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強迫症の最適治療に関する研究

 強迫症(OCD)の治療では、認知行動療法(CBT)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による薬物療法が行われる。単独療法よりも併用療法が優れている可能性があるものの、これを調査した研究はほとんどなかった。英国・Hertfordshire Partnership University NHS Foundation TrustのNaomi A. Fineberg氏らは、成人OCD患者を対象に、CBT、SSRI治療の単独または併用療法の治療効果について、比較検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月15日号の報告。 成人OCD患者49例を、CBT群、SSRI群、SSRI+CBT群にランダムに割り付けた。SSRI治療では、セルトラリン(50~200mg/日)が52週間投与された。16時間のマニュアル化されたCBTを8週間、4つのフォローアップセッションと共に実施した。治療の割り付けは、評価者には盲検化された。予備的な健康経済評価を実施した。 主な結果は以下のとおり。・症例分析では、16週目において、SSRI+CBT群(13例)で最も大きな改善効果が認められた。次いで、SSRI群(7例)、CBT群(9例)であった。・Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)での改善を比較したエフェクトサイズ(Cohen's d)は、CBT群とSSRI+CBT群との比較で-0.39、CBT群とSSRI群との比較で-0.27であった。・16週目と52週目を比較すると、SSRI群で最も臨床的改善効果が認められたが、中止率が高く、信頼できる分析には至らなかった。・平均費用は、SSRI群と比較し、CBT群およびSSRI+CBT群で高かった。・SSRI群の平均質調整生存年(Quality Adjusted Life Years:QALY)スコアは、CBT群よりも0.1823(95%CI:0.0447~0.3199)高く、SSRI+CBT群よりも0.1135(95%CI:-0.0290~0.2560)高かった。 著者らは「成人OCD患者へのSSRI治療とCBTの併用療法は、とくにCBT単独療法に対して、最も臨床的に有効な治療選択肢であったが、SSRI単独療法を超える利点は16週以上持続しなかった。また、SSRI単独療法が、最も費用対効果に優れていた」としている。■関連記事治療抵抗性強迫症に対する増強療法、抗精神病薬の評価は難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何かSSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は

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高リスク心臓手術の輸血戦略、6ヵ月後の転帰は?/NEJM

 死亡リスクが中等度~高度の心臓手術を受ける成人患者において、制限的赤血球輸血は非制限的輸血と比較し、術後6ヵ月時点でも複合アウトカム(全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全)に関して非劣性であることが認められた。カナダ・セント・マイケルズ病院のC. David Mazer氏らが、多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「TRICS III」の最終解析結果を報告した。同試験の術後28日時の解析でも、退院または術後28日までの複合アウトカムについて、非制限的輸血戦略に対する制限的赤血球輸血の非劣性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。制限的vs.非制限的赤血球輸血、術後6ヵ月の臨床転帰を比較 研究グループは、心臓外科手術後リスク予測モデルEuroSCORE Iスコアが6以上の、死亡リスクが中等度~高度な心臓手術を受ける成人患者5,243例を、制限的赤血球輸血群(全身麻酔導入以降の術中/術後、ヘモグロビン濃度<7.5g/dLの場合に輸血)、または非制限的赤血球輸血群(術中または術後ICU入室中:ヘモグロビン濃度<9.5g/dLで輸血、ICU以外の病棟:ヘモグロビン濃度<8.5g/dLで輸血)のいずれかに、無作為に割り付けた。 主要評価項目は、手術後6ヵ月以内の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、透析を要する新規腎不全の複合アウトカム。副次評価項目は、主要評価項目に加え術後6ヵ月以内に発生した救急部受診、再入院および冠動脈血行再建術を含む複合アウトカム、および各構成要素とした。主要評価項目および副次評価項目は、修正intention-to-treat集団で解析した。術後6ヵ月時でも、複合アウトカムは非劣性、全死因死亡率も両群で有意差なし 術後6ヵ月時の主要複合アウトカムの発生率は、制限的輸血群17.4%(402/2,317例)、非制限的輸血群17.1%(402/2,347例)であり、制限的輸血群の非制限的輸血群に対する非劣性が示された。絶対リスク差は0.22ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.95~2.39)、オッズ比(OR)は1.02(95%CI:0.87~1.18)で、事前規定の非劣性マージン(絶対リスク差の95%CI上限値が3ポイント未満)を満たした(p=0.006)。アウトカムを個別にみると、全死因死亡率は、制限的輸血群6.2%、非制限的輸血群6.4%であった(OR:0.95、95%CI:0.75~1.21)。 副次評価項目に関しては、両群で有意差は確認されなかった。 なお、著者は、術後28日時または退院後に輸血のプロトコールに従うよう医師に求めていなかったこと、転帰に関する情報がさまざまな情報源から得られていたこと、非盲検試験のバイアスの可能性を除外できていないことなどを研究の限界として挙げている。

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リバーロキサバン、退院後投与の血栓予防効果は?/NEJM

 静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高い内科疾患による入院患者に対し、退院後45日間のリバーロキサバン投与はプラセボと比較して、大出血の発生率は低かったが、症候性VTEおよびVTEに起因する死亡リスクを有意に低下させることはなかった。米国・Northwell Health at Lenox Hill HospitalのAlex C. Spyropoulos氏らが、リバーロキサバンの退院後VTE予防効果を検証した多施設共同無作為化二重盲検試験「MARINER試験」の結果を報告した。内科疾患で入院した患者には退院後のVTEリスクが残るが、こうした患者における血栓予防療法の延長が果たす役割については議論の的になっていた。NEJM誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。VTE高リスク内科疾患入院患者、約1万2,000例を対象に検討 研究グループは、2014年6月~2018年1月に36ヵ国671施設において、VTE高リスク(修正IMPROVE VTEリスクスコアが4以上、または2~3かつ血漿Dダイマーが施設基準値上限の2倍以上)で、内科疾患(左室駆出率45%以下の心不全、急性呼吸不全または慢性閉塞性肺疾患の増悪、急性虚血性脳卒中、あるいは急性感染症またはリウマチ疾患を含む炎症性疾患)により3~10日間入院した40歳以上の患者1万2,024例を対象に試験を行った。被験者は、退院時にリバーロキサバン群(10mgを1日1回45日間、ただし投与量は腎不全で調整)またはプラセボ群に、無作為に1対1の割合で割り付けられた。 主要有効性評価項目は、症候性VTE(深部静脈血栓症または非致死性肺塞栓症)もしくはVTEに起因する死亡の複合アウトカム。主な安全性評価項目は大出血であった。症候性VTEまたはVTE関連死の発生に有意差なし 無作為化された1万2,024例のうち、1万2,019例がintention-to-treat解析に組み込まれた。 複合アウトカムの発生率は、リバーロキサバン群0.83%(50/6,007例)、プラセボ群1.10%(66/6,012例)で、リバーロキサバンの優越性は示されなかった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.52~1.09、p=0.14)。事前に定義された副次評価項目である症候性非致死性VTEの発生率は、リバーロキサバン群0.18%、プラセボ群0.42%であった(HR:0.44、95%CI:0.22~0.89)。 大出血は、リバーロキサバン群で5,982例中17例(0.28%)、プラセボ群で5,980例中9例(0.15%)に認めた(HR:1.88、95%CI:0.84~4.23)。 なお、本試験は、イベントの発生が少ないため試験途中で目標症例数1万2,000例にプロトコールが変更されたが、それでもイベント数は必要とした161例に達せず、登録中止となっている。

