サイト内検索|page:1029

検索結果 合計:36088件 表示位置:20561 - 20580

20561.

ニッケル過敏症、過去20年で増加

 ニッケルは、頻度の高いアレルゲンとして知られている。米国・ミネソタ大学のErin M. Warshaw氏らが、北米接触皮膚炎共同研究班(NACDG)のデータを後ろ向きに解析した結果、ニッケル過敏症の発現頻度は、20年間で有意に増加していたことを報告した。著者は、「ニッケル過敏症は、北米における公衆衛生上重要な問題である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月17日号掲載の報告。 研究グループは、北米におけるニッケル過敏症の疫学を調べる目的で、1994~2014年にNACDGによるパッチテストを受けた4万4,097例のデータを後ろ向きに解析した。 パッチテストでニッケルに陽性反応を示したものをニッケル過敏症と定義し、ニッケル過敏症の発現頻度と人口統計学的に患者をを評価し、ニッケルに陽性反応を示した患者の臨床所見や職業との関連性、および曝露源を集計した。 主な結果は以下のとおり。・1994~2014年におけるニッケル過敏症の平均発現頻度は、17.5%であった。・ニッケル過敏症は経時的に有意に増加した(1994~96年14.3%、2013~14年20.1%、p<0.0001)。・ニッケル過敏症患者は、女性、若年、非白人、アトピー(湿疹および喘息)および顔・頭皮・耳・首・腕・体幹に発症の皮膚炎を有する患者で、有意に高かった(p≦0.0474)。・現在、臨床的関連のある症例は全体の55.5%に及び、この頻度は経時的に有意に増加していた(1994~96年44.1%、2013~14年51.6%、p<0.0001)。・職業に関連した症例は全体の3.7%であり、経時的に有意に減少していた(1994~96年7.9%、2013~14年1.9%、p<0.0001)。・最も多かった曝露源は、ジュエリーであった。

20562.

心血管健康の変化と、その後のCVD発生の関連/JAMA

 心血管の健康状態が理想的であることと心血管疾患(CVD)発生の低さの関連には、首尾一貫したエビデンスがある。しかし大部分の試験は、心血管健康の単回評価指標を用いたものであったことから、フランス・パリ第5大学のThomas T. van Sloten氏らは、心血管健康が時間とともにどれくらい変化したかを調べ、それらの変化とCVD発生の関連を複合的に調べた。その結果、整合性がとれた関連は認められなかったという。JAMA誌2018年11月6日号掲載の報告。心血管健康「低」「中」「高」分類の変化を調べ、その後のCVD発生を評価 検討は、英国の公務員が参加する前向きコホート試験「Whitehall II試験」の参加者データを分析して行われた。同試験は、1985/88年(ベースライン)に開始され、以後2015/16年まで5年ごとに心血管健康の評価が行われている。CVD発生については2017年3月までフォローアップされていた。 研究グループは参加者を、米国心臓協会の7つの測定基準(非喫煙、理想的なBMI値、身体活動度、食事、血圧値、血糖値、総コレステロール値)を用いて、理想的な測定基準の該当項目数で「0~2」「3~4」「5~7」に分類。それぞれを心血管健康の程度が「低い群」「中程度群」「高い群」とした。 1985/88年(ベースライン)から1997/99年の10年間に心血管健康がどのように変化したかを再評価・再分類し、1997/99年からCVDおよび死亡のフォローアップを開始した。 主要評価項目は、CVD(冠動脈疾患[CHD]と脳卒中)発生であった。心血管健康「高い→高い」維持がベストではない? 試験には、CVD非既往の9,256例(ベースライン時の平均[SD]年齢44.8歳[6.0]、女性2,941例[32%])が包含された。このうち6,326例から心血管健康の変化に関するデータを入手できた。 1997/99年後のフォローアップ中央値18.9年間で発生したCVDイベントは、1,114件であった。 多変量解析および心血管健康が一貫して低かった参加者(全体の13.5%、CVD発生率:1,000人年当たり9.6、95%信頼区間[CI]:8.4~10.9)との比較において、CVDリスクとの関連に有意性は認められなかった。心血管健康が低い→中程度に変化した被験者群(全体の6.8%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-1.9(95%CI:-3.9~0.1)でハザード比(HR)0.84(95%CI:0.66~1.08)、低い→高いに変化群(全体の0.3%)は-7.7(-11.5~-3.9)で0.19(0.03~1.35)、中程度→低いに変化群(全体の18.0%)は-1.3(-3.0~0.3)で0.96(0.80~1.15)だった。 また、次の群では、CVDリスクが低いことが観察された。一貫して中程度の参加者群(全体の38.9%)は絶対発生率差:1,000人年当たり-4.2(95%CI:-5.5~-2.8)でHRが0.62(95%CI:0.53~0.74)、中程度→高いに変化群(全体の5.8%)は-6.4(-8.0~-4.7)で0.39(0.27~0.56)、高い→低いに変化群(全体の1.9%)は-5.3(-7.8~-2.8)で0.49(0.29~0.83)、高い→中程度に変化群(全体の9.3%)は-4.5(-6.2~-2.9)で0.66(0.51~0.85)、そして一貫して高かった群(全体の5.5%)は-5.6(-7.4~-3.9)で0.57(0.40~0.80)であった。

20563.

エンパグリフロジンとリナグリプチンの配合剤、トラディアンス発売

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は、DPP-4阻害薬リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)と、SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)との配合剤である2型糖尿病治療薬「トラディアンス配合錠 AP/BP」を、2018年11月20日発売した。 トラディアンス配合錠APは、トラゼンタ5mgとジャディアンス10mgとの配合、トラディアンス配合錠BPは、トラゼンタ5mgとジャディアンス25mgとの配合剤。 1日1回投与のDPP-4阻害薬トラゼンタは、心血管イベントや腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象としたCARMELINA試験において、主要評価項目を達成し、プラセボと同等の心血管安全性を示した。一方、1日1回投与のSGLT2阻害薬ジャディアンスは、心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者を対象としたEMPA-REG OUTCOME試験において、主要評価項目である複合心血管イベント(血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)リスクを14%、心血管死のリスクを38%、全死亡リスクを32%、心不全による入院のリスクを5%有意に減少させている。これら異なる作用機序の2成分を配合し1剤にすることで、患者の服薬負担を軽減し、アドヒアランスを高め、より良好な血糖コントロールが得られることが期待されている。 トラディアンス配合錠は、トラゼンタ、ジャディアンスと同様に、医療機関への情報提供活動については、日本ベーリンガーインゲルハイム、日本イーライリリー両社で行う。製品名:トラディアンス配合錠AP、トラディアンス配合錠BP一般名:エンパグリフロジン、リナグリプチン効能・効果:2型糖尿病。ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。用法・用量:通常、成人には1日1回1錠(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして 10mg/5mg又は25mg/5mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。薬価:トラディアンス配合錠AP 283.30円、トラディアンス配合錠BP 395.60円

20564.

