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バレンタインとてんかんの意外な関係

 バレンタインデーの由来となった聖バレンタインは、てんかんのある人々を庇護した聖人としてたたえられている。それ故、「世界てんかんの日」はバレンタインデー直前の月曜日、2月の第2月曜日と定められている。また、毎年3月26日をパープルデーと定めるなど、てんかんは世界的な社会啓発が進められている。2019年1月28日、大塚製薬株式会社が主催するプレスセミナー「てんかん患者を取り巻く環境を考える」が開催され、加藤 天美氏(近畿大学 脳神経外科主任教授)と川合 謙介氏(自治医科大学 脳神経外科教授)が登壇した。てんかんの認知、てんかんを疑う感覚 パープルの花で胸を飾り登壇した加藤氏は、『高齢者てんかん』について講演。高齢者の3大神経疾患として脳血管障害、認知症と並ぶてんかんの発症割合は、ほかの2つに比べ断然高い。にもかかわらず、「社会だけでなく医療現場での認知も進んでいない」と同氏は語る。 てんかんを診断するには、本来、頭皮脳波検査を行うが、2017年にNature Medicineに掲載された症例では、この検査で異常が見られず、髄液中のアミロイド蛋白の増加などからアルツハイマー病と診断された。しかし、断続的な認知障害からてんかんを疑い、“頭蓋内電極法”で、海馬のてんかん性活動が同定され治療により軽快した。 このほかにも、同氏は脳波異常を示しにくい病態として、「一過性てんかん性健忘」について説明。物忘れ外来400例中26例がこれに該当したとの報告1)もある。恐ろしいてんかん重積状態 高齢者のてんかんは、重積状態による救急搬送も問題になっている。発症時間が明確でなく、発症すると認知機能へ大きなダメージを与える。また、てんかん重積状態の中でも、けいれんを伴わない非けいれん性てんかん重積状態(NCSE)の場合、予後不良で寝たきりや要介護となり、発症全患者の1/4は死亡ないし予後不良に至ることが明らかになった2)。これを予防するために、同氏は「原因不明の意識障害患者には脳波検査を迅速に施行し、NCSEとの鑑別を行う」ことが望ましいと述べた。就労の現状 てんかん患者の生きる張り合いとは何か。これまでのてんかん診療におけるゴールは、発作のコントロールとされてきた。現在は、「発作をコントロールすることで、患者がQOLを高めて社会参加すること」だと言う川合氏は、『てんかん患者の雇用と運転』について講演した。 谷口 豪氏(東京大学医学部附属病院精神神経科)によると、日本における就労の現状は、2007年時点で40%にも満たず、就労者の約40%がパートタイムの米国や非雇用率が31%の韓国に並ぶ。また、景気の波は雇用に影響を与えず、景気が好調なマレーシアでさえも、10.4%がパートタイム、20%は無職だという。 2007年に日本てんかん協会が行った、てんかんのある人の生活に関するアンケート(回収数:586件、回収率:45.7%)では、実に58%の方が「働く場があること」に生活の張りを見いだし、「家族がいること」に次いで大切な事柄であると明らかにされた。望む暮らしについては、「安定した職を持ち、経済的に自立したい」という回答が目立った。また、てんかんの病名開示は就職率には影響を与えるものの、就労継続期間には影響を与えなかったことから、就労継続には別の要素が関与している可能性が示唆されたという。 てんかん患者の就業に及ぼすさまざまな外的因子(雇用主の理解、経済状況など)がある中で、患者らは、「てんかんを理解してくれる職場」、「短時間労働が可能」などの条件を求めている。川合氏は「てんかん発作のコントロールと“同時に”就労支援が必要」とし、「作業の持続力や集中力、他社とのコミュニケーションのとり方などを、外来診療でアドバイスすることも重要」とコメントした。てんかんと自動車運転 てんかん患者による自動車運転は、条件付きで認められている。ただし、どういう脳波・発作の時にどのような症状が出現するのか、どのような場合は運転できないのかを患者が理解できるように、医療者による治療開始時の適切な指導が鍵となる。また、双方が法律についても熟知しておく必要がある。■道路交通法:運転免許に関わる法律(過労運転等の禁止):運転者本人が対象(本人の責任)第66条 過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常に運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。(免許の拒否等):警察・公安委員会が対象第90条 発作により意識障害または運動障害をもたらす病気にかかっている者については、政令の基準に従い、免許を与えない。 てんかん患者の自動車事故の原因はさまざまであるが、主に3つに分類され、それぞれの今後の課題を示すことができる。 1)治療開始前(初発発作時):自動車工学による発作検知 2)運転適性あり(発作再発):適性基準の見直し、医学的啓発 3)運転適性なし(発作):行政的抑制、医学啓発 てんかん患者の事故リスク比を無発作期間で区切って算出する傾向が世界的に浸透しているが、「無発作期間は発作再発率には影響を与えているが、致死的な交通事故への影響は検討の余地がある」とし、「事故につながる原因を個々で見いだしておくことが重要」と、同氏は締めくくった。■参考1)老年期認知症研究会誌. 2017;20:71-762)吉村 元ほか.臨床神経. 2008;48:242-248日本てんかん協会:世界てんかんの日パープルデー

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同種移植、鎌状赤血球貧血児の脳卒中リスクを軽減/JAMA

