・伝統的な食事パターンは、前立腺がんのリスクとの関連性が認められなかった。

21105.

妊娠中の抗うつ薬使用パターンに関するコホート研究

 フランス・Bordeaux Population Health Research CenterのAnne Benard-Laribiere氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用パターンについて調査を行った。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2018年4月17日号の報告。 フランス人口の約99%が加入している医療保険制度のデータを用いて、2014年に妊娠した女性を対象としたコホート研究を実施した。妊娠前または妊娠中に開始した抗うつ薬使用を評価するため、抗うつ薬治療の変化に関して、妊娠中の抗うつ薬の併用、切り替え、中止、再開について検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・コホート研究に含まれた妊娠件数は76万6,508件(75万5,529例)であった。・妊娠中の抗うつ薬使用は、1,000件当たり25.7件(95%CI:25.3~26.0)であった。・新規抗うつ薬使用は、1,000件当たり3.9件(95%CI:3.7~4.0)であり、最も使用された薬剤は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。妊娠第2・3三半期で最も使用された薬剤は、アミトリプチリン、三環系抗うつ薬であった。・ほとんどの抗うつ薬治療の変化は、妊娠前および妊娠第1三半期に観察された。妊娠1年前に行われていた抗うつ薬治療のうち63%が、受胎前に中止された。受胎後に継続されていた抗うつ薬治療のうち68%が、妊娠第1三半期に中止された。抗うつ薬の切り替えまたは併用は、妊娠前後または妊娠第1三半期に多く行われていた。・最初の抗うつ薬の種類にかかわらず、セルトラリンへの切り替えが最も多かった。・主な併用は、SSRIに加えて、三環系/四環系抗うつ薬、ミルタザピン/ミアンセリンであった。・妊娠中に抗うつ薬治療を中断した妊婦のうち22%は、治療を再開した。■関連記事妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

21106.

コントロール不良DMの血糖管理、 SMSによる介入で改善/BMJ

 テキストメッセージ(SMS:short message service)を活用した糖尿病自己管理サポートプログラムは、コントロール不良の成人糖尿病患者の血糖コントロールをわずかだが改善したことが、ニュージーランド・オークランド大学のRosie Dobson氏らによる無作為化試験の結果、示された。高コストで長期にわたる、コントロール不良の糖尿病関連の合併症が増大していることに対し、有効な糖尿病自己管理サポートが求められている。SMSは、自己管理サポートにおいて理想的なツールであるが、これまで糖尿病の自己管理サポートに対する有効性は不明であった。BMJ誌2018年5月17日号掲載の報告。通常ケアに加えてSMS送信介入、9ヵ月時点の血糖コントロールを評価 研究グループは、コントロール不良の成人糖尿病患者において、論理的かつ個別に調整されたテキストメッセージをベースとした、糖尿病自己管理サポート介入(SMS4BG)の有効性を調べるため、ニュージーランドの1次・2次医療サービスにおいて、2群平行群間比較の無作為化試験を9ヵ月間にわたり行った。 被験者は、16歳以上のコントロール不良(HbA1cが65mmol/molまたは8%以上)の1型もしくは2型糖尿病患者366例。2015年6月~2016年11月に、介入群(183例)または対照群(183例)に無作為に割り付けられ追跡を受けた。介入群は、通常ケアに加えて個別に調整されたテキストメッセージのパッケージ送信を9ヵ月間受けた。テキストメッセージで提供されたのは、糖尿病自己管理や生活スタイルに関する情報、サポート、動機付けおよびリマインダーであった。メッセージは、特別に設計された自動コンテンツ管理システムにより送信された。対照群は通常ケアのみを受けた。 主要評価項目は、血糖コントロール(HbA1c)のベースラインから9ヵ月時点での変化であった。副次評価項目は、3ヵ月、6ヵ月時点のHbA1cの変化、および9ヵ月時点の効果の自覚、糖尿病セルフケア行動、糖尿病に対する苦しみ、糖尿病に関する認識と信条、健康関連QOL、糖尿病管理に関する社会的サポートの認知などであった。 ベースラインアウトカム、健康状態カテゴリ、糖尿病タイプ、民族性で補正後の回帰モデルを用いて検討した。通常ケアのみ群と比べてHbA1cは統計的に有意に低下 HbA1cは9ヵ月時点で、介入群(平均-8.85mmol/mol[SD 14.84])が対照群(-3.96mmol/mol[17.02])よりも有意に低下したことが認められた(補正後平均差:-4.23[95%信頼区間[CI]:-7.30~-1.15]、p=0.007)。 21の副次アウトカムについて、9ヵ月時点で介入群の改善が統計的に有意に良好であったのは4つのみで、足のケア(補正後平均差:0.85[95%CI:0.40~1.29]、p<0.001)、全体的な糖尿病サポート(0.26、0.03~0.50、p=0.03)、EQ-5D評価による視覚アナログスケール(4.38、0.44~8.33、p=0.03)、糖尿病の症状の自覚(-0.54、-1.04~-0.03、p=0.04)であった。 SMS4BGに対する満足度は高く、169例中161例(95%)が役に立つと報告しており、164例(97%)が他の糖尿病患者にも勧めたいと思うと報告していた。 結果を踏まえて著者は、「臨床的意味は不明であるが、このような患者集団において、SMS4BGおよび他のテキストメッセージをベースとしたサポートの利用について、さらなる研究を支持する結果であった」とまとめている。

21107.