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末梢静脈カテーテル留置は世界中で毎年20億回も行われている(解説:中澤達氏)-911

 この論文を読んで、早朝7時の病棟を思い出した。同じ経験をされている方々も多いと思うが、朝食前の採血と末梢ライン留置は研修医の仕事だった。容易に静脈が確認できる患者さんでは失敗はしなかったが、静脈が表面から見えないときは緊張した。先方もこちらが医師1年生であることは認識しているのだから、失敗してsecond tryともなると、気まずい雰囲気にならないようなコミュニケーションが必須だった。手技を習得するというより、コミュニケーション能力の向上のためのトレーニングと思っていたほどだ。それは、手技時間だけで構築されるものではなく、日々の回診や処置や雑談から(信用・信頼、本当だろうか?)獲得されていたのだ。 本研究は、治療のため24時間以上のPIVC留置が必要な18歳以上の患者を適格患者とし、4種類(組織接着剤+ポリウレタンドレッシング材、周囲テープ付きポリウレタンドレッシング材、固定具+ポリウレタンドレッシング材、ポリウレタンドレッシング材のみ)に無作為に割り付けた。4群間でPIVC留置失敗率(事故抜去・閉塞・静脈炎・感染症[原発性血流感染/局所感染]の複合)と総費用に有意差がなかった。処置時間の人件費と材料費を含めて有意差がなかったのだ。 また、「現状では、コストが製品を選択する主要な決定要因となっている」とも述べている。なるほど、医療材料採用に関わる委員会で、実施に掛かる人件費が考慮される場面は遭遇したことはないし、実際の算入は不可能だろう。ちなみに今回は、施行者は病棟看護師、医師、末梢ライン専門看護師でresidentは含まれていない。 この研究はオーストラリアの2病院に関してのことであり、病院ごとに調査・集計し、最適手法を確立する必要がある。留置固定法は、製品コストではなく、施設職員の技量に相応した最適の方法に収束していることが望まれる。20億回分の1手技ではあるが、患者さんは治療終了時期まで維持できるラインが、1穿刺で達成されることを心から願っているだろう。したがって、このような基本手技に関したエビデンスは軽視できないからこそLancetに掲載されている。

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加齢だったら万々歳【Dr. 中島の 新・徒然草】(238)

二百三十八の段 加齢だったら万々歳前回は関西を通過した台風21号(チェービー)について述べました。私自身は職場にも自宅にも大きな被害はなくて良かったのですが、知り合いの中には自宅が10時間も停電してしまった人もいました。ところが、台風通過の2日後、9月6日には北海道で震度7の地震が発生し、全道で停電という大変な事になってしまいました。交通機関も通信手段も何もかもが止まってしまい、あらゆるインフラは電気で動いていたんだ、と改めて知った次第です。もちろん各病院も通常診療はできなくなったとのこと。北海道以外の医療機関も、自分達の地域で停電が起こった時にどうするか、あらかじめ想定しておく必要がありそうです。さて、この1週間は個人的にもバタバタしていたので、レールダル訪問記(その2)は次回にスキップして、今回は外来のコネタを紹介します。3ヵ月ごとに脳外科外来に通院している患者さん。70歳代の男性です。ある日の外来で、最近になって自分の声がかすれてきたような気がする、と相談されました。中島「僕にはあまり変化があるようには思えないですけれど」患者「でも、気になるんですよ」中島「確かに声がかすれたら気にした方がいいとは言いますからねえ。耳鼻科に相談しましょうか?」患者「是非お願いします」中島「じゃあ、手続きしますから、今日このまま耳鼻科外来の窓口に行ってください」ということで、院内の耳鼻科に紹介しました。こういうことは「勢い」が大切ですから、患者さんから何か相談されたら、なるべくその場でアクションを起こすように心がけています。そして、耳鼻科に紹介したことすら忘れていた3ヵ月後の外来。電子カルテを開くと耳鼻科受診の結果が書いてありました。ファイバーで覗いたけれども声門の動きも良好で特に周囲構造物にも異常は見当たらない、とのことでした。中島「前回、耳鼻科に紹介させてもらったのですが、何か言われましたか?」患者「『加齢です』と、それだけですねん」中島「それ、滅茶苦茶良かったやないですか!」患者「『加齢です』だけでっせ。ミもフタもおまへんがな」中島「これは二択ですかからね。加齢かガンか、2つに1つですよ」患者「ええっ?」中島「『ガンです』と言われるより、『加齢です』の方が100倍マシですよ」患者「そりゃそうですけど」中島「この前の患者さんは、ガンやと言われて喉を持っていかれましたよ」患者「ヒエーッ!」中島「加齢やったら『神様、ありがとう!』って、僕なら言いますね」患者「いやホンマ、ありがたい気になってきました!」中島「第一、ご本人が気にするほど声もかすれてませんよ」患者「そうですか?」中島「それとも『カラオケチャンピオンの俺がこんな声では不本意や』とか?」患者「滅相もない」中島「じゃあ、今日から明るく楽しく前向きに生きてください」患者「わかりました、是非そうします」たぶん、加齢やガンの他にも嗄声の原因は色々あるのでしょうけど、私自身はできるだけ単純に説明するようにしています。そもそも「ああかもしれない、こうかもしれない」というほどの知識もありません。とにかく、言葉1つで患者さんを励ます、ということも我々医師にとって大切な技術だと思います。最後に1句声かれて 加齢だったら 万々歳!