n-3多価不飽和脂肪酸(PUFAs)摂取量増加は高齢者を無病息災に導く期待大!(解説:島田俊夫氏)-956

 n-3多価不飽和脂肪酸 (PUFAs)に関しては、ちまたでは生活習慣病に対して健康改善に有効だとの認識がほぼ定着している。その一方でアカデミアにおいては、それを裏付けるエビデンスが必ずしも十分に得られているわけではないが賛同する方向にある1)。しかし、n-3 PUFAsは一般社会ではエビデンスに先行して医薬品、サプリメントとして確固たる地位を獲得しているように見える。米国・タフツ大学のHeidi TM Lai氏らは長期前向きコホート研究(Cardiovascular Health Study)の成果をBMJ誌の2018年10月17日号に発表した。 これまでn-3 PUFAsは健康に有効な作用が期待できると信じられ、日々の生活の中でサプリメントとして積極的に摂取することが多くなっている。その一方でn-3 PUFAs摂取量は自己申告または質問形式の食事調査によるものが大部分を占めており、情報の質が落ちる点が泣き所であった。本研究においては、ベースラインマーカーとして食事性または代謝性のn-3 PUFAs(循環脂肪酸)をバイオマーカーとして測定し、n-3 PUFAs摂取量の信頼性を担保するデータとして活用することで、これまでの論文と一線を画する論文内容となっており、興味深い。論文要約 本研究では、米国内4地域で1992~2015年の間に実施されたn-3 PUFAsの連続測定値と健康老化の関連が調べられた。採血済みの1992~93年、1998~99年、2005~06年の凍結保存血液を使用し、1992~93年のベースライン時に健康老化(ほぼ無病老化)と認定された健康老化者2,622例を本研究対象とした。平均年齢は74.4歳(SD 4.8)、女性が63.4%の集団であった。参加者のn-3 PUFAs値(植物由来のα-リノレン酸、魚由来のEPA、DPA、DHA)をガスクロマトグラフィー法により測定した。 主要評価項目を健康老化とした。つまり慢性疾患(心血管疾患、がん、肺疾患、重度CKDなど、および認知、身体障害のない生存)または65歳以降の健康老化アウトカムに含まれない要因による死亡と定義した2)。イベントについては医療記録・診断検査からの情報に基づき中央判定にて最終診断が行われた。 2,622例の参加者中2,330例(89%)が研究期間中に不健康老化(有病老化)を体験したことが明らかになった。残りの292例(11%)は重大な慢性疾患を持たず生存(健康老化)していた。社会的、経済的、生活習慣等を考慮したうえでEPA五分位数群の最高値群は最低値群に比較し24% (11~35%、p<0.001) 低く、リスク回避を達成していることがわかった。DPA五分位数群の上位3群で不健康老化(有病老化)リスクが18%(6~29%、p=0.003)低下した。海産物由来のDHA、植物由来のALAは健康老化への関与は明らかではなかったが全面否定する結果ではなかった。筆者コメント 本研究は観察研究であり、因果関係を明らかにすることを目的として計画されていない。n-3 PUFAs摂取を客観的に評価することが可能なバイオマーカー(循環脂肪酸)測定を導入したことにより情報の質を高めた研究であり、フォローアップ期間も長期(20年以上)にわたっており、高齢者におけるn-3 PUFAsの摂取の増加が不健康老化リスクの低下をもたらす可能性を明らかにした点は評価に値する。臨床医としての使用経験からも、この論文内容に素直に耳を傾けることができるのではと考える。いずれにしても未解決な点も多々あり、前向きに今後もこの問題に関心を持って研究を進めていく中で、真実が明らかになる日も近いと考える。

20566.

28)イナビル【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、イナビルの吸入手順を説明します。手順としては、薬を立てて持ち、軽く叩いて薬を下に集める→薬剤1番を右にスライドさせる→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く(底の空気口をふさがないよう注意)→吸入口をしっかりくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→呼吸を整え、薬剤2番を左にスライドさせる→もう一度、同様に吸入を行う→吸い残しがないよう、1番と2番の薬をもう一度吸入する→(10歳以上の患者さんは、2本目を吸入する)→うがいをする(口の中3回、喉の奥3回)

20567.

添付文書改訂:タミフル/スタチンとフィブラート併用の原則禁忌解除/リンゼス錠【下平博士のDIノート】第13回

タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%画像を拡大する<Shimo's eyes>2007年に、オセルタミビルを服用した10代の患者が転落して死傷する事例が相次いで報告されたことから、緊急安全性情報の発出や添付文書の警告欄の新設によって、10代の未成年患者への使用は原則として差し控えられていました。しかし、2018年8月に、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知にて、オセルタミビル服用と異常行動について、明確な因果関係は不明という調査結果が報告され、インフルエンザ罹患時には、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無または種類にかかわらず、異常行動が発現する可能性があることが明記されました。そして、オセルタミビルを含めたすべての抗インフルエンザウイルス薬について、異常行動に対する注意喚起の記載が統一されました。今年は経口抗インフルエンザ薬のラインアップに変化が生じており、2018年3月には新規作用機序であり、1回の経口投与で治療が可能なバロキサビル錠(商品名:ゾフルーザ)が発売され、同年9月には顆粒製剤が承認されています。同じく9月には、オセルタミビルの後発医薬品も発売されています。患者さんに合わせて処方薬が使い分けられるようになりますが、どのような薬剤が処方されていたとしても、異常行動の可能性があることを念頭に、小児・未成年者を1人にしないことや住居が高層階の場合は施錠を徹底することなどを指導しましょう。スタチン系とフィブラート系併用の原則禁忌が解除画像を拡大する<Shimo's eyes>2018年10月に、腎機能低下患者へのフィブラートとスタチンの併用が添付文書の原則禁忌から削除され、「重要な基本的注意」の項で、腎機能に関する検査値に異常が認められる場合、両剤は治療上やむを得ないと判断する場合のみ併用することという旨の注意喚起が追記されました。欧米では腎機能が低下している患者でもスタチンとフィブラートの併用が可能であること、わが国においても併用治療のニーズがあることなどから、日本動脈硬化学会より2018年4月に添付文書改訂の要望書が提出されていました。さらに、2019年4月に施行される予定の医療用医薬品の添付文書記載要領の改訂において、「原則禁忌」および「原則併用禁忌」が廃止されることを踏まえた対応と考えられます。なお、原則禁忌が解除されたとはいえ、腎機能が低下している患者では、スタチンとフィブラートの併用による横紋筋融解症のリスクについて、引き続き十分な注意を払う必要があるでしょう。リンゼス錠0.25mg画像を拡大する<使用上の注意>治療の基本である食事指導および生活指導を行ったうえで、症状の改善が得られない患者に対して本剤の適用を考慮します。重度の下痢が現れるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討します。<用法・用量>通常、成人にはリナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前に経口投与します。なお、症状により0.25mgに減量します。<Shimo's eyes>慢性便秘症は高齢者に多いため、超高齢社会となったわが国では、近年便秘治療薬の領域が活気を帯びています。従来、慢性便秘症の薬物治療には、酸化マグネシウムやセンノシドなどが主に使われてきましたが、近年新薬が相次いで発売されています。便秘は「本来、体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義され、腸そのものの病変(腫瘍や炎症、狭窄など)によって起こる「器質性便秘」と、消化器官の機能低下によって起こる「機能性便秘」に分類されます。「慢性便秘症」は機能性便秘のうち、便秘の状態が日常的に続くものです。リナクロチドは、2017年3月に「便秘型過敏性腸症候群」の適応で発売されましたが、今回「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」が追加されました。同適応を有するものとしてすでに、ルビプロストンカプセル(商品名:アミティーザ)、エロビキシバット錠(同:グーフィス)が発売されており、さらに2018年9月にはマクロゴール含有製剤(同:モビコール)、ラクツロースゼリー(同:ラグノスNF)が承認されました。なお、食後投与の薬剤や食前投与の薬剤、服用時点の定めのない薬剤があるため、監査・服薬指導の際には注意が必要です。

20568.

