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20141.

低用量メトトレキサートは冠動脈疾患例のMACEを抑制せず:CIRT/AHA

 LDLコレステロール(LDL-C)を低下させることなくアテローム性動脈硬化性イベントを抑制したCANTOS試験は、心血管系(CV)イベント抑制における抗炎症療法の重要性を強く示唆した。メトトレキサート(MTX)も、機序は必ずしも明らかでないが抗炎症作用が知られている。また関節リウマチ例を対象とした観察研究や非ランダム化試験では、低用量MTXによるCVイベント抑制作用が報告されている。ではMTXも、アテローム性動脈硬化性イベントを減少させるだろうか? ランダム化試験"CIRT"の結果、その可能性は否定された。米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、11月10日、CANTOS試験の報告者でもある米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul Ridker氏が報告した。対象は炎症亢進例に限定せず CIRT試験の対象は、スタチンやレニン・アンジオテンシン系阻害薬などの標準的治療下にあった、安定冠動脈疾患4,786例である。平均年齢は66歳、20%弱が女性だった。61%が心筋梗塞既往例で、残りは糖尿病/メタボリックシンドローム合併多枝病変1次予防例である。CANTOS試験とは異なり、「高感度C反応性蛋白(hs-CRP)高値」は導入条件となっていない。 これら4,786例は全例が葉酸1mg/日を服用の上、低用量(15~20mg/週)MTX群(2,391例)とプラセボ群(2,395例)にランダム化され、二重盲検法で追跡された(早期中止)。MTXの用量は、臨床検査値と症状に基づいて、詳細なアルゴリズムに従い、必要があれば2ヵ月ごとに変更された。1次エンドポイントはプラセボと有意差なし、皮膚がんは有意増加 その結果、2.3年間(中央値)の追跡期間後、当初の1次エンドポイントであるMACE(心血管系[CV]死亡・心筋梗塞・脳卒中)のリスクは両群間に有意差を認めなかった(MTX群:3.46%/年、プラセボ群:3.43%/年、p=0.91)。盲検解除前に追加されたもう1つの1次エンドポイント「MACE・緊急血行再建が必要となる不安定狭心症」でも、同様だった(MTX群:4.13%/年、プラセボ群:4.31%/年、p=0.91)。 一方、肝機能異常、白血球減少症の発現はMTX群で有意に多く、基底細胞がん以外の皮膚がんが有意に増えていた(33例 vs.12例、p=0.0026)。炎症性サイトカインも減少せず Ridker氏が強調したのは、炎症性サイトカインの変化が、CANTOS試験と異なっていた点である。すなわち、インターロイキン-1β(IL-1β)抗体を用いたCANTOSではIL-1βはもとより、IL-6、hs-CRPも減少していたが、CIRTではいずれのマーカーの低下も認めなかった。このためCVイベント抑制には、IL-1βからCRP産生に至る経路の遮断が重要と考えられた。Ridker氏は、NLRP3インフラマソームやIL-6をターゲットにした治療による、CVイベント抑制の可能性を指摘した。 本試験は米国NHLBIからの資金提供を受けて行われた。また発表と同時に、NEJM誌にオンライン掲載された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「速報!AHA2018」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。■関連記事メトトレキサート、重症円形脱毛症に有効

20142.

高用量鉄剤静注は貧血改善や赤血球造血刺激因子製剤(ESA)節減には良いが…(解説:浦 信行 氏)-955

 血液透析患者において、鉄剤静注は経口鉄剤投与に比較して貧血改善やESA節減には良いとする報告は、システマティックレビューではあるが2013年のBMJに報告されている。また、5万8,058例を対象とした観察研究において、高用量鉄剤静注群では低用量静注群に比較して投与量が400mg/月を超えると死亡や心血管リスクは上昇するが、それ以下では用量依存性にそれらのリスクを減らすとの2005年のAm J Soc Nephrolの報告もある。今回の研究はそれらと軌を一にする結果であり、前向き研究で高用量群と対照の低用量群との比較で示したことに大きな意義はあり、注目に値する。 しかし、投与量が200mg/月を超えるとリスクが上昇するとの報告や、わが国の研究においては50mg/週を超えると心血管リスクが上昇し、感染症のリスクも上昇すると報告されている。前掲のレビューでも感染症のリスクは有意に上昇したと報告されている。本研究では両群の感染症のリスクに差がなかったと報告している。また、低用量群での平均血清フェリチン量は150~200mg/mLであり、確かにわが国の2015年の日本透析医学会のガイドラインでの上限の300mg/mLを超えてはいない。それまでの報告ではこの上限を超えると感染症や心血管リスクの増大、そして肝臓への重篤な鉄沈着の可能性が報告されていた。 今回は感染症だけでなく心血管疾患発症のリスクの上昇もないと報告されているが、いくつかの懸念は残る。まず、これらを評価するのに2,141例の2.1年の試験で十分であるか、次に、両群いずれも心血管疾患発症と死亡の複合エンドポイントが30%を超えており、比較的多発している対象であること、加えて筆者らも限界としているが、英国1国だけの研究であることなどが挙げられる。 基礎疾患や病態の背景、人種や環境要因の差などを考えると、わが国の貧血治療にすぐに当てはめるのは早計と思われ、わが国での同様の検討が必要と考える。

