サイト内検索|page:1012

検索結果 合計:36559件 表示位置:20221 - 20240

20221.

アトピー性皮膚炎児の母、11年間睡眠不足

 アトピー性皮膚炎(AD)児の両親に睡眠障害が多いことは、これまでの小規模な診療所ベースのデータから示唆されていたが、長期にわたる集団ベース研究はほとんどなかった。先日、本サイトで紹介した、ADと睡眠の質に関するエビデンス報告を行った研究グループ (米国・カリフォルニア大学のFaustine D. Ramirez氏ら)が、AD児の母親の睡眠障害に関する解析報告を発表。その結果、AD児の母親は11年間ずっと入眠困難、睡眠不足、日中の疲労を訴えていることが示された。ただし、児の睡眠障害が母親の睡眠を妨害しているかどうかの詳細な関連性は不明であった。著者は「子どもの幸福と発達には、両親の身体的・精神的健全さの影響を強く受ける。さらなる研究で、どのような機序により睡眠障害が生じているのかを明らかにしなければならない」と述べ、「AD児のケアにおいて、医師は母親の睡眠障害や介護者の疲労についても考慮する必要がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2019年3月20日号掲載の報告。 研究グループは、英国の出生コホートを用いた縦断研究からAD児と非AD児それぞれの母親の長期にわたる睡眠障害を比較。これらの障害が、児の疾患重症度や睡眠障害と関連しているかを調査した。英国・エイボン州に在住で、1991年4月1日~1992年12月31日に出産が予定されていた全妊婦を対象とした、現在進行中のコホート研究「Avon Longitudinal Study of Parents and Children」のデータを用いて解析した。 本コホート研究の2次解析である本解析は、2017年9月~2018年9月に行われた。母と児のペアに対し、児が生後6ヵ月~11歳までフォローアップを行い、児のADの活動性や重症度の経時的変化を測定した。母親には、複数時点で繰り返し睡眠評価について自己申告してもらい、その結果を測定した。 主要評価項目は、母親の一晩の睡眠時間(6時間未満vs.6時間以上)、入眠困難、早朝早期覚醒、睡眠不足、日中の疲労についての経時的変化とした。 主な結果は以下のとおり。・1万3,988組の母と児が、児の誕生から中央値11年間(四分位範囲:7~11)のフォローアップを受けた。・母親の年齢は82.9%(1万1,585/1万3,972例)が21~34歳、人種は97.4%(1万2,001/1万2,324例)が白人であった。児の性別は51.7%(7,220/1万3,978例)が男児であった。・AD児の母親と非AD児の母親間で、睡眠時間(補正後オッズ比[AOR]:1.09、95%信頼区間[CI]:0.90~1.32)、早朝早期覚醒(同:1.16、95%CI:0.93~1.46)は、類似していた。・対照的に、AD児の母親は、児に喘息および/またはアレルギー性鼻炎が併存しているか否かにかかわらず、入眠困難(同:1.36、95%CI:1.01~1.83)、睡眠不足(同:1.43、95%CI:1.24~1.66)、日中の疲労(同:1.41、95%CI:1.12~1.78)の報告が多い傾向がみられた。・すべての評価について、児のAD重症度が高いほど母親の睡眠アウトカムは不良であった。関連の大きさおよび有意性は、児の睡眠障害について補正後も大部分は変わらなかった。

20222.

日本において将来の認知症ケアに対し不安を感じている人の特徴

 認知症にやさしい地域社会を目指すことは、世界的な目標ではある。しかし、認知症の地域住民は、いまだ対処されていない認知症関連ケアのニーズを抱えている。東京都健康長寿医療センター研究所の岡村 毅氏らは、将来必要となった際に適切な認知症ケアを受けられない可能性について不安を感じている人の特徴を調査した。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年3月18日号の報告。 東京都の1地域に在住する65歳以上のすべての住民13万2,005人に対し、郵送によるアンケート調査を実施した。アンケートは、適切な認知症ケアを受けられない可能性についての不安を測定する項目ならびに、社会人口統計、抑うつ症状、フレイル、在宅状況、社会経済的状況、社会的サポート、開業医(GP)へのアクセス、認知症ケアの経験に関する項目を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・不安を測定する項目に回答した7万4,171人中、将来必要となった際、適切な認知症ケアを受けられない可能性について不安を感じている人は、5万8,481人(78.8%)であった。・強制投入法(simultaneous)多重ロジスティック回帰分析では、不安との関連が予想される要因は以下のとおりであった。 ●うつ症状 ●フレイルまたはその予備群 ●女性 ●現在、社会経済的に不利な状況ではない ●気分がすぐれないときに、病院へ連れていける人がいない ●より若い(65~74歳) ●既婚 ●隣人を信頼していない ●高等教育レベル(9年超) ●困っているときに相談できる人がいない ●働いていない ●小児期に社会経済的に不利な状況を経験 ●隣人とは、あいさつを交わす程度の関係 ●認知症ケアの経験がない・GPへのアクセス、独居、外出が1回/週以下では、関連性は認められなかった。 著者らは「これらの不安を軽減するための介入に関して、さらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事世界で最も高齢化している日本における認知症の推定コストたった2つの質問で認知症ルールアウトが可能レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析

20223.

もう見過ごせない小児虐待

 昨年における児童虐待事件は、過去最多の1,380件が警察により摘発され、被害児童は1,394人だった。そのうち36人が亡くなっており、痛ましい事件は後を絶たない。 2019年3月都内にて、加茂 登志子氏(若松町こころとひふのクリニック メンタルケア科 PCIT研修センター長)が、「虐待について」をテーマに講演を行った。専門医でなくとも、診療を受けている患者が虐待やDVなどの問題を抱えている可能性があるかもしれない。虐待は年々増えている 児童虐待件数は、1990年に統計が開始されて以降、年々増加の一途をたどっている。2017年度中に、全国210ヵ所の児童相談所が対応した件数は13万3,778件(速報値)と過去最多であった。警察の積極的介入などにより発覚件数が増えているとも考えられるが、「おそらく、全体の件数も増えているだろう」と加茂氏は見解を示した。 虐待による死亡数は0歳児が最も多く、2003~2016年度の集計では3歳児以下が77.0%を占めている。同氏は「産後うつをイメージするとわかりやすい。母子心中が日本人では多い」と指摘した。しかし、0~17歳まで、全年齢で死亡事例があり、問題はそれだけではないという。 2017年度の報告によると、児童相談所に寄せられる相談のなかで1番多いのは心理的虐待(54.0%)だ。次いで、身体的虐待(24.8%)、ネグレクト(20.0%)、性的虐待(1.2%)と続く。両親間のDV目撃(面前DV)なども心理的虐待に含まれ、DVと虐待が併存する例も少なくない。「大きく報道されるのは亡くなった事例だが、生きていて虐待やDVを受けている事例はニュースにならない。辛い思いをしている子供はたくさんいる」と、関心を呼び起こした。適切な対応で将来的な虐待を減らす 虐待・DV被害を受けた子供の診断例(DSM-5)として、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」、誰に対しても愛着を示さない「反応性愛着障害」、誰にでも見境なく愛着行動を示す「脱抑制型対人交流障害」などがある。また、ICD-11においてPTSDは従来のものだけでなく“複雑性”が採用される見込みで、DVや虐待などによる長期反復型のトラウマは「複雑性PTSD」の症状を呈する可能性が高い。 治療は、国際的にEBP(evidence-based practice)の導入が主流であり、トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)、家族のための代替案:認知行動療法(AF-CBT)、親子相互交流療法(PCIT)などが行われている。 被害児童にとって1番重要なことは“被害の場から離れる”ことで、さらに、安全・安心・安眠の確保と、安定した養育環境が必須だという。回復と成長には非専門家による心身のケアが必要であり、適切な対応は、虐待の世代間連鎖をブロックし、将来的な虐待の予防につながるため、社会的なサポートの充実が求められる。普段の診療時、疑わしい患者を見過ごさないこと 米国で行われた逆境的児童期体験(ACE)研究によると、18歳までに受けた虐待などの逆境体験は、精神疾患ばかりでなく、知的発達や学習能力へも影響し、体験数に比例して慢性身体疾患のリスクを高めることが明らかになっている。 同氏は「専門医でなくても、虐待やDVに関与する患者を診る機会は意外とあると思う。とくに、はっきりとした理由なく向精神薬を繰り返しもらいに来る女性患者には注意が必要。こちらから聞くと、答えてくれることもある。そういう人たちを見過ごさないようにすることも大切」と語った。

20224.