人も論文も見た目が9割【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第5回

第5回 人も論文も見た目が9割皆さん「人は見た目が9割」という書籍を見かけたことがあるのではないでしょうか。自分は、このようなキャッチーなタイトルに弱いので、すぐに購入して読みました。読後感想は、小生には役に立つ部分がないという事実でした。容姿に恵まれない者には無用の書籍であることに気づいたのは読後のことでした。まさに「書籍はタイトルが9割」です。社会学的実験から、恋愛では「イケメン」や「美女」であることが有利に働くことは間違いのない事実のようです。「人は見た目が100パーセント」というネーミングのテレビドラマもありました。ところで、イケメンや美女は「性格が悪い」と言う人がいます。そういう事例もあるでしょうが、多くはそうではないように感じています。容姿に恵まれた者は、友人や仲間が多く、社会的不安が少なく、性格も良いといわれます。神様は不公平で、「天は二物を与える」場合が多いのです。医学論文においても、この不公平な法則は当てはまります。見た目が優れた論文は、内容も優れている場合が多いです。ここでの見た目とは、「図(グラフ)」や「表」です。論文においては、display items(表示物)と総括されます。図表は強力なコミュニケーション・ツールです。クリアで説得力のある図表は、読者の興味を引き付けます。工夫されたグラフは、複雑で大量の情報を効果的に理解させます。査読者や編集者は評価すべき論文全部を読み始める前に図表に目を通すことが多いとされます。display itemsは、レイアウトがすっきりとしていて、フォントも読みやすいことが大切です。グラフにおいては、縦軸・横軸の名前や単位をわかりやすくすることが基本です。論文全体を参照しなくても、その図表を見るだけで理解できるくらい独立していることが望まれます。その重要性はどんなに強調しても強調しきれないほどです。逆に優れた内容の研究であっても、粗末な図表では論文の有効性を損なうことになります。イケメン、美人などといった見た目だけで、性格も素晴らしいに違いない、仕事ができるに違いない、将来も有望だろう、と無意識のうちにポジティブに評価してしまうのが人間です。これを、ハロー効果(halo effect)といいます。仏像の背中には、太陽の光を模した円形の飾り(光背)がついています。これが「ハロー」です。その人の本質ではなく後ろから輝いて見せている光、つまり他の目立つ特徴によって全体を評価してしまう、という人間の社会心理学的現象がハロー効果なのです。説得力があり読者の興味を引き付けるクリアな図表をもつ論文は、信頼できて素晴らしい内容に違いないと期待するのが人間です。皆様が論文を執筆・投稿する際には、ハロー効果を味方にすれば「ナミ・カゼ」が立たずスムースに採択されることでしょう。この一文が「波浪(ハロー)注意報」として皆の役に立てばと願っております。おあとがよろしいようで、チャンチャン!

20569.

乾癬のようにみえて違う難治性皮膚疾患の掌蹠膿疱症

 2018年11月2日、ヤンセンファーマ株式会社は、都内において難治性皮膚疾患である「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、国内に患者が13万人ともいわれる本症の概要、疫学、治療法について説明が行われた。なお、同社では、既存の乾癬治療薬グセルクマブ(商品名:トレムフィア)の掌蹠膿疱症への適応追加につき、厚生労働省薬事・食品衛生審議会に11月8日に報告を行っている。掌蹠膿疱症は乾癬とは区別される慢性皮膚疾患 「掌蹠膿疱症」をテーマに村上 正基氏(愛媛大学大学院医学系研究科分子機能領域 皮膚科学 准教授)を講師に迎え、本症の概要についてレクチャーが行われた。 掌蹠膿疱症は、手掌や足底に生じる無菌性の膿胞を主徴とする慢性皮膚疾患であり、乾癬とは区別され、わが国では1958年よりこの疾患概念で診療が行われている(海外では膿疱性乾癬の限局型と捉えられ、世界的なコンセンサスは現在も得られていない)。 疫学情報として、男性よりもやや女性に多く、男女ともに30~50歳代で好発し、地域差はなく、特徴として女性患者の約9割、患者全体では約8割が喫煙者であるという。全国で約13万人の患者がいると推定されている。 掌蹠膿疱症の原因としては、病巣感染(歯周病、扁桃炎、中耳炎など)、喫煙、TNF-α阻害薬などの誘因が挙げられているが、明確な機序はわかっていない。患者の訴えでは、身体が疲労し、免疫力が落ちている状態のときに発症または悪化するという声も多い。 皮膚病変では、手掌や足底に最初に小水疱が生じ、膿疱に変化する。その後、周囲の皮膚にも紅斑、鱗屑がみられるようになり、紅斑落屑局面が混じった状態になる。周期的に良悪を繰り返し、痒み、ひび割れ、痛みを生じさせる。夏季に悪化することが多く、患者では落屑などから外見への精神的負担が大きいため、社会生活が阻害される例もある。また、足底などに症状が出た場合、歩行が困難となりQOLにも多大な影響を及ぼすケースもある。経過中に肘や膝、足背などに乾癬様皮疹を生じる掌蹠外病変も散見され、爪病変を伴うこともある。そのほか合併症では、胸鎖肋関節痛や甲状腺疾患、糖尿病、IgA腎症を伴うこともある。乾癬と間違いやすい掌蹠膿疱症の診断の手掛かりは多数 掌蹠膿疱症の診断では、視診による手掌や足底の水疱・膿疱の所見確認を行う。ダーモスコープによる診断では、水疱と膿疱が混在し、水疱の中央に小膿疱のあるpseudo-vesicleがみられる。掌蹠膿疱症は一見、乾癬とよく似ているが、皮疹を拡大すると、肉眼的に観察されにくい小膿疱も確認でき、この点で区別できるという。また、臨床検査所見では、特異的な指標となるものはないが、そのため除外診断で役立つ。鑑別疾患では、足白癬、汗疱、膿疱性乾癬などの疾患との鑑別が必要とされる。 掌蹠膿疱症の治療では、発症や悪化因子が明確な場合、根治を目指して病巣感染の治療などを行う。皮疹に対しては、外用薬が基本となる。 外用薬による治療では、手掌や足底の水疱・膿疱へステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬を併用する(軽症では活性型ビタミンD3外用薬単独)。治療中は2~4週に1回はフォローアップし、もし皮膚への刺激感が認容できない場合は中止する。内服薬ではレチノイドが処方されるが、催奇形性があるので処方では注意が必要。また、中波長紫外線療法では、外用薬の効果が限られる場合に行われ、ナローバンドUVBやエキシマを使用し、週1~3回行われる。以上が現在保険適用とされている治療となる。 これら以外にも抗アレルギー薬、抗菌薬、コルヒチン、生物学的製剤などの処方による掌蹠膿疱症の治療もあるが、いずれも保険適用外の治療となる。そのほか、ビオチン療法が提唱されているが、エビデンスがなく推奨はされていない。 入院適応はまれではあるが、合併症の関節症状がQOLに影響している場合、感染病巣として慢性扁桃炎が疑われ、この摘出手術を受ける場合などは入院となる。 最後に同氏は掌蹠膿疱症治療のアルゴリズムを示し、「悪化因子として扁桃炎や歯性病巣は重要。同じく骨・関節症状の有無もきちんと診断し、ケースによってはCTやMRI検査によりVASスコアによる痛みの評価も患者にとっては必要となる。治療ではこの20年近く新しい治療薬が開発されていないこともあり、患者の容態によっては保険適用外と断ったうえで、別の治療薬で苦痛を除くことも必要だ」と語り、レクチャーを終えた。