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第7回 心房細動の“心拍数”どう議論する?【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第7回:心房細動の“心拍数”どう議論する?「心房細動(AF)」の診断法については第4回で扱いました。その大きな特徴の1つが“絶対性不整脈”で、ランダムなタイミングでQRS波が出現することでしたね。今回は、AF時の心拍数の考え方についてレクチャーします。症例提示69歳、女性。高血圧にて内服中。数日前から感冒症状とともに不定期の動悸を自覚。朝食後に胸部不快感が出現し夕方まで安静にしていたが、治まらないため救急受診した。体温37.2℃、血圧171/120mmHg、脈拍130/分、酸素飽和度99%。来院時の心電図を以下に示す(図1)。(図1)来院時心電図画像を拡大する【問題1】心電図所見として正しいものを2つ選べ。1)洞(性)頻脈2)心房粗細動3)左軸偏位4)完全右脚ブロック5)左室高電位(差)解答はこちら2)、3)解説はこちら1)×:“イチニエフ法”を思い出しましょう。“洞”には「洞調律です」との意味が込められていますが、図1にはその“証”がありませんね。2)○:R-R不整・頻脈・細動波(f波)の3徴候が合致するので、自信を持ってAFと診断しましょう。3)○:心電図の読み型、“クルッと”の“ル”はR波(スパイク)・チェックです。QRS波の「向き」を見ると、I誘導はOK(上向き)ですが、II・aVF誘導が下向きなので「左軸偏位」です。4)×:「脚ブロック」はQRS「幅」がワイドな時に考えますが、今回は正常幅(狭い:narrow)なので不適です。5)×:QRS波の「高さ」はどうでしょう。“高すぎ”(左室高電位)ではありません。「R波高がV5またはV6誘導>26mm」や「V1誘導のS波(深さ)+V5誘導のR波(高さ)>35mm」などが代表的な基準ですが、V4~V6誘導でR波が1つ上の誘導まで伸びて重なっている“密集感”をチェックすることが、ボクは大切だと思っています。まずは、お決まりの心電図の系統的チェック(第1回参照)。R-R間隔は不整。次に心拍数を見ようと思うと、QRS波があまりにバラついていて、どこのR-R間隔で見ていいのか悩みます。自動診断をチラ見すると「心拍数:144/分」となっているので、頻脈(拍)なのでしょう。R-R間隔の不整に加えて、洞性P波の見る影もない時、ボクのオススメはV1誘導でしたね(図2)。(図2)V1誘導のみ抽出画像を拡大するここからはAFの診断法の復習です(第4回参照)。1つ1つ、“心電図の読み型”に照らし合わせながら確認していきます。AFの特徴は“レーサー・チェック”のみで診断できる不整脈で、細動波(f波)がV1誘導で最も見つけやすいこと。実際、図2でもQRS波の合間の至るところにグチャグチャなf波が確認できるので間違いありません。なお、このf波、比較的まとまって振幅の大きい波に見えるため、人によっては「心房粗動」を連想することも。でも、f波同士は完全に等間隔ではなく、II、IIIなど他の誘導では“カオス(chaotic)”な小波なので、問題の選択肢2)のように「心房粗細動」という表現がベターでしょう。“粗”が一文字入るだけで、心房粗動の雰囲気が漂いますでしょ?AFと関係なくとも、QRS波などの残りのチェックをDr.ヒロ謹製の語呂合わせに沿ってコンプリートしましょう。これがとても大事です。「(異常)Q波」はaVL誘導を指摘。R波の「向き」は解説内の通り、左軸偏位で「高さ」と「幅」は問題ありません。続けて「ST偏位」はなし、f波の影響でわかりにくいですが、「T波異常」もなしでいいでしょう。最後の“バランス・チェック”では、P波がなくてR-R間隔も不整なので、スルーでOK。QT間隔が少ーし長いかな、程度で許して下さい。これは頻脈による影響が強いと思います。ということで、心房粗細動と判断できたので、いよいよ今回の本題をどうぞ。【問題2】心電図(図1)の心拍数について述べよ。解答はこちら心拍数は約140/分・速い心室応答を伴う心房細動(頻脈性心房細動)解説はこちらR-R間隔が整の場合の「心拍数の求め方」は、以前に3つの方法をご紹介しました(第3回参照)。AFではR-R間隔が不整ですから、心拍数を自分で求めようと思ったら、基本的には“検脈法”しかありません。QRS波が左の肢誘導に11個、右の胸部誘導では13個あるので、1分(60秒)に換算して144/分(24✕6)となります。さて、残るはこの暫定的な心拍数をどう述べるか、それが今回のキモなわけです。心房細動は“ランダム”なのに、たった10秒間から推定したこの値自体に意味があるのでしょうか…?『いやいや、もともと“絶対性不整脈”というアダ名のある不整脈なんだから、1秒先、いや1拍先の状況だって読めません。それなのに1分間の心拍回数を特定の値で表現することなんて無意味でしょ』…そんな風に言っちゃうアナタのご意見も正論です。AFな時の心拍数は、異常なペースの心房興奮の一部が房室結節を通して心室に伝わることで決まります。これを心房からの“入力”に対する心室側の“応答”ととらえ、心室応答(ventricular response[VR])と呼びます。『シ、シンシツオートー?ひゃー難しそうー(泣)』…なんて敬遠しないで。AFの場合、次の表のような3区分の心室応答で心拍数を表現することが多いです。区切りの値としては洞調律の時と同じですよね。(表)画像を拡大するというわけで、以上から導かれる結論は「心拍数140/分程度の速い心室応答を伴った心房細動」。これが今回の正解です。“頻脈性心房細動”というシンプルな言い方もありますが、50~99/分の時も心房細動の心拍数にコメントする意味では「心室応答」の方が汎用性のある言い方になります。今回の症例はどうでしたでしょう? AFは文字通り“不整”脈、頻脈性不整脈の代表選手で、動悸を感じて病院を受診するというのが典型的なストーリーです。今回登場した患者さん曰く、『こんなに動悸が長く続いたのは初めて』とのことだったので、1泊の短期入院をしてもらいました。数時間ほど経過を見ていると、AFは自然停止して症状も消えました。よって、この方の動悸は「発作性心房細動」による可能性が高い、と考えれば良いでしょう。洞調律となった心電図(図3)を見て下さい。(図3)頻拍停止時の心電図洞調律(84/分)、左軸偏位、左房拡大の所見あり画像を拡大するもちろんQRS波形は変わりませんが、新たに登場したP波はどうしょうか?“ピッタリ”のP波を思い出して…“2コブ”で幅広いP波(II、V5など)、V1誘導で後半の陰性部分が深掘れですから「左房拡大」を指摘できます。左房圧が高くて肺静脈に“プレッシャー”がかかってそうだなぁ。AFを起こして不思議じゃない、まさにそんな心電図ですよね。Take-home Message1)心房細動の心拍数は“検脈法”で求めよう2)暫定値を使って「心室応答」の様子を語れたら完璧!【古都のこと~等持院その2~】前回に続き等持院。庫裏(くり)から入るや否や、達磨図に遭遇します。関牧翁の手に成る、天龍寺派らしいシンボルです。住職曰く、「“自分を映す鏡”。御姿は見るたびに異なり、一日たりとも同じ表情と感じることはない」とのこと。人は自分自身を見つめ直すために寺を訪れるそうで、ボクも禅宗の考えに何かが刺激されたのか、帰り際に見た達磨がわずかに微笑んでいるような気がしました。