高度異型腺腫の有無で大腸がんリスクが有意に異なる(解説:上村直実氏)-868

 日本で大腸がんは肺がんに次いで2番目に多い死亡原因であり、大腸がんによる死亡リスクを低下するために便潜血による大腸がん検診が施行されている。一方、欧米では、大腸内視鏡検査(CF)を行うことにより大腸がんによる死亡率およびその発症率が低下する研究成果が数多く報告され1,2)、最近では死亡リスク低下に必要なCFの間隔が話題になっている。米国のガイドライン3)では、10年に1度のCFにより大腸がん死亡リスクが大幅に低下するとされており、大腸がんスクリーニングにCFを取り入れるべきで、ポリープ(腺腫)があれば5~10年後のCFが推奨されている。 今回JAMAに掲載された報告では、CFを行った時点で高度異型の腺腫すなわち腫瘍径1cm以上ないしは、tubulovillousやvillous腺腫を認めたものは、1cm以下の低異型度腺腫を有するものや腺腫を認めないものに比べて、その後13年間の大腸がん発症および大腸がん死亡リスクが有意に高いことが示された。すなわち、CFによるスクリーニングの重要性と大腸がんのリスクには腺腫の異型度が重要であることが強調されている。日本の消化器内視鏡診療は種々の特殊内視鏡により、世界を圧倒する高精度の内視鏡診断と圧倒的な内視鏡治療技術を有することは、世界中で周知されている。しかし、上記したように検診は便潜血検査でCFによる住民検診は行われていない現状は、医学的に大きな問題と言える。 一方、大腸がんにとって重要な本論文に引用されている38文献に、日本発の研究論文が皆無であることも重大な課題であろう。年間1,500万件の消化器内視鏡が施行されているわが国における内視鏡診療現場では新たな技術優先の傾向が強く、エビデンスを創出するためのデザインされた臨床研究が少ないことが従来からの課題と言えた。現在、日本全国の内視鏡ビッグデータを一括して日本消化器内視鏡学会で管理するシステムのJapan Endoscopy Database(JED)プロジェクトが進行中である。このデータベースが完成すれば、Propensity scoreなどを用いた解析により正確な成績を得ることが可能となり、わが国から精度の高い研究成果が世界のエビデンスとして排出されるものと期待される。

21108.

TIA患者の脳卒中リスクは5年後まで減らない(解説:内山真一郎氏)-870

 TIAregistry.orgは発症後7日以内の一過性脳虚血発作(TIA)または軽症脳梗塞(minor stroke)を登録して観察する前向きコホート研究であった。私は日本の研究代表者であり、該当患者を年間100例以上診療している日本の6施設に参加していただいた。 1年間の追跡調査の結果は2016年にNew England Journal of Medicine誌に発表している。この時の結果では、1年後までの血管イベント発症率は、ガイドラインを順守した脳卒中専門医の救急対応により10年前の歴史的対照と比べて半減していた。しかしながら、今回の2~5年後までの累積発症率は、それ以上減衰することなく直線的に推移していた。 この結果は、現状のガイドラインを順守しても、長期の残余リスクは依然として高く、より厳格な危険因子の管理目標達成と、より強力な再発予防対策が必要であることを示唆している。ただし、日本人のサブ解析では背景因子、病型、動脈病変、診療体制、予知因子が非日本人と異なっており、独自の対策も必要であると考えている。

21109.

第2回 信頼区間(confidence interval:CI)とは何か【統計のそこが知りたい!】

第2回 信頼区間(confidence interval:CI)とは何か医学論文などでよく目にする95%CI。今回は信頼区間(confidence interval:CI)について解説します。■抽出データは全体データを表すかある試験を行った結果、毎回同じ結果が出るとは限りません。たとえば、A健診センターで心臓超音波検査を行った成人男性をランダムに100人抽出し、その左室心筋重量の平均が130gだったとしましょう。しかし、このデータをもって日本の成人男性の左室心筋重量を130gと決めるわけにはいきません。異なる100人の結果は135gとなるかもしれませんし、128gかもしれません。そこで統計学の考え方では、ある集団からランダムに何例かを取り出し平均値を出すという作業を何回行っても、平均値はほぼこの範囲に収まるという幅を設定します。それが「信頼区間(confidence interval:CI)」であり、母集団を推定する際の許容誤差範囲とも言えます。信頼区間は下限値(lower limit value)と上限値(upper limit value)で表されます。■データの信頼性を裏付けるのが信頼区間この信頼区間を用いることで、たとえば医療であれば治療効果の大きさや研究の信頼性が同時にわかります。信頼区間が狭いほど、推定値の信頼性は高くなります。最近では、p値とともに併記される場合も多くなりました。とくに医療統計では、治療薬の効果検定や治療成績などの研究で幅広く使用されています。基礎・臨床研究の現場で患者全員の治療成績をデータ化して、検証することは不可能です。そこで、信頼区間を使うことで、小さいグループを抽出して、その値に信頼性があるかどうか統計処理することで、データの有効性を証明します。■具体例で母集団の平均値を推定してみる具体的に簡単な事例でみてみましょう。一定の全体集団から、一部を抽出し、全体を推定した場合、その推定数に信頼があるかどうかをみてみます。【具体例】ある県の成人男性の人口は25万人です。この県の成人男性の左室心筋重量(g)を調べるためにランダムに抽出したn=400の心臓超音波検査データの平均値(標本平均)は135g、標本標準偏差は28gでした。この県の成人男性の左室心筋重量の平均は135gと決めてしまってもよいのでしょうか。抽出された成人男性のデータ「n=400」は、全体(母集団)の中で数値が低いほうかもしれないし、高いほうかもしれません。たまたま抽出されたサンプルの平均値で、全体(母集団)の平均値であると言い切ってしまうのは危険です。そこで、得られた平均値に一定の幅を持たせます。つまり、この県の成人男性全体の左室心筋重量平均は「132~138gの間にある」という言い方で、母集団の平均値を推定します。このように調査平均値に幅を持たせ、母集団の統計量を推定する方法を「区間推定法」と言います。「132~138gの間にある」、すなわち「M1~M2」と言うとき、M1を下限値、M2を上限値と言います。そして、この2つで挟まれた区間を「信頼区間」と言うのです。信頼区間の幅は主に、信頼区間の係数(95%、99%など)、サンプルサイズによって決まります。信頼区間の係数は、実は仮説検定における有意水準に対応する概念です。信頼区間が95%だと有意水準5%(p<0.05)に対応し、99%だと有意水準1%(p<0.01)に対応します。係数が0%に近いほど信頼区間の幅は狭くなり、100%に近いほど広くなります。通常、95%信頼区間(95% confidence interval:95%CI)が用いられることが多く、95%信頼区間は、区間推定の代表的な指標となっています。●95%信頼区間の求め方は次の公式です。下限値=平均値-1.96×標準誤差(SE)上限値=平均値+1.96×標準誤差(SE)上記の具体例の場合、95%信頼区間(95%CI)は、下限値=135-1.96×28÷√400=132上限値=135+1.96×28÷√400=138となります。以上から、この県の成人男性の左室心筋重量の平均値は135gと決めてしまうことはできず、132~138gの間にあると推定され、その信頼度は95%ということになるのです。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション7 信頼区間とは?セクション8 信頼区間による仮説検定第4回 ギモンを解決! 一問一答質問2 何人くらいの患者さんを対象にアンケート調査をすればよいですか?