20570.

ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連性が示唆された

 ベンゾジアゼピンの使用は、メンタルに関連する混乱や遅延を潜在的に引き起こす可能性がある。これらのよく知られているベンゾジアゼピンの副作用は、認知症と診断されるリスクの増加と関連しているといわれている。韓国・成均館大学校のKyung-Rock Park氏らは、ベンゾジアゼピンと認知症との関連について評価を行った。International Journal of Clinical Pharmacy誌オンライン版2018年10月26日号の報告。ベンゾジアゼピン使用が認知症リスク増加と関連しているかを調査 2002~13年の韓国医療データベースよりデータを抽出した。ベンゾジアゼピン使用が認知症リスク増加と関連しているかを調査するため、Sequence symmetry analysis(SSA)を行った。新規のベンゾジアゼピン使用者と新規に認知症と診断された患者(ICD-10:F00~03、G30、G318)を定義した。ベンゾジアゼピンは、作用時間に基づき長時間作用型と短時間作用型の2群に分類した。結果の非因果的解釈の可能性を除外するため、抗うつ薬、オピオイド鎮痛薬、スタチンの使用者を活性比較者とした。関連性を同定するため、時間傾向調整順序比(ASR)と95%信頼区間(CI)を用いた。主要アウトカム指標は、ASRとした。長時間作用型ベンゾジアゼピン使用者は認知症リスクが高い 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピン使用者は、認知症との関連が認められた(ベンゾジアゼピン:4,212対、ASR:2.27、95%CI:2.11~2.44)。・長時間作用型ベンゾジアゼピン使用者(長時間作用型:3,972対、ASR:2.22、95%CI:2.06~2.39)は、短時間作用型ベンゾジアゼピン使用者(短時間作用型:5,213対、ASR:1.88、95%CI:1.77~2.00)よりも、ASRが高かった。・本SSAでは、期間と反応との関連は認められなかった。 著者らは「本研究において、ベンゾジアゼピンと認知症との関連が示唆された。さらに、長時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤使用患者は、同薬剤の短時間作用型使用患者よりも、認知症リスクが高いと考えられる。この疫学的関連性の因果関係を明らかにするためにも、さらなる研究が求められる」としている。

20571.

HFpEF患者への亜硝酸薬吸入、運動能への効果は?/JAMA

 左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者において、4週間にわたる無機亜硝酸塩の吸入投与はプラセボと比較して、運動能の有意な改善に結びつかなかった。米国・メイヨークリニックのBarry A. Borlaug氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年11月6日号で発表された。HFpEF患者に対する効果的な治療法はほとんどない。無機亜硝酸塩や硝酸塩製剤は、一酸化窒素シグナリングを強化することが示されており、HFpEF患者の運動能を改善する可能性が示唆されていた。4週間投与、プラセボ対照の無作為化クロスオーバー試験で検討 研究グループは、HFpEF患者に対する噴霧吸入による無機亜硝酸塩の4週間投与について、運動能改善への効果を調べるため、多施設共同二重盲検プラセボ対照試験を行った。検討は、HFpEF患者を2治療群に割り付け6週間の介入をクロスオーバーにて行い評価した。被験者の登録は、全米17施設で2016年7月22日~2017年9月12日に行われた。フォローアップ最終日は2018年1月2日。 無機亜硝酸塩またはプラセボの投与には、マイクロネブライザデバイス(I-neb AADネブライザ[Philips製])が用いられた。6週間の介入において、2週間は試験薬を投与せず(ベースライン/ウォッシュアウト期間)、その後に試験薬(亜硝酸塩またはプラセボ)46mg×3回/日を1週間、80mg×3回/日を3週間投与した。 主要評価項目は、最大酸素消費量(mL/kg/分)。副次評価項目は、日常生活活動量(加速度測定法で評価)、健康状態(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaireで評価[スコア範囲:0~100、高スコアほどQOLが良好])、機能分類、心充満圧(心エコーで評価)、NT-proBNP値、その他の運動指標、有害事象、忍容性などであった。平均最大酸素消費量、介入群13.5 vs.プラセボ群13.7mL/kg/分 105例(年齢中央値68歳、女性56%)が無作為化を受け、98例(93%)が試験を完了した。 亜硝酸塩投与中の平均最大酸素消費量は、プラセボ投与中の同値と比べて有意な差はなかった(13.5 vs.13.7mL/kg/分、群間差:-0.20[95%信頼区間[CI]:-0.56~0.16]、p=0.27)。また、日常生活活動量(5,497 vs.5,503、群間差:-15[95%CI:-264~234]、p=0.91)、健康スコア(62.6 vs.61.9、群間差:1.1[95%CI:-1.4~3.5]、p=0.39)、機能分類(2.5 vs.2.5、群間差:0.1[95%CI:-0.1~0.2]、p=0.43)、心エコーE/e′比(16.4 vs.16.6、群間差:0.1[95%CI:-1.2~1.3]、p=0.93)、NT-proBNP値(520 vs.533pg/mL、群間差:11[95%CI:-53~75]、p=0.74)は、いずれも有意な差はなかった。 心不全増悪は、亜硝酸塩投与中に3例(2.9%)、プラセボ投与中に8例(7.6%)で認められた。

20572.