「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」発表/日本循環器学会

 「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」が、2019年3月29日に発表された。本ガイドラインは「肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)」および2011年発表の「拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン」の統合・改訂版。第83回日本循環器学会学術集会(3月29~31日、横浜)において、心筋症診療ガイドライン作成の合同研究班班長を務めた北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学)が、その内容について講演した。 同氏は、心筋症診療ガイドラインの本改訂において重視した点として下記3つのポイントを挙げたうえで、心筋症全体の定義と分類、肥大型心筋症(HCM)、拡張型心筋症(DCM)の診断・治療について、主な改訂点を解説した。1.これまでの心筋症の分類法を参考にしながら、わが国の診療実態に即した心筋症の新しい定義の作成2.HCMは、EBMの十分でない疾患であるため、ACCF/AHA、ESCのガイドラインを参考に、わが国より発信されたエビデンスを盛り込みながら、診療現場での実際の意思決定に有用であること3.DCMにおける病因解明の進歩を折り込み、本症が左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)の代表的な疾患であることより、急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)を参照した最新の診療・治療方針を明示すること心筋症診療ガイドラインでは心筋症を4つの基本病態に整理 心筋症の分類としては、米国心臓協会(AHA)の病因による分類(2006年発表)、欧州心臓病学会(ESC)の形態による分類(2008年発表)が知られる。心筋症診療ガイドラインでは、従来通り形態や機能から心筋症を診断する。その際には、“常に病因としての遺伝性/非遺伝性を意識し、心アミロイドーシスやファブリー病など二次性心筋症を鑑別したうえで確定されるべきである”とされた。 原発性(特発性)心筋症としての病名を、肥大型心筋症、拡張型心筋症、不整脈原性右室心筋症、拘束型心筋症の4つに分類している。さらに“これらの病型にOverlapがあることを明示した”ことも重要なポイントである。新ガイドラインでは肥大型心筋症は安静時に圧較差がなくても負荷をかけて心エコー推奨 肥大型心筋症については、近年の報告から「左室壁15mm(家族歴がある場合は13 mm)以上の心肥大」と診断上の定義を心筋症診療ガイドラインでは明記。そして閉塞性肥大型心筋症(HOCM)については、安静時に圧較差がある症例に加えて、負荷によって30mmHg以上の圧較差を認める場合もHOCMとして定義している。北岡氏は、「従来、HOCMは安静時の圧較差30mmHg以上と提唱されてきた。しかしこの10年ほどで、安静時には圧較差が認められなくても、負荷をかけると認められる症例が多く存在し、HCM全体の7割程度で、圧較差が病態と関係するということが分かってきた」とその背景を解説した。HCMと確定診断された患者では、バルサルバ手技などによる負荷を、心エコー検査中に行うことを推奨している。 そのほか新たな心筋症診療ガイドラインでは、MRIは形態学的評価だけでなく、二次性心筋症との鑑別あるいは予後予測において、最も推奨度の高いクラスIに変更された。心筋生検については、MRIの進歩などによりルーチンでの実施は不要と位置付けられている。「ただし、決して心筋生検の重要性が後退したということではなく、不明の場合の最終検査としては非常に重要」と同氏は補足。また、遺伝子診断についての推奨度が2012年版から大きく再整理・変更されていることも説明された。肥大型心筋症の突然死予防にガイドラインでICD植込み適応をフローチャート化 肥大型心筋症の薬物治療については、従来通りで新ガイドラインに大きな変更はない。突然死予防は、ICD植込み適応の考え方が再整理された。2012年度版から5つの主要リスク因子および修飾因子を一部変更。これまで重みづけされていなかった各主要リスク因子についてエビデンスを基に重みづけし、フローチャートの形でICD植込み適応の推奨度を示した。 そのほか、圧較差と不整脈に対する治療法は、近年の知見を盛り込んだ形に一部変更されている。不整脈については、心房細動患者に対する抗凝固療法にクラスIの推奨度とエビデンスレベルが記された。エビデンスの充実からワルファリン使用の推奨が明記され、DOACについても「有用性が期待される」という形で新たに記載された。抗がん剤によるリスクを整理、またクラスIの推奨となった遺伝子検査も(DCM) 新たな心筋症診療ガイドラインでは、DCMの定義に大きな変更はないが、近年左室機能障害を引き起こす重要な原因として指摘されている抗がん剤について、報告されている発症率とともに一覧化された表が初めて掲載された。 検査に関しては、HCM同様二次性心筋症との鑑別や予後予測においてもMRIによる評価に推奨度が記載された。「ただし、HCMほどデータが十分ではないという判断から、クラスIIaの推奨度となっている」と同氏は話した。心筋生検の位置づけはHCMと同様となっている。 DCMにおける遺伝子検査については、「40以上ある原因遺伝子の中で、特にタイチンとラミンについては検査に臨床的意義があると判断された」と述べ、タイチンにIIa、ラミンにIの推奨度が記載されている。MitraClipの COAPT試験の結果を反映 DCMの治療に関しては、「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」に基づく内容となっている。加えて、その後の知見としてMitraClipの COAPT試験の結果も反映された。 また、ラミンA/C変異を有する患者は予後が悪いことが、日本人を対象とした試験でも報告されている。そのため、新たな心筋症診療ガイドラインでは“提言”の形で、ESCあるいはAHA/ACC/HRSガイドラインにおけるICD植込み適応(リスク因子と推奨度)を紹介している。

20225.

日本人における糖尿病とがんリスクを検証~JPHC研究

 日本人集団における糖尿病とがんリスクについて、多目的コホート研究(JPHC研究)での前向きメンデルランダム化解析により、これらの関連を裏付ける強いエビデンスは見いだされなかったことを、国立がん研究センターの後藤 温氏らが報告した。従来の回帰モデルを用いたコホート研究では、2型糖尿病患者のがんリスク増加が一貫して示されていた。しかし、因果の逆転や糖尿病とがんに共通する危険因子による残余交絡が存在する可能性があり、糖尿病そのものががん発症に寄与しているかどうかは不明であった。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年3月30日号に掲載。 JPHC研究における40~69歳の適格な3万2,949人から、サブコホート1万536人および新規にがんと診断された3,541人を用いて症例コホート研究を実施した。すでに知られている29個の2型糖尿病感受性遺伝子多型を用いて、糖尿病とがん全体および部位ごとのがんリスクとの関連について、逆分散加重法を用いてハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・糖尿病の確率が2倍になることによるがんのハザード比(HR)は、がん全体で1.03(95%信頼区間[CI]:0.92~1.15)、膵臓がんで1.08(同:0.73~1.59)、肝臓がんで0.80(0.57~1.14)、結腸がんで0.90(同:0.74~1.10)であった。・追加解析として、日本人における大腸がんの大規模ゲノムワイド関連解析の公開データを用いて分析したところ、HRは1.00(95%CI:0.93~1.07)であり、より精確な結果が得られた。

20226.