21110.

来年見直される薬機法 注目の論点は“あの話題”【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第2回

皆さんは、「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に名称が変わったのは、いつだったか覚えているでしょうか。この改正が施行されたのは2014年でしたが、最近になってようやく薬機法や医薬品医療機器等法という呼び方が定着してきた印象です。この改正の際、施行後5年をめどとして、必要に応じて、医薬品医療機器等法を見直すことが附則として定められていました。5年後というと来年の2019年になりますので、本年4月から厚生労働省で議論が開始されています。引用:厚生労働省「改正法の施行後5年を目途とした検討」について3番目の議題で検討される、薬局・薬剤師の在り方上記の資料より、2018年4月時点では、以下の3つのテーマについての検討が予定されています。テーマ1:革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実テーマ2:医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実テーマ3:薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手それでは、それぞれのテーマについて考えていきましょう。テーマ1については、「国内で患者に医療上必要な製品をより早く提供するには、技術革新に柔軟かつ効率的に対応した規制の実施が課題となっている。」「一層の制度の見直し・明確化が必要ではないか。」(上記資料4枚目)などという問題意識が挙げられています。これは、医薬品・医療機器などの開発と、安全対策などに関するものであり、希少疾病用医薬品などといった、必要性の高い医薬品の実用化に向けて、より迅速な承認制度などが検討されます。薬局に関わる内容は、医薬関係者からの副作用報告の推進や、高齢者の医薬品適正使用などについて、今後議論される可能性があります。テーマ2は、「近年、承認書と異なる製造方法での医薬品製造、偽造医療用医薬品の流通、チェーン薬局における処方箋付け替えなどの問題事案が発生し、国民の医薬品・医療機器等の品質・安全性に対する国民の信頼が揺らいでいる。薬害の発生及び拡大防止の観点からも、法令に違反する事案の再発防止策が重要であり、各事業者が確実に法令遵守に取り組み、医薬品等が適切に製造・流通・販売されるような仕組みを検討する必要があるのではないか。」(上記資料5枚目)などというのが問題意識ですが、医薬品・医療機器に関わる企業の管理者・責任者の役割・責務の明確化などについて検討されるようです。昨年には、C型肝炎治療薬の偽造品が流通した問題を受けて、偽造品の流通防止策が盛り込まれ、医薬品医療機器等法施行規則などの一部改正が行われました。今後、法令順守違反に対してより厳しい行政措置の導入が検討される可能性もあり、どのような議論がされるのか注目しておきたいところです。遠隔服薬指導が検討内容にテーマ3の問題意識は、「処方箋受取率が70%を超えて医薬分業が進展する一方で、患者が医薬分業の利益を実感できていないとの指摘がある。」「かかりつけ薬剤師・薬局を推進しているが、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担い、地域の住民・患者が、品質の確保された医薬品を安全かつ有効に使用できるような取組の強化及び体制作りが一層求められているのではないか。」(上記資料6枚目)として挙げられています。本テーマでは、より患者さんが利益を享受できる医薬分業および、かかりつけ薬剤師・薬局などについて検討されるようです。耳の痛い部分もありますが、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ薬剤師・薬局が医療・介護の一翼を担うとして、期待されている部分も多いように思います。興味深いところは、遠隔服薬指導についての検討が明記されている点です。2018年度診療報酬改定で、遠隔診療についての算定項目(オンライン診療料)が新設されたことを受け、遠隔服薬指導は早い段階で一部解禁になるかもしれません。薬剤師の業界では、診療・調剤報酬に着目してしまいがちですが、調剤報酬なども、当然法律にのっとって改定されます。来年の医薬品医療機器等法見直しについて、国が求めている方向性もわかりますし、どのように議論がされるか、注目しておいてもよいのではないでしょうか。「改正法の施行後5年を目途とした検討」に関する当面のスケジュールは、2018年7月までにテーマごとの検討を行い、論点の整理後、秋以降さらに検討を重ね、年内をめどに意見を取りまとめる予定のようです。資料厚生科学審議会 平成30年度第1回医薬品医療機器制度部会 資料1-1「改正法の施行後5年を目途とした検討」について参考厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)

21111.