capmatinib、MET変異NSCLCに良好な結果(GEOMETRY mono-1)/ESMO2018

 METエクソン14スキッピング変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の約3〜4%に同定される。この変異はドライバー遺伝子と考えられている。また、深刻な予後不良因子であり、標準治療にも免疫治療にも奏効しにくい。MET阻害薬capmatinib(INC280)は、MET受容体に高い親和性を持つTKIで、最も強力なMETエクソン14スキッピング阻害薬であり、単独およびEGFR-TKIとの併用でMET変異NSCLCに対し、有効性と管理可能な安全性プロファイルを示している。GEOMETRY mono-1は、EGFR野生型、ALK融合遺伝子陰性、MET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異を有する成人NSCLC患者におけるcapmatinib単剤の有効性および安全性を評価する多施設共同非盲検第II相試験。MET増幅患者とMETエクソン14スキッピング変異に分けて解析される。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、METエクソン14スキッピング変異患者の解析結果が、治療歴のある患者群(コホート4)と、未治療の患者群(5B)に分けて発表された。・対象[コホート4]1~2ラインの治療歴を有するMETエクソン14スキッピング変異のあるStageIIIB/IVのNSCLC[コホート5B]治療歴のないMETエクソン14スキッピング変異NSCLCのあるStageIIIB/IVのNSCLC・介入:capmatinib(400mg×2/日)・評価項目[主要評価項目]盲検下独立判定委員会(BIRC)評価による全奏効率(ORR)[副次評価項目]BIRCによる奏効期間(DOR)など。 主な結果は以下のとおり。・コホート4は69例、コホート5Bは28例であった。・有効性は94例(コホート4は69例、コホート5Bは25例)、安全性は302例で評価された。・BIRC評価のORRは、コホート5Bで72.0%(50.6~87.9)、コホート4では39.1%(27.6~51.6)であった。・病勢コントロール率は、コホート5Bで96.0%、コホート4では78.3%であった。・解析時点でのDORは未到達であった。・capmatinibの有害事象の発現率は、全Gradeで83.8%、Grade3/4は33.1%であった。主なものは、末梢浮腫、悪心、嘔吐、および血中クレアチニン値の上昇であった。

20573.

低用量メトトレキサートは冠動脈疾患例のMACEを抑制せず:CIRT/AHA

 LDLコレステロール(LDL-C)を低下させることなくアテローム性動脈硬化性イベントを抑制したCANTOS試験は、心血管系(CV)イベント抑制における抗炎症療法の重要性を強く示唆した。メトトレキサート(MTX)も、機序は必ずしも明らかでないが抗炎症作用が知られている。また関節リウマチ例を対象とした観察研究や非ランダム化試験では、低用量MTXによるCVイベント抑制作用が報告されている。ではMTXも、アテローム性動脈硬化性イベントを減少させるだろうか? ランダム化試験"CIRT"の結果、その可能性は否定された。米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、11月10日、CANTOS試験の報告者でもある米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul Ridker氏が報告した。対象は炎症亢進例に限定せず CIRT試験の対象は、スタチンやレニン・アンジオテンシン系阻害薬などの標準的治療下にあった、安定冠動脈疾患4,786例である。平均年齢は66歳、20%弱が女性だった。61%が心筋梗塞既往例で、残りは糖尿病/メタボリックシンドローム合併多枝病変1次予防例である。CANTOS試験とは異なり、「高感度C反応性蛋白(hs-CRP)高値」は導入条件となっていない。 これら4,786例は全例が葉酸1mg/日を服用の上、低用量(15~20mg/週)MTX群(2,391例)とプラセボ群(2,395例)にランダム化され、二重盲検法で追跡された(早期中止)。MTXの用量は、臨床検査値と症状に基づいて、詳細なアルゴリズムに従い、必要があれば2ヵ月ごとに変更された。1次エンドポイントはプラセボと有意差なし、皮膚がんは有意増加 その結果、2.3年間(中央値)の追跡期間後、当初の1次エンドポイントであるMACE(心血管系[CV]死亡・心筋梗塞・脳卒中)のリスクは両群間に有意差を認めなかった(MTX群:3.46%/年、プラセボ群:3.43%/年、p=0.91)。盲検解除前に追加されたもう1つの1次エンドポイント「MACE・緊急血行再建が必要となる不安定狭心症」でも、同様だった(MTX群:4.13%/年、プラセボ群:4.31%/年、p=0.91)。 一方、肝機能異常、白血球減少症の発現はMTX群で有意に多く、基底細胞がん以外の皮膚がんが有意に増えていた(33例 vs.12例、p=0.0026)。炎症性サイトカインも減少せず Ridker氏が強調したのは、炎症性サイトカインの変化が、CANTOS試験と異なっていた点である。すなわち、インターロイキン-1β(IL-1β)抗体を用いたCANTOSではIL-1βはもとより、IL-6、hs-CRPも減少していたが、CIRTではいずれのマーカーの低下も認めなかった。このためCVイベント抑制には、IL-1βからCRP産生に至る経路の遮断が重要と考えられた。Ridker氏は、NLRP3インフラマソームやIL-6をターゲットにした治療による、CVイベント抑制の可能性を指摘した。 本試験は米国NHLBIからの資金提供を受けて行われた。また発表と同時に、NEJM誌にオンライン掲載された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「速報!AHA2018」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。■関連記事メトトレキサート、重症円形脱毛症に有効

20574.

高用量鉄剤静注は貧血改善や赤血球造血刺激因子製剤(ESA)節減には良いが…(解説:浦 信行 氏)-955

 血液透析患者において、鉄剤静注は経口鉄剤投与に比較して貧血改善やESA節減には良いとする報告は、システマティックレビューではあるが2013年のBMJに報告されている。また、5万8,058例を対象とした観察研究において、高用量鉄剤静注群では低用量静注群に比較して投与量が400mg/月を超えると死亡や心血管リスクは上昇するが、それ以下では用量依存性にそれらのリスクを減らすとの2005年のAm J Soc Nephrolの報告もある。今回の研究はそれらと軌を一にする結果であり、前向き研究で高用量群と対照の低用量群との比較で示したことに大きな意義はあり、注目に値する。 しかし、投与量が200mg/月を超えるとリスクが上昇するとの報告や、わが国の研究においては50mg/週を超えると心血管リスクが上昇し、感染症のリスクも上昇すると報告されている。前掲のレビューでも感染症のリスクは有意に上昇したと報告されている。本研究では両群の感染症のリスクに差がなかったと報告している。また、低用量群での平均血清フェリチン量は150~200mg/mLであり、確かにわが国の2015年の日本透析医学会のガイドラインでの上限の300mg/mLを超えてはいない。それまでの報告ではこの上限を超えると感染症や心血管リスクの増大、そして肝臓への重篤な鉄沈着の可能性が報告されていた。 今回は感染症だけでなく心血管疾患発症のリスクの上昇もないと報告されているが、いくつかの懸念は残る。まず、これらを評価するのに2,141例の2.1年の試験で十分であるか、次に、両群いずれも心血管疾患発症と死亡の複合エンドポイントが30%を超えており、比較的多発している対象であること、加えて筆者らも限界としているが、英国1国だけの研究であることなどが挙げられる。 基礎疾患や病態の背景、人種や環境要因の差などを考えると、わが国の貧血治療にすぐに当てはめるのは早計と思われ、わが国での同様の検討が必要と考える。

20575.

