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生成AI(GenAI)は、われわれの日常生活にも広く浸透しており、臨床現場でも活用されている。では、臨床で医師、とくに研修医はどのくらいGenAIを使用しているのであろうか。このテーマについて東京大学大学院医学系研究科生体防御感染症学の三輪 俊貴氏らの研究グループは、研修医の臨床現場における検索エンジンとしてのGenAI使用状況を調査した。その結果、GenAIの使用は「知識の崩壊」を示唆するような自己申告行動とは関連しておらず、GenAIの非使用者におけるリテラシーは依然として限定的であることがわかった。JMIR AI誌2026年7月17日号に掲載。GenAI使用者でも、鑑別診断の主な情報源とするのは13% 研究グループは、2025年1月、日本の卒後1年目および2年目の研修医を対象とした全国規模のコンピュータベース試験「基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)」の受験者を対象に、独自のアンケート調査を行った。調査項目には、GenAIの使用状況、GenAIリテラシー、およびベッドサイドでの行動に関する認識が含まれるとともに、GM-ITEのスコアに加え、人口統計学的データおよびアンケート回答データを収集した。GenAI使用者と非使用者の間でのGenAI使用に対する意識を比較するために統計解析を行い、さらに人口統計学的属性、学習環境、GM-ITEスコアで調整を行った上で、感染症診療におけるベッドサイドでの行動の差異を評価した。 主な結果は以下のとおり。・GM-ITE受験者9,179人のうち、546病院の研修医2,989人(32.6%)が本調査に回答した。・臨床業務における検索エンジンとしてのGenAI使用に関する質問に回答した2,850人を対象に、その後の解析を行った。・検索エンジンとしてGenAIを使用していると回答したのは1,124人(39.4%)であり、1,726人(60.6%)は非使用者だった。・使用者の中で、鑑別診断を行う際の主要な参照源としてGenAIに依存していたのは、わずか13%(144/1,110人)であった。・非使用者と比較して、使用者は、作話などの限界を理解している割合が高く(使用者817/1,103人[74.1%]vs.非使用者991/1,696人[58.4%]、p<0.001)、感染症管理において将来の医師に不可欠な能力(病歴聴取や身体診察など)を認識している割合も高い傾向にあった(使用者965/1,106人[87.3%]vs.非使用者1,296/1,706人[76%]、p<0.001)。・全体として、倫理的側面への言及はそれほど多くなく、公平性について検討したのは47.3%(1,311/2,770人)、透明性について検討したのは49.8%(1,381/2,774人)だった。・公平性および透明性に関する意識は、非使用者よりも使用者の方が高いことが示された(公平性:使用者615/1,092人[56.3%]vs.非使用者696/1,678人[41.5%]、p<0.001;透明性:使用者645/1,095人[58.9%]vs.非使用者736/1,679人[43.8%]、p<0.001)。・GenAIの使用は、十分な問診・身体診察(調整オッズ比[aOR]:1.42、95%信頼区間[CI]:1.18~1.70)や適切な抗菌薬の使用(aOR:1.57、95%CI:1.32~1.87)といった、望ましいとされる行動と独立して関連していた。 研究グループは、これらの結果から「GenAIの使用は『知識の崩壊』を示唆するような自己申告行動とは関連していないが、わが国の若手医師におけるGenAIリテラシー、とくに非使用者におけるリテラシーは依然として限定的だった。GenAIの急速な普及を考慮すると、使用者・非使用者の双方に対し、患者ケアにおける批判的思考や透明性を含む倫理的側面を重視した、臨床現場でのGenAIに関する教育が必要であると考えられる」と示唆している。