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第7回 スタチンの服薬アドヒアランスに影響する7つの要因【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 服薬アドヒアランスの改善は服薬指導における大きなテーマの1つです。とくに、すでに生じている症状の改善ではなく、将来的な発症の予防目的で長期的に服用する薬では、服薬アドヒアランスが低くなりがちですので、薬剤師としてどのような視点でアプローチすべきか試行錯誤されているのではないでしょうか。服薬アドヒアランスが低下しがちな薬剤の代表格であるスタチンは、服用6〜12ヵ月で25%〜50%の患者が服薬を中止し、2年経つころには75%に達するという推計(Brown MT, et al. Mayo Clin Proc. 2011;86:304-314.)もあります。心血管イベントリスクの高いほうではとくに服薬指導時の説明の工夫が必要です。そこで今回は、スタチンの服薬アドヒアランスに影響する要因を検討した質的研究を統合したシステマティックレビューを紹介します。なお、質的研究とは、インタビューや観察を通して被験者の行動やプロセスを分析して解釈的理解を行うことを目的とした研究です。Patient beliefs and attitudes to taking statins: systematic review of qualitative studies.Ju A, et al. Br J Gen Pract. 2018;68:e408-e419.このシステマティックレビューは、スタチンの服用に対する患者の視点、経験および態度について明らかにすべく、2016年10月6日までにPsycINFO、CINAHL、Embase、MEDLINEの各データベースや博士号論文から、スタチンに対する成人患者の視点に関する質的研究を検索し、得られた各文献からすべての文章と被験者のコメントを抽出してテーマ別に分析しています。主だった研究データをすべて反映させているため、情報の透明性は高そうです。最終的に8ヵ国、22〜93歳の888例からなる32の研究がレビューに含まれ、服薬アドヒアランスに影響する7つの要素が見い出されました。 1.予防効果の信頼(有効性の信頼、長期的な致命的心血管イベントリスクの最小化、安定したコレステロール値の獲得、高コレステロール状態の不安緩和) 2.ルーティン化(日常生活への取り込み) 3.薬理効果への疑問(効果の不認識、薬理学的メカニズムの不確実性) 4.医療に対する不信(過剰投与ないし医師の処方動機に対する疑い、治療開始へのプレッシャー) 5.健康への脅威(副作用リスク、体への毒性) 6.病気の実感(薬物に頼らざるを得ないことへの恐れ、治療意欲の喪失) 7.経済的な負担結果として、1のスタチンが心血管イベントを予防できるという期待と、2のスタチン服用を日常生活に取り入れることで服薬アドヒアランスが改善した一方で、3〜7の要素は障壁となりやすい傾向にありました。7つの要素から見えてくる具体的なアプローチ7つの要素からどのようなことが見えてくるでしょうか。たとえば、治療目的や将来期待できる効果について説明する、残薬の話から生活習慣の話へつなげて服薬の習慣への組み入れをアドバイスする、患者さんの性格や理解度別に丁寧に処方の理由や薬の作用を説明するなど、当たり前のようで漏れがちな取り組みかもしれません。残薬確認1つとっても聞き方はさまざまで、「処方薬を全部服用するのは大変かと思いますが、どのくらい飲み忘れたりしますか?」「何か事情があって中止されたお薬はありますか?」「何か気になる副作用はありましたか?」など批判的にならないように聞くのもよいでしょう。効果やリスクなどは、絶対リスク減少率など誤解をしにくい指標で期待できる効果をお伝えすることも患者さんの治療受容度に寄与しうるという研究もあります(Stovring H, et al. BMC Med Inform Decis Mak. 2008;8:25.)。冒頭の論文で例として挙げられている患者コメントの中には、「体調は悪くないので、服用すべきかわからない。効果の実感がない」「ずっと飲み続けなければならないのか不安」などネガティブなものから、「未来のために今服用する」「薬が効いているし、服用で健康になっているように感じられる」「ひげそり、コーヒーを入れるという朝のルーティンの一環で毎朝同じ時間に服用する」という積極的なものまで、アドヒアランス向上のヒントとなるような実践的な要素が散りばめられています。患者さんが日頃どのようなことを考えながら治療を受けているのかを知り、アプローチを考えてみてはいかがでしょうか。1)Brown MT, et al. Mayo Clin Proc. 2011;86:304-314.2)Ju A, et al. Br J Gen Pract. 2018;68:e408-e419.3)Stovring H, et al. BMC Med Inform Decis Mak. 2008;8:25.

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第3回 高齢者の高血糖で気を付けたいこと【高齢者糖尿病診療のコツ】