全粒穀物食は内臓脂肪を減少させる

 全粒穀物食を取り入れることによって内臓脂肪が減少することが、株式会社日清製粉グループ本社の菊池 洋介氏らの研究によって明らかになった。Plant Foods for Human Nutrition誌2018年4月18日号に掲載。 メタボリックシンドロームが心血管疾患のリスク因子であることは、国内でも広く知られている。疫学調査により全粒穀物の摂取量とメタボリックシンドローム該当者の数に逆相関が認められる報告は知られているが、食事介入試験による全粒穀物食のメタボリックシンドロームへの影響に関する研究は乏しい。 そこで、本研究では、BMIが23kg/m2以上の日本人50例を対象に、全粒穀物あるいは精製穀物による食事介入試験が実施された。食事介入試験は12週間にわたって行われ、6週ごとに血液採取とCT撮影が行われた。 主な結果は以下のとおり。・全粒穀物群においては4cm2の有意な内臓脂肪面積の減少が認められた(p<0.05)。・精製穀物群では内臓脂肪面積に変化は認められなかった。

21112.

日本における抗認知症薬の処方量に関する研究

 2015年時点で、世界で認知症を有する人は4,700万人いるといわれている。認知症の有病者数は、2050年には1億3,200万人に達すると予想されており、そのうちアジア諸国が51%を占めると予想されている。日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も認知症の有病率が高く、人口の2%(約500万人)が認知症に罹患している。 リアルワールドでの抗認知症薬の有効性に関しては、いまだ重要なアンメットニーズがある。抗認知症薬の臨床試験における参加者は、85歳以上が除外されているなど、実臨床と異なる。また、抗認知症薬使用によるベネフィットがリスクを上回るか否かについて、現在も議論がある。 このようなベネフィットとリスクに関する見解の相違は、診療ガイドライン間における、抗認知症薬処方に関する推奨度に影響している。米国や英国の診療ガイドラインでは、抗認知症薬処方に関する推奨度は弱い。一方で、日本の診療ガイドラインでは、アルツハイマー型認知症の治療において、臨床医に抗認知症薬の処方を強く推奨している。日本の診療ガイドラインによる推奨は、実臨床における抗認知症薬処方に影響を及ぼす可能性がある。そこで、医療経済研究機構の奥村 泰之氏らは、日本における抗認知症薬の処方状況を明らかにするため、検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2018年5月20日号の報告。 日本のほぼすべてのレセプト情報をカバーしているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて分析を行った。データベースには、処方などに関する情報が含まれている。2015年4月~2016年3月の期間における、抗認知症薬(ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン)の処方をすべて確認した。患者の識別番号を用いて、処方患者数を集計した。抗認知症薬の人口当たりの処方率は、1年間で1度でも処方された患者数を、人口で割ることにより算出した。抗認知症薬の年間総処方量は、世界保健機構により規定された1日維持用量(DDD:defined daily dose)を算出した。さらに、年間総処方量を人口当たりの1日維持用量(DID:defined daily dose per inhabitants)へ変換した。 主な結果は以下のとおり。・抗認知症薬を処方された患者数は、173万3,916例(人口の1.4%)であった。・抗認知症薬の人口当たりの処方率は、65歳以上では5.1%、85歳以上では17.0%であり、年齢とともに増加していた。・抗認知症薬の総処方量の46.8%は、85歳以上が占めていた。・85歳以上の住民の13%に、毎日、抗認知症薬の維持用量が処方されていることに相当する処方量であった。 著者らは「本研究は、日本における抗認知症薬処方の現状を確認した、初めての研究である。ドイツで行われた研究と比較し、日本の85歳以上の高齢者に対する抗認知症薬の処方率はきわめて高い。しかし、抗認知症薬の臨床試験では、主に85歳未満の患者を対象としており、臨床試験と実臨床の間で大きなギャップがある」とし、「エビデンスの非直接性と、加齢に伴う有害事象発生リスクの増大を考慮すると、超高齢者を対象としたエビデンスが確立しない限り、診療ガイドラインにおける抗認知症薬の処方に関する推奨度は弱い推奨とする、あるいは強く推奨する年齢層を85歳未満に限定する必要がある」としている。■関連記事抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状日本では認知症への抗精神病薬使用が増加抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究

21113.