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第14回 残薬問題は「なぜ」から始めよ【週刊・川添ラヂオ】

動画解説残薬に対する施策が各所で行われていますが、川添先生が思う薬剤師としてまずやるべきことは、患者さんがなぜ飲めないのかという原因を考えること。薬が飲めない理由は一人ひとり違い、理由がわからなければ、対策を打つことはできません。今回は残薬の原因となる3つの因子についてお話しします。

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スタチンにアリロクマブ追加で、ACS症例のイベント抑制/NEJM

 抗PCSK9モノクローナル抗体アリロクマブは、急性冠症候群(ACS)の既往歴を有し、高用量スタチン治療を行ってもアテローム生成性リポ蛋白の値が高い患者において、虚血性心血管イベントの再発リスクを有意に低減することが、米国・コロラド大学のGregory G. Schwartz氏らが行ったODYSSEY OUTCOMES試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年11月7日号に掲載された。ACS患者は、現行のエビデンスに基づく治療を行っても虚血性心血管イベントの再発リスクが高い。これまで、PCSK9抗体がACS発症後の心血管リスクを改善するかは不明とされていた。LDL-C 25~50mg/dLを目標とする用量調節戦略を検討 ODYSSEY OUTCOMESは、57ヵ国1,315施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験。2012年11月~2015年11月(中国のみ2016年5月~2017年2月)の期間に無作為割り付けが行われた(SanofiとRegeneron Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢40歳以上、無作為割り付け前の1~12ヵ月の期間にACS(心筋梗塞または不安定狭心症)で入院し、LDLコレステロール値70mg/dL以上、non-HDLコレステロール値100mg/dL以上、アポリポ蛋白B値80mg/dL以上のいずれかを満たし、高用量スタチン(アトルバスタチン40~80mg、ロスバスタチン20~40mg)またはこれらのスタチンの最大耐用量の投与を受けている患者であった。 被験者は、アリロクマブ75mgまたはプラセボを2週ごとに皮下投与する群にランダムに割り付けられた。アリロクマブの用量は、LDLコレステロール値25~50mg/dLを目標に、盲検下で調節された。 主要エンドポイントは、冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞、致死的または非致死的虚血性脳卒中、入院を要する不安定狭心症の複合であった。ベネフィットはLDL-C値100mg/dL以上の患者でより顕著 1万8,924例が登録され、アリロクマブ群に9,462例(平均年齢:58.5±9.3歳、女性:25.3%)、プラセボ群にも9,462例(58.6±9.4歳、25.1%)が割り付けられた。全体のACS患者のうち、心筋梗塞が83.0%、不安定狭心症が16.8%であった。患者の92.1%がLDLコレステロール70mg/dL以上であり、non-HDLコレステロール100mg/dL以上のみを満たした患者は7.2%だった。フォローアップ期間中央値は2.8年。 ベースライン時の全体の平均LDLコレステロール値は92±31mg/dLであった。アリロクマブ群の平均LDLコレステロール値は、4ヵ月後には40mg/dLに低下し、12ヵ月後は48mg/dL、48ヵ月後は66mg/dLであった。これに対し、プラセボ群の平均LDLコレステロール値の推移は、それぞれ93、96、103mg/dLであった。 主要複合エンドポイントのイベント発生率は、アリロクマブ群が9.5%(903例)と、プラセボ群の11.1%(1,052例)に比べ有意に低く、推定4年発生率はそれぞれ12.5%および14.5%であった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.78~0.93、p<0.001)。4年間に、主要エンドポイントのイベントを1件予防するのに要する治療必要数は49例だった。 主な副次エンドポイントのうち、冠動脈性心疾患イベント(冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞、入院を要する不安定狭心症、虚血による冠動脈血行再建術)(12.7 vs.14.3%、HR:0.88、p=0.001)、主要冠動脈性心疾患イベント(冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞)(8.4 vs.9.5%、0.88、p=0.006)、心血管イベント(冠動脈性心疾患死、非致死的心筋梗塞、入院を要する不安定狭心症、虚血による冠動脈血行再建術、非致死的虚血性脳卒中)(13.7 vs.15.6%、0.87、p<0.001)、全死因死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的虚血性脳卒中の複合(10.3 vs.11.9%、0.86、p<0.001)の発生率は、アリロクマブ群で有意に良好であった。 また、複合主要エンドポイントに関するアリロクマブの絶対ベネフィットは、ベースラインのLDLコレステロール値100mg/dL以上の患者が、100mg/dL未満の患者よりも大きかった(交互作用検定のp<0.001)。アリロクマブ群の3.5%(334例)、プラセボ群の4.1%(392例)が死亡した(HR:0.85、95%CI:0.73~0.98)。 有害事象および検査値異常の発生率は、アリロクマブ群で局所の注射部位反応(そう痒、発赤、腫脹)(3.8 vs.2.1%、p<0.001)が有意に高頻度であったが、これ以外は両群でほぼ同等であった。重篤な有害事象はアリロクマブ群が23.3%、プラセボ群は24.9%に認められた。 著者は、「盲検下の用量調節戦略が、安全性や有効性に影響を及ぼしたかは不明である」としている。

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高血圧・喫煙・糖尿病は、男性以上に女性の心筋梗塞リスクを増加/BMJ