第7回 心房細動の“心拍数”どう議論する?【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第7回:心房細動の“心拍数”どう議論する?「心房細動(AF)」の診断法については第4回で扱いました。その大きな特徴の1つが“絶対性不整脈”で、ランダムなタイミングでQRS波が出現することでしたね。今回は、AF時の心拍数の考え方についてレクチャーします。症例提示69歳、女性。高血圧にて内服中。数日前から感冒症状とともに不定期の動悸を自覚。朝食後に胸部不快感が出現し夕方まで安静にしていたが、治まらないため救急受診した。体温37.2℃、血圧171/120mmHg、脈拍130/分、酸素飽和度99%。来院時の心電図を以下に示す(図1)。(図1)来院時心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として正しいものを2つ選べ。1)洞(性)頻脈2)心房粗細動3)左軸偏位4)完全右脚ブロック5)左室高電位(差)解答はこちら2)、3)解説はこちら1)×:“イチニエフ法”を思い出しましょう。“洞”には「洞調律です」との意味が込められていますが、図1にはその“証”がありませんね。2)○:R-R不整・頻脈・細動波(f波)の3徴候が合致するので、自信を持ってAFと診断しましょう。3)○:心電図の読み型、“クルッと”の“ル”はR波(スパイク)・チェックです。QRS波の「向き」を見ると、I誘導はOK(上向き)ですが、II・aVF誘導が下向きなので「左軸偏位」です。4)×:「脚ブロック」はQRS「幅」がワイドな時に考えますが、今回は正常幅(狭い:narrow)なので不適です。5)×:QRS波の「高さ」はどうでしょう。“高すぎ”(左室高電位)ではありません。「R波高がV5またはV6誘導>26mm」や「V1誘導のS波(深さ)+V5誘導のR波(高さ)>35mm」などが代表的な基準ですが、V4~V6誘導でR波が1つ上の誘導まで伸びて重なっている“密集感”をチェックすることが、ボクは大切だと思っています。まずは、お決まりの心電図の系統的チェック(第1回参照)。R-R間隔は不整。次に心拍数を見ようと思うと、QRS波があまりにバラついていて、どこのR-R間隔で見ていいのか悩みます。自動診断をチラ見すると「心拍数:144/分」となっているので、頻脈(拍)なのでしょう。R-R間隔の不整に加えて、洞性P波の見る影もない時、ボクのオススメはV1誘導でしたね(図2)。(図2)V1誘導のみ抽出画像を拡大するここからはAFの診断法の復習です(第4回参照)。1つ1つ、“心電図の読み型”に照らし合わせながら確認していきます。AFの特徴は“レーサー・チェック”のみで診断できる不整脈で、細動波(f波)がV1誘導で最も見つけやすいこと。実際、図2でもQRS波の合間の至るところにグチャグチャなf波が確認できるので間違いありません。なお、このf波、比較的まとまって振幅の大きい波に見えるため、人によっては「心房粗動」を連想することも。でも、f波同士は完全に等間隔ではなく、II、IIIなど他の誘導では“カオス(chaotic)”な小波なので、問題の選択肢2)のように「心房粗細動」という表現がベターでしょう。“粗”が一文字入るだけで、心房粗動の雰囲気が漂いますでしょ?AFと関係なくとも、QRS波などの残りのチェックをDr.ヒロ謹製の語呂合わせに沿ってコンプリートしましょう。これがとても大事です。「(異常)Q波」はaVL誘導を指摘。R波の「向き」は解説内の通り、左軸偏位で「高さ」と「幅」は問題ありません。続けて「ST偏位」はなし、f波の影響でわかりにくいですが、「T波異常」もなしでいいでしょう。最後の“バランス・チェック”では、P波がなくてR-R間隔も不整なので、スルーでOK。QT間隔が少ーし長いかな、程度で許して下さい。これは頻脈による影響が強いと思います。ということで、心房粗細動と判断できたので、いよいよ今回の本題をどうぞ。【問題2】心電図(図1)の心拍数について述べよ。解答はこちら心拍数は約140/分・速い心室応答を伴う心房細動(頻脈性心房細動)解説はこちらR-R間隔が整の場合の「心拍数の求め方」は、以前に3つの方法をご紹介しました(第3回参照)。AFではR-R間隔が不整ですから、心拍数を自分で求めようと思ったら、基本的には“検脈法”しかありません。QRS波が左の肢誘導に11個、右の胸部誘導では13個あるので、1分(60秒)に換算して144/分(24✕6)となります。さて、残るはこの暫定的な心拍数をどう述べるか、それが今回のキモなわけです。心房細動は“ランダム”なのに、たった10秒間から推定したこの値自体に意味があるのでしょうか…?『いやいや、もともと“絶対性不整脈”というアダ名のある不整脈なんだから、1秒先、いや1拍先の状況だって読めません。それなのに1分間の心拍回数を特定の値で表現することなんて無意味でしょ』…そんな風に言っちゃうアナタのご意見も正論です。AFな時の心拍数は、異常なペースの心房興奮の一部が房室結節を通して心室に伝わることで決まります。これを心房からの“入力”に対する心室側の“応答”ととらえ、心室応答(ventricular response[VR])と呼びます。『シ、シンシツオートー?ひゃー難しそうー(泣)』…なんて敬遠しないで。AFの場合、次の表のような3区分の心室応答で心拍数を表現することが多いです。区切りの値としては洞調律の時と同じですよね。(表)画像を拡大するというわけで、以上から導かれる結論は「心拍数140/分程度の速い心室応答を伴った心房細動」。これが今回の正解です。“頻脈性心房細動”というシンプルな言い方もありますが、50~99/分の時も心房細動の心拍数にコメントする意味では「心室応答」の方が汎用性のある言い方になります。今回の症例はどうでしたでしょう? AFは文字通り“不整”脈、頻脈性不整脈の代表選手で、動悸を感じて病院を受診するというのが典型的なストーリーです。今回登場した患者さん曰く、『こんなに動悸が長く続いたのは初めて』とのことだったので、1泊の短期入院をしてもらいました。数時間ほど経過を見ていると、AFは自然停止して症状も消えました。よって、この方の動悸は「発作性心房細動」による可能性が高い、と考えれば良いでしょう。洞調律となった心電図(図3)を見て下さい。(図3)頻拍停止時の心電図洞調律(84/分)、左軸偏位、左房拡大の所見あり画像を拡大するもちろんQRS波形は変わりませんが、新たに登場したP波はどうしょうか?“ピッタリ”のP波を思い出して…“2コブ”で幅広いP波(II、V5など)、V1誘導で後半の陰性部分が深掘れですから「左房拡大」を指摘できます。左房圧が高くて肺静脈に“プレッシャー”がかかってそうだなぁ。AFを起こして不思議じゃない、まさにそんな心電図ですよね。Take-home Message1)心房細動の心拍数は“検脈法”で求めよう2)暫定値を使って「心室応答」の様子を語れたら完璧!【古都のこと~等持院その2~】前回に続き等持院。庫裏(くり)から入るや否や、達磨図に遭遇します。関牧翁の手に成る、天龍寺派らしいシンボルです。住職曰く、「“自分を映す鏡”。御姿は見るたびに異なり、一日たりとも同じ表情と感じることはない」とのこと。人は自分自身を見つめ直すために寺を訪れるそうで、ボクも禅宗の考えに何かが刺激されたのか、帰り際に見た達磨がわずかに微笑んでいるような気がしました。

20576.