飲酒と心血管疾患・脳卒中、関連は逆?/BMJ

 アルコール摂取は、非致死的な冠動脈疾患(CHD)と負の相関がみられた一方、複数の脳卒中サブタイプとは正の相関が認められたことが、WHO国際がん研究機関のCristian Ricci氏らによる検討の結果、明らかにされた。著者は、「示された結果は、アルコール摂取と心血管疾患(CVD)の関連は種々存在することを強調するものであり、アルコール摂取の低減方針のエビデンスを強化するものである」とまとめている。BMJ誌2018年5月29日号掲載の報告。ヨーロッパの8ヵ国3万2,549例について前向きコホート研究 これまで多くの前向きコホート研究では、アルコール摂取に関して、コホート登録時のみ評価がされていた。それらの検討において、中程度のアルコール消費は、CHDの低リスクと関連しており、がんや全死因死亡の高リスクと関連することが示唆されている。また、アルコール消費は全脳卒中の高リスクとの関連が示唆されているが、脳卒中サブタイプに関するエビデンスは限定的であった。 研究グループは、多施設共同ケースコホート研究で、アルコール消費(ベースラインおよび一生涯について評価)と、非致死的・致死的なCHDおよび脳卒中との関連を調べた。 ヨーロッパの8ヵ国で被験者を募ったEuropean Prospective Investigation into Cancer and nutrition cohort(EPIC-CVD)内で、CVD決定因子の試験を設定。CVDイベント発生例、および下位コホートを含むベースラインで非CVDの3万2,549例について、非致死的・致死的なCHDおよび脳卒中(虚血性・出血性脳卒中含む)の発生を評価した。CHDとは負の相関、脳卒中とは正の相関 発生イベント件数の内訳は、非致死的CHDが9,307例、致死的CHDが1,699例、非致死的脳卒中は5,855例、致死的脳卒中は733例であった。 ベースラインにおけるアルコール摂取と非致死的CHDには負の相関が認められ、摂取量12g/日増加当たりのハザード比(HR)は0.94(95%信頼区間[CI]:0.92~0.96)であった。 また、ベースラインアルコール摂取と致死的CHDリスクにはJ曲線の関係がみられた。総アルコール摂取量0.1~4.9g/日群と比較したHRは、5.0~14.9g/日群が0.83(0.70~0.98)、15.0~29.9g/日群が0.65(0.53~0.81)、30.0~59.9g/日群が0.82(0.65~1.03)であった。 対照的に、非致死的および致死的脳卒中リスクとは正の相関がみられ、ベースラインアルコール摂取量12g/日増加当たりのHRは、非致死的脳卒中が1.04(1.02~1.07)、致死的脳卒中が1.05(0.98~1.13)であった。虚血性および出血性脳卒中別にみても、おおよそ類似の所見が認められた。 ベースラインアルコール摂取と生涯平均アルコール消費の心血管アウトカムとの関連は、試験が行われた8ヵ国すべてにわたって、おおよそ類似していた。 CVDイベントリスクへのアルコール摂取と喫煙状態の交互作用に関する強いエビデンスはなかった。

21114.

抗うつ薬は長期の体重増リスク/BMJ

 抗うつ薬処方と体重増加の関連を10年間フォローアップした結果、抗うつ薬処方は長期にわたる体重増のリスクと関連している可能性が示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのRafael Gafoor氏らが、同国のプライマリケア・データベースを利用した住民ベースのコホート研究の結果、明らかにしたもので、BMJ誌2018年5月23日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「抗うつ薬治療の必要性を示す場合は、体重増加の可能性を考慮すべきである」とまとめている。肥満は世界的な課題で、抗うつ薬の使用は広がりつつある。これまで短期試験において、抗うつ薬使用と体重増加の強い関連性が示されているが、個々の抗うつ薬に関する長期的リスクのデータは存在していなかった。英国プライマリケア・データベースで住民コホート研究 研究グループは、英国内にある一般診療所のデータを集めたUK Clinical Practice Research Datalinkの2004~14年のデータを用いて、抗うつ薬処方と体重増加の長期的な関連性を調べた。被験者は、BMIに関する3つ以上の記録があった男性13万6,762例、女性15万7,957例。 主なアウトカムは、抗うつ薬処方、5%以上体重増の発生率、過体重または肥満への移行であった。年齢、性別、うつ病の記録、併存疾患、同時に処方された抗てんかん薬または抗精神病薬、所得レベル、喫煙、食事療法のアドバイスについて補正後のPoissonモデルを用いて、補正後率比を推算し評価した。5%以上の体重増、処方群は非処方群の1.21倍、体重増リスクは6年間以上持続 試験開始年において、抗うつ薬を処方されていたのは、男性1万7,803例(13.0%)、女性3万5,307例(22.4%)で、平均年齢は51.5歳(SD 16.6)であった。 フォローアップ183万6,452人年において、5%以上体重増の新たなエピソード発生率は、抗うつ薬非処方群で8.1/100人年、処方群で11.2/100人年と有意差が認められた(補正後率比:1.21、95%信頼区間[CI]:1.19~1.22、p<0.001)。 体重増のリスクは、フォローアップ中、少なくとも6年間は増大が続いていた。治療2年目に、抗うつ薬治療群で5%以上体重増の新たなエピソードを認める被験者数は、27例(95%CI:25~29)であった。また、試験開始時に正常体重であった被験者で、過体重または肥満に移行した被験者の補正後率比は、1.29(1.25~1.34)、過体重だった被験者が肥満に移行した同率比は、1.29(1.25~1.33)であった。 体重増加との関連について、抗うつ薬のクラス間には大きなばらつきがみられた。 著者は、関連には因果関係がない可能性があり、残余交絡因子が関連の過大評価に寄与している可能性があるとしている。

21115.