 経頭蓋超音波ドプラ(TCD)で血流速度の持続的な上昇がみられるため、継続的な輸血を要する鎌状赤血球貧血(SCA)の患児では、適合同胞ドナー造血幹細胞移植(MSD-HSCT)により、標準治療に比べて1年後のTCD血流速度が有意に低下し、脳卒中リスクが軽減するとの研究結果が、フランス・Centre Hospitalier Intercommunal de CreteilのFrancoise Bernaudin氏らが実施したDREPAGREFFE試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年1月22日号に掲載された。SCA児では、TCD血流速度の上昇が脳卒中リスクと関連し、継続的な輸血によってリスクは軽減することが知られている。MSD-HSCTは多くのSCA児に治癒をもたらすとともに脳血流量を低下させるが、輸血と比較する前向き対照比較試験は行われていなかった。脳血流速度を比較する非無作為化試験 本研究は、SCA児において、MSD-HSCTと、虚血性脳卒中発症の代替指標としてのTCD血流速度との関連の評価を目的とする非盲検非無作為化対照比較介入試験(フランスAssistance Publique-Hopitaux de Parisの助成による)。 対象は、年齢15歳未満、TCDで血流速度の持続的な上昇がみられるため継続的な輸血を要し、同じ両親を持つ1人以上の非SCAのきょうだいがいるSCAの子供であった。家族は、ヒト白血球抗原(HLA)の抗体検査の実施に同意し、適合同胞ドナーが見つかった場合は移植を、適合同胞ドナーがいない場合は標準治療を施行することに同意することとした。 標準治療は、1年以上の輸血を行い、その後はhydroxyureaへの切り換えも可とした。傾向スコアマッチング法を用いて、MSD-HSCT群と標準治療群を比較した。 主要アウトカムは、1年後の、TCDで測定した8つの脳動脈における時間平均最大血流速度(time-averaged mean of maximum velocities:TAMV)とした。4項目の副次アウトカムでも有意差 患者登録は、2010年12月~2013年6月の期間にフランスの9施設で行われ、2017年1月まで3年間のフォローアップが実施された。67例(年齢中央値7.6歳、女児35例[52%])が登録され、MSD-HSCT群に32例、標準治療群には35例が割り付けられた。傾向スコアでマッチさせた、それぞれ25例ずつの患者の解析を行った。 1年時のTAMVは、MSD-HSCT群が129.6cm/sと、標準治療群の170.4cm/sに比べ有意に低下した(差:-40.8cm/s、95%信頼区間[CI]:-62.9~-18.6、p<0.001)。 29項目の副次アウトカムのうち25項目の解析が行われた。以下の4項目で有意差が認められ、いずれもMSD-HSCT群で良好だった。 3年時のTAMV(MSD-HSCT群112.4cm/s vs.標準治療群156.7cm/s、差:-44.3cm/s、95%CI:-71.9~-21.1、p=0.001)、1年時の血流速度の正常化(TAMV<170cm/s)(80.0% vs.48.0%、32.0%、0.2~58.6%、p=0.045)、1年時のフェリチン値(905ng/mL vs.2,529ng/mL、-1,624ng/mL、-2,370~-879、p<0.001)、3年時のフェリチン値(382 ng/mL vs.2,170ng/mL、-1,788ng/mL、-2,570~-1,006、p<0.001)。 MSD-HSCT群の5例で、皮膚症状のみを伴う急性の移植片対宿主病(GVHD)が観察された(Grade I:2例、Grade II:2例、Grade III:1例)。Grade II以上の急性GVHDの累積発症率は9.4%であった。静脈閉塞性疾患は認めなかった。 その他の有害事象として、痙攣を伴う可逆性後頭葉白質脳症(2例)、無症候性のサイトメガロウイルス再活性化(11例)、EBウイルス感染症(6例)、出血性膀胱炎(4例)などがみられた。 著者は、「MSD-HSCTが臨床アウトカムに及ぼす影響を評価するために、さらなる検討を要すると考えられる」としている。

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川柳で広める抗菌薬の適正使用

 世界規模で抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)をもつ細菌が増え、問題となっていることに鑑み、WHO(世界保健機関)は、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」を採択。WHO加盟国は2年以内に自国のアクション・プランを策定するよう要請された。わが国でも厚生労働省が中心となり、アクション・プランを策定し、不要な抗菌薬の使用削減に向け、さまざまな活動が行われている。 その一環として2018年11月、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは、AMRに関して理解を深め、考えてもらう機会として、「第2回薬剤耐性(AMR)あるある川柳」の公募を行った。全国から計1,816句の川柳の応募があり、今回厳正な審査を経て、金賞、銀賞、佳作の入選作品が決まり、公表された。 金賞 「変えていく 念のためから 明日のため」(ペンネーム:メチコ) 銀賞 「飲み薬 余り物には 福はなし」(ペンネーム:先細り人) 銀賞 「抗菌薬 正しく使い 次世代へ」(ペンネーム:かんかん) この発表を受け同センターの大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター センター長)は総評として、「“薬剤耐性”という言葉が、聞きなれないもの、認知も不十分ななかで、川柳を通じてAMRを多くの方に考えてもらったことを大変うれしく思う。応募作品は、昨年と比べ、“AMR”や“抗菌薬”を正しく捉えた作品、正しい知識を広めていけるような作品、AMR対策を推し進めていくという強いメッセージが込められた作品が多く見受けられた。正しい知識、医師と患者のコミュニケーション問題、強い意志、これらはいずれもAMR対策にとって大切なことと考えている。今後、“AMRや“抗菌薬の適正使用”につき、さらに多くの方々に知ってもらうため、この川柳を使って啓発を進めていきたい」と展望を語る。なお受賞者には賞状と賞品が贈られる。■参考第2回 薬剤耐性あるある川柳■関連記事診療よろず相談TV第30回 抗微生物薬適正使用の手引き第32回 「抗微生物薬適正使用の手引き」の活用法