ACC/AHAガイドライン、ESCガイドラインのエビデンスレベルは?/JAMA

 主要な心臓血管関連学会のガイドラインでは、複数の無作為化臨床試験(RCT)または単一の大規模RCTのエビデンスによって支持される推奨の割合はきわめて低く、このパターンは、2008~18年の改訂でも意義のある改善はなされていないことが、米国・デューク大学のAlexander C. Fanaroff氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2019年3月19日号に掲載された。臨床決定は、臨床転帰を評価した複数のRCTによるエビデンスに基づくのが理想だが、歴史的には、この種のエビデンスに完全に基づく臨床ガイドラインの推奨はほとんどないという。ACC/AHAガイドラインおよびESCガイドラインの現行と旧版を調査 研究グループは、現行の主要な心臓血管関連学会のガイドラインの推奨を支持するエビデンスのクラス(I~III)とレベル(LOE、A~C)について解析し、経時的なLOEの割合の変化を調査した。 学会のウェブサイトで同定された現行の米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)および欧州心臓病学会(ESC)の臨床ガイドライン(2008~18年)と、現行のガイドラインが参照した直近の旧版(1999~2014年)のガイドラインを調査の対象とした。 各ガイドラインについて、推奨の数とLOEの分布を検討した(LOE A:複数のRCTまたは単一の大規模RCTのデータによって支持されている、LOE B:観察研究または単一のRCTのデータで支持されている、LOE C:専門家の意見のみ)。主要評価項目は、LOE Aのエビデンスで支持されている推奨の割合とした。LOE A推奨の割合はACC/AHAガイドライン 8.5%、ESCガイドライン 14.2% 現行の26のACC/AHAガイドラインには、推奨が2,930件(1つのガイドライン当たりの中央値121件[四分位範囲:76~155])含まれた。そのうち、248件(8.5%)の推奨がLOE Aに分類され、1,465件(50.0%)がLOE B、1,217件(41.5%)はLOE Cであった。LOE A推奨の割合の中央値は7.9%(四分位範囲:0.9~15.2%)だった。 一方、現行の25のESCガイドラインには推奨が3,399件(1つのガイドライン当たりの中央値130件[四分位範囲:111~154])掲載されていた。484件(14.2%)の推奨がLOE Aに分類され、1,053件(31.0%)がLOE B、1,862件(54.8%)はLOE Cであった。 現行ガイドラインを旧版と比較すると、LOE Aの推奨の割合の中央値は、ACC/AHAガイドライン(現行9.0% vs.旧版11.7%)およびESCガイドライン(15.1% vs.17.6%)のいずれもが、増加していなかった。 下位専門分野別の解析では、LOE A推奨の割合は冠動脈疾患が最も高く、先天性心疾患/心臓弁膜症が最も低かった。また、先天性心疾患/心臓弁膜症を除き、LOE A推奨の割合は、ESCガイドラインがACC/AHAガイドラインよりも高かった。 著者は、「今回の結果は、過去10年にわたる臨床試験の簡略化と促進に向けた努力が、RCTによってより良く支持されたエビデンスに基づく推奨へと転換されていないことを示している」と指摘している。

20227.

原発性硬化性胆管炎〔primary sclerosing cholangitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は、小胆管周囲にonion-skin様の結合織に囲まれる炎症により特徴付けられる肝の慢性炎症である。結合織の増加により胆管は狭窄、閉塞を起こし、胆汁うっ滞を来し、閉塞性黄疸となり、最終的には肝硬変、肝不全に進展する。PSCの発症・進展には、自己免疫機序が深く関わることが推定されているものの、血清学的に特異的な免疫指標は残念ながら同定されておらず、病因は現在も不明である。■ 疫学2012年の全国疫学調査によると、国内症例数は2,300名前後、人口10万人当たりの有病率は0.95程度と推測されている。しかし、欧米諸国で近年発症率の増加が報告されていること、画像検査の進歩により診断率が向上していることにより、実際の患者数はもう少し多いことが推察される。患者は、男性にやや多く、20代と60代の二峰性を示す。わが国では肝内・肝外胆管両者の罹患症例が多く、潰瘍性大腸炎の罹患合併が34%で、とくに若年者に高率である。また、胆管がんの合併を7.3%に認めている。■ 病因PSCには炎症性腸疾患との関連が認められており、欧米ではPSC患者の80%で合併がみられるが、わが国ではその頻度は低く、とくに高齢者では合併例は少ない。潰瘍性大腸炎患者の約5%とクローン病患者の約1%がPSCを発症する。こうした関連性といくつかの自己抗体(例:抗平滑筋抗体、核周囲型抗好中球抗体[pANCA])の存在から、免疫を介した発生機序が示唆されている。T細胞が胆管の破壊に関与するとみられることから、細胞性免疫の障害が示唆されている。家系内で集積傾向がみられ、自己免疫疾患との相関もしばしば報告され、HLAB8およびHLADR3を有する人々での頻度がより高いことから、遺伝的素因の存在が示唆されている。遺伝的素因のある人々では、おそらく原因不明の誘因(例:細菌感染、虚血性の胆管傷害など)によってPSCが引き起こされると考えられている。■ 症候病初期には無症状で、偶然の機会に胆道系酵素の上昇などで発見されることもある。発症は通常潜行性で、進行性の疲労や掻痒感が認められる場合が多い。約10~15%の症例では、右上腹部痛と発熱を認める。診断時の症状についての全国アンケート調査では、黄疸28%、掻痒感16%が認められるとの報告がある。病態が進行すれば、脂肪便、脂溶性ビタミン欠乏を来す場合があり、持続性の黄疸により病態は進行し、肝硬変の症状を呈する。約75%の症例で症状を伴う胆石や総胆管結石症を伴うことが報告されている。なお、一部の症例では晩期まで無症状のまま経過し、肝脾腫、肝硬変の状態で診断される場合もあるが、本疾患は緩徐ながら確実に進行し、末期には非代償期肝硬変に至る。診断から肝不全に至るまでの期間は、約12年とされている。なお、合併が多い炎症性腸疾患とは独立した経過をたどり、潰瘍性大腸炎はPSCに数年遅れて発現するケースがあり、合併が認められた場合、潰瘍性大腸炎は比較的軽症の経過をとる傾向があるとされている。結腸全摘術を施行された場合でも、PSCの経過には変化がないことが報告されている。そのほか、PSCと炎症性腸疾患両者が存在すると大腸がんのリスクが上昇し、このリスクはPSCに対して肝移植を施行しても変わらないことが報告されている。■ 予後わが国の全国調査によれば、肝移植なしの5年生存率は75%とされている。肝移植症例では、とくに近親者からの移植症例で再発が高頻度であるとの報告がある。早期症例では、肝硬変に至るまでの期間は15~20年とされているが、8~10%の症例では胆管がんの合併があるので注意が必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)確定診断に至る臨床的特異的マーカーは存在せず、また、肝生検でも確定診断は困難である。診断は、肝内外胆管病変の画像診断によるが、類似の画像所見を示す疾患、とくに自己免疫性膵炎(AIP)に伴う胆管炎との鑑別が重要である。診断に当たっては、以下の臨床像に十分留意する。(1)胆汁うっ滞に基づく腹痛、発熱、黄疸などの症状、(2)炎症性腸疾患、とくに潰瘍性大腸炎の存在、(3)6ヵ月以上持続する胆道系酵素、AlPの正常上限2~3倍以上の持続上昇。 また、画像所見や超音波検査では、(1)散在する胆管内腔の狭窄と拡張、(2)散在する胆管壁肥厚に留意が必要となる。そして、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)では(1)肝内外胆管の散在する輪状、膜状、帯状狭窄および憩室様突出、数珠状狭窄、(2)肝内外胆管の毛羽立ち、刷子縁様の不整像、(3)肝内胆管分枝像の減少、(4)肝外胆管狭窄に符合しない肝内胆管拡張、などの特徴的所見が認められ、ERCP施行によりこれら所見はより明確になる(図1、2)。(図1、2入る)画像を拡大する画像を拡大するなお、診断確定に当たっては、以下の(1)~(9)の疾患の除外が重要であり、IgG4関連硬化性胆管炎の鑑別も重要である(下に挙げた厚生労働省研究班の診断基準を参照)。(1)IgG4関連硬化性胆管炎、(2)胆道感染症による胆管炎、(3)胆道悪性腫瘍、(4)胆管結石、(5)腐食性硬化性胆管炎、(6)先天性胆道異常、(7)虚血性胆管狭窄、(8)胆道外科手術後状態、(9)floxuridine動注による胆管障害。病変の広がりにより、1)肝内型、2)肝外型、3)肝内外型に分類される。2016年原発性硬化性胆管炎診断基準厚生労働省難治性肝・胆道疾患に関する調査研究班(滝川班)【原発性硬化性胆管炎の疾患概念】原発性硬化性胆管炎は病理学的に慢性炎症と線維化を特徴とする慢性の胆汁うっ滞を来す疾患であり、進行すると肝内外の胆管にびまん性の狭窄と壁肥厚が出現する。病因は不明である。胆管上皮に強い炎症が惹起され、胆管上皮障害が生ずる。診断においてはIgG4関連硬化性胆管炎*、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎**、悪性腫瘍を除外することが重要である。わが国における原発性硬化性胆管炎の診断時年齢分布は2峰性を呈し、若年層では高率に炎症性腸疾患を合併する。持続する胆汁うっ滞の結果、肝硬変、肝不全に至ることがある。有効性が確認された治療薬はなく、肝移植が唯一の根治療法である。【原発性硬化性胆管炎の診断基準】IgG4関連硬化性胆管炎*、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎**、胆管がんなどの悪性腫瘍を除外することが必要である。A.診断項目I.大項目A. 胆管像1)原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認める。2)原発性硬化性胆管炎に特徴的な胆管像の所見を認めない。B. アルカリフォスファターゼ値の上昇II.小項目a. 炎症性腸疾患の合併b. 肝組織像(線維性胆管炎/onion skin lesion)B.診断上記による確診・準確診のみを原発性硬化性胆管炎として取り扱う。*IgG4関連硬化性胆管炎は、“Clinical diagnostic criteria of IgG4-related sclerosing cholangitis 2012”(Ohara H,et al. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2012;19:536-542.)により診断する。**2次性硬化性胆管炎は以下の通りである(Nakazawa T, et al. World J Gastroenterol. 2013;19:7661-7670.)。先天性カロリ病Cystic fibrosis慢性閉塞性総胆管結石胆管狭窄(外科手術時の損傷によるもの、慢性膵炎によるもの)Mirizzi症候群肝移植後の吻合狭窄腫瘍(良性、悪性、転移性)感染性細菌性胆管炎再発性化膿性胆管炎寄生虫感染(cryptosporidiosis、microsporidiosis)サイトメガロウイルス感染中毒性アルコールホルムアルデヒド高張生理食塩水の胆管内誤注入免疫異常好酸球性胆管炎AIDSに伴うもの虚血性血管損傷外傷後性硬化性胆管炎肝移植後肝動脈塞栓肝移植後の拒絶反応(急性、慢性)肝動脈抗がん剤動注に関連するもの経カテーテル肝動脈塞栓術浸潤性病変全身性血管炎アミロイドーシスサルコイドーシス全身性肥満細胞症好酸球増加症候群Hodgkin病黄色肉芽腫性胆管炎通常、肝生検は診断に必須ではないが、施行した場合には、胆管増生、胆管周囲の線維化、炎症、および胆管の消失が認められる。疾患が進行するにつれて、胆管周囲の線維化が門脈域から拡大していき、最終的には続発性胆汁性肝硬変に至る。なお、小児症例では、自己免疫性肝炎との鑑別が困難な症例が多数存在することに、注意が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)確立された治療法は現在なく、進行した場合は、肝移植が唯一の治療法となる。通常、無症状の患者はモニタリング(身体診察と肝機能検査を年2回など)のみで経過観察する。ウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソ[5mg/kg、1日3回、経口、最大15mg/kg/日])は、掻痒を緩和し、生化学マーカー値を改善し、現在第1選択薬となっており、2012年の全国調査でも81%の症例で投与されているが、残念ながら、生存率は改善できない。脂質異常症の治療薬であるベザフィブラート(同:ベザトール)のPSCに対する有効性も報告されているが、報告では胆道系酵素の改善のみで、組織学的な改善や画像診断上の改善を促すものではないが、ウルソデオキシコール酸治療で十分な効果が得られなかった症例でも一定の改善効果がある点が注目されている。慢性胆汁うっ滞および肝硬変に至った場合には、支持療法が必要である。細菌性胆管炎の発症時には、抗菌薬が必要であり、必要に応じて治療的ERCPも施行する。単一の狭窄が閉塞の主な原因と考えられる場合(優位な狭窄、約20%の患者にみられる)は、ERCPによる拡張術(腫瘍の確認のための擦過細胞診も行う)とステント留置術により症状を緩和することができる。PSC患者では、肝移植が期待余命を延長する唯一の治療法であり、治癒も可能である。繰り返す細菌性胆管炎または肝疾患末期の合併症(例:難治性腹水、門脈大循環性脳症、食道静脈瘤出血)には、肝移植が妥当な適応である。脳死肝移植が少ない本邦では生体肝移植が主に行われているが、生体肝移植後PSCの再発率が高い可能性が、わが国から報告されている。4 今後の展望診断に有用な臨床マーカーの確立、病態の解明とそれに基づいた治療法の確立が大きな課題である。5 主たる診療科消化器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 原発性硬化性胆管炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Nakazawa T, et al. J Gastroenterol. 2017;52:838-844.2)Chapman R,et al. Hepatology. 2010;51:660-678.公開履歴初回2019年4月9日