第3回 高齢者の高血糖で気を付けたいことQ1 高齢者では基準が緩和されていますが、血糖値高めでも様子をみる方針でいいのでしょうか? 注意すべき病態はありますか?最近のガイドラインでは、高齢者、とくに認知機能やADLが低下している場合血糖コントロールが甘めに設定されていますが、どんなに高くてもよいというものではありません。高血糖で緊急性を要する病態として、高浸透圧高血糖状態(HHS)と糖尿病ケトアシドーシス(DKA)があり、注意が必要です(表)。画像を拡大するHHSはインスリン分泌が保たれている患者に、何らかの血糖上昇をきたす因子(感染症やステロイド投与、経管栄養など)が加わり、著明な高血糖と高度脱水をきたす病態です。血糖値は通常600mg/dLを超え、重症では意識障害をきたし、死亡率は10~20%とされています。HHSはとくに高齢者で起こりやすく、糖尿病治療中でこれらの因子を伴った場合は、十分な水分摂取を促すこと、こまめに血糖値をチェックすることが大切です。水分摂取困難や意識障害の症例はもちろん、血糖300mg/dL以上が持続する場合も専門医を受診させ、入院を考慮するべきでしょう。以前行った調査1)では、HHS患者では認知症有の患者が86%を占め、要介護3以上、独居または高齢夫婦世帯がそれぞれ半数以上を占めていました。これらの患者ではとくに注意が必要です(図1)。画像を拡大するDKAは、インスリンの絶対的欠乏によって脂肪が分解され、血中のケトン体が上昇し、アシドーシスを呈する病態です。高齢者のDKAの多くは1型糖尿病で治療中の患者さんでの、感染症合併やインスリンの不適切な減量・中断による発症です。体調不良時のインスリンの使用法(シックデイルール)を指導しておく必要があります。食事がとれないような場合でも、安易にインスリン(とくに持効型)を中止しないよう指導することが重要になります。HbA1c9%以上では、HbA1c7~7.9%に比べHHSやDKAなどの急性代謝障害をきたすリスクが2倍以上となります。高齢者ではHbA1c8.5%以上だと肺炎、尿路感染症などの感染症のリスクも高くなります。そのため私たちは、認知機能やADLが低下している患者さんでも、HbA1c8.5%未満を目標としています。HbA1c8.5%以上が持続する症例では、入院での血糖コントロールを行い、その後の環境調整を行っています。Q2 HbA1cが正常なのに、 食後血糖が高い患者へはどのように対応すべきでしょうか?HbA1cは平均血糖の指標であり、HbA1cが正常でも、血糖変動が大きい可能性があります。食後高血糖は血糖変動の大きな要因であるため、外来受診の患者さんでも、空腹時のみでなく、定期的に食後血糖(1、2時間値)を測定するようにしています。食後高血糖は、糖尿病予備軍の患者さんの糖尿病への進展リスクを高めるといわれています。また高齢者のみでの研究ではありませんが、心血管疾患の発症率や死亡率も高いことが知られています(図2) 2)。一方で、SU薬やインスリン使用中で食後高血糖、かつHbA1cが低い場合は、低血糖が隠れていることがあるため、注意が必要です。また早朝の血糖が高値を示す場合、実は夜間に低血糖があり、それに引き続いてインスリン拮抗ホルモンが分泌されて血糖が上昇している場合があります(ソモジー効果)。ソモジー効果が疑われる場合は深夜の血糖を測ることが望ましく、低血糖が疑われる場合は、インスリンやSU薬の減量を行います。画像を拡大する食後高血糖に対しては、まず生活指導を行います。ゆっくり時間をかけて食べる、糖質を食物線維が多いものと一緒にとる、清涼飲料水など糖質が速やかに吸収される食品を避ける、食後1時間後を目安にウォーキングや軽い体操を行うこと、などを勧めます。これらの指導を行ったにもかかわらず、食後血糖が常に200mg/dLを超えている場合は、α-グルコシダーゼ阻害薬(非糖尿病でも使用可能)や、グリニド製剤(糖尿病のみ使用可能)などの食後高血糖改善薬の投与も考慮します。前者は糖質の吸収を緩やかにする薬剤ですが、腹部手術後は慎重投与となっています。後者はインスリン分泌を刺激する薬剤ですので、低血糖への配慮が必要になります。いずれも1日3回食直前の内服が必要なので、服薬アドヒアランスの不良な患者さんには適していません。そのような患者さんには、効果は劣るものの服薬回数の少ないDPP-4阻害薬を考慮しますが、認知機能やADLが低下している患者さんでは食後のみの高血糖であれば、無投薬で様子をみることも多いです。Q3 高血糖に対する認識の低さを感じます。患者指導のポイントがあれば教えてください。まず、年齢、認知機能やADL低下の程度、合併症や併発疾患、生命予後によって、コントロールの目標も変わってきます。認知機能やADLが低下している場合は、厳格なコントロールは必ずしも必要ありません(第6回で詳述予定です)。一方、比較的若く、認知機能やADLが保たれている患者さんには、しっかり指導をしなければなりません。ここではこういった患者さんで病識が低い人への対応を考えます。これらの患者さんでは何よりも、通院を中断してしまうことが問題です。通院しているだけである程度の意欲はあるわけですから、その部分は褒めるようにしています。また、看護師や栄養士にも協力してもらい、治療に対するご本人の考えや感情を十分に傾聴することが大切でしょう。チームとしてのサポートが重要となります。「もう歳だからいい」と言う場合や、配偶者の介護の負担などで治療に向き合えないこともあります。医療スタッフが来院時に悩みを聞きながら、少しずつ治療に向き合えるように粘り強く待つことが大切です。長期間来院しない時はスタッフから連絡してもらい、心配していることやあなたの健康を一緒に支えているということをわかっていただきます。教育面では、休日の糖尿病教室への参加をお勧めしたりしますが、強制はしません。また、診療時間は限られているので、教育資材やビデオを貸し出したりして、合併症予防の重要性を学んでいただくようにしています。そして1つでも合併症を理解していただいたら、褒めるようにします。治療に関しては、同時にいくつものことを要求しないことも重要です。禁煙と運動、食事内容を一度に全て改善しろといってもできません。患者さんの取り組みやすいところから1つずつ、しかも達成しやすいところに目標をおきます。例えばまったく運動していない人では、「まず1日3,000歩歩いてみましょう」とします。この際、目標は具体的に、数値化したものが望ましいでしょう。そして患者さんにはかならず記録をつけてもらうようにしています。たとえ目標が達成できなくても、記録をつけはじめたということについてまず褒めます。とにかく、できないことを責めるのではなく、できたことを褒める、という姿勢です。投薬の面でも、できるだけ負担のないようにし、例えば軽症で連日の投薬に抵抗がある患者さんには、週1回の製剤からはじめたりしています。なお、認知機能やADLが低下している場合でも、著明な高血糖は避ける必要があります。Q1で述べた内容を、家族・介護者に指導します。 1)Yamaoka T, et al. Nihon Ronen Igakkai Zasshi. 2017;54:349-355.2)Tominaga M, et al. Diabetes Care. 1999;22:920-924.

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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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ロシュ、世界肺会議(WCLC2018)で新データを発表

 Roche社は、2018年9月6日、カナダのトロントで9月23~26日に開催される2018年第世界肺会議(WCLC/IASLC 2018)において、さまざまな肺がんを対象とした臨床開発プログラムの新データが発表される旨を公表した。同会議では、3つのLate Breakerと5つの口頭発表を含む10個のアブストラクトが受理されたとしている。 主要な発表は以下のとおり。・進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)初回治療の第III相IMpower133試験から、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)の併用の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS))がPredsidentialシンポジウムで発表される。・進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療における第III相IMpower132試験から、アテゾリズマブと化学療法(ペメトレキセド+プラチナ)の併用のPFSおよびOSの結果が発表される。・TKIナイーブのEGFR変異陽性NSCLCの患者における第Ib相試験から、エルロチニブ・アテゾリズマブ併用の長期の安全性と有効性の結果が発表される。・進行ROS1融合陽性NSCLCにおける新たな国際第II相STARTRK-2バスケット研究を含むプール解析から、entrectinibの安全性と有効性の結果が提示される。■参考Roche社メディアリリース

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抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJM

 合併症を伴わない急性インフルエンザの思春期・成人患者へのバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の単回投与は、症状緩和についてプラセボに対し優越性を示し、投与開始1日後時点のウイルス量低下についてプラセボおよびオセルタミビルに対する優越性が示された。安全性に関する明らかな懸念はなかったが、治療後にバロキサビルに対する感受性の低下を示す知見も観察されたという。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らによる、日本と米国の患者を対象に行った2件の無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。バロキサビル マルボキシルは、インフルエンザウイルス・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬。前臨床モデル試験で、既存の抗ウイルス薬では効果が認められない耐性株を含むインフルエンザA型とB型に対して、治療活性が示されていた。20~64歳、12~64歳の合併症のないインフルエンザ患者を対象に試験 研究グループは、合併症のない急性インフルエンザを発症し、それ以外は健康な患者を対象に2つの無作為化試験を行った。1つ目は、2015年12月~2016年3月にかけて20~64歳の日本人成人を対象に行った、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化用量範囲探索試験。被験者を4群に分け、バロキサビルを10mg、20mg、40mg、プラセボをそれぞれ単回投与した。 もう1つの試験は、2016年12月~2017年3月にかけて、インフルエンザ様症状で外来受診した12~64歳の米国人・日本人を対象に行った、第III相の二重盲検プラセボ/オセルタミビル対照無作為化試験「CAPSTONE-1」。20~64歳の被験者を無作為に3群に分け、バロキサビル(体重80kg未満は40mg、体重80kg以上は80mgを1回)、オセルタミビル(75mgを1日2回5日間)、プラセボをそれぞれ投与した。12~19歳の患者は、2対1の割合で無作為に割り付けてバロキサビルまたはプラセボを投与した。 有効性の主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)感染集団におけるインフルエンザ症状緩和までに要した時間だった。バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間早く症状が緩和 第II相試験では、症状緩和までの時間中央値は、バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間短かった(p<0.05)。 CAPSTONE-1試験では、ITT感染集団1,064例のうち、インフルエンザA型(H3N2)感染が各群で84.8~88.1%に認められた。症状緩和までの時間中央値は、プラセボ群80.2時間(95%信頼区間[CI]:72.6~87.1)に対し、バロキサビル群53.7時間(同:49.5~58.5)だった(p<0.001)。また、バロキサビル群では、プラセボ群やオセルタミビル群と比べ、レジメン開始1日後のウイルス量が有意に減少した。 なお、バロキサビル群とオセルタミビル群の症状緩和までの時間中央値は類似していた。 有害事象の発生は、バロキサビル群20.7%、プラセボ群24.6%、オセルタミビル群24.8%で認められた。バロキサビルへの感受性低下につながるI38T/M/F置換を伴うポリメラーゼ酸性蛋白領域の変異は、第II相試験とCAPSTONE-1試験で、それぞれバロキサビル投与例の2.2%と9.7%で認められた。