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第9回 意識障害 その7 AKAって知ってる?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)バイタルサイン、とくに呼吸数に着目し、重篤な病態を見逃すな!2)アルコール性ケトアシドーシスを知ろう!3)ビタミンB1は「不足しているかも?」と思った段階で忘れずに投与しよう!【症例】60歳男性の意識障害:これまた良く出会う症例60歳男性。アルコール性肝硬変、2型糖尿病、慢性腎臓病で内服治療中の方。来院前日から労作時の呼吸困難を認めた。自宅で様子をみていたが、大好きなお酒も飲むことができなくなった。病院にいこうと家を出たが、路上で嘔吐を認め、動けなくなり、目撃した通行人が救急要請。●搬送時のバイタルサイン意識3/JCS血圧132/98mmHg脈拍118回/分(整)呼吸30回/分SpO294%(RA)体温35.0℃瞳孔3/3mm+/+今回の意識障害の原因は何でしょうか。救急外来で診療していると、しばしば出会う病態です。アルコール関連の意識障害は、単純な酩酊から外傷、痙攣などなど、さまざまです。では、明らかな外傷を認めない場合、アルコール多飲患者で考えておくべき病態はどのようなものがあるでしょうか?その場で判断ができないことも多く、具体的な着眼点を追って解説していきます。頻呼吸に出会ったらこの患者さんのように、呼吸回数が上昇している患者さんをみたら、どのような病態、病気を考えるべきでしょうか。「過換気」とまず考えてしまうのは御法度です。もちろんその可能性もありますが、それよりも急を要する状態である「代謝性アシドーシスの代償」の可能性を、まずは考えましょう。ヘンダーソンの式(pH=6.1+log[HCO3−]/0.03×[PaCO2])からもわかるように、代謝性アシドーシス(HCO3−が低下)となれば、それを代償しようと(PaCO2を低下させようと)呼吸回数が上昇するのです。表の10’s Ruleでも、まずは具体的な疾患よりもABCの安定、バイタルサイン、病歴、身体所見の重要性を強調してきました。バイタルサインの中でも呼吸数は軽視されがちです。とくに意識障害患者が頻呼吸を認めた場合は、いわゆる「まずい」状態です。qSOFA(意識、呼吸、収縮期血圧の3項目)の2項目満たしているわけですからね。画像を拡大する代謝性アシドーシス?と思ったら血液ガスを確認しましょう。10’s Ruleでは「5)何が何でも低血糖の否定から!」の部分で、簡易血糖測定(デキスタ)とともに確認するとよいでしょう。その場で血液ガスが測定できれば、数分以内に確認可能ですね。血液ガスは動脈から採取する必要があるでしょうか? 具体的な酸素・二酸化炭素分圧を確認する場合には、動脈血で確認しますが、静脈血でもわかることがたくさんあります。pHやHCO3−は静脈血でも動脈血でも大きな差がないことがわかっており、静脈血で代謝性アシドーシスを認める場合には、その時点でまずいことがわかります。と同時に血糖値、カリウムなどの電解質、CO-Hb(カルボキシヘモグロビン)、MetHb(メトヘモグロビン)、そして乳酸値もわかる血液ガスは、緊急性、重症度の判断にきわめて有用な検査です。実際にこの症例では、pH7.15、HCO3−12.1mmol/L、base excess-16.6mmol/L、乳酸9.8mmol/Lと著明なアシドーシスを認めていました。血糖値は100mg/dL、電解質異常は認めませんでした。原因は何でしょうか? どのように対応するべきでしょうか?乳酸アシドーシスに出会ったら乳酸が上昇していたら焦りましょう。正常値は2mmol/L(18mg/dL)以下です。4mmol/L(36mg/dL)以上を一般的に上昇と捉え、その場合には必ず原因を考えましょう。乳酸アシドーシスの鑑別は、「(1)ショック、(2)腸管虚血、(3)けいれん、(4)ビタミンB1欠乏、(5)薬剤、(6)その他」と覚えておきましょう1)。とくに本症例のような、アルコール関連疾患が想起される場合には、必ずビタミンB1欠乏を鑑別の上位に挙げ、対応する必要があります。ビタミンB1欠乏の症状と対応ビタミンB1の欠乏というとウェルニッケ脳症や末梢神経障害が有名ですが、その他に乳酸アシドーシス、脚気心(高拍出性心不全:wet beriberi)も重要です。原因がよくわからない乳酸アシドーシスや心不全では、ビタミンB1の欠乏を意識して対応する癖を持つとよいと思います。ビタミンB1は即結果が出るわけではなく、その場で欠乏の有無を判断することはできませんが、安価で副作用もほとんどないため、「必要かな?」と思ったら投与しましょう。欠乏のリスクが少しでもあると判断した段階でビタミンB1は100mg静注、アルコール多飲や妊娠悪阻、担がん患者などで寝たきり・低栄養状態でリスクが高いと判断した場合には200mgは静注しましょう。また、ウェルニッケ脳症の可能性があると判断した場合には、初回500mgの投与(1,500mg/日)が推奨されています。(意識障害 その3参照)本症例では、心機能評価目的にエコーを行うと、心収縮力の低下を認めました。乳酸アシドーシス、心機能低下からビタミンB1の欠乏が考えられます。DKAだけでなくAKAも覚えておこう!DKAは糖尿病ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis)として有名ですが、AKAはご存じでしょうか? アルコール性ケトアシドーシス(alcoholic ketoacidosis:AKA)です。アニオンギャップ開大性の代謝性アシドーシスをみたら鑑別に挙げ、患者が慢性アルコール依存患者(アルコール多飲者)であった場合には、積極的に鑑別に挙げ介入する必要があります。「体調が悪く、お酒すら飲むことができなくなった」という病歴が「らしい」ことを示唆しています。ただ、AKAの確定診断をその場で行うことは難しく、疑い症例に対して介入し、その後の経過やβ-ヒドロキシ酪酸などのケトン体分画の結果で診断します。初療において重要なことは、AKAの治療として細胞外液・ビタミンB1の投与、血糖が低めの場合にはブドウ糖の投与を行い、それとともにAKA以外のアシドーシスの原因となりうる病態がないかを検索することです。急性膵炎、消化管出血はAKA同様にアルコール関連疾患として頻度も高く、合併していることもあります。また、アルコール離脱によって痙攣し、乳酸値が上昇することもあります。いろいろと考えることがあるのです。アルコール?と思ったら病歴や既往から、意識障害の原因としてアルコールの影響を考えた場合には、具体的にどうするべきでしょうか?いつ何時でもABCの安定が大切であるため、原因をアルコールによる酩酊とは決めつけず、バイタルサインや血液ガス所見から重症度を判断し、対応します。●Rule8 電解質異常、アルコール、肝性脳症、薬物、精神疾患による意識障害は除外診断!アシドーシスや低血糖を伴う場合には、迷わず検体採取後に速やかにビタミンB1を静注し、細胞外液を投与しつつ全身管理を行いながら、鑑別を進めます。本症例では、初療時には敗血症、AKA、ビタミンB1欠乏などを考え対応しました。集中治療を要しましたが、数日後には状態は改善しました。後日判明したビタミンB1値は著明に低下していました。確定診断することは大切です。しかし、初療時にすべてが判明するわけではありません。疑い、そして否定できなければ、あるものとして対応することが必要な場合もあるのです。“AIUEOTIPS”の“S”にSupplementを追加し、ビタミン欠乏を見逃さないように心掛けましょう!(意識障害 その2参照)次回は、「AIUEOTIPS」の活用法を学びましょう。1)Kraut JA,et al. N Engl J Med. 2014;371:2309-2319.