普遍性と独自性の調和を目指す精神医学

 2018年6月4日、日本精神神経学会は、「2018年度プレスセミナー」を都内で開催した。セミナーでは、本学会の活動と将来展望、6月21~23日に神戸市で行われる本学会学術総会の概要・注目トピックスをテーマに、2名の演者が講演を行った。ICD-11発表間近 初めに、本学会 理事長の神庭 重信氏(九州大学大学院 医学研究院精神病態医学 教授)が、学会の活動について説明を行った。注目点として、WHOが公表する国際統計分類 第11版(ICD-11)の暫定版が今月下旬に出ることについて、国内における新しい精神科病名の検討結果を発表されている。今月末日までは、学会のホームページ上でパブリックコメントの募集を行っているという。また、わが国を含めた世界13ヵ国による、ICD-11第6章「精神、行動及び神経発達の疾患」の診断ガイドラインの信頼性・有用性の研究についても紹介された。 神庭氏は、日本専門医機構による新しい精神科専門医制度への取り組みとして、2019年4月の研修開始に向けて準備を行っていると説明。同氏は、「患者全体における精神科患者の割合に対して、医師全体における精神科医師の割合が少ない現状である。本学会が開催するサマースクールなどをきっかけに、実際の現場を見て、(専門医を目指す方々に)興味を持ってほしい」と語った。自殺者の半数以上は精神疾患を患っていた? 次に、本学会学術総会 会長の米田 博氏(大阪医科大学医学部 総合医学講座 神経精神医学教室 教授)が、学術総会の概要について説明した。本総会のテーマは、「精神医学・医療の普遍性と独自性―医学・医療の変革の中でー」であり、精神医学・医療は医学医療全般の一分野として重要な役割を担っており、独自の特異的な広がりと深さを併せ持っている、といったメッセージが込められているという。 わが国において、精神疾患を有する患者数の推移は増加傾向が続いており、15年前と比較してほぼ倍に増え、とくにアルツハイマー型認知症と気分障害が大きく増加している1)。また、自殺率については、近年やや減少傾向だが、依然としてOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で高い位置にある2)。海外のデータにおいて、自殺と精神疾患の関係性を調査した結果、自殺した人のうち、気分障害を持つ患者が35.8%、統合失調症は10.6%存在したという報告もされている3)。米田氏は、「時代の変遷により、精神医学・医療の役割も変化している。患者さん個別の症状に合わせた治療をするためにも、われわれは重要な役割を担っている」と述べた。 6月21~23日に開催予定の学術総会では、会長講演、特別講演などに加え、26もの委員会シンポジウムが行われ、その内容は精神科臨床、多剤併用、認知症診療、措置入院、性同一性障害、ガイドラインについてなど多岐にわたる。とくに注目のトピックとして、「精神科一般外来での自殺予防について考える」をテーマとしたものが、会期中2日目の委員会シンポジウムで開催される。「外来通院中の精神疾患患者が自殺し、主治医の責任が問われた事件」の先ごろ出された控訴審判決で、主治医の責任を裁判所が認めたことから、今後の精神科医療において方向を見誤ることが危惧される。そのため、この事件を取り上げ、医師をはじめとする医療者と弁護士などの法律家が、「患者の自殺予防」について議論を行う。 学術総会への参加を通じて、 最新の精神神経学だけでなく、転換点にある精神医学・医療の方向性についても知見を深めることができる。■参考資料1)厚生労働省 第1回これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会 参考資料2)McDaid D, et al. OECD Health Working Papers. 2017;No.97.3)Bertolote JM, et al. World Psychiatry. 2002;1:181-185.■参考公益社団法人 日本精神神経学会第114回 日本精神神経学会学術総会

21116.

進行肺がん1次治療へのアテゾリズマブ併用療法 、OSハザード比0.78(IMpower150)/ASCO2018

 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、アテゾリズマブの第III相臨床試験IMpower150における全生存期間(OS)の中間解析結果を、フロリダ・ホスピタル・キャンサー・インスティテュートのMark A. Socinski氏が発表した。IMpower150は、Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのアテゾリズマブ併用療法の有効性と安全性を検討するオープンラベル無作為化多施設共同試験。 本試験では、1,202例の患者を以下の3群に1:1:1の割合で無作為に割り付け、各群の投与レジメンに従い3週に1回間隔で薬剤を投与した。A群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)B群:アテゾリズマブ(1,200mg)+カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)C群:カルボプラチン(AUC6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg) 主要評価項目は、EGFRまたはALKの遺伝子変異陽性患者を除くITT解析集団(ITT-WT)ならびにT細胞活性調整因子(Teff)の遺伝子発現により層別化した集団におけるPFS、およびITT-WT におけるOS。 主な結果は以下のとおり。・A群に349例、B群に359例、C群に337例、ITT-WTの患者が組み入れられた。年齢中央値は63歳、62%が男性、85%が現在あるいは過去の喫煙者で、42%がECOG PS:0であった。・データカットオフ(2018年1月22日)の追跡期間中央値は約20.0ヵ月。・B群とC群の比較において、OS期間中央値は、B群が19.2ヵ月と、C群の14.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.64~0.96、p=0.0164)。 ・PD-L1高発現患者(TC3またはIC3;136例)のOSは、B群25.2ヵ月、C群15.0ヵ月 (HR:0.70)、低発現患者(TC1/2またはIC1/2;226例)のOSは、それぞれ 20.3ヵ月と16.4ヵ月(HR:0.80)、発現なし(339例)のOSは、それぞれ 17.1ヵ月と14.1ヵ月(HR:0.82)であった. ・EGFR/ALK遺伝子変異陽性患者(104例)のOSは、B群NE、C群 17.5ヵ月であった(HR:0.54)。 ・ITT-WT集団のうちベースライン時に肝転移のあった患者(94例)におけるOSは、 B群13.2ヵ月、C群9.1ヵ月であった(HR:0.54)。・A群とC群の比較において、OSは、A群が19.4ヵ月と、C群14.7ヵ月に比べ延長傾向が確認された(HR:0.88、95%CI:0.72~1.08、p=0.2041)。・全患者において、Grade3以上の治療関連有害事象発現率は、A群43%、B群57%、C群49%であった。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考ASCO2018 AbstractSocinski MA, et al.N Engl J Med. 2018 Jun 4.[Epub ahead of print]■関連記事アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でPD-L1発現、遺伝子ステータスに関わらずPFSの改善示す(IMpower-150)/AACR2018抗PD-L1抗体アテゾリズマブ国内発売、肺がん治療に※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

21118.