 心筋梗塞の発生率は、男性が女性の約3倍だが、心筋梗塞とそのリスク因子である高血圧、喫煙、糖尿病との関連は女性のほうが強いことが、英国・オックスフォード大学のElizabeth R C Millett氏らの調査で明らかとなった。さらに、心筋梗塞とリスク因子の関連の強さは、男女とも加齢とともに減弱するものの、女性における過剰なリスクは相対的に低下しないことも示された。研究の成果は、BMJ誌2018年11月7日号に掲載された。心筋梗塞の発生率は、若年時には女性が男性よりも低いが、加齢に伴いその差は小さくなる。以前のメタ解析において、心筋梗塞といくつかのリスク因子の関連に性差があることが示されているが、解析に含まれた試験には交絡因子調整の水準にばらつきがあり、年齢層別の性差の検討を行っていない試験も含まれたという。英国の心血管疾患の既往のない47万人の前向きコホート研究 研究グループは、心筋梗塞のリスク因子の性差について調査し、年齢別の変動を評価する目的で、人口ベースの前向きコホート研究を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成による)。 UK Biobank(2006~10年に、英国の22施設から40~69歳の50万2,628例を前向きに登録)の参加者から、心血管疾患の病歴のない47万1,998例(平均年齢:56.2歳、女性:56%)のデータを収集した。 主要評価項目は、致死的または非致死的心筋梗塞の発症とし、心筋梗塞の6つのリスク因子(血圧、喫煙状況、糖尿病、BMI、心房細動、社会経済的地位)の評価を行った。同じ20本の喫煙でもリスクは2倍、治療・予防策へのアクセスは男女同じに 平均フォローアップ期間7年の間に、5,081例(女性は1,463例[28.8%])が心筋梗塞を発症した。1万人年当たりの発生率は、女性が7.76(95%信頼区間[CI]:7.37~8.16)と、男性の24.35(23.57~25.16)に比べて低かった。心筋梗塞の発生率は、1型糖尿病を除くその他すべての因子について、女性よりも男性のほうが高かった。 男女ともに、血圧、喫煙強度、BMIの上昇および糖尿病の存在が、心筋梗塞のリスク増加と関連したが、これらの関連の強さは加齢に伴い減弱した。 女性は男性に比べ、収縮期血圧の20mmHg上昇(男女のハザード比[HR]の比:1.09、95%CI:1.02~1.16)、血圧120~129/<80mmHg(1.83、1.33~2.52)、現喫煙(1.55、1.32~1.83)、20本以上/日の喫煙(2.01、1.57~2.57)、1型糖尿病(2.91、1.56~5.45)、2型糖尿病(1.47、1.16~1.87)が、心筋梗塞の発症と、より強く関連した。これらのHRの比はいずれも、年齢の上昇とともに低下するとのエビデンスは認められなかった(p>0.2)。 著者は、「人口の高齢化が進み、生活様式に関連するリスク因子の有病率が上昇するにしたがって、女性の心筋梗塞の発生率は、男性の発生率に近づく可能性が高いだろう」と指摘し、「糖尿病および高血圧のガイドラインに基づく治療と、減量および禁煙を支援するリソースには、中高年の男女とも同じようにアクセスできるようにすべきである」としている。

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統合失調症に関する10年間の調査~実臨床のためのレビューとレコメンド

 フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のF. Schurhoff氏らは、統合失調症専門家のための学術研究センター(FondaMental Academic Center of Expertise for Schizophrenia:FACE-SZ)グループによる最初の10年間のコホート研究について報告を行った。L'Encephale誌オンライン版2018年10月13日号の報告。 FACE-SZでは、700以上のコミュニティで安定している患者を募集し、現在まで評価を行っている。対象者は、平均年齢32歳、男性の割合75%、平均罹病期間11年、平均発症年齢21歳、統合失調症の平均未治療期間1.5年、喫煙者55%であった。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームの有病率は、一般集団と比較し2倍であり、正しい評価や治療が行われていなかった。・ベンゾジアゼピン使用患者および慢性低悪性度末梢炎症患者において、認知機能低下が認められた。・うつ病の合併は、対象患者の約20%で認められた。・うつ病は、QOL低下や統合失調症の喫煙者におけるニコチン依存症の増加と関連が認められた。・うつ病および陰性症状の改善は、統合失調症患者のQOL改善のための最も効果的な治療戦略であると考えられる。・大麻使用患者および発症年齢が19歳未満の患者では、統合失調症の未治療期間が長くなる傾向が認められた。・治療開始後、主観的にネガティブの印象を報告した患者では、錐体外路症状や体重増加などの客観的な副作用とは無関係に、治療に対するアドヒアランスが低下した。・アカシジアは、統合失調症の18%で認められ、これは抗精神病薬の多剤併用と関連が認められた。 結果を踏まえ、臨床ケアを行う際の、著者らのレコメンドは以下のとおりである。・統合失調症の早期診断は、青年および大麻使用者でとくに強化すべきである。・すべての患者において、治療開始時および安定後に総合的な神経心理学的評価を行わなければならない。・代謝パラメータや生活習慣(食生活や身体活動)の改善を強化すべきである。・ベンゾジアゼピンおよび抗精神病薬の多剤併用については、ベネフィット/リスク比を定期的に再評価し、できるだけ早い段階で是正すべきである。・うつ病の改善は、統合失調症のQOLを大幅に改善する可能性があるため、うつ病の診断、治療を行うべきである。・認知リハビリテーション療法や抗炎症戦略は、より治療戦略に組み込むべきである。■関連記事統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬治療中止に関する20年間のフォローアップ研究統合失調症患者の強制入院と再入院リスクとの関連~7年間のレトロスペクティブコホート研究

20148.

MI後標準治療下でのhsCRP高値例、IL-1β抗体で心不全入院減少の可能性:CANTOS探索的解析/AHA

 慢性心不全例における、炎症性サイトカインの増加を報告する研究は少なくない。しかし、心不全例に対する抗炎症療法の有用性を検討したランダム化試験“ATTACH”と“RENEWAL”は、いずれも有用性を示せずに終わった。そこで、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrendan M. Everett氏らが、心筋梗塞(MI)後、非心不全例を含む高hsCRP例への抗炎症療法の心不全入院作用を検討すべく、ランダム化試験“CANTOS”の探索的解析(事前設定解析)を行った。その結果 、インターロイキン(IL)-1β抗体による用量依存性の心不全入院減少の可能性が示唆された。11月11日、米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会のRapid Fireセッションにおいて報告された。MI後標準治療下でhsCRP高値例が対象 CANTOS試験の対象となったのは、MI後、スタチンを含む積極的2次予防療法にもかかわらず、hsCRPが「≧2mg/L」だった1万61例である。平均年齢は61歳、約8割がレニン・アンジオテンシン系抑制薬を服用しており、およそ2割はすでに慢性心不全と診断されていた。 これら1万61例は、IL-1β抗体であるカナキヌマブ(50mg、150mg、300mg皮下注/3ヵ月)群とプラセボ群にランダム化され、二重盲検法で追跡された。hsCRP著明低下例では心不全入院リスク有意低下 3.7年間(中央値)の追跡期間中、385例(3.8%)が心不全で入院した。うち、約60%は試験開始時に心不全を認めた例だった。 プラセボ群と比較したカナキヌマブ群の「心不全入院」ハザード比[HR]は、50mgで1.04(95%信頼区間[CI]:0.79~1.36)、150mg群で0.86(95%CI:0.65~1.13)、300mgで0.76(95%CI:0.57~1.01)となり、有意な用量依存性の減少傾向を認めた(傾向のp=0.025)。「心不全死・心不全入院」で比較しても、同様の用量依存性が認められた(傾向のp=0.042)。 さらにカナキヌマブ群を全用量併合すると、「到達hsCRP<2mg/L」例では、プラセボに比べ心不全入院リスクの有意な低下が観察された(HR:0.80、95%CI:0.70~0.91)。「hsCRP50%以上低下」例でも同様だった(HR:0.86、95%CI:0.77~0.97)。 本試験はNovartisの資金提供を受けて行われた。また発表と同時に、Circulation誌オンライン版で公開された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「速報!AHA2018」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

20150.