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安定胸痛への標準治療+CTA、5年アウトカムを改善/NEJM

 安定胸痛の患者に対し、標準治療に加えCT冠動脈造影(CTA)を行うことで、5年間の冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞の発生リスクは約4割低下することが示された。侵襲的冠動脈造影や冠血行再建術の5年実施率は、いずれも増加は認められなかったという。英国・エジンバラ大学のDavid E. Newby氏らによる、Scottish Computed Tomography of the Heart(SCOT-HEART)試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。安定胸痛の患者への評価では、CTAにより診断の確実性が増すことが示されていたが、5年後の臨床アウトカムに及ぼす影響は不明であった。5年冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞の発生を評価 SCOT-HEART試験では、安定胸痛を有し、その評価を目的に循環器診療所に紹介された18~75歳の患者4,146例を対象に、非盲検多施設共同並行群間比較試験を行った。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群には標準治療に加えCTAを(2,073例)、もう一方には標準治療のみを行った(2,073例)。 主要評価項目は、5年時点における冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞の発生だった。予防療法・抗狭心症療法の実施率がCTA併用群で1.3~1.4倍 追跡期間中央値は4.8年、2万254患者年を追跡した。 主要評価項目の5年発生率は、標準治療群3.9%(81例)に対し、CTA群2.3%(48例)と、CTA群が有意に低かった(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.41~0.84、p=0.004)。 侵襲的冠動脈造影と冠血行再建術の実施率は、追跡開始当初の数ヵ月間はCTA群で標準治療群より高率だったが、5年時点では両群で同程度に認められた。侵襲的冠動脈造影の実施者は、CTA群491例、標準治療群502例(HR:1.00、95%CI:0.88~1.13)、冠血行再建術はそれぞれ279例、267例だった(同:1.07、0.91~1.27)。 一方で、予防療法や抗狭心症療法を開始した患者の割合は、CTA群が標準治療群より多かった。予防療法のオッズ比は1.40(95%CI:1.19~1.65)、抗狭心症療法は同1.27(1.05~1.54)だった。 心血管系の原因による死亡、心血管以外の原因による死亡、全死因死亡の発生率は、いずれも両群で有意差は認められなかった。

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3年生存率と施設別・病期別5年生存率を初公表~国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院などから収集した院内がん情報を用いて、2011年診断症例の3年生存率と、2008~09年診断症例の5年生存率について報告書をまとめ、9月12日にウェブサイトで公開した。国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス がん登録・統計」統計ページ:2011年3年、2008-09年5年生存率集計3年生存率を初集計 多くのがんでは、これまで5年生存率が1つの治癒の目安として用いられてきたため、国立がん研究センターでは5年生存率を報告してきた。今年3月に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画で、「国は、国民が必要な時に、自分に合った正しい情報を入手し、適切に治療や生活等に関する選択ができるよう、科学的根拠に基づく情報を迅速に提供するための体制を整備する」としていることから、今回初めて、2011年院内がん登録データ(268施設)を用いて、5年生存率より早い段階の3年生存率を集計した。 今回の集計においては、胃、大腸、乳房、肝臓、肺の主要5部位に加え、食道、膵臓、前立腺、子宮頸部、子宮体部、膀胱の6部位を加えた11部位について、部位・病期別などの生存率を集計している。施設別の部位・病期別5年生存率を初公表 がん診療連携拠点病院における5年生存率は、2007年診断症例より集計を開始し、主要5部位と食道、膵臓、子宮頸部、子宮体部、前立腺、膀胱について、拠点病院全体および都道府県別集計を公表している。今回3度目の報告となる2008~09年診断症例(2年分のデータを用いて、ある程度の対象数を担保)では、都道府県別・施設別集計においても、主要5部位・病期別に集計を行った。 なお、施設別生存率は患者の年齢、手術の有無、併存疾患の有無やその程度など、さまざまな背景に影響され大きく変動するため、都道府県および各施設のコメントと性別、年齢、病期、手術の有無、組織型(肺がんの場合)についても提示している。■参考国立がん研究センター プレスリリース

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BRCA変異乳がんにおいてPARP阻害薬talazoparibはPFSを延長する−EMBRACA試験(解説:矢形寛氏)-910

 PARP阻害薬であるオラパリブは本邦でもすでにBRCA変異乳がんで保険適応となっている。talazoparibは今のところ最も強力なPARP阻害薬であり、臨床試験の結果が期待されていた。PFSは標準治療の5.6ヵ月に比べ、talazoparib群で8.6ヵ月であり、有効ではあるもののオラパリブを超えるような大きな改善ではなかった。 オラパリブの試験(OlympiAD)とは、適格基準で転移性だけでなく局所進行乳がんも含まれているところが異なっており、またPS0の患者がより少なかった。このことが生存率にどう結びついたかは定かではない。Grade3以上の有害事象はかなり出現しているが、その多くは貧血を含めた非血液毒性であり、これらによる治療中止は少なく、QOLはtalazoparib群で良好であった。さらにパワーのある治療薬開発が望まれる。

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EGFR-TKI耐性肺がん患者の遺伝子変異検査、治療の実態:前向き観察研究REMEDY 第18回【肺がんインタビュー】

第18回 EGFR-TKI耐性肺がん患者の遺伝子変異検査、治療の実態:前向き観察研究REMEDY出演:四国がんセンター 呼吸器内科 野上 尚之氏Seto T, et al. Real-World EGFR T790M Testing in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: A Prospective Observational Study in JapanOncol Ther.2018 Aug 28.[Epub ahead of print]

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起業のルールが劇的に変わった!【医師のためのお金の話】第12回