降圧療法としての新たな腎除神経法(解説:冨山博史 氏)-867

研究背景 高血圧症例(とくに難治性高血圧)において、腎除神経は有効な降圧療法とする報告が増えている。これまでの報告は、腎動脈内腔側から高周波カテーテルを用いて腎除神経を行う方法であった。現在、経皮的除神経や超音波を用いた除神経など、高周波カテーテル以外の腎除神経法が開発中である。 本研究は、超音波カテーテルを用いた腎除神経法の降圧治療としての有効性を検証する目的で実施された。超音波除神経法 本方法は、腎動脈本幹遠位側をバルーンにて血行遮断し、中枢側に超音波バルーンを留置し超音波にて除神経を実施する方法である。腎動脈本幹では腎神経は腎動脈内腔側でなく外膜側を走行しており、本超音波除神経法は腎動脈内腔より1~6mmの部位の組織挫滅に有効な方法とされ、同部位を走行する腎神経を挫滅させる。研究対象 年齢18~75歳、降圧薬服用数2種類以下、同降圧薬を4週間中止した後の自由行動下血圧(ABPM)が135/85mmHg以上~170/105mmHg未満、かつ適切な腎動脈の解剖学的構造(上述のごとく、本超音波システムは腎動脈本幹中央に超音波カテーテルを留置する必要があり、腎動脈本幹に屈曲が少なく、分枝までに十分な距離が必要となる)を有する症例。研究実施方法 対象は無作為に除神経実施群と対照群(腎動脈造影のみ)に分けられた。Single blind法にて結果は評価された。評価方法 主評価項目は除神経実施2ヵ月後の日中のABPMの変化である。本研究の結果 欧州、米国の21施設で研究が実施され803例が登録された。このうち74例で腎除神経が実施され、72例が対照群となった。2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧の低下は除神経群で-8.5mmHg、対照群で-2.2mmHg、腎除神経群で有意に大きい降圧を認めた。2ヵ月内では両群とも有意な腎動脈狭窄を認めなかった。研究の限界 本研究で著者らは以下5項目の研究限界を述べている。(1)長期の腎除神経の有効性は評価されていない。(2)腎動脈除神経が十分に実施されたかを手技直後に評価していない(除神経の評価方法として、腎カテコールアミン濃度測定、筋交感神経電位測定、求心神経刺激による血圧変化の評価などが実施されているが、確立された方法はない)。(3)有害事象の発生(安全性)評価には十分な症例数でない。(4)腎除神経のみでは降圧が不十分な症例が55%であった。(5)研究期間中の降圧薬服用状況の確認は、問診で実施され、血中・尿中の降圧薬濃度は測定していない。コメント■症例選択の制約:上述のごとく、超音波除神経法施行には腎動脈本幹の解剖学的構造に制約がある。超音波バルーン留置に必要な解剖学的特性(距離や非湾曲)を有する症例は87%であり、803例中103例(13%)が、超音波除神経困難な腎動脈本幹を有していた。■除神経の有効性・確実性:本研究では超音波腎除神経法の降圧効果は、SPYRAL研究などで報告されている高周波カテーテルで得られる降圧効果と同等としている。すなわち、高周波、超音波、その他、いずれの方法でも腎除神経が有意な降圧効果を示すことを示唆した研究成果である。しかし、SPYRAL研究など高周波カテーテル除神経は腎動脈本幹に加え腎動脈分枝部(腎神経の走行が動脈内腔側に移動する)で実施することで確実な除神経を行っている。しかし、超音波カテーテルでは、その特性から腎動脈本幹のみで除神経が施行され(腎動脈分枝の除神経は困難)、腎除神経の確実性は確認されていない。 今後、高周波カテーテル法と超音波カテーテル法の腎除神経の有効性・安全性を評価する大規模長期経過観察研究が実施されると考えられる。研究実施に際しては、腎除神経の確実性、研究実施期間中の正確な降圧薬服用有無の評価(腎除神経の降圧治療を評価するいずれの研究においても重要な評価課題として指摘されている)が望まれる。

21119.

アルコール摂取量削減のためのサービングサイズ変更効果

 英国・リバプール大学のInge Kersbergen氏らは、アルコール飲料の標準サービングサイズを減らすことで、自発的なアルコール摂取量が減少するかについて、実験室内(研究1)およびリアルワールド環境下(研究2)にて調査を行った。さらに、英国でアルコール飲料の標準サービングサイズを減らすことによる公衆衛生上のメリットについてモデル化を行った。Addiction誌オンライン版2018年5月14日号の報告。 研究1および研究2は、クラスター無作為化試験として実施された。追加調査として、英国でアルコール飲料の標準サービングサイズを減らす政策が導入された場合、年間の死亡数と入院数がどの程度減少するかを、Sheffield Alcohol Policy Modelを用いて推定した。 研究1では、学生および大学スタッフ114例(平均年齢:24.8歳、女性の割合:74.6%)を対象に、半自然的(semi-naturalistic)実験室で実施した。対象者は、標準サービングサイズまたは25%減らしたサービングサイズによる飲酒セッションにランダムに割り付けられた。 研究2では、地域住民164例(平均年齢:34.9歳、女性の割合:57.3%)を対象に、英国・リバプールのバーで実施した。対象者は、標準サービングサイズまたは28.6~33.3%減らしたサービングサイズで、飲酒提供を受けた。 アウトカムの測定値は、1時間以内(研究1)および3時間以内(研究2)のアルコール摂取量とした。主な予測因子は、サービングサイズ条件とした。 主な結果は以下のとおり。・研究1では、サービングサイズが25%減ると、アルコール摂取量が20.7~22.3%減少した。・研究2では、サービングサイズが28.6~33.3%減ると、アルコール摂取量が32.4~39.6%減少した。・モデリング結果によると、一般的なアルコール飲料のサービングサイズを25%減少させると、年間アルコール関連入院数を4.4~10.5%、年間アルコール関連死亡数を5.6~13.2%減少させる可能性があることが示唆された。 著者らは「英国において、アルコール飲料のサービングサイズを減らすことは、1回の酒席でのアルコール摂取量の減少につながる可能性がある」としている。■関連記事アルコール関連での緊急入院後の自殺リスクに関するコホート研究うつ病とアルコールとの関係:2014年英国調査より認知症発症に対するアルコール使用障害の影響に関するコホート研究

21120.