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第12回 アナタはどうしてる? 術前心電図(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第12回:アナタはどうしてる? 術前心電図(前編)内科医であれば、外科系の先生方から術前心電図の異常について、一度はコンサルテーションされたことがありますよね? 循環器内科医なら日常茶飯事のこの案件、もちろん“正解”は一つじゃありません。前編の今回は、症例を通じて術前心電図の必要性について、Dr.ヒロと振り返ってみましょう。症例提示67歳、男性。変形性膝関節症に対して待機的手術が予定されている。整形外科から心電図異常に対するコンサルテーションがあった。既往歴:糖尿病、高血圧(ともに内服治療中)、喫煙:30本×約30年(10年前に禁煙)。コンサル時所見:血圧120/73mmHg、脈拍81/分・整。HbA1c:6.7%、ADLは自立。膝痛による多少の行動制限はあるが、階段昇降は可能で自転車にて通勤。仕事(事務職)も普通にこなせている。息切れや胸痛の自覚もなし。以下に術前の心電図を示す(図1)。(図1)術前の心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として正しいものを2つ選べ1)洞(性)徐脈2)左軸偏位3)不完全右脚ブロック4)(第)1度房室ブロック5)左室高電位(差)解答はこちら3)、5)解説はこちら術前心電図でも、いつも通りに系統的な心電図の判読を行いましょう(第1回)。1)×:R-R間隔は整、P波はコンスタントで、向きも“イチニエフの法則”に合致しますから、自信を持って「洞調律」です(第2回)。心拍数なら“検脈法”が簡便です。左半分(肢誘導)のみ、あるいは左右全体(肢誘導・胸部誘導)で数えても60/分ですから、「徐脈」基準を満たしません。Dr.ヒロ的な“境界線”は「50/分」でしたね。2)×:QRS電気軸は、“スパイク・チェック”にて、QRS波の「向き」を確認するのでした(第8回)。I、II、aVF誘導いずれも上向き(陽性)で、軸偏位はありません(正常軸)。ちなみに、以前紹介した“トントン法Neo”だと、「+40°」と計算されます(TPは、III [+120°]と-aVL [+150°]の間で前者よりの「+130°」)。3)○:典型的ではないですが、一応「不完全右脚ブロック」でいいでしょう。V1誘導の特徴的な「rSr'型(r<r')」と、イチエルゴロク(とくにI、aVL、V5)でS波が軽めに“主張”する感じです(Slurという)。QRS幅が0.12秒(3目盛り)以内なら、“不完全”という言葉を冠します(自動診断でQRS幅は0.102秒です)。4)×:「(第)1度房室ブロック」はPR(Q)間隔が延長した所見であり、“バランスよし!”の部分でチェックします。P波とQRS波の距離はちょい長め(≒0.20秒)ですが、これくらいではそう診断しません(目安:0.24秒以上)。「PR(Q)延長」との指摘にとどめるべき範疇でしょうか。5)○:QRS波の「高さ」は“高すぎ”ですね。具体的な数値も知っていて損はないですが、V4~V6あたりの誘導、とくにゴロク(V5、V6)のR波が突き抜けて直上の誘導に突き刺さる“重なり感”にボクはビビッときます(笑)。加えて、軽度ですがII、V4~6誘導に「ST低下」があり、高電位所見とあわせて「左室肥大(疑い)」とジャッジしたいものです。【問題2】術前心電図(図1)の意義について考察せよ。解答はこちら意義:耐術性や心合併症リスク評価の観点では「低い」解説はこちら非心臓手術の術前検査で何をどこまで調べるか? 心電図に限らず、これは全ての検査に言えることなので、純粋な心電図の読みから少し離れてお話しましょう。非心臓手術における術前検査に関するガイドラインは、米国では10年以上前*1、2から、そして最近ではわが国でも欧米のものを参考に作成*3されています。これらのガイドラインによると、今回のように日常生活や仕事などで特別な症状もなく十分に“動ける”ケースの場合、心電図検査のみならず、術前心血管系評価そのものが「適応なし」とされます。従って、心電図に「意義」を求めるのは“筋違い”なのかもしれません。ただ、現実はどうでしょう? 皆さんの病院の診療はガイドライン通りに行われていますか…? おそらく「NO」なのではないでしょうか?欧米では、こうした“見なくて良かった”心電図異常のコンサルト、手術の対象疾患とは無関係な心臓の追加検査が、コスト的にムダとみなされています。これは、検査技師やナースにも無駄な仕事をさせているともとらえることができますよね?*1:Fleisher LA, et al.Circulation.2014;130:e278-333.*2:Feely MA, et al.Am Fam Physician.2013;87:414-8.*3:日本循環器学会ほか:非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン2014年改訂版.(注:*1は2019年1月に一部改訂)循環器内科医・内科医にとって、外科医からの術前心電図のコンサルテーションは非常によくあります。