起業のルールが劇的に変わった!こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、医師が起業に有利な3つの理由を挙げたうえで、チャンスがあれば起業にチャレンジすることは、理にかなっていることをお話ししました。しかし、医師と起業の親和性が高いことはわかったけど、実際どのようにして新規ビジネスに取り組んだら良いのか皆目見当もつかない…。そんなことを感じている方が、多いのではないでしょうか? もちろん、新規のビジネスを始めるに当たっても、それなりの定石は存在します。今回は、私の経験も踏まえて、このことについてお話ししたいと思います。情報化時代のビジネス成功4原則ビジネスで成功する確率を高めるためには、まずそのビジネスが生き残ることを考えなければなりません。ビジネスを継続することは非常に難しく、新しく生まれたビジネスの9割は、5年以内に消えてなくなると言われています。ビジネスを継続することの難しさが良くわかる数字ですね。そして、ビジネスが立ち行かなくなる原因のほとんどは、コストを上回る収益を獲得することができないからです。このことから、ビジネスを継続させるためには、下記の4つの原則が重要となります。(1)小資本で始められる(2)在庫がない(あるいは少ない)(3)利益率が高い(4)毎月の定期収入が確保できるこの4原則は、ホリエモンこと堀江 貴文さんが提唱されたことで有名になりました。まず(1)の小資本で始めることで、手元資金を温存しつつ、融資による利払いの発生を回避します。理想は自己資金のみでの開業です。そして、(2)の在庫を抑える(もしくはなくす)ことで、資金が寝てしまう(滞留する・活用されないこと)ことや、在庫管理にかかるコストを回避します。(3)の利益率が高いことは、ビジネスを継続させる最大の原動力です。上場企業であれば数%の利益率*でも事業継続が可能ですが、起業したてのビジネスでは最低でも利益率50%以上を目指すべきでしょう。そもそも10%未満の利益率を目的に起業するのでは、貴重な手元資金や自分の時間を投入する価値はないと考えたほうが良さそうです。そして、(4)の毎月の定期収入があると、ビジネスを継続させるうえでとても有利になります。ビジネスで最も難しいことの1つは、新規顧客の開拓です。これは大企業であっても同じで、すべての会社が新規顧客開拓のために、血眼になっていると言っても過言ではありません。苦労して獲得した顧客が1回限りの人ばかりでは、いつまでたってもビジネスは不安定なままです。毎月の定期収入を収益源とするビジネスは、ストック型ビジネスと呼ばれています。代表的なものは、電力会社や通信キャリアです。もちろん、インフラ系企業を今からつくることは不可能ですが、そのビジネスモデルは、大いに参考にするべきでしょう。*この場合の利益率は「経常利益率」を指します2010年以降に起業のルールは劇的に変わった!1990年代に、パソコンのOSソフトWindowsが広く利用されるようになりましたが、ビジネスへの取り組み方を変えるには至りませんでした。2000年代に入ってからインターネットが本格的に社会で普及し始めました。メールが一般化したおかげで、情報伝達のコストが劇的に減少しました。2010年代に入ると、次に述べる4つのツールが、無料もしくは格安で利用できるようになりました。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)オンラインストレージクラウドサービスクラウド会計ソフトこれらインターネット上で提供されているサービスを利用することで、従来であれば大規模な初期投資や維持管理コストが必要だった起業のハードルが劇的に下がりました。このことは、まさに「起業のルールが変わった」と言っても過言ではありません。ビジネス成功の要因として、アイデアがより重要になったのです。このことに気付いたIT業界界隈の20~30代前半の人たちは、新しいアイデアを思い付くと、軽い気持ちでどんどん起業するようになりました。一方で、医師の20~30代前半は専門性を高める時期に相当するため、世の中の流れに乗り遅れている印象を受けます。老婆心ながら、少しもったいない気がします。やはり、リスクはないのでやるしかない!ここまで詳述してきたように、医師免許の持つ経済的安定性とほかからの参入障壁の高さだけではなく、IT技術の劇的な進化も医師の起業を後押しする強力なツールです。何度も申し上げるように、医師は失敗しても失うものがほとんどありません。チャンスがあれば起業にチャレンジすることは理にかなっています。自分には無理だと自ら制限をかける前に、キャリア選択の1つとして、起業も考えてみてはいかがでしょうか。