奥多摩で考える地域医療の将来と展望

 2018年5月19日、西多摩三師会と奥多摩町は「『健康長寿な地域づくりフォーラム』in 奥多摩」を共同で開催した。このフォーラムは、日本の縮図である西多摩地域で、地域の自然・文化・産業・医療資源を生かした「活力ある健康長寿地域づくり」をテーマに、観光・食などのリラクゼーションや健診・運動・湯治・リハビリなどを組み合わせた「ヘルスケアツーリズム」について議論するもの。当日は、西多摩地域の医療者、行政関係者、議会関係者など多数が参集した。本稿では講演の概要をお伝えする(写真は、左上:阿岸 祐幸氏、右上:伴 正海氏、下:武見 敬三氏)。奥多摩で「ヘルスリゾート」 はじめに「観光・湯治・医療資源を生かした健康増進地域づくりに向けて~西多摩ヘルスリゾート構想の可能性~」をテーマに、阿岸 祐幸氏(北海道大学名誉教授)が、奥多摩の自然をドイツやスイスの高原地帯になぞらえ、「ヘルスリゾート」の提案を行った。 自然環境(山、川、海、温泉など)は、健康に良い影響を与える。たとえば温泉について、奥多摩の温泉は、強いアルカリ性泉であり、肌に良い影響を与えるという。欧州では、温泉は「テルメ」と呼ばれ、温泉に付属した療養所は「メディカル・テルメ」と言い、医療の一翼を担うものとして広く利用されている。 また、都心からほどほどの距離にある奥多摩は、気候(転地)療法にも利用でき、「この環境が治癒の促進や健康の増進に役立つ可能性がある」と期待を膨らませた。また、奥多摩の豊富な森林も鎮静殺菌作用があるとされる「森林浴」の効能を高め、「多摩の植生を利用した科学的な遊歩道の設置などが期待できる」とも語る。 そして、同氏は、奥多摩に自然を活用した健康保養地として「Natural capital health resort」の設置を提唱した。「奥多摩地域以外からの療養者はもちろん、地域住民には地域包括ケアシステムへ温泉などの地元の資源を取りこむことで、生活支援や介護などともリンクさせる取り組みができる」と展望を語った。地域医療でできること、できないことの見極め 次に「住民が生きて逝くための地域包括ケアシステムづくりについて~高知のへき地や行政での6年間と国での2年間を踏まえて~」をテーマに伴 正海氏(医師・元厚生労働省 医政局地域医療計画課 医師確保等地域医療対策室)が、地域医療の展望について講演を行った。 伴氏は、地域医療の研修として6年間を過ごした国保梼原病院を例に説明。梼原町の取り組みとして、町立病院と保健福祉支援センターを同じ建物に収容することで、住民を24時間フォローする仕組みやへき地の医療・介護の成功例を紹介した。 たとえば初期認知症の患者であれば、医療者がそのきざしを覚知した時点で、介護の専門職へフォローを依頼することができ、症状が進行した場合、その逆もできることで迅速に、手厚い医療を提供することができるという。 次に「少産多死の時代」の医療について言及し、「今後は『死なせない医療』から『支え看取りの医療』への転換が必要であり、患者の社会背景をくんだ医療・介護の導入のために、地域の役割が大事になる」と語った。そのために地域でできること、できないことの議論と合意の形成が必要になると示唆した。 最後に多摩地域について触れ、「多摩は『地域が医師を育てる場』として最良の場所である。住民が医療者を育てるために教える、体験させるなど医療者を育成し、地域全体が納得する医療を作っていってもらいたい」と思いを語った。労働人口減少の将来の地域の在り方 次に「活力ある健康長寿地域づくりに向けて~西多摩モデルへの期待と行政のリーダーシップ~」をテーマに武見 敬三氏(参議院議員)が、医療、医療経済について解説を行った。 今後の人口動態について厚生労働省などの資料を基に解説。「今後3年間は谷間として一時的に75歳以上上昇率は減る一方で、その後一気に団塊の世代が増加するので上昇率は上がる。その間に国として、どのような政策提言、実行ができるかが試されている」と問題点を示した。 労働人口の減少はこれから全国的な事象であり、「アジア健康構想」の例に代表されるように、アジアの諸国から介護の担い手としての労働者の確保や健康寿命延伸への取り組みにより解決が望まれている。また、社会保険についても「国家財政上の見地から今後は、さまざまなデータベースを作成・活用し、費用対効果の分析を行い、支出を見直すことも国民に理解いただきたい。また、高齢者が活躍できる場を作ることで、働けるうちは元気に働いてもらいたい」と説明を行った。 最後に多摩地区の現状と将来に触れ、「極端に就業人口が少なくなる問題に直面している」と指摘し、医療介護の財政上の問題、住民負担の増大などに対し、地域包括ケアの充実などを活用することで上手に対応してもらいたい。行政と住民がよく話し合い、方針を決め、絶え間なく地域の活性化がされることを期待する」と述べ、講演を終えた。

検索結果 合計:35655件 表示位置:21101 - 21120