実際に、日本の病院では、非心臓手術をする前に心電図を“(ほぼ)全例”やっているのではないでしょうか。そんな状況下で、術前心電図をすべきか否かを論じるのは正直ナンセンスな気もします。心電図検査をすること自体に、一見、悪いことなんて見当たりません。採血の痛みもレントゲンの被曝もない安全・安心な検査ですから。前述のガイドライン*1でも、低リスク手術でなければ心電図検査は年齢を問わず“考慮”(considered)となっています(ただし、膝手術を低リスクと見なす文献もあり)。ほかにも、「65歳以上」なら心電図を“推奨”(recommended)、今回のように「糖尿病」や「高血圧」を有するなら“考慮”(considered)とする文献もあります。「よく調べてもらっている」という患者さん側のプラスな印象も相まって、わが国の医療・保険制度上では、オーダーする側の医師のコスト意識も、諸外国に比べて断然低いと想像できます。“ルーチンでやっちゃえ”的な発想が根付くのにも納得です。でも、本当にそうでしょうか?少し古いレビューですが、次の表を見て下さい(図2)。(図2)ルーチン心電図の検査意義画像を拡大する既往歴や動悸・息切れ、胸痛などの心疾患を疑う思わせぶりな自覚症状があってもなくても、あまり深く考えずに術前に“ルーチン”で心電図検査をすると、4.6~31.7%に“異常”が見つかります。中央値は12.4%で、これは実に8人に1人の割合です。どうりで術前コンサルトが多いはずです。もしも、何も考えずに自動診断のところに何か所見が書いてあったら、循環器(内科)に相談しておこう、という外科医がいたとしたら、ボクたちの“通常業務”も圧迫しかねない“迷惑な相談”です(いないと信じたい)。でも、実際には臨床的意義のある心電図所見は約3分の1の4.6%、そして驚くなかれ、治療方針が変わったのは全体の0.6%なんです!より具体的に言うと、仮に200人の非心臓手術を受ける患者さんに、盲目的に術前心電図をオーダーすると、約25人に何らかの自動診断による所見があります。でも、治療方針に影響を与えるような重大な結果があるのはせいぜい1人。つまり大半の24人には大局に影響しない、ある意味“おせっかい”な指摘なんです。自分の診療を振り返ってみても、確かにと納得できる結果です。心電図をとってもデメリットはないと言いましたが、たとえばで手術を受けるだけでも不安な患者さんに、心電図が余計な“心配の種”になっていたら本末転倒だと思いませんか?今回の67歳男性も整形外科で膝の手術を受けるわけですが、心疾患の既往やそれを疑うサインもない中で、なかば“義務的”に心電図検査を受けたがために、「不完全右脚ブロック」と「左室肥大(疑い)」という“濡れ衣”を着せられようとしています。これはイカン。“ボクたちの仕事増やすな”という冗談は置いといて、今回、ボクが皆さんに投げかけたいテーゼはこれです。緊急性を要さない心電図異常、とくに「波形異常」の術前コンサルトの場合、循環器内科医(または内科医)のとるべきスタンスは…1)心電図異常=心臓病とは限らない2)今の心臓の状態は、今回の手術を優先して問題ないので、追加検査は原則必要ないと言ってあげること。これが非常に大事です。しいて言えば、所見の重症度や外科医の意向などから、せいぜい心エコー検査を追加するくらいでしょうか。この辺は一様ではなく、病院事情やコンサルタントの裁量で決めることになろうかと思います。ボクなりのコメント例を示します。「今回は手術を受けるために心電図検査を受けてもらいました。○○さんの検査結果には多少の所見がありましたが、ほかの人でもよくあることです。心臓病の既往や疑いもないですし、普段も自覚症状がないようなので手術には影響のないレベルです。必要に応じて、手術が済んでから調べても問題ないのですが、外科の先生の希望もあるため、念のためエコー検査だけ受けてもらえませんか?」患者を安心させ、コンサルティ(外科医)の顔もつぶさず、かつ病院の“慣習”にも逆らわない“正解”は様々でしょう。けれど、このような内容を知っているだけで対応も変わってくるのではないでしょうか。今回は、ルーチン化している術前検査の意義について、心電図を例に提起してみました。次回(後編)も引き続き、術前心電図をテーマに一歩進んだ異常所見の捉え方についてお伝えします。お楽しみに!Take-home Messageルーチンの術前心電図では高率に異常所見が見つかるが、大半は精査・急な処置ともに不要!【古都のこと~夕日ヶ浦海岸~】本連載では、京都市内ないし近郊の名所をご紹介してきましたが、今回は少し遠出します。おとそ気分覚めやらぬ1月初旬、京丹後市の夕日ヶ浦(浜詰)海岸を訪れました。京都縦貫自動車道を使って片道3時間(往復300km)の道のりですが、立派に府内です。春すら感じてしまう天候、はるかな水平線、海、空、そして数km続く白浜…。そこには、前年に訪れた際の小雨降る青黒い日本海とは“別の顔”がありました。“何をそんな小さなコト・モノ・ヒトにこだわっているの?”日本屈指のサンセット・ビーチのダイナミックなパノラマビューを眺めれば、誰でもそんな声が聞こえるはず。かに料理に舌鼓を鳴らし露天風呂につかれば、至高の休日です。