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第5回 内科からのオーグメンチン・クラリスロマイシンの処方 (前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?(協力メンバー12名、複数回答)Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)・・・11名Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)・・・10名Mycoplasma pneumoniae(肺炎マイコプラズマ)・・・9名Moraxella catarrhalis(モラクセラ・カタラーリス)・・・6名Chlamydia pneumoniae(肺炎クラミジア)・・・5名Legionella 属(レジオネラ属)・・・2名Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)・・・2名細菌性肺炎・非定型肺炎の両方の可能性 奥村雪男オーグメンチン®配合錠が選択されていることから、S. pneumoniae、 H.influenzae(BLPAR※1を含む)、M. catarrhalis。クラリスロマイシンが選択されていることから、M.pneumoniae、 Legionella 属、 C. pneumoniae。市中肺炎であり原因菌が同定されていないため、細菌性肺炎・非定型肺炎の両方の可能性を考え、原因菌として主要な6つの病原体を全てカバーしていると考えます。点滴を行った時点では細菌性肺炎が強く疑われていたようですが、出張となるので非定型肺炎であった場合でも対応できるようにマクロライドが追加され、このような処方になったと考えます。肺炎の重症度は、「成人市中肺炎診療ガイドライン」1)では、A-DROPシステム<表1>のスコアが0→外来治療、1~2→外来または入院、3→入院治療、4~5→ICU入院としているので、入院が望ましいが外来でも可とのことから、1~2に該当する中等度肺炎と予想されます。※1 BLPAR:β-lactamase-positive ampicillin-resistant H. influenzae(β-ラクタマーゼ産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)非定型肺炎の鑑別診断も参考に 荒川隆之一般成人の市中肺炎なので、細菌性肺炎としてはS. pneumoniaeやH. influenzae、 M. catarrhalis、非定型肺炎としてはM. pneumoniaeやC. pneumoniae、Legionella 属などを想定します。「成人市中肺炎診療ガイドライン」の細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別<表2>を参照すると、この患者さんの場合、1~5の5項目中1、2、5を満たすと考えれば、非定型肺炎を疑う必要もあります。結核菌の可能性も 中西剛明外来なので市中肺炎の3 大原因菌( S. pneumoniae、 H. influenzae、 M.pneumoniae)の中から絞り込みます。尿検査をしているので、S. pneumoniaeの可能性は低い(尿中肺炎球菌抗原で原因菌の絞り込みが可能)、血液検査でマイコプラズマ抗体の検査が可能なこと、1週間点滴に通うようにと提案されている(M. pneumoniaeに感受性のある点滴はミノサイクリンくらいしか外来治療では使えない)ことから、H. influenzaeを疑います。それも、耐性菌の可能性を念頭に、BLPAR/BLNAR※2の線が濃厚です。処方日数が3日なのは、原因菌の特定が完全ではないこと、感受性試験の結果を見て薬剤を変更する余地を残していることが考えられます。加えて、結核の除外診断はついていないと予想できます。もし医師が結核の可能性がないと判断していれば、BLPAR/BLNARに対してレボフロキサシン単剤で処方2)していたでしょう。なお、結核疑いのままレボフロキサシンなどのキノロン系薬単剤で治療を開始することは、「結核診療ガイドライン」3)では禁忌事項に記載されています。※2 BLNAR:β-lactamase-negative ampicillin-resistant H. influenzae(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)複数の原因菌が混合している可能性も 柏木紀久喀痰検査が行われず、血液検査、尿検査を行った上での処方なので、細菌性肺炎か非定型肺炎か明らかでなかったか、または混合感染の可能性も考えますが、セフトリアキソンの点滴を行っているので原因菌不明の細菌性肺炎を主に想定していると考えます。Q2 抗菌薬について、患者さんに確認することは?併用薬と抗菌薬での副作用歴 中堅薬剤師併用薬と、今まで抗菌薬で副作用がなかったか。アレルギーと抗菌薬服用による下痢の経験 柏木紀久ペニシリンアレルギーと、抗菌薬の服用で下痢になったことがあるか。再受診と毎食後に服用可能か ふな33日後の再受診についてどのように指示されているか。食欲・嘔気の有無、食事は規則的か=毎食後で飲めるか。検査結果、既往歴、抗菌薬使用歴 佐々木康弘検査結果について確認したいです。Legionella属、M. pneumoniae、S. pneumoniaeの検査結果は抗菌薬選択に大きく影響します。既往歴や抗菌薬使用歴も確認したいです。気管支拡張症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの既往歴があれば、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)も想定した抗菌薬治療が必要ですし、抗菌薬治療していて増悪している場合はニューキノロン系薬剤の使用も考慮します。インフルエンザウイルスへの先行感染 奥村雪男受診時期が冬季であれば、インフルエンザウイルスへの先行感染が無かったか確認したいです。その場合は原因菌としてS. aureusを想定する必要があります。ただ、メチシリン感受性S. aureusであれば、オーグメンチン®配合錠で治療可能と考えます。職業や活動範囲などの情報収集 JITHURYOU患者インタビューの質を上げて、できるだけ多くの情報を得られるよう努めます。喫煙習慣、職業温泉や湖や沼などに最近行ってないか?(Legionella属鑑別)家族など周囲に咳が強く出ている人がいないか?(患者の年齢だと10~20代の子供がいる可能性があり、その年代は比較的M. pneumoniaeが多いとされている)鳥との接触はあるか?(オウム病鑑別)併用している抗菌薬の確認のため、ヘリコバクター・ピロリ除菌療法を受けているか、COPDなどの呼吸器系基礎疾患があるか(マクロライド長期療法を受けている可能性を考慮)後編では、本症例の患者さんに何を伝える、疑義照会をする/しない 理由を聞きます。1)日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会. 成人市中肺炎診療ガイドライン. 東京、 日本呼吸器学会、 2007.2)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会. JAID/JSC感染症治療ガイド2014. 東京, 一般社団法人日本感染症学会, 2015.3)日本結核病学会. 結核診療ガイドライン 改訂第3版. 東京, 南江堂, 2015.4)「 肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療方針」策定委員会. 肺炎マイコプラズマ肺炎に対する治療指針. 東京, 日本マイコプラズマ学会, 2014.[PharmaTribune 2015年12月号掲載]

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治療抵抗性うつ病と自殺率

 治療抵抗性うつ病(TRD)患者の30%では、生涯にわたり1回以上の自殺企図が認められる。しかし、治療開始後のTRD患者における、自殺企図および自殺完遂の発生率、特定の治療による自殺企図の増減については、不明であった。オランダ・アムステルダム大学のIsidoor O. Bergfeld氏らは、TRD患者における自殺率について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2018年8月1日号の報告。 うつ病患者を対象とした研究のうち、2剤以上の抗うつ薬治療に奏効せず、治療開始後3ヵ月以上フォローアップしたものをPubMedより検索した。自殺企図と自殺完遂の発生率は、ポアソンメタ解析を用いて推定した。比較対照が不足していることから、治療法による自殺企図や自殺完遂の発生率の違いを推定するため、メタ回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・32のTRDサンプルにおける自殺率を調査した30件の研究が抽出された。・内訳は、脳深部刺激療法(DBS:9件)、迷走神経刺激療法(VNS:9件)、電気けいれん療法(ECT:5件)、通常治療(3件)、内包前脚切裁術(2件)、認知行動療法(2件)、ケタミン療法(1件)、硬膜外皮質刺激療法(1件)であった。・全体発生率は、自殺完遂で100患者年当たり0.47(95%CI:0.22~1.00)、自殺企図で100患者年当たり4.66(95%CI:3.53~6.23)であった。・DBS、VNS、ECT後の発生率に差は認められなかった。・なお、多くの研究で、自殺率の記録は不十分であり、利用可能な研究数が制限された。 著者らは「自殺完遂および自殺企図の発生率は高いが、3つの治療法(DBS、VNS、ECT)で差はなかった。TRD患者の自殺リスクが高いことを考慮すると、臨床試験においては、自殺率を明確なアウトカム指標とみなすべきである」としている。■関連記事うつ病および自殺に関連する遺伝学的治療標的大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告うつ病と双極性障害、自殺企図リスクが高いのは治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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高血圧患者への降圧と脂質低下療法、その長期的効果は?/Lancet