青年期心血管疾患発症リスク評価における米国新規血圧分類の有用性の検証(CARDIA研究から)(解説:冨山博史氏)-953

 従来、140/90mmHg以上が、高血圧として定義されてきた。しかし、2017年に発表された米国高血圧ガイドラインでは収縮期血圧120~129mmHgを血圧上昇(elevated blood pressure)、130~139/80~89mmHgをI度高血圧(StageI高血圧)とし、血圧異常の範疇を拡大することを提唱した。一方、2018年に発表された欧州高血圧ガイドラインでは血圧分類は従来のままで140/90mmHg以上を高血圧と定義している。こうした血圧異常の定義の乖離は、さまざまな議論を呼んでいる。 CARDIA研究は、40歳未満の米国住人における心血管疾患発症危険因子と冠動脈疾患発症の関連を調査する前向き観察研究である。本研究は、同研究コホートにて血圧上昇(収縮期血圧120~129mmHg/拡張期血圧80mmHg未満)およびI度高血圧(130~139/80~89mmHg)が、正常血圧(収縮期血圧120mmHg未満/拡張期血圧80mmHg未満)に比べて心血管疾患発症リスクが高いかを検証した。観察開始時40歳未満の4,851例が18.8年経過観察された。心血管疾患発症は、正常血圧群に比してハザード比は血圧上昇群で1.67、I度高血圧群で1.75と有意な上昇を確認している(総死亡には有意な差を認めなかった)。 CARDIA研究の結果は、青年期の軽度の血圧異常も心血管疾患発症のリスク指標であることを示した。そして、血圧上昇群、I度高血圧群では正常血圧群に比してBMIが大きく、糖・脂質代謝異常合併も多いことが確認できる(とくにI度高血圧で、正常血圧群と有意差を認めた)。このように血圧上昇自体がリスクであるか、こうした軽度血圧異常に合併する心血管疾患発症に関連する病態異常が複合的にリスクとして作用するかは明確でない。いずれにしても本研究の結果は、軽度血圧異常の症例では、肥満、糖・脂質代謝異常などにも注意を払う重要性が確認された研究である。 本研究では、各血圧重症度群のその後の血圧異常の進展や降圧薬使用頻度に関しては言及していない。今後、血圧上昇群、I度高血圧群に対するイベント発症抑制のための有用な介入プログラム(経過観察方法、生活習慣改善指導あるいは積極的降圧薬治療など)を確立する必要がある。

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兄弟を47年間体内に宿し続けた男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第127回

兄弟を47年間体内に宿し続けた男性 いらすとやより使用 奇妙なタイトルですね。自身の兄弟を、何と47年間も宿し続けたという男性がいるのです。 Surgery. 1992;112:598-602.Rev Soc Bras Med Trop. 2012;45:390-392.47歳の男性が、「私は生まれたころからおなかに腫瘍があるんだ、でも症状はないんだけど…」と病院へやってきました。生まれたころからある腫瘍であれば、悪性腫瘍の可能性は低いでしょう。主治医は、腹部の腫瘍の精査を始めました。すると、腹部CT写真で、20cmほどの巨大な腫瘍が見つかりました。お、大きい。予想よりもはるかに大きい。この男性は手術を受けました。その20cmの腫瘍は良性腫瘍でも悪性腫瘍でもありませんでした。それは、赤ちゃんでした。―――へっ? 彼はおなかに妊娠していたのでしょうか?いいえ、違います。この20cmの赤ちゃんは、本来は彼と一緒に生まれてくるはずだった、双子の片割れだったのです。妊娠の間に何らかの異常があったのでしょう、赤ちゃんの1人はなぜかもう1人の兄弟の体の中に入り込みました。そして、おそらくどこかの時点で死亡したに違いありません。死亡した赤ちゃんの体は、その男性の体の中に封じ込められることとなりました。このような病態を「胎児内胎児(fetus in fetu:FIF)」と呼びます。ショッキングなネーミングですが、1960年にLewisがこう名付けて以来1)、世界中でこう呼ばれ続けている病名です。本来であれば出生直後~1歳くらいにはFIFに気付くため、通常摘出されます。しかし、世界にはこの男性のように何十年間も兄弟を体に宿し続けながら生活していた人も存在します。FIFの中には、複数の足があったり手があったり、わかりやすい例もあります。実際、足が3本生えてストリッパーとして活躍した女性も存在します。多くはおなかの中にFIFが入り込みますが、まれに頭の中に入っているという報告もあります(世界で20例も報告されていないそうです)2,3)。FIF自身は当然ながら生存することはできないため、腫瘍と同じように摘出することで治療されます。無症状の場合、経過観察も1つの選択肢です。※この論文は、拙著『本当にあった医学論文3』にも掲載させていただきました(内容を一部変更しています)。1)Lewis RH. Arch Dis Child. 1961;36:220–226.2)Marnet D, et al. Childs Nerv Syst. 2008;24:887-891.3)Traisrisilp K, et al. J Clin Ultrasound. 2017 Nov 28. [Epub ahead of print]

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男性医学を考える:第18回日本Men's Health医学会

このコーナーは日本Men's Health医学会の協力のもと、2018年7月14~15日に行われた第18回日本Men's Health 医学会の演題を一部抜粋してご紹介します。 ランチョンセミナー1「男性医学2018」座長:弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座 大山力氏演者:順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 堀江重郎氏動画ページはこちら順天堂大学 堀江重郎氏による、テストステロンを高める方法、ゲノム医療と男性医学について最新の知見の紹介。 特別講演2「黄昏流星群にみる男性の生き方」座長:順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 堀江重郎氏演者:漫画家 弘兼憲史氏動画ページはこちら今話題の『黄昏流星群』の著者、漫画家 弘兼憲史氏が、中高年の恋愛について分析。日本Men's Health医学会は、2006年に結成され、男性医学と男性の健康に関する研究・調査と情報提供活動をおこなっています。日本Men’s Health医学会ホームページ