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第24回 「高齢者の安全な薬物療法GL」執筆薬剤師が語るGLより大切なこと【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回のゲストは国立長寿医療研究センターの溝神文博先生。「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の作成に薬剤師として参加した溝神先生ですが、ガイドラインを生かすには、自ら臨床に立って患者さんと対話することが大切だと言います。このプロジェクトに加わったきっかけ、執筆秘話、そして薬剤師という仕事に対する思いを語ります。

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冷え性の女性は約5倍「あの症状」

 冷え性の女性は、腰痛に4.91倍、難聴に4.84倍なりやすいことが、福島県立医科大学の坪井 聡氏らによる研究で明らかになった。冷え性の女性はさまざまな症状を抱え、健康リスクを伴う行動をとっていることがある。対症療法では改善が不十分な場合があり、総合的なケアが必要であるという。International journal of women's health誌2019年1月11日号の報告。 西洋医学においては、東アジアの伝統医学と異なり、冷え性に対する医療サービスの必要性は、まだ認識されていない。 そのため、2016年2月~2017年4月にかけて日本人女性238人を対象に手足の冷えとその他の主観的症状について疫学的評価を行い、それらの関連性について調査した。人口統計、健康関連の行動、健康状態、過去1年間の自覚症状の頻度をアンケート調査した。手足の冷えとその他の主観的症状との関連性は、多重ロジスティック回帰分析を用いて検証した。 主な結果は以下のとおり。・冷え性の有病率は、軽度が49.6%、重度が35.3%であった。・気温と医療サービスの利用は、冷え性の重症度によって有意差はなかった。・冷え性と有意に関連した症状は、肩こり、疲労、腰痛、頭痛、鼻づまり、かゆみ、けが、難聴であった。・多重ロジスティック回帰分析の結果、冷え性の人は、腰痛に4.91倍、難聴に4.84倍なりやすかった。・要因としては、精神的な生活の質、睡眠の質、習慣的な飲酒が、その他の主観的症状と有意に関連していた。

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中年期以降の握力低下と認知症リスク~久山町研究

 九州大学の畑部 暢三氏らは、中年期から高齢期の握力低下と認知症リスクについて、検討を行った。Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年12月8日号の報告。 60~79歳の認知症でない地域住民1,055例(平均年齢:68歳)を対象に24年間の追跡調査を行った。そのうち835例(平均年齢53歳)は、1973~74年に実施した健康診断のデータを中年期の分析に使用した。中年期から高齢期の15年間(1973~1988年)にわたる握力低下によってもたらされる認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)のリスクをCox比例ハザードモデルで推定し、1988~2012年までフォローアップを行った。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に368例が認知症を発症した。・握力低下が大きくなると認知症発症率が有意に増加した(年齢、性別で調整)。 ●握力の上昇または変化なし(0%以上):25.1/1,000人年 ●握力のわずかな低下(-14~-1%):28.4/1,000人年 ●握力の著しい低下(-15%以下):38.9/1,000人年・潜在的な交絡因子で調整した後、握力の著しい低下は、認知症リスクの上昇と有意な関連が認められた。握力の著しい低下が認められた人は、握力が上昇または変化しなかった人と比較し、認知症リスクが1.51倍(95%信頼区間:1.14~1.99、p<0.01)高かった。・ADでは同様な所見が認められたが、VaDでは認められなかった。 著者らは「中年期から高齢期の著しい握力低下は、高齢期の認知症発症の重要な指標であることを示唆している」としている。■関連記事日本のアルツハイマー病、30年の推移:九州大「歯は大切に」認知症発症にも影響:久山町研究男女における握力とうつ病との関連

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子宮内膜スクラッチ、出産率は向上せず/NEJM

 子宮内膜スクラッチは、体外受精の胚着床を促進して妊娠の確率を高める目的で開発された技術である。ニュージーランド・オークランド大学のSarah Lensen氏らPIP試験の研究グループは、pipelle生検を用いる子宮内膜スクラッチの有用性を検討し、この技術は体外受精を受ける女性の生児出産率を改善しなかったとの研究結果を、NEJM誌2019年1月24日号で報告した。5ヵ国で行われたプラグマティックな無作為化試験 本研究は、5ヵ国13施設が参加したプラグマティックな非盲検無作為化対照比較試験で、2014年6月~2017年6月の期間に患者登録が行われた(オークランド大学などの助成による)。 対象は、体外受精(新鮮胚または凍結胚を移植)を受ける女性で、最近、子宮鏡検査などの損傷を与える可能性のある子宮内器具操作を受けていない患者であった。被験者は、子宮内膜スクラッチを施行する群または介入を行わない対照群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 子宮内膜スクラッチは、胚移植周期の前の周期の3日目から胚移植周期の3日目までに、生検用カテーテルであるpipelleを用いて行った。 主要アウトカムは、生児出産とした。生児出産率は同等、臨床的妊娠率や妊娠継続率にも差はない 3年間で1,364例が無作為化の対象となり、子宮内膜スクラッチ群に690例、対照群には674例が割り付けられた。 ベースラインの年齢中央値は、両群とも35歳(IQR:32~38)であった。全体の約25%が、2回以上の胚移植の不成功を経験していた。低受精の原因は、約35%が男性側の要因、約30%が不明、約12%が排卵障害、約12%が卵管の要因であった。 生児出産率(intention-to-treat解析)は、子宮内膜スクラッチ群が690例中180例(26.1%)、対照群は674例中176例(26.1%)であり、両群で同等であった(補正後オッズ比[OR]:1.00、95%信頼区間[CI]:0.78~1.27、p=0.97)。未補正およびper-protocol解析の結果もほぼ同様であった。 妊娠継続率(子宮内膜スクラッチ群26.2% vs.対照群27.2%、補正後OR:0.96、95%CI:0.76~1.23)、臨床的妊娠率(妊娠約6週時に1つ以上の胎嚢を確認:31.4% vs.31.2%、1.01、0.80~1.27)、多胎妊娠率(2.2% vs.1.8%、1.22、0.57~2.67)、子宮外妊娠率(0.4% vs.0.4%、0.98、0.18~5.32)、流産率(5.2% vs.4.5%、1.17、0.10~1.94)にも、両群間に有意な差はみられなかった。 子宮内膜スクラッチ群の女性の疼痛スコア(0~10点、スコアが高いほど痛みが強いことを示す)の中央値は3.5点(IQR:1.9~6.0)であり、37例が0点、6例が10点だった。子宮内膜スクラッチ後に14件の有害反応(5例で過度の疼痛、7例で失神/強いめまいの感覚/吐き気、2例で過度の出血)が認められた。 著者は、費用や非簡便性の問題を指摘したうえで、「これまでに行われた試験の結果は一致していないが、全般に子宮内膜スクラッチのほうが良好であった。これらの試験の多くは小規模で検出力が十分でなく、バイアスリスクが高いが、今回の試験は症例数が多く、選択バイアスのリスクは低い」としている。