 高血圧患者における、降圧療法および脂質低下療法が心血管死、全死因死亡に及ぼす長期的な効果は十分には検証されていないという。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のAjay Gupta氏らは、ASCOT試験終了後に10年以上の長期フォローアップを行い(ASCOT Legacy試験)、Ca拮抗薬ベースの治療レジメンによる降圧療法と、スタチンによる脂質低下療法は、高血圧患者の死亡を長期に改善することを示した。Lancet誌オンライン版2018年8月26日号掲載の報告。英国の参加者を16年フォローアップ ASCOT Legacy試験では、ASCOT試験の英国からの参加者において、フォローアップ期間16年の死亡に関する調査が行われた(Pfizerの助成による)。 ASCOT試験は、1998年2月~2000年5月に北欧、英国、アイルランドで患者登録が行われた2×2ファクトリアルデザインの多施設共同無作為化試験。対象は、年齢40~79歳、心血管疾患のリスク因子を3つ以上有し、直近3ヵ月以内の冠動脈性心疾患や狭心症、脳血管イベントの既往歴がない高血圧患者であり、主要評価項目は非致死的心筋梗塞および致死的冠動脈性心疾患であった。 ASCOT試験の降圧療法アーム(BPLA)に登録された患者は、ベースライン時に、アムロジピンまたはアテノロールベースの降圧療法を受ける群に無作為に割り付けられた。さらに、BPLAのうち総コレステロール値が6.5mmol/L以下で脂質低下療法歴のない患者が、脂質低下療法アーム(LLA)として、アトルバスタチンまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、残りの患者は非LLAとされた。 2人の医師が独立に、全死因死亡、心血管死(冠動脈性心疾患死、脳卒中死)、非心血管死の判定を行った。Ca拮抗薬は脳卒中死を、スタチンは心血管死を抑制 ASCOT Legacy試験に含まれたのは、8,580例(ベースラインの平均年齢64.1歳[SD 8])で、3,282例(38.3%)が死亡した。内訳は、アテノロールベース治療群1,640/4,275例(38.4%)、アムロジピンベース治療群1,642/4,305例(38.1%)であった。 また、LLAの4,605例中1,768例が死亡した。内訳は、アトルバスタチン治療群865/2,317例(37.3%)、プラセボ群903/2,288例(39.5%)であった。 全死亡例のうち1,210例(36.9%)が心血管関連の原因によるものであった。BPLAの患者では、全死因死亡はアテノロールベース治療群とアムロジピンベース治療群に有意な差はなかったが(補正後ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.81~1.01、p=0.0776)、脳卒中による死亡は、アムロジピンベース治療群がアテノロールベース治療群に比べ有意に少なかった(0.71、0.53~0.97、p=0.0305)。 BPLAとLLAに交互作用は認めなかったが、非LLAの3,975例では、アムロジピンベース治療群がアテノロールベース治療群に比べ心血管死が有意に少なかった(補正後HR:0.79、0.67~0.93、p=0.0046)。LLAの4,605例では有意な差はなく、2つの降圧療法の効果の差は、患者がLLAか非LLAかに依存していた(交互作用のp=0.0220)。 LLAでは、アトルバスタチン治療群がプラセボ群よりも心血管死が有意に少なかった(HR:0.85、0.72~0.99、p=0.0395)。 著者は、「全体として、ASCOT Legacy試験は、血圧とコレステロールへの介入が心血管アウトカムに長期的な利益をもたらすとの見解を支持するものである」としている。

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なぜ美容整形手術を受けるのか、初の前向き観察研究

 美容整形手術の人気が高まっているにもかかわらず、手術を受ける患者の動機付けとなっている社会文化的な要因やQOLに関わる因子はあまり解明されていない。米国・ノースウェスタン大学のAmanda Maisel氏らは、患者がなぜ侵襲の少ない美容整形手術を受けるのかを包括的に評価する、初となる検討を行った。その結果、一般的な理由は、外見を良くしたいという願望に加えて、感情的、心理的、そして実用的な動機であることが明らかになったという。著者は、「患者の年齢や求める手術における相対的差異については、さらなる調査が必要だろう」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年8月15日号掲載の報告。 研究グループは、侵襲の少ない美容整形手術を受ける患者の動機となる因子の相対的な重要度を評価する目的で、米国すべての地域を代表する大学2施設および皮膚科の診療所11施設にて多施設共同前向き観察研究を行った。2016年12月4日~2017年8月9日の期間に、美容整形に関する診察または治療のために受診した成人患者を対象とし、最近開発された主観的動機付けの枠組みと人口統計学的質問調査票の回答に基づいて調査ツールを完成させた。 主要評価項目は、QOLの各カテゴリーにおいて自己報告された最も一般的な動機であった。副次評価項目は、多く報告されたその他の動機、および特定の手術に関連した動機であった。 主な結果は以下のとおり。・適格患者529例中、511例が研究への参加に同意し登録、調査を完了した。・511例の患者背景は、女性が440例(86.1%)、45歳以上が286例(56.0%)、白人386例(75.5%)、大卒469例(91.8%)、美容整形手術歴2回以上270例(52.8%)であった。・審美的外見(美しい皮膚と若く魅力的な外見に対する願望など)に関連する動機を除くと、身体的健康(健康状態または症状悪化の予防)は475例中253例(53.3%)、心理社会的well-being(幸せを感じたい、自信を持ちたい、QOLを全般的に改善したいなど)は467例中314例(67.2%)、自分へのご褒美またはお祝いは463例中284例(61.3%)、職業上の見栄えは476例中261例(54.8%)が一般的な動機として報告された。・費用や利便性に関連した動機は、低い位置付けだった(483例中68例[14.1%])。・大部分の動機は、内面に生じ、他人ではなく患者自身が満足することを目的としたもので、患者自身が美容整形手術を受けることを決めていた。そのため、配偶者の影響はほとんどなかった。・45歳未満の患者は、老化予防の目的で手術を受けることが有意に多かった(45歳未満:212例中54例[25.5%]vs.45歳以上:286例中42例[14.7%]、p<0.001)。・特定の手術(体形補正、ざ瘡瘢痕治療、入れ墨除去など)を希望する患者は、心理的・感情的な動機が多い傾向が見られた(それぞれ、22例中19例[86.4%]、42例中36例[85.7%]、11例中8例[72.7%])。

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インスリンが血糖に関係なくがんリスクに関連か~JPHC研究

 わが国の大規模前向きコホート研究(JPHC研究)より、数種類のがんにおいて、インスリン高値が高血糖とは関係なく、糖尿病関連のがん発症に関連する可能性が示唆された。著者らは「血漿インスリン値の検査は、糖尿病を発症していない人においても、がんリスクを評価するうえで妥当なオプションである」としている。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。 本研究では、がんリスクにおけるインスリンと血糖のそれぞれの影響を明らかにするために、インスリンの代用マーカーである血漿Cペプチド、および安定した血糖マーカーである糖化アルブミン(GA)と、がん全体および部位別のがんリスクとの関連が検討された。ベースラインでアンケートに回答し血液サンプルを提供した3万3,736人のうち、約4,000人にがんが発症した。明らかに糖尿病である被験者を除外し、3,036人のがん症例と3,667人のサブコホートで分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・男女全体として、GAで調整後、Cペプチド値の最も高い群は、最も低い群と比べてがん全体(ハザード比[HR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.02~1.42)、結腸がん(1.73、1.20~2.47)、肝臓がん(3.23、1.76~5.91)、腎・腎盂・尿管がん(2.47、1.07~5.69)のリスク増加と有意に関連していた。・Cペプチドに関連した上記のがんのうち結腸がんと肝臓がんでは、Cペプチド値とは関係なく、GAの増加に関連したがんリスク増加も示した。GAの最も低い群に対する、最も高い群での結腸がんと肝臓がんのHRは、それぞれ1.43(95%CI:1.02~2.00)および2.02(95%CI:1.15~3.55)であった。・性別による差異は、Cペプチドと結腸がんの関連(相互作用のp=0.04)のみ明らかであった。

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