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双極I型障害と双極II型障害の親と子の間の精神病理的相違に関する横断研究

 双極I型障害(BP-I)および双極II型障害(BP-II)を有する親と子の間の精神病理学的な相違について、韓国・順天郷大学校のHyeon-Ah Lee氏らが検討を行った。Psychiatry Investigation誌オンライン版2018年10月26日号の報告。 対象は、BP-IまたはBP-IIの親を有する6~17歳の子供201例。感情病および統合失調症の児童用面接基準(K-SADS)- Present and Lifetime Version韓国版を用いて対照児の評価を行った。Lifetime DSM-5診断、うつ病、小児期のトラウマを含めた精神病理学的および臨床的特徴について評価を行った。Lifetime DSM-5診断は、6~11歳の小学生と12~17歳の青年の間でも比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・Lifetime DSM-5診断において、BP-Iの親を有する子供は、BP-IIの親を有する子供よりも、大うつ病性障害およびBP-Iを発症するリスクが有意に高かった。・臨床的特徴に関して、BP-Iの親を有する子供は、BP-IIの親を有する子供よりも、ADHD評価スケールおよび小児トラウマスケールが有意に高かった。 著者らは「本研究は、BP-IとBP-IIが病理学的に異なる可能性を示唆している。BP-IとBP-IIの相違点の理解を深めるためには、双極性障害の子供に関するさらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事双極性障害、リチウムは最良の選択か学歴とうつ病の関連は、遺伝か、環境か子供の好き嫌いの多さに影響する親の精神症状

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新規NK1受容体拮抗薬fosnetupitantの可能性/治療学会

 新規NK-1受容体拮抗薬fosnetupitantは、NK1受容体に対して高い選択性を有するnetuspitantのプロドラッグである。また、長い半減期を有し、第I相試験で日本人患者に良好な成績を示している。第56回日本治療学会学術集会では、浜松医科大学 乾 直輝氏らが、第II相Pro-NETU試験の結果を発表した。 Pro-NETU試験は、シスプラチン(CDDP)ベースの化学療法を受けている患者における、fosnetupitant 81mgと235mgの有効性と安全性を評価する目的で行われた多施設二重盲検プラセボ対照用量決定試験。・対象:CDDP 70mg/m2以上のレジメンを受ける、20歳以上で、高度および中等度催吐性化学療法の治療歴のない患者・試験薬: [fosnetupitant 81mg群]fosnetupitant(81mg)+パロノセトロン(0.75mg)+デキサメタゾン(9.9/6.6/6.6/6.6mg) [fosnetupitant 235mg群]fosnetupitant(235mg)+パロノセトロン(0.75mg)+デキサメタゾン(9.9/6.6/6.6/6.6mg)・対象薬:プラセボ+パロノセトロン(0.75mg)+デキサメタゾン(13.2/6.6/6.6/6.6mg)・評価項目: [主要評価項目]全段階(化学療法開始0~120時間)における化学療法投与後0~120分後の完全奏効(CR:嘔吐なし、救済療法なし)率。 [副次評価項目]年齢、性別で無調整のCR率、Complete Protection Rate、安全性プロファイルなど。 仮説CR率はプラセボ50%、81mg群65%、235mg群65%であった。 主な結果は以下のとおり。・594例が、プラセボ群に197例、fosnetupitant 81mg群に199例、fosnetupitant 235mg群に198例に、無作為に割り付けられた。・全CR率は、プラセボ群54.7%、fosnetupitant 81mg群63.8%(p=0.061)、fosnetupitant 235mg群76.8%(p<0.001)と、235mg群で有意に改善した。・無調整のCR率は、fosnetupitant群は全用量群、急性期、遅発期のいずれにおいても、効果と用量は相関した。・fosnetupitant群における有害事象の発現傾向はプラセボと同等であった。また、インフュージョンリアクションの発現は1%で、すべてGrade1~2であった。 fosnetupitantの推奨用量は235mgであり、これは米国での承認用量と同様であった。