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脳卒中治療の集約化、死亡率・入院期間を低下/BMJ

 全脳卒中患者が超急性期治療を受ける脳卒中治療の集約型モデルは、死亡および急性期病院の入院期間を低減し、エビデンスに基づく臨床的介入の導入を促進することが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのStephen Morris氏らの調査で確認された。研究の成果は、BMJ誌2019年1月23日号に掲載された。イングランドでは、2010年、急性期脳卒中の医療サービスを2つの大都市圏に集約した。全脳卒中患者に超急性期治療を行う施策を採用したロンドンでは、死亡および入院期間の低下がみられたのに対し、症状発現から4時間以内の患者に限定して超急性期治療を行うこととしたグレーター・マンチェスターでは、入院期間は短縮したものの死亡への影響は認めなかったという。そこで、2015年、グレーター・マンチェスターでも全例に超急性期治療を行うよう、さらなる集約化が進められた。集約化の影響を後ろ向きに評価 研究グループは、2015年のグレーター・マンチェスターにおける急性期脳卒中の医療サービスのさらなる集約化が及ぼしたアウトカムの変化を評価し、2010年のロンドンにおける集約化の影響が、その後も持続しているかを検証するために、レトロスペクティブな解析を行った(英国国立健康研究所[NIHR]の委託による)。 英国の国家統計局の死亡データと関連付けたHospital Episode Statistics(HES)データベース、およびSentinel Stroke National Audit Programme(SSNAP)の患者レベルのデータを後ろ向きに解析した。 対象は、2008年1月~2016年3月の都市部に居住する脳卒中患者50万9,182例(HES登録患者)と、2013年4月~2016年3月の脳卒中患者21万8,120例(SSNAP登録患者)であった。脳卒中の入院施設での組織的治療へのアクセスを向上させる方法として、急性期脳卒中の医療サービスをhub and spokeシステムに集約した。 主要アウトカムは、入院後90日時の死亡、急性期病院の入院期間、超急性期脳卒中治療室(HASU)での治療、19種のエビデンスに基づく臨床的介入(60分/180分/24時間以内の脳画像検査、適格例へのt-PA投与、4時間以内の嚥下障害の評価・脳卒中治療室[SU]への入室、24/72時間以内の理学療法士・言語聴覚士による評価など)であった。さらなる集約化で死亡・入院が改善、ロンドンでは効果が持続 地域間の差分の差分分析では、2015年4月以降、イングランドの他の地域と比較して、グレーター・マンチェスターにおけるリスク補正後の入院後90日死亡率は、脳卒中患者全体では改善の傾向がみられ(差分の差分:-1.3%、95%信頼区間[CI]:-2.7~0.01)、HASUで治療を受けた患者(全患者の86%)では有意な低下が認められた(-1.8%、-3.4~-0.2)。 グレーター・マンチェスターでは、年間4,500件の脳卒中が発生していると推定されることから、HASUでの治療により少なくとも年間69件の死亡を回避できると推算された(4,500×0.86×-1.8/100)。 また、グレーター・マンチェスターにおける脳卒中患者全体のリスク補正後の急性期病院入院期間も、イングランドの他の地域に比べ有意に短縮した(-1.5日、95%CI:-2.5~-0.4、p<0.01)。これにより、脳卒中の年間発生件数を4,500件とすると、入院日数は少なくとも年間6,750日短縮することになる。HASUで治療を受けた患者の割合は、2010~12年の39%から、2015/16年には86%に増加した。 一方、ロンドンでは、入院後90日死亡率には経時的に有意な変動はなく(p=0.09)、入院期間は有意に短縮していた(p<0.01)。HASUで治療を受けた患者は、2010~12年が93%、2015/16年は94%だった。 エビデンスに基づく臨床的介入の導入は、両地域とも全般に持続または向上していた。 著者は、「全例が超急性期治療を受けるという、急性期脳卒中の医療サービスのhub and spokeモデルへの集約に関して、さらなるエビデンスがもたらされた」とまとめ、「今後、集約化が脳卒中後の能力低下に及ぼす影響とともに、ロンドンで改善効果が持続していた要因の解明を進めることが有益と考えられる」としている。