第14回 残薬問題は「なぜ」から始めよ【週刊・川添ラヂオ】

動画解説残薬に対する施策が各所で行われていますが、川添先生が思う薬剤師としてまずやるべきことは、患者さんがなぜ飲めないのかという原因を考えること。薬が飲めない理由は一人ひとり違い、理由がわからなければ、対策を打つことはできません。今回は残薬の原因となる3つの因子についてお話しします。

20577.

スタチンにアリロクマブ追加で、ACS症例のイベント抑制/NEJM

 抗PCSK9モノクローナル抗体アリロクマブは、急性冠症候群(ACS)の既往歴を有し、高用量スタチン治療を行ってもアテローム生成性リポ蛋白の値が高い患者において、虚血性心血管イベントの再発リスクを有意に低減することが、米国・コロラド大学のGregory G. Schwartz氏らが行ったODYSSEY OUTCOMES試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年11月7日号に掲載された。ACS患者は、現行のエビデンスに基づく治療を行っても虚血性心血管イベントの再発リスクが高い。これまで、PCSK9抗体がACS発症後の心血管リスクを改善するかは不明とされていた。LDL-C 25~50mg/dLを目標とする用量調節戦略を検討 ODYSSEY OUTCOMESは、57ヵ国1,315施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験。2012年11月~2015年11月(中国のみ2016年5月~2017年2月)の期間に無作為割り付けが行われた(SanofiとRegeneron Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢40歳以上、無作為割り付け前の1~12ヵ月の期間にACS(心筋梗塞または不安定狭心症)で入院し、LDLコレステロール値70mg/dL以上、non-HDLコレステロール値100mg/dL以上、アポリポ蛋白B値80mg/dL以上のいずれかを満たし、高用量スタチン(アトルバスタチン40~80mg、ロスバスタチン20~40mg)またはこれらのスタチンの最大耐用量の投与を受けている患者であった。 被験者は、アリロクマブ75mgまたはプラセボを2週ごとに皮下投与する群にランダムに割り付けられた。アリロクマブの用量は、LDLコレステロール値25~50mg/dLを目標に、盲検下で調節された。 主要エンドポイントは、冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞、致死的または非致死的虚血性脳卒中、入院を要する不安定狭心症の複合であった。ベネフィットはLDL-C値100mg/dL以上の患者でより顕著 1万8,924例が登録され、アリロクマブ群に9,462例(平均年齢:58.5±9.3歳、女性:25.3%)、プラセボ群にも9,462例(58.6±9.4歳、25.1%)が割り付けられた。全体のACS患者のうち、心筋梗塞が83.0%、不安定狭心症が16.8%であった。患者の92.1%がLDLコレステロール70mg/dL以上であり、non-HDLコレステロール100mg/dL以上のみを満たした患者は7.2%だった。フォローアップ期間中央値は2.8年。 ベースライン時の全体の平均LDLコレステロール値は92±31mg/dLであった。アリロクマブ群の平均LDLコレステロール値は、4ヵ月後には40mg/dLに低下し、12ヵ月後は48mg/dL、48ヵ月後は66mg/dLであった。これに対し、プラセボ群の平均LDLコレステロール値の推移は、それぞれ93、96、103mg/dLであった。 主要複合エンドポイントのイベント発生率は、アリロクマブ群が9.5%(903例)と、プラセボ群の11.1%(1,052例)に比べ有意に低く、推定4年発生率はそれぞれ12.5%および14.5%であった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.78~0.93、p<0.001)。4年間に、主要エンドポイントのイベントを1件予防するのに要する治療必要数は49例だった。 主な副次エンドポイントのうち、冠動脈性心疾患イベント(冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞、入院を要する不安定狭心症、虚血による冠動脈血行再建術)(12.7 vs.14.3%、HR:0.88、p=0.001)、主要冠動脈性心疾患イベント(冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞)(8.4 vs.9.5%、0.88、p=0.006)、心血管イベント(冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞、入院を要する不安定狭心症、虚血による冠動脈血行再建術、非致死的虚血性脳卒中)(13.7 vs.15.6%、0.87、p<0.001)、全死因死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的虚血性脳卒中の複合(10.3 vs.11.9%、0.86、p<0.001)の発生率は、アリロクマブ群で有意に良好であった。 また、複合主要エンドポイントに関するアリロクマブの絶対ベネフィットは、ベースラインのLDLコレステロール値100mg/dL以上の患者が、100mg/dL未満の患者よりも大きかった(交互作用検定のp<0.001)。アリロクマブ群の3.5%(334例)、プラセボ群の4.1%(392例)が死亡した(HR:0.85、95%CI:0.73~0.98)。 有害事象および検査値異常の発生率は、アリロクマブ群で局所の注射部位反応(そう痒、発赤、腫脹)(3.8 vs.2.1%、p<0.001)が有意に高頻度であったが、これ以外は両群でほぼ同等であった。重篤な有害事象はアリロクマブ群が23.3%、プラセボ群は24.9%に認められた。 著者は、「盲検下の用量調節戦略が、安全性や有効性に影響を及ぼしたかは不明である」としている。

20578.