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高齢者が筋肉をつける毎日の食事とは

 現在わが国では、高齢者の寝たきり防止と健康寿命をいかに延伸させるかが、喫緊の課題となっている。いわゆるフレイルやサルコペニアの予防と筋力の維持は重要事項であるが、それには毎日の食事が大切な要素となる。 2018年10月31日、味の素株式会社は、都内で「シニアの筋肉づくり最前線 ~栄養バランスの良い食事とロイシン高配合必須アミノ酸による新提案~」をテーマにメディアセミナーを開催した。セミナーでは、栄養学、運動生理学のエキスパートのほか、料理家の浜内 千波氏も登壇し、考案した料理とそのレシピを説明した。高齢者の筋肉の維持と増加に必要なたんぱく質の量 はじめに「筋肉づくりの観点から見た日本人のたんぱく質摂取の現状と課題」をテーマに、高田 和子氏(国立健康・栄養研究所 栄養ガイドライン研究室長)が、サルコペニアを予防する1日のたんぱく質必要摂取量を解説した。 「国民健康・栄養調査(2012年版)」を資料に説明。筋肉の維持と増加のためには成人1日あたり体重1kgにつき1.0~1.2gのたんぱく質が必要であり、健康な高齢者でも同じ量が、慢性疾患のある高齢者では1.2~1.5gが必要であるとされる。また、「サルコぺニア診療ガイドライン 2017」(日本サルコペニア・フレイル学会 編)では、1日1kgあたり1.0g以上のたんぱく質摂取が強く推奨され、同様に「フレイル診療ガイドライン 2018年版」(日本老年医学会、長寿医療研究センター 発行)では、栄養状態はフレイルと関係し、微量栄養や血清ビタミンD低値はリスクとなると記載されている。実際摂取量を計測した研究では、高齢になればなるほどたんぱく質必要量の1.2gに満たない割合が男女ともに増え、また、いずれの年代でも女性では朝・昼食では基準値以下であることが判明したという。 サルコペニアに着目したアミノ酸の摂取推奨量では、たんぱく質25~30g摂取時にロイシンが2.5~2.8g含まれると、たんぱく質同化の閾値が高くなるという報告があり、「必須アミノ酸混合物を食事に追加するとよい」と提案を行った。その一方で、日本人のロイシン摂取量の研究では、男女ともに全年代の半数近くが1日必要量が摂取できていなかったという1)。 以上から同氏は、高齢者は筋肉をつける「たんぱく質の摂取量をもう少し増やす必要があり、各食事での摂取量や質も考慮する必要がある。日本人の適量については、今後さらなる研究が必要」と課題を呈示し、説明を終えた。高齢者はレジスタンス運動後の必須アミノ酸で筋肉を増やす 次に藤田 聡氏(立命館大学スポーツ健康科学部 教授)を講師に迎え、「必須アミノ酸ロイシンと運動による筋肉づくり」をテーマにレクチャーが行われた。 加齢に伴い骨格筋量は減少し、60代からその減少は加速する。減少を抑えるためには、筋肉量の維持・増大が必要であり、食事で良質なたんぱく質を摂取する必要がある。その際、たんぱく質を筋肉に合成するスイッチとして、アミノ酸が不可欠となる。このアミノ酸の中でもロイシンは重要であり、空腹時でも筋肉合成をオンにする作用があることが報告されている。また、ロイシン濃度は筋肉の合成量に比例して影響するとされているが、高齢者になるとロイシンに抵抗性が発生するため、筋肉の合成がうまくいかず徐々に筋肉が減少するという2)。そのため高齢者では、ロイシンをはじめとするアミノ酸摂取を強化し、食事から摂る必要があると指摘した。 筋肉の合成につき、たとえば筋トレなどのレジスタンス運動後は、筋たんぱく質の合成が急激に刺激されることがわかっており、とくに単回のレジスタンス運動でも、運動後その合成効果は2日間持続することが報告されている。 同氏は、最後にアドバイスとして「高齢者は、スクワットなどの手軽なレジスタンス運動後に必須アミノ酸を摂取することで、筋肉の合成を促進させ、フレイルやサルコペニアの予防に役立てることができる」と述べ、レクチャーを終えた。高齢者はたんぱく質が少ない傾向にあり栄養が偏りがち つづいて高田氏、藤田氏に加え、料理研究家の浜内 千波氏、同社取締役の木村 毅氏も加わり、「筋肉づくりに大切なたんぱく質がしっかり摂れる、簡単で美味しい食事とロイシン高配合必須アミノ酸の活用のススメ」をテーマに意見交換が行われた。発言では「高齢者では肉魚が少ない傾向にあり栄養が偏りがち」「朝食が簡単すぎ、少食すぎるのは問題」「できれば毎食5g程度のたんぱく質が必要」「肉や魚だけでなく、乳製品や大豆製品からもたんぱく質は摂れるので、飽きない献立作りが必要」など、日ごろから高齢者が筋肉をつける食事で注意すべきポイントが語られた。 また、よい食生活の合言葉である「さ(魚)あ(油)に(肉)ぎ(牛乳)や(野菜)か(海藻)い(イモ)た(卵)だ(大豆)く(果物)」(東京都健康長寿医療センター研究所が開発した食品摂取多様性スコアを基に作成されたロコモチャレンジ! 推進協議会考案)をテーマに考案されたレシピが、浜内氏より発表された。料理の特徴として、栄養バランスはもちろん、減塩、血糖値の維持、咀嚼のくせ付けなどに注意を払い作成されたという。 最後に一言として、高田氏は「たんぱく質の摂取の研究はこれからの課題。毎食少しの工夫でうまく摂ってほしい」、藤田氏は「筋肉量が多い人ほど病気の予後が良い。良質なたんぱく質の摂取を意識し筋肉を維持してほしい」、浜内氏は「食事が体を作る。今のライフスタイルに合わせて。食事にも気をかけてほしい」、最後に木村氏は「栄養バランスといいメニューをどう提供するか。健康長寿の延伸に資する製品を提供していきたい」とそれぞれ述べ、終了した。

20158.

若年時の血圧高値、中年以降CVイベントを招く?/JAMA

 40歳未満の若年成人で、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)ガイドライン2017の「正常高値」「ステージ1高血圧」「ステージ2高血圧」の該当者は、正常血圧者と比較し、その後の心血管疾患(CVD)イベントのリスクが有意に高いことが示された。米国・デューク大学の矢野 裕一朗氏らが、前向きコホート研究「Coronary Artery Risk Development in Young Adults(CARDIA)研究」の解析結果を報告した。これまで、若年成人の血圧と中年期のCVDイベントとの関連についてはほとんど知られていない。著者は、「ACC/AHA血圧分類は、CVDイベントリスクが高い若年成人を特定するのに役立つと考えられる」とまとめている。JAMA誌2018年11月6日号掲載の報告。18~30歳の約5千人を30年追跡、血圧分類4群のCVDイベント発生を評価 CARDIA研究は、米国4都市(アラバマ州バーミングハム市、イリノイ州シカゴ市、ミネソタ州ミネアポリス市、カリフォルニア州オークランド市)の施設において、18~30歳までのアフリカ系アメリカ人および白人計5,115例を登録し追跡しているコホート研究で、1985年3月に開始された。今回、2015年8月までのアウトカムを入手し解析した。 最初の検査~40歳前の最後の検査における最高血圧を用いて、被験者を「正常血圧」群(120/80mmHg未満、2,574例)、「正常高値」群(120~129/80mmHg未満、445例)、「ステージ1高血圧」群(130~139/80~89mmHg、1,194例)、「ステージ2高血圧」群(140/90mmHg以上または降圧薬服用、638例)に分類した。 主要評価項目は、CVDイベント(致死的および非致死的冠動脈疾患[CHD]、心不全、脳卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患)であった。正常血圧群と比較し正常高値群1.67倍、ステージ1群1.75倍、ステージ2群3.49倍 解析対象4,851例の調査開始時の平均(±SD)年齢は35.7±3.6歳、女性2,657例(55%)、アフリカ系アメリカ人2,441例(50%)、降圧薬服用206例(4%)であった。 追跡期間中央値18.8年において、CVDイベントの発生は228件であった(CHD 109件、脳卒中63件、心不全48件、末梢動脈疾患8件)。1,000人年当たりのCVD発生率は、正常血圧群1.37(95%信頼区間[CI]:1.07~1.75)、正常高値群2.74(95%CI:1.78~4.20)、ステージ1高血圧群3.15(95%CI:2.47~4.02)、ステージ2高血圧群8.04(95%CI:6.45~10.03)であった。 多変量調整後の正常血圧群に対するCVDイベントのハザード比は、正常高値群1.67(95%CI:1.01~2.77)、ステージ1高血圧群1.75(95%CI:1.22~2.53)、ステージ2高血圧群3.49(95%CI:2.42~5.05)であった。 なお、著者は研究の限界として、食塩摂取量や心理的要因などの残余交絡の可能性、他の人種/民族集団に一般化できない可能性などを挙げている。

20159.