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非代償性肝硬変を伴うC型肝炎に初の承認

 平成元年(1989年)に発見されたC型肝炎ウイルス(HCV)。近年、経口の直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAA)が次々と発売され、C型慢性肝炎や初期の肝硬変(代償性肝硬変)の患者では高い治療効果を得られるようになったが、非代償性肝硬変を伴うHCV感染症に対する薬剤はなかった。そのような中、平成最後の今年、1月8日にエプクルーサ配合錠(一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠、以下エプクルーサ)が、「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に承認された。また、DAA治療失敗例に対する適応症(前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善)も取得した。ここでは、1月25日に都内で開催されたギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーで、竹原 徹郎氏(大阪大学大学院医学系研究科内科学講座消化器内科学 教授)が講演した内容をお届けする。予後の悪い非代償性肝硬変で初めて高い治癒率を実現 HCV感染者は長い期間を経て、慢性肝炎から代償性肝硬変、非代償性肝硬変へと進行する。非代償性肝硬変患者の予後は悪く、海外データ(J Hepatol. 2006)では、2年生存率が代償性肝硬変患者では約90%であるのに対し、非代償性肝硬変患者では50%以下という。国内データ(厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書)でも、Child-Pugh分類A(代償性肝硬変)では3年生存率が93.5%に対して、非代償性肝硬変であるB、Cではそれぞれ71.0%、30.7%と低い。しかし、わが国では非代償性肝硬変に対して推奨される抗ウイルス治療はなかった(C型肝炎治療ガイドラインより)。 このような状況のもと、非代償性肝硬変に対する治療薬として、わが国で初めてエプクルーサが承認された。 非代償性肝硬変患者に対する承認は、エプクルーサ単独とリバビリン併用(ともに12週間投与)を比較した国内第 3 相臨床試験(GS-US-342-4019)の結果に基づく。竹原氏は、「海外試験ではリバビリン併用が最も良好なSVR12(治療終了後12週時点の持続性ウイルス学的著効率)を達成したが、この国内試験では両者のSVR12に差がみられなかったことから、有害事象の少なさを考慮して併用なしのレジメンが承認された」と解説した。 本試験でエプクルーサ単独投与群には、年齢中央値67歳の51例が組み入れられ、うち24例はインターフェロンやリバビリン単独投与などの前治療歴を有する患者であった。主要評価項目であるSVR12は92.2%で、患者背景ごとのサブグループ解析でも高いSVR12が認められ、治療歴ありの患者で87.5%、65歳以上の患者でも96.6%であった。同氏は、「より進行した状態であるChild-Pugh分類Cの患者で若干達成率が低かったが、それでも約80%で治癒が確認されている」とその有効性を評価。有害事象は9例で認められ、主なものは発疹、皮膚および皮下組織障害、呼吸器・胸郭および縦郭障害(それぞれ2例で発現)であった。他の薬剤で治癒が確認されていない特殊な薬剤耐性例でも効果 一方、DAA治療失敗例に関しては、DAA既治療のジェノタイプ1型および2型患者を対象とした試験(GS-US-342-3921)において、リバビリン併用の24週間投与により96.7%のSVR12率を達成している。「DAA既治療失敗例は、複雑な耐性変異を有する場合が多いが、これらの患者さんでも95%以上の治癒が得られたのは非常に大きい。とくに他の薬剤で治癒が確認されていない特殊な薬剤耐性P32欠損についても、5例中4例で治癒が確認された」と同氏は話した。また有害事象に関しては、リバビリンに伴う貧血の発現が約20%でみられたが、「貧血が起こっても、薬剤の量を調整することで症状を抑えることが可能。貧血が原因で投与中止となった例はない」と話している。 最後に同氏は、「非代償性肝硬変とDAA治療失敗例という、これまでのアンメットメディカルニーズを満たす治療薬が登場したことを、広くすべての医療従事者に知ってもらい、専門医と非専門医が連携して、治療に結び付けていってほしい」とまとめた。

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インフル患者数が2019年第4週に過去最多

 2019年2月1日、厚生労働省は2019年第4週(1月21~27日)において、全国約5,000ヵ所の定点医療機関当たりのインフルエンザ患者報告数が57.09人となったことを発表した。前週の53.91人を上回り、昨年のピーク(2018年第5週)である54.33人を超え、1999年の集計開始以降、過去最多となった。2019年第4週のインフルエンザ患者数は約222.6万人 都道府県別の集計では、埼玉県(84.09)、新潟県(77.70)、千葉県(73.00)の順で最多となっている。合計31都道府県で前週より増加したが、16府県では減少がみられた。前週に続き、全都道府県で警報レベル(1週間の定点あたり報告数が30人以上または前週に警報が出ていて10人以上)を超えている。 2019年第4週に受診したインフルエンザ患者数の推計は約222.6万人(95%信頼区間:211.6~233.6万人)とされ、前週の推計値(約213.0万人)から9.6万人増加した。また、2018年第36週以降これまでの累積の推計受診者数は約764.1万人となった。 インフルエンザの入院患者数は、全国約500ヵ所の基幹定点医療機関において合計3,205例であり、全都道府県から報告されている。この結果は、昨年のピーク(2018年第3週)である2,370例を上回っているが、前週(3,363例)より全年齢層で減少している。 国内のインフルエンザウイルスの検出状況をみると、直近の5週間(2018年第52週~2019年第4週)で、AH1pdm09亜型(50%)、AH3亜型(49%)、B型(1%)の順だった。一方、昨シーズン全体で占めた割合としては、AH1pdm09亜型が24%、AH3亜型が30%、B型が46%であり、混合流行していた昨シーズンと、2019年の流行は異なる傾向の可能性がある。インフルエンザ全罹患者推計値が2018/19シーズンから変更 例年、季節性インフルエンザの流行期には、定点医療機関からの報告数に加え、週ごとのインフルエンザ全罹患者数が推計されている。従来、この全罹患者数の推計には、「医療機関の施設数」を用いていたが、医療機関の規模が適切に反映されず、推計が過大となる傾向が指摘されており、2018/19シーズンからは、「外来患者延数」を用いた推計方法に変更された。 そのため、インフルエンザ全罹患者数の推計において、2018/19シーズン以降と2017/18シーズンまでとの比較を行う場合、罹患者数に0.66(新推計方法に基づく数値への変換変数)を乗ずる必要がある。 この方法によると、昨シーズンの全罹患者推計値は約2,209万人から約1,458万人に変換される。本シーズンにおける2019年第4週現在の累積推計受診者数(約764.1万人)は、昨シーズン全体の52.4%に達する結果となる。

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腹を突き破って出てきた異物【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第132回

腹を突き破って出てきた異物 いらすとやより使用 世にもまれな異物論文です。今回は消化器系。 Yacoub W, et al.Self extrusion on an ingested foreign body: a case reportTunis Med. 2018;96:314-316.2歳の男の子が、腹部にポコっと膨らんだところがあるといって来院しました。炎症を伴っているようです。検査では、白血球とCRPがメチャメチャ上昇しており、腹部の感染症が強く疑われました。腹部超音波検査とCT検査を行ったところ、腹壁に明らかな異物があることがわかりました。外からおなかに刺さっているのではなくて、中からおなかの外に出てこようとしている。映画の『エイリアン』か!!※※知らない人、スイマセン。私は何回も見ましたが、今の若手は見たことがない人が多いみたい。さて、腹壁から飛び出そうとしていた異物は無事外科医によって取り出されました。なんと、出てきたのは、木片でした。一瞬、魚骨に見えましたが、いや、これは木だ。実は子供には発達障害があり、普段からよく木を食べていたそうです。そのため、肛門から排泄されなかった木の一部が、消化管を突き破って皮膚に出てきてしまったのかもしれません。いずれにしても、皮膚の外に向かって飛び出した異物というのは、きわめてまれな異物症例だそうです。その後、男の子がどうなったのか、論文には書いてありませんでした。もう、木を食べないでほしいですね。

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