高血圧・喫煙・糖尿病は、男性以上に女性の心筋梗塞リスクを増加/BMJ

 心筋梗塞の発生率は、男性が女性の約3倍だが、心筋梗塞とそのリスク因子である高血圧、喫煙、糖尿病との関連は女性のほうが強いことが、英国・オックスフォード大学のElizabeth R C Millett氏らの調査で明らかとなった。さらに、心筋梗塞とリスク因子の関連の強さは、男女とも加齢とともに減弱するものの、女性における過剰なリスクは相対的に低下しないことも示された。研究の成果は、BMJ誌2018年11月7日号に掲載された。心筋梗塞の発生率は、若年時には女性が男性よりも低いが、加齢に伴いその差は小さくなる。以前のメタ解析において、心筋梗塞といくつかのリスク因子の関連に性差があることが示されているが、解析に含まれた試験には交絡因子調整の水準にばらつきがあり、年齢層別の性差の検討を行っていない試験も含まれたという。英国の心血管疾患の既往のない47万人の前向きコホート研究 研究グループは、心筋梗塞のリスク因子の性差について調査し、年齢別の変動を評価する目的で、人口ベースの前向きコホート研究を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成による)。 UK Biobank(2006~10年に、英国の22施設から40~69歳の50万2,628例を前向きに登録)の参加者から、心血管疾患の病歴のない47万1,998例(平均年齢:56.2歳、女性:56%)のデータを収集した。 主要評価項目は、致死的または非致死的心筋梗塞の発症とし、心筋梗塞の6つのリスク因子(血圧、喫煙状況、糖尿病、BMI、心房細動、社会経済的地位)の評価を行った。同じ20本の喫煙でもリスクは2倍、治療・予防策へのアクセスは男女同じに 平均フォローアップ期間7年の間に、5,081例(女性は1,463例[28.8%])が心筋梗塞を発症した。1万人年当たりの発生率は、女性が7.76(95%信頼区間[CI]:7.37~8.16)と、男性の24.35(23.57~25.16)に比べて低かった。心筋梗塞の発生率は、1型糖尿病を除くその他すべての因子について、女性よりも男性のほうが高かった。 男女ともに、血圧、喫煙強度、BMIの上昇および糖尿病の存在が、心筋梗塞のリスク増加と関連したが、これらの関連の強さは加齢に伴い減弱した。 女性は男性に比べ、収縮期血圧の20mmHg上昇(男女のハザード比[HR]の比:1.09、95%CI:1.02~1.16)、血圧120~129/<80mmHg(1.83、1.33~2.52)、現喫煙(1.55、1.32~1.83)、20本以上/日の喫煙(2.01、1.57~2.57)、1型糖尿病(2.91、1.56~5.45)、2型糖尿病(1.47、1.16~1.87)が、心筋梗塞の発症と、より強く関連した。これらのHRの比はいずれも、年齢の上昇とともに低下するとのエビデンスは認められなかった(p>0.2)。 著者は、「人口の高齢化が進み、生活様式に関連するリスク因子の有病率が上昇するにしたがって、女性の心筋梗塞の発生率は、男性の発生率に近づく可能性が高いだろう」と指摘し、「糖尿病および高血圧のガイドラインに基づく治療と、減量および禁煙を支援するリソースには、中高年の男女とも同じようにアクセスできるようにすべきである」としている。

20579.

統合失調症に関する10年間の調査~実臨床のためのレビューとレコメンド

 フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のF. Schurhoff氏らは、統合失調症専門家のための学術研究センター(FondaMental Academic Center of Expertise for Schizophrenia:FACE-SZ)グループによる最初の10年間のコホート研究について報告を行った。L'Encephale誌オンライン版2018年10月13日号の報告。 FACE-SZでは、700以上のコミュニティで安定している患者を募集し、現在まで評価を行っている。対象者は、平均年齢32歳、男性の割合75%、平均罹病期間11年、平均発症年齢21歳、統合失調症の平均未治療期間1.5年、喫煙者55%であった。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームの有病率は、一般集団と比較し2倍であり、正しい評価や治療が行われていなかった。・ベンゾジアゼピン使用患者および慢性低悪性度末梢炎症患者において、認知機能低下が認められた。・うつ病の合併は、対象患者の約20%で認められた。・うつ病は、QOL低下や統合失調症の喫煙者におけるニコチン依存症の増加と関連が認められた。・うつ病および陰性症状の改善は、統合失調症患者のQOL改善のための最も効果的な治療戦略であると考えられる。・大麻使用患者および発症年齢が19歳未満の患者では、統合失調症の未治療期間が長くなる傾向が認められた。・治療開始後、主観的にネガティブの印象を報告した患者では、錐体外路症状や体重増加などの客観的な副作用とは無関係に、治療に対するアドヒアランスが低下した。・アカシジアは、統合失調症の18%で認められ、これは抗精神病薬の多剤併用と関連が認められた。 結果を踏まえ、臨床ケアを行う際の、著者らのレコメンドは以下のとおりである。・統合失調症の早期診断は、青年および大麻使用者でとくに強化すべきである。・すべての患者において、治療開始時および安定後に総合的な神経心理学的評価を行わなければならない。・代謝パラメータや生活習慣(食生活や身体活動)の改善を強化すべきである。・ベンゾジアゼピンおよび抗精神病薬の多剤併用については、ベネフィット/リスク比を定期的に再評価し、できるだけ早い段階で是正すべきである。・うつ病の改善は、統合失調症のQOLを大幅に改善する可能性があるため、うつ病の診断、治療を行うべきである。・認知リハビリテーション療法や抗炎症戦略は、より治療戦略に組み込むべきである。■関連記事統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬治療中止に関する20年間のフォローアップ研究統合失調症患者の強制入院と再入院リスクとの関連~7年間のレトロスペクティブコホート研究

20580.

MI後標準治療下でのhsCRP高値例、IL-1β抗体で心不全入院減少の可能性:CANTOS探索的解析/AHA

 慢性心不全例における、炎症性サイトカインの増加を報告する研究は少なくない。しかし、心不全例に対する抗炎症療法の有用性を検討したランダム化試験“ATTACH”と“RENEWAL”は、いずれも有用性を示せずに終わった。そこで、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrendan M. Everett氏らが、心筋梗塞(MI)後、非心不全例を含む高hsCRP例への抗炎症療法の心不全入院作用を検討すべく、ランダム化試験“CANTOS”の探索的解析(事前設定解析)を行った。その結果 、インターロイキン(IL)-1β抗体による用量依存性の心不全入院減少の可能性が示唆された。11月11日、米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会のRapid Fireセッションにおいて報告された。MI後標準治療下でhsCRP高値例が対象 CANTOS試験の対象となったのは、MI後、スタチンを含む積極的2次予防療法にもかかわらず、hsCRPが「≧2mg/L」だった1万61例である。平均年齢は61歳、約8割がレニン・アンジオテンシン系抑制薬を服用しており、およそ2割はすでに慢性心不全と診断されていた。 これら1万61例は、IL-1β抗体であるカナキヌマブ(50mg、150mg、300mg皮下注/3ヵ月)群とプラセボ群にランダム化され、二重盲検法で追跡された。hsCRP著明低下例では心不全入院リスク有意低下 3.7年間(中央値)の追跡期間中、385例(3.8%)が心不全で入院した。うち、約60%は試験開始時に心不全を認めた例だった。 プラセボ群と比較したカナキヌマブ群の「心不全入院」ハザード比[HR]は、50mgで1.04(95%信頼区間[CI]:0.79~1.36)、150mg群で0.86(95%CI:0.65~1.13)、300mgで0.76(95%CI:0.57~1.01)となり、有意な用量依存性の減少傾向を認めた(傾向のp=0.025)。「心不全死・心不全入院」で比較しても、同様の用量依存性が認められた(傾向のp=0.042)。 さらにカナキヌマブ群を全用量併合すると、「到達hsCRP<2mg/L」例では、プラセボに比べ心不全入院リスクの有意な低下が観察された(HR:0.80、95%CI:0.70~0.91)。「hsCRP50%以上低下」例でも同様だった(HR:0.86、95%CI:0.77~0.97)。 本試験はNovartisの資金提供を受けて行われた。また発表と同時に、Circulation誌オンライン版で公開された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「速報!AHA2018」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

検索結果 合計:36088件 表示位置:20561 - 20580