20228.

第11回 意識障害 その9 原因が1つとは限らない! それで本当におしまいですか?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)確定診断するまで思考停止しないこと!2)検査は答え合わせ! 異常値だからといって、原因とは限らない!3)急性か慢性か、それが問題だ! 検査結果は必ず以前と比較!【症例】68歳男性。数日前から発熱、倦怠感を認め、食事量が減少していた。自宅にあった解熱鎮痛薬を内服し様子をみていたが、来院当日意識朦朧としているところを奥さんが発見し救急要請。救急隊の観察では、明らかな構音障害や麻痺は認めず、積極的に脳卒中を疑う所見は乏しい。●搬送時のバイタルサイン意識10/JCS、E3V4M6/GCS血圧142/88mmHg脈拍78回/分(整)呼吸20回/分SpO295%(RA)体温38.2℃瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧(50歳〜)、脂質異常症(44歳〜)内服薬アムロジピン、アトルバスタチン今回は意識障害の最終回です。今までいろいろと述べてきましたが、復習しながら鑑別を進めていきましょう。意識障害の原因は“AIUEOTIPS”に代表されるように多岐にわたります。難しいのは、何か1つ意識障害の原因となりうるものを見いだしたとしても、それのみが原因とは限らないことです。脳出血+痙攣、敗血症+低血糖、アルコール+急性硬膜下血腫、急性期疾患+薬剤の影響、などはしばしば経験します。目の前の患者さんの症状は、自身が考えている原因できちんと説明がつくのか、矛盾点は本当にないのか、最終的に診断をつける際には必ず自問自答しましょう。救急外来での実際のアプローチ今回も10’s rule(表1)をもとに考えていきましょう。画像を拡大する患者さんは数日前から発熱を認め、徐々に状態が悪化しているようです。血圧はやや高めですが、CPSS※(構音障害、顔面麻痺、上肢の麻痺)陰性で、頭痛の訴えもなく脳卒中を積極的に疑う所見は認めませんでした。糖尿病の既往もなく、低血糖の検査前確率は低いですが、感染症(とくに敗血症)に伴う副腎不全や薬剤などの影響で、誰もが低血糖になりうるため、10’s ruleにのっとり低血糖は否定し、頭部CT検査を施行する方針としました。CTでは、予想通り明らかな異常は認めませんでした。qSOFAは意識障害以外該当しないものの、発熱も認め感染症の関与も考え、fever work upを施行する方針としましたが…。※ Cincinnati Prehospital Stroke Scale急性か慢性か、それが問題だ!採血(もしくは血液ガス)の結果でNa値が126mEq/Lを認めました。担当した研修医は、「低ナトリウム血症による意識障害の可能性」を考えました。これはOKでしょうか?採血以外にも、救急外来では心電図やX線、エコー、CTなどの検査を施行することは多々あります。その際、検査に何らかの異常を認めた際には、必ず「その異常はいつからなのか?」という視点を持つ必要があります。以前と異なる変化であれば、今後介入の必要はあるかもしれませんが、少なくとも急性の変化と比較し、緊急性はぐっと下がります。以前の結果と比較(問い合わせをしてでも)することを心掛けましょう。忙しい場合には面倒に感じるかもしれませんが、急がば回れです。不適切な介入や解釈を行わないためにも、その手間を惜しんではいけません。低ナトリウム血症は高齢者でしばしば認めますが、急性の変化でない限り、そして著明な変化でない限り、通常無症候性です。救急外来では120mEq/L台の低ナトリウム血症では、最低限の介入(塩分負荷または飲水制限)は原因に応じて行いますが、それのみで意識障害、痙攣、食思不振などの直接的な原因とは考えないほうがよいでしょう。慢性的な変化、もしくは何らかの急性疾患に伴う変化と考え対応する癖を持ちましょう。大切なのはHi-Phy-Vi!Rule 2にもありますが、やはり大切なのは病歴、身体所見やバイタルサイン(Hi-Phy-Vi:History、Physical、Vital signs)です。この患者さんは、急性の経過で発熱を伴っています。そして、熱のわりには心拍数は上昇していません。このような経過の患者さんに低ナトリウム血症を認めたわけです。何かピンッとくる疾患はあるでしょうか?急性の経過、そしてSIRSやqSOFAは満たさないものの、発熱を認め、呼吸回数も高齢者にしては多いという点からは、感染症の関与が考えられます。菌血症を疑わせる悪寒戦慄は認めませんでしたが、いわゆる細菌感染症として頻度が高いfocusは鑑別の上位に挙がります(参考に第6回 意識障害 その5)。肺炎、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症、胆道系感染症などは意識して所見をとらなければ高齢者では容易に見逃してしまうものです。この患者さんは改めて聴診すると、右下葉で“coarse crackles”を聴取しました。同部位のX線所見も淡い浸潤影を認めました。しかし、喀痰のグラム染色では有意な菌は認められませんでした。もうおわかりですね?レジオネラ症(Legionella disease)意識障害などの肺外症状(表2)、グラム染色で優位な菌が認められないとなると、必ず鑑別に入れなければならない疾患が「レジオネラ症」です。レジオネラ肺炎は重症肺炎の際には必ず意識して対応しますが、本症例のように明らかな酸素化低下などの所見が認められない場合や肺外症状をメインに来院した場合には、意識しなければ、初診時に診断することは容易ではありません。しかし、レジオネラ肺炎(Legionella pneumophila)は、マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)やクラミドフィラ(Chlamydophila pneumoniae)など、そのほかの非定型肺炎とは異なり、初診時に疑い治療介入しなければ、予後の悪化に直結します。見逃してはいけないわけです。画像を拡大するレジオネラ症を疑う手掛かりとしては、私は表3を意識するようにしています2,3)。そのほか、検査結果では、電解質異常(低ナトリウム血症、低リン血症)、肝機能障害、CPK上昇を意識しておくとよいでしょう。絶対的なものではありませんが、レジオネラ症らしいか否かを判断するスコアもあるので一度確認しておきましょう4)。画像を拡大するさいごに意識障害の原因は多岐にわたります。自信を持って確定診断するまでは、常に「本当にこれが原因でよいのか?」と自問自答し、対応することが大切です。忙しいが故に検査結果などの異常値を見つけると、そこに飛びつきたくなりますが、そもそも何故その数値や画像の異常が出るのか、それは本当に新規異常なのか、症状は説明がつくのか、いちいち考える癖をつけましょう。その場での確定診断は難しくとも、イチロー選手のように「後悔などあろうはずがありません!」と断言できるよう、診断する際にはこれぐらいの覚悟で臨みましょう。1)Cunha BA. Infect Dis Clin North Am. 2010;24:73-105.2)坂本壮. 救急外来ただいま診断中!. 中外医学社;2015.p.280-303.3)坂本壮. 救急外来 診療の原則集―あたりまえのことをあたりまえに. シーニュ;2017.p.65-67.4)Gupta SK,et al. Chest. 2001;120:1064-1071.

20229.

「薬剤師以外による調剤可能」通知の衝撃度【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第22回

薬剤師法第19条において、「自己の処方箋以外において、薬剤師以外の者が調剤してはならない」と定められていますが、実際には調剤業務という言葉の定義や範囲がグレーなこともあり、問題となることがありました。このたび、厚生労働省より初めてこの議論に終止符を打つ通知「調剤業務のあり方について」が2019年4月2日付で発出され、衝撃が走っています。結論としては、ピッキングや一包化などの調剤業務を非薬剤師が行うのは可能と明言するものですが、ただ単に調剤業務を非薬剤師に任せてよいというわけではないということに注意が必要です。全薬局薬剤師、薬局従事者が一字一句逃さずに読むべき通知ですが、ここでは大きく2つのポイントを示します。1. 調剤業務を薬剤師以外に行わせる方法と業務範囲「薬剤師の目が現実的に届く限度の場所で」「調剤した薬剤の品質などで患者に危害が及ぶことがなく」「当該業務を行う者が判断を加える余地に乏しい機械的な作業」の場合に非薬剤師に調剤業務を任せることができます。具体的には、PTPシートのピッキングや一包化された薬の数量確認が例として挙げられていますが、あくまでも最終的な確認は薬剤師が行う必要があり、軟膏剤、水剤、散剤などの計量、混合は含まれません。この通知を読んだ薬局従事者全員が、この業務はできる、この業務はできない、と同一の判断ができればいいのですが、薬局によって、また人によって調剤業務の解釈が異なる場合があります。そのため、薬局開設者は、誰が読んでも同一の解釈ができるように、手順書の作成、研修の実施、記録などの対応が求められています。調剤できる能力や理解があることを確認しているという意味で、テストなどを実施し、記録してもいいかもしれません。また、実際に非薬剤師が調剤業務を行った場合にも、誰が調剤したのかという記録は必要ですので、日々の業務における手順の共有や見直しなども必要になるでしょう。2. 通知の目的昨年末に厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会により出された「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」には、薬剤師の行う対人業務を充実させる観点から、対物業務の効率化を図る必要がある、と記載されています。調剤機器やIT技術などの活用により業務の効率化が可能になったことも踏まえ、薬剤師にしかできない本来業務を果たすために、今回の調剤業務のあり方についての通知が発出されたものと考えられます。何のためにこの通知が発出されたのか、ということを肝に銘じながら非薬剤師に調剤業務を任せるべきでしょう。調剤業務を非薬剤師に任せた場合、薬剤師はカウンターや患者さん宅でより薬学的な専門性の高い業務や医師への提案、投薬後の患者フォローを行う割合を増やすのが当然です。薬剤師は疾患についての勉強だけでなく、コミュニケーション力や他職種からの情報収集力など、対人スキルをよりいっそう磨く必要があるでしょう。この通知には、具体的な業務に関してはさらに整理を行い、別途通知を出す旨の記載があります。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正の議論のなかで、薬局や薬剤師のあり方について非常に辛辣な意見があったことや、「薬剤師の行う対人業務を充実させる」という目的と方向性を考えると、次の通知は非薬剤師に任せられる調剤業務という範囲にとどまらない可能性があります。私としては、今回の通知の事前情報の少なさと発出のタイミングにギョッ!としたのは事実ですが、このくらいのサプライズがまだほかにあっても不思議ではありません。引き続き、動向を見守りたいと思います。

20230.

「がん患者におけるせん妄ガイドライン」が発刊!

 「せん妄」と聞くと、術後せん妄や高齢者をイメージすることが多いのではないだろうか。しかし、がん自体やその治療の副作用に伴う痛みや不安・不眠を取り除くために使用するオピオイド、ならびに精神安定薬の使用も、せん妄の大きな要因の一つになっているという。このような現状を踏まえ、2019年2月27日、日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会が協力し、「がん患者におけるせん妄ガイドライン」を発刊した。がん患者を念頭においたせん妄ガイドラインはあまり多くない せん妄は、患者だけでなく、介護をする家族や医療者にも大きな影響をもたらすため、超高齢社会を迎えた日本では、せん妄の予防・対策が重要になると予想される。「がん患者におけるせん妄ガイドライン」は、がん患者のせん妄に関する先行知見や実証的なエビデンスが、臨床に即した形でまとめられている。序文では、明智 龍男氏(日本サイコオンコロジー学会代表理事)や田村 和夫氏(日本がんサポーティブケア学会理事長)が、「せん妄に関してはたくさんの指針やガイドラインがあります。一方、がんという疾患の軌跡の特殊性も念頭においたガイドラインはあまり多くありません」など、発刊の経緯を記している。医療者の疑問に答えるせん妄ガイドライン 「がん患者におけるせん妄ガイドライン」では、がん患者におけるせん妄の基礎知識を総論とし、全4章から成る。評価方法や薬物療法・非薬物療法などに関する9つの臨床疑問を設けて、現場に即した指針が提示されている。 I章は、ガイドラインの目的や使用上の注意、エビデンスレベルと推奨の強さについて。II章は、総論と表し、がん患者におけるせん妄の頻度やその特徴、原因、治療方法が記載されている。臨床での疑問に触れているIII章では、「がん患者のせん妄には、どのような原因(身体的原因・薬剤原因)があるか?」、「せん妄を有するがん患者に対して、せん妄症状の軽減を目的としてベンゾジアゼピン系薬を単独で投与することは推奨されるか?」、「せん妄を有するオピオイド投与中のがん患者に対して、せん妄症状の軽減を目的としてオピオイドを変更すること(スイッチング)は推奨されるか?」などに対して解説がされている。第IV章には、資料として概要やシステマティックレビュー、今後の検討課題、患者・家族へのせん妄説明パンフレットなどが盛り込まれている。

20231.

ラムシルマブ+エルロチニブ、EGFR陽性NSCLCの1次治療で主要評価項目を達成/リリー

 イーライリリーアンドカンパニーは、2019年3月12日、ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)の第III相試験(RELAY)で、サイラムザ+エルロチニブ併用療法がプラセボ+エルロチニブの併用に比べ、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長したことを発表。本試験は、転移のあるEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療で、サイラムザ+エルロチニブの併用療法をプラセボ+エルロチニブの併用と比較したもの。 RELAY試験で認められたラムシルマブ+エルロチニブの併用療法の安全性のプロファイルは、これまでラムシルマブおよびエルロチニブにおいて報告されている安全性のプロファイルと同様であった。プラセボと比較してラムシルマブ群で5%以上高く発現したGrade3以上の主な副作用は、高血圧、ざ瘡様皮膚炎、下痢であった。 有効性及び安全性の結果の詳細は2019年の医学学会で発表予定。

20232.

アルコール依存症患者の再入院とBMIや渇望との関連

 常習性の飲酒、渇望、過食は、共通の病理学的メカニズムを有している。ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのChristian Weinland氏らは、BMIや渇望がアルコール依存症入院患者のアウトカムを予測するかどうかを調査した。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年3月2日号の報告。 早期に禁酒したアルコール依存症入院男性患者101例および女性患者72例を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。渇望は、Obsessive-Compulsive Drinking Scale(OCDS)スコアを用いて定量化した。24ヵ月以上のアルコール関連再入院を記録した。 主な結果は以下のとおり。・男性では、より高いBMIは、アルコール関連再入院と関連しており(中央値:26.1kg/m2 vs. 23.1kg/m2、p=0.007)、より高頻度(ρ=0.286、p=0.004)で、より早期(ρ=-0.256、p=0.010)の再入院との相関が認められた。・これらの関連性は、活発な喫煙者のサブグループ(79例)においてより強く認められた([アルコール関連再入院]中央値:25.9kg/m2 vs. 22.3kg/m2、p=0.005、[高頻度]ρ=0.350、p=0.002、[早期]ρ=-0.340、p=0.002)。・女性では、BMIは有意な予測因子ではなかった。・1回以上の再入院があった男性では、そうでない男性と比較し、OCDSスコアが高く(OCDS-total、OCDS-obsessive、OCDS-compulsive、p<0.040)、OCDSスコアは、再入院の高頻度(男性:OCDS-total、OCDS-obsessive、OCDS-compulsive、ρ>0.244、p<0.014、女性:OCDS-compulsive、ρ=0.341、p=0.003)と初回再入院までの期間短縮(男性:OCDS-total、OCDS-compulsive、ρ<-0.195、p<0.050、女性:OCDS-compulsive、ρ=-0.335、p=0.004)との相関が認められた。・OCDSスコアにより、男性におけるBMIとアウトカムとの関連は9~19%説明可能であった。 著者らは「BMIおよび渇望は、アルコール依存症入院患者における再入院の予測因子である。このことは、将来の再入院を予防するために使用できる可能性がある」としている。■関連記事アルコール関連での緊急入院後の自殺リスクに関するコホート研究飲酒運転の再発と交通事故、アルコール関連問題、衝動性のバイオマーカーとの関連アルコール依存症に対するナルメフェンの有効性・安全性~非盲検試験

20233.

チカグレロルの中和薬、第I相試験で有効性確認/NEJM

 チカグレロルの特異的中和薬であるPB2452について、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らは、健常ボランティアにおいて、チカグレロルの抗血小板作用を迅速かつ持続的に中和し、毒性は軽度であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号に掲載された。チカグレロルは経口P2Y12阻害薬で、急性冠症候群の患者や心筋梗塞の既往のある患者において、虚血性イベントのリスクを抑制するために、アスピリンとの併用で使用される。しかし他の抗血小板薬と同様、チカグレロルも大出血や緊急の侵襲的手技に伴う出血が懸念され、その抗血小板作用には、血小板輸血による可逆性はなく、出血の抑制には速効型の中和薬が有用とされる。複数の検査法で血小板機能を評価するプラセボ対照第I相試験 本研究は、健常ボランティアを対象に、単施設で行われた二重盲検プラセボ対照無作為化第I相試験であり、2018年4月3日~8月23日に参加者の登録が行われた(PhaseBio Pharmaceuticalsの助成による)。 PB2452は、チカグレロル中和薬として、チカグレロルに高い結合親和性を有するモノクローナル抗体フラグメントである。健常ボランティア(年齢18~50歳、体重50~120kg、BMI 18~35)において、48時間のチカグレロルによる治療の前後およびPB2452またはプラセボを投与後に血小板機能の評価を行った。 血小板機能の評価には、透過光血小板凝集検査法、P2Y12血小板反応性のポイント・オブ・ケア検査、血管拡張因子刺激リン酸化タンパク質検査が用いられた。中和作用は投与開始5分以内に発現、20時間以上持続 64例が登録され、PB2452群に48例(平均年齢30.5歳、男性48%)、プラセボ群には16例(34.0歳、69%)が割り付けられた。 PB2452群では、17例に27件の有害事象が認められた。主なものは注射部位内出血(4件)、医療機器部位反応(3件)、血管穿刺部位出血(2件)、注入部位血管外漏出(2件)であった。用量制限毒性や輸注反応はみられず、死亡や試験薬中止を要する有害事象、および入院を要する有害事象もみられなかった。 48時間のチカグレロル治療後には、血小板凝集能が約80%抑制された。迅速な中和を得るためにPB2452を静脈内ボーラス投与後、中和を持続させるために注入時間を8、12、16時間と延長すると、3つの測定法のすべてで、血小板機能がプラセボ群に比べ有意に上昇した。 チカグレロルの中和作用は、PB2452の投与開始から5分以内に発現し、20時間以上持続した(3つの測定法のすべての測定時点の値をBonferroni法で調整後のp<0.001)。薬剤投与終了後の血小板活性には、リバウンドの証拠はなかった。 著者は、「PB2452によるチカグレロルの抗血小板作用の中和は、出血患者に対し、より迅速な止血をもたらすか、また緊急の侵襲的手技を施行された患者において、出血を予防するかについては、まだ不明である」としている。

20234.

第12回 オッズ比は、なぜ臨床研究で使われるのか?【統計のそこが知りたい!】

第12回 オッズ比は、なぜ臨床研究で使われるのか?前回はリスク比とオッズ比の違いについてご説明しました。リスク比は臨床ですぐに役立ちそうですが、オッズ比はリスク比と比べるとあまり臨床では使い道がないように思われたかもしれません。しかし、実際の臨床研究の論文では、オッズ比はよく使われています。このように理解しにくいオッズ比が、なぜ臨床研究で使われているのか。今回は、オッズ比から何がわかるのかについて解説します。■コホート研究・ケースコントロール研究とは臨床研究でオッズ比は、どのように使われるのでしょうか?代表的な臨床研究として、「コホート研究」と「ケースコントロール(症例対照)研究」がありますが、後者の研究で集めたデータを解析する場合、以下で説明するようにリスク比は使うことができません。そこでオッズ比が使われます。はじめに「コホート研究」と「ケースコントロール研究」とは何かを解説します。臨床研究は「前向き」か「後ろ向き」かで分けることができ、コホート研究は「前向きの研究」、ケースコントロール研究は「後ろ向きの研究」とされています。たとえば、高血圧症患者さんの喫煙の有無と脳卒中発症の有無の関連性を調べたいとします。●コホート研究高血圧症で脳卒中がない人をランダムに1,000人抽出し、今までに喫煙していたかどうかを調査し、その後の5年間において、喫煙の有無別に脳卒中を発症したかを追跡調査します。調査開始時点では脳卒中は発症しておらず、それから5年後(未来)に脳卒中の発症を調べます。このような研究をコホート研究といいます。この研究は5年後の未来へ向かって調べる研究であるので「前向き」の研究といいます。●ケースコントロール研究高血圧症で脳卒中を発症した患者さん1,000人とランダムに選んだ脳卒中を発症していない高血圧症患者さん1,000人について、過去の喫煙の有無を調査します。すでに脳卒中を発症している高血圧症患者さんと発症していない高血圧症患者さんがいて、その時点から過去にさかのぼって喫煙をしていたかどうかを調べます。このような研究をケースコントロール研究といいます。この研究は過去へ向かって調べる研究であるため「後ろ向き」の研究といいます。この2つの研究の違いを、原因と結果という因果関係からみてみましょう。上記の例では、喫煙の有無が原因で脳卒中発症が結果です。コホート研究は、未来の結果(脳卒中発症有無)を調べる研究であり、ケースコントロール研究は過去の原因(喫煙の有無)を調べる研究となります。それでは、ケースコントロール研究で集めたデータを解析する場合、リスク比を使うことはできないが、オッズ比であれば使うことができるということについて解説します。■ケースコントロール研究ではオッズ比が使われる!表のデータを、ケースコントロール研究(後ろ向き研究)で集めたデータということにします。表 脳卒中と喫煙の関係におけるケースコントロール研究の事例この表から、喫煙者が脳卒中を発症するリスクは77%です。この数値から一般的に「高血圧症患者さんで喫煙する人は脳卒中を発症するリスクが約8割もいる」と言ってもよいでしょうか。この事例は、ケースコントロール研究で集めたデータという設定です。ケースコントロール研究で、喫煙が脳卒中発症の要因になっているかどうかを検討するには、まず「ケース」として、脳卒中が発症したと診断された人のデータを収集し、その一人ひとりのカルテや、本人・ご家族に聞き取り調査などを行い、喫煙していたかどうかを調べます。また、「コントロール」として、脳卒中を発症していない人を必要な人数集めて、その人たちが喫煙をしていたかどうかを調べます。つまり、入手可能なデータは、「高血圧症患者さんで脳卒中を発症した人の何%が喫煙していたか」と「高血圧症患者さんで脳卒中を発症していない人の何%が喫煙していたか」のデータとなります。ですから、ケースコントロール研究からは、「リスク比を算出するときの割り算の分子となる『喫煙者の何%が脳卒中を発症したのか』」と「リスク比を算出するときの割り算の分母となる『非喫煙者の何%が脳卒中を発症したのか』」のどちらのデータも入手することはできません。表の事例は脳卒中発症と診断された1,000人とランダムに選んだ脳卒中を発症していない高血圧症患者さん1,000人について、過去の喫煙の有無を調査したものです。したがって、全対象者における脳卒中発症のリスクは1,000÷2,000の50%で、調査対象者のサンプリング(抽出)に依存します。サンプリングに依存しているリスクを用いてリスク比を計算するのは、大きな間違いとなります。こうした理由から、ケースコントロール研究の場合は、オッズ比を用いて、影響要因であるかどうかが判断できるのです。事例のデータの場合、オッズ比が1.0よりも大きいので、高血圧症患者さんにおける脳卒中発症は喫煙の有無が影響要因であるということがわかります。しかし、「オッズ比から、喫煙者が脳卒中を発症するリスクは非喫煙者に比べ4.0倍である」と解釈してはいけないというのは繰り返し述べているところです。余談ですが、ある疾病の発症頻度が非常にまれな場合は、リスク比はオッズ比で近似できるとされています。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈第4回 ギモンを解決!一問一答質問5 リスク比(相対危険度)とオッズ比の違いは?(その1)質問5 リスク比(相対危険度)とオッズ比の違いは?(その2)

20235.

薬機法改正後、薬剤師法に追記される義務【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第12回

2019年3月19日、薬機法の改正案が閣議決定され、今国会での成立が目指されていることはご存じかと思います。国会に提出された法律案は厚生労働省のホームページで公表されていますが、もう皆さんは確認したでしょうか。まだ法律案の段階ですし、厚生労働省令等が決まるまで詳細はわからないところもあるとはいえ、薬剤師の業務を規定する重要な法律なので、一度は目を通しておいてもいいかもしれません。薬機法に併せて薬剤師法も改正される今回予定されている改正には、服用期間中のフォローの義務化、知事認定制度により年1回の更新が必要な「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」の新設、薬局ガバナンスの整備など、皆さんの業務に影響を与える内容が盛り込まれています。たとえば、服用期間中のフォローとして、薬を渡したときの情報提供および指導だけではなく、必要に応じて服用期間中についても継続的かつ的確な把握などが義務付けられ、その内容について記録することも求められます。この点については、薬機法の改正と併せて薬剤師法も改正が予定されています。これまでも、薬剤師には以下のとおり、情報提供および指導義務がありました。薬剤師法(情報の提供及び指導)第25条の2 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない改正では、これに加えて服用期間のフォローとして以下の追記が予定されています。第25条の2 第2項薬剤師は、前項に定める場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない改正法の施行前に準備を始めるべきこのような義務は、すべての患者に対してではなく「必要があると認める場合」とされています。どのような場合に必要があるかは、薬剤師の専門的な判断によることになりますが、適切な対応が必要であったにもかかわらず、そのような対応を行わず、患者に健康被害が起こってしまった場合などには、患者に対する損害賠償などの責任が発生することも否定できません。まだ法案の成立前ですし、施行まで時間もあるとは思いますが、このような義務が定められることを前提に、組織として今から準備を始めたほうがよいでしょう。また、今後予想されるその他の改正についても早めに検討し、個々人の認識を合わせるなどの対応が適切と考えられます。参考資料1)厚生労働省 第198回国会(常会)提出法律案 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(平成31年3月19日提出)概要

20236.

第33回 職場の雰囲気を内側から変える!のがお仕事という薬剤師【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回は札幌から株式会社サンクールあしたば薬局の大澤祐貴子先生との対談をお届けします。大澤先生は何かしらの問題を抱える店舗にスタッフとして赴任し、内側から店舗を改善するサポート推進課長です。スタッフのメンタルは仕事の効率や事故にも大きな影響を与えるそう。エリアマネージャーとは違った、大澤さんならではのアプローチとは?

20237.

肺がんの予後、正常組織の肺マイクロバイオームと関連

 腸内フローラなどとともに注目されている“ヒトマイクロバイオーム”が、肺がん予後に関わるという興味深い知見が示された。ヒトマイクロバイオームは、局所の発がんまたはがん進行に寄与する可能性のある多くの機能を有しているが、これまで肺がんの予後と肺マイクロバイオームとの関連は知られていなかった。米国・ニューヨーク大学のBrandilyn A. Peters氏らは、予備研究として少数例で解析を行い、正常な肺マイクロバイオームが肺がんの予後と潜在的に関連していることを初めて明らかにした。さらに大規模な研究が必要ではあるが、著者は「予後に関する細菌バイオマーカーを定義することが、肺がん患者の生存アウトカム改善につながる可能性がある」とまとめている。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2019年2月7日号掲載の報告。 研究グループは、非小細胞肺がん(NSCLC)19例を対象に予備研究を行った。 同一肺葉/区における腫瘍組織および遠隔正常組織のペア検体を用いて16S rRNA解析を施行し、腫瘍または正常組織のマイクロバイオーム多様性/構成と無再発生存(RFS)/無病生存(DFS)との関連を調べるとともに、腫瘍組織と正常組織のマイクロバイオーム多様性/構成を比較した。 主な結果は以下のとおり。・正常組織におけるマイクロバイオームの豊富さ(richness:操作的分類単位[OTU]数が高い)と多様性(diversity:Shannon指数が高い)が、RFS低下(OTU数に関するp=0.08、Shannon指数に関するp=0.03)およびDFS低下(それぞれp=0.03、p=0.02)と関連していた。・正常組織では、Koribacteraceae科の豊富さがRFSおよびDFSの上昇と関連していた。一方で、Bacteroidaceae科、Lachnospiraceae科およびRuminococcaceae科の豊富さはRFSおよびDFSの低下と関連していた(p<0.05)。・腫瘍組織におけるマイクロバイオームの多様性と全体の構成は、RFSおよびDFSと関連していなかった。・腫瘍組織では対応する正常組織と比較し、マイクロバイオームの豊富さと多様性が低かったが(p≦0.0001)、全体の構成に差はなかった。

20238.

うつ、不安、睡眠の質に対する「お笑い介入」~メタ解析

 うつ病や不安症状の治療に対し、ネガティブな感情を減少させるための介入が求められており、お笑いやユーモアを用いた介入(お笑い介入)は、安全かつ便利で、患者と医療従事者との関係を良好に保つことが期待される介入方法である。成人のうつ病、不安および睡眠の質に対するお笑い介入の効果を定量化するため、中国・吉林大学のJinping Zhao氏らが検討を行った。Journal of Advanced Nursing誌オンライン版2019年3月18日号の報告。 ランダム化比較試験のメタ解析を実施し、2018年12月までの研究を各種データベース(PubMed、Embase、PsycINFO、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Chinese National Knowledge Infrastructure、Weipu、Wanfang Data)より検索した。Cochrane Collaborationガイドラインに従って、メタ解析レビューを実施した。研究の選択、データ抽出、バイアスリスク(Cochrane Collaborationバイアスリスク評価ツール)の評価は、独立した2人のレビューアにより実施した。 主な結果は以下のとおり。・10研究より、814例が抽出された。・メタ解析では、お笑い介入が成人のうつ病、不安を有意に減少させ、睡眠の質を改善することが示唆された。・サブグループ解析では、長期的なお笑い介入は、うつ病患者により多くのベネフィットをもたらすことが示唆された。 著者らは「お笑い介入は、成人のうつ病や不安を軽減し、睡眠の質の改善に有効であることが明らかとなった。今後は、質の高いフォローアップ評価を行うために、さらなる研究が求められる」としている。■関連記事「笑い」でうつ病診断が可能にこれからのうつ病治療、どんな介入を行うべきかうつ病や不安症状に対する食事療法~メタ解析

20239.

学会でツイッター活用、日循の取り組みはどこまでバズったか?

 2019年3月29日から31日まで開催された第83回 日本循環器学会学術集会において、同学会は、日本国内の医学系学会では初めて、学術集会中の発表内容をツイッター上で公開した。 #19JCSのハッシュタグを付けて投稿されたツイート総数は、リツイートも含み、約8,000。公式アカウント@JCIRC_IPRのインプレッション数は期間中だけで77万を超え、フォロワーが約2,000人から4,000人強へ倍増した。 投稿内容は、一般演題を除くシンポジウムをはじめとした講演の全演者の9割・330名以上から事前に撮影の許諾を得た、スライド写真や文字によるサマリ、発表後のインタビュー動画。スライド写真のツイートを行ったのは、同学会情報広報部会および事前に承諾を得た公式サポーターの学会員約20名。公式サポーターは医師を筆頭とした循環器診療に関わる医療者だ。 今回の結果について、同情報広報部会は「予想よりもスムーズだった」と評している。演題の9割をカバーし、同部会と公式サポーターによる専門的見地からコメントを付けた投稿も中には含まれたことで、批判的吟味を含めた議論の土壌を作れたからだ。 また、学術集会初日に合わせて「日本循環器学会ツイッター利用指針」を国内医学系学会で初めて公開し、公式な学会活動としてコンプライアンス体制を整えてツイッターを活用したことも今後につながる成果だ。 一方、今後の課題は学会員へのツイッター活用の普及にある。専門家による適切な医療情報の提供、議論がより多くなされることでより質の高い情報発信が可能となるからだ。 公式アカウントのフォロワーが、学術集会中に2,000人以上増えた結果を踏まえ、今後もメリットが周知されればツイッターを活用する学会員の増加を期待できると同部会は考えている。 この取り組みはほかの診療科へも波及している。#19JCSでのツイートを見ると、救急や整形外科、精神科などの医師がこの活動に共感し、所属学会に問い合わせをしている様子が伺える。 膨大な数の演題が登録される学術集会において、興味があるテーマのすべてを聞くことは不可能だが、SNSは物理的制約を乗り越えて知見を広げる助けになる。またリアルタイムでの専門医・医療関連者同士のディスカッションがSNSを通じて活発になれば、研究・臨床・教育の質向上にも寄与する可能性も広がる。 海外では、欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓協会(AHA)のように活発にSNSを使用する学会もあれば、米国糖尿病学会(ADA)のように否定的な立場をとる学会もある。 SNSをどう使うかは学会によって異なる見解があると予想されるが、今回の日本循環器学会の取り組みが国内学術集会におけるSNS活用の在り方に影響を与えることは間違いなさそうだ。■リンク日本循環器学会情報広報部会@JCIRC_IPRハッシュタグ #19JCS■参考文献米国主要循環器系学会で2014年から2016年にかけて急速に進んだSNS活用の現状2018年欧州心臓病学会学術集会でのツイッター活用

20240.

院外心停止後蘇生のNSTEMIに、即時冠動脈造影は有効か/NEJM

 院外心停止後に蘇生に成功した非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者では、即時的に冠動脈造影を行い、必要に応じて経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行するアプローチは、神経学的回復後に遅延的にこれを施行する戦略と比較して、90日生存率の改善は得られないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのJorrit S. Lemkes氏らが実施したCOACT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月18日号に掲載された。院外心停止の主な原因は虚血性心疾患であり、現行の欧米のガイドラインでは、蘇生後のST上昇型心筋梗塞(STEMI)へは即時的な冠動脈造影とPCIが推奨されている。一方、蘇生後のNSTEMIへの即時的な施行に関しては、無作為化試験のデータはなく、観察研究では相反する結果の報告があるという。NSTEMIへの即時的施行を評価するオランダの無作為化試験 本研究は、オランダの19施設が参加した非盲検無作為化試験であり、2015年1月~2018年7月に患者登録が行われた(オランダ心臓研究所などの助成による)。 院外心停止から蘇生し、心電図検査でST上昇がみられない患者552例のうち、後に同意を撤回した患者を除く538例(平均年齢65.3±12.6、男性79.0%)を対象とした。 これらの患者を、即時的に冠動脈造影を行う群(273例)または神経学的回復後に行う遅延的冠動脈造影群(265例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。両群とも、必要に応じてPCIが施行された。 主要エンドポイントは90日生存率とした。副次エンドポイントは、脳機能が良好または軽度~中等度障害の状態での90日生存率、心筋傷害、カテコールアミン投与期間、ショックのマーカー、心室頻拍の再発、人工呼吸器の使用期間、大出血、急性腎障害、腎代替療法の必要性、目標体温の到達時間、集中治療室(ICU)退室時の神経学的状態などであった。90日生存率:64.5% vs.67.2%、目標体温到達時間が長い 冠動脈造影の施行率は、即時的冠動脈造影群が97.1%、遅延的冠動脈造影群は64.9%であった。心停止から冠動脈造影施行までの時間中央値は、それぞれ2.3時間、121.9時間、無作為割り付けから冠動脈造影までの時間中央値は、0.8時間、119.9時間だった。 急性血栓性閉塞が即時群3.4%、遅延群7.6%にみられた。PCIはそれぞれ33.0%、24.2%で、CABGが6.2%、8.7%で行われ、薬物療法または保存的治療は61.5%、67.5%で実施された。 90日時の生存率は、即時群が64.5%(176/273例)、遅延群は67.2%(178/265例)と、両群に有意な差を認めなかった(オッズ比[OR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.62~1.27、p=0.51)。 副次エンドポイントのうち、目標体温到達時間中央値が、即時群5.4時間と、遅延群の4.7時間に比べ有意に長かった(幾何平均値の比:1.19、95%CI:1.04~1.36)。他の副次エンドポイントには、両群に有意な差はなかった。 著者は、「心停止後に蘇生したNSTEMIで、冠動脈造影の即時的施行により生存ベネフィットが得られたとする以前の観察研究は、選択バイアスが影響した可能性がある」と指摘している。 また、これらの結果の理由として、(1)PCIは、急性血栓性閉塞を有する冠動脈疾患患者で転帰の改善と関連し、安定冠動脈疾患ではこのような効果はないが、本試験では急性血栓性冠動脈閉塞は5%のみで、ほとんどが安定冠動脈疾患であった、(2)神経学的損傷による死亡が多く、心臓が原因の死亡の3倍以上であった、(3)目標体温到達までに長い時間を要したことが、即時的冠動脈造影の潜在的なベネフィットを弱めた可能性があるなどの点を挙げている。

検索結果 合計:36559件 表示位置:20221 - 20240