チクングニア熱ワクチン、安全性と有効性を確認/Lancet

 麻疹ウイルスベクターを用いた弱毒生チクングニアワクチン(MV-CHIK)は、優れた安全性・忍容性と、麻疹ウイルスに対する既存免疫と独立した良好な免疫原性を発揮することが示された。ドイツ・Rostock University Medical CenterのEmil C. Reisinger氏らによる、MV-CHIKの第II相の無作為化二重盲検プラセボ/実薬対照試験の結果で、著者は、「MV-CHIKは、世界的に懸念されている新興感染症チクングニア熱の予防ワクチン候補として有望である」とまとめている。チクングニア熱は新興ウイルス性疾患で、公衆衛生上の大きな脅威となっている。チクングニアウイルスに対する承認されたワクチンはなく、治療は対症療法に限られていた。Lancet誌オンライン版2018年11月5日号掲載の報告。MV-CHIKの免疫原性、チクングニアウイルスに対する中和抗体の有無で評価 研究グループは、オーストリアとドイツの研究所4施設で、18~55歳の健康なボランティアを登録し、MV-CHIK(50%組織培養感染用量として5×104および5×105を筋肉注射)群、対照ワクチン(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の3種混合ワクチンの筋肉注射)群、麻疹ワクチン+MV-CHIK群(麻疹ワクチンを初回投与後、2つの異なる投与レジメンでMV-CHIKを筋肉注射)に無作為に割り付けた(データ管理サービスによる封筒法)。被験者と評価者は治療の割り付けについて盲検化され、プラセボは無菌食塩水を用いた。 主要評価項目は、免疫原性(56日時点[1回/2回の接種後28日]でのチクングニアウイルスに対する中和抗体の存在と定義)である。有効性の解析対象は、治験を完遂した全被験者(per-protocol集団)、ならびに無作為化され治験薬の投与を1回以上受けた全被験者(修正intention-to-treat集団)。安全性の解析対象は、治験薬の投与を1回以上受けた全被験者とした。MV-CHIKは忍容性が良好で免疫原性が高い 2016年8月17日~2017年5月31日に、被験者263例が対照ワクチン群(34例)、MV-CHIK群(195例)、麻疹ワクチン+MV-CHIK群(34例)に割り付けられ、per-protocol集団は247例であった。 チクングニアウイルスに対する中和抗体は、1回/2回の接種後の全MV-CHIK群で検出され、幾何平均抗体価は12.87(95%信頼区間[CI]:8.75~18.93)~174.80(95%CI:119.10~256.50)、抗体陽転率は投与量および投与スケジュールに応じ50.0~95.9%の範囲であった。 有害事象は両群間で類似しており、非自発的(solicited)に報告された有害事象の発現率はMV-CHIK群および麻疹ワクチン+MV-CHIK群を合わせて73%(168/229例)、対照ワクチン群で71%(24/34例)(p=0.84)、自発的(unsolicited)に報告された有害事象の発現率は、それぞれ51%(116/229例)および50%(17/34例)(p=1.00)であった。重篤な有害事象は報告されなかった。 現在、流行地域および米国におけるMV-CHIKの治験が進行中である。

20160.

急性非代償性心不全例へのARNi、ACE阻害薬よりNT-proBNP濃度が低下:PIONEER-HF/AHA

 アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNi)は、2014年に報告されたPARADIGM-HF試験において、ACE阻害薬を上回る慢性心不全予後改善作用を示した。米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会ではそれに加え、急性心不全に対する有用性も示唆された。11月11日のLate Breaking Clinical TrialsセッションでEric J. Velazquez氏(米国・イェール大学)が報告したランダム化試験"PIONEER-HF"である。急性心不全入院例が対象 PIONEER-HF試験の対象は、急性非代償性心不全(左室駆出率[LVEF]≦40%、NT-proBNP≧1,600pg/mL または BNP≧400pg/mL)で入院後、血行動態が安定した881例である。平均年齢は61歳、72%が男性だった。 これら881例はARNi(海外商品名:Entresto)群とACE阻害薬(エナラプリル)群にランダム化され、二重盲検法で8週間追跡された(それぞれ対照薬のプラセボも服用)。ランダム化時のLVEFは約25%、収縮期血圧は118mmHgだった(いずれも中央値)。ARNiでNT-proBNP濃度が有意に低下、予後改善の可能性も その結果、1次エンドポイントである8週間後のNT-proBNP濃度低下率は、ARNi群(46.7%)でACE阻害薬群(25.3%)に比べ、有意(p<0.0001)に高値となった。両群ともNT-proBNP濃度は経時的に低下し続けたが、群間差は、試験開始1週間後の時点ですでに明らかになっていた。 また、探索的エンドポイントではあるものの、56週間の「死亡・心不全再入院・LVAD植え込み・心移植待機リスト登録」リスクも、ARNi群で有意に低くなっていた(ハザード比:0.54、95%信頼区間:0.37~0.79、9.3% vs.16.8%)。14例をACE阻害薬からARNiに切り替えると、1例でこれらのイベントを回避できる計算になる。 これらの有効性は、「心不全既往の有無」「レニン・アンジオテンシン系阻害薬服用例の有無」にかかわらず認められた。 一方、2次エンドポイントである「腎機能増悪」や「高カリウム血症」「症候性低血圧」「血管浮腫」の発現率は、両群間に有意差を認めなかった。 本試験はNovartisの資金提供を受けて行われた。また報告と同時に、NEJM誌にオンライン掲載された。なおEntrestoは、HFpEF例の心血管系死亡・心不全入院抑制作用をARBと比較するランダム化試験"PARAGON-HF"が進行しており、来年3月に終了予定である。「速報!AHA2018